説明

ナビ装置、ナビサーバ及びナビシステム

【課題】料金支払のための移動体の停止という煩わしさを軽減しながら、移動体の目的位置までの移動時間の短縮の観点から最適な案内ルートをユーザに把握させ得るナビ装置等を提供する。
【解決手段】本発明のナビ装置100によれば、支払方式判定ユニット130が有料道路の利用料金の自動支払機能を自動車10が有するか否かを判定する。また、モード設定ユニット140が当該判定結果に応じて有料道路及び一般道路を同等とする「通常モード」又は有料道路及び一般道路のうち一方を他方に優先させる「優先モード」を設定する。さらに案内ルート設定ユニット160がモード設定ユニット140による設定モードに応じて、道路交通情報認識ユニット150により認識された道路交通情報に基づく予測移動時間が最短のルートを「案内ルート」として設定する。そして、ナビ装置100が案内ルート等を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載等されるナビ装置、ナビ装置との通信により当該ナビ装置によるナビゲーションを補助するナビサーバ、及びナビ装置及びナビシステムにより構成されるナビシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS等により測定された現在位置から、ユーザ(運転手)により設定された目的位置までの案内ルートを設定した上で表示するナビ装置(カーナビ)が広く利用されている。
【0003】
案内ルートには、利用料金の支払が不要な一般道路のほか、利用料金の支払が必要な高速道路等の有料道路が含まれ得ることから、有料道路の利用料金が考慮された上で案内ルートを設定するナビ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−218050号公報(0028〜0033段落、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のナビ装置によれば、案内ルートに有料道路が含まれる場合、一般道路よりも有料道路のほうが優先的に含まれるように案内ルートが設定される。従って、自動車がいったん有料道路からおりて一般道路を走行した後、再び有料道路にのって走行するほうが、走行距離や走行時間の短縮のために適当であるにもかかわらず、有料道路のみを含む案内ルートや、前半は有料道路である一方、後半はずっと一般道路であるような案内ルートが設定されてしまう。これでは、本来は有料道路を走行するのが不適切な状況にある自動車までもがナビ装置に表示されている案内ルートに従って有料道路を走行することになり、有料道路(特に都市部の高速道路)における交通渋滞が引き起こされる等の弊害が生じる。
【0005】
その一方、案内ルートに多数の有料道路の料金所が含まれ、目的位置に辿り着くまでに、料金所を通過するたびに自動車を停止させて利用料金を支払うことになると、ユーザ(運転手)に煩わしさを感じさせてしまうので好ましくない。
【0006】
そこで、本発明は、料金支払のための移動体の停止という煩わしさを軽減しながら、移動体の目的位置までの移動時間の短縮の観点から最適な案内ルートをユーザに把握させ得るナビ装置、ナビサーバ及びナビシステムを提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するためのナビ装置は、移動体の案内ルートを表示する機能を備えたナビ装置であって、移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有するか否かを判定する支払方式判定手段と、ナビサーバとの通信に基づき、道路交通情報を認識する道路交通情報認識手段と、支払方式判定手段により移動体が該機能を有すると判定された場合、有料道路及び一般道路の両方が同等である通常モードを設定する一方、支払方式判定手段により移動体が該機能を有しないと判定された場合、有料道路及び一般道路のうち一方を他方に優先させる優先モードを設定するモード設定手段と、モード設定手段による設定モードに応じて、道路交通情報認識手段により認識された道路交通情報に基づいて予測される移動体の目的位置までの移動時間が最短となるルートを案内ルートとして設定する案内ルート設定手段とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明のナビ装置によれば、支払方式判定手段が、有料道路の利用料金の自動支払機能を移動体が有するか否かを判定する。移動体には、自動車、自転車等、ユーザが運転する乗り物のほか、ユーザ自身が含まれる。また、移動体がユーザ自身である場合、移動体が当該機能を有するとは、ユーザにより当該機能を有する装置が携帯されることを意味する。
【0009】
また、道路交通情報認識手段が、ナビサーバとの通信に基づき、道路交通情報を認識する。
【0010】
さらに、支払方式判定手段により、移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有すると判定された場合、モード設定手段が、有料道路及び一般道路の両方が同等である「通常モード」を設定する。一方、支払方式判定手段により、移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有しないと判定された場合、モード設定手段が、有料道路及び一般道路のうち一方を他方に優先させる「優先モード」を設定する。
【0011】
また、案内ルート設定手段が、モード設定手段による設定モードに応じて、道路交通情報認識手段により認識された道路交通情報に基づいて予測される移動体の目的位置までの移動時間が最短となるルートを「案内ルート」として設定する。そして、ナビ装置が、案内ルート設定手段により設定された案内ルートを表示する。
【0012】
予測移動時間の短縮という観点から「通常モード」に従って設定された案内ルートを構成する道路として、有料道路及び一般道路はそれらのうち一方が他方に優先させられるということなく平等又は略平等に選択される。このため、有料道路の利用回数が抑制されることはなく、本来であれば、有料道路の利用料金支払のための移動体の停止という煩わしさをユーザに与えてしまう場合がありうる。しかるに「通常モード」が設定されるのは、移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有している場合である。従って、移動体が有する有料道路の利用料金の自動支払機能によってこの煩わしさが本来的に解消されている状態で、移動体を最短時間で目的位置まで案内し得る案内ルートを、ナビ装置を通じてユーザに把握させ得る。
【0013】
また、移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有していない場合、本来であれば、有料道路の利用料金支払のための移動体の停止という煩わしさをユーザに与えてしまう。しかるに、この場合、有料道路及び一般道路のうち一方を他方に優先させる「優先モード」に応じて案内ルートが設定される。優先モードに応じて設定された案内ルートを構成する道路として、有料道路及び一般道路のうち一方が他方に優先して選択され得る。従って、結果的に有料道路及び一般道路の一方から他方への切替回数、ひいては有料道路の利用回数が抑制される。そして、この煩わしさを軽減しながら、移動体が目的位置まで短時間で移動し得る案内ルートを、ナビ装置を通じてユーザに把握させ得る。
【0014】
このように、本発明のナビ装置によれば、料金支払のための移動体停止という煩わしさを軽減しながら、移動体の目的位置までの移動時間短縮の観点から最適な案内ルートをユーザに把握させ得る。
【0015】
また、本発明のナビ装置は、案内ルート設定手段が、通常モードに応じて第2重み係数に対する第1重み係数の係数比を1が含まれる通常範囲内の値に設定する一方、優先モードに応じて係数比を通常範囲から外れた値に設定した上で、第1重み係数と道路交通情報に含まれている有料道路の道路区分の移動所要時間との積を該有料道路の道路区分の移動時間として予測するとともに、第2重み係数と道路交通情報に含まれている一般道路の道路区分ごとの移動所要時間との積を該一般道路の道路区分の移動時間として予測することにより、移動体の目的位置までの移動時間を予測することを特徴とする。
【0016】
本発明のナビ装置によれば、案内ルート設定手段が「第1重み係数」と、道路交通情報に含まれる有料道路の道路区分の「移動所要時間」との積を、当該有料道路の道路区分の移動時間として予測する。また、案内ルート設定手段が「第2重み係数」と、道路交通情報に含まれる一般道路の道路区分の「移動所要時間」との積を、当該一般道路の道路区分の移動時間として予測する。さらに、案内ルート設定手段は、モード設定手段により設定されたモードに応じて第2重み係数に対する第1重み係数の係数比を設定する。
【0017】
具体的には「通常モード」に応じて、係数比は「1」が含まれる通常範囲内の値に設定される。これにより、通常モードにおける第1及び第2重み係数は同等又は略同等となる。従って、道路交通情報に含まれる道路区分の移動所要時間が同一であれば、有料道路の移動時間及び一般道路の予測時間は同等又は略同等なものと予測される。そして、予測移動時間が最短の案内ルートの設定という観点から「通常モード」に応じて設定される案内ルートを構成する道路として、有料道路及び一般道路が、そのうちの一方が他方に優先させられるということなく平等又は略平等に選択され得る。
【0018】
その一方「優先モード」に応じて係数比が通常範囲から外れた値とされる。これにより、優先モードにおける第1重み係数は第2重み係数より小さく又は大きくなる。従って、道路交通情報に含まれるそれぞれの道路区分の移動所要時間が同一であれば、有料道路の移動時間は一般道路の移動時間よりも短い又は長いものと予測される。そして、予測移動時間の短縮という観点から「優先モード」に応じて設定される案内ルートを構成する道路として、有料道路及び一般道路のうち一方が他方よりも優先的に選択される傾向が強められる。
【0019】
さらに本発明のナビ装置は、有料道路及び一般道路のうち、ユーザにより選択された一方を優先道路として認識する優先道路認識手段を備え、モード設定手段が、優先道路認識手段により有料道路が優先道路として認識された場合、支払方式判定手段による判定結果に応じて通常モードを設定するか、又は有料道路を一般道路に優先させる第1優先モードを設定する一方、優先道路認識手段により一般道路が優先道路として認識された場合、一般道路を有料道路に優先させる第2優先モードを設定することを特徴とする。
【0020】
本発明のナビ装置によれば、優先道路認識手段が、有料道路及び一般道路のうち、ユーザにより選択された一方を優先道路として認識する。また、優先道路認識手段により「有料道路」が優先道路として認識された場合、モード設定手段が支払方式判定手段による判定結果に応じて「通常モード」を設定するか、又は有料道路を一般道路に優先させる優先モードを「第1優先モード」として設定する。その一方、優先道路認識手段により「一般道路」が優先道路として認識された場合、モード設定手段が一般道路を有料道路に優先させる優先モードを「第2優先モード」として設定する。そして、前記のように案内ルート設定手段が、モード設定手段により設定されたモードに従って案内ルートを設定する。
【0021】
すなわち、有料道路が優先道路として設定され、且つ、移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有する場合「通常モード」に従って案内ルートが設定される。予測移動時間の短縮という観点から「通常モード」に従って設定された案内ルートを構成する道路として、有料道路及び一般道路はそれらのうち一方が他方に優先させられるということなく平等又は略平等に選択される。このため、有料道路の利用回数が抑制されることはなく、本来であれば、有料道路の利用料金支払のための移動体の停止という煩わしさをユーザに与えてしまう場合がありうる。しかるに「通常モード」が設定されるのは、移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有している場合である。従って、移動体が有する有料道路の利用料金の自動支払機能によってこの煩わしさが本来的に解消されている状態で、移動体を最短時間で目的位置まで案内し得る案内ルートを、ナビ装置を通じてユーザに把握させ得る。
【0022】
また、有料道路が優先道路として設定され、且つ、移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有しない場合「第1優先モード」に従って案内ルートが設定される。移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有していない場合、本来であれば、有料道路の利用料金支払のための移動体の停止という煩わしさをユーザに与えてしまう。しかるに、この場合、有料道路を一般道路に優先させる「第1優先モード」に応じて案内ルートが設定される。第1優先モードに応じて設定された案内ルートを構成する道路として、有料道路が一般道路よりも優先的に選択され得る。従って、結果的に有料道路及び一般道路の一方から他方への切替回数、ひいては有料道路の利用回数が抑制される。そして、有料道路の利用料金支払のための移動体の停止という煩わしさを軽減しながら、移動体が目的位置まで短時間で移動し得る案内ルートを、ナビ装置を通じてユーザに把握させ得る。
【0023】
さらに、一般道路が優先道路として設定された場合「第2優先モード」に従って案内ルートが設定される。第2優先モードに応じて設定された案内ルートを構成する道路として、一般道路が有料道路よりも優先的に選択され得る。従って、結果的に有料道路及び一般道路の一方から他方への切替回数、ひいては有料道路の利用回数が抑制される。そして、有料道路の利用料金支払のための移動体の停止という煩わしさを軽減しながら、移動体が目的位置まで短時間で移動し得る案内ルートを、ナビ装置を通じてユーザに把握させ得る。
【0024】
このように、本発明のナビ装置によれば、料金支払のための移動体停止という煩わしさを軽減しながら、移動体の目的位置までの移動時間短縮の観点から最適な案内ルートをユーザに把握させ得る。
【0025】
また、本発明のナビ装置は、案内ルート設定手段が、通常モードに応じて第2重み係数に対する第1重み係数の係数比を1が含まれる通常範囲内の値に設定し、第1優先モードに応じて係数比を通常範囲の下限値より小さい値に設定し、第2優先モードに応じて係数比を通常範囲の上限値より大きい値に設定した上で、第1重み係数と道路交通情報に含まれている有料道路の道路区分の移動所要時間との積を該有料道路の道路区分の移動時間として予測するとともに、第2重み係数と道路交通情報に含まれている一般道路の道路区分ごとの移動所要時間との積を該一般道路の道路区分の移動時間として予測することにより、移動体の目的位置までの移動時間を予測することを特徴とする。
【0026】
本発明のナビ装置によれば、案内ルート設定手段が「第1重み係数」と、道路交通情報に含まれる有料道路の道路区分の「移動所要時間」との積を、当該有料道路の道路区分の移動時間として予測する。また、案内ルート設定手段が「第2重み係数」と、道路交通情報に含まれる一般道路の道路区分の「移動所要時間」との積を、当該一般道路の道路区分の移動時間として予測する。さらに、案内ルート設定手段は、モード設定手段により設定されたモードに応じて第2重み係数に対する第1重み係数の係数比を設定する。
【0027】
具体的には「通常モード」に応じて、係数比は「1」が含まれる通常範囲内の値に設定される。これにより、通常モードにおける第1及び第2重み係数は同等又は略同等となる。従って、道路交通情報に含まれる道路区分の移動所要時間が同一であれば、有料道路の移動時間及び一般道路の予測時間は同等又は略同等なものと予測される。そして、予測移動時間が最短の案内ルートの設定という観点から「通常モード」に応じて設定される案内ルートを構成する道路として、有料道路及び一般道路が、そのうちの一方が他方に優先させられるということなく平等又は略平等に選択され得る。
【0028】
また「第1優先モード」に応じて係数比が通常範囲の下限値より小さい値に設定される。これにより、第1優先モードにおける第1重み係数は第2重み係数より小さくなる。従って、道路交通情報に含まれるそれぞれの道路区分の移動所要時間が同一であれば、有料道路の移動時間は一般道路の移動時間よりも短いものと予測される。そして、予測移動時間の短縮という観点から「第1優先モード」に応じて設定される案内ルートを構成する道路として、有料道路が一般道路よりも優先的に選択される傾向が強められる。
【0029】
さらに「第2優先モード」に応じて係数比が通常範囲の下限値より小さい値に設定される。これにより、第2優先モードにおける第1重み係数は第2重み係数より大きくなる。従って、道路交通情報に含まれるそれぞれの道路区分の移動所要時間が同一であれば、有料道路の移動時間は一般道路の移動時間よりも長いものと予測される。そして、予測移動時間の短縮という観点から「第2優先モード」に応じて設定される案内ルートを構成する道路として、一般道路が有料道路よりも優先的に選択される傾向が強められる。
【0030】
前記課題を解決するための本発明のナビサーバは、前記ナビ装置との通信により、移動体の現在位置及び目的位置を認識する位置認識手段と、位置認識手段により認識された該移動体の現在位置及び目的位置に基づいて対象エリアを設定するエリア設定手段と、エリア設定手段により設定された対象エリアに含まれる道路交通情報を、該ナビ装置との通信により前記道路交通情報認識手段に認識させる道路交通情報管理手段とを備えていることを特徴とする。
【0031】
本発明のナビサーバによれば、位置認識手段が、ナビ装置との通信により、移動体の現在位置及び目的位置を認識する。また、エリア設定手段が、位置認識手段により認識された移動体の現在位置及び目的位置に基づいて対象エリアを設定する。そして、道路交通情報管理手段が、エリア設定手段により設定された対象エリアに含まれる道路交通情報を、ナビ装置との通信により道路交通情報認識手段に認識させる。
【0032】
これにより、現在位置から目的位置までの移動体の予測移動時間が最短となる案内ルートの設定という観点から、移動体の現在位置及び目的位置に応じた対象エリアに基づき、ナビ装置の道路交通情報認識手段により認識される道路交通情報が適切に絞り込まれ得る。そして、案内ルート設定手段が案内ルートを設定する際の情報処理量を抑制し、且つ、その処理速度を増大させ得る。また、ナビ装置を通じて、前記のように料金支払のための移動体の停止というユーザの煩雑さの軽減、及び現在位置から目的位置までの移動体の短時間での移動の観点から最適な案内ルートをユーザに把握させ得る。
【0033】
また、本発明のナビサーバは、位置認識手段により認識された移動体の現在位置及び目的位置を結ぶルートを設定するルート設定手段を備え、エリア設定手段が、ルート設定手段により設定されたルートを含むエリアを対象エリアとして設定することを特徴とする。
【0034】
本発明のナビサーバによれば、現在位置から目的位置までの移動体の予測移動時間が最短となる案内ルートの設定という観点から、移動体の現在位置及び目的位置を結ぶルートに基づき、ナビ装置の道路交通情報認識手段により認識される道路交通情報が適切に絞り込まれ得る。そして、案内ルート設定手段が案内ルートを設定する際の情報処理量を抑制し、且つ、その処理速度を増大させ得る。また、ナビ装置を通じて、前記のように料金支払のための移動体の停止というユーザの煩雑さの軽減、及び現在位置から目的位置までの移動体の短時間での移動の観点から最適な案内ルートをユーザに把握させ得る。
【0035】
さらに、本発明のナビサーバは、前記ナビ装置との通信により、モード設定手段により設定されたモードを認識するモード認識手段を備え、ルート設定手段が、モード認識手段により認識されたモードに応じて移動体の現在位置から目的位置までのルートを設定することを特徴とする。
【0036】
本発明のナビサーバによれば、ナビ装置のモード設定手段により設定されたモードに従った現在位置から目的位置までの移動体の予測移動時間が最短となる案内ルートの設定という観点から、当該モードに基づき、ナビ装置の道路交通情報認識手段により認識される道路交通情報が適切に絞り込まれ得る。そして、案内ルート設定手段が案内ルートを設定する際の情報処理量を抑制し、且つ、その処理速度を増大させ得る。また、ナビ装置を通じて、前記のように料金支払のための移動体の停止というユーザの煩雑さの軽減、及び現在位置から目的位置までの移動体の短時間での移動の観点から最適な案内ルートをユーザに把握させ得る。
【0037】
前記課題を解決するための本発明のナビシステムは、移動体の案内ルートを表示する機能を備えたナビ装置と、道路交通情報を管理するナビサーバとにより構成されるナビシステムであって、ナビ装置が、移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有するか否かを判定する支払方式判定手段を備え、ナビ装置及びナビサーバのうち一方が、支払方式判定手段により移動体が該機能を有すると判定された場合、有料道路及び一般道路の両方が同等である通常モードを設定する一方、支払方式判定手段により移動体が該機能を有しないと判定された場合、有料道路及び一般道路のうち一方を他方に優先させる優先モードを設定するモード設定手段と、モード設定手段による設定モードに応じて、道路交通情報認識手段により認識された道路交通情報に基づいて予測される移動体の目的位置までの移動時間が最短となるルートを案内ルートとして設定する案内ルート設定手段とを備えていることを特徴とする。
【0038】
本発明のナビシステムによれば、料金支払のための移動体停止という煩わしさを軽減しながら、移動体の目的位置までの移動時間短縮の観点から最適な案内ルートを、ナビ装置を通じてユーザに把握させ得る。
【0039】
また、本発明のナビシステムは、ナビ装置及びナビサーバのうち一方が、有料道路及び一般道路のうち、ユーザにより選択された一方を優先道路として認識する優先道路認識手段を備え、モード設定手段が、優先道路認識手段により有料道路が優先道路として認識された場合、支払方式判定手段による判定結果に応じて通常モードを設定するか、又は有料道路を一般道路に優先させる優先モードを第1優先モードとして設定する一方、優先道路認識手段により一般道路が優先道路として認識された場合、一般道路を有料道路に優先させる優先モードを第2優先モードとして設定することを特徴とする。
【0040】
本発明のナビシステムによれば、移動体の有料道路及び一般道路のうちいずれを優先させるかというユーザの意思を反映させた上で、料金支払のための移動体停止という煩わしさを軽減しながら、移動体の目的位置までの移動時間短縮の観点から最適な案内ルートを、ナビ装置を通じてユーザに把握させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明のナビ装置、ナビサーバ、及びナビ装置とナビサーバとにより構成されるナビシステムの実施形態について、図面を用いて説明する。
【0042】
図1は本発明の一実施形態としてのナビ装置及びナビサーバの構成説明図であり、図2は本発明のナビ装置及びナビサーバの機能説明図であり、図3は本発明のナビ装置におけるモード設定手順の説明図であり、図4は道路状況の説明図であり、図5は通常モードに応じたルート及び対象エリアの説明図であり、図6は第1優先モードに応じたルート及び対象エリアの説明図であり、図7は第2優先モードに応じたルート及び対象エリアの説明図であり、図8は通常モードに応じた案内ルートの説明図であり、図9は第1優先モードに応じた案内ルートの説明図であり、図10は第2優先モードに応じた案内ルートの説明図である。
【0043】
まず、ナビ装置及びナビサーバの構成について図1を用いて説明する。
【0044】
図1に示すナビ装置100は、自動車(移動体)10に搭載され、ユーザによる目的位置等の設定用の操作ボタン102と、マップや案内ルートが表示されるモニタ104とを備えている。また、ナビ装置100は、位置認識ユニット110と、優先道路認識ユニット120と、支払方式判定ユニット130と、モード設定ユニット140と、道路交通情報認識ユニット150と、案内ルート設定ユニット160と、画像制御ユニット170とを備えている。各ユニットは、ハードウェアとしてのCPU、ROM、RAM、電子回路等を有するマイクロコンピュータ、及び当該マイクロコンピュータに目的に応じた情報処理機能を付与するソフトウェアにより構成されている。
【0045】
位置認識ユニット110は、必要に応じてGPSを利用し、ジャイロセンサ(図示略)の測定信号に基づき自動車10の現在位置PPを認識(測定)する(図4参照)。また、位置認識ユニット110は、操作ボタン102を通じてユーザにより設定された目的位置TPを認識する(図4参照)。
【0046】
優先道路認識ユニット120は、高速道路等の有料道路、及び一般道路のうち、操作ボタン102を通じてユーザにより選択された一方を優先道路として認識する。
【0047】
支払方式判定ユニット130は、自動車10が、有料道路の利用料金の自動支払機能を有するか否かを判定する。具体的には、支払方式判定ユニット130は、自動車10にETC装置11が搭載されている場合、クレジットカードやプリペイドカード等の課金カード12が挿入されたときにETC装置11が発する信号の検知有無に応じて当該機能の有無を判定する。
【0048】
モード設定ユニット140は、優先道路認識ユニット120により認識された優先道路、又は当該優先道路及び支払方式判定ユニット130による判定結果に基づいて後述のモードを設定する。
【0049】
道路交通情報認識ユニット150は、ナビサーバ200との通信に基づき、「道路交通情報」を認識する。
【0050】
案内ルート設定ユニット160は、モード設定ユニット140により設定されたモードに応じて、道路交通情報認識ユニット150により認識された道路交通情報に基づいて予測される移動体の目的位置までの移動時間が最短となるルートを「案内ルート」として設定する。
【0051】
画像制御ユニット170は、位置認識ユニット110により認識された現在位置及び目的位置や、案内ルート設定手段160により案内ルート等をモニタ104に表示させる。
【0052】
図1に示すナビサーバ200は、位置認識ユニット210と、モード認識ユニット220と、ルート設定ユニット230と、エリア設定ユニット240と、道路交通情報管理ユニット250とを備えている。各ユニットは、ハードウェアとしてのCPU、ROM、RAM、電子回路等を有するマイクロコンピュータ、及び当該マイクロコンピュータに目的に応じた情報処理機能を付与するソフトウェアにより構成されている。
【0053】
位置認識ユニット210は、ナビ装置100との通信により、位置認識ユニット110により認識された自動車10の現在位置PP及び目的位置TPを認識する。
【0054】
モード認識ユニット220は、ナビ装置100との通信により、モード設定ユニット140により設定されたモードを認識する。
【0055】
ルート設定ユニット230は、位置認識ユニット210により認識された自動車10の現在位置PP及び目的位置TPを結ぶルートを、モード認識ユニット220により認識されたモードに応じて設定する。
【0056】
エリア設定ユニット240は、複数のエリアのうち、ルート設定ユニット230により設定されたルートを含むエリアを「対象エリア」として設定する。
【0057】
道路交通情報管理ユニット250は、エリア設定ユニット240により設定された対象エリアに含まれる道路交通情報を、ナビ装置100との通信によりその道路交通情報認識ユニット150に認識させる。
【0058】
前記構成のナビ装置及びナビサーバの機能について図2〜図10を用いて説明する。
【0059】
位置認識ユニット110が必要に応じてGPSを利用し、ジャイロセンサ(図示略)の測定信号に基づき、自動車10の現在位置PPを認識するとともに、操作ボタン102を通じてユーザにより設定された目的位置TPを認識する(図2/S110、図4参照)。
【0060】
また、優先道路認識ユニット120が、有料道路及び一般道路のうち、操作ボタン102を通じてユーザにより選択された一方を「優先道路」として認識する(図2/S120)。
【0061】
さらに支払方式判定ユニット130が、自動車10が、有料道路の利用料金の自動支払機能を有するか否かを判定する(図2/S130)。具体的には、支払方式判定ユニット130は、自動車10にETC装置11が搭載されている場合、クレジットカードやプリペイドカード等の課金カード12が挿入されたときにETC装置11が発する信号の検知有無に応じて当該機能の有無を判定する。
【0062】
さらに、モード設定ユニット140が、優先道路認識ユニット120により認識された優先道路、又は当該優先道路及び支払方式判定ユニット130による判定結果に応じてモードを設定する(図2/S140)。
【0063】
具体的には、優先道路認識ユニット120により優先道路が「有料道路」であると認識され(図3/S141・・A)、且つ、支払方式判定ユニット130により自動車10が有料道路の利用料金の自動支払機能を「有する」と判定された場合(図3/S142・・YES)、有料道路及び一般道路の両方が同等である「通常モード」が設定される(図3/S143)。また、優先道路認識ユニット120により優先道路が「有料道路」であると認識され(図3/S141・・A)、且つ、支払方式判定ユニット130により自動車10が有料道路の利用料金の自動支払機能を「有しない」と判定された場合(図3/S142・・NO)、有料道路を一般道路に優先させる「第1優先モード」が設定される(図3/S144)。さらに優先道路認識ユニット120により優先道路が「一般道路」であると認識された場合(図3/S141・・B)、一般道路を有料道路に優先させる「第2優先モード」が設定される(図3/S145)。
【0064】
位置認識ユニット110により認識された現在位置PP及び目的位置TPを特定する位置情報がナビ装置100からナビサーバ200に送信され(図2/矢印A1)、位置認識ユニット210により認識される(図2/S210)。また、モード設定ユニット140により設定されたモードを特定するモード情報がナビ装置100からナビサーバ200に送信され(図2/矢印A2)、モード認識ユニット220により認識される(図2/S220)。位置情報及びモード情報とともに自動車10又はナビ装置100を識別するための識別子が、ナビ装置100からナビサーバ200に送信されることで、ナビサーバ200は、位置情報及びモード情報がどの自動車10又はナビ装置100から送信されてきたものであるかを判断する。
【0065】
さらに、ルート設定ユニット230が、モード認識ユニット220により認識されたモードに応じて、位置認識ユニット210により認識された自動車10の現在位置PP及び目的位置TPを結ぶルートを設定する。具体的には「通常モード」に応じて、有料道路及び一般道路のうち一方が他方に優先させられるということはなく平等にルートが設定される。また「第1優先モード」に応じて、有料道路を一般道路より優先させてルートが設定される。さらに「第2優先モード」に応じて、一般道路を有料道路より優先させてルートが設定される。
【0066】
例えば「通常モード」に応じて、図5に示されているように、現在位置PPから一般道路(破線)を経て位置P1に至り、位置P1から有料道路(実線)を経て位置P2に至り、位置P2から一般道路を経て位置P5に至り、位置P5から有料道路を経て位置P6に至り、位置P6から一般道路を経て目的位置TPに至るルートR1が設定される。また、同じく図5に示されているように、現在位置PPから一般道路を経て位置P1に至り、位置P1から有料道路を経て位置P3に至り、位置P3から一般道路を経て位置P4に至り、位置P4から有料道路を経て位置P6に至り、位置P6から一般道路を経て目的位置TPに至るルートR2が設定される。「通常モード」に応じて設定されるルートR1及びR2を構成する道路として、有料道路及び一般道路はそのうち一方が他方に優先させられるということなく平等に選択される。
【0067】
また「第1優先モード」に応じて、図6に示されているように、現在位置PPから一般道路(破線)を経て位置P1に至り、位置P1から有料道路(実線)を経て位置P6に至り、位置P6から一般道路を経て目的位置TPに至るルートRが設定される。「第1優先モード」に応じて設定されるルートRを構成する道路として、有料道路が一般道路よりも優先的に選択される。
【0068】
さらに「第2優先モード」に応じて、図7に示されているように、現在位置PPから一般道路(破線)を経て目的位置TPに至るルートR1及びR2が設定される。「第2優先モード」に応じて設定されるルートR1及びR2を構成する道路として、一般道路が有料道路よりも優先的に選択される。
【0069】
また、エリア設定ユニット240が、図5〜図7にそれぞれ示されているような複数の矩形状のメッシュのうち、ルート設定ユニット230により設定されたルートを含むメッシュ(図5〜図7の太枠で囲まれた部分参照)より構成されるエリアを対象エリアAとして設定する(図2/S240)。
【0070】
さらに、道路交通情報管理ユニット250が、エリア設定ユニット240により設定された対象エリアAに含まれる道路交通情報を、ナビサーバ200からナビ装置100に送信させる(図2/矢印A3)。この道路交通情報には、リンク(交差点により挟まれた道路区間)等の道路区分ごとの自動車10の予測移動時間が含まれている。これに応じて、道路交通情報認識ユニット150が当該道路交通情報を認識する(図2/S150)。道路交通情報管理ユニット250により管理される道路交通情報には、VICSセンター(図示略)から収集されたもののほか、道路を走行する自動車10との通信に基づいて当該自動車10の位置の時間変化を示す情報が収集された上で統計的に処理されることで作成されたものが含まれる。
【0071】
また、案内ルート設定ユニット160が、モード設定ユニット140により設定されたモードに応じて、道路交通情報認識ユニット150により認識された道路交通情報に基づく現在位置PPから目的位置TPまでの自動車10の予測移動時間を最短とするルートを「案内ルート」として設定する(図2/S160)。
【0072】
案内ルートの設定に際して、案内ルート設定ユニット160は、道路交通情報に含まれるリンクコスト、すなわちリンク(交差点等により画定される道路区分を意味する。)をその一端から他端まで自動車10が走行するのに要した時間に基づき、ルートの移動時間を予測する。この際、第1重み係数cと有料道路のリンクコストt1i(i=1,2,・・)との積がこの有料道路の当該リンクの移動時間として予測される。また、第2重み係数cと一般道路のリンクコストt2j(j=1,2,・・)との積がこの一般道路の当該リンクの移動時間として予測される。最終的に、ルートにおける目的位置TPまでの移動時間tは次式(1)に従って予測される。
【0073】
t=cΣ1i+cΣ2j ・・(1)
式(1)の右辺の第1項Σ1iは現在位置PPから目的位置TPまでのルートに含まれる有料道路のリンクのリンクコストの総和であり、第2項Σ2jはこのルートに含まれる一般道路のリンクのリンクコストの総和である。
【0074】
また、案内ルート設定ユニット160は、モード設定ユニット140による設定モードに応じて第2重み係数cに対する第1重み係数cの係数比r(=c/c)を設定する。具体的には「通常モード」に応じて係数比rは「1」等、通常範囲[1−ε,1+ε]内の値に設定される(例えばε=0.2、ε=0.25とされる)。また「第1優先モード」に応じて、係数比rは通常範囲の下限値1−εより小さい値(例えば「0.6」)に設定される。さらに「第2優先モード」に応じて、係数比rは通常範囲の上限値1+εより大きい値(例えば「1.67」)に設定される。
【0075】
そして、案内ルート設定ユニット160は、各モードに応じて、予測移動時間tが最短となるルートを「案内ルート」として設定する。
【0076】
具体的には「通常モード」に応じて係数比rが「1」等、通常範囲[1−ε,1+ε]内の値に設定される。これにより、第1重み係数cと第2重み係数cとは同等又は略同等となる。従って、リンクコストが同一であれば、当該リンクの移動時間は同等又は略同等なものと予測される。そして、予測移動時間が最短の案内ルートの設定という観点から、有料道路及び一般道路は案内ルートに含まれる道路として平等又は略平等に選択され得る。
【0077】
例えば、通常モード(図3/S143参照)に応じて、図8に示されているように、現在位置PPから一般道路(破線)を経て位置P1に至り、位置P1から有料道路(実線)を経て位置P3に至り、位置P3から一般道路を経て位置P4に至り、位置P4から有料道路を経て位置P5に至り、位置P5から一般道路を経て目的位置TPに至る案内ルートRRが設定される。通常モードに応じて設定された案内ルートRRには、有料道路及び一般道路がそれぞれ同程度含まれており、また、有料道路の利用回数は「2」である。これは、前記のように「通常モード」に応じて設定される案内ルートRRを構成する道路として、有料道路及び一般道路が平等又は略平等に選択されるためである。なお、図8に示されている案内ルートRRが、ナビサーバ200のルート設定ユニット230により設定された図5に示されているルートR1又はR2と一致する場合もある。
【0078】
また「第1優先モード」に応じて、係数比rが通常範囲の下限値1−εより小さい値に設定される。これにより、第1重み係数cは第2重み係数cより小さく設定される。従って、リンクコストが同一であれば、有料道路のリンクの移動時間は一般道路のリンクの移動時間よりも短いものと予測される。そして、予測移動時間の短縮という観点から「第1優先モード」に応じて設定される案内ルートRRを構成する道路として、有料道路が一般道路よりも優先的に選択される傾向が強められる。
【0079】
例えば、第1優先モード(図3/S144参照)に応じて、図9に示されているように、現在位置PPから一般道路(破線)を経て位置P1に至り、位置P1から有料道路(実線)を経て位置P5及びP6の中間位置P5’に至り、位置P5’から一般道路を経て目的位置TPに至る案内ルートRRが設定される。第1優先モードに応じて設定された案内ルートRRは主に有料道路により構成され、有料道路の利用回数は「1」である。これは、前記のように「第1優先モード」に応じて設定される案内ルートRRを構成する道路として、有料道路が一般道路よりも優先的に選択される傾向が強められるためである。但し、道路の開設状況によっては案内ルートに両端が有料道路に接続する一般道路が含まれたり、連続しているが異なる有料道路が含まれることで、有料道路の利用回数は「2」以上となり得る。なお、図9に示されている案内ルートRRが、ナビサーバ200のルート設定ユニット230により設定された図6に示されているルートRと一致する場合もある。
【0080】
さらに「第2優先モード」に応じて、係数比rが通常範囲の上限値より大きい値に設定されるので、第1重み係数cが第2重み係数cより大きく設定される。従って、リンクコストが同一であれば、有料道路のリンクの移動時間は一般道路のリンクの移動時間よりも長いものと予測される。そして、予測移動時間の短縮という観点から「第2優先モード」に応じて設定される案内ルートを構成する道路として、一般道路が有料道路よりも優先的に選択される傾向が強められる。
【0081】
例えば、第2優先モード(図3/S145参照)に応じて、図10に示されているように、現在位置PPから一般道路(破線)を経て目的位置TPに至る案内ルートRRが設定される。第2優先モードに応じて設定された案内ルートRRは全て一般道路により構成され、有料道路の利用回数は「0」である。これは、前記のように「第2優先モード」に応じて設定される案内ルートRRを構成する道路として、一般道路が有料道路よりも優先的に選択される傾向が強められるためである。但し、道路の開設状況によっては、第2優先モードに応じて設定された案内ルートRRに有料道路が若干含まれ、その利用回数が「1」以上になり得る。なお、図10に示されている案内ルートRRが、ナビサーバ200のルート設定ユニット230により設定された図7に示されているルートR1又はR2と一致する場合もある。
【0082】
そして、画像制御ユニット170が、図8〜図10にそれぞれ示されているような自動車10の現在位置PP及び目的位置TPや、案内ルートRRを含むマップをモニタ104に表示させる(図2/S170)。
【0083】
前記機能を発揮する本発明のナビ装置100によれば、有料道路が優先道路として設定され、且つ、ETC装置11による有料道路の利用料金の自動支払が可能である場合「通常モード」に従って案内ルートRRが設定される(図2/S130,S160、図3/S141,S142,S143、図8参照)。現在位置PPから目的位置TPまでの予測移動時間の短縮という観点から「通常モード」に従って設定された案内ルートRRを構成する道路として、有料道路及び一般道路はそれらのうち一方が他方に優先させられるということなく平等又は略平等に選択される。このため、有料道路の利用回数が抑制されることはなく、本来であれば有料道路の利用料金支払のための自動車10の停止という煩わしさをユーザに与えてしまう場合がありうる。しかるに「通常モード」が設定されるのは、自動車10が有料道路の利用料金の自動支払機能を有している場合である(図3/S142・・YES参照)。従って、自動車10が有する(ETC装置11による)有料道路の利用料金の自動支払機能によってこの煩わしさが本来的に解消されている状態で、自動車10を最短時間で現在位置PPから目的位置TPまで案内し得る案内ルートRRを、ナビ装置100を通じてユーザに把握させ得る(図8参照)。
【0084】
また、ETC装置11による有料道路の利用料金の自動支払が可能であれば、有料道路の利用回数ではなく走行距離に応じてその利用料金がユーザに課金されるというような場合、一般道路から有料道路への切替回数や、一の有料道路から他の有料道路への切替回数、すなわち有料道路の利用回数が多くなっても、有料道路の利用料金が過剰に増加することを回避しながら、自動車10が有料道路における交通渋滞に巻き込まれないように有料道路の中間に一般道路が介在する案内ルートRRや、一の有料道路から他の有料道路への切替を含む案内ルートRRを設定することができる。
【0085】
また、有料道路が優先道路として設定され、且つ、自動車10がETC装置11による有料道路の利用料金の自動支払機能を有しない場合「第1優先モード」に従って案内ルートRRが設定される(図2/S130,S160、図3/S141,S142,S144、図9参照)。自動車10が有料道路の利用料金の自動支払機能を有していない場合、本来であれば、有料道路の利用料金支払のための自動車10の停止という煩わしさをユーザに与えてしまう。しかるに、この場合、有料道路を一般道路に優先させる「第1優先モード」に応じて案内ルートRRが設定される。第1優先モードに応じて設定された案内ルートRRを構成する道路として、有料道路が一般道路よりも優先的に選択され得る。従って、結果的に有料道路及び一般道路の一方から他方への切替回数、ひいては有料道路の利用回数が抑制される。そして、有料道路の利用料金支払のための自動車10の停止という煩わしさを軽減しながら、自動車10が現在位置PPから目的位置TPまで短時間で移動し得る案内ルートRRを、ナビ装置100を通じてユーザに把握させ得る(図9参照)。
【0086】
さらに、一般道路が優先道路として設定された場合「第2優先モード」に従って案内ルートRRが設定される(図2/S130,S160、図3/S141,S145、図10参照)。第2優先モードに応じて設定された案内ルートRRを構成する道路として、一般道路が有料道路よりも優先的に選択され得る。従って、結果的に有料道路及び一般道路の一方から他方への切替回数、ひいては有料道路の利用回数が抑制される。そして、有料道路の利用料金支払のための自動車10の停止という煩わしさを軽減しながら、自動車10が現在位置PPから目的位置TPまで短時間で移動し得る案内ルートRRを、ナビ装置100を通じてユーザに把握させ得る(図10参照)。
【0087】
このように、本発明のナビ装置100によれば、料金支払のための自動車10の停止という煩わしさを軽減しながら、自動車10の現在位置PPから目的位置TPまでの移動時間短縮の観点から最適な案内ルートRRをユーザに把握させ得る(図8、図9、図10参照)。
【0088】
また、前記機能を発揮する本発明のナビサーバ200によれば、モードに応じて、自動車10の現在位置PP及び目的位置TPを結ぶルートR(R1,R2)が認識され、当該ルートを含む対象エリアAに含まれる道路交通情報のみがナビ装置100に送信される(図2/S210〜S240、矢印A3、図5〜図7参照)。
【0089】
これにより、設定モードに従って現在位置PPから目的位置TP間での自動車10の予測移動時間が最短となる案内ルートRRの設定という観点から、現在位置PP及び目的位置TPを結ぶルートR、このルートRを含む対象エリアA、及び当該設定モードに基づき、ナビ装置100の道路交通情報認識ユニット150により認識される道路交通情報が適切に絞り込まれ得る。そして、案内ルート設定ユニット160が案内ルートRRを設定する際の情報処理量を抑制し、且つ、その処理速度を増大させ得る。また、ナビ装置100を通じて、前記のように料金支払のための自動車10の停止というユーザのわずらわしさを軽減しながら、現在位置PPから目的位置TPまでの自動車10の移動時間短縮の観点から最適な案内ルートRRをユーザに把握させ得る。
【0090】
なお、前記実施形態ではナビ装置100においてモードが設定されたが(図2/S140、図3参照)、他の実施形態としてナビ装置100において認識された優先道路及び前記自動支払機能の有無が、当該ナビ装置100との通信によりナビサーバ200において認識された上で、このナビサーバ200においてモードが設定されてもよい。
【0091】
また、前記実施形態ではナビ装置100において案内ルートRRが設定されたが(図2/S160、図8〜図10参照)、他の実施形態としてナビサーバ200において案内ルートRRが設定され、このナビサーバ200との通信によりナビ装置100に当該案内ルートが認識された上で、そのモニタ104に表示されてもよい。
【0092】
前記実施形態では優先道路が有料道路である場合、自動支払機能の有無に応じて通常モード又は第1優先モードが設定されたが(図3参照)、他の実施形態として自動支払機能がない場合、優先道路が有料道路及び一般道路のいずれであるかに応じて第1優先モード又は第2優先モードが設定されてもよい。
【0093】
前記実施形態では自動車10における有料道路の利用料金の自動支払機能の有無が、自動車10に搭載されているETC装置11にカード12が挿入されたときにETC装置が発する信号の検知有無に応じて判定されたが、他の実施形態として自動車10における有料道路の利用料金の自動支払機能の有無が、自動支払方式に応じてさまざまな方式で判定されてもよい。例えば、ユーザが所有する携帯電話機やICチップが内蔵されたICカード等により、自動車10を停止させることなく有料道路の利用料金の自動支払が可能である場合、ナビ装置100がユーザがそのような携帯電話機やICカード等を有するか否かを検知することで、当該自動支払機能の有無を判定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態としてのナビ装置及びナビサーバの構成説明図
【図2】本発明のナビ装置及びナビサーバの機能説明図
【図3】本発明のナビ装置におけるモード設定手順の説明図
【図4】道路状況の説明図
【図5】通常モードに応じたルート及び対象エリアの説明図
【図6】第1優先モードに応じたルート及び対象エリアの説明図
【図7】第2優先モードに応じたルート及び対象エリアの説明図
【図8】通常モードに応じた案内ルートの説明図
【図9】第1優先モードに応じた案内ルートの説明図
【図10】第2優先モードに応じた案内ルートの説明図
【符号の説明】
【0095】
10‥自動車(移動体)、11‥ETC装置、12‥カード、100‥ナビ装置112‥操作ボタン、104‥モニタ、110‥位置認識ユニット、120‥優先道路認識ユニット、130支払方式判定ユニット、140‥モード設定ユニット、150‥道路交通情報認識ユニット、160‥案内ルート設定ユニット、170‥画像制御ユニット、200‥ナビサーバ、210‥位置認識ユニット、220‥モード認識ユニット、230‥ルート設定ユニット、240‥エリア設定ユニット、250‥道路交通情報認識ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の案内ルートを表示する機能を備えたナビ装置であって、
移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有するか否かを判定する支払方式判定手段と、
ナビサーバとの通信に基づき、道路交通情報を認識する道路交通情報認識手段と、
支払方式判定手段により移動体が該機能を有すると判定された場合、有料道路及び一般道路の両方が同等である通常モードを設定する一方、支払方式判定手段により移動体が該機能を有しないと判定された場合、有料道路及び一般道路のうち一方を他方に優先させる優先モードを設定するモード設定手段と、
モード設定手段による設定モードに応じて、道路交通情報認識手段により認識された道路交通情報に基づいて予測される移動体の目的位置までの移動時間が最短となるルートを案内ルートとして設定する案内ルート設定手段とを備えていることを特徴とするナビ装置。
【請求項2】
案内ルート設定手段が、通常モードに応じて第2重み係数に対する第1重み係数の係数比を1が含まれる通常範囲内の値に設定する一方、優先モードに応じて係数比を通常範囲から外れた値に設定した上で、第1重み係数と道路交通情報に含まれている有料道路の道路区分の移動所要時間との積を該有料道路の道路区分の移動時間として予測するとともに、第2重み係数と道路交通情報に含まれている一般道路の道路区分ごとの移動所要時間との積を該一般道路の道路区分の移動時間として予測することにより、移動体の目的位置までの移動時間を予測することを特徴とする請求項1記載のナビ装置。
【請求項3】
有料道路及び一般道路のうち、ユーザにより選択された一方を優先道路として認識する優先道路認識手段を備え、
モード設定手段が、優先道路認識手段により有料道路が優先道路として認識された場合、支払方式判定手段による判定結果に応じて通常モードを設定するか、又は有料道路を一般道路よりも優先させる第1優先モードを設定する一方、優先道路認識手段により一般道路が優先道路として認識された場合、一般道路を有料道路よりも優先させる第2優先モードを設定することを特徴とする請求項1記載のナビ装置。
【請求項4】
案内ルート設定手段が、通常モードに応じて第2重み係数に対する第1重み係数の係数比を1が含まれる通常範囲内の値に設定し、第1優先モードに応じて係数比を通常範囲の下限値より小さい値に設定し、第2優先モードに応じて係数比を通常範囲の上限値より大きい値に設定した上で、第1重み係数と道路交通情報に含まれている有料道路の道路区分の移動所要時間との積を該有料道路の道路区分の移動時間として予測するとともに、第2重み係数と道路交通情報に含まれている一般道路の道路区分ごとの移動所要時間との積を該一般道路の道路区分の移動時間として予測することにより、移動体の目的位置までの移動時間を予測することを特徴とする請求項3記載のナビ装置。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4記載のナビ装置との通信により、移動体の現在位置及び目的位置を認識する位置認識手段と、
位置認識手段により認識された該移動体の現在位置及び目的位置に基づいて対象エリアを設定するエリア設定手段と、
エリア設定手段により設定された対象エリアに含まれる道路交通情報を、該ナビ装置との通信により前記道路交通情報認識手段に認識させる道路交通情報管理手段とを備えていることを特徴とするナビサーバ。
【請求項6】
位置認識手段により認識された移動体の現在位置及び目的位置を結ぶルートを設定するルート設定手段を備え、
エリア設定手段が、ルート設定手段により設定されたルートを含むエリアを対象エリアとして設定することを特徴とする請求項5記載のナビサーバ。
【請求項7】
前記ナビ装置との通信により、モード設定手段により設定されたモードを認識するモード認識手段を備え、
ルート設定手段が、モード認識手段により認識されたモードに応じて移動体の現在位置から目的位置までのルートを設定することを特徴とする請求項6記載のナビサーバ。
【請求項8】
移動体の案内ルートを表示する機能を備えたナビ装置と、道路交通情報を管理するナビサーバとにより構成されるナビシステムであって、
ナビ装置が、移動体が有料道路の利用料金の自動支払機能を有するか否かを判定する支払方式判定手段を備え、
ナビ装置及びナビサーバのうち一方が、支払方式判定手段により移動体が該機能を有すると判定された場合、有料道路及び一般道路の両方が同等である通常モードを設定する一方、支払方式判定手段により移動体が該機能を有しないと判定された場合、有料道路及び一般道路のうち一方を他方に優先させる優先モードを設定するモード設定手段と、
モード設定手段による設定モードに応じて、ナビサーバにより管理されている道路交通情報に基づいて予測される移動体の目的位置までの移動時間が最短となるルートを案内ルートとして設定する案内ルート設定手段とを備えていることを特徴とするナビシステム。
【請求項9】
ナビ装置及びナビサーバのうち一方が、有料道路及び一般道路のうち、ユーザにより選択された一方を優先道路として認識する優先道路認識手段を備え、
モード設定手段が、優先道路認識手段により有料道路が優先道路として認識された場合、支払方式判定手段による判定結果に応じて通常モードを設定するか、又は有料道路を一般道路よりも優先させる優先モードを第1優先モードとして設定する一方、優先道路認識手段により一般道路が優先道路として認識された場合、一般道路を有料道路よりも優先させる優先モードを第2優先モードとして設定することを特徴とする請求項8記載のナビシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−10639(P2006−10639A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191659(P2004−191659)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】