説明

ナビゲーション装置

【課題】利用者の自宅の位置情報が未登録であっても、この利用者の自宅の位置情報を目的地として容易に設定することができる「ナビゲーション装置」を提供することである。
【解決手段】自宅を目的地として設定する操作がなされたときに(S12,S13)、予め登録された当該自宅の位置を目的地とした経路設定を行うナビゲーション装置であって、外部通信機器と通信可能な通信手段と(S18)、自宅を目的地として設定する操作がなされたときに(S12,S13)、外部通信機器に当該外部通信機器の利用者の自宅の位置を特定する情報として登録されている位置情報を通信手段を介して外部通信機器から取得する位置情報取得手段(S20〜S23)と、予め登録された自宅の位置に代えて、位置情報取得手段にて取得された位置情報を設定すべき経路の目的地とする目的地設定制御手段(S24)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され車両に搭載され目的地までの経路(ルート)案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の配車依頼とGPS受信機による位置情報取得及び送信を携帯電話機で行い、基地局の通信システムが上記情報を複数のタクシーに送信し、複数のタクシーに積載された電話機が上記送信された配車依頼情報を受信し接続されているカーナビゲーションに利用者の位置を表示した上で、タクシー運転手が条件に合えば、依頼に対して呼応し、更に利用者が情報処理手段により複数のタクシーからの呼応に対して1台を選択するように構成されたタクシー配車システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように構成されたタクシー配車システムでは、利用者に対しては自分の現在位置を把握していない場合であっても、タクシーの配車を容易にし、タクシー会社の選択が不要である一方、タクシー運転手にとっては手間がかからず、利用者の要求に対して迅速に対応可能であるため、利用者とタクシー運転手の双方の信頼性を維持することができる。また上記システム利用者が配車要求時に、自宅等の目的地を予め入力または指定することで、タクシー側のカーナビゲーションに目的地またはルートのいずれか一方または双方を表示できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−46309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の特許文献1に示されたタクシー配車システムでは、利用者の自宅の位置情報のデータをナビゲーション装置の自宅情報として自動的に登録するものではないため、利用者の自宅の位置情報の検索操作が比較的煩わしかった。
【0006】
一方、他人の車両やレンタカー等を運転する場合、これらの車両には利用者の自宅の住所が自宅情報として登録されていないナビゲーション装置が搭載されているため、このナビゲーション装置で利用者の自宅の位置情報を検索する場合、自宅の住所を直接入力したり、或いは自宅のアドレス情報の中から選択したりする必要があるため、自宅の位置情報の検索操作が比較的煩わしかった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、利用者の自宅の位置情報が未登録であっても、この利用者の自宅の位置情報を目的地として容易に設定することができるナビゲーション装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るナビゲーション装置は、自宅を目的地として設定する操作がなされたときに、予め登録された当該自宅の位置を目的地とした経路設定を行うナビゲーション装置であって、外部通信機器と通信可能な通信手段と、自宅を目的地として設定する操作がなされたときに、前記外部通信機器に当該外部通信機器の利用者の自宅の位置を特定する情報として登録されている位置情報を前記通信手段を介して前記外部通信機器から取得する位置情報取得手段と、前記予め登録された自宅の位置に代えて、前記位置情報取得手段にて取得された位置情報を設定すべき経路の目的地とする目的地設定制御手段とを有する構成となる。
【0009】
このような構成により、利用者が、例えば他人の車両やレンタカー等を運転して利用者の自宅に戻るために、自宅を目的地として設定する操作を行うと、利用者の自宅の位置を特定する情報が登録されている外部通信機器と通信手段が通信し、この外部通信機器に登録されている利用者の自宅の位置情報が取得された後、この取得された位置情報が目的地に設定される。
【0010】
本発明に係るナビゲーション装置において、前記位置情報手段にて複数の位置情報が取得されたときに、該複数の位置情報を表示部に表示させる位置情報表示制御手段を有し、前記表示部に表示された複数の位置情報から1つの位置情報の選択操作がなされたときに、前記目的地設定制御手段は、前記予め登録された自宅の位置に代えて、前記選択操作のなされた位置情報を設定すべき経路の目的地とすることができる。
【0011】
このような構成により、利用者が、例えば他人の車両やレンタカー等を運転して利用者の自宅に戻るために、自宅を目的地として設定する操作を行った場合、通信手段が複数の外部通信機器と通信して複数の位置情報を取得すると、これらの位置情報が表示部に表示され、これらの表示された位置情報から1つの位置情報が選択されると、予め登録された自宅の位置に代えて、選択された位置情報が目的地に設定される。
【0012】
また、本発明に係るナビゲーション装置において、前記外部通信機器が、無線または有線で前記通信手段と通信可能な携帯電話機、パーソナルコンピュータ、または通信モバイルであってもよい。
【0013】
このような構成より、無線の場合には通信手段と外部通信機器と接続することなく、容易に通信することができ、有線の場合には通信手段と外部通信機器とを接続することにより、比較的容易に通信することができる。
【0014】
更に、本発明に係るナビゲーション装置において、前記外部通信機器が有している自宅の位置情報が、利用者の住所、電話番号、またはGPS情報であってもよい。
【0015】
このような構成により、自宅の位置情報が利用者の住所または電話番号である場合には、比較的正確に通信手段が自宅の位置情報を得ることができ、自宅の情報が利用者のGPS情報である場合には、正確に通信手段が自宅の位置情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るナビゲーション装置によれば、利用者が、例えば他人の車両やレンタカー等を運転して利用者の自宅に戻るために、自宅を目的地として設定する操作を行うと、利用者の自宅の位置を特定する情報が登録されている外部通信機器と通信手段が通信し、この外部通信機器に登録されている利用者の自宅の位置情報が取得された後、この取得された位置情報が目的地に設定されるので、利用者の自宅の位置情報が未登録であっても、この利用者の自宅の位置情報を目的地として容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の一形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したナビゲーション装置において実行される利用者の携帯電話機から自宅の位置情報を登録自宅情報の設定操作画面に表示し目的地として設定する処理を行うフローチャートである。
【図3】図1に示したナビゲーション装置の表示部に目的地の設定方法を選択する画像を表示した図である。
【図4】図1に示したナビゲーション装置の表示部に登録自宅情報を表示してよいか否かを選択する画像を表示した図である。
【図5】図1に示したナビゲーション装置の表示部に外部通信機器から受信した1件の自宅の位置情報を表示した図である。
【図6】図1に示したナビゲーション装置の表示部に外部通信機器から受信した3件の自宅の位置情報を表示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
本発明の実施の一形態に係るナビゲーション装置は、車両に搭載され、図1に示すように構成される。図1において、ナビゲーション装置10は、コンピュータユニット(CPUを含む)にて構成される処理ユニット12を有している。処理ユニット12は、車両ナビゲーションに必要な位置情報を提供するためのGPSユニット17及びセンサ類18(ジャイロセンサ、加速度センサ)、地図情報及び各種情報を記憶する記憶部14(例えば、ハードディスクユニット)が接続されている。また、処理ユニット12には、車室内に設けられ、LCD等により構成される表示部13、操作ボタンや表示部13内に構成されるタッチパネル等の操作部11、車室内に設けられたスピーカ16に音声信号を供給する出力回路15が接続されている。
【0020】
処理ユニット12は、GPSユニット17及びセンサ類18からの位置情報と、記憶部14から読み出した地図情報に基づいて車両ナビゲーションに係る処理を実行する。この車両ナビゲーションに係る処理では、例えば、GPSユニット17及びセンサ類18により得られる車両位置と目的地の位置とに基づいて車両位置から目的地までのルート(経路)が検索及び設定され、表示部13にナビゲーションに係る地図とともに車両位置マーク及び設定ルートを表示させて、車両のルート案内に係るガイダンスの出力(表示または音声出力)等がなされる。また、処理ユニット12には通信回路19が接続されており、処理ユニット11の制御のもと通信回路19と乗員の携帯電話機20との間で、例えば、ブルートゥースによる近距離無線通信ができるようになっている。
【0021】
上記処理ユニット12は、図2に示す手順に従って案内ルートの目的地を設定するための処理を実行する。利用者が他人の車両やレンタカー等を運転して旅行し、最終日に旅先から自宅に帰るとき、ナビゲーション装置10の登録自宅情報を検索しても、利用者の自宅の位置情報は登録されていない。このような状況において、利用者が、操作部11にて目的地設定の操作を行うと、処理ユニット11は、例えば、図3に示すような目的地設定画面を表示部13に表示させる(S11)。この目的地設定画面には、「住所検索」、「郵便番号検索」、「電話番号検索」、「メモリ地点検索」及び「自宅に帰る」という選択項目が表示されている。利用者が図3に示す目的地設定画面において「自宅に帰る」という項目を選択する操作を行うと(S12でYES、S13でYES)、処理ユニット11は、自宅の位置を表す自宅情報が既に登録されているか否かを判定する(S15)。なお、目的地設定画面において、自宅を目的地設定するための操作である「自宅に帰る」以外の操作(具体的には、「住所検索」、「郵便番号検索」、「電話番号検索」、「メモリ地点検索」のいずれか)がなされると(S13でNO)、その操作に従った目的地設定の処理が行われる(S14)。
【0022】
上述したように自宅を目的地に設定するための操作がなされると(S13でYES)、処理ユニット11は、自宅の位置を表す自宅情報が既に登録されているか否かを判定する(S15)。そして、自宅情報が既に登録されている場合(S15でYES)、処理ユニット11は、図4に示すような確認画面を表示部13に表示させ(S16)、登録された自宅情報に基づいて自宅を目的地設定するか否かを判定する(S17)。ここで、利用者が、図4に示す確認画面において、「YES」のボタンを操作すると、処理ユニット11は、登録された自宅を目的地に設定するものであると判断し(S17でYES)、その登録された自宅情報に基づいて目的地設定を行う(S24)。
【0023】
一方、利用者が、図4に示す確認画面において、「NO」のボタンを操作すると、処理ユニット11は、登録された自宅を目的地するものではないと判断し(S17でNO)、通信回路19が車室内の乗員が所持する携帯電話機20との近距離無線通信が可能であるか否かを判定する(S18)。通信回路19と携帯電話機20との近距離無線通信が可能である場合(S18でYES)、処理ユニット11は、通信回路19を介して携帯電話機20との間で情報交換を行い、携帯電話機20に記録されたプロファイル情報を検索する(S20)。通常、携帯電話機20にはその利用者の住所等の個人情報をプロファイル情報として登録することができる。処理ユニット11は、携帯電話機20からプロファイル情報を取得し、そのプロファイル情報に利用者のプロファイル情報が含まれているか否かを判定する(S21)。前記プロファイル情報に利用者の住所が含まれている場合(S21でYES)、処理ユニット11は、その自宅情報としての住所情報を、例えば、図5に示すように、表示部13に表示させる。
【0024】
利用者が、図5に示すように表示部13に表示された住所情報(福島県I市×××町1−2−3)の選択操作を行うと、処理ユニット11は、その選択された住所情報を自宅情報として取得する(S23)。そして、処理ユニット11は、その取得した自宅情報に基づいて目的地の設定を行う(S24)。このようにして目的地が設定されると、乗員の操作に従って、処理ユニット11は、現在位置から前記目的地までの経路設定を行い、車両の発進とともに、設定された経路に基づいて車両の走行案内処理を行う。
【0025】
なお、車両の乗員が携帯電話機20を所持していない、あるいは、携帯電話機20が近距離通信の機能を備えていない等、通信回路19が携帯電話機20との近距離無線通信を行うことができない場合(S18でNO)、または、携帯電話機20から取得されたプロファイル情報に利用者の住所情報(自宅情報)が含まれていない場合(S21でNO)、処理ユニット11は、自宅の位置情報を取得することができなかった旨のメッセージを表示部13に表示させ、再度、目的地設定画面(図3参照)を表示部13に表示させる。そして、処理ユニット11は、利用者の操作に従った処理を実行する(S12、S13、S14等)。
【0026】
ところで、車両に複数の乗員がいる場合、通信回路19は、その複数の乗員が所持する複数の携帯電話機と近距離無線通信する可能性がある。この場合、処理ユニット11は、通信回路19を介して複数の携帯電話機との情報交換を行って、複数の携帯電話機のそれぞれからプロファイル情報を取得し得る(S18、S20)。この場合、例えば、図6に示すように、表示部13には、取得した複数のプロファイル情報から得られる複数の住所情報が表示される(S22)。そして、利用者が、図6に示すように表示部13に表示された複数の住所情報(福島県I市×××町1−2−3、福島県K市△△△町4−5−6、福島県A市□□□町7−8−9)のうちのいずれかの住所情報の選択操作を行うと、処理ユニット11は、その選択された住所情報を自宅情報として取得し(S23)、その取得した自宅情報に基づいて目的地の設定を行う(S24)。
【0027】
前述したようなナビゲーション装置10によれば、他人の車両やレンタカー等を運転して自宅に戻る場合に、自宅を目的地に設定する操作を行ったときに、登録された自宅の住所に代えて、乗員の携帯電話機20と通信を行って得られたプロファイル情報に含まれる自宅の住所を目的地として設定することができるので、利用者の自宅の位置情報が未登録であっても、自宅を目的地に設定する操作を行えば、この利用者の自宅の位置情報を目的地として容易に設定することができるようになる。
【0028】
なお、前述したナビゲーション装置10では、通信回路19が携帯電話機20と近距離無線通信を行うものであったが、通信回路19が通信ケーブルにて接続された携帯電話機20と通信を行うように構成することもできる。また、利用者の自宅の住所が登録され得るものであるならば、外部通信機器として、携帯電話機20だけでなく、パーソナルコンピュータや、他の通信モバイル機器を利用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上、説明したように、本発明に係るナビゲーション装置は、利用者の自宅の位置情報が未登録であっても、この利用者の自宅の位置情報を目的地として容易に設定することができ、目的地までの経路(ルート)案内を行う車載のナビゲーション装置として有用である。
【符号の説明】
【0030】
10 ナビゲーション装置
11 操作部
12 処理有ニット
13 表示部
14 記憶部
15 出力回路
16 スピーカー
17 GPSユニット
18 センサ類
19 通信回路(通信手段)
20 携帯電話機(外部通信機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自宅を目的地として設定する操作がなされたときに、予め登録された当該自宅の位置を目的地とした経路設定を行うナビゲーション装置であって、
外部通信機器と通信可能な通信手段と、
自宅を目的地として設定する操作がなされたときに、前記外部通信機器に当該外部通信機器の利用者の自宅の位置を特定する情報として登録されている位置情報を前記通信手段を介して前記外部通信機器から取得する位置情報取得手段と、
前記予め登録された自宅の位置に代えて、前記位置情報取得手段にて取得された位置情報を設定すべき経路の目的地とする目的地設定制御手段とを有するナビゲーション装置。
【請求項2】
前記位置情報手段にて複数の位置情報が取得されたときに、該複数の位置情報を表示部に表示させる位置情報表示制御手段を有し、
前記表示部に表示された複数の位置情報から1つの位置情報の選択操作がなされたときに、前記目的地設定制御手段は、前記予め登録された自宅の位置に代えて、前記選択操作のなされた位置情報を設定すべき経路の目的地とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記外部通信機器が、無線または有線で前記通信手段と通信可能な携帯電話機、パーソナルコンピュータ、または通信モバイル機器である請求項1または2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記外部通信機器が有している自宅の位置情報が、利用者の住所、電話番号、またはGPS情報である請求項1乃至3のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−220913(P2011−220913A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91970(P2010−91970)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】