説明

ネットワークシステムおよびそれに向けられた無線通信端末

【課題】同一のネットワークに複数のコンテンツ再生装置が接続される場合であっても、ユーザに与える煩わしさを軽減可能なネットワークシステムおよびそれに向けられた無線通信端末を提供する。
【解決手段】コンテンツサーバ206は、外部ネットワーク200に接続された配信サーバからコンテンツデータをダウンロードして格納する。無線通信端末100は、ユーザ操作に応じて、コンテンツサーバ206に配信要求を送出する。この配信要求に応答して、コンテンツサーバ206は、特定のコンテンツデータをいずれかのコンテンツ再生装置に配信する。一方、無線通信端末100は、上記の配信要求に対応して、配信先のコンテンツ再生装置に制御指令を送出する。この制御指令に応答して、コンテンツ再生装置は、コンテンツサーバ206から配信されるコンテンツデータを再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はネットワークシステムおよびそれに向けられた無線通信端末に関し、特にネットワーク接続された他の再生装置をも対象にして、コンテンツデータの再生動作を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信技術の急速な発展に伴って、映像や音楽などのマルチメディアコンテンツを従来の記憶媒体(たとえば、CD−ROMやDVD−ROM)に代えて、ネットワーク経由で配信する形態(たとえば、ストリーミング配信)が注目を浴びている。このようなネットワーク配信によれば、従来の記憶媒体を用いる場合に比較して低コストかつ、常に最新のコンテンツを供給できるなどの利点がある。
【0003】
さらに進んだ形態としては、住宅内などに形成された宅内ネットワークに配置されたサーバが上記の配信されたマルチメディアコンテンツのデータ(以下、単に「コンテンツデータ」とも称す)を格納するとともに、当該宅内ネットワークに接続された複数のコンテンツ再生装置(以下、単に「再生装置」とも称す)が当該格納されたコンテンツデータを共用して利用(再生など)することも提案されている。
【0004】
このような宅内ネットワークを用いたシステムでは、コンテンツデータを楽しむユーザのスタイルに合わせて、さまざまな再生装置が設けられる。すなわち、テレビジョン装置やパーソナルコンピュータなどの有線接続された再生装置の他に、無線化された携帯型の再生装置なども用いられる。
【0005】
無線通信を用いて配信されたコンテンツデータを再生する携帯型の再生装置の一例として、特開2006−013906号公報(特許文献1)には、多種音源無線伝送システムが開示されている。また、特開2002−009903号公報(特許文献2)および特開平05−091169号公報(特許文献3)にも同様の携帯型の再生装置が開示されている。さらに、特開2002−300238号公報(特許文献4)には、携帯電話機・パソコン等の他装置と接続連携して相互連携動作が可能なポータブル電子装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−013906号公報
【特許文献2】特開2002−009903号公報
【特許文献3】特開平05−091169号公報
【特許文献4】特開2002−300238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような宅内ネットワークを用いたシステムでは、ユーザがコンテンツデータの内容などに応じて、複数の再生装置の中から好ましいものに随時切換えて使用するような態様が想定される。たとえば、語学学習などの音声は周囲の雑音を避けるために携帯型の再生装置を用いて再生する一方、コンサートなどの音楽はより臨場感を得られるスピーカシステムなどの再生装置を用いて再生するような使用形態が想定される。
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1〜4に開示される従来の構成によれば、複数の再生装置が存在する態様については開示されておらず、サーバと各再生装置との間のデータ伝送のみが考慮されていた。そのため、たとえば、ユーザがコンテンツデータを再生させる再生装置を切換える場合には、選択中の再生装置に対して再生停止を指示するとともに、切換え先の再生装置に対して再生を指示する必要があった。
【0008】
このように、従来の構成では、同一の宅内ネットワークに接続される再生装置が多くなるほど、ユーザの行なうべき操作が複雑化し、煩わしさを感じるという問題があった。
【0009】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、同一のネットワークに複数のコンテンツ再生装置が接続される場合であっても、ユーザに与える煩わしさを軽減可能なネットワークシステムおよびそれに向けられた無線通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に従えば、無線通信端末を含むネットワークシステムである。そして、この局面に従うネットワークシステムは、有線ネットワークと、無線信号を介して、無線通信端末を有線ネットワークに接続させるための無線中継器と、有線ネットワーク内に配置され、コンテンツデータを格納するサーバと、サーバから配信されるコンテンツデータに基づいて少なくとも音声信号を生成するとともに、当該音声信号をジャック部を介して外部出力するように構成された無線通信端末と、無線通信端末のジャック部と接続可能に形成され、音声信号に応じた音声を出力可能な音声出力装置と、サーバから配信されるコンテンツデータに基づいて、音声出力および視覚的表示の少なくとも一方が可能なコンテンツ再生装置とを備える。また、コンテンツ再生装置は、装置外部からの制御指令に応答して、サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第1ネットワーク再生部を含み、有線ネットワークは、外部ネットワークに接続可能に構成される。さらに、無線通信端末は、制御指令に応答して、サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第2ネットワーク再生部と、ユーザ操作に応じて、コンテンツデータの再生動作を指示するための制御指令を、第1および第2ネットワーク再生部に対して選択的に送出可能なネットワーク制御部と、インターネットプロトコル(IP)を用いて、外部ネットワークを介して接続される電話機との間で通話を行なうためのIP電話部と、第2ネットワーク再生部およびIP電話部と、ジャック部との間に配置され、第2ネットワーク再生部およびIP電話部の少なくとも一方からの信号をジャック部に導くための混合部とを含む。
【0011】
この発明によれば、無線通信端末に含まれるネットワーク制御部は、第1ネットワーク再生部を含むコンテンツ再生装置および第2ネットワーク再生部を含む無線通信端末のいずれに対しても、ユーザ操作に応じた制御指令を送出できる。これにより、ユーザは、無線通信端末を一元的に操作するだけで、無線通信端末およびコンテンツ再生装置におけるコンテンツ再生動作を制御できる。よって、同一のネットワークに複数のコンテンツ再生装置が接続される場合であっても、ユーザが各コンテンツ再生装置を直接的に操作する必要がないため、ユーザに与える煩わしさを軽減できる。
【0012】
この発明の別の局面に従えば、無線通信端末を含むネットワークシステムである。この局面に従うネットワークシステムは、有線ネットワークと、無線信号を介して、無線通信端末を有線ネットワークに接続させるための無線中継器と、有線ネットワーク内に配置され、コンテンツデータを格納するサーバと、サーバから配信されるコンテンツデータに基づいて少なくとも音声信号を生成するとともに、当該音声信号をジャック部を介して外部出力するように構成された無線通信端末と、サーバから配信されるコンテンツデータに基づいて、音声出力および視覚的表示の少なくとも一方が可能なコンテンツ再生装置とを備える。また、コンテンツ再生装置は、装置外部からの制御指令に応答して、サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第1ネットワーク再生部を含む。さらに、無線通信端末は、制御指令に応答して、サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第2ネットワーク再生部と、ユーザ操作に応じて、コンテンツデータの再生動作を指示するための制御指令を、第1および第2ネットワーク再生部に対して選択的に送出可能なネットワーク制御部とを含む。
【0013】
好ましくは、上記のネットワークシステムは、無線通信端末のジャック部と接続可能に形成され、音声信号に応じた音声を出力可能な音声出力装置をさらに備える。
【0014】
好ましくは、有線ネットワークは、外部ネットワークに接続可能に構成され、無線通信端末は、さらに、インターネットプロトコル(IP)を用いて、外部ネットワークを介して接続される相手先の電話機との間で通話を行なうためのIP電話部と、第2ネットワーク再生部およびIP電話部と、ジャック部との間に配置され、第2ネットワーク再生部およびIP電話部の少なくとも一方からの信号をジャック部に導くための混合部とを含む。
【0015】
好ましくは、ネットワークシステムは、無線通信端末のジャック部と接続可能に形成され、相手先の電話機に対して送話される音声を音声信号に変換するための音声入力装置をさらに備え、音声入力装置は、音声出力装置と共に、ジャック部を介してIP電話部と電気的に接続される。
【0016】
この発明のさらに別の局面に従えば、コンテンツデータを格納するサーバが配置された有線ネットワークに向けられた無線通信端末である。そして、有線ネットワークには、無線信号を介して、無線通信端末を有線ネットワークに接続させるための無線中継器と、サーバから配信されるコンテンツデータに基づいて、音声出力および視覚的表示の少なくとも一方が可能なコンテンツ再生装置とがさらに配置される。また、無線通信端末は、サーバから配信されるコンテンツデータに基づいて少なくとも音声信号を生成するとともに、当該音声信号をジャック部を介して外部出力するように構成され、コンテンツ再生装置は、装置外部からの制御指令に応答して、サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第1ネットワーク再生部を含む。さらに、この局面に従う無線通信端末は、制御指令に応答して、サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第2ネットワーク再生部と、ユーザ操作に応じて、コンテンツデータの選択および選択されたコンテンツデータの再生動作の少なくとも一方を指示するための制御指令を、第1および第2ネットワーク再生部に対して選択的に送出可能なネットワーク制御部とを含む。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、同一のネットワークに複数のコンテンツ再生装置が接続される場合であっても、ユーザに与える煩わしさを軽減可能なネットワークシステムおよびそれに向けられた無線通信端末を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に従うネットワークシステム1を含む全体構成を示す概略図である。
【0020】
図1を参照して、ネットワークシステム1は、宅内ネットワークHNと、無線通信端末100と、ヘッドセット102と、ゲートウェイ(GW)202と、アクセスポイント204と、コンテンツサーバ206と、スピーカ装置208と、テレビジョン装置210とを含む。
【0021】
宅内ネットワークHNは、導体ケーブルを介して各装置を相互接続するための有線ネットワークであり、一例として、イーサネット(登録商標)規格に従ってデータ伝送が実現される。
【0022】
ゲートウェイ202は、宅内ネットワークHNと外部ネットワーク200との間に配置され、宅内ネットワークHNから外部ネットワーク200へのアクセスを可能にする。
【0023】
アクセスポイント204は、その通信エリア内の無線通信装置を無線信号を介して、宅内ネットワークHNに接続させるための無線中継器である。すなわち、アクセスポイント204は、後述する無線通信端末100などを宅内ネットワークHNに接続するために、宅内ネットワークHNを流れるデータと無線信号とを相互に変換する。なお、アクセスポイント204と無線通信端末100との間で送受信される無線信号は、所定の規格に従って生成される。一例として、本実施例では、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.11a/b/g/n/jとして規定される無線LAN(Local Area Network)を用いる。なお、このような無線LANは、WiFi(登録商標)(Wireless Fidelity)などとも称される。さらに、無線LANに代えて、IEEE802.15.1として規定されるBluetooth(登録商標)、もしくはIEEE802.15.3aとして規定されるUMBなどを用いてもよい。
【0024】
コンテンツサーバ206は、宅内ネットワークHNに接続され、外部ネットワーク200に接続された配信サーバ(図示しない)からダウンロードしたコンテンツデータを格納するとともに、宅内ネットワークHN内の装置からの配信要求に応じて、格納したコンテンツデータを配信する。また、コンテンツサーバ206は、格納するコンテンツデータの内容などを示すコンテンツリストを格納するとともに、配信サーバ(図示しない)からコンテンツデータをダウンロードする際に、当該ダウンロードしたコンテンツデータの内容などに応じて、当該コンテンツリストを更新する。そして、コンテンツサーバ206は、無線通信端末100などからの要求に応答して、格納するコンテンツリストを配信する。一例として、コンテンツサーバ206は、パーソナルコンピュータやハードディスクレコーダなどにより構成される。
【0025】
スピーカ装置208は、宅内ネットワークHNに接続され、コンテンツサーバ206から配信されるコンテンツデータ(たとえば、音楽コンテンツや映像コンテンツの音声部分など)を再生し、当該コンテンツデータに基づいて音声出力を行なう。そして、スピーカ装置208は、装置外部からの制御指令に応じて、再生動作を制御可能に構成される。すなわち、スピーカ装置208は、コンテンツ再生装置である。
【0026】
テレビジョン装置210は、上述のスピーカ装置208と同様に、宅内ネットワークHNに接続され、コンテンツサーバ206から配信されるコンテンツデータ(たとえば、映像コンテンツなど)を再生し、当該コンテンツデータに基づいて視覚的表示(一例として、映像表示)および音声出力を行なう。そして、テレビジョン装置210は、装置外部からの制御指令に応じて、再生動作を制御可能に構成される。すなわち、テレビジョン装置210は、コンテンツ再生装置である。
【0027】
特に、本実施例では、後述するように、スピーカ装置208およびテレビジョン装置210は、無線通信端末100からの制御指令によって再生動作を制御される。
【0028】
無線通信端末100は、アクセスポイント204を介して宅内ネットワークHNに接続され、コンテンツサーバ206から配信されるコンテンツデータ(たとえば、音楽コンテンツや映像コンテンツなど)を再生し、当該コンテンツデータに基づいて音声信号を生成するとともに、当該音声信号をジャック部J1を介して外部出力する。すなわち、無線通信端末100は、ジャック部J1に差し込まれたヘッドセット102の一端に対して、音声信号を出力する。また、無線通信端末100は、当該コンテンツデータに基づく映像を表示可能であるとともに、ユーザの操作に係るGUI(Graphical User Interface)画面などを表示可能に構成される。
【0029】
ヘッドセット102は、音声信号に応じた音声を出力可能な音声出力装置(スピーカ部)と、ユーザが発する音声を音声信号に変換するための音声入力装置(マイク部)とからなる。そして、ヘッドセット102は、無線通信端末100のジャック部J1と接続可能に形成されたコネクタ部を有し、ジャック部J1を介して出力される音声信号に応じた音声を出力するとともに、音声入力装置で生成された音声信号をジャック部J1を介して無線通信端末100へ送出する。なお、ヘッドセット102に代えて、音声出力装置および音声入力装置をそれぞれ別個に設けてもよい。
【0030】
特に本実施例では、無線通信端末100は、ユーザ操作に応じて、自身におけるコンテンツデータの再生動作(たとえば、再生開始、再生停止、早送り、巻戻し、一時停止、音量調整など)を制御可能に構成されるとともに、スピーカ装置208およびテレビジョン装置210などに対しても、同様の制御を可能に構成される。すなわち、ユーザから見れば、無線通信端末100を用いることで、ヘッドセット102を装着してコンテンツデータを鑑賞できるとともに、スピーカ装置208やテレビジョン装置210などのコンテンツ再生を制御できる。これにより、ネットワークシステム1に含まれる複数のコンテンツ再生装置に対して、一元的な操作が可能となるので、ユーザに与える煩わしさを低減できる。
【0031】
一例として、ネットワークシステム1は、DLNA(登録商標)(Digital Living Network Alliance)が提唱するDLNA(登録商標)ガイドライン1.5に規定されるDMC(Digital Media Controller)およびDMR(Digital Media Renderer)によって実現される。
【0032】
図1を用いてデータの流れについて説明すると、コンテンツサーバ206は、外部ネットワーク200に接続された配信サーバ(図示しない)からコンテンツデータをダウンロードして格納する。無線通信端末100は、ユーザ操作に応じて、コンテンツサーバ206に配信要求を送出する。この配信要求には、コンテンツデータの特定情報や配信先などが含まれる。この配信要求に応答して、コンテンツサーバ206は、特定のコンテンツデータをいずれかのコンテンツ再生装置(無線通信端末100、スピーカ装置208およびテレビジョン装置210)に配信する。一方、無線通信端末100は、上記の配信要求に対応して、配信先のコンテンツ再生装置に制御指令を送出する。この制御指令には、再生動作などの指示が含まれる。この制御指令に応答して、コンテンツ再生装置は、コンテンツサーバ206から配信されるコンテンツデータを再生する。
【0033】
さらに、無線通信端末100は、インターネットプロトコル(IP)を用いて、外部ネットワーク200を介して接続される相手先の電話機214との間で通話を可能に構成される。すなわち、ユーザは、無線通信端末100を操作して相手先の電話番号を入力するとともに、ヘッドセット102を用いて通話を行なう。なお、インターネットプロトコルを用いた通話技術は、VoIP(Voice over Internet Protocol)と称され、通話に係る音声(送話音声および受話音声)はパケット化して伝送される。
【0034】
相手先の電話機214は、外部ネットワーク200に接続されるIP電話機でもよく、また外部ネットワーク200に接続される交換機などを経由して接続される従来の電話機であってもよい。
【0035】
さらに、本実施例に従うネットワークシステム1では、公知の携帯型プレイヤー212を設けることもできる。携帯型プレイヤー212は、ユーザ操作に応じてコンテンツサーバ206に対して配信要求を送出するとともに、コンテンツサーバ206から配信されるコンテンツデータを再生可能に構成される。なお、携帯型プレイヤー212は、自身でコンテンツデータを再生する機能を有するのみであり、他のコンテンツ再生装置の再生動作を制御することはできない。
【0036】
図2は、無線通信端末100の概略構成図である。
図2を参照して、無線通信端末100は、送受信部2と、IP電話部4と、ネットワーク再生部6、ネットワーク制御部8と、操作入力部10と、混合部12と、表示部14と、ジャック部J1とを含む。
【0037】
送受信部2は、IP電話部4、ネットワーク再生部6およびネットワーク制御部8と接続され、無線信号を用いて、アクセスポイント204との間でデータの送受信を行なう。具体的には、送受信部2は、入力されるデータを変調して無線信号(5GHz帯や2.4GHz帯など)を発信するとともに、受信する無線信号を復調してデータを生成する。
【0038】
ネットワーク再生部6は、ネットワーク制御部8から与えられる制御指令に応答して、コンテンツサーバ206(図1)から配信されるコンテンツデータを再生し、その結果得られる音声信号および映像信号を混合部12へ出力する。すなわち、ネットワーク再生部6は、上述のDMR機能を実現する。具体的には、ネットワーク再生部6は、コンテンツデータをデコードするためのデコード部、デコードされた後のデジタルデータからアナログ信号に変換するアナログ・デジタル変換部、およびアナログ・デジタル変換部から出力されるアナログ信号を増幅する増幅部などが含まれる。
【0039】
ネットワーク制御部8は、操作入力部10から与えられる操作信号に応じて、制御指令を生成し、ネットワーク制御部8、もしくはスピーカ装置208やテレビジョン装置210へ送出する。すなわち、ネットワーク制御部8は、上述のDMC機能を実現する。
【0040】
IP電話部4は、IP電話に係る機能を実現する部位であり、操作入力部10から与えられる操作信号に応じて、電話発信に係る制御処理(呼出処理および着信処理など)を実行する。また、相手先との通話中には、IP電話部4は、送受信部2を介して受信されるデータパケットから受話音声を生成して混合部12へ出力するとともに、混合部12から出力される送話音声をデータパケットに変換して送受信部2を介して送信する。
【0041】
操作入力部10は、ユーザ操作を受付けるユーザインターフェイスとして機能し、無線通信端末100本体の表面などに設けられる。一例として、操作入力部10は、キーボタンなどで構成してもよく、もしくは表示部14に設けられたタッチパネルやタッチペンなどで構成してもよい。
【0042】
混合部12は、IP電話部4およびネットワーク再生部6と、表示部14およびジャック部J1との間に配置され、各々の部位との間で入出力される信号に対して、混合、分離、選択などの処理を実行する。具体的には、混合部12は、操作入力部10からの操作信号に応じて、IP電話部4およびネットワーク再生部6から出力される音声信号の一方を選択的に、もしくは混合してジャック部J1へ導く。また、混合部12は、ヘッドセット102からジャック部J1を介して入力される音声信号をIP電話部4へ導く。さらに、混合部12は、ネットワーク再生部6から出力される映像信号を表示部14へ導く。
【0043】
表示部14は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などで構成され、混合部12から出力される映像信号に従って、視覚的表示を行なう。
【0044】
ジャック部J1は、混合部12と電気的に接続され、混合部12とヘッドセット102との間で音声信号の授受を仲介する。なお、本実施例では、ジャック部J1は、少なくとも2回線を有するコネクタ形状であり、ヘッドセット102へ向かう音声信号、およびヘッドセット102から無線通信端末100へ向かう音声信号をそれぞれ独立に導通させる。
【0045】
図3は、スピーカ装置208の概略構成図である。
図3を参照して、スピーカ装置208は、通信インターフェイス30と、ネットワーク再生部32と、増幅部34と、スピーカ部36とを含む。
【0046】
通信インターフェイス30は、宅内ネットワークHNに接続され、宅内ネットワークHN上を流れるデータパケットを受信してネットワーク再生部32へ与えるとともに、ネットワーク再生部32からのデータを宅内ネットワークHNを介して、宛先の装置へ送出する。
【0047】
ネットワーク再生部32は、無線通信端末100(図1,図2)からの制御指令に応答して、コンテンツサーバ206(図1)から配信されるコンテンツデータを再生し、その結果得られる音声信号を増幅部34へ出力する。すなわち、ネットワーク再生部32は、上述のDMR機能を実現する。なお、ネットワーク再生部32から出力される音声信号は、アナログ信号である。
【0048】
増幅部34は、ネットワーク再生部32から出力される音声信号を増幅し、増幅後の音声信号でスピーカ部36を駆動する。
【0049】
スピーカ部36は、増幅部34からの音声信号に応じた音声を発生する。具体的には、スピーカ部36は、増幅部34から与えられる音声信号に応じて振動する振動板(たとえば、コーン紙)を含んで構成され、当該振動板の振動により空気振動を生じさせることで、音声を発生する。
【0050】
また、テレビジョン装置210(図1)は、ネットワーク再生部32から出力される音声信号に代えて映像信号に応じた映像表示を行なう点を除いて、スピーカ装置208と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0051】
上述のように、スピーカ装置208およびテレビジョン装置210は、無線通信端末100のようにネットワーク制御部8を備える必要はない。すなわち、スピーカ装置208およびテレビジョン装置210は、無線通信端末100によってその再生動作を制御される。以下、図4を用いて、再生動作の制御に係る各部位間のシーケンス処理について詳述する。
【0052】
図4は、この発明の実施の形態に従う再生動作の制御に係るシーケンス図である。
図4を参照して、コンテンツを再生する目的で、ユーザが無線通信端末100を操作すると、無線通信端末100のネットワーク制御部8は、コンテンツリスト要求をコンテンツサーバ206へ送出する(SQ10)。このコンテンツリスト要求に応答して、コンテンツサーバ206は、自身が格納するコンテンツデータの内容などを示すコンテンツリストをネットワーク制御部8へ送出する(SQ12)。コンテンツリストを受信した無線通信端末100は、当該コンテンツリストを表示部14上などに表示し、ユーザによる選択を待つ。ユーザは、無線通信端末100を操作して、再生するコンテンツの選択および使用する再生装置などを決定する(選択動作)。すると、無線通信端末100のネットワーク制御部8は、コンテンツサーバ206に対して、選択されたコンテンツデータを選択された再生装置に向けて配信するための配信要求を送出する(SQ14)。同時に、無線通信端末100のネットワーク制御部8は、決定された再生装置(無線通信端末100自身を含む)に向けてコンテンツデータの再生指示を送出する(SQ16)。
【0053】
配信要求に応答して、コンテンツサーバ206は、特定のコンテンツデータの配信を開始する(SQ18)。一方、再生指示に応答して、決定された再生装置のネットワーク再生部32(もしくはネットワーク再生部6)は、配信されるコンテンツデータの再生を開始する。このように、コンテンツデータの再生が行なわれる。
【0054】
上述の本実施例と特許請求の範囲との関係については、宅内ネットワークHNが「有線ネットワーク」に相当し、アクセスポイント204が「無線中継器」に相当し、コンテンツサーバ206が「サーバ」が相当し、無線通信端末100が「無線通信端末」に相当し、ヘッドセット102が「音声出力装置」に相当し、スピーカ装置208およびテレビジョン装置210が「コンテンツ再生装置」に相当し、ネットワーク再生部32が「第1ネットワーク再生部」に相当し、ネットワーク再生部6が「第2ネットワーク再生部」に相当し、ネットワーク制御部8が「ネットワーク制御部」に相当し、IP電話部4が「IP電話部」に相当し、混合部12が「混合部」に相当する。
【0055】
この発明の実施の形態によれば、無線通信端末100に含まれるネットワーク制御部8は、ネットワーク再生部32を含むスピーカ装置208およびネットワーク再生部6を含む無線通信端末100のいずれに対しても、ユーザ操作に応じた制御指令を送出できる。これにより、ユーザは、無線通信端末100を一元的に操作するだけで、無線通信端末100およびスピーカ装置208などにおけるコンテンツ再生動作を制御できる。よって、同一の宅内ネットワークHNに複数のコンテンツ再生装置が接続される場合であっても、ユーザが各コンテンツ再生装置を直接的に操作する必要がないため、ユーザに与える煩わしさを軽減できる。
【0056】
また、この発明の実施の形態によれば、無線通信端末100に対して、任意のヘッドホン、ヘッドセットおよびイヤホーンを装着することができるので、ユーザは、その使用形態に応じて、音質、重量、デザイン、フィット感などの面から最適なものを自由に選択して使用することができ、汎用性が高い。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に従うネットワークシステムを含む全体構成を示す概略図である。
【図2】無線通信端末の概略構成図である。
【図3】スピーカ装置の概略構成図である。
【図4】この発明の実施の形態に従う再生動作の制御に係るシーケンス図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ネットワークシステム、2 送受信部、4 IP電話部、6 ネットワーク再生部、8 ネットワーク制御部、10 操作入力部、12 混合部、14 表示部、30 通信インターフェイス、32 ネットワーク再生部、34 増幅部、36 スピーカ部、100 無線通信端末、102 ヘッドセット、200 外部ネットワーク、202 ゲートウェイ(GW)、204 アクセスポイント、206 コンテンツサーバ、208 スピーカ装置、210 テレビジョン装置、212 携帯型プレイヤー、214 電話機、HN 宅内ネットワーク、J1 ジャック部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末を含むネットワークシステムであって、
有線ネットワークと、
無線信号を介して、前記無線通信端末を前記有線ネットワークに接続させるための無線中継器と、
前記有線ネットワーク内に配置され、コンテンツデータを格納するサーバと、
前記サーバから配信される前記コンテンツデータに基づいて少なくとも音声信号を生成するとともに、当該音声信号をジャック部を介して外部出力するように構成された前記無線通信端末と、
前記無線通信端末の前記ジャック部と接続可能に形成され、前記音声信号に応じた音声を出力可能な音声出力装置と、
前記サーバから配信される前記コンテンツデータに基づいて、音声出力および視覚的表示の少なくとも一方が可能なコンテンツ再生装置とを備え、
前記コンテンツ再生装置は、装置外部からの制御指令に応答して、前記サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第1ネットワーク再生部を含み、
前記有線ネットワークは、外部ネットワークに接続可能に構成され、
前記無線通信端末は、
制御指令に応答して、前記サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第2ネットワーク再生部と、
ユーザ操作に応じて、コンテンツデータの再生動作を指示するための制御指令を、前記第1および第2ネットワーク再生部に対して選択的に送出可能なネットワーク制御部と、
インターネットプロトコル(IP)を用いて、前記外部ネットワークを介して接続される電話機との間で通話を行なうためのIP電話部と、
前記第2ネットワーク再生部および前記IP電話部と、前記ジャック部との間に配置され、前記第2ネットワーク再生部および前記IP電話部の少なくとも一方からの信号を前記ジャック部に導くための混合部とを含む、ネットワークシステム。
【請求項2】
無線通信端末を含むネットワークシステムであって、
有線ネットワークと、
無線信号を介して、前記無線通信端末を前記有線ネットワークに接続させるための無線中継器と、
前記有線ネットワーク内に配置され、コンテンツデータを格納するサーバと、
前記サーバから配信される前記コンテンツデータに基づいて少なくとも音声信号を生成するとともに、当該音声信号をジャック部を介して外部出力するように構成された前記無線通信端末と、
前記サーバから配信される前記コンテンツデータに基づいて、音声出力および視覚的表示の少なくとも一方が可能なコンテンツ再生装置とを備え、
前記コンテンツ再生装置は、装置外部からの制御指令に応答して、前記サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第1ネットワーク再生部を含み、
前記無線通信端末は、
制御指令に応答して、前記サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第2ネットワーク再生部と、
ユーザ操作に応じて、コンテンツデータの再生動作を指示するための制御指令を、前記第1および第2ネットワーク再生部に対して選択的に送出可能なネットワーク制御部とを含む、ネットワークシステム。
【請求項3】
前記無線通信端末の前記ジャック部と接続可能に形成され、前記音声信号に応じた音声を出力可能な音声出力装置をさらに備える、請求項2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記有線ネットワークは、外部ネットワークに接続可能に構成され、
前記無線通信端末は、さらに、
インターネットプロトコル(IP)を用いて、前記外部ネットワークを介して接続される相手先の電話機との間で通話を行なうためのIP電話部と、
前記第2ネットワーク再生部および前記IP電話部と、前記ジャック部との間に配置され、前記第2ネットワーク再生部および前記IP電話部の少なくとも一方からの信号を前記ジャック部に導くための混合部とを含む、請求項2または3に記載のネットワークシステム。
【請求項5】
前記ネットワークシステムは、前記無線通信端末の前記ジャック部と接続可能に形成され、前記相手先の電話機に対して送話される音声を音声信号に変換するための音声入力装置をさらに備え、
前記音声入力装置は、前記音声出力装置と共に、前記ジャック部を介して前記IP電話部と電気的に接続される、請求項4に記載のネットワークシステム。
【請求項6】
コンテンツデータを格納するサーバが配置された有線ネットワークに向けられた無線通信端末であって、
前記有線ネットワークには、
無線信号を介して、前記無線通信端末を前記有線ネットワークに接続させるための無線中継器と、
前記サーバから配信される前記コンテンツデータに基づいて、音声出力および視覚的表示の少なくとも一方が可能なコンテンツ再生装置とがさらに配置され、
前記無線通信端末は、前記サーバから配信される前記コンテンツデータに基づいて少なくとも音声信号を生成するとともに、当該音声信号をジャック部を介して外部出力するように構成され、
前記コンテンツ再生装置は、装置外部からの制御指令に応答して、前記サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第1ネットワーク再生部を含み、
前記無線通信端末は、
制御指令に応答して、前記サーバ内の特定のコンテンツデータを再生する第2ネットワーク再生部と、
ユーザ操作に応じて、前記コンテンツデータの選択および選択されたコンテンツデータの再生動作の少なくとも一方を指示するための制御指令を、前記第1および第2ネットワーク再生部に対して選択的に送出可能なネットワーク制御部とを含む、無線通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−166979(P2008−166979A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352308(P2006−352308)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】