説明

ナノ粒子デバイス及びナノ粒子デバイスの製造方法

高密度配列が可能なナノ粒子デバイス及びナノ粒子デバイスの製造方法を提供する。基板(1)上に非エピタキシャル成長により下地微結晶膜(2)を形成し、この下地微結晶膜(2)の材料とナノ粒子材料(4)の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜(2)の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子デバイス及びナノ粒子デバイスの製造方法に係り、特に、高密度配列が不可欠なハードディスクに用いられる垂直磁気記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の説明を行う前に、本発明にかかる主要な用語の説明を行う。
【0003】
FePtとは、FeとPtが元素比で1:1付近の合金で、fct結晶にすることで強い磁気異方性を持たせることができる。
【0004】
fct相とは、face centered tetragonal(面心正方)相の略であり、FePtにおけるfct相は、基本的にはfcc相と同じ配置をとりながら、c軸方向(〈001〉方向)にFeとPtが1層ずつ交互に現れる構造である。この構造をL1という。この相は常温常圧で安定相であるが、通常の作製法ではfcc相が現れやすく、fct相の作製は、高温での堆積、もしくはアニールと除冷により実現されることが多い。
【0005】
fcc相とは、face centered cubic(面心立方)の略であり、FePtでは、fccの原子位置にFeとPtがランダムに位置するこの相が現れやすい。また、磁気異方性をもたないのがこの相の特徴である。
【0006】
c軸配向とは、複数の結晶子が〈001〉方向に揃っている状態であり、c軸に磁気異方性を持つfct−FePtの垂直磁気記録媒体応用では非常に重要である。
【0007】
面外配向とは、基板に対して垂直方向の結晶方位の規則性を示しており、非エピタキシャル成長でも、表面エネルギー最小化や、化学エッチング速度最小化、プラズマ照射損傷最小化、応力最小化、成長速度の異なる配向間の競争過程などで発現する。
【0008】
面内配向とは、基板に対して水平方向の結晶方位の規則性を示しており、平滑な基板上での非エピタキシャル成長では、面内配向に寄与するメカニズムはなく、面内に非配向となる。
【0009】
粒成長とは、結晶が周囲の結晶ないしアモルファス相を取り込みながら成長する過程であり、高温で顕著になる現象で、FePtの微細構造実現の最大の障害の一つである。プロセス温度を融点で規格化した温度が一つの尺度になり、高融点材料を用いれば、同一温度でも抑制できる。
【0010】
表面エネルギー最小の配向とは、非エピタキシャル成長で、結晶方位が揃うメカニズムの一つに、系のエネルギーを最小にし、平衡構造に近づく過程があるが、歪等が無視できる際は、結晶子の内部エネルギーは配向に依らないため、表面エネルギーを最小とする方位に揃う傾向があることを言う。結晶構造の最稠密面に対応する。
【0011】
ヘテロエピタキシーとは、異種の2つの結晶が、互いの結晶方位関係を等しく保ちながら成長する様式であり、量子ドット応用を始め、盛んに研究されている。
【0012】
従来、ナノデバイス実現のための、基板上のナノ粒子配列作製方法として最も盛んなアプローチは、単結晶基板からのヘテロエピタキシャル成長である。単結晶基板の上に、超高真空下でゆっくりと原料を蒸着することで、単結晶基板と特定の方位関係を持った結晶を育てる。その際、単結晶基板と目的層との格子定数を適切に設計することで、ナノ粒子構造をとらせることができる。現在、この方法で、量子ドットレーザー応用、磁気記録媒体等の多様な材料開発が進められている。
【0013】
しかしながら、上記した従来の基板上のナノ粒子配列作製方法では、粒子サイズの制御性が必ずしも良くないこと、作製プロセスおよび単結晶基板が高コストであること、目的層と基板との組み合わせに制約が多いこと等の問題がある。
【0014】
また、下記特許文献1には、非磁性基体上にhcp構造の非磁性下地層を形成し、その上に少なくともCoとPtを含む合金である磁性体材料と、酸化物である非磁性材料を、スパッタ法にて同時に供給し、磁性体材料と酸化物の相分離を起こさせることで、磁性体材料の結晶粒径と、結晶粒の相互間隔を制御する技術が示されているが、これは、プラスチック樹脂の利用を想定した低温の製造技術である。低温プロセスであるため、この技術のままでは、fct構造のCoPtもしくはFePt合金を得ることはできず、大きな磁気的保持力を期待できない。fct構造の合金を得るためには、プロセス温度を上げる必要があるが、その場合には合金の結晶粒径の制御が困難になるといった問題があった。また、hcp構造の非磁性下地層を用いると、その面外配向は6回対称の(001)になり易く、その上のfct構造の合金は面外に(111)配向し易いため、垂直磁気記録媒体で不可欠な面外c軸配向、即ち(001)配向させるのが困難であるといった問題があった。
【特許文献1】特開2003−178413号公報
【発明の開示】
【0015】
一方、非エピタキシャル成長では、堆積層の形状・結晶構造・配向は、成長条件に大きく依存する。そのため、基板上に濡れる条件下で薄膜を成長させると表面エネルギー最小の面に、またプラズマ照射を併用すると耐性の高い面に、といったように、面外配向を制御した微結晶膜を得ることができる。この際、結晶のサイズは融点とプロセス温度のバランスで決められ、ナノ領域での融点降下とあわせると10nm前後の微結晶を作り易い。一方、面内配向については、非配向となる。
【0016】
本発明は、この非エピタキシャル成長で得られる微結晶膜を用い、個々の微結晶の表面を微小空間として利用し、この微小空間毎にナノ粒子を作製する方法に関する。
【0017】
つまり、下地微結晶とナノ粒子材料の格子定数が合うように設計することにより、ナノ粒子を個々の下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させることができる。これは、微結晶間で面内配向が異なるため、ナノ粒子は複数の微結晶に跨がって育つのが困難になるので、下地微結晶上に一対一でナノ粒子を育てることができることを利用するものである。一方、下地微結晶は面外配向しているため、ナノ粒子も面外に配向する。
【0018】
また、ナノ粒子を積層する方法としては、(1)非エピタキシー技術として、多結晶シード層により結晶配向の制御を行う方法があり、多層構造の作製・相分離技術とも組み合わされることがある。低コストなため、実用上は最も普及している方法であるが、結晶のサイズ・数密度・間隔は試行錯誤的に制御しており、制御性が低い。(2)エピタキシー技術は、高価な単結晶基板が必要であり、材料選択に任意性が低い、また、サイズ制御性も低い。(3)コロイド粒子塗布配列方法は結晶相の制御が困難であり、また、結晶配向の制御も困難であり、大面積の均一性が低い。
【0019】
本発明では、上記状況に鑑みて、高密度配列が可能なナノ粒子デバイス及びナノ粒子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕ナノ粒子デバイスにおいて、単層ないし多層基板と、この基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーしたナノ粒子とを具備することを特徴とする。
【0021】
〔2〕ナノ粒子デバイスにおいて、単層ないし多層基板と、この基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、この下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした微結晶からなる微結晶膜と、この微結晶膜の個々の微結晶に個々にローカルエピタキシーしたナノ粒子とを具備することを特徴とする。
【0022】
〔3〕ナノ粒子デバイスにおいて、単層ないし多層基板と、この基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーしたナノ粒子と、前記ナノ粒子に個々にローカルエピタキシーした微結晶膜と、前記基板の垂直方向に前記ナノ粒子と前記微結晶膜が繰り返しローカルエピタキシーした積層ナノ粒子を具備することを特徴とする。
【0023】
〔4〕ナノ粒子デバイスにおいて、単層ないし多層基板と、この基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした縦長のナノ粒子と、前記ナノ粒子を取り囲むように、ナノ粒子に個々にローカルエピタキシーした微結晶材料を具備することを特徴とする。
【0024】
〔5〕ナノ粒子デバイスにおいて、単層ないし多層基板と、この基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした縦長のナノ粒子と、前記ナノ粒子間を埋める、前記ナノ粒子と成分の異なる材料を打ち粉として具備することを特徴とする。
【0025】
〔6〕上記〔3〕、〔4〕又は〔5〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記下地微結晶膜と前記ナノ粒子の間に挟まれた下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした微結晶からなる微結晶膜を具備することを特徴とする。
【0026】
〔7〕上記〔1〕から〔6〕の何れか一項記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記多層基板は磁性制御層又は構造制御層の何れか又は双方からなる。
【0027】
〔8〕上記〔7〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記構造制御層は下地微結晶とエピタキシャルでない層である。
【0028】
〔9〕上記〔8〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記下地微結晶とエピタキシャルでない層は非晶質である。
【0029】
〔10〕上記〔9〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記非晶質は、C、N、O、Al、Siの何れか、もしくは複数を含む物質である。
【0030】
〔11〕上記〔8〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記下地微結晶とエピタキシャルでない層は格子ミスマッチの大きい結晶である。
【0031】
〔12〕上記〔8〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記下地微結晶とエピタキシャルでない層は表面の構造が乱れた結晶である。
【0032】
〔13〕上記〔1〕から〔6〕の何れか一項記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記下地微結晶膜は高融点材料である。
【0033】
〔14〕上記〔13〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記高融点材料がNaCl型結晶である。
【0034】
〔15〕上記〔14〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記NaCl型結晶は窒化物である。
【0035】
〔16〕上記〔15〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記窒化物はTiN、VN、ZrN、NbN、HfN、TaN、ThNである。
【0036】
〔17〕上記〔13〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記NaCl型結晶は酸化物である。
【0037】
〔18〕上記〔17〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記酸化物はMgO、CaO、SrO、BaOである。
【0038】
〔19〕上記〔13〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記高融点材料がTi、V、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wからなる。
【0039】
〔20〕上記〔1〕から〔6〕の何れか一項記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記ナノ粒子は磁気記録材料である。
【0040】
〔21〕上記〔20〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記磁気記録材料はL1構造を有する合金である。
【0041】
〔22〕上記〔21〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記L1構造を有する合金はfct遷移金属/貴金属合金である。
【0042】
〔23〕上記〔22〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記fct遷移金属/貴金属合金はFePt、CoPtである。
【0043】
〔24〕上記〔3〕又は〔4〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記ナノ粒子に個々にローカルエピタキシーした微結晶が、Ti、Fe、Co、Cr、Ag、Ptなどを含む金属・合金材料であることを特徴とする。
【0044】
〔25〕上記〔5〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記ナノ粒子の成分と異なる材料がC、N、O、Al、Siの何れか、もしくは複数を含む非結晶材料であることを特徴とする。
【0045】
〔26〕上記〔5〕記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記ナノ粒子の成分と異なる材料がTi、Fe、Co、Cr、Ag、Ptなどを含む金属・合金材料であることを特徴とする。
【0046】
〔27〕ナノ粒子デバイスの製造方法において、単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、この下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成することを特徴とする。
【0047】
〔28〕ナノ粒子デバイスの製造方法において、単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、この下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成し、その上に基板垂直方向に前記ナノ粒子材料/前記下地材料を含むナノ粒子材料と格子定数の適合する材料を交互に堆積しローカルにエピタキシャル成長させ、ナノ粒子を積層することを特徴とする。
【0048】
〔29〕ナノ粒子デバイスの製造方法において、単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、この下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成し、前記下地材料を含むナノ粒子と成分が異なり格子定数が適合する材料を堆積し、前記ナノ粒子の個々にローカルエピタキシーするよう偏析させ、前記ナノ粒子材料および前記下地材料を含むナノ粒子と成分が異なり格子定数が適合する材料を同時もしくは交互に堆積することで、ナノ粒子を基板垂直方向に成長させることを特徴とする。
【0049】
〔30〕ナノ粒子デバイスの製造方法において、単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、この下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成し、前記ナノ粒子と成分の異なる材料を打ち粉として堆積し、前記ナノ粒子の間に偏析させ、前記ナノ粒子材料および前記ナノ粒子と成分の異なる材料を同時もしくは交互に堆積することで、ナノ粒子を基板垂直方向に成長させることを特徴とする。
【0050】
〔31〕上記〔27〕〜〔30〕の何れか一項記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、前記(a)工程と(b)工程との間に下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした微結晶からなる微結晶膜を形成する工程を施すことを特徴とする。
【0051】
〔32〕上記〔27〕〜〔31〕の何れか一項記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、前記下地微結晶膜は粒成長を抑え、表面エネルギー最小、化学エッチング速度最小、プラズマ照射損傷最小、応力最小、成長速度最大の何れかで面外配向させる。
【0052】
〔33〕上記〔27〕〜〔32〕の何れか一項記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、前記ナノ粒子がFePtを主成分とした磁性体ナノ粒子である。
【0053】
〔34〕上記〔27〕〜〔32〕の何れか一項記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、前記ナノ粒子がCoPtを主成分とした磁性体ナノ粒子である。
【0054】
〔35〕上記〔33〕又は〔34〕記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、200〜1600℃の基板加熱の下でローカルにエピタキシャル成長を行わせる。
【0055】
〔36〕上記〔35〕記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、下地微結晶膜を作製させた後、大気暴露なしにFePtないしCoPtを堆積することにより、ローカルにエピタキシャル成長を行わせる。
【0056】
〔37〕上記〔33〕又は〔34〕記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、下地微結晶膜を基板上に堆積させ、その後FePt又はCoPtを堆積させ、その後200〜1600℃にてアニールを行い、ローカルにエピタキシャル成長を行わせる。
【0057】
〔38〕上記〔37〕記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、下地微結晶膜を作製させた後、大気暴露なしにFePtないしCoPtを堆積させ、その後、アニールすることでローカルにエピタキシャル成長を行わせる。
【0058】
〔39〕上記〔27〕〜〔38〕の何れか一項に記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、前記ナノ粒子の結晶構造がfct構造をなし、前記ナノ粒子の結晶のc軸の9割以上が下地微結晶膜と垂直方向に配向する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施例を示すナノ粒子デバイスの製造工程図である。
【図2】下地膜の配向の模式図である。
【図3】下地膜の材料のうち、単体の金属元素を示す図である。
【図4】FePt磁性体のfct結晶構造を示す図である。
【図5】下地膜としての金属窒化物のNaCl型TiN,TaNを示す図である。
【図6】下地膜上へのFePt磁性ナノ粒子を生成の具体例を示す電子顕微鏡写真である。
【図7】単層ナノ粒子の断面透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図8】図7における単層ナノ粒子の磁気特性(磁界に対する磁化)を示す図である。
【図9】比較例としての単層ナノ粒子の磁気特性(磁界に対する磁化)を示す図である。
【図10】本発明の第2実施例を示す積層型のナノ粒子デバイスの製造工程図である。
【図11】本発明の第2実施例を示す積層型のナノ粒子デバイスの断面透過型電子顕微鏡像を示す図である。
【図12】本発明の第3実施例を示す縦長のナノ粒子デバイスの製造工程図である。
【図13】本発明の第4実施例を示す縦長のナノ粒子からなるナノ粒子デバイスの製造工程図である。
【図14】本発明の第5実施例を示すナノ粒子デバイスの構造を示す模式図である。
【図15】本発明の第6実施例を示す積層構造FePナノ粒子を有するナノ粒子デバイスの構造を示す模式図である。
【図16】本発明の第7実施例を示す縦長のナノ粒子を有するナノ粒子デバイスの構造を示す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0061】
(1)プロセス自体がドライプロセスであり、ナノ粒子は3〜10nm程度に超微小化することができ、半導体の量子ドットデバイスなどのナノ粒子を有する微小電子・磁気・光デバイスを得ることができる。
【0062】
(2)基板と下地微結晶膜が非エピタキシーの関係にあるため、基板選択の任意性が高く、安価な基板を利用することができる。また、プロセスには、大面積での均一性を有することが可能であり低コスト化を図ることができる、スパッタ法をはじめとしたドライプロセスを利用することができる。
【0063】
(3)次世代の記録媒体と考えられるFePt系の垂直磁気記録媒体の記録密度を、本発明によれば、現在のハードディスクの記録密度に比べて1〜2桁向上させることができる。
【0064】
すなわち、通常、合成後のナノ粒子は結晶構造がfcc構造であり、大きな磁気異方性エネルギーを得るためには、プロセス温度を高温にしてfct構造を得る必要があるが、高温では通常、粒子の凝集が進行し10nm前後の粒子を得ることができない。しかし、本発明によれば、下地微結晶膜が高融点材料であるため、粒成長が起き難く10nm前後の結晶粒径を保持することができ、個々の下地結晶上にFePt系材料が成長することで、10nm前後のfct構造を有するナノ粒子を得ることができる。その場合、処理温度を200〜1600℃、特に、300〜800℃とするのが望ましい。
【0065】
(4)磁気記録媒体においては、ナノ粒子間の磁気的干渉の問題があるが、本発明によれば、ナノ粒子の面内数密度を下地微結晶膜の結晶数密度により、また、ナノ粒子の体積をFePt系材料の堆積量により、独立に制御できるため、ナノ粒子間の距離を数nmの適切な距離に制御することができる。これにより、ナノ粒子間の磁気干渉を抑制することができ、磁区サイズ、つまり1bitのサイズを小さく保つことが可能となる。
【0066】
(5)配向した下地微結晶膜とローカルエピタキシーさせることで、ナノ粒子の結晶のc軸の9割以上を基板と垂直方向に配向させることにより、高密度垂直磁気記録媒体を得ることができる。
【0067】
(6)磁気記録媒体への応用は一例であり、サイズ・間隔・配向というナノ粒子構造を、下地微結晶膜で制御させることで、構造制御の機能分担が可能となる。
【0068】
(7)高価な単結晶基板が必要な従来のエピタキシー法などに比べて、作製コストの大幅な低コスト化を図ることができる。
【0069】
(8)高度な構造制御(既存の非エピタキシーでは試行錯誤的なナノ結晶サイズ・数密度・間隔制御)を実施することができる。
【0070】
以下、本発明を実施するための最良の形態を述べる。
(1)基板上のナノ粒子デバイスの下地微結晶膜には、FePt(001)面とエピタキシャルになる面を、表面エネルギー最小の面にする材料が好ましい。そのためには、表面エネルギー最小の面、即ち最稠密面がFePt(001)面と同じく4回対称である、NaCl型結晶が好ましく、融点が高く安定な窒化膜がより好ましい。更に、FePtの(100)面でなく、(001)面が下地微結晶膜にエピタキシャル成長するためには、下地NaCl型結晶の格子定数xが、FePtの格子定数a,cに対し、c<a<x<1.1aの関係を有するTiNがより好ましい。
【0071】
(2)また、基板上のナノ粒子デバイスの下地微結晶膜には、表面エネルギー最小の面がFePtの(001)と同じく4回対称をし、融点が高い酸化物が好ましい。更に、FePtに対し、c<a<x<1.1aの格子定数の関係を示すMgOがより好ましい。
【0072】
(3)上記(1)および(2)でのTiN,MgOは、FePtの格子定数aに対し、9%強の格子不整合を有する。下地微結晶膜とFePtの間の格子定数を有する材料の微結晶膜(中間層)を挟み、FePt/中間層/下地微結晶膜間のローカルエピタキシーを作製すると、FePtナノ粒子の制御性をより高めることができる。例えば、fcc結晶のAg(0.4087nm)、Pt(0.3924nm)が候補材料になり、また、bcc結晶のFe(0.2867nm)も45°ずれると、0.4055nmの格子の働きをするため好ましい。
【0073】
更に、基板上のナノ粒子デバイスの下地微結晶膜には、高融点材料からなる金属膜を用いることもできる。
【0074】
(4)上記の下地微結晶膜上に適切な基板加熱条件下でFePt(またはCoPt)ナノ粒子を成長させる。また、成長したナノ粒子を適切にアニールする。即ち、基板加熱成膜、成膜後の加熱、基板加熱成膜とその後の加熱の全てを含むアニールを指している。
【実施例】
【0075】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0076】
図1は本発明の第1実施例を示すナノ粒子デバイスの製造工程図である。
【0077】
(1)まず、図1(a−1)(断面図)及び図1(a−2)(平面図)に示すように、Si基板ないしSiO膜付きSi基板1を用意する。なお、ガラス基板を用いると安価であり好ましい。
【0078】
(2)次に、図1(b−1)(断面図)及び図1(b−2)(平面図)に示すように、そのSiO膜付きSi基板1上に高融点材料、例えば、TiN材料からなる膜(下地膜)2をスパッタ法により成膜する。このとき用いる高融点材料、例えば、TiNは、室温付近でも数nmまでは成長するが、高温でも過度の粒成長をしないという特徴がある。また、このとき、表面エネルギーが最小となるように面外配向させ、面内は非配向とする。このように形成された膜(下地微結晶膜)2を下地膜とする。
【0079】
ここで、図2は下地膜2の配向の模式図であり、横軸にプロセス温度(成膜温度/融点)、縦軸に下地膜の厚さを示している。本発明では、図2(a)に示す平衡論支配の表面エネルギーが最小の配向を行う。すなわち、本発明での下地膜2の配向制御は、図2(a)に示すように、配向と表面が一致して平滑となるように表面エネルギー最小配向制御を行う。一方、図2(b)はevolutionary selection成長を示しており、つまり、速度論的に速い面が配向されるが、凹凸が形成されるので、本願発明の下地膜2の配向としては望ましくない。
【0080】
つまり、図2(a)に示すような配向を行うことで、下地膜2全体での凹凸を数nm以下に抑えることができる。
【0081】
下地膜2の材料としては、図1に示したTiN以外にも、図3に示すように、下地膜2がSiOに濡れる強い面外配向を有し、下地膜2の粒成長を抑制できる高融点材料、例えば、金属ではTi,Hf,Mo,Nb,Ta,V,W,Zr(図3の領域II)を用いることができる。
【0082】
また、ナノ粒子、例えば、FePt磁性体ナノ粒子が面外でc軸配向となるfct構造をとれるものを選定する。つまり、図4に示すように、4回対称の面を出す必要がある。因みに、代表的な結晶構造の最稠密面と対称性には、fcc(111)6回対称、bcc(110)2回対称、hcp(0001)6回対称があるが、これらはいずれもFePt磁性体ナノ粒子とは合わない。一方で、NaCl型のXY結晶では、最稠密面が(100)面であり、4回対称を有し、FePt磁性体ナノ粒子と合う。よって、NaCl型結晶である窒化物のTiN、VN、ZrN、NbN、HfN、TaN、ThN、酸化物のMgO、CaO、SrO、BaOを用いることができる。
【0083】
(3)次に、図1(c−1)(断面図)及び図1(c−2)(平面図)に示すように、ナノ粒子材料4、例えば、FePt磁性体材料を高温でスパッタ法により堆積させる。
【0084】
下地微結晶膜2とナノ粒子材料4の格子定数が合うように設計することで、ナノ粒子4を個々の下地微結晶膜2にローカルにエピタキシャル成長させることができる。これは微結晶間で面内配向が異なるために、ナノ粒子は複数の微結晶に跨がって育つのが困難になるので、下地微結晶上に一対一で育ち、微小反応場3内で平衡構造をとるからである。一方、下地微結晶は面外配向しているため、ナノ粒子も面外に配向する。
【0085】
すなわち、この方法によれば、安価なガラスも含めた任意の基板から出発し、目的材料とエピタキシャル成長できる微結晶膜を成長させ、その上に目的材料で、面外配向しサイズの制御されたナノ粒子を作製することができる。
【0086】
以下、具体的応用の一例として、垂直磁気記録媒体を挙げる。
【0087】
FePt合金を用い、下地として、図5に示すように金属窒化物としてのNaCl型のTiN,TaNを用いた。格子定数xが0.4242nmのTiNの場合、TiN−FePt:(001)//(001),(100)//(100)の格子不整合が+9.2%であり、TiNはc<a<x≒1.1aの関係を満たすため、下地として好ましい。また、図示していないが、BaOもx≒√2×aの関係を有し、45°ずれてエピタキシーできるため下地にすることができる。
【0088】
上記のように構成することにより、(1)fct結晶構造、(2)c軸配向、(3)10nm前後のナノ粒子サイズ、(4)ナノ粒子間が数nm離れる、(5)全体の凹凸を数nm以下に抑える、(6)大面積での均一性という効果を、本発明はスパッタ装置を用いることで、低コストで、かつ普及した装置で実現することが可能になる。
【0089】
以下に具体例を用いてこれらを示す。
【0090】
図6は下地膜上へ生成したFePt磁性ナノ粒子の生成の具体例を示す電子顕微鏡写真である。
【0091】
ここで、FP−SiO〔SiO/Si(100)上にFePt磁性ナノ粒子を生成した場合〕〔図6(a)参照〕はFePt堆積量が厚さ2nm相当で800℃での処理、同じくFP−SiO〔図6(d)参照〕はFePt堆積量が厚さ2nm相当で600℃での処理、FTN3〔TiN(002)/SiO/Si(100)上にFePt磁性ナノ粒子を生成した場合〕〔図6(b)参照〕はFePt堆積量が厚さ2nm相当で800℃での処理、同じくFTN3〔図6(e)参照〕はFePt堆積量が厚さ2nm相当で600℃での処理、LTN〔TiN(002)/Si(111)上にFePt磁性ナノ粒子を生成した場合〕〔図6(c)参照〕はFePt堆積量が厚さ2nm相当で800℃での処理を行ったものをそれぞれ示している。ただし、下地として高融点材料とFePtナノ粒子を用いるようにしたので、処理温度は200〜1600℃とすることができ、特に、300〜800℃とすることにより、良好なFePt磁性ナノ粒子を生成させることができる。
【0092】
FP−SiO〔図6(a)、図6(d)参照〕とFTN3〔図6(b)、図6(e)参照〕のFESEM(電界放射走査型電子顕微鏡)写真の結果から、TiNを用いた方が基板温度によらずFePtの数密度(下地TiN結晶子サイズに相当する数密度)が一定に制御できることが分かる。
【0093】
図7は熱酸化膜付きSi基板上に600℃にてTiN膜を13nm成膜し、その上にFePtを700℃にて膜厚換算1.4nm成膜した試料の断面の透過型電子顕微鏡像である。
【0094】
図7(a)から、粒径10nm前後のFePtナノ粒子が、高密度に、かつ間隔を持って形成されていることが分かる。図7(b)はその拡大像であり、図7(c)は更に結晶構造を解析した結果である。
【0095】
図7(c)からTiN下地微結晶は、10nm前後の結晶粒径を持ち、面外に(200)配向していることが分かる。その上のFePtは、fct構造を取り、多くの粒子が面外に(001)配向=c軸配向し、かつTiN下地微結晶一つにFePtナノ粒子が一つ乗っていることが分かる。
【0096】
図8はこの試料の磁気特性をSQUID(超伝導量子干渉計測器)で評価した結果を示す図である。ここで、実線が基板垂直方向の測定結果、破線が基板水平方向の測定結果である。この結果から、常温で、基板垂直方向に6.2kOeの、面内方向に0.8kOeの保磁力を有し、面外に強い磁気異方性を有することが分かった。この磁気特性を有する、10nm前後のFePtナノ粒子の高密度配列は、垂直磁気記録の有望な媒体であると言える。
【0097】
比較例として、TiN下地微結晶膜なしで、熱酸化膜付きSi基板上にFePtを700℃にて膜厚換算1.4nm成膜した試料の磁気特性をSQUID(超伝導量子干渉計測器)で評価した結果を、図9に示す。この図から明らかなように、面外、面内何れに対してもヒステリシスは観測されなかった。走査型電子顕微鏡による観察からSiO上ではFePtナノ粒子のサイズ制御が行えなかったことが分かっており、これは超常磁性を示したことが原因である。また、結晶配向に関してもX線回折から非配向であることが分かっており、もし仮に保磁力を有する10nm前後のナノ粒子が形成されたとしても、基板垂直方向に異方性を持たせることは本発明のTiN下地微結晶膜を用いずには不可能である。
【0098】
従来の技術の多くは、fct結晶構造を実現するために350〜800℃の高温にした場合、ナノ粒子の凝集が進み、10nm前後の粒子サイズを維持できない。
【0099】
本発明では、下地材料に高融点材料を用いることにより、下地微結晶膜の粒成長を抑制し、個々の微結晶上にナノ粒子を生成させることで、10nm前後の粒子サイズを維持することが可能となる。すなわち、ハードディスクに関しては、記録密度を現在のもの(100nm四方で1bit=10Gbit/cm)に比して100倍向上させるものであり、その他のナノデバイスに関しても強力な汎用的ナノ粒子を得ることができる。
【0100】
なお、本発明はFePt磁性体ナノ粒子と同様にCoPt磁性体ナノ粒子にも適用できる。
【0101】
特に、ハードディスクの垂直磁気記録媒体の必須条件として、(1)fct相(L1構造)、(2)c軸配向(面外もしくは面内)、(3)粒子あるいは結晶子サイズ3〜10nm、(4)界面の寄与が小さい構造(エラー防止)、(5)凹凸は数nm以下(磁気ヘッドによる読み書き)、(6)ナノ粒子配列が大面積で均一(インチ四方前後の記録面積)であることが必要であるが、本発明はこれらの条件を満足することができる。
【0102】
図10は本発明の第2実施例を示す積層型のナノ粒子デバイスの製造工程図である。
【0103】
まず、図1に示したと同様のプロセスを繰り返し用いる。
【0104】
(1)図10(a)に示すように、Si基板ないしSiO膜付きSi基板11を用意する。なお、ガラス基板を用いると安価であり好ましい。次に、そのSiO膜付きSi基板11上に高融点材料、例えば、TiN材料からなる膜(下地膜)12をスパッタ法により成膜する。このとき用いる高融点材料、例えば、TiNは、室温付近でも数nmまでは成長するが、高温でも過度の粒成長をしないという特徴がある。また、このとき、表面エネルギーが最小となるように面外配向させ、面内は非配向とする。このように形成された膜(下地微結晶膜)12を下地膜とする。
【0105】
(2)次に、図10(b)に示すように、ナノ粒子材料13、例えば、FePt磁性体材料を高温でスパッタ法により堆積させる。
【0106】
下地微結晶膜12とナノ粒子材料13の格子定数が合うように設計することで、ナノ粒子13を個々の下地微結晶膜12にローカルにエピタキシャル成長させることができる。これは微結晶間で面内配向が異なるために、ナノ粒子は複数の微結晶に跨がって育つのが困難になるので、下地微結晶上に一対一で育ち、微小反応場内で平衡構造をとるからである。一方、下地微結晶は面外配向しているため、ナノ粒子も面外に配向する。
【0107】
すなわち、この方法によれば、安価なガラスも含めた任意の基板から出発し、目的材料とエピタキシャル成長できる微結晶膜を成長させ、その上に目的材料で、面外配向しサイズの制御されたナノ粒子を作製することができる。
【0108】
(3)次に、その上に、図10(c)に示すように、下地微結晶膜12をスパッタ法により成膜する〔図10(a)と同様のプロセス〕。
【0109】
(4)次に、図10(d)に示すように、下地微結晶膜12上にナノ粒子材料13、例えば、FePt磁性体材料を高温でスパッタ法により堆積させる。それを順次繰り返す。
【0110】
このように、基板上に、下地微結晶膜の鋳型結晶を非エピタキシャル成長させてナノ粒子の鋳型を作製し、その上に基板の垂直方向にナノ粒子/下地微結晶膜を交互に堆積しローカルエピタキシャル成長を繰り返す。
【0111】
このように構成することにより、サイズ・数密度・間隔・配向が制御された、ナノ粒子の縦方向の充填物を形成することができる。これにより、磁気記録媒体として用いる場合は、垂直方向にナノ粒子の体積を稼ぐことができ、熱揺らぎ等による磁気エラーを抑制することができる。
【0112】
図11は熱酸化膜付きSi基板上にTiN下地微結晶膜を、その上にFePtナノ粒子を、更にその上にTiN下地微結晶膜を形成した試料の断面の透過型電子顕微鏡写真である。TiN下地微結晶膜の個々の結晶粒の上に、FePtナノ粒子とTiN下地微結晶膜がローカルエピタキシーしている様子が確認される。TiN下地微結晶膜と同じ構造がFePt上にも実現されており、以下同様にFePt、TiNを順次供給することで、c軸配向・面内サイズ10nm前後のサイズを保ったまま、FePtナノ粒子を積層できることが分かる。
【0113】
図12は本発明の第3実施例を示す縦長のFePtナノ粒子からなるナノ粒子デバイスの製造工程図である。
【0114】
(1)図12(a)に示すように、Si基板ないしSiO膜付きSi基板21を用意する。なお、ガラス基板を用いると安価であり好ましい。次に、そのSiO膜付きSi基板21上に高融点材料、例えば、TiN材料からなる膜(下地膜)22をスパッタ法により成膜する。このとき用いる高融点材料、例えば、TiNは、室温付近でも数nmまでは成長するが、高温でも過度の粒成長をしないという特徴がある。また、このとき、表面エネルギーが最小となるように面外配向させ、面内は非配向とする。このように形成された膜(下地微結晶膜)22を下地膜とする。
【0115】
(2)次に、図12(b)に示すように、ナノ粒子材料23、例えば、FePt磁性体材料を高温でスパッタ法により堆積させる。
【0116】
下地微結晶膜22とナノ粒子材料23の格子定数が合うように設計することで、ナノ粒子23を個々の下地微結晶膜22にローカルにエピタキシャル成長させることができる。これは微結晶間で面内配向が異なるために、ナノ粒子は複数の微結晶に跨がって育つのが困難になるので、下地微結晶上に一対一で育ち、微小反応場内で平衡構造をとるからである。一方、下地微結晶は面外配向しているため、ナノ粒子も面外に配向する。
【0117】
すなわち、この方法によれば、安価なガラスも含めた任意の基板から出発し、目的材料とエピタキシャル成長できる微結晶膜を成長させ、その上に目的材料で、面外配向しサイズの制御されたナノ粒子を作製することができる。
【0118】
(3)次に、その上に、図12(c)に示すように、下地微結晶膜22をスパッタ法により成膜する〔図12(a)と同様のプロセス〕が、この際、下地微結晶22の堆積量を小さくすることで、下地微結晶22とナノ粒子23がローカルエピタキシーしつつも、ナノ粒子23の表面が出た構造を作ることができる。
【0119】
(4)次に、図12(d)に示すように、ナノ粒子材料23と下地微結晶膜材料22を順次高温でスパッタ法により堆積させると、ナノ粒子材料23はナノ粒子の上に、下地微結晶材料22は下地微結晶の上に育ち、縦長のナノ粒子材料23を得ることができる。
【0120】
このように、基板上に、下地微結晶膜の鋳型結晶を非エピタキシャル成長させてナノ粒子の鋳型を作製し、その上に基板の垂直方向にナノ粒子/下地微結晶膜を交互に堆積しローカルエピタキシャル成長を繰り返す。なお、ナノ粒子/下地微結晶を同時に堆積させ、自発的に相分離をさせても良い。
【0121】
このように構成することにより、サイズ・数密度・間隔・配向が制御された、縦長に成長したナノ粒子を形成することができる。これにより、磁気記録媒体として用いる場合は、垂直方向にナノ粒子の体積を稼ぐことができ、熱揺らぎ等による磁気エラーを抑制することができる。
【0122】
図13は本発明の第4実施例を示す縦長のナノ粒子からなるナノ粒子デバイスの製造工程図である。
【0123】
まず、図1に示したと同様のプロセスを用いる。
【0124】
(1)図13(a)に示すように、Si基板ないしSiO膜付きSi基板31を用意する。なお、ガラス基板を用いると安価であり好ましい。次に、そのSiO膜付きSi基板31上に高融点材料、例えば、TiN材料からなる膜(下地膜)32をスパッタ法により成膜する。このとき用いる高融点材料、例えば、TiNは、室温付近でも数nmまでは成長するが、高温でも過度の粒成長をしないという特徴がある。また、このとき、表面エネルギーが最小となるように面外配向させ、面内は非配向とする。このように形成された膜(下地微結晶膜)32を下地膜とする。
【0125】
(2)次に、図13(b)に示すように、ナノ粒子材料33、例えば、FePt磁性体材料を高温でスパッタ法により堆積させる。
【0126】
下地微結晶膜32とナノ粒子材料33の格子定数が合うように設計することで、ナノ粒子材料33を個々の下地微結晶膜32にローカルにエピタキシャル成長させることができる。これは微結晶間で面内配向が異なるために、ナノ粒子は複数の微結晶に跨がって育つのが困難になるので、下地微結晶上に一対一で育ち、微小反応場内で平衡構造をとるからである。一方、下地微結晶は面外配向しているため、ナノ粒子も面外に配向する。
【0127】
(3)次に、その上に、図13(c)に示すように、ナノ粒子の成分と異なる材料である打ち粉(例えば、非結晶材料や金属・合金材料)34を堆積する。ここで、打ち粉34としてはC、N、O、Al、Siの何れか、もしくは複数を含む非晶質材料や、Ti、Fe、Co、Cr、Pt等を含む金属・合金材料が適している。これらの材料は、鋳型多結晶膜の結晶粒界に選択的に移動する利点がある。
【0128】
(4)次に、その上に、図13(d)に示すように、ナノ粒子材料33、例えば、FePt磁性体材料を高温でスパッタ法により堆積させる。それを順次繰り返す。なお、ナノ粒子材料33と打ち粉34を同時に堆積させても良い。
【0129】
このように、相分離を起こすナノ粒子の成分と異なる材料である打ち粉を堆積させることにより、ナノ粒子間を打ち粉で埋めることができ、ナノ粒子同士が面内方向に融合することなく、基板垂直方向に成長させることができる。
【0130】
このように、下地微結晶膜を非エピタキシャル成長により作製するので、任意基板が利用可能である。さらに、特定の結晶層の上に下地微結晶層を作製したい場合にも、薄い非晶質材料を堆積し、その上に、下地微結晶層を作製することで、特定の結晶層の結晶構造に影響されず、任意に下地微結晶層を作製することができる。下地微結晶層は、面内に非配向なため、その上の目的のナノ粒子は複数の下地微結晶に跨がって成長するのが困難で、下地微結晶に対して一対一でローカルエピタキシャル成長する。即ち、下地微結晶の結晶子数密度により目的のナノ粒子の数密度を、下地微結晶の面外配向により目的のナノ粒子の面外配向を制御できる。その上で目的のナノ粒子の堆積量を調整することで、個々のナノ粒子のサイズ、ならびに相互間隔を制御できる。さらに、ナノ粒子間を打ち粉で埋めることにより、ナノ粒子同士の融合を防ぎ、ナノ粒子材料と打ち粉の堆積を続けることで、ナノ粒子を基板垂直方向に成長させ続けることができる。このように、ナノ粒子の高い面密度を実現しつつ、個々のナノ粒子の体積を増やすという、一見相反する要求を満足することができる。
【0131】
また、上記薄膜構造の作製は、スパッタ法等の既存の多くの堆積法が利用でき、大面積での均一性や低コスト化には問題がない。
【0132】
上記実施例では、FePtナノ粒子/TiN下地微結晶膜/基板の構造を有するナノ粒子デバイスについて述べたが、以下のように構成することもできる。
【0133】
図14は本発明の第5実施例を示すナノ粒子デバイスの構造を示す模式図であり、この図に示すように、上記したFePtナノ粒子とTiN下地微結晶膜との間に別の膜(微結晶膜)が挟まった構造であってもよい。例えば、FePtナノ粒子44/Fe微結晶膜43/TiN下地微結晶膜42/SiO膜付きSi基板41とすることができる。
【0134】
図15は本発明の第6実施例を示す積層構造FePナノ粒子を有するナノ粒子デバイスの構造を示す模式図であり、この図に示すように、積層構造としては、2層目からの微結晶は、最初の下地微結晶膜(TiN)とは必ずしも同じ材料でなくともよい。例えば、Fe微結晶膜54/FePtナノ粒子53/Fe微結晶膜54/FePtナノ粒子53/TiN下地微結晶膜52/SiO膜付きSi基板51とすることができる。
【0135】
図16は本発明の第7実施例を示す縦長のFePナノ粒子を有するナノ粒子デバイスの構造を示す模式図であり、この図に示すように、ナノ粒子にローカルエピタキシーする微結晶としては、最初の下地微結晶膜(TiN)とは必ずしも同じ材料でなくともよい。例えば、Fe微結晶64/FePtナノ粒子63/TiN下地微結晶膜62/SiO膜付きSi基板61とすることができる。
【0136】
なお、上記実施例(図14および図15、および図16とその説明)では、Fe微結晶としたが、これに限定するものではなく、Fe以外の微結晶であってもよい。
【0137】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明は下記の点にも及ぶものである。
【0138】
〔A〕ナノ粒子デバイスにおいて、単層ないし多層基板と、この基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーしたナノ粒子とを具備する。
【0139】
〔B〕ナノ粒子デバイスにおいて、単層ないし多層基板と、この基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーしたナノ粒子と、前記基板の垂直方向に前記下地微結晶膜とナノ粒子を繰り返し形成した積層ナノ粒子を具備する。
【0140】
〔C〕ナノ粒子デバイスにおいて、単層ないし多層基板と、この基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした縦長のナノ粒子と、前記ナノ粒子を取り囲むように、ナノ粒子に個々にローカルエピタキシーした微結晶材料を具備する。
【0141】
〔D〕ナノ粒子デバイスにおいて、単層ないし多層基板と、この基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした縦長のナノ粒子と、前記ナノ粒子間を埋める、前記ナノ粒子と成分の異なる材料を打ち粉として具備する。
【0142】
〔E〕前記多層基板は磁性制御層又は構造制御層の何れか又は双方からなり、その構造制御層は下地微結晶とエピタキシャルでない層である。
【0143】
前記下地微結晶とエピタキシャルでない層は非晶質または金属・合金であり、その金属・合金はTi、Fe,Co,Cr、Ptなどであり、その非晶質は、C、N、O、Al、Siの何れか、もしくは複数を含む物質である。
【0144】
前記下地微結晶膜とエピタキシャルでない層は格子ミスマッチの大きい結晶である。また、前記下地微結晶とエピタキシャルでない層は表面の構造が乱れた結晶である。
【0145】
〔F〕前記下地微結晶膜は高融点材料であり、その高融点材料はNaCl型結晶である。そのNaCl型結晶は窒化物であり、その窒化物はTiN、VN、ZrN、NbN、HfN、TaN、ThNである。
【0146】
また、前記NaCl型結晶は酸化物であり、その酸化物はMgO、CaO、SrO、BaOである。
【0147】
さらに、前記高融点材料はTi、V、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wからなる。
【0148】
〔G〕前記ナノ粒子は磁気記録材料であり、その磁気記録材料はL1構造を有する合金である。また、そのL1構造を有する合金はfct遷移金属/貴金属合金であり、そのfct遷移金属/貴金属合金はFePt、CoPtである。
【0149】
〔H〕ナノ粒子デバイスの製造方法において、単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、この下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成することを特徴とする。
【0150】
〔I〕ナノ粒子デバイスの製造方法において、単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、この下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成し、その上に基板垂直方向に前記ナノ粒子材料/前記下地材料を含むナノ粒子材料と格子定数の適合する材料を交互に堆積しローカルにエピタキシャル成長させ、ナノ粒子を積層する。
【0151】
〔J〕ナノ粒子デバイスの製造方法において、単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、この下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成し、前記下地材料を含むナノ粒子と成分が異なり格子定数が適合する材料を堆積し、前記ナノ粒子の個々にローカルエピタキシーするよう偏析させ、前記ナノ粒子材料および前記下地材料を含むナノ粒子と成分が異なり格子定数が適合する材料を同時もしくは交互に堆積することで、ナノ粒子を基板垂直方向に成長させる。
【0152】
〔K〕ナノ粒子デバイスの製造方法において、単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、この下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成し、非結晶材料を打ち粉として堆積し、前記ナノ粒子の間に偏析させ、前記ナノ粒子材料および前記ナノ粒子と成分の異なる材料を同時もしくは交互に堆積することで、ナノ粒子を基板垂直方向に成長させる。
【0153】
〔L〕前記下地微結晶膜は粒成長を抑え、表面エネルギー最小、化学エッチング速度最小、プラズマ照射損傷最小、応力最小、成長速度最大の何れかで面外配向させる。
【0154】
〔M〕前記ナノ粒子はFePt、またはCoPtを主成分とした磁性体ナノ粒子である。
【0155】
〔N〕上記ナノ粒子デバイスの製造方法において、200〜1600℃の基板加熱の下でスパッタ成膜することで、ローカルにエピタキシャル成長を行わせる。
【0156】
〔O〕前記ナノ粒子デバイスの製造方法において、下地微結晶膜を作製した後、大気暴露なしにFePtないしCoPtを堆積することにより、ローカルにエピタキシャル成長を行わせる。
【0157】
〔P〕前記ナノ粒子デバイスの製造方法において、基板上に下地微結晶膜を作製させた後、FePt又はCoPtを堆積させ、その後200〜1600℃にてアニールを行ない、ローカルにエピタキシャル成長を行わせる。
【0158】
〔Q〕前記ナノ粒子デバイスの製造方法において、下地微結晶膜を作製させた後、大気暴露なしにFePtないしCoPtを堆積させた後、アニールすることでローカルにエピタキシャル成長を行わせる。
【0159】
〔R〕前記ナノ粒子の結晶構造がfct構造をなし、前記ナノ粒子の結晶のc軸の9割以上が下地微結晶膜と垂直方向に配向する。
【0160】
なお、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明のナノ粒子デバイス及びナノ粒子デバイスの製造方法は、プロセス自体がドライプロセスであり、半導体の量子ドットデバイスなどのナノ粒子を有する微小電子デバイスなどへの展開ができ、特に、高密度配列が不可欠なハードディスク垂直磁気記録媒体に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)単層ないし多層基板と、
(b)該基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、
(c)前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーしたナノ粒子とを具備することを特徴とするナノ粒子デバイス。
【請求項2】
(a)単層ないし多層基板と、
(b)該基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、
(c)該下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした微結晶からなる微結晶膜と、
(d)該微結晶膜の個々の微結晶に個々にローカルエピタキシーしたナノ粒子とを具備することを特徴とするナノ粒子デバイス。
【請求項3】
(a)単層ないし多層基板と、
(b)該基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、
(c)前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーしたナノ粒子と、
(d)前記ナノ粒子に個々にローカルエピタキシーした微結晶膜と、
(e)前記基板の垂直方向に前記ナノ粒子と前記微結晶膜が繰り返しローカルエピタキシーした積層ナノ粒子を具備することを特徴とするナノ粒子デバイス。
【請求項4】
(a)単層ないし多層基板と、
(b)該基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、
(c)前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした縦長のナノ粒子と、
(d)前記ナノ粒子を取り囲むように、ナノ粒子に個々にローカルエピタキシーした微結晶材料を具備することを特徴とするナノ粒子デバイス。
【請求項5】
(a)単層ないし多層基板と、
(b)該基板上に堆積される面内非配向かつ面外配向した下地微結晶膜と、
(c)前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした縦長のナノ粒子と、
(d)前記ナノ粒子間を埋める、前記ナノ粒子と成分の異なる材料を打ち粉として具備することを特徴とするナノ粒子デバイス。
【請求項6】
請求項3、4又は5記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記下地微結晶膜と前記ナノ粒子の間に挟まれた下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした微結晶からなる微結晶膜を具備することを特徴とするナノ粒子デバイス。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記多層基板は磁性制御層又は構造制御層の何れか又は双方からなるナノ粒子デバイス。
【請求項8】
請求項7記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記構造制御層は下地微結晶とエピタキシャルでない層であるナノ粒子デバイス。
【請求項9】
請求項8記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記下地微結晶とエピタキシャルでない層は非晶質であるナノ粒子デバイス。
【請求項10】
請求項9記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記非晶質は、C、N、O、Al、Siの何れか、もしくは複数を含む物質であるナノ粒子デバイス。
【請求項11】
請求項8記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記下地微結晶とエピタキシャルでない層は格子ミスマッチの大きい結晶であるナノ粒子デバイス。
【請求項12】
請求項8記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記下地微結晶とエピタキシャルでない層は表面の構造が乱れた結晶であるナノ粒子デバイス。
【請求項13】
請求項1から6の何れか一項記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記下地微結晶膜は高融点材料であるナノ粒子デバイス。
【請求項14】
請求項13記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記高融点材料がNaCl型結晶であるナノ粒子デバイス。
【請求項15】
請求項14記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記NaCl型結晶は窒化物であるナノ粒子デバイス。
【請求項16】
請求項15記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記窒化物はTiN、VN、ZrN、NbN、HfN、TaN、ThNであるナノ粒子デバイス。
【請求項17】
請求項13記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記NaCl型結晶は酸化物であるナノ粒子デバイス。
【請求項18】
請求項17記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記酸化物はMgO、CaO、SrO、BaOであるナノ粒子デバイス。
【請求項19】
請求項13記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記高融点材料がTi、V、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wからなるナノ粒子デバイス。
【請求項20】
請求項1から6の何れか一項記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記ナノ粒子は磁気記録材料であるナノ粒子デバイス。
【請求項21】
請求項20記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記磁気記録材料はL1構造を有する合金であるナノ粒子デバイス。
【請求項22】
請求項21記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記L1構造を有する合金はfct遷移金属/貴金属合金であるナノ粒子デバイス。
【請求項23】
請求項22記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記fct遷移金属/貴金属合金はFePt、CoPtであるナノ粒子デバイス。
【請求項24】
請求項3又は4記載のナノ粒子に個々にローカルエピタキシーした微結晶が、Ti、Fe、Co、Cr、Ag、Ptなどを含む金属・合金材料であることを特徴とするナノ粒子デバイス。
【請求項25】
請求項5記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記ナノ粒子の成分と異なる材料がC、N、O、Al、Siの何れか、もしくは複数を含む非結晶材料であることを特徴とするナノ粒子デバイス。
【請求項26】
請求項5記載のナノ粒子デバイスにおいて、前記ナノ粒子の成分と異なる材料がTi、Fe、Co、Cr、Ag、Ptなどを含む金属・合金材料であることを特徴とするナノ粒子デバイス。
【請求項27】
(a)単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、
(b)該下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成することを特徴とするナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項28】
(a)単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、
(b)該下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成し、
(c)その上に基板垂直方向に前記ナノ粒子材料/前記下地材料を含むナノ粒子材料と格子定数の適合する材料を交互に堆積しローカルにエピタキシャル成長させ、ナノ粒子を積層することを特徴とするナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項29】
(a)単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、
(b)該下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成し、
(c)前記下地材料を含むナノ粒子と成分が異なり格子定数が適合する材料を堆積し、前記ナノ粒子の個々にローカルエピタキシーするよう偏析させ、
(d)前記ナノ粒子材料および前記下地材料を含むナノ粒子と成分が異なり格子定数が適合する材料を同時もしくは交互に堆積することで、ナノ粒子を基板垂直方向に成長させることを特徴とするナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項30】
(a)単層ないし多層基板上に非エピタキシャル成長により面内非配向・面外配向した下地微結晶膜を形成し、
(b)該下地微結晶膜の材料とナノ粒子材料の格子定数を適合させ、前記下地微結晶膜の個々の下地微結晶の表面を微小空間として用い、前記下地微結晶にローカルにエピタキシャル成長させ、前記微小空間毎にナノ粒子を生成し、
(c)前記ナノ粒子と成分の異なる材料を打ち粉として堆積し、前記ナノ粒子の間に偏析させ、
(d)前記ナノ粒子材料および前記ナノ粒子と成分の異なる材料を同時もしくは交互に堆積することで、ナノ粒子を基板垂直方向に成長させることを特徴とするナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項31】
請求項27〜30の何れか一項記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、前記(a)工程と(b)工程との間に下地微結晶膜の個々の下地微結晶に個々にローカルエピタキシーした微結晶からなる微結晶膜を形成する工程を施すことを特徴とするナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項32】
請求項27〜31の何れか一項記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、前記下地微結晶膜は粒成長を抑え、
(a)表面エネルギー最小
(b)化学エッチング速度最小
(c)プラズマ照射損傷最小
(d)応力最小
(e)成長速度最大
の何れかで面外配向させるナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項33】
請求項27〜32の何れか一項記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、前記ナノ粒子がFePtを主成分とした磁性体ナノ粒子であるナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項34】
請求項27〜32の何れか一項記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、前記ナノ粒子がCoPtを主成分とした磁性体ナノ粒子であるナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項35】
請求項33又は34記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、200〜1600℃の基板加熱の下でローカルにエピタキシャル成長を行わせるナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項36】
請求項35記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、下地微結晶膜を作製させた後、大気暴露なしにFePtないしCoPtを堆積することにより、ローカルにエピタキシャル成長を行わせるナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項37】
請求項33又は34記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、下地微結晶膜を基板上に堆積させ、その後FePt又はCoPtを堆積させ、その後200〜1600℃にてアニールを行い、ローカルにエピタキシャル成長を行わせるナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項38】
請求項37記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、下地微結晶膜を作製させた後、大気暴露なしにFePtないしCoPtを堆積させ、その後アニールすることでローカルにエピタキシャル成長を行わせるナノ粒子デバイスの製造方法。
【請求項39】
請求項27〜38の何れか一項に記載のナノ粒子デバイスの製造方法において、前記ナノ粒子の結晶構造がfct構造をなし、前記ナノ粒子の結晶のc軸の9割以上が下地微結晶膜と垂直方向に配向するナノ粒子デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【国際公開番号】WO2005/022565
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513452(P2005−513452)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012261
【国際出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】