説明

ハロゲン化選択的アンドロゲン受容体調節剤及びその使用方法

本発明は、選択的アンドロゲン受容体調節剤(SARM)である、新しい種類のアンドロゲン受容体標的物質(ARTA)を提供する。このSARM化合物のいくつかは、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を有することが分った。別のSARM化合物は、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬ抗アンドロゲン活性を有することが分った。これらのSARM化合物は、(a)男性避妊、(b)様々なホルモンに関連する病気(高齢男性におけるADAMに関連する病気)の治療、(c)ADIFに関連する病気の治療、(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防、(e)ドライアイの治療及び/又は予防、(f)経口アンドロゲン補充療法、(g)前立腺癌の発病の減少、又は(h)前立腺癌の停止又は退行などに有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的アンドロゲン受容体調節剤(selective androgen receptor modulator:SARM)である、新しい種類のアンドロゲン受容体標的物質(androgen receptor targeting agent:ARTA)を提供する。これらのSARM化合物は、次の(a)〜(h)に有効である。(a)男性の避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、けん怠感、憂うつ、性欲減退、性的不全、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、肥満、筋肉減少症、骨減少症、良性前立腺肥大症、気分・認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)女性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Female:ADIF)に関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、性的不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分・認識力の変調、貧血、憂うつ、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。
【背景技術】
【0002】
アンドロゲン受容体(AR)は、その内因性アンドロゲンとの活性を介して男性の性的発育及び機能の誘導を仲立ちする、リガンドが活性化された転写調節タンパク質である。アンドロゲンは、一般に、男性ホルモンとして知られている。男性ホルモンは、体内で睾丸及び副腎の皮質により生成される、又は実験室で合成されるステロイドである。アンドロゲン性ステロイドは、男性の性的特徴(例えば、筋肉や骨量)の発育及び維持、前立腺の成長、精子形成、及び男性の髪状態などの、多数の生理学的過程において重要な役割を果たす(Matsumoto, Endocrinol. Met. Gun. N. Am. 23: 857-75, 1994)。前記した内因性のステロイド性アンドロゲンとしては、テストステロンやジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone:DHT)がある。テストステロンは、睾丸から分泌される主要なステロイドである。また、テストステロンは、男性の血漿中に含まれている主要な循環アンドロゲンである。テストステロンは、多くの末梢組織で、5αレダクターゼによってDHTに変換される。したがって、DHTは、ほとんどのアンドロゲン作用において、細胞内媒介物としての機能を果たすと考えられている(Zhou, et al., Molec. Endocrinol. 9: 208-18, 1995)。他のステロイド性アンドロゲンとしては、テストステロンのエステル類(例えば、シピオネート、プロピオン酸、フェニルプロピオン酸、シクロペンチルプロピオネート、イソカルポレート(isocarporate)、エナント酸、及びデカン酸エステル)や、他の合成アンドロゲンがある。前記合成アンドロゲンとしては、例えば、7−メチル−ノルテストステロン(7-Methyl-Nortestosterone:MENT)や、その酢酸エステルなどがある(Sundaram et al., "7 Alpha-Methyl-Nortestosterone(MENT): The Optimal Androgen For Male Contraception," Ann. Med., 25:199-205, 1993, "Sundaram")。ARは男性の性的発育及び機能に関与しているので、ARは効果的な男性避妊や他のホルモン補充療法の目的に有望である。
【0003】
世界的な人口増加に伴って家族計画に対する社会意識が高まったことにより、避妊についての多くの調査が行われた。どのような場合でも、避妊は難しい問題である。それは、文化的及び社会的不名誉、宗教的な意味合い、そして、間違いなく、重大な健康上の懸念を伴っている。こうした状況は、この問題を男性避妊について焦点を当てた場合は、とても深刻である。適切な避妊具を利用できるのにもかかわらず、従来、社会は、避妊の決断とその結果についての責任は女性にあると見なしていた。また、性病への関心は、安全で責任のある性癖を向上させる必要性を、男性により強く意識させるようになったが、女性は依然として頻繁に避妊具の選択の矢面に立たされている。女性は、スポンジやペッサリー(diaphragm)などの一時的な機械的器具から、殺精子剤などの化学的器具まで、多くの選択肢を有している。また、女性は、例えば避妊リング(intrauterine device:IUD)や子宮頚管キャップなどの物理的器具という、より長持ちする選択肢を有している。同様に、女性は、経口避妊薬や皮下植込錠などの化学的処置という、より長持ちする選択肢を有している。しかしながら、今日まで、男性が利用できる選択肢は、コンドームとパイプカットだけであった。コンドームの使用は、性的感度の減少、性的な自然さの障害、及び破損や誤用により妊娠する可能性が高いことにより、多くの男性にとって好まれてはいない。パイプカットもまた好まれてはいない。もし、男性がより便利な避妊方法を利用できれば、特に、準備が不要で、性行為の直前に作用し、長時間持つ方法があれば、そのような方法は男性が避妊に対してより多くの責任を取るようになる可能性を著しく増大させるであろう。
【0004】
この点について、男性ステロイド(例えば、テストステロン及びその派生物)の投与は、それらの化合物のゴナドトロピン抑制とアンドロゲン代用特性との組み合わせにより、特に有望である(Steinberger et al., "Effect of Chronic Administration of Testosterone Enanthate on Sperm Production and Plasma Testosterone, Follicle Stimulating Hormone, and Luteinizing Hormone Levels: A Preliminary Evaluation of a Possible Male Contraceptive, " Fertility and Sterility 28: 1320-28, 1977)。大量のテストステロンの長期投与は、精子増殖を完全に止める(無精子症)、又は精子増殖をとても低いレベルまで減少させる(精子減少)。不妊症を実現するために、ある程度の精子形成の抑制が必要であるということは、正確には知られていない。また、世界保健機関(World Health Organization:WHO)による最近の報告では、週1回のテストステロン・エナント酸の筋肉注射は、無精子又は重度の精子減少(例えば、精子は3百万個/ml未満となる)をもたらし、治療を受けた男性の98%が不妊症となることが分っている(World Health Organization Task Force on Methods And Regulation of Male Fertility, "Contraceptive Efficacy of Testosterone-Induced Azoospermia and Oligospermia in Normal Men, " Fertility and Sterility 65: 21-29, 1996)。
【0005】
筋肉注射後にゆっくりと吸収されて男性ホルモン作用を強める、様々な種類のテストステロン・エステルが開発されている。テストステロン・エナント酸は、それらのエステルの中で最も幅広く使用されている。テストステロン・エナント酸は、男性避妊用のホルモン剤を実現するという点で有益である。しかし、週1回の注射が必要であることや、筋肉注射の直後にテストステロンのピーク水準が生理的環境を超えることなどのいくつかの欠点を含んでいる(Wu, "Effects of Testosterone Enanthate in Normal Men: Experience From a Multicenter Contraceptive Efficacy Study," Fertility and Sterility 65: 626-36, 1996)。
【0006】
ARと結合し、アンドロゲン(例えば、テストステロン・エナント酸)又は抗アンドロゲン(例えば、酢酸シプロテロン)としての機能を果たすステロイド性のリガンドは、長年知られており臨床的に使用されている(Wu 1988)。また、非ステロイド系の抗アンドロゲンはホルモン依存性前立腺癌の臨床に用いられるが、非ステロイド系のアンドロゲンは報告されていない。このため、男性の避妊についての研究は、もっぱらステロイド系合成物に集中している。
【0007】
前立腺癌は、アメリカ合衆国の男性に最も頻繁に発生する癌の1つであり、毎年、数十万人もの新しい患者が診断されている。残念なことに、新しく診断された患者の60%以上が病理的に進行しており、不治であり予後は思わしくないことが分っている。この問題に対する1つの方法は、検診によって前立腺癌を早期に発見し、それによって進行性の前立腺癌患者の数を減少させることである。また、他の方法は、前立腺癌を予防する薬剤を開発することである。50歳以上の全男性の3分の1は、生命にかかわる臨床的な前立腺癌の形態を活性化させる潜在性の前立腺癌を有している。潜在性の前立腺腫瘍の発生頻度は、50代(5.3〜14%)から90代(40〜80%)までの間で、10年間毎に大幅に増加することが知られている。全ての文化、民族及び人種の間で潜在性の前立腺癌を有している人が同じように増えているが、臨床的に悪性な癌の発生頻度は著しく異なっている。これは、潜在性の前立腺癌を活性化させる上で、環境の要因が重要な役割を果たしていることを示唆している。したがって、前立腺癌の治療方法及び予防方法の開発は、前立腺癌について医学的及び経済的に大きな全体的な影響を与えるであろう。
【0008】
骨粗鬆症は全身性の骨疾患であり、骨量が減少し骨組織が劣化するという特徴がある。そのため、骨の脆弱性が増し、骨折しやすくなる。アメリカ合衆国では、この病気は、毎年、2500万人以上の人々に影響を与えており、1300万人以上の人々に害を与えている(毎年、50万人が背骨を骨折し、25万人が股関節を骨折し、24万人が手首を骨折している)。股関節の骨折は骨粗鬆症の最も深刻な結果であり、毎年、患者の5〜20%は死亡し、生存者の50%以上が再起不能となっている。高齢者は、骨粗鬆症となる危険が最も高い。そのため、この問題は高齢化社会が進むにつれて著しく増加すると予測される。世界中での骨折の発生率は、次の60年間で3倍になると予測されている。そして、ある調査では、2050年には世界中で4500万人の股関節骨折が起こると推測している。
【0009】
女性は、男性よりも骨粗鬆症となる危険性が高い。女性は、閉経後の5年間で、骨量が急激に減少する。危険性を高める他の要因としては、喫煙、アルコールの過剰摂取、ほとんど運動しない生活習慣、及びカルシウム摂取の不足がある。また、骨粗鬆症は、男性にも高い頻度で発生する。男性の骨ミネラル濃度が年を取ると共に減少するということはよく知られている。ミネラル含有量及び濃度の減少は、骨強度の減少と相関しており、骨折しやすくなる。非再生組織での性ホルモンの多面発現効果の基礎をなす分子構造は、まだ理解され始めたばかりであるが、アンドロゲン及びエストロゲンの生理的濃度が、生涯を通じて骨の恒常性に対して重要な役割を果たすということは明らかである。したがって、アンドロゲン又はエストロゲンの欠乏が生じると、結果として骨再形成の割合が増加し、再吸収と形成のバランスが、骨量の全体的な損失の原因となる再吸収の方に傾く。男性では、壮年時における性ホルモンの自然的な減少は(アンドロゲンの末梢組織における芳香化から生じるエストロゲンと同様の低いレベルまで、アンドロゲンが減少する)、骨のもろさと関係がある。このことは、去勢された男性にも見られる。
【0010】
高齢男性におけるアアンドロゲンの減少(Androgen Decline In The Aging Male:ADAM)は、アンドロゲン生成の進行性の減少が原因であり、中年以降の男性によく見られる。この症候群は、アンドロゲン環境と相関関係にある身体的領域及び知的領域の変質に特徴があり、アンドロゲン環境の操作により修正することができる。ADAMは、生化学的に、血清アンドロゲンの減少だけではなく、他のホルモン(例えば、成長ホルモン、メラトニン、及びデヒドロエピアンドロステロン)の減少に特徴がある。臨床的な徴候としては、けん怠感、憂うつ、性欲減退、性的不全、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、肥満、筋肉減少症、骨減少症、良性前立腺肥大症、気分・認識力の変調、及び前立腺癌などがある。
【0011】
女性におけるアンドロゲンの欠乏(Androgen Deficiency In Female:ADIF)は、様々なホルモン関連の病気が原因であり、中年以降の女性によく見られる。この症候群は、性的不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分・認識力の変調、貧血、憂うつ、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌という特徴がある。
【0012】
筋肉疲労は、進行性の筋量の減少、及び/又は進行性の筋肉の弱体化及び退化が原因で起こる。前記筋肉としては、運動を司る骨格筋又は随意筋、心拍制御を行う心筋、及び平滑筋がある。慢性の筋肉疲労は、進行性の筋量の減少、筋肉の弱体化及び退化を特徴とする慢性症状(長期に渡って持続する)である。筋肉疲労中に起こる筋量の減少は、筋肉タンパクを破壊又は分解するという性質を持っている。タンパク分解は、異常に高い率のタンパク質分解、異常に低い率のタンパク質合成、又はそれらの組み合わせにより起こる。タンパク質分解は、高度のタンパク質分解に起因する場合でも、低度のタンパク質合成に起因する場合でも、筋量の減少と筋肉疲労をもたらす。筋肉疲労は、慢性、神経性、遺伝性又は伝染性の、病状、疾病、疾患又は状態と関連している。それらの病状としては、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーや、筋強直緊張性ジストロフィー)、筋萎縮(例えば、ポリオ後筋萎縮。Post-Polio Muscle Atrophy:PPMA)、悪液質(例えば、心臓悪液質や、エイズ悪液質及び癌悪液質)、栄養失調、ハンセン病、糖尿病、腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)、癌、末期腎不全、気腫、骨軟化症、HIV感染、エイズ、及び心筋症がある。さらに、他の環境や状況が筋肉疲労と関係あり、筋肉疲労の原因となる。それらは、慢性的な腰痛、老化、中枢神経系の損傷、末梢神経の損傷、脊髄の損傷、化学的損傷、中枢神経系の傷害、末梢神経の傷害、脊髄の傷害、化学的傷害、熱傷、手足が固定化されたときに生じる廃用症、病気又は負傷のための長期間の入院、及びアルコール依存症などがある。筋肉疲労を治療しないまま放置すると、悲惨な健康状態となる。例えば、筋肉疲労の間に起こる変化は、健康状態を悪化させ個人の健康に害を及ぼす。その結果、感染症にかかりやすくなり、一般状態不良をもたらし、負傷しやすくなる。
【0013】
次の(a)〜(g)に有効である化合物を開発するために、基礎科学と臨床レベルの両方において新規で革新的なアプローチが緊急に必要とされている。(a)男性の避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、けん怠感、憂うつ、性欲減退、性的不全、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、肥満、筋肉減少症、骨減少症、良性前立腺肥大症、気分・認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)女性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Female:ADIF)に関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、性的不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分・認識力の変調、貧血、憂うつ、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、新しい種類のアンドロゲン受容体標的物質(androgen receptor targeting agent:ARTA)を提供する。この物質は、選択的アンドロゲン受容体調節剤(selective androgen receptor modulator:SARM)化合物の新しいサブクラスを定義する。このSARM化合物のいくつかは、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を有することが分った。別のSARM化合物は、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬ抗アンドロゲン活性を有することが分った。これらのSARM化合物は、単独で使用しても組成物として使用しても、次の(a)〜(h)に有効である。(a)男性の避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、けん怠感、憂うつ、性欲減退、性的不全、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、肥満、筋肉減少症、骨減少症、良性前立腺肥大症、気分・認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)女性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Female:ADIF)に関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、生性的不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分・認識力の変調、貧血、憂うつ、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。
【0015】
ある実施形態では、本発明は、次の化学構造式IIaで表されるSARM化合物を提供する。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRである。
【0016】
或いは、ZとYは、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる。
【0017】
Qは、F、Cl、Br又はIであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【0018】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0019】
ある実施形態では、化学構造式IIaにおけるQはFである。他の実施形態では、化学構造式IIaにおけるQはClである。他の実施形態では、化学構造式IIaにおけるQはBrである。他の実施形態では、化学構造式IIaにおけるQはIである。
【0020】
ある実施形態では、化学構造式IIaにおけるXはOである。他の実施形態では、化学構造式IIaにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IIaにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IIaにおけるZはNOである(ただし、QはFではないという条件付である)。他の実施形態では、化学構造式IIaにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IIaにおけるRはCHである。
【0021】
他の実施形態では、化学構造式IIaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、本発明は、次の化学構造式IIbで表されるSARM化合物を提供する。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、H、F、Cl、Br又はIであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、I、Br、Cl、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONH、NHCONHR、NHCONR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHCSNH、NHCSNHR、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の化学構造式A、B又はCで表される縮合環システムと結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【0022】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0023】
ある実施形態では、化学構造式IIbにおけるZはHである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるZはFである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるZはClである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるZはBrである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるZはIである。
【0024】
ある実施形態では、化学構造式IIbにおけるXはOである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるYはCHである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるQはFである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるQはClである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるQはBrである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるQはIである。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるQはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるZはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IIbにおけるYはメタ位置にある。
【0025】
他の実施形態では、化学構造式IIbの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIbの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIbの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIbの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIbの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIbの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式IIbの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、次の化学構造式で表されるSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを提供する。

他の実施形態では、次の化学構造式で表されるSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを提供する。

ある実施形態では、上記したSARM化合物のいずれかは、アンドロゲン受容体アゴニストである。
【0026】
ある実施形態では、本発明は、本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせと、適切な担体又は希釈液とを含んでいる組成物を提供する。
【0027】
他の実施形態では、本発明は、本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体又は希釈液とを含んでいる医薬組成物を提供する。
【0028】
他の実施形態では、本発明は、SARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させる方法を提供する。この方法は、アンドロゲン受容体に、結合させるのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0029】
他の実施形態では、本発明は、患者の精子形成を抑制する方法を提供する。この方法は、患者のアンドロゲン受容体に、精子形成を抑制するのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0030】
他の実施形態では、本発明は、男性患者の避妊方法を提供する。この方法は、患者に、精子形成を抑制するのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0031】
他の実施形態では、本発明は、ホルモン療法を提供する。このホルモン療法は、患者のアンドロゲン受容体に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0032】
他の実施形態では、本発明は、ホルモン補充療法を提供する。このホルモン補充療法は、患者のアンドロゲン受容体に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0033】
他の実施形態では、本発明は、ホルモンに関連する病気の患者を治療する方法を提供する。この方法は、患者に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0034】
他の実施形態では、本発明は、前立腺癌の患者を治療する方法を提供する。この方法は、前立腺癌の患者に、前立腺癌を治療するのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0035】
他の実施形態では、本発明は、前立腺癌を予防する方法を提供する。この方法は、患者に、前立腺癌を予防するのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0036】
他の実施形態では、本発明は、前立腺癌の進行を遅らせる方法を提供する。この方法は、前立腺癌の患者に、前立腺癌の進行を遅らせるのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0037】
他の実施形態では、本発明は、前立腺癌の再発を予防する方法を提供する。この方法は、前立腺癌の患者に、前立腺癌の再発を予防するのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0038】
他の実施形態では、本発明は、前立腺癌の再発を治療する方法を提供する。この方法は、前立腺癌の患者に、前立腺癌の再発を治療するのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0039】
他の実施形態では、本発明は、ドライアイを治療する方法を提供する。この方法は、ドライアイ患者のアンドロゲン受容体に、に、ドライアイを治療するのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0040】
他の実施形態では、本発明は、ドライアイを予防する方法を提供する。この方法は、ドライアイ患者のアンドロゲン受容体に、に、ドライアイを予防するのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0041】
他の実施形態では、本発明は、癌細胞のアポトーシスを促進する方法を提供する。この方法は、癌細胞に、癌細胞のアポトーシスを促進するのに効果的な量の本発明に係るSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0042】
新規である本発明に係る選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物は、単独で使用しても医薬組成物として使用しても、次の(a)〜(h)に有効である。(a)男性の避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、ADAMに関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、けん怠感、憂うつ、性欲減退、性的不全、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、肥満、筋肉減少症、骨減少症、良性前立腺肥大症、気分・認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)ADIFに関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、性的不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分・認識力の変調、貧血、憂うつ、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。
【0043】
本発明に係る選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物は、本発明に係るSARM化合物は、ステロイド性アンドロゲン治療を大幅に進歩させる。選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物のいくつかは、予期せぬアンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしてのアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を示す。別の本発明に係る選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物は、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬ抗アンドロゲン活性を有する。したがって、本発明に係る選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物による治療は、深刻な副作用、投与の不便さ、又はコストの高さなどの短所はなく、経口による生物学的利用能、他のステロイド受容体とは交差反応しない、及び生化学的半減期が長いという長所も有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
ある実施形態では、本発明は、新しい種類のアンドロゲン受容体標的物質(androgen receptor targeting agent:ARTA)を提供する。この物質は、選択的アンドロゲン受容体調節剤(selective androgen receptor modulator:SARM)化合物の新しいサブクラスを定義する。このSARM化合物のいくつかは、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を有することが分った。別のSARM化合物は、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬ抗アンドロゲン活性を有することが分った。これらのSARM化合物は、単独で使用しても組成物として使用しても、次の(a)〜(h)に有効である。(a)男性の避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、けん怠感、憂うつ、性欲減退、性的不全、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、肥満、筋肉減少症、骨減少症、良性前立腺肥大症、気分・認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)女性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Female:ADIF)に関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、性的不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分・認識力の変調、貧血、憂うつ、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。
【0045】
ある実施形態では、本発明は、次の化学構造式Iaで表されるSARM化合物を提供する。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRである。
【0046】
或いは、ZとYは、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる。
【0047】
Qは、F、Cl、Br又はIであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【0048】
(ただし、QがFのときは、ZはNOではないという条件付である)。
【0049】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iaの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、又は結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0050】
ある実施形態では、化学構造式IaにおけるQはFである。他の実施形態では、化学構造式IaにおけるQはClである。他の実施形態では、化学構造式IaにおけるQはBrである。他の実施形態では、化学構造式IaにおけるQはIである。
【0051】
ある実施形態では、化学構造式IaにおけるXはOである。他の実施形態では、化学構造式IaにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IaにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IaにおけるZはNOである(ただし、QはFでないという条件付である)。他の実施形態では、化学構造式IaにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IaにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IaにおけるQはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IaにおけるZはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IaにおけるYはメタ位置にある。
【0052】
ある実施形態では、化学構造式Iaの化合物は、次の化学構造式IIaで表される。

ただし、Z、Y及びQは、上記した化学構造式Iaで定義したとおりである。
【0053】
他の実施形態では、化学構造式Iaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Iaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Iaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Iaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Iaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Iaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Iaの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、本発明は、次の化学構造式Ibで表されるSARM化合物を提供する。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、H、F、Cl、Br又はIであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、I、Br、Cl、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONH、NHCONHR、NHCONR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHCSNH、NHCSNHR、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の化学構造式A、B又はCで表される縮合環システムと結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【0054】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Ibの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、又は結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0055】
ある実施形態では、化学構造式IbにおけるZはHである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるZはFである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるZはClである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるZはBrである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるZはIである。
【0056】
ある実施形態では、化学構造式IbにおけるXはOである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるYはCHである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるQはFである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるQはClである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるQはBrである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるQはIである。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるQはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるZはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IbにおけるYはメタ位置にある。
【0057】
ある実施形態では、化学構造式Ibの化合物は、次の化学構造式IIbで表される。

ただし、Z、Y及びQは、上記した化学構造式Iaで定義したとおりである。
【0058】
他の実施形態では、化学構造式Ibの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Ibの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Ibの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Ibの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Ibの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Ibの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Ibの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、本発明は、次の化学構造式Icで表されるSARM化合物を提供する。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、F、Cl、Br又はIであり、
Qは、F、Cl、Br又はIであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【0059】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Icの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、又は結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0060】
ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはFである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるYはClである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるYはBrである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるYはIである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるQはFである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるQはClである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるQはBrである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるQはIである。
【0061】
ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはFであり、ZはFである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはFであり、ZはClである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはFであり、ZはBrである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはFであり、ZはIである。
【0062】
ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはClであり、ZはFである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはClであり、ZはClである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはClであり、ZはBrである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはClであり、ZはIである。
【0063】
ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはBrであり、ZはFである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはBrであり、ZはClである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはBrであり、ZはBrである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはBrであり、ZはIである。
【0064】
ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはIであり、ZはFである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはIであり、ZはClである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはIであり、ZはBrである。ある実施形態では、化学構造式IcにおけるYはIであり、ZはIである。
【0065】
ある実施形態では、化学構造式IcにおけるXはOである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるQはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるZはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IcにおけるYはメタ位置にある。
【0066】
ある実施形態では、化学構造式Icの化合物は、次の化学構造式IIcで表される。

ただし、Z、Y及びQは、上記した化学構造式Icで定義したとおりである。
【0067】
他の実施形態では、化学構造式Icの化合物は、次の化学構造式で表される。

他の実施形態では、化学構造式Icの化合物は、次の化学構造式で表される。

ある実施形態では、本発明は、次の化学構造式Idで表されるSARM化合物を提供する。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、H、F、I、Br、Cl、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRである。
【0068】
或いは、ZとYは、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる。
【0069】
Qは、アルキル、F、I、Br、Cl、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONH、NHCONHR、NHCONR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHCSNH、NHCSNHR、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の化学構造式A、B又はCで表される縮合環システムと結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【0070】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Idの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、又は結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0071】
ある実施形態では、化学構造式IdにおけるXはOである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるZはHである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるZはClである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるZはBrである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるZはFである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるZはIである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるYはClである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるYはBrである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるYはFである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるYはIである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるQはFである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるQはClである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるQはBrである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるQはIである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IdにおけるRはCHである。
【0072】
ある実施形態では、本発明は、次の化学構造式IIdで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物を提供する。

ただし、Z、Y及びQは、上記した化学構造式Icで定義したとおりである。
【0073】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIdの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、又は結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0074】
ある実施形態では、化学構造式IIdにおけるXはOである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるZはHである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるZはClである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるZはBrである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるZはFである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるZはIである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるYはClである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるYはBrである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるYはFである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるYはIである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるQはFである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるQはClである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるQはBrである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるQはIである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IIdにおけるRはCHである。
【0075】
置換基Z及びYは、それらの置換基が結合される環(以降、「環A」という)の任意の場所に位置することができる。ある実施形態では、置換基Zは、環Aのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基Yは、環Aのメタ位置にある。他の実施形態では、置換基Zは環Aのパラ位置にあり、置換基Yは環Aのメタ位置にある。他の実施形態では、置換基ZはNOであり、環Aのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基ZはCNであり、環Aのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基ZはFであり、環Aのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基ZはClであり、環Aのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基ZはBrであり、環Aのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基ZはIであり、環Aのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基ZはHである。他の実施形態では、置換基YはCFであり、環Aのメタ位置にある。他の実施形態では、置換基YはFであり、環Aのメタ位置にある。他の実施形態では、置換基YはClであり、環Aのメタ位置にある。他の実施形態では、置換基YはBrであり、環Aのメタ位置にある。他の実施形態では、置換基YはIであり、環Aのメタ位置にある。
【0076】
他の実施形態では、Z又はYの一方は、例えば、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる(例えば、natphthyl、quinalzolyl、pyrimidinyl。ただし、これらに限定されるものではない)。
【0077】
置換基Qは、その置換基が結合される環(以降、「環B」という)の任意の場所に位置することができる。ある実施形態では、置換基Qは、環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基QはFであり、環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基QはClであり、環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基QはBrであり、環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基QはIであり、環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基QはNHCOCHであり、環Bのパラ位置にある。
【0078】
《定義》
ここでは、置換基Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル、又はヒドロキシル(OH)基と定義する。
【0079】
“アルキル”基は、直鎖型、分枝型及び環状の飽和脂肪族炭化水素である。ある実施形態では、アルキル基は、1〜12個の炭素を有する。他の実施形態では、アルキル基は、1〜7個の炭素を有する。ある実施形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素を有する。ある実施形態では、アルキル基は、1〜4個の炭素を有する。アルキル基は、ハロゲン基(例えば、F、Cl、Br又はI)、水酸基、アルコキシ・カルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボニル基、 チオ基、及びチオアルキル基から成る群より選択される一つ又は複数の基と置換又は無置換される。
【0080】
“ハロアルキル”基は、先に定義したアルキル基を一つ又は複数のハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br又はI)で置換したものである。
【0081】
“アリル”基は、少なくとも一つの炭素環式芳香族基又は複素環式芳香族基を有する芳香族基である。アリル基は、ハロゲン基(例えば、F、Cl、Br又はI)、ハロアルキル基、水酸基、アルコキシ・カルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボニル基、チオ基、及びチオアルキル基から成る群より選択される一つ又は複数の基と置換又は無置換される。アリル環としては、例えば、フェニル、ナフチル、ピラニル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリルなどがある(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0082】
“ヒドロキシル”基は、OH基である。“アルケニル”基は、少なくとも一つの炭素間二重結合を有する基である。
【0083】
“アリルアルキル”基は、アリル基と結合したアルキル基である。なお、アルキル基とアリル基は、先に定義したとおりである。アリルアルキル基としては、例えば、ベンジル基がある。
【0084】
ここに定義するように、本発明は、SARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いは任意の組み合わせの使用に関するものである。ある実施形態では、本発明は、SARM化合物の類似体の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の誘導体の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の異性体の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の代謝産物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の薬学的に許容される塩の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の医薬品の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の水和物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物のN酸化物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の医薬品の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の水和物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物のN酸化物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物のプロドラッグの使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の多形体の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の結晶の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ又は結晶の任意の組み合わせの使用に関する。
【0085】
ここで定義される“異性体”という用語は、光学異性体とその類似体、構造異性体とその類似体、及び配座異性体とその類似体などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0086】
ある実施形態では、本発明は、SARMの様々な光学異性体の使用を含む。本発明に係るSARMが少なくとも一つのキラル中心を有していることは、当業者にとって周知である。したがって、本発明に係る方法で使用されるSARMは、光学的活性体又はラセミ体内で、存在しており、単離されている。ある化合物は、多形性を示す。当然のことながら、本発明は、前述したアンドロゲンに関連する病気の治療に有効である特性を有する、任意のラセミ体、光学活性体、多形型、立体異性形状、又はそれらの混合物を含む。ある実施形態では、SARMは、純粋な(R)異性体である。他の実施形態では、SARMは、純粋な(S)異性体である。他の実施形態では、SARMは、(R)異性体と(S)異性体との混合物である。他の実施形態では、SARMは、同量の(R)異性体と(S)異性体とを含むラセミ混合物である。当該技術分野では、光学活性体を生成する方法は周知である(例えば、再結晶法によるラセミ体の分解、光学体活体開始物質の合成、キラル合成、又はキラル固定相を使用したクロマトグラフ分離など)。
【0087】
本発明は、例えばクエン酸や塩酸のような有機酸又は無機酸を有するアミノ置換化合物の“薬学的に許容される塩”を含む。また、本発明は、ここに記載した化合物のアミノ置換基のN酸化物を含む。薬学的に許容される塩は、例えば水酸化ナトリウムのような無機塩基を処理することにより、フェノール化合物から生成することもできる。また、フェノール化合物のエステルは、脂肪酸カルボン酸と芳香族カルボン酸(例えば、酢酸エステルと安息香酸エステル)から生成することもできる。
【0088】
本発明は、さらに、SARM化合物の誘導体を含む。“誘導体”という用語は、エーテル誘導体、酸誘導体、アミノ誘導体、エステル誘導体などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。さらに、本発明は、SARM化合物の水和物を含む。“水和物”という用語は、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0089】
本発明は、さらに、SARM化合物の代謝産物を含む。“代謝産物”という用語は、代謝作用又は代謝過程によって、別の物質から生成された物質を意味する。
【0090】
本発明は、さらに、SARM化合物の医薬品を含む。“医薬品”という用語は、医薬品としての使用に適した組成物を意味する。
【0091】
本発明は、さらに、SARM化合物のプロドラッグを含む。“プロドラッグ”という用語は、加水分解、エステル化、ジエステル化、活性化、塩生成などの反応によりインビボで生物活性物質に変換される物質を意味する。
【0092】
本発明は、さらに、SARM化合物の結晶を含む。さらに、本発明は、SARM化合物の多形体を提供する。“結晶”という用語は、結晶状態の物質を意味する。“多形体”という用語は、特別な物理的性質(例えば、X線回折、IRスペクトル、融点など)を有する、物質の特別な結晶状態を意味する。
【0093】
《選択型アンドロゲン調節剤化合物の生物活性》
選択型アンドロゲン調節剤化合物は、前述した次の(a)〜(g)に有効なアンドロゲン受容体標的物質(androgen receptor targeting agent:ARTA)の新しい種類である。(a)男性の避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、けん怠感、憂うつ、性欲減退、性的不全、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、肥満、筋肉減少症、骨減少症、良性前立腺肥大症、気分・認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)女性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Female:ADIF)に関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、性的不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、気分・認識力の変調、貧血、憂うつ、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。
【0094】
ここで使用される、細胞外シグナル伝達分子の受容体は、まとめて“細胞シグナル伝達受容体”と呼ばれている。多くの細胞シグナル伝達受容体は、細胞表面上の膜貫通タンパク質である。それらの受容体は、細胞外シグナル伝達分子(すなわちリガンド)と結合すると活性化し、細胞の行動を変える細胞内シグナル伝達のカスケードを生成する。その一方、ある場合では、受容体は細胞の内部にあり、それらの受容体を活性化するためには、シグナル伝達リガンドは細胞内に進入しなければならない。そのため、それらのシグナル伝達分子は、細胞の血漿膜を透過して拡散できるように、充分に小さく、疎水性である必要がある。
【0095】
ステロイドホルモンは、小さな疎水性分子の一例であって、標的細胞の血漿膜を透過して直接的に拡散し、細胞内細胞シグナル伝達受容体と結合する。これら受容体は、構造的に関連しており、細胞内受容体スーパーファミリー(又はステロイドホルモン受容体スーパーファミリー)を構成する。ステロイドホルモン受容体としては、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、グルーコルチノイド(glueocorticoid)受容体、及び硬質コルチノイド受容体がある。ある実施形態では、本発明は、特に、アンドロゲン受容体を対象とする。
【0096】
リガンドが受容体に結合するのに加えて、リガンド結合を妨げるべく受容体をブロックすることもできる。物質が受容体に結合する場合、ボール及びソケット立体配置において、3次元受容体構造物質によって作成された空間に、物質の3次元構造が適合する。ボールがソケットに巧く適合すればするほど、それは堅固に保持される。この現象は、親和性と呼ばれる。物質の親和性がオリジナルのホルモンと比較して高ければ高いほど、ホルモンと競合し、より頻繁に結合部位と結合する。一度結合すると、信号は受容体を介して細胞内へと送信され、何らかの方法で細胞を反応させる。このことを活性化と呼ぶ。活性化すると、活性化された受容体は、その後、特定遺伝子の転写を直接的に調整する。ただし、細胞を活性化するために、物質及び受容体は、親和性以外のいくつかの特性を有している。物質の原子と、受容体の原子との間には、化学結合が生ずる。ある場合には、これは、活性化プロセスを開始する(シグナル伝達と呼ばれる)のに充分な受容体の立体配置の変化を導く。
【0097】
ある実施形態では、本発明はアゴニスト化合物としての選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物を対象とする。アゴニスト受容体は、受容体に結合しそれらを活性化させる物質である。したがって、ある実施形態では、本発明に係るSARM化合物は、ステロイド性ホルモン受容体に結合して活性化するのに有効である。ある実施形態では、本発明に係るアゴニスト化合物は、アンドロゲン受容体に結合するアゴニストである。他の実施形態では、アゴニスト化合物は、アンドロゲン受容体に対して高い親和性を有する。また、他の実施形態では、アゴニスト化合物は、タンパク同化作用を有する。他の実施形態では、本発明は、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしてのアゴニスト活性及びタンパク同化作用を有する選択的アンドロゲン調節剤化合物を提供する。
【0098】
他の実施形態では、本発明は、アンタゴニスト化合物である他の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物を対象とする。アンタゴニスト受容体は、受容体に結合して、それらを不活性にする物質である。したがって、ある実施形態では、本発明に係るSARM化合物は、ステロイドホルモン受容体に結合し不活性にするのに有効である。ある実施形態では、本発明に係るアンタゴニスト化合物は、アンドロゲン受容体に結合するアンタゴニストである。他の実施形態では、アンタゴニスト化合物は、アンドロゲン受容体に対して高い親和性を有する。
【0099】
さらに他の実施形態では、本発明に係るSARM化合物は、部分的ARアゴニスト/アンタゴニストとして分類することもできる。SARMはある組織内ではアゴニストであり、AR反応遺伝子の転写を増加させる(例えば、筋肉同化効果)。他の組織内では、SARM化合物はARにおいて阻止因子して機能し、天然アンドロゲンのアゴニスト作用を予防する。
【0100】
本発明に係る化合物がARアゴニストかアンタゴニストかを判断するための分析方法は、当該技術分野では周知である。例えば、ARアゴニスト活性は、SARM化合物のARを含んでいる組織(例えば、前立腺や精嚢)の成長を維持及び/又は刺激する能力を、重量測定によりモニタリングすることで測定できる。ARアンタゴニスト活性は、AR含有組織の成長を阻害するSARM化合物の能力を、モニタリングすることで測定できる。
【0101】
本発明に係る化合物は、アンドロゲン受容体と可逆的又は不可逆的に結合する。ある実施形態では、アンドロゲン受容体は、哺乳類のアンドロゲン受容体である。他の実施形態では、アンドロゲン受容体は、ヒトのアンドロゲン受容体である。ある実施形態では、SARM化合物は、哺乳類(例えば、ヒト)のアンドロゲン受容体に可逆的に結合する。受容体に対する化合物の可逆的な結合は、結合後に化合物が受容体から脱離できることを意味する。
【0102】
他の実施形態では、SARM化合物は、哺乳類(例えば、ヒト)のアンドロゲン受容体と不可逆的に結合する。したがって、ある実施形態では、本発明に係る化合物は、アンドロゲン受容体(すなわち共有結合構造)のアルキル化が可能な、官能基(例えば、親和性標識)を有している。この場合、SARM化合物は、受容体と不可逆的に結合する(したがって、内在性リガンドDHTやテストステロンなどのステロイドによって置換されない)アルキル化因子である。ここでは、“アルキル化因子”という用語は、DNA、RNA及び酵素などの細胞成分をアルキル化する(共有結合を形成する)因子と定義する。アルキル化因子は高い反応性を有する化学物質であり、アルキル・ラジカルを生物学的に活性な分子内に取り込むことによりその正常な機能を阻害する。アルキル化成分は、細胞成分の求核性成分と相互作用する親電子基である。
【0103】
本発明のある実施形態では、本発明に係るSARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させる方法を提供する。この方法は、SARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させるのに効果的な条件で、アンドロゲン受容体に、SARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。アンドロゲン受容体にSARM化合物を結合させることによって、本発明に係る化合物が男性避妊と多くのホルモン療法に有効になる。アゴニスト化合物はアンドロゲン受容体と結合し、アンドロゲン受容体を活性化する。アンタゴニスト化合物はアンドロゲン受容体と結合し、アンドロゲン受容体を不活性にする。アゴニスト又はアンタゴニスト化合物の結合は、可逆的であってもよいし、不可逆的であってもよい。
【0104】
本発明の他の実施形態では、患者の精子形成を抑制する方法を提供する。この方法は、患者のアンドロゲン受容体に、SARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させる及び精子形成を抑制するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0105】
他の実施形態では、本発明は男性患者の避妊方法を提供する。この方法は、患者に、精子形成を抑制するに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0106】
他の実施形態では、本発明はホルモン療法を提供する。このホルモン療法は、アンドロゲン依存症の患者のアンドロゲン受容体に、SARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させる及びアンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0107】
本発明の他の実施形態では、ホルモン補充療法を提供する。このホルモン補充療法は、アンドロゲン依存症の患者のアンドロゲン受容体に、SARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させる及びアンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0108】
本発明の他の実施形態では、ホルモンに関連する病気を患っている患者(アンドロゲン依存症の患者)を治療する方法を提供する。この治療方法は、前記患者のアンドロゲン受容体に、SARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させる及びアンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0109】
本発明によって治療することができるアンドロゲン依存症としては、例えば、性腺機能低下症、筋肉減少症、赤血球新生、骨粗鬆症、アンドロゲン(例えば、テストステロン)のレベルが低いことが原因である他の症状などの高齢に関連する病気が挙げられる。
【0110】
本発明の他の実施形態では、前立腺癌を治療する方法を提供する。この治療方法は、前立腺癌を患っている患者に、前立腺癌を治療するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0111】
本発明の他の実施形態では、前立腺癌を予防する方法を提供する。この予防方法は、患者に、前立腺癌を予防するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0112】
本発明の他の実施形態では、前立腺癌の進行を遅延させる方法を提供する。この方法は、前立腺癌を患っている患者に、前立腺癌の進行を遅延させるのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0113】
本発明の他の実施形態では、前立腺癌の再発を予防する方法を提供する。この方法は、患者に、前立腺癌の再発を予防するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0114】
本発明の他の実施形態では、前立腺癌の再発を治療する方法を提供する。この方法は、前立腺癌を患っている患者に、前立腺癌の再発を治療するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0115】
さらには、アンドロゲン受容体を刺激することによって涙の生成が促進されるので、本発明に係るSARM化合物はドライアイの治療に用いることができる。そのため、本発明の他の実施形態では、ドライアイを治療する方法を提供する。この方法は、ドライアイを患っている患者に、ドライアイを治療するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0116】
他の実施形態では、本発明は、ドライアイを予防する方法を提供する。この方法は、患者に、患者のドライアイを予防するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0117】
他の実施形態では、本発明は、癌細胞のアポトーシスを促進する方法を提供する。この方法は、細胞に、癌細胞のアポトーシスを促進するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0118】
ここで定義されている“接触”という用語は、本発明に係るSARMが、試験管、フラスコ、組織培養、チップ、アレイ、プレート、マイクロプレート、毛細管などの内部にある、酵素を含有するサンプル内に導入され、SARMが酵素に結合可能な温度又は時間で培養することを意味する。サンプルに、SARM又は他の特異結合成分を接触させる方法は、当業者に周知であり、実施する分析方法の種類に応じて選択することができる。また培養方法は標準的なものであり、当業者に周知である。
【0119】
他の実施形態では、“接触”という用語は、本発明に係るSARM化合物が治療対象の患者に投与され、インビボでSARM化合物がアンドロゲン受容体と接触可能であることを意味する。
【0120】
ここで使用される“リビドー”という用語は、性的衝動を意味する。
【0121】
ここで使用される“勃起”という用語は、勃起可能であることを意味する。勃起組織は、大きく拡張可能で、多くの血管が膨張することによって硬直する組織のことである。
【0122】
“性腺機能低下症”は、生殖腺の機能活性の異常低下により生じる又は特徴付けられる病気であり、性的な成長及び発育の遅滞を伴う。“骨減少症”は、石灰化の減少又は骨密度の減少である。これは、そのような病気が顕著である骨格系すべてを含む用語である。
【0123】
“骨粗鬆症”は、カルシウムや骨タンパク質の不足に起因する骨質量の減少を伴う、骨が薄くなることである。骨粗鬆症は、骨折しやすくなる。また、骨折すると、治るのが遅くなったり、うまく治らなかったりする。骨粗鬆症のままでいると、姿勢の変化、身体の異常、及び可動性の減少をもたらす。
【0124】
“BPH(benign prostatic hyperplasia:前立腺肥大症)”という用語は、良性の前立腺肥大を意味する。BPHは、任意の臓器に見られる最も一般的な良性の増殖異常であり、成人男性における疾病率の主たる原因である。BPHは、50歳の男性の75%以上に発生し、90歳代迄には有病率は88%にも達する。BPHは、しばしば、前立腺を横切る尿道(尿道前立腺部)の一部を段階的に圧迫する。このことは、膀胱が完全に空にならないので、患者に頻繁に尿意を覚えさせる。尿流の妨げは、排尿の制御不能(所望時に排尿開始することの障害を含む)、残留尿による失禁防止の困難をもたらす。溢流性尿失禁は、尿路閉塞と排尿の失敗をもたらす。
【0125】
“認識(cognition)”という用語は、知るプロセス、とりわけ、気づいている、知っている、考えている、学んでいる、及び判断しているなどのプロセスを意味する。認識とは、心理学、言語学、コンピュータサイエンス、神経科学、数学、動物行動学、及び哲学の分野に関連する。“気分”という用語は、気質又は気持ちの状態である。ここに定義するように、変調は、認識力及び/又は気分におけるポジティブ又はネガティブな任意の変化を意味する。
【0126】
“うつ病”という用語は、肉体、気分、及び意識を含めた病気のことであり、その人が食事をしたり睡眠を取ったり、自己確認したり、物事について考察する行動に影響を与える。うつ病の兆候及び症候としては、活動に対する興味の消失、過食又は拒食、感情の消失、無気力、絶望感、悲観、罪悪感又は孤独感、社会逃避、疲労、睡眠障害、集中力低下、記憶障害、決断障害、情動不安、頭痛、消化不良、又は慢性的痛みがある。
【0127】
“脱毛症”という用語は、医学的には脱毛(alopecia)として知られており、とても一般的なタイプの男性型脱毛症のことである。脱毛症は、一般的には、頭皮の部分的な脱毛より始まり、その後、完全な脱毛状態になることもあり、体毛脱毛を伴うこともある。脱毛症とは男性及び女性の双方に生じる。
【0128】
“貧血”という用語は、血液中で、赤血球数通常数よりも少ない、又はヘモグロビン含有量が通常よりも少ない状態を意味する。このとき、血液の酸素運搬量は、減少する。貧血の人は、すぐに疲労感を覚え、蒼白となり、動悸を覚え、息切れする。貧血は次の4つの主要な原因(a〜d)によって引き起こされる。a)出血(失血)、b)溶血(赤血球の過剰破壊)、c)赤血球生成不足、及びd)異常ヘモグロビン。貧血には様々なタイプがあり、再生不良性貧血、ベンゼン中毒、ファンコーニ貧血、新生児溶血性疾患遺伝性球状赤血球症、鉄欠乏性貧血、大理石骨病、悪性貧血、鎌状細胞貧血、地中海貧血症、脊髄形成異常症候群、及び様々な骨髄疾患などがある。ここに定義するように、本発明のSARM化合物は、上記した貧血の一つ又は複数のタイプの貧血の予防及び/又は治療に有効である。
【0129】
“肥満”という用語は、正常な体重を大きく超過した状態を意味する。従来、理想的な体重を20%超過すると肥満であると考えられてきた。肥満は、肥満度指数(Body to Mass Index:BMI)が30以上であるとして国立衛生研究所(National Institute of Health:NIH)によってより正確に定義されてきた。肥満は、しばしば多因子性であり、遺伝的及び行動的な要素の双方に起因する。肥満による体重超過は、健康に大きく関係する。例えば、次のような様々な病気となるリスクを増大させる。2型(成人)糖尿病、高血圧、脳卒中(脳血管障害すなわちCVA(cerebrovascular accident))、心臓麻痺(心筋梗塞すなわちMI(myocardial infarction))、心不全(うっ血性心不全)、癌(前立腺、大腸、直腸癌など)、胆石及び胆嚢の病気(胆嚢炎)、痛風及び痛風関節炎、膝、臀部及び下背の骨関節炎(変性性関節炎)、睡眠時無呼吸(睡眠時の呼吸不全、血中酸素濃度の低下)、及びピックウィック症候群(肥満、赤面、呼吸低下、及び傾眠)など。ここに定義するように、“肥満”という用語は、上述した肥満に関連する状態及び病気のいずれか一つを含む。したがって、本発明に係るSARM化合物は、肥満及び上述した肥満に関連する状態及び病気のいずれか一つの予防及び/又は治療に有効である。
【0130】
“前立腺癌”という用語は、米国の男性に最も頻繁に発生する癌の一つであり、毎年、数百から数千人の新規患者が前立腺癌であると診断されている。前立腺癌であると診断された新規患者の60%以上が病理的に進行しており、不治であり予後は思わしくないことが分っている。50歳以上の全男性の3分の1は、生命にかかわる臨床的な前立腺癌の形態を活性化させる潜在性の前立腺癌を有している。潜在性の前立腺腫瘍の発生頻度は、50代(5.3〜14%)から90代(40〜80%)までの間で、10年間毎に大幅に増加することが知られている。全ての文化、民族及び人種の間で潜在性の前立腺癌を有している人が同じように増えているが、臨床的に悪性な癌の発生頻度は著しく異なっている。このことは、潜在性の前立腺癌を活性化させる上で、環境の要因が重要な役割を果たしていることを示唆している。
【0131】
《医薬組成物》
本発明に係る治療方法は、一実施形態では、SARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはこれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体とを含んでいる医薬組成物を投与する過程を含む。
【0132】
本明細書中の“医薬組成物”は、薬学的に許容される担体又は希釈液と共に、「効果的な量」の活性化成分(すなわちSARM化合物)を含んでいる組成物である。
【0133】
本明細書中における“効果的な量”は、与条件及び投薬計画について治療効果を与える量を意味する。本明細書中で用いられるSARM化合物の“効果的な量”は、1〜500mg/日の範囲である。一実施形態では、投与量は1〜100mg/日の範囲である。他の実施形態では、投与量は100〜500mg/日の範囲である。他の実施形態では、投与量は45〜60mg/日の範囲である。他の実施形態では、投与量は15〜25mg/日の範囲である。他の実施形態では、投与量は55〜65mg/日の範囲である。他の実施形態では、投与量は45〜60mg/日の範囲である。SARM化合物は、1日1回の投与してもよいし(その場合、1回で、1日分投与する)、1日2回、1日3回など毎日複数回に分けて投与してもよい。また、SARM化合物は、1日おき、週に3日、週に4日、週に5日など断続的に投与してもよい。
【0134】
ここで使用される“治療”という用語は、疾患を軽減する治療は勿論のこと、予防をも含んでいる。ここで使用される“減少”、“抑止”及び“抑制”という用語は、一般的な解釈では、「低下」又は「減少」の意味である。ここで使用される“促進(facilitating)”という用語は、一般的な解釈では、割合の増加を意味する。ここで使用される“助長(promoting)”という用語は、増加を意味する。ここで使用される“進行”という用語は、範囲や重傷度の増大、進行、成長、又は悪化を意味する。
【0135】
ここで使用される“投与”という用語は、患者に、本発明に係るSARM化合物を接触させることを意味する。ここで使用される投与は、インビトロ(すなわち試験管内)又はインビボ(すなわち、例えばヒトなどの生体の細胞又は組織内)で実施される。ある実施形態では、患者は、哺乳類である。他の実施形態では、患者は、ヒトである。
【0136】
SARM薬剤を含んでいる医薬組成物は、当業者に周知の方法(例えば、非経口、側癌的(paracanceraly)、経粘膜的、経皮的、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹膜内、脳室内、脳内、膣内又は腫瘍内)によって、患者に投与される。
【0137】
一実施形態では、医薬組成物は、経口投与されるので、経口投与に適した形状(すなわち、固体又は液体製剤)に形成される。適切な固形の経口製剤としては、錠剤、カプセル、ピル、顆粒、ペレットなどがある。適切な液体製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液、油などなどがある。本発明の一実施形態では、SARM化合物はカプセル状に形成される。この実施形態では、本発明に係る組成物は、SARM活性化合物及び不活性担体(又は希釈液)に加えて、硬ゲル化カプセルを含む。
【0138】
さらに、他の実施形態では、医薬組成物は、液体製剤の静脈内注射、動脈内注射又は筋肉内注射によって投与される。適切な液体製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液、油などがある。一実施形態では、医薬組成物は、静脈内投与に適した形状に形成され、静脈内に投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、動脈内投与に適した形状に形成され、動脈内に投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、筋肉内投与に適した形状に形成され、筋肉内に投与される。
【0139】
さらに、他の実施形態では、医薬組成物は、局所性投与に適した形状に形成され、体の表面に局所的に投与される。適切な局所性製剤としては、ゲル、軟膏、クリーム、ローション、液滴などがある。局所的な投与のためには、SARM薬剤又はその誘導体であって生理学的に耐容性を示すもの(例えば、塩、エステル、N酸化物など)が調製され、薬品担体を用いて、又は用いることなく、生理学的に認容されている希釈液として、水溶液、懸濁液、又は乳状液として投与される。
【0140】
さらに、他の実施形態では、医薬組成物は、直腸座薬や尿道座薬などの座薬として投与される。さらに、他の実施形態では、医薬組成物は、ペレットの皮下埋め込みによって投与される。さらなる実施形態では、ペレットは、長時間にわたるSARM薬剤の徐放をもたらす。
【0141】
他の実施形態では、活性化合物は、小胞(特にリポソーム)に送達してもよい(Langer, Science 249:1527-1533 (1990)、Treat et al., in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, ibid, pp. 317-327)。
【0142】
本明細書中における「薬学的に許容される担体又は希釈液」は、当業者に周知である。担体又は希釈液としては、固体製剤のための固体担体又は希釈液、液体製剤のための液体担体又は希釈液、又はその混合物がある。
【0143】
固体担体/希釈液として、ガム、デンプン(例えば、コーンスターチ、予めゲル化された(pregeletanized)デンプン)、糖(例えば、乳糖、マンニトール、ショ糖、ブドウ糖)、セルロース系材料(例えば、微結晶性セルロース)、アクリル酸塩(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、滑石、又はこれらの混合物がある(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0144】
液体製剤の場合、薬学的に許容される担体としては、水溶性又は非水性の溶液、懸濁液、乳濁液、又は油がある。非水溶媒の例としては、プロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコールや、オレイン酸エチルなどの注射用有機エステルがある。水溶性担体としては、水、アルコール性/水溶性の溶液、乳濁液、又は生理食塩水及び緩衝培地を含む懸濁液がある。油の例としては、石油、動物性、植物性、又は合成されたものがある(例えば、ラッカセイ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ひまわり油、魚肝油)。
【0145】
非経口賦形剤(皮下注射、静脈内注射、動脈内注射、又は筋肉内注射用)としては、塩化ナトリウム溶液、リンガーブドウ糖、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガーオイル及び固定油がある。経静脈賦形剤としては、液体及び栄養補充薬、電解質補充薬(例えば、リンガーブドウ糖に基づくもの)などがある。一例としては、界面活性剤及び他の薬学的に許容されるアジュバントを添加した、又は添加しない、水や油などの無菌液がある。一般に、水、生理食塩水、水溶性ブドウ糖や関連糖液、及びプロピレン・グリコール又はポリエチレン・グリコールなどのグリコールは、特に、注射用溶液に適した液体担体である。油の例としては、石油、動物性、植物性、又は合成されたものがある(例えば、ラッカセイ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ひまわり油、魚肝油)。
【0146】
また、組成物は、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアールガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアールガム、澱粉グリコール酸エステルナトリウム)、種々のpH及びイオン強度の緩衝液(例えば、トリス−HCI、アセテート、リン酸塩)、界面に対する吸収を予防するためのアルブミン又はゼラチンのような添加物、洗剤(例えば、トウィーン20、トウィーン80、プルロニックF68、胆汁酸塩)、プロテアーゼインヒビター、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、浸透エンハンサー、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール)、安定剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、粘度上昇剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアールガム)、甘味料(例えば、アスパルテーム、クエン酸)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラオキシ安息香酸エステル類)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレン・グリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)、被覆及び膜形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩)、及び/又はアジュバントをさらに含むことができる。
【0147】
一実施形態では、ここで提供される医薬組成物は、投与後にSARM化合物を長時間に渡って放出する徐放組成物である。徐放又は持続放出組成物としては、脂溶性の持続性薬剤(例えば、脂肪酸、ワックス、オイル)がある。他の実施形態では、医薬組成物は、投与後の全てのSARM化合物を直ちに放出する即放組成物である。
【0148】
さらに他の実施形態では、医薬組成物は、徐放システムによって送達される。例えば、薬剤は、静脈内注入、植込型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、又は他の投与形態により投与される。一実施形態では、ポンプを使用することができる(Langer, supra; Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987)、Buchwald et al., Surgery 88:507 (1980); Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321:574 (1989))。他の実施形態では、高分子材料を使用することができる。さらに他の実施形態では、徐放システムは、治療ターゲットすなわち脳に近接して設けられることが可能である。その場合、必要とされるのは全身投与量のほんの一部である(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, pp.115-138 (1984)を参照)。他の徐放システムは、Langer(Science 249:1527-1533 (1990))によるレビューに記載されている。
【0149】
また、組成物は、ポリマー化合物、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどの粒子状製剤や、リポソーム、マイクロエマルション、ミセル、単層又は多層状の小胞、赤血球ゴースト、又はスフェロプラストへの活性物質を取り込むことができる。そのような組成物は、物理的状態、溶解度、安定性、インビボでの放出速度、及びインビボでの排出速度に影響を与える。
【0150】
本発明は、ポリマー(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)で被覆された粒子状組成物を含む。また、組織特異受容体、リガンド又は抗原に対する抗体と結合した、或いは組織特異受容体のリガンドと結合した化合物も本発明に含まれる。
【0151】
また、本発明は、水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレン・グリコール、ポリエチレン・グリコールとポリプロピレン・グリコールのコポリマー、カルボキシメチル・セルロース、デキストラン、ポリビニル・アルコール、ポリビニルピロリドン又はポリプロリン)の共有結合によって修飾された化合物を含む。なお、調整剤化合物は、対応する無調整剤化合物の場いと比較して、静脈注射後、血液中において著しく長い半減期を示すことが知られている(Abuchowski et al., 1981; Newmark et al., 1982; and Katre et al., 1987)。また、そのような修飾は、水溶液中における化合物の溶解度を高め、凝集を予防し、化合物の物理的及び化学的安定性を向上させ、化合物の免疫原性及び反応性を著しく低下させる。そのため、無調整剤化合物の場合よりも低い頻度又は少ない投与量でポリマー化合物付加物を投与することにより、インビボでの望ましい生物学的活性が得られる。
【0152】
活性化要素を有する医薬組成物の作成は、当該技術分野で周知である(例えば、混合、顆粒化又は錠剤形成によって作成する)。活性治療成分はしばしば、薬学的に許容され活性化成分と適合する賦形剤と混合される。経口投与の場合、SARM薬剤又はその誘導体であって生理学的に耐容性を示すもの(例えば、塩、エステル、N酸化物など)は、この目的に使用されることが慣例となっている添加物(例えば、賦形剤、安定剤又は不活性希釈液など)と混合され、慣例的な方法によって投与に適した形状(例えば、錠剤、コート錠、硬又は軟ゼラチンカプセル、水溶性、アルコール性又は油性溶液)に変更される。非経口投与の場合は、SARM薬剤又はその誘導体であって生理学的に耐容性を示すもの(例えば、塩、エステル、N酸化物など)は、所望であればこの目的に用いられることが慣例になっている適切な物質(例えば、可溶化剤など)によって、溶液、懸濁液又は乳濁液に変更される。
【0153】
活性化要素は、中和された薬学的に許容される塩の形で、医薬組成物内に配合することができる。薬学的に許容される塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸)や有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸)によって形成される酸付加塩(ポリペプチド又は抗体分子の遊離アミノ基で形成される)がある。遊離カルボキシル基から形成された塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は水酸化第二鉄や、有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)などからも得られる。
【0154】
医学的に使用するために、SARMの塩は、薬学的に許容される塩になり得る。また、他の塩は、本発明に係る化合物又はその薬学的に許容される塩の作成に使用される。本発明に係る化合物の適切な薬学的に許容される塩としては、例えば、本発明に係る化合物の溶液と、薬学的に許容される酸(例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸)の溶液とを混合することによって形成した酸付加塩がある。
【0155】
ある実施形態では、本発明に係る方法は、唯一の活性化成分としてSARM化合物を投与する過程を含む。また一方、1つ又は複数の治療物質と一緒にSARM化合物を投与する過程を含む、次の(a)〜(h)の方法も本発明の範囲に含まれる。(a)男性の避妊、(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気)の治療。(c)女性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Female:ADIF)に関連する病気の治療。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。前記治療物質としては、HRH類似体、可逆的抗アンドロゲン、抗エストロゲン、抗癌剤、5−αレダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、プロゲスチン、又は別の核ホルモン受容体を介して作用する薬剤がある(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0156】
したがって、ある実施形態では、本発明は、LHRH類似体と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、可逆的抗アンドロゲンと一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、抗エストロゲンと一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、抗癌剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、5−αレダクターゼ阻害剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、アロマターゼ阻害剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、プロゲスチンと一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、他の核ホルモン受容体を介して作用する薬剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体調整剤化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。
【0157】
次の実施例は、本発明の実施形態をより詳細に説明するためのものである。しかし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0158】
《実施例1》化合物1〜4のアンドロゲン活性及びタンパク同化作用
選択する環BがF、Cl、Br又はI化されたSARMの結合親和力を表1に示す。
【0159】
【表1】

【0160】
〈実験方法〉
動物について。体重90〜100gの未成熟なオスのSD(Sparague-Dawley)ラットを米国インディアナポリス州のハーラン・バイオサイエンス社(Harlan Biosciences; Indianapolis, IN)から購入した。動物は、食料と水を適宜与えながら12時間の明暗サイクルで飼育された。動物実験計画書は、研究機関内の動物の管理及び使用に関する委員会(Institutional Laboratory Animal Care and Use Committee)によって審査及び承認されたものである。
【0161】
研究デザインについて。ラットは、無作為に治療群に分けられた。薬物治療開始の前日、動物は、個々に檻から出され、重量を測定され、ケタミン/キシラジン(87/13mg/kg、1kg当たり約1mL)の腹腔内投与により麻酔された。適切に麻酔された後(つま先をつまんでも反応がない状態)、動物の耳には識別のために印が付けられた。動物はその後無菌パッド上に置かれ、腹部及び陰嚢をベータダイン液及び70%のアルコールで洗浄した。正中陰嚢切開によって精巣を除去した。各精巣の外科的除去に先立ち、無菌縫合により、上精巣組織を結紮した。外科的創傷部位は無菌ステンレス鋼創傷クリップにより閉じて、その部位はベータダイン液で洗浄した。動物を、無菌パッド上で(立つことができるまで)回復させ、檻に戻した。
【0162】
24時間後、動物はケタミン/キシラジンで再び麻酔され、肩甲部の皮下にアルゼット(Alzet)浸透圧ポンプ(2002年モデル)が入れられた。この実施例では、肩甲部を剪毛し、ベータダイン及びアルコールで洗浄した後、無菌メスを使って小さく切開した(1cm)。そして、浸透圧ポンプを挿入し、創傷は無菌ステンレス鋼創傷クリップにより閉じた。動物を回復させ、檻に戻した。浸透圧ポンプは、ポリエチレングリコール300(PEG300)に溶解した適切な処理液を含んでいる。適切な溶液は、移植の前日、浸透圧ポンプに充填された。動物の薬物治療に対する急性毒性の兆候(例えば、嗜眠、粗い外皮)を毎日モニタした。
【0163】
薬物治療の14日後、ラットはケタミン/キシラジンで麻酔された。動物は、麻酔下にて放血安楽死させられた。腹大動脈の静脈穿刺によって血液サンプルが回収され、全血細胞分析のために使用された。血液の一部は分離チューブに入れられ、12,000gで1分間遠心分離された。そして、取り出された血漿層は、−20℃で凍結された。腹側の前立腺、精嚢、肛門挙筋、肝臓、腎臓、脾臓、肺及び心臓が取り出し、外来性組織を取り出した後、重量測定し、10%の中性緩衝ホルマリンが入っているガラス瓶内に保存した。保存された組織は、組織病理学的分析のために、GTx社に送られた。
【0164】
データ分析のために、全ての器官の重量は体重によって正規化され、単一因子ANOVA(分散分析)により統計学的に有意な差が分析された。前立腺及び精嚢重量はアンドロゲン作用の評価に対する指標として用いられ、肛門挙筋重量はタンパク同化作用を評価するために用いられた。
【0165】
〈結果〉
去勢ラットモデルについて、化合物1〜4のアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を、投与した14日後に調べた。結果を無損傷対照(去勢されていない、未治療)の割合として図1に示す。0mg/日は、去勢対照(去勢されている、未治療)である。
【0166】
図1に示されるように、去勢ラットの前立腺、精嚢及び肛門挙筋重量は、内因性アンドロゲンの産出物の切除により著しくに減少した。化合物1〜4(それぞれ図1A〜D)を投与量(用量)を増加しながら投与して治療したところ、前立腺及び精嚢成長の刺激が殆ど又は全くなく、肛門挙筋重量が組織選択的に増加した(すなわち、前立腺及び精嚢重量が化合物2の無処置動物のものと比べて40%以下であり、化合物1、3、4の20%以下であった)。したがって、これらの化合物は、前立腺及び精嚢重量の増加においては作用強度及び固有活性を殆ど示さなかったが、肛門挙筋重量の増加においては大きな作用強度及び固有活性を示した。特に、化合物2は、去勢動物の肛門挙筋重量を無処置動物と同レベルに維持することが可能であった。したがって、化合物1〜4は、強力な非ステロイド性タンパク同化剤である。これは従来の化合物に対して著しくに向上している点であり、この化合物は筋肉成長及び他のタンパク同化効果を選択的に促進するが、一方で前立腺及び精嚢には影響が少ない。これは、ヒトの老化における前立腺癌の発生又は進行に関する懸念に特に関係すると思われる。
【0167】
《実施例2》化合物5のアンドロゲン活性及びタンパク同化作用
選択する化合物5の結合親和力を表2に示す。
【0168】
【表2】

【0169】
去勢ラットモデル中の化合物5のアンドロゲン活性及びタンパク同化作用は、実施例1で概略を述べた方法を用いて、与薬した14日後に調べられた。
【0170】
表3及び図2に示されるように、化合物5は、オスの去勢ラットの方が組織選択的な薬理学的効果を示した。そして、アンドロゲン組織(すなわち前立腺及び精嚢)と比較すると、タンパク同化組織(すなわち肛門挙筋)の方が効力が高かった。化合物5は、前立腺(8.7±1.39%、無処置、投与量1.0mg/日)及び精嚢(10.7±0.91%、無処置、投与量1.0mg/日)で薬理活性を殆ど示さなかったが、このことは、化合物5がこれらの組織において弱い部分的作用薬として作用することを示唆している。重要なことには、化合物5は、投与量1.0mg/日のときに、極めて効果的なタンパク同化作用を示した。肛門挙筋では、無処置動物において観察されるものの75.2±9.51%であった。
【0171】
【表3】

【0172】
《実施例3》化合物6のアンドロゲン活性及びタンパク同化作用
選択する化合物6の結合親和力を表4に示す。
【0173】
【表4】

【0174】
去勢ラットモデル中の化合物6のアンドロゲン活性及びタンパク同化作用は、実施例1で概略を述べた方法を用いて、投与した14日後に調べられた。
【0175】
図3に示されるように、去勢されかつ媒体投与された(vehicle-treated)ラットの前立腺、精嚢及び肛門挙筋重量は、内因性アンドロゲンの産出物の切除により著しく減少した。プロピオン酸テストステロンの外来投与、アンドロゲン及びタンパク同化ステロイドは、投与量依存的な様式で去勢ラットの前立腺、精嚢及び肛門挙筋重量を増加させた。化合物6での処置は、前立腺、精嚢及び肛門挙筋重量の投与量依存的な増加をもたらした。プロピオン酸テストステロンと比較して、化合物6は、前立腺及び精嚢の重量においてはより低い作用強度及び固有活性を示したが、肛門挙筋重量増加においてはより大きな作用強度及び固有活性を示した。特に、化合物6は、0.3mg/日の低い投与量で、去勢動物の肛門挙筋重量を無処置動物と同レベルに維持することが可能であった。したがって、化合物6は、プロピオン酸テストステロンよりアンドロゲン活性が低くタンパク同化作用が強い、強力な非ステロイド性タンパク同化剤である。上記の化合物1〜5においては、この化合物は筋肉成長及び他のタンパク同化効果を選択的に刺激する一方で前立腺及び精嚢に及ぼす効果が小さいので、これは著しい改善である。
【0176】
《実施例4》選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物の結合親和力
他のSARM化合物のインビトロアンドロゲン受容体結合親和力が研究された。その結果を表5に示す。
【0177】
【表5】


《実施例5》アンドロゲン活性及びタンパク同化作用を有する非ステロイド性リガンド
ラット中の4つの非ステロイド性アンドロゲン(化合物1、21、22、23)のインビボ有効性及び急性毒性が調べられた。インビトロでの分析は、これらの化合物が非常に高い親和力でアンドロゲン受容体を結合することを証明した。4つの化合物の構造及び名称を以下に示す。

化合物1 R=F
化合物21 R=NHCOCH
化合物22 R=COCH
化合物23 R=COC5
〈実験方法〉
材料について。化合物1、21、22、23のS異性体と化合物1のR異性体は、図7に示したスキームに基づいて合成された。プロピオン酸テストステロン(TP)、ポリエチレングリコール300(PEG300、試薬等級)及び中性緩衝ホルマリン(10%w/v)は、シグマケミカル社(Sigma Chemical Company; St Louis, MO)から購入した。アルゼット浸透圧ポンプ(2002年モデル)は、アルザ社(Alza Corp; Palo Alto, CA)から購入した。
【0178】
動物について。体重90〜100gの未成熟なオスのSDラットをハーラン・バイオサイエンス社から購入した。動物は、適宜食料及び水を与えながら12時間の明暗サイクルに維持された。動物実験計画書は、研究機関内の動物の管理および使用に関する委員会によって審査及び承認されたものである。
【0179】
研究デザインについて。ラットは、各群に5匹ずつ29の群に無作為に分けられた。処置群については表6に示した。薬物処理開始の前日に、群2〜29の動物は、個々に檻から出され、重量を測定され、ケタミン/キシラジン(87/13mg/kg;1kg当たり約1mL)の腹腔内投与で麻酔された。適切に麻酔されれば(つま先をつまんでも反応がない状態)、動物の耳には識別のために印が付けられた。動物はその後無菌パッド上に置かれ、腹部及び陰嚢をベータダイン液及び70%アルコールで洗浄された。各精巣の外科的除去に先立ち上精巣組織を結合するために用いられる無菌縫合を用いて、正中陰嚢切開によって精巣が除去された。外科的創傷部位は無菌ステンレス鋼創傷クリップで閉じられ、その部位はベータダイン液で洗浄した。動物は、無菌パッド上で(立つことができるまで)回復させられ、その後檻に戻された。
【0180】
24時間後、群2〜29の動物はケタミン/キシラジンで再び麻酔され、肩甲部の皮下にアルゼット浸透圧ポンプ(2002年モデル)が入れられた。この実施例では、肩甲部は剪毛及び洗浄され(ベータダイン液及びアルコール)、無菌メスを用いて小さく(1cm)切開された。浸透圧ポンプが挿入され、創傷は無菌ステンレス鋼創傷クリップで閉じられた。動物は回復することができ、檻に戻された。浸透圧ポンプは、ポリエチレングリコール300(PEG300)に溶解した適切な処理剤(表1に指定されている)を含んでいた。移植の前日に、浸透圧ポンプに適切な溶液が充填された。動物は、薬物処理に対する急性毒性の兆候(例えば嗜眠、粗い外皮)がないか毎日監視された。
【0181】
薬物処理の14日後、ラットはケタミン/キシラジンで麻酔された。動物は、麻酔下にて放血安楽死させられた。腹大動脈の静脈穿刺によって血液サンプルが回収され、全血細胞分析のために提出された。血液の一部は分離チューブに入れられ、12,000gで1分間遠心され、血漿層は除去されて−20℃で凍結された。腹側の前立腺、精嚢、肛門挙筋、肝臓、腎臓、脾臓、肺及び心臓は除去され、外来性組織が取り除かれ、重量測定され、10%中性緩衝ホルマリン入りのバイアルに入れられた。保存された組織は、組織病理学的分析のためにGTx社に送られた。
【0182】
データ分析のために、全ての器官の重量は体重に規準化され、単一因子ANOVA(分散分析)により統計学的に有意な差が分析された。前立腺及び精嚢重量はアンドロゲン作用の評価に対する指標として用いられ、肛門挙筋重量はタンパク同化作用を評価するために用いられた。
【0183】
〈結果〉
去勢ラットモデル中の化合物1、21、22、23のS異性体と化合物1のR異性体のアンドロゲン活性及びタンパク同化作用は、与薬の14日後に調べられた。プロピオン酸テストステロンは、投与量を増加しながら投与され、アンドロゲン活性及びタンパク同化作用効果の陽性対照として用いられた。
【0184】
図4に示されるように、去勢されかつ媒体投与されたラットの前立腺、精嚢及び肛門挙筋重量は、内因性アンドロゲンの産出物の切除により著しく減少した。プロピオン酸テストステロンの外来投与、アンドロゲン及びタンパク同化ステロイドは、投与量依存的な様式で去勢ラットの前立腺、精嚢及び肛門挙筋重量を増加させた。化合物1のR異性体と化合物22、23のS異性体は、去勢動物の前立腺、精嚢及び肛門挙筋重量への効果を示さなかった(データは示さず)。化合物1のS異性体(図4)は、前立腺、精嚢及び肛門挙筋重量の投与量依存的な増加をもたらした。
【0185】
化合物1はしかし、高い組織選択性を示した。化合物1は、肛門挙筋重量を著しく増加させたが、前立腺及び精嚢成長を刺激する能力を殆ど又は全く示さなかった(すなわち前立腺及び精嚢重量が無処置動物又はプロピオン酸テストステロンで処理された動物のものと比べて20%以下であった)。
【0186】
要約すれば、化合物1は、プロピオン酸テストステロン、アンドロゲン及びタンパク同化ステロイドと比較して、選択的タンパク同化作用を示した。組織選択性活性は、実際に、タンパク同化関連の適用に関して、非ステロイド性アンドロゲンの利点の1つである。
【0187】
試験された化合物は、体重又は他の器官(すなわち肝臓、腎臓、脾臓、肺及び心臓)の重量に重大な影響を及ぼさなかった。どの化合物にも、処置を受けた動物の診断血液学試験及び視覚的検査によって測定されるような急性毒性の兆候は認められなかった。重要なことに、化合物21は、0.3mg/日の投与量(すなわち極大タンパク同化効果を示した投与量)で、黄体形成ホルモン(LH)又は卵胞刺激ホルモン(FSH)の生成を抑制しなかった。
【0188】
これらの研究は、化合物1の発見が、低いアンドロゲン活性(例えば前立腺成長)で強力なタンパク同化効果(例えば筋肉成長)を示すような選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物のクラスのメンバーであることを示す。この新たなクラスの薬剤は、男性及び女性の受精能の調節、赤血球形成、骨粗鬆症、性欲に関する潜在的な治療的使用及び前立腺癌の男性又は前立腺癌になる可能性が高い男性への潜在的な治療的使用を含めて、非選択的アンドロゲンに対して幾つかの利点を有する。
【0189】
さらに、図5及び図6は、ラットのLHレベル及びFSHレベルへの化合物1及び化合物21の効果を示す。これらの結果は、これらの生殖ホルモンに対する異なる効果に起因するこれらのSARMの新規性をさらに実証し、したがって組織特異薬理活性を実証する。図5では、TP及び化合物1で処置された去勢動物のLHレベルは、0.3mg/日に等しいかそれ以上の投与量で、無処置動物(すなわち去勢対照)のLHレベルより著しく低かった。しかし、LHレベルの著しい低下が観察される前には、高投与量(すなわち、0.5mg/日又はそれ以上)の化合物21が必要とされた。したがって、化合物21は、肛門挙筋成長の最大刺激を誘発可能な投与量ではLHレベルを抑制しない。図6では、化合物1で処置された去勢動物のFSHレベルは、0.5mg/日又はそれ以上の投与量で、無処置動物(すなわち去勢対照)のFSHレベルより著しく低かった。同様に、TPで処置された動物において、低いFSHレベルが観察された。しかし、0.75mg/日の投与量では、この差のみが著しかった。化合物21で処置された動物のFSHレベルは、試験されたどの投与量レベルでも無処置動物のFSHレベルと殆ど差がなかった。したがって、肛門挙筋成長の最大刺激を誘発可能な投与量では、化合物21はFSHレベルを抑制しない。
【0190】
【表6】

【0191】
《実施例6》合成手順
【0192】
(2R)−1−メタクリロイルピロリジン−2−カルボン酸((2R)-1-Methacryloylpyrrolidin-2-carboxylic Acid)(R−129)。D−プロリン(R−128、14.93g、0.13mol)を71mLの2 N NaOHに溶解し、氷浴で冷却し、結果として得られたアルカリ溶液をアセトン(71mL)で希釈した。氷浴においてD−プロリンの水溶液に塩化メタクリロイル127のアセトン溶液(71mL)(13.56g、0.13mol)と2N NaOH溶液(71mL)とを40分間同時に加えた。混合物のpHは、塩化メタクリロイルを加える間は10〜11℃で維持した。撹拌(3時間、室温)後、混合物を温度35〜45℃で真空蒸発させ、アセトンを除去した。得られた溶液をエチルエーテルで洗浄し、濃縮HClでpH=2まで酸性化した。酸性混合物は、NaClで飽和させ、EtOAc(100mL×3)で抽出した。複合抽出物をNaSOで乾燥させ、セライトでろ過し、真空で蒸発させ、無色油として粗生成物を得た。エチルエーテル及びヘキサンからの油の再結晶は、16.2(68%)の所望の化合物を無色結晶として産出した。mp 102-103℃ (lit. [214] mp 102.5-103.5℃);この化合物のNMRスペクトルは、題記化合物に2つの回転異性体が存在することを証明した。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ5.28 (s) and 5.15 (s) for the first rotamer, 5.15 (s) and 5.03 (s) for the second rotamer (totally 2H for both rotamers, vinyl CH2), 4.48-4.44 for the first rotamer, 4.24-4.20 (m) for the second rotamer (totally 1H for both rotamers, CH at the chiral canter), 3.57-3.38 (m, 2H, CH2), 2.27-2.12 (1H, CH), 1.97-1.72 (m, 6H, CH2, CH, Me); 13C NMR (75MHz, DMSO-d6)δfor major rotamer 173.3, 169.1, 140.9, 116.4, 58.3, 48.7, 28.9, 24.7, 19.5: for minor rotamer 174.0, 170.0, 141.6, 115.2, 60.3, 45.9, 31.0, 22.3, 19.7; IR (KBr) 3437 (OH), 1737 (C=O), 1647 (CO, COOH), 1584, 1508, 1459, 1369, 1348, 1178 cm-1; [α]D26+80.8°(c = 1, MeOH); Anal. Calcd. for C9H13NO3: C 59.00, H 7.15, N 7.65. Found: C 59.13, H 7.19, N 7.61.
【0193】
(3R,8aR)−3−ブロモメチル−3−メチル−テトラヒドロ−ピロロ[2,1c] [1,4]オキサジン−1,4−ジオン((3R,8aR)-3-Bromomethyl-3-methyl-tetrahydro-pyrrolo [2,1c] [1,4]oxazine-1, 4-dione)(R、R−130)。室温で、アルゴン下で、70mLのDMFに化合物R−129(16.1g、88mmol)を溶解させた撹拌溶液に100mLのDMFにNBS(23.5g、0.132mol)を溶解させた溶液を滴下し、得られた混合物を3日間撹拌した。溶媒を真空で除去し、黄色固体を沈殿させた。固体を水中で懸濁させ、室温で一晩撹拌し、ろ過し、乾燥し、黄色固体として18.6(81%)(乾燥時には重量が小さくなる〜34%)の題記化合物を得た。mp 152-154℃ (lit. [214] mp 107-109℃ for the S-isomer); 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ4.69 (chiral centerでdd, J = 9.6 Hz, J = 6.7 Hz, 1H, CH), 4.02 (d, J = 11.4 Hz, 1H, CHHa), 3.86 (d, J = 11.4 Hz, 1H, CHHb), 3.53-3.24 (m, 4H, CH2), 2.30-2. 20 (m, 1H, CH), 2.04-1.72 (m, 3H, CH2 and CH), 1.56 (s, 2H, Me); 13C NMR (75 MHz, DMSO-d6)δ167.3, 163.1, 83.9, 57.2, 45.4, 37.8, 29.0, 22.9, 21.6; IR (KBr) 3474, 1745 (C=O), 1687 (C=O), 1448, 1377, 1360, 1308, 1227, 1159, 1062 cm-1; [α]D26+124.5°(c = 1.3, chloroform), Anal. Calcd. for C9H12BrNO3: C 41.24, H 4.61, N 5.34. Found: C 41.46, H 4.64, N 5.32.
【0194】
(2R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸((2R)-3-Bromo-2-hydroxy-2-methylpropanoic Acid)(R−131)。300mLの24%HBrにブロモラクトン(bromolactone)R−130(18.5g、71mmol)を溶解させた混合物を1時間還流加熱した。得られた溶液を鹹水(200mL)で希釈し、エチルアセテート(100mL×4)で抽出した。複合抽出物を飽和NaHCO溶液(100mL×4)で洗浄した。水溶液を濃縮HClでpH=1まで酸性化し、これを次にはエチルアセテート(100mL×4)で抽出した。複合有機溶液をNaSOで乾燥させ、セライトでろ過し、真空で蒸発乾固した。トルエンからの再結晶は、10.2g(86%)の所望の化合物を無色結晶として産出した。mp 107-109℃ (lit. [214] mp 109-113℃ for the S-isomer); 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ3.63 (d, J = 10.1 Hz, 1H, CHHa), 3.52 (d, J = 10.1 Hz, 1H, CHHb), 1.35 (s, 3H, Me); IR (KBr) 3434 (OH), 3300-2500 (COOH), 1730 (C=O), 1449, 1421, 1380, 1292, 1193, 1085 cm-1; [α]D26+10.5°(c = 2.6, MeOH); Anal. Calcd. for C4H7BrO3: C 26.25, H 3.86. Found: C 26.28, H 3.75.
【0195】
N−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−(2R)−3−ブロモ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(N-[4-Nitro-3-(trliluoromethyl)phenyl]-(2R)-3-bromo-2-hydroxy-2 methylpropanamide)(R−132)。アルゴン下で、5〜−10℃で、70mLのDMAにブロモ酸R−131(11.0g、60mmol)を溶解させた溶液に塩化チオニル(8.6g、71mmol)を滴下した。得られた混合物を同一条件下で2時間撹拌した。上記溶液に80mLのDMAに4−ニトロ−3−(トリメチル−アニリン(12.4g、60mmol)を溶解させた溶液を滴下し、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。高真空オイルポンプを用いて回転エバポレータ(Rotavapor)上で溶媒を除去した。残渣を飽和NaHCO溶液で希釈し、エチルエーテル(100mL×3)で抽出した。複合抽出物を無水NaSOで乾燥させ、セライトでろ過し、溶離液として塩化メチレンを用いてフラッシュクロマトグラフィーによってシリカゲルで精製し、18.0g(80%)の所望の化合物を得た。mp 98-100℃ (Rf= 0.2, シリカゲル, CH2C12); 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ10.54 (s, 1H, NH), 8.54 (d, J = 2.1 Hz, 1H, ArH), 8.34 (dd, J = 9.0 Hz, J = 2.1 Hz, 1H, ArH), 8.18 (d, J = 9.0 Hz, 1H ArH), 6.37 (s, 1H, OH), 3.82 (d, J = 10.4 Hz, 1H, CHHa), 3.58 (d, J = 10.4 Hz, 1H, CHHb), 1.48 (s, 3H, Me), 13C NMR (75 MHz, DMSO-d6)δ173.6 (C=O), 143.0, 127.2, 123.2, 122.6 (q, J = 33.0 Hz), 122.0 (q, J = 271.5 Hz), 118.3 (q, J = 6.0 Hz), 74.4, 41.4, 24.9; IR (KBr) 3344 (OH), 1680 (C=O), 1599, 1548 (C=C, Ar), 1427, 1363, 1161 cm-1; MS (ESI): m/z 370. 8 (M)+; Anal. Calcd. for C11H10BrN2O4: C 35.60, H 2.72, N 7.55. Found: C 35.68, H 2.72, N 7.49.
【0196】
N−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−(2S)−3−[4−(アセチルアミノ)フェノキシ]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(N-[4]-nitro-3-(trifluoromethyl)phenyl)-(2S)-3-[4-(acetylamino) phenoxy]-2-hydroxy-2-methylpropanamide)(S−147、化合物21)。化合物R−132(0.37g、1.0mmol)と、4−アセトアミドフェノール(0.23g、1.5mmol)と、KCO(0.28g、2.0mmol)と、相間移動触媒としての10%の塩化ベンジルトリブチルアンモニウムを20mLのメチルエチルケトンに溶解させたものから題記化合物を作成し、アルゴン下で一晩還流加熱した。反応後にTLCを行い、得られた混合物をセライトでろ過し、真空で濃縮して乾燥させた。フラッシュカラムクロマトグラフィーによるシリカゲル(ヘキサン−エチルアセテート,3:1)での精製は、0.38g(86%)(R=0.18ヘキサン−エチルアセテート,3:1)の所望の化合物を淡黄色粉末として算出した。mp 70-74℃, 固体はエチルアセテート及びヘキサンから再結晶化可能; 1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ10.62 (s, 1H, NH), 9.75 (s, 1H, NH), 8.56 (d, J = 1.9 Hz, 1H, ArH), 8.36 (dd, J = 9.1 Hz, J= 1.9 Hz, 1H, ArH), 8.18 (d, J= 9.1 Hz, 1H, ArH), 7.45-7.42 (m, 2H, ArH), 6.85-6.82 (m, 2H, ArH), 6.25 (s, 1H, OH), 4.17 (d, J= 9.5 Hz, 1H, CHHa), 3.94 (d, J = 9.5 Hz, 1H, CHHb), 1.98 (s, 3H, Me), 1.43.(s, 3H, Me); 13C NMR (75 MHz, DMSO-d6)δ174.6 (C=O), 167.7, 154.2, 143.3, 141.6, 132.8, 127.4, 123.0, 122.7 (q, J= 33.0 Hz), 122.1 (q, J = 271.5 Hz), 120.1, 118.3 (q, J = 6.0 Hz), 114.6, 74.9, 73.8, 23.8, 23.0; IR (KBr) 3364 (OH), 1668 (C=O), 1599, 1512 (C=C, Ar), 1457, 1415, 1351, 1323, 1239, 1150 1046 cm-1; MS (ESI): m/z 464.1 (M+Na)+, Anal. Calcd. for C19H18F3N3O6: C 51.71, H 4.11, N 9 52. Found: C 52.33, H 4.40, N 9.01.
【0197】
化合物21の種々のエーテル類似体、例えば限定されるものではないが本明細書中の化合物1〜4、22、23の合成は、最終反応段階であるような共通の中間体を利用する。種々のフェノール類が臭化物を置換して所望のエーテル製品を産出することを可能にするような臭素中間体が用いられる。ブロモヒドリン(Bromohydrin)は、エポキシドに変換され、エポキシドを開裂させて同一の所望のエーテル製品を産出する。
【0198】
当業者であれば、本発明は上記した内容に限定されるものではないことは容易に理解できるであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】化合物1〜4のアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を示す。ラットは、処置されていないか(無処置対照)、去勢されたか(0mg/日対照)、或いは、0.1、0.3、0.5、0.75、1.0mg/日の化合物1(図1−A)、化合物2(図1−B)、化合物3(図1−C)、又は化合物4(図1−D)で処置され、アンドロゲン反応組織(前立腺、精嚢、及び肛門挙筋)の重量が測定された。
【図2】化合物5のアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を示す。ラットは、処置されていないか(無処置対照)、去勢されたか(0mg/日対照)、或いは、0.1、0.25、0.5、0.75、1.0mg/日の化合物5で処置され、アンドロゲン反応組織(前立腺、精嚢、及び肛門挙筋)の重量が測定された。
【図3】ラットにおける化合物6のアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を示す。ラットは、処置されていないか(無処置対照)、去勢されたか(0mg/日対照)、0.1、0.3、0.5、0.75、1.0mg/日のプロピオン酸テストステロン(TP)で処置されたか、或いは、0.1、0.3、0.5、0.75、1.0mg/日の化合物5で処置され、アンドロゲン反応組織(前立腺、精嚢、及び肛門挙筋)の重量が測定された。
【図4】ラットにおける化合物1のアンドロゲン活性及びタンパク同化作用を示す。ラットは、処置されていないか(無処置対照)、去勢されたか(0mg/日対照)、0.1、0.3、0.5、0.75、1.0mg/日のプロピオン酸テストステロン(TP)で処置されたか、或いは、0.1、0.3、0.5、0.75、1.0mg/日の化合物1で処置され、アンドロゲン反応組織(前立腺、精嚢、及び肛門挙筋)の重量が測定された。
【図5】化合物1及び化合物21のLHレベルへの影響を示す。
【図6】化合物1及び化合物21のFSHレベルへの影響を示す。
【図7】化合物21の合成スキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の化学構造式IIaで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRである。
或いは、ZとYは、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる。
Qは、Fであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項2】
次の化学構造式IIaで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせ。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRである。
或いは、ZとYは、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる。
Qは、Fであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項3】
次の化学構造式IIaで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRである。
或いは、ZとYは、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる。
Qは、Clであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項4】
次の化学構造式IIaで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせ。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRである。
或いは、ZとYは、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる。
Qは、Clであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項5】
次の化学構造式IIaで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRである。
或いは、ZとYは、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる。
Qは、Brであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項6】
次の化学構造式IIaで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせ。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRである。
或いは、ZとYは、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる。
Qは、Brであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項7】
次の化学構造式IIaで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRである。
或いは、ZとYは、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる。
Qは、Iであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項8】
次の化学構造式IIaで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせ。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRである。
或いは、ZとYは、ベンゼン環と結合して炭素二環式又は複素環式縮合環システムを形成するようなものからなる。
Qは、Iであり、
Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項9】
Xは、Oであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
Tは、OHであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
は、CHであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
Zは、NOであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
Zは、CNであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
Yは、CFであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項3又は4に記載の化合物。

【請求項16】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項5又は6に記載の化合物。

【請求項17】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項7又は8に記載の化合物。

【請求項18】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物。

【請求項19】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項3又は4に記載の化合物。

【請求項20】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項5又は6に記載の化合物。

【請求項21】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項7又は8に記載の化合物。

【請求項22】
次の化学構造式IIbで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、H、F、Cl、Br又はIであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、I、Br、Cl、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONH、NHCONHR、NHCONR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHCSNH、NHCSNHR、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の化学構造式A、B又はCで表される縮合環システムと結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項23】
次の化学構造式IIbで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせ。

ただし、Xは、O、CH、NH、Se、PR、NO又はNRであり、
Tは、OH、OR、NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、H、F、Cl、Br又はIであり、
Yは、CF、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、I、Br、Cl、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONH、NHCONHR、NHCONR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHCSNH、NHCSNHR、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の化学構造式A、B又はCで表される縮合環システムと結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項24】
Xは、Oであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
Tは、OHであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項26】
は、CHであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項27】
Zは、Hであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項28】
Zは、Fであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項29】
Zは、Clであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項30】
Zは、Brであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項31】
Zは、Iであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項32】
Yは、CFであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項33】
Qは、Fであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項34】
Qは、Clであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項35】
Qは、Brであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項36】
Qは、Iであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項37】
Qは、NHCOCHであることを特徴とする請求項22に記載の化合物。
【請求項38】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項22に記載の化合物。

【請求項39】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項22に記載の化合物。

【請求項40】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項22に記載の化合物。

【請求項41】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項22に記載の化合物。

【請求項42】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項22に記載の化合物。

【請求項43】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項22に記載の化合物。

【請求項44】
次の化学構造式で表されることを特徴とする請求項22に記載の化合物。

【請求項45】
次の化学構造式で表されることを特徴とする選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項46】
次の化学構造式で表されることを特徴とする選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせ。

【請求項47】
次の化学構造式で表されることを特徴とする選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項48】
次の化学構造式で表されることを特徴とする選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせ。

【請求項49】
前記化合物はアンドロゲン受容体アゴニストであることを特徴とする請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項50】
請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物或いはそれらの任意の組み合わせと、適切な担体又は希釈液とを含んでいることを特徴とする組成物。
【請求項51】
請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせと、適切な担体又は希釈液とを含んでいることを特徴とする組成物。
【請求項52】
効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体又は希釈液とを含んでいることを特徴とする医薬組成物。
【請求項53】
選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物をアンドロゲン受容体に結合させる方法であって、
前記アンドロゲン受容体に、結合させるのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
患者の精子形成を抑制する方法であって、
前記患者のアンドロゲン受容体に、精子形成を抑制するのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項55】
男性患者の避妊方法であって、
前記患者の避妊を効果的に行うべく、
前記患者に、精子形成を抑制するのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項56】
ホルモン療法であって、
患者のアンドロゲン受容体に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項57】
ホルモン補充療法であって、
患者のアンドロゲン受容体に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項58】
ホルモンに関連する病気の患者を治療する方法であって、
前記患者に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項59】
前立腺癌の患者を治療する方法であって、
前記患者に、前立腺癌を治療するのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項60】
前立腺癌を予防する方法であって、
患者に、前立腺癌を予防するのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項61】
前立腺癌の進行を遅らせる方法であって、
前立腺癌の患者に、前立腺癌の進行を遅らせるのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項62】
前立腺癌の再発を予防する方法であって、
前立腺癌の患者に、前立腺癌の再発を予防するのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項63】
前立腺癌の再発を治療する方法であって、
前立腺癌の患者に、前立腺癌の再発を治療するのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項64】
ドライアイを治療する方法であって、
ドライアイの患者に、ドライアイを治療するのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項65】
ドライアイを予防する方法であって、
患者に、ドライアイを予防するのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
癌細胞のアポトーシスを促進する方法であって、
前記癌細胞に、該癌細胞のアポトーシスを促進するのに効果的な量の請求項1乃至48のいずれかに記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−514098(P2006−514098A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501406(P2005−501406)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/032507
【国際公開番号】WO2004/035736
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(504326686)ユニバーシティ・オブ・テネシー・リサーチ・ファウンデーション (22)
【Fターム(参考)】