説明

ナビゲーション装置

【課題】長距離にわたって脱出が困難な誘導経路上の区間に自車が進入することをユーザに事前に把握させることができる「ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】経路誘導中に、誘導経路からの脱出が可能な自車位置に対する進行方向前方側の直近の脱出可能地点において、自車が所定の距離以上にわたって脱出が困難とみなされる誘導経路上の特定の経路区間に進入するか否かを判定する進入判定手段25と、この進入判定手段25によって肯定的な判定結果が得られた場合に、自車が特定の経路区間に進入する旨の警告を出力する警告出力手段26とを備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に係り、特に、長距離にわたって脱出が困難な区間を含む誘導経路にしたがった経路誘導を行うのに好適なナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置においては、目的地までの誘導経路(案内ルート)にしたがった経路誘導(ルート案内)により、自車が進行すべき方向を表示や音声案内によってユーザに的確に提示して目的地までの運転を支援することが行われていた。
【0003】
また、従来から、この種のナビゲーション装置に関する技術として、例えば、対向車とのすれ違いが困難な道路区間をユーザに報知するための技術(例えば、特許文献1参照)、走行中の道路の前方が行き止まりであることをユーザに通知するための技術(例えば、特許文献2参照)および道路上の落石注意地帯をユーザに通知するための技術(例えば、特許文献3参照)等の、運転中に注意を要する道路上の地点をユーザに事前に知らせるための技術が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−245610号公報
【特許文献2】特開平10−260054号公報
【特許文献3】特開平10−82646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、目的地や経路探索条件にもよるが、誘導経路には、山道のように長距離にわたって右左折やUターンが可能な地点が存在しない一本道が含まれることがある。
【0006】
そして、このような誘導経路に含まれる一本道を、経路誘導にしたがって思いがけず走行する場合には、トイレ休憩したい場合やガソリンが少ない場合であっても、その一本道から脱出するための右左折やUターンを行うことができず、長時間にわたって不安(例えば、エンストの不安)や苦痛(例えば、疲労や生理的な苦痛)をともなう運転を強いられる虞があるといった問題が生じていた。
【0007】
この点、特許文献1には、山道におけるすれ違い困難区間を報知する構成が開示されているが、この構成において報知されるすれ違い困難区間は、必ずしも長距離にわたって右左折やUターンによる脱出が効かない一本道に該当するとは限らないので、前述した一本道を走行する場合の問題を確実に解決する手段としては不十分であった。
【0008】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、長距離にわたって脱出が困難な誘導経路上の区間に自車が進入することをユーザに事前に把握させることによって、その区間を直ちに走行すべきか否かの自己判断を行う機会をユーザに与えることができ、ひいては、その区間を走行する場合における不安や苦痛を緩和することができるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明に係るナビゲーション装置は、地図データが記憶された地図データ記憶手段と、自車位置を検出する自車位置検出手段と、前記地図データ記憶手段に記憶された前記地図データに基づいて、目的地までの最適経路を探索する経路探索手段と、この経路探索手段によって探索された前記最適経路を誘導経路とした経路誘導を行う経路誘導手段とを備えたナビゲーション装置であって、前記経路誘導手段による経路誘導中に、前記誘導経路に対応する前記地図データおよび前記自車位置検出手段の検出結果に基づいて、前記誘導経路からの脱出が可能な前記自車位置に対する進行方向前方側の直近の脱出可能地点において、自車が所定の距離以上にわたって脱出が困難とみなされる前記誘導経路上の特定の経路区間に進入するか否かを判定する進入判定手段と、この進入判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、自車が前記特定の経路区間に進入する旨の警告を出力する警告出力手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
そして、このような構成によれば、自車が誘導経路上の進行方向前方側の直近の脱出可能地点において特定の経路区間に進入する場合には、その旨の警告を出力することができるので、特定の経路区間に進入することをユーザに事前に把握させることによって、特定の経路区間を直ちに走行すべきか否かの自己判断を行う機会をユーザに与えることができ、ひいては、特定の経路区間を走行する場合における不安や苦痛を緩和することができる。
【0011】
また、前記特定の経路区間は、前記所定の距離以上にわたって当該区間からの脱出のための右左折が不可能かつ当該区間からの脱出のためのUターンが困難とみなされる経路区間であってもよい。
【0012】
そして、このような構成によれば、自車が前記直近の脱出可能地点において所定の距離以上にわたって脱出のための右左折が不可能かつ脱出のためのUターンが困難とみなされる経路区間に進入する場合には、そのことをユーザに事前に把握させることができる。
【0013】
さらに、前記警告出力手段は、前記警告の出力の際に、前記誘導経路上の前記直近の脱出可能地点からその次の脱出可能地点までの距離の通知を併せて行ってもよい。
【0014】
そして、このような構成によれば、前記直近の脱出可能地点において特定の経路区間に進入する場合に、その旨と併せて前記直近の脱出可能地点から誘導経路上を大凡どの程度の距離走行しなければ特定の経路区間から抜け出すことができないのかをユーザに事前に把握させることができるので、特定の経路区間を直ちに走行すべきか否かの自己判断および特定の経路区間を走行する場合における不安や苦痛の緩和に好適な情報をユーザに提供することができる。
【0015】
さらにまた、前記進入判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、前記地図データに基づいて、前記直近の脱出可能地点以後の前記誘導経路沿いの休憩所が存在するか否かを判定する休憩所判定手段を備え、前記警告手段は、前記休憩所判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合には、前記警告の出力の際に、前記直近の脱出可能地点から当該休憩所までの距離を含めた当該休憩所の情報の通知を併せて行ってもよい。
【0016】
そして、このような構成によれば、前記直近の脱出可能地点において特定の経路区間に進入する場合に、その旨と併せて前記直近の脱出可能地点から誘導経路上をどの程度の距離走行しなければ休憩ができないのかをユーザに事前に把握させることができるので、特定の経路区間を直ちに走行すべきか否かの自己判断および特定の経路区間を走行する場合における苦痛の緩和に好適な情報をユーザに提供することができる。
【0017】
また、前記警告手段は、前記休憩所判定手段によって否定的な判定結果が得られた場合には、前記警告の出力の際に、前記休憩所が存在しない旨の通知を併せて行ってもよい。
【0018】
そして、このような構成によれば、前記直近の脱出可能地点において特定の経路区間に進入する場合に、その旨と併せて誘導経路沿いでは休憩ができないことをユーザに事前に把握させることができるので、特定の経路区間を直ちに走行すべきか否かの自己判断のための有効な判断材料をユーザに提供することができる。
【0019】
さらに、前記進入判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、前記地図データに基づいて、前記直近の脱出可能地点以後の前記誘導経路沿いの最寄りの燃料供給所を抽出した上で、自車の燃料の残量と、自車位置から前記最寄りの燃料供給所までの距離とに基づいて、前記最寄りの燃料供給所まで自車の燃料が十分に足りるか否かを判定する燃料判定手段を備え、前記警告手段は、前記燃料判定手段によって否定的な判定結果が得られた場合には、前記警告の出力の際に、燃料が少ない旨および前記直近の脱出可能地点から前記最寄りの燃料供給所までの距離の通知を併せて行ってもよい。
【0020】
そして、このような構成によれば、前記直近の脱出可能地点において特定の経路区間に進入する場合に、その旨と併せて燃料が十分でないことをユーザに事前に把握させることができるので、特定の経路区間を直ちに走行すべきか否かの自己判断および特定の経路区間を走行する際の不安の緩和に好適な情報をユーザに提供することができる。
【0021】
さらにまた、前記脱出可能地点は、前記誘導経路上の交差点であってもよい。
【0022】
そして、このような構成によれば、脱出可能地点として好適な地点を選択することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、長距離にわたって脱出が困難な誘導経路上の区間に自車が進入することをユーザに事前に把握させることによって、その区間を直ちに走行すべきか否かの自己判断を行う機会をユーザに与えることができ、ひいては、その区間を走行する場合における不安や苦痛を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態を示す構成図
【図2】図1のナビゲーション装置のブロック図
【図3】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るナビゲーション装置の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態におけるナビゲーション装置1は、大別して、ナビゲーションメインユニット2と、このナビゲーションメインユニット2にそれぞれ接続されたGPSレシーバ3、自律航法センサ4、操作部5、ディスプレイ6およびスピーカ7とによって構成されている。
【0027】
ここで、GPSレシーバ3は、図示しないGPS衛星から配信されるGPS情報(時刻や軌道に関する情報)を受信し、受信したGPS情報をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。
【0028】
また、自律航法センサ4は、自車の車速、加速度(角速度)および自車方位等を検出し、検出結果をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。この自律航法センサ4は、車速センサやジャイロセンサ等からなるものであってもよい。
【0029】
さらに、操作部5は、操作内容に応じた操作信号をナビゲーションメインユニット2に入力することによって、ナビゲーション装置1に対する種々の操作を行うことが可能とされている。この操作部5は、リモコン、固定スイッチ、ディスプレイ6のタッチパネル、リニアエンコーダ、ロータリエンコーダまたは音声入力用のマイク等であってもよい。
【0030】
次に、ナビゲーションメインユニット2について詳述すると、図1に示すように、ナビゲーションメインユニット2は、システムバス8にそれぞれ接続されたナビCPU10、地図データ記憶手段としてのハードディスクドライブ(HDD)11、フラッシュメモリ12、RAM14、ユーザインターフェース(I/F)15、画像インターフェース(I/F)16および音声インターフェース(I/F)17を有している。
【0031】
ここで、ナビCPU10は、自車位置検出機能、地図表示機能、経路探索機能、経路誘導機能および検索機能等のナビゲーション装置1の各種の機能を実行するようになっている。
【0032】
また、ハードディスクドライブ11には、地図データが記憶されており、この地図データは、最も詳細な地図を示す最下位レベル(レベル0)から最も簡易な地図を示す最上位レベル(例えば、レベル2)に亘る複数のレベルごとに階層化された状態で管理されている。
【0033】
この地図データには、道路データ、背景データ、経路計算データおよび検索データが含まれている。
【0034】
このうち、道路データは、道路区間をノードに挟まれたリンクで表す情報であり、リンクID、リンクの始端/終端のノードの座標、道路名称、通行条件、幅員情報、車線数情報およびリンクの始端/終端のノードが交差点であるか否かを識別するための交差点識別情報等が互いに対応付けられたデータとされている。なお、交差点以外のノードは、リンクの形状の変化を示す形状変化点として機能することになる。また、交差点識別情報は、特許文献2に示す交差点識別フラグと同様な情報であってもよい。なお、リンクデータは、地図データの管理レベルが上位になるほど互いに隣接する道路区間同士の間で1つに統合されて扱われる。
【0035】
この他、背景データは、点、ポリライン、ポリゴンおよびテキスト等を基本データ要素としている。また、経路計算データは、道路ネットワークデータからなり、リンク、ノード、リンクコストおよび通行条件等を基本データ要素としている。さらに、検索データは、住所、郵便番号およびPOI(Points Of Interest)の属性(位置、名称、住所および種別等)を示すPOI情報等を基本データ要素としている。
【0036】
さらに、ハードディスクドライブ11には、ナビCPU10の実行プログラムが記憶されている。
【0037】
さらにまた、フラッシュメモリ12には、ナビゲーション装置1の起動とともにナビCPU10によってハードディスクドライブ11から読み出されたナビCPU10の実行プログラムが格納されるようになっており、この格納された実行プログラムがナビCPU10によって適宜実行されることによって、ナビゲーション装置1の各種の機能が適宜実行されるようになっている。
【0038】
また、RAM14は、ナビCPU10による処理結果等の各種のデータの一時的な保存等に用いられるようになっている。
【0039】
さらに、ユーザインターフェース15、画像インターフェース16および音声インターフェース17には、操作部5、ディスプレイ6およびスピーカ7がそれぞれ接続されている。
【0040】
次に、ナビCPU10について更に詳述すると、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、自車位置検出手段としての自車位置検出部20を有しており、この自車位置検出部20には、GPSレシーバ3から出力されたGPS情報および自律航法センサ4から出力された検出結果が入力されるようになっている。そして、自車位置検出部20は、GPSレシーバ3側から入力されたGPS情報に基づいて、自車位置を絶対座標として検出(測位)する衛星航法を行うようになっている。また、自車位置検出部20は、自律航法センサ4側から入力された検出結果に基づいて、自車位置を前回の測位位置からの変化分である相対位置として検出する自律航法を行うようになっている。さらに、自車位置検出部20は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データを用いることによって、衛星航法または自律航法によって検出された自車位置を地図データにおける該当する道路上の位置に補正するマップマッチング処理を行うようになっている。そして、自車位置検出部20は、マップマッチング処理が適正に行われた場合には、マップマッチング処理後の自車位置を最終的な検出結果とするようになっている。
【0041】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての地図描画部24を有している。この地図描画部24は、ハードディスクドライブ11に記憶された地図データに基づいて、所定の領域(地域)を示す地図を生成するようになっている。そして、地図描画部24は、生成された地図をディスプレイ6に表示するようになっている。この地図には、前記所定の領域としての自車位置検出部20によって検出された自車位置の周辺の所定の領域を示す地図も含まれる。
【0042】
さらに、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての目的地設定部21を有している。この目的地設定部21は、ナビゲーションの目的地を設定するための各種の操作画面をディスプレイ6に表示した上で、この表示された操作画面に対する操作部5を用いたユーザの入力操作に応じた目的地を設定するようになっている。
【0043】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、経路探索手段としての経路探索部22を有している。この経路探索部22は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データにおける経路計算データに基づいて、自車位置検出部20によって検出された自車位置から目的地設定部21によって設定された目的地までの予め設定された経路探索条件に応じた最適経路を探索するようになっている。経路探索条件には、例えば、目的地まで最短時間で到達する経路を探索すること、目的地まで最短距離で到達する経路を探索すること、一般道を優先的に走行する経路を探索すること、または道幅が広い道路を優先的に走行する経路を探索すること等の条件が含まれている。これらの経路探索条件は、デフォルトで設定される場合もあるし、ユーザが操作部5を用いた入力操作によって設定する場合もある。そして、経路探索部22は、探索された最適経路を、ディスプレイ6への表示によって誘導経路の候補としてユーザに提示するようになっている。
【0044】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、経路誘導手段としての経路誘導部23を有している。この経路誘導部23は、経路探索部22によって提示された最適経路を誘導経路に設定するための操作部5を用いた入力操作が行われると、この最適経路を誘導経路に設定するようになっている。誘導経路の設定は、誘導経路に関する情報、例えばリンクデータをRAM14等に保存することによって行うようにしてもよい。そして、経路誘導部23は、誘導経路の設定の後に、設定された誘導経路にしたがった経路誘導を開始するようになっている。経路誘導は、交差点拡大図をディスプレイ6に表示することや、スピーカ7を介して交差点右左折案内用の音声を出力すること等によって行われるようになっている。
【0045】
さらに、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、進入判定手段としての進入判定部25を有している。この進入判定部25は、経路誘導部23による経路誘導中に、誘導経路に対応する地図データおよび自車位置検出部20の検出結果に基づいて、誘導経路からの脱出が可能な自車位置に対する進行方向前方側の直近の脱出可能地点において、自車が長距離脱出困難区間に進入するか否かを判定するようになっている。
【0046】
ここで、長距離脱出困難区間とは、所定の距離以上にわたって当該区間からの脱出が困難とみなされる誘導経路上の特定の経路区間のことである。換言すれば、長距離脱出困難区間は、当該区間からの脱出が困難とみなされる所定の距離以上にわたる誘導経路上の特定の経路区間である。
【0047】
また、長距離脱出困難区間は、所定の距離以上にわたって当該区間からの脱出のための右左折が不可能かつ当該区間からの脱出のためのUターンが困難とみなされる経路区間であってもよい。この場合に、右左折が不可能であることについては、例えば、前述した交差点識別情報に基づいて、前記直近の脱出可能地点から誘導経路上の進行方向前方側に向かって所定の距離以上にわたって、交差点に該当するノードが現われないことによって判断することができる。また、Uターンが困難であることについては、例えば、前述した幅員情報に基づいて、前記直近の脱出可能地点から誘導経路上の進行方向前方側に向かって所定の距離以上にわたって、道路の幅員が継続的に所定値(例えば、4m)未満であることによって判断することができる。さらに、所定の距離については、コンセプトに応じて種々の距離(例えば、10km)を設定すればよい。
【0048】
さらに、前記直近の脱出可能地点は、自車位置に対する進行方向前方側の直近の交差点(誘導経路上の交差点)であってもよい。
【0049】
このような進入判定部25による判定は、前記直近の脱出可能地点の1つ手前の誘導経路上の脱出可能地点(交差点であってもよい)を自車が通過したことを契機として行うようにしてもよい。ただし、長距離脱出困難区間については、経路探索部22による経路探索あるいは経路誘導部23による誘導経路の設定の際に、経路探索部22または経路誘導部23が予め検出しておくようにしてもよい。
【0050】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、警告出力手段としての警告出力部26を有している。この警告出力部26は、進入判定部25によって肯定的な判定結果が得られた場合に、自車が長距離脱出困難区間に進入する旨の警告を出力するようになっている。この警告の出力は、スピーカ7を介した音声案内およびディスプレイ6への表示の少なくとも一方によって行われるようになっている。
【0051】
例えば、警告出力部26は、警告として、「この先、しばらく一本道が続きます。」といった音声案内および/または表示を行ってもよい。
【0052】
また、本実施形態において、警告出力部26は、警告の出力の際に、前記直近の脱出可能地点からその次の誘導経路上の脱出可能地点までの距離の通知を併せて行うようになっている。
【0053】
この通知は、例えば、「右折ポイントは15km先になります。」といった音声案内および/または表示であってもよい。なお、この通知例は、前記直近の脱出可能地点の次の脱出可能地点における経路誘導にしたがった走行方法(右折)の通知をともなっているが、次の脱出可能地点における走行方法が直進となる場合もあるので、単に、「一本道後の最初の交差点は15km先になります。」という通知であってもよい。
【0054】
さらに、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、休憩所判定手段としての休憩所判定部27を有している。この休憩所判定部27は、進入判定部25によって肯定的な判定結果が得られた場合に、前記直近の脱出可能地点以後の誘導経路沿いの休憩所が存在するか否かを判定するようになっている。この休憩所判定部27の判定は、ハードディスクドライブ11に記憶された地図データにおける検索データに基づいて、誘導経路上の各地点(例えば、ノード)の座標を検索キーとした周辺施設検索を用いて行えばよい。また、休憩所は、例えば、コンビニであってもよい。
【0055】
そして、本実施形態において、警告出力部26は、休憩所判定部27によって肯定的な判定結果が得られた場合には、警告の出力の際に、前記直近の脱出可能地点から当該休憩所までの距離を含めた当該休憩所の情報の通知を併せて行うようになっている。なお、休憩所までの距離以外の休憩所の情報としては、休憩所の種別や名称を挙げることができる。
【0056】
例えば、警告出力部26は、休憩所の情報の通知として、前述した警告に併せて、「最寄りのコンビニは16km先になります。」といった音声案内および/または表示を行ってもよい。
【0057】
一方、警告出力部26は、休憩所判定部27によって否定的な判定結果が得られた場合には、警告の出力の際に、前記直近の脱出可能地点以後の誘導経路沿いの休憩所が存在しない旨の通知を併せて行うようになっている。
【0058】
この通知は、例えば、「この先、休憩所はありません。」といった音声案内および/または表示であってもよい。
【0059】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、燃料判定手段としての燃料判定部28を有している。この燃料判定部28は、進入判定部25によって肯定的な判定結果が得られた場合に、ハードディスクドライブ11に記憶された地図データにおける検索データに基づいて、前記直近の脱出可能地点以後の誘導経路沿いの自車位置に最寄りの燃料供給所を抽出するようになっている。その上で、燃料判定部28は、自車の燃料の残量と、自車位置から最寄りの燃料供給所までの距離とに基づいて、最寄りの燃料供給所まで自車の燃料が十分に足りるか否かを判定するようになっている。ここで、誘導経路沿いの最寄りの燃料供給所の抽出には、前述した誘導経路沿いの休憩所の検索と同様の検索方法を用いることができる。また、燃料供給所は、ガソリンスタンドであってもよいし、あるいは、車両の動力源となるガソリン以外の燃料の供給所であってもよい。さらに、燃料判定部28は、自車の燃料の残量については、ガソリンの場合には、例えば、燃料タンクに貯留されたガソリンの残量を、ガソリンの液面のレベルとして検出するレベルセンサの検出結果として取得すればよい。そして、この場合に、燃料判定部28は、取得された自車のガソリンの残量〔l〕と、ハードディスクドライブ11等に予め記憶された自車の平均燃費情報〔km/l〕とに基づいて、現在自車が走行可能な距離〔km〕を算出した上で、算出された距離が自車位置から最寄りのガソリンスタンドまでの距離よりも長いか否かを判定基準とした判定を行うようにしてもよい。
【0060】
そして、本実施形態において、警告出力部26は、燃料判定部28によって否定的な判定結果が得られた場合には、警告の出力の際に、燃料が少ない旨および前記直近の脱出可能地点から最寄りの燃料供給所までの距離の通知を併せて行うようになっている。
【0061】
この通知は、例えば、「ガソリンが不足しています。最寄りのガソリンスタンドは17km先になります。」といった音声案内および/または表示であってもよい。
【0062】
次に、本実施形態の作用について図3を参照して説明する。
【0063】
なお、便宜上、図3の初期状態において、経路誘導部23によって目的地までの誘導経路にしたがった経路誘導が開始されたものとする。
【0064】
そして、本実施形態においては、初期状態から、まず、図3のステップ1(ST1)において、進入判定部25により、前述した手法によって、前記直近の脱出可能地点において自車が長距離脱出困難区間に進入するか否かを判定する。そして、ステップ1(ST1)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ2(ST2)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ9(ST9)に進む。
【0065】
ここで、ステップ2(ST2)以後の処理について先に説明すると、まず、ステップ2(ST2)において、警告出力部26により、前述した手法によって、警告の出力と、これに併せた前記直近の脱出可能地点からその次の脱出可能地点までの距離の通知とを行う。
【0066】
次いで、ステップ3(ST3)において、休憩所判定部27により、前述した手法によって、前記直近の脱出可能地点以後の誘導経路沿いの休憩所が存在するか否かを判定する。そして、ステップ3(ST3)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ4(ST4)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ5(ST5)に進む。
【0067】
ここで、ステップ4(ST4)に進んだ場合には、このステップ4(ST4)において、警告出力部26により、前述した手法によって、休憩所の情報の通知をステップ2(ST2)における警告の出力と併せて行う。そして、ステップ4(ST4)の後は、ステップ6(ST6)に進む。
【0068】
一方、ステップ5(ST5)に進んだ場合には、このステップ5(ST5)において、警告出力部26により、前述した手法によって、前記直近の脱出可能地点以後の誘導経路沿いの休憩所が存在しない旨の通知を、ステップ2(ST2)における警告の出力と併せて行う。そして、ステップ5(ST5)の後は、ステップ6(ST6)に進む。
【0069】
次いで、ステップ6(ST6)において、燃料判定部28により、前述した手法によって、前記直近の脱出可能地点以後の誘導経路沿いの最寄りの燃料供給所を抽出する。
【0070】
次いで、ステップ7(ST7)において、燃料判定部28により、前述した手法によって、ステップ6(ST6)において抽出された最寄りの燃料供給所まで自車の燃料が十分に足りるか否かを判定する。そして、ステップ7(ST7)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ8(ST8)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ9(ST9)に進む。
【0071】
ここで、ステップ8(ST8)に進んだ場合には、このステップ8(ST8)において、警告出力部26により、前述した手法によって、燃料が少ない旨および前記直近の脱出可能地点から最寄りの燃料供給所までの距離の通知を、ステップ2(ST2)における警告の出力と併せて行う。そして、ステップ8(ST8)の後は、ステップ9(ST9)に進む。
【0072】
一方、ステップ9(ST9)に進んだ場合には、このステップ9(ST9)において、経路誘導部23により、自車位置検出部20の検出結果に基づいて、目的地に到着したか否かを判定する。そして、ステップ9(ST9)において肯定的な判定結果が得られた場合には、経路誘導を終了し、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ1(ST1)に戻る。
【0073】
以上述べたように、本実施形態によれば、自車が前記直近の脱出可能地点において長距離脱出困難区間に進入する場合には、警告出力部26によってその旨の警告を出力することができるので、長距離脱出困難区間に進入することをユーザに事前に把握させることによって、長距離脱出困難区間を直ちに走行すべきか否かの自己判断を行う機会をユーザに与えることができる。そして、自己判断の結果、長距離脱出困難区間に進入する前に休憩や燃料供給を望む場合には、前記直近の脱出可能地点において誘導経路を一旦脱出して、付近の休憩所や燃料供給所に立ち寄ることも可能となる。また、そのまま長距離脱出困難区間に進入する場合にも、長距離にわたって脱出が困難なことを予め把握した上での走行が可能となる。この結果、長距離脱出困難区間を走行する場合における不安や苦痛を緩和することができる。
【0074】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0075】
例えば、警告出力部26は、警告を出力する際に、前記直近の脱出可能地点に最寄りの誘導経路外の道路沿いの休憩所および燃料供給所を検索した上で、検索された休憩所および燃料供給所を経由地に設定可能な状態でユーザに提示してもよい。この場合には、提示された休憩所および燃料供給所が経由地に設定された上で、設定された経由地を経た上で長距離脱出困難区間を通る新たな誘導経路にしたがった経路誘導を行えばよい。
【符号の説明】
【0076】
1 ナビゲーション装置
11 ハードディスクドライブ
20 自車位置検出部
22 経路探索部
23 経路誘導部
25 進入判定部
26 警告出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データが記憶された地図データ記憶手段と、
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
前記地図データ記憶手段に記憶された前記地図データに基づいて、目的地までの最適経路を探索する経路探索手段と、
この経路探索手段によって探索された前記最適経路を誘導経路とした経路誘導を行う経路誘導手段と
を備えたナビゲーション装置であって、
前記経路誘導手段による経路誘導中に、前記誘導経路に対応する前記地図データおよび前記自車位置検出手段の検出結果に基づいて、前記誘導経路からの脱出が可能な前記自車位置に対する進行方向前方側の直近の脱出可能地点において、自車が所定の距離以上にわたって脱出が困難とみなされる前記誘導経路上の特定の経路区間に進入するか否かを判定する進入判定手段と、
この進入判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、自車が前記特定の経路区間に進入する旨の警告を出力する警告出力手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記特定の経路区間は、前記所定の距離以上にわたって当該区間からの脱出のための右左折が不可能かつ当該区間からの脱出のためのUターンが困難とみなされる経路区間であること
を特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記警告出力手段は、前記警告の出力の際に、前記誘導経路上の前記直近の脱出可能地点からその次の脱出可能地点までの距離の通知を併せて行うこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記進入判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、前記地図データに基づいて、前記直近の脱出可能地点以後の前記誘導経路沿いの休憩所が存在するか否かを判定する休憩所判定手段を備え、
前記警告手段は、前記休憩所判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合には、前記警告の出力の際に、前記直近の脱出可能地点から当該休憩所までの距離を含めた当該休憩所の情報の通知を併せて行うこと
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記警告手段は、前記休憩所判定手段によって否定的な判定結果が得られた場合には、前記警告の出力の際に、前記休憩所が存在しない旨の通知を併せて行うこと
を特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記進入判定手段によって肯定的な判定結果が得られた場合に、前記地図データに基づいて、前記直近の脱出可能地点以後の前記誘導経路沿いの最寄りの燃料供給所を抽出した上で、自車の燃料の残量と、自車位置から前記最寄りの燃料供給所までの距離とに基づいて、前記最寄りの燃料供給所まで自車の燃料が十分に足りるか否かを判定する燃料判定手段を備え、
前記警告手段は、前記燃料判定手段によって否定的な判定結果が得られた場合には、前記警告の出力の際に、燃料が少ない旨および前記直近の脱出可能地点から前記最寄りの燃料供給所までの距離の通知を併せて行うこと
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記脱出可能地点は、前記誘導経路上の交差点であること
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−203069(P2011−203069A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69901(P2010−69901)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】