説明

ナビゲーション装置

【課題】 TV映像の表示位置を簡単に変更することのできるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 地図とTV映像とを表示面31Aに同時に表示可能な表示部140を有し、経路案内を行うナビゲーション装置1において、表示部140の表示面31A上に設けられたタッチパネル32を備え、表示部140の表示面31Aに地図とTV映像とが同時に表示されているときに、タッチパネル32がタッチ操作された場合、当該タッチ操作された個所に基づいて、TV映像が表示されている領域を移動するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経路案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載型のナビゲーション装置においては、表示装置の表示面全体に地図を表示する全画面表示に加え、表示面を2分割してなる2画面表示を可能にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。さらに、2画面表示が可能なナビゲーション装置として、地図と共にTV映像を表示するものが知られている。このようなナビゲーション装置では、TV映像の表示位置を設定するための設定画面が予め用意されており、ユーザがTV映像の表示位置を変更する場合には、この設定画面を呼び出して、再設定する構成となっている。
【特許文献1】特開2003−340578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の技術にあっては、ユーザがTV映像の表示位置を変更しようとするたびに、上記設定画面を呼び出して設定するという操作手順を踏まなくてはならず、TV映像の表示位置の変更操作が煩雑であるという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、TV映像の表示位置を簡単に変更することのできるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、地図とTV映像とを表示面に同時に表示可能な表示手段を有し、経路案内を行うナビゲーション装置において、前記表示手段の表示面上に設けられたタッチパネルを備え、前記表示手段の表示面に地図とTV映像とが同時に表示されているときに、前記タッチパネルがタッチ操作された場合、当該タッチ操作された個所に基づいて、前記TV映像が表示されている領域を移動するようにしたことを特徴とする。
【0005】
なお、この発明において、TV映像はDVDやCD、ビデオテープ等の記録媒体に記録されたアニメや映画、ライブ映像などの動画像を示唆する概念であり、TV映像に代えて、これらの動画像を地図と共に同時に表示する構成であっても良い。
【0006】
また、本発明は、上記発明において、前記タッチパネルの縁部がタッチ操作された場合、前記タッチパネルの中心から当該タッチ操作の操作個所に至る方向と、ほぼ同じ方向に前記TV映像が表示されている領域を移動するようにしたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記発明において、前記タッチパネルをタッチしている時間に応じて前記TV映像が表示されている領域の移動量を大きくすることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記発明において、前記TV映像が表示されている領域内がタッチされると共にタッチ個所が前記タッチパネルの面上を移動した場合に、前記TV映像が表示されている領域を、前記タッチ個所の移動にあわせて移動させるようにしたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記発明において、前記表示手段は、前記表示面の表示領域内に前記地図を表示すると共に、前記表示領域内の一部に形成された小窓に前記TV映像を表示して、前記地図と前記TV映像とを同時に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、TV映像の表示位置を簡単に変更することのできるナビゲーション装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は本実施の形態に係るナビゲーション装置1の外観構成を示す斜視図である。このナビゲーション装置1は、車両に搭載され、車両の経路案内を行うものであり、図1に示すように、車両のダッシュボード2に設けられた所定の収納スペースに嵌め込まれる装置本体10と、この装置本体10の正面に設けられた操作パネル11とを備えている。操作パネル11は、枠体としてのフェイスパネル12と、このフェイスパネル12上に設けられた複数の操作スイッチ13と、フェイスパネル12に嵌め込まれた表示パネル14とを有している。この表示パネル14には、現在地点の周辺地図、車両の現在位置、及び、目的地までの経路が表示され、これにより経路案内が行われる。
【0012】
操作パネル11は、図2に示すように、装置本体10の正面に設けられた収納部15に開閉自在に取り付けられている。具体的には、図3に示すように、収納部15両側の側壁16の面内に上下に延びるガイド溝17が形成され、操作パネル11の上方両端側に設けられた突起18が上記ガイド溝17に移動自在に取り付けられると共に、操作パネル11の下方両端側に押出機構19が取り付けられている。この押出機構19は、装置本体10の正面に向けて突出し操作パネル11の下端部を押し出すものであり、図示せぬモータによって突出駆動されるスライドバー20を有し、このスライドバー20の先端が操作パネル11の側面下方に軸ピン20Aにより連結され、操作パネル11を回転自在に支持している。
【0013】
したがって、押出機構19による操作パネル11の下端部の押し出し動作に伴い、突起18がガイド溝17に沿って下方側に移動することで、操作パネル11が傾動し、前掲図2に示すように、操作パネル11が開かれ、そして、装置本体10の正面が露出する。これとは逆に、押出機構19が操作パネル11の下端部を引き戻し、突起18がガイド溝17に沿って上方側に移動することで、前掲図1に示すように操作パネル11が閉じ、装置本体10が操作パネル11に覆われた状態となる。この操作パネル11の開閉動作、すなわち、上記スライドバー20を駆動する図示せぬモータの始動は、操作パネル11のフェイスパネル12上に配設された操作スイッチ13の操作に基づいて行われる。
【0014】
装置本体10の正面には、前掲図2に示すように、メモリカード等のカード型記録媒体が挿入されるカード挿入口21や、このカード挿入口21からカード型記録媒体を排出するための排出ボタン22、CD(Compact Disc)或いはDVD(Digital Versatile Disk)等のディスク型記録媒体(光ディスク)が挿入されるディスク挿入口23、ディスク挿入口23からディスク型記録媒体を排出するための排出ボタン24などが設けられている。これらの挿入口21、23は、上述の通り、通常時は操作パネル11により覆われており、操作スイッチ13を操作して操作パネル11を開くことで、挿入口21、23にアクセス可能となる。
【0015】
次いで、操作パネル11に設けられた表示パネル14の構成について詳細する。図4に示すように、表示パネル14は、液晶駆動回路基板30と、液晶パネル31と、液晶パネル31の表示面31A全体を覆うように設けられたタッチパネル32とを有している。タッチパネル32には、抵抗膜方式のものが用いられ、透明度(光透過度)が高く、液晶パネル31の表示がタッチパネル32を通して視認可能になされている。このように、本ナビゲーション装置1にあっては、フェイスパネル12に設けた操作スイッチ13に加え、タッチパネル32による操作も可能となっている。なお、表示パネル14としては、上記液晶パネル31に代えて、例えば有機EL(Electro-Luminescence)パネル等を用いることも可能である。
【0016】
図5は、ナビゲーション装置1の機能的構成を示すブロック図である。この図において、制御部100は、ナビゲーション装置1の各部を中枢的に制御するものであり、演算・制御手段としてのメインCPU(Central Processing Unit)101と、ROM102、DRAM104及びSRAM106を有する記憶部110とを備えている。ROM(Read Only Memory)102は制御プログラムやデータ等を格納するものである。これらの制御プログラムやデータ等は、ナビゲーション装置1の主電源投入時に、メインCPU101によって読み出されて実行され、これにより各部の制御動作が行われる。DRAM(Dynamic Random Access Memory)104はメインCPU101がROM102から読み出したプログラムや、演算結果、演算途中のデータ等を一時的に格納するものである。SRAM(Static Random Access Memory)106はナビゲーション装置1の主電源切断時に、DRAM104に格納されているデータ等の記憶内容をバックアップするものであり、主電源切断後においても車両のバッテリーから電力が供給され、主電源切断後もバックアップすべき記憶内容を保持可能になされている。
【0017】
主記憶部120は比較的容量の大きな各種アプリケーションプログラムやデータ等を格納するものであり、例えばハードディスク装置を備えている。主記憶部120に格納されるものとしては、例えば経路案内のためのプログラムや、表示パネル14の表示制御のためのプログラム、経路案内のための地図データ等がある。
【0018】
記録媒体読取部130は、制御部100の制御の下、上述したカード型記録媒体やディスク型記録媒体に記録されているデータを読み取り、制御部100に出力するものであり、カード型記録媒体読取装置や、CD/DVDドライブ装置等を備えている。なお、記録媒体に地図データを格納し、この地図データを経路案内に用いる構成としても良い。
音出力部135は、制御部100の制御の下、音楽や音声を出力するものであり、例えば、記録媒体に記録された音楽データの再生にあっては、記録媒体読取部130によって読み取られた音楽データが音出力部135に出力され、音楽が再生される。
【0019】
表示部140は、制御部100の制御の下、地図等の各種情報を表示するものであり、描画回路142と、液晶駆動回路144と、上述した液晶パネル31とを備えている。描画回路142は、地図データ等を含む描画コマンドDSSを制御部100から受け取り、この描画コマンドDSSに基づいた表示を行うべく液晶駆動回路144を制御するものであり、描画プロセッサ146とVRAM148とを備えている。描画プロセッサ146は、描画コマンドDSSに基づいて液晶パネル31に表示すべき描画データ(例えばビットマップ画像データ)を生成するものであり、VRAM(Video RAM)148は描画データを保持するものである。液晶駆動回路144はVRAM148に保持されている描画データを順次受け取り、この描画データに基づいて液晶パネル31の表示面31Aに表示するものである。これら描画回路142及び液晶駆動回路144は、上述した液晶駆動回路基板30に実装されている。
【0020】
位置検出部150は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されているGPS電波を受信するアンテナ(レシーバでも良い)を備え、GPS電波に基づいて、車両の現在地点を示す位置座標と、進行方向とを計算し、位置検出信号PSとして制御部100に出力するものである。制御部100は、経路探索時に、位置検出信号PSにより示される現在地点から目的地までの誘導経路を探索して探索結果を表示部140に表示し、また、経路案内時には、位置検出信号PSに基づいて現在位置の移動状況を地図と共に表示部140に表示して経路案内を行う。
【0021】
FM多重受信処理部160は、制御部100の制御の下、FM多重放送波を受信して、渋滞や事故、交通規制といったVICS情報(道路交通情報)や緊急情報、天気予報(気象情報)といった各種情報を取り出し、制御部100に出力するものである。また、ビーコン受信処理部170は、制御部100の制御の下、車両走行中の道路に関するVICS情報を受信し、制御部100に出力するものである。ここで、車両走行中にあっては、FM多重受信処理部160及びビーコン受信処理部170は、これらVICS情報や緊急情報、天気予報等の各種情報を文字情報として取得しており、この文字情報が制御部100に出力され、制御部100の制御によって、表示部140に文字(アイコン等を含む)として表示される。
【0022】
TV受信処理部180は、制御部100の制御の下、TV(テレビジョン)放送波を受信してTV映像及びTV音声を制御部100に出力するものであり、図示せぬTVチューナ回路を備えている。TV映像は動画像として液晶パネル31に表示され、また、TV音声は音出力部135から出力される。
【0023】
車両情報取得部200は、車両の走行状態に関する情報を取得するものである。具体的には、車両情報取得部200は、イルミ情報取得部202と、車速パルス取得部204と、パーキングブレーキ操作状態取得部206とを備えている。イルミ情報取得部202は、車両に配設されたイルミ配線の電流(或いは電圧)を検知し、車両のスモールライト(車幅灯)のオン・オフを示すイルミ信号ILSを制御部100に出力するものである。車両のスモールライトのオン・オフを検出することで、車両の周囲の明るさを特定することが可能となり、イルミ信号ILSによって、スモールライトの点灯が示されている場合、制御部100は、描画回路142を制御することで、液晶パネル31の輝度を高め、液晶パネル31の表示が見えにくくなるのを防止する。
【0024】
車速パルス取得部202は、車両の走行速度を示す車速パルス信号を車両に搭載されたコンピュータ、或いは、車両に取り付けられたセンサから取得し、制御部100に車速信号CSSとして出力するものである。
パーキングブレーキ操作状態取得部204は、車両のパーキングブレーキレバー(或いはペダル)の操作状態を取得し、パーキングブレーキがかけられているか否かを示すパーキングブレーキ状態信号PBSを出力するものである。すなわち、このパーキングブレーキ状態信号PBSに基づいて車両が駐車中であるか否か、特に、車両が走行中(一時的な停止状態を含む)であるかが特定される。
【0025】
操作部190は、スイッチ操作部192と、タッチパネル操作部194とを備えている。スイッチ操作部192は、上述した操作スイッチ13に加え、この操作スイッチ13の操作を電気信号に変換してスイッチ信号SSを制御部100に出力するスイッチ回路基板(図示せず)を備えている。タッチパネル操作部194は、上述したタッチパネル32に加え、タッチパネル32の操作を電気信号に変換してタッチ信号TSを制御部100に出力するタッチパネル回路基板(図示せず)を備えている。タッチ信号TSには、タッチパネル32面上のタッチ操作個所の座標を示す情報が含まれており、これにより、制御部100が、タッチパネル32上のタッチ操作個所を識別可能となる。ここで、制御部100は、走行の安全を図るべく、パーキングブレーキ状態信号PBSにより車両が駐車中でないことが示されている場合には、操作部190からのスイッチ信号SS及びタッチ信号TSの入力を無効とし、車両が駐車していないとき、特に車両走行中の各種の操作を禁止している。
【0026】
次いで、表示部140の表示態様について説明する。図6に示すように、ナビゲーション装置1は、液晶パネル31の表示面31A全体に地図或いはTV映像を表示する全画面表示と、図7に示すように、液晶パネル31の表示面31Aに地図とTV映像と同時に表示する2画面表示との2つの表示態様を有している。2画面表示においては、表示面31Aの表示領域内の一部が略矩形に区分されて小窓画面31Bが形成され、表示面31A全体に地図が表示されると共に、小窓画面31BにTV映像が表示される。
【0027】
この小窓画面31Bは、その表示面積を拡大または縮小可能に構成されると共に、その表示位置も変更可能に構成されている。具体的には、操作部190(スイッチ操作部192或いはタッチパネル操作部194)の操作によって、小窓画面31Bの表示面積の拡大または縮小を指示するようになっており、制御部100は、かかる指示を受け取った場合、この指示に基づく描画コマンドDSSを表示部140に出力して、小窓画面31Bの表示面積を変更する。
【0028】
また、表示面31A内での小窓画面31Bの表示位置の変更は、タッチパネル32のタッチ操作により変更可能になされている。より詳細には、液晶パネル31が2画面表示状態である場合、タッチパネル32の縁部(周辺部)をタッチ操作するか、或いは、小窓画面31Bの表示領域内をタッチ操作することで、小窓画面31Bの表示位置を変更可能に構成されている。
【0029】
すなわち、図8に示すように、2画面表示状態においては、タッチパネル32の縁部33が小窓画面31Bを移動させるための移動ボタン34として機能すると共に、小窓画面31Bの表示領域に対応するタッチパネル32の領域が小窓画面31Bをドラッグ移動させるためのドラッグ操作ボタン35として機能する。移動ボタン34について詳細には、タッチパネル32の上辺32A近傍が、小窓画面31Bを上方に移動させるための上方向移動ボタン34Aとして機能し、これと同様に、右辺32B近傍が右方向移動ボタン34B、下辺32C近傍が下方向移動ボタン34C、左辺32D近傍が左方向移動ボタン34D、右上隅32E近傍が右上方向移動ボタン34E、右下隅32F近傍が右下方向移動ボタン34F、左下隅32G近傍が左下方向移動ボタン34G、左上隅32H近傍が左上方向移動ボタン34Hとして機能する。このように、表示面31Aの中心Oからみて各移動ボタン34A〜34Hが配置される方向と、各々の移動ボタン34A〜34Hが小窓画面31Bを移動させる方向とが合致するようになされている。したがって、各移動ボタン34A〜34Hを表示等により明示せずとも、直感的に識別可能となり、小窓画面31Bの移動操作が容易なものとなる。また、各移動ボタン34A〜34Hの表示が不要であるから、これらの移動ボタン34A〜34Hの表示により表示面31Aに表示された地図を隠してしまうこともない。
【0030】
図9は、各移動ボタン34A〜34H及びドラッグ操作ボタン35のタッチパネル32上の座標範囲A1〜A9と操作内容とを規定するボタン設定300を示す図であり、このボタン設定300が制御部100の記憶部110(例えばROM102等)に予め格納されている。画面表示が2画面表示状態であるときに、タッチパネル32がタッチ操作された場合には、制御部100は、このボタン設定300に基づいて、タッチ操作個所(座標値)から操作内容を特定する。ここで、ドラッグ操作ボタン35の座標範囲A9は、小窓画面35の表示位置及び表示面積に応じて変わるため、表示画面が2画面表示状態となったときに、そのときの小窓画面31Bの表示領域がドラッグ操作ボタン35の座標範囲A9の初期値として取り込まれる。そして、小窓画面31Bの表示位置或いは面積が変更されるごとに、ドラッグ操作ボタン35の座標範囲A9が更新される。
【0031】
また、本実施の形態では、各移動ボタン34A〜34Hのタッチ時間t(押下時間)に応じて、小窓画面31Bの移動距離を変更する構成としている。具体的には、図10に示すように、タッチ時間tが基準時間Tth(例えば1〜2秒程度)よりも長い場合(以下かかる操作を「長押操作」という)は、移動距離D1だけ小窓画面31Bが移動し、タッチ時間tが基準時間Tthよりも短い場合(以下、かかる操作を「短押操作」という)は、距離D1よりも短い移動距離D2だけ小窓画面31Bが移動する。これらの移動距離D1、D2の単位としてピクセルを用いるととし、移動距離D1が10ピクセル、移動距離D2が1ピクセルに設定されている。
【0032】
したがって、各移動ボタン34A〜34Hの長押操作がなされた場合には、図11に示すように、その操作された移動ボタン34(図示例では左上方向移動ボタン34H)が表示面31Aの中心Oからみて配置されている方向に、比較的長い移動距離D1(10ピクセル)だけ小窓画面31Bが大きく移動し、また、短押操作がなされた場合には、図12に示すように、その操作された移動ボタン34(図示例では左上方向移動ボタン34H)が表示面31Aの中心Oからみて配置されている方向に、比較的短い移動距離D2(1ピクセル)だけ小窓画面31Bが小刻みに移動する。これにより、小窓画面31Bの大まかな表示位置の調整と微調整とが可能となる。
【0033】
また、図13に示すように、小窓画面31Bの表示領域、すなわち、ドラッグ操作ボタン35がタッチされ、そして、タッチした指が表示面31Aを摺動すると(いわゆる、ドラッグ操作)、この摺動にあわせて小窓画面31Bが移動する。これにより、小窓画面31Bを、あたかも指で移動させるかのような移動操作が可能となり、より直感的に小窓画面31Bの移動操作を行うことができる。
【0034】
次に、ナビゲーション装置1の動作、特に、小窓画面31Bの移動動作について図14を参照しつつ詳述する。図14は小窓画面移動処理のフローチャートである。この図に示すように、制御部100は、表示部140の画面表示が、地図表示と共にTV映像を小窓画面31Bに表示した2画面表示状態となっているか否かを判断し(ステップS1)、2画面表示でない場合は(ステップS1:NO)、小窓画面31Bの移動がないため処理を終了する。一方、2画面表示状態である場合(ステップS1:YES)、小窓画面31Bの表示領域をドラッグ操作ボタン35の座標範囲A9として設定すべく、この小窓画面31Bの表示領域の座標値を取得して、記憶部110のSRAM106等に格納する(ステップS2)。
【0035】
そして、制御部100は、タッチパネル操作部194からタッチ信号TSが出力されたか否かを判断し、タッチパネル32に対してタッチ操作が行われたか否かを判断する(ステップS3)。タッチ操作がない場合(ステップS3:NO)、制御部100は、処理手順をステップS1に戻して、2画面表示状態の確認と、タッチ操作の有無の確認とを繰り返す。一方、タッチ操作があった場合(ステップS3:YES)、制御部100は、そのタッチ操作の操作内容を特定すべく、次の処理を実行する。すなわち、制御部100は、タッチパネル32の縁部33(より具体的には、タッチパネル32の縁部33に設けられた移動ボタン34A〜34Hのいずれか)がタッチ操作されたか否かをタッチ信号TSに含まれるタッチ座標情報に基づいて判断する(ステップS4)。タッチ操作された個所が縁部33でない場合には(ステップS4:NO)、制御部100は、次に小窓画面31Bの表示領域内がタッチ操作されたか否かを判断する(ステップS5)。そして、タッチ操作された個所が小窓画面31Bの表示領域内でもない場合には(ステップS5:NO)、そのタッチ操作が上記移動ボタン34A〜34H及びドラッグ操作ボタン35のいずれかを操作するものでなく無効な操作であるとして、処理手順をステップS1に戻す。
【0036】
一方、タッチ操作された個所が縁部33である場合には(ステップS4:YES)、制御部100は、当該縁部33のタッチ操作に基づいて小窓画面31Bを移動させるための縁部操作移動処理を実行し(ステップS6)、また、タッチ操作された個所が小窓画面31Bの表示領域内である場合には、小窓画面31Bをドラッグ移動させるためのドラッグ操作処理を実行する(ステップS7)。
【0037】
縁部操作移動処理においては、図15に示すように、制御部100は、タッチパネル32の縁部33に設けられた移動ボタン34A〜34Hのうちのいずれがタッチ操作されたかをタッチ信号TSの座標情報に基づいて判断して(ステップS60)、その移動ボタン34に予め対応付けられた操作内容(前掲図9参照)に基づいて、小窓画面31Bを移動させるべき方向を特定する(ステップS61)。
次いで制御部100は、小窓画面31Bを移動させるべき距離を特定すべく、タッチ操作が長押操作か、或いは、短押操作かを判断する(ステップS62)。すなわち、このステップS72において、制御部100は、タッチ操作が検出されてからタッチパネル32から指が離されるまでのタッチ時間tをカウントし、このタッチ時間tが基準時間Tthよりも大である場合に、タッチ操作が長押操作であると判断し、そうでなければ短押操作であると判断する。
【0038】
タッチ操作が長押操作である場合(ステップS62:長押操作)、制御部100は、小窓画面31Bを、ステップS61にて特定した移動方向に10ピクセルだけ移動し(ステップS61)、また、タッチ操作が短押操作である場合(ステップS62:短押操作)、制御部100は、小窓画面31Bを、ステップS61にて特定した移動方向に1ピクセルだけ移動する。これにより、長押操作がなされた場合には、前掲図11に示すように、その移動ボタン34が表示面31Aの中心Oからみて配置されている方向と同じ方向に小窓画面31Bが大きく移動し、また、短押操作がなされた場合には、前掲図12に示すように、その移動ボタン34が表示面31Aの中心Oからみて配置されている方向と同じ方向に小窓画面31Bが小刻みに移動することとなる。なお、移動ボタン33のタッチ時間が上述した基準時間Tthの数倍の長さになる場合には、タッチ操作がなされている間、小窓画面31Bを移動距離D1ずつ繰り返し移動させるようにしても良い。
【0039】
また、ドラッグ操作処理においては、図16に示すように、制御部100は、時間Δt(例えば0.1秒など)の間でのタッチ操作個所の変移量と変移の方向とを、タッチ信号TSに基づいて算出し(ステップS70)、その変移量と変移の方向とにあわせて小窓画面31Bを移動させる(ステップS71)。具体的には、ステップS70において、制御部100は、現時点でのタッチ操作個所の座標値と、時間Δt経過後のタッチ操作個所の座標値とに基づいて、タッチ操作個所の変移量と変移の方向とを三平方の定理やベクトル演算等で算出し、ステップS71において、その変移量を小窓画面31Bの移動量とし、また、変移の方向を小窓画面31Bの移動方向として、小窓画面31Bを移動する。
【0040】
そして、制御部100は、タッチ操作がいまだ継続中であるか否かを、タッチ信号TSに基づいて判断し(ステップS72)、タッチ操作が継続中である場合(ステップS72:YES)、小窓画面31Bの移動量と移動方向とを特定すべく、処理手順をステップS70に戻す。また、タッチ操作が完了している場合には(ステップS72:NO)、小窓画面31Bの移動を行う必要がないため制御部100は処理を終了する。以上の処理により、小窓画面31Bの表示領域内がタッチされ、そのタッチした指がタッチパネル32の面上を摺動するといったドラッグ操作が行われた場合、前掲図13に示すように、その指の動きにあわせて表示画面が移動することになる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態のナビゲーション装置1によれば、表示部140の表示面31Aの全面に地図を表示すると共に、当該表示面31Aに形成した小窓画面31BにTV映像を同時に表示しているときに、タッチパネル32がタッチ操作された場合、タッチ操作された個所に基づいて、TV映像が表示されている小窓画面31Bを移動するようにしたため、小窓画面31Bの表示位置を設定するための設定画面を呼び出し、設定を行うといった煩雑な操作手順を踏まなくとも、この小窓画面31Bを簡単に移動させることができ、ナビゲーション装置1の利便性を高めることができる。
【0042】
特に、地図上に表示されている現在位置、或いは、確認したい場所が、小窓画面31Bの背後に隠れてしまっている場合に、タッチパネル32をタッチ操作するだけで、小窓画面31Bを移動させ、その隠れてしまっている個所を表示させることができる。
【0043】
また、本実施の形態のナビゲーション装置1によれば、タッチパネル32の縁部33がタッチ操作された場合、タッチパネル32の中心から当該タッチ操作の操作個所に至る方向と、ほぼ同じ方向にTV映像が表示されている小窓画面31Bを移動するようにしたため、ユーザが小窓画面31Bを所望の方向に移動させる場合には、タッチパネル32の縁部33のうち、その方向に対応する個所をタッチ操作すれば良いため、小窓画面31Bの移動のためのタッチ操作を直感的に行うことができる。
【0044】
特に、タッチパネル32の縁部33のどの位置をタッチ操作すれば、小窓画面31Bがどの方向に移動するかが直感的に把握可能となるため、タッチパネル32の縁部33に設けられた移動ボタン34を表示面31Aに表示する必要がなく、この表示面31Aを有効に利用することができる。
【0045】
さらにまた、本実施の形態のナビゲーション装置1によれば、タッチパネル32をタッチしているタッチ時間tに応じて、タッチ操作を長押操作と短押操作とに分け、長押操作時には、小窓画面31Bの移動量を比較的大きくし、また、短押操作時には、小窓画面31Bの移動量を長押操作時よりも小さくするようにしたため、小窓画面31Bを大まかに移動させる操作と小刻みに移動させる操作とを簡単に使い分けることができる。また、小窓画面31Bを小刻みに移動させることができるから、小窓画面31Bの表示位置の微調整も簡単に行うことができる。
【0046】
また、本実施の形態のナビゲーション装置1によれば、TV映像が表示されている小窓画面31Bの表示領域内がタッチされ、そのタッチ個所がタッチパネル32の面上を移動した場合(いわゆる、ドラッグ操作)に、この小窓画面31Bを、タッチ個所の移動にあわせて移動させるようにしたため、小窓画面31Bをあたかも指で移動させるような操作感をユーザに与えることができ、より直感的な操作を実現することができる。
【0047】
また、ドラッグ操作による移動操作と、長押操作・短押操作による移動操作との両方を共に実現可能とすることで、ドラッグ操作によって小窓画面31Bを大まかに移動させた後に、短押操作によって小窓画面31Bの表示位置の微調整を行うといったことも可能となる。
【0048】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形を加えることができる。
【0049】
例えば、上述した実施の形態では、地図とTV映像とを同時に表示する2画面表示について説明したが、地図とTV映像とが同時に表示されている限りにおいて、3画面以上の複数画面表示であっても良い。
【0050】
また例えば、上述した実施の形態では、地図とTV映像とを同時に表示する場合を例示したが、地図と同時に表示されるのはTV映像表示に限らない。すなわち、車両走行中に、表示が禁止されているものであれば、TV映像に代えて、例えば光ディスク等の記録メディアに記録されたマルチメディア動画像(映画やTV録画映像、コンサート映像、ライブ映像等)であっても良い。
【0051】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置として車両に搭載される車載型の装置について例示したが、本発明は、経路案内を行うものであって、地図とTV映像とを同時に表示可能な表示装置を備えるナビゲーション装置であれば、例えば携帯型などの任意のナビゲーション装置に適用可能である。また、本発明のナビゲーション装置は装置単体の他に、携帯電話やPDAなどに組み込まれた態様でも実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】操作パネルが開状態のときを示す上記ナビゲーション装置の外観構成を示す斜視図である。
【図3】操作パネルが開閉する機構を示す図である。
【図4】表示パネルの構成を示す分解斜視図である。
【図5】上記ナビゲーション装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】表示部(表示パネル)における全画面表示状態を模式的に示す図である。
【図7】表示部(表示パネル)における2画面表示状態を模式的に示す図である。
【図8】小窓画面の移動操作のための移動ボタンの配置構成を示す図である。
【図9】移動ボタンの設定を示す図である。
【図10】長押操作及び短押操作と小窓画面の移動距離との関係を示す図である。
【図11】長押操作による小窓画面の移動の態様を示す図である。
【図12】短押操作による小窓画面の移動の態様を示す図である。
【図13】ドラッグ操作による小窓画面の移動の態様を示す図である。
【図14】小窓画面移動処理を示すフローチャートである。
【図15】縁部操作移動処理を示すフローチャートである。
【図16】ドラッグ操作処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 ナビゲーション装置
11 操作パネル
14 表示パネル
31 液晶パネル
31A 表示面
31B 小窓画面
32 タッチパネル
34 移動ボタン
35 ドラッグ操作ボタン
100 制御部
140 表示部
150 位置検出部
180 TV受信処理部
190 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図とTV映像とを表示面に同時に表示可能な表示手段を有し、経路案内を行うナビゲーション装置において、
前記表示手段の表示面上に設けられたタッチパネルを備え、
前記表示手段の表示面に地図とTV映像とが同時に表示されているときに、前記タッチパネルがタッチ操作された場合、当該タッチ操作された個所に基づいて、前記TV映像が表示されている領域を移動するようにした
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記タッチパネルの縁部がタッチ操作された場合、前記タッチパネルの中心から当該タッチ操作の操作個所に至る方向と、ほぼ同じ方向に前記TV映像が表示されている領域を移動するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記タッチパネルをタッチしている時間に応じて前記TV映像が表示されている領域の移動量を大きくする
ことを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記TV映像が表示されている領域内がタッチされ、そのタッチ個所が前記タッチパネルの面上を移動した場合に、前記TV映像が表示されている領域を、前記タッチ個所の移動にあわせて移動させるようにした
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記表示面の表示領域内に前記地図を表示すると共に、前記表示領域内の一部に形成された小窓に前記TV映像を表示して、前記地図と前記TV映像とを同時に表示する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−78814(P2006−78814A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263268(P2004−263268)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】