説明

ナビゲーション装置、電子機器、制御方法及びプログラム

【課題】操作が簡単で、高い安全性と信頼性で盗難防止に寄与できる電子機器と、その制御方法を提供する。
【解決手段】利用者は、予め入力部16を通じて特定の地点の位置情報をセキュリティ記憶部14に記憶しておく。BAT電源が切断され、再度電源が投入された後、少なくともナビゲーション機能が停止した盗難防止状態となる。制御部11は、利用者に地点指定を促す情報を表示部15に表示し、セキュリティ記憶部14に予め記憶した位置情報と一致する位置情報が利用者によって入力された場合に限り、停止させていた機能を回復させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置と電子機器及び電子機器の制御方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置等の車載機器の盗難防止方法として、予めメーカ又は利用者によって4桁の番号を登録しておき、電源が切断されると、盗難防止状態となり、再度電源が投入された際に、予め登録されていた番号が入力されない限り、正常に動作させないという方法がある。ここに、盗難防止状態とは、例えば、盗難防止状態を解除するための機能以外の車載機器の(ほぼ)全動作が停止している状態のことを示す。この種の盗難防止方法は、盗難品の使用・利用を困難にさせることで、窃盗意欲を減退させ、盗難を抑止することにより、盗難を防止するものである。
【0003】
しかし、4桁の番号では、盗難者が根気よく番号を入力し続けることによって、盗難防止状態を解除することができ、信頼性・安全性に問題があった。また、電源が切断されることは、頻繁には起きないため、利用者自らが番号を登録した場合であっても、登録した番号を忘れてしまうという問題があった。
【0004】
そこで、盗難防止状態の解除を、番号ではなく物で行う技術が開発されている。例えば、ディスクの情報を用いる方式(例えば特許文献1)、車両のキーレスエントリーを用いる方式(例えば特許文献2)が知られている。
【特許文献1】特開平7−182840号公報
【特許文献2】特開平9−282573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、車載機器と同時にディスクが盗難された場合は、容易に盗難防止状態を解除することができてしまうため、番号による方式と同様に信頼・安全性に問題がある。また、ディスクを紛失してしまえば、盗難防止状態を解除できず、かえって利用者にとって不便であった。
【0006】
特許文献2に開示された技術でも、盗難防止状態を解除するためにはキーレスエントリーシステムのキーが必要であり、このキーが、同時に盗難に遭えば容易に盗難防止状態を解除することが可能であり、信頼・安全性に問題がある。また、キーを紛失してしまえば、盗難防止状態を解除することができず、利用者にとって不便なものであった。
【0007】
同様の問題は、ナビゲーションシステムや車載機器に限らず、盗難の対象となる様々な電子機器全般に共通に存在する。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、操作が簡単で、高い安全性と信頼性で盗難防止に寄与できる電子機器と、その制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、特に、操作が簡単で、高い安全性と信頼性で盗難防止に寄与できるナビゲーション装置と、その制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るナビゲーション装置は、
利用者を目的地に誘導するナビゲーション装置であって、
地図情報を用いて、目的地へ誘導するためのナビゲーション処理を実行するナビゲーション手段と、
特定の地点の位置情報を予め記憶する位置情報記憶手段と、
任意の地点の指定を受付ける指定手段と、
前記位置情報記憶手段に記憶されている位置情報が示す地点と、前記指定手段を介して指定された地点とを照合する照合手段と、
前記照合手段によって、前記位置情報手段に記憶されている位置情報が示す位置と、前記指定手段を介して指定された位置とが一致しない場合、少なくとも前記ナビゲーション手段によるナビゲーション処理を禁止する動作制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
前記指定手段は、
所定の情報と位置情報とを対応付けて複数記憶する記憶手段と、
利用者の操作に応答して所定の情報を入力する情報入力手段と、
情報入力手段によって入力された情報に対応する位置情報を前記記憶手段から取得して、前記照合手段に提供する手段と、
を備えてもよい。
【0011】
前記情報入力手段は、
キーワードを入力するキーワード入力手段と、
該キーワード入力手段により入力されたキーワードを含む情報を前記記憶手段に記憶された情報のうちから抽出して入力する手段と、
を備えてもよい。
【0012】
前記指定手段は、前記ナビゲーション装置の位置を判別し、判別した位置を示す位置情報を前記照合手段に提供する手段を備えてもよい。
【0013】
前記照合手段は、このナビゲーション装置の電源接続時に起動し、
前記指定手段により指定された位置情報が前記記憶手段に予め記憶されている位置情報が示す位置と一致するか否かを判別し、一致すると判別するまでは、少なくとも前記ナビゲーション手段によるナビゲーション動作を禁止してもよい。
【0014】
前記位置情報記憶手段に記憶されている位置情報を、前記位置情報記憶手段と、前記照合手段との間で送受信する際、前記暗号化手段によって暗号化された位置情報を用いてもよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る電子機器は、
電力の供給を受けて動作する電子機器であって、
電力の供給停止後の電力の供給再開に応答して、前記電子機器の動作禁止状態に設定する制御手段と、
特定の地点を示す位置情報を入力する位置情報入力手段と、
前記位置情報入力ステップで入力された位置情報が示す位置と、予め登録されている位置とを照合し一致しない場合に、前記動作禁止モードを維持する照合手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る動作制御方法は、
電力の供給を受けて、所定の動作を行う電子機器の動作制御方法であって、
電力の供給停止後の電力の供給再開に応答して、前記電子機器を動作禁止状態に設定する制御手段と、
特定の地点を示す位置情報を入力する位置情報入力ステップと、
前記位置情報入力ステップで入力された位置情報が示す位置と、予め登録されている位置とを照合し一致しない場合に、前記動作禁止モードを維持する照合ステップと、を備えることを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係るコンピュータプログラムは、
コンピュータを、
電力の供給停止後の電力の供給再開に応答して、所定の動作を禁止する動作禁止状態に設定する制御手段、
特定の地点を示す位置情報を入力する位置情報入力手段、
前記位置情報入力ステップで入力された位置情報が示す位置と、予め登録されている位置とを照合し一致しない場合に、前記動作禁止状態を維持する照合照合手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、操作が簡単で、高い安全性と信頼性で盗難防止に寄与できる電子機器と、その制御方法を提供することができる。
本発明によれば、特に、操作が簡単で、高い安全性と信頼性で盗難防止に寄与できるカーナビゲーション装置と、その制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る車載用ナビゲーション装置について図を用いて説明する。
【0020】
本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置10の構成例を図1に示す。図示するように、ナビゲーション装置10は、制御部11、記憶部12、セキュリティ制御部13、セキュリティ記憶部14、表示部15、入力部16を備え、車両本体よりBAT電源とACC電源とが供給される。
【0021】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、記憶部12に記憶されているプログラムに従って動作し、ナビゲーション装置10全体の動作、例えば、利用者を目的地に誘導するためのナビゲーション動作を制御する。特に、この実施の形態において、制御部11は、BAT電源接続時にこのナビゲーション装置10を盗難防止状態に設定し、その後、所定の解除条件が成立した際に盗難防止状態を解除する処理を実行する。この解除条件とは、セキュリティ記憶部14に事前に記憶されている位置情報が示す位置と入力部16から入力された位置情報が示す位置とが一致することである。
【0022】
なお、盗難防止状態とは、この盗難防止状態を解除するための機能以外のナビゲーション装置の主要動作(ナビゲーション動作等)が停止している状態のことである。
【0023】
記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブ、DVD(Digital Versatile Disk)−RAM等から構成され、制御部11が様々な処理を実行するための動作プログラム、地図情報、処理に必要な各種データ等を記憶する。
【0024】
セキュリティ制御部13は、マイクロコンピュータ(Micro Computer)等から構成され、このナビゲーション装置10の使用開始時に、制御部11から、盗難防止状態を解除するための暗号化された解除情報を受信し、セキュリティ記憶部14に記憶する。また、セキュリティ制御部13は、制御部11から要求された際に、セキュリティ記憶部14から暗号化された解除情報を読み出し、制御部11に送信する。
【0025】
セキュリティ記憶部14は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )等から構成され、解除情報等を記憶する。セキュリティ記憶部14の記憶する解除情報は、特定の地点を示す解除位置情報と、解除位置情報があることを示す情報と、から構成される。
【0026】
表示部15は、例えば、液晶ディスプレイ等から構成され、制御部11からの指示に従って様々な情報、例えば、ナビゲーション情報、利用者へのメッセージなどを表示する。
【0027】
入力部16は、例えば、キーパッド等の入力装置から構成され、入力された情報を制御部11に送信する。入力部16は、タッチパネル等から構成されても良く、この場合入力部16と表示部15とは重なった構造となる。
【0028】
BAT電源は、車両(バッテリー)からこのナビゲーション装置10に常時供給される電力(電源)であり、制御部11に供給される。一方、ACC(Accessary)電源は、イグニッションがオンになってから供給される電力(電源)であり、ナビゲーション装置10内の各部に供給される。
【0029】
このナビゲーション装置10は、1)このナビゲーション装置10の使用開始時などの初期状態で、セキュリティ記憶部14に所定の位置情報を解除情報として記憶させ、その後、通常動作に移り、2)ナビゲーション装置10が車両から取り外されて、再設置され、BAT電源が再接続された際に、システムを盗難防止状態に設定し、3)入力された解除情報がセキュリティ記憶部14に記憶されている解除情報に一致したときに、通常状態に移る、という制御を行う。以下、上記3ステップに分けて、このナビゲーション装置10の動作を説明する。
【0030】
まず、1)ナビゲーション装置10の初期状態において、解除情報をセキュリティ記憶部14に記憶させる処理について図2及び3のフローチャートを参照して説明する。この処理は、図2に示す初期処理と、図3に示す登録処理とから構成される。
【0031】
例えば、利用者は、ナビゲーション装置10を購入後、自己の車両に設置する。ナビゲーション装置にBAT電源、ACC電源が投入されると、制御部11は図2に示す初期処理を開始する。
【0032】
BAT電源、ACC電源が投入されると、制御部11は、記憶部12との通信を確立する(ステップS01)。ここに、通信の確立とは、通常動作時に、制御部11と記憶部12の間で、相互の情報を送受信できる状態のことを意味する。
【0033】
ステップS01で記憶部12と通信確立ができなかった場合(ステップS02:No)で、リトライが予め定められた回数に至らない場合(ステップS10:No)、制御部11は、ステップS01に戻り、再度、通信確立を行う。
リトライが予め定めた回数に至った場合(ステップS10:Yes)、制御部11は、ナビゲーション装置10の動作を停止する。
【0034】
記憶部12と通信確立ができた場合(ステップS02:Yes)、制御部11は、ナビゲーション装置の初期設定を行う(ステップS03)。ナビゲーション装置10の初期設定とは、ナビゲーション装置10に備えられた施設名検索、地図表示等の機能を実現するための設定を行うことを意味する。
【0035】
ナビゲーション装置10の初期設定が終了した後、制御部11は、セキュリティ状態を取得するため、セキュリティ制御部13との通信確立を行う(ステップS04)。ここでの通信確立もステップS1における記憶部12との通信確立と同様に、セキュリティ制御部13と相互に情報を交換できる状態になったことを意味する。
【0036】
セキュリティ制御部13との通信確立が出来なかった場合(ステップS05:No)で、リトライが予め設定された回数を超えない場合(ステップS11:No)ステップS10と同様に、予め設定された回数に至るまで通信確立のリトライをする。なお、リトライした回数が予め定められた回数を超えた場合(ステップS11:Yes)、制御部11はナビゲーション装置10の動作を停止する。
【0037】
セキュリティ制御部13との通信確立が出来た場合(ステップS05:Yes)、制御部11は、セキュリティ制御部13へ解除情報の要求を送信し、待機する(ステップS06)。
【0038】
要求を受信したセキュリティ制御部13は、セキュリティ記憶部14から暗号化された解除情報を読み出し、制御部11へ送信する。なお、制御部11とセキュリティ制御部13間での解除情報の通信、及びセキュリティ制御部13とセキュリティ記憶部14間での解除情報の通信は、解除情報の安全のため、それぞれ暗号化された状態で行う。従って、解除情報の暗号化及び復号化は、制御部11が行う。
【0039】
解除情報を受信できなかった場合(ステップS07:No)、制御部11は、ステップS06に戻り、再度セキュリティ制御部13に対して解除情報の要求を送信する。
【0040】
解除情報を受信した場合(ステップS07:Yes)、制御部11は、暗号化されている解除情報を復号化する(ステップS08)。
【0041】
制御部11は、復号化した解除情報を、一旦制御部11内のRAM(内部RAM)に記憶し、解除位置情報が登録済であるかを判別する(ステップS09)。制御部11は、この解除位置情報が登録されていない場合(ステップS09:No)には図3に示す登録処理へと遷移する。なお、解除位置情報が登録されている場合(ステップS09:Yes)、制御部11は、後述するように、ナビゲーション装置10を盗難防止状態に設定する。
【0042】
次に、制御部11は、図3に示すように、利用者に対して1回目の地点指定を促す情報を表示部15に表示する(ステップS21)。
【0043】
利用者が地点を示す場合は、入力部16を所定の施設名を通じて入力する。制御部11は、利用者によって入力された施設名に対応する位置情報を、記憶部12に記憶されている施設名データベースから読み出し、表示部15に表示する。利用者は、表示部15に表示された位置情報を確認し、入力部16を通じて地点指定を行う。なお、施設名データベースは、例えば駅などの施設と、その施設の位置情報とを対応付けたものである。
【0044】
また、利用者による地点指定は、入力部16を通じ地図をスクロールさせて地図上の任意の地点を示すことによってなされても良い。また、施設名と同様に、郵便番号と、その郵便番号の区域の特定の地点の位置情報とを対応付けた郵便番号データベース、住所と、その住所の区域の特定の地点の位置情報を対応付けた住所データベースを記憶部12に記憶し、これらを用いても良い。
【0045】
また、利用者による地点指定は、施設名データベース、郵便番号データベース、住所データベースを記憶部12に記憶させ、これらを利用したキーワード検索によることもできる。キーワード検索は、以下の順になされる。
まず、利用者によってキーワードが入力されると、制御部11は、記憶部12に記憶したデータベースを利用し、入力されたキーワードを含む施設名又は、郵便番号又は、住所の情報を表示部15に表示する。
次に、利用者によって表示した情報の選択がなされると、制御部11は、選択された情報に対応する位置情報を、記憶部12に記憶されている施設名等のデータベースを利用し表示部15に表示する。
【0046】
地点の指定がなされた場合(ステップS22:Yes)、制御部11は、示された地点の位置情報を制御部11内のRAMに格納する(ステップS23)。
【0047】
次に、制御部11は、利用者に対して2回目の地点指定を行うように促す情報を表示部15に表示する(ステップS24)。
【0048】
1回目の地点指定と同様に、2回目の地点指定がなされると(ステップS25:Yes)、制御部11は、指定された地点の位置情報と、制御部11内のRAMに格納した1回目の位置情報とを照合する(ステップS26)。
【0049】
1回目と2回目の位置情報とが一致しない場合(ステップS27:No)、制御部11は、ステップS23で制御部11内のRAMに格納した1回目の位置情報を消去する(ステップS32)。また、再度入力を促す情報を、表示部15に表示する(ステップS33)。次に制御部11は、ステップS21に進み、登録地点の入力を促す情報を表示部15に表示する。
【0050】
1回目と2回目の位置情報とが一致する場合(ステップS27:Yes)、制御部11は、解除位置情報と、解除位置情報があることを示す情報とを暗号化する(ステップS28)。
【0051】
次に、制御部11は、両者を解除情報として、セキュリティ制御部13に送信し、セキュリティ制御部13からの登録完了通知を受信するまで待機する(ステップS29)。
【0052】
暗号化された解除情報を受信したセキュリティ制御部13は、セキュリティ記憶部14に解除情報を記憶する。セキュリティ記憶部14に解除情報を記憶した後、セキュリティ制御部13は登録完了を示す情報を制御部11に対して送信する。
【0053】
セキュリティ制御部13から登録完了の情報を受信しない場合(ステップS30:No)、制御部11は、ステップS29に戻り、再度セキュリティ制御部13へ解除情報を送信する。
【0054】
セキュリティ制御部13から登録完了の情報を受信した場合(ステップS30:Yes)、制御部11は、登録が完了した旨を示す情報を表示部15に表示し(ステップS31)、登録処理を終了する。
【0055】
次に、2)ナビゲーション装置10が車両から取り外されて、再設置され、BAT電源が再接続された際に、システムを盗難防止状態に設定する動作について説明する。
【0056】
BAT電源とACC電源が投入されると、制御部11は、上述した図2に示すステップS01〜ステップS05と同様の動作を行い、記憶部12とセキュリティ制御部13と通信を確立する。また、制御部11は、ステップS06〜ステップS08と同様の動作を行い、セキュリティ制御部13を通じて解除情報を取得する。
【0057】
制御部11は、セキュリティ記憶部14に記憶されている解除情報を、セキュリティ制御部13を通じて取得し、復号化して内部RAMに格納する。制御部11は、解除情報が登録済であると判別した場合(ステップS09:Yes)、ナビゲーション装置10を盗難防止状態とするため、ナビゲーション機能を停止する(ステップS12)。
【0058】
ここで、盗難防止状態として、ナビゲーション機能を停止する場合を例に挙げて説明している。盗難防止状態は、盗難された場合の不正利用を防ぐことで、窃盗の意欲を減退させるものであれば良い。従って、ナビゲーション機能が停止しているだけでなく、制御部11は、盗難防止状態を解除するために最低限必要な動作以外の命令を一切受け付けないとしても良い。
【0059】
次に、制御部11は、利用者に照合処理を促す情報を表示部15に表示し、待機する(ステップS13)。上述した動作で、ナビゲーション装置10は盗難防止状態に設定される。
【0060】
次に、3)入力された解除情報が、セキュリティ記憶部14に記憶されている解除情報に一致した時に、通常状態に移るという動作を、図4に示すフローチャートを参照して説明する。この動作は、2)で、BAT電源が再投入され、盗難防止状態に設定された後、この状態を解除するため、予め登録された解除情報と、利用者が入力した情報とが一致する場合に、ナビゲーション装置10の盗難防止状態を解除し、通常状態に移すものである。
【0061】
利用者によって照合処理の開始が指示されると、制御部11は、図4に示す照合処理を開始する。
【0062】
制御部11は、利用者に対して地点指定を促す情報を表示部15に表示する(ステップS41)。
【0063】
利用者は、図3に示す登録処理で行った地点指定と同様に、施設名入力、キーワード検索等を用いて地点を指定する。利用者によって地点指定がなされる(ステップS42:Yes)と、制御部11は、指定された地点の位置情報と、制御部11の内部RAMに記憶した解除位置情報とを照合する(ステップS43)。
【0064】
両者が一致すると判別した場合(ステップS44:Yes)、制御部11は、表示部15に照合完了を示す情報を表示する(ステップS45)。
【0065】
次に、制御部11は、ナビゲーション装置10のナビゲーション機能を回復し(ステップS46)、照合処理を終了する。
【0066】
両者が一致しないと判別した場合(ステップS44:No)、制御部11は、地点の指定が予め設定された回数を超えているか否かを判別する(ステップS47)。
【0067】
所定の回数に達していない場合(ステップS47:No)、制御部11は、ステップS41に戻り、地点の指定を促す情報を表示部15に表示する。
所定の回数に達した場合(ステップS47:Yes)、制御部11は、ナビゲーション装置10の動作を停止する。
【0068】
以上の構成を採るナビゲーション装置10は、ナビゲーション装置10に備えられた地図情報を利用して、解除情報の設定及び、盗難防止状態を解除するため、操作が容易であり、且つ解除するためのキーとなる情報が多くなり、安全性と信頼性が向上する。また、盗難防止状態の解除に、別部品を必要とはしないので紛失などのおそれもなく、ナビゲーション装置に別部品をつける必要もない。また、地点を視覚的に覚えられることによって、数字などと違い、利用者が忘れにくいという効果も得られる。
【0069】
また、一旦登録した解除位置情報は、図4に示す照合処理がなされた後等、ナビゲーション装置10が通常に動作している際、登録処理で説明したステップS21〜S31等と同様の操作で、変更することもできる。このように利用者が定期的に解除情報を変更できることで、安全性が更に向上する。
【0070】
なお、上述した実施の形態で、解除情報の解除位置情報等、地図上の特定の地点を示す位置情報は、緯度及び経度で処理することも、地図上の地点を所定の規則に従い数桁の番号に変換して処理することも可能である。
【0071】
上述した実施の形態において、カーナビゲーション装置を例に挙げて記述したが、これに限られず、本発明は、例えば携帯電話に搭載されているナビゲーション装置等、ナビゲーション装置一般に応用することが可能である。
例えば、携帯電話に搭載されているナビゲーション装置に応用する場合、BAT電源から外されること、及びACC電源はない。従って、盗難防止状態になるのは、例えば所定時間携帯電話が操作されなかった場合等であるが、それ以外はナビゲーション装置の場合と同様の構成を採ることが可能である。
【0072】
また、上述した実施の形態において、ナビゲーション装置が盗難された場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、本発明は不正使用の防止に応用することが可能である。この場合、例えば、BAT電源からの電力供給は切断されなくても、ACC電源が切断された場合、制御部11は、不正使用を防止するため、ナビゲーション機能等を停止する。利用者によって、正しい解除情報が入力された場合に限り、制御部11は、ナビゲーション機能等を回復させる。
【0073】
ナビゲーション装置の構成として、上述した実施の形態では、解除情報を管理するセキュリティ制御部13及び解除情報を記憶するセキュリティ記憶部14を、制御部11と記憶部12とから独立して設ける構成を例に挙げて説明した。しかし、この構成に限られず、例えば、セキュリティ制御部13を除き、制御部11がセキュリティ記憶部14に解除情報を記憶し、読み出すという構成を採ることも可能である。また、セキュリティ記憶部14を省略し、解除情報を記憶部12に格納するという構成を採用することも可能である。
【0074】
また、上述した実施の形態において、地図情報は記憶部12に記憶されている構成を採って説明したが、DVDディスクなどの記憶媒体に地図情報を記憶させ、ナビゲーション装置に記憶媒体読取部を備え、記憶媒体から読み取るという構成を採ることも可能である。
【0075】
本発明は上述した実施の形態に限られず、様々な変形及び応用が可能である。
例えば、上述した実施の形態において、盗難防止状態を解除する際、利用者はナビゲーション装置の施設検索機能を用いて表示部15に表示される地図上で、地点を指示する構成を採用しているが、これをナビゲーション装置のGPS(Ground Positioning System)から送信される現在地の位置情報を用いる構成を採ることも可能である。
【0076】
この構成を採る場合、利用者は上述した実施の形態で記述した初期処理及び登録処理と同様に、セキュリティ記憶部14に任意の解除地点を登録する。
次に、照合処理を行う場合、制御部11は、まず登録した解除地点に行くように促す情報を表示部15に表示する。
【0077】
利用者は、解除地点に行き、入力部16を通じて照合を指示する。利用者から照合の指示を受けると、制御部11は、GPSから受信した現在地の位置情報と、セキュリティ記憶部14に記憶されている解除地点の位置情報とを照合し、両者が所定の誤差範囲内で一致するかを判別する。
【0078】
両者が一致する場合、制御部11は停止していたナビゲーション機能等を、回復させる。一方、両者が一致しない場合、制御部11は、上述した実施の形態と同様に動作を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】ナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】初期処理を示すフローチャートである。
【図3】登録処理を示すフローチャートである。
【図4】照合処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
10 ナビゲーション装置
11 制御部
12 記憶部
13 セキュリティ制御部
14 セキュリティ記憶部
15 表示部
16 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を目的地に誘導するナビゲーション装置であって、
地図情報を用いて、目的地へ誘導するためのナビゲーション処理を実行するナビゲーション手段と、
特定の地点の位置情報を予め記憶する位置情報記憶手段と、
任意の地点の指定を受付ける指定手段と、
前記位置情報記憶手段に記憶されている位置情報が示す地点と、前記指定手段を介して指定された地点とを照合する照合手段と、
前記照合手段によって、前記位置情報手段に記憶されている位置情報が示す位置と、前記指定手段を介して指定された位置とが一致しない場合、少なくとも前記ナビゲーション手段によるナビゲーション処理を禁止する動作制御手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記指定手段は、
所定の情報と位置情報とを対応付けて複数記憶する記憶手段と、
利用者の操作に応答して所定の情報を入力する情報入力手段と、
情報入力手段によって入力された情報に対応する位置情報を前記記憶手段から取得して、前記照合手段に提供する手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記情報入力手段は、
キーワードを入力するキーワード入力手段と、
該キーワード入力手段により入力されたキーワードを含む情報を前記記憶手段に記憶された情報のうちから抽出して入力する手段と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記指定手段は、前記ナビゲーション装置の位置を判別し、判別した位置を示す位置情報を前記照合手段に提供する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記照合手段は、このナビゲーション装置の電源接続時に起動し、
前記指定手段により指定された位置情報が前記記憶手段に予め記憶されている位置情報が示す位置と一致するか否かを判別し、一致すると判別するまでは、少なくとも前記ナビゲーション手段によるナビゲーション動作を禁止する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記位置情報記憶手段に記憶されている位置情報を、前記位置情報記憶手段と、前記照合手段との間で送受信する際、前記暗号化手段によって暗号化された位置情報を用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
電力の供給を受けて動作する電子機器であって、
電力の供給停止後の電力の供給再開に応答して、前記電子機器の動作禁止状態に設定する制御手段と、
特定の地点を示す位置情報を入力する位置情報入力手段と、
前記位置情報入力ステップで入力された位置情報が示す位置と、予め登録されている位置とを照合し一致しない場合に、前記動作禁止モードを維持する照合手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
電力の供給を受けて、所定の動作を行う電子機器の動作制御方法であって、
電力の供給停止後の電力の供給再開に応答して、前記電子機器を動作禁止状態に設定する制御手段と、
特定の地点を示す位置情報を入力する位置情報入力ステップと、
前記位置情報入力ステップで入力された位置情報が示す位置と、予め登録されている位置とを照合し一致しない場合に、前記動作禁止モードを維持する照合ステップと、
を備えることを特徴とする電子機器の動作制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、
電力の供給停止後の電力の供給再開に応答して、所定の動作を禁止する動作禁止状態に設定する制御手段、
特定の地点を示す位置情報を入力する位置情報入力手段、
前記位置情報入力ステップで入力された位置情報が示す位置と、予め登録されている位置とを照合し一致しない場合に、前記動作禁止状態を維持する照合照合手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−153747(P2006−153747A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347019(P2004−347019)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】