説明

ナノインプリント用モールドを作製する方法

【課題】 パターンを有する領域の寸法のバラツキを抑制しつつ繰り返し再生可能なナノインプリント用モールドを作製する方法を提供する。
【解決手段】 ガラスモールド1における第2のメサ部12の上面12a上に設けられた樹脂製のパターン樹脂部40がパターンPを有している。したがって、ナノインプリント用モールド50を繰り返し使用してパターンPに汚れやキズが生じた場合には、酸素アッシング等を行うことにより、パターン樹脂部40のみを除去して再生することができる。また、パターン樹脂部40が、ガラスモールド1の主面1aから突出した第2のメサ部12の上面12aに塗布されたレプリカ用樹脂30から形成される。したがって、ナノインプリント用モールド50を繰り返し再生する場合において、パターンPを有するパターン領域の寸法が、第2のメサ部12の上面12aの寸法にバラツキなく固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリントのためのパターンを有するナノインプリント用モールドを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野の従来の方法として、例えば特許文献1に記載の微細構造体の製造方法が知られている。この製造方法においては、まず、支持基材としての石英板を準備し、その石英板の表面に緩衝層原料を塗布する。続いて、平面プレートによって緩衝層原料を加圧・平坦化した状態において、緩衝層原料に紫外線を照射することにより、緩衝層を形成する。平面プレートを除いた後に、パターン層となる樹脂組成物を緩衝層の上に滴下する。一方で、ナノインプリントのためのパターンに対応したマスターパターンを有する石英製マスターモールドを用意する。そのマスターモールドを、緩衝層の上に滴下された樹脂組成物に押し付けた状態において、樹脂組成物に紫外線を照射することにより樹脂組成物を硬化させる。そして、硬化した樹脂組成物からマスターモールドを離間させることにより、ナノインプリントのためのパターンを有するパターン層を形成する。これにより、支持基材、緩衝層、及びパターン層からなる微細構造体が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−5971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の微細構造体の製造方法においては、樹脂製のパターン層と石英製の支持基材との間に緩衝層を設けることにより、うねりのある被転写体に対するナノインプリントにおいて転写不良領域を低減可能な微細構造体を提供することを図っている。しかしながら、この製造方法は、上述したように緩衝層を設けるため、製造工程が煩雑となる。このため、繰り返し使用することによってパターン層に汚れやキズが生じた場合には、微細構造体を再生して使用することが困難である。一方で、特許文献1に記載の微細構造体の製造方法においては、平坦な支持基材の上にパターン層が形成される。このため、たとえ微細構造体を再生できたとしても、パターンを有する領域を同一の寸法に再現することが困難である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、パターンを有する領域の寸法のバラツキを抑制しつつ繰り返し再生可能なナノインプリント用モールドを作製する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法は、ナノインプリントのためのパターンを有するナノインプリント用モールドを作製する方法であって、ナノインプリント用モールドの基体の突出面の上に設けられパターンを有するパターン樹脂部を除去することにより、基体の突出面を露出する工程と、突出面を露出した後に、突出面の上に新たなパターン樹脂部のための樹脂を塗布する工程と、樹脂を塗布した後に、パターンのためのマスターパターンを有するマスターモールドを、樹脂に押し付ける工程と、マスターモールドを樹脂に押し付けた後に、樹脂を硬化させることによりマスターパターンを樹脂に転写する工程と、マスターパターンを樹脂に転写した後に、マスターモールドを樹脂から離間することにより、パターンを有する新たなパターン樹脂部を突出面の上に形成する工程と、を備え、基体は、主面と、主面から突出した第1のメサ部とを有し、基体の突出面は、第1のメサ部の上面であり、基体は、石英ガラスからなり、突出面を露出する工程においては、パターン樹脂部を除去するために少なくとも酸素アッシング行う、ことを特徴とする。
【0007】
この方法においては、石英ガラス製の基体の上に設けられた樹脂製のパターン樹脂部が、ナノインプリントのためのパターンを有している。したがって、繰り返し使用して当該パターンに汚れやキズが生じた場合には、例えば酸素アッシング等を行うことにより、パターン樹脂部のみを除去して容易に再生することができる。また、この方法においては、パターン樹脂部が、基体の主面から突出したメサ部の上面に塗布された樹脂から形成される。したがって、ナノインプリント用モールドを繰り返し再生する場合においても、ナノインプリントのためのパターンを有する領域の寸法を、メサ部の上面の寸法にバラツキなく固定することができる。
【0008】
本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法は、突出面を露出する工程と樹脂を塗布する工程との間において、突出面の接触角を測定する工程をさらに備えることができる。この方法によれば、突出面の接触角を測定することにより、突出面の表面状態がパターン樹脂部のための樹脂の塗布に適した状態であるか否かを判定することができる。
【0009】
また、本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法は、突出面を露出する工程と樹脂を塗布する工程との間において、突出面の上に密着剤を塗布する工程をさらに備え、樹脂を塗布する工程においては、密着剤を介して突出面の上に樹脂を塗布するものとすることができる。この方法によれば、基体の突出面とパターン樹脂部との密着性を高めることができる。
【0010】
また、本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法は、突出面を露出する工程においては、パターン樹脂部を除去するために硫酸と過酸化水素との混合液による洗浄をさらに行うものとすることができる。この方法によれば、例えば、パターン樹脂部を形成する際に基体のメサ部の側面等に樹脂が付着した場合においても、その樹脂を確実に除去することができる。
【0011】
また、本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法は、突出面を露出する工程においては、パターン樹脂部を除去するために水素プラズマ処理をさらに行うものとすることができる。例えば、パターン樹脂部のための樹脂がフッ素を含む場合には、パターン樹脂部を除去した後においても、基体の突出面上にフッ化物が残存する場合がある。この方法によれば、そのように突出面に残存したフッ化物を確実に除去することができる。
【0012】
さらに、本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法においては、基体は、第1のメサ部の上面から突出した第2のメサ部を有し、基体の突出面は、第2のメサ部の上面であるものとすることができる。この場合、基体の主面には、第1のメサ部と第2のメサ部との2段のメサが設けられることとなる。このため、第1のメサ部と第2のメサ部との間の領域が、樹脂の逃げシロとして機能する。その結果、パターン樹脂部のための樹脂等の余剰分が、その逃げシロに逃がされ、ナノインプリントに悪影響を及ぼすことが避けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パターンを有する領域の寸法のバラツキを抑制しつつ繰り返し再生可能なナノインプリント用モールドを作製する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法の一実施形態の方法の主要な工程を示す図である。
【図2】本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法の一実施形態の方法の主要な工程を示す図である。
【図3】本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法の一実施形態の方法の主要な工程を示す図である。
【図4】本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法の一実施形態の方法の主要な工程を示す図である。
【図5】本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法の一実施形態の方法により作製されたナノインプリント用モールドを用いてナノインプリントを行う様子を示す図である。
【図6】本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法の一実施形態の方法の主要な工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一部分には同一の符号を付する。
【0016】
図1〜4、及び図6は、本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法の一実施形態の方法の主要な工程を示す図である。本実施形態に係る方法において作成されるナノインプリント用モールドは、例えば、複数のショットエリアに順次ナノインプリントを行うステップアンドリピート方式に用いることができる。
【0017】
本実施形態に係る方法においては、まず、図1に示されるように、ガラスモールド(基体)1を用意する(工程S101)。ガラスモールド1は、紫外線を透過する石英ガラスによって、正方形板状に形成されている。より具体的には、ガラスモールド1は、6025基板を1/4カットすることにより形成される。ガラスモールド1の平面視における一辺の長さL1は、例えば65mm程度である。ガラスモールド1の厚さT1は、例えば6mm程度である。
【0018】
ガラスモールド1は、主面1aを有している。また、ガラスモールド1は、主面1aから突出して設けられた島状のメサ部10を有している。メサ部10は、ガラスモールド1の主面1aの略中央部に設けられている。メサ部10は、正方形板状を呈している。メサ部10は、ガラスモールド1の主面1aと略平行な上面(突出面)10aを有している。後の工程において、この上面10aの上にパターン樹脂部が形成される。上面10aの角部には、一対のアライメントマークAが設けられている。
【0019】
メサ部10は、第1のメサ部11と第2のメサ部12とからなる。第1のメサ部11は、正方形板状を呈している。第1のメサ部11は、ガラスモールド1の主面1aから突出して設けられている。第1のメサ部11は、ガラスモールド1の主面1aと略平行な上面11aを有している。第1のメサ部11の幅W11は、例えば6mm程度である(ただし、第1のメサ部11の幅W11は、後述する第2のメサ部12の幅W12の値に応じて決定することができる)。ガラスモールド1の主面1aからの第1のメサ部11の高さH11は、例えば10μm程度である。
【0020】
第2のメサ部12は、第1のメサ部11の上面11aから突出して設けられている。第2のメサ部12は、第1のメサ部11の上面11aの略中央部に設けられている。第2のメサ部12は、正方形板状を呈している。第2のメサ部12は、ガラスモールド1の主面1a及び第1のメサ部11の上面11aと略平行な上面12aを有している。メサ部10の上面10aは、この第2のメサ部12の上面12aである。
【0021】
本実施形態に係る方法において作製されるナノインプリント用モールドを用いたナノインプリントにおいては、第2のメサ部12の上面12aがショットフィールドとなる。換言すれば、本実施形態に係る方法において作製されるナノインプリント用モールドにおいては、第2のメサ部12の上面12aの寸法がショットエリアの寸法を規定する。第2のメサ部12の幅W12は、例えば5mm〜30mmの範囲において、所望するショットエリアの寸法に応じて任意に設定される。第1のメサ部11の上面11aからの第2のメサ部12の高さH12は、例えば1μm程度である。なお、第1のメサ部11の幅W11と第2のメサ部12の幅W12との差D12は、例えば70μm程度とすることができる。
【0022】
続いて、図2の(a)部に示されるように、第2のメサ部12の上面12aの上に、密着剤20を塗布する(工程S102)。これにより、第2のメサ部12の上面12aと、後述するパターン樹脂部との密着性を向上させることができる。密着剤20は、例えばスピン塗布によって上面12aの全面に塗布される。密着剤20としては、例えば、2−プロパノール、TEOS、シラン系カップリング剤(例えば信越化学工業(株)社製LS−3380(商品名))、及び硝酸水溶液の混合液を用いることができる。
【0023】
続いて、図2の(b)部に示されるように、第2のメサ部12の上面12aの上に、レプリカ用樹脂30を塗布する(工程S103)。より具体的には、この工程では、密着剤20を介して第2のメサ部12の上面12aの上に密着剤20を塗布する。レプリカ用樹脂30の塗布量は、例えば0.013μL程度とすることができる。レプリカ用樹脂30としては、離形性や密着剤20との密着性を考慮すると、例えばフッ素を含有する感光性樹脂を用いることができる。
【0024】
続いて、図3の(a)部に示されるように、マスターモールドMの位置合わせを行う(工程S104)。より具体的には、この工程では、まずマスターモールドMを用意する。マスターモールドMは、ナノインプリントのためのパターンに対応したマスターパターンMPを有している。そして、マスターパターンMPが第2のメサ部12の上面12aに対向するように、アライメントマークAを参照してマスターモールドMの位置合わせを行う。なお、マスターモールドMのマスターパターンMPの表面には、レプリカ用樹脂30との離形性を向上させるために、所定の離形剤を予め塗布することができる。
【0025】
続いて、図3の(b)部に示されるように、マスターモールドMをレプリカ用樹脂30に押し付ける(工程S105)。より具体的には、この工程では、マスターモールドMのマスターパターンMPを第2のメサ部12の上面12aの上に配置されたレプリカ用樹脂30に押し付ける。このとき、レプリカ用樹脂30の余剰分が第2のメサ部12の上面12aからはみ出る場合があるが、その余剰分は、第2のメサ部12と第1のメサ部11との間の領域(すなわち、第2のメサ部12の側面12bと第1のメサ部11の上面11aとで画定される領域)に逃がされる。
【0026】
続いて、図4の(a)部に示されるように、レプリカ用樹脂30にマスターモールドMを押し付けた状態において、レプリカ用樹脂30を硬化させ、マスターモールドMのマスターパターンMPをレプリカ用樹脂30に転写する(工程S106)。より具体的には、この工程では、レプリカ用樹脂30にマスターモールドMを押し付けた状態において、マスターモールドMの裏面側からレプリカ用樹脂30に紫外線UVを照射することによって、レプリカ用樹脂30を硬化させる。
【0027】
続いて、図4の(b)部に示されるように、硬化されたレプリカ用樹脂30からマスターモールドMを離間することにより、ナノインプリントのためのパターンPを有するパターン樹脂部40を第2のメサ部12の上面12aの上に形成する(工程S107)。これにより、ナノインプリントのためのパターンPを有するナノインプリント用モールド50が作製される。なお、パターンPは、例えば、半導体光素子の回折格子のためのパターンとすることができる。
【0028】
以上の工程により作製されたナノインプリント用モールド50は、例えば以下のようにしてナノインプリントに用いることができる。すなわち、まず、図5に示されるように、ナノインプリントの対象となる基板60を用意する。基板60としては、例えば、Si、InP、及びGaAsといった半導体基板や、金属、ガラス、石英及びプラスチックといった各種材料の基板であって、所定の強度及び加工性を有するものを用いることができる。基板60の表面60aには、複数のショットエリアSHが設定されている。
【0029】
続いて、基板60の表面60aの一のショットエリアSHの上にナノインプリント用の樹脂70を塗布する。樹脂70は、例えば、フッ素を含有する感光性樹脂とすることができる。そして、ナノインプリント用モールド50を樹脂70に押し付けつつ樹脂70を硬化し、ナノインプリント用モールド50を離間する。これにより、当該一のショットエリアSHの上にパターンPが転写される。
【0030】
なお、樹脂70にナノインプリント用モールド50を押し付けたとき、樹脂70の余剰分が、第2のメサ部12の上面12a及びパターンPからはみ出る場合があるが、その余剰分は、第2のメサ部12と第1のメサ部11との間の領域(すなわち、第2のメサ部12の側面12bと第1のメサ部11の上面11aとで画定される領域)に逃がされるので、隣接する別のショットエリアSHに侵入することが避けられる。
【0031】
このようにナノインプリント用モールド50を用いてナノインプリントを繰り返すと、パターン樹脂部40のパターンPに汚れや傷が生じる場合がある。そのような場合には、本実施形態に係る方法においては、以下のようにナノインプリント用モールド50の再生を行うことができる。すなわち、まず、図6の(a)部及び(b)部に示されるように、第2のメサ部12の上面12aに設けられたパターン樹脂部40を除去することにより、第2のメサ部12の上面12aを露出させる(工程S108)。この工程では、例えば、酸素アッシング、硫酸と過酸化水素との混合液による洗浄、及び水素プラズマ処理を行うことによって、パターン樹脂部40を除去することができる。
【0032】
この工程において、酸素アッシングに加えて硫酸と過酸化水素との混合液による洗浄をさらに行えば、第2のメサ部12の側面12b等にレプリカ用樹脂30が付着した場合においても、そのレプリカ用樹脂30を確実に除去することができる。また、この工程において、酸素アッシングや硫酸と過酸化水素との混合液による洗浄に加えて、水素プラズマ処理をさらに行えば、第2のメサ部12の上面12aにフッ化物が残存した場合においても、そのフッ化物を確実に除去することができる。
【0033】
続いて、図6の(b)部に示されるように、第2のメサ部12の上面12aの表面状態を確認する(工程S109)。このように、第2のメサ部12の上面12aの表面状態を確認すれば、パターン樹脂部40の除去が確実に行われたか否かを確認することができる。したがって、例えば、パターン樹脂部40の除去が確実に行われていない状態において、後の工程が行われることを避けることができる。
【0034】
特に、この工程S109においては、第2のメサ部12の上面12aの表面状態として、第2のメサ部12の上面12aの接触角を測定することができる。その場合、測定された接触角が、所定の値(例えば5度)よりも小さいか否かを確認する。これにより、第2のメサ部12の上面12aの表面状態が、パターン樹脂部40のためのレプリカ用樹脂30の塗布に適した状態であるか否かを確実に判定することができる。この確認の結果、第2のメサ部12の上面12aの接触角が、所定の値よりも大きい場合には、工程S108を再度行う。
【0035】
このような工程S109の確認の結果、例えば、第2のメサ部12の上面12aの接触角が所定の値よりも小さい場合には、上述した工程S102〜工程S107を再度実行する。つまり、ナノインプリント用モールド50を再生する場合には、上述した工程S108、工程S109、工程S102、工程S103、工程S104、工程S105、工程S106、及び工程S107の順に実行する。これにより、パターン樹脂部40が一旦除去された後に、第2のメサ部12の上面12aの上に新たなパターン樹脂部40が形成され、ナノインプリント用モールド50の再生が行われる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る方法においては、石英ガラス製のガラスモールド1における第2のメサ部12の上面12a上に設けられた樹脂製のパターン樹脂部40が、ナノインプリントのためのパターンPを有している。したがって、ナノインプリント用モールド50を繰り返し使用して当該パターンPに汚れやキズが生じた場合には、例えば酸素アッシング等を行うことにより、パターン樹脂部40のみを除去して容易に再生することができる。また、本実施形態に係る方法においては、パターン樹脂部40が、ガラスモールド1の主面1aから突出した第2のメサ部12の上面12aに塗布されたレプリカ用樹脂30から形成される。したがって、ナノインプリント用モールド50を繰り返し再生する場合においても、ナノインプリントのためのパターンPを有する領域の寸法が、第2のメサ部12の上面12aの寸法にバラツキなく固定される。
【0037】
以上の実施形態は、本発明に係るナノインプリント用モールドを作製する方法の一実施形態を説明したものであり、本発明に係るナノインプリント用モールドを作製する方法は、本実施形態に係る方法に限定されない。本発明のナノインプリント用モールドを作製する方法は、各請求項の要旨を変更しない範囲において、本実施形態に係る方法を任意に変更したものとすることができる。
【0038】
例えば、ガラスモールド1として、第2のメサ部12を有さないものを用いることができる。その場合には、第1のメサ部11の上面11aの上にパターン樹脂部40を形成する。したがって、その場合には、第1のメサ部11の上面11aの幅W11を、所望するショットエリアの寸法に応じて設定する。
【符号の説明】
【0039】
1…ガラスモールド(基体)、10…メサ部、10a…上面(突出面)、11…第1のメサ部、11a…上面(突出面)、12…第2のメサ部、12a…上面(突出面)、20…密着剤、30…レプリカ用樹脂(樹脂)、40…パターン樹脂部、50…ナノインプリント用モールド、P…パターン、M…マスターモールド、MP…マスターパターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノインプリントのためのパターンを有するナノインプリント用モールドを作製する方法であって、
ナノインプリント用モールドの基体の突出面の上に設けられ前記パターンを有するパターン樹脂部を除去することにより、前記基体の前記突出面を露出する工程と、
前記突出面を露出した後に、前記突出面の上に新たなパターン樹脂部のための樹脂を塗布する工程と、
前記樹脂を塗布した後に、前記パターンのためのマスターパターンを有するマスターモールドを、前記樹脂に押し付ける工程と、
前記マスターモールドを前記樹脂に押し付けた後に、前記樹脂を硬化させることにより前記マスターパターンを前記樹脂に転写する工程と、
前記マスターパターンを前記樹脂に転写した後に、前記マスターモールドを前記樹脂から離間することにより、前記パターンを有する前記新たなパターン樹脂部を前記突出面の上に形成する工程と、を備え、
前記基体は、主面と、前記主面から突出した第1のメサ部とを有し、
前記基体の前記突出面は、前記第1のメサ部の上面であり、
前記基体は、石英ガラスからなり、
前記突出面を露出する工程においては、前記パターン樹脂部を除去するために少なくとも酸素アッシング行う、
ことを特徴とするナノインプリント用モールドを作製する方法。
【請求項2】
前記突出面を露出する工程と前記樹脂を塗布する工程との間において、前記突出面の接触角を測定する工程をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のナノインプリント用モールドを作製する方法。
【請求項3】
前記突出面を露出する工程と前記樹脂を塗布する工程との間において、前記突出面の上に密着剤を塗布する工程をさらに備え、
前記樹脂を塗布する工程においては、前記密着剤を介して前記突出面の上に前記樹脂を塗布する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のナノインプリント用モールドを作製する方法。
【請求項4】
前記突出面を露出する工程においては、前記パターン樹脂部を除去するために硫酸と過酸化水素との混合液による洗浄をさらに行う、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノインプリント用モールドを作製する方法。
【請求項5】
前記突出面を露出する工程においては、前記パターン樹脂部を除去するために水素プラズマ処理をさらに行う、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のナノインプリント用モールドを作製する方法。
【請求項6】
前記基体は、前記第1のメサ部の前記上面から突出した第2のメサ部を有し、
前記基体の前記突出面は、前記第2のメサ部の上面である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のナノインプリント用モールドを作製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−16734(P2013−16734A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150074(P2011−150074)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】