説明

ハイブリッドレーザ加工方法とその装置

【解決手段】 ハイブリッドレーザ加工装置1は、被加工物3を鉛直方向となるように保持する加工テーブル4を備えている。この加工テーブル4は移動手段8によって支持されており、移動手段8によって上下左右に加工テーブル4を移動させることができる。
被加工物3が加工テーブル4に保持されると、被加工物3はその加工面が鉛直方向となるように支持される。この状態において、加工ヘッド2から被加工物3に液柱Wが吹き付けられると同時にレーザ光Lが照射されて、ピアッシング孔の穿孔が行われ、その後、切断加工が行われる。
【効果】 被加工物3の加工中においては、加工面に照射された水および加工屑は自重で落下するので、加工終了後の被加工物3の洗浄作業、排水作業を省略することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッドレーザ加工方法とその装置に関し、より詳しくは、例えば鉛直方向に支持した被加工物に、液柱状に高圧液体を噴射するとともに該液柱内を通過させたレーザ光により被加工物に所要の加工を施すようにしたハイブリッドレーザ加工方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から高圧水とレーザ光を用いて被加工物に加工を施すハイブリッドレーザ加工装置は知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
こうした従来の加工装置においては、被加工物を加工テーブル上に水平に支持して、上方側に配置した加工ヘッドから鉛直下方に向けて高圧水を噴射すると同時に高圧水内にレーザ光を導光して被加工物に照射することで、被加工物に切断加工等を施すようにしている。
【特許文献1】特開2001−321977号公報
【特許文献2】特表平10−500903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した従来の加工装置は、薄板状をした半導体ウエハの切断加工に用いられることが多いが、こうした従来の加工装置によって半導体ウエハを加工する際には次のような問題点があった。
すなわち、従来の加工装置によってウエハにピアッシング孔を穿設する際に加工ヘッドから鉛直下方へ高圧水を噴射すると、図6に示したように、水平状態の加工面上に水が滞留することになる。特に研磨されたウエハ表面は撥水性を有するために、加工部分に水が滞留して球状となる場合がある。このように、ウエハの加工部分に水が滞留して水球が形成されると、加工部分に照射されるレーザ光が水球内で散乱し、ウエハに穿設するピアッシング孔が大きくなったり、ピアッシング孔の穿孔に時間が掛かるという欠点があった。
また、従来のようにウエハを水平に支持して、その加工面が水平であると、ウエハの切断時に発生する加工屑などがウエハの上面である加工面に残留することになり、加工終了後にウエハの上面の排水や洗浄工程が必要になるという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、被加工物に向けて加工ヘッドから液体を液柱状にして噴射するとともに該液柱内に導入したレーザ光を上記被加工物に照射して、被加工物に所要の加工を施すようにしたハイブリッドレーザ加工方法において、
上記被加工物の加工面が水平面に対して傾斜するかまたは鉛直方向となるように被加工物を支持して、該被加工物に加工を施すようにしたものである。
また、請求項3に記載した本発明は、液体を液柱状にして噴射するとともに上記液柱内にレーザ光を導入する加工ヘッドと、上記被加工物を支持する支持手段とを備え、上記加工ヘッドから被加工物に向けて液柱を噴射するとともに液柱内を通過させたレーザ光を被加工物に照射して、被加工物に所要の加工を施すハイブリッドレーザ加工装置において、
上記支持手段は被加工物の加工面が水平面に対して傾斜するかまたは鉛直方向となるように上記被加工物を支持するようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
上述した構成によれば、被加工物の加工面は鉛直方向あるいは傾斜しているので、加工部分に水球が形成されることがなく、水は加工時に発生した加工屑とともに速やかに下方へ流下する。
そのため、被加工物に対して短時間で確実にピアッシング孔を穿孔することが可能となる。また、加工終了後において、被加工物の加工面を洗浄する必要が無く、したがって、従来必要であった加工後における排水作業や洗浄作業を省略することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において1はハイブリッドレーザ加工装置である。このハイブリッドレーザ加工装置1は、水平方向を指向するように設けられた加工ヘッド2から高圧水を液柱Wに形成して被加工物3に向けて噴射すると同時に、上記液柱Wにレーザ光Lを導光して被加工物3に照射し、その状態で加工ヘッド2と被加工物3を相対移動させることで穿孔や切断等の加工を行うようになっている。
ハイブリッドレーザ加工装置1は、被加工物3の加工面が鉛直方向となるように保持する加工テーブル4と、レーザ光Lを発振するレーザ発振器5と、被加工物3に向けて高圧水を液柱Wにして噴射し、かつ上記液柱Wにレーザ光Lを導光してから被加工物3に照射する上記加工ヘッド2と、高圧水を上記加工ヘッド2内へ供給する液体供給手段6とを備えており、これらは図示しない制御装置によって作動を制御されるようになっている。
ハイブリッドレーザ加工装置1は、被加工物3として例えば薄板状で円形の半導体ウエハを加工するものであり、被加工物3の所要箇所に貫通孔であるピアッシング孔を穿孔し、そこから所要形状に被加工物3を切断加工するようになっている。このハイブリッドレーザ加工装置1は、切断加工や孔明け加工のほかにも、被加工物3の表面に対して溝加工や被加工物を貫通しない穴加工などを行うことができる。
【0007】
図2は図1に示した被加工物3の拡大図であり、この図2に示すように、被加工物3としてのウエハは、レーザ光Lおよび液体を透過する粘着シート3A上に貼り付けられており、この粘着シート3Aにおける外周部分はウエハリング3Bの下面に張設されている。
ウエハリング3B、粘着シート3Aおよび被加工物3としてのウエハが一体となっており、この状態の被加工物3は加工テーブル4の保持手段7によって加工テーブル4に鉛直となるように保持されて加工が施されるようになっている。加工終了後の被加工物3(製品と残材)は粘着シート3Aに接着したままで、ウエハリング3Bおよび粘着シート3Aとともに保持手段7から取り外されるようになっている。その後に新たな加工対象となる被加工物3が加工テーブル4に供給されて保持手段7により保持されるようになっている。
【0008】
従来の加工装置とは異なり、本実施例のハイブリッドレーザ加工装置1は、加工テーブル2の保持手段7によって被加工物3を鉛直方向に支持し、その状態で被加工物3に加工を施すことが特徴である。
すなわち、加工テーブル4は、鉛直方向となる支持面4Aを有し、この支持面4Aを加工ヘッド2に対向させて、移動手段8に連結されている。移動手段8は図示しない制御装置によって作動を制御されるようになっており、加工ヘッド2の軸方向と直交する鉛直面内で上記加工テーブル4全体を鉛直方向(上下方向)と水平方向(左右方向)に平行移動させることができ、かつ加工ヘッド2に対して接離する水平方向(軸方向)に加工テーブル4全体を進退動させることができるようになっている。
【0009】
加工テーブル4の中央側は、ハニカム状(蜂の巣状)の支持テーブル9となっている。支持テーブル9の表面である支持面4Aは上記加工ヘッド2に対向している。支持テーブル9は水平方向(軸方向)に多数の貫通孔を備えており、加工ヘッド2から噴射されウエハを貫通した水は、支持テーブル9の貫通孔を介して支持面4A(表面)から裏面9A側へ流出できるようになっている。
移動手段8によって支持された加工テーブル4は、上記支持テーブル9の表面を含めた支持面4Aが鉛直方向に維持されている。また、加工テーブル4は、支持テーブル9よりも外周側となる支持面4Aに上記保持手段7としての固定チャックを備えている。
本実施例では、上述した被加工物3を接着する粘着シート3Aを支持面4Aに重合させてからウエハリング3を保持手段7によって支持面4Aに固定するようにしている。これにより、粘着シート3Aに接着させたウエハの裏側が支持テーブル9の支持面4Aに当接され、加工中においても被加工物3は安定して加工テーブル4に支持されるようになっている。
なお、本実施例では粘着シート3A、ウエハリング3B、加工テーブル4、保持手段7、移動手段8および支持テーブル9により被加工物の支持手段を構成している。
【0010】
次に、レーザ発振器5はYAGレーザ発振器であり、加工に応じてCW発振又はパルス発振が可能であり、またその出力やパルスの発振周期等の加工条件を適宜調整できるようになっている。
本実施例は、上述したように加工テーブル4によって被加工物3を鉛直方向に保持しており、これに応じて加工ヘッド2から被加工物3に向けて水平方向に液柱Wを吹き付けるとともにレーザ光Lを水平方向に照射するようにしている。
加工ヘッド2は従来公知のものと同じ構成であり、その内部に高圧水が流通する液通路およびそこから連続する噴射ノズルとを備えている。加工ヘッド2は、噴射ノズルが水平となり、かつ加工テーブル4の支持面4Aと直交するように固定して配置されている。
【0011】
レーザ発振器5は加工ヘッド2に向けてレーザ光Lを水平に放射できる位置に配置されている。このレーザ発振器5と加工ヘッド2との間には、レーザ光Lを遮断するシャッタ11と、レーザ発振器5から加工ヘッド2に向けて照射されたレーザ光Lを集光する集光レンズ12とが配置されている。
上記シャッタ11は上記制御装置によって作動を制御されるようになっており、このシャッタ11は、図示しない駆動手段によってレーザ光Lの光路上と光路外とを往復動する反射ミラー11Aと、この反射ミラー11Aによって反射したレーザ光Lのエネルギーを吸収するダンパ11Bとを備えている。
上記反射ミラー11Aをレーザ光Lの光路上に位置させると、レーザ光Lはこの反射ミラー11Aに反射され、そのレーザ光Lのエネルギーが上記ダンパ11Bに吸収されるようになっている。
一方、反射ミラー11Aをレーザ光Lの光路外に移動させると、レーザ発振器5から発振されたレーザ光Lは集光レンズ12により収束されて上記加工ヘッド2へと導入されて、その内部を透過して噴射ノズルから出射されるようになっている。
レーザ発振器5としてこの他にも半導体レーザやCOレーザ発振器、ファイバレーザ等を用いることも可能であるが、COレーザ発振器のように発振されるレーザ光Lが水に吸収されやすい波長である場合には、加工ヘッド2より噴射される液体をレーザ光Lが吸収されにくい液体にすればよい。
本実施例においては上記レーザ発振器5と、上記シャッタ11と、上記集光レンズ12とによってレーザ光導光手段13を構成しており、このレーザ光導光手段13は、図示しない固定フレームに設けられている。
【0012】
次に、液体供給手段6は、加工ヘッド2に連通した導管14を介して加工ヘッド2内の液通路に高圧水を給送するようになっている。加工ヘッド2における先端の軸部には、加工テーブル4の支持面4Aに向けて、かつそれと直交する方向に噴射ノズルを設けている。そのため、液体供給手段6から加工ヘッド2内の液通路に高圧水が給送されると、加工ヘッド2の噴射ノズルを介して液柱Wが水平方向に噴射されるようになっている。
液体供給手段6は、水を貯溜する貯水タンク16と、この貯水タンク16に貯溜された水を加工ヘッド2に向けて高圧で送液するポンプ17とを備え、これらは導管14によって相互に接続されている。
上記貯水タンク16は給水源18に接続される導管21から水が供給されるようになっており、導管21には、給水源18からの水の供給を制御する開閉弁22と、給水源18から供給される水に含有される異物を除去するフィルタ23とを備えている。
上記ポンプ17と加工ヘッド2とを接続する導管14には、上流側のポンプ17側から順に、ポンプ17への水の逆流を防止する逆止弁24、上記制御装置によって開閉作動を制御される電磁開閉弁25、ポンプ17から送液される水を貯溜するとともにポンプ17からの圧力を蓄圧するアキュムレータ26、および水内の異物を除去するフィルタ27が設けられている。従来公知のとおり、アキュムレータ26は、その内部に封入しているガス圧を変更することで蓄圧力を調整できるものである。
【0013】
制御装置によってポンプ17が作動され、かつ電磁開閉弁25が開放された状態では、ポンプ17から送液された所定液圧の高圧水は導管14と加工ヘッド2内の液通路を介してノズルから被加工物3へ液柱Wとなって噴射されるとともに、ポンプ17から送液された高圧水はアキュムレータ26内にも充填されるようになっている。
また、給水源18から貯水タンク16までの導管21と、ポンプ17から加工ヘッド2まで配置した導管14は、2本の導管31、32によって接続されており、一方の導管31には圧力調整弁33が、他方の導管32には逆止弁34が設けられている。
上記電磁開閉弁25が閉鎖されたときなどにポンプ17から吐出される高圧水を貯水タンク16に戻すことができるようになっている。また、圧力調整弁33はポンプ17から加工ヘッド2までの導管14内部の高圧水の圧力を一定に保つために設けられている。本実施例の液体供給手段6は上述したように構成されている。
【0014】
以上の構成において、ハイブリッドレーザ加工装置1によって被加工物3に加工を施す場合には、先ず、加工対象となる被加工物3を加工テーブル4の支持面4Aに重合させて保持手段7によって保持する。これにより、被加工物3は、その加工面が鉛直方向となり、かつ加工ヘッド2と対向することになる。
この状態となったら、制御装置は移動手段8を所要距離だけ前進させて、加工テーブル4に支持した被加工物3を加工ヘッド2から所定距離だけ隔てた位置に位置させる。
この状態となったら、制御装置は、シャッタ11の反射ミラー11Aをレーザ光Lの光路上に位置させた状態において、レーザ発振器5を作動させてレーザ光Lを発振させる。この状態では、レーザ光Lは反射ミラー11Aに反射されてからダンパ11Bによって吸収される。
また、制御装置は、上記レーザ発振器5を作動させると同時にポンプ17を作動させるとともに電磁開閉弁25を開放させる。これにより、ポンプ17から導管14を介して高圧水が加工ヘッド2内に給送され、さらに加工ヘッド2に設けた噴射ノズルを介して液柱Wが水平方向に噴射されてから鉛直方向に支持された被加工物3に吹き付けられる。
【0015】
この後、制御装置はシャッタ11の反射ミラー11Aをレーザ光Lの光路外に後退させるので、レーザ光Lが加工ヘッド2内へ導光されてからさらに液柱Wに導光され、この液柱W内を通過して被加工物3に照射される。
このように被加工物3に対して直交方向から液柱Wが吹き付けられると同時にレーザ光Lが照射されることで、被加工物3の所要位置に先ずピアッシング孔が穿孔される。このピアッシング孔が穿孔される過程においては、図3に拡大してして示すように、被加工物3に吹き付けられる水は、被加工物3の加工面に沿って落下して加工部分に滞留することがない。そのため、被加工物3に照射されるレーザ光Lは水によって散乱することは無く、迅速かつ確実に被加工物3にピアッシング孔が穿孔される。ピアッシング孔が貫通すると、該ピアッシング孔を透過した水は支持テーブル9の貫通孔を介して支持テーブル9の裏面9A側へ排出されることになる。
【0016】
次に、上述のようにピアッシング孔を穿孔したら、制御装置は移動手段8を作動させて、加工テーブル4を所要量だけ鉛直方向(上下方向)及び水平方向(左右方向)に移動させる。これにより、レーザ光Lおよび液柱Wに対して被加工物3が、レーザ光Lの光軸及び液柱Wに対して上下左右に相対移動されるので、被加工物3が所要の形状に切断されるようになっている。
このように、被加工物3の加工面は鉛直となるように支持されているので、被加工物3の切断中においても被加工物3に吹き付けられる水および加工部分で生じる溶融物は落下して、被加工物3上に残留することはない。
このようにして、被加工物3に対して所要の切断加工が終了するが、被加工物3における製品と残材分は粘着シート3Aに接着したままとなっている。
そして、制御装置はシャッタ11の反射ミラー11Aをレーザ光Lの光路上に位置させるとともに、移動手段8により加工テーブル4から被加工物3の着脱に支障のない位置に加工テーブル4を移動させる。
また、この状態となると、加工テーブル4の保持手段7による被加工物3の保持状態を解除して、該加工済みの被加工物3(製品および残材)を取り外して、新たな加工対象となる被加工物3を支持面4Aに重合させて保持手段7によって保持する。
この後は、上述した作動説明と同様にして、ハイブリッドレーザ加工装置1によって新たな被加工物3に対してピアッシング孔の穿設と、そこからの切断加工が施されるようになっている。
【0017】
上述した本実施例のハイブリッドレーザ加工装置1によれば、被加工物3を鉛直方向に支持した状態で、該被加工物3に穿孔及び切断加工を施している。
そのため、被加工物3に貫通孔が形成される前であっても、被加工物3に吹き付けられた水は、被加工物3の加工面に沿って落下し加工部分に滞留することはない。また加工中に生じる溶融物などの加工屑も同様に落下して、被加工物3の加工面に残留することはない(図3参照)。
そのため、被加工物3へ照射されるレーザ光Lは被加工物3の加工部分で散乱することがないので、被加工物3に対して確実かつ効率的に穿孔及び切断加工を施すことができる。
また、被加工物3に対する加工終了後に被加工物3の加工表面には水や溶融物が残留していないので、そのような水や残留物を排除する排水作業や洗浄作業を行う必要が無く、したがって、従来と比較して加工終了後の作業を簡略化することができる。
また粘着シートに貼付られた半導体ウエハを切断する場合に、従来では、ウエハの端部から切り込むようにしていたが、本実施例においては、ウエハの任意の位置にピアッシング孔を穿孔して、そこから所要の切断を開始することができる。そのため、切断形状の制限がなく、無駄な切断をする必要がなく従来と比較してより短時間で切断加工を行うことができる。
なお、上記実施例において、加工テーブル4の支持面4Aにおける被加工物3よりも下方側に、断面U字形をした樋状の回収手段を設けて、加工中の水および溶融物などの加工屑を回収するようにしても良い。
【0018】
次に、図4は本発明の第2実施例を示したものである。上述した第1実施例においては、加工テーブル4によって被加工物3を鉛直方向となるように支持していたが、この第2実施例においては、被加工物3を加工テーブル4によって傾斜させて保持するようにし、加工ヘッド2をその軸心が加工テーブル4の支持面4Aに対して直交する位置に配置している。
即ち、加工テーブル4は支持面4Aの傾斜方向とそれに直交する方向に移動可能に移動手段8によって支持されている。このため液柱Wおよびレーザ光Lが被加工物3の加工面に対して常に直交方向から噴射および照射されるようになっている。尚、この加工テーブル4の支持面4Aの傾斜角度は、水平面に対して約30度程となっている。
この第2実施例においては、レーザ発振器5は水平に配置し加工ヘッド2の近接上方位置には反射ミラー41を配置してあり、レーザ発振器5から発振されたレーザ光Lは上記反射ミラー41によって反射されてから集光レンズ12に収束されてから加工ヘッド2に導入されるようになっている。反射ミラー41、集光レンズ12および加工ヘッド2は、図示しない固定フレームによって所定位置に固定して配置されている。その他の構成は、上述した第1実施例と同じである。
この第2実施例においては、被加工物3が加工テーブル4の支持面4Aに保持されると、被加工物3は水平面に対して約30度傾斜された状態となり、その状態において、加工ヘッド2から液柱Wが吹き付けられると同時にレーザ光Lが照射されるようになる。
そして、移動手段8により、加工テーブル4がその支持面4Aの傾斜方向とそれに直交する方向に移動することにより、被加工物3の所要の位置にピアッシング孔を穿孔するとともに所要の切断加工を施すことができる。
このような第2実施例においても、被加工物3の加工中においては、被加工物3の加工面に吹き付けられる水及び加工中に生じる溶融物などは、被加工物3の加工面に沿って流下することになる。
したがって、このような構成と第2実施例であっても、上述した第1実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0019】
次に、図5は本発明の第3実施例を示したものである。この第3実施例は、上記第1実施例の構成において、加工ヘッド2の向きを変えず加工テーブル4の支持面4Aを傾斜させて配置したものであり、加工テーブル4は移動手段8によって傾斜方向への移動および傾斜面内で回転可能に支持されている。その他の構成は、上記第1実施例と同じである。この第3実施例においては、レーザ光Lを照射して切断する際には移動手段8により、切断線が傾斜方向と平行になるように被加工物3を回転してから傾斜方向に移動させる。
なお、上記第1実施例及び第2実施例において、加工テーブル4側ではなく加工ヘッド2側を移動可能に構成してもよい。また、上記第3実施例においては、加工テーブル4側が支持面4Aの平面内で回動し、加工ヘッド2側が支持面4Aの傾斜方向に移動するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例を示す全体の配置図。
【図2】図1の要部の拡大図。
【図3】図1に示した被加工物3の加工中の状態を示す拡大図。
【図4】本発明の第2実施例を示す正面図。
【図5】本発明の第3実施例を示す正面図。
【図6】従来技術による被加工物の加工中の状態を示す拡大図。
【符号の説明】
【0021】
1…ハイブリッドレーザ加工装置 2…加工ヘッド
3…被加工物 4…加工テーブル
5…レーザ発振器 6…液体供給手段
W…液柱 L…レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に向けて加工ヘッドから液体を液柱状にして噴射するとともに該液柱内に導入したレーザ光を上記被加工物に照射して、被加工物に所要の加工を施すようにしたハイブリッドレーザ加工方法において、
上記被加工物の加工面が水平面に対して傾斜するかまたは鉛直方向となるように被加工物を支持して、該被加工物に加工を施すことを特徴とするハイブリッドレーザ加工方法。
【請求項2】
上記被加工物に貫通孔を穿設し、その貫通孔から切断加工を開始することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドレーザ加工方法。
【請求項3】
液体を液柱状にして噴射するとともに上記液柱内にレーザ光を導入する加工ヘッドと、上記被加工物を支持する支持手段とを備え、上記加工ヘッドから被加工物に向けて液柱を噴射するとともに液柱内を通過させたレーザ光を被加工物に照射して、被加工物に所要の加工を施すハイブリッドレーザ加工装置において、
上記支持手段は被加工物の加工面が水平面に対して傾斜するかまたは鉛直方向となるように上記被加工物を支持することを特徴とするハイブリッドレーザ加工装置。
【請求項4】
上記被加工物の加工面に対して直交方向から液体を噴射できる位置に上記加工ヘッドを配置したことを特徴とする請求項3に記載のハイブリッドレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−222897(P2007−222897A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45672(P2006−45672)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】