説明

ナノオーダ粒子製造装置

【課題】水中に分散したナノオーダの粒子を凝集又は固化させることなく取り出すことができるナノオーダ粒子製造装置を提供すること。
【解決手段】内部を加熱し、加圧することのできる容器と、前記容器内に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段と、前記容器内に、超臨界状態の二酸化炭素に溶解し、且つ水中に分散可能な粒子を形成する分散質成分を供給する分散質成分供給手段と、前記容器内に水を供給する水供給手段と、前記容器内で超臨界状態に形成された二酸化炭素と前記分散質成分とを混合し、水を添加して水中にナノオーダの分散質粒子を分散してなる水中粒子分散液を、40〜90℃に保持しつつ、容器外へ取り出す回収手段と、を有することを特徴とするナノオーダ粒子製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナノオーダ粒子製造装置に関し、特に、水中に分散させた分散質成分を凝集又は固化させることなく取り出すことができるナノオーダ粒子製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「・・・耐圧反応器と、・・・水相流入手段を有することを特徴とする封入物質を内包したリポソームの製造装置」(特許文献1の請求項7参照)が記載されており、リポソーム排出手段を設けることも記載されている(特許文献1の請求項9、図2及び図3参照)。「水相を一定量滴下したあと、減圧し耐圧反応器1を開けると、封入物質が内包されたリポソームが得られる」(特許文献1の(第1実施形態)欄参照)旨の記載があるが、「リポソーム排出手段」についての具体的な説明はなされていない。
【0003】
一方、本願発明者らは動物性油脂、石油系油脂又は植物性油脂等の分散質成分を超臨界状態の二酸化炭素に溶解させた後、水を注入し、水中にナノオーダの粒子を分散させる装置及び方法について検討していた。しかし、生成した分散質成分の粒子を凝集又は固化させることなくナノオーダの粒子の状態で安定に回収するのが困難であるという問題を抱えていた。
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2002/032564パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、ナノオーダの分散質成分を凝集又は固化させることなく取り出すことができるナノオーダ粒子製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1は
内部を加熱し、加圧することのできる容器と、
前記容器内に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段と、
前記容器内に、超臨界状態の二酸化炭素に溶解し、且つ水中に分散可能な粒子を形成する分散質成分を供給する分散質成分供給手段と、
前記容器内に水を供給する水供給手段と、
前記容器内で超臨界状態に形成された二酸化炭素と前記分散質成分とを混合し、水を添加して水中にナノオーダの分散質粒子を分散してなる水中粒子分散液を、40〜90℃に保持しつつ、容器外へ取り出す回収手段と、を有することを特徴とするナノオーダ粒子製造装置であり、
請求項2は、
前記容器内に、界面活性剤を供給する界面活性剤供給手段を備えて成る前記請求項1に記載のナノオーダ粒子製造装置であり、
請求項3は、
前記容器内を、300〜1000rpmの回転速度で攪拌する攪拌手段を備えて成る前記請求項1又は2に記載のナノオーダ粒子製造装置である。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、水中に分散したナノオーダの分散質粒子を、凝集又は固化することなく、安定した状態で取り出すことのできるナノオーダ粒子製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1を参照しながら、この発明のナノオーダ粒子製造装置を説明する。
【0009】
この発明の一実施例であるナノオーダ粒子製造装置1は、容器2と、二酸化炭素供給手段3と、分散質成分供給手段4と、水供給手段5と、回収手段6とを有する。
【0010】
前記容器2は、容器内部を加熱することができ、かつ耐圧に形成されて成る。容器2は、二酸化炭素の亜臨界状態又は超臨界状態実現温度以上でかつ分散質成分の溶融温度以上に容器2内を加熱できる加熱手段2Aと、二酸化炭素の亜臨界状態又は超臨界状態実現圧力以上の圧力に耐えることができる耐圧構造とを備えた容器であれば特に限定されず、例えばオートクレーブ等を採用することができる。前記容器の形状は、種々の形状を採用可能であり、例えば円柱型、多角柱型、円錐型又は多角錐型等を挙げることができる。また、前記加熱手段は、図1では容器2の外周面に取り付けられているが、容器内に、好ましくは後記の水中粒子分散液に接触可能な位置、例えば容器の底部近傍に取り付けることもできる。加熱手段としては、例えば容器の内部を加熱することのできる仕組みであれば特に制限がなく、例えば電熱ヒータ、熱水バス、オイルヒータ、テープヒータ及びパイプヒータ等を設けることもできる。
【0011】
前記容器2の容積は、二酸化炭素と分散質成分と水との所定量を収容可能であればよく、規模に応じて適宜に変更可能である。
【0012】
また、図1に示される前記容器2には、効率的に後記の分散質成分と二酸化炭素とを混合し、水中に分散質成分を分散させる部材として撹拌手段7が取り付けられている。この発明のナノオーダ粒子製造装置においては、ナノオーダの粒子径を実現できる限り撹拌手段を設けるのが好ましい。撹拌手段7は、図1のように容器2外から容器2内に挿通した軸と該軸の一端に設けられた撹拌翼とを有し、軸を回転することにより撹拌翼を回転させて容器2内を撹拌することができる。該撹拌翼の形状は、例えばプロペラ型又はピッチ付平羽根等を採用することができ、さらにより効率的に撹拌するために撹拌翼を軸に複数個設け、かつ撹拌翼を互い違いに配置することもできる。図1の撹拌手段7以外の撹拌手段としては、種々の撹拌手段を用いることができ、例えば容器を固定して成る台座(図示せず)をクランク等により左右あるいは上下に振盪することにより撹拌する撹拌手段又は磁気撹拌子を入れて撹拌する撹拌手段等を挙げることができる。
【0013】
撹拌手段7の回転速度は300〜1000rpmが好ましく、回転速度が300rpm未満であると分散質成分を所望のナノオーダの粒子として分散することが困難であり、回転速度が1000rpmを超えると、回転速度を大きくするに応じた粒子径の変化が生じにくくなることがある。
【0014】
図1の前記二酸化炭素供給手段3は、前記容器2内に二酸化炭素を供給することができ、二酸化炭素を貯留するガス貯留槽3A及びガス貯留槽3Aと前記容器2とを接続する二酸化炭素の流路3Bを有する。前記二酸化炭素供給手段3により前記容器2に二酸化炭素を供給するときに、前記容器2に二酸化炭素を供給する前に予め亜臨界状態又は超臨界状態にし、次いで前記容器2に供給する場合と、前記容器2内で二酸化炭素を亜臨界状態又は超臨界状態にする場合とがあるが、いずれの場合を採用しても良い。前者の場合では、前記ガス貯留槽3A又は前記流路3Bに、加圧手段(図示せず)及び加熱手段(図示せず)を設け、前記二酸化炭素供給手段3を耐圧構造にすることにより、亜臨界状態又は超臨界状態の二酸化炭素を前記容器2に供給することができるので、前記容器2内で分散質成分と混合するまでの時間を短縮できる。後者の場合では、前記流路3B等に例えばコンプレッサー等の加圧手段を設けるだけで済み、余分な加圧手段及び加熱手段等を設ける必要がなく、ナノオーダ粒子製造装置1の構造の簡素化を図ることができる。
【0015】
前記容器2に供給される二酸化炭素は、前記容器2内で6.5〜20MPaの圧力に保持され、亜臨界状態又は超臨界状態で分散質成分と混合されるのが好ましい。
【0016】
図1の前記分散質成分供給手段4は、前記容器2内に分散質成分を供給することができ、注入手段4Aとこの注入手段4Aから前記容器2に接続される分散質成分の流路4Bとを有する。この発明のナノオーダ粒子製造手段において、注入手段には、例えばシリンジ等の内容物を押し出すことのできる部材を採用することができ、分散質成分の流路には、その途中に例えばポンプ又は弁等の流量調節手段を配置することができる。前記分散質成分供給手段4により前記容器2に分散質成分を供給する態様として、前記容器2内で分散質成分を溶融温度以上に加熱して二酸化炭素と混合する態様と、前記容器2内に供給する前に予め分散質成分を溶融温度以上に加熱して、溶融状態の分散質成分を二酸化炭素と混合する態様とが挙げられる。いずれの態様を選択するかは特に制限されないが、前者の態様は、前記容器2で加熱を行うだけで二酸化炭素の亜臨界状態又は超臨界状態実現温度以上でかつ分散質成分の溶融温度以上に昇温可能なので、余分な加熱手段等を設ける必要がなく、ナノオーダ粒子製造装置1の構造の簡素化を図ることができ、後者の態様は、前記分散質成分供給手段4に加熱手段(図示せず)等を取り付け、それにより溶融状態の分散質成分を前記容器2に供給し、二酸化炭素と混合して迅速に次の水を供給する操作を行うことができ、操作の時間を短縮することができる。
【0017】
この発明のナノオーダ粒子製造装置に好適に用いることができる分散質成分は、例えば油脂類である牛脂、豚脂、パラフィン、ライスワックス、ナタネ油、ツバキ油及びヤシ油等、ロウ類であるミツロウ、鯨ロウ及びカルナウバロウ等の油性成分を挙げることができる。また、分散質成分として、化粧品及び医薬品などの水溶性有効成分例えばL−アスコルビン酸、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、アスコルビン酸グリコシド、グリチルリチン酸ジカリウム、β−グリチルレチン酸、グリチルレチン酸アンモニウム、グリチルレチン酸ステアリル、エスチン、エスクリン、パントテニルアルコール、パントテン酸塩、チアミン、フラビン、葉酸、非ステロイド系抗炎症薬、ケトプロフェン、イブプロフェン、ブフェキサマク、インドメタシン等、及び油溶性成分例えばコレステロール等を挙げることができる。この発明に係るナノオーダ粒子製造装置によると、前記分散質成分として前記水溶性有効成分又は油溶性成分を選択し、後述するリン脂質等の界面活性剤を使用することによりリポソーム等の分散粒子を形成することができる。
【0018】
前記分散質成分供給手段4により前記容器2に供給される分散質成分の量は、0.1〜1質量部/水100質量部が好ましい。分散質成分の量が0.1質量部/水100質量部未満であると、ナノオーダ粒子の製造効率が低下することがあり、1質量部/水100質量部を超えると、水中の分散質成分の存在比が過大となり、撹拌等によってナノオーダを実現することが困難になることがある。
【0019】
図1における前記水供給手段5は、前記容器2内に水を供給することができ、貯水槽5A及び貯水槽5Aから前記容器2に接続される水の流路5Bとから成る。前記容器2内に水を供給する際に、例えば常温(25℃)の水を前記容器2に供給することにより、前記容器2内が二酸化炭素の亜臨界状態又は超臨界状態実現温度以下又は分散質成分の溶融温度以下となることがある。前記容器2内が二酸化炭素の亜臨界状態又は超臨界状態実現温度以下又は分散質成分の溶融温度以下となると、分散質成分が凝集又は固化し易くなることがあるので、分散質成分の凝集又は固化を防ぐために、水供給手段5に加熱手段(図示せず)を取り付けるのが好ましい。また、水の供給量は1〜5ml/minが好ましく、水の供給量が1ml/min未満であると水の供給量の変化に応じた分散効率の変化が得られないことがあり、5ml/minを超えると分散質成分が充分に分散できないことがあるので、流路5Bに例えばポンプ及び弁等の流量調節手段(図示せず)を配設するのが好ましい。
【0020】
前記容器内の分散質成分と二酸化炭素と水との量比は、分散質成分0.1〜1質量部/二酸化炭素60〜600質量部/水100質量部が好ましい。二酸化炭素が60質量部未満であると、好適に分散質成分を水に分散できないことがあり、600質量部を超えると、二酸化炭素の混合量の増減が分散質成分の水への分散効率に影響しなくなることがある。
【0021】
図1に示される前記回収手段6は、吸入手段6Aと前記容器2から吸入手段6Aまでの水中粒子分散液の流路6Bとから成り、水中にナノオーダの分散質成分を分散してなる水中粒子分散液を、容器2外へ取り出すことができる。この発明のナノオーダ粒子製造装置の吸入手段は特に限定されず、例えばシリンジ又はポンプ等の吸入手段を好適に用いることができる。
【0022】
前記回収手段6では水中粒子分散液を前記容器2外に取り出すとき、水中粒子分散液を急冷せずに好ましくは40〜90℃の範囲で温度を保持するとよい。水中粒子分散液が、40℃未満であると分散質成分の溶融温度以下に達して分散質成分の固化等が起こることがあり、90℃を超えると水の蒸発が起こり易くなるので過剰の水が必要となって効率的でないことがある。水中粒子分散液の温度を40〜90℃に保持可能なように、流路6Bは例えば断熱管状部材で形成され、又は例えばコードヒータ等の加熱手段を流路6Bに倦着することができる。
【0023】
また、前記回収手段6により水中粒子分散液を前記容器2外に取り出すときに、図1に示されるように排気手段9を設けて前記容器2内を減圧する。この発明のナノオーダ粒子製造装置には、容器内を減圧できる限り種々の減圧手段を用いることができ、例えば背圧弁等の部材を採用することができる。該排気手段9で排気される二酸化炭素を回収して、この発明のナノオーダ粒子製造装置に再利用することもできる。前記容器2内は0.5〜1時間で0.1〜1MPaの圧力まで減圧する。急激に減圧すると排気手段9で二酸化炭素と水とが噴出して、水中に分散している分散質成分が凝集又は固化することがある。容器2内が所定の圧力まで減圧された後、吸入手段6Aで水中粒子分散液の回収を開始する際に、分散質成分の凝集又は固化を防ぐことができるように、容器2内と流路6Bと吸入手段6Aとの圧力が均一であるのが望ましく、流路6Bに例えばニードル調整弁等の圧力調整手段を好適に用いることができる。
【0024】
さらにこの発明のナノオーダ粒子製造装置の他の実施態様として、図2に示される態様がある。図2の実施態様は、界面活性剤供給手段が設けられている点で図1の実施態様と相違している。界面活性剤を容器内に混合すると、界面活性剤が分散質成分と水との液−液界面に吸着するのでナノオーダの粒子をより安定化させることができる。また、界面活性剤の種類又は混合量により、例えば界面活性剤がベシクル(vesicle)様の二分子層膜を形成し、例えばリポソームが形成される。
【0025】
界面活性剤を用いることによりベシクル様の二分子層膜を形成する場合、界面活性剤の一枚膜又は多重膜で形成されたリポソームに分散質成分が内包されている状態となることがある。界面活性剤及び分散質成分が生理活性な物性を有するときには、例えば回収した水中粒子分散液を化粧品等に用いることができる。このとき、生体に悪影響を及ぼさない範囲で分散質成分を分散させる水に他の溶媒、例えばエタノール等を添加することにより、水中粒子分散液の生態への吸収等を促進することもできる。この発明のナノオーダ粒子製造装置に用いることができる界面活性剤としては、例えばシリコーン界面活性剤、フッ素系界面活性剤、エステル型第4級アンモニウム塩、エステルアミド型第4級アンモニウム塩及びアルキルヒドロキシプロピルアルギニン塩等を挙げることができる。
【0026】
また、混合する界面活性剤の濃度は、界面活性剤によって性状が大きく異なるので一概に決定できないが、例えば炭素数12の界面活性剤を用いた場合は0.1〜30mMが好ましく、界面活性剤が0.1mM未満であると、臨界ミセル濃度以下であり、界面活性剤が分散質成分と水との液−液界面に充分に吸着しないことがあり、30mMを超えると、界面活性剤が充分に分散質成分と水との液−液界面に吸着し、飽和状態となることがある。
【0027】
以上の構成を有するナノオーダ粒子製造装置1は、以下のように作用する。
【0028】
図1において、まず分散質成分供給手段4により分散質成分を容器2に供給する。分散質成分を容器2内で溶融する場合は、注入手段4Aにより流路4Bを通って容器2に分散質成分を供給し、容器2内で加熱手段2Aにより加熱して分散質成分を溶融する。溶融状態の分散質成分を容器2に供給する場合は、前記分散質成分供給手段4に取り付けられる加熱手段により分散質成分を予め溶融状態にし、溶融状態の分散質成分を分散質成分供給手段4で容器2に供給する。
【0029】
次いで、二酸化炭素を容器2に供給する。二酸化炭素を容器2内で亜臨界状態又は超臨界状態にする場合は、前記流路3B等に設けられる例えばコンプレッサー等の加圧手段を用いて容器2に二酸化炭素を圧入する。亜臨界状態又は超臨界状態の二酸化炭素を容器2に供給する場合は、前記ガス貯留槽3A又は前記流路3Bに設けられる図示しない加圧手段及び加熱手段により、前記二酸化炭素供給手段3内で二酸化炭素が亜臨界状態又は超臨界状態に達し、超臨界状態の二酸化炭素を前記容器2に供給する。
【0030】
次に、撹拌手段7により分散質成分と二酸化炭素とを充分に混合する。二酸化炭素を供給、加圧した後、容器2内の圧力が一定となるまで撹拌手段7で撹拌するのが好ましい。
【0031】
分散質成分と二酸化炭素とが混合された容器2に水を供給する。所定の流量で水供給手段5により容器2に水を供給する。このとき、水中に分散質成分が均一に分散し、かつ容器2内の圧力が一定になるまで撹拌手段7により撹拌すると効果的である。
【0032】
また、図2の実施態様を採用して界面活性剤供給手段9を設けたときは、水を容器2内に供給した後に界面活性剤を容器2に供給することが望ましい。界面活性剤を供給する場合は、水中に界面活性剤と分散質成分とが均一に分散し、かつ容器2内の圧力が一定になるまで撹拌手段7により撹拌すると効果的である。
【0033】
さらに、容器2内を減圧する。容器2内を40〜90℃に保持しつつ、所定の圧力まで排気手段8により減圧する。排気手段8には適宜のガス収集手段を配設することができ、収集した二酸化炭素はナノオーダ粒子製造装置に再利用することができる。
【0034】
回収手段6により水中粒子分散液を回収する。水中にナノオーダの分散質成分が分散した水中粒子分散液を40〜90℃に保持しつつ、容器2内の減圧後の圧力を流路6B及び吸入手段6Aで急変させないように容器2外へ取り出すのが好ましい。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
85℃に加熱した容器内で蜜蝋0.2gを溶融し、次いで二酸化炭素200gを注入して15MPaまで加圧し、さらに撹拌手段により600rpmで撹拌した後に水35gを加えて充分に撹拌した。撹拌後、容器を85℃に保持しつつ30分間で0.5MPaまで減圧し、回収手段によりナノオーダの粒子を回収した。回収した粒子の粒度分布測定を日機装株式会社製のマイクロトラックUPAにより行った。最小粒径が70nmの粒子を得た。
【0036】
(実施例2)
85℃に加熱した容器内でパラフィン0.4gを溶融し、次いで二酸化炭素200gを注入して15MPaまで加圧し、さらに撹拌手段により600rpmで撹拌した後に水70gを加えて充分に撹拌した。撹拌後、容器を85℃に保持しつつ30分間で0.5MPaまで減圧し、回収手段によりナノオーダの粒子を回収した。回収した粒子の粒度分布測定を日機装株式会社製のマイクロトラックUPAにより行った。最小粒径が70nmの粒子を得た。
【0037】
(実施例3)
85℃に加熱した容器内でライスワックス0.2gを溶融し、次いで二酸化炭素200gを注入して15MPaまで加圧し、さらに撹拌手段により600rpmで撹拌した後に水100gを加えて充分に撹拌した。撹拌後、容器を85℃に保持しつつ30分間で0.5MPaまで減圧し、回収手段によりナノオーダの粒子を回収した。回収した粒子の粒度分布測定を日機装株式会社製のマイクロトラックUPAにより行った。最小粒径が70nmの粒子を得た。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、この発明の一実施例であるナノオーダ粒子製造装置の概略図である。
【図2】図2は、この発明の他の一実施例であるナノオーダ粒子製造装置の概略図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ナノオーダ粒子製造装置
2 容器
2A 加熱手段
3 二酸化炭素供給手段
3A ガス貯留槽
4 分散質成分供給手段
4A 注入手段
5 水成分供給手段
5A 貯水槽
6 回収手段
6A 吸入手段
7 撹拌手段
8 排気手段
9 界面活性剤供給手段
3B、4B、5B及び6B 流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を加熱し、加圧することのできる容器と、
前記容器内に二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給手段と、
前記容器内に、超臨界状態の二酸化炭素に溶解し、且つ水中に分散可能な粒子を形成する分散質成分を供給する分散質成分供給手段と、
前記容器内に水を供給する水供給手段と、
前記容器内で超臨界状態に形成された二酸化炭素と前記分散質成分とを混合し、水を添加して水中にナノオーダの分散質粒子を分散してなる水中粒子分散液を、40〜90℃に保持しつつ、容器外へ取り出す回収手段と、を有することを特徴とするナノオーダ粒子製造装置。
【請求項2】
前記容器内に、界面活性剤を供給する界面活性剤供給手段を備えて成る前記請求項1に記載のナノオーダ粒子製造装置。
【請求項3】
前記容器内を、300〜1000rpmの回転速度で攪拌する攪拌手段を備えて成る前記請求項1又は2に記載のナノオーダ粒子製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−142609(P2008−142609A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331426(P2006−331426)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】