説明

ナノ粒子被覆カプセルからの薬物放出

活性物質を制御放出する製剤の製造方法を開示しており、該方法は、活性物質を含む不連続相を、前記不連続相の小滴を含む2相液体系を形成するように、連続相中に分散させるステップ、及び前記2相液体系に供給されたナノ粒子をその相界面に集合させ、それによって、該小滴の表面を少なくとも1層の前記ナノ粒子でコーティングするステップを含む。前記方法は、前記小滴の表面のナノ粒子のコーティングが、前記活性物質に対して半透性バリアを与えるように、前記ナノ粒子の集合を高めるのに適切な電解質を任意の濃度で利用するか、又は不連続相における前記活性物質の溶解限度を上回る量で前記活性物質を利用する。皮膚送達用の活性物質としてビタミンA(レチノール)を含む製剤が具体的に例示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子内での物質のカプセル化、及び、特にナノ粒子による、活性物質を含むことができる液滴又は脂質小胞のカプセル化(即ち、リポソーム類)に関する。
【0002】
(参照による一体化)
本特許出願は、
名称が、「ナノ粒子被覆カプセルからの薬物放出(Drug release from Nanoparticle-coated capsules)」であり、2006年5月4日に出願されたオーストラリア国特許出願公開第2006902311号明細書、及び
名称が、「ナノ粒子被覆カプセルからの薬物放出(Drug release from Nanoparticle-coated capsules)(2)」であり、2006年12月7日に出願されたオーストラリア国特許出願公開第2006906840号明細書
による優先権を主張するものである。
さらに、本明細書には次の特許出願:
国際特許出願PCT/AU2006/000771(国際公開第2006/130904号パンフレット)
を参照する。全てのこれらの出願の全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
新たな形態の薬剤化合物及び殺虫剤等の活性物質の開発並びに既存成分の有効性を増大したいという要求は、成分をそれらの適切な標的に送達する新規で効果的な方法を開発する必要性を生じている。例えば、多くの潜在的に有用な活性物質が、不適切な製剤設計のために商品化されていないようである。多くの場合、その活性物質を送達可能な形態に製剤化できないのは、単純に溶解性の問題のためであり得る。
【0004】
エマルジョン及びリポソームは、薬剤化合物、化粧品、殺虫剤、食料品及び栄養補助食品等の活性物質を標的領域に運搬するために使用することができる媒体である。エマルジョンは、2つの非混和液からなる分散系であり、その一方が連続相中に小滴として分散している(分散相又は不連続相)。その分散している小滴は適当に可溶性の成分、例えば薬剤化合物又は殺虫剤などの活性物質を構成するか含むことができ、その分散した小滴は、それによって送達媒体として作用する。その乳化した小滴が油滴である場合、そのエマルジョンは、両親媒性又は親油性の活性物質を可溶化又は複合体化することができ、一方、その乳化した小滴が水性である場合は、水溶性活性物質を閉じ込めることができる。
【0005】
リポソーム又は小胞は、リン脂質を用いて通常は構築されており、1又はいくつかのリン脂質二重層が水性液体コアを取り巻く2層構造からなる別のタイプの送達媒体である。リポソームを用いるほとんどの薬学研究は、水性液体コア中に閉じ込められる水溶性薬剤化合物に集中している。
【0006】
ほとんどのエマルジョン及びリポソームは、活性物質の送達のための媒体として有用ではあるが、それらが熱力学的に不安定であることによって制限され、一般に、時間とともに融合し、最終的には2つの異なった液相に分離し得る(エマルジョン)か、さもなければ劣化してその液体コアを周囲の媒質中に放出する(リポソーム)。この不安定性は、獣医学及び薬学用途においては媒体が媒体構造に厳しい変形を加え得る状況下(例えば、塩(電解質)の増加又はpHの変動)で使用されるために、増幅される。活性物質を含む媒体の劣化は、送達システムを策定するのにかなりの時間と労力が費やされるために望ましくない。獣医学、医薬品及び栄養補給食品産業においては特に、媒体安定性に障害がある場合、活性物質の生物学的利用能が影響される可能性がある。カプセル化技術は、一般に、保護コーティング中のコア物質を使用時間までカプセル化することに関する。そのコア物質は、油若しくは水等の液体であることができ、又はそれは固体若しくは結晶であり得る。液体をカプセル化すると、前記カプセル化した液体コアの別の液体中での分散を通常は容易にする。カプセル化した油又は水の小滴は、活性物質の送達及び/又は保護が必要である産業、例えば、化粧品及び医薬品産業等において特に有用である。水性媒体中に不溶性である活性物質例えば薬剤化合物等は、それが溶解する液体中にカプセル化することができる。そのカプセルは、次に、それがさもなければ相容性が無かったかもしれない媒体中(例えば体液等)に分散させることができる。
【0007】
リポソームの粒子の安定化はあまり知られていない。既知の粒子安定化エマルジョン(カプセル)の問題点は、そのカプセルの長期間にわたる安定性が、依然として劣ることである。これは、カプセルを長距離の間を輸送するのが困難であること及びカプセルを、時間を遅らせて使用するために保存するのが困難であることを意味する。カプセルが劣化するとカプセル内の活性物質(例えば薬剤化合物又は殺虫剤)は、浸出することができ、又は無制限に放出される可能性がある。カプセル化プロセスの1つの目的は健康な細胞を薬物の毒性から保護し、薬物が脆弱な組織(例えば、腎臓及び肝臓)中で濃縮するのを防ぐことであるので、この浸出又は無制限の放出は、老化カプセルが、例えば体内での特定薬剤の送達に使用されるとき、より深刻な問題を引き起こす可能性がある。
【0008】
既存の粒子安定化媒体(カプセル)製剤は、そのカプセルが液体懸濁液として体に送達され得るように液体中に通常は分散している。これらの液体製剤は通常、液体の比率に対して活性物質含量が低く、さらに、深刻な感染又は損傷の原因となり得る液体中での微生物増殖の危険がある。
【0009】
さらなる問題は、カプセルが癒着して、増大した直径を有するカプセルが形成されることである。大きいカプセルほど時間が経つと不安定であり、大きいカプセルはカプセルの直径が受け入れられないいくつかの領域例えば体内の毛細血管等に送達することができない。これに加えて、活性物質放出特性は界面の表面積と相関関係がある。それ故、活性物質の放出特性を維持するためにカプセルの粒度は一定のままであることが重要である。
【0010】
それにより、上で述べた送達システムに関連する問題の少なくともいくつかを排除する活性物質の送達及び/又は保存のための改良された媒体が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、浸出及び融合に対して比較的安定であり、制御された形での活性物質の放出を可能にするカプセル化した小滴を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様において、本発明は、活性物質のための制御放出製剤を製造する方法であって、前記方法は、
(i)活性物質を含む不連続相を連続相中に分散させて、各々表面に相界面を有する小滴を前記不連続相に含む2相液系を形成するステップ、及び
(ii)前記2相液系に供給されたナノ粒子を前記相界面に集合させ、それによって、前記小滴の表面を少なくとも1層の前記ナノ粒子でコーティングするステップ
を含み、
ステップ(ii)の前記ナノ粒子の集合を増進する適切な電解質を、任意の濃度で有するように前記2相液系を形成又は調節し、その結果、少なくとも1つの前記ナノ粒子の層によって提供される、前記小滴の表面の前記コーティングが、前記活性物質に対して半透性バリアを与える方法を提供する。
【0013】
好ましくは、該不連続相は油性媒体又は脂質媒体であり、該連続相は水性である。別法では、該不連続相が、水性である。
【0014】
さらに、該不連続相は、水性であり得、単一又は複数の脂質二重層により包囲されている各小滴(即ち、リポソームを形成)及び該連続相も又水性である。
【0015】
活性物質は、栄養補助食品材料、化粧品材料(日焼け止めを含む)、殺虫剤化合物、農薬及び食料品から選択することができる。しかしながら、好ましくは、該活性物質は、薬剤化合物から選択される。
【0016】
不連続相が油性媒体又は脂質媒体である場合、本発明は、親油性薬剤化合物用の制御放出製剤(さもなければ、難溶性薬剤)の製造に特に適する。
【0017】
活性物質は、不連続相中に、0.01〜10重量%の範囲の濃度で一般的には存在するが、存在する実際の量は、例えば、特定の活性物質の溶解性にかなり依存して変動し得ることが明らかに認められている(その特定の活性物質の溶解性は、不連続相中の乳化剤の存在によって増加が可能であることに注意)。
【0018】
前記ナノ粒子は、親水性又は疎水性であり得る。1つの好ましい実施形態において、小滴は、親水性又は疎水性ナノ粒子の単一の層又は複数の層により被覆される。しかしながら、別の好ましい実施形態においては、小滴は、疎水性ナノ粒子を含んでなる内層及び親水性ナノ粒子を含んでなる外層による、少なくとも2つのナノ粒子の層により被覆される。
【0019】
好ましくは、前記ナノ粒子は、5〜2000nm、より好ましくは、20〜80nm、最も好ましくは約50nmの平均直径を有する。又、そのナノ粒子の粒径は、カプセルの粒径(即ち、カプセル化した小滴の粒径)との比率が1:15を超えないようなものであることが好ましい。
【0020】
前記ナノ粒子はシリカのナノ粒子であることが好ましいが、その他の物質からなるナノ粒子(例えば、チタニア及びラテックス)もまた適切である。
【0021】
場合によっては、エマルジョンを安定化させるためにナノ粒子の集合に先立って、乳化剤を使用することができる。好適な乳化剤としては、レシチン、オレイルアミン、デオキシコール酸ナトリウム、1,2−ジステアリル−sn−グリセロ−3−ホスファチジル−エタノールアミン−N、ステアリルアミン、アミノ酸(例えば、リシン、フェニルアラニン又はグルタミン酸)及び1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパンが挙げられる。しかしながら、一般的に、約12未満のHLB(親水性親油性バランス)値を有する任意の乳化剤を使用することができる。一方で、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等の親水性乳化剤は、これらが、高濃度で存在するとき、連続相中に容易に移動することができ、そこでそれらは小滴及びナノ粒子の両方を被覆することができ、それによってナノ粒子の集合を阻止するために適切ではない。
【0022】
好ましい乳化剤は、レシチン(これは小滴にマイナスの電荷を与える)及びオレイルアミン(これは小滴にプラスの電荷を与える)である。
【0023】
該乳化剤は、一般的にはエマルジョンの0.0001〜100重量%の範囲、より好ましくはエマルジョンの0.005〜50重量%の範囲、最も好ましくは0.01〜1重量%の範囲の量で供給される。
【0024】
2相の液系は、ステップ(ii)のナノ粒子集合を増進する適切な電解質を任意の濃度で有するように形成又は調節し、その結果、前記小滴の前記表面のコーティング(即ち、少なくとも1つの前記ナノ粒子の層によって提供されたコーティング)は、該活性物質に対して半透性バリアを与える。「半透性バリア」とは、活性物質が抑制された形、特に持続した形で放出されるように、そのコーティングにより、カプセル化された小滴の内部からの前記活性物質の拡散が大幅に遅延されることと理解すべきである。好ましくは、ナノコーティングによって与えられるその半透性バリアは、活性物質のカプセル化された小滴内部からの拡散を、試験媒体(例えば、MilliQ水)中に入れて2時間後、カプセル化された小滴の活性物質含量の少なくとも25%が、そのカプセル化された小滴内に保持されている(即ち、試験媒体中に放出されるのは活性物質含量の75%以下である)ように遅延させる。より好ましくは、その半透性バリアは、試験媒体中に入れられた2時間後に、活性物質の少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも45%が、カプセル化された小滴中に保持されているように、カプセル化した小滴の活性物質含量の拡散を遅延させる。
【0025】
該2相液系は、ステップ(ii)の前に、ステップ(ii)のナノ粒子の集合を増進する好適な電解質の濃度を有するように前記好適な電解質の量を追加するか除去することによって調節することができる。しかしながら、その2相液系が必要な濃度の好適な電解質を有するように形成されると好都合である。例えば、その2相液系は、不連続相を前記濃度の好適な電解質を含む連続相中に分散させることによって形成させることができる。
【0026】
電解質の前記濃度は、一般的には少なくとも5×10−4M、好ましくは少なくとも10−3Mである。より好ましくは、電解質の濃度は、5×10−4〜5×10−1Mの範囲内である。最も好ましくは、電解質の濃度は、1×10−3〜1×10−1Mの範囲である。しかし、電解質の濃度がこれより低くても十分な場合がある(例えば、1×10−6〜1×10−5M)。
【0027】
好適な電解質としては、例えば、KNOが挙げられる。しかしながら、好ましくは、該電解質はNaClである。
【0028】
そのカプセルの界面特性を変更するために、カプセル化小滴の周囲にポリマー層を提供してもよい。
【0029】
好ましくは、第1の態様の方法は、乾燥製剤を製造するための乾燥ステップ(iii)をさらに含む。その乾燥ステップは、ロータリーエバポレーターを用いて実施することができる。別法では、該乾燥ステップは、冷凍乾燥、噴霧乾燥、流動床手段又は真空乾燥と組み合わせた加圧濾過により実施することができる。カプセル化小滴(即ち、カプセル)の乾燥製剤は、液体(好ましくは、水又は水溶液)中に容易に再分散して2相液体系を再形成し、それによって薬剤化合物等の活性物質の制御放出に対して有用な製剤を提供することができる。
【0030】
前記不連続相は、マトリックスを形成するように、架橋させるか又はさもなければゲル化材料を含んでもよい。かかるマトリックスは、活性物質のカプセル化した小滴からの制御放出(即ち、持続放出)を増進することができる。
【0031】
第2の態様において、本発明は、活性物質のための制御放出製剤を製造する方法であって、前記方法が、
(i)活性物質を含む不連続相を連続相中に分散させて、各々表面に相界面を有する小滴を前記不連続相に含む2相液系を形成するステップ、及び
(ii)前記2相液系に供給されたナノ粒子を前記相界面に集合させ、それによって、前記小滴の表面を少なくとも1層の前記ナノ粒子でコーティングするステップを含み、
前記活性物質が前記不連続相中に、前記不連続相中の前記活性物質の溶解限度を上回る量で存在する方法を提供する。
【0032】
好ましくは、該不連続相は油性媒体又は脂質媒体であり、該連続相は水性である。別法では、該不連続相が、水性である。
【0033】
さらに、該不連続相は、水性であり、単一又は複数の脂質二重層により包囲されているリポソームを形成する各小滴、及び該連続相も又水性である。
【0034】
この場合もやはり、活性物質は、栄養補助食品材料、化粧品材料、殺虫剤化合物、農薬及び食料品から選択することができる。しかしながら、好ましくは、該活性物質は、薬剤化合物(特に、使用される不連続相が油性又は脂質媒体である親油性薬剤化合物)から選択される。
【0035】
第2の態様の方法においては、活性物質が前記不連続相中に、前記不連続相中の前記活性物質の溶解限度を上回る量で必ず存在する。好ましくは、その量は、不連続相への活性物質の溶解限度の少なくとも約110%、より好ましくは少なくとも約120%である。しかしながら、活性物質が過飽和となる不連続相を提供する量も適する。そのような量は、不連続相への活性物質の溶解限度の最大約300%以上まで可能である。そのような量は、例えば、乳化剤を存在させるか、さもなければ最初に不連続相中にナノ粒子を供給することによって不連続相中の活性物質の溶解性を増大させることによって達成することができる。
【0036】
そのナノ粒子は、親水性又は疎水性であり得る。好ましくは、前記ナノ粒子は、5〜2000nm、より好ましくは、20〜80nm、最も好ましくは約50nmの平均直径を有する。又、好ましくは、そのナノ粒子の粒径は、ナノ粒子の粒径とカプセルの粒径(即ち、カプセル化された小滴の粒度)との比率が1:15を超えないようなものである。さらに、第2の態様の方法において使用するためのナノ粒子は、好ましくはシリカのナノ粒子である。
【0037】
必要に応じて、乳化剤(例えば、レシチン又はオレイルアミン)或いはアミノ酸(例えば、リシン、フェニルアラニン又はグルタミン酸)を使用して、ナノ粒子の集合に先立ってエマルジョンを安定化させることができる。
【0038】
該小滴の前記表面に形成されるコーティング(即ち、前記ナノ粒子の少なくとも1つの層によって供給されるコーティング)は、該活性物質に対して透過性又は半透性のバリアを与える。親水性ナノ粒子では、好適な透過性コーティングは、2相液系を、5×10−3〜1×10−1Mの範囲、より好ましくは、約1×10−2Mの好適な電解質(例えば、NaCl)の濃度を有するように形成、又はさもなければ調節することによって達成することができる。親水性ナノ粒子では、好適な透過性コーティングは、2相液系を、5×10−5〜5×10−3Mの範囲、より好ましくは、約1×10−4Mの好適な電解質の濃度を有するように形成、又はさもなければ調節することによって達成することができる。
【0039】
カプセル化小滴は、そのカプセルの界面特性を変更するために周囲にポリマー層を備えていてもよい。
【0040】
好ましくは、本発明の第2の態様の方法は、乾燥製剤を製造するための乾燥ステップ(iii)をさらに含む。
【0041】
第3の態様において、本発明は、本発明の第1又は第2の態様の方法に従って製造される製剤を提供する。
【0042】
好ましくは、その製剤は乾燥製剤である。
【0043】
その製剤は、経口剤形(例えば、錠剤、カプレット、カプセル、液体乳剤及び懸濁剤並びにエリキシル剤)、粘膜剤形、経鼻剤形(例えば、噴霧剤及びエアロゾル)並びに局所剤形(例えば、クリーム及びローション)等の範囲の剤形での使用に適する可能性がある。
【0044】
第4の態様において、本発明は、皮膚(即ち、角質層を含む表皮及び真皮)に局所適用するための制御放出製剤であって、前記製剤が、レチノール(ビタミンA)又はレチノール誘導体を含み、乳化剤を含んでいてもよい油性媒体又は脂質媒体の小滴を含み、前記小滴が、ナノ粒子によりそれらの表面が少なくとも部分的に被覆されている製剤を提供する。
【0045】
好ましくは、第4の態様の製剤は、油性媒体(例えば、トリグリセリド油、パラフィン油、大豆油及びホホバ油)の小滴を含む。
【0046】
好ましくは、第4の態様の製剤は、レチノールを含むが、パルミチン酸レチニル及び酢酸レチニルなど特定のレチノール誘導体も適当であり得る。
【0047】
さらに、第4の態様の製剤は、しわ防止及び/又は老化防止クリーム、或いは日焼け止め剤等の化粧品に普通に含まれる有効成分を含むことができる。例えば、トコフェロール(ビタミンE)、補酵素Q10(ユビキノン)、UV−A吸収剤(例えば、アボベンゼン)及びUV−B吸収剤(例えば、メトキシケイ皮酸オクチル)、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む。
【0048】
好ましくは、第4の態様の製剤の小滴は、その表面が少なくとも1層のナノ粒子によってコーティングされている。部分的コーティング(例えば、小滴表面の少なくとも10%、より好ましくは、少なくとも50%を覆うコーティング)もまた適切である。
本発明の具体的実施形態を添付図面及び実施例と関連づけて説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
図1は、従来技術によるエマルジョンの断面の概略図であり、連続水相12中に分散している小滴10の形の油相を有する非混和性の2相系を示している。小滴10は、連続相12中に分散しており、それによって相界面14を定めている。エマルジョンは、熱力学的に不安定であり、一般に、時間とともに成分相に分離する。しばらくすると、隣接する油滴10は、融合して(相分離の開始)より大きな油滴を形成する。相分離は、融合とオストワルド熟成の両方によって制御される。融合の速度は、2つの接触している小滴を分離している薄膜の、排液及び破裂に対する安定性によって決定される。オストワルド熟成の速度は、連続相中に分散している相の分子溶解度によって制御される。エマルジョンが薄膜16中に局在する乳化剤によって安定化されない場合、これらの融合及び熟成過程は数分以内に起こる。最終的には、油相10及び水相12は、2つの成分相(油及び水)に完全に分離する。
【0050】
図2は、油相と水相とをローター−ステーターホモジナイザーにより混合することによって形成されるエマルジョンの断面の概略図を表現している。当然のことながら、エマルジョンを調製する任意の方法、例えば、高圧均質化を採用することができる。エマルジョンの生体適合性を改善するために、その油相は、Miglyol 812(商標)等の高脂肪食品類似物であることができる。別法では、その油相は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーンか、水相とエマルジョンを形成する他の任意の油性媒体であることができる。
【0051】
図2は、小滴10が界面14でナノ粒子18によって安定化されている図1の系を示す。これにより、ナノ粒子によって安定化されていない場合は非混和性の2つの液体(10及び12)が、安定したエマルジョンを形成している。当業者には当然のことであるが、その2相系は、任意の2つの非混和性液体であり得る。液体中に分散したリポソーム類もまた本発明の範囲内であることもまた理解されるはずである。リポソームは、エマルジョンが小滴の不連続相の輪郭を示す場合、連続相内に分散している媒体である。リポソームの液体コア即ち不連続相は、脂質の2層構造によって連続相の液体から分離されている。
【0052】
ナノ粒子18は、超音波処理によって液体中に分散させ、エマルジョンに加えることができる。好ましい実施形態において、該液体分散系は水性媒体中に重量で1%(1重量%)のナノ粒子を含む。しかしながら、その他の重量%の分散系を使用して役立たせることもできる。添加すると、ナノ粒子は相界面14に、例えば、自己集合によって集合する。別法では、予め形成されたエマルジョンに添加するよりむしろ、ナノ粒子18は、最初にいずれかの相(油又は水)に分散させることができ、エマルジョンが形成されるとナノ粒子18は相界面14に集合する。
【0053】
エマルジョンを安定化させるナノ粒子18は、好ましくは、およそ50nmの平均直径を有するシリカのナノ粒子である。しかしながら、当然のことながら、ナノ粒子18は、5nm〜2000nmの範囲の平均直径を有することができ、任意の好適な材料、例えば、チタニア又はラテックス等から製造することができる。好ましくは、ナノ粒子の粒径とカプセルの粒径との比率は、限定はされないが、およそ1:15である。好ましい実施形態において、該ナノ粒子は、Degussa AGから得られるAerosil(登録商標)シリカのナノ粒子である。しかしながら、80nmチタニアナノ粒子及び100nmラテックスナノ粒子もまた特に適する。ナノ粒子18の表面は、化学的又は物理的に変性してナノ粒子18を疎水化することができる。その結果得られるナノ粒子カプセル化液滴は、カプセル20と称する。
【0054】
ナノ粒子18を添加する前に、レシチン等のリン脂質単分子層を、エマルジョンを安定化させる安定剤として使用することは一選択肢である(乳化剤14は、図1に示されている)。レシチンは、小滴10が、ナノ粒子18が集合する前に融合又は熟成するのを防止することができる脂肪乳化剤である。当業者には当然のことであるが、その他の天然又は合成安定剤も、エマルジョンを安定化するために使用することができる。
【0055】
図2は、単に概略の表現であり、それ故、ナノ粒子18は、小滴10と粒径を比較するために描かれているのではない。ナノ粒子18が、小滴10の表面全体(相界面14)にコーティングを形成することもまた明らかなはずである。
【0056】
カプセル20の形成を詳しく調べる実験は、親水性表面を有するナノ粒子18で行い、疎水性表面を有するナノ粒子18で他の実験を行った。油水界面14で吸着する親水性シリカ粒子に対する典型的な等温線は、参照により本明細書に組み込まれている国際特許出願No PCT/AU2006/000771(国際公開第2006/130904号パンフレット)の図3に示されている。塩の添加がナノ粒子の吸着を飛躍的に増加することは明らかである。好ましい実施形態においては、NaClを使用するが、任意の電解質を使用することができることは当業者には理解されよう。ナノ粒子吸着の自由エネルギーは、塩の添加によって粒子−小滴及び粒子−粒子の側面静電反発力の範囲が縮小するために著しく増大することが考えられる。
【0057】
親水性シリカのナノ粒子は、10−3M(0.01M)のNaCl以上の塩濃度で、界面の粒子の凝集が制限される高密度に詰まった単一層を形成することが観察された。10−2及び10−1MのNaClの濃度においては、親水性ナノ粒子18についての吸着量は、それぞれ剛体球の同等の六方最密充填単一層のおよそ75%及び実に100%以上に相当する。分割表面被覆率は、ナノ粒子18の吸着量と六方最密充填単一層に対する理論値(即ち、50nmの直径のナノ粒子に対して200mg・m)との比率から計算された近似値である。
【0058】
シリカのナノ粒子18は、疎水性に変性することができる。好ましい実施形態において、ナノ粒子18の表面はオルガノシランにより変性する。相界面14における疎水性ナノ粒子18の吸着挙動は、親水性ナノ粒子に対するものとは非常に対照的である。塩の添加は、依然として、ナノ粒子の吸着を飛躍的に増大し、例えば、疎水性シリカのナノ粒子は、10−4M(0.001M)以上のNaClで剛体層を、10−2M(0.1M)のNaClで厚い界面の壁を形成する。しかしながら、疎水性の引力は重要な役割を果たし、界面における密集は、静電反発力によってもっぱら制御されるのではない。表面被覆率の値は複数層の値まで増加する。
【0059】
カプセル20の融合挙動は、ナノ粒子18の疎水性及び親水性、並びにナノ粒子18のエマルジョン小滴界面14における被覆率に依存する。親水性ナノ粒子18の完全な又は部分的な被覆状態では、カプセル20は、依然として大きくなる挙動を示し、即ち、カプセルの直径は融合中に増大する。対照的に、2層以上の疎水性ナノ粒子18によって被覆されたエマルジョンの小滴(融合の状況下で)は、拡大したカプセルより安定な凝集ネットワークを形成する。実験により、湿潤相において、ナノ粒子18は、カプセル20の融合の発生を減少する疎水性表面を有することが好ましいことが明らかにされている。
【0060】
カプセル20は、活性物質24を含むことができる液体コア又は液体媒体22(不連続相)を有することができる。好ましい実施形態において、その液体コア22は、疎水性の油性媒体又は脂質媒体であり、その中に親油性の活性物質24を含有することができる。しかしながら、液体コア22が親水性(即ち、水性)であり、その中に溶解した親水性の活性物質24を有することも一選択肢である。図2において、その断面の概略図は、活性物質24を示している。その活性物質は、カプセル20によって保護され且つ/又は送達されることが求められる任意の物質、例えば、薬剤化合物、殺虫剤化合物又はビタミン等であり得る。好ましい実施形態において、その活性物質24は、薬剤化合物である。その活性物質24は、液体コア22中で完全に又は部分的に溶解性であり、或いは分散性であり得る。
【0061】
カプセル20は、良好な保存寿命特性を示し、後で使用するために保存及び/又は輸送することができる。加えて、これまでの製剤と比較して、カプセル20は、長時間にわたって活性物質24を少量で浸出できることが示され、ナノ粒子18の層は、所望のパラメーター内で活性物質の放出を調整するように設計することができる。ナノ粒子18の物理的性質によって、活性物質24は、何時間も、若しくはさらに何日も過ぎた後も放出を続ける(即ち、徐放)か、又は短期間の放出(促進された放出)とすることができる。
【0062】
カプセル20は、比較的低温で形成することができ、生物活性物質(例えば、ペプチド、タンパク質及び核酸)等の温度感受性の活性物質に対して有利である。
【0063】
カプセル20を、そのカプセルの界面特性を改善する層により被覆することは一選択肢である。例えば、薬物送達において、カプセル20は、そのカプセルの体内の細胞への生体接着性を増すために、カプセル20の外面の周りにポリマー層をさらに被覆することができる。そのようなポリマー層は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ポリエチレングリコール類、キトサン、グアーガム、アルギネート類、カルボマー類、オイドラギット(eudragit)及びペムレン(pemulen)等からなる群から選択することができる。カプセルの界面特性を改善又は変性するその他のコーティングも、カプセル20の周りに使用することができる。
【0064】
エマルジョンに添加するナノ粒子18の量と性質は、カプセル20が、その後の乾燥のステップに耐えることができるように好ましくは選択する。乾燥しており、粉体として輸送、保存及び/又は投与することができる配送システムは、乾燥した粉体の製剤が、水性の製剤と比較してより高い活性物質含量を通常は有するために、製薬産業等の多くの産業において有利である。これは、体積の小さい送達システムが、活性物質の有効量を投与するために必要であることを意味する。乾燥製剤中の活性物質含量の増加は、主として不必要な液体の除去によるものである。
【0065】
図3は、乾燥カプセルを得るためのプロセスの要点をまとめたフローチャートである。該プロセス中の第1のステップ26は、水中油型エマルジョンの相界面にナノ粒子を有する2相の液体系(図2に描かれている系)の形成である。第2のステップは、乾燥による連続相(水)の除去を含む。
【0066】
第1のステップ26は、ナノ粒子の物理的性質(即ち、親水性又は疎水性表面)及び前記界面に集合するナノ粒子の量(即ち、ナノ粒子の分割表面被覆率)の選択を含む。前記ナノ粒子の分割表面被覆率は、塩濃度及び小滴/ナノ粒子比率を変動させることによって調整することができる。上記のように、高い塩濃度(例えば、10−2MのNaCl)において、相界面におけるナノ粒子の吸着は著しく増大する。
【0067】
親水性又は疎水性のナノ粒子のいずれを使用するかの選択は、得られたカプセルの意図した用途によって影響され得る。例えば使用にあたり、カプセルの乾燥送達又は湿潤送達のいずれかが存在する。疎水性ナノ粒子は、活性物質を良好に保護する安定な湿潤相カプセルを形成するが、予備実験は、親水性ナノ粒子が乾燥相の間にカプセルをよりよく安定化することを示している。予備実験は、また、ナノ粒子が疎水性表面を有する場合、該カプセルは、そのとき乾燥ステップの間中、不安定であり得ることを示している。これは、疎水性ナノ粒子がエマルジョン小滴の油の中へ移行した結果、カプセルの不安定性をもたらしたことによる場合がある。
【0068】
従って、小滴を最初にナノ粒子の疎水性の層により被覆して安定な湿潤相を生じさせることは、一選択肢であり、さらなる実験によって有利であることが立証できる。得られたカプセルは、次に、ナノ粒子の親水性の層によってさらに被覆し、乾燥相の間にカプセルを安定化することができる。
【0069】
ステップ28において、エマルジョンは、減圧下での蒸発によって連続相を除去する回転式蒸発によって乾燥する。得られた乾燥したカプセルは、好適な容器に集めることができる。前記エマルジョンは、任意の好適な方法、例えば、冷凍乾燥、噴霧乾燥、流動床手段又は真空乾燥と組み合わせた加圧濾過によって乾燥することができる。しかしながら、カプセルの噴霧乾燥が、カプセルのよりよい再分散性を提供することができるものと考えられる。
【0070】
図4の表は、ナノ粒子の分量対油滴の体積の比率を変動させ、同時に塩濃度を変動させることができることを示している。例えば、図4における表の1列目は、10mlのエマルジョン(ローター式ホモジナイザーを用いて油を水と混合することによって調製)を、ナノ粒子の1%重量水性分散液(超音波処理によって分散した)10mlと混合したものである。その混合物の全体の体積は、20mlであり、その混合物の塩濃度は、10−4MのNaClであった。さらに説明すると、7列目においては、1mlのエマルジョンを、ナノ粒子の1%重量水性分散液10mlと混合した。混合物の全体の体積は、9mlの水の添加によって20mlにした。その混合物の塩濃度は、10−4MのNaClであった。
【0071】
図4は、エマルジョンの体積、ナノ粒子の量及び塩濃度のさまざまな変形形態の18個のうちの12個の組み合わせが、乾燥ステップの間に、それらの完全な状態を維持するカプセルを形成したことを示している。その表の最初の6列においては、カプセルの乾燥した粉体はカプセルの劣化のために得られなかった。A〜Lの標識の試料(縦列1)は、乾燥カプセルを形成したエマルジョンの体積対ナノ粒子の量及び対応する塩濃度を示している。
【0072】
乾燥したカプセルは、それらの表面に集合したナノ粒子を有しており、液体と空気の間に相の境界を形成している。ひとたび乾燥すれば、乾燥したカプセルは、乾燥形態で送達することが一選択肢である。乾燥製剤には、より多くの活性物質が負荷されており、それによって必要とされる製剤の量が減少する。さらなる利点は、深刻な感染又は損傷を引き起こし得る微生物増殖の危険が、乾燥製剤においては液体製剤と比較して減少することである。
【0073】
カプセルは、安定な状態が続き、融合して直径が増大したカプセルを形成しないように調製される。カプセルは、それ故、小さいカプセルのサイズ並びにそのカプセルに含まれている活性物質の放出特性の良好な持続を示す。小さいサイズのカプセルは、表面積を増大し、小さいカプセルのサイズを必要とする標的領域即ち毛細血管にカプセルが送達されることを可能にする。
【0074】
別法では、乾燥したカプセル20は、安定化した乳化生成物を再形成するために液体中に再分散させることができる(ステップ30により示されている)。乾燥したカプセル20の利点は、それらを液体中に再分散させて、前記カプセルを得る際に乾燥させたエマルジョンと、組成が実質的に同等であるエマルジョンを形成することができることである。
【0075】
図5の表は、図4の表中のA〜Lの標識をつけた乾燥カプセルを再分散させた結果を示す。乾燥前の平均のカプセルの粒径が、再分散させた後の平均のカプセルの粒径と共に示されている。粒径の値が相互により密接に関連していればいるほど、カプセルの融合による拡大に対する安定性はより良好である。試料E、F、K及びJで、試料中のカプセルが非常に小さい直径を維持し、同時に10μmを超えるカプセルの率が望ましい低さであり、最も良好な再分散性を示したことは明らかである。
【0076】
小滴の周りに形成されるナノ粒子の層(即ち、コーティング)の構造が、塩濃度及びシリカのナノ粒子の性質、即ちそれらが親水性であるか又は疎水性であるかに依存することは上の説明から明らかである。これらの層は、小滴内からの薬剤放出特性と関係する。
【0077】
実験では、フタル酸ジブチル(DBP)を、PDMSとは溶解しにくいが容易に混和する液体であるためにモデル薬物として選択した。DBPの放出特性は、裸の小滴(即ち、ナノ粒子により被覆されていない小滴)及び被覆されている小滴(即ち、親水性粒子により被覆されている小滴及び疎水性粒子により被覆されている小滴)の両方から測定した。
【0078】
DBPは、実施例3で要点が述べられている合成ステップの間にPDMSの小滴中に組み込んだ。Obey, T.M. and Vincent, B., (1994), Journal of Colloid Interface Science, 163:454-463 及び Goller, M.I. et al., (1997), Physiochemical and Engineering Aspects, 123-124 and 183-193によって報告された修正法(透析なし)(参照により本明細書に組み込まれている)を採用した。PDMSの小滴は、実施例3に従って準備した。架橋したPDMS小滴のさらなるバッチは、純粋なモノマーの代わりに、モノマーと架橋性トリマーDEDMS:TEMS(トリエトキシメチルシラン)の混合物を比率1:0.1〜1で使用した以外は液滴と同じ手法を用いて準備した。準備した小滴の架橋レベルは、0、10、20、30、40〜50%まで変動した。
【0079】
裸の小滴試料及びナノ粒子被覆試料は、それぞれ、準備したエマルジョン10mlを超音波処理したMilliQ水及びシリカの水性分散液10mlと混合することによって調製した。塩濃度は、ナノ粒子層の構造を上記のように調整するために10−4〜10−1MのNaClの間で調節した。
【0080】
DBPは、親油性分子(水溶解度:20℃で1mg/100ml)である。薬物がその水への溶解限度より著しく低い濃度で存在するとき、裸の小滴からの薬物の放出は素早く且つ完全である(図6)。低い塩濃度(例えば、10−4MのNaCl)における親水性シリカ及び疎水性シリカのナノ粒子の存在は、DBPの素早い放出に顕著な影響は及ぼさない。しかしながら、高い塩濃度(10−3及び10−2MのNaCl)で且つ疎水性シリカのナノ粒子があると放出速度を著しく遅らす剛体界面層が生成され、半分の放出時間がおよそ18時間である。10−1MのNaClで調製された厚い界面の粒子壁が存在するとその放出速度はさらに一層遅延される。従って、塩濃度によって、疎水性シリカのナノ粒子のコーティングは透過性又は半透性のバリアを提供することができる。
【0081】
裸の小滴及び被覆された小滴に関する放出特性から、界面輸送は、剛性界面層が存在するとき、DBPの疎水性シリカのナノ粒子を被覆した小滴からの放出過程における律速段階であることが見出されている。長時間にわたる薬物の放出速度は、次の方程式によって概算することができる:
=1/3Acr(1−exp(−3κτ))
式中、Aは、球の表面積であり、cは、油滴中の薬物の初期濃度であり、κは、
κ=k/D
によって与えられ、kは、界面速度定数であり、全ての残りの記号はそれらの元の意味を有する。
【0082】
小滴中の薬物の初期量がAcr/3である故、この表現は、
/M=1−exp(−3kt/r
に簡約され、拡散律速の場合に対するのと同じ線形変換を用いて、次の方程式Aを得る。
Ln(1−M/M)=−3kt/r (方程式A)
【0083】
時間に対するLn(1−M/M)のプロットは、−3kt/rの長時間における極限勾配を持ち、油滴と放出媒体の間の薬物の界面輸送速度定数を見出すことを可能にする。
【0084】
図7は、時間に対するLn(1−M/M)のグラフである。相関係数は、>0.96であり、放出速度定数は、0.3nm−1(10−3及び10−2MのNaClで)及び0.05nm−1(10−1MのNaClで)と計算された。Washington, C. and Evans, K., (1995), J. Contr. Rel., 33, 383-390、Barthel, H. et al. 2003、米国特許出願公開第2003/0175317号明細書、及び Binks, P.B., (2002). Proceedings of 3rd World Congress on Emulsions, Lyon, CME, Paris, 1-10等の文献から、ナノ粒子のコーティングは、DBPのエマルジョン小滴からの分子輸送に対して、吸着したポリマー類よりもより有効なバリアであると結論づけることが可能である。
【0085】
界面のバリアを通過するための活性化エネルギーは、アレニウスの方式を用いて測定した。10−3MのNaCl及び10−1MのNaClにおいて被覆した小滴についての放出特性を、22℃、27℃、32℃及び37℃の4つの温度で測定した。動的速度定数を、各温度に対して上の方程式Aから測定し、プロットLnk対1/T(図8)から活性化エネルギー(E)を計算した:
【0086】
【数1】


R=8.31J/Kmol
【0087】
値は、10−3MのNaCl及び10−1MのNaClで調製されたナノ粒子層構造に対して、それぞれ、580及び630kJmol−1と計算された。これらの値は、油滴の周りのポリマータイプのバリア類を通過する親油性の小分子に対するE値(50kJmol−1)と比較すると著しく高い。
【0088】
図8におけるアレニウスプロットの直線性は、放出過程中の界面ナノ粒子層構造中の小さな変化に起因するものと考えることができる。中間の接触角(油−水界面で90°に近い)での小粒子の付着エネルギーは、104kTといった大きな規模のものであり、そのため、ナノ粒子の不可逆的付着が確保される。それ故、粒子の脱離(detachment)ではなく、界面の壁を通る拡散を、これらのカプセルからの薬物放出メカニズムとして考案することができる。放出過程に対する速度パラメーターは、図9の表に示されている。これらのパラメーターは、界面層構造と放出特性の間の相関を反映しており、10−3MのNaClと10−2MのNaClにおける系の挙動には類似した界面の剛体層構造のために違いが存在せず、一方、10−1MのNaClでは比較的厚い界面の粒子の壁が存在するために放出がより遅延される。
【0089】
シンク条件(sink condition)(即ち、エマルジョン中の初期DBP濃度(0.025重量%)が水への溶解限度(0.28mg/100mlの溶出溶媒中最大可能量)より著しく低い(15%前後)場合)での比較においては、放出特性は、最大薬物濃度が溶解限度をわずかに超えるとき(1.1mg/100ml)に異なるようであった(図10参照)。純粋なDBPの油相がそのような濃度で水の溶出溶媒中に添加されるとき、平衡溶解度レベルを達成するのにおよそ20時間を要し、これは溶解速度が放出特性を決定するためである。しかしながら、その溶解速度は、DBPがPDMSのエマルジョン小滴中に組み込まれるときは加速される。
【0090】
シリカのナノ粒子がDBP水性分散液中又はDBPを含有するPDMSエマルジョンの小滴の表面に存在するとき、その溶解速度及び溶解性薬物の割合は飛躍的に増加する。その効果は、ナノ粒子コーティングの性質に強く依存し、小滴の表面に透過性のナノ粒子コーティング(即ち、10−2MのNaClで調製された親水性シリカコーティング及び10−4MのNaClで調製された疎水性シリカコーティング)が存在するときにのみ顕著であり、一方、小滴の周りに比較的厚いナノ粒子コーティング(例えば、10−1MのNaClで調製された疎水性ナノ粒子コーティング)が存在するときは、DBPの溶解度の増加は同じように顕著ではない(これは、多分、粘性と弾性を併せ持つ小滴界面を横切る拡散が遅延されるためである(図10))。
【0091】
加速される溶解速度という類似した傾向が、全体のDBP濃度が溶解限度(2.8mg/100ml)を十分に超えるときに起こる(図11)。観察されるDBPの溶解度の増加により、過飽和溶液が生成していることはさらにより明らかである。「過飽和」作用の強さ及び持続時間は、疎水性シリカを被覆した小滴でより顕著である。親水性粒子では、溶解できるDBP濃度のピークは2時間後に最大であり、それから溶解できるDBPの量はその後次の6時間内に減少し、最終的には溶解限度まで減少して戻る(図11)。
【0092】
前記「過飽和」作用は、達成される最大溶解度並びにその効果の持続時間(即ち、10時間後溶液中の量は正常な溶解限度まで減少する)に関して、疎水性シリカのナノ粒子においてより顕著である。親水性及び疎水性シリカのナノ粒子の効果におけるこの違いはDBPへの疎水性結合の機会(より多い量のDBPが吸着され溶液中でより多くの量が放出される)を与える疎水性シリカの両親媒性の性質の結果であるものと推測される。前の場合におけるように、疎水性シリカのナノ粒子の厚い界面の壁が小滴の表面に存在するときは溶解度の増加は無視できる(図11)。
【0093】
親水性シリカは、溶解が困難な活性物質の溶解過程を促進する優れた添加剤であり、従って化合物の生物学的利用率を改善することができる。非極性溶媒が水と接触した際に十分な量の活性物質を水中に放出してその結果過飽和溶液が形成されるまばらに集合した吸着層を形成するように、親水性シリカと溶解性の劣る薬物との吸着質を製造した。
【0094】
純粋なDBP又は小滴中のDBPのいずれかがシリカのナノ粒子と混合されるとき飽和溶液及び過飽和溶液の形成が起こることを考慮すると、DBPは、小滴の表面に吸着されたシリカ上に物理吸着し、水中に希釈されるとDBPは脱着し、水中に放出されるものと思われる。
【0095】
架橋した小滴(40%架橋)を、この架橋レベルにおいてDBPの分配係数が最も高いため、即ちDBPの捕捉が最も高いために、調査対象に選択した。シンク条件下(小滴中0.0025重量%のDBP)のDBP放出調査は、小滴の架橋が小滴からの薬物拡散を遅延させることを示している(図12)。親水性シリカのナノ粒子を被覆したカプセル(10−2MのNaClで生成)及び透過性の疎水性シリカのナノ粒子で被覆したカプセル(10−4MのNaClで生成)は、カプセルの周りを半透性の親水性/疎水性シリカのナノ粒子でコーティング(10−3〜10−1MのNaClで生成)した場合とは対照的に薬物溶解に効果を持たない。
【0096】
裸の架橋した小滴からの薬物放出に対する律速段階は、内部マトリックスを通る拡散であり、従って拡散律速モデルが適用できる(図12)。良好な直線のフィットが放出の最初の120分について得られた(図13)。計算した拡散係数が図14の表に示されており、ゲルにおける薬物拡散に対する典型的な値(例えば、4.8〜6.5nm−1)と一致する。
【0097】
拡散は、疎水性ナノ粒子が半透性コーティングとして存在するときさらに持続する。その放出過程はおよそ2時間後に平衡に達した。2時間後、充填したDBPの量の25%が小滴中に依然として残存した(裸の小滴及び10−4MのNaClでの透過性シリカのナノ粒子コーティングで被覆した小滴に対して)、(37%(10−3MのNaClでのシリカ被覆に対して)及び46%(10−1MのNaClでのシリカ被覆に対して)と比較されたい)。ナノ粒子の存在によって、拡散係数は、3.2及び2.4±0.5nm−1に低下した。裸の架橋した小滴からの薬物拡散に対する活性化エネルギーは、127±15kJmol−1であり、疎水性シリカのナノ粒子のコーティングが存在すると、それが155及び177±15kJmol−1となる(図14)。従って、これらは小滴のゲルマトリックスにおける拡散に対する主要なエネルギーバリアを表す。それに対し、液滴では、シリカのナノ粒子コーティングは、おそらくその液滴中の粒子の侵入が少なくその結果界面粘度が低いために、拡散バリアの有効性は低い。
【0098】
架橋した小滴については、DBP濃度が増えて溶解限度を超えたとき(図15)、その溶解特性は、液滴とは明らかに異なる。即ち、過飽和溶液は形成されず、溶解度の増加は、透過性の疎水性シリカのナノ粒子を被覆したカプセル(10−4MのNaClで生成)についてわずかに目立つのみである。計算された拡散係数(図16)(最初の90分に対して)は、3.5±0.5nm−1である。液滴及び架橋した小滴の観察された異なる挙動は、異なる放出の律速段階に起因すると考えることができる。即ち、ゲルマトリックスからの拡散は、架橋した小滴に対する律速段階であり、液滴に対する律速段階は界面輸送である。
[実施例]
【実施例1】
【0099】
ナノ粒子で安定化したエマルジョンの製造
a)レシチンにより安定化したエマルジョンの調製及び特性決定
レシチン(0.6g)の安定剤を油(Miglyol 812(商標))(10g)に溶解し、次にローター−ステーターホモジナイザーを用いて(11,000rpm、10分間、pH=6.95±0.2)撹拌下で水に加えた(全体の試料重量:100g)。24時間後、そのエマルジョンを、粒度(レーザー回折Malvern Mastersizer)及びゼータ電位(PALS法)に関して特性決定をした。その小滴の粒度は、0.20〜0.86μmの範囲である。
【0100】
活性物質の封入については、該活性物質をレシチンの添加前又は後に油に添加することができる。
【0101】
b)ナノ粒子の調製
シリカ(Aerosil(登録商標))ナノ粒子(1重量%)の水性分散液を、少なくとも1時間にわたる超音波処理によって調製した。図5は、そのシリカのナノ粒子の平均の粒度がおよそ50nmであったことを示している。
【0102】
c)カプセル形成
ステップ(a)で形成されたエマルジョン及びナノ粒子分散液(b)を一緒に混合した。その2相の液体系の電解質の濃度は、約10−4M〜10−1M(NaCl)の範囲内と推定された。
【0103】
d)電解質濃度の調整
この実施例においては追加の電解質は加えなかった。推定された電解質濃度において、形成されたカプセルは、不連続相中に含有される活性物質の拡散に対して半透性バリアを与える集合したナノ粒子の層を含むことが予想された。
【0104】
しかし、カプセルを形成するための2相の液系の電解質の濃度は、活性物質の不連続相からの放出特性を変えるために調節することができる。
【実施例2】
【0105】
連続相の乾燥除去
実施例1で形成されたカプセルを、50℃での回転式蒸発によって水相が完全に除去されるまで乾燥した。
【実施例3】
【0106】
PDMS液滴の調製
予め0、0.025、0.1及び0.25重量%のDBPと窒素ガス雰囲気中で混合した1%のジエトキシジメチルシラン(DEDMS)と0.1%のアンモニアとを含む水溶液を、250mlの反応容器中窒素ガス下で密閉し、30秒間激しく震盪し、次いで30rpm及び25℃で18時間にわたりタンブルした。滴径分布を、レーザー回折(Malvern Mastersizer X)によって特性決定した。平均滴径及び径範囲[(d(v,0.9)−d(v,0.1))/d(v,0.5)として定義]は、液滴について、約2μmと0.56であり、架橋した小滴に対しては1.55μmと1.2であった。DBPの存在は、滴径分布を著しく変化させることはなかった。
【0107】
前記エマルジョン試料は、均一化によって調製される一般的なo/w型又はw/o型エマルジョンより、かなりより単分散のものであった。電気泳動移動度、つまりζ電位は、顕微鏡電気泳動(Rank Bross社製、Mark H)とPALSを併用して測定したが、ζ電位は、DBPが0.25重量%以下で存在するとき変化しない(実験誤差範囲で)。
【実施例4】
【0108】
ナノ粒子で安定化したビタミンAのエマルジョンの調製
レチノール(ビタミンAアルコール)は、医薬品、栄養及び化粧品産業に対してかなり興味のある有効成分である。しかしながら、その成分の製剤化は、その酸化に対する感受性(例えば、光に当てたときの光酸化)のために困難に遭遇していた。特にビタミンAアルコールは、その化合物の不飽和の側鎖における自己酸化に敏感であり、分解生成物の形成、異性化及び重合がもたらされる。その結果、自己酸化は、生物活性の低下、及び分解生成物の発生によって引き起こされる毒性の危険の増加につながる。本発明が、高められた安定性を示す持続した放出の速度を有するビタミンAアルコールの製剤を提供する可能性を示すか否かを評価するために、ビタミンAアルコールのナノ粒子で安定化したエマルジョンを製造した。
【0109】
a)レシチンによって安定化されたビタミンA含有エマルジョンの調製
レシチン(0.6g)の安定剤及び全トランスレチノール(0.05g)をトリグリセリド油(Miglyol 812(商標))(10g)に溶解し、次にローター−ステーターホモジナイザー(11,000rpm、10分間、pH=6.95±0.2)を、別法では高圧ホモジナイザー(5ミリバール、5サイクル)を用いた撹拌下で水に加えた(全体の試料重量:100g)。その2相液体系の電解質の濃度は、約1×10−6〜1×10−5M(NaCl)の範囲内であるものと推定された。追加の電解質は添加しなかった。
【0110】
b)オレイルアミンによって安定化されたビタミンA含有エマルジョンの調製
オレイルアミン(1g)の安定剤及び全トランスレチノール(0.05g)をトリグリセリド油(Miglyol 812(商標))(10g)に溶解し、次にローター−ステーターホモジナイザー(11,000rpm、10分間、pH=6.95±0.2)を、別法では高圧ホモジナイザー(5ミリバール、5サイクル)を用いた撹拌下で水に加えた(全体の試料重量:100g)。その2相液体系の電解質の濃度は、約1×10−6〜1×10−5M(NaCl)の範囲内であるものと推定された。追加の電解質は添加しなかった。
【0111】
c)ナノ粒子の調製
ヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)380)ナノ粒子(1重量%)(即ち、親水性ナノ粒子)の水性分散液を、少なくとも1時間超音波処理することによって調製した。
【0112】
d)カプセル形成
ステップ(a)及びステップ(b)で形成されたエマルジョンを、ステップ(c)のナノ粒子分散液と別々に混合した。
【0113】
e)別の調製
カプセルは、又、ナノ粒子を、エマルジョンを形成するトリグリセリド油中に最初に含有させる類似のやり方で形成させることもできる。例えば、上のa)で記載したものと同様のレシチンで安定化したナノ粒子を被覆したビタミンAのカプセルを調製するには、全トランスレチノール(0.05g)を、ヒュームドシリカ(Aerosol(登録商標)380)ナノ粒子(油相中に5重量%)及びレシチン(0.6g)の安定剤が既に加えられているトリグリセリド油(Miglyol 812(商標))(10g)中に溶解し、次いで水(全試料重量:100g)に加えた後、ローター−ステーターホモジナイザー(11,000rpm、10分間、pH=6.95±0.2)又は高圧ホモジナイザーを用いてエマルジョンを形成させた。
【0114】
f)カプセルの特性
形成されたナノ粒子を被覆したカプセルは、直径がほぼ0.5μmであった。そのカプセルを、紫外線に当てたときのレチノールの安定性について評価した。その結果を図16及び17に示す。プラスに帯電したナノ粒子を被覆したカプセル(即ち、オレイルアミンで安定化したカプセル)は、UV照射に対して特に良好な安定性を示した。理論に制約されることを望むものではないが、マイナスに帯電したナノ粒子を被覆したカプセル(即ち、レシチンで安定化したカプセル)についてのあまり顕著ではない結果は、レシチンそれ自体によってレチノールに与えられた安定化効果のためであったかもしれないと考えられる。
【0115】
そのカプセルは、インビトロの薬物(即ち、レチノール)放出についても評価した。得られた薬物放出特性の分析(図18及び19に示されている)は、レチノールの放出の動態を説明するにはHiguchiのモデルが最も適することを示し、
=K1/2
Q:単位面積当たり時間tにおいて放出された薬物の量
:Higuchiの速度定数;
膜の単位面積当たりの薬物放出量対√tの勾配からの拡散速度定数の計算(表1参照)によると、シリカのナノ粒子の存在下の拡散速度定数が、マイナス及びプラスに帯電したエマルジョンの両方に対して減少したことを示した(即ち、ナノ粒子を被覆したカプセルは、レチノール放出の維持速度を示した)。
【0116】
【表1】

【0117】
(実施例6)
ナノ粒子で安定化したビタミンAのエマルジョンからのインビトロの放出/送達
a)レシチンで安定化した製剤(マイナスに帯電したカプセル)
実施例4に記載したレシチンで安定化した製剤からのビタミンAの放出特性の調査を、切除したブタの皮膚を用いてフランツ(Franz)拡散セルにより実施した。その調査は、トリグリセリド油中のビタミンAのレシチンで安定化したエマルジョンと比較して行った。簡潔には、大きな白ブタの腹部からの皮膚を分離し、毛と下の脂肪層を除去した後、必要とされるまで−80℃に保った。皮膚の試料を拡散セルに組込み、100μlのビタミンA製剤をその皮膚の試料の表面に塗布して薄い層を得た。実験は全て密閉条件下で行った。
【0118】
6時間、12時間及び24時間目に皮膚の試料を取り出し、アセトンで抽出して皮膚全体に残ったビタミンAの濃度を測定した。さらに、レセプター相(エタノール/水が50/50)及び皮膚表面からの試料をHPLCにより分析して皮膚を通過した浸透割合及び皮膚の表面に残っている薬物の量をそれぞれ定量化した。その結果を図20及び21に示す。
【0119】
全ての時点で、ビタミンAの皮膚保持率は、該製剤については、レシチンにより安定化したカプセル化されていない対照のエマルジョンと比較して著しく増加した。その結果は、T検定及びANOVA検定により統計的に分析し、図20の中で有意性を0.05未満のP値に対して星印をつけた。
【0120】
その製剤は皮膚の局所適用(例えば、化粧品目的)で使用することが提案され、従って、ビタミンAの送達の「標的層」は、皮膚の上層である。皮膚を通過する輸送は、かかる用途においては望ましくなく、それは単に活性物質の「ロス」をもたらす。ところが驚いたことに、レセプター相中に検出されたビタミンAの量は、該製剤については無視できるもの(即ち、0.5%未満)であった(図21)。
【0121】
b)オレイルアミンで安定化した製剤(プラスに帯電したカプセル)
実施例4に記載したオレイルアミンで安定化した製剤からのビタミンAの放出特性の調査を、切除したブタの皮膚を用いてフランツ(Franz)拡散セルにより実施した。この場合、その調査は、トリグリセリド油中のビタミンAのオレイルアミンで安定化したエマルジョンと比較して行った。
【0122】
本発明によるこれらのプラスに帯電したエマルジョンで得られた結果(図22参照)は、エマルジョンのナノ粒子カプセル化によってビタミンAの皮膚保持率の増進を同様に示した。さらに、オレイルアミンで安定化した製剤は、一般に、上のa)で試験したレシチンで安定化した製剤と比較してより高い皮膚保持率及び透過率(最大1%)を示した。
【0123】
本発明の装置の好ましい実施形態をこれまでの詳細な説明の中で説明してきたが、当然のことながら、本発明は、その開示された実施形態に限定されるのではなく、本発明の範囲を逸脱しない多数の再変更、修正及び置き換えが可能である。
【0124】
当業者には明らかであるような修正及び変形は、本発明の範囲内であるとみなされる。例えば、本発明は、概して、エマルジョン滴に関して論じられているが、その論じられた技術は、一般に、リポソーム、その他の小胞系及びその他の類似の媒体に応用することができる。
【0125】
本明細書を通して「含む」の語は、規定された要素、整数若しくはステップ、又は複数の要素、整数若しくはステップを包含することを意味するが、その他の要素、整数若しくはステップ、又は複数の要素、整数若しくはステップを除外することは意味しないことは当然である。
【0126】
本明細書で言及された全ての出版物は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれている文献、法令、材料、装置、物品等について述べたことはいずれももっぱら本発明についての背景を提供することを目的とするものである。これらの事柄はどれも又はすべて、先行技術の基盤の一部を形成するか或いはそれは本出願の各特許請求の範囲の優先日以前にオーストラリア又は他の場所に存在した本発明に関する技術分野においては一般的な周知の事実であったことを承認するものと解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】当技術分野で既知のエマルジョンの断面の概略図である。
【図2】本明細書に記載のナノ粒子安定化エマルジョンの断面の概略図である。
【図3】本発明の乾燥カプセルの獲得に必要なステップを示すフローチャートである。
【図4】エマルジョンの体積及びナノ粒子の体積(1%重量の水性分散液)並びに効果的に再分散させることができる乾燥カプセルを生ずる塩濃度(図5参照)を示す表である。
【図5】図4の表に記載されているカプセルの再分散後のカプセルの平均のサイズを示す表である。
【図6】0.025重量%のDBP、900mlの溶出溶媒(t=37℃、50rpm)としてのMilliQ(MQ)水を含む液体のPDMSエマルジョン(φ=0.01)からの薬剤放出特性を示すグラフである。ここで、○は、裸のPDMS小滴に対する結果を示し、疎水性シリカによって被覆されたPDMS小滴に対する結果は、△が10−4MのNaCl、□が10−3MのNaCl、×が10−2MのNaCl、◇が10−1MのNaClを示し、破線は、溶出溶媒中の可能な最大DBP濃度を表す。a)最初の6時間の放出時間、b)50時間の放出時間。
【図7】0.025重量%のDBP、900mlの溶出溶媒としてのMQ水を含む疎水性ナノ粒子被覆した液体のPDMSエマルジョン(φ=0.01)からのDBP放出特性についてのLn(1−M/M)対時間のグラフであり、ここで、□は10−3MのNaCl、◇は10−2MのNaCl、△は10−1MのNaClである。
【図8】0.025重量%のDBP、900mlの溶出溶媒としてのMQ水を含む疎水性の被覆した液体のPDMSエマルジョン小滴(φ=0.01)からのDBP放出特性についてのアレニウスプロットを示すグラフであり、ここで、□は10−1MのNaCl、◇は10−3MのNaClである。
【図9】異なる塩濃度で調製した疎水性ナノ粒子で被覆したPDMS小滴からのDBP放出過程についてのパラメーターを示す表である(エマルジョン中に0.025重量%のDBP)。
【図10】900mlのMQ水、添加された純粋なDBPが1.1mg/100ml及びPDMSエマルジョン小滴(φ=0.01)中DBP0.1%重量におけるDBP放出特性を示すグラフであり、ここで、◇は裸の液体PDMS小滴、□は純粋なDBP、△は親水性シリカのナノ粒子と一緒の純粋なDBP、○は疎水性シリカのナノ粒子と一緒の純粋なDBP、*は親水性シリカにより被覆したPDMS小滴(10−2MのNaCl)、×は疎水性シリカのナノ粒子により被覆したPDMS小滴(10−4MのNaCl)、+は疎水性シリカのナノ粒子により被覆したPDMS小滴(10−1MのNaCl)であり、点線は溶出溶媒中で得ることができる最大DBP濃度に相当する。
【図11】900mlのMQ水、添加された純粋なDBPが2.8mg/100ml及びPDMSエマルジョン小滴(φ=0.01)中DBP(0.25%重量)におけるDBP放出特性のグラフであり、ここで、◇は裸の液体PDMS小滴、□は純粋なDBP、△は親水性シリカのナノ粒子と一緒の純粋なDBP、○は疎水性シリカのナノ粒子と一緒の純粋なDBP、*は親水性シリカのナノ粒子により被覆したPDMS小滴(10−2MのNaCl)、×は疎水性シリカのナノ粒子により被覆したPDMS小滴(10−4MのNaCl)、+は疎水性シリカのナノ粒子により被覆したPDMS小滴(10−1MのNaCl)であり、点線は溶出溶媒中で得ることができる最大DBP濃度に相当する。
【図12】0.025重量%のDBP、900mlの溶出溶媒としてのMQ水を含む架橋PDMSエマルジョン小滴(φ=0.01)からのDBP放出特性を示すグラフであり、ここで、◇は裸のPDMS小滴及び疎水性シリカのナノ粒子によって被覆されているPDMS小滴、□は10−4MのNaCl、△は10−3MのNaCl、○は10−1MのNaClである。
【図13】0.025重量%のDBP、900mlの溶出溶媒としてのMQ水を含む架橋PDMSエマルジョン小滴(φ=0.01)からの薬剤放出特性についてのLn(1−M/M)対時間を示すグラフであり、ここで、◇は裸のPDMS小滴及び疎水性シリカのナノ粒子によって被覆されているPDMS小滴、□は10−4MのNaCl、△は10−3MのNaCl、○は10−1MのNaClである。
【図14】0.025重量%のDBP、900mlの溶出溶媒としてのMQ水を含む架橋PDMS小滴(φ=0.01)からの薬剤放出に対するパラメーターを示す表である。
【図15】エマルジョン中の0.25重量%のDBP、900mlの溶出溶媒としてのMQ水を含む架橋PDMSエマルジョン小滴(φ=0.01)からのDBP放出特性を示すグラフであり、ここで、◇は裸のPDMS小滴及び疎水性シリカのナノ粒子によって被覆されているPDMS小滴、□は10−4MのNaCl、△は10−3MのNaCl、○は10−1MのNaClである。
【図16】エマルジョンがレシチンによって安定化されているマイナスに帯電したナノ粒子被覆カプセル中に含まれるレチノールの分解速度を示すグラフを提供する(■はレシチンで安定化した裸のエマルジョン(L)、●はレシチンで安定化した油相中にシリカを含むエマルジョン(LSO)、▲は水相中にシリカを含むレシチンで安定化した裸のエマルジョン(LSA)、▼は水中油型エマルジョン(O/W))。
【図17】エマルジョンがオレイルアミンによって安定化されているプラスに帯電したナノ粒子被覆カプセル中に含まれるレチノールの分解速度を示すグラフを提供する(■はオレイルアミンで安定化した裸のエマルジョン(O)、●はオレイルアミンで安定化した油相中にシリカを含むエマルジョン(OSO)、▲は水相中にシリカを含むオレイルアミンで安定化したエマルジョン(OSA)、▼は水中油型エマルジョン(O/W))。
【図18】マイナスに帯電したナノ粒子被覆カプセルからのレチノールの放出特性のグラフを提供する(■はレシチンで安定化した裸のエマルジョン(L)、●はレシチンで安定化した油相中にシリカを含むエマルジョン(LSO)、▲は水相中にシリカを含むレシチンで安定化したエマルジョン(LSA))。
【図19】プラスに帯電したナノ粒子被覆カプセルからのレチノールの放出特性のグラフを提供する(■はオレイルアミンで安定化した裸のエマルジョン(O)、●はオレイルアミンで安定化した油相中にシリカを含むエマルジョン(OSO)、▲は水相中にシリカを含むオレイルアミンで安定化したエマルジョン(OSA))。
【図20】本発明のレシチンで安定化した製剤からの24時間にわたるブタの皮膚におけるビタミンA(レチノール)の保持率を示すグラフを提供する(L=トリグリセリド油中のオールトランスレチノールのレシチンで安定化されているエマルジョン;LSO=カプセルが油相中でのナノ粒子との混合により形成されたトリグリセリド油中のオールトランスレチノールのレシチンで安定化されているナノ粒子を被覆したエマルジョン;LSA=カプセルが水相中でのナノ粒子との混合により形成されたトリグリセリド油中のオールトランスレチノールのレシチンで安定化されているナノ粒子を被覆したエマルジョン)。
【図21】本発明のレシチンで安定化した製剤からのブタの皮膚を経るビタミンA(レチノール)の浸透を示すグラフを提供する(L=トリグリセリド油中のオールトランスレチノールのレシチンで安定化されているエマルジョン;LSO=カプセルが油相中でのナノ粒子との混合により形成されたトリグリセリド油中のオールトランスレチノールのレシチンで安定化されているナノ粒子を被覆したエマルジョン;LSA=カプセルが水相中でのナノ粒子との混合により形成されたトリグリセリド油中のオールトランスレチノールのレシチンで安定化されているナノ粒子を被覆したエマルジョン)。
【図22】本発明のオレイルアミンで安定化した製剤からの24時間にわたるブタの皮膚におけるビタミンA(レチノール)の保持率を示すグラフを提供する(O=トリグリセリド油中のオールトランスレチノールのオレイルアミンで安定化されているエマルジョン;OSO=カプセルが油相中でのナノ粒子との混合により形成されたトリグリセリド油中のオールトランスレチノールのオレイルアミンで安定化されているナノ粒子を被覆したエマルジョン;OSA=カプセルが水相中でのナノ粒子との混合により形成されたトリグリセリド油中のオールトランスレチノールのオレイルアミンで安定化されているナノ粒子を被覆したエマルジョン)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質の制御放出用製剤の製造方法であって、前記方法が、
(i)活性物質を含む不連続相を連続相中に分散させて、各々表面に相界面を有する小滴を前記不連続相に含む2相液系を形成するステップ、及び
(ii)前記2相液系に供給されたナノ粒子を前記相界面に集合させ、それによって、前記小滴の表面を少なくとも1層の前記ナノ粒子でコーティングするステップを含み、
ステップ(ii)の前記ナノ粒子の集合を増進する適切な電解質を、任意の濃度で有するように前記2相液系を形成又は調節し、その結果、少なくとも1層の前記ナノ粒子によって提供される、前記小滴の表面の前記コーティングが、前記活性物質に対して半透性バリアを与える方法。
【請求項2】
不連続相が、油性媒体又は脂質媒体であり、連続相が水性である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
不連続相が水性であり、各小滴が単一又は複数の脂質二重層によって包囲されてリポソームを形成し、連続相もまた水性である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
活性物質が、薬剤化合物類及びビタミン類から選択される請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
活性物質が、レチノール又はレチノール誘導体である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
活性物質が、不連続相中に0.01〜10重量%の範囲の濃度で存在する請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ナノ粒子が、親水性である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ナノ粒子が、20〜80nmの平均直径を有する請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ナノ粒子が、約50nmの平均直径を有する請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ナノ粒子の粒径と、該ナノ粒子でコーティングされた小滴の粒径との比が、1:15以下である請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ナノ粒子が、シリカのナノ粒子である請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ナノ粒子が、不連続相中への包含によって2相液系に供給される請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
エマルジョンが、乳化剤を含む請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
乳化剤が、親水親油バランス(HLB)値が約12未満の乳化剤から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
乳化剤が、レシチン、オレイルアミン、デオキシコール酸ナトリウム、1,2−ジステアリル−sn−グリセロ−3−ホスファチジル−エタノールアミン−N、ステアリルアミン、アミノ酸及び1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパンからなる群から選択される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
乳化剤が、レシチンである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
乳化剤が、オレイルアミンである請求項15に記載の方法。
【請求項18】
乳化剤が、エマルジョンの0.005〜50重量%の範囲の量で存在する請求項13〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
電解質の濃度が、5×10−4〜5×10−1Mの範囲内である請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
電解質の濃度が、1×10−3〜1×10−1Mの範囲内である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
電解質が、NaClである請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
ナノ粒子でコーティングされた小滴が、ポリマー層を備える請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
(iii)製造された製剤を乾燥するステップ、
をさらに含む請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれかに記載の方法に従って製造された制御放出製剤。
【請求項25】
活性物質のための制御放出製剤を製造する方法であって、前記方法が、
(i)活性物質を含む不連続相を連続相中に分散させて、各々表面に相界面を有する小滴を前記不連続相に含む2相液系を形成するステップ、及び
(ii)前記2相液系に供給されたナノ粒子を前記相界面に集合させ、それによって、前記小滴の表面を少なくとも1層の前記ナノ粒子でコーティングするステップを含み、
前記活性物質が前記不連続相中に、前記不連続相中の前記活性物質の溶解限度を上回る量で存在する方法。
【請求項26】
不連続相が、油性媒体又は脂質媒体であり、連続相が水性である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
不連続相が水性であり、各小滴が、単一又は複数の脂質二重層によって包囲されてリポソームを形成し、連続相もまた水性である請求項25に記載の方法。
【請求項28】
活性物質が、薬剤化合物類及びビタミン類から選択される請求項25〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
活性物質が、レチノール又はレチノール誘導体である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
活性物質が不連続相中に、前記不連続相中での前記活性物質の溶解限度を上回る量で存在する請求項25〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
活性物質の量が、不連続相中の前記活性物質の溶解限度の少なくとも約110%である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ナノ粒子が、親水性である請求項25〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
ナノ粒子が、20〜80nmの平均直径を有する請求項25〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
ナノ粒子が、約50nmの平均直径を有する請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ナノ粒子の粒径と該ナノ粒子でコーティングされた小滴の粒径との比が、1:15以下である請求項25〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
(国際公報に記載なし)
【請求項37】
ナノ粒子が、シリカのナノ粒子である請求項25〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
ナノ粒子が、不連続相中への包含によって2相液系に供給される請求項25〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
エマルジョンが、乳化剤を含む請求項25〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
乳化剤が、親水親油バランス(HLB)値が12未満の乳化剤から選択される請求項39に記載の方法。
【請求項41】
乳化剤が、レシチン、オレイルアミン、デオキシコール酸ナトリウム、1,2−ジステアリル−sn−グリセロ−3−ホスファチジル−エタノールアミン−N、ステアリルアミン、アミノ酸及び1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパンからなる群から選択される請求項39に記載の方法。
【請求項42】
乳化剤が、レシチンである請求項41に記載の方法。
【請求項43】
乳化剤が、オレイルアミンである請求項41に記載の方法。
【請求項44】
乳化剤が、エマルジョンの0.005〜50重量%の範囲の量で存在する請求項39〜43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
電解質の濃度が、5×10−3〜1×10−1Mの範囲内である請求項25〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
電解質の濃度が、5×10−5〜5×10−3Mの範囲内である請求項25〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
電解質が、NaClである請求項25〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
ナノ粒子でコーティングされた小滴が、ポリマー層を備える請求項25〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
(iii)製造された製剤を乾燥するステップ
をさらに含む請求項25〜48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
請求項25〜49のいずれかに記載の方法に従って製造された制御放出製剤。
【請求項51】
乾燥製剤である請求項24又は50記載の製剤。
【請求項52】
皮膚に局所適用するための制御放出製剤であって、前記製剤が、レチノール又はレチノール誘導体及び必要に応じて乳化剤を含む油性媒体又は脂質媒体の小滴を含み、前記小滴の表面が、ナノ粒子で少なくとも部分的にコーティングされている製剤。
【請求項53】
小滴が、少なくとも1層のナノ粒子によりコーティングされている請求項52に記載の製剤。
【請求項54】
前記製剤が、レチノール又はレチノール誘導体及びレシチンを含み、少なくとも1層の親水性ナノ粒子により表面がコーティングされている油性小滴を含む請求項52に記載の製剤。
【請求項55】
前記製剤が、レチノール又はレチノール誘導体及びオレイルアミンを含み、少なくとも1層の親水性ナノ粒子により表面がコーティングされている油性小滴を含む請求項52に記載の製剤。
【請求項56】
ナノ粒子が、シリカのナノ粒子である請求項52〜55のいずれかに記載の製剤。
【請求項57】
前記製剤が、レチノールを含む請求項52〜56のいずれかに記載の製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2009−536162(P2009−536162A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508053(P2009−508053)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000602
【国際公開番号】WO2007/128066
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(507389336)ユニバーシティー オブ サウス オーストラリア (3)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF SOUTH AUSTRALIA
【Fターム(参考)】