説明

バルブ制御装置および流量コントローラ

【課題】バルブを駆動するネジ部に生ずる咬み込みの問題を解消するとともに、装置の小型化を図ること。
【解決手段】バルブに連結されたステッピングモータ5と、ステッピングモータ5を制御するモータ制御装置6とを備え、モータ制御装置6は、パルスモータへ駆動パルスを与えるモータ制御部66と、パルスモータ5に与えられた駆動パルス数をカウントするカウント部67と、モータ制御部67の駆動電源61の電圧低下を検出する電圧低下検出部65と、電圧低下検出部65により電圧低下が検出された場合に、カウント部67のカウント値を不揮発性メモリ64に書き込む書き込み部68とを具備するバルブ制御装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、化学工場、半導体製造、食品、バイオ等の各種産業分野における流体流路に設けられて、流体の流量を制御するバルブ制御装置ならびにこれを有する流量コントローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、流体流路を流れる流体の量を制御する流量コントローラにおいて、バルブ(以下、「バルブ」という。)の開閉制御に、パルスモータを使用したものが知られている。
上記パルスモータを用いた流量コントローラでは、例えば、駆動時においては、入力パルス数をカウントすることによりバルブの位置制御を行い、また、駆動停止時には、バルブを原点位置に移動させた後、流量コントローラの装置全体を停止状態としている。このような制御を行うことにより、次回の駆動開始時には、バルブが原点位置にあることを前提に制御を行うことが可能となる。
【0003】
しかしながら、動作途中において何らかの要因により電源が落ちてしまった場合には、バルブは原点位置に移動されないまま、流量コントローラが停止されることとなる。このように、バルブが原点位置に移動される前に、動作が停止してしまった場合には、次の運転開始時において、まず、バルブを原点位置に復帰させる制御(以下「原点復帰制御」という。)を行う必要がある。
【0004】
上記原点復帰制御として、例えば、特許文献1に開示される手法がある。
特許文献1には、バルブが閉まる方向にパルスモータを駆動し、モータの脱調が検出された場合には、一旦駆動を停止し、その後、更に、バルブが閉まる方向にパルスモータを所定パルス数、駆動して停止させ、最後に、パルスモータをバルブが開く方向に規定のパルス数、駆動して停止することにより、バルブの原点を検出している。
また、特許文献2には、バルブなどの被駆動体の動作位置に応じて出力信号が変化する位置センサを設け、起動時において、パルスモータを所定方向に駆動させるとともに、この駆動中にモータが所定角度駆動されるごとに上記位置センサの出力信号をサンプリングし、このサンプリングの変化パターンに従ってバルブの現在位置を認識し、認識した現在位置に基づいてバルブの原点を設定する技術が開示されている。この技術によれば、バルブなどの被駆動体の位置変化に伴い、原点を更新させるので、原点復帰させる際にパルスモータの駆動量を少なくでき、迅速に通常制御を行わせることが可能となる。
【特許文献1】特開2004−348227号公報
【特許文献2】特開2003−348895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている発明では、パルスモータを、可動範囲を超えて回転させるおそれがあることから、バルブを駆動するネジ部に咬み込みが生じやすく、この咬み込みの程度によっては、パルスモータを駆動させることができなくなり、装置の故障を招くという問題があった。
また、特許文献2に記載されている発明では、ロータリエンコーダやセンサなどでバルブ位置を特定して原点の設定を行うことから、装置の大型化やコスト高を招くという問題があった。
また、上記原点復帰を容易にするために、リアルタイムでバルブ位置を不揮発性メモリに書き込むことも考えられるが、不揮発性メモリへのデータ書き込み時間は、モータの回転速度に比べて非常に遅いため、リアルタイムでモータの位置を不揮発性メモリに書き込むことは不可能であった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、バルブを駆動するネジ部に生ずる咬み込みの問題を解消するとともに、装置の小型化を図ることのできるバルブ制御装置および流量コントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、流体流路を流れる流体の流量を調整するバルブを駆動するバルブ制御装置であって、前記バルブに連結されたステッピングモータと、前記ステッピングモータを制御するモータ制御装置とを備え、前記モータ制御装置は、前記パルスモータへ駆動パルスを与えるモータ制御手段と、前記パルスモータに与えられた駆動パルス数をカウントするカウント手段と、前記モータ制御手段の駆動電源の電圧低下を検出する電圧低下検出手段と、前記電圧低下検出手段により前記電圧低下が検出された場合に、前記カウント手段のカウント値を不揮発性メモリに書き込む書き込み手段とを具備するバルブ制御装置を提供する。
【0008】
このような構成によれば、バルブに連結されたステッピングモータを制御するモータ制御装置が、パルスモータへ駆動パルスを与えるモータ制御手段と、パルスモータに与えられた駆動パルス数をカウントするカウント手段と、モータ制御手段の駆動電源の電圧低下を検出する電圧低下検出手段と、電圧低下検出手段により電圧低下が検出された場合に、カウント手段のカウント値を不揮発性メモリに書き込む書き込み手段とを備えているので、パルスモータの動作途中において、何らかの要因により電源が落ちてしまった場合には、この状態が速やかに検出され、現時点でのカウント値が不揮発性メモリに保存されることとなる。
これにより、何らかの要因により、バルブを原点位置に移動させる前にモータの駆動が停止してしまった場合でも、現在の位置を記録しておくことが可能となるので、次の運転開始時において、不揮発性メモリからカウント数を読み出すことにより、バルブの位置を容易に把握することができる。この結果、パルスモータ起動時から通常動作に移行するまでの時間を短縮することが可能となる。
また、パルスモータを移動させることなく、位置を把握することができるので、パルスモータを常に可動範囲内で駆動することができる。これにより、ネジ部の咬み込みを解消することができる。
更に、ロータリエンコーダなどの位置検出センサを不要にできるので、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0009】
上記バルブ制御装置は、前記電圧低下検出手段により前記電圧低下が検出された電圧低下検出時から前記モータ制御手段が駆動を停止する駆動停止時までの駆動終結期間を所定の閾値以上とする期間調整手段を備えていても良い。
【0010】
このような期間調整手段を備えているので、駆動終結期間内において、カウント手段のカウント値を不揮発性メモリに確実に書き込むことができる。これにより、パルスモータ起動時には、バルブ位置を確実に把握することが可能となるので、信頼性を高めることができる。前記所定の閾値は、少なくとも書き込み手段によりカウント値が不揮発性メモリに書き込まれる書き込み期間よりも長く設定されていることを必要とする。
【0011】
上記バルブ制御装置において、前記モータ制御手段は、パルスモータの駆動開始時において、前記不揮発性メモリに書き込まれているカウント値を読み出し、該カウント値に基づいて前記パルスモータを駆動することにより、前記バルブを原点に戻す原点復帰制御を行うこととしても良い。
【0012】
このように、パルスモータの駆動開始時においては、不揮発性メモリに書き込まれているカウント値が読み出され、このカウント値に基づいてパルスモータを駆動することにより、バルブを原点に戻す原点復帰制御が行われるので、原点復帰制御に要する時間を短縮することができる。
【0013】
本発明は、流体流路を流れる流体の量を調整するバルブと、請求項1から請求項3のいずれかに記載のバルブ制御装置とを具備する流量コントローラを提供する。
【0014】
本発明は、前記パルスモータへ駆動パルスを与えるモータ制御手段と、前記パルスモータに与えられた駆動パルス数をカウントするカウント手段と、前記モータ制御手段の駆動電源の電圧低下を検出する電圧低下検出手段と、前記電圧低下検出手段により前記電圧低下が検出された場合に、前記カウント手段のカウント値を不揮発性メモリに書き込む書き込み手段とを具備するモータ制御装置を提供する。
【0015】
本発明は、パルスモータと、前記パルスモータを制御する請求項5に記載のモータ制御装置とを具備するパルスモータ装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バルブを駆動するネジ部に生ずる咬み込みの問題を解消するとともに、装置の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明のモータ制御装置を流量コントローラに適用する場合の一実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る流量コントローラの概略構成を示した図である。この流量コントローラ1は、流体流路2に設けられ、流体流路2を流れる流体の流量を調整するバルブ3と、バルブ3を駆動するバルブ制御装置4とを主たる構成要素として備えている。バルブ制御装置4は、バルブ3に連結されるパルスモータ5と、パルスモータ5を制御するモータ制御装置6とを備えている。
図2は、図1に示したバルブ3の概略構成を示す図である。図1に示すように、バルブ3は、例えば、弁体としてダイヤフラムニードル14を備えている。このダイヤフラムニードル14は、上記パルスモータ5と一体化されてケース23内に収納されている。
【0019】
ケース23内のパルスモータ5は、ケーブル29を介してモータ制御装置6に接続されており、このケーブル29を介して供給される駆動信号に基づいて回転角が制御される。
パルスモータ5の回転軸15aには、カップリング16が連結されている。カップリング16には、スプリング21を介してスライダ17が連結されている。このスライダ17には、ダイヤフラムニードル14が連結されている。ダイヤフラムニードル14は、流体流路2に形成されたポート43に設けられている。
流体流路2を流れる流体の流量は、ダイヤフラムニードル14とポート43の下面部との隙間面積によって調整される。
【0020】
次に、上記バルブ10の作用について簡単に説明する。
例えば、今、ダイヤフラムニードル14とポート43の下面部とが接触しており、ポート43に流体が流れていない状態、つまり、バルブ全閉状態において、後述するモータ制御装置6からバルブを開く方向に駆動する駆動信号がパルスモータ5に与えられると、回転軸15aは、駆動信号に基づいて、ダイヤフラムニードル14を上昇させる方向(例えば、図1を上方から見て時計方向)に回転する。
【0021】
この回転により、回転軸15aに連結されたカップリング16が同一方向に回転し、カップリング16に連結されたスライダ17がモータシャフトに沿って上方へ移動する。スライダ17が上方へ移動すると、スライダ17に連結されたダイヤフラムニードル14が上昇し、ダイヤフラムニードル14とポート43の下面との間に隙間が生じて、バルブ開状態となる。
これにより、ポート43内に流体が流入し、ポート43内を満たした流体は、順次、流体出口部42へ流れ、流体出口部42から流出される。
【0022】
このようなバルブ開動作において、ダイヤフラムニードル14とポート43の下面との間の隙間面積は、パルスモータ5に与えられる駆動パルスのパルス数によって調整されることとなる。つまり、モータ制御装置6は、パルスモータ5に与えるパルス数を増加させることにより、隙間面積を増加させて、流体流量を増加させる。これに対し、流体流量を減らす場合、また、バルブを閉じる場合には、パルスモータ5に対して閉方向の駆動パルスを与えることにより、パルスモータ5の回転軸15aを上記方向とは逆方向(例えば、図1を上方から見て反時計方向)に回転させることで、ダイヤフラムニードル14とポート43の下面との間の隙間面積を徐々に減少させ、最終的に、ダイヤフラムニードル14を全閉状態とすることで、流量をゼロにすることが可能となる。
【0023】
次に、上記モータ制御装置6について説明する。
図3は、本実施形態に係るモータ制御装置6の概略構成を示したブロック図である。
モータ制御装置6は、駆動電源61から5Vの動作電圧の供給を受けて作動するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という。)62と、駆動電源61から6Vの動作電圧の供給を受けて作動するA/D変換器63と、ROMなどの不揮発性メモリ64と、駆動電源61の電圧低下を検出する電圧低下検出部(電圧低下検出手段)65とを備えている。
上記マイコン62は、パルスモータ5に対して駆動パルスを駆動信号として与えるモータ制御部(モータ制御手段)66、パルスモータ5に与えた駆動パルス数をカウントするカウント部(カウント手段)67、および電圧低下検出部65により電圧低下が検出された場合に、カウント部67のカウント値を不揮発性メモリ64に書き込む書き込み部68を備えている。
【0024】
このような構成を備えるモータ制御装置6において、バルブ3(図1参照)の駆動中においては、マイコン62に内蔵されるモータ制御部66がパルスモータ5に対して、バルブ3の開閉目標値に応じた駆動パルスを与える。これにより、パルスモータ5の回転角が所望の角度に制御され、この結果、上述のように、ダイヤフラムニードル14が上昇あるいは下降することにより、流体流路2を流れる流体の流量が調整される。また、パルスモータ5に与えられた駆動パルス数は、カウント部67によりカウントされる。
【0025】
このようなバルブ制御が行われている途中において、何らかの要因により駆動電源61からの電源供給が遮断された場合には、電圧低下検出部65によって駆動電源61の電圧低下が検出され、マイコン62に通知される。この電圧低下の通知を受けると、マイコン62の書き込み部68がカウント部67からカウント値を読み出し、このカウント値を不揮発性メモリ64に書き込む。これにより、電源遮断により、駆動途中でパルスモータ5が停止してしまった場合でも、その位置を不揮発性メモリ64に保存しておくことが可能となるので、起動再開時においてパルスモータ5の位置を容易に把握することができる。
【0026】
ここで、上述のように、何らかの要因により駆動電源61からの電圧供給が遮断された場合、電圧低下検出部65に供給される駆動電源61からの電圧(以下「電源電圧」という。)は、図4に実線で示すように、時刻t1から徐々に降下し、時刻t5においてゼロとなる。一方、マイコン62に供給されるマイコン電圧は、図4に点線で示すように、電源電圧が時刻t1において降下し始めた後も所定の期間5Vを維持した後、時刻t3から徐々に降下し、時刻t5においてゼロとなる。
このように、電源電圧が降下し始めてからマイコン電圧が降下し始めるまでに時間差(例えば、130ms程度)があり、この期間に書き込み部68が不揮発性メモリ64にカウント値を書き込むこととしている。
【0027】
より具体的には、書き込み部68が不揮発性メモリ64に対して書き込みを実施できる期間は、電源電圧が電圧低下検出部65が基準としている基準電圧V1よりも低くなることにより、電源電圧の電圧低下が検出される電圧低下検出時(図4における時刻t2)から、マイコン電圧がマイコンの作動最小電圧V2以下となることにより、マイコン62の駆動が停止する駆動停止時(図4における時刻t4)までの駆動終結期間となる。
ここで、駆動終結期間は、モータ制御装置6の回路構成等によって決定される値であるため、個体差があり、場合によっては、書き込み部68によるカウント値の書き込みが完了する前に、マイコン62の作動が不可能な状況が発生することも考えられる。
【0028】
そこで、本実施形態に係るモータ制御装置6は、駆動終結期間を所定の閾値以上とするための期間調整要素(期間調整手段)を備えている。所定の閾値とは、少なくともマイコン62に内蔵されている書き込み部68がカウント値を不揮発性メモリ64に書き込む書き込み期間よりも長く設定されていることを必要とする。
【0029】
例えば、図5に、上記モータ制御装置6の電源系統を示す。図5に示すように、駆動電源61から出力される24Vの電圧は、マイコン用のDC/DCコンバータ70に入力され、ここで安定した5Vの電圧に降圧された後、マイコン62に供給される。また、駆動電源61の出力電圧は、A/D変換器用の電力変換器71に入力され、ここで安定した6Vの電圧に降圧された後、A/D変換器63に供給される。また、駆動電源61の出力電圧は、直接的に電圧低下検出部65に入力される。
【0030】
この場合において、マイコン用のDC/DCコンバータ70とマイコン62との間に、コンデンサ(期間調整手段)74を設けている。これにより、図4に示したマイコン電圧の電圧降下の時期、つまり、時刻t3を遅らせることが可能となる。これにより、駆動終結期間を長くすることができる。なお、コンデンサ74の容量を調整することで、マイコン電圧の電圧降下の時期を調整することができる。
【0031】
また、電圧低下検出部65は、上記駆動終結期間を長くするために、以下のような構成を備えている。
図6は、電圧低下検出部65の回路構成の一例を示した図である。図6に示すように、駆動電源61の電源電圧が入力される入力端子90は、直列に接続されたツェナーダイオード群91と分圧抵抗R2とを介してグランドに接続されている。ツェナーダイオード群91は、9VのツェナーダイオードD1と、10VのツェナーダイオードD3とが直列に接続されて構成されている。ツェナーダイオード群91と抵抗R2との中点は、抵抗R1を介して、例えば、図示しない比較器に接続されている。
【0032】
このような電圧低下検出部65の構成によれば、入力端子90に入力された駆動電源からの24Vの電源電圧は、ツェナーダイオード群(期間調整手段)91と抵抗R2とによって分圧され、抵抗R1を介して図示しない比較器に入力される(以下、比較器に入力された電圧を「検出電圧」という。)。比較器の一端に入力された検出電圧は、比較器の他端に入力されている基準電圧と比較され、この比較結果がマイコン62に出力される。これにより、入力端子90に入力される電源電圧が低下することにより、上記検出電圧が基準電圧よりも低くなった場合には、比較器の出力が反転することにより、マイコン62に対して電圧低下を通知することが可能となる。
【0033】
この場合において、上記電圧低下検出部65では、入力端子90に入力された電源電圧をツェナーダイオード群91と抵抗R2とによって分圧している。このように、19V(=9V+10V)のツェナーダイオード群91を用いることにより、常に、電源電圧から19Vを差し引いた電圧が検出電圧として比較器に入力されることとなる。
これにより、例えば、図7に示すように、ツェナーダイオード群91に代えて、抵抗R5、R6を採用する場合に比べて、電源電圧の電圧低下を早期に検出することができる。
【0034】
以上説明してきたように、本実施形態に係るモータ制御装置6によれば、駆動電源61からの電圧供給が遮断された場合には、その状態を速やかに検出し、現時点におけるカウント数を不揮発性メモリ64に記憶するので、運転再開時において、不揮発性メモリ64からカウント数を読み出すことにより、パルスモータ5の位置、換言すると、バルブ3の位置を容易に把握することができる。これにより、従来の原点検索制御を不要とすることができるので、起動時から通常動作に移行するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0035】
また、パルスモータ5を移動させることなく、位置を把握することができるので、パルスモータを常に可動範囲内で駆動することができる。これにより、ネジ部の咬み込みを解消することができる。更に、ロータリエンコーダなどの位置検出センサを不要にできるので、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0036】
なお、本実施形態に係る流量コントローラの起動時には、例えば、モータ制御装置6は、不揮発性メモリ64に書き込まれているカウント値を読み出し、該カウント値に基づいてパルスモータ5を原点位置に戻すことで、バルブ3を原点に戻し、その後、通常の駆動制御に移行することとしても良い。
【0037】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
上記実施形態においては、モータ制御装置6を流量コントローラ1のバルブ3の制御に用いる場合について説明したが、モータ制御装置6は、上記バルブだけでなく、他の被駆動体の位置制御に使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る流量コントローラの概略構成を示した図である。
【図2】図1に示したバルブとパルスモータとが収納されたケースの縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るモータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】駆動電源からの電力供給が遮断された場合の電源電圧の推移と、マイコン電圧の推移とを示した図である。
【図5】図3に示したモータ制御装置の電源系統の一例を示した図である。
【図6】図3に示した電圧低下検出部の内部構成の一例を示した回路図である。
【図7】図3に示した電圧低下検出部の内部構成の他の例を示した回路図である。
【符号の説明】
【0039】
1 流量コントローラ
2 流体流路
3 バルブ
4 バルブ制御装置
5 パルスモータ
6 モータ制御装置
14 ダイヤフラムニードル
15a 回転軸
16 カップリング
17 スライダ
21 スプリング
23 ケース
29 ケーブル
43 ポート
61 駆動電源
62 マイクロコンピュータ
63 A/D変換器
64 不揮発性メモリ
65 電圧低下検出部
66 モータ制御部
67 カウント部
68 書き込み部
74 コンデンサ
91 ツェナーダイオード群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路を流れる流体の流量を調整するバルブを駆動するバルブ制御装置であって、
前記バルブに連結されたステッピングモータと、
前記ステッピングモータを制御するモータ制御装置と
を備え、
前記モータ制御装置は、
前記パルスモータへ駆動パルスを与えるモータ制御手段と、
前記パルスモータに与えられた駆動パルス数をカウントするカウント手段と、
前記モータ制御手段の駆動電源の電圧低下を検出する電圧低下検出手段と、
前記電圧低下検出手段により前記電圧低下が検出された場合に、前記カウント手段のカウント値を不揮発性メモリに書き込む書き込み手段と
を具備するバルブ制御装置。
【請求項2】
前記電圧低下検出手段により前記電圧低下が検出された電圧低下検出時から前記モータ制御手段が駆動を停止する駆動停止時までの駆動終結期間を所定の閾値以上とする期間調整手段を具備する請求項1に記載のバルブ制御装置。
【請求項3】
前記モータ制御手段は、パルスモータの駆動開始時において、前記不揮発性メモリに書き込まれているカウント値を読み出し、該カウント値に基づいて前記パルスモータを駆動することにより、前記バルブを原点に戻す原点復帰制御を行う請求項1または請求項2に記載のバルブ制御装置。
【請求項4】
流体流路を流れる流体の量を調整するバルブと、
請求項1から請求項3のいずれかに記載のバルブ制御装置と
を具備する流量コントローラ。
【請求項5】
前記パルスモータへ駆動パルスを与えるモータ制御手段と、
前記パルスモータに与えられた駆動パルス数をカウントするカウント手段と、
前記モータ制御手段の駆動電源の電圧低下を検出する電圧低下検出手段と、
前記電圧低下検出手段により前記電圧低下が検出された場合に、前記カウント手段のカウント値を不揮発性メモリに書き込む書き込み手段と
を具備するモータ制御装置。
【請求項6】
パルスモータと、
前記パルスモータを制御する請求項5に記載のモータ制御装置と
を具備するパルスモータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−298158(P2007−298158A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128922(P2006−128922)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(591257111)サーパス工業株式会社 (60)
【Fターム(参考)】