説明

ネットワークカメラ異常検知及び通報方式

【課題】ネットワークカメラ異常検知及び通報システムを提供する。
【解決手段】ネットワークカメラ10で撮影した画像データを、IPネットワーク20を経由して画像解析装置30が受信する。直近の所定時間内に受信した複数の画像データから平均画像データを平均画像生成手段31bが生成し、画像データ比較手段31cによって画像の変化の度合いを算出し、変化の度合いが所定の閾値を超えた場合、異常検知・通報手段31dによって監視用端末50に通報が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視用のカメラ等に発生した故障や人為的に生じた異常を検知し通報する方式であって、特にネットワークカメラに適用するネットワークカメラ異常検知及び通報方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯システムとして固定カメラによる撮影画像によって監視を行うことで犯罪の抑止する監視カメラが用いられている。この監視カメラは使用されているアナログカメラを用いており、ビデオ信号を監視端末側に送信し、監視端末側で復号するものが多く、その故障や異常検知の手法として、チャンネルロスト(ビデオ信号ロスト)を検出した際、監視カメラに故障若しくは異常が生じたことを管理者、警備会社などに通報を行う方法が挙げられる。
【0003】
しかしながら、近年著しいTCP/IPネットワークの利用シーンの拡充により、監視カメラもネットワークカメラのようにTCP/IPネットワークに接続し、撮影画像または動画は閲覧可能な状態となってパーソナルコンピュータ等の監視端末に送信するものに置き換えられている。
【0004】
例えば特許文献1では、ネットワークカメラとセンサを用いた監視システムであって、センサによって監視対象の異常を検出し、異常データを画像データに重畳させて監視端末に送信し、監視端末にてデータを分離復号して監視端末にて表示及び異常通報を行う構成が開示されている。
【0005】
また、特許文献2では、ネットワークカメラにて映像の変化を異常として検知し、それを異常情報として映像データに付加して監視側へ送信し、付加された異常情報を監視側にアラームする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−354367号公報
【特許文献2】特開2005−268996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法では監視対象の故障は検知できるが、ネットワークカメラ自体の故障の検知はできず、また監視対象の周囲に不審物等が設置されたとしてもセンサが反応しなければ検知できない。
【0008】
また、特許文献2の方法では、映像に変化があった場合これを異常としてしまうため、例えば人や車の往来の激しい場所や時間帯によって明るさが異なる野外の監視には適さない。
【0009】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、適切に監視箇所の異常を検知し通報することができるネットワークカメラ異常検知及び通報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係るネットワークカメラ異常検知及び通報システムは、静止画または動画を撮影し画像データを作成するネットワークカメラと、該ネットワークカメラと通信可能に接続される画像解析装置と、該画像解析装置と通信可能に接続される監視用端末と、から構成されるネットワークカメラ異常検知及び通報システムであって、前記画像解析装置は、ネットワークカメラから送信される撮影画像を解析する画像解析手段と、該画像解析手段によって得られた撮影画像を蓄積する画像蓄積手段と、前記画像蓄積手段に蓄積される複数の撮影画像を画像比較単位(画像を部分的に比較する際の任意の単位)に分割し、画像比較単位毎の種々のパラメータの平均値の算出した全画像比較単位毎の平均値の集合データである平均画像データを生成する平均画像生成手段と、過去に該平均画像生成手段によって生成された平均画像データと、直近の所定時間内に得た画像データによって生成された平均画像データを、同じ画像比較単位同士で比較し、変化の度合いが所定の閾値を超えるかを判別する画像データ比較手段と、該画像データ比較手段が比較したデータの変化の度合いが所定の閾値を超えた場合、前記監視用端末に対して異常通知を行う異常検知・通報手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係るネットワークカメラ異常検知及び通報システムは、請求項1記載のネットワークカメラ異常検知及び通報システムにおいて、平均画像データを種々のパラメータで分類し蓄積する平均画像ライブラリを備え、前記画像解析手段は、所定の時間内に撮影された複数の画像データを画像比較単位毎に比較し、画像比較単位における変化の割合を算出し、変化の割合が所定の閾値を超えない場合、その時点の平均画像データを平均画像ライブラリに蓄積することを特徴とする。
【0012】
請求項3に係るネットワークカメラ異常検知及び通報システムは、請求項2記載のネットワークカメラ異常検知及び通報システムにおいて、前記平均画像ライブラリに蓄積された平均画像データは、所定の時間帯、所定の年月、所定の曜日、所定の季節ごとに分類されることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係るネットワークカメラ異常検知及び通報システムは、請求項1から3の何れか1項記載のネットワークカメラ異常検知及び通報システムにおいて、前記画像データ比較手段は、画像データの変化の度合いを算出し閾値との比較対象とする画像比較単位を、予め指定した画像比較単位に限定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のネットワークカメラ異常検知及び通報システムによれば、静止画または動画を撮影し画像データを作成するネットワークカメラと、該ネットワークカメラと通信可能に接続される画像解析装置と、該画像解析装置と通信可能に接続される監視用端末と、から構成されるネットワークカメラ異常検知及び通報システムであって、前記画像解析装置は、ネットワークカメラから送信される撮影画像を解析する画像解析手段と、該画像解析手段によって得られた撮影画像を蓄積する画像蓄積手段と、前記画像蓄積手段に蓄積される複数の撮影画像を画像比較単位(画像を部分的に比較する際の任意の単位)に分割し、画像比較単位毎の種々のパラメータの平均値の算出した全画像比較単位毎の平均値の集合データである平均画像データを生成する平均画像生成手段と、過去に該平均画像生成手段によって生成された平均画像データと、直近の所定時間内に得た画像データによって生成された平均画像データを、同じ画像比較単位同士で比較し、変化の度合いが所定の閾値を超えるかを判別する画像データ比較手段と、該画像データ比較手段が比較したデータの変化の度合いが所定の閾値を超えた場合、前記監視用端末に対して異常通知を行う異常検知・通報手段と、を備えるので、ネットワークカメラとの通信の遮断の他に、映像の変化の度合いを検知し、その度合いに応じたきめ細かな異常判定を行うことができる。
【0015】
請求項2記載のネットワークカメラ異常検知及び通報システムによれば、平均画像データを種々のパラメータで分類し蓄積する平均画像ライブラリを備え、前記画像解析手段は、所定の時間内に撮影された複数の画像データを画像比較単位毎に比較し、画像比較単位における変化の割合を算出し、変化の割合が所定の閾値を超えない場合、その時点の平均画像データを平均画像ライブラリに蓄積するので、現時点の撮影画像との比較対象となる平均画像データを、様々な条件ごとに分類し、ライブラリ化することにより、平均画像データの再利用性を向上させることができる。
【0016】
請求項3記載のネットワークカメラ異常検知及び通報システムによれば、前記平均画像ライブラリに蓄積された平均画像データは、所定の時間帯、所定の年月、所定の曜日、所定の季節ごとに分類されるので、比較する撮影画像の時刻や季節と合致する平均画像データを取得することが容易となる。
【0017】
請求項4記載のネットワークカメラ異常検知及び通報システムによれば、前記画像データ比較手段は、画像データの変化の度合いを算出し閾値との比較対象とする画像比較単位を、予め指定した画像比較単位に限定することを特徴とするので、特定の画像比較単位に相当する画像データを比較対象から外すことで、特定の画像比較単位に指定された画像の一部を比較対象として扱わないという設定が可能となり、例えば交通量の多い道路の監視カメラにおいて、画像の変動が大きい歩道及び車道を含む画像比較単位は比較対象外とする、といった設定を行うことで、誤検知を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例における、ネットワークカメラ異常検知及び通報システムのシステム構成を示すブロック図である。
【図2】同上、ネットワークカメラ異常検知及び通報システムにおける平均画像の生成方法を示す説明図である。
【図3】同上、ネットワークカメラ異常検知及び通報システムによって画像データのブロック分割を行い、画像の変化の度合いの取得動作を示す説明図である。
【図4】同上、ネットワークカメラ異常検知及び通報システムの動作を示すフローチャート図である。
【図5】同上、監視映像のブロック分割による異常検知の動作を示すフローチャート図である。
【図6】同上、監視映像のエリア指定による異常検知の動作を示すフローチャート図である。
【図7】同上、監視映像の画像全体による異常検知の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図1から図4を参照して説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反さない範囲で、実施例において説明した以外のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0020】
図1に基づいて、本実施例におけるネットワークカメラ異常検知及び通報システムの構成について説明する。1は、後述のネットワークカメラの撮影画像の解析を行うネットワークカメラ異常検知及び通報システムである。10は監視対象を画像または映像にて記録し、画像データまたは動画データを記録装置等に送信するネットワークカメラである。20はインターネット等のIPネットワークである。30は画像解析装置であり、ネットワークカメラ10にて撮影された画像データまたは動画データ(以降単に画像データと称呼する)を、IPネットワーク20を介して取得し解析を行うものである。40は画像蓄積装置であり、画像解析装置30で用いた画像データを蓄積するためのものである。50は監視用端末であり、画像解析装置30から送信される画像データと後述の平均画像ライブラリとの比較結果を表示し、ユーザがそれを閲覧することで監視を行うものである。
【0021】
画像解析装置30の構成を説明する。画像解析装置30は画像解析ソフトウェア31がインストールされている。画像解析ソフトウェア31は、ネットワークカメラ10から送信される画像データを解析し、画像データを画像比較単位に分割する画像解析手段31a、所定の時間内に撮影された画像比較単位に分割された画像データから画像比較単位毎の平均画像データを生成する平均画像生成手段31b、後述の平均画像ライブラリに蓄積された平均画像データと比較を行い、その変化の度合いを画像比較単位で解析する画像データ比較手段31c、画像データ比較手段31cによって解析された変化の度合いを閾値と比較し、比較結果に応じて後述の監視用端末などに通報を行う異常検知・通報手段31dから構成される。
【0022】
また、画像解析装置30は平均画像ライブラリ32を備えており、平均画像生成手段31bにて生成した平均画像データは、生成した季節、年月、時間帯、天候を判別できる分類情報を付して平均画像ライブラリ32に蓄積され、画像データ比較手段31dは、現在時刻及び現在の天候と分類情報が合致する平均画像データを取得し比較対象とする。また、動作ログを記録するログ記録装置33を備え、必要に応じてログの閲覧を行い、システムのメンテナンス等を行うことが可能である。
【0023】
画像解析装置30に送信された画像データは、解析が終わると全て画像蓄積装置40に送信され、画像蓄積用HDD41に保存される。
【0024】
画像解析装置30に送信された画像データは監視用端末50に転送され、監視用端末50の表示装置等に表示される。また、異常検知・通報手段31dにて異常ありと判別された場合は、通報情報も併せて送信され、監視用端末50にアラームする。
【0025】
続いて、平均画像データに基づく異常検知・通報手段31dの動作の一例について、図2に基づいて説明する。本説明では平均画像データは5分に1回生成されるものとする。図2において、平均画像1は10:00〜10:05の間において1分間隔で撮影された画像データから種々のパラメータ(輝度や色調、コントラスト等の画像データを構成する情報から1つ乃至複数を適宜選択したもの)を抽出し、その平均値を取った平均画像データを指す。平均画像2は10:05〜10:10、平均画像3は10:10〜10:15、平均画像4は10:15〜10:20において、平均画像1と同様にして得た平均画像データである。平均画像1、2及び3には、各々において1枚ずつ、微々たる違いの画像が含まれるが、5分間に撮影された画像データの平均をとった平均画像データを用いることで、これを異常と判定することが無くなる。しかしながら、平均画像4に該当する10:15〜10:20に撮影された画像は5枚の内4枚に大きな変化が起こっており、平均画像データを生成すると、平均画像1〜3と比較しても大きな変化が起きていることが分かり、これをエラー(異常)と判定することができる。このように、画像1つ1つによって判定すると大量のエラーが発生してしまい、小さなエラーの中に大きなエラーが埋没してしまう可能性があるが、平均画像データを生成し、これによって異常判定を行うことで、大きなエラーを確実に捉えることができる。
【0026】
続いて、画像解析手段31aによってブロック分割された画像データの、画像データ比較手段31cによる画像比較単位毎の画像データの比較について、図3に基づいて説明する。人物が右から左へ動いている状態をネットワークカメラ10が撮影した場合、図に示すように6枚の画像全体で、画像毎に比較をすると物体が少し動いただけで大きな変化となって現れてしまう。6枚の画像データを画像比較単位毎に平均することで、その変化の度合いを緩やかにし、物体が移動しただけであればそれを異常と検知することがなくなる。また、逆に画像の一部のみに結露があった場合など、画像全体に大きな変動は無いが一部分に致命的な障害が起きた場合、画像データ全体を比較すると画像の一部を覆う結露は大きな変動として検知されない場合があるが、画像比較単位に分割した場合、ほとんどのブロックに大きな変動がなくとも、結露した箇所は大きな変動があったとして検知することができる。
【0027】
本実施例におけるネットワークカメラ異常検知及び通報システム1は、所定の画像比較単位に分割してカメラの異常検知を行う画像比較単位検知、予め指定した座標の範囲内の画像比較単位の異常検知を行うエリア検知、カメラが撮影した映像全体で異常検知を行う全体検知の3種の検知モードの何れを用いるかを事前に設定し、当該設定に基づいて異常検知を行う。その動作について、図4に基づいて説明する。事前に設定した検知モードが画像比較単位検知モードであるか否かを判別し(S401)、画像比較単位検知モードの場合、後述する画像比較単位検知モードによる映像比較動作を行う(S402)。エリア検知モードの場合は(S403)、後述するエリア検知モードによる映像比較動作を行う(S404)。何れにも該当しない場合は全体検知モードによる映像比較動作を行う(S405)。
【0028】
続いて、画像比較単位検知モードの動作について図5に基づいて説明する。まずネットワークカメラから撮影した画像データeを受信する(S501)。予め設定された監視画像の検知時間内であるかを判別する(S502)。検知時間内である場合は、画像解析手段31aは受信した画像データをブロックに分割する(S503)。何れかの画像比較単位の画像の変化の度合いが所定の閾値を超えたかを判別する(S504)。閾値を超えた場合、当該画像データeを通報用画像データaとしてコピーする(S505)。直近(例えば5分間)の平均画像データ(平均画像データaaとする)を生成する(S506)。当該画像データを撮影したネットワークカメラ10のIDと、日時を元に平均画像ライブラリを検索し、該当する比較用の平均画像データ(平均画像データbbとする)を読み込む(S507)。画像データ比較手段31cによって平均画像データaaと平均画像データbbを分割した画像比較単位毎に比較する(S508)。何れかの画像比較単位において、画像の変化の度合いが所定の閾値を超えたかを判別する(S509)。閾値の超えた画像比較単位の数を計測する(S510)。閾値の超えた画像比較単位の位置を記録する(S511)。閾値を超えたブロック数とそれらの位置に基づき要因コードcを生成し、通報用画像データaの画像情報fとともにログに記録する(S512)。要因コードcとは、例えばブロック数が少なく、画面下方に閾値を超えたブロックが存在する場合は、置き忘れ、滞留物、不審物の設置を示すコードであり、画面上方ならばカメラの部分的な不具合や汚れを示すコードであり、また、画像比較単位の数が多い場合は監視妨害やレンズの故障といったコードとすることで、監視員が画像の詳細をチェックすることなく、通報の原因を大凡で把握することができる。続いて閾値を超えた画像比較単位の数が所定数を超えたかを判別する(S513)。所定数を超えている場合は、ネットワークカメラ10のカメラ情報d(カメラの設置場所やカメラ名、IPアドレス等)と、検知日時g、通報用画像データa、要因コードcを付加して監視端末50へ通報を行う(S514)。
【0029】
またS504にて画像比較単位に分割された画像データの変化の度合いが閾値を超えない場合は、前回画像比較単位に分割された画像において閾値を超える変化があった時刻から、所定の時間が経過したか否かを判別する(S515)。所定の時間が経過している場合、カメラ情報dと撮影日時hを付加し、新たな平均画像を生成する(S516)。生成した平均画像データを平均画像ライブラリに格納する(S517)。このとき、同一カメラ及び同一日時の平均画像が既にある場合は上書きを行う。ステップS502にて検知時間外である場合、またステップS515にて前回ブロック分割画像において閾値を超える変化があった時刻から、所定の時間が経過していない場合は、受信した画像データeを画像蓄積用HDD41に蓄積し、次の撮影画像の受信のために画像受信ポインタを1つ進める(S518)。
【0030】
続いて、エリア検知モードの動作について、図6に基づいて説明する。まずネットワークカメラから撮影した画像データeを受信する(S601)。予め設定された監視画像の検知時間内であるかを判別する(S602)。検知時間内である場合、予めユーザによって座標指定された矩形内や閉曲線等にて設定された指定エリア内の画像比較単位に所定の閾値を超えるような変化があるかを判別する(S603)。閾値を超えた場合、当該画像データeを通報用画像データaとしてコピーする(S604)。直近(例えば5分間)の平均画像データ(平均画像データaaとする)を生成する(S605)。当該画像データを撮影したネットワークカメラ10のIDと、日時を元に平均画像ライブラリを検索し、該当する比較用の平均画像データ(平均画像データbbとする)を読み込む(S606)。画像データeの指定エリアに該当する画像比較単位毎の各種パラメータと、平均画像データbbの指定エリアに該当する画像比較単位毎の各種パラメータを比較し、その変化の割合が所定の閾値を超えるか、変化の割合が閾値を超えた画像比較単位の実数が所定の閾値を超えたかを判別する(S607)。所定の閾値を超えている場合は当該画像情報fをログに記録し(S608)、ネットワークカメラ10のカメラ情報d(カメラの設置場所やカメラ名、IPアドレス等)と、検知日時g、通報用画像データa、要因コードcを付加して監視端末50へ通報を行う(S609)。
【0031】
またS603にて指定エリアの画像データの変化の度合いが閾値を超えない場合は、前回閾値を超える変化があった時刻から、所定の時間が経過したか否かを判別する(S610)。所定の時間が経過している場合、カメラ情報dと撮影日時hを付加し、新たな平均画像を生成する(S611)。生成した平均画像データを平均画像ライブラリに格納する(S612)。このとき、同一カメラ及び同一日時の平均画像が既にある場合は上書きを行う。ステップS602にて検知時間外である場合、またステップS607にて画像データの指定エリアにおいて閾値を超える変化があった前回の時刻から、所定の時間が経過していない場合は、受信した画像データeを画像蓄積用HDD41に蓄積し、次の撮影画像の受信のために画像受信ポインタを1つ進める(S613)。
【0032】
続いて、全体モードの動作について、図7に基づいて説明する。上記2モードと同様、ネットワークカメラから撮影した画像データeを受信し(S701)、予め設定された監視画像の検知時間内であるかを判別する(S702)。検知時間内である場合、画像全体に所定の閾値を超えるような変化があるかを判別する(S703)。閾値を超えた場合、当該画像データeを通報用画像データaとしてコピーする(S704)。直近の平均画像データaaを生成する(S705)。通報用画像データaを撮影したネットワークカメラ10のIDと、日時を元に平均画像ライブラリを検索し、該当する比較用の平均画像データ(平均画像データbbとする)を読み込む(S706)。通報用画像データaと平均画像データbbを比較し、変化の割合が閾値を超えるか否かを判別する(S707)。所定の閾値を超えている場合は当該画像情報fをログに記録し(S708)、ネットワークカメラ10のカメラ情報d(カメラの設置場所やカメラ名、IPアドレス等)と、検知日時g、通報用画像データa、要因コードcを付加して監視端末50へ通報を行う(S709)。
【0033】
上記した3つのモードにより、例えば、大凡の位置で監視対象を限定したい場合では画像比較単位モードを選択し、画像比較単位モードでは指定しにくい複雑な範囲の指定や、画像比較単位が画像データ全体に対して小さく、1つ1つの指定が煩雑になるような場合ははエリアモードにて行い、画像全体の異常を検出したい場合は全体モードで行うというような、監視対象となる映像の環境に併せて多様な異常検出方法を選択することができる。
【0034】
以上のような動作を行うネットワークカメラ異常検知及び通報システム1によれば、画像データを基準画像そのものと比較して判別するシステムと比較して、監視システムを適用する環境に対応するための設定を柔軟に行うことができ、検知すべきでない事象と検知すべき事象を厳格に定義することができ、画像の変化が激しい場所においても、画像の変化が乏しい場所においても誤検知を防止することができる。また、平均画像データをライブラリ化し、多用な分類によって管理することができるので、例えば同じ時間帯であっても季節によっては明るかったり暗かったりするが、ライブラリから同条件によって平均画像データを抽出することができ、誤検知の頻度を更に抑制することができる。
【0035】
以上、本発明の一実施例を詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば図3に示す画像データの画像比較単位の分割を6×6の36分割としたが、これに限定せず、1画素(ピクセル)毎に判別したい場合は画像比較単位を1画素にする等、分割数は適宜選択して用いればよい。画像データを1分ごとに撮影し、平均画像データを5分ごとに生成するとしたが、ネットワークカメラ異常検知及び通報システム1を適用する環境に応じて撮影間隔及び平均画像データの生成間隔を短くしても延ばしても何ら問題無い。また、平均画像ライブラリを用いて画像を比較し異常を検知する構成、画像データを画像比較単位に分割し画像を比較する構成は、各々単独でも発明として成立する。
【符号の説明】
【0036】
1 ネットワークカメラ異常検知及び通報システム
30 画像解析装置
31 画像解析ソフトウェア
31a 画像解析手段
31b 平均画像生成手段
31c 画像データ比較手段
31d 異常検知・通報手段
32 平均画像ライブラリ
33 ログ記憶装置
40 画像蓄積装置
41 画像蓄積用HDD(ハードディスクドライブ)
50 監視用端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止画または動画を撮影し画像データを作成するネットワークカメラと、
該ネットワークカメラと通信可能に接続される画像解析装置と、
該画像解析装置と通信可能に接続される監視用端末と、から構成されるネットワークカメラ異常検知及び通報システムであって、
前記画像解析装置は、ネットワークカメラから送信される撮影画像を解析する画像解析手段と、
該画像解析手段によって得られた撮影画像を蓄積する画像蓄積手段と、
前記画像蓄積手段に蓄積される複数の撮影画像を画像比較単位(画像を部分的に比較する際の任意の単位)に分割し、画像比較単位毎の種々のパラメータの平均値の算出した全画像比較単位毎の平均値の集合データである平均画像データを生成する平均画像生成手段と、
過去に該平均画像生成手段によって生成された平均画像データと、直近の所定時間内に得た画像データによって生成された平均画像データを、同じ画像比較単位同士で比較し、変化の度合いが所定の閾値を超えるかを判別する画像データ比較手段と、
該画像データ比較手段が比較したデータの変化の度合いが所定の閾値を超えた場合、前記監視用端末に対して異常通知を行う異常検知・通報手段と、を備えることを特徴とするネットワークカメラ異常検知及び通報システム。
【請求項2】
平均画像データを種々のパラメータで分類し蓄積する平均画像ライブラリを備え、前記画像解析手段は、所定の時間内に撮影された複数の画像データを画像比較単位毎に比較し、画像比較単位における変化の割合を算出し、変化の割合が所定の閾値を超えない場合、その時点の平均画像データを平均画像ライブラリに蓄積することを特徴とする請求項1記載のネットワークカメラ異常検知及び通報システム。
【請求項3】
前記平均画像ライブラリに蓄積された平均画像データは、所定の時間帯、所定の年月、所定の曜日、所定の季節、天候ごとに分類されることを特徴とする請求項2記載のネットワークカメラ異常検知及び通報システム。
【請求項4】
前記画像データ比較手段は、画像データの変化の度合いを算出し閾値との比較対象とする画像比較単位を、予め指定した画像比較単位に限定することを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のネットワークカメラ異常検知及び通報システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−259034(P2011−259034A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129288(P2010−129288)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000233491)株式会社日立システムズ (394)
【Fターム(参考)】