説明

ハニカム構造体の外周材の塗布方法、ハニカム構造体、外周材の塗布装置

【課題】所定の品質の外周材層を形成できる外周材の塗布方法を提供する。
【解決手段】ハニカム構造体の外周材の塗布方法は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を、その中心軸が水平方向にのびた状態で、中心軸を回転中心として周方向に回転する工程と、ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する工程と、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーが供給された状態でありかつハニカム基材が回転した状態で、ハニカム基材の中心軸から所定の間隔を隔てた位置にヘラ部材を配置して外周形状を成形する工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体の外周面に外周材スラリーを塗布する塗布方法、外周材スラリーが塗布されてなるハニカム構造体および外周材スラリーの塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、ボイラー、化学反応機器、燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒用担体、排ガス中の微粒子(特にディーゼルエンジンからの排気ガス中の微粒子物質(PM))の捕集フィルタ(以下、DPFという)等には、セラミックス製のハニカム構造体が用いられている。
【0003】
セラミックス製のハニカム構造体は、一般に、多孔質体よりなり、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有している。そして、端面が市松模様状を呈するように、隣接するセルが互いに反対側となる一方の端部で封止された構造を有している。
【0004】
また、セラミックス製のハニカム構造体は、セルを区画するハニカム基材と、ハニカム基材の外周部に形成され外周面を区画する外周材層と、を有する。一般的なハニカム構造体は、ハニカム体を円柱形状などの形状に成形してハニカム基材を形成し、その外周部に外周材層を形成することで製造される。ハニカム基材を所定の形状に成形したときに、周方向にひろがる外周面は成形により表出した隔壁により凹凸状をなしている。そして、凹凸上の外周面に外周材スラリーを塗布、乾燥、焼成して外周材層を形成することで、この凹凸を埋め、なめらかな表面が形成されている。
【0005】
従来のハニカム構造体において、外周材スラリーの塗布は、ヘラを用いて手作業で行われていた。より具体的には、ハニカム基材をろくろ状の装置上に、軸方向が鉛直方向を向いた状態で載置し、その外周面にヘラで外周材スラリーを付着させるとともにハニカム基材を回転させて外周材スラリーを塗り伸ばして塗布していた。このように、従来の外周材スラリーの塗布は、塗りムラの発生や作業効率の低さ、作業員の熟練度などの問題から一定の品質を保つことが困難となっていた。
【0006】
また、手作業により外周材スラリーの塗布を行うことから、外周材スラリーの塗布に長時間を要するといった問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、所定の品質の外周材層を形成できる外周材の塗布方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明者らは外周材スラリーの塗布方法について検討を重ねた結果本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明のハニカム構造体の外周材の塗布方法は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を、その中心軸が水平方向にのびた状態で、中心軸を回転中心として周方向に回転する工程と、ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する工程と、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーが供給された状態でありかつハニカム基材が回転した状態で、ハニカム基材の中心軸から所定の間隔を隔てた位置にヘラ部材を配置して外周形状を成形する工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のハニカム構造体は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を、その中心軸が水平方向にのびた状態で、中心軸を回転中心として周方向に回転する工程と、ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する工程と、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーが供給された状態でありかつハニカム基材が回転した状態で、ハニカム基材の中心軸から所定の間隔を隔てた位置にヘラ部材を配置して外周形状を成形する工程と、を施されてなり、軸方向に垂直な断面において、外形の短径と長径との比が0.95以上であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の外周材の塗布装置は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を中心軸が水平方向にのびた状態で保持する保持手段と、保持手段に回転を付与して保持手段に保持されたハニカム基材を回転させる回転手段と、ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する外周材スラリー供給手段と、周方向に交差する方向にのびるとともにハニカム基材の中心軸から所定の間隔を隔てた位置に配置され、外周材スラリーが供給されたハニカム基材の外周形状を成形するヘラ部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の塗布方法は、軸方向が水平方向に配された状態で回転するハニカム基材の外周面に供給された状態の外周材スラリーを、回転中心から所定の距離に配置したヘラ部材で成形する。この成形により、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーが塗布されてなる塗布体の外周面が回転中心から一定の距離で形成される。この結果、本発明の塗布方法を用いて外周材スラリーが塗布されてなるハニカム構造体は、軸方向に垂直な断面における外周形状が真円となる。つまり、ハニカム構造体の外周面に凹凸が生じなくなり、DPFなどの車両の排気の浄化に用いられるときに、排気管への挿入が容易となる。
【0013】
本発明のハニカム構造体は、本発明の塗布方法で外周材スラリーが塗布されてなるハニカム構造体であり、軸方向に垂直な断面における外周形状が真円となっている。
【0014】
本発明の塗布装置は、本発明の塗布方法を実現することができる塗布装置であり、軸方向に垂直な断面における外周形状が真円となるハニカム構造体の製造を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(外周材スラリーの塗布方法)
本発明のハニカム構造体の外周材の塗布方法は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を、その中心軸が水平方向にのびた状態で、中心軸を回転中心として周方向に回転する工程(回転工程)と、ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する工程(スラリー供給工程)と、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーが供給された状態でありかつハニカム基材が回転した状態で、ハニカム基材の中心軸から所定の間隔を隔てた位置にヘラ部材を配置して外周形状を成形する工程(成形工程)と、を有する。
【0016】
回転工程は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材をその中心軸が水平方向にのびた状態で、中心軸を回転中心として周方向に回転する工程である。ハニカム基材が水平方向に配された状態で回転することで、成形工程を施しているときに、外周材スラリーが重力で鉛直方向下方に流れて成形後の外周材スラリーが構成する外周形状が軸方向の場所により変化することを抑えることができる。また、中心軸が水平方向にのびた状態は、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーの供給を容易に行うことができる。そして、ハニカム基材の中心軸と回転軸とが一致した状態で回転することで、ハニカム基材の外周面が回転中心からほぼ一定の距離に位置することとなり、ハニカム基材の外周面に塗布される外周材スラリーの塗布厚さがほぼ均一な厚さとなる。また、ハニカム基材が水平方向に配された状態で回転することで、ハニカム基材の軸方向において広い範囲を一度にヘラ部材で成形できる。
【0017】
スラリー供給工程は、ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する工程である。スラリー供給工程においては、外周材スラリーがハニカム基材の外周面に供給される。スラリー供給工程において、外周材スラリーをハニカム基材の外周面に供給する方法は特に限定されるものではなく、たとえば、ハニカム基材を中心軸が水平方向に一致した状態で保持し、鉛直上方から外周面に外周材スラリーを滴下する方法、従来と同様に手作業で外周材スラリーを塗りつける方法、外周材スラリーをスプレー等で吹き付ける方法などをあげることができる。
【0018】
本発明の塗布方法において、回転工程とスラリー供給工程のいずれの工程を先に施してもよい。つまり、回転工程を施してハニカム基材を回転させた状態でスラリー供給工程を施しても、スラリー供給工程を施してハニカム基材の外周面にスラリーを供給した後に回転工程を施しても、いずれでもよい。好ましくは、回転工程を施してハニカム基材を回転させた状態でスラリー供給工程を施す形態である。
【0019】
成形工程は、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーが供給された状態でありかつハニカム基材が回転した状態で、ハニカム基材の中心軸から所定の間隔を隔てた位置にヘラ部材を配置して外周形状を成形する工程である。成形工程は、ハニカム基材の外周面に供給されたスラリーをその外周面に塗り伸ばす。そして、ヘラ部材が、回転中心から所定の距離に配置されることから、ハニカム基材の外周面に供給されたスラリーの厚さが過剰に厚い部分に存在する外周材スラリーは、ヘラ部材によりその部分から掻き取られ、外周材スラリーが不足した部分に塗り伸ばされる。この結果、中心軸から外周面までの距離が一定に成形される。そして、なお過剰なスラリーは、ヘラにより掻き落とされる。これにより、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーが塗布されてなり、スラリーが塗布されたハニカム基材であって断面における外周形状が真円の塗布体が得られる。
【0020】
ハニカム基材は、外周面を複数箇所で回転中心方向に押圧して中心軸と回転中心とを一致させ、中心軸と回転中心とが一致した状態で両端面のそれぞれを一対の端面保持部材で押圧することで保持された状態で回転することが好ましい。これにより、ハニカム基材の中心軸と回転中心とが一致した状態で、ハニカム基材を回転させることができる。一対の端面保持部材がハニカム基材を保持することで、スラリーを塗布する外周面上に保持部材が配置されなくなり、外周面の全面にスラリーを塗布できるようになる。
【0021】
ヘラ部材は、ハニカム基材との当接部が、ハニカム基材の周方向に交差する方向にのびることが好ましい。すなわち、ヘラ部材のハニカム基材との当接部が少なくともハニカム基材の軸方向に伸びてもうけられた構成となることで、ハニカム基材が回転したときに外周面に供給された外周材スラリーを塗り伸ばすことが可能となる。
【0022】
ヘラ部材は、ハニカム基材との当接部が少なくともハニカム基材の軸方向に伸びた形状であれば、当接部が直線上であっても、らせん状の一部を形成する湾曲形状を形成していてもよい。ヘラ部材は、当接部がハニカム基材の軸方向に平行に形成されたことが好ましい。さらに好ましくは、当接部が直線状をなし、かつ当接部がハニカム基材の軸方向の長さ以上の長さに形成された形態である。このような形態となることで、一度にハニカム基材の外周面の全面の成形を行うことができる。
【0023】
本発明の塗布方法において、ハニカム基材は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状を有しているハニカム基材であれば、従来公知のハニカム基材を用いることができる。たとえば、セラミックスハニカム基材を用いることができる。
【0024】
ハニカム基材を構成するセラミックスは、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、コーディエライト、ムライトより選ばれる一種を主成分とすることが好ましい。これらのセラミックスのうち、とくに、チタン酸アルミニウムを主成分とするセラミックスよりなることが好ましい。チタン酸アルミニウムよりなるセラミックスは、その内部にマイクロクラックをもつ。そして、このマイクロクラックをもつことで、セラミックスハニカム構造体が熱膨張を生じても、このマイクロクラックの開口が開閉することで熱膨張により生じる応力を緩和し、形状変化や損傷が生じなくなる。
【0025】
ハニカム基材は、隣接する二つのセルのうちの一方のセルの一方の端部が封止材で封止され、隣接する二つのセルのうちの他方のセルの他方の端部が封止材で封止されたことが好ましい。このような構成となることで、特にDPFなどのフィルタ触媒に使用することができる。ここで、ハニカム基材は、セルが封止材で封止されたウォールフロー型のフィルタ触媒に用いられるハニカム基材であることが好ましいが、封止材をもたないストレートフロー型の触媒に用いられるハニカム基材であっても問題はない。
【0026】
ハニカム基材は、従来公知のハニカム基材のように、複数部の分体を接合材で接合した構成としてもよい。このような構成は、分体ごとにその特性を変化させることで、ハニカム基材全体に所望の性能を付与できる。ハニカム基材が複数部の分体よりなるときに、それぞれの分体の材質その他の特性は同じであっても異なっていてもいずれでもよい。すなわち、ハニカム基材は、複数のセラミックス分体が接合材層を介して接合されてなることが好ましい。
【0027】
セラミックス分体を接合する接合材についても、従来公知の接合材を用いることができる。この接合材としては、例えば、SiC系接合材を用いることができる。分体を接合材で接合したときにセラミックス分体の間に形成される接合材層は、0.5〜5mmの厚さで形成することが好ましい。
【0028】
さらに、ハニカム基材が複数のセラミックス分体が接着剤層を介して接合されてなるときに、それぞれのセラミックス分体に形成されたセルの大きさ(セル形状)は、同じであっても、異なっていても、いずれでもよい。それぞれのセラミックス分体のセルの大きさ(セル形状)は、同じであることが好ましい。
【0029】
本発明の塗布方法において、ハニカム基材は、略円柱形状を有する。この略円柱形状は、角柱状のハニカム基材を製造し、その後、外周を切削して略円柱状に成形することで形成できる。略円柱状に成形する方法は、従来のようにノコギリなどの切削手段を用いて成形する方法を用いてもよいが、円筒状の切削歯をもつコアドリルなどの切削器具を用いて成形する方法であることが好ましい。コアドリルを用いることで、略円柱状のハニカム基材の外周の真円度が向上する。
【0030】
ハニカム基材の外周面に供給される外周材スラリーは、その材質等が特に限定されるものではなく、従来公知の材質を用いることができる。たとえば、SiC、シリカ系化合物、チタン酸アルミニウムなどのアルミナ系化合物などを用いることができる。
【0031】
本発明の塗布方法において、塗布後に形成される外周材スラリーの塗布層の厚さは、特に限定されるものではない。外周材スラリーを塗布後にハニカム基材を乾燥、焼成したときに外周材スラリーの焼成体よりなる外周材層の厚さが、最も薄い部分で0.5mm以上をなすように、外周材スラリーが塗布されることが好ましい。
【0032】
本発明の塗布方法は、車両のエンジンなどの内燃機関の排気系に組み付けられる排ガス浄化用触媒やDPFなどに用いられるハニカム構造体の製造時に用いることができる。
【0033】
本発明の塗布方法は、ハニカム基材が回転した状態で外周面に外周材スラリーを塗り伸ばすことから、外周材スラリーが塗布された状態のハニカム基材の軸方向に垂直な断面の外周形状は、真円形状となる。この塗布体を乾燥、焼成する形成されるハニカム構造体が真円形状の外周形状をもつこととなる。
【0034】
(ハニカム構造体)
本発明のハニカム構造体は、上記したハニカム構造体の外周材の塗布方法を用いて外周材スラリーをハニカム基材の外周面に塗布してなるハニカム構造体である。
【0035】
そして、本発明のハニカム構造体は、軸方向に垂直な断面において、外形の短径と長径との比が0.95以上である。外形の短径と長径との比が0.95以上となることで、ハニカム構造体の断面が凹凸のない真円となり、DPFなどの車両の排気の浄化に用いられるときに、排気管への挿入が容易となる。より具体的には、ハニカム構造体の外周面に凹凸が存在すると、凸部が排気管の内周面に当接して挿入に過剰な力を要するようになる。また、挿入時に凸部と排気管との摺接により凸部の周辺部の外周材層に損傷を生じるようになり、この外周材層の損傷がハニカム構造体の損傷を生じさせる。また、外周面に凹部が存在すると、排気管の内周面と凹部とに区画された空間を排ガスが通過するようになり、セルを通過しない排ガスが存在することとなり、ハニカム構造体を用いての排ガスの浄化特性が低下することとなる。
【0036】
本発明のハニカム構造体において、短径と長径の比は、より大きい(より1に近い)ことが好ましく、0.97以上がより好ましい。さらに好ましくは、0.99以上である。
【0037】
(外周材の塗布装置)
本発明の外周材の塗布装置は、保持手段、回転手段、外周材スラリー供給手段およびヘラ部材を有する。本発明の外周材の塗布装置は、上記の外周材の塗布方法を用いてハニカム基材の外周面に外周材スラリーを塗布する塗布装置である。
【0038】
保持手段は、軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を中心軸が水平方向にのびた状態で保持する。保持手段は、ハニカム基材を保持する手段である。保持手段がハニカム基材を水平方向に保持することで、上方から外周材スラリーを滴下したときに、保持されたハニカム基材に傾きが存在すると、外周面状をスラリーが移動し、スラリーの厚さにムラ(バラツキ)が生じやすくなる。
【0039】
保持手段は、ハニカム基材のそれぞれの端面に当接する一対の端面保持部材と、ハニカム基材が回転したときの回転中心とハニカム基材の中心軸と一致する位置にハニカム基材をガイドするガイド部材と、を有することが好ましい。保持手段が、端面保持部材とガイド部材とをもつことで、ハニカム構造体の中心軸を回転手段により付与される回転の回転中心とを一致することができる。
【0040】
ガイド部材は、ハニカム基材を所定の位置にガイドすることができる構成であれば特に限定されるものではなく、ハニカム基材の断面の外周形状と一致する内周形状をもつ略板状の部材や、ハニカム基材の外周面を回転中心方向に押圧する外周押圧部材、回転中心から所定の間隔に内周面が位置する受け部材と受け部材に向けてハニカム基材を付勢する付勢部材とからなる部材などをあげることができる。
【0041】
ガイド部材は、ハニカム基材が端面保持部材により保持されたときにハニカム基材の外周面から脱離することが好ましい。ガイド部材がハニカム基材の外周面から脱離することで、ハニカム基材の外周面の全面が露出することとなり、外周面の全面に外周材スラリーを塗布することが可能となる。
【0042】
すなわち、ガイド部材は、ハニカム基材の外周面を回転中心方向に押圧し、ハニカム基材が端面保持部材により保持されたときにハニカム基材の外周面から脱離する外周押圧部材を複数有することが好ましい。外周押圧部材を複数有することで、ハニカム基材の中心軸を回転中心とすることができる。複数の外周押圧部材は、ハニカム基材の周方向において、少なくとも所定の間隔ごとに配置されることが好ましく、等間隔に配置されることがより好ましい。
【0043】
回転手段は、保持手段に回転を付与して保持手段に保持されたハニカム基材を中心軸を回転中心として回転させる。すなわち、回転手段は、保持手段を介してハニカム基材を回転させる手段である。
【0044】
外周材スラリー供給手段は、ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する手段である。外周材スラリー供給手段は、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーを供給することができる手段であれば特に限定されるものではなく、保持手段に保持されたハニカム基材の鉛直上方に開口したスラリー吐出口からスラリーを滴下する装置、外周材スラリーをハニカム基材の外周面に噴射するスプレー装置などの装置をあげることができる。また、スラリー供給手段は、ヘラと一体に形成されていてもよい。
【0045】
ヘラ部材は、周方向に交差する方向にのびるとともにハニカム基材の中心軸から所定の間隔を隔てた位置に配置され、外周材スラリーが供給されたハニカム基材の外周形状を成形する部材である。つまり、ヘラ部材のハニカム基材との当接部がハニカム基材の中心軸(回転中心)から所定の間隔を隔てた位置に当接部が配置されたことで、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーが供給された状態で回転したときに、ハニカム基材の外周面とヘラ部材の当接部との間に外周材スラリーが塗り伸ばされる。また、ハニカム基材の外周面上で当接部よりも厚く外周材スラリーが付着しているときには、ヘラ部材により過剰な外周材スラリーが塗り伸ばされたり、掻き落とされたりする。
【0046】
ヘラ部材は、ハニカム基材との当接部が少なくともハニカム基材の軸方向に伸びた形状であれば、当接部が直線上であっても、らせん状の一部を形成する湾曲形状を形成していてもよい。ヘラ部材は、当接部がハニカム基材の軸方向に平行にもうけられたことが好ましい。さらに好ましくは、当接部が直線状をなし、かつ当接部がハニカム基材の軸方向の長さ以上の長さに形成された形態である。このような形態となることで、一度にハニカム基材の外周面の全面の成形を行うことができる。
【0047】
本発明の塗布装置は、ヘラ部材に掻き落とされた外周材スラリーを捕集する捕集手段と、捕集手段に捕集された外周材スラリーを外周材スラリー供給手段に供給する循環手段と、を有することが好ましい。捕集手段と循環手段とを有することで、ヘラ部材に掻き落とされた外周材スラリーを再びスラリー供給手段からハニカム基材に供給することができる。これにより、外周材スラリーのロスを低減できる。
【0048】
循環手段は、捕集した外周材スラリーの粘度を調整する粘度調整手段を有することが好ましい。粘度調整手段を有することで、捕集したスラリーの性質が安定し、捕集したスラリーの再利用が容易になるだけでなく、塗布されたスラリーの性質が安定する。より具体的には、ハニカム基材から掻き落とされた状態のスラリーはダマが生じやすい。捕集したスラリーの粘度を調節することでこのような問題の発生を抑えることができる。
【0049】
粘度調整手段は、捕集した外周材スラリーの粘度を調整することができる装置であれば、特に限定されるものではなく、たとえば、捕集したスラリーの温度を制御する調温手段、捕集したスラリーに剪断応力を付与する応力付与手段、などを挙げることができる。
【0050】
循環手段は、さらに、外周材スラリーの量が所定量から不足したときに外周材スラリーを追加するスラリー追加手段を有することが好ましい。スラリー追加手段を有することで、連続的な外周材スラリーの塗布を行うことができる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0052】
本発明の実施例として、ハニカム基材の外周面に外周材スラリーを塗布する塗布装置を製造した。
【0053】
(外周材スラリーの塗布装置)
本実施例の外周材スラリーの塗布装置1は、ハニカム基材2の両端を保持する保持部材3、保持部材3を回転させるモータ4、ヘラ5、外周材スラリー供給手段6、スラリー捕集手段70、スラリー循環手段75、温度調整手段8を有する。本実施例の外周材スラリーの塗布装置1の主な構成を図1に示した。
【0054】
保持部材3は、略円柱状のハニカム基材2の端面に当接するとともに当接した端面を押圧する端部保持部材30と、ハニカム基材2の外周面と当接するとともにハニカム基材2を所定の位置にガイドするガイド部材35と、を有する。
【0055】
端部保持部材30,31は、ハニカム基材2の断面の外形と一致する円板状を有する。そして、この円板状の端部保持部材30,31の一方の表面がハニカム基材2の端面と当接する。端部保持部材30は、円板状の他方の表面がハニカム基材2の端面を押圧する押圧力を付与する圧力発生手段と接続され、圧力発生手段により発生した圧力によりハニカム基材2の端面を押圧する。そして、端部保持部材30,31はハニカム基材2の両端のそれぞれの端部を保持できるように一対でもうけられており、ハニカム基材2の両端面から押圧することで、ハニカム基材2が保持される。
【0056】
ガイド部材35は、端部保持部材30,31の外周に等間隔で二つ配置された略棒状(あるいは略帯状)の部材である。略棒状のガイド部材35は、保持部材3に保持された状態のハニカム基材2の軸方向にのびた状態で配置されている。また、ガイド部材35は、保持部材3に保持された状態のハニカム基材2の軸方向に変移可能な状態で配置されている。ガイド部材35は、ハニカム基材2の外周に当接可能な位置とハニカム基材2の外周から脱離した位置との間で変移する。なお、本実施例においては、ガイド部材35はハニカム基材2の軸方向に変移するが、径方向に変移する形態としてもよい。さらに、ガイド部材35は、ハニカム基材2の外周面との当接部が、ハニカム基材の外周面の湾曲形状に沿った湾曲形状をなしていてもよい。
【0057】
モータ4は、回転軸40を介して端部保持部材30に接続され、端部保持部材30の中心を回転中心とする回転力を付与する。
【0058】
ヘラ5は、長手方向の長さがハニカム基材2の長さよりも長い帯状を有し、幅方向の一方の端部が他方の端部よりもハニカム基材2の中心軸に近接した状態で、ハニカム基材2の外方に配置されている。ヘラ5は、長手方向がハニカム基材2の中心軸に平行な状態であり、かつハニカム基材2の中心軸からの距離を変化可能にもうけられている。
【0059】
本実施例において、ヘラ5は、鉛直上方に配置された上方ヘラ50と、側面に配置された側方ヘラ51と、の二つのヘラよりなる。上方ヘラ50は、帯の幅方向が鉛直方向に沿って配置される。側方ヘラは、ハニカム基材2の回転する方向に対して幅方向の一方の端部が上流側に位置し他方の端部が下流側に位置した状態で(ハニカム基材2の径方向に対して傾斜した状態で)配置される。
【0060】
外周材スラリー供給手段6は、外周材スラリーを貯留する図示されない貯留手段からの外周材スラリーを保持部材3に保持されたハニカム基材2の外周面の鉛直上方に開口した吐出口60から吐出するようにもうけられた装置である。本実施例において、吐出口60は、保持部材3に保持されたハニカム基材2の軸方向に沿って複数が並んだ状態で開口している。
【0061】
スラリー捕集手段70は、保持部材3に保持されたハニカム基材2の鉛直下方に配置された槽状の容器である。スラリー捕集手段70は、保持部材3に保持されたハニカム基材2の外周面から落下した外周材スラリーを捕集する。
【0062】
スラリー循環手段75は、スラリー捕集手段70において捕集された外周材スラリーを外周材スラリー供給手段6の貯留手段に供給する装置である。
【0063】
温度調整手段8は、外周材スラリー供給手段6、スラリー捕集手段70およびスラリー循環手段75を流れる外周材スラリーの温度を調節するための手段であり、外周材スラリー供給手段6およびスラリー循環手段75における外周材スラリーの流路ならびに貯留手段およびスラリー捕集手段70の槽状の容器の外周に配置された冷却水流路80と、冷却水流路80内を流れる冷却水の温度を調節する調温装置81と、を有する。ここで、冷却水流路80を流れる冷却水は、外周材スラリーの温度よりも高くても、低くてもよい。また、冷却水は、水あるいは水系溶液だけでなくそれ以外の流体であってもよい。
【0064】
(DPF用ハニカム構造体の製造)
上記の外周材スラリーの塗布装置1を用いてハニカム構造体を製造した。
【0065】
まず、ハニカム基材2を製造した。
【0066】
軸方向に多数のセルが形成された柱状のチタン酸アルミニウムよりなるセラミックス分体20を従来公知の製造方法で製造した。セラミックス分体20は、断面が正方形状に区画されたセルをもつ。このセラミックス分体20を図2に示した。
【0067】
つづいて、固形分がほぼチタン酸アルミニウム粒子よりなるスラリーを調製した。なお、このスラリーは、粘度調整材等の添加剤を含む。そして、このスラリーを、接合体の両端の端部から所定のセルに注入し、乾燥させた。ここで、所定のセルとは、スラリーが注入されたセルが市松模様状をなすようにもうけられている。また、セルの一方の端部と他方の端部のいずれかの端部にスラリーが注入され、スラリーが注入されないセルは存在しなかった。
【0068】
その後、注入されたスラリーを乾燥した後に加熱・焼成してスラリーを固化させて封止材とし、セルを封止した。
【0069】
そして、封止材でセルが封止されたセラミックス分体20同士をSiC系接合材で接合した。接合材による接合は、厚さが1.5〜2.0mmとなるように接合材を塗布した後、別のハニカム分体2をすりあわせて接合した。この接合を繰り返して、断面が正方形をなすように16個のセラミックス分体20を接合した。その後、80℃で接合材を乾燥した後に750℃で加熱・焼成して接合材を固化させた。
【0070】
そして、この焼成体をコアドリルを用いて切削し、軸方向にセルがのびる略円柱状のハニカム基材2が製造された。製造されたハニカム基材2を、その構成がわかるように、端面で図3に示した。ハニカム基材2は、複数の多孔質のチタン酸アルミニウムセラミックスよりなるセラミックス分体20が接合材層21を介して接合された構成を有している。なお、ハニカム基材2の周方向の外周面は、セルを区画する隔壁による凹凸が形成されている。
【0071】
つづいて、製造されたハニカム基材2の外周面に塗布装置1を用いて外周材スラリーを塗布した。
【0072】
まず、ハニカム基材2の一方の端部を端部保持部材30に保持させる。端部保持部材30によるハニカム基材2の一方の端部の保持は、端部保持部材30の外周に配されたガイド部材35の内部に挿入することでなされた。挿入されたハニカム基材2は、ガイド部材35の作用により、中心軸が端部保持部材30の中心と一致した状態で保持された。
【0073】
そして、圧力発生手段を駆動して端部保持部材30を端部を端部保持部材31方向に変移させる。この変移により、端部保持部材30に保持されたハニカム基材2の他方の端部が端部保持部材31のガイド部材35内に挿入された。そして、さらに、端部保持部材30の変移を続け、ハニカム基材2を一対の端部保持部材30,31で狭持した。そして、端部保持部材30,31のそれぞれのガイド部材35を変移して、ハニカム基材2の外周面を露出した。
【0074】
これにより、ハニカム基材2が塗布装置1の保持部材3に保持された。
【0075】
外周材スラリー供給手段6の貯留手段に外周材スラリーを貯留させた。この外周材スラリーは、固形分がほぼチタン酸アルミニウム粒子よりなるスラリーである。このスラリーは、粘度調整材等の添加剤を含む。
【0076】
そして、塗布装置1のモータ4を作動した。モータ4が作動すると、回転軸40を介して端部保持部材30がその中心を回転中心として回転した。端部保持部材30が回転すると、端部保持部材30に保持されたハニカム基材2も中心軸を回転中心として追従して回転した。
【0077】
ハニカム基材2が回転した状態のときに、外周材スラリー供給手段6を作動して、吐出口60から外周材スラリーを吐出した。吐出口60から吐出した外周材スラリーは、鉛直下方に落下し、ハニカム基材2の外周面に付着した。外周材スラリー供給手段6の作動により連続的に吐出口60から外周材スラリーがハニカム基材2の外周面に供給された。ハニカム基材2は回転しており、落下した外周材スラリーの付着部分が周方向に変移している。
【0078】
そして、吐出口60から外周材スラリーがハニカム基材2の外周面に連続的に供給され、ハニカム基材2の外周面に付着した外周材スラリーの付着厚さが十分に厚くなると、ハニカム基材2の中心軸から所定の位置に配置されたヘラ5の一方の端部が外周材スラリーに当接する。ハニカム基材2の外周面に付着した外周材スラリーがヘラ5と当接すると、外周材スラリーがヘラ5の一方の端部以上の厚さとならなくなる。ヘラ5に当接した部分の外周材スラリーは塗りのばされることとなる。この状態が続くと、ハニカム基材2の外周面の全面において、ヘラ5の一方の端部が外周材スラリーと当接するようになる。
【0079】
また、ヘラ5と当接した外周材スラリーのうち一部は、ヘラ5から鉛直下方に落下し、スラリー捕集手段70の槽状の容器に捕集される。スラリー捕集手段70に捕集された外周材スラリーは、スラリー循環手段75により外周材スラリー供給手段6の貯留手段に供給される。スラリー捕集手段70から外周材スラリー供給手段6の貯留手段への移動時に外周材スラリーには剪断応力が付与され、スラリー固形粒子の沈降等が抑えられる。
【0080】
これにより、ハニカム基材2の外周面に外周材スラリーの塗布が終了した。
【0081】
なお、温度調整手段8により、塗布装置1に用いられる外周材スラリーの温度が所定の温度に保持され、これにより、外周材スラリーの粘度が一定に保持された。
【0082】
ハニカム基材2の外周面の全面に外周材スラリーの塗布が終了したら、ヘラ5をハニカム基材2の径方向外方に変移して、外周材スラリーが塗布されたハニカム基材2から脱離した。ヘラ5が脱離したら、ハニカム基材2に塗布された外周材スラリーを乾燥させ、その後、ハニカム基材2を保持手段3から取り外した。
【0083】
その後、外周材スラリーを加熱・焼成し、外周材スラリーを焼成して外周材層とした。これにより、本実施例のDPF用ハニカム構造体9が製造できた。製造されたハニカム構造体9を、その構成がわかるように、端面で図4に示した。
【0084】
製造されたハニカム構造体9は、複数の多孔質のチタン酸アルミニウムセラミックスよりなるセラミックス分体20が接合材層21を介して接合されてなるハニカム基材2と、ハニカム基材2の外周面上に形成された外周材層90と、を備えた構成を有している。ハニカム構造体9は、ハニカム基材2の外周面を区画するセルの内部にも外周材スラリーが充填されており、このセルの内部にも外周材層90が形成された。
【0085】
ハニカム構造体9において、外周材層90は、もっとも薄い部分の厚さが0.5mm以上となるように形成されている。また、ハニカム構造体9は、断面(軸方向に垂直な断面)における外周形状が真円形状をなしていた。具体的には、断面での外周形状の短径と長径の比が0.995(ほぼ1.0)であった。
【0086】
上記したように、本実施例の塗布装置1は、断面がほぼ真円形状のハニカム構造体を製造することができた。また、本実施例の塗布装置1は、従来の手作業での外周材の塗布と比較して、作業時間を短縮することができた。さらに、本実施例の塗布装置1は、連続して外周材スラリーの塗布を行うことができ、多数のハニカム構造体の製造に要する時間を短縮できる効果を発揮した。
【0087】
(塗布装置の第一の変形形態)
上記の外周材スラリーの塗布装置1は、図5に示したように、保持部材3のガイド部材35の先端部がハニカム基材2の外周面と当接しないように広がったテーパ状に湾曲した略棒状を有していてもよい。ガイド部材35がこのような形状となることで、ハニカム基材2を保持させるための挿入を簡単に行うことができるようになる。なお、本変形形態を示した図5は、端部保持部材30の近傍のみを示した。
【0088】
(塗布装置の第二の変形形態)
上記の外周材スラリーの塗布装置1は、図6〜7に示したように、ガイド部材35が受け部材36と付勢部材37とからなる構成であってもよい。ガイド部材35がこのような形状となることで、ハニカム基材2を保持させるための挿入を簡単に行うことができるようになる。なお、図6は端部保持部材30の近傍を示した図であり、図7は図6中のI−I線における断面図でありガイド部材35の動作を示した図である。
【0089】
受け部材36は、端部保持部材30,31の外周に配置された、周方向に湾曲した板状の部材である。受け部材36は、内周面がハニカム基材2の外周面と同じ曲率半径〜大きな曲率半径で湾曲している。受け部材36は、内周面と回転中心との最も近接した距離が、ハニカム基材2の内径となるように配置されている。
【0090】
付勢部材37は、受け部材36の配置された位置に対称な位置に配置され、径方向に往復動可能に配置された略帯状の部材である。付勢部材37は、受け部材36方向に、ハニカム基材2を付勢する部材である。より具体的には、受け部材36の内周面と回転中心との最も近接した部分に向けて、ハニカム基材2を付勢する。
【0091】
なお、本変形形態は、受け部材36および付勢部材37は、第一の変形形態のガイド部材35と同様に、その先端部が拡径するように形成されている。このような形状となることで、ハニカム基材2を保持させるための挿入を簡単に行うことができるようになる。また、受け部材36および付勢部材37は、先端部が拡径していない板状あるいは帯状であってもよい。
【0092】
本変形形態は、付勢部材37がハニカム基材2を受け部材36に付勢することで、ハニカム基材2の中心軸を回転中心に一致させる。ガイド部材35がこのような構成となることで、ハニカム基材2を所定の位置に保持させることを簡単に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施例の外周材スラリーの塗布装置の構成を示した図である。
【図2】ハニカム基材のセラミックス分体を示した図である。
【図3】ハニカム基材を示した図である。
【図4】ハニカム構造体の構成を示した図である。
【図5】実施例の外周材スラリーの塗布装置の変形形態のガイド部材の構成を示した図である。
【図6】実施例の外周材スラリーの塗布装置の変形形態のガイド部材の構成を示した図である。
【図7】実施例の外周材スラリーの塗布装置の変形形態のガイド部材の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0094】
1:塗布装置
2:ハニカム基材
3:保持部材
4:モータ
5:ヘラ
6:外周材スラリー供給手段
70:スラリー捕集手段
75:スラリー循環手段
8:温度調節手段
9:ハニカム構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を、その中心軸が水平方向にのびた状態で、該中心軸を回転中心として周方向に回転する工程と、
該ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する工程と、
該ハニカム基材の該外周面に該外周材スラリーが供給された状態でありかつ該ハニカム基材が回転した状態で、該ハニカム基材の該中心軸から所定の間隔を隔てた位置にヘラ部材を配置して外周形状を成形する工程と、
を有することを特徴とするハニカム構造体の外周材の塗布方法。
【請求項2】
前記ハニカム基材は、前記外周面を複数箇所で前記回転中心方向に押圧して前記中心軸と該回転中心とを一致させ、該中心軸と該回転中心とが一致した状態で両端面のそれぞれを一対の端面保持部材で押圧することで保持された状態で回転する請求項1記載のハニカム構造体の外周材の塗布方法。
【請求項3】
前記ヘラ部材は、前記ハニカム基材との当接部が、該ハニカム基材の周方向に交差する方向にのびる請求項1記載のハニカム構造体の外周材の塗布方法。
【請求項4】
前記ヘラ部材は、前記当接部が前記ハニカム基材の軸方向に平行にもうけられた請求項3記載のハニカム構造体の外周材の塗布方法。
【請求項5】
軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を、その中心軸が水平方向にのびた状態で、該中心軸を回転中心として周方向に回転する工程と、
該ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する工程と、
該ハニカム基材の該外周面に該外周材スラリーが供給された状態でありかつ該ハニカム基材が回転した状態で、該ハニカム基材の該中心軸から所定の間隔を隔てた位置にヘラ部材を配置して外周形状を成形する工程と、
を施されてなり、
軸方向に垂直な断面において、外形の短径と長径との比が0.95以上であることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項6】
軸方向にのびる複数のセルをもつ略円柱状のハニカム基材を中心軸が水平方向にのびた状態で保持する保持手段と、
該保持手段に回転を付与して該保持手段に保持された該ハニカム基材を該中心軸を回転中心として回転させる回転手段と、
該ハニカム基材の周方向の外周面に外周材スラリーを供給する外周材スラリー供給手段と、
該周方向に交差する方向にのびるとともに該ハニカム基材の中心軸から所定の間隔を隔てた位置に配置され、該外周材スラリーが供給された該ハニカム基材の外周形状を成形するヘラ部材と、
を有することを特徴とする外周材の塗布装置。
【請求項7】
前記保持手段は、
前記ハニカム基材のそれぞれの端面に当接する一対の端面保持部材と、
該ハニカム基材が回転したときの回転中心と該ハニカム基材の中心軸と一致する位置に該ハニカム基材をガイドするガイド部材と、
を有する請求項6記載の外周材の塗布装置。
【請求項8】
該ガイド部材は、前記ハニカム基材の前記外周面を前記回転中心方向に押圧し、該ハニカム基材が前記端面保持部材により保持されたときに該ハニカム基材の外周面から脱離する外周押圧部材を複数有する請求項7記載の外周材の塗布装置。
【請求項9】
前記ヘラ部材は、前記ハニカム基材との前記当接部が、該ハニカム基材の周方向に交差する方向にのびる請求項6記載の外周材の塗布装置。
【請求項10】
前記ヘラ部材は、前記当接部が前記ハニカム基材の軸方向に平行にもうけられた請求項9記載の外周材の塗布装置。
【請求項11】
前記ヘラ部材に掻き落とされた前記外周材スラリーを捕集する捕集手段と、
該捕集手段に捕集された該外周材スラリーを前記外周材スラリー供給手段に供給する循環手段と、
を有する請求項6記載の外周材の塗布装置。
【請求項12】
前記循環手段は、捕集した前記外周材スラリーの粘度を調整する粘度調整手段を有する請求項11記載の外周材の塗布装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−93627(P2008−93627A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281449(P2006−281449)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000220767)東京窯業株式会社 (211)
【Fターム(参考)】