説明

バンパー取付具

【課題】車体軽量化のためにパネル部材が小さくなくなっても、決められた大きさのバンパー取付具を車体に固定することができるンパー取付具を得る。
【解決手段】バンパー取付具30をサイドアウターパネルの取付面に固定しようとすると、爪部64の傾斜面68が下縁部18Aと当って撓み、下縁部18Aを通過すると爪部64が復帰して、爪60がホイルハウスインナーパネル18の下縁部18Aに掛け止められる。このように、バンパー取付具30の爪60をホイルハウスインナーパネル18の下縁部18Aに掛け止めることで、下縁部18Aからバンパー取付具30をオーバーハングさせることができ、車体軽量化のために車体のパネル部材を小さくしても、決められた大きさのバンパー取付具を車体に取り付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体にバンパーを取り付けるためのバンパー取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バンパーを車体に取り付けるバンパー取付具(バンパスペーサ)が記載されている。
【0003】
このバンパー取付具には、車体のパネル部材(フェンダパネル)の設けられた取付孔に嵌合する突起部が設けられており、この突起部をパネル部材の取付孔に嵌合させることで、バンパー取付部を車体に固定するようになっている。
【特許文献1】特開2006−15905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車体のパネル部材に取付孔を設け、この取付孔に突起部を嵌合させることで バンパー取付具を車体に固定しているため、パネル部材が無く取付孔を設けることが出来ない部位には、このバンパー取付具を固定することができなかった。
【0005】
また、近年、車体軽量化を目的として、パネル部材を小さくする設計が行われている。しかし、バンパーの大きさは変わらないため、バンパー取付具の大きさも従来と同じ大きさが必要とされている。
【0006】
つまり、車体軽量化のためにパネル部材を小さくすると、バンパー取付具を固定するための取付孔を設けることが出来なくなる。すなわち、従来のバンパー取付具の取付構造では、パネル部材を小さくすると従来と同じ大きさのバンパー取付具を車体に取り付けることが出来なかった。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、車体軽量化のためにパネル部材が小さくなくなっても、決められた大きさのバンパー取付具を車体に固定することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係るバンパー取付具は、車体にバンパーを取り付けるためのバンパー取付具であって、本体裏面から突設され、前記車体に設けられた取付孔と嵌合する嵌合部と、前記本体の裏面及び側面の少なくとも一方から延設され、前記車体の縁部に掛け止められる掛止部と、を備える。
【0009】
上記構成によれば、車体にバンパーを取り付けるためのバンパー取付具を車体に取り付ける際は、バンパー取付具の本体の裏面に設けられた嵌合部を車体に設けられた取付孔に嵌合させる。さらに、本体の裏面及び側面の少なくとも一方から延設された掛止部を車体の縁部に掛け止める。
【0010】
このように、バンパー取付具の掛止部を車体の縁部に掛け止められることで、車体軽量化のために車体のパネル部材が小さくなっても、バンパー取付部を縁部からオーバーハングさせることができ、決められた大きさのバンパー取付具を車体に取り付けることができる。
【0011】
本発明の請求項2に係るバンパー取付具は、請求項1記載において、前記掛止部は、前記車体に掛け止められる際に前記車体の縁部と当接して撓み、復帰して前記車体の縁部に引っ掛る第一の爪であることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、第一の爪を車体に掛け止めする際は、第一の爪が車体の縁部と当接しながら撓み、さらに、復帰して車体の縁部に引っ掛る。このように第一の爪を車体の縁部に引っ掛けることで、確実にバンパー取付具を車体に固定することができる。
【0013】
本発明の請求項3に係るバンパー取付具は、請求項2記載において、前記第一の爪は、本体から立設する支柱と、前記支柱の端部に形成され、前記車体の縁部に掛け止められる爪部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、本体から立設した支柱の端部に爪部が形成されている。このように爪部を支柱で支持することで、爪部を充分撓ませることができ、容易にバンパー取付具を車体に固定することができる。
【0015】
本発明の請求項4に係るバンパー取付具は、請求項1に記載において、前記掛止部は、前記車体の縁部に引っ掛る第二の爪であり、前記本体は、前記第二の爪を前記車体の縁部に掛け止める際に撓み、復帰して前記第二の爪を前記車体の縁部に引っ掛けることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、本体は、第二の爪を車体の縁部に掛け止める際に撓み、復帰して第二の爪を車体の縁部に引っ掛ける。このように第二の爪を車体の縁部に引っ掛けることで、第二の爪を変形させることなく確実にバンパー取付具を車体に固定することができる。
【0017】
本発明の請求項5に係るバンパー取付具は、請求項1に記載において、前記掛止部は、前記車体の縁部に引っ掛る第三の爪であり、前記第三の爪と前記本体とは、前記第三の爪を前記車体の縁部に掛け止める際に撓み、復帰して前記第三の爪を前記車体の縁部に引っ掛けることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、第三の爪と本体とは、第三の爪を車体の縁部に掛け止める際に撓み、復帰して第三の爪を車体の縁部に引っ掛ける。このように第三の爪を車体の縁部に引っ掛けることで、第三の爪だけを変形させる事無く確実にバンパー取付具を車体に固定することができる。
【0019】
本発明の請求項6に係るバンパー取付具は、請求項4又は5に記載において、前記嵌合部は、前記本体を前記車体に位置決めするための基準となる基準嵌合部と、前記本体の製造誤差を吸収する調整嵌合部とを含んで構成され、前記掛止部、前記調整嵌合部、前記基準嵌合部の順に並んでいることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、第二の爪又は第三の爪を車体の縁部に引っ掛ける際に、掛止部と基準嵌合部との間で本体が撓む。ここで、掛止部、調整嵌合部、基準嵌合部の順に並んでいる。このため、掛止部、基準嵌合部、調整嵌合部の順に並んでいる場合と比較して、本体の撓み量を大きくすることができ、これにより、バンパー取付具の取付作業性を向上させることができる。
【0021】
本発明の請求項7に係るバンパー取付具は、請求項1〜6何れか1項に記載において、前記嵌合部は、本体の裏面から向けて延びる脚体と、前記脚体に形成されると共に、前記取付孔に取り付けられる際に、前記取付孔と当接して撓み、前記取付孔を通過すると拡がる掛爪と、を備えることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、嵌合部を取付孔に押込むと、バンパー取付具の嵌合部の脚体に形成された掛爪が、取付孔と当接して撓み、取付孔を通過すると拡がる。このように、押込むだけで嵌合部を取付孔に嵌合させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、車体軽量化のためにパネル部材が小さくなくなっても、決められた大きさのバンパー取付具を車体に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具の一例を図1〜図11に従って説明する。
【0025】
図11に示されるように、車両10の後輪12を覆うサイドアウターパネル14の後方には、バンパー20の車両幅方向の端部を固定するバンパー取付具30が取り付けられる取付面16が、外表面を構成する意匠面26から段差面34を介して設けられている。なお、本実施形態の説明においては、車両幅方向一方について説明するが、車両幅方向他方についても同様の構造とされている。
【0026】
さらに、取付面16の裏面(車両幅方向内側の面)には、サイドアウターパネル14と溶接により結合され、サイドアウターパネル14を補強するホイルハウスインナーパネル18が設けられている。
【0027】
図9に示されるように、取付面16には、四角形の角孔22が上下方向にならんで2個設けられている。また、取付面16の裏面に重なるホイルハウスインナーパネル18の下縁部18Aは、取付面16の下縁部16Aより下方へ突出している。さらに、下縁部16Aと繋がるサイドアウターパネル14の縁部は、段差面34内で下方へ向かい縦縁部34Aを構成している。
【0028】
一方、取付面16に取り付けられるバンパー取付具30は、樹脂部材で成形され、上下延びる長尺状とされており、バンパー20(図11参照)の車両幅方向端部に形成されたフランジ(図示省略)を支持するため決められた大きさとされている。そして、バンパー取付具30には、バンパー20のフランジを支持する複数個の支持部28が設けられている。
【0029】
詳細には、バンパー取付具30の本体31は、段差面34に沿うように側方から見て屈曲点30Aで折り曲げられるく形状に形成され(図10参照)、長手方向に直交する断面は、車両幅方向内側が開放されたコ字形状とされている。さらに、このコ字形状の内部には複数個の補強リブが一体的に形成されたおり、これらの補強リブが、バンパー取付具30の剛性を向上させている。また、完成車状態では、バンパー20(図11参照)車両幅方向外側からバンパー取付具30へかぶるように取り付けられるため、バンパー取付具30は、ユーザーからは視認できないようになっている。
【0030】
図8に示されるように、バンパー取付具30の本体31の車両幅方向内側を向く裏面48には、上下に並んで、前述した角孔22(図9参照)に嵌合する嵌合部としてのグロメット36が一体的に2個設けられている。
【0031】
図5に示されるように、グロメット36は、取付面16の角孔22(図9参照)よりも外径寸法が大きい円状のフランジ部38を備えている。さらに、このフランジ部38からは、互いに対面する爪部40及び脚体42がそれぞれ角孔22に向けて延設されており、対面する脚体42の内壁の離間距離を、対面する爪部40の内壁の離間距離よりも大きくしている。
【0032】
さらに、爪部40は脚体42よりも短く形成されており、脚体42との間にはスリット44が設けられ、脚体42から独立して片持ち状に設けられ弾性変形可能としている。また、脚体42の先端部は互いに連結され、脚体42と爪部40とで略四角形状の袋体46を構成している。
【0033】
さらに、脚体42の外壁同士の間隔は、角孔22(図9参照)に挿通可能な幅となっており、爪部40の外壁同士の間隔は、角孔22よりも幅広となっている。
【0034】
このため、袋体46を角孔22へ挿通すると、爪部40は角孔22の周縁部に当接する。この状態から、バンパー取付具30を車両幅方向内側に向けて押圧すると、爪部40は角孔22の周縁部によって押し縮められ狭幅する。
【0035】
そして、爪部40の基端部に設けられた基端面40Aが、角孔22を通過し、フランジ部38と取付面16が当接すると、爪部40は拡幅して基端面40Aが角孔22の周辺部に当る(図6(C)参照)。この状態で、グロメット36が、サイドアウターパネル14の取付面16に保持され仮止めされることとなる。
【0036】
図6(A)(B)(C)に示されるように、対面する爪部40の内壁の離間距離より外径寸法が若干大きいスクリューピン52を車両方向外側から、バンパー取付具30に形成された凹部24(図9参照)を通して袋体46の内部に形成された袋部50へねじ込むと、スクリューピン52のネジ山52Aの頂部によって爪部40が拡幅すると共に、脚体42が膨出する。これにより、グロメット36が、サイドアウターパネル14の取付面16に形成された角孔22に嵌合して固定されることとすることとなる。
【0037】
次に、ホイルハウスインナーパネル18の下縁部18A(図9参照)に掛け止められる掛止部としての爪60について説明する。
【0038】
図8に示されるように、バンパー取付具30の本体31の裏面48(車両幅方向内側を向いた面)には、上下に並ぶ2個のグロメット36が一体的に形成されており、その下側に、ホイルハウスインナーパネル18の下縁部18Aに掛け止められる爪60が一体的に設けられている。
【0039】
図1、図2に示されるように、爪60は、本体31の裏面48から一体的に形成され、車両幅方向内側に向けて立設される支柱62を備えている。支柱62は、断面矩形状とされ、下縁部18Aの下方を通過して車両幅方向内側に延びるように設けられている。また、下縁部18Aと対向しない支柱62の下面には、支柱62の両端部を補強するように、車両幅方向に延びる補強ビード54(参照図4(A))が2本設けられている。
【0040】
さらに、車両幅方向内側に延びた支柱62の先端部には、板状の爪部64が形成され、爪部64の基端部が支柱62の先端部に保持されている。詳細には、爪部64の基端部が支柱62の先端部に保持され、爪部64の先端部は車両幅方向外側に向って延びて、支柱62から徐々に離間するように形成されている。さらに、爪部64には、押圧されると爪部64と支柱62の間に設けられた隙間66を狭めて爪部64を弾性的に変形させる傾斜面68が設けられている。
【0041】
この構成により、車両幅方向外側からバンパー取付具30をサイドアウターパネル14の取付面16に固定しようとすると、爪部64の傾斜面68が下縁部18Aと当り、爪部64が隙間66を狭めるように撓み、爪部64の先端部が下縁部18Aを通過すると爪部64が復帰して、爪60がホイルハウスインナーパネル18の下縁部18Aに掛け止められるようになっている。
【0042】
次に、サイドアウターパネル14の縦縁部34A(図9参照)に掛け止められる掛止部としての爪70について説明する。
【0043】
図7に示されるように、段差面34(図9参照)と対向するバンパー取付具30の本体31の側面32には、爪70が一体的に形成されている。
【0044】
図3、図4(A)(B)に示されるように、爪70は、バンパー取付具30の側面32の端部から延出され、爪70は、屈曲部70Aで折り曲げられ、車両幅方向外側へと延びている支柱78を備えている。また、支柱78の屈曲部70Aの近傍には、屈曲部70A近傍を補強する凸状のビード77が支柱78の外表面に沿って設けられている。
【0045】
さらに、支柱78には、バンパー取付具30を車両幅方向外側から車両幅方向内側へ移動させて車体に取り付けようとしたときに、サイドアウターパネル14の段差面34に押圧され、支柱78と側面32の間に設けられた隙間72を狭めて支柱78を弾性変形させる共に、車両幅方向外側に向って拡がるように傾斜する傾斜面74が設けられている。
【0046】
また、この傾斜面74の車両幅方向外側には、傾斜面74に対して逆方向に傾斜する傾斜面76が設けられている。バンパー取付具30を車両幅方向外側から車両幅方向内側へ移動させて支柱78を弾性変形させ、傾斜面74がサイドアウターパネル14の段差面34を通過して変形した支柱78が復帰するすると傾斜面76と段差面34の縦縁部34Aと当接するようになっている。
【0047】
この構成により、車両方向外側からバンパー取付具30をサイドアウターパネル14の取付面16に固定しようとすると、傾斜面76と段差面34の縦縁部34Aと当接して縦縁部34Aに爪70が引っ掛り、爪70が縦縁部34Aに掛け止められるようになっている。
【0048】
このように、バンパー取付具30の爪60をホイルハウスインナーパネル18の下縁部18Aに掛け止め、爪70を段差面34の縦縁部34Aに掛け止めることで、バンパー取付具30を下縁部18A及び縦縁部34Aからバンパー取付具30をオーバーハングさせることができ、車体軽量化のために車体のパネル部材を小さくしても、決められた大きさのバンパー取付具を車体に取り付けることができる。
【0049】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、爪60及び爪70の両方を使用して、バンパー取付具30をパネル部材の縁部に掛け止めたが、どちらか一方だけで、パネル部材の縁部に掛け止めてバンパー取付部を縁部からオーバーハングさせてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、リアバンパーを例にとって説明したが、フロンドバンパーに本発明に係るバンパー取付具30を採用してもよい。
【0051】
次ぎに、本発明の第2実施形態に係るバンパー取付具の一例を図12に従って説明する。
【0052】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図12に示されるように、バンパー取付具80の本体81の裏面48から延設され、ホイルハウスインナーパネル18の下縁部18A(図11参照)に掛け止められる爪82の爪部84における傾斜面86の先端には、下縁部18Aに引っ掛る凹状の引掛部88が設けられている。
【0054】
詳細には、傾斜面86の先端には、下縁部18Aに沿って断面L字状に延びる引掛部88が設けられており、爪82がホイルハウスインナーパネル18の下縁部18Aに掛け止められた状態で、引掛部88が下縁部18Aに引っ掛るようになっている。
【0055】
このように、引掛部88を下縁部18Aに引っ掛ることで、確実にバンパー取付具80を車体に固定することができる。
【0056】
次ぎに、本発明の第3実施形態に係るバンパー取付具の一例を図13に従って説明する。
【0057】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0058】
図13に示されるように、バンパー取付具90の本体91の裏面48から延設され、ホイルハウスインナーパネル18の下縁部18A(図11参照)に掛け止められる爪92の爪部94における傾斜面96は、支柱62に保持される基端部から先端部に掛けて捩じれながら傾斜するように設けられている。
【0059】
詳細には、傾斜面96の幅方向一端縁96Aは、支柱62と離間することなく車両幅方向外側に向って延びており、これに対し、他端縁96Bは支柱62から徐々に離間しながら車両幅方向外側に向って延びている。この構成により、傾斜面96は捩じれ面とされている。
【0060】
この構成により、車両幅方向外側からバンパー取付具90をサイドアウターパネル14の取付面16に固定しようとすると、爪部94の傾斜面96が下縁部18Aと当る。傾斜面96が下縁部18Aと当ると、爪部94の基端部と傾斜面96の一端部96Aが支持された状態で、爪部94が隙間98を狭めるように撓み、爪部94の先端部が下縁部18Aを通過すると爪部94が復帰して、爪92がホイルハウスインナーパネル18の下縁部18Aに掛け止められるようになっている。
【0061】
次ぎに、本発明の第4実施形態に係るバンパー取付具の一例を図14に従って説明する。
【0062】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図14に示されるように、バンパー取付具100の本体101の裏面48から延設され、ホイルハウスインナーパネル18の下縁部18A(図11参照)に掛け止められる爪102の爪部104は、支柱62と離間することなく一体的に形成されている。さらに、爪部104の傾斜面106は、爪部104の肉厚を厚くするように車両幅方向外側に向って傾斜している。
【0064】
この構成により、車両幅方向外側からバンパー取付具100をサイドアウターパネル14の取付面16に固定しようとすると、爪部104の傾斜面106が下縁部18Aと当る。傾斜面106が下縁部18Aと当ると、爪部94が支柱62と一緒に下縁部18Aから離れる方向に撓み、爪部104の先端部が下縁部18Aを通過すると爪部104及び支柱62が復帰して、爪102がホイルハウスインナーパネル18の下縁部18Aに掛け止められるようになっている。
【0065】
次ぎに、本発明の第5実施形態に係るバンパー取付具の一例を図15に従って説明する。
【0066】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0067】
図15(A)(B)に示されるように、バンパー取付具110の本体111の側面32から延設され、サイドアウターパネル14の縦縁部34Aに掛け止められる爪112の支柱118における傾斜面114の車両幅方向外側には、傾斜面114と逆方向に傾斜する傾斜面は設けられておらず、縦縁部34Aと引っ掛る凹状の引掛部116が設けられている。
【0068】
詳細には、傾斜面114の先端には、下縁部18Aに沿って断面L字状に延びる引掛部116が設けられており、引掛部116がサイドアウターパネル14の縦縁部34Aに引っ掛り、爪112がサイドアウターパネル14の縦縁部34Aに掛け止められるようになっている。
【0069】
次ぎに、本発明の第6実施形態に係るバンパー取付具の一例を図16〜図19に従って説明する。
【0070】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図16、図17、図18に示されるように、第1実施形態と違い、バンパー取付具120の本体122の裏面48から延設され、ホイルハウスインナーパネル18の下縁部18A(図19参照)に掛け止められる爪124は、下縁部18Aに引っ掛る爪部126と本体122から延出され、爪部126を支持する支柱128を備えている。また、爪部126には、バンパー取付具120をサイドアウターパネル14の取付面16に取り付ける際に、ホイルハウスインナーパネル18の下縁部18A(図19参照)と当り、本体122を弾性的に撓ませる傾斜面127が設けられている。
【0072】
さらに、図16に示されるように、本体122の裏面48には、サイドアウターパネル14の取付面16(図19参照)に取り付けられると共に、本体122を車体に位置決めするための基準となる基準嵌合部としてのグロメット130が、爪124が設けられる側とは反対側(図16に示す紙面上側)に設けられている。
【0073】
また、グロメット130に対して爪124側には、本体122の製造誤差を吸収する調整嵌合部としてのグロメット132が設けられている。つまり、下側から爪124、グロメット132、グロメット130の順に配置されている。
【0074】
詳細には、図19に示されるように、グロメット130が取り付けられる角孔134は、正面視で正方形とされており、グロメット130が角孔134に取り付けると、グロメット130には動き代(遊び)がないようになっている。
【0075】
これに対し、グロメット132が取り付けられる角孔136は、正面視でバンパー取付具120の長手方向(図19に示す紙面上下方向)に延びる長方形とされており、グロメット132が角孔136に取り付けると、グロメット132には、上下方向に動くようになっており、本体122の製造誤差を吸収する構成となっている。
【0076】
この構成により、車両幅方向外側から図16に示すバンパー取付具120をサイドアウターパネル14の取付面16(図19参照)に固定しようとすると、爪部126の傾斜面127が、ホイルハウスインナーパネル18の下縁部18A(図19参照)と当たる。そして、爪124が取付面16側の押し込められることで、傾斜面127に沿って、本体122が撓み、爪124の爪部126が下縁部18Aに引っ掛る。
【0077】
つまり、位置決め機能を有するグロメット130と爪124の間(図16に示す範囲J)で、本体122が撓むこととなる。
【0078】
このように、本体122を撓ませて爪124を下縁部18Aに引っ掛けることで、爪124を変形させることなく確実にバンパー取付具120を車体に固定することができる。
【0079】
また、下側から爪124、グロメット132、グロメット130の順に配置されている。このため、爪124、グロメット130、グロメット132の順に配置されている場合と比較して、本体122の撓み量を大きくすることができ、これにより、バンパー取付具120の取付作業性を向上させることができる。
【0080】
次ぎに、本発明の第7実施形態に係るバンパー取付具の一例を図20、図21に従って説明する。
【0081】
なお、第6実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0082】
図20、図21に示されるように、バンパー取付具140の本体142の裏面48から延設され、ホイルハウスインナーパネル18の下縁部18Aに掛け止められる爪144は、下縁部18Aに引っ掛る爪部146と本体142から延出され、爪部146を支持する支柱148を備えている。ここで、支柱148は、第6実施形態の支柱と比較して、厚さが薄くされており、傾斜面147が下縁部18Aに当たり、爪144が取付面16側の押し込められることで、傾斜面147に沿って撓むようになっている。
【0083】
つまり、爪144の支柱148と本体142とは、爪144をホイルハウスインナーパネル18の下縁部18Aに掛け止められる際に撓み、復帰して爪144を下縁部18Aに引っ掛けるようになっている。
【0084】
このように、本体142及び支柱148を撓ませて爪144を下縁部18Aに引っ掛けることで、爪144だけを変形させることなく確実にバンパー取付具140を車体に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具裏面から延設され、ホイルハウスインナーパネルの下縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具裏面から延設され、ホイルハウスインナーパネルの下縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具の側面に設けられ、サイドアウターパネルの縦縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【図4】(A)(B)本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具の側面に設けられ、サイドアウターパネルの縦縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具裏面から延設され、角孔に嵌め込まれるグロメットを表した拡大斜視図である。
【図6】(A)(B)(C)本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具裏面から延設され、角孔に嵌め込まれるグロメットを表した断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具を示した斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具を示した斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具、サイドアウターパネル及びホイルハウスインナーパネルを示した斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具、サイドアウターパネル及びホイルハウスインナーパネルを示した側面図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係るバンパー取付具が取り付けられる車両後部を示した斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具裏面から延設され、ホイルハウスインナーパネルの下縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具裏面から延設され、ホイルハウスインナーパネルの下縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具裏面から延設され、ホイルハウスインナーパネルの下縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【図15】(A)(B)本発明の第5実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具の側面に設けられ、サイドアウターパネルの縦縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【図16】本発明の第6実施形態に係るバンパー取付具を示した斜視図である。
【図17】本発明の第6実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具裏面から延設され、ホイルハウスインナーパネルの下縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【図18】本発明の第6実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具裏面から延設され、ホイルハウスインナーパネルの下縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【図19】本発明の第6実施形態に係るバンパー取付具、サイドアウターパネル及びホイルハウスインナーパネルを示した斜視図である。
【図20】本発明の第7実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具裏面から延設され、ホイルハウスインナーパネルの下縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【図21】本発明の第7実施形態に係るバンパー取付具を示し、バンパー取付具裏面から延設され、ホイルハウスインナーパネルの下縁部に掛け止められる掛止部を表した拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
10 車両
18A 下縁部(縁部)
20 バンパー
22 角孔(取付孔)
30 バンパー取付具
31 本体
32 側面
34A 縦縁部(縁部)
36 グロメット(嵌合部)
40 爪部(掛爪)
42 脚体
48 裏面
60 爪(第一の爪)
62 支柱
64 爪部
70 爪(第一の爪)
80 バンパー取付具
81 本体
82 爪(第一の爪)
84 爪部
90 バンパー取付具
91 本体
92 爪(第一の爪)
94 爪部
100 バンパー取付具
101 本体
102 爪(第一の爪)
104 爪部
110 バンパー取付具
111 本体
112 爪(第一の爪)
118 支柱
120 バンパー取付具
122 本体
124 爪(第二の爪)
130 グロメット(基準嵌合部)
132 グロメット(調整嵌合部)
140 バンパー取付具
142 本体
144 爪(第三の爪)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体にバンパーを取り付けるためのバンパー取付具であって、
本体裏面から突設され、前記車体に設けられた取付孔と嵌合する嵌合部と、
前記本体の裏面及び側面の少なくとも一方から延設され、前記車体の縁部に掛け止められる掛止部と、
を備えるバンパー取付具。
【請求項2】
前記掛止部は、前記車体に掛け止められる際に前記車体の縁部と当接して撓み、復帰して前記車体の縁部に引っ掛る第一の爪である請求項1に記載のバンパー取付具。
【請求項3】
前記第一の爪は、
本体から立設する支柱と、
前記支柱の端部に形成され、前記車体の縁部に掛け止められる爪部と、
を備える請求項2に記載のバンパー取付具。
【請求項4】
前記掛止部は、前記車体の縁部に引っ掛る第二の爪であり、
前記本体は、前記第二の爪を前記車体の縁部に掛け止める際に撓み、復帰して前記第二の爪を前記車体の縁部に引っ掛ける請求項1に記載のバンパー取付具。
【請求項5】
前記掛止部は、前記車体の縁部に引っ掛る第三の爪であり、
前記第三の爪と前記本体とは、前記第三の爪を前記車体の縁部に掛け止める際に撓み、復帰して前記第三の爪を前記車体の縁部に引っ掛ける請求項1に記載のバンパー取付具。
【請求項6】
前記嵌合部は、前記本体を前記車体に位置決めするための基準となる基準嵌合部と、前記本体の製造誤差を吸収する調整嵌合部とを含んで構成され、
前記掛止部、前記調整嵌合部、前記基準嵌合部の順に並んでいる請求項4又は5に記載のバンパー取付具。
【請求項7】
前記嵌合部は、
本体の裏面から向けて延びる脚体と、
前記脚体に形成されると共に、前記取付孔に取り付けられる際に、前記取付孔と当接して撓み、前記取付孔を通過すると拡がる掛爪と、
を備える請求項1〜6何れか1項に記載されたバンパー取付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−262919(P2009−262919A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323921(P2008−323921)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】