説明

ネットワーク複合機

【課題】ネットワーク複合機への移動回数を減らして作業効率を上げるとともに、ユーザが任意の場所でプリント出力を入手することが可能なネットワーク複合機を提供する。
【解決手段】ユーザが印刷機器指定のコピー機能実行を指示すると、LCD表示部にネットワーク接続機器の一覧リストが表示される(ステップ301)。このリストからいずれかの機器を指定すると、読取部にセットされた原稿が読み取られ、符号圧縮処理された後、画像メモリに記憶される(ステップ304、305)。次に、読み取った原稿の原稿サイズ、解像度情報をPJLに変換したデータと画像データをTIFF形式に変換したデータとがPDLデータに変換され、記憶される(ステップ306)。そして、全ての原稿が読み取られると、PDLデータが指定された外部印刷機器に転送され(ステップ308)、プリント処理が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能等を備え、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)などの外部装置とLANなどの通信ネットワークを介して接続されるネットワーク複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク複合機は固有のアドレスを付与することによってネットワークが利用できるようにしたものであり、本来のコピー機能、ファクシミリ機能等に加えて、通信ネットワークを介して接続されたパソコン等から送られる画像情報を他のファクシミリ装置へ送信する機能、その画像情報をプリントアウトするプリンタ機能等を備えている。
【0003】
このようなネットワーク複合機において、他のファクシミリ装置へパソコンからの画像情報を伝送する場合、パソコンからプリンタに送られるページ記述言語(PDL)で表された画像データと宛先情報(送信相手先のファクシミリ番号)などが盛り込まれたプリントジョブ言語(PJL)データとを通信データとしてパソコンから入力し、そのPDLデータを送信相手先のファクシミリ装置の能力に応じたイメージデータに変換し、変換したイメージデータを送信することが一般的である。
【0004】
また、パソコンを使用して原稿をスキャンする場合は、原稿をネットワーク複合機にセットした後、パソコンが備えるスキャナ装置ユーティリティソフトを使用してスキャン実行を指示し、ネットワーク複合機により読み取られた画像データをパソコンに転送するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年のオフィス環境では、数多くのパソコンが導入されているが、このような環境において、プリンタやネットワーク複合機はパソコンと同数存在することは少なく、例えば、1台のプリンタやネットワーク複合機を複数のユーザがパソコン等を介して共有することが多い。このような場合、各ユーザが作業するパソコンが設置された席と、プリンタやネットワーク複合機の設置場所とが離れている場合がある。
【0006】
また、ネットワーク複合機に依頼する処理の内容によっては、ユーザによるパソコンでの作業と、パソコンから離れた場所に設置されたネットワーク複合機の場所まで移動して行う作業とが存在する場合がある。
例えば、パソコン等からネットワーク複合機を使用して原稿をスキャンする場合、ユーザはパソコン上でスキャン機能を起動した後、ネットワーク複合機が設置された場所まで移動して原稿をセットし、パソコンに戻って読み込み処理を実行し、再びネットワーク複合機の場所まで移動して原稿を回収する等、パソコンとネットワーク複合機との間をたびたび往復しなければならないという問題があった。
【0007】
また、このように、あるユーザがネットワーク複合機のスキャン機能を使用し、自席とネットワーク複合機の間を往復している間、他のユーザはこのネットワーク複合機のコピー機能やスキャナ機能を使用することができず、効率が悪いという問題もあった。
【0008】
一方、自席から離れた場所にあるネットワーク複合機でコピーを行う場合、自席からネットワーク複合機の設置してある場所まで移動して、コピーを実施しなければならないとともに、コピー枚数が多い場合には、コピーが完了するまでその場所で待機しなければならず、また、その間他のユーザがネットワーク複合機を使用できない、という問題があった。
また、コピーの完了後、コピー済みの用紙を自席等のネットワーク複合機から遠く離れた場所まで運ばなくてはならない場合、コピー部数が多いと、持ち運びに苦労するという、問題もあった。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、パソコン等の外部装置とネットワーク複合機との間の移動回数を減らし、作業効率を上げるとともに、ユーザが任意の場所でプリント出力を入手することが可能なネットワーク複合機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、請求項1に係る発明のネットワーク複合機は、画像管理情報を記憶する画像管理情報記憶手段と、画像読取手段と、画像蓄積手段と、画像記録手段と、上記各部を制御する制御手段とを備えた通信ネットワークに接続可能なネットワーク複合機であって、スキャン実行指示があったとき、上記制御手段がセットされた原稿を上記画像読取手段により読み取り、読み取った画像データを上記画像蓄積手段に蓄積するとともに、蓄積画像データの管理情報を上記画像管理情報記憶手段に記憶し、上記通信ネットワークに接続された外部機器から蓄積画像情報の要求があったとき、上記制御手段が上記蓄積画像データの管理情報を上記外部機器に送信することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る発明のネットワーク複合機は、請求項1に記載のネットワーク複合機において、画像データをPDLデータに変換するPDL変換手段を備え、上記外部機器から画像管理情報に基づいて蓄積画像のプリント指示があったとき、上記制御手段が上記画像記憶手段に蓄積された画像を上記PDL変換手段によりPDLデータに変換して出力することを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項3に係る発明のネットワーク複合機は、画像読取手段と、画像蓄積手段と、画像データをPDLデータに変換するPDL変換手段と、表示・操作部と、上記各部を制御する制御手段とを備えた通信ネットワークに接続可能なネットワーク複合機であって、上記制御手段が上記表示・操作部に上記通信ネットワークに接続された外部機器の一覧を表示し、上記一覧で外部印刷機器を指定したコピー実行指示があったとき、上記制御手段が上記画像読取手段により読み取った画像データを上記PDL変換手段によりPDLデータに変換した後、上記指定された外部印刷機器に転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明のネットワーク複合機によれば、スキャン実行指示があったとき、画像読取手段により読み取られた画像データが画像蓄積手段に蓄積され、通信ネットワークに接続された外部機器からの蓄積画像情報要求により、蓄積画像データの管理情報が外部機器に送信されるので、ユーザはネットワーク複合機にセットした原稿のスキャンが終了すれば、その場を離れ、自席のパソコンからスキャン画像の処理を行うことが可能となるので、自席とネットワーク複合機の間をなんども往復する必要がなくなり、作業効率が向上するとともに、スキャンが終了すれば、他のユーザがネットワーク複合機を使用することができるので、ネットワーク複合機の使用効率を高めることが可能となる。
【0014】
また、請求項2に係る発明のネットワーク複合機によれば、外部機器から画像管理情報に基づいて蓄積画像のプリント指示を行なえば、画像記憶手段に蓄積された画像がPDLデータに変換されて出力されるので、ネットワーク複合機の設置場所まで移動することなく、プリントされた用紙を任意の場所で入手することが可能となる。
【0015】
さらに、請求項3に係る発明のネットワーク複合機によれば、表示・操作部に通信ネットワークに接続された外部機器の一覧が表示されるので、コピーの出力機器を容易に選択することができるとともに、この一覧で選択した外部印刷機器を指定してコピー実行を指示すると、画像読取手段により読み取られた画像データがPDLデータに変換されて選択した外部印刷機器に転送されるので、ネットワーク複合機の設置場所から離れた場所、例えば、自席近くのプリンタからプリントされた用紙を入手することができ、プリント用紙の運搬作業を減らすことができる。
また、プリント処理が他の機器で行なわれるので、ユーザは原稿の読み取りが完了すれば、自席に戻ることができ、作業効率が向上するとともに、他のユーザがネットワーク複合機を使用可能な状態になるので、ネットワーク複合機の使用効率を高めることもできる。
【実施例】
【0016】
以下、本発明のネットワーク複合機の実施例について、図面を用いて説明する。図1はネットワーク複合機を備えたシステムのネットワーク構成例を示す図であり、図2はネットワーク複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すネットワーク構成図において、1はネットワーク複合機、2、3、・・・はパソコン、4はプリンタ、5はファクシミリ装置(FAX)、6はコピー機、7は公衆交換電話網(PSTN)、8はLAN(Local Area Network)である。ネットワーク複合機1はコピーモード、スキャナモード、ファクスモードの各機能を備え、PSTN7及びLAN8に接続されており、このLAN8にパソコン2、3、・・・等の複数のパソコン及びプリンタ4、FAX5やコピー機6が接続されている。
【0018】
図2はネットワーク複合機1の制御系の構成を示す概略ブロック図であり、図に示すように、ネットワーク複合機1はCPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、表示・操作部14、読取部15、画像メモリ16、記録部17、コーデック18、PDL変換部19、PDLデータ記憶部20、HTML変換部21、モデム22、ネットワーク制御ユニットNCU23及びLANインターフェース(I/F)24から構成され、各部がバス25を介して接続されている。
【0019】
CPU11はバス25を介してネットワーク複合機1のハードウェア各部を制御するとともに、ROM12に記憶されたプログラムに基づいて各種のプログラムを実行し、ROM12はネットワーク複合機の動作に必要な種々のプログラムや操作メッセージ及びホームページファイル等を予め記憶している。また、RAM13はSRAM等で構成され、プログラムの実行時に発生する一時的なデータや短縮ダイヤル等のダイヤル情報、通信管理情報を記憶するとともに、画像メモリ16に蓄積される画像の画像管理情報を記憶する蓄積画像情報記憶領域26を有している。
【0020】
表示・操作部14は、ネットワーク複合機の動作状態を表示したり、種々の機能の操作画面の表示を行う表示部と、ネットワーク複合機を操作するための複数のキーよりなり、図3に示すように、表示部を構成するLCD表示部31と多数の操作キーから構成されている。LCD表示部31には、タッチパネルスイッチが配設され、LCD表示部31に表示された項目部分を押下することで、対応する項目の選択や機能の実行を行うことができる。また、操作キーとして、テンキー32、スタートキー33、リセットキー34、ストップキー35、複数のワンタッチダイヤルキー36、十字キー37、リターンキー38、セットキー39、FAX切替キー40、コピー切替キー41、スキャナ切替キー42等の各種キーが設けられている。なお、LCD表示部31によりこれらの操作キーの一部又は全部を代用することも可能である。
【0021】
読取部15はオートドキュメントフィーダー(ADF)やフラットベッドスキャナ(FBS)等の読取り用原稿載置台を備え、CCD等を利用したスキャナで原稿を読み取り、白黒2値に変換したドットイメージデータを出力する。また、画像メモリ16は、DRAM等を用いて構成され、送信すべきイメージデータまたは受信したイメージデータあるいは読取部15で読み取ったイメージデータを記憶し、記録部17は電子写真方式等のプリンタ装置を備え、受信したデータ、コピー原稿データあるいは外部のパソコンから送信されたプリントデータをプリントアウトする。
【0022】
コーデック18は所定のプロトコルに対応して符号化・復号するものであり、読み取った原稿の画像データを送信するためにMH、MRまたはMMR方式により符号化し、外部から受信した画像データを復号するとともに、電子メールに添付可能なファイルとして一般的に利用される画像フォーマットであるTIFF方式等にも対応して符号化、復号する。
【0023】
PDL変換部19は読取部15で読み取った画像の原稿サイズ、解像度情報をPJLに変換したデータ及び読み取った画像データをTIFF形式又はランレングスのデータに変換したデータを受け取ってPDLデータに変換し、PDLデータ記憶部20はPDL変換部19で作成されたPDLデータを記憶する。また、HTML変換部21はネットワーク複合機1の通信管理情報、蓄積画像管理情報等の情報をHTML(Hyper Text Markup Language)形式のファイルに変換するものである。
【0024】
また、モデム22はバス25に接続されており、ファクシミリ通信が可能なファクスモデムとしての機能を有し、このモデム22は同様にバス25に接続されたNCU23と接続されている。NCU23はアナログ回線の閉結及び開放の動作を行うハードウェアであり、必要に応じてモデム22をPSTN7に接続する。
さらに、LAN I/F24はLAN8に接続され、外部のパソコンからのデータをLAN8を介して受信する一方、LAN8に対して信号やデータを送信するものであり、信号変換やプロトコル変換などのインターフェース処理を実行する。
【0025】
ネットワーク複合機は上記のような構成を備えており、ファクシミリ送信時には、原稿の画像データが読取部15で読み取られ、コーデック18で圧縮されて画像メモリ16に蓄積される。この圧縮された画像データが画像メモリ16から読み出されてモデム22で変調され、NCU23からPSTN7を通して通信相手先に送信される。また、ファクシミリ受信時には、受信した画像データがモデム22で復調され、画像メモリ16に蓄積された後、コーデック18で復号されて記録部17により印刷される。
【0026】
このネットワーク複合機1では、スキャナ機能を実行する場合、原稿のスキャンデータを画像メモリ16に蓄積し、外部パソコンからスキャンデータの処理を行うことができ、以下、スキャン機能を実行する場合のネットワーク複合機1の作用について、図4、図5のフローチャートにより説明する。
【0027】
ユーザが表示・操作部14のスキャナ切替キー42を押下し、原稿を読取部15の原稿載置台にセットした後、スタートキー33を押下すると、ネットワーク複合機1のCPU11は、図4のフローチャートに示すスキャンプログラムを実行する。このプログラムを開始すると、CPU11は読取部15にセットされた原稿を読取部15で読み取り、読み取った画像データをコーデック18で符号圧縮処理した(ステップ101)後、圧縮した画像データを画像メモリ16に記憶する(ステップ102)。
【0028】
次に、CPU11は、読取部15で読み取った、画像データの原稿サイズ、解像度情報、画像メモリ16でのアドレス、ファイル名等の画像管理データをRAM13の蓄積画像情報記憶領域26に記憶する(ステップ103)。
なお、ファイル名としては、画像読取年月日や時間など重複しない情報を利用することにより、例えば、「04070101」等のファイル名を自動的に作成するようにする。
【0029】
次に、CPU11は、読取部15に未だ読み取っていない原稿があるか否かを判定し(ステップ104)、未だ読み取っていない原稿がある場合には、ステップ101に戻って次の原稿の読み取り処理を行う。一方、ステップ104において、読取部15にセットされた全ての原稿を読み取ったと判定した場合には、CPU11はプログラムを終了する。
【0030】
次に、ユーザがパソコンからネットワーク複合機に蓄積されたスキャン画像にアクセスする場合のネットワーク複合機の作用を図5のフローチャートにより説明する。
ユーザがWWWブラウザを起動し、パソコン2の表示部(図示せず)に表示されたWWWブラウザ画面において、ネットワーク複合機1のIPアドレスを指定してアクセスを行うと、ネットワーク複合機1のCPU11がこれを検知し、図5のフローチャートに示すプログラムを開始する。
【0031】
このプログラムを開始すると、CPU11は、まず、ROM12からHTMLで記述されたホームページファイルを読出し、LAN I/F24、LAN8を介してパソコン2に転送する(ステップ201)。
これにより、パソコン2の表示部に図6に示すようなネットワーク複合機の管理情報選択画面が表示される。この画面には、図に示すように、ダイヤル情報、通信管理情報、装置設定情報、蓄積画像管理情報を指定するメニューが表示されているので、ユーザはいずれかのメニューをクリックすることにより所望の情報をネットワーク複合機1に要求することができる。
【0032】
ホームページ情報を転送すると、CPU11はパソコン2から情報転送の要求があったか否かを判定し(ステップ202)、情報転送要求があった場合には、CPU11はその情報転送要求が蓄積画像情報の転送要求か否かを判定する(ステップ203)。情報転送要求が蓄積画像情報転送要求でないと判定した場合には、CPU11は要求された情報の転送処理を行う(ステップ204)。
【0033】
一方、情報転送要求が蓄積画像情報転送要求であると判定した場合には、CPU11はRAM13の蓄積画像情報記憶領域26から蓄積画像のファイル名を読出してHTML変換部21に入力し、HTML変換部21によりHTMLデータに変換された画像ファイル情報をLAN I/F24、LAN8を介してパソコン2に転送する(ステップ205)。
【0034】
これにより、パソコン2のWWWブラウザ画面に図7に示すような、蓄積画像情報が表示される。図に示すように、この画面の左欄にはネットワーク複合機1の画像メモリ16に蓄積されている画像のファイル名が表示されるので、任意のファイル名を指定した後、「OK」欄をクリックすることにより処理する画像の情報をネットワーク複合機1に送信することができる。また、この画面の右欄には、指定した画像の処理内容、例えば、転送処理とプリント処理が表示されており、いずれかの処理を選択することができる。そして、プリント処理欄の下に設けられた出力機器指定欄に出力機器の名前を入力することができ、この欄への入力がない場合には、ネットワーク複合機1の記録部17によりプリント処理が行われる。
なお、出力機器指定欄の右側のプルダウンメニューをクリックすることにより、図8に示すようにLAN8に接続されたネットワーク機器の一覧が表示されるので、この中からプリント出力機器を選択することも可能である。
【0035】
画像ファイル情報を転送した後、CPU11は、パソコン2から画像指定があったか否かを判定しており(ステップ206)、画像指定があったと判定した場合には、CPU11は画像指定画面でプリント指示があったか否かを判定する(ステップ207)。プリント指示がなかったと判定した場合には、CPU11は指定された画像のファイル名の画像データの画像メモリ16でのアドレスに基づいて画像メモリ16から指定された画像データを読み出し、コーデック18によりビットマップ形式のデータに変換してパソコン2に転送する(ステップ208)。
【0036】
一方、ステップ207でプリント指示があったと判定した場合には、CPU11は、指定された画像データの原稿サイズ、解像度情報をRAM13から読み出してPJLに変換してPDL変換部19に送るとともに、画像メモリ16から読み出した指定された画像データをコーデック18によりTIFF形式又はランレングスのデータに変換してPDL変換部19に送る(ステップ209)。これにより、指定された画像データがPDL変換部19によって上記PJLデータとともにPDLデータに変換され、変換されたPDLデータがPDLデータ記憶部20に記憶される。
【0037】
PDLデータへの変換が完了すると、CPU11はこのPDLデータ記憶部20に記憶されたPDLデータを、図7の出力機器欄で指定された機器、例えば、プリンタ4に出力し(ステップ210)、プリンタ4においてプリント処理が実行される。
【0038】
このように、ネットワーク複合機でスキャンした原稿画像がネットワーク複合機内の画像メモリに保存され、ユーザは自席のパソコンからスキャン画像の処理を行うことができるので、自席とナットワーク複合機の間を何度も往復する必要がなく、作業効率を向上することができる。
また、プリント処理を行う場合、指定した画像のPDLデータがネットワーク複合機1の記録部やユーザの自席の近くに設置されているプリンタに送られるので、プリントされた用紙を任意の場所で入手することが可能となる。
【0039】
なお、上記の実施例では、ネットワーク複合機の表示・操作部からスキャン実行の指示を行なったが、外部のパソコンからスキャン実行指示を行うようにすることも可能である。
また、図6に示す実施例では、ネットワーク複合機の管理情報選択画面に、ダイヤル情報、通信管理情報、装置設定情報、蓄積画像管理情報を指定するメニューを表示するようにしたが、その他の管理情報のメニューを表示するようにすることもできる。
【0040】
さらに、上記の実施例では、ユーザがパソコンの表示部にネットワーク複合機の管理情報選択画面を表示させる場合に、WWWブラウザ画面において、ネットワーク複合機1のIPアドレスを指定するようにしたが、ネットワーク複合機1に割当てられたURLを指定して管理情報選択画面を表示させるようにすることも可能である。
【0041】
次に、このネットワーク複合機1を使用して原稿をコピーし、ネットワーク複合機以外の装置でプリント処理を行う場合の作用を図9のフローチャートにより説明する。
ユーザが原稿をネットワーク複合機1の読取部15の原稿載置台にセットした後、表示・操作部14のコピー切替キー41を押下し、表示・操作部14のLCD表示部31で印刷機器指定のコピー機能実行を指示すると、CPU11は図9のフローチャートに示す機器指定コピープログラムを開始する。このプログラムを開始すると、CPU11は、まず、LCD表示部31に図10に示すように、LAN8に接続され、SMBプロトコルをサポートしているプリンタ4、FAX5、コピー機6等のネットワーク接続機器の一覧リストを表示する(ステップ301)。なお、SMBプロトコルはファイル共有プロトコルの1つであり、SMB共有フォルダは、SMBを採用した、書き込み可能なアクセス権が設定され、ネットワーク上で公開される。
【0042】
次に、CPU11はユーザによってLCD表示部31に表示された機器のいずれかが押下されたか否かを判別することにより、出力機器が指定されたか否かを判定する(ステップ302)。そして、ユーザが図10の表示画面の一覧リストのいずれかの機器、例えば、プリンタa(プリンタ4)の欄を押下すると、CPU11はユーザにより指定された機器、ずなわち、プリンタ4を指定機器としてRAM13に記憶する(ステップ303)。この後、CPU11は読取部15にセットされた原稿を読取部15で読み取り、読み取った画像データをコーデック18で符号圧縮処理した(ステップ304)後、圧縮した画像データを画像メモリ16に記憶する(ステップ305)。
【0043】
次に、CPU11は、読み取った原稿の原稿サイズ、解像度情報をPJLに変換してPDL変換部19に送るとともに、画像メモリ16に記憶されている画像データをコーデック18によりTIFF形式又はランレングスのデータに変換してPDL変換部19に送る。これにより、読み取られた画像データがPDL変換部19によって上記PJLデータとともにPDLデータに変換され、変換されたPDLデータがPDLデータ記憶部20に記憶される(ステップ306)。
【0044】
PDLデータへの変換が完了すると、CPU11は読取部15に未だ読み取っていない原稿があるか否かを判定し(ステップ307)、未だ読み取っていない原稿がある場合には、ステップ304に戻り、次の原稿の読み取り、PDLデータへの変換を行う。
一方、ステップ307で全ての原稿を読み取ったと判定した場合には、CPU11はPDLデータ記憶部20に記憶されているPDLデータをステップ303で指定された機器、すなわち、プリンタ4に転送し(ステップ108)、プリンタ4でプリント処理が行われる。
【0045】
以上のように、ネットワーク複合機で読み取られた原稿のPDLデータが指定された外部印刷機器に送られるので、プリントされた用紙を任意の場所、例えば、ユーザの近くに設置されているプリンタから入手することが可能となる。
また、原稿の読み取りが完了すれば、ユーザは自席に戻ることができるので、作業効率が向上するとともに、プリント処理が他の機器で行なわれるので、他のユーザがネットワーク複合機を使用可能な状態になり、ネットワーク複合機の使用効率を高めることができる。
【0046】
なお、上記の実施例では、全ての原稿の読み取りが完了した後、PDLデータを外部印刷機器に転送したが、1ページの原稿の読み取りの終了ごとに読み取った画像データをPDLデータに変換して外部印刷機器に転送することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ネットワーク複合機を備えたシステムのネットワーク構成例を示す図である。
【図2】本発明のネットワーク複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】ネットワーク複合機の操作パネルを示す図である。
【図4】スキャン機能を実行する場合のネットワーク複合機の作用を示すフローチャートである。
【図5】パソコンからスキャン画像にアクセスした場合のネットワーク複合機の作用を示すフローチャートである。
【図6】パソコンの表示部に表示されるネットワーク複合機の管理情報選択画面の一例を示す図である。
【図7】パソコンの表示部に表示される蓄積画像情報表示画面の一例を示す図である。
【図8】図7の表示画面において、ネットワーク接続機器の一覧を表示させた状態を示す図である。
【図9】原稿をコピーし、ネットワーク複合機以外の装置でプリント処理を行う場合の作用を示すフローチャートである。
【図10】ネットワーク接続機器の一覧リストを表示する画面を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 ネットワーク複合機
2、3 パソコン
4 プリンタ
5 FAX
6 コピー機
7 PSTN
8 LAN
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 表示・操作部
15 読取部
16 画像メモリ
17 記録部
18 コーデック
19 PDL変換部
20 PDLデータ記憶部
21 HTML変換部
22 モデム
23 NCU
24 LAN I/F
25 バス
26 蓄積画像情報記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像管理情報を記憶する画像管理情報記憶手段と、画像読取手段と、画像蓄積手段と、画像記録手段と、上記各部を制御する制御手段とを備えた通信ネットワークに接続可能なネットワーク複合機であって、スキャン実行指示があったとき、上記制御手段がセットされた原稿を上記画像読取手段により読み取り、読み取った画像データを上記画像蓄積手段に蓄積するとともに、蓄積画像データの管理情報を上記画像管理情報記憶手段に記憶し、上記通信ネットワークに接続された外部機器から蓄積画像情報の要求があったとき、上記制御手段が上記蓄積画像データの管理情報を上記外部機器に送信することを特徴とするネットワーク複合機。
【請求項2】
請求項1に記載されたネットワーク複合機において、画像データをPDLデータに変換するPDL変換手段を備え、上記外部機器から画像管理情報に基づいて蓄積画像のプリント指示があったとき、上記制御手段が上記画像記憶手段に蓄積された画像を上記PDL変換手段によりPDLデータに変換して出力することを特徴とするネットワーク複合機。
【請求項3】
画像読取手段と、画像蓄積手段と、画像データをPDLデータに変換するPDL変換手段と、表示・操作部と、上記各部を制御する制御手段とを備えた通信ネットワークに接続可能なネットワーク複合機であって、上記制御手段が上記表示・操作部に上記通信ネットワークに接続された外部機器の一覧を表示し、上記一覧で外部印刷機器を指定したコピー実行指示があったとき、上記制御手段が上記画像読取手段により読み取った画像データを上記PDL変換手段によりPDLデータに変換した後、上記指定された外部印刷機器に転送することを特徴とするネットワーク複合機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−41680(P2006−41680A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215381(P2004−215381)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】