説明

ハンダ付け方法と装置

(a)ハンダ付け中、(b)ハンダ付け前及び(c)ハンダ付け後の中の少なくとも(a)ハンダ付け中及び(b)ハンダ付け前の工程で、(d)ハンダ材料、(e)ハンダ付け対象物及び(f)その周辺部の中の少なくともいずれかに20Hz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流し、該交流電流により誘起される電磁界により変調電磁波処理をするハンダ付け方法であり、鉛含有ハンダ材料だけでなく、鉛フリーハンダ材料を用いても、ハンダ対象物へのハンダ付け時のぬれ性が良くなり、また得られるハンダ付け品の強度などが従来のハンダ材料に比べて向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、鉛フリーハンダ又は鉛含有ハンダを用いるハンダ付け方法とその装置に関し、特にハンダを変調電磁波処理しながらハンダ付けする方法と装置に関する。
【背景技術】
優れた各種性能を有するSn−Pb共晶ハンダなどの鉛含有ハンダは、ハンダ作業時に発生するヒューム及びガスにより、ハンダ作業場の環境が汚染されること及び作業者への健康に良くないこと及び鉛含有ハンダを使用したプリント基板等を廃棄処分する際に有害物質の無害化をする必要があること等のために、これに代えて鉛フリーハンダ付け装置を採用する傾向にある。
鉛フリーハンダを用いるハンダはフロープロセスではSn−Ag系(Sn−3〜5%Ag−0.5〜3%Cu系)、Sn−Cu系(Sn−0.7%Cu−1.2%Ag系)など、リフロープロセスではSn−Ag系、Sn−Zn系、Sn−Ag−In系、Sn−Bi系など、手動ハンダ、ロボットハンダプロセスではSn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Bi系の共晶ハンダが有望視されている(菅沼克昭、「2003−1別冊 電子技術」第2頁〜第14頁、(株)工業調査会、2003年3月1日発行)。
【発明の開示】
前記従来の鉛フリーハンダ合金の中で特にSn−Ag系(96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%Cuなど)が最有力の鉛フリーハンダ合金であるが、この鉛フリーハンダでも、Sn−Pb系ハンダと比較して次のような問題点があった。
(1)ぬれ性の低下
Sn−Ag−Cu系ハンダは、Sn−Cu系ハンダのぬれ性を増加させるため、Agの添加を行っているものであるといえるが、Sn−Cu系ハンダへのAgの添加割合の増加に伴い、AgSn粒子の大きさ及びAgSn/β−Sn共晶ネットワーク・リングの大きさは微細になる。ハンダ組織としては微細な合金成分が分散している状態が望ましく、そのためAg量はある程度多く含まれる方が良い。
(2)ハンダ強度の低下
Sn−Ag−Cu系ハンダは、その合金中のAg量の増加に伴い、合金の強度が上昇し、共晶組成の3.5%Agで最も高い強度を示すが、これは合金組織の微細化に対応している。但し、過共晶組成の4%Agになると多少劣化する。
(3)その他にハンダ付け時に、▲1▼ブリッジ▲2▼フィレット▲3▼リフト・オフ又は▲4▼引け巣が発生することがある。
本発明の目的は、鉛フリーハンダ及び鉛含有ハンダを用いるハンダ付けで生じる好ましくない現象である、ぬれ性が悪いこと、ブリッジ、ピンホールなどの生成などを最小限に抑制するハンダ付け方法と装置を提供することである。
また、本発明の目的は、銀の含有量をできるだけ少なくして、しかも鉛含有ハンダと同等の性能を発揮するハンダを用いるハンダ付け方法と装置を提供することである。
さらに、本発明の目的は、前記ハンダ付け方法と装置を用いて半導体装置などの回路基板、ハンダメッキされたプラスチック・金属などを製造するハンダ付け物品とその製造方法と製造装置を提供することである。
本発明の目的は次の構成により解決される。
本発明は、(a)ハンダ付け中、(b)ハンダ付け前及び(c)ハンダ付け後の中の少なくとも(a)ハンダ付け中及び(b)ハンダ付け前の工程で、(d)ハンダ材料、(e)ハンダ付け対象物及び(f)その周辺部の中の少なくともいずれかに20Hz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流し、該交流電流により誘起される電磁界により変調電磁波処理をするハンダ付け方法である。
本発明によれば、溶融状態のハンダそのものを変調電磁波処理すること、又はハンダ付け工程におけるハンダ付け雰囲気を変調電磁波処理することで、ハンダ付け時のぬれ性が良くなり、また得られるハンダ付け品の強度などが従来のハンダに比べて向上する。
本発明において、ハンダ付け性能が改善される理由は明らかではないが、溶融したハンダが冷却する課程で、ハンダの組成物又はハンダ付け対象物の変調電磁波処理により、微細共晶が形成されるため、ハンダ付けで常に問題になるぬれ性が改善され、またピンホール、ブリッヂが形成され難くなるなどの作用があるものと考えられる。
さらにハンダ付けの後に行うハンダ付け対象物の電磁界雰囲気での冷却により、ハンダの微細共晶が形成されるため、通常のハンダ付けで行われる急速冷却が不要になる。
また、前記(a)ハンダ付け中、(b)ハンダ付け前及び(c)ハンダ付け後のハンダ付け工程での変調電磁波処理には、フラックス処理工程でフラックス液そのものへの電磁波処理(電磁波処理1)、フラックス処理空間への電磁波処理(電磁波処理2)、フラックス処理されたハンダ対象物に対して行うプレヒーター処理時のプレヒータ空間への電磁波処理(電磁波処理3)、ハンダ付け中に行う電磁波処理(電磁波処理4)、ハンダ付け空間への電磁波処理(電磁波処理5)及びハンダ付け後のハンダ対象物の冷却工程での冷却空間への電磁波処理(電磁波処理6)の各電磁波処理1〜6の内の少なくともいずれかの電磁波処理が含まれる。
前記電磁波処理1〜6の全てが行われることが望ましいが、本発明の目的を達成するためには少なくともハンダ付けの前工程におけるフラックス処理工程、プレヒーター処理工程及び基板へのハンダ付け工程では、必ず電磁波処理を行うことで、特にぬれ性の改善効果を高くすることができる。
また、ハンダ付けの前工程におけるフラックス液そのもの、ハンダ付け工程の溶融ハンダ液そのもの、フラックス処理雰囲気及び/又はハンダ付け雰囲気を本発明の電磁界雰囲気にすることでフラックスの浸透(ぬれ性)をも促進させる事が可能である。こうしてハンダ対象物(回路基板などの導電性端子)とハンダの密着性も向上する。また、ハンダ対象物とハンダの密着性は、本発明の電磁界雰囲気を形成する事でフラックス処理を行わなくても向上することもある。
このように本発明のハンダ付け方法は溶融ハンダ付け方法に限らず、熱融解した後に、溶融したハンダをハンダ付けして冷却する工程を含むハンダ付け方法などに適用可能である。
上記ハンダ付けは、(a)溶融されたハンダ材料をハンダ対象物に吹き付けるフロータイプ、(b)クリームハンダ材料を塗布したハンダ対象物を加熱するリフロータイプ、(c)ハンダ材料を塗布したハンダ対象物にハンダこてを当ててハンダ付けを行うこてハンダタイプ(ロボットハンダ付けを含む)、(d)レーザタイプ又は(e)高周波誘導加熱タイプのハンダ付け方法などあらゆるハンダ付け方法に適用できる。
上記(a)フロータイプのハンダ付けは、ディップソルダリング(溶融ハンダの中へフラックスを塗布したハンダ付け対象物を浸して、ハンダ付けをする方法)における平面ディップ式及び噴流ディップ式ハンダ付け方法に共に適用可能である。
さらに、本発明のハンダ付け方法は、(c)こてハンダ付け方法にも適用でき、前記こてハンダ付け方法は手動ハンダ付け又はロボットによる自動ハンダ付けで行われるが、これらのこてハンダ付け方法は次のようなハンダこてを用いて行われる。
例えば(i)焼きハンダごて、ガスハンダごて、電気ハンダごて、(ii)超音波ハンダごて(超音波振動によって発生するキャビテーション現象を利用して、母材の酸化皮膜を破り、フラックスを用いないで行うハンダ付けであり、たとえばアルミニウムハンダ付けにおいて使用される)、(iii)抵抗ハンダごて(金属又はカーボンでできた電極で接合する部材をはさみ、これに低電圧で大電流を流して接合部に発生するジュール熱によって加熱して行うハンダ付けであり、例えば半導体の回路基板の導電性端子と電線のハンダ付け等に使用される)、(iv)化学ハンダごて(化学反応による反応熱を利用して行われ、火気・スパークなどの発生が危険を及ぼす作業場や屋外での緊急作業に適したハンダ付け等に使用される)などである。
また、本発明に用いるハンダ材料として鉛フリーハンダ材料を用いた場合に、ハンダ付け時のぬれ性とハンダ強度が良くなるが、鉛フリーハンダ材料に限らず鉛含有ハンダ材料にも適用可能である。
また、本発明を適用できる鉛フリーハンダ材料には制限がないが、Sn−Ag−Cu系、Sn−Ag系、Sn−Ag−Bi系、Sn−Ag−In系、Sn−Cu系、Sn−Zn系、Sn−Bi系、Sn−In系、Sn−Sb系、Sn−Bi−In系、Sn−Zn−Bi系又はSn−Ag−Cu−Sb系のハンダ合金などを用いることができる
例えば、鉛フリーハンダ材料として、96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%Cu系のハンダ合金又は96.0%Sn−3.5%Ag−0.5%Cu系のハンダ合金を使用する場合に、本発明の変調電磁波処理を行うことで、Agの含有量(重量%)を0.5%から0%を超える割合まで削減して、該Agの削減分をSnの含有量の増加分とするハンダ組成とすることができる。
また、本発明では、前記変調電磁波処理の他に、20Hz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流すコイル部を備えた棒状部材を用いて、その長手方向をハンダ対象物方向に向けてハンダ付けを行うことでも変調電磁波を有効にハンダ付け工程に作用させることができる。その理由はコイル部を設けた棒状部材の長手方向で変調電磁波強度が強くなるからである。
さらに本発明では、前記変調電磁波処理と同時に、ハンダ付け前後の工程で赤外線及び/又は遠赤外線処理を含む他の電磁波処理を併用することでもハンダ付けのぬれ性、ハンダ強度などが改善される。
本発明の目的は次の構成によっても解決される。
ハンダ材料をハンダ対象物に塗布するハンダ材料塗布部と、ハンダ対象物及び/又はハンダ対象物へのハンダ付け用のハンダ材料及び/又はハンダ材料の近傍に設けたコイルを巻き付けたコイル部と、前記コイル部のコイルに20〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流す電磁波発生器とを備えたハンダ付け装置である。
また、上記ハンダ付け装置の前記コイル部の他に、20Hz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流すコイルを巻き付け、その長手方向をハンダ対象物方向に向けた棒状部材を設けた構成を採用しても良い。
本発明の上記ハンダ付け装置がフロータイプの装置であると、ハンダ材料塗布部は、予備加温装置及びフラックス処理装置を付設した溶融ハンダを貯めた溶融ハンダ槽と該溶融ハンダ槽内に配置した、ハンダ付け対象物に向けて溶融ハンダを噴出する噴出口を設けた溶融ハンダ供給配管とからなり、コイル部は、前記溶融ハンダ槽の近傍及び/又は前記溶融ハンダ供給配管に設けられた構成からなる。
また、上記変調電磁波処理には、フラックス処理工程でフラックス液そのものへの電磁波処理(電磁波処理1)、フラックス処理空間への電磁波処理(電磁波処理2)、フラックス処理された基板に対して行うプレヒーター処理時のプレヒータ空間への電磁波処理(電磁波処理3)及び基板へのハンダ付け時に行う電磁波処理(電磁波処理4)、ハンダ付け空間への電磁波処理(電磁波処理5)及び/又はハンダ付け後の基板の冷却工程での冷却空間への電磁波処理(電磁波処理6)の中の少なくともいずれかの電磁波処理が含まれる。
前記電磁波処理1〜6の全てが行われることが望ましいが、本発明の目的を達成するためには少なくともハンダ付けの前工程におけるフラックス処理工程、プレヒーター処理工程及び基板へのハンダ付け工程では、必ず電磁波処理を行うことで、特にぬれ性の改善効果を高くすることができる。
また、溶融ハンダ槽内に配置した前記溶融ハンダ供給配管は、その外周部に接続した溶融ハンダの侵入防止用配管を備え、コイル部は、前記溶融ハンダ侵入防止用配管の内部を経由して前記溶融ハンダ供給配管にコイルを挿入して巻き付けた構成とすることができる。
このように溶融ハンダ侵入防止用配管の内部を経由して前記溶融ハンダ供給配管にコイルを挿入して巻き付けてコイル部とすることで、溶融状態のハンダ材料にコイルが接触しないのでコイルが劣化しにくくなる。
また、コイル部が、前記溶融ハンダ侵入防止用配管の内部を通して溶融ハンダ供給配管に接続したコイル設置部材と該コイル設置部材に前記溶融ハンダ侵入防止用配管の内部を通して導入したコイルを巻き付けた構成であると、コイル設置部材へのコイルの装着を溶融ハンダ槽の外で行うことができるので、メンテナンス性が良い。
前記コイル設置部材は、その長手方向が前記溶融ハンダ侵入防止用配管の内部において、溶融ハンダ供給配管の長手方向に直交する方向に接続されていると、コイル設置部材のコイル部からは溶融ハンダ供給配管内の溶融ハンダの流れ方向に対して直交する方向に電磁波を与えることができる。その結果、より高出力の電磁波エネルギー量が溶融ハンダに与えられる。
また、コイルをコイル設置部材に単巻き、又は二重以上の重ね巻きで巻くことができるが、二重以上の重ね巻きで、単巻きより発生電磁波強度が増加する。
また、コイル設置部材を溶融ハンダ供給配管の長手方向に2本並列配置して設け、コイル設置部材にはコイルを前記2本のコイル設置部材の間に「0」字巻き又は「8」字巻きに巻き付けると発生電磁波を広範囲に与えることができ、また電磁波強度も1本のコイル設置部材にコイル部を設ける場合に比べて強くなる。
本発明の上記ハンダ付け装置がリフロータイプの装置であると、そのハンダ塗布部は、クリームハンダをハンダ対象物に塗布したハンダ対象物を上流側から下流側に搬送する搬送手段と該搬送手段による搬送中のハンダ対象物を加熱する加熱手段と冷却手段を備え、コイル部は、前記ハンダ対象物を搬送する搬送手段の周囲に巻き付けたコイルを備えた構成とすることができる。
この場合には、コイル部は、例えば、前記搬送手段で搬送されるハンダ対象物の搬送方向に直交する方向で、かつハンダ対象物を囲うようにコイルを配置した構成とする。
前記加熱手段は、例えば、前記搬送手段の搬送方向上流側に設けられた予備加熱部とその下流側に設けられた本加熱部から構成され、前記冷却手段は前記本加熱部の下流側に設けられた構成とすることで、ハンダ付けの予備加熱と本加熱及び冷却の各段階で変調電磁波処理ができる。
本発明の上記ハンダ付け装置がこてハンダタイプの装置であると、ハンダ塗布部は、ハンダを塗布したハンダ対象物に接触又は近接させてハンダ付けを行うハンダこてを備え、コイル部は、前記ハンダこて部分にコイルを巻き付けた構成とすることができる。
この構成では、コイル部がハンダこて部分にあるので、常にハンダ対象物に向けて変調電磁波を当てることができる。
また、本発明は前記ハンダ付け方法を製造工程の中に組み込んだハンダ付け物品の製造方法も含む。前記ハンダ付け物品とは半導体装置を備えた回路基板など半導体装置を含むハンダ付けが必要な全ての電子・電気機器を含む。
また、本発明のハンダ付け方法で得られた、例えば半導体装置を備えた回路基板など半導体装置を含むハンダ付けが必要な全ての電子・電気機器などのハンダ付け物品も本発明に含まれる。
さらに、本発明には前記ハンダ付け装置を含む、例えば半導体装置を備えた回路基板など半導体装置を含むハンダ付けが必要な全ての電子・電気機器などを含むハンダ付け物品の製造方法と装置を含む。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施例のハンダ付け装置の斜視図である。
図2は、図1のハンダ付け装置の側面概略図である。
図3は、図1のハンダ付け装置のハンダ供給配管の溶融ハンダ噴出口付近と該溶融ハンダ噴出口の上方を搬送されている半導体装置のそれぞれの断面図である。
図4は、本発明の実施例のハンダ付け装置の側面概略図である。
図5は、本発明の実施例のハンダ付け処理時のフロー図である。
図6は、本発明の変調電磁波処理の諸条件を検討するためのテスト装置の側面概略図である。
図7は、図6のテスト装置で得られた溶融ハンダを型に流し込む途中で変調電磁波処理をしている様子を示す図である。
図8は、図6に示すテスト装置で変調電磁波処理を行わなかった場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真のコピーである。
図9は、図6に示すテスト装置でのみ0.3A、50〜5,000Hzで変調電磁波処理を行った場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真のコピーである。
図10は、図6に示すテスト装置でのみ0.3A、50〜500kHzで変調電磁波処理を行った場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真のコピーである。
図11は、図6に示すテスト装置でのみ0.3A、50〜20,000Hzで変調電磁波処理を行った場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真のコピーである。
図12は、図6に示すテスト装置と図7に示す型に流し込む途中で0.3A、50〜5,000Hzで変調電磁波処理を行った場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真のコピーである。
図13は、図6に示すテスト装置と図7に示す型に流し込む途中で0.3A、50〜500kHzで変調電磁波処理を行った場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真のコピーである。
図14は、図6に示すテスト装置と図7に示す型に流し込む途中で0.3A、50〜20,000Hzで変調電磁波処理を行った場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真のコピーである。
図15は、変調電磁波処理を行ってない鉛含有ハンダのインゴット研磨面の顕微鏡写真のコピーである。
図16は、基板に設けた貫通孔に半導体チップの端子を挿入した後、基板上の導線と半導体チップの端子を貫通孔を介して理想的にハンダ付けが行われた場合の側断面図である。
図17は、半導体装置と溶融ハンダに変調電磁波処理を施さないでハンダ付けをした場合の基板貫通孔内の半導体チップ端子の周りのハンダ付け状態を示す顕微鏡写真のコピーである。
図18は、半導体装置と溶融ハンダに0.3A、50〜5,000Hzで変調電磁波処理を施した後にハンダ付けを行った場合の基板貫通孔内の半導体チップ端子の周りのハンダ付け状態を示す顕微鏡写真のコピーである。
図19は、図16の点線(b)で囲まれた部分の半導体装置と溶融ハンダに0.3A、50〜500kHzで変調電磁波処理を施した後にハンダ付けを行った場合の基板貫通孔内の半導体チップ端子の周りのハンダ付け状態を示す顕微鏡写真のコピーである。
図20は、図16の点線(a)で囲まれた部分の半導体装置と溶融ハンダに0.3A、50〜500kHzで変調電磁波処理を施した後にハンダ付けを行った場合の基板貫通孔内の半導体チップ端子の周りのハンダ付け状態を示す顕微鏡写真のコピーである。
図21は、半導体装置と溶融ハンダに0.3A、50〜20,000Hzで変調電磁波処理を施した後にハンダ付けを行った場合の基板貫通孔内の半導体チップ端子の周りのハンダ付け状態を示す顕微鏡写真のコピーである。
図22は、変調電磁波処理を施しないで、鉛含有ハンダを用いてハンダ付けを行った場合の基板貫通孔内の半導体チップ端子の周りのハンダ付け状態を示す顕微鏡写真のコピーである。
図23は、本発明の変調電磁波処理によるハンダ付けのテストピースの平面図(図23(a))、その貫通孔の平面拡大図(図23(b))及び側面図(図23(c))である。
図24は、本発明の変調電磁波処理によるハンダ付け装置の溶融ハンダ表面のドロスの発生を示す写真のコピーである。
図25は、本発明の変調電磁波処理によるハンダ付け装置の溶融ハンダ表面のドロスの発生を抑制した状態を示す写真のコピーである。
図26は、本発明の変調電磁波処理によるハンダ付け装置の溶融ハンダ表面のドロスの発生を抑制した状態を示す写真のコピーである。
図27は、本発明の変調電磁波処理装置の短管と溶融ハンダ供給配管の接続部を示す斜視図(図27(a))及び側面図(図27(b))である。
図28は、図27のコイル設置部材へのコイルの巻き方を示す斜視図である。
図29は、図27のコイル設置部材へのコイルの巻き方を示す斜視図である。
図30は、図27の並列配置のコイル設置部材へのコイルの巻き方を示す斜視図である。
図31は、本発明のリフローによるハンダ付け装置の側面略図(図31(a))と平面略図(図31(b))である。
図32は、本発明のリフローによるハンダ付け時の加熱ゾーンと冷却ゾーンの温度を示す図である。
図33は、本発明のリフローによるハンダ付け時の変調電磁波の強度とコイル部の隣接する2本のコイルの間隔との関係を示す図である。
図34は、本発明のリフローによるハンダ付け時のハンダの広がりテストの説明図である。
図35は、本発明のリフローによるハンダ付け時のハンダの強度試験の説明図である。
図36は、本発明のこてハンダによるハンダ付け実行時の様子の説明図である。
図37は、本発明のこてハンダによるハンダ付け時のハンダの広がりの説明図である。
図38は、本発明の可変周波数を流す電線を棒状体に巻き付けた場合の変調電磁波の強度の方向性を説明する図である。
図39は、図38に示す装置のコイルからの距離と電磁波強度との関係を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【実施例1】
本実施例は図1の斜視図と図2の側面略図に示す噴流ディップ式のハンダ付け装置を用いて96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%Cu系のハンダの変調電磁波処理を行った。
本実施例の噴流ディップ式のハンダ付け装置は、溶融した96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%Cu系ハンダの浴槽1とその周囲にヒータ2を配置し、溶融したハンダ3を貯めた浴槽1内には溶融ハンダ3をその表面より上方に誘導して噴出させる噴出口4aを備えた溶融したハンダ供給配管4を設けている。該ハンダ供給配管4の溶融ハンダ取り込み口4bには誘引ファン6(図2)を設けておき、該ファン6をモータ7で回転させることで、ハンダ浴槽1内の溶融ハンダ3をハンダ供給配管4から、その噴出口4aに供給することができる。また、ハンダ付けされる部品(本実施例では半導体装置9)は前記噴出口4aの上方を通るハンダ対象物の搬送装置11により搬送される。
ハンダ供給配管4の溶融ハンダ噴出口4a付近と該溶融ハンダ噴出口4aの上方を搬送されている半導体装置9のそれぞれの断面図を図3に示す。
半導体装置9は基板12に設けた貫通孔12aに半導体チップ13の通電端子13aを予め挿入してあり、ハンダ供給配管4の溶融ハンダ噴出口4aの上方を通過中に貫通孔12a内の通電端子13aが基板12上の図示しない電気配線にハンダ付けされる。
前記溶融ハンダ供給配管4に直接変調電磁波発生器15のコイル15aを巻き付けてもよいが、図2に示すように溶融ハンダ浴槽1内に浸漬された溶融ハンダ供給配管4の外周部の一部を覆い、溶融ハンダ浴槽1のハンダ液の液面より上方側にまで伸び、内部に溶融ハンダ3が入り込まないようにした短管(溶融ハンダの侵入防止用配管)16内を通して変調電磁波発生器15のコイル15aを溶融ハンダ供給配管4の外周部に巻き付ける方がよい。この場合には、コイル15aが溶融ハンダ3に直接接することがないので、コイル15aの劣化が少ない。
また、図4に示すように、溶融ハンダ浴槽1内に浸漬された溶融ハンダ供給配管4の外周部の一部を覆い、溶融ハンダ浴槽1のハンダ液の液面より上方側にまで伸び、内部に溶融ハンダ3が入り込まないようにした短管16内にコイル設置部材18を接続し、該コイル設置部材18に変調電磁波発生器15のコイル15aを巻き付ける方法でもよい。この場合にも図2に示す場合と同じく、コイル15aが溶融ハンダ3に直接接することがないのでコイル巻き部分の劣化が少ない。コイル設置部材18は金属製、プラスチック製又は磁器材料その他の材料からなる。
図4に示す構成は図2に示す構成に比べてコイル15aを巻き易く、溶融ハンダ装置にコイル巻き部分を組込む場合、後加工がし易い特徴があるが、さらに、図4に示す例では溶融ハンダ供給配管4の長手方向にほぼ直交する方向にコイル設置部材18を接続しているので、コイル設置部材18に巻いたコイル15aからは溶融ハンダ供給配管4内の溶融ハンダの流れ方向に対して直交する方向に電磁波を与えることができる。その結果、より高出力の電磁波エネルギー量が溶融ハンダに与えられる。
図2又は図4に示す装置を用いて行う電磁波処理のフローは図5に示す通りである。
まず、ハンダ付けを行う基板12に対してフラックス処理を行うが、このフラックス処理工程でフラックス液そのものに電磁波処理を施す(電磁波処理1)かフラックス処理空間に電磁波処理を施す(電磁波処理2)。次いでフラックス処理された基板12に対してプレヒーター処理を行うが、この時もプレヒータ空間に電磁波処理をする(電磁波処理3)。次に行う基板12へのハンダ付け時にも電磁波処理を行う(電磁波処理4)。また、この時もハンダ付け空間に電磁波処理をする(電磁波処理5)。基板12へのハンダ付けが終わると、ハンダ付けされた基板12は冷却される。この冷却工程でも冷却空間に電磁波処理を行うことが望ましい(電磁波処理6)。
前記電磁波処理1〜6の全てが行われることが望ましいが、本発明の目的を達成するためには少なくともプレヒーター処理時及び基板12へのハンダ付け時には必ず電磁波処理を行うことが必要である。
本実施の形態の変調電磁波処理の諸条件を以下のように検討した。
鉛フリーハンダが鉛含有ハンダと比較して変調電磁波処理により、どの程度のぬれ性等の効果があるか確認するために以下の実験を行った。
(1)変調電磁波処理
前記変調電磁波処理の諸条件を検討するために、図6に示すテスト装置で変調電磁波処理を行った。図6は側壁にヒータ2を設けたハンダ浴槽17内に下記の各種のハンダ材料の溶融物3を入れ、ヒータ2の外側に変調電磁波発生器15からの可変周波数を発振するコイル15aを巻き付けた。
(a)各種ハンダ材料及びフラックス材料
各種ハンダ材料
▲1▼鉛含有ハンダ
Sn63wt%とPb37wt%からなるハンダ
▲2▼鉛フリーハンダ
Sn96.5wt%、Ag3wt%、Cu0.5wt%からなるハンダ
フラックス材料
ロジン(松脂)20〜30%、アミン系活性剤1%以下、溶剤(アルコール等)の混合液
(b)変調電磁波処理の電流値と周波数
▲1▼コイル電流値 0.1〜5A(可変)
▲2▼周波数 50〜500kHz
(c)ハンダ付け
前記(b)のコイル電流値と周波数の範囲内で図6のハンダ浴槽17の周囲から浴槽17内の溶融ハンダに対して変調電磁波処理を施した後、ハンダ浴槽内の溶融ハンダ3を図7に示すように型18に流し込み、インゴットとする。この際、図7に示すように型18に流し込む途中にも前記(b)のコイル電流値と周波数で変調電磁波処理を行う場合と前記変調電磁波処理を行わない場合とがある。
(d)切断面の観察
次に、インゴットを冷却した後、切断した上で、切断面を研磨して研磨表面の顕微鏡による確認を行い、金属粒界及び結晶状態を確認した。なおインゴットは表面から順次中心部に向けて冷却、固化されていくが、以下に示す顕微鏡写真は全てインゴットの表面に近い部分を倍率100倍にした写真である。
(2)テスト結果1
このテスト結果1は図6に示すテスト装置で前記▲1▼、▲2▼の溶融したハンダ材料に変調電磁波処理を行った後、図7に示す型18に流し込む途中で前記変調電磁波処理を行わない場合のテスト結果である。このときのコイル電流値は0.3Aで一定とし、変調電磁波は(a)未処理、(b)50〜5,000Hz、(c)50〜500kHz及び(d)50〜20,000Hzである。
前記(a)〜(d)の結果を図8、図9、図10、図11にそれぞれ示す。
(3)テスト結果2
このテスト結果2は、図6に示すテスト装置で前記▲1▼、▲2▼の溶融したハンダ材料に変調電磁波処理を行った後に、図7に示す型18に流し込む途中で前記変調電磁波処理を行った場合のテスト結果である。
このときのコイル電流値は0.3Aで一定とし、変調電磁波は(a)50〜5,000Hz、(b)50〜500kHz及び(c)50〜20,000Hzで処理をした。前記(a)〜(c)の結果を図12、図13、図14にそれぞれ示す。
また、前記図6および図7に示す変調電磁波処理を全く行わなかった場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真は前述のように図8に示す通りである。
さらに、前記▲1▼の溶融した鉛含有ハンダ材料を用いて前記図6および図7に示す変調電磁波処理を全く行わなかった場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真を図15に示す。
このように、図8〜図14は(1)(b)の▲2▼鉛フリーハンダを用い、図15は(1)(a)の▲1▼鉛含有ハンダを用いた場合の結果である。
(4)テスト結果1、2の考察
以上のテスト結果1、2から、前記▲2▼の溶融した鉛フリーハンダ材料に対して図6および図7に示す変調電磁波処理を全く行わなかった場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真(図8)に比べて、図6に示す変調電磁波処理を行なった場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真(図9〜図11)は比較的均一な共晶物が得られていることが分かる。
また、前記▲2▼の溶融した鉛フリーハンダ材料に対して図6および図7に示す変調電磁波処理を共に行なった場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真(図12〜図14)は、前記図6に示す変調電磁波処理だけを行なった場合のインゴット研磨面の顕微鏡写真(図9〜図11)に比較して、より均一な共晶物が得られていることが分かる。
図12〜図14の顕微鏡写真は従来汎用されていた前記▲1▼の鉛含有ハンダ材料から得られるインゴット研磨面の顕微鏡写真(図15)と同等以上の均一な共晶物が得られていることから、本実施例の変調電磁波処理を行うことで鉛フリーハンダ材料も性能に定評がある鉛含有ハンダ材料の代替物となり得ることが判明した。
また、図6に示すハンダ浴槽内の溶融ハンダに対して変調電磁波処理を施すだけでなく、ハンダ浴槽内の溶融ハンダを型に流し込む途中にも変調電磁波処理を行うことが効果的であることが分かった。
(5)実機への応用結果
図1に示す噴流ディップ式の溶融ハンダ付け装置1を用いて、半導体装置9の基板12上の導線と半導体チップ13の端子13aをハンダ付けを行った。
図16には基板12に設けた貫通孔12aに半導体チップ13の端子13aを挿入した後、基板12上の導線と半導体チップ13の端子13aが貫通孔12aを介して理想的にハンダ付けが行われた場合の側断面図である。
前記テスト結果2の条件と同じく、コイル電流値は0.3Aで一定とし、時間と共に周波数が変化する変調周波数は
(a)未処理、
(b)50〜5,000Hz、
(c)50〜500kHz及び
(d)50〜20,000Hz
でハンダ付け前の半導体装置9に変調電磁波処理を施し、溶融ハンダ供給配管4内の溶融ハンダ3に変調電磁波処理を施し、さらにハンダ付け後の半導体装置9にも変調電磁波処理を施す。
上記(a)〜(d)の条件で変調電磁波処理を施さない場合と変調電磁波処理を施しながら半導体装置9のハンダ付けを行った場合の基板貫通孔12a内の半導体チップ端子13aの周りのハンダ付け状態を示す断面を25倍の倍率の断面の顕微鏡写真として図17〜図22に示す。図17、図18、図20、図21の顕微鏡写真は、図16の点線(a)で囲まれた部分において、上記条件(a)〜(d)で処理したハンダ付け処理後のそれぞれの状態でハンダ付けをした場合をそれぞれ順番に示す。
なお、図17〜図21は(1)(b)の▲2▼鉛フリーハンダ材料を用い、図22は(1)(a)の▲1▼鉛含有ハンダ材料を用いた場合の結果である。
また、図19の顕微鏡写真は、図16の点線(b)で囲まれた部分において上記条件(c)で処理したハンダ付け処理後のそれぞれの状態でハンダ付けをした場合を示す。また、図22は変調電磁波処理を施さないで▲1▼鉛含有ハンダ材料を用いてハンダ付けをした場合を示す。
図17には変調電磁波処理をしていない上記条件(a)でのハンダ付けの結果を示すが、基板12の貫通孔12aと半導体チップ13の端子13aとの隙間にハンダが十分侵入していないことが分かる。
図18には上記条件(b)で変調電磁波処理を施しながらハンダ付けを行った結果を示すが、基板12の貫通孔12aと半導体チップ13の端子13aとの隙間にハンダが十分侵入していて、ハンダ付けが狭い空間でも良く行われていることを示している。
図19には上記条件(c)で変調電磁波処理を施しながら半導体装置9の端部の比較的障害物が少ない箇所(図16の(b))の半導体チップ13の端子13a部分のハンダ付けを行った結果を示すが、基板12の貫通孔12aと半導体チップ13の端子13aとの隙間にハンダが十分侵入していて、本実施例の中では最も良好な状態でハンダ付けが行われていることを示している。
図20には上記条件(c)で半導体装置9の中央部の比較的障害物が多い箇所の半導体チップ13の端子13a部分のハンダ付けを行った結果を示すが、図19とほぼ同程度に基板12の貫通孔12aと半導体チップ13の端子13aとの隙間にハンダが十分侵入していて、良好な状態でハンダ付けが行われていることを示している。
図21には上記条件(d)で変調電磁波処理を施しながらハンダ付けを行った結果を示すが、基板12の貫通孔12aと半導体チップ13の端子13aとの隙間にハンダが十分侵入していない。
図22には変調電磁波処理を施さないで、▲1▼鉛含有ハンダ材料を用いてハンダ付けを行った結果を示すが、基板12の貫通孔12aと半導体チップ13の端子13aとの隙間にハンダが十分侵入していない。
また、図示をしていないが、電磁波強度が強すぎると、いわゆる「ハンダダレ」が生じる。
従って、本実施例の変調電磁波処理の条件を適切に選ぶことで、▲2▼鉛フリーハンダ材料を用いてぬれ性の優れたハンダ付けができることが判明した。しかも、本実施例の方法によると▲1▼鉛含有ハンダ材料を用いる場合に比較しても良好なハンダ付けが可能であることが分かった。
【実施例2】
本実施例は実施例1と同じくフロータイプのハンダ付け方法であり、鉛フリーハンダ材料を用いて変調電磁波処理をしながらのハンダ付けを行う実施例である。
(1)変調電磁波処理
前記変調電磁波処理の諸条件を検討するために、図6に示すテスト装置で変調電磁波処理を行った。
(a)各種ハンダ材料及びフラックス材料
各種ハンダ材料
▲1▼Sn96.5wt%、Ag3.0wt%、Cu0.5wt%からなるハンダ
▲2▼Sn97.0wt%、Ag2.5wt%、Cu0.5wt%からなるハンダ
▲3▼Sn97.5wt%、Ag2.0wt%、Cu0.5wt%からなるハンダ
▲4▼Sn98.0wt%、Ag1.5wt%、Cu0.5wt%からなるハンダ
フラックス材料
ロジン(松脂)20〜30%、アミン系活性剤1%以下、溶剤(アルコール等)の混合液
(b)変調電磁波処理の電流値と周波数
▲1▼コイル電流値 0.1〜5A(可変)
▲2▼変調周波数 20Hz〜1MHz
(c)ハンダ付け
図23(a)の平面図に示すプラスチック板20上に縦6コ×横6コ、計36コの直径3mmの円形の銅箔21を設けた30×30mmの大きさのテストピース23を用意し、前記銅箔21の各々の中心部に0.8mmの貫通孔25(図23(b)の平面拡大図、図23(c)の側面図)を設ける。
先の(b)のコイル電流値と周波数の範囲内で図6のハンダ浴槽17の周囲から浴槽17内の溶融ハンダ3に対して変調電磁波処理を施した後、前記テストピース23を溶融ハンダ3でハンダ付けして、貫通孔25を通してテストピース23上面にハンダ26がぬれ上がる状況(スルーホール性)を観察することでSn−Ag−Cu系の溶融ハンダのぬれ性を確認する。
(2)テスト結果1
実際のハンダ工程と同じように、ハンダ液、フラックス液の変調電磁波処理とフラックス処理工程とプレヒーター工程及びハンダ処理工程での変調電磁波処理を行う場合と、変調電磁波処理を行わない場合との比較を行った。
また、Sn−Ag−Cu系ハンダのAg含有率の影響について、図23(b)、図23(c)に示すようにテストピース23の貫通孔25におけるハンダ26のスルーホール効果を観察した。36コの貫通孔25の中でスルーホールぬれ上がりがあった個数を数えた。
結果を表1に示す。

表1から明らかなように、
▲1▼変調電磁波処理によってスルーホールぬれ上がり向上効果があることが確認された。
▲2▼97.5%Sn−2.0%Ag−0.5%Cuの合金であっても、変調電磁波処理によって、変調電磁波未処理時のAg3.0%含有合金と同程度のスルーホール効果が得られることが分かった。
(3)テスト結果2(実装試験)
前記テスト1と同じテストピース23を用いて、96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%Cuの合金を前記(1)(b)の電磁波により、図4に示すハンダ付け装置を用いるハンダ付けを行った。このとき、ハンダ液、フラックス液の変調電磁波処理とフラックス処理工程とプレヒーター工程及びハンダ処理工程での変調電磁波処理を行う場合と、変調電磁波処理を行わない場合との比較を行った。
変調電磁波処理及び未処理による前記スルーホールぬれ上がり向上効果の違いを見るために、ハンダ径とフラックス径の大きさをノギスで測定した。結果を表2に示す。

表2の結果から次のことが分かる。
▲1▼電磁波処理によってハンダ径とフラックス径が共に広がりが大きくなっている。
これは、スルーホールぬれ性向上によるものと考えられ、また、フラックスの密着性、ぬれ性向上の相乗効果の影響も大きいものと考えられる。
▲2▼CV(%)=標準偏差/平均×100を見ても、電磁波処理によってバラツキは小さく、安定してスルーホールぬれ性が向上しているのが分かる。ぬれ性向上によるスルーホール効果は、そのハンダ安定性の向上でも確認された。
また、図4に示すハンダ付け装置を用いてSn96.0wt%、Ag3.5wt%、Cu0.5wt%のハンダ液を循環しながらハンダを実行していく過程では、図24に示すようにハンダ付け装置内の溶融ハンダ3の表面にはドロス(溶融ハンダの上に浮く不純物(酸化物)など)が発生する。このドロスはハンダ時にブリッジ等の障害を招く原因になる。
しかし、図4に示すハンダ付け装置内のハンダ液に本発明の変調電磁波処理を行うと図25(電流値0.3A)、図26(電流値0.6A)に示すようにドロスが消えた。特により電流値が高い図26に示す場合にはドロスが完全に消えた。
図1に示す溶融ハンダ供給配管4をはじめとする流体流路内を流れる被処理流体を電磁波処理するために該流体流路などに導電性電線(コイル)を巻き付けるが、そのコイルの巻き付け方に次のような方法がある。
A.流体流路の周りにコイルを巻く方法
B.流体流路に別に短管を接続し、該短管内で流体流路(図2の供給配管4)に直接コイルを巻く方法
C.短管内に設けた流体流路に接続されたコイル設置部材(図4のコイル設置部材18)にコイルを巻く方法
上記A、B又はCの方法にて電磁波処理を行うためのハンダ装置として図5のフローに示す変調電磁波処理1〜6において、B又はCの方法が有効である。それは処理方法として簡便であり、ハンダ装置に組込む場合、後付けが可能であることによる。
また、上記Cの方法における短管は流体流路に図27に示すように短管16の流体流路(溶融ハンダ供給配管4)への接続部に設けたパッド部をスポット溶接により接続する方法(図27(a))、又は流体流路(供給配管4)に短管16のパッド部をバンド17で締め付け、固定する方法(図27(b))がある。
また電線(コイル)15aのコイル設置部材18などへの巻き付け方としては、図28の単にコイル15aをコイル設置部材18に順次巻き付ける単巻き法、図29の内側に巻き付けた後にその上にさらに巻き付ける重ね巻き法などがある。このようにコイル設置部材18に単巻き、又は二重以上の重ね巻きで巻かれたコイル15aを備えたコイル部を設けることで、発生電磁波強度が増加する効果がある。
また、コイル設置部材18を隣接して2つ流体流路に接続する場合には図30(a)のように一方のコイル設置部材18に単巻きした後、そのコイル15aを続けてもう一方のコイル設置部材18に巻き付ける巻き付け方法が一般的である。図30(a)の流体流路に2つのコイル設置部材18を隣接して接続した場合のコイル15aの巻き方は図30(b)、図30(c)に示すように「0」字巻きと「8」字巻きがある。この場合には発生電磁波を広範囲に与えることができ、又その強度を増加させる効果がある。
【実施例3】
本実施例は、リフローハンダ付け方法について説明する。
図31にリフローハンダ付け装置の側面略図(図31(a))と平面略図(図31(b))を示す。
クリームハンダを塗布したハンダ対象物30とその搬送装置(図示せず)が通る入口と出口が設けられたハンダ付け装置のケース(図示せず)内にハンダ対象物30とその搬送装置の搬送路を取り囲む位置に本発明の変調電磁波を発生する電線(コイル)が巻かれたコイル部31がある。ハンダ対象物30とその搬送装置はコイル部31で囲まれた空間内を搬送されるが、ケース内ではコイル部31は、その外側からヒータ32により加熱される。なお、前記ケース内では空気が循環しており、外気がほとんど入り込まない。
ハンダ対象物30の加熱は二段で行われ、プレヒータゾーンS1とハンダ溶融ゾーンS2が加熱され、プレヒータゾーンS1では加熱温度の均一化、フラックスの活性化が行われ、ハンダ溶融ゾーンS2ではハンダ付けが行われる。次いでハンダ付けされたハンダ対象物は冷却ゾーンS3で冷却される。
上記3つのゾーンS1〜S3の全てにおいて、ハンダ対象物30は電磁波を発生するコイル部31で囲まれた領域を移動し、ハンダ対象物30及びハンダ材料はコイル部31からの電磁波処理を受ける。
また、有効電磁波強度はコイルの端部より約500mm程度の範囲にまで到達することを電磁波モニター装置(図示せず)により確認しながら、コイル部31のコイル巻き位置はできるだけハンダ対象物30のハンダ付け部位に近づいた箇所に配置する。また、電磁波発生用のコイル部31がその上下位置に設けたヒーター32からハンダ対象物30に当たる熱を妨げないようにコイル間隔を調整する必要がある。
図33に電磁波強度とコイル部の隣接する2本のコイルの間隔との関係を示すように、隣接する2本のコイルの間隔を30〜70mm空けることで、温度プロファイルに影響を与えないことを確認した。
また、ハンダ対象物各所に温度センサーを取り付け、実際に設定された通りのリフロー処理を行うことで、図32に示すように設定した温度条件(点線)とほぼ同様な温度条件(実線)で加熱することができた。
(1)変調電磁波処理
コイル部31より発生する電磁波強度はほぼコイル電流値と比例する。電磁波処理によるハンダのぬれ性向上効果のためには次のような弊害が生じるおそれがあるので、電磁波強度を適切にする必要がある。
図33に示すデータに基づき、電磁波強度が高すぎた場合には、基板へのハンダ広がりは増大し、基板の導電部である銅部分からハンダがはみ出してプラスチック板まで広がる。そのような場合には、電磁波出力を適正値に低下させる。
(2)ハンダ材料とフラックス材料
クリームハンダとしてニホンハンダ(株)製のPF305−207SHO(商品名)であるペースト入りのSn:Ag:Cu=96.5:3.0:0.5(wt%)を用いる。
(3)変調電磁波処理の電流値と周波数
▲1▼コイル電流値:0.1〜5Aの間で電流値は可変であるが、本実施例では電磁波が強すぎた場合の不具合(広がり過ぎ)により最適値2Aに固定した。
▲2▼変調周波数 20Hz〜1MHz
(4)テスト結果
以下の3枚の銅製のテストピース(A〜C)を用いて、下記のハンダ温度と電磁波でハンダの広がり試験(テスト1)と強度試験(テスト2)を行った。
A板:150mm×150mm×厚さ1mm
B板: 50mm× 50mm×厚さ0.3mm
C板: 10mm× 10mm×厚さ1mm
ハンダ温度:235℃、240℃
(a)テスト1(広がり試験)
▲1▼図34(a)の側面図と図34(b)の平面図に示すようにB板にφ4mm,φ3mmの穴をそれぞれ開け、A板の上に置く。合計9個のB板がA板上に載置される。
▲2▼B板の上よりクリームハンダを塗布した後、図34(c)に示すようにB板を除くと、その穴に入り込んでいたハンダがA板に多数の斑点33a、33bが載った状態となる。
▲3▼図31に示す装置でリフロー処理を行い、変調電磁波処理と未処理とでA板上のハンダの広がり状態をノギスを使用して比較する。
235℃でのB板のφ4mmとφ3mmの穴を通してA板に載った斑点の径のデータを表3と表4に示す。また、240℃でのB板のφ4mmとφ3mmの穴を通してA板に載った斑点の径のデータを表5と表6に示す。




上記表3〜表6に示すように上記条件にて変調電磁波処理をすることにより電磁波未処理時と比較して「ハンダの広がり性」の向上が見られた。
(b)テスト2(ハンダ強度試験)
▲1▼B板にφ1mmの穴を開け、A板の上に置く。
▲2▼B板の上よりクリームハンダを塗布した後、B板を除けると、A板上にハンダが載っている。
▲3▼図31に示す装置でA板を温度240℃でリフロー処理を行い、その際に変調電磁波処理をしない(未処理)状態でのリフロー処理と変調電磁波処理を行うリフロー処理を行う。
▲4▼ハンダ溶融状態でC板を重ねる。
▲5▼図35に示すようにA板を基礎に固定し、C板を荷重測定器36で引っ張り、ハンダ接合部35の引っ張り強度を測定する。
A板とC板のハンダ接合部35のハンダ面積はC板を載せる際の押さえ方で調整してバラツキを与えた。結果を表7に示す。

表7から分かるように、変調電磁波処理によってA板とC板のハンダ接合部35の引っ張り強度の増加が見られた。これは変調電磁波処理によってハンダ共晶の微細化が進んだことによるものと考えられる。
【実施例4】
こてハンダ(ロボットハンダ)における変調電磁波処理の効果を確認する実験を次のように行った。
図36(a)の平面図と図36(b)の一部側面図に示すように、合成樹脂板37には導電性端子部分(銅パターン)38を上下に有している。銅パターン38上にY端子条のリード線の端子39a、39bとφ1mmの糸状ハンダ26を載せ、ハンダこて42でリード線の端子39a、39bと銅パターン38間をハンダ付けする。
(1)変調電磁波処理
ハンダこて42には電線を巻き付けたコイル部43を設けているので、ハンダこて42を加熱しながらリード線の端子39a、39bと銅パターン38の間をハンダ付けをしている間にコイル部43に変調交流電流を流しながら変調電磁波処理をする場合としない場合(未処理)のハンダの広がりの程度とぬれ性を観察した。
(a)ハンダ材料とフラックス材料など
RMA(イソプロピルアルコールと約4%の松脂)フラックスを含むSn:Ag:Cu:In=92.5:3.0:0.5:4.0wt%のハンダ
(b)変調電磁波処理の電流値と周波数
▲1▼コイル電流値0.1〜5A(可変)で行えるが、電磁波が高過ぎると広がり過ぎを生じるため、最適値1A設定に設定
▲2▼変調周波数 20Hz〜1MHz
(c)ハンダ付け
▲1▼基板:1個の大きさ132mm×70.1mm×厚さ1.5mmのガラスエポキシ樹脂基板37基板37に10個の4mm×7.6mmの導電性端子部分(銅パターン)38を配しφ1mmの糸状ハンダ26でハンだ付けする。
▲2▼リード端子:錫(Sn)とニッケル(Ni)でメッキ処理されたY字状の端子39a、39b
▲3▼使用ハンダこて:白光(株)製、商品名ボンコート、型式SR−1032
▲4▼電力: AC100V−18W
▲5▼ハンダ条件:温度210℃、時間4sec
(2)テスト1(広がり)
ガラスエポキシ樹脂基板37の銅パターン38とリード線端子39a、39bの間を変調電磁波処理をする場合と変調電磁波処理をしない場合(未処理)において、ハンダこて42によりハンダ付けを行い、ハンダの広がりの程度を確認した。
判定方法は図37に示すハンダ面積/銅パターン38の面積の比率(%)を目視確認して求め、10ヶの平均結果を表8に示す。

表8から変調電磁波処理によって「ぬれ性」が向上し、銅パターンのほぼ全域にハンダ付けが可能となった。
【実施例5】
上記各実施例における変調電磁波処理において常備したコイル部からの電磁波照射以外に図38に示すように可搬型変調電磁波発生用装置から照射される電磁波を用いて、ハンダ付けに作用させることが可能である。
図38は電磁波発生器15からの20Hz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流す電線(コイル)45を巻き付けた棒状部材46の長手方向(X軸方向)をハンダ対象物方向に向けてハンダ付けを行う方法である。
これは、図38のX軸方向の電磁波強度とX軸方向に直交するY方向の電磁波強度を、図39(a)と図39(b)にそれぞれ示すが、この図39から明らかなようにX軸方向の強度がY軸方向の強度より強いためである。
そこで、上記各実施例における常備したコイル部からの変調電磁波処理において前記コイル部の電磁波照射以外にコイル45を巻き付けた棒状部材46の長手方向(X軸方向)を「フローハンダ」、「リフローハンダ」及び「こてハンダ」のハンダ付け部位に向けて電磁波を作用させることができる。
この場合、コイル45を巻き付けた棒状部材46からの電磁波の作用有効範囲はコイル電流値に比例する電磁波強度と同様にその範囲も増大する。
【産業上の利用可能性】
本発明は、鉛含有ハンダ材料のみならず鉛フリーハンダ材料をハンダ対象物にハンダ付けする前後又はハンダ付け時に本発明の変調電磁波処理することにより、ハンダ材料のぬれ性が著しく改善され、また得られるハンダ付け品の強度などは変調電磁波処理をしていないハンダ材料に比べて向上する。そのため、本発明は、環境に優しく、また従来の評価の高い鉛含有ハンダ材料と同等のハンダ性能を発揮することができ、半導体装置などの回路基板などあらゆる分野のハンダ付け物品に利用可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】

【図33】

【図34】

【図35】

【図36】

【図37】

【図38】

【図39】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ハンダ付け中、(b)ハンダ付け前及び(c)ハンダ付け後のハンダ付け工程の中の少なくとも(a)ハンダ付け中と(b)ハンダ付け前の工程で、(d)ハンダ材料、(e)ハンダ付け対象物及び(f)その周辺部の中の少なくともいずれかに20Hz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流し、該交流電流により誘起される電磁界により変調電磁波処理をすることを特徴とするハンダ付け方法。
【請求項2】
前記(a)ハンダ付け中、(b)ハンダ付け前及び(c)ハンダ付け後のハンダ付け工程での変調電磁波処理には、フラックス処理工程でフラックス液そのものへの電磁波処理(電磁波処理1)、フラックス処理空間への電磁波処理(電磁波処理2)、フラックス処理されたハンダ対象物に対して行うプレヒーター処理時のプレヒータ空間への電磁波処理(電磁波処理3)、ハンダ付け中に行う電磁波処理(電磁波処理4)、ハンダ付け空間への電磁波処理(電磁波処理5)及びハンダ付け後のハンダ対象物の冷却工程での冷却空間への電磁波処理(電磁波処理6)の各電磁波処理1〜6の内の少なくともいずれかの電磁波処理が含まれることを特徴とする請求項1記載のハンダ付け方法。
【請求項3】
ハンダ付けは、(a)溶融されたハンダ材料をハンダ対象物に吹き付けるフロータイプ、(b)クリームハンダ材料を塗布したハンダ対象物を加熱するリフロータイプ、又は(c)ハンダ材料を塗布したハンダ対象物にハンダこてを当ててハンダ付けを行うこてハンダタイプ、(d)レーザタイプ又は(e)誘導加熱タイプのハンダ付け方法であることを特徴とする請求項1記載のハンダ付け方法。
【請求項4】
ハンダ材料は鉛フリーハンダ材料又は鉛含有ハンダ材料であることを特徴とする請求項1記載のハンダ付け方法。
【請求項5】
鉛フリーハンダ材料は、Sn−Ag−Cu系、Sn−Ag系、Sn−Ag−Bi系、Sn−Ag−In系、Sn−Cu系、Sn−Zn系、Sn−Bi系、Sn−In系、Sn−Sb系、Sn−Bi−In系、Sn−Zn−Bi系又はSn−Ag−Cu−Sb系のハンダ合金であることを特徴とする請求項1記載のハンダ付け方法。
【請求項6】
鉛フリーハンダ材料は、96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%Cu系のハンダ合金又は96.0%Sn−3.5%Ag−0.5%Cu系のハンダ合金のAgの含有量(重量%)を0.5%から0%を超える割合まで削減して、該Agの削減分をSnの含有量の増加分とするハンダ組成とすることを特徴とする請求項1記載のハンダ付け方法。
【請求項7】
前記変調電磁波処理の他に、20Hz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流すコイルを備えた棒状部材の長手方向をハンダ対象物方向に向けてハンダ付けを行うことを特徴とする請求項1記載のハンダ付け方法。
【請求項8】
前記変調電磁波処理と同時に、ハンダ付け前後の工程で赤外線及び/又は遠赤外線処理を含む他の電磁波処理を併用することを特徴とする請求項1記載のハンダ付け方法。
【請求項9】
ハンダ材料をハンダ対象物に塗布するハンダ材料塗布部と、
ハンダ対象物及び/又はハンダ対象物へのハンダ付け用のハンダ材料及び/又はハンダ材料の近傍に設けたコイルを巻き付けたコイル部と、
前記コイル部の電線に20〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流す電磁波発生器とを備えたことを特徴とするハンダ付け装置。
【請求項10】
前記コイル部の他に、20Hz〜1MHzの帯域で周波数が時間的に変化する交流電流を流すコイルを巻き付け、その長手方向をハンダ対象物方向に向けた棒状部材を設けたことを特徴とする請求項A記載のハンダ付け装置。
【請求項11】
ハンダ材料塗布部は、予備加温装置及び/又はフラックス処理装置を付設した溶融ハンダを貯めた溶融ハンダ槽と該溶融ハンダ槽内に配置した、ハンダ付け対象物に向けて溶融ハンダを噴出する噴出口を設けた溶融ハンダ供給配管とからなり、
コイル部は、前記溶融ハンダ槽の近傍及び/又は前記溶融ハンダ供給配管に設けられたことを特徴とする請求項M記載のハンダ付け装置。
【請求項12】
前記溶融ハンダ槽の近傍に設けたコイル部は、予備加温装置及び/又はフラックス処理装置を含む溶融ハンダ槽内のハンダ付けされる前及び/又はハンダ付け後の溶融ハンダ槽内部及び/又は外部のハンダ付け対象物の近傍に設けられたことを特徴とする請求項11記載のハンダ付け装置。
【請求項13】
溶融ハンダ槽内に配置した前記溶融ハンダ供給配管は、その外周部に接続した溶融ハンダの侵入防止用配管を備え、
コイル部は、前記溶融ハンダ侵入防止用配管の内部を経由して前記溶融ハンダ供給配管にコイルを挿入して巻き付けた構成であることを特徴とする請求項11記載のハンダ付け装置。
【請求項14】
コイル部は、前記溶融ハンダ侵入防止用配管の内部を通して溶融ハンダ供給配管に接続したコイル設置部材と該コイル設置部材に前記溶融ハンダ侵入防止用配管の内部を通して導入したコイルを巻き付けた構成であることを特徴とする請求項13記載のハンダ付け装置。
【請求項15】
前記コイル設置部材は、その長手方向が前記溶融ハンダ侵入防止用配管の内部において、溶融ハンダ供給配管の長手方向に直交する方向に接続されたことを特徴とする請求項14記載のハンダ付け装置。
【請求項16】
前記コイル設置部材に設けたコイルは、コイル設置部材に単巻き、又は二重以上の重ね巻きで巻かれたことを特徴とする請求項14記載のハンダ付け装置。
【請求項17】
前記コイル設置部材は、前記溶融ハンダ供給配管の長手方向に2本並列配置して設けられ、該コイル設置部材にはコイルが前記2本のコイル設置部材の間に「0」字巻き又は「8」字巻きで巻かれたことを特徴とする請求項14記載のハンダ付け装置。
【請求項18】
ハンダ塗布部は、クリームハンダをハンダ対象物に塗布したハンダ対象物を上流側から下流側に搬送する搬送手段と該搬送手段による搬送中のハンダ対象物を加熱する加熱手段と冷却手段を備え、
コイル部は、前記ハンダ対象物を搬送する搬送手段の周囲に巻き付けたコイルを備えたことを特徴とする請求項A記載のハンダ付け装置。
【請求項19】
コイル部は、前記搬送手段で搬送されるハンダ対象物の搬送方向に直交する方向で、かつハンダ対象物を囲うようにコイルを配置した構成からなることを特徴とする請求項18記載のハンダ付け装置。
【請求項20】
前記加熱手段は、前記搬送手段の搬送方向上流側に設けられた予備加熱部とその下流側に設けられた本加熱部からなり、前記冷却手段は前記本加熱部の下流側に設けられたことを特徴とする請求項18記載のハンダ付け装置。
【請求項21】
ハンダ塗布部は、ハンダを塗布したハンダ対象物に接触又は近接させてハンダ付けを行うハンダこてを備え、
コイル部は、前記ハンダこて部分にコイルを巻き付けた構成からなることを特徴とする請求項9記載のハンダ付け装置。
【請求項22】
請求項1記載のハンダ付け方法を製造工程の中に組み込んだことを特徴とするハンダ付け物品の製造方法。
【請求項23】
前記ハンダ付け物品は半導体装置を含むハンダ付けが必要な電子・電気機器であることを特徴とする請求項22記載のハンダ付け物品の製造方法。
【請求項24】
請求項1記載のハンダ付け方法で得られたことを特徴とするハンダ付け物品。
【請求項25】
前記ハンダ付け物品は半導体装置を含むハンダ付けが必要な電子・電気機器であることを特徴とする請求項24記載のハンダ付け物品。
【請求項26】
請求項A記載のハンダ付け装置を含むことを特徴とするハンダ付け物品の製造装置。
【請求項27】
前記ハンダ付け物品は半導体装置を含む電子・電気機器(用のプリント回路基板)である請求項26記載のハンダ付け物品の製造装置。

【国際公開番号】WO2004/039526
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【発行日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501851(P2005−501851)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013903
【国際出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【出願人】(503229661)有限会社 テクノラボ (4)
【Fターム(参考)】