ナビゲーション装置
【課題】目的地までの経路上の気象情報の検出をより正確かつ実態に即した気象情報の検出とする技術を提供すること。
【解決手段】設定対象とした走行路から所定範囲内の領域を検出領域として規定する。外部通信機が取得した気象情報を参照して、検出領域内に気象警報が存在するか否かを判断する。肯定判断である場合には、気象現象による影響があるとみなし、その旨をユーザに通知する。具体的には、走行路、検出領域および気象警報の影響領域を表示装置に表示する。
【解決手段】設定対象とした走行路から所定範囲内の領域を検出領域として規定する。外部通信機が取得した気象情報を参照して、検出領域内に気象警報が存在するか否かを判断する。肯定判断である場合には、気象現象による影響があるとみなし、その旨をユーザに通知する。具体的には、走行路、検出領域および気象警報の影響領域を表示装置に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路上の気象情報の検出をより正確かつ実態に即した気象情報の検出とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、目的地までの経路を探索し、探索した経路を案内する機能を備えたナビゲーションシステムが知られている。
【0003】
そして、この種のナビゲーションシステムは、自車位置を検出し、自車位置周辺の地図データをディスプレイに描画するとともに、その地図上に車両マークを重ねて表示し、自車位置が変化すると、それに併せて地図をスクロールさせて道路地図を案内する機能を有するものがある。
【0004】
さらに、近年のナビゲーションシステムには、外部のサーバやネットワークと通信をするための通信機能、CDやDVD等のオーディオ・ビデオデータを再生する再生機能、テレビ放送やラジオ放送を受信する受信機能などが搭載され、あるいは利用可能になっている。特に、通信機能を利用することで、自車外部で生じている事故や渋滞情報をリアルタイムで取得したり、地図配信サーバなどから新しい地図データや施設データなどを取得したりすることができ、利用者の利便性の向上が図られている。
【0005】
なお、通信機能の活用例としては、外部から送られてくる気象情報を受信し、該気象情報に基づいて特定の地点における降雨状況や天気状況を表示する機能がある。
【0006】
しかしながら、上述のようなナビゲーションシステムでは、サーバなどから取得した気象情報をディスプレイに表示することは可能であったが、行き先方面に注意情報や警戒すべき情報(例えば台風)が発令されている場合、それをドライバーに提示し、注意を喚起する手法がなかった。このため、ドライバーは行き先方面の地図を見て、それから警戒情報等の有無を確認しなければならなかった。
【0007】
そこで、特許文献1には、行き先における台風状況の注意を喚起するため、例えば台風影響領域内に目的地や現在地等の誘導地点が含まれるときに、道路地図を表示可能なディスプレイ上に台風の進路予想を含む割込み情報を表示させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−84250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示される技術においては、例えば台風影響領域内に目的地や現在地等の誘導地点が含まれるか否かを判定しているに過ぎず、現在位置から目的地までの経路や車両が走行中の道路と台風などの気象現象との関係は勘案されていなかった。このため、やはりドライバーは地図を見て、それから経路や走行中の道路における警戒情報等の有無を確認しなければならなかった。
【0009】
従来のナビゲーションシステムにおいては、目的地までの経路上の交通情報を検出することはできるが、次のような理由により、交通情報の検出方法をそのまま気象情報の検出に適用しても実態に即した気象情報の検出ができないという問題があった。すなわち、交通渋滞や通行規制などの交通情報に関しては、交通情報が道路上の影響の有無として提供され、提供された道路と経路(道なり)が同一か否かの判定を行うことによって、目的地までの経路上の交通情報を検出している。これに対して気象情報の場合には、気象情報はグリッドなどの区域における気象の状態が取得できるが、実際の気象現象の状態は区域毎にきっちり切換わるものではなく、例えば経路の存在するグリッドの隣のグリッドに暴風雨の情報が存在すれば、当然経路の存在するグリッドも影響を受けることが予想され、ユーザに警告すべき気象情報となる。しかし、上述のような従来の交通情報のような検出方法では、そのような経路から少しでも外れた領域における警報すべき情報の判断は行えず、実態に即した気象情報の検出ができない。
【0010】
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、目的地までの経路上の気象情報の検出をより正確かつ実態に即した気象情報の検出とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るナビゲーション装置によれば、走行路特定手段が、車両が走行する走行路を特定し、検出領域規定手段が、走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する。なお、走行路の具体例としては、経路計算によって計算された現在地から目的地までの経路や、車両が現在走行中の道路(道なり道路)が挙げられる。また、気象情報取得手段が、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する。さらに、判定手段が、気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される「影響領域」の一部が検出領域規定手段によって規定された検出領域内に存在するか否かを判定する。そして、判定手段が、影響領域の一部が検出領域内に存在する場合に、その影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす。
【0012】
なお、その動向を注意すべき気象現象の影響領域の外縁上の任意点が検出領域の外縁上に位置する場合も、その気象現象の影響領域の一部が検出領域内に存在すると判断する。
【0013】
したがって、上述の検出領域を設けることによって、目的地までの経路上の気象情報の検出をより正確かつ実態に即した気象情報の検出とすることができる。そして、請求項1記載の発明では、前記検出領域は、前記影響領域を構成する、1つの前記第1の所定区画よりも大きく設定されている。
【0014】
ところで、正確かつ実態に即した気象情報の検出を常に行うためには、上述のように規定された検出領域を、その走行路や走行状況に応じて、次に挙げる手法によって規定を行った方が望ましい。
【0015】
請求項2記載の発明では、車両が走行する走行路を特定する走行路特定手段と、前記走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する検出領域規定手段と、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される影響領域の一部が前記検出領域規定手段によって規定された前記検出領域内に存在するか否かを判定し、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在する場合にその影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす判定手段とを備え、前記検出領域規定手段は、前記走行経路上の任意点に対応する検出範囲を前記気象現象の種別に応じて規定することを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明では、請求項2記載のナビゲーション装置において、前記気象現象の種別とは、車両の走行でより危険なものかを表すものであり、前記検出範囲は、前記気象現象の種別がより危険なほど大きく設定されることを特徴とする。
【0017】
また、検出領域規定手段が、走行路上の任意点に対応する検出領域を気象現象の種別に応じて規定することが考えられる(請求項3)。これは、気象現象の種別が車両の走行にとって危険なものである場合、その影響の割合が通常より大きいものと考えられるため、検出領域を広げて事前検知ができるようにするためである。
【0018】
また、請求項4記載の発明では、
車両が走行する走行路を特定する走行路特定手段と、前記走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する検出領域規定手段と、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される影響領域の一部が前記検出領域規定手段によって規定された前記検出領域内に存在するか否かを判定し、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在する場合にその影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす判定手段とを備え、前記検出領域規定手段は、前記走行路上に運転手が滞在する特定施設である通過点が存在するときには、前記走行路上に存在する通過点を中心とする所定範囲である前記検出領域を、前記走行路上に通過点が無い場合に比べて大きく設定することを特徴とする。
【0019】
また、請求項5記載の発明では、請求項4に記載のナビゲーション装置において、前記検出領域規定手段は、前記通過点の種別に応じて、より長時間滞在する特定施設である場合、より前記検出領域を大きく規定する。
【0020】
走行路上に通過点が存在するときには、検出領域規定手段が、走行路上に存在する通過点を中心とする所定範囲を検出領域として規定することが考えられる。これは、通過点があるということは、その地点にとどまる時間が長くなる傾向があるため、その地点の検出範囲を広げることによって、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである(請求項4)。
【0021】
また、検出領域規定手段が、通過点の種別に応じて検出領域を規定することが考えられる。これは、通過点がテーマパークやゴルフ場などの特定施設である場合には、通常よりもさらに長くとどまる傾向があるため、その地点の検出範囲を広げることによって、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである(請求項5)。
【0022】
ところで、上述の判定手段による判定結果を表示することで運転手に知らせるようにしてもよい。具体的には、請求項6のように、ユーザに対して種々の情報を表示する表示手段と、影響領域の一部が検出領域内に存在することからその影響領域に対応する気象現象による影響があると判定手段によってみなされる場合に、その旨を示す判定情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることが考えられる。
【0023】
このことにより、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響を容易に予測することができる。
【0024】
また、上述の判定情報を地図情報とともに表示することが考えられる。具体的には、請求項7のように、地図情報を取得する地図情報取得手段を備え、表示手段が、地図情報取得手段によって取得した地図情報を表示可能であり、表示制御手段が、地図情報取得手段によって取得した地図情報に基づいて表示手段に地図表示を行うとともに、判定情報を前記表示手段に表示させることが考えられる。
【0025】
このようにすれば、現在地から目的地までの経路や車両が走行中の道路と台風などの気象現象との位置関係をより把握しやすくすることができる。したがって、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる(請求項7)。
【0026】
以上で説明したような請求項1―請求項7の何れかに記載のナビゲーション装置における検出領域規定手段および判定手段の機能をコンピュータシステムにて実現するには、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えればよい。このようなプログラムは、例えば光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータにロードすることにより、上述の表示制御手段としての機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第一実施形態のナビゲーション装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】(a)は気象情報の種類とその詳細説明とを示すテーブルであり、(b)は、気象情報に含まれる気象警報の種類とその詳細説明とを示すテーブルである。
【図3】気象情報に含まれる気象警報の種類を示すテーブルである。
【図4】ナビゲーション装置20の制御回路29が実行する気象情報表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】気象情報表示処理を説明する説明図(1)である。
【図6】(a)は気象情報の表示例を示す説明図(1)であり、(b)は、気象情報の表示例を示す説明図(2)である。
【図7】気象情報表示処理を説明する説明図(2)である。
【図8】気象情報表示処理を説明する説明図(3)である。
【図9】気象情報表示処理を説明する説明図(4)である。
【図10】気象情報表示処理を説明する説明図(5)である。
【図11】気象情報表示処理を説明する説明図(6)である。
【図12】気象情報表示処理を説明する説明図(7)である。
【図13】気象情報表示処理を説明する説明図(8)である。
【図14】気象情報表示処理を説明する説明図(9)である。
【図15】気象情報を構成する区画例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、ナビゲーション装置20の概略構成を示すブロック図である。
[1.ナビゲーション装置の構成の説明]
ナビゲーション装置20は、車両に搭載され、車両の位置、速度、進行方向等を検出する位置検出器21と、利用者から各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能なリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、外部の情報センタ5から外部情報を受信する外部通信機24と、地図データや各種の情報を記録した外部記録媒体から地図データ等を入力する地図データ入力器25と、地図表示等の各種表示を行うための表示装置26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力装置27と、制御回路29に接続され、各種情報を記憶する外部メモリ28と、制御回路29とを備えている。
【0030】
位置検出器21は、GPS(GlobalPositioningSystem)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置、速度、進行方向等を検出するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の走行した距離を検出するための距離センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a−21cは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部のセンサで構成してもよく、またステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0031】
操作スイッチ群22は、表示装置26と一体に構成され表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。なお、タッチパネルと表示装置26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0032】
外部通信機24は、情報センタ5からFM多重放送、衛星放送、電波・光ビーコン等によって配信される気象情報を受信する。あるいは、情報センタ5からインターネット等の電話回線網を介して気象情報を受信するような構成であってもよい。
【0033】
なお、外部通信機24は気象情報取得手段に該当する。
【0034】
地図データ入力器25は、図示しない地図データ記憶媒体(例えばハードディスクやDVD−ROM等)に記憶された各種データを入力するための装置である。地図データ記憶媒体には、地図情報としての地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、背景データ、道路データ、名称データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。なお、地図データ記憶媒体からこれらのデータを入力する代わりに、通信ネットワークを介してこれらのデータを入力するようになっていてもよい。
【0035】
表示装置26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT等の何れを用いてもよい。表示装置26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のシンボルマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、後述するように、地図上の所定区画単位に対応して設定された気象情報に対応する区画が他の区画と区別可能なように、地図上の該当区画の表示態様を変更して表示させることができる(図5、図6参照)。
【0036】
なお、表示装置26は表示手段に該当する。
【0037】
音声出力装置27は、走行案内等の各種案内の音声を出力することができる。
【0038】
制御回路29は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、上述した位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコンセンサ23b,外部通信機24,地図データ入力器25からの入力に応じて各種処理を実行し、外部通信機24,表示装置26,音声出力装置27を制御する。この制御回路29は、ROM等に記憶されたプログラムに従い、必要に応じて外部メモリ28内のデータを用いて各種処理を実行する。
【0039】
例えば、ナビゲーション関係の処理としては、地図表示処理や経路案内処理等が挙げられる。地図表示処理は、位置検出器21からの各検出信号に基づいて座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、地図データ入力器25を介して読込んだ現在位置付近の地図等を表示装置26に表示する処理である。また、経路案内処理は、地図データ入力器25に格納された地点データと、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作に従って設定された目的地とに基づいて、現在位置から目的地までの最適な経路を算出し、その算出した経路に対する走行案内を行う処理である。このように自動的に最適な経路を設定する手法として、ダイクストラ法によるコスト計算等の手法が知られている。
【0040】
また、制御回路29は、上述の地図表示処理や経路案内処理等に並行して、気象情報の表示処理も行う。なお、この処理の詳細な説明については後述する。
【0041】
なお、制御回路29は、走行路特定手段、検出領域規定手段、判定手段および表示制御手段に該当する。
【0042】
上述のようにナビゲーション装置20は外部通信機24を介して情報センタ5から気象情報を取得するのであるが、この情報センタ5について説明する。
【0043】
情報センタ5は、ナビゲーション装置20へ送信するための気象情報を蓄積しておく気象情報データベースと、通信回線を介して通信を行う回線端末装置(共に図示せず)と、データを管理するサーバ(図示せず)等を備えている。
【0044】
気象情報データベースには、天気の観測情報を提供する機関等から随時収集した情報に基づいて蓄積した比較的広域の気象情報が蓄積されている。この気象情報は、地図上の所定区画単位(第1の所定区画単位に相当)毎に対応して蓄積されている。この所定区画は、例えば緯度経度で区切られたグリッド単位の区画や、行政界で分割した区画などが考えられる。本実施形態では、図5に例示するように、緯度経度で区切られた14km四方のグリッド単位の区画を用いている。なお、区画としては、群(County)や都市(City)などの地域の形状を示す多角形(ポリゴン)単位の区画を用いてもよい(図15参照)。なお、図15では、群(County)を太線で囲った図形として表現し、都市(City)を細線で囲った図形として表現している。さらに、図15では、都市(City)の一つをハッチングを施して明示している。また、気象情報データベースに蓄積されている気象情報には、図2(a)に例示するように、現況情報・予報情報(晴、雨、雷、嵐など)や図2(b)に例示するような気象警報(竜巻、洪水など)などがある。また、気象警報の種別(種類)としては、竜巻、雷雨、台風、雨、霧、みぞれ、雪、あられなどがある(図3参照)。なお、気象警報が、特許請求の範囲における「その動向を注意すべき気象現象」に該当する。
[2.気象情報表示処理の説明]
次に、ナビゲーション装置20の制御回路29により実行される気象情報表示処理を図4のフローチャートおよび図5を参照して説明する。なお、図5は気象情報表示処理を説明する説明図である。
【0045】
まず、制御回路29が、経路計算によって計算された経路がバッファに存在するか否かを判断する(S105)。否定判断である場合には(S105:NO)、制御回路29が、車両が道路上に位置しているか否かを判断する(S150)。否定判断である場合には(S150:NO)、リターンし、本処理を再び実行する。一方、肯定判断である場合には(S150:YES)、制御回路29が、車両の現在地(自車位置)、車両の進行方向および地図データに基づき、車両が乗線中の道路を検出領域の設定の対象とし(S155)、S115に移行する。なお、検出領域とは、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための領域を云う。また、上述の経路計算によって計算された経路および車両が乗線中の道路が特許請求の範囲における走行路に該当する。
【0046】
また、先のS105において、肯定判断である場合には(S105:YES)、制御回路29が、その経路を検出領域の設定の対象とし(S110)、S115に移行する。
【0047】
続いて、制御回路29が、以下のS115−S130の処理に従って、設定対象とした走行路から所定範囲内の領域を検出領域として規定する。
【0048】
まず、制御回路29が、検出領域決定用のパラメータを決定する(S115)。なお、パラメータの具体例としては、車両の進行方向、車両の速度(または移動距離)、到着予想時間、気象情報の種別、車両が乗線中の道路(道なり道路)なのか案内経路なのかや道路種別、などが挙げられる。また、パラメータには、検出領域を決定する際に参照されるパラメータがある。さらに具体的に挙げると、(1)任意地点までの距離、(2)任意地点までの所要時間、(3)気象情報の範囲、(4)車両の走行速度、(5)道路の制限速度、(6)気象情報の種類、(7)通過点の有無、(8)通過点の種別、(9)ルート形状などが挙げられる。なお、各検出領域決定用パラメータについては初期設定では有効になっているが、操作スイッチ群22を介するユーザの操作によって有効/無効を選択できるようになっており、本S115では、有効に設定されるパラメータを、検出領域決定用のパラメータとして決定する。以下の説明では、(1)「任意地点までの距離」および(2)「任意地点までの所要時間」の二つのパラメータが検出領域決定用のパラメータとして決定されている場合を例に説明し、それ以外のパラメータが検出領域決定用のパラメータとして決定されている場合については後述する。
【0049】
続いて、制御回路29が、検出領域を定期的に見直すため、検出領域の再決定タイミングであるか否かを判断する(S117)。なお、設定対象とされた道なり道路又は案内経路において検出領域が一度も決定されていない場合は、ここで肯定判断されるものとする。ここで、再決定タイミングとしては、経路設定が行われた時(再設定時含む)や、現在位置が更新された時、定期的に所定時間が経過した場合、車速に変化があった時、気象情報の更新時、走行道路種別の変更時、通過点の増減時、などが含まれ、これらの条件のうちの一つ以上を有効として用いる。また、全パラメータに共通する再決定タイミングや各パラメータに固有の再決定タイミングが設定されていてもよい。各パラメータ固有の再決定タイミングが設定されており、有効とするパラメータが選択された場合には、全パラメータ共通の再決定タイミングとともにその選択されたパラメータ固有の再決定タイミングを有効としてもよいし、全パラメータ共通の再決定タイミングまたはその選択されたパラメータ固有の再決定タイミングの何れか一方のみを有効としてもよい。なお、(1)パラメータ「任意地点までの距離」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「現在位置が更新された時」を設定するとよく、(2)パラメータ「任意地点までの所要時間」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「現在位置が更新された時」を設定するとよい。なお、その他の各パラメータ固有の再決定タイミングについては後述する。
【0050】
S117において、検出領域決定用のパラメータとして決定されているパラメータすべてについて再決定タイミングになっていない場合には(S117:NO)、後述するS135に移行する。一方、設定対象とされた道なり道路又は案内経路において検出領域が一度も決定されていない場合又は検出領域決定用のパラメータとして決定されているパラメータの何れかについて再決定タイミングになっている場合には(S117:YES)、制御回路29が、その再決定タイミングになっている検出領域決定用のパラメータについて検出領域変更の閾値を超えたか否かを判断する(S120)。なお、(1)パラメータ「任意地点までの距離」に関する検出領域変更の閾値は「任意地点までの距離がXmile以上であること」であり、(2)パラメータ「任意地点までの所要時間」に関する検出領域変更の閾値は「任意地点までの所要時間がXmin以上であること」である。肯定判断である場合には(S120:YES)、パラメータに合わせて検出領域を増減させる(S125)。具体的には、(1)パラメータ「任意地点までの距離」に関する検出領域変更の閾値を超えている場合には、現在地から任意地点までの距離に応じて任意地点間における経路から検出領域の外縁までの距離をn倍にする。一例を挙げると、現在地から10mileの地点までの間における経路から検出領域の外縁までの距離を所定距離(例えば7km)とした場合に、現在地から10mileの地点と30mileの地点との間における経路から検出領域の外縁までの距離を2倍にし、現在地から30mileの地点と50mileの地点との間における経路から検出領域の外縁までの距離を4倍にするといった具合である。これは、気象現象は時間と共に移動しているため、走行路に沿って車両が走行し、走行路上の任意の地点へ到達する頃に遭遇する可能性が高い気象情報を予め広範囲に検出することで事前検知を行うためである。なお、検出領域は任意地点の間隔を細かくし、検出領域の拡大を滑らかにしてもよい。また、各任意地点から検出領域の外縁までの距離を決定し、任意地点の間における経路に対する検出領域の外縁は各任意地点における外縁を結んだものとしてもよい。具体的には、10mileの地点ではその地点から検出領域の外縁までの距離を所定距離(例えば7km)とした場合に、現在地から30mileの地点ではその地点から検出領域の外縁までの距離を2倍にし、現在地から50mileの地点ではその地点からから検出領域の外縁までの距離を4倍にし、決定された各地点における外縁を結び地点間の経路に対応する検出領域の外縁を規定するといった具合である。
【0051】
また、(2)パラメータ「任意地点までの所要時間」に関する検出領域変更の閾値を超えている場合には、任意地点までの所要時間に応じて任意地点間における経路から検出領域の外縁までの距離をn倍にする。一例を挙げると、現在地から30min要する地点までにおける経路から検出領域の外縁までの距離を所定距離(例えば7km)とした場合に、現在地から30min要する地点から45min要する地点までの間における経路から検出領域の外縁までの距離を2倍にし、現在地から30min要する地点から60min要する地点までにおける経路から検出領域の外縁までの距離を4倍にするといった具合である。これは、距離ではなく所要時間に基づき検出範囲を規定することにより、任意の地点へ到達する前に移動してくる気象現象を予め広範囲に検出することで事前検知を行うためである。また、(2)パラメータ「任意地点までの所要時間」においても(1)パラメータ「任意地点までの距離」と同様に任意地点の間隔を細かくし、検出領域の拡大を滑らかにしたり、各任意地点から検出領域の外縁までの距離を決定し、任意地点の間における経路に対する検出領域の外縁を各任意地点における外縁を結んだものとしてもよい。
【0052】
そして、制御回路29が、検出領域を決定する(S130、図5参照)。一方、否定判断である場合には(S120:NO)、S117に戻る。
【0053】
なお、本実施形態では、検出領域を地図上の所定区画単位(第2の所定区画単位に相当)で構成している。また、検出領域を構成する所定区画については、緯度経度で区切られた7km四方のグリッドで構成されている。なお、検出領域を構成する単位区画を、気象現象の影響領域を構成する単位区画よりも小さく設定している。また、検出領域については、現在地から走行路上の任意点までの距離に従って、その任意点から外縁までの距離を段階的に大きくなるよう設定している。一例を挙げると、経路長が所定値を越える毎に、その任意点から外縁までの距離を増加させるといった具合である。なお、任意点から外縁までの距離についてはグリッド数で設定してもよい。さらに、検出領域を車両の現在地から所定距離内の領域が含まれるように設定する。本実施形態では、車両の現在地から100km以内の領域が検出範囲に含まれる。
【0054】
続いて、制御回路29が、外部通信機24が取得した気象情報を参照して、決定された検出領域内に気象警報が存在するか否かを判断する(S135)。具体的には、気象情報を参照して、車両が走行路を走行中に、その動向を注意すべき気象現象が影響を及ぼす領域である「影響領域」の一部が検出領域内に存在するか否かを判定する。なお、気象現象の影響領域の外縁上の任意点が検出領域の外縁上に位置する場合も肯定判断を行う。肯定判断である場合には(S135:YES)、制御回路29が、気象現象による影響があるとみなし、その旨(判定結果)をユーザに通知する(S140)。具体的には、経路や道なり道路などの「走行路」、「検出領域」および「気象現象の影響領域」を表示装置26に表示させる。そして、S145に移行する。
【0055】
一方、S135において否定判断である場合には(S135:NO)、制御回路29が、決定された検出領域内に気象警報が発生することが予想されるか否かを判断する(S160)。なおこの場合の判断には、到着予想時間を加味してもよい。例えば、検出領域への到着時間と、気象警報発生予測時間が同一である場合に肯定判断を行い、その旨を通知するといった具合である。肯定判断である場合には(S160:YES)、気象現象による影響があるとみなし、その旨をユーザに通知し(S140)、S145に移行する。一方、否定判断である場合には(S160:NO)、S120に移行する。
【0056】
続いて、制御回路29が、再探索を実行するか否かを判断する(S145)。一例を挙げると、案内経路を離脱した場合やユーザ操作により再探索した場合、動的経路探索時に案内経路上の交通状況が変化した場合などに肯定判断を行うといった具合である。肯定判断である場合には(S145:YES)、S105に移行する。一方、否定判断である場合には(S145:NO)、S117に移行する。
【0057】
なお、(1)パラメータ「任意地点までの距離」および(2)パラメータ「任意地点までの所要時間」の二つ以外のパラメータが検出領域決定用のパラメータとして決定されている場合について順に説明する。
【0058】
まず、(3)パラメータ「気象情報の範囲」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「気象情報の更新時」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「気象現象の影響領域の大きさが半径Xmile以上である場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、気象現象の影響領域の大きさに応じて検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図7に例示するように、気象現象の影響領域(グリッド合計)が50km四方の場合には任意地点から検出領域の外縁までの距離を2倍にするといった具合である。なお、任意地点については次のように特定する。すなわち、気象現象の影響領域の大きさが所定範囲以上の気象現象において、その気象現象の影響領域から所定距離(例えば、100km)以内に案内経路の検出領域が存在しているか否かを判断し、存在している場合にはその検出領域部分に対応する地点を任意地点とする。また、気象現象の進行方向情報が気象情報として取得できた場合には、気象現象の影響領域の進行方向上に案内経路の検出領域が存在しているか否かを判断し、存在している場合には、その検出領域部分に対応する地点を任意地点とするようにしてもよい。これは、気象情報の範囲が広い場合、その影響の割合は通常より大きいものと考えられるため、検出領域を広げて事前検知ができるようにするためである。
【0059】
また、(4)パラメータ「車両の走行速度」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「車速が変化した時」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「一定時間(s)の間、車両が時速Xmile/h以下での走行を継続した場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、車両の走行速度に応じて任意地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図8に例示するように、車両が時速10mile/h以下での走行を10分間継続して行った場合には自車位置から検出領域の外縁までの距離を2倍とし、さらに、車両が時速10mile/h以下での走行を10分間継続して行った場合には自車位置から検出領域の外縁までの距離を4倍にするといった具合である。これは、車両走行速度が遅いということは、その地点にとどまる時間が長くなる傾向があるため、その地点の検出領域を広げることによって、遭遇する可能性のある気象情報を事前検知するためである。
【0060】
また、(5)パラメータ「道路の制限速度」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「走行道路の種別変更時」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「道路の制限速度がXmile/h以下に変わった場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、道路の制限速度に応じて任意地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図8に例示するように、制限速度が10mile/h以下の道路に車両が乗線した場合には、自車位置から検出領域の外縁までの距離を2倍にするといった具合である。これは、車両走行速度が遅いということは、その地点にとどまる時間が長くなる傾向があるため、その地点の検出領域を広げることによって、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである。
【0061】
また、(6)パラメータ「気象情報の種類」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「気象情報の更新時」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「特定の気象情報が存在する場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、気象情報の種別に応じて任意地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図9に例示するように、例えばトルネードが発生している場合は、任意地点から検出領域の外縁までの距離を2倍にするといった具合である。なお、任意地点については次のように特定する。すなわち、特定の種別の気象現象の影響領域から所定距離(例えば、100km)以内に案内経路の検出領域が存在しているか否かを判断し、存在している場合にはその検出領域部分に対応する地点を任意地点とする。また、気象現象の進行方向情報が気象情報として取得できた場合には、気象現象の影響領域の進行方向上に案内経路の検出領域が存在しているか否かを判断し、存在している場合には、その検出領域部分に対応する地点を任意地点とするようにしてもよい。これは、気象現象の種別が車両の走行にとって危険なものである場合、その影響の割合が通常より大きいものと考えられるため、検出領域を広げて事前検知ができるようにするためである。
【0062】
また、(7)パラメータ「通過点の有無」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「通過点の増減時」または「経路設定が行われた時(再設定時含む)」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「通過点がある場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、通過点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図10に例示するように、通過点が存在する場合は、通過点から検出領域の外縁までの距離を3倍にするといった具合である。これは、通過点があるということは、その地点にとどまる時間が長くなる傾向があるため、その地点の検出範囲を広げることによって、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである。
【0063】
また、(8)パラメータ「通過点の種別」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「通過点の増減時」または「経路設定が行われた時(再設定時含む)」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「通過点が特定の種別の施設である場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、その施設の種別に応じて任意地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図11に例示するように、通過点がテーマパークやゴルフ場等、長時間滞在すると思われる施設の場合には、その通過点から検出領域の外縁までの距離を5倍にするといった具合である。これは、通過点がテーマパークやゴルフ場などの特定施設である場合には、通常よりもさらに長くとどまる傾向があるため、その地点の検出範囲を広げることによって、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである。
【0064】
また、(9−1)パラメータ「ルート形状」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「経路設定が行われた時(再設定時含む)」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「同一地点を複数回通過するルートの場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、その複数回通過する地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図12に例示するように、出発地を2回通るルートが引かれた場合には、出発地から検出領域の外縁までの距離を3倍にするといった具合である。これは、ルートが交差しているということは、その地点を2度目に通過する場合に、気象情報が影響するか否かは、ルートを決定する上で、有効な判断材料であるため、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである。
【0065】
なお、(9−2)パラメータ「ルート形状」については、その複数回通過する通過地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするのは、初回通過時を除くようにしてもよい(図13参照)。この場合、その複数回通過する通過地点を初回通過するまでは、外縁までの距離がn倍された検出領域を表示せず(図13(a)参照)、その複数回通過する通過地点を初回通過後に、外縁までの距離がn倍された検出領域を表示するようにするとよい(図13(b)参照)。
[3.効果の説明]
(1)このように本実施形態のナビゲーション装置20によれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、気象情報表示処理において、制御回路29が、設定対象とした走行路から所定範囲内の領域を検出領域として規定し(S115−S130)、外部通信機24が取得した気象情報を参照して、検出領域内に気象警報が存在するか否かを判断する(S135)。肯定判断である場合には(S135:YES)、制御回路29が、気象現象による影響があるとみなし、その旨をユーザに通知する(S140)。具体的には、制御回路29が、走行路、検出領域および気象警報の影響領域を表示装置26に表示させる。このことにより、検出領域を設けることによって、目的地までの経路上の気象情報の検出をより正確かつ実態に即した気象情報の検出とすることができる。また、現在地から目的地までの経路や車両が走行中の道路と台風などの気象現象との位置関係を把握しやすくなり、したがって、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響を容易に予測することができる。
【0066】
(2)また、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、検出領域については、現在地から走行路上の任意点までの距離に従って、車両の現在地から遠い任意点ほどその任意点から外縁までの距離を段階的に大きくなるよう設定している。このように走行路上の任意点から外縁までの距離を変化させるように設定すれば、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0067】
(3)また、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、気象情報表示処理において、制御回路29が、パラメータに基づいて検出領域を決定し(S115)、検出領域の再決定タイミングである場合において(S117:YES)、検出領域変更の閾値を超えたときには(S120:YES)、パラメータに合わせて検出領域を増減させる(S125)。このように気象現象の種別に応じて走行路上の任意点から外縁までの距離を変化させるように設定することにより、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0068】
(4)また、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、気象情報表示処理において、検出領域を車両の現在地から所定距離内の領域が含まれるように設定する。このことにより、現在地の周囲に存在する気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0069】
(5)また、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、検出領域を地図上の所定区画単位で構成する。なお、この検出領域を構成する所定区画については、緯度経度で区切られたグリッドで構成されている。このことにより、例えば緯度経度で区切られたグリッド単位の区画で構成される気象情報に対応することができる。
【0070】
(6)また、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、検出領域を構成する単位区画を、気象現象の影響領域を構成する単位区画よりも小さく設定する。このことにより、検出領域をより細かく設定することができ、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより精度よく予測することができる。
[4.他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0071】
(1)上記実施形態では、例えば経路長が所定値を越える毎にその任意点から外縁までの距離を増加させるといった具合に、走行路上の任意点から検出領域の外縁までの距離を、車両の現在地から走行路上の任意点までの距離に従って段階的に変化させているが、これには限られず、走行路上の任意点から外縁までの距離を一定に設定してもよい。
【0072】
(2)また、走行路上の任意点から検出領域の外縁までの距離を、車両の現在地から走行路上の任意点までの距離に従って滑らかに変化させてもよい。このようにしても同様に、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0073】
(3)また、走行路上の任意点から検出領域の外縁までの距離を、走行路上の任意点へ到着するのに要する所要時間に応じて変化させるように設定してもよい。なおこの場合、走行路上の任意点から検出領域の外縁までの距離を、走行路上の任意点へ到着するのに要する時間に応じて滑らかに変化させることや、走行路上の任意点へ到着するのに要する時間に応じて段階的に変化させることが考えられる。また、上述の検出領域については、走行路上の任意点へ到着するのに要する時間が長いほど、その任意点から外縁までの距離を大きくなるよう設定してもよい。このように走行路上の任意点から外縁までの距離を所要時間に応じて変化させるように設定すれば、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0074】
(4)上記実施形態では、気象情報表示処理において、検出領域内に気象警報が存在すると判断された場合には(S135:YES)、制御回路29が、経路や道なり道路などの「走行路」、「検出領域」および「気象現象の影響領域」を表示装置26に表示させるが(S140、図5参照)、これには限られず、図6(a)に例示するように、モニターのインジケータ色を変化させることで、検出領域内に気象警報が存在すると判断された旨を報知してもよい。また、図6(a)に例示するように、オンスクリーンを表示することや、気象警報の発生を音声で案内することで、検出領域内に気象警報が存在すると判断された旨を報知してもよい。また、図6(b)に例示するように、案内経路や道なり道路を簡略化してその付近の気象警報を表示することで、検出領域内に気象警報が存在すると判断された旨を報知してもよい。
【0075】
さらに、地図情報に基づいて地図表示を行うとともに、上述のように、経路や道なり道路などの「走行路」、「検出領域」および「気象現象の影響領域」を表示装置26に表示させるようにしてもよい。
【0076】
このようにしても、現在地から目的地までの経路や車両が走行中の道路と台風などの気象現象との位置関係をより把握しやすくすることができる。したがって、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0077】
(5)上記実施形態では、検出領域を構成する所定区画については、緯度経度で区切られたグリッドで構成されているが、これには限られず、検出領域を構成する所定区画を多角形領域や円形領域(図14参照)など他の形状の区画で構成してもよい。
【符号の説明】
【0078】
20…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、22…操作スイッチ群、23a…リモコン、23b…リモコンセンサ、24…外部通信機、25…地図データ入力器、26…表示装置、27…音声出力装置、28…外部メモリ、29…制御回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路上の気象情報の検出をより正確かつ実態に即した気象情報の検出とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、目的地までの経路を探索し、探索した経路を案内する機能を備えたナビゲーションシステムが知られている。
【0003】
そして、この種のナビゲーションシステムは、自車位置を検出し、自車位置周辺の地図データをディスプレイに描画するとともに、その地図上に車両マークを重ねて表示し、自車位置が変化すると、それに併せて地図をスクロールさせて道路地図を案内する機能を有するものがある。
【0004】
さらに、近年のナビゲーションシステムには、外部のサーバやネットワークと通信をするための通信機能、CDやDVD等のオーディオ・ビデオデータを再生する再生機能、テレビ放送やラジオ放送を受信する受信機能などが搭載され、あるいは利用可能になっている。特に、通信機能を利用することで、自車外部で生じている事故や渋滞情報をリアルタイムで取得したり、地図配信サーバなどから新しい地図データや施設データなどを取得したりすることができ、利用者の利便性の向上が図られている。
【0005】
なお、通信機能の活用例としては、外部から送られてくる気象情報を受信し、該気象情報に基づいて特定の地点における降雨状況や天気状況を表示する機能がある。
【0006】
しかしながら、上述のようなナビゲーションシステムでは、サーバなどから取得した気象情報をディスプレイに表示することは可能であったが、行き先方面に注意情報や警戒すべき情報(例えば台風)が発令されている場合、それをドライバーに提示し、注意を喚起する手法がなかった。このため、ドライバーは行き先方面の地図を見て、それから警戒情報等の有無を確認しなければならなかった。
【0007】
そこで、特許文献1には、行き先における台風状況の注意を喚起するため、例えば台風影響領域内に目的地や現在地等の誘導地点が含まれるときに、道路地図を表示可能なディスプレイ上に台風の進路予想を含む割込み情報を表示させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−84250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示される技術においては、例えば台風影響領域内に目的地や現在地等の誘導地点が含まれるか否かを判定しているに過ぎず、現在位置から目的地までの経路や車両が走行中の道路と台風などの気象現象との関係は勘案されていなかった。このため、やはりドライバーは地図を見て、それから経路や走行中の道路における警戒情報等の有無を確認しなければならなかった。
【0009】
従来のナビゲーションシステムにおいては、目的地までの経路上の交通情報を検出することはできるが、次のような理由により、交通情報の検出方法をそのまま気象情報の検出に適用しても実態に即した気象情報の検出ができないという問題があった。すなわち、交通渋滞や通行規制などの交通情報に関しては、交通情報が道路上の影響の有無として提供され、提供された道路と経路(道なり)が同一か否かの判定を行うことによって、目的地までの経路上の交通情報を検出している。これに対して気象情報の場合には、気象情報はグリッドなどの区域における気象の状態が取得できるが、実際の気象現象の状態は区域毎にきっちり切換わるものではなく、例えば経路の存在するグリッドの隣のグリッドに暴風雨の情報が存在すれば、当然経路の存在するグリッドも影響を受けることが予想され、ユーザに警告すべき気象情報となる。しかし、上述のような従来の交通情報のような検出方法では、そのような経路から少しでも外れた領域における警報すべき情報の判断は行えず、実態に即した気象情報の検出ができない。
【0010】
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、目的地までの経路上の気象情報の検出をより正確かつ実態に即した気象情報の検出とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るナビゲーション装置によれば、走行路特定手段が、車両が走行する走行路を特定し、検出領域規定手段が、走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する。なお、走行路の具体例としては、経路計算によって計算された現在地から目的地までの経路や、車両が現在走行中の道路(道なり道路)が挙げられる。また、気象情報取得手段が、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する。さらに、判定手段が、気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される「影響領域」の一部が検出領域規定手段によって規定された検出領域内に存在するか否かを判定する。そして、判定手段が、影響領域の一部が検出領域内に存在する場合に、その影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす。
【0012】
なお、その動向を注意すべき気象現象の影響領域の外縁上の任意点が検出領域の外縁上に位置する場合も、その気象現象の影響領域の一部が検出領域内に存在すると判断する。
【0013】
したがって、上述の検出領域を設けることによって、目的地までの経路上の気象情報の検出をより正確かつ実態に即した気象情報の検出とすることができる。そして、請求項1記載の発明では、前記検出領域は、前記影響領域を構成する、1つの前記第1の所定区画よりも大きく設定されている。
【0014】
ところで、正確かつ実態に即した気象情報の検出を常に行うためには、上述のように規定された検出領域を、その走行路や走行状況に応じて、次に挙げる手法によって規定を行った方が望ましい。
【0015】
請求項2記載の発明では、車両が走行する走行路を特定する走行路特定手段と、前記走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する検出領域規定手段と、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される影響領域の一部が前記検出領域規定手段によって規定された前記検出領域内に存在するか否かを判定し、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在する場合にその影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす判定手段とを備え、前記検出領域規定手段は、前記走行経路上の任意点に対応する検出範囲を前記気象現象の種別に応じて規定することを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明では、請求項2記載のナビゲーション装置において、前記気象現象の種別とは、車両の走行でより危険なものかを表すものであり、前記検出範囲は、前記気象現象の種別がより危険なほど大きく設定されることを特徴とする。
【0017】
また、検出領域規定手段が、走行路上の任意点に対応する検出領域を気象現象の種別に応じて規定することが考えられる(請求項3)。これは、気象現象の種別が車両の走行にとって危険なものである場合、その影響の割合が通常より大きいものと考えられるため、検出領域を広げて事前検知ができるようにするためである。
【0018】
また、請求項4記載の発明では、
車両が走行する走行路を特定する走行路特定手段と、前記走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する検出領域規定手段と、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される影響領域の一部が前記検出領域規定手段によって規定された前記検出領域内に存在するか否かを判定し、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在する場合にその影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす判定手段とを備え、前記検出領域規定手段は、前記走行路上に運転手が滞在する特定施設である通過点が存在するときには、前記走行路上に存在する通過点を中心とする所定範囲である前記検出領域を、前記走行路上に通過点が無い場合に比べて大きく設定することを特徴とする。
【0019】
また、請求項5記載の発明では、請求項4に記載のナビゲーション装置において、前記検出領域規定手段は、前記通過点の種別に応じて、より長時間滞在する特定施設である場合、より前記検出領域を大きく規定する。
【0020】
走行路上に通過点が存在するときには、検出領域規定手段が、走行路上に存在する通過点を中心とする所定範囲を検出領域として規定することが考えられる。これは、通過点があるということは、その地点にとどまる時間が長くなる傾向があるため、その地点の検出範囲を広げることによって、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである(請求項4)。
【0021】
また、検出領域規定手段が、通過点の種別に応じて検出領域を規定することが考えられる。これは、通過点がテーマパークやゴルフ場などの特定施設である場合には、通常よりもさらに長くとどまる傾向があるため、その地点の検出範囲を広げることによって、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである(請求項5)。
【0022】
ところで、上述の判定手段による判定結果を表示することで運転手に知らせるようにしてもよい。具体的には、請求項6のように、ユーザに対して種々の情報を表示する表示手段と、影響領域の一部が検出領域内に存在することからその影響領域に対応する気象現象による影響があると判定手段によってみなされる場合に、その旨を示す判定情報を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることが考えられる。
【0023】
このことにより、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響を容易に予測することができる。
【0024】
また、上述の判定情報を地図情報とともに表示することが考えられる。具体的には、請求項7のように、地図情報を取得する地図情報取得手段を備え、表示手段が、地図情報取得手段によって取得した地図情報を表示可能であり、表示制御手段が、地図情報取得手段によって取得した地図情報に基づいて表示手段に地図表示を行うとともに、判定情報を前記表示手段に表示させることが考えられる。
【0025】
このようにすれば、現在地から目的地までの経路や車両が走行中の道路と台風などの気象現象との位置関係をより把握しやすくすることができる。したがって、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる(請求項7)。
【0026】
以上で説明したような請求項1―請求項7の何れかに記載のナビゲーション装置における検出領域規定手段および判定手段の機能をコンピュータシステムにて実現するには、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えればよい。このようなプログラムは、例えば光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータにロードすることにより、上述の表示制御手段としての機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第一実施形態のナビゲーション装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】(a)は気象情報の種類とその詳細説明とを示すテーブルであり、(b)は、気象情報に含まれる気象警報の種類とその詳細説明とを示すテーブルである。
【図3】気象情報に含まれる気象警報の種類を示すテーブルである。
【図4】ナビゲーション装置20の制御回路29が実行する気象情報表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】気象情報表示処理を説明する説明図(1)である。
【図6】(a)は気象情報の表示例を示す説明図(1)であり、(b)は、気象情報の表示例を示す説明図(2)である。
【図7】気象情報表示処理を説明する説明図(2)である。
【図8】気象情報表示処理を説明する説明図(3)である。
【図9】気象情報表示処理を説明する説明図(4)である。
【図10】気象情報表示処理を説明する説明図(5)である。
【図11】気象情報表示処理を説明する説明図(6)である。
【図12】気象情報表示処理を説明する説明図(7)である。
【図13】気象情報表示処理を説明する説明図(8)である。
【図14】気象情報表示処理を説明する説明図(9)である。
【図15】気象情報を構成する区画例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、ナビゲーション装置20の概略構成を示すブロック図である。
[1.ナビゲーション装置の構成の説明]
ナビゲーション装置20は、車両に搭載され、車両の位置、速度、進行方向等を検出する位置検出器21と、利用者から各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能なリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、外部の情報センタ5から外部情報を受信する外部通信機24と、地図データや各種の情報を記録した外部記録媒体から地図データ等を入力する地図データ入力器25と、地図表示等の各種表示を行うための表示装置26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力装置27と、制御回路29に接続され、各種情報を記憶する外部メモリ28と、制御回路29とを備えている。
【0030】
位置検出器21は、GPS(GlobalPositioningSystem)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置、速度、進行方向等を検出するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の走行した距離を検出するための距離センサ21cとを備えている。そして、これら各センサ等21a−21cは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部のセンサで構成してもよく、またステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0031】
操作スイッチ群22は、表示装置26と一体に構成され表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。なお、タッチパネルと表示装置26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0032】
外部通信機24は、情報センタ5からFM多重放送、衛星放送、電波・光ビーコン等によって配信される気象情報を受信する。あるいは、情報センタ5からインターネット等の電話回線網を介して気象情報を受信するような構成であってもよい。
【0033】
なお、外部通信機24は気象情報取得手段に該当する。
【0034】
地図データ入力器25は、図示しない地図データ記憶媒体(例えばハードディスクやDVD−ROM等)に記憶された各種データを入力するための装置である。地図データ記憶媒体には、地図情報としての地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、背景データ、道路データ、名称データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。なお、地図データ記憶媒体からこれらのデータを入力する代わりに、通信ネットワークを介してこれらのデータを入力するようになっていてもよい。
【0035】
表示装置26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT等の何れを用いてもよい。表示装置26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のシンボルマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、後述するように、地図上の所定区画単位に対応して設定された気象情報に対応する区画が他の区画と区別可能なように、地図上の該当区画の表示態様を変更して表示させることができる(図5、図6参照)。
【0036】
なお、表示装置26は表示手段に該当する。
【0037】
音声出力装置27は、走行案内等の各種案内の音声を出力することができる。
【0038】
制御回路29は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、上述した位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコンセンサ23b,外部通信機24,地図データ入力器25からの入力に応じて各種処理を実行し、外部通信機24,表示装置26,音声出力装置27を制御する。この制御回路29は、ROM等に記憶されたプログラムに従い、必要に応じて外部メモリ28内のデータを用いて各種処理を実行する。
【0039】
例えば、ナビゲーション関係の処理としては、地図表示処理や経路案内処理等が挙げられる。地図表示処理は、位置検出器21からの各検出信号に基づいて座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、地図データ入力器25を介して読込んだ現在位置付近の地図等を表示装置26に表示する処理である。また、経路案内処理は、地図データ入力器25に格納された地点データと、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作に従って設定された目的地とに基づいて、現在位置から目的地までの最適な経路を算出し、その算出した経路に対する走行案内を行う処理である。このように自動的に最適な経路を設定する手法として、ダイクストラ法によるコスト計算等の手法が知られている。
【0040】
また、制御回路29は、上述の地図表示処理や経路案内処理等に並行して、気象情報の表示処理も行う。なお、この処理の詳細な説明については後述する。
【0041】
なお、制御回路29は、走行路特定手段、検出領域規定手段、判定手段および表示制御手段に該当する。
【0042】
上述のようにナビゲーション装置20は外部通信機24を介して情報センタ5から気象情報を取得するのであるが、この情報センタ5について説明する。
【0043】
情報センタ5は、ナビゲーション装置20へ送信するための気象情報を蓄積しておく気象情報データベースと、通信回線を介して通信を行う回線端末装置(共に図示せず)と、データを管理するサーバ(図示せず)等を備えている。
【0044】
気象情報データベースには、天気の観測情報を提供する機関等から随時収集した情報に基づいて蓄積した比較的広域の気象情報が蓄積されている。この気象情報は、地図上の所定区画単位(第1の所定区画単位に相当)毎に対応して蓄積されている。この所定区画は、例えば緯度経度で区切られたグリッド単位の区画や、行政界で分割した区画などが考えられる。本実施形態では、図5に例示するように、緯度経度で区切られた14km四方のグリッド単位の区画を用いている。なお、区画としては、群(County)や都市(City)などの地域の形状を示す多角形(ポリゴン)単位の区画を用いてもよい(図15参照)。なお、図15では、群(County)を太線で囲った図形として表現し、都市(City)を細線で囲った図形として表現している。さらに、図15では、都市(City)の一つをハッチングを施して明示している。また、気象情報データベースに蓄積されている気象情報には、図2(a)に例示するように、現況情報・予報情報(晴、雨、雷、嵐など)や図2(b)に例示するような気象警報(竜巻、洪水など)などがある。また、気象警報の種別(種類)としては、竜巻、雷雨、台風、雨、霧、みぞれ、雪、あられなどがある(図3参照)。なお、気象警報が、特許請求の範囲における「その動向を注意すべき気象現象」に該当する。
[2.気象情報表示処理の説明]
次に、ナビゲーション装置20の制御回路29により実行される気象情報表示処理を図4のフローチャートおよび図5を参照して説明する。なお、図5は気象情報表示処理を説明する説明図である。
【0045】
まず、制御回路29が、経路計算によって計算された経路がバッファに存在するか否かを判断する(S105)。否定判断である場合には(S105:NO)、制御回路29が、車両が道路上に位置しているか否かを判断する(S150)。否定判断である場合には(S150:NO)、リターンし、本処理を再び実行する。一方、肯定判断である場合には(S150:YES)、制御回路29が、車両の現在地(自車位置)、車両の進行方向および地図データに基づき、車両が乗線中の道路を検出領域の設定の対象とし(S155)、S115に移行する。なお、検出領域とは、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための領域を云う。また、上述の経路計算によって計算された経路および車両が乗線中の道路が特許請求の範囲における走行路に該当する。
【0046】
また、先のS105において、肯定判断である場合には(S105:YES)、制御回路29が、その経路を検出領域の設定の対象とし(S110)、S115に移行する。
【0047】
続いて、制御回路29が、以下のS115−S130の処理に従って、設定対象とした走行路から所定範囲内の領域を検出領域として規定する。
【0048】
まず、制御回路29が、検出領域決定用のパラメータを決定する(S115)。なお、パラメータの具体例としては、車両の進行方向、車両の速度(または移動距離)、到着予想時間、気象情報の種別、車両が乗線中の道路(道なり道路)なのか案内経路なのかや道路種別、などが挙げられる。また、パラメータには、検出領域を決定する際に参照されるパラメータがある。さらに具体的に挙げると、(1)任意地点までの距離、(2)任意地点までの所要時間、(3)気象情報の範囲、(4)車両の走行速度、(5)道路の制限速度、(6)気象情報の種類、(7)通過点の有無、(8)通過点の種別、(9)ルート形状などが挙げられる。なお、各検出領域決定用パラメータについては初期設定では有効になっているが、操作スイッチ群22を介するユーザの操作によって有効/無効を選択できるようになっており、本S115では、有効に設定されるパラメータを、検出領域決定用のパラメータとして決定する。以下の説明では、(1)「任意地点までの距離」および(2)「任意地点までの所要時間」の二つのパラメータが検出領域決定用のパラメータとして決定されている場合を例に説明し、それ以外のパラメータが検出領域決定用のパラメータとして決定されている場合については後述する。
【0049】
続いて、制御回路29が、検出領域を定期的に見直すため、検出領域の再決定タイミングであるか否かを判断する(S117)。なお、設定対象とされた道なり道路又は案内経路において検出領域が一度も決定されていない場合は、ここで肯定判断されるものとする。ここで、再決定タイミングとしては、経路設定が行われた時(再設定時含む)や、現在位置が更新された時、定期的に所定時間が経過した場合、車速に変化があった時、気象情報の更新時、走行道路種別の変更時、通過点の増減時、などが含まれ、これらの条件のうちの一つ以上を有効として用いる。また、全パラメータに共通する再決定タイミングや各パラメータに固有の再決定タイミングが設定されていてもよい。各パラメータ固有の再決定タイミングが設定されており、有効とするパラメータが選択された場合には、全パラメータ共通の再決定タイミングとともにその選択されたパラメータ固有の再決定タイミングを有効としてもよいし、全パラメータ共通の再決定タイミングまたはその選択されたパラメータ固有の再決定タイミングの何れか一方のみを有効としてもよい。なお、(1)パラメータ「任意地点までの距離」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「現在位置が更新された時」を設定するとよく、(2)パラメータ「任意地点までの所要時間」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「現在位置が更新された時」を設定するとよい。なお、その他の各パラメータ固有の再決定タイミングについては後述する。
【0050】
S117において、検出領域決定用のパラメータとして決定されているパラメータすべてについて再決定タイミングになっていない場合には(S117:NO)、後述するS135に移行する。一方、設定対象とされた道なり道路又は案内経路において検出領域が一度も決定されていない場合又は検出領域決定用のパラメータとして決定されているパラメータの何れかについて再決定タイミングになっている場合には(S117:YES)、制御回路29が、その再決定タイミングになっている検出領域決定用のパラメータについて検出領域変更の閾値を超えたか否かを判断する(S120)。なお、(1)パラメータ「任意地点までの距離」に関する検出領域変更の閾値は「任意地点までの距離がXmile以上であること」であり、(2)パラメータ「任意地点までの所要時間」に関する検出領域変更の閾値は「任意地点までの所要時間がXmin以上であること」である。肯定判断である場合には(S120:YES)、パラメータに合わせて検出領域を増減させる(S125)。具体的には、(1)パラメータ「任意地点までの距離」に関する検出領域変更の閾値を超えている場合には、現在地から任意地点までの距離に応じて任意地点間における経路から検出領域の外縁までの距離をn倍にする。一例を挙げると、現在地から10mileの地点までの間における経路から検出領域の外縁までの距離を所定距離(例えば7km)とした場合に、現在地から10mileの地点と30mileの地点との間における経路から検出領域の外縁までの距離を2倍にし、現在地から30mileの地点と50mileの地点との間における経路から検出領域の外縁までの距離を4倍にするといった具合である。これは、気象現象は時間と共に移動しているため、走行路に沿って車両が走行し、走行路上の任意の地点へ到達する頃に遭遇する可能性が高い気象情報を予め広範囲に検出することで事前検知を行うためである。なお、検出領域は任意地点の間隔を細かくし、検出領域の拡大を滑らかにしてもよい。また、各任意地点から検出領域の外縁までの距離を決定し、任意地点の間における経路に対する検出領域の外縁は各任意地点における外縁を結んだものとしてもよい。具体的には、10mileの地点ではその地点から検出領域の外縁までの距離を所定距離(例えば7km)とした場合に、現在地から30mileの地点ではその地点から検出領域の外縁までの距離を2倍にし、現在地から50mileの地点ではその地点からから検出領域の外縁までの距離を4倍にし、決定された各地点における外縁を結び地点間の経路に対応する検出領域の外縁を規定するといった具合である。
【0051】
また、(2)パラメータ「任意地点までの所要時間」に関する検出領域変更の閾値を超えている場合には、任意地点までの所要時間に応じて任意地点間における経路から検出領域の外縁までの距離をn倍にする。一例を挙げると、現在地から30min要する地点までにおける経路から検出領域の外縁までの距離を所定距離(例えば7km)とした場合に、現在地から30min要する地点から45min要する地点までの間における経路から検出領域の外縁までの距離を2倍にし、現在地から30min要する地点から60min要する地点までにおける経路から検出領域の外縁までの距離を4倍にするといった具合である。これは、距離ではなく所要時間に基づき検出範囲を規定することにより、任意の地点へ到達する前に移動してくる気象現象を予め広範囲に検出することで事前検知を行うためである。また、(2)パラメータ「任意地点までの所要時間」においても(1)パラメータ「任意地点までの距離」と同様に任意地点の間隔を細かくし、検出領域の拡大を滑らかにしたり、各任意地点から検出領域の外縁までの距離を決定し、任意地点の間における経路に対する検出領域の外縁を各任意地点における外縁を結んだものとしてもよい。
【0052】
そして、制御回路29が、検出領域を決定する(S130、図5参照)。一方、否定判断である場合には(S120:NO)、S117に戻る。
【0053】
なお、本実施形態では、検出領域を地図上の所定区画単位(第2の所定区画単位に相当)で構成している。また、検出領域を構成する所定区画については、緯度経度で区切られた7km四方のグリッドで構成されている。なお、検出領域を構成する単位区画を、気象現象の影響領域を構成する単位区画よりも小さく設定している。また、検出領域については、現在地から走行路上の任意点までの距離に従って、その任意点から外縁までの距離を段階的に大きくなるよう設定している。一例を挙げると、経路長が所定値を越える毎に、その任意点から外縁までの距離を増加させるといった具合である。なお、任意点から外縁までの距離についてはグリッド数で設定してもよい。さらに、検出領域を車両の現在地から所定距離内の領域が含まれるように設定する。本実施形態では、車両の現在地から100km以内の領域が検出範囲に含まれる。
【0054】
続いて、制御回路29が、外部通信機24が取得した気象情報を参照して、決定された検出領域内に気象警報が存在するか否かを判断する(S135)。具体的には、気象情報を参照して、車両が走行路を走行中に、その動向を注意すべき気象現象が影響を及ぼす領域である「影響領域」の一部が検出領域内に存在するか否かを判定する。なお、気象現象の影響領域の外縁上の任意点が検出領域の外縁上に位置する場合も肯定判断を行う。肯定判断である場合には(S135:YES)、制御回路29が、気象現象による影響があるとみなし、その旨(判定結果)をユーザに通知する(S140)。具体的には、経路や道なり道路などの「走行路」、「検出領域」および「気象現象の影響領域」を表示装置26に表示させる。そして、S145に移行する。
【0055】
一方、S135において否定判断である場合には(S135:NO)、制御回路29が、決定された検出領域内に気象警報が発生することが予想されるか否かを判断する(S160)。なおこの場合の判断には、到着予想時間を加味してもよい。例えば、検出領域への到着時間と、気象警報発生予測時間が同一である場合に肯定判断を行い、その旨を通知するといった具合である。肯定判断である場合には(S160:YES)、気象現象による影響があるとみなし、その旨をユーザに通知し(S140)、S145に移行する。一方、否定判断である場合には(S160:NO)、S120に移行する。
【0056】
続いて、制御回路29が、再探索を実行するか否かを判断する(S145)。一例を挙げると、案内経路を離脱した場合やユーザ操作により再探索した場合、動的経路探索時に案内経路上の交通状況が変化した場合などに肯定判断を行うといった具合である。肯定判断である場合には(S145:YES)、S105に移行する。一方、否定判断である場合には(S145:NO)、S117に移行する。
【0057】
なお、(1)パラメータ「任意地点までの距離」および(2)パラメータ「任意地点までの所要時間」の二つ以外のパラメータが検出領域決定用のパラメータとして決定されている場合について順に説明する。
【0058】
まず、(3)パラメータ「気象情報の範囲」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「気象情報の更新時」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「気象現象の影響領域の大きさが半径Xmile以上である場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、気象現象の影響領域の大きさに応じて検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図7に例示するように、気象現象の影響領域(グリッド合計)が50km四方の場合には任意地点から検出領域の外縁までの距離を2倍にするといった具合である。なお、任意地点については次のように特定する。すなわち、気象現象の影響領域の大きさが所定範囲以上の気象現象において、その気象現象の影響領域から所定距離(例えば、100km)以内に案内経路の検出領域が存在しているか否かを判断し、存在している場合にはその検出領域部分に対応する地点を任意地点とする。また、気象現象の進行方向情報が気象情報として取得できた場合には、気象現象の影響領域の進行方向上に案内経路の検出領域が存在しているか否かを判断し、存在している場合には、その検出領域部分に対応する地点を任意地点とするようにしてもよい。これは、気象情報の範囲が広い場合、その影響の割合は通常より大きいものと考えられるため、検出領域を広げて事前検知ができるようにするためである。
【0059】
また、(4)パラメータ「車両の走行速度」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「車速が変化した時」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「一定時間(s)の間、車両が時速Xmile/h以下での走行を継続した場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、車両の走行速度に応じて任意地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図8に例示するように、車両が時速10mile/h以下での走行を10分間継続して行った場合には自車位置から検出領域の外縁までの距離を2倍とし、さらに、車両が時速10mile/h以下での走行を10分間継続して行った場合には自車位置から検出領域の外縁までの距離を4倍にするといった具合である。これは、車両走行速度が遅いということは、その地点にとどまる時間が長くなる傾向があるため、その地点の検出領域を広げることによって、遭遇する可能性のある気象情報を事前検知するためである。
【0060】
また、(5)パラメータ「道路の制限速度」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「走行道路の種別変更時」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「道路の制限速度がXmile/h以下に変わった場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、道路の制限速度に応じて任意地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図8に例示するように、制限速度が10mile/h以下の道路に車両が乗線した場合には、自車位置から検出領域の外縁までの距離を2倍にするといった具合である。これは、車両走行速度が遅いということは、その地点にとどまる時間が長くなる傾向があるため、その地点の検出領域を広げることによって、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである。
【0061】
また、(6)パラメータ「気象情報の種類」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「気象情報の更新時」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「特定の気象情報が存在する場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、気象情報の種別に応じて任意地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図9に例示するように、例えばトルネードが発生している場合は、任意地点から検出領域の外縁までの距離を2倍にするといった具合である。なお、任意地点については次のように特定する。すなわち、特定の種別の気象現象の影響領域から所定距離(例えば、100km)以内に案内経路の検出領域が存在しているか否かを判断し、存在している場合にはその検出領域部分に対応する地点を任意地点とする。また、気象現象の進行方向情報が気象情報として取得できた場合には、気象現象の影響領域の進行方向上に案内経路の検出領域が存在しているか否かを判断し、存在している場合には、その検出領域部分に対応する地点を任意地点とするようにしてもよい。これは、気象現象の種別が車両の走行にとって危険なものである場合、その影響の割合が通常より大きいものと考えられるため、検出領域を広げて事前検知ができるようにするためである。
【0062】
また、(7)パラメータ「通過点の有無」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「通過点の増減時」または「経路設定が行われた時(再設定時含む)」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「通過点がある場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、通過点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図10に例示するように、通過点が存在する場合は、通過点から検出領域の外縁までの距離を3倍にするといった具合である。これは、通過点があるということは、その地点にとどまる時間が長くなる傾向があるため、その地点の検出範囲を広げることによって、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである。
【0063】
また、(8)パラメータ「通過点の種別」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「通過点の増減時」または「経路設定が行われた時(再設定時含む)」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「通過点が特定の種別の施設である場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、その施設の種別に応じて任意地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図11に例示するように、通過点がテーマパークやゴルフ場等、長時間滞在すると思われる施設の場合には、その通過点から検出領域の外縁までの距離を5倍にするといった具合である。これは、通過点がテーマパークやゴルフ場などの特定施設である場合には、通常よりもさらに長くとどまる傾向があるため、その地点の検出範囲を広げることによって、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである。
【0064】
また、(9−1)パラメータ「ルート形状」については、パラメータ固有の再決定タイミングとして「経路設定が行われた時(再設定時含む)」が設定されているとよい。そして、本パラメータについては、検出領域変更の閾値が「同一地点を複数回通過するルートの場合」に設定されており、検出領域変更の閾値を超えている場合には、その複数回通過する地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするよう設定されている。一例を挙げると、図12に例示するように、出発地を2回通るルートが引かれた場合には、出発地から検出領域の外縁までの距離を3倍にするといった具合である。これは、ルートが交差しているということは、その地点を2度目に通過する場合に、気象情報が影響するか否かは、ルートを決定する上で、有効な判断材料であるため、遭遇する可能性のある気象現象を事前検知するためである。
【0065】
なお、(9−2)パラメータ「ルート形状」については、その複数回通過する通過地点から検出領域の外縁までの距離をn倍にするのは、初回通過時を除くようにしてもよい(図13参照)。この場合、その複数回通過する通過地点を初回通過するまでは、外縁までの距離がn倍された検出領域を表示せず(図13(a)参照)、その複数回通過する通過地点を初回通過後に、外縁までの距離がn倍された検出領域を表示するようにするとよい(図13(b)参照)。
[3.効果の説明]
(1)このように本実施形態のナビゲーション装置20によれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、気象情報表示処理において、制御回路29が、設定対象とした走行路から所定範囲内の領域を検出領域として規定し(S115−S130)、外部通信機24が取得した気象情報を参照して、検出領域内に気象警報が存在するか否かを判断する(S135)。肯定判断である場合には(S135:YES)、制御回路29が、気象現象による影響があるとみなし、その旨をユーザに通知する(S140)。具体的には、制御回路29が、走行路、検出領域および気象警報の影響領域を表示装置26に表示させる。このことにより、検出領域を設けることによって、目的地までの経路上の気象情報の検出をより正確かつ実態に即した気象情報の検出とすることができる。また、現在地から目的地までの経路や車両が走行中の道路と台風などの気象現象との位置関係を把握しやすくなり、したがって、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響を容易に予測することができる。
【0066】
(2)また、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、検出領域については、現在地から走行路上の任意点までの距離に従って、車両の現在地から遠い任意点ほどその任意点から外縁までの距離を段階的に大きくなるよう設定している。このように走行路上の任意点から外縁までの距離を変化させるように設定すれば、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0067】
(3)また、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、気象情報表示処理において、制御回路29が、パラメータに基づいて検出領域を決定し(S115)、検出領域の再決定タイミングである場合において(S117:YES)、検出領域変更の閾値を超えたときには(S120:YES)、パラメータに合わせて検出領域を増減させる(S125)。このように気象現象の種別に応じて走行路上の任意点から外縁までの距離を変化させるように設定することにより、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0068】
(4)また、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、気象情報表示処理において、検出領域を車両の現在地から所定距離内の領域が含まれるように設定する。このことにより、現在地の周囲に存在する気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0069】
(5)また、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、検出領域を地図上の所定区画単位で構成する。なお、この検出領域を構成する所定区画については、緯度経度で区切られたグリッドで構成されている。このことにより、例えば緯度経度で区切られたグリッド単位の区画で構成される気象情報に対応することができる。
【0070】
(6)また、本実施形態のナビゲーション装置20によれば、検出領域を構成する単位区画を、気象現象の影響領域を構成する単位区画よりも小さく設定する。このことにより、検出領域をより細かく設定することができ、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより精度よく予測することができる。
[4.他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0071】
(1)上記実施形態では、例えば経路長が所定値を越える毎にその任意点から外縁までの距離を増加させるといった具合に、走行路上の任意点から検出領域の外縁までの距離を、車両の現在地から走行路上の任意点までの距離に従って段階的に変化させているが、これには限られず、走行路上の任意点から外縁までの距離を一定に設定してもよい。
【0072】
(2)また、走行路上の任意点から検出領域の外縁までの距離を、車両の現在地から走行路上の任意点までの距離に従って滑らかに変化させてもよい。このようにしても同様に、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0073】
(3)また、走行路上の任意点から検出領域の外縁までの距離を、走行路上の任意点へ到着するのに要する所要時間に応じて変化させるように設定してもよい。なおこの場合、走行路上の任意点から検出領域の外縁までの距離を、走行路上の任意点へ到着するのに要する時間に応じて滑らかに変化させることや、走行路上の任意点へ到着するのに要する時間に応じて段階的に変化させることが考えられる。また、上述の検出領域については、走行路上の任意点へ到着するのに要する時間が長いほど、その任意点から外縁までの距離を大きくなるよう設定してもよい。このように走行路上の任意点から外縁までの距離を所要時間に応じて変化させるように設定すれば、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0074】
(4)上記実施形態では、気象情報表示処理において、検出領域内に気象警報が存在すると判断された場合には(S135:YES)、制御回路29が、経路や道なり道路などの「走行路」、「検出領域」および「気象現象の影響領域」を表示装置26に表示させるが(S140、図5参照)、これには限られず、図6(a)に例示するように、モニターのインジケータ色を変化させることで、検出領域内に気象警報が存在すると判断された旨を報知してもよい。また、図6(a)に例示するように、オンスクリーンを表示することや、気象警報の発生を音声で案内することで、検出領域内に気象警報が存在すると判断された旨を報知してもよい。また、図6(b)に例示するように、案内経路や道なり道路を簡略化してその付近の気象警報を表示することで、検出領域内に気象警報が存在すると判断された旨を報知してもよい。
【0075】
さらに、地図情報に基づいて地図表示を行うとともに、上述のように、経路や道なり道路などの「走行路」、「検出領域」および「気象現象の影響領域」を表示装置26に表示させるようにしてもよい。
【0076】
このようにしても、現在地から目的地までの経路や車両が走行中の道路と台風などの気象現象との位置関係をより把握しやすくすることができる。したがって、将来の気象現象による車両の行き先方面への影響をより容易に予測することができる。
【0077】
(5)上記実施形態では、検出領域を構成する所定区画については、緯度経度で区切られたグリッドで構成されているが、これには限られず、検出領域を構成する所定区画を多角形領域や円形領域(図14参照)など他の形状の区画で構成してもよい。
【符号の説明】
【0078】
20…ナビゲーション装置、21…位置検出器、21a…GPS受信機、21b…ジャイロスコープ、21c…距離センサ、22…操作スイッチ群、23a…リモコン、23b…リモコンセンサ、24…外部通信機、25…地図データ入力器、26…表示装置、27…音声出力装置、28…外部メモリ、29…制御回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する走行路を特定する走行路特定手段と、前記走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する検出領域規定手段と、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される影響領域の一部が前記検出領域規定手段によって規定された前記検出領域内に存在するか否かを判定し、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在する場合にその影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす判定手段とを備え、前記検出領域は、前記影響領域を構成する、1つの前記第1の所定区画よりも大きく設定されていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
車両が走行する走行路を特定する走行路特定手段と、前記走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する検出領域規定手段と、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される影響領域の一部が前記検出領域規定手段によって規定された前記検出領域内に存在するか否かを判定し、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在する場合にその影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす判定手段とを備え、
前記検出領域規定手段は、前記走行経路上の任意点に対応する検出範囲を前記気象現象の種別に応じて規定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2記載のナビゲーション装置において、前記気象現象の種別とは、車両の走行でより危険なものかを表すものであり、前記検出範囲は、前記気象現象の種別がより危険なほど大きく設定されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
車両が走行する走行路を特定する走行路特定手段と、前記走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する検出領域規定手段と、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される影響領域の一部が前記検出領域規定手段によって規定された前記検出領域内に存在するか否かを判定し、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在する場合にその影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす判定手段とを備え、
前記検出領域規定手段は、前記走行路上に運転手が滞在する特定施設である通過点が存在するときには、前記走行路上に存在する通過点を中心とする所定範囲である前記検出領域を、前記走行路上に通過点が無い場合に比べて大きく設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、前記検出領域規定手段は、前記通過点の種別に応じて、より長時間滞在する特定施設である場合、より前記検出領域を大きく規定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載のナビゲーション装置において、ユーザに対して種々の情報を表示する表示手段と、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在することからその影響領域に対応する気象現象による影響があると前記判定手段によってみなされる場合に、その旨を示す判定情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置において、地図情報を取得する地図情報取得手段を備え、前記表示手段は、前記地図情報取得手段によって取得した地図情報を表示可能であり、前記表示制御手段は、前記地図情報取得手段によって取得した地図情報に基づいて前記表示手段に地図表示を行うとともに、前記判定情報を前記表示手段に表示させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項1】
車両が走行する走行路を特定する走行路特定手段と、前記走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する検出領域規定手段と、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される影響領域の一部が前記検出領域規定手段によって規定された前記検出領域内に存在するか否かを判定し、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在する場合にその影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす判定手段とを備え、前記検出領域は、前記影響領域を構成する、1つの前記第1の所定区画よりも大きく設定されていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
車両が走行する走行路を特定する走行路特定手段と、前記走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する検出領域規定手段と、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される影響領域の一部が前記検出領域規定手段によって規定された前記検出領域内に存在するか否かを判定し、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在する場合にその影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす判定手段とを備え、
前記検出領域規定手段は、前記走行経路上の任意点に対応する検出範囲を前記気象現象の種別に応じて規定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2記載のナビゲーション装置において、前記気象現象の種別とは、車両の走行でより危険なものかを表すものであり、前記検出範囲は、前記気象現象の種別がより危険なほど大きく設定されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
車両が走行する走行路を特定する走行路特定手段と、前記走行路特定手段によって特定された走行路から所定範囲内の領域を、その動向を注意すべき気象現象による影響の有無を検出するための検出領域として規定する検出領域規定手段と、地図上の第1の所定区画単位毎に対応して設定された気象情報を取得する気象情報取得手段と、前記気象情報取得手段によって取得された気象情報を参照して、その動向を注意すべき気象現象が設定されている前記第1の所定区画から構成される影響領域の一部が前記検出領域規定手段によって規定された前記検出領域内に存在するか否かを判定し、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在する場合にその影響領域に対応する気象現象による影響があるとみなす判定手段とを備え、
前記検出領域規定手段は、前記走行路上に運転手が滞在する特定施設である通過点が存在するときには、前記走行路上に存在する通過点を中心とする所定範囲である前記検出領域を、前記走行路上に通過点が無い場合に比べて大きく設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、前記検出領域規定手段は、前記通過点の種別に応じて、より長時間滞在する特定施設である場合、より前記検出領域を大きく規定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載のナビゲーション装置において、ユーザに対して種々の情報を表示する表示手段と、前記影響領域の一部が前記検出領域内に存在することからその影響領域に対応する気象現象による影響があると前記判定手段によってみなされる場合に、その旨を示す判定情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーション装置において、地図情報を取得する地図情報取得手段を備え、前記表示手段は、前記地図情報取得手段によって取得した地図情報を表示可能であり、前記表示制御手段は、前記地図情報取得手段によって取得した地図情報に基づいて前記表示手段に地図表示を行うとともに、前記判定情報を前記表示手段に表示させることを特徴とするナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−8432(P2010−8432A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238116(P2009−238116)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【分割の表示】特願2008−185105(P2008−185105)の分割
【原出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【分割の表示】特願2008−185105(P2008−185105)の分割
【原出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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