ナビゲーション装置及びナビゲーション用プログラム
【課題】より誤マッチングを少なくすると共に、走行軌跡の補正を適切に行う。
【解決手段】GPSの測定精度から求めた最大想定誤差eを半径とする信頼度円を求め、対応する推測位置と候補地点から信頼度円までの距離の二乗値を両地点の地点相関値sとし、推測軌跡、候補軌跡上の各地点の地点相関値を累計した値を、推測軌跡の相関値Sp、候補軌跡の相関値Sqとする。推測軌跡の相関値Spが、候補地点による推測軌跡(候補軌跡)の相関値Sqよりも悪く(大きな値)なる場合、推測軌跡の補正を行わず、相関値が良く(小さく)なる場合に推測軌跡の補正、すなわち候補軌跡を補正後の推測軌跡とする。このように、GPSの測位位置に対する信頼度だけではなく、所定区間のGPS軌跡に対する補正前後の推測軌跡の相関値を考慮することで、より推測軌跡をより正確な位置に残すことが可能となり、結果として自車位置精度の向上が可能となる。
【解決手段】GPSの測定精度から求めた最大想定誤差eを半径とする信頼度円を求め、対応する推測位置と候補地点から信頼度円までの距離の二乗値を両地点の地点相関値sとし、推測軌跡、候補軌跡上の各地点の地点相関値を累計した値を、推測軌跡の相関値Sp、候補軌跡の相関値Sqとする。推測軌跡の相関値Spが、候補地点による推測軌跡(候補軌跡)の相関値Sqよりも悪く(大きな値)なる場合、推測軌跡の補正を行わず、相関値が良く(小さく)なる場合に推測軌跡の補正、すなわち候補軌跡を補正後の推測軌跡とする。このように、GPSの測位位置に対する信頼度だけではなく、所定区間のGPS軌跡に対する補正前後の推測軌跡の相関値を考慮することで、より推測軌跡をより正確な位置に残すことが可能となり、結果として自車位置精度の向上が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びナビゲーション用プログラムに係り、詳細にはナビゲーションにおけるマップマッチングに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されて目的地までの走行経路を探索して車両を案内するナビゲーション装置が広く普及している。
このナビゲーション装置では、車両の現在位置を特定し、車両の現在位置を地図上に表示したり、走行の案内をしたりしている。
現在位置の特定にはジャイロ・車速パルス・加速度センサといったセンサ類が使用されており、それらの情報から推測航法により推測軌跡を作成している。
そして、作成した推測軌跡とDB(データーベース)に格納した道路情報とで形状マッチングを行い、一致した位置を現在位置として特定し、特定した現在位置に自車位置を表す現在位置マークを表示している。この場合、推測した現在位置を一致した道路上の現在位置に合わせるように推測軌跡全体を移動させるように位置補正をしている。
【0003】
このような推測航法に基づく推測軌跡と道路情報に基づく形状のマッチングを行う場合に、推測軌跡と道路情報とで形状比較をして一致してしまうと、誤った位置にマッチングしてしまうことがあった。
【0004】
一方、車両の絶対位置(緯度、経度)を測定するためにGPSが用いられているが、GPS情報は主に上記センサの学習に用い、通常の現在位置の更新の際の位置補正等には使用されないことが多い。これは、GPSの弱点としてマルチパス等の影響で精度が悪化する場合があるためである。
【0005】
GPSを用いてマッチングを行う技術として特許文献1が提案されている。
この特許文献1では、GPS測位誤差を算出し、GPSによる測位位置を中心とし、GPS測位誤差を半径とする円外の候補をマッチング対象外とし、円内の候補だけをマッチング対象とすることで処理負担を低減させている。
【0006】
しかし、特許文献1記載技術は、現在位置単位でのマッチングと位置補正を行う技術であり、推測軌跡全体の補正を行うものではない。
また、誤差を半径とする円外の候補は一律マッチング対象外となるが、GPSの一時的な精度の変化による誤差半径の変化によって対象外となる候補の軌跡がマッチング対象外となってしまうため、対象外となった候補の軌跡全体(一定区間内の)が適切か否かの判断をすることができず、結果として走行軌跡の全体が適切に補正されない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−148307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、より誤マッチングを少なくすると共に、走行軌跡の補正を適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)請求項1記載の発明では、推測航法により求めた推測軌跡を候補地点に基づいて移動させることで補正を行うナビゲーション装置であって、GPS測位によるGPS位置と、前記GPS位置に対応する推測航法による推測位置と候補地点を取得する地点取得手段と、前記GPS位置に対する誤差範囲の距離を示す想定最大誤差eを取得する想定最大誤差取得手段と、前記推測位置から、前記取得した想定最大誤差eを半径とする信頼度円までの距離に基づく地点相関値sを算出し、各推測位置における地点相関値の累積値を推測軌跡の相関値Spとして算出する推測軌跡相関値算出手段と、前記候補位置から、前記信頼度円までの距離に基づく地点相関値を算出し、各候補位置における地点相関値の累積値を候補軌跡の相関値Sqとして算出する候補軌跡相関値算出手段と、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くなる場合には、推測軌跡の移動による補正を行わず、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くならない場合には前記推測軌跡の補正を行う推測軌跡補正手段と、を具備したことを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(2)請求項2記載の発明では、前記推測軌跡補正手段は、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合、前記推測軌跡の最新の推測位置を対応する候補位置に平行移動することで推測軌跡の位置補正を行う、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3記載の発明では、起点となる推測位置と候補地点を、対応するGPS位置と重なるように推測軌跡と候補軌跡を平行移動することでオフセットするオフセット手段を備え、前記推測軌跡相関値算出手段はオフセット後の推測軌跡に対する相関値Spを算出し、前記候補軌跡相関値算出手段はオフセット後の候補軌跡に対する相関値Sqを算出し、前記推測軌跡補正手段は、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合、前記オフセット前の推測軌跡を、前記起点となる推測位置を中心に、前記推測軌跡の方位と前記候補軌跡の方位の方差だけ回転させることにより、推測軌跡の方位補正を行う、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4記載の発明では、前記推測軌跡補正手段は、所定長の推測軌跡に対して算出可能な地点相関値sが所定個数以下である場合、推測軌跡の補正を行う、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置を提供する。
(5)請求項5記載の発明では、前記想定最大誤差eは、前記GPSのDOPに基づく誤差円の半径であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1の請求項に記載したナビゲーション装置を提供する。
(6)請求項6記載の発明では、前記想定最大誤差eは、DOP、前記推測位置とGPS位置間の距離、及び推測位置の軌跡による方位とGPS位置の軌跡による方位の差から算出した信頼度に応じた距離であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1の請求項に記載したナビゲーション装置を提供する。
(7)請求項7記載の発明では、推測航法により求めた推測軌跡を候補地点に基づいて移動させることで補正を行うナビゲーション用プログラムであって、GPS測位によるGPS位置と、前記GPS位置に対応する推測航法による推測位置と候補地点を取得する地点取得機能と、前記GPS位置に対する誤差範囲の距離を示す想定最大誤差eを取得する想定最大誤差取得機能と、前記推測位置から、前記取得した想定最大誤差eを半径とする信頼度円までの距離に基づく地点相関値sを算出し、各推測位置における地点相関値の累積値を推測軌跡の相関値Spとして算出する推測軌跡相関値算出機能と、前記候補位置から、前記信頼度円までの距離に基づく地点相関値を算出し、各候補位置における地点相関値の累積値を候補軌跡の相関値Sqとして算出する候補軌跡相関値算出機能と、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くなる場合には、推測軌跡の移動による補正を行わず、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合には前記推測軌跡の補正を行う推測軌跡補正機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーション用プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、GPS位置に対する誤差範囲の距離を示す想定最大誤差eを半径とする信頼度円までの距離に基づく地点相関値sを算出し、各地点相関値sの累積値から推測軌跡の相関値Spと候補軌跡の相関値Sqを算出し、候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Spよりも悪くなる場合には、推測軌跡の移動による補正を行わず、候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Spよりも悪くならない場合に推測軌跡の補正を行うことで、より誤マッチングを少なくすると共に、走行軌跡の補正を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態におけるナビゲーション装置のシステム構成図である。
【図2】信頼度の定義と要素について概念的に表した説明図である。
【図3】推測方位と距離の信頼度を決定する各要素について表した説明図である。
【図4】GPS方位と距離の信頼度を決定する各要素について表した説明図である。
【図5】GPS軌跡と補正前後の推測軌跡との相関値についての説明図である。
【図6】相関値の算出対象となる各GPS位置G、推測位置P、候補地点Qの抽出方法の説明図である。
【図7】表示用推測軌跡の位置補正処理についてのフローチャートである。
【図8】GPS位置との相関値を用いた推測軌跡の方位補正についての説明図である。
【図9】方位方正をする場合の処理についてのフローチャートである。
【図10】本実施形態による位置補正を適用しない通常のマップマッチングの状態を表した説明図である。
【図11】GPS軌跡に対する最大想定誤差eを考慮した相関値に基づく位置補正を適用したマップマッチングの状態を表した説明図である。
【図12】本実施形態を適用しない方位補正の状態を表した説明図である。
【図13】GPS軌跡に対する最大想定誤差eを考慮した相関値に基づく方位補正を適用した本実施形態によるマップマッチングの状態を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のナビゲーション装置及びナビゲーション用プログラムにおける好適な実施の形態について、図1から図13を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態のナビゲーション装置では、推測航法により走行軌跡を求め(推測軌跡)、この推測軌跡を道路上に設定した候補点の軌跡に移動する位置補正や、所定位置(例えば、u個前の候補地点)を中心に走行軌跡を回転させる方位補正を、GPS軌跡との相関値に基づいて行う。
すなわち、GPS測位に基づくGPS軌跡を求め、所定距離のGPS軌跡に対する、補正前後の推測軌跡との相関値を求め、補正により相関値が悪くなる場合には補正を行わず、良くなる場合に推測軌跡の補正を行う。
【0013】
GPS軌跡に対する推測軌跡の相関値は、次のようにして求める。
まず、GPSによる各測定位置(GPS位置)に対応する推測軌跡上の地点(推測位置)と、この推測位置に対応する道路上の候補地点を求める。
候補地点は推測位置から所定距離内に存在する道路上に設定され、車両の移動に伴い候補地点も移動距離だけ該道路上を移動させることで各候補地点(候補推測位置)を求める。この候補地点もGPS位置に対応して設定され、候補地点の軌跡が候補軌跡となる。
【0014】
そして、GPS位置を中心とし、GPSの測定精度から求めた誤差の程度を示す距離(想定最大誤差e)を半径とする信頼度円を求め、GPS位置に対応する推測位置、候補地点から信頼度円までの距離の二乗値を両地点における地点相関値sとする。
GPS軌跡に対する補正前の推測軌跡の相関値Spと、候補地点による候補軌跡の相関値Sqは、所定距離区間で測定された各GPS位置に対する推測位置と候補地点の各点における地点相関値sを累計することで求める。
【0015】
GPS軌跡に対する推測軌跡の相関値Spが、候補地点による推測軌跡(候補軌跡)の相関値Sqよりも悪くなる(大きな値となる)場合には、推測軌跡の補正(各推測位置を対応する候補地点への移動)を行わず、相関値が良くなる(小さくなる)場合に推測軌跡を候補軌跡に補正する。すなわち、候補軌跡を補正後の推測軌跡とする。
このように、GPSの測位位置に対する信頼度だけではなく、所定区間のGPS軌跡に対する補正前後の推測軌跡の相関値を考慮することで、推測軌跡をより正確な位置に残すことが可能となり、結果として自車位置精度の向上が可能となる。
【0016】
(2)実施形態の詳細
図1は本実施形態が適用されるナビゲーション装置のシステム構成図である。
このナビゲーション装置は、車両に搭載され、この図1に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50とを備えている。
【0017】
現在位置検出装置10は、以下のような構成を有している。
方位センサ12は、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出する手段であり、本実施形態では、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを使用している。なお、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム或いは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。また、方位センサ12として、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両がいずれの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方位を検出する手段であってもよい。
【0018】
距離センサ13は、車両の移動距離を計測できる手段であり、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものを使用する。
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
【0019】
次に、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42、プリンタ43またはスピーカ44等の出力手段に出力するように制御する手段である。
【0020】
この情報処理制御装置20は、以下のような構成を有している。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置全体の総括的な演算及び制御を行う。
ROM22は、目的地までの経路の探索、表示案内や音声案内等のナビゲーションに関するプログラムや、本実施形態による、GPS信頼度円に基づくGPS軌跡に対する推測軌跡の相関値から補正を行うマップマッチング処理プログラム等の各種プログラムを格納している。なお、ROM22を第1ROMと第2ROMの2つに分け、第2ROMに音声案内に関するナビゲーションプログラムを格納し、他のプログラムを第1ROMに格納するようにしてもよい。
本実施形態のマップマッチングプログラムにおいて、後述する信頼度データが定義されているが、プログラムとは独立した信頼度データの参照テーブルを設けプログラムの実行過程で信頼度データを参照するようにしてもよく、また、後述する情報記憶装置50に信頼度データファイルを保存するようにしてもよい。
【0021】
RAM24は、入力装置41により入力された目的地の情報、通過地点の情報等の利用者が入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、または情報記憶装置50から読み込まれた地図情報を格納するための記憶手段である。
また、RAM24には、本実施形態のマップマッチングで使用する、GPS位置、推測位置及び補正推測位置、及びこれらに基づく各種軌跡等の各種データが一時保存される。
【0022】
通信インターフェイス25は、伝送路45を介して各種情報の入出力するための手段である。具体的には、伝送路45を介して、GPS受信装置14、入力装置41、プリンタ43、情報記憶装置50が接続される。
時計28は、時刻を刻む。
その他、CPU21で処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための画像処理専用の画像プロセッサ、画像プロセッサで処理された画像情報を格納する画像メモリ、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理しスピーカ44に出力する音声処理専用の音声プロセッサを配設するようにしてもよい。
【0023】
入出力装置40は、利用者により目的地、通過地点、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像を表示するディスプレイ42、情報を印刷するプリンタ43、音声を出力するスピーカ44より構成される。
入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。
ディスプレイ42には、現在地周辺の地図や、目的地までの走行経路が表示される。
なお、入出力装置40は、プリンタ43を有しない構成としてもよい。
【0024】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、その他のデータファイル52を格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、光学的記憶媒体であるDVD−ROM、CD−ROMや磁気的記憶媒体であるハードディスクなどで構成されるが、光磁気ディスク、各種半導体メモリなどの各種情報記憶媒体で構成してもよい。
なお、書き換えが必要な情報については、書き換え可能なハードディスク、フラッシュメモリなどで構成し、その他の固定的な情報についてはCD−ROM、DVD−ROMなどのROMを使用するようにしてもよい。
【0025】
地図データファイル51には、ナビゲーションにおける地図表示、経路探索、経路案内に必要な各種データとして、地図データ、道路データ、目的地データ、案内地点データ、その他のデータが記憶されている。
地図データとしては、全国道路地図、各地域の道路地図または住宅地図等が記憶されている。道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形及び、道路名称等が表示される市街図である。細街路とは、例えば、国道、県道以下の道幅が所定値以下の比較的狭い道路である。
地図データは、車両現在位置やユーザに指定された地点を含む、所定縮尺による一定範囲の地図がディスプレイ42に表示される。この地図上には、車両の現在位置や指定された地点が表示される。
【0026】
道路データは、各道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータで、ノードデータとリンクデータで構成される。この道路データは、経路探索やマップマッチングに使用されると共に、探索した走行経路を地図データ上に重ねて表示する場合にも使用される。
ノードデータは、地図上において経路探索に利用される各ノードの地理座標データ等を表したデータである。
例えば、交差点などの道路の接続点はノードにより表され、接続点の間の道路(即ち道路の内分岐しない領域)はリンクによって表される。このように、ノードデータ経路の接続関係を表した経路データとして機能している。
なお、進入禁止や一方通行など、交通規制により走行が制限されるものに関しては、これを表す属性が、各リンクに付与されているが、これらの属性については、交差点ノードに付与するようにしてもよい。
ノードデータは、各交差点に対して常に設定される交差点ノードと共に、各交差点間の特徴的な点(例えば、カーブの開始、中間、終了の各地点や、高度が変化する地点など)に補助的に設定される場合がある補助ノードが存在する。交差点ノードには、交差点の地理的位置座標や名称等の交差点に関する情報が含まれる。
【0027】
目的地データは、主要観光地や建物、電話帳に記載されている企業・事業所等の目的地になる可能性の高い場所や施設等の位置と名称等のデータである。
案内地点データは、道路に設置されている案内表示板の内容や分岐点の案内等、案内が必要とされる地点の案内データである。
【0028】
その他のデータファイル52には、例えば、各種施設や観光地、または主要な交差点等の視覚的表示が要求される場所を写した写真の画像データや、設定した走行経路を音声により案内する場合の音声データ等が記憶されている。
【0029】
次に本実施形態のマップマッチングプログラムにおいて、定義されている信頼度データについて説明する。
図2は、信頼度の定義と要素について概念的に表したものである。
図2(a)は、本実施形態の信頼度に対する、方位と距離についての想定誤差が規定されている。すなわち、方位に関し、想定方位誤差が1度以内である場合を信頼度5、想定方位誤差が3度以内である場合を信頼度4、想定方位誤差が10度以内である場合を信頼度3、想定方位誤差が45度以内である場合を信頼度2、想定方位誤差が不明である場合を信頼度1と規定している。
【0030】
また距離に関し、想定距離誤差が5m以内である場合を信頼度5、想定距離誤差が10m以内である場合を信頼度4、想定距離誤差が25m以内である場合を信頼度3、想定距離誤差が50m以内である場合を信頼度2、想定距離誤差が不明である場合を信頼度1と規定している。
【0031】
このように本実施形態では、方位、距離ともに信頼度が5段階に規定されているが、より詳細に規定(例えば、10段階)するようにしてもよい。
なお、想定誤差(方位、距離)については、後述する信頼度の各要素に対する値と、その場合の誤差を実測することで予め規定しておく。
【0032】
図2(b)は、推測方位と推測距離の信頼度と、GPSによる方位と距離の信頼度を決定するための要素について表したものである。
この図に示されるように、推測信頼度(方位、距離)を決定する要素としては、前回信頼度、想定累積方位誤差、ジャイロ感度学習状態、推測方位信頼度、距離係数学習状態があり、GPS信頼度(方位、距離)を決定する要素としては、GPS・推測軌跡方位一致度、速度、DOP、座標間距離によるGPS・推測軌跡位置一致度、座標間方位によるGPS・推測軌跡位置一致度がある。
【0033】
そして図2(b)に示される通り、推測方位の信頼度は、前回信頼度、想定累積方位誤差、ジャイロ感度学習状態から決定する。
推測距離の信頼度は、前回信頼度、推測方位信頼度、距離係数学習状態から決定する。
また、GPS方位信頼度は、GPS・推測軌跡方位一致度、速度、DOPから決定する。
GPS距離の信頼度は、DOP、座標間距離によるGPS・推測軌跡位置一致度、座標間方位によるGPS・推測軌跡位置一致度から決定する。
【0034】
図3は、推測方位と距離の信頼度を決定する各要素について規定したものである。
前回信頼度は、図3に示すように、前回のマップマッチングにおいて算出した推測方位の信頼度と、推測距離の信頼度をそのまま使用する。
これは、推測航法により求めた推測方位の信頼度は、ジャイロの故障を除き、急激に変化する場合はないと考えられるため、前回の信頼度をそのまま使用するものである。
【0035】
通常、ナビゲーション装置の左右が水平に取り付けられていれば、ジャイロセンサの左右感度はほぼ等しくなる。このため、ジャイロセンサの左右感度がずれている場合、左右感度の学習が間違っている可能性が高く、方位変化時に誤差がでると考えられる。
そこで、想定累積方位誤差は、所定区間(例えば、10m)を走行する間の方位変化に対して、方位誤差は累積して大きくなると考えられるため、累積方位誤差(度)が大きくなるほど信頼度は小さくなるように規定されている。
本実施形態では、方位誤差率として、左右感度差1°に対して、0.1%の割合で設定されている。従って、ジャイロセンサの左右感度差α°に0.001を乗じた値を所定区間の走行毎に累積する。
なお、左右感度差は、次に説明するジャイロ感度学習による補正後の左右感度差が使用される。
【0036】
ジャイロ感度学習状態は、ジャイロセンサに対する感度学習の回数を表し、感度学習の回数が少ない場合には推測方位の精度が低く、学習回数が多い場合に精度が高いと考えられるため、学習回数の増加に応じて信頼度が高くなるように設定されてる。
なお、本実施形態におけるジャイロセンサの感度学習の回数は、左折に対する学習と、右折に対する学習のセットで1回カウントされる。
【0037】
ここで、ジャイロの感度学習は、右折及び左折に対するジャイロセンサの感度を補正するもので、周知の各種方法により行われる。
例えば、右左折時においてジャイロセンサから求めた角度を、GPS測位による走行軌跡から求めた角度によって補正する。この学習は、GPS測位による精度が低い場合には補正により感度が悪化する可能性があるので、GPS測位の精度が高い場合における右左折時に行われる。
例えば、GPS速度が30km/h以上であり、DOPから求まる誤差円の直径が100m以内であることを学習開始条件として、学習が行われる。なお、学習開始条件としては、さらに、車両現在位置の周辺に所定以上の高度のビルが存在しないことを条件に追加するようにしてもよい。
【0038】
推測方位信頼度は、推測距離の信頼度を求めるために使用するもので、推測方位の信頼度が高ければ、推測距離の精度も高いと考えられるので推測方位信頼度(各要素から求めた最終値)をそのまま使用する。
【0039】
距離係数学習状態は、距離に対する学習回数を示し、学習回数が多ければ、距離係数の精度は高い(推測距離の精度が高い)と考えられるので、推測距離の信頼度も高く規定されている。
ここで距離に対する学習も、ジャイロの感度学習と同様に、周知の各種方法を使用することができる。
例えば、GPS測位により算出した車両の移動距離を基準とし、車両の走行距離を計測する距離センサで出力される距離パルスの回数を計数することで距離パルス1回に対する移動距離を算出した回数を学習回数とする。距離パルス1回当たりの移動距離は、各学習で求めた移動距離の分布から最も多い値に基づいて統計的に決定する。
なお、距離に対する学習も、ジャイロの学習と同様にGPSの精度が高い場合に行われ、車両が所定距離だけ移動する間で学習開始条件を満たしている必要がある。
【0040】
図4は、GPS方位と距離の信頼度を決定する各要素について規定したものである。
GPS・推測軌跡方位一致度は、GPSによる軌跡の形状と推測軌跡の形状の一致度を判定するものである。推測方位の変化量とGPS方位の変化量が近ければ(差が小さければ)、GPS方位の精度は高いと考えられることから、図4に示すように、両方位の一致度が高いほど、GPS方位の信頼度が高く規定されている。
【0041】
ここで、GPS・推測軌跡方位一致度は次のようにして算出する。
(a)GPS信頼度算出位置(最新GPS測位点)を基点とする。
同様に推測軌跡は、GPSの基点と同mの推測軌跡位置(同期した位置)を基点とする。
【0042】
(b)基点から、測位点間隔でGPS測位点を最大20点取得し、基点方位からの方位変化量を各測位点毎に取得する。この時、GPSの連続性(測位間隔)を5秒以内とする(2、3秒非測位になっても処理が動く)。
同様に、推測軌跡も基点方位からの方位変化量を、各測位点に対応する点毎に取得する(推測軌跡座標はGPS測位m位置と同期をとること)。
【0043】
(c)取得したGPSと推測軌跡の各方位変化量に対して、対応する測位点間の差分を算出し、その和をとり平均値を算出する(相関値)。この相関値が図4平均方位差(°)となる。
なお、取得するGPS方位は、GPS方位信頼度が2以上のもののみとする。
【0044】
GPS速度が速ければ、GPS方位の精度は高くなると考えられるので、図4に示すように、信頼度も高く規定されている。
【0045】
DOP(Dilution Of Precision)は、GPS衛星の配置から計算される測位精度を示す値(精度低下率)で、DOPが小さければGPS距離、GPS方位も比較的高いと考えられるので、図4に示すように、信頼度も高く規定されている。なお、DOP値は1.0が最もよい値である。
DOPには、幾何学的精度低下率HDOP、水平精度低下率PDOP、位置精度低下率RDOP等があり、本実施形態ではHDOPを使用するが、他を使用し、また、他を併用してもよい。
DOPは、GPS受信装置14で算出される。
【0046】
座標間距離によるGPS・推測軌跡位置一致度は、図4で規定される。推測軌跡との距離の一致度が高ければ、GPS距離の精度も高いと考えられるので、座標間距離によるGPS・推測軌跡位置一致度の信頼度も高く規定されてる。
【0047】
この座標間距離によるGPS・推測軌跡位置一致度は、次のようにして算出する。
(a)GPS信頼度算出位置(最新GPS測位点)を基点とする。
同様に推測軌跡は、GPSの基点に対応して測定される推測軌跡位置を基点とする。
(b)GPS基点位置から10m以上間の間隔でGPS測位点を10点取得し、基点からの座標間距離を算出する。
同様に、推測軌跡について、推測軌跡位置の基点から、GPSの各測位点に対応する各位置までの座標間距離を算出する。
(c)(b)で算出した、対応するGPS位置(測位点)と推測位置までの両座標間距離の差分を、各測位点毎に算出し、2乗の和をとり平均値を算出する(相関値)。
この相関値から信頼度を決定する。
【0048】
座標間方位によるGPS・推測軌跡位置一致度は、図4で規定されている。すなわち、推測軌跡との座標間の方位の一致度が高ければ、GPS方位の精度も高いと考えられるので、座標間方位によるGPS・推測軌跡位置一致度の信頼度も高く規定されてる。
【0049】
この座標間方位によるGPS・推測軌跡位置一致度は、次のようにして算出する。
(a)GPS信頼度算出位置(最新GPS測位点)から、10m以上の間隔でGPS測位点を最大10点取得し、隣どうしの2点間の座標から、当該2点間に対する方位を算出する。なお、本実施形態では、比較する点間の間隔が小さいと、少しのずれでも方位が大きく成ってしまうため10m以上の間隔に設定している。
同様に、推測軌跡についても、GPS測位点に対応する各位置に対し、隣どうしの2点間の座標から、当該2点間に対する方位を算出する。
(b)GPS測位点に基づき算出した各方位に対して、隣同士の方位の差分を算出し、推測方位変化量を算出する。
同様に、推測軌跡についても、各点に基づき算出した各方位に対して、隣同士の方位の差分を算出し、方位変化量を算出する。
【0050】
(c)(b)で算出した、対応するGPSの方位変化量と推測方位変化量の差分を、各点毎に算出し、2乗の和をとり平均値を算出する(相関値)。
この相関値から信頼度を決定する。
【0051】
以上により各要素毎に信頼度を求め、最終的な推測方位と距離、GPS方位と距離の各信頼度は、要素毎の信頼度の平均値として算出する。
例えば、推測方位の信頼度は、推測方位の前回信頼度が4、想定累積方位誤差の信頼度が3、ジャイロ感度学習状態の信頼度が3であれば、これら3要素の信頼度の平均値が3.33となる。
図2(a)で示した想定方位誤差を求める場合には、求めた平均値3.33を四捨五入した値3を信頼度とする。これにより信頼度3に対応する想定方位誤差は10度以内となる。
なお、より精度を高めるため、求めた平均値を五捨六入、六捨七入、…としても良く、また小数点以下を切り捨てするようにしてもよい。
【0052】
また、各要素の信頼度に対して重み付けをするようにしてもよい。
この場合、重み付けとしては、前回信頼度の重み付けを他の要素よりも高くする。
例えば、前回信頼度を1.5倍、想定累積方位誤差の信頼度を0.8倍、ジャイロ感度学習状態の信頼度を0.7倍する。
更に、各要素毎に算出した信頼度に基づき、ファジィ制御により最終的な信頼度を決定するようにしてもよい。
【0053】
このように構成されたナビゲーション装置では、次のようにして経路案内が行われる。
ナビゲーション装置は、現在位置検出装置10で現在位置を検出し、情報記憶装置50の地図データファイル51から現在位置周辺の地図情報を読み込みディスプレイ42に表示する。
そして、入力装置41から目的地が入力されると、情報処理制御装置20は、現在位置から目的地に至る走行経路の候補を複数探索(演算)し、ディスプレイ42に表示した地図上に表示し、運転者がいずれかの走行経路を選択すると、選択した走行経路をRAM24に格納することで、走行経路を取得する(走行経路取得手段)。
【0054】
なお、情報処理制御装置20は、情報処理センタに車両現在位置(又は入力された出発地)と目的地を送信し、情報処理センタで探索された目的地までの走行経路を受信することにより走行経路を取得するようにしてもよい。この場合、目的地や走行経路の通信は通信インターフェイス25を介して、無線通信により行う。
また、自宅等のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を使用して、出発地から目的地までの走行経路を探索し、USBメモリ等の記憶媒体に格納し、該記憶媒体読取り装置を介して取得するようにしてもよい。この場合の記憶媒体読取装置は伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
【0055】
車両が走行すると、現在位置検出装置10によって検出された現在位置を追跡することにより、経路案内を行う。
経路案内は、探索した走行経路に対応する道路データと現在位置検出装置10で検出される現在位置とのマップマッチングにより地図上の車両位置を特定し、車両現在位置周辺の地図をディスプレイ42に表示し、探索した走行経路を地図上に表示すると共に、車両の現在位置を示す現在位置マークを地図上に表示する。
また、探索した走行経路と現在位置との関係から、案内の必要性、すなわち直進が所定距離以上続く場合、所定の進路変更地点等の走行経路の案内、及び方面案内が必要か否か等について判断し、必要である場合にはディスプレイ42の表示及び音声による案内を実行する。
【0056】
次に、このように構成されたナビゲーション装置による、マップマッチング処理について説明する。
図5は、GPS軌跡と補正前後の推測軌跡との相関値について表したものである。
この図5に示すように、例えば、GPS測位によるGPS位置G1に対し、このGPS測位時点において測定された推測航法による推測位置がP1で、この推測位置P1に対応する道路上の候補地点がQ1、又はQ1’である。
【0057】
そして、GPS位置G1に対する想定最大誤差eを半径とする信頼度円を求める。
推測位置P1と候補地点Q1はこの信頼度円内に存在するので、両地点P1、Q1のGPS位置G1に対する地点相関値はゼロとなる。
一方、候補地点Q1’は信頼度円外に存在するので、候補地点Q1’から信頼度円までの距離を二乗した値がGPS位置G1に対する地点相関値s1となる。
図5では、GPS位置G1と候補地点Q1’を結ぶ線分のうち、太線で表した距離の二乗値が地点相関値s1となる。
【0058】
地点相関値sの算出は次の数式(1)により算出される。
s={max(0,d−e)}2 …(1)
ここで、dは、GPS位置Gと、推測位置P、候補地点Q、Q’との距離dp、dQ、dQ’、eはGPS位置G1における想定最大誤差である。
なお、max(a,b)はaとbのうち、大きい方の値を示すものとする。
【0059】
上記数式(1)から、地点相関値sは、d−e>0の場合、すなわち、推測位置、候補地点が信頼度円外にある場合には、信頼度円までの距離d−eの二乗値となる。
一方、d−e≦0の場合、すなわち、推測位置、候補地点が信頼度円内または上にある場合にはゼロとなる。
【0060】
このように、GPS位置G1に対する推測位置P1と候補地点Q1(又はQ1’)の地点相関値s1の算出と同様にして、GPS軌跡に沿った他のGPS位置G2〜G5に対する、推測位置P2〜P5と候補地点Q2〜Q5(又は候補地点Q2’〜Q5’)の地点相関値s2〜s5も求める。
【0061】
各地点相関値sの算出は、GPS位置G1を起点として、車両の移動に合わせてGPS位置G2、G3…と順次地点相関値s1、s2、s3、…を求める。
なお、GPS位置G1から所定区間(例えば、GPS位置G5まで)を走行した後に、GPS位置G1以降の各地点相関値s1…を算出するようにしてもよい。
【0062】
そして、GPS軌跡に対する、推測軌跡の相関値Spと候補軌跡(候補地点による軌跡)の相関値Sqはそれぞれ次の数式(2)により表される。
なお、両相関値Sp、Sqを代表してSで表す。
S=s1+s2+s3…sn
=Σ[{max(0,d−e)}2]…(2)
【0063】
図5に示されるように、推測軌跡は各推測位置P1〜P5のうち推測位置P2が信頼度円から外れているのに対し、候補軌跡は各候補地点Q1〜Q5の全てが信頼度円内に位置している。このため、GPS軌跡に対する相関値は、推測軌跡の信頼度Sp>候補軌跡の信頼度Sqとなる。
従って、推測軌跡に対する候補軌跡がQ1〜Q5である場合には、補正によって相関値が小さくなる(良くなる)ので、図5の矢印Aに示すように、推測軌跡を候補軌跡に補正する。すなわち、候補軌跡を補正後の推測軌跡とする。
【0064】
一方、推測軌跡に対する候補軌跡がQ1’〜Q5’であった場合、全ての候補地点が信頼度円から大きく外れているため、推測軌跡の信頼度Sp<候補軌跡の信頼度Sqとなる。
このため、推測軌跡を候補軌跡に補正すると、推測航法により求めた推測軌跡よりも正しくない位置への補正になる可能性が高いので、図5の矢印Bに示すような補正は行わず(補正を抑止し)、元の推測軌跡(推測位置P1〜P5による)をそのまま保存する。
【0065】
図6は、相関値の算出対象となる各GPS位置G、推測位置P、候補地点Qの抽出方法を表したものである。
図6に示すように、位置補正の妥当性をチェックする(地点相関値を求める)間隔(所定距離L)毎に分割する。この分割については、所定位置を起点としてそこから所定距離L毎に順にM1、M2、…と分割する。なお、起点から車両の移動に従って順次GPS位置Gを決定すると共に対応する推測位置Pと候補地点Qの地点相関値sを算出する場合には分割が不要で、この場合、起点からLm走行する毎に次の地点相関値s算出用のGPS位置を決定する。
【0066】
分割した区間、例えば、区間M1内において最初のGPS受信結果から求めたGPS位置G11を地点相関値sの算出対象として抽出する。
そして決定したGPS位置G11に対するGPS受信結果の走行距離(起点又は区間Mの開始地点からの走行距離)に対応する走行軌跡上の推測位置P11と、候補地点Q11を地点相関値sの算出対象として抽出する。
【0067】
区間M1のように、同一区間内でGPS位置G11、G12の2つが測定された場合でも、GPS位置Gは最初に測定した位置を抽出する。
一方、区間M2のように、区間内にGPS受信結果がなければ、その区間でのGPS位置Gは抽出しない。
また、区間M3のように、GPS受信結果があっても想定最大誤差eを算出できないGPS位置G31は抽出対象としない。この場合、GPS位置G31以降に区間M3内で想定最大誤差eを算出できるGPS位置G32(受信結果)があればこれを抽出する。
【0068】
次に、マップマッチング処理において行われる、本実施形態の表示用推測軌跡の位置補正処理について図7のフローチャートを参照して説明する。
情報処理制御装置20は、GPS受信装置14からGPS座標(GPS位置Gn)、受信距離を取得すると共に、GPS信頼度に対応する想定最大誤差eを取得する(ステップ10)。
想定最大誤差eは、図2〜図4で説明した上述の方法により算出することで取得する。
【0069】
情報処理制御装置20は、ステップ10で取得した各種値から相関値の算出が可能か否かを判断する(ステップ20)。すなわち、各情報の取得が可能であり、且つ、GPS受信位置から一定距離以内に車両が存在している場合には相関値算出が可能と判断する。
情報処理制御装置20は相関値算出が可能でなければ(ステップ20;N)、ステップ60に移行する。
【0070】
一方、相関値の算出が可能である場合(ステップ20;Y)、情報処理制御装置20は、補正前後の推測軌跡座標、すなわち、ステップ10で取得したGPS位置Gnに対応する推測位置Pnと候補地点Qnを取得する(ステップ30)。
【0071】
次に情報処理制御装置20は、想定最大誤差eを考慮したGPS位置Gnに対する推測位置Pnの地点相関値sを算出し、区間M1〜Mn−1で算出した地点相関値の合計に加算しRAM24の所定領域に保存する(ステップ40)。
また、情報処理制御装置20は、想定最大誤差eを考慮したGPS位置Gnに対する候補地点Qnの地点相関値sを算出し、区間M1〜Mn−1で算出した地点相関値の合計に加算しRAM24の所定領域に保存する(ステップ50)。
【0072】
つぎに情報処理制御装置20は、算出対象の最大点数分を処理したか判断する(ステップ60)。すなわち、位置補正の妥当性をチェックするための最大の区分数をwとした場合に、M1からMwの各区間Mに対してGPS位置Gの抽出を行ったか否かを判断する。
情報処理制御装置20は、算出対象の最大点数w分を処理していなければ(ステップ60;N)、ステップ10に戻り、次のGPS位置Gのための情報を取得する。この場合、次のGPS位置Gのための情報は、区間Mn内での抽出が完了している場合と、抽出が完了していないが次の区間M+1に移動した場合には、次の区間Mn+1についての最初のGPS位置Gの情報となる。一方、区間Mn内での抽出が完了していない場合には当該区間Mn内での次のGPS位置Gの情報となる。
【0073】
情報処理制御装置20は、算出対象の最大点数w分を処理した場合(ステップ60;Y)、算出点数(地点相関値sを算出できた地点数)が、算出対象の最小点数以上であるか判断する(ステップ70)。
算出対象の最小点数は任意であるが、本実施形態では例えば、3点が設定されている。
【0074】
算出点数が算出対象最小点数未満である場合(ステップ70;N)、情報処理制御装置20は、軌跡の相関値SがGPSの一時的な位置ずれに影響を受けやすくなり信頼性に欠けるので補正の抑制を行わず、ステップ90に移行して補正を行う。
一方、算出点数が算出対象の最小点数以上である場合(ステップ70;Y)、情報処理制御装置20は、候補軌跡を推測軌跡とする補正を行った場合に相関値が悪化するか否かについて、推測軌跡の相関値Spと候補軌跡の相関値Sqを比較することで判断する(ステップ80)。
【0075】
候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Spよりも大きい場合、すなわち、相関値が悪化する場合(ステップ80;Y)、情報処理制御装置20は推測軌跡を補正せず、推測航法により求めた推測軌跡のままとし、メインルーチンにリターンする。
一方、候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Sp以下である場合、すなわち、相関値が悪化しない場合(ステップ80;N)、情報処理制御装置20は、推測軌跡Pを候補軌跡Qに移動することで、補正を行い(ステップ90)、メインルーチンにリターンする。
なお、推測軌跡の補正(ステップ90)により、ナビゲーション装置のディスプレイ42に表示されている車両の走行軌跡と車両現在位置マークも候補軌跡(補正後の推測軌跡)に移動する。
【0076】
次に、GPS位置Gとの相関値を用いた推測軌跡の方位補正について図8を参照して説明する。
推測軌跡の方位補正は、推測軌跡の方位と候補軌跡の方位の差(角度差)を求め、推測軌跡を回転起点を中心に方位差だけ回転させる補正である。
従って、図8に示すように、推測軌跡の方位と候補軌跡の方位を比較するために、回転中心(推測軌跡の起点P1、候補軌跡の起点Q1)をGPS位置の起点G1と重なるように、推測軌跡と候補軌跡全体を一時的に平行移動させた上で、両軌跡の相関値Sを算出している。
【0077】
そして、図5で説明した位置の補正の場合と同様にして、GPS位置G2〜G5に対する、推測位置P2〜P5の地点相関値sを累積した推測軌跡の相関値Spと、候補地点Q2〜Q5の地点相関値sを累積した候補軌跡の相関値Sqを求める。
図5の候補地点Q1’〜Q5’の場合のように、候補軌跡の相関値Sqの方が推測軌跡の相関値Spよりも大きい場合(相関値が悪化する場合)には、方位の補正を行わない。
一方、図5の候補地点Q1〜Q5の場合のように、候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Sp以下である場合(相関値が同じか良くなる場合)、起点をGPS位置G1に一時的に移動する前の推測軌跡を、推測位置P1を中心として、候補軌跡の方位との方位差だけ回転させることで方位補正を行う。
【0078】
図9は、マップマッチングにおいて、本実施形態における方位方正をする場合の処理について表したフローチャートである。
なお、図7で説明した位置補正を行う場合と同様な処理については同じステップ番号を付し、適宜その説明を省略することとする。
情報処理制御装置20は、位置補正の場合と同様に、GPS受信装置14からGPS座標(GPS位置Gn)、受信距離、想定最大誤差eを取得し(ステップ10)、相関値の算出が可能か否かを判断し(ステップ20)、可能であれば(ステップ20;Y)、補正前後の推測軌跡座標、すなわち、GPS位置Gnに対応する推測位置Pnと候補地点Qnを取得する(ステップ30)。
【0079】
次いで情報処理制御装置20は、算出対象、すなわち、GPS位置Gn、推測位置Pn、候補地点Qnが起点か、2点目以降の地点かを判断する(ステップ31)。
算出対象が2点目以降でない(n=1の起点である)場合(ステップ31;N)、情報処理制御装置20は、比較用に平行移動するためのオフセットを算出する(ステップ32)。
すなわち、情報処理制御装置20は、推測位置P1の座標値からGPS位置G1の座標値を引いた値を(ΔXp,ΔYp)、及び候補地点Q1の座標値からGPS位置G1の座標値を引いた値(ΔXq,ΔYq)を算出し、推測位置P1と候補位置Q1をGPS位置G1に重なる位置に平行移動した場合の移動量(オフセット)とする。
【0080】
一方、算出対象が2点目以降の地点(n≧2)である場合(ステップ31;Y)、情報処理制御装置20は、補正前後の座標を算出する(ステップ33)。
すなわち、情報処理制御装置20は、方位補正のための補正前の推測位置Pnの座標として、推測位置Pnの座標(Xpn,Ypn)に、ステップ32で算出したオフセット(ΔXp,ΔYp)を加え、補正後の推測位置Pnの座標(Xpn+ΔXp,Ypn+ΔYp)を算出する。
また方位補正のための補正後の候補地点Qnの座標として、候補地点Qnの座標(Xqn,Yqn)に、ステップ32で算出したオフセット(ΔXq,ΔYq)を加え、補正後の候補地点Qnの座標(Xqn+ΔXq,Yqn+ΔYq)を算出する。
【0081】
次に情報処理制御装置20は、想定最大誤差eを考慮したGPS位置Gnに対する推測位置Pn(ステップ33で算出した座標)の地点相関値sを算出し、区間M1〜Mn−1で算出した地点相関値の合計に加算し、RAM24の所定領域に保存する(ステップ40)。
また、情報処理制御装置20は、想定最大誤差eを考慮したGPS位置Gnに対する候補地点Qn(ステップ33で算出した座標)の地点相関値sを算出し、区間M1〜Mn−1で算出した地点相関値の合計に加算し、RAM24の所定領域に保存する(ステップ50)。
【0082】
つぎに情報処理制御装置20は、算出対象最大点数分だけ処理し(ステップ60;Y)、地点相関値sを算出できた地点数が、算出対象最小点数以上であれば(ステップ70;Y)、候補軌跡を推測軌跡とする補正を行った場合に相関値が悪化するか否かについて、推測軌跡の相関値Spと候補軌跡の相関値Sqを比較することで判断する(ステップ80)。
【0083】
候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Spよりも大きい場合、すなわち、相関値が悪化する場合(ステップ80;Y)、情報処理制御装置20は推測軌跡の方位補正せず、推測航法により求めた推測軌跡のままとし、メインルーチンにリターンする。
一方、候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Sp以下である場合、すなわち、相関値が悪化しない場合(ステップ80;N)、情報処理制御装置20は、推測軌跡の方位補正(回転)を行い(ステップ91)、メインルーチンにリターンする。
【0084】
推測軌跡の方位補正では、オフセットしていない推測軌跡を、推測軌跡の方位と候補軌跡の方位の方位差だけ、推測位置P1を中心として回転させる。
ここで本実施形態では方位差として、推測位置P1と推測位置Pw(最後の地点で図8の例ではw=5)を結んだ線分と、候補地点Q1と候補地点Q5を結んだ線分との成す角を採用している。
但し、推測位置P1と推測位置P2を結んだ線分と、候補地点Q1と候補地点Q2を結んだ線分との成す角を方位差としてもよい。
また、推測位置P1と推測位置P2、P3、…とを結んだ各線分と、候補地点Q1と候補地点Q2、Q3、…とを結んだ各線分の、対応する線分同士の成す角の平均値を方位差としてもよい。
【0085】
次に推測軌跡の位置補正と方位補正において本実施形態によって補正が抑制(制限)される事例について、後補正が発生しやすい場合として周囲が道路に囲まれた駐車場の中を移動する場合を例に説明する。
図10は、本実施形態における、GPS軌跡に対する最大想定誤差eを考慮した相関値に基づく位置補正を適用しない通常のマップマッチングの状態を表したものである。
この図10(a)に示すように、実際の車両は駐車場に図面右側から入り、右折、左折、左折をしながら走行しているものとし、その走行軌跡は点線で示す推測軌跡の通り正しく推測されてるものとする。
この状態では、ディスプレイ42に表示されている地図上には、推測軌跡に従って、三角を点線の円で囲った現在位置マークが自車表示位置に表示される。
【0086】
一方、候補地点は、道路(リンク)上に設定されて移動するため、車両の移動に合わせて、駐車場の右側の道路から上側の道路、そして車両の最後の左折に対して左上の交差点を左折した、図面白抜きの四角で表した位置に候補地点が存在する。
【0087】
この状態、すなわち、車両が最後の左折をし、候補地点を白抜き四角の位置に移動させた状態で、従来のマップマッチングを行うと、図10(b)に示すように、誤補正が発生してしまう。
すなわち、走行軌跡と道路形状(候補軌跡)との一致から、車両の現在位置マーク(最新の推測位置)を道路上の候補地点(白抜き四角の地点)に一致させるように推測軌跡を平行移動させる補正が行われ、結果として推測軌跡の後補正が発生してしまう。
そして図10(c)に示すように、車両が駐車場内において更に左折すると、図10(b)における誤補正によって、自車表示位置と実際の自車位置とのずれ、及び走行軌跡のずれが発生することになる。
【0088】
図11は、GPS軌跡に対する最大想定誤差eを考慮した相関値に基づく位置補正を適用した本実施形態によるマップマッチングの状態を表したものである。
図11(a)は、図10(a)と同じ状態を表している。
この状態で、本実施形態によるマップマッチング、すなわち、推測軌跡の補正処理を適用すると、推測軌跡の各推測位置は、図11(b)に示すように、各GPS位置(GPS座標)における想定最大誤差eによる信頼度円内に含まれているので推測軌跡の相関値Spはゼロである。
これに対して、道路(リンク)上に設定された候補軌跡は信頼度円から外れる部分が多いため、候補軌跡の相関値Sqは大である。
このため、マップマッチング処理において、図11(b)の状態では、補正による相関度が悪化するため、候補軌跡の補正は行わない。
その結果図11(c)に示すように、その後の車両移動に対しても推測軌跡及び自車位置表示は、位置ずれは発生せず、正しい位置、軌跡となっている。
【0089】
図12は、本実施形態を適用しない場合の通常のマップマッチングによる方位補正の状態を表したものである。
図12(a)に示すように、駐車場において車両が左折した時点でGPS座標に屈曲中の方位にずれが発生したものとする。
この場合、通常のマップマッチングでは、図12(b)に示すように、屈曲点を中心として推測軌跡をGPS方位との方位差分だけ回転する補正をしてしまうため、図12(c)に示すように、その後の走行軌跡、及び自車位置マークも位置ずれが発生してしまう。
【0090】
図13は、GPS軌跡に対する最大想定誤差eを考慮した相関値に基づく方位補正を適用した本実施形態によるマップマッチングの状態を表したものである。
図13(a)は、図12(a)と同じ状態を表している。
この状態で、本実施形態によるマップマッチング、すなわち、推測軌跡の補正処理(回転)を適用すると、推測軌跡の各推測位置は、図13(b)に示すように、各GPS位置(GPS座標)における想定最大誤差eによる信頼度円内に含まれているので推測軌跡の相関値Spはゼロである。
これに対して、回転後の候補軌跡は信頼度円から外れる部分が多いため、候補軌跡の相関値Sqは大である。
このため、マップマッチング処理において、図13(b)の状態では、補正による相関度が悪化するため、候補軌跡の補正は行わない。
その結果図13(c)に示すように、その後の車両移動に対しても推測軌跡及び自車位置表示は、位置ずれは発生せず、正しい位置、軌跡となっている。
【0091】
以上、本発明のナビゲーション装置及びナビゲーション用プログラムにおける1実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において更に各種の変形を行うことが可能である。
例えば、上述した実施形態及び変形例では、信頼度円の半径である想定最大誤差eをGPS信頼度に基づいて決定するようにしたが、GPSのDOPに基づく誤差円を使用するようにしてもよい。この場合の想定最大誤差は誤差円の半径を使用する。
【0092】
また、数式(1)において、地点相関値sを算出する場合、信頼度円外にある推測位置P、候補地点Qから信頼度円までの距離の二乗値(d−e)2を地点相関sとしたが、必ずしも二乗値ではなくても良く、例えば、信頼度円までの距離(d−e)を相関値sの値としてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 現在位置検出装置
20 情報処理制御装置
21 CPU
40 入出力装置
50 情報記憶装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びナビゲーション用プログラムに係り、詳細にはナビゲーションにおけるマップマッチングに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されて目的地までの走行経路を探索して車両を案内するナビゲーション装置が広く普及している。
このナビゲーション装置では、車両の現在位置を特定し、車両の現在位置を地図上に表示したり、走行の案内をしたりしている。
現在位置の特定にはジャイロ・車速パルス・加速度センサといったセンサ類が使用されており、それらの情報から推測航法により推測軌跡を作成している。
そして、作成した推測軌跡とDB(データーベース)に格納した道路情報とで形状マッチングを行い、一致した位置を現在位置として特定し、特定した現在位置に自車位置を表す現在位置マークを表示している。この場合、推測した現在位置を一致した道路上の現在位置に合わせるように推測軌跡全体を移動させるように位置補正をしている。
【0003】
このような推測航法に基づく推測軌跡と道路情報に基づく形状のマッチングを行う場合に、推測軌跡と道路情報とで形状比較をして一致してしまうと、誤った位置にマッチングしてしまうことがあった。
【0004】
一方、車両の絶対位置(緯度、経度)を測定するためにGPSが用いられているが、GPS情報は主に上記センサの学習に用い、通常の現在位置の更新の際の位置補正等には使用されないことが多い。これは、GPSの弱点としてマルチパス等の影響で精度が悪化する場合があるためである。
【0005】
GPSを用いてマッチングを行う技術として特許文献1が提案されている。
この特許文献1では、GPS測位誤差を算出し、GPSによる測位位置を中心とし、GPS測位誤差を半径とする円外の候補をマッチング対象外とし、円内の候補だけをマッチング対象とすることで処理負担を低減させている。
【0006】
しかし、特許文献1記載技術は、現在位置単位でのマッチングと位置補正を行う技術であり、推測軌跡全体の補正を行うものではない。
また、誤差を半径とする円外の候補は一律マッチング対象外となるが、GPSの一時的な精度の変化による誤差半径の変化によって対象外となる候補の軌跡がマッチング対象外となってしまうため、対象外となった候補の軌跡全体(一定区間内の)が適切か否かの判断をすることができず、結果として走行軌跡の全体が適切に補正されない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−148307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、より誤マッチングを少なくすると共に、走行軌跡の補正を適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)請求項1記載の発明では、推測航法により求めた推測軌跡を候補地点に基づいて移動させることで補正を行うナビゲーション装置であって、GPS測位によるGPS位置と、前記GPS位置に対応する推測航法による推測位置と候補地点を取得する地点取得手段と、前記GPS位置に対する誤差範囲の距離を示す想定最大誤差eを取得する想定最大誤差取得手段と、前記推測位置から、前記取得した想定最大誤差eを半径とする信頼度円までの距離に基づく地点相関値sを算出し、各推測位置における地点相関値の累積値を推測軌跡の相関値Spとして算出する推測軌跡相関値算出手段と、前記候補位置から、前記信頼度円までの距離に基づく地点相関値を算出し、各候補位置における地点相関値の累積値を候補軌跡の相関値Sqとして算出する候補軌跡相関値算出手段と、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くなる場合には、推測軌跡の移動による補正を行わず、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くならない場合には前記推測軌跡の補正を行う推測軌跡補正手段と、を具備したことを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(2)請求項2記載の発明では、前記推測軌跡補正手段は、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合、前記推測軌跡の最新の推測位置を対応する候補位置に平行移動することで推測軌跡の位置補正を行う、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3記載の発明では、起点となる推測位置と候補地点を、対応するGPS位置と重なるように推測軌跡と候補軌跡を平行移動することでオフセットするオフセット手段を備え、前記推測軌跡相関値算出手段はオフセット後の推測軌跡に対する相関値Spを算出し、前記候補軌跡相関値算出手段はオフセット後の候補軌跡に対する相関値Sqを算出し、前記推測軌跡補正手段は、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合、前記オフセット前の推測軌跡を、前記起点となる推測位置を中心に、前記推測軌跡の方位と前記候補軌跡の方位の方差だけ回転させることにより、推測軌跡の方位補正を行う、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4記載の発明では、前記推測軌跡補正手段は、所定長の推測軌跡に対して算出可能な地点相関値sが所定個数以下である場合、推測軌跡の補正を行う、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置を提供する。
(5)請求項5記載の発明では、前記想定最大誤差eは、前記GPSのDOPに基づく誤差円の半径であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1の請求項に記載したナビゲーション装置を提供する。
(6)請求項6記載の発明では、前記想定最大誤差eは、DOP、前記推測位置とGPS位置間の距離、及び推測位置の軌跡による方位とGPS位置の軌跡による方位の差から算出した信頼度に応じた距離であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1の請求項に記載したナビゲーション装置を提供する。
(7)請求項7記載の発明では、推測航法により求めた推測軌跡を候補地点に基づいて移動させることで補正を行うナビゲーション用プログラムであって、GPS測位によるGPS位置と、前記GPS位置に対応する推測航法による推測位置と候補地点を取得する地点取得機能と、前記GPS位置に対する誤差範囲の距離を示す想定最大誤差eを取得する想定最大誤差取得機能と、前記推測位置から、前記取得した想定最大誤差eを半径とする信頼度円までの距離に基づく地点相関値sを算出し、各推測位置における地点相関値の累積値を推測軌跡の相関値Spとして算出する推測軌跡相関値算出機能と、前記候補位置から、前記信頼度円までの距離に基づく地点相関値を算出し、各候補位置における地点相関値の累積値を候補軌跡の相関値Sqとして算出する候補軌跡相関値算出機能と、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くなる場合には、推測軌跡の移動による補正を行わず、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合には前記推測軌跡の補正を行う推測軌跡補正機能と、をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーション用プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、GPS位置に対する誤差範囲の距離を示す想定最大誤差eを半径とする信頼度円までの距離に基づく地点相関値sを算出し、各地点相関値sの累積値から推測軌跡の相関値Spと候補軌跡の相関値Sqを算出し、候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Spよりも悪くなる場合には、推測軌跡の移動による補正を行わず、候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Spよりも悪くならない場合に推測軌跡の補正を行うことで、より誤マッチングを少なくすると共に、走行軌跡の補正を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態におけるナビゲーション装置のシステム構成図である。
【図2】信頼度の定義と要素について概念的に表した説明図である。
【図3】推測方位と距離の信頼度を決定する各要素について表した説明図である。
【図4】GPS方位と距離の信頼度を決定する各要素について表した説明図である。
【図5】GPS軌跡と補正前後の推測軌跡との相関値についての説明図である。
【図6】相関値の算出対象となる各GPS位置G、推測位置P、候補地点Qの抽出方法の説明図である。
【図7】表示用推測軌跡の位置補正処理についてのフローチャートである。
【図8】GPS位置との相関値を用いた推測軌跡の方位補正についての説明図である。
【図9】方位方正をする場合の処理についてのフローチャートである。
【図10】本実施形態による位置補正を適用しない通常のマップマッチングの状態を表した説明図である。
【図11】GPS軌跡に対する最大想定誤差eを考慮した相関値に基づく位置補正を適用したマップマッチングの状態を表した説明図である。
【図12】本実施形態を適用しない方位補正の状態を表した説明図である。
【図13】GPS軌跡に対する最大想定誤差eを考慮した相関値に基づく方位補正を適用した本実施形態によるマップマッチングの状態を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のナビゲーション装置及びナビゲーション用プログラムにおける好適な実施の形態について、図1から図13を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態のナビゲーション装置では、推測航法により走行軌跡を求め(推測軌跡)、この推測軌跡を道路上に設定した候補点の軌跡に移動する位置補正や、所定位置(例えば、u個前の候補地点)を中心に走行軌跡を回転させる方位補正を、GPS軌跡との相関値に基づいて行う。
すなわち、GPS測位に基づくGPS軌跡を求め、所定距離のGPS軌跡に対する、補正前後の推測軌跡との相関値を求め、補正により相関値が悪くなる場合には補正を行わず、良くなる場合に推測軌跡の補正を行う。
【0013】
GPS軌跡に対する推測軌跡の相関値は、次のようにして求める。
まず、GPSによる各測定位置(GPS位置)に対応する推測軌跡上の地点(推測位置)と、この推測位置に対応する道路上の候補地点を求める。
候補地点は推測位置から所定距離内に存在する道路上に設定され、車両の移動に伴い候補地点も移動距離だけ該道路上を移動させることで各候補地点(候補推測位置)を求める。この候補地点もGPS位置に対応して設定され、候補地点の軌跡が候補軌跡となる。
【0014】
そして、GPS位置を中心とし、GPSの測定精度から求めた誤差の程度を示す距離(想定最大誤差e)を半径とする信頼度円を求め、GPS位置に対応する推測位置、候補地点から信頼度円までの距離の二乗値を両地点における地点相関値sとする。
GPS軌跡に対する補正前の推測軌跡の相関値Spと、候補地点による候補軌跡の相関値Sqは、所定距離区間で測定された各GPS位置に対する推測位置と候補地点の各点における地点相関値sを累計することで求める。
【0015】
GPS軌跡に対する推測軌跡の相関値Spが、候補地点による推測軌跡(候補軌跡)の相関値Sqよりも悪くなる(大きな値となる)場合には、推測軌跡の補正(各推測位置を対応する候補地点への移動)を行わず、相関値が良くなる(小さくなる)場合に推測軌跡を候補軌跡に補正する。すなわち、候補軌跡を補正後の推測軌跡とする。
このように、GPSの測位位置に対する信頼度だけではなく、所定区間のGPS軌跡に対する補正前後の推測軌跡の相関値を考慮することで、推測軌跡をより正確な位置に残すことが可能となり、結果として自車位置精度の向上が可能となる。
【0016】
(2)実施形態の詳細
図1は本実施形態が適用されるナビゲーション装置のシステム構成図である。
このナビゲーション装置は、車両に搭載され、この図1に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50とを備えている。
【0017】
現在位置検出装置10は、以下のような構成を有している。
方位センサ12は、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出する手段であり、本実施形態では、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを使用している。なお、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム或いは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。また、方位センサ12として、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両がいずれの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方位を検出する手段であってもよい。
【0018】
距離センサ13は、車両の移動距離を計測できる手段であり、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものを使用する。
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
【0019】
次に、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42、プリンタ43またはスピーカ44等の出力手段に出力するように制御する手段である。
【0020】
この情報処理制御装置20は、以下のような構成を有している。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置全体の総括的な演算及び制御を行う。
ROM22は、目的地までの経路の探索、表示案内や音声案内等のナビゲーションに関するプログラムや、本実施形態による、GPS信頼度円に基づくGPS軌跡に対する推測軌跡の相関値から補正を行うマップマッチング処理プログラム等の各種プログラムを格納している。なお、ROM22を第1ROMと第2ROMの2つに分け、第2ROMに音声案内に関するナビゲーションプログラムを格納し、他のプログラムを第1ROMに格納するようにしてもよい。
本実施形態のマップマッチングプログラムにおいて、後述する信頼度データが定義されているが、プログラムとは独立した信頼度データの参照テーブルを設けプログラムの実行過程で信頼度データを参照するようにしてもよく、また、後述する情報記憶装置50に信頼度データファイルを保存するようにしてもよい。
【0021】
RAM24は、入力装置41により入力された目的地の情報、通過地点の情報等の利用者が入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、または情報記憶装置50から読み込まれた地図情報を格納するための記憶手段である。
また、RAM24には、本実施形態のマップマッチングで使用する、GPS位置、推測位置及び補正推測位置、及びこれらに基づく各種軌跡等の各種データが一時保存される。
【0022】
通信インターフェイス25は、伝送路45を介して各種情報の入出力するための手段である。具体的には、伝送路45を介して、GPS受信装置14、入力装置41、プリンタ43、情報記憶装置50が接続される。
時計28は、時刻を刻む。
その他、CPU21で処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための画像処理専用の画像プロセッサ、画像プロセッサで処理された画像情報を格納する画像メモリ、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理しスピーカ44に出力する音声処理専用の音声プロセッサを配設するようにしてもよい。
【0023】
入出力装置40は、利用者により目的地、通過地点、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像を表示するディスプレイ42、情報を印刷するプリンタ43、音声を出力するスピーカ44より構成される。
入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。
ディスプレイ42には、現在地周辺の地図や、目的地までの走行経路が表示される。
なお、入出力装置40は、プリンタ43を有しない構成としてもよい。
【0024】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、その他のデータファイル52を格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、光学的記憶媒体であるDVD−ROM、CD−ROMや磁気的記憶媒体であるハードディスクなどで構成されるが、光磁気ディスク、各種半導体メモリなどの各種情報記憶媒体で構成してもよい。
なお、書き換えが必要な情報については、書き換え可能なハードディスク、フラッシュメモリなどで構成し、その他の固定的な情報についてはCD−ROM、DVD−ROMなどのROMを使用するようにしてもよい。
【0025】
地図データファイル51には、ナビゲーションにおける地図表示、経路探索、経路案内に必要な各種データとして、地図データ、道路データ、目的地データ、案内地点データ、その他のデータが記憶されている。
地図データとしては、全国道路地図、各地域の道路地図または住宅地図等が記憶されている。道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形及び、道路名称等が表示される市街図である。細街路とは、例えば、国道、県道以下の道幅が所定値以下の比較的狭い道路である。
地図データは、車両現在位置やユーザに指定された地点を含む、所定縮尺による一定範囲の地図がディスプレイ42に表示される。この地図上には、車両の現在位置や指定された地点が表示される。
【0026】
道路データは、各道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータで、ノードデータとリンクデータで構成される。この道路データは、経路探索やマップマッチングに使用されると共に、探索した走行経路を地図データ上に重ねて表示する場合にも使用される。
ノードデータは、地図上において経路探索に利用される各ノードの地理座標データ等を表したデータである。
例えば、交差点などの道路の接続点はノードにより表され、接続点の間の道路(即ち道路の内分岐しない領域)はリンクによって表される。このように、ノードデータ経路の接続関係を表した経路データとして機能している。
なお、進入禁止や一方通行など、交通規制により走行が制限されるものに関しては、これを表す属性が、各リンクに付与されているが、これらの属性については、交差点ノードに付与するようにしてもよい。
ノードデータは、各交差点に対して常に設定される交差点ノードと共に、各交差点間の特徴的な点(例えば、カーブの開始、中間、終了の各地点や、高度が変化する地点など)に補助的に設定される場合がある補助ノードが存在する。交差点ノードには、交差点の地理的位置座標や名称等の交差点に関する情報が含まれる。
【0027】
目的地データは、主要観光地や建物、電話帳に記載されている企業・事業所等の目的地になる可能性の高い場所や施設等の位置と名称等のデータである。
案内地点データは、道路に設置されている案内表示板の内容や分岐点の案内等、案内が必要とされる地点の案内データである。
【0028】
その他のデータファイル52には、例えば、各種施設や観光地、または主要な交差点等の視覚的表示が要求される場所を写した写真の画像データや、設定した走行経路を音声により案内する場合の音声データ等が記憶されている。
【0029】
次に本実施形態のマップマッチングプログラムにおいて、定義されている信頼度データについて説明する。
図2は、信頼度の定義と要素について概念的に表したものである。
図2(a)は、本実施形態の信頼度に対する、方位と距離についての想定誤差が規定されている。すなわち、方位に関し、想定方位誤差が1度以内である場合を信頼度5、想定方位誤差が3度以内である場合を信頼度4、想定方位誤差が10度以内である場合を信頼度3、想定方位誤差が45度以内である場合を信頼度2、想定方位誤差が不明である場合を信頼度1と規定している。
【0030】
また距離に関し、想定距離誤差が5m以内である場合を信頼度5、想定距離誤差が10m以内である場合を信頼度4、想定距離誤差が25m以内である場合を信頼度3、想定距離誤差が50m以内である場合を信頼度2、想定距離誤差が不明である場合を信頼度1と規定している。
【0031】
このように本実施形態では、方位、距離ともに信頼度が5段階に規定されているが、より詳細に規定(例えば、10段階)するようにしてもよい。
なお、想定誤差(方位、距離)については、後述する信頼度の各要素に対する値と、その場合の誤差を実測することで予め規定しておく。
【0032】
図2(b)は、推測方位と推測距離の信頼度と、GPSによる方位と距離の信頼度を決定するための要素について表したものである。
この図に示されるように、推測信頼度(方位、距離)を決定する要素としては、前回信頼度、想定累積方位誤差、ジャイロ感度学習状態、推測方位信頼度、距離係数学習状態があり、GPS信頼度(方位、距離)を決定する要素としては、GPS・推測軌跡方位一致度、速度、DOP、座標間距離によるGPS・推測軌跡位置一致度、座標間方位によるGPS・推測軌跡位置一致度がある。
【0033】
そして図2(b)に示される通り、推測方位の信頼度は、前回信頼度、想定累積方位誤差、ジャイロ感度学習状態から決定する。
推測距離の信頼度は、前回信頼度、推測方位信頼度、距離係数学習状態から決定する。
また、GPS方位信頼度は、GPS・推測軌跡方位一致度、速度、DOPから決定する。
GPS距離の信頼度は、DOP、座標間距離によるGPS・推測軌跡位置一致度、座標間方位によるGPS・推測軌跡位置一致度から決定する。
【0034】
図3は、推測方位と距離の信頼度を決定する各要素について規定したものである。
前回信頼度は、図3に示すように、前回のマップマッチングにおいて算出した推測方位の信頼度と、推測距離の信頼度をそのまま使用する。
これは、推測航法により求めた推測方位の信頼度は、ジャイロの故障を除き、急激に変化する場合はないと考えられるため、前回の信頼度をそのまま使用するものである。
【0035】
通常、ナビゲーション装置の左右が水平に取り付けられていれば、ジャイロセンサの左右感度はほぼ等しくなる。このため、ジャイロセンサの左右感度がずれている場合、左右感度の学習が間違っている可能性が高く、方位変化時に誤差がでると考えられる。
そこで、想定累積方位誤差は、所定区間(例えば、10m)を走行する間の方位変化に対して、方位誤差は累積して大きくなると考えられるため、累積方位誤差(度)が大きくなるほど信頼度は小さくなるように規定されている。
本実施形態では、方位誤差率として、左右感度差1°に対して、0.1%の割合で設定されている。従って、ジャイロセンサの左右感度差α°に0.001を乗じた値を所定区間の走行毎に累積する。
なお、左右感度差は、次に説明するジャイロ感度学習による補正後の左右感度差が使用される。
【0036】
ジャイロ感度学習状態は、ジャイロセンサに対する感度学習の回数を表し、感度学習の回数が少ない場合には推測方位の精度が低く、学習回数が多い場合に精度が高いと考えられるため、学習回数の増加に応じて信頼度が高くなるように設定されてる。
なお、本実施形態におけるジャイロセンサの感度学習の回数は、左折に対する学習と、右折に対する学習のセットで1回カウントされる。
【0037】
ここで、ジャイロの感度学習は、右折及び左折に対するジャイロセンサの感度を補正するもので、周知の各種方法により行われる。
例えば、右左折時においてジャイロセンサから求めた角度を、GPS測位による走行軌跡から求めた角度によって補正する。この学習は、GPS測位による精度が低い場合には補正により感度が悪化する可能性があるので、GPS測位の精度が高い場合における右左折時に行われる。
例えば、GPS速度が30km/h以上であり、DOPから求まる誤差円の直径が100m以内であることを学習開始条件として、学習が行われる。なお、学習開始条件としては、さらに、車両現在位置の周辺に所定以上の高度のビルが存在しないことを条件に追加するようにしてもよい。
【0038】
推測方位信頼度は、推測距離の信頼度を求めるために使用するもので、推測方位の信頼度が高ければ、推測距離の精度も高いと考えられるので推測方位信頼度(各要素から求めた最終値)をそのまま使用する。
【0039】
距離係数学習状態は、距離に対する学習回数を示し、学習回数が多ければ、距離係数の精度は高い(推測距離の精度が高い)と考えられるので、推測距離の信頼度も高く規定されている。
ここで距離に対する学習も、ジャイロの感度学習と同様に、周知の各種方法を使用することができる。
例えば、GPS測位により算出した車両の移動距離を基準とし、車両の走行距離を計測する距離センサで出力される距離パルスの回数を計数することで距離パルス1回に対する移動距離を算出した回数を学習回数とする。距離パルス1回当たりの移動距離は、各学習で求めた移動距離の分布から最も多い値に基づいて統計的に決定する。
なお、距離に対する学習も、ジャイロの学習と同様にGPSの精度が高い場合に行われ、車両が所定距離だけ移動する間で学習開始条件を満たしている必要がある。
【0040】
図4は、GPS方位と距離の信頼度を決定する各要素について規定したものである。
GPS・推測軌跡方位一致度は、GPSによる軌跡の形状と推測軌跡の形状の一致度を判定するものである。推測方位の変化量とGPS方位の変化量が近ければ(差が小さければ)、GPS方位の精度は高いと考えられることから、図4に示すように、両方位の一致度が高いほど、GPS方位の信頼度が高く規定されている。
【0041】
ここで、GPS・推測軌跡方位一致度は次のようにして算出する。
(a)GPS信頼度算出位置(最新GPS測位点)を基点とする。
同様に推測軌跡は、GPSの基点と同mの推測軌跡位置(同期した位置)を基点とする。
【0042】
(b)基点から、測位点間隔でGPS測位点を最大20点取得し、基点方位からの方位変化量を各測位点毎に取得する。この時、GPSの連続性(測位間隔)を5秒以内とする(2、3秒非測位になっても処理が動く)。
同様に、推測軌跡も基点方位からの方位変化量を、各測位点に対応する点毎に取得する(推測軌跡座標はGPS測位m位置と同期をとること)。
【0043】
(c)取得したGPSと推測軌跡の各方位変化量に対して、対応する測位点間の差分を算出し、その和をとり平均値を算出する(相関値)。この相関値が図4平均方位差(°)となる。
なお、取得するGPS方位は、GPS方位信頼度が2以上のもののみとする。
【0044】
GPS速度が速ければ、GPS方位の精度は高くなると考えられるので、図4に示すように、信頼度も高く規定されている。
【0045】
DOP(Dilution Of Precision)は、GPS衛星の配置から計算される測位精度を示す値(精度低下率)で、DOPが小さければGPS距離、GPS方位も比較的高いと考えられるので、図4に示すように、信頼度も高く規定されている。なお、DOP値は1.0が最もよい値である。
DOPには、幾何学的精度低下率HDOP、水平精度低下率PDOP、位置精度低下率RDOP等があり、本実施形態ではHDOPを使用するが、他を使用し、また、他を併用してもよい。
DOPは、GPS受信装置14で算出される。
【0046】
座標間距離によるGPS・推測軌跡位置一致度は、図4で規定される。推測軌跡との距離の一致度が高ければ、GPS距離の精度も高いと考えられるので、座標間距離によるGPS・推測軌跡位置一致度の信頼度も高く規定されてる。
【0047】
この座標間距離によるGPS・推測軌跡位置一致度は、次のようにして算出する。
(a)GPS信頼度算出位置(最新GPS測位点)を基点とする。
同様に推測軌跡は、GPSの基点に対応して測定される推測軌跡位置を基点とする。
(b)GPS基点位置から10m以上間の間隔でGPS測位点を10点取得し、基点からの座標間距離を算出する。
同様に、推測軌跡について、推測軌跡位置の基点から、GPSの各測位点に対応する各位置までの座標間距離を算出する。
(c)(b)で算出した、対応するGPS位置(測位点)と推測位置までの両座標間距離の差分を、各測位点毎に算出し、2乗の和をとり平均値を算出する(相関値)。
この相関値から信頼度を決定する。
【0048】
座標間方位によるGPS・推測軌跡位置一致度は、図4で規定されている。すなわち、推測軌跡との座標間の方位の一致度が高ければ、GPS方位の精度も高いと考えられるので、座標間方位によるGPS・推測軌跡位置一致度の信頼度も高く規定されてる。
【0049】
この座標間方位によるGPS・推測軌跡位置一致度は、次のようにして算出する。
(a)GPS信頼度算出位置(最新GPS測位点)から、10m以上の間隔でGPS測位点を最大10点取得し、隣どうしの2点間の座標から、当該2点間に対する方位を算出する。なお、本実施形態では、比較する点間の間隔が小さいと、少しのずれでも方位が大きく成ってしまうため10m以上の間隔に設定している。
同様に、推測軌跡についても、GPS測位点に対応する各位置に対し、隣どうしの2点間の座標から、当該2点間に対する方位を算出する。
(b)GPS測位点に基づき算出した各方位に対して、隣同士の方位の差分を算出し、推測方位変化量を算出する。
同様に、推測軌跡についても、各点に基づき算出した各方位に対して、隣同士の方位の差分を算出し、方位変化量を算出する。
【0050】
(c)(b)で算出した、対応するGPSの方位変化量と推測方位変化量の差分を、各点毎に算出し、2乗の和をとり平均値を算出する(相関値)。
この相関値から信頼度を決定する。
【0051】
以上により各要素毎に信頼度を求め、最終的な推測方位と距離、GPS方位と距離の各信頼度は、要素毎の信頼度の平均値として算出する。
例えば、推測方位の信頼度は、推測方位の前回信頼度が4、想定累積方位誤差の信頼度が3、ジャイロ感度学習状態の信頼度が3であれば、これら3要素の信頼度の平均値が3.33となる。
図2(a)で示した想定方位誤差を求める場合には、求めた平均値3.33を四捨五入した値3を信頼度とする。これにより信頼度3に対応する想定方位誤差は10度以内となる。
なお、より精度を高めるため、求めた平均値を五捨六入、六捨七入、…としても良く、また小数点以下を切り捨てするようにしてもよい。
【0052】
また、各要素の信頼度に対して重み付けをするようにしてもよい。
この場合、重み付けとしては、前回信頼度の重み付けを他の要素よりも高くする。
例えば、前回信頼度を1.5倍、想定累積方位誤差の信頼度を0.8倍、ジャイロ感度学習状態の信頼度を0.7倍する。
更に、各要素毎に算出した信頼度に基づき、ファジィ制御により最終的な信頼度を決定するようにしてもよい。
【0053】
このように構成されたナビゲーション装置では、次のようにして経路案内が行われる。
ナビゲーション装置は、現在位置検出装置10で現在位置を検出し、情報記憶装置50の地図データファイル51から現在位置周辺の地図情報を読み込みディスプレイ42に表示する。
そして、入力装置41から目的地が入力されると、情報処理制御装置20は、現在位置から目的地に至る走行経路の候補を複数探索(演算)し、ディスプレイ42に表示した地図上に表示し、運転者がいずれかの走行経路を選択すると、選択した走行経路をRAM24に格納することで、走行経路を取得する(走行経路取得手段)。
【0054】
なお、情報処理制御装置20は、情報処理センタに車両現在位置(又は入力された出発地)と目的地を送信し、情報処理センタで探索された目的地までの走行経路を受信することにより走行経路を取得するようにしてもよい。この場合、目的地や走行経路の通信は通信インターフェイス25を介して、無線通信により行う。
また、自宅等のパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を使用して、出発地から目的地までの走行経路を探索し、USBメモリ等の記憶媒体に格納し、該記憶媒体読取り装置を介して取得するようにしてもよい。この場合の記憶媒体読取装置は伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
【0055】
車両が走行すると、現在位置検出装置10によって検出された現在位置を追跡することにより、経路案内を行う。
経路案内は、探索した走行経路に対応する道路データと現在位置検出装置10で検出される現在位置とのマップマッチングにより地図上の車両位置を特定し、車両現在位置周辺の地図をディスプレイ42に表示し、探索した走行経路を地図上に表示すると共に、車両の現在位置を示す現在位置マークを地図上に表示する。
また、探索した走行経路と現在位置との関係から、案内の必要性、すなわち直進が所定距離以上続く場合、所定の進路変更地点等の走行経路の案内、及び方面案内が必要か否か等について判断し、必要である場合にはディスプレイ42の表示及び音声による案内を実行する。
【0056】
次に、このように構成されたナビゲーション装置による、マップマッチング処理について説明する。
図5は、GPS軌跡と補正前後の推測軌跡との相関値について表したものである。
この図5に示すように、例えば、GPS測位によるGPS位置G1に対し、このGPS測位時点において測定された推測航法による推測位置がP1で、この推測位置P1に対応する道路上の候補地点がQ1、又はQ1’である。
【0057】
そして、GPS位置G1に対する想定最大誤差eを半径とする信頼度円を求める。
推測位置P1と候補地点Q1はこの信頼度円内に存在するので、両地点P1、Q1のGPS位置G1に対する地点相関値はゼロとなる。
一方、候補地点Q1’は信頼度円外に存在するので、候補地点Q1’から信頼度円までの距離を二乗した値がGPS位置G1に対する地点相関値s1となる。
図5では、GPS位置G1と候補地点Q1’を結ぶ線分のうち、太線で表した距離の二乗値が地点相関値s1となる。
【0058】
地点相関値sの算出は次の数式(1)により算出される。
s={max(0,d−e)}2 …(1)
ここで、dは、GPS位置Gと、推測位置P、候補地点Q、Q’との距離dp、dQ、dQ’、eはGPS位置G1における想定最大誤差である。
なお、max(a,b)はaとbのうち、大きい方の値を示すものとする。
【0059】
上記数式(1)から、地点相関値sは、d−e>0の場合、すなわち、推測位置、候補地点が信頼度円外にある場合には、信頼度円までの距離d−eの二乗値となる。
一方、d−e≦0の場合、すなわち、推測位置、候補地点が信頼度円内または上にある場合にはゼロとなる。
【0060】
このように、GPS位置G1に対する推測位置P1と候補地点Q1(又はQ1’)の地点相関値s1の算出と同様にして、GPS軌跡に沿った他のGPS位置G2〜G5に対する、推測位置P2〜P5と候補地点Q2〜Q5(又は候補地点Q2’〜Q5’)の地点相関値s2〜s5も求める。
【0061】
各地点相関値sの算出は、GPS位置G1を起点として、車両の移動に合わせてGPS位置G2、G3…と順次地点相関値s1、s2、s3、…を求める。
なお、GPS位置G1から所定区間(例えば、GPS位置G5まで)を走行した後に、GPS位置G1以降の各地点相関値s1…を算出するようにしてもよい。
【0062】
そして、GPS軌跡に対する、推測軌跡の相関値Spと候補軌跡(候補地点による軌跡)の相関値Sqはそれぞれ次の数式(2)により表される。
なお、両相関値Sp、Sqを代表してSで表す。
S=s1+s2+s3…sn
=Σ[{max(0,d−e)}2]…(2)
【0063】
図5に示されるように、推測軌跡は各推測位置P1〜P5のうち推測位置P2が信頼度円から外れているのに対し、候補軌跡は各候補地点Q1〜Q5の全てが信頼度円内に位置している。このため、GPS軌跡に対する相関値は、推測軌跡の信頼度Sp>候補軌跡の信頼度Sqとなる。
従って、推測軌跡に対する候補軌跡がQ1〜Q5である場合には、補正によって相関値が小さくなる(良くなる)ので、図5の矢印Aに示すように、推測軌跡を候補軌跡に補正する。すなわち、候補軌跡を補正後の推測軌跡とする。
【0064】
一方、推測軌跡に対する候補軌跡がQ1’〜Q5’であった場合、全ての候補地点が信頼度円から大きく外れているため、推測軌跡の信頼度Sp<候補軌跡の信頼度Sqとなる。
このため、推測軌跡を候補軌跡に補正すると、推測航法により求めた推測軌跡よりも正しくない位置への補正になる可能性が高いので、図5の矢印Bに示すような補正は行わず(補正を抑止し)、元の推測軌跡(推測位置P1〜P5による)をそのまま保存する。
【0065】
図6は、相関値の算出対象となる各GPS位置G、推測位置P、候補地点Qの抽出方法を表したものである。
図6に示すように、位置補正の妥当性をチェックする(地点相関値を求める)間隔(所定距離L)毎に分割する。この分割については、所定位置を起点としてそこから所定距離L毎に順にM1、M2、…と分割する。なお、起点から車両の移動に従って順次GPS位置Gを決定すると共に対応する推測位置Pと候補地点Qの地点相関値sを算出する場合には分割が不要で、この場合、起点からLm走行する毎に次の地点相関値s算出用のGPS位置を決定する。
【0066】
分割した区間、例えば、区間M1内において最初のGPS受信結果から求めたGPS位置G11を地点相関値sの算出対象として抽出する。
そして決定したGPS位置G11に対するGPS受信結果の走行距離(起点又は区間Mの開始地点からの走行距離)に対応する走行軌跡上の推測位置P11と、候補地点Q11を地点相関値sの算出対象として抽出する。
【0067】
区間M1のように、同一区間内でGPS位置G11、G12の2つが測定された場合でも、GPS位置Gは最初に測定した位置を抽出する。
一方、区間M2のように、区間内にGPS受信結果がなければ、その区間でのGPS位置Gは抽出しない。
また、区間M3のように、GPS受信結果があっても想定最大誤差eを算出できないGPS位置G31は抽出対象としない。この場合、GPS位置G31以降に区間M3内で想定最大誤差eを算出できるGPS位置G32(受信結果)があればこれを抽出する。
【0068】
次に、マップマッチング処理において行われる、本実施形態の表示用推測軌跡の位置補正処理について図7のフローチャートを参照して説明する。
情報処理制御装置20は、GPS受信装置14からGPS座標(GPS位置Gn)、受信距離を取得すると共に、GPS信頼度に対応する想定最大誤差eを取得する(ステップ10)。
想定最大誤差eは、図2〜図4で説明した上述の方法により算出することで取得する。
【0069】
情報処理制御装置20は、ステップ10で取得した各種値から相関値の算出が可能か否かを判断する(ステップ20)。すなわち、各情報の取得が可能であり、且つ、GPS受信位置から一定距離以内に車両が存在している場合には相関値算出が可能と判断する。
情報処理制御装置20は相関値算出が可能でなければ(ステップ20;N)、ステップ60に移行する。
【0070】
一方、相関値の算出が可能である場合(ステップ20;Y)、情報処理制御装置20は、補正前後の推測軌跡座標、すなわち、ステップ10で取得したGPS位置Gnに対応する推測位置Pnと候補地点Qnを取得する(ステップ30)。
【0071】
次に情報処理制御装置20は、想定最大誤差eを考慮したGPS位置Gnに対する推測位置Pnの地点相関値sを算出し、区間M1〜Mn−1で算出した地点相関値の合計に加算しRAM24の所定領域に保存する(ステップ40)。
また、情報処理制御装置20は、想定最大誤差eを考慮したGPS位置Gnに対する候補地点Qnの地点相関値sを算出し、区間M1〜Mn−1で算出した地点相関値の合計に加算しRAM24の所定領域に保存する(ステップ50)。
【0072】
つぎに情報処理制御装置20は、算出対象の最大点数分を処理したか判断する(ステップ60)。すなわち、位置補正の妥当性をチェックするための最大の区分数をwとした場合に、M1からMwの各区間Mに対してGPS位置Gの抽出を行ったか否かを判断する。
情報処理制御装置20は、算出対象の最大点数w分を処理していなければ(ステップ60;N)、ステップ10に戻り、次のGPS位置Gのための情報を取得する。この場合、次のGPS位置Gのための情報は、区間Mn内での抽出が完了している場合と、抽出が完了していないが次の区間M+1に移動した場合には、次の区間Mn+1についての最初のGPS位置Gの情報となる。一方、区間Mn内での抽出が完了していない場合には当該区間Mn内での次のGPS位置Gの情報となる。
【0073】
情報処理制御装置20は、算出対象の最大点数w分を処理した場合(ステップ60;Y)、算出点数(地点相関値sを算出できた地点数)が、算出対象の最小点数以上であるか判断する(ステップ70)。
算出対象の最小点数は任意であるが、本実施形態では例えば、3点が設定されている。
【0074】
算出点数が算出対象最小点数未満である場合(ステップ70;N)、情報処理制御装置20は、軌跡の相関値SがGPSの一時的な位置ずれに影響を受けやすくなり信頼性に欠けるので補正の抑制を行わず、ステップ90に移行して補正を行う。
一方、算出点数が算出対象の最小点数以上である場合(ステップ70;Y)、情報処理制御装置20は、候補軌跡を推測軌跡とする補正を行った場合に相関値が悪化するか否かについて、推測軌跡の相関値Spと候補軌跡の相関値Sqを比較することで判断する(ステップ80)。
【0075】
候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Spよりも大きい場合、すなわち、相関値が悪化する場合(ステップ80;Y)、情報処理制御装置20は推測軌跡を補正せず、推測航法により求めた推測軌跡のままとし、メインルーチンにリターンする。
一方、候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Sp以下である場合、すなわち、相関値が悪化しない場合(ステップ80;N)、情報処理制御装置20は、推測軌跡Pを候補軌跡Qに移動することで、補正を行い(ステップ90)、メインルーチンにリターンする。
なお、推測軌跡の補正(ステップ90)により、ナビゲーション装置のディスプレイ42に表示されている車両の走行軌跡と車両現在位置マークも候補軌跡(補正後の推測軌跡)に移動する。
【0076】
次に、GPS位置Gとの相関値を用いた推測軌跡の方位補正について図8を参照して説明する。
推測軌跡の方位補正は、推測軌跡の方位と候補軌跡の方位の差(角度差)を求め、推測軌跡を回転起点を中心に方位差だけ回転させる補正である。
従って、図8に示すように、推測軌跡の方位と候補軌跡の方位を比較するために、回転中心(推測軌跡の起点P1、候補軌跡の起点Q1)をGPS位置の起点G1と重なるように、推測軌跡と候補軌跡全体を一時的に平行移動させた上で、両軌跡の相関値Sを算出している。
【0077】
そして、図5で説明した位置の補正の場合と同様にして、GPS位置G2〜G5に対する、推測位置P2〜P5の地点相関値sを累積した推測軌跡の相関値Spと、候補地点Q2〜Q5の地点相関値sを累積した候補軌跡の相関値Sqを求める。
図5の候補地点Q1’〜Q5’の場合のように、候補軌跡の相関値Sqの方が推測軌跡の相関値Spよりも大きい場合(相関値が悪化する場合)には、方位の補正を行わない。
一方、図5の候補地点Q1〜Q5の場合のように、候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Sp以下である場合(相関値が同じか良くなる場合)、起点をGPS位置G1に一時的に移動する前の推測軌跡を、推測位置P1を中心として、候補軌跡の方位との方位差だけ回転させることで方位補正を行う。
【0078】
図9は、マップマッチングにおいて、本実施形態における方位方正をする場合の処理について表したフローチャートである。
なお、図7で説明した位置補正を行う場合と同様な処理については同じステップ番号を付し、適宜その説明を省略することとする。
情報処理制御装置20は、位置補正の場合と同様に、GPS受信装置14からGPS座標(GPS位置Gn)、受信距離、想定最大誤差eを取得し(ステップ10)、相関値の算出が可能か否かを判断し(ステップ20)、可能であれば(ステップ20;Y)、補正前後の推測軌跡座標、すなわち、GPS位置Gnに対応する推測位置Pnと候補地点Qnを取得する(ステップ30)。
【0079】
次いで情報処理制御装置20は、算出対象、すなわち、GPS位置Gn、推測位置Pn、候補地点Qnが起点か、2点目以降の地点かを判断する(ステップ31)。
算出対象が2点目以降でない(n=1の起点である)場合(ステップ31;N)、情報処理制御装置20は、比較用に平行移動するためのオフセットを算出する(ステップ32)。
すなわち、情報処理制御装置20は、推測位置P1の座標値からGPS位置G1の座標値を引いた値を(ΔXp,ΔYp)、及び候補地点Q1の座標値からGPS位置G1の座標値を引いた値(ΔXq,ΔYq)を算出し、推測位置P1と候補位置Q1をGPS位置G1に重なる位置に平行移動した場合の移動量(オフセット)とする。
【0080】
一方、算出対象が2点目以降の地点(n≧2)である場合(ステップ31;Y)、情報処理制御装置20は、補正前後の座標を算出する(ステップ33)。
すなわち、情報処理制御装置20は、方位補正のための補正前の推測位置Pnの座標として、推測位置Pnの座標(Xpn,Ypn)に、ステップ32で算出したオフセット(ΔXp,ΔYp)を加え、補正後の推測位置Pnの座標(Xpn+ΔXp,Ypn+ΔYp)を算出する。
また方位補正のための補正後の候補地点Qnの座標として、候補地点Qnの座標(Xqn,Yqn)に、ステップ32で算出したオフセット(ΔXq,ΔYq)を加え、補正後の候補地点Qnの座標(Xqn+ΔXq,Yqn+ΔYq)を算出する。
【0081】
次に情報処理制御装置20は、想定最大誤差eを考慮したGPS位置Gnに対する推測位置Pn(ステップ33で算出した座標)の地点相関値sを算出し、区間M1〜Mn−1で算出した地点相関値の合計に加算し、RAM24の所定領域に保存する(ステップ40)。
また、情報処理制御装置20は、想定最大誤差eを考慮したGPS位置Gnに対する候補地点Qn(ステップ33で算出した座標)の地点相関値sを算出し、区間M1〜Mn−1で算出した地点相関値の合計に加算し、RAM24の所定領域に保存する(ステップ50)。
【0082】
つぎに情報処理制御装置20は、算出対象最大点数分だけ処理し(ステップ60;Y)、地点相関値sを算出できた地点数が、算出対象最小点数以上であれば(ステップ70;Y)、候補軌跡を推測軌跡とする補正を行った場合に相関値が悪化するか否かについて、推測軌跡の相関値Spと候補軌跡の相関値Sqを比較することで判断する(ステップ80)。
【0083】
候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Spよりも大きい場合、すなわち、相関値が悪化する場合(ステップ80;Y)、情報処理制御装置20は推測軌跡の方位補正せず、推測航法により求めた推測軌跡のままとし、メインルーチンにリターンする。
一方、候補軌跡の相関値Sqが推測軌跡の相関値Sp以下である場合、すなわち、相関値が悪化しない場合(ステップ80;N)、情報処理制御装置20は、推測軌跡の方位補正(回転)を行い(ステップ91)、メインルーチンにリターンする。
【0084】
推測軌跡の方位補正では、オフセットしていない推測軌跡を、推測軌跡の方位と候補軌跡の方位の方位差だけ、推測位置P1を中心として回転させる。
ここで本実施形態では方位差として、推測位置P1と推測位置Pw(最後の地点で図8の例ではw=5)を結んだ線分と、候補地点Q1と候補地点Q5を結んだ線分との成す角を採用している。
但し、推測位置P1と推測位置P2を結んだ線分と、候補地点Q1と候補地点Q2を結んだ線分との成す角を方位差としてもよい。
また、推測位置P1と推測位置P2、P3、…とを結んだ各線分と、候補地点Q1と候補地点Q2、Q3、…とを結んだ各線分の、対応する線分同士の成す角の平均値を方位差としてもよい。
【0085】
次に推測軌跡の位置補正と方位補正において本実施形態によって補正が抑制(制限)される事例について、後補正が発生しやすい場合として周囲が道路に囲まれた駐車場の中を移動する場合を例に説明する。
図10は、本実施形態における、GPS軌跡に対する最大想定誤差eを考慮した相関値に基づく位置補正を適用しない通常のマップマッチングの状態を表したものである。
この図10(a)に示すように、実際の車両は駐車場に図面右側から入り、右折、左折、左折をしながら走行しているものとし、その走行軌跡は点線で示す推測軌跡の通り正しく推測されてるものとする。
この状態では、ディスプレイ42に表示されている地図上には、推測軌跡に従って、三角を点線の円で囲った現在位置マークが自車表示位置に表示される。
【0086】
一方、候補地点は、道路(リンク)上に設定されて移動するため、車両の移動に合わせて、駐車場の右側の道路から上側の道路、そして車両の最後の左折に対して左上の交差点を左折した、図面白抜きの四角で表した位置に候補地点が存在する。
【0087】
この状態、すなわち、車両が最後の左折をし、候補地点を白抜き四角の位置に移動させた状態で、従来のマップマッチングを行うと、図10(b)に示すように、誤補正が発生してしまう。
すなわち、走行軌跡と道路形状(候補軌跡)との一致から、車両の現在位置マーク(最新の推測位置)を道路上の候補地点(白抜き四角の地点)に一致させるように推測軌跡を平行移動させる補正が行われ、結果として推測軌跡の後補正が発生してしまう。
そして図10(c)に示すように、車両が駐車場内において更に左折すると、図10(b)における誤補正によって、自車表示位置と実際の自車位置とのずれ、及び走行軌跡のずれが発生することになる。
【0088】
図11は、GPS軌跡に対する最大想定誤差eを考慮した相関値に基づく位置補正を適用した本実施形態によるマップマッチングの状態を表したものである。
図11(a)は、図10(a)と同じ状態を表している。
この状態で、本実施形態によるマップマッチング、すなわち、推測軌跡の補正処理を適用すると、推測軌跡の各推測位置は、図11(b)に示すように、各GPS位置(GPS座標)における想定最大誤差eによる信頼度円内に含まれているので推測軌跡の相関値Spはゼロである。
これに対して、道路(リンク)上に設定された候補軌跡は信頼度円から外れる部分が多いため、候補軌跡の相関値Sqは大である。
このため、マップマッチング処理において、図11(b)の状態では、補正による相関度が悪化するため、候補軌跡の補正は行わない。
その結果図11(c)に示すように、その後の車両移動に対しても推測軌跡及び自車位置表示は、位置ずれは発生せず、正しい位置、軌跡となっている。
【0089】
図12は、本実施形態を適用しない場合の通常のマップマッチングによる方位補正の状態を表したものである。
図12(a)に示すように、駐車場において車両が左折した時点でGPS座標に屈曲中の方位にずれが発生したものとする。
この場合、通常のマップマッチングでは、図12(b)に示すように、屈曲点を中心として推測軌跡をGPS方位との方位差分だけ回転する補正をしてしまうため、図12(c)に示すように、その後の走行軌跡、及び自車位置マークも位置ずれが発生してしまう。
【0090】
図13は、GPS軌跡に対する最大想定誤差eを考慮した相関値に基づく方位補正を適用した本実施形態によるマップマッチングの状態を表したものである。
図13(a)は、図12(a)と同じ状態を表している。
この状態で、本実施形態によるマップマッチング、すなわち、推測軌跡の補正処理(回転)を適用すると、推測軌跡の各推測位置は、図13(b)に示すように、各GPS位置(GPS座標)における想定最大誤差eによる信頼度円内に含まれているので推測軌跡の相関値Spはゼロである。
これに対して、回転後の候補軌跡は信頼度円から外れる部分が多いため、候補軌跡の相関値Sqは大である。
このため、マップマッチング処理において、図13(b)の状態では、補正による相関度が悪化するため、候補軌跡の補正は行わない。
その結果図13(c)に示すように、その後の車両移動に対しても推測軌跡及び自車位置表示は、位置ずれは発生せず、正しい位置、軌跡となっている。
【0091】
以上、本発明のナビゲーション装置及びナビゲーション用プログラムにおける1実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において更に各種の変形を行うことが可能である。
例えば、上述した実施形態及び変形例では、信頼度円の半径である想定最大誤差eをGPS信頼度に基づいて決定するようにしたが、GPSのDOPに基づく誤差円を使用するようにしてもよい。この場合の想定最大誤差は誤差円の半径を使用する。
【0092】
また、数式(1)において、地点相関値sを算出する場合、信頼度円外にある推測位置P、候補地点Qから信頼度円までの距離の二乗値(d−e)2を地点相関sとしたが、必ずしも二乗値ではなくても良く、例えば、信頼度円までの距離(d−e)を相関値sの値としてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 現在位置検出装置
20 情報処理制御装置
21 CPU
40 入出力装置
50 情報記憶装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
推測航法により求めた推測軌跡を候補地点に基づいて移動させることで補正を行うナビゲーション装置であって、
GPS測位によるGPS位置と、前記GPS位置に対応する推測航法による推測位置と候補地点を取得する地点取得手段と、
前記GPS位置に対する誤差範囲の距離を示す想定最大誤差eを取得する想定最大誤差取得手段と、
前記推測位置から、前記取得した想定最大誤差eを半径とする信頼度円までの距離に基づく地点相関値sを算出し、各推測位置における地点相関値の累積値を推測軌跡の相関値Spとして算出する推測軌跡相関値算出手段と、
前記候補位置から、前記信頼度円までの距離に基づく地点相関値を算出し、各候補位置における地点相関値の累積値を候補軌跡の相関値Sqとして算出する候補軌跡相関値算出手段と、
前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くなる場合には、推測軌跡の移動による補正を行わず、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くならない場合には前記推測軌跡の補正を行う推測軌跡補正手段と、
を具備したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記推測軌跡補正手段は、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合、前記推測軌跡の最新の推測位置を対応する候補位置に平行移動することで推測軌跡の位置補正を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
起点となる推測位置と候補地点を、対応するGPS位置と重なるように推測軌跡と候補軌跡を平行移動することでオフセットするオフセット手段を備え、
前記推測軌跡相関値算出手段はオフセット後の推測軌跡に対する相関値Spを算出し、
前記候補軌跡相関値算出手段はオフセット後の候補軌跡に対する相関値Sqを算出し、
前記推測軌跡補正手段は、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合、前記オフセット前の推測軌跡を、前記起点となる推測位置を中心に、前記推測軌跡の方位と前記候補軌跡の方位の方差だけ回転させることにより、推測軌跡の方位補正を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記推測軌跡補正手段は、所定長の推測軌跡に対して算出可能な地点相関値sが所定個数以下である場合、推測軌跡の補正を行う、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記想定最大誤差eは、前記GPSのDOPに基づく誤差円の半径であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1の請求項に記載したナビゲーション装置。
【請求項6】
前記想定最大誤差eは、DOP、前記推測位置とGPS位置間の距離、及び推測位置の軌跡による方位とGPS位置の軌跡による方位の差から算出した信頼度に応じた距離であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1の請求項に記載したナビゲーション装置。
【請求項7】
推測航法により求めた推測軌跡を候補地点に基づいて移動させることで補正を行うナビゲーション用プログラムであって、
GPS測位によるGPS位置と、前記GPS位置に対応する推測航法による推測位置と候補地点を取得する地点取得機能と、
前記GPS位置に対する誤差範囲の距離を示す想定最大誤差eを取得する想定最大誤差取得機能と、
前記推測位置から、前記取得した想定最大誤差eを半径とする信頼度円までの距離に基づく地点相関値sを算出し、各推測位置における地点相関値の累積値を推測軌跡の相関値Spとして算出する推測軌跡相関値算出機能と、
前記候補位置から、前記信頼度円までの距離に基づく地点相関値を算出し、各候補位置における地点相関値の累積値を候補軌跡の相関値Sqとして算出する候補軌跡相関値算出機能と、
前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くなる場合には、推測軌跡の移動による補正を行わず、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合には前記推測軌跡の補正を行う推測軌跡補正機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーション用プログラム。
【請求項1】
推測航法により求めた推測軌跡を候補地点に基づいて移動させることで補正を行うナビゲーション装置であって、
GPS測位によるGPS位置と、前記GPS位置に対応する推測航法による推測位置と候補地点を取得する地点取得手段と、
前記GPS位置に対する誤差範囲の距離を示す想定最大誤差eを取得する想定最大誤差取得手段と、
前記推測位置から、前記取得した想定最大誤差eを半径とする信頼度円までの距離に基づく地点相関値sを算出し、各推測位置における地点相関値の累積値を推測軌跡の相関値Spとして算出する推測軌跡相関値算出手段と、
前記候補位置から、前記信頼度円までの距離に基づく地点相関値を算出し、各候補位置における地点相関値の累積値を候補軌跡の相関値Sqとして算出する候補軌跡相関値算出手段と、
前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くなる場合には、推測軌跡の移動による補正を行わず、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くならない場合には前記推測軌跡の補正を行う推測軌跡補正手段と、
を具備したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記推測軌跡補正手段は、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合、前記推測軌跡の最新の推測位置を対応する候補位置に平行移動することで推測軌跡の位置補正を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
起点となる推測位置と候補地点を、対応するGPS位置と重なるように推測軌跡と候補軌跡を平行移動することでオフセットするオフセット手段を備え、
前記推測軌跡相関値算出手段はオフセット後の推測軌跡に対する相関値Spを算出し、
前記候補軌跡相関値算出手段はオフセット後の候補軌跡に対する相関値Sqを算出し、
前記推測軌跡補正手段は、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合、前記オフセット前の推測軌跡を、前記起点となる推測位置を中心に、前記推測軌跡の方位と前記候補軌跡の方位の方差だけ回転させることにより、推測軌跡の方位補正を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記推測軌跡補正手段は、所定長の推測軌跡に対して算出可能な地点相関値sが所定個数以下である場合、推測軌跡の補正を行う、
ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記想定最大誤差eは、前記GPSのDOPに基づく誤差円の半径であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1の請求項に記載したナビゲーション装置。
【請求項6】
前記想定最大誤差eは、DOP、前記推測位置とGPS位置間の距離、及び推測位置の軌跡による方位とGPS位置の軌跡による方位の差から算出した信頼度に応じた距離であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1の請求項に記載したナビゲーション装置。
【請求項7】
推測航法により求めた推測軌跡を候補地点に基づいて移動させることで補正を行うナビゲーション用プログラムであって、
GPS測位によるGPS位置と、前記GPS位置に対応する推測航法による推測位置と候補地点を取得する地点取得機能と、
前記GPS位置に対する誤差範囲の距離を示す想定最大誤差eを取得する想定最大誤差取得機能と、
前記推測位置から、前記取得した想定最大誤差eを半径とする信頼度円までの距離に基づく地点相関値sを算出し、各推測位置における地点相関値の累積値を推測軌跡の相関値Spとして算出する推測軌跡相関値算出機能と、
前記候補位置から、前記信頼度円までの距離に基づく地点相関値を算出し、各候補位置における地点相関値の累積値を候補軌跡の相関値Sqとして算出する候補軌跡相関値算出機能と、
前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Spよりも悪くなる場合には、推測軌跡の移動による補正を行わず、前記候補軌跡の相関値Sqが前記推測軌跡の相関値Sp良くなる場合には前記推測軌跡の補正を行う推測軌跡補正機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするナビゲーション用プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−197280(P2010−197280A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43792(P2009−43792)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]