説明

バックアップ装置及び半導体試験装置

【課題】電源供給が遮断された場合であっても記憶装置に記憶された必要なデータを効果的にバックアップすることができるバックアップ装置等を提供する。
【解決手段】バックアップ装置20は、メモリ11やレジスタ12のバックアップを行う必要がない非バックアップ部P11,P21に対して補助電源2bからの電源を供給する電源線L1,L2とは別途に設けられ、バックアップを行う必要があるバックアップ部P12,P22に対して補助電源2bからの電源を供給するバックアップ電源供給線L10と、バックアップ部P12,P22に記憶されたデータをバックアップするための保持用電源21と、バックアップ電源供給線L10を監視し、補助電源2bからの電源供給が遮断された場合にバックアップ部P12,P22に対する電源供給を保持用電源21からの電源供給に切り替える切替回路22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置に記憶されたデータのバックアップを行うバックアップ装置及び当該装置を備える半導体試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体試験装置は、被試験対象である半導体デバイス(以下、DUT(Device Under Test)という)に試験信号を印加し、DUTから得られる信号と所定の期待値とを比較することでDUTの試験を行うものであり、電源等を備える試験装置本体とDUTが載置されるテストヘッドとに大別される。以下の特許文献1には、テストヘッド上にプローブカード、パフォーマンスボード等が設けられており、これらに試験装置本体の電源から電力が供給される構成が開示されている。
【0003】
尚、上記のプローブカードとは、半導体ウェハの検査工程において、半導体ウェハに形成されている半導体デバイスを試験するために用いられる治具である。また、上記のパフォーマンスボードとは、テストヘッドの上部に設けられたコンタクトピン(ポゴピン)を介してテストヘッドと電気的に接続され、テストヘッドから送信される各種信号をプローブカード等に伝送する基板である。
【0004】
また、以下の特許文献2には、試験装置本体とDUTとを接続する接続用基板に、接続用基板におけるDUTのピン毎の遅延時間を示すデータを格納する不揮発性のメモリと、そのメモリがアクセスされたことを示すフラグが書き込まれるフラグレジスタとを設け、メモリに格納されたデータを用いてスキュー調整を行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−322372号公報
【特許文献2】特許第2831780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年においては半導体デバイスが高機能化・高速化しており、試験装置本体やテストヘッドに設けられた機能のみでは賄いきれない機能を備える回路を、上述した特許文献2の如く、プローブカード等に追加した上で試験を行う機会が増えている。ここで、上記のプローブカード等はDUTの種類に応じて頻繁に交換されるが、交換時における回路の破壊を防止するためにプローブカード等への電源供給を停止した上で交換する必要がある。また、試験プログラムの試験(デバッグ)を行う場合には、プローブカード等の電源供給のみを停止した状態で行うことがある。このため、試験装置本体には、主電源とは別に、ユーザの所望に応じて電源の遮断・供給を行うことができる「SAパワー」と呼ばれる補助電源が設けられている。
【0006】
しかしながら、プローブカード等に設けられる回路には、メモリ(例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory))やレジスタ等の揮発性の記憶装置が設けられていることがあり、プローブカード等への電源供給を停止してしまうと、これらに記憶されているデータが消去されてしまう。このため、プローブカード等の交換を終えて試験を開始する前に、再度これらの記憶装置にデータを記憶させる必要があり、その分だけ試験時間が長くなるという問題がある。
【0007】
ここで、上述した特許文献2の如く、不揮発性のメモリを設ければプローブカード等への電源供給を遮断しても記憶されているデータは保持される。しかしながら、不揮発性のメモリは、一般的にDRAM等に比べて書き込み速度及び読み出し速度が共に遅いため、全てのメモリを不揮発性のメモリにすることは困難である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電源供給が遮断された場合であっても記憶装置に記憶された必要なデータを効果的にバックアップすることができるバックアップ装置、及び当該装置を備える半導体試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のバックアップ装置は、記憶装置(11、12)に記憶されたデータのバックアップを行うバックアップ装置(20)において、前記記憶装置のバックアップを行う必要がない第1部分(P11、P21)に対して電源装置(2b)からの電源を供給する第1供給路(L1、L2)とは別途に設けられ、前記記憶装置のバックアップを行う必要がある第2部分(P21、P22)に対して前記電源装置からの電源を供給する第2供給路(L10)と、前記記憶装置の第2部分に記憶されたデータをバックアップするための保持用電源(21)と、前記第2供給路を介した前記電源装置からの電源供給を監視し、当該電源供給が遮断された場合に、前記記憶装置の第2部分への電源供給を前記第2供給路を介した前記保持用電源からの電源供給に切り替える切替部(22)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、電源装置からの電源は第1供給路及び第2供給路を介して記憶装置の第1部分及び第2部分にそれぞれ供給されているが、第2供給路を介した電源装置からの電源供給が遮断された場合には、バックアップの必要がある記憶装置の第2部分への電源供給が第2供給路を介した保持用電源からの電源供給に切り替えられる。
また、本発明のバックアップ装置は、前記保持用電源が、充電可能な電源であり、前記切替部は、前記電源装置から前記記憶装置の第2部分への電源供給が行われている場合には、前記電源装置から供給される電源を用いて前記保持用電源の充電を行うことを特徴としている。
また、本発明のバックアップ装置は、前記切替部が、前記電源供給の切り替えを行った場合には、その旨を示す信号を外部に出力することを特徴としている。
また、本発明のバックアップ装置は、前記記憶装置が、前記第2部分に揮発性メモリ(31)と不揮発性メモリ(32)とを備えており、前記電源装置から前記第2部分への電源供給が遮断された場合に、前記揮発性メモリに記憶されたデータを前記不揮発性メモリに書き込むことを特徴としている。
また、本発明のバックアップ装置は、前記記憶装置が、前記電源装置から前記第2部分への電源供給が再開された場合に、前記不揮発メモリに記憶されたデータを前記揮発性メモリに書き込むことを特徴としている。
本発明の半導体試験装置は、試験対象の半導体デバイス(8)が載置されるテストヘッド(3)を備える半導体試験装置(1)において、前記テストヘッド及び前記半導体デバイスに電気的に接続される治具(7)及び補助基板(5)の少なくとも一方に設けられた記憶装置に記憶されたデータをバックアップする上記の何れかに記載のバックアップ装置を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電源装置からの電源を第1供給路及び第2供給路を介して記憶装置の第1部分及び第2部分にそれぞれ供給しているが、第2供給路を介した電源装置からの電源供給が遮断された場合には、バックアップの必要がある記憶装置の第2部分への電源供給を第2供給路を介した保持用電源からの電源供給に切り替えているため、電源供給が遮断された場合であっても記憶装置に記憶された必要なデータを効果的にバックアップすることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるバックアップ装置及び半導体試験装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による半導体試験装置の全体構成の概要を示す図である。図1に示す通り、本実施形態による半導体試験装置1は、試験装置本体2とテストヘッド3とを備えており、テストヘッド3上に載置されるDUT8に試験信号を印加し、DUT8から出力される信号と所定の期待値とを比較してDUT8の試験を行う。尚、図1では、DUT8がテストヘッド3の上方に配置されている状態を図示しているが、半導体ウェハに形成されている半導体デバイスを試験する場合には、テストヘッド3を回転させてDUT8をテストヘッド3の下方に配置するのが一般的である。
【0012】
試験装置本体2は、主電源2a及び補助電源2b(電源装置)並びに制御部(図示省略)等を備えており、半導体試験装置1の動作を統括的に制御する。ここで、補助電源2bは、後述するパフォーマンスボード5及びプローブカード7に対して電源供給を行うものであり、ユーザの所望に応じて電源の遮断・供給を行うことが可能である。テストヘッド3は、DUT8に対するインターフェイスとしてのピンエレクトロニクスカードと呼ばれるプリント基板(図示省略)を内部に複数備えており、試験装置本体2の制御の下で、DUT8に対する試験信号の印加、及びDUT8から出力される試験信号と所定の期待値との比較等を行う。尚、試験装置本体2とテストヘッド3とはケーブル4によって接続されている。
【0013】
テストヘッド3上には、パフォーマンスボード5、コンタクトリング6、及びプローブカード7が設けられている。パフォーマンスボード5は、テストヘッド3の上部に設けられたコンタクトピンを介してテストヘッド5と電気的に接続され、テストヘッド5から送信される各種信号をコンタクトリング6を伝送するとともに、コンタクトリング6からの信号をテストヘッド5に伝送する基板である。コンタクトリング6は、パフォーマンスボード5とプローブカード7とを電気的に接続するものである。プローブカード7は、DUT8(半導体ウェハに形成された半導体デバイス)との電気的接続をとるための治具である。
【0014】
次に、以上の構成の半導体試験装置の動作について簡単に説明する。DUT8の試験を行う場合には、まず図示しないプローバにより、DUT8をプローブカード7のプローブに電気的に接続する。接続が終了すると、テストヘッド3から、コンタクトピンを介して、試験信号がパフォーマンスボード5に出力される。そして、この試験信号は、パフォーマンスボード5、コンタクトリング6、及びプローブカード7を順に介してDUT8に印加される。これにより、DUT8からは印加された試験信号に応じた信号が出力される。DUT8から出力された信号は、プローブカード7、コンタクトリング6、及びパフォーマンスボード5を順に介してテストヘッド3に入力され、所定の期待値と比較されてDUT8のパス/フェイルが判定される。以上の動作が終了すると、再びプローバによりDUT8の接続切替えが行われる。
【0015】
ここで、DUT8の試験においては、DUT8の種類に応じてパフォーマンスボード5やプローブカード7の交換が行われる。即ち、DUT8の試験を行う上で必要な回路が設けられたパフォーマンスボード5等に交換する作業がユーザによって行われる。このとき、パフォーマンスボード5等に設けられた回路の破壊を防止するために、ユーザは補助電源2bからパフォーマンスボード5等への電源供給を停止した上で交換作業を行う。パフォーマンスボード5等に設けられた回路には各種データを記憶するメモリやレジスタを備えているが、電源供給停止によりそれらのデータが消去されてしまう。このため、パフォーマンスボード5等には、記憶された各種データのバックアップを行うバックアップ装置を備える。以下、本発明の一実施形態によるバックアップ装置について説明する。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態によるバックアップ装置の要部構成を示すブロック図である。尚、図2においてはパフォーマンスボード5上のバックアップ装置を例に挙げて説明するが、プローブカード7上のバックアップ装置も同様の構成である。図5に示す通り、パフォーマンスボード5上には、各種データを記憶するメモリ11、レジスタ12、ロジック回路13、及びアナログ回路14が設けられている。
【0017】
メモリ11はDRAM等の揮発性のメモリであり、その内部はバックアップを行う必要がない非バックアップ部P11(第1部分)と、バックアップを行う必要があるバックアップ部P12(第2部分)とに区分されている。具体的に、メモリ11は、DRAMチップを内部に複数備えており、バックアップが行われるDRAMチップとバックアップが行われないDRAMチップとを設定することで、上記の第1部分P11と第2部分P12との区分がなされる。
【0018】
レジスタ12も、メモリ11と同様に揮発性を有しており、その内部がバックアップを行う必要がない非バックアップ部P21(第1部分)と、バックアップを行う必要があるバックアップ部P22(第2部分)とに区分されている。ロジック回路13はDUT8の試験を行う上で必要のある機能を提供するディジタル回路であり、アナログ回路14は同機能を提供するアナログの回路である。メモリ11の非バックアップ部P11、レジスタ12の非バックアップ部P21、ロジック回路13、及びアナログ回路14には、試験装置本体2が備える補助電源2bからの電源が供給される電源線L1〜L4(第1供給路)がそれぞれ接続されている。
【0019】
本実施形態のバックアップ装置20は、メモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22に記憶されたデータのバックアップのみを行う。これは、不要なデータをバックアップせずに、試験時間を短縮し得る必要最小限のデータをバックアップすることで、大規模化及びコストの大幅な上昇を招くことなく効果的に試験時間を短縮するためである。このため、本実施形態のバックアップ装置20は、バックアップ電源供給線L10(第2供給路)、保持用電源21、及び切り替え回路22(切替部)を備える。
【0020】
バックアップ電源供給線L10は、補助電源2bからの電源が供給される電源線と、メモリ11及びレジスタのバックアップ部P12,P22とにそれぞれ接続されており、補助電源2bからの電源又は保持用電源21からの電源をメモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22にそれぞれ供給する。保持用電源21は、メモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22をバックアップするための電源である。この保持用電源21としては、例えば充電可能であって大容量の電気二重層コンデンサを用いることができる。ここで、保持用電源21の容量は、メモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22に記憶されたデータを、1時間〜数時間程度バックアップ可能な容量に設定される。
【0021】
切り替え回路22は、バックアップ電源供給線L10を介した補助電源2bからの電源供給を監視し、この電源供給が遮断された場合に、メモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22への電源供給を、バックアップ電源供給線L10を介した保持用電源21からの電源供給に切り替える。尚、かかる切り替えを行った場合には、切り替え回路22は、その旨を示す信号を出力して試験装置本体2に設けられた不図示の制御部に通知する。また、切り替え回路22は、補助電源2bからメモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22への電源供給が行われている場合には、補助電源2bから供給される電源を用いて保持用電源21の充電を行う。
【0022】
上記構成において、DUT8の試験が行われている最中には、パフォーマンスボード5等に対して試験装置本体2に設けられた補助電源2bからの電源供給が行われる。これにより、電源線L1〜L4を介してメモリ11及びレジスタ12の非バックアップ部P11,P21、ロジック回路13、及びアナログ回路14に対してそれぞれ電源が供給される。また、このときには、切り替え回路22によって、バックアップ電源供給線L10に対する補助電源2bからの電源供給が監視される。このため、補助電源2bからの電源は、バックアップ電源供給線L10を介してメモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22にもそれぞれ供給され、保持用電源21の充電も行われる。
【0023】
これに対し、ユーザが所定の操作を行うと、補助電源2bからパフォーマンスボード5に対する電源供給が遮断される。これにより、電源線L1〜L4を介したメモリ11及びレジスタ12の非バックアップ部P11,P21、ロジック回路13、及びアナログ回路14に対する電源供給が遮断され、メモリ11及びレジスタ12の非バックアップ部P11,P21に記憶されたデータは消去される。
【0024】
このとき、切り替え回路22は、バックアップ電源供給線L10に対する補助電源2bからの電源供給が遮断された旨を監視し、これによりメモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22への電源供給を、バックアップ電源供給線L10を介した保持用電源21からの電源供給に切り替える。かかる切り替えにより、メモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22に記憶されているデータが消去されることなくバックアップされる。また、上記の切り替えを行うと、切り替え回路22は、切り替えを行った旨を示す信号を出力して試験装置本体2に設けられた不図示の制御部に通知する。
【0025】
次に、ユーザが所定の操作を行うと、補助電源2bからパフォーマンスボード5に対する電源供給が再開される。これにより、電源線L1〜L4を介してメモリ11及びレジスタ12の非バックアップ部P11,P21、ロジック回路13、及びアナログ回路14に対してそれぞれ電源が供給される。また、電源供給の再開によって、切り替え回路22によりバックアップ電源供給線L10に対する補助電源2bからの電源供給が再び監視される。これにより、切り替え回路22は、バックアップ電源供給線L10を介した補助電源2bからの電源を、再びメモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22に供給し、保持用電源21の充電も行う。
【0026】
補助電源2bからパフォーマンスボード5に対する電源供給が再開された時点で、試験装置本体2の制御部(図示省略)は、切り替え回路22からの信号(電源供給の切り替えを行った旨を示す信号)の有無を確認する。上記の信号が有った場合には、バックアップ装置20によって必要なデータがバックアップされ、初期設定が不要であることを試験装置本体2の制御部(図示省略)が知ることができる。
【0027】
以上説明した通り、本実施形態では、メモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22に接続されたバックアップ電源供給線L10を介した補助電源2bからの電源供給を監視し、この電源供給が遮断された場合には、メモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22への電源供給をバックアップ電源供給線L10を介した保持用電源21からの電源供給に切り替えている。このため、電源供給が遮断された場合であっても、メモリ11及びレジスタ12のバックアップ部P12,P22に記憶された必要なデータを効果的にバックアップすることができる。
【0028】
これにより、消去されたデータを再度メモリ11及びレジスタ12に記憶させる必要がなく、DUT8の試験を開始するまでの時間を短縮することができ、この結果としてDUT8の試験に要する時間を短縮できる。また、本実施形態では、メモリ11及びレジスタ12に記憶されたデータの全てではなく、バックアップ部P12,P22に記憶された必要最小限のデータをバックアップしているため、大規模化及びコストの大幅な上昇を招くこともない。
【0029】
次に、本実施形態の変形例について説明する。図3は、本発明の一実施形態の変形例を示す図である。図3に示す通り、本変形例においては、メモリ11は、バックアップ部P12に揮発性メモリ31と不揮発性メモリ32とを備える。揮発性メモリ31は、DRAM等の揮発性のメモリであり、DUT8の試験に必要な各種データを記憶する。不揮発性メモリ32は、補助電源2bからの電源供給が遮断された場合に揮発性メモリ31に記憶されたデータを保存するメモリである。不揮発性メモリ32の容量は揮発性メモリ31の容量以上に設定される。尚、図3においては、揮発性メモリ21及び不揮発性メモリ32に対するデータの読み出し及び書き込みを制御するコントローラの図示は省略している。
【0030】
上記構成において、DUT8の試験が行われている最中には、前述した第1実施形態と同様に、補助電源2bからの電源がバックアップ電源供給線L10を介してメモリ11のバックアップ部P12に供給される。また、ユーザが所定の操作を行うことによって、補助電源2bからパフォーマンスボード5に対する電源供給が遮断されると、切り替え回路22の切り替えにより、メモリ11のバックアップ部P12対して保持用電源21からの電源供給が行われる。以上の切り替えが行われると、揮発性メモリ31に記憶されたデータが不揮発性メモリ32に書き込まれる。これにより、揮発性メモリ31に記憶されたデータのバックアップが行われる。
【0031】
次に、ユーザが所定の操作を行うことによって、補助電源2bからパフォーマンスボード5に対する電源供給が再開されると、切り替え回路22の切り替えによって、補助電源2bからの電源が再びメモリ11のバックアップ部P12に供給される。すると、不揮発性メモリ32に記憶されたデータが揮発性メモリ31に書き込まれ、DUT8の試験に必要な各種データが揮発性メモリ31に設定される。
【0032】
以上の通り、本変形例では、補助電源2bからの電源供給が遮断された場合には、前述した実施形態と同様に、メモリ11のバックアップ部P12への電源供給をバックアップ電源供給線L10を介した保持用電源21からの電源供給に切り替えるが、かかる切り替えが行われた場合に、揮発性メモリ31に記憶されているデータを不揮発性メモリ32に書き込んでいる。このため、本変形例では、揮発性メモリ31に記憶されたデータの不揮発性メモリ32への書き込みが完了するまでの間だけメモリ11のバックアップ部P12をバックアップすれば良く、保持用電源21の容量を低減することができる。
【0033】
また、本変形例では、補助電源2bからの電源供給が再開された場合には、不揮発性メモリ32のデータが揮発性メモリ31に自動的に書き戻される。このため、揮発性メモリ31に書き込むべきデータを試験装置本体2からテストヘッド3に転送して書き込むといった処理を行う必要がないため、DUT8の試験に要する時間が長くなることもない。尚、以上の変形例では、メモリ11のバックアップ部P12に揮発性メモリ31及び不揮発性メモリ32が設けられている構成について説明したが、レジスタ12のバックアップ部P22も同様の構成にすることができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態によるバックアップ装置及び半導体試験装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、半導体試験装置に設けられたバックアップ装置を例に挙げて説明したが、本発明のバックアップ装置は、半導体試験装置以外にメモリやレジスタのバックアップが必要な任意の装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態による半導体試験装置の全体構成の概要を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるバックアップ装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 半導体試験装置
2b 補助電源
3 テストヘッド
8 DUT
5 パフォーマンスボード
7 プローブカード
11 メモリ
12 レジスタ
20 バックアップ装置
21 保持用電源
22 切り替え回路
31 揮発性メモリ
32 不揮発性メモリ
L1,L2 電源線
L10 バックアップ電源供給線
P11,P21 非バックアップ部
P12,P22 バックアップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置に記憶されたデータのバックアップを行うバックアップ装置において、
前記記憶装置のバックアップを行う必要がない第1部分に対して電源装置からの電源を供給する第1供給路とは別途に設けられ、前記記憶装置のバックアップを行う必要がある第2部分に対して前記電源装置からの電源を供給する第2供給路と、
前記記憶装置の第2部分に記憶されたデータをバックアップするための保持用電源と、
前記第2供給路を介した前記電源装置からの電源供給を監視し、当該電源供給が遮断された場合に、前記記憶装置の第2部分への電源供給を前記第2供給路を介した前記保持用電源からの電源供給に切り替える切替部と
を備えることを特徴とするバックアップ装置。
【請求項2】
前記保持用電源は、充電可能な電源であり、
前記切替部は、前記電源装置から前記記憶装置の第2部分への電源供給が行われている場合には、前記電源装置から供給される電源を用いて前記保持用電源の充電を行うことを特徴とする請求項1記載のバックアップ装置。
【請求項3】
前記切替部は、前記電源供給の切り替えを行った場合には、その旨を示す信号を外部に出力することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のバックアップ装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、前記第2部分に揮発性メモリと不揮発性メモリとを備えており、
前記電源装置から前記第2部分への電源供給が遮断された場合に、前記揮発性メモリに記憶されたデータを前記不揮発性メモリに書き込む
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のバックアップ装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記電源装置から前記第2部分への電源供給が再開された場合に、前記不揮発メモリに記憶されたデータを前記揮発性メモリに書き込む
ことを特徴とする請求項4記載のバックアップ装置。
【請求項6】
試験対象の半導体デバイスが載置されるテストヘッドを備える半導体試験装置において、
前記テストヘッド及び前記半導体デバイスに電気的に接続される治具及び補助基板の少なくとも一方に設けられた記憶装置に記憶されたデータをバックアップする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のバックアップ装置を備えることを特徴とする半導体試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−258789(P2009−258789A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103733(P2008−103733)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】