説明

ナビゲーション装置、経路探索方法、および、プログラム

【課題】探索時間をなるべく抑えて、最適な推奨経路をユーザに提供する技術を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置100は、推奨経路を探索するために出発地及び目的地を受け付ける受付手段と、推奨経路についての探索エリアを設定する探索エリア設定手段と、探索エリア内から推奨経路を探索する経路探索手段と、を備える。ここで、探索エリア設定手段は、出発地から目的地までの連続するメッシュで構成されるメッシュ経路の探索を行い、探索されたメッシュ経路を構成するメッシュを探索エリアに含める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、経路探索方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ナビゲーション装置では、ダイクストラ法等を用いて推奨経路が探索される。その際、2地点(例えば、出発地と目的地)の位置的関係から、推奨経路の探索範囲(以下では「探索エリア」という)は決定される。そして、決定された探索エリアに含まれているリンクの中から推奨経路が探索される(例えば、特許文献1)。このような探索方法を用いれば、地図データの全リンクから推奨経路を探索する場合と比較して、探索時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−174572号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、探索エリア外に、最適な経路(例えば、最速の経路)が存在する場合もある。かかる場合には、最適な経路を推奨経路としてユーザに提供できない。
【0005】
本発明は、探索時間をなるべく抑えて、最適な推奨経路をユーザに提供する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本願発明は、ナビゲーション装置であって、推奨経路を探索するために出発地及び目的地を受け付ける受付手段と、前記推奨経路についての探索エリアを設定する探索エリア設定手段と、前記探索エリア内から前記推奨経路を探索する経路探索手段と、を備え、前記探索エリア設定手段は、前記出発地から前記目的地までの連続するメッシュで構成されるメッシュ経路の探索を行い、探索されたメッシュ経路を構成するメッシュを前記探索エリアに含める。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】地図データの概略データ構造を示す図である。
【図3】演算処理部の機能ブロック図である。
【図4】(A)基準探索エリアの一例を示す図である。(B)探索されたメッシュ経路の一例を示す図である。
【図5】(A)基準探索エリアとメッシュ経路(拡張探索エリア)が合成されたエリアの一例を示す図である。(B)設定される探索エリアの一例を示す図である。
【図6】経路探索処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態が適用されたナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4(マイクロフォン41、スピーカ42)と、入力装置5(タッチパネル51、ダイヤルスイッチ52)と、車速センサ6と、ジャイロセンサ7と、GPS受信装置8と、を備えている。なお、ナビゲーション装置100は、車両に載置されている車載用ナビゲーション装置としてもよいし、携帯電話やPDAなどの携帯端末としてもよい。
【0010】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、各種ハードウェアを演算処理部1に接続するためのI/F(インタフェース)24と、を有する。そして、演算処理部1は、各デバイスをバス25で相互に接続した構成からなる。そして、後述する各機能部(101〜105)は、CPU21がRAM22などのメモリに読み出したプログラムを実行することで実現される。
【0011】
例えば、演算処理部1は、各種センサ(6、7)やGPS受信装置8から出力される情報を基にして現在地を算出する。また、得られた現在地情報などに基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィック展開し、そこに現在地マーク(或いは、移動体の位置を示す移動体マーク)を重ねてディスプレイ2に表示する。
【0012】
また、演算処理部1は、記憶装置3に記憶されている地図データの中から、推奨経路の探索範囲となる探索エリアを設定する。そして、演算処理部1は、設定された探索エリアに含まれている地図データを用いて、ユーザーから指示された出発地(又は演算処理部1で算出された現在地)と、目的地と、を結ぶ推奨経路を探索する。なお、演算処理部1は、上述した探索エリアを、必要に応じて拡張することができる。また、演算処理部1は、音声入出力装置4のスピーカ42やディスプレイ2を用いてユーザーを誘導する。
【0013】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成される。
【0014】
記憶装置3は、CD−ROMやDVD−ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成される。この記憶媒体には、例えば、地図データ310、音声データ、動画データ、等が記憶されている。
【0015】
図2は、地図データ310の概略データ構造を示す図である。図示するように、地図データ310は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)311ごとに、そのメッシュ領域に含まれている道路を構成する各リンクのリンクデータ320を含んでいる。
【0016】
また、メッシュID311には、図示するように、各メッシュの代表値として、一般道路の平均旅行時間312と、有料道路の平均旅行時間313と、が対応付けて格納されている。ここで、一般道路の平均時間312は、例えば、メッシュ内に含まれている一般道路の各リンクに与えられた旅行時間(後述するリンク旅行時間325)を平均した値である。また、有料道路の平均時間313は、例えば、メッシュ内に含まれている有料道路の各リンクに与えられた旅行時間(リンク旅行時間325)を平均した値である。
【0017】
リンクデータ320は、リンクの識別コード(リンクID)321ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報322、リンクを含む道路の種別情報(例えば、一般道路、有料道路)を示す道路種別323、リンクの長さを示すリンク長情報324、リンク旅行時間325、2つのノードにそれぞれ接続するリンクの識別コード(接続リンクID)326、などを含んでいる。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードを区別することで、道路の上り方向と下り方向を、それぞれ別のリンクとして管理することができる。
【0018】
図1に戻り、音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン41と、音声出力装置としてスピーカ42と、を備える。マイクロフォン41は、運転手やその他の搭乗者から発された音声などを取得する。スピーカ42は、演算処理部1で生成された音声信号を出力する。これらのマイクロフォン41とスピーカ42は、車両の所定の部位に、別個に配置されている。
【0019】
入力装置5は、ユーザーからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、タッチパネル51と、ダイヤルスイッチ52と、その他のハードスイッチ(図示せず)であるスクロールキー、縮尺変更キーなどで構成される。また、入力装置5には、ナビゲーション装置100に対して遠隔で操作指示を行うことができるリモートコントローラが含まれる。リモートコントローラは、ダイヤルスイッチやスクロールキー、縮尺変更キーなどを備え、各キーやスイッチが操作された情報をナビゲーション装置100に送出することができる。
【0020】
タッチパネル51は、ディスプレイ2の表示面に貼られた透過性のある操作パネルである。タッチパネル51は、ディスプレイ2に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル51は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。
【0021】
ダイヤルスイッチ52は、時計回り及び反時計回りに回転可能に構成され、所定の角度の回転ごとにパルス信号を発生し、演算処理部1に出力する。演算処理部1では、パルス信号の数から、ダイヤルスイッチ52の回転角度を求める。
【0022】
車速センサ5、ジャイロセンサ7、及び、GPS受信装置8は、移動体(ナビゲーション装置100)の現在地(自車位置)などを算出するために使用される。車速センサ6は、車速を算出するために用いる車速データを出力するセンサである。ジャイロセンサ7は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体の回転による角速度を検出するものである。GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離とその距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで、移動体の現在地や進行速度を測定する。
【0023】
図3は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力受付部102と、表示処理部103と、経路探索部104と、探索エリア設定部105と、を有する。
【0024】
主制御部101は、演算処理部1の各部を統括して制御する処理を行う。
【0025】
入力受付部102は、入力装置5に入力されたユーザーからの要求を受け付け、その要求内容を解析し、解析結果に応じたデータを主制御部101に通知する。例えば、入力受付部102は、ナビゲーション装置100に、電源の投入、切断を指示する要求を受け付け、主制御部101に通知する。また、入力受付部102は、ナビゲーション装置100が有する各種機能の設定(例えば、出発地、目的地の設定)に関する入力データを受け付け、主制御部101に通知する。
【0026】
表示処理部103は、ディスプレイ2に、地図、探索された推奨経路、ユーザーに通知する各種メッセージ、等を表示させる。具体的には、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させるための描画コマンドを生成して通知する。なお、表示処理部103は、地図をディスプレイ2に表示させる際には、表示が要求された領域(例えば、推奨経路全体を表示するのに必要な領域)にある地図データを記憶装置3から抽出し、指定された描画方式で、道路、その他の地図構造物、現在地、目的地、推奨経路、等を描画するように地図コマンドを生成して主制御部101へ通知する。また、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させた地図上に、車両の位置を示す車両マークや各種設定画面などを表示するコマンドを生成して主制御部101へ通知する。
【0027】
経路探索部104は、設定されている探索エリア内から、推奨経路を探索する処理を行う。具体的には、経路探索部104は、後述する探索エリア設定部105で設定された探索エリアの地図データ310を読み出す。そして、ダイクストラ法等を用いて、指定された2地点(出発地や現在地、目的地)間を結ぶ経路のコスト(例えば、総距離や総旅行時間)が最小となる経路を探索する。このとき、経路探索部104は、探索した推奨経路を構成する各リンクの識別コード(リンクID)321を、それぞれ対応付けてRAM22等のメモリに記憶しておく。
【0028】
探索エリア設定部105は、推奨経路の検索範囲となる探索エリアを設定する。
【0029】
例えば、探索エリア設定部105は、探索エリアの設定に先立ち、指定された2地点(出発地、目的地)が含まれるエリア(以下では「基準探索エリア」という)を特定する。
【0030】
図4(A)は、基準探索エリアの一例を示す図である。図示するように、探索エリア設定部105は、例えば、出発地Sと目的地Gを結ぶ線分から所定距離内にあるメッシュを、基準探索エリアとして特定する。
【0031】
また、探索エリア設定部105は、出発地から目的地までの連続するメッシュで構成されるメッシュ経路の探索(以下では、「メッシュ経路探索」という)を行う。
【0032】
図4(B)は、探索されたメッシュ経路の一例を示す図である。探索エリア設定部105は、メッシュごとに与えられた平均旅行時間(312、313)を用いて、例えば、図示するような、出発地Sから目的地Gまでの連続するメッシュ経路(例えば、図中の1から12までのメッシュ)を探索する。そして、探索エリア設定部105は、探索したメッシュ経路を拡張探索エリアとして特定する。なお、メッシュ経路の具体的な探索方法については後述する。
【0033】
ここで、探索エリア設定部105は、基準探索エリアに、メッシュ経路(すなわち、拡張探索エリア)を含めたエリア(合成したエリア)を、探索エリアとして設定する。ただし、合成したエリアの外縁(最太線)より内側に、探索エリアとして設定されていないメッシュが存在する場合には、当該メッシュを探索エリアに含める。
【0034】
図5(A)は、基準探索エリアとメッシュ経路(拡張探索エリア)が合成されたエリアの一例を示す図である。図示するように、合成したエリアの外縁より内側に、探索エリアとして設定されていないメッシュが存在する場合がある。
【0035】
図5(B)は、設定される探索エリアの一例を示す図である。図示するように、探索エリサ設定部105は、基準探索エリアを拡張したエリアを、探索エリアとして設定することができる。
【0036】
また、図3には示していないが、演算処理部1は、経路誘導部を有していてもよい。例えば、経路誘導部は、経路探索部104によって探索された推奨経路を用いて経路誘導を行う。具体的には、経路誘導部は、表示処理部103を介して、ディスプレイ2に表示された地図の範囲に含まれている推奨経路を表示(強調表示)する。このとき、経路誘導部は、主制御部101で算出された現在地の情報に基づいて、移動体(車両)の現在地を示す移動体マーク(カーマーク)を推奨経路上に表示する。また、経路誘導部は、経路の情報と、主制御部101で算出された現在地の情報とを比較し、交差点等を通過する前に直進すべきか、右左折すべきかを、ディスプレイ2に表示させるとともに、音声入出力装置4のスピーカ42を用いて音声でユーザに知らせる。
【0037】
次に、上記構成からなるナビゲーション装置100の特徴的な動作について説明する。
【0038】
<特徴的な動作>
図6は、ナビゲーション装置100が行う処理を示すフローチャートである。
【0039】
演算処理部1の主制御部101は、例えば、ユーザからの指示(入力受付部102で受け付けた指示)に基づいて、本処理を開始する。
【0040】
主制御部101によって本処理が開始されると、入力受付部102は、経路探索のための設定を受け付ける(ステップS101)。具体的には、入力受付部102は、表示処理部103に設定画面をディスプレイ2に表示させ、出発地、目的地、探索条件、等の入力を受け付ける。
【0041】
そして、入力受付部102は、受け付けた各データを解析し、解析結果に応じたデータを主制御部101に通知する。このとき、主制御部101は、入力受付部102から通知されたデータを設定値として登録する(RAM22等のメモリに格納する)。なお、出発地については、各種センサ(6、7)やGPS受信装置8から出力される情報を基にして検出された現在地を設定値として登録してもよい。
【0042】
次に、探索エリア設定部105は、ステップS101で主制御部101によって登録された設定値に基づいて、メッシュ経路探索を行う(ステップS102)。
【0043】
このメッシュ経路探索の処理において、探索エリア設定部105は、まず、ステップS101で登録された出発地と目的地が含まれるエリア(図4A:基準探索エリア)の地図データ310を読み出す。
【0044】
そして、探索エリア設定部105は、ステップS101で主制御部101によって登録された探索条件に基づいて、「有料道路」を優先して経路探索を行うのか、「一般道路」を優先して経路探索を行うのか判定する。
【0045】
探索エリア設定部105は、「有料道路」を優先して経路探索を行うと判定した場合には、「有料道路」と「一般道路」の平均旅行時間(312、313)を用いて、メッシュ経路を探索する。具体的には、探索エリア設定部105は、基準探索エリアのメッシュ(メッシュID311)に対応付けられている、「一般道路」の平均旅行時間312と、「有料道路」の平均旅行時間313と、を特定する。そして、探索エリア設定部105は、メッシュごとに特定した2つの平均旅行時間(312、313)のうち、小さい値の平均旅行時間(312又は313)を読み出す。ここで、どちらかの平均旅行時間が存在しない場合には、存在する平均旅行時間を読み出す。その後、探索エリア設定部105は、メッシュごとに読み出した平均旅行時間(312又は313)をコストとし、ダイクストラ法などを用いて、その総和が最小となるメッシュ経路を探索する。すなわち、探索エリア設定部105は、「出発地が存在するメッシュ」から「目的地が存在するメッシュ」まで連続するメッシュのうち、平均旅行時間(312又は313)の総和が最小となるメッシュ経路(例えば、図4B)を探索する。
【0046】
一方、探索エリア設定部105は、「一般道路」を優先して経路探索を行うと判定した場合には、「一般道路」の平均旅行時間312を用いて、メッシュ経路を探索する。具体的には、探索エリア設定部105は、基準探索エリアのメッシュ(メッシュID311)に対応付けられている、「一般道路」の平均旅行時間312のみを特定する。そして、探索エリア設定部105は、メッシュごとに特定した平均旅行時間312を読み出す。その後、探索エリア設定部105は、メッシュごとに読み出した平均旅行時間312の総和が最小となるメッシュ経路を探索する。すなわち、探索エリア設定部105は、「出発地が存在するメッシュ」から「目的地が存在するメッシュ」まで連続するメッシュのうち、平均旅行時間312の総和が最小となるメッシュ経路(例えば、図4B)を探索する。
【0047】
続いて、探索エリア設定部105は、ステップS102で探索したメッシュ経路を用いて、探索エリアを設定する(ステップS103)。
【0048】
具体的には、探索エリア設定部105は、ステップS102で読み出した基準探索エリアと、ステップS102で探索したメッシュ経路(拡張探索エリア)を合成する。そして、合成したエリア(例えば、図5A、図5Bに示すエリア)を探索エリアとして設定する(具体的には、探索エリア設定部105は、合成したエリアを主制御部101に通知し、主制御部101は、通知されたエリアを探索エリアとしてRAM22等のメモリに登録する)。
【0049】
ただし、探索エリア設定部105は、図5Aに示すように、合成したエリアの外縁(最太線)より内側に、探索エリアとして設定されていないメッシュ(無地のメッシュ)が存在するか否か判定する。
【0050】
ここで、探索エリアとして設定されていないメッシュが、合成したエリア内に存在すると判定した場合には、探索エリア設定部105は、図5Bに示すように、探索エリアとして設定されていないメッシュを、探索エリアに含める。
【0051】
一方、探索エリアとして設定されていないメッシュが、合成したエリア内に存在しないと判定した場合には、探索エリア設定部105は、合成したエリアをそのまま探索エリアとして設定する(具体的には、探索エリア設定部105は、合成したエリアを主制御部101に通知し、主制御部101は、通知されたエリアを探索エリアとしてRAM22等のメモリに登録する)。
【0052】
そして、探索エリア設定部105は、設定した探索エリア(例えば、探索エリアを構成するメッシュID311)を、メモリから読み出し、経路探索部104に通知する。
【0053】
探索エリアが通知された経路探索部104は、通知された探索エリア内から、推奨経路を探索する(ステップS104)。その後、経路探索部104は、探索した推奨経路を主制御部101に通知する。このとき、主制御部101は、通知された推奨経路をRAM22等のメモリに記憶し、本フローを終了する。
【0054】
以上の処理を演算処理部1が行うことにより、本実施形態のナビゲーション装置100は、従来の基準探索エリアよりも広域なエリアから、推奨経路を探索することができる。これにより、本実施形態のナビゲーション装置100は、推奨経路の探索時間を抑えながらも、基準探索エリア外に存在する最適な推奨経路をユーザに提供することができるようになる。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では、推奨経路の探索に用いる地図データ310の縮尺については記載していない。本ナビゲーション装置100は、推奨経路の探索時間をさらに低減させるために、ステップS103で設定する探索エリアが広域となる場合には、用いる地図データ310の縮尺レベルを変更(広域地図に変更)してもよい。この場合、経路探索部104は、変更された地図データ310を用いて、経路探索を行う。
【0057】
また、上記実施形態では、「一般道路」を優先する探索条件と、「有料道路」を優先する探索条件が設定される場合について記載している。しかし、本発明で設定され得る探索条件は、これに限定されない。例えば、交通渋滞の程度を示す混雑度を探索条件として設定するようにしてもよい。この場合、演算処理部1は、混雑度を用いて、メッシュ経路の探索、推奨経路の探索を行うようにしてもよい。具体的には、混雑度を用いてメッシュ経路の探索を行う場合、探索エリア設定部105は、メッシュ経路の探索に先だち、上述した平均旅行時間(312、313)に、混雑度を乗算すればよい。そして、探索エリア設定部105は、混雑度が乗算された平均旅行時間(312、313)を用いて、メッシュ経路を探索する。これにより、本ナビゲーション装置100は、交通渋滞が発生していないメッシュ経路を探索することができる。
【0058】
また、上記実施形態では、「一般道路」の平均旅行時間312と、「有料道路」の平均旅行時間313を用いて、メッシュ経路の探索をしている。しかし、本発明は、これに限定されない。本発明の探索エリア設定部105は、メッシュごとに定められている代表値をコストとして用い、メッシュ経路の探索を行う。従って、当該代表値には、上述した平均旅行時間(312、313)の代わりに、例えば、平均リンク長が用いられてもよい。ここで、平均リンク長とは、メッシュ内に含まれている各リンクに与えられたリンク長324を平均した値である。
【符号の説明】
【0059】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声入出力装置、5・・・入力装置、6・・・車速センサ、7・・・ジャイロセンサ、8・・・GPS受信装置、21・・・CPU、22・・・RAM、23・・・ROM、24・・・インターフェイス(I/F)、41・・・マイクロフォン、42・・・スピーカ、51・・・タッチパネル、52・・・ダイヤルスイッチ、100・・・ナビゲーション装置、101・・・主制御部、102・・・入力受付部、103・・・表示処理部、104・・・経路探索部、105・・・探索エリア設定部、310・・・地図データ、311・・・メッシュID、312・・・平均旅行時間(一般道路)、313・・・平均旅行時間(有料道路)、320・・・リンクデータ、321・・・リンクID、322・・・開始ノード・終了ノード、323・・・道路種別、324・・・リンク長、325・・・リンク旅行時間、326・・・開始接続リンク・終了接続リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置であって、
推奨経路を探索するために出発地及び目的地を受け付ける受付手段と、
前記推奨経路についての探索エリアを設定する探索エリア設定手段と、
前記探索エリア内から前記推奨経路を探索する経路探索手段と、を備え、
前記探索エリア設定手段は、
前記出発地から前記目的地までの連続するメッシュで構成されるメッシュ経路の探索を行い、探索されたメッシュ経路を構成するメッシュを前記探索エリアに含める、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
メッシュごとに代表値が定められており、
前記探索エリア設定手段は、
前記代表値をコストとして、前記メッシュ経路の探索を行う、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
メッシュごとに、一般道路についての第1の代表値と、有料道路についての第2の代表値と、が定められており、
前記受付手段は、
前記推奨経路を探索する探索条件をさらに受け付け、
前記探索エリア設定手段は、
前記受付手段で有料道路を優先する探索条件を受け付けている場合には、前記第1の代表値と、前記第2の代表値と、を用いて、前記メッシュ経路の探索を行い、
前記受付手段で一般道路を優先する探索条件を受け付けている場合には、前記第1の代表値のみ、を用いて、前記メッシュ経路の探索を行う、
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
ナビゲーション装置における経路探索方法であって、
推奨経路を探索するために出発地及び目的地を受け付ける受付ステップと、
前記推奨経路についての探索エリアを設定する探索エリア設定ステップと、
前記探索エリア内から前記推奨経路を探索する経路探索ステップと、を有し、
前記探索エリア設定ステップでは、
前記出発地から前記目的地までの連続するメッシュで構成されるメッシュ経路の探索を行い、探索されたメッシュ経路を前記探索エリアに含める、
ことを特徴とする経路探索方法。
【請求項5】
コンピューターを、ナビゲーション装置として機能させるプログラムであって、
推奨経路を探索するために出発地及び目的地を受け付ける受付ステップと、
前記推奨経路についての探索エリアを設定する探索エリア設定ステップと、
前記探索エリア内から前記推奨経路を探索する経路探索ステップと、を前記コンピューターに実行させ、
前記探索エリア設定ステップでは、
前記出発地から前記目的地までの連続するメッシュで構成されるメッシュ経路の探索を行い、探索されたメッシュ経路を前記探索エリアに含める、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−145189(P2011−145189A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6559(P2010−6559)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】