説明

ハイブリッド車両の変速制御装置

【課題】装置の小型化に有利であり、かつコストを低減することが可能なハイブリッド車両の変速制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関10と駆動輪との間の動力伝達経路中に設けられた遊星歯車機構14のサンギアSと接続可能な第1MG11と、遊星歯車機構14のリングギアRと動力伝達可能に設けられた出力軸17に変速機構21を介して動力を出力可能な第2MG12とを備えたハイブリッド車両1の変速制御装置において、第2スプロケット31の回転運動を利用して変速機構21の変速段を切り替える変速段切替機構26と、第1MG11がサンギアSと接続される第1位置と第1MG11が第2スプロケット31と動力伝達可能に接続される第2位置とに切り替え可能な連結部材39及び連結部材39を第1位置と第2位置とに駆動するシフトアクチュエータ40を有するクラッチ機構20を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1電動機と、第2電動機とを備え、内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路に対して第2電動機の回転を変速機構で変速して付加可能なハイブリッド車両の変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から出力された動力が遊星歯車機構で分割されて第1モータ・ジェネレータと動力伝達機構とにそれぞれ伝達されるとともに、第2モータ・ジェネレータから出力された動力が動力伝達機構に伝達され、動力伝達機構に伝達された動力で駆動輪が駆動されるハイブリッド車両が知られている。このようなハイブリッド車両において、第2モータ・ジェネレータと動力伝達機構との間に複数の変速比に切り替え可能な変速機構を設け、第2モータ・ジェネレータの回転をその変速機構で変速して動力伝達機構に伝達する車両が知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−269718号公報
【特許文献2】特開2007−168679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、第1モータ・ジェネレータと遊星歯車機構とが切り離せない。そのため、車両を第2モータ・ジェネレータのみで駆動する場合に第1モータ・ジェネレータに動力が伝達されて第1モータ・ジェネレータが回転する。この第1モータ・ジェネレータの回転を防止するためには第1モータ・ジェネレータと遊星歯車機構との間にクラッチを設ければよい。しかしながら、この場合に変速機構のアクチュエータとは別にクラッチ用のアクチュエータを設けると装置が大型化するとともにコストが増加するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、装置の小型化に有利であり、かつコストを低減することが可能なハイブリッド車両の変速制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の変速制御装置は、内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路中に設けられ、複数の回転要素を有する動力伝達機構と、前記複数の回転要素のうちの第1回転要素と接続可能なように設けられた第1電動機と、前記動力伝達機構と前記駆動輪との間の動力伝達経路中に設けられ、前記複数の回転要素のうちの第2回転要素と動力伝達可能に設けられた出力部材と、互いに変速比が相違する複数の変速段に切り替え可能に構成された変速機構を介して前記出力部材に動力を出力可能に設けられた第2電動機と、を備えたハイブリッド車両に適用される変速制御装置において、回転部材を有し、前記回転部材の回転運動を利用して前記変速機構の変速段を切り替える変速段切替機構と、前記第1電動機が前記第1回転要素と動力伝達可能に接続されるとともに前記回転部材と切り離される第1位置と、前記第1電動機が前記第1回転要素と切り離されるとともに前記回転部材と動力伝達可能に接続される第2位置とに切り替え可能な切替部材と、前記切替部材を前記第1位置と前記第2位置とに駆動する駆動手段と、を有するクラッチ手段と、を備えた(請求項1)。
【0007】
本発明の変速制御装置によれば、切替部材を第2位置に切り替えることにより第1電動機で回転部材を回転駆動できる。そのため、第1電動機で変速機構の変速段を切り替えることができる。この場合、変速機構に変速段を切り替えるための駆動源を設ける必要がない。従って、装置を小型化できるとともにコストを低減できる。また、本発明によれば、切替部材を第2位置に切り替えた場合には第1電動機が動力伝達機構と切り離される。これにより第2電動機の動力が第1電動機に伝達されることを防止できるので、第2電動機の動力が第1電動機で無駄に消費されることを防止できる。また、このように第1電動機を動力伝達機構から切り離すことにより、第2電動機で車両を走行させているときに第1電動機で変速機構の変速段を切り替えることができる。
【0008】
本発明の変速制御装置の一形態において、前記変速機構は、低速ギア対と、前記低速ギア対よりも変速比が小さい高速ギア対と、を備え、前記低速ギア対のギアと前記高速ギア対のギアとが前記第2電動機の出力軸の軸線方向に同軸に並ぶように配置され、前記変速段切替機構は、前記第2電動機の前記出力軸と前記低速ギア対のギアとを動力伝達可能に接続する低速位置と前記第2電動機の前記出力軸と前記高速ギア対のギアとを動力伝達可能に接続する高速位置とに切り替え可能なように前記軸線方向に移動可能に設けられた接続先切替部材と、前記回転部材の回転運動を前記軸線方向の直線運動に変換して前記接続先切替部材を前記低速位置と前記高速位置との間で駆動する運動変換機構と、を備えていてもよい(請求項2)。このように運動変換機構で回転運動を直線運動に変換して接続先切替部材を動かすことにより、第1電動機で変速段を切り替えることができる。
【0009】
本発明の変速制御装置の一形態においては、前記車両を前記第2電動機で走行させている場合、又は前記第2電動機の回転を変速させる場合に、前記切替部材が前記第2位置に駆動されるように前記駆動手段を制御する制御手段をさらに備えていてもよい(請求項3)。この形態によれば、車両を第2電動機で走行させている場合は第1電動機が第1回転要素と切り離される。そのため、車両を第2電動機で走行させているときに第1電動機で変速段の切り替えを行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
以上に説明したように、本発明の変速制御装置によれば、第1電動機で変速機構の変速段を切り替えることができるので、変速機構に変速段を切り替えるための駆動源を設ける必要がない。そのため、装置を小型化できるとともにコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一形態に係る変速制御装置が組み込まれた車両を概略的に示す図。
【図2】ドグスリーブが高速位置に切り替えられたときの変速機構を示す図。
【図3】ドグスリーブがニュートラル位置に切り替えられたときの変速機構を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一形態に係る変速制御装置が組み込まれた車両を概略的に示している。この車両1はいわゆるハイブリッド車両として構成されている。車両1は、内燃機関10と、第1電動機としての第1モータ・ジェネレータ(以下、第1MGと略称することがある。)11と、第2電動機としての第2モータ・ジェネレータ(以下、第2MGと略称することがある。)12とを備えている。内燃機関10は、ハイブリッド車両に搭載される周知のものであるため、詳細な説明を省略する。第1MG11及び第2MG12は、電動機及び発電機として機能する周知のものである。第1MG11は、出力軸としてのロータ軸11aと一体回転するロータ11bと、ロータ11bの外周に同軸に配置されて不図示のケースに固定されたステータ11cとを備えている。第2MG12も同様に、出力軸としてのロータ軸12aと一体回転するロータ12bと、ロータ12bの外周に同軸に配置されてケースに固定されたステータ12cとを備えている。
【0013】
内燃機関10の出力軸10a及び第1MG11のロータ軸11aは、動力分配機構13と接続されている。動力分配機構13は、動力伝達機構としての遊星歯車機構14を備えている。遊星歯車機構14は、シングルピニオン型の遊星歯車機構として構成されている。遊星歯車機構14は、外歯歯車であるサンギアSと、そのサンギアSに対して同軸的に配置された内歯歯車としてのリングギアRと、これらのギアS、Rに噛み合うピニオンギアPを自転可能かつサンギアSの周囲を公転可能に保持するキャリアCとを備えている。キャリアCは内燃機関10の出力軸10aと一体回転するように接続されている。サンギアSは、クラッチ手段としてのクラッチ機構20を介して第2MG12のロータ軸12aと接続されている。そのため、サンギアSが本発明の第1回転要素に対応する。リングギアRは、外歯歯車であるドライブギア15と一体回転するように接続されている。
【0014】
この図に示すように動力分割機構13には、不図示の駆動輪に動力を出力するための出力部16も接続されている。出力部16は、出力部材としての出力軸17と、第1ドリブンギア18と、第2ドリブンギア19と、出力ギア20とを備えている。第1ドリブンギア18、第2ドリブンギア19、及び出力ギア20は、出力軸17に同軸かつ一体回転するように取り付けられている。この図に示すように第1ドリブンギア18は、ドライブギア15と噛み合うように設けられている。そのため、リングギアRが本発明の第2回転要素に対応する。図示は省略したが車両1は駆動輪に連結されたデファレンシャル機構を備えている。デファレンシャル機構は伝達された動力を左右の駆動輪に分配する周知のものである。出力ギア20は、そのデファレンシャル機構のケースに設けられたリングギアと噛み合っている。そのため、出力部16に伝達された動力は、出力ギア20から駆動輪に伝達される。従って、動力分配機構13及び出力部16が本発明の動力伝達経路に対応する。
【0015】
出力部16には、変速機構21を介して第2MG12が接続されている。変速機構21は、出力軸17と平行に配置された回転軸22と、その回転軸22に回転可能に支持された中空円筒状の中間部材23とを備えている。そのため、回転軸22と中間部材23とは互いに相対回転可能に設けられる。回転軸22には、第1ドリブンギア18と噛み合う第1ドライブギア24が一体回転するように取り付けられている。また、中間部材23には、第2ドリブンギア19と噛み合う第2ドライブギア25が一体回転するように取り付けられている。第2ドリブンギア19と第2ドライブギア25との変速比には、第1ドリブンギア18と第1ドライブギア24との変速比よりも小さい値が設定されている。そのため、第1ドリブンギア18と第1ドライブギア24で構成されるギア対が本発明の低速ギア対に対応し、第2ドリブンギア19と第2ドライブギア25で構成されるギア対が本発明の高速ギア対に対応する。
【0016】
変速機構21は、第2MG12のロータ軸12aの接続先を回転軸22と中間部材23とに切り替える変速段切替機構26を備えている。変速段切替機構26は、接続先切替部材としてのドグスリーブ27を備えている。第2MG12のロータ軸12aは中空円筒状をしている。そして、ロータ軸12aの内周には軸線方向に延びるスプライン12dが設けられている。また、ドグスリーブ27の外周にも軸線方向に延びるスプライン27aが設けられている。ドグスリーブ27は、そのスプライン27aがロータ軸12aのスプライン12dと噛み合うようにロータ軸12aの内側に同軸に設けられている。これによりドグスリーブ27は、ロータ軸12aと一体回転するとともに軸線方向に移動可能なようにロータ軸12aに支持される。ドグスリーブ27の内周にも外周と同様に軸線方向に延びるスプライン27bが設けられている。回転軸22には、そのスプライン27bと噛み合うことが可能なスプライン22aが設けられている。中間部材23には、ドグスリーブ27の外周のスプライン27aと噛み合うことが可能なスプライン23aが設けられている。
【0017】
この変速段切替機構26では、ドグスリーブ27を図1に示す低速位置と図2に示す高速位置との間で駆動することにより第2MG12のロータ軸12aの接続先を切り替える。なお、図2はドグスリーブ27が高速位置に切り替えられたときの変速機構21を示している。図1に示すように低速位置では、ドグスリーブ27の外周のスプライン27aがロータ軸12aのスプライン12dと噛み合うとともに内周のスプライン27bが回転軸22のスプライン22aと噛み合う。そして、この位置では、外周のスプライン27aが中間部材23のスプライン23aとは噛み合わない。そのため、この低速位置では、第2MG12のロータ軸12aと回転軸22とが動力伝達可能に接続される。従って、第2MG12と第1ドライブギア24とが係合される。一方、図2に示すように高速位置では、ドグスリーブ27の外周のスプライン27aがロータ軸12aのスプライン12d及び中間部材23のスプライン23aとそれぞれ噛み合う。そして、この位置ではドグスリーブ27の内周のスプライン27bと回転軸22のスプライン22aとの噛み合いが外れる。そのため、この高速位置では、第2MG12のロータ軸12aと回転軸23とが動力伝達可能に接続される。従って、第2MG12と第2ドライブギア25とが係合される。なお、低速位置と高速位置との間には、図3に示すようにドグスリーブ27の内周のスプライン27bと回転軸22のスプライン22aとが噛み合わず、かつドグスリーブ27の外周のスプライン27aと中間部材23のスプライン23aとが噛み合わないニュートラル位置が設けられている。この位置では、第2MG12が回転軸22及び中間部材23の両方と切り離される。
【0018】
図1に示すように変速段切替機構26は、回転運動を直線運動に変換する運動変換機構28と、第1MG11の回転を運動変換機構28に伝達するための回転伝達機構29とを備えている。運動変換機構28としては例えばウォームギアが用いられる。回転伝達機構29は、第1スプロケット30と、第2スプロケット31と、それらスプロケット30、31に巻き掛けられるチェーン32とを備えている。第1スプロケット30は、第1MG11のロータ軸11aと同軸に配置される。第2スプロケット31は運動変換機構28に取り付けられ、チェーン32の回転を運動変換機構28に伝達する。そのため、第2スプロケット31が本発明の回転部材に対応する。運動変換機構28はドグスリーブ27と接続されている。運動変換機構28は、チェーン32の回転を直線運動に変換してドグスリーブ27を軸線方向に駆動する。具体的には、チェーン32が所定の正方向に回転した場合にはドグスリーブ27を図1の右方向に駆動し、チェーン32が正方向と反対の逆方向に回転した場合にはドグスリーブ27を図1の左方向に駆動する。
【0019】
クラッチ機構20は、サンギアSと一体に回転する第1係合部材33と、第1MG11のロータ11aと一体に回転する第2係合部材34及び第3係合部材35と、第1スプロケット30と一体に回転する第4係合部材36とを備えている。第2係合部材34は第1係合部材33と対向するように配置されている。第3係合部材35は第4係合部材36と対向するように配置されている。各係合部材33〜36の外周にはそれぞれスプラインが設けられている。第2係合部材34の径方向外側には中空円筒状の第1スリーブ37が設けられている。第1スリーブ37の内周面には、第1係合部材33のスプライン及び第2係合部材34のスプラインのそれぞれと噛み合い可能なスプラインが設けられている。これにより第1スリーブ37は、ロータ軸11aと一体回転し、かつロータ軸11aの軸線方向に移動可能なようにロータ軸11aに支持される。また、第1スリーブ37は、内周面のスプラインが第1係合部材33のスプライン及び第2係合部材34のスプラインの両方と噛み合う係合位置と、内周面のスプラインが第2係合部材34のスプラインのみと噛み合う解放位置とに切り替え可能に設けられている。
【0020】
第3係合部材35の径方向外側には中空円筒状の第2スリーブ38が設けられている。第2スリーブ38の内周面には、第3係合部材35のスプライン及び第4係合部材36のスプラインのそれぞれと噛み合い可能なスプラインが設けられている。これにより第2スリーブ38は、ロータ軸11aと一体回転し、かつロータ軸11aの軸線方向に移動可能なようにロータ軸11aに支持される。また、第2スリーブ38は、内周面のスプラインが第3係合部材35のスプライン及び第4係合部材36のスプラインの両方と噛み合う係合位置と、内周面のスプラインが第3係合部材35のスプラインのみと噛み合う解放位置とに切り替え可能に設けられている。
【0021】
第1スリーブ37と第2スリーブ38とは、連結部材39で連結されている。連結部材39は、第1スリーブ37が係合位置の場合には第2スリーブ38が解放位置になり、第1スリーブ37が解放位置の場合には第2スリーブ38が係合位置になるようにこれらのスリーブ37、38を連結している。第1スリーブ37が係合位置かつ第2スリーブ38が解放位置の場合には、ロータ軸11aがリングギアRと動力伝達可能に接続され、かつ第1スプロケット30と切り離される。以降、第1スリーブ37が係合位置になり、かつ第2スリーブ38が解放位置になる連結部材39の位置を第1位置と称する。一方、第1スリーブ37が解放位置かつ第2スリーブ38が係合位置の場合には、ロータ軸11aがリングギアRと切り離され、かつ第1スプロケット30と動力伝達可能に接続される。以降、第1スリーブ37が解放位置になり、かつ第2スリーブ38が係合位置になる連結部材39の位置を第2位置と称する。このように第1スリーブ37、第2スリーブ38、及び連結部材39の位置を変化させることによりロータ軸11aの接続先を切り替えることができるので、これらが本発明の切替部材に対応する。
【0022】
連結部材39は、駆動手段としてのシフトアクチュエータ40と接続されている。シフトアクチュエータ40は、図に矢印で示したように連結部材39をロータ軸11aの軸線方向に駆動し、これにより連結部材39を第1位置と第2位置とに駆動する。シフトアクチュエータ40の動作は、制御手段としての不図示の制御装置にて制御される。制御装置は、車両1を第2MG12で走行させている場合、又は第2MG12の回転を変速させる場合に連結部材39が第2位置に駆動されるようにシフトアクチュエータ40を制御する。なお、制御装置としては例えば周知のエンジンコントロールユニットでシフトアクチュエータ40を制御してもよい。
【0023】
以上に説明したように、本発明によれば、シフトアクチュエータ40で連結部材39を第2位置に移動することで第1MG11と運動変換機構28とを動力伝達可能に接続できる。そのため、第1MG11の動力でドグスリーブ27を駆動し、これにより第2MG12の接続先を第1ドライブギア24又は第2ドライブギア25に選択的に切り替えることができる。このように本発明ではドグスリーブ27を第1MG11で駆動できるので、ドグスリーブ27を駆動するためのアクチュエータを他に設ける必要がない。従って装置を小型化できるとともにコストを低減できる。
【0024】
また、連結部材39を第2位置に移動させた場合には、第1MG11が動力分配機構13から切り離される。そのため、車両1を第2MG12のみで走行させるEV走行中にリングギアRの回転に引き摺られて第1MG11が回転することを防止できる。これにより第2MG12の動力が無駄に消費されることを防止できる。また、EV走行中でも第1MG11を動作させることが可能であるため、EV走行中に変速を行うことができる。
【0025】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、変速機構の変速段は2段に限定されない。変速段が3段以上の変速機構が搭載された車両に本発明を適用してもよい。第1MGの回転を運動変換機構に伝達する機構はチェーンに限定されず、ベルトや歯車でもよい。本発明に設けられる運動変換機構は、ウォームギアに限定されない。回転運動を直線運動に変換することが可能な種々の機構を用いてよい。
【符号の説明】
【0026】
1 車両
10 内燃機関
11 第1モータ・ジェネレータ(第1電動機)
12 第2モータ・ジェネレータ(第2電動機)
12a ロータ軸(出力軸)
14 遊星歯車機構(動力伝達機構)
17 出力軸(出力部材)
20 クラッチ機構(クラッチ手段)
21 変速機構
26 変速段切替機構
27 ドグスリーブ(接続先切替部材)
28 運動変換機構
31 第2スプロケット(回転部材)
37 第1スリーブ(切替部材)
38 第2スリーブ(切替部材)
39 連結部材(切替部材)
40 シフトアクチュエータ(駆動手段)
S サンギア(第1回転要素)
R リングギア(第2回転要素)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と駆動輪との間の動力伝達経路中に設けられ、複数の回転要素を有する動力伝達機構と、前記複数の回転要素のうちの第1回転要素と接続可能なように設けられた第1電動機と、前記動力伝達機構と前記駆動輪との間の動力伝達経路中に設けられ、前記複数の回転要素のうちの第2回転要素と動力伝達可能に設けられた出力部材と、互いに変速比が相違する複数の変速段に切り替え可能に構成された変速機構を介して前記出力部材に動力を出力可能に設けられた第2電動機と、を備えたハイブリッド車両に適用される変速制御装置において、
回転部材を有し、前記回転部材の回転運動を利用して前記変速機構の変速段を切り替える変速段切替機構と、
前記第1電動機が前記第1回転要素と動力伝達可能に接続されるとともに前記回転部材と切り離される第1位置と、前記第1電動機が前記第1回転要素と切り離されるとともに前記回転部材と動力伝達可能に接続される第2位置とに切り替え可能な切替部材と、前記切替部材を前記第1位置と前記第2位置とに駆動する駆動手段と、を有するクラッチ手段と、を備えた変速制御装置。
【請求項2】
前記変速機構は、低速ギア対と、前記低速ギア対よりも変速比が小さい高速ギア対と、を備え、
前記低速ギア対のギアと前記高速ギア対のギアとが前記第2電動機の出力軸の軸線方向に同軸に並ぶように配置され、
前記変速段切替機構は、前記第2電動機の前記出力軸と前記低速ギア対のギアとを動力伝達可能に接続する低速位置と前記第2電動機の前記出力軸と前記高速ギア対のギアとを動力伝達可能に接続する高速位置とに切り替え可能なように前記軸線方向に移動可能に設けられた接続先切替部材と、前記回転部材の回転運動を前記軸線方向の直線運動に変換して前記接続先切替部材を前記低速位置と前記高速位置との間で駆動する運動変換機構と、を備えている請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項3】
前記車両を前記第2電動機で走行させている場合、又は前記第2電動機の回転を変速させる場合に、前記切替部材が前記第2位置に駆動されるように前記駆動手段を制御する制御手段をさらに備えている請求項1又は2に記載の変速制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−67224(P2013−67224A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205666(P2011−205666)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】