説明

バンプ接合判定装置及び方法、並びに半導体部品製造装置及び方法

【課題】電子部品と回路基板との接合の良否を接合実行中に判定し、さらに、接合中に接合状態が悪化した場合は、接合条件を変更するバンプ接合判定装置および方法を提供する。
【解決手段】電子部品と回路基板とを相対的に振動させて上記電子部品の電極と上記回路基板の電極部とをバンプを介して接合するとき、振動減衰検出装置及び判定装置にて、上記バンプと上記電極部との接合の進行に起因する振動の減衰を検出し、該振動減衰に基づき上記接合の良否を判定する。又、超音波発振器におけるインピーダンス、若しくはノズルの移動量、若しくはVCMへの供給電流について、接合中のこれらの波形と良品波形とを比較して良否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及び回路基板のいずれか一方に形成されたバンプと、いずれか他方における電極箇所とを接合させて半導体部品を製造するときの、例えば、電極にバンプが設けられている電子部品を回路基板上の電極部へ上記バンプを接合させるときの上記バンプと上記電極部との接合の良否を判定するバンプ接合判定装置及び方法、並びに上記バンプ接合判定装置を備えた半導体部品製造装置及び半導体部品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を回路基板上へ電気的に接続しかつ固定する方法として、電子部品及び回路基板のいずれか一方に形成されたバンプと、いずれかの他方における電極箇所とを接合する方法がある。以下では、電子部品の電極にバンプを形成した電子部品の上記バンプを回路基板上の電極部へ接合する方法を例に採る。このようなバンプ接合方法を実行する装置として、図30に示す半導体部品製造装置1が存在する。該半導体部品製造装置1は、大別して、部品供給装置2、ボンディングステージ3、部品反転装置4、バンプ接合装置5、及び回路基板搬送装置6を備える。
【0003】
上記部品供給装置2は、上記電子部品の一例である半導体チップを供給する装置であり、上記回路基板搬送装置6は当該半導体部品製造装置1へ回路基板20を搬入、搬出する装置である。上記ボンディングステージ3は、上記回路基板搬送装置6にて搬入された上記回路基板20を載置して上記バンプ接合を行うためのステージであり、Y軸ロボット7にてY方向へ可動であり、又、バンプ接合ため上記回路基板20の加熱を行う。上記部品反転装置4は、上記部品供給装置2から上記半導体チップを保持し該半導体チップの電極13に形成されているバンプが上記ボンディングステージ3に載置されている上記回路基板20に対向するように、保持した半導体チップを反転する装置である。上記バンプ接合装置5は、上記半導体チップを保持する保持装置と、保持した半導体チップをその厚み方向へ移動させるZ方向駆動装置51と、詳細後述する超音波振動発生装置9とを備える。該バンプ接合装置5は、X軸ロボット8に取り付けられ該X軸ロボット8にてX方向へ可動であり、上記部品反転装置4から上記半導体チップを受け取り上記ボンディングステージ3へ搬送した後、上記ボンディングステージ3に載置されている上記回路基板20の所定位置へ、保持している半導体チップを上記Z方向駆動装置51の駆動により押圧して上記バンプの接合を行う装置である。尚、上記回路基板20の電極部21へ押圧される前における上記バンプは図32に示すような形状であり、直径寸法Iは、約100μmであり、半導体チップ150の電極13上における土台部分11aの高さ寸法IIIは約30〜35μmであり、全高寸法IIは約70〜75μmである。又、上記押圧後のつぶれた上記バンプ(以後、つぶれたバンプ11に対して符号「12」を付す)は、図33に示すような形状であり、バンプ12の高さ寸法IVは、上記土台部分11aの高さ寸法IIIにほぼ等しい。
【0004】
又、上記回路基板20上へ接合すべき上記半導体チップの位置合わせは、上記X軸ロボット8及び上記Y軸ロボット7にて行われる。
又、上記バンプ11の接合を行うとき、上記バンプ11を上記Y方向又はX方向へ振動させて上記バンプ11と回路基板20側の電極部21との間に摩擦熱を発生させて、上記ボンディングステージ3の加熱温度の低減を図りかつ上記バンプの接合を強固なものにするため、上記バンプ接合装置5には上記バンプを振動させるための超音波振動発生装置9を備えている。該超音波振動発生装置9は、図31に示すように、圧電素子91と該圧電素子91が一端部に接続される超音波ホーン92とを備え、圧電素子91を複数積層しており、これらの圧電素子91に電圧が印加されることで超音波振動を発生し、発生する例えば上記Y方向への振動を超音波ホーン92にて増幅する。超音波ホーン92の他端部には、上記半導体チップ150を保持するノズル93が固定されており、圧電素子91の上記振動により、ノズル93、即ちノズル93に保持されている半導体チップ150が上記Y方向へ超音波振動する。尚、圧電素子91は例えば上記Y方向へ振動するが、発生した振動が上記半導体チップ150へ伝導する過程にて種々の方向への振動が生じ、上記半導体チップ150では主たる振動方向は上記Y方向であるが実際には種々の方向へ振動している。
【0005】
上述のような従来の半導体部品製造装置1では、上記ボンディングステージ3にて約150℃に加熱された上記回路基板20に対して上記電子部品の上記バンプ11を押圧した後、上記電子部品を介して上記バンプ11を超音波振動して上記バンプ11と上記電極部21との間に摩擦熱を発生させて上記接合を行っている。
【0006】
このようにバンプ11と電極部21とを接合させることで、携帯型の電話やパーソナルコンピュータも、さらに、小型軽量化が可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−142545号公報
【特許文献2】特開平10−075096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来において、上記接合実行中に上記接合の良否を判定することは行っていない。又、狭ピッチ電極での接合は高精度の実装設備が必要であり、さらに、接合時に不良が発生すると不良個所を修正することが不可能で、不良品は廃棄しなければならなかった。
【0009】
従来の技術として、例えば、特許文献1に記載されている「フリップチップ部品の実装装置」では、赤外線撮像手段によって、フリップチップICを実装する前後にバンプの状態や接合状態を確認し、良否判定に従って不良を取り除き、良品のみを次工程に進める実装方法であった。このような従来の実装方法は、ヒータ付きノズルで吸着されたフリップチップICをプリント基板の所定の位置に移動させ実装し、その直後に下面から赤外線カメラで撮像し、画像データから基板の接合部のみを抽出して、接合部の位置ずれや接合面積を計算し、予め設定された許容値と比較することによって実装状態の良否を判定するものであった。
【0010】
又、例えば、特許文献2に記載されている「フリップチップ部品の実装装置」では、CCDカメラを用いて、フリップチップICをプリント基板に接合する直前に、バンプやバンプ頂頭部の導電性接着剤の量や形状を計測することによって電極の状態の良否を判定し、良品のみをプリント基板に接合する方法であった。
【0011】
このように従来の技術において、赤外線カメラやCCDカメラを用いてICチップのバンプなど電極形状を抽出し、画像処理する方法では、接合状態を電極の形状や面積などの外観上でしか良否判定ができず、形状や面積などの外観上の検査では、バンプと電極箇所とが本当に接合されているか否かは正確に判定できないという問題があった。
【0012】
又、従来の技術では、仮に、上記形状で不良を検出できたとしても、それを何らかの手を加えて良品にすることは不可能であり、歩留まりを向上できないという問題があった。
【0013】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、電子部品及び回路基板のいずれか一方に形成されたバンプと、いずれか他方における電極箇所とを接合させるときの接合実行中に、上記バンプと上記電極箇所との接合の良否を判定し、さらには不良が発生しそうなときには接合条件を変更するバンプ接合判定装置及び方法、並びに上記バンプ接合判定装置を備えた半導体部品製造装置及び半導体部品製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0015】
本発明の第1態様におけるバンプ接合判定装置は、電子部品と回路基板とを相対的に振動させて上記電子部品の電極と上記回路基板の電極部とをバンプを介して接合して半導体部品を製造するときに該接合時におけるバンプ接合良否の判定を行うバンプ接合判定装置において、
上記接合の進行に起因する上記振動の減衰を検出する振動減衰検出装置と、
上記振動減衰検出装置にて検出された上記振動減衰に基づき上記接合の良否を判定する判定装置と、
を備える。
【0016】
又、上記第1態様におけるバンプ接合判定装置において、上記振動減衰検出装置は、上記電子部品と上記回路基板とを相対的に振動させる振動発生装置に関するインピーダンス値であって、上記振動の減衰に応じて増加するインピーダンス値を検出し、
上記判定装置は、上記振動減衰に起因する上記インピーダンス値の増加傾向に基づき上記接合の良否を判定するように構成することもできる。
【0017】
又、上記判定装置は、上記振動の作用開始時からの時間経過につれて上記インピーダンス値が増加し、かつ上記作用開始時からの接合必要時間経過時にて上記インピーダンス値が平衡値に達し、かつ上記接合必要時間経過時から安定時間、上記平衡値を維持するときに上記接合が良好であると判断するように構成することもできる。
【0018】
又、上記電子部品と上記回路基板との相対的振動は、上記回路基板を固定して上記電子部品を振動させてなされるように構成することもできる。
さらに又、上記バンプ接合判定装置において、上記振動減衰検出装置は、レーザ光を利用して上記振動の振動幅を測定する測長装置を有し、上記判定装置は上記振動幅の減衰に基づき上記接合の良否を判定するように構成することもできる。
【0019】
又、上記電子部品と上記回路基板との相対的振動が、上記回路基板を固定して上記電子部品を振動させてなされるとき、上記測長装置は上記レーザ光を振動測定面に対して直角に照射してその反射光に基づき上記振動幅を測長するように構成することもできる。
【0020】
さらに又、上記バンプ接合判定装置において、上記振動減衰検出装置は、上記電子部品と上記回路基板とを相対的に振動させる振動発生装置に接続され上記振動発生装置における振動成分電流を分離する振動成分電流分離装置を備え、
上記判定装置は、上記振動成分電流分離装置から出力される上記振動成分電流に基づき上記接合の良否を判定するように構成することもできる。
【0021】
本発明の第2態様におけるバンプ接合判定方法は、電子部品と回路基板とを相対的に振動させて上記電子部品の電極と上記回路基板の電極部とをバンプを介して接合するときに該接合時におけるバンプ接合良否の判定を行うバンプ接合判定方法において、
上記接合の進行に起因する上記振動の減衰を検出し、検出した振動減衰に基づき上記接合の良否を判定する。
【0022】
本発明の第3態様における半導体部品製造装置は、上記第1態様におけるバンプ接合判定装置を備えた。
【0023】
さらに本発明の第4態様の半導体部品製造装置は、超音波振動を用いて電子部品の電極と回路基板の電極部とをバンプを介して接合して半導体部品を製造する半導体部品製造装置において、
振動発生装置に対して上記超音波振動を発生させ、上記バンプを介して行われる接合中の上記振動発生装置に関するインピーダンスを送出するインピーダンス出力装置と、
送出される上記インピーダンスの変化と、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの良品インピーダンス変化とを比較して上記接合の良否を判断する接合判断装置と、
を備えた。
【0024】
又、第4態様の半導体部品製造装置において、電子部品保持部材に上記電子部品を保持し上記電子部品保持部材を上記回路基板の厚み方向へ移動させて上記バンプを介して上記電子部品を上記回路基板上に圧力制御をしながら実装する圧力制御装置と、
上記圧力制御装置にて、上記バンプを介して上記電子部品を上記回路基板上に押圧するときの上記電子部品保持部材の変位を計測する計測装置と、をさらに備え、
上記接合判断装置は、さらに、上記計測装置が送出する上記電子部品保持部材変位の変化と、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの良品変位変化とを比較して上記接合の良否を判断するように構成することもできる。
【0025】
又、第4態様の半導体部品製造装置において、電子部品保持部材に上記電子部品を保持し上記電子部品保持部材を上記回路基板の厚み方向へ移動させて上記電子部品を上記回路基板上に圧力制御をしながら実装し、かつ上記バンプを介して上記電子部品を上記回路基板上に押圧するときの上記電子部品保持部材の押圧力を送出する圧力制御装置と、をさらに備え、
上記接合判断装置は、さらに、上記圧力制御装置が送出する上記電子部品保持部材の押圧力の変化と、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの良品押圧力変化とを比較して上記接合の良否を判断するように構成することもできる。
【0026】
又、第4態様の半導体部品製造装置において、上記圧力制御装置は、さらに、上記電子部品を上記回路基板上に押圧するときの上記電子部品保持部材の押圧力をさらに送出し、上記接合判断装置は、さらに、上記圧力制御装置が送出する上記電子部品保持部材の押圧力の変化と、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの良品押圧力の変化とを比較して上記接合の良否を判断するように構成することもできる。
【0027】
又、第4態様の半導体部品製造装置において、上記接合判断装置は、上記電子部品と上記回路基板との接合状態について上記接合中に不良と判断したときには、上記インピーダンス出力装置に対して、上記接合状態を改善させる、上記超音波振動の変更を行わせるように構成することもできる。
【0028】
又、第4態様の半導体部品製造装置において、上記接合判断装置は、上記電子部品と上記回路基板との接合状態について上記接合中に不良と判断したときには、上記インピーダンス出力装置に対して上記接合状態を改善させる、上記超音波振動の変更を行わせ、かつ該超音波振動の変更のみでは上記接合状態の改善がなされないときには、上記圧力制御装置に対して上記接合状態を改善させる、上記圧力の変更を行わせるように構成することもできる。
【0029】
又、第4態様の半導体部品製造装置において、上記インピーダンス出力装置から送出される上記インピーダンスの変化、上記計測装置が送出する上記電子部品保持部材変位の変化、及び上記圧力制御装置が送出する上記電子部品保持部材押圧力の変化を記憶する第1記憶装置と、
上記良品インピーダンス変化、上記良品変位変化、及び上記良品押圧力変化を記憶する第2記憶装置と、をさらに備え、
上記接合判断装置は、上記第1記憶装置及び上記第2記憶装置に記憶されている、上記インピーダンス変化と上記良品インピーダンス変化、上記電子部品保持部材変位変化と上記良品変位変化、及び上記電子部品保持部材押圧力変化と上記良品押圧力変化をそれぞれ比較して上記接合の良否を判断するように構成することもできる。
【0030】
又、第4態様の半導体部品製造装置において、上記接合判断装置による上記良否判断の結果を表示する表示装置と、
上記接合判断装置により上記電子部品と上記回路基板とが接合不良と判断されたときの上記インピーダンス変化を記憶する第3記憶装置と、をさらに備え、
上記接合判断装置は、上記電子部品と上記回路基板とが接合不良と判断されたときの上記インピーダンス変化を上記表示装置に表示させるとともに上記第3記憶装置に記憶させるように構成することもできる。
【0031】
さらに本発明の第5態様の半導体部品製造方法は、超音波振動を用いて電子部品の電極と回路基板の電極部とをバンプを介して接合して半導体部品を製造する半導体部品製造方法において、
上記電極と上記電極部との接合開始から接合終了までの間における上記超音波振動の発生に関するインピーダンスの変化と、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの上記接合開始から上記接合終了までの間の良品インピーダンス変化とを比較して、上記接合の良否を判断する。
【0032】
又、上記第5態様の半導体部品製造方法において、上記超音波振動を作用させ、かつ上記バンプを挟んで上記回路基板の厚み方向に上記電子部品と上記回路基板とが接近するように移動させて互いに押圧し、
上記インピーダンスの変化と上記良品インピーダンス変化との比較に加えて、さらに、上記接合開始から上記接合終了までの間における上記電子部品と上記回路基板との変位の変化と、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの上記接合開始から上記接合終了までの間における良品変位変化との比較、及び上記接合開始から上記接合終了までの間における上記電子部品と上記回路基板との押圧力の変化と、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの上記接合開始から上記接合終了までの間における良品押圧力変化との比較の少なくとも一方を行い、上記接合の良否を判断するように構成することもできる。
【0033】
又、上記第5態様の半導体部品製造方法において、さらに、上記電子部品と上記回路基板との接合状態について上記接合中に不良と判断したときには、上記接合状態を改善させる、上記超音波振動の変更を行うように構成することもできる。
【0034】
又、上記第5態様の半導体部品製造方法において、上記超音波振動の変更のみでは上記接合状態の改善がなされないときには、上記バンプを挟んで上記回路基板の厚み方向に上記電子部品と上記回路基板とが接近するように移動させて互いに押圧するときの上記接合開始から上記接合終了までの間における上記電子部品と上記回路基板との押圧力について、上記接合状態を改善させる、上記押圧力の変更を行うように構成することもできる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように構成することで、本発明の第1態様のバンプ接合判定装置及び第2態様のバンプ接合判定方法によれば、振動減衰検出装置及び判定装置を備え、バンプと電極部又は電極との接合の進行に起因する振動の減衰を検出し、該振動減衰に基づき上記接合の良否を判定するようにしたので、接合実行中に上記接合の良否を判定することができる。
【0036】
又、本発明の第3態様の半導体部品製造装置によれば、上述の第1態様及び第2態様のバンプ接合判定装置及び方法を備えることで、電子部品と回路基板との接合の良否を接合実行中に判定することができる。
【0037】
又、本発明の第4態様の半導体部品製造装置、及び第5態様の半導体部品製造方法によれば、インピーダンス出力装置、圧力制御装置、計測装置、及び接合判断装置を備えたことで、接合中に超音波のインピーダンスや、電子部品保持部材の下降変位及び圧力をリアルタイムで測定し、上記インピーダンス、変位、又は圧力について、良品の場合の波形データと、接合中の波形データとを比較することにより、不良の接合状態を検出することができる。
【0038】
又、良否判定結果を表示する表示装置と、不良の波形データを記憶する第3記憶装置とを備えたことにより、不良品と判定された場合、当該半導体部品製造装置を停止させ、不良品の波形データを上記表示装置により表示し、不良品は取り除き、良品のみを次工程に進ませることで接合品質を向上することができる。
【0039】
又、上記接合判断装置にて、接合中に不良品と判定された場合、上記接合判断装置は、接合中の波形データをリアルタイムで監視して、上記インピーダンス出力装置へ供給する電圧を変更して超音波振動を変更し、若しくは上記圧力制御装置の圧力値を変更して、又はこれら両方を変更して接合条件を変更するようにしたことにより、不良品の発生を防止し歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態における半導体部品製造装置の一例を示す斜視図
【図2】図1に示すバンプ接合装置部分を拡大した斜視図
【図3】図1に示すボンディングステージ部分を拡大した斜視図
【図4】図1に示す制御装置の構成を示すブロック図
【図5】図1に示す制御装置へ供給されるインピーダンス値の変化を示すグラフであって良好な接合の場合におけるグラフ
【図6】図1に示す制御装置へ供給されるインピーダンス値の変化を示すグラフであって接合不良の場合の一例を示すグラフ
【図7】図1に示す半導体部品製造装置にて実行されるバンプ接合判定方法における動作を示すフローチャート
【図8】図1に示す半導体部品製造装置の他の装置構成例であってバンプ接合装置周り及びボンディングステージ周りを示す図
【図9】バンプ形状の他の例を示す図
【図10】図1に示す半導体部品製造装置の第2実施形態の装置を示す斜視図
【図11】図10に示す半導体部品製造装置に備わる振動成分電流分離器及び制御装置の接続関係を示す図
【図12】図11に示す振動成分電流分離器の等価回路図
【図13】図1に示す半導体部品製造装置の第3実施形態の装置を示す斜視図
【図14】図13に示す測長装置と半導体チップとの配置関係等を示す図
【図15】図13に示す測長装置にて測定される半導体チップの振動減衰を示すグラフ
【図16】回路基板の電極部にバンプを形成した場合を示す図
【図17】図1に示す半導体部品製造装置の第4実施形態の装置を示す斜視図
【図18】図17に示す半導体部品製造装置におけるバンプ接合装置及び制御装置部分の構成を示すブロック図
【図19】図18に示すバンプ接合装置にて接合動作を行った場合で良品接合時の超音波インピーダンス波形を示すグラフ
【図20】図18に示すバンプ接合装置にて接合動作を行った場合で良品接合時のVCMのコイルに流れる電流波形を示すグラフ
【図21】図18に示すバンプ接合装置にて接合動作を行った場合で良品接合時のノズルの下降移動量を示すグラフ
【図22】図18に示すバンプ接合装置にて接合動作を行った場合で不良品接合時の超音波インピーダンス波形を示すグラフ
【図23】図18に示すバンプ接合装置にて接合動作を行った場合で不良品接合時のVCMのコイルに流れる電流波形を示すグラフ
【図24】図18に示すバンプ接合装置にて接合動作を行った場合で不良品接合時のノズルの下降移動量を示すグラフ
【図25】図17に示す半導体部品製造装置において接合動作を実行したときの接合良否判定動作のフローチャート
【図26】図25に示す接合良否判定動作の変形例における動作フローチャートであって、インピーダンス波形を判定対象とする場合の動作フローチャート
【図27】図25に示す接合良否判定動作の変形例における動作フローチャートであって、電流波形を判定対象とする場合の動作フローチャート
【図28】図25に示す接合良否判定動作の変形例における動作フローチャートであって、位置波形を判定対象とする場合の動作フローチャート
【図29】図25に示す接合良否判定動作の変形例における動作フローチャートであって、インピーダンス波形、電流波形、及び位置波形を判定対象とする場合の動作フローチャート
【図30】従来の半導体部品製造装置の一例を示す斜視図
【図31】バンプ接合装置において半導体チップの保持部分及び振動発生装置部分を示す図
【図32】電子部品に形成されているバンプの形状を示す図
【図33】押しつぶされたバンプが接合完了接触面積に達した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0042】
本発明の実施形態における、バンプ接合判定装置、該バンプ接合判定装置にて実行されるバンプ接合判定方法、上記バンプ接合判定装置を備えた半導体部品製造装置、及び該半導体部品製造装置にて実行される半導体部品製造方法について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において同じ構成部分については同じ符号を付している。
【0043】
又、上記「発明の開示」に記載した、「電子部品」の一例として本実施形態では、シリコンウエハ等の半導体基板上に集積回路を形成し該集積回路の電極にバンプが形成され、さらに個々の上記集積回路部分に切り分けられた半導体チップを例に採る。しかしながら上記電子部品は上記半導体チップに限定されるものではなく、例えば上記半導体チップが樹脂封止されたチップ部品であってその電極にバンプが形成されたような半導体チップ等であっても良い。
【0044】
又、上記「発明の開示」に記載した、「振動減衰検出装置」の機能を果たす一例として、下記の、第2実施形態においては振動成分電流分離器が相当し、第3実施形態においては測長装置が相当するが、これらに限定されるものではない。
又、上記「発明の開示」に記載した、「判定装置」の機能を果たす一例として、下記の第2実施形態及び第3実施形態においては制御装置が相当するが、これに限定されるものではない。
又、上記「発明の開示」に記載した、「振動発生装置」の機能を果たす一例として本実施形態ではバンプ接合装置105に備わり圧電素子91を有する超音波振動発生装置9が相当するが、これに限定されるものではない。
【0045】
さらに振動について、上記バンプと回路基板の電極部との間に摩擦熱が発生しボンディングステージによる上記回路基板の加熱温度を低下させることができるような振動であれば良く、上記超音波振動に限定されるものではない。又、振幅値としては、最低約0.5μm程度である。
【0046】
又、以下に説明する各実施形態では、バンプは上記電子部品に形成されており該バンプを回路基板上の電極部へ接合して半導体部品を製造する場合を例に採るが、本発明の実施形態におけるバンプ接合判定装置及び方法、並びに半導体部品製造装置は、これに限定されるものではない。つまり、本発明の実施形態におけるバンプ接合判定装置及び方法、並びに半導体部品製造装置は、上述の場合とは逆の場合、つまり図16に示すように回路基板20上の電極部21にバンプ11を形成した場合を含めて、電子部品及び回路基板のいずれか一方に形成されたバンプと、いずれか他方における電極箇所とを接合させて半導体部品を製造するときに適用可能である。
【0047】
第1実施形態;
図1に示すように、上記実施形態のバンプ接合判定装置を有する半導体部品製造装置101の構造は、基本的に上述した半導体部品製造装置1の構造に類似するが、半導体部品製造装置101では詳細後述するバンプ接合判定方法を実行させる制御装置110を備えた点が特徴となる。即ち、半導体部品製造装置101は、大別して、部品供給装置102、ボンディングステージ103、部品反転装置104、バンプ接合装置105、回路基板搬送装置106、及び制御装置110を備える。ここで、上記部品供給装置102は上述した従来の部品供給装置2に相当し、上記ボンディングステージ103は上述した従来のボンディングステージ3に相当し、上記部品反転装置104は上述した従来の部品反転装置4に相当し、上記バンプ接合装置105は上述した従来のバンプ接合装置5に相当し、上記回路基板搬送装置106は上述した従来の回路基板搬送装置6に相当する。よって、部品供給装置102、ボンディングステージ103、部品反転装置104、バンプ接合装置105、及び回路基板搬送装置106について、以下に示すように補足説明を加えるものを除き、ここでの詳しい説明は省略する。
【0048】
上記部品供給装置102には、上述のように半導体ウエハに形成された集積回路の電極13にバンプ11が形成され、さらに個々の集積回路部分にスクライブされた状態のウエハ112がマガジンリフタ111から供給される。部品供給装置102は、ウエハ112のいわゆる引き延ばしを行い個々の上記半導体チップに分割する。又、部品供給装置102に供給されたウエハ112及び個々の上記半導体チップの状態は、部品供給装置102の上方に設置されたウエハ認識装置113にて撮像され、その撮像情報は制御装置110に供給される。尚、上述のように本実施形態では、電子部品として上記半導体チップを例に採っているので、このような形態の部品供給装置102を備えるが、処理する電子部品の形態が異なればそれに対応して当然に部品供給装置の形態も変更されることになる。
【0049】
尚、上記ウエハ112では、当然に、上記バンプを有する回路形成部分が上を向いている。そして、分割された上記半導体チップのそれぞれは、部品供給装置102に備わる突き上げ装置120にて上記半導体チップの厚み方向に突き上げられた後、部品反転装置104にて一つずつ保持され、上記バンプが回路基板20の電極部21に対向するように反転される。
【0050】
尚、本実施形態において、上記ウエハ112は、強誘電体と呼ばれる、基板がLiTaO3やLiNbO3等にてなるもので、上記バンプの材料は金である。
上記ボンディングステージ103は、図3に示すように、いわゆるボールねじ構造にてなり駆動部としてのモータ114を有するY軸ロボット107にて、Y方向へ滑動する。又、ボンディングステージ103は、回路基板搬送装置106から供給される回路基板20の大きさに応じて、該回路基板20をボンディングステージ103上に載置するため、上記回路基板20のY方向に沿った周縁部分を保持しX方向に可動な基板規正部115と、上記回路基板20のX方向に沿った周縁部分を保持しY方向に可動な基板規正部116とを備える。又、上記ボンディングステージ103には、上記回路基板20を吸着保持するための吸入用通路が形成されており上記吸入用通路は吸引装置117に連通している。又、バンプ接合のために上記回路基板20を約150℃に加熱する加熱装置118が備わる。
【0051】
バンプ接合装置105は、図31を参照して上述したように、下端部分に超音波振動発生装置9及び上記半導体チップ保持用であって電子部品保持部材の機能を果たす一例としてのノズル93を備える。上記超音波振動発生装置9を構成する圧電素子91は、発振器133を介して制御装置110に接続され、詳細後述するが制御装置110は圧電素子91におけるインピーダンスの変化を検出することで上記バンプ12と上記電極部21との接合の良否を判定する。
【0052】
さらに、図31に示すように上記ノズル93には、本実施形態では上記半導体チップ150を吸着保持するための吸引用通路94がノズル93内をその軸方向に沿って形成させており、該吸引用通路94は吸引装置119に連通している。尚、半導体チップ150の保持方法としては、上述の吸着動作に限定されるものではなく、例えば機械的に保持するように構成することもできる。又、本実施形態では、上記バンプ11と上記回路基板20の電極部21とを接合するため、上記電極部21に対して上記バンプ11を対向させてバンプ11と上記電極部21とが互いに近接する方向(本実施形態では、Z方向)へ上記半導体チップ150を移動し、バンプ11と上記電極部21とを押圧する。よって、上記半導体チップ150を移動、押圧の駆動装置として本実施形態では、図2に示すように、公知のボイスコイルモータ(VCM)121を用いている。さらにバンプ接合装置105には、ノズル93をその軸周り方向へ回転させる軸回り用モータ122を備えている。バンプ接合装置105の動作制御は制御装置110にて行われる。
このようなバンプ接合装置105をX軸方向へ移動させるX軸ロボット108は、本実施形態では図2に示すようにいわゆるボールねじ構造を有し、駆動部としてのモータ123を有する。
【0053】
上記制御装置110は、上述したそれぞれの装置、例えば部品供給装置102、ボンディングステージ103、部品反転装置104、ボイスコイルモータ121及び圧電素子91を含めたバンプ接合装置105、回路基板搬送装置106等と電気的に接続され、それぞれの動作制御を行う。尚、本実施形態では制御装置110は、半導体部品製造装置101の全体にて一つ設けられ、例えばバンプ接合動作の制御等を行うが、もちろん、例えばバンプ接合装置105に備わりバンプ接合の良否を判定するバンプ接合判定動作の制御を行うように、それぞれの装置に対応して個々に制御装置を設けることもできる。
【0054】
以下には、本実施形態にて特徴的な制御動作であり制御装置110にて実行されるバンプ接合の良否判定動作制御について、図7を参照して詳しく説明する。尚、その他の装置に対する制御装置110の動作制御については従来と同様であるので、ここでの説明を省略する。
図7のステップ(図では「S」にて示す)1にて、制御装置110は、上記X軸ロボット108及びY軸ロボット107の動作制御を行い、接合すべき上記電極部21に対向してバンプ11を配置した後、ステップ2にて、上記ボイスコイルモータ121を駆動してバンプ11と上記電極部21とを接触させ、バンプ11を電極部21へ押圧していき図33に示すバンプ12の形状とする。ステップ3では、バンプ12の状態になった時点で超音波振動発生装置9を動作させることでバンプ12に超音波振動を作用させる。尚、このときバンプ12はさらにつぶれるほど押圧されず、そのままの形状を維持する。このようなバンプ12への上記超音波振動は、上記発振器133から圧電素子91へ電流、電圧を供給することで発生する。又、バンプ12へ作用する上記超音波振動は、本実施形態では、超音波振動発生装置9の圧電素子91にて発生する周波数60KHzの超音波振動であり、これにてノズル93の半導体チップ150の保持部分において1〜2μmの振幅が得られる。
【0055】
上記超音波振動をバンプ12へ作用させる期間中、発振器133は圧電素子91に対して一定の電流、電圧を供給しようとするが、回路基板20の加熱、及び上記超音波振動の作用による摩擦熱の発生によりバンプ12は徐々に上記電極部21へ固着していくので、それにつれてバンプ12は徐々に振動しにくくなる。このようにバンプ12が振動しにくくなることは、圧電素子91の振動を抑制することになり、その結果、発振器133から圧電素子91へ供給される電流値が徐々に低下していく。一方、圧電素子91へ印加される電圧は理論上一定であることから、圧電素子91におけるインピーダンス値は、オームの法則に従い、バンプ12が徐々に振動しにくくなるにつれて即ちバンプ12の電極部21への接合が進むにつれて、徐々に上昇することになる。
【0056】
本実施形態では、制御装置110は、ステップ4にて、発振器133から圧電素子91へ供給される電流値の変化を検出することで、上記インピーダンス値の変化を求めて、ステップ5にて該インピーダンス値の変化に基づきバンプ12と電極部21との接合の良否を判定するようにした。
【0057】
より具体的に説明する。制御装置110には、機能的に図4に示すように振動減衰検出装置140及び判定装置141を備える。本実施形態における振動減衰検出装置140は、上述のように上記発振器133から圧電素子91へ供給される電流値に基づき圧電素子91におけるインピーダンス値の変化を検出することで、バンプ12の振動の減衰を検出する。上記判定装置141は、上記振動減衰検出装置140にて検出された上記振動減衰に基づきバンプ12と電極部21との接合の良否を判定する。
【0058】
該判定動作についてより詳しく説明する。尚、以下に説明する判定動作は、下記の本実施形態における条件下におけるものである。よって、該条件が変化するときには、以下に記載する具体的数値は変更されるものであるが、本実施形態における技術的思想は適用可能である。本実施形態にて用いる半導体チップ150には、金にてなるバンプ11が合計20個形成されており、又、該バンプ11が押圧される上記電極部21も金にてなる。又、バンプ接合装置105のノズル93はステンレス製であり、吸着動作にて半導体チップ150を保持する。さらに、上記半導体チップ150は、強誘電体と呼ばれる、基板がLiTaO3やLiNbO3等にてなるものである。又、バンプ12の形状に成形されたとき、半導体チップ150には2000gの荷重がかけられている。
【0059】
図5にグラフ142にて示すように上記インピーダンス値は変化する。つまり、バンプ12へ超音波振動を作用し始めた時刻t1におけるインピーダンス値は約15オームであり、バンプ12と電極部21との接合が完了したと判断できる時刻t2におけるインピーダンス値は約40オームである。又、本実施形態では、上記時刻t1から上記時刻t2までの時間は、約0.1〜0.2秒である。さらに上記接合が完了することで上記インピーダンス値は平衡値が維持される。
【0060】
このようなことから、判定装置141において、バンプ12と電極部21とが良好に接合したと判断する条件として、本実施形態では、バンプ12へ超音波振動の作用を開始したときからの時間経過につれて上記インピーダンス値が増加し、かつ上記作用開始時から接合必要時間が経過した時点にて上記インピーダンス値が平衡値に達し、かつ上記接合必要時間経過時から安定時間にて上記平衡値を維持することと定め、これらすべての条件が満たされたときに上記接合が良好であると判断する。
【0061】
ここで、上記接合必要時間とは、バンプ12へ超音波振動を作用させてからバンプ12と電極部21とが良好に接合するために必要な時間であり、以下に説明するように種々の条件により変動する時間であり、上記接合必要時間と上記安定時間とを加算した合計時間の1/3〜2/3に相当する時間である。具体的に本実施形態では上記時刻t1から時刻t2までに相当する。このような接合必要時間は、半導体チップ150に設けられているバンプ数やバンプ寸法、バンプ押圧力、加熱温度等により変化するものであるので、実際には予め実験等によって測定し決定しておく時間である。又、上記「良好な接合」とは、回路基板20の電極部21とバンプ12との接合強度が半導体チップ150の電極13とバンプ12との接合強度に比べて同等若しくはそれ以上の接合状態を得られる場合をいう。例えば、直径が100μm程度のバンプ12の場合、60〜70g/バンプの接合強度があれば上記良好な接合と言える。
【0062】
又、上記安定時間は、図5に示す時刻t2から時刻t3までに相当し本実施形態では0.1秒に設定している。
又、上記平衡値は、上述のように予め実験等によって上記接合必要時間を求める際に同時に測定し決定しておく値であり、上記平衡値に達したとの判断は、上述のようにして予め定めた平衡値のほぼ1割以内に上記インピーダンス値が含まれたことで判断する。本実施形態の場合、上記平衡値は上記40オームであり、40±3オーム内に上記インピーダンス値が含まれたときに平衡値に達したと判断するように設定している。
【0063】
尚、上記グラフ142は、上記インピーダンス変化を概略的に図示したものであり、実際にはインピーダンス値は微小に変化しながらグラフ142に示すように変化する。又、上記グラフ142では、時刻t1から時刻t2までほぼ直線的にインピーダンス値が増加しており増加変化率が一定の場合を示しているが、これに限定されず、例えばグラフ143に示すように上記増加変化率が変動する場合であっても良い。
【0064】
又、上記インピーダンス値が上記接合必要時間内に上記平衡値に達し以後該平衡値を維持したとしても、接合終了後も不必要に超音波エネルギーを印加し続けることは接合部に過度のエネルギーを作用させることになり接合部を劣化させる。したがって、本実施形態では、上述したように上記接合必要時間と上記安定時間とを加算した上記合計時間の1/3〜2/3に相当する時間を上記接合必要時間とし、上記合計時間の残りの時間を上記安定時間としている。
上述したような判定基準から、例えば図6に示すグラフ144のように、上記インピーダンス値が上記安定時間の間、平衡値を維持しないような場合には、判定装置141は、良好な接合ができていないと判断する。
【0065】
尚、本実施形態では、押圧動作のために半導体チップ150を移動させる駆動装置として上述のようにボイスコイルモータ121を使用しているが、これに限定されるものではなく、例えばいわゆるボールねじ構造とすることもできる。
上述のように構成される半導体部品製造装置101における動作について以下に説明する。
【0066】
回路基板搬送装置106にて回路基板20がボンディングステージ103に供給され、ボンディングステージ103上に吸着されながら加熱される。一方、マガジンリフタ装置111から部品供給装置102へ上記ウエハ112が移載され、部品供給装置102にてウエハ112の引き延ばしが行われる。そして、部品反転装置104が一つずつ半導体チップ150を部品供給装置102から保持し、反転する。次に、X軸ロボット108を駆動してバンプ接合装置105を部品反転装置104に対応する場所まで移動して、バンプ接合装置105のノズル93にて上記反転された半導体チップ150を保持する。保持後、再びX軸ロボット108が駆動され、バンプ接合装置105はボンディングステージ103の上方まで移動する。次に、X軸ロボット108及びY軸ロボット107を駆動して、ボンディングステージ103に保持されている回路基板20上で、半導体チップ150を接合すべき箇所にて、半導体チップ150のバンプ11と上記電極部21とが対応するように配置される。以後、バンプ12と電極部21との上述した接合動作が行われるとともに、制御装置110にて上記接合の良否判定が行われる。
【0067】
回路基板20上に接合すべきすべての半導体チップ150の接合が終了した後、ボンディングステージ103は回路基板搬送装置106へ移動され、回路基板搬送装置106はボンディングステージ103から回路基板20を次工程へ搬送する。このとき、上記接合が不良と判断された半導体チップ150を含む回路基板20は、良品から区別され廃棄等の処理が取られる。
【0068】
以上説明したように本実施形態のバンプ接合判定装置及びバンプ接合判定方法によれば、制御装置110にて接合時における圧電素子91のインピーダンス値を測定し該インピーダンス値の変化に基づきバンプ12と電極部21との接合の良否判定を行うことから、接合実行中に上記接合の良否を判定することができる。
【0069】
尚、上述の実施形態では、バンプ11と上記電極部21との押圧のためバンプ11を回路基板20へ移動させたが、これに限定されるものではない。例えば図8に示すように、バンプ接合時においてバンプ接合装置205を固定しておき上記回路基板20を載置したボンディングステージ203をバンプ接合装置205へ移動させてもよい。その移動用の駆動装置としては、例えば上述したようなボイスコイルモータ221を使用し、上述のように該ボイスコイルモータ221へ供給する電流値にて移動量を制御しても良い。要するにバンプ接合時においてバンプ11と電極部21とを相対的に移動させれば良い。尚、図8において、符号207はY軸ロボットを示し、符号208はX軸ロボットを示す。
【0070】
又、超音波振動をノズル93に作用させたが、これに限定されるものではなく、図8に示すように回路基板20側を超音波振動発生装置209にて超音波振動させてもよい。要するに、バンプ11と回路基板20とを相対的に振動させれば良い。
【0071】
又、上述の実施形態では、半導体チップ150に形成されているバンプ11は、図32に示すような形状にてなる場合を例に採るが、このようなバンプ11に限定されるものではなく、例えば図9に示すような頂点部分250が複数存在するようなバンプにも適用可能である。
【0072】
第2実施形態;
上述の第1実施形態では、バンプ12と電極部21との接合の進行に起因する半導体チップ150の振動の減衰について圧電素子91のインピーダンス値の変化を検出して、制御装置110にて上記インピーダンス値の変化に基づき上記接合の良否を判定したが、上記振動の減衰を測定する方法としてはこれに限定されるものではない。
【0073】
例えば、図10〜図12に示す半導体部品製造装置301のように、制御装置310と振動成分電流分離器311とを備え、振動成分電流分離器311にて超音波振動発生装置9の発振素子91へ供給される電流を振動成分電流と熱成分電流とに分離して制御装置310にて上記振動成分電流に基づき上記発振素子91におけるインピーダンスを測定し上記接合の良否を判定するようしてもよい。尚、上記半導体部品製造装置301は、半導体部品製造装置101における制御装置110に代えて制御装置310を設け、さらに上記振動成分電流分離器311を備えた構成であり、これ以外の構成については半導体部品製造装置101における構成と変わるところはない。
【0074】
上記振動成分電流分離器311は、図12の等価回路にて示される構成をなし、コンデンサ312部分の振動成分電流分離部と、コイル313部分、コンデンサ314部分、抵抗315部分から構成される熱成分、即ち損失成分の電流分離部とを有し、上記振動成分電流分離部にて分離された上記振動成分電流のみを制御装置310へ送出する。本実施形態では、上記コンデンサ312は、1.22712nFであり、上記コイル313は20.9407mHであり、上記コンデンサ314は295.144pFであり、上記抵抗315は10.6797Ωに設定している。尚、このように振動成分電流及び損失成分電流を分離する動作及び構成は、既に公知であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0075】
このように振動成分電流分離器311及び制御装置310を備え、第1実施形態の場合のように発振器133を介さず、発振素子91の振動成分電流のみを直接に検出して、該振動成分電流に基づき上記接合の良否を判定することから、上述の第1実施形態に比べてより高い精度にて上記接合の良否を判定することができる。
尚、半導体部品製造装置301のその他の動作は、上述した半導体部品製造装置101における動作と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0076】
第3実施形態;
上述の第1実施形態では、バンプ12と電極部21との接合の進行に起因する半導体チップ150の振動の減衰について圧電素子91のインピーダンス値の変化を検出して、制御装置110にて上記インピーダンス値の変化に基づき上記接合の良否を判定したが、上記振動の減衰を測定する方法としてはこれに限定されるものではない。
【0077】
例えば、図13に示す半導体部品製造装置401のように、測長装置411及び制御装置410を備え、測長装置411にて例えば半導体チップ150における振動を直接に測定し、該測定情報に基づき制御装置410にて上記接合の良否を判断するように構成することもできる。尚、上記半導体部品製造装置401は、半導体部品製造装置101における制御装置110に代えて制御装置410を設け、さらに上記測長装置411を備えた構成であり、これ以外の構成については半導体部品製造装置101における構成と変わるところはない。
【0078】
第3実施形態では、上記測長装置411は、図14に示すように、レーザ光を半導体チップ150における振動測定面151に対して直角に照射し、反射してきたレーザ光を受光することで、半導体チップ150の振動の減衰を直接に測定する。このような測長装置411は、レーザ光の光軸と、圧電素子91の積層方向とが同方向、本実施形態ではY方向に沿うように、配置される。又、測長装置411にて測定される上記振動減衰は、図15に示すグラフ412のような変化を示す。
【0079】
制御装置410は、測長装置411から供給されるグラフ412のような変化を示す振動減衰情報に基づき、上述の制御装置110における上記判定装置141の場合同様に以下のように判定動作を行う。
即ち、バンプ12へ超音波振動の作用を開始したときからの時間経過につれて半導体チップ150の振動が減少すること、上記作用開始時から上記接合必要時間が経過した時点にて振動値が平衡値に達すること、上記接合必要時間経過時から安定時間にて上記平衡値を維持することのこれらすべての条件が満たされたときに、上記制御装置410は上記接合が良好であると判断する。
【0080】
尚、本実施形態では上述のように上記レーザ光を半導体チップ150に照射した。このようにバンプ12が形成されている半導体チップ150の振動を測定するのが最も好ましいが、半導体チップ150の厚みは本例の場合0.35mmであり、振動測定面151に対して直角にレーザ光を照射するのが難しい場合がある。このような場合には、図14に示すように、ノズル93における半導体チップ保持部分の側面95や、超音波ホーン92の側面96に対して直角にレーザ光を照射するように構成してもよい。
このような第3実施形態におけるバンプ接合判定装置であっても、接合実行中に上記接合の良否を判定することができる。
尚、半導体部品製造装置401のその他の動作は、上述した半導体部品製造装置101における動作と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0081】
第4実施形態;
本第4実施形態は、上述した第1実施形態の半導体部品製造装置101の変形例であり、図17に当該第4実施形態の半導体部品製造装置501の構成を示す。
当該半導体部品製造装置501の構成は、半導体部品製造装置101の構成に類似しており、半導体部品製造装置101の制御装置110に代えて制御装置510を設け、バンプ接合装置105に代えてバンプ接合装置505を設けている。半導体部品製造装置501におけるその他の構成については、半導体部品製造装置101の構成と変わるところはない。よって、以下には、バンプ接合装置505及び制御装置510について説明し、その他の構成部分についての説明は省略する。
【0082】
バンプ接合装置505及び制御装置510の制御構成を図18に示す。図18において、121は上述したボイスコイルモータ(以下、「VCM」と記す場合もある)であり、93は、部品保持部材の機能を果たす一例であり、上記半導体チップ150を吸着するノズルである。9は、上述したように圧電素子91を有する超音波振動発生装置であり、回路基板20上に半導体チップ150が載置されたとき、インピーダンス出力装置の機能を実行する一例としての超音波発振器133からの指示により超音波振動を発生して回路基板20と半導体チップ150とを接合する。521はVCM121の内部に取り付けられており、計測装置の機能を実行する一例であるリニアセンサであり、ノズル93の上下方向への移動における現在位置を計測するためのものである。522は、ノズル圧力制御装置の機能を実行する一例としてのVCM121のドライバである。VCMドライバ522には、上記リニアセンサ521からノズル93の位置情報537が供給され、VCMドライバ522は、ノズル93の位置及び速度、並びにVCM121へ供給する電流のフィードバック制御を実行する。尚、上記電流のフィードバック制御によりバンプ11を介して半導体チップ150が回路基板20上に圧力制御されて押圧される。133は上述した超音波発振器であり、バンプ11を介して行われる半導体チップ150と回路基板20との接合中において上記超音波振動発生装置9におけるインピーダンスを送出する。523はA/D変換器であり、本実施形態では、超音波発振器133が送出するインピーダンス信号524、VCMドライバ522が送出する電流信号525、及びVCMドライバ522が送出する現在位置信号526の各アナログ信号をディジタル信号に変換する。ここで、上記電流信号525は、バンプ11を介して行われる回路基板20への半導体チップ150の押圧力に関する情報を表している。尚、本実施形態では、後述のように、インピーダンス、上記電流信号に基づく押圧力、及び上記位置信号に基づく変位量の3つに基づいて半導体チップ150と回路基板20との接合の良否を判断することから、A/D変換器523は、上記3つの情報についてA/D変換を行うが、上記インピーダンスのみに基づいて上記接合の良否を判断することもできるので、最低限、上記インピーダンス信号524についてA/D変換を行えば良い。527は、第1記憶装置の機能を実行する一例としての先入れ先出しメモリ(以下、「FIFO」と記す)であり、A/D変換器523で逐次変換された、インピーダンス信号524、上記電流信号525、上記現在位置信号526のディジタル信号を一時的に格納する。528は、バンプ11を介して行われる半導体チップ150と回路基板20との接合が良好に行われた良品の場合における、上記インピーダンス信号524、上記電流信号525、及び上記現在位置信号526のディジタル化された波形データが格納されている、第2記憶装置の機能を実行する一例としての第2メモリである。又、該第2メモリ528には、各種の半導体チップ150毎、回路基板20毎に良品波形データを格納しており、現在使用中の半導体チップ150及び回路基板20に対応した良品波形データが読み出される。529は、バンプ11を介して行われる半導体チップ150と回路基板20との接合が不良であったときの、上記インピーダンス信号524、上記電流信号525、及び上記現在位置信号526のディジタル化された波形データを格納する、第3記憶装置の機能を実行する一例としての第3メモリである。このように本実施形態では、第3メモリ529は、上記3つの波形データを記憶するが、最低限、インピーダンス信号524のディジタル信号を格納すればよい。530はVCMドライバ522、超音波発振器133等の動作制御を行いバンプ接合動作を制御する中央演算処理装置(以下、「CPU」と記す)であり、接合判断装置の機能を実行する一例に相当する。尚、接合判断動作については、以下の動作説明にて詳しく説明する。又、本実施形態では、上述の、FIFO527、第2メモリ528、第3メモリ529、及びCPU530は、上記制御装置510に含まれている。
531は表示装置である。
【0083】
次に、このように構成されるバンプ接合装置505及び制御装置510にて実行される動作について、特に上記接合判断動作について、図18〜図25を参照して説明する。
まず、半導体チップ150を吸着したノズル93は、VCM121によって回路基板20の上面まで下降する。半導体チップ150が回路基板20に接触する直前、即ちバンプ11が回路基板20の電極部21に接触した時点で、VCMドライバ522は、CPU530からの指令信号532によって、位置制御方式から電流制御方式に切り替えられ、VCM121のコイルに一定の電流536を流すことにより、予め設定された圧力の制御を実行する。同時に、CPU530は超音波発振信号533を超音波発振器133へ送出して、半導体チップ150の電極13に形成されているバンプ11と、回路基板20の電極部21との接合を開始する。即ち、上記超音波発振信号533の供給により、超音波発振器133は、超音波振動発生装置9に60kHz〜70kHzのSIN波の電圧534を加えることにより、ノズル93の先端に吸着された半導体チップ150を振動させることができる。又、超音波発振器133は発振中に超音波振動発生装置9からフィードバックされる電流535と上記SIN波の電圧534とに基づいて、インピーダンスを求めて、超音波インピーダンス信号524としてA/D変換器523へ出力する。
【0084】
接合中、A/D変換器523によって、インピーダンス信号524や電流信号525、現在位置信号526をディジタル信号に変換し、変換されたこれら3つのディジタル信号は、逐次、FIFO527に格納され、FIFO527からCPU530へ供給される。よって、CPU530は、図19〜図21に示す各波形情報を得ることができる。尚、図19〜図21には、接合開始から接合終了までの各波形情報が図示されているが、CPU530は、接合進行中、接合動作開始時点からリアルタイムにて上記各波形情報を得る。
【0085】
ここで、図19は、良好な接合の場合における接合開始から接合終了までの、時間経過と超音波インピーダンスとの関係を示す波形データを示す。該波形データから分かるように、半導体チップ150のバンプ11が回路基板20に接触し、超音波振動を与えると、始めは、半導体チップ150のバンプ11と回路基板20の電極部21とが接合していないため、超音波振動発生装置9における負荷が軽くインピーダンスも小さい。一方、しだいに接合してくると上記負荷が重くなりインピーダンスも大きくなる。一定の時間が経過すると、インピーダンスも変化しなくなる。図20は、良好な接合の場合における接合開始から接合終了までの、時間経過とVCM121のコイルに流れる電流との関係を示す波形データを示す。該波形データに示すように、VCM121のコイルに流れる電流は、接合開始においては小さくし、徐々に大きくするという指令を、CPU530はVCMドライバ522に送出している。図21は、良好な接合の場合における接合開始から接合終了までの、時間経過とノズル93の下降移動量との関係を示す波形データを示す。該波形データから分かるように、ノズル93の下降移動量は、接合中、徐々に下降し、接合が完了すればそれ以上、下降しないので一定になる。
【0086】
一方、図22〜図24には、接合不良の場合における接合開始から接合終了までの、時間経過と超音波インピーダンスとの関係を示す波形データ、時間経過とVCM121のコイルに流れる電流との関係を示す波形データ、時間経過とノズル93の下降移動量との関係を示す波形データがそれぞれ示されている。図22に示す超音波インピーダンス波形では、始めは、半導体チップ150のバンプ11と回路基板20の電極部21とが接合していないため、超音波振動発生装置9における負荷が軽くインピーダンスも小さい。図19に示す良品の場合と比べると、不良品の場合には時間が経過してもインピーダンスは少しずつしか増加せず、一定時間が経過しても、インピーダンスは変化し続ける。よって接合不良とみなせる。図23に示すVCM121のコイルに流れる電流波形では、図20に示す良品の場合に比べて、不良品の場合には指令値に対して突発的な波形が観測される場合があり、該突発的な波形は半導体チップ150のバンプ11が何らかの原因でつぶれた可能性を示している。よって接合不良とみなせる。又、図24に示すノズル93の下降移動量の波形によれば、接合中は徐々に下降しているが、接合が完了しても、設定された移動量よりも小さい。このような場合、接合不良とみなせる。
【0087】
このように本実施形態では、3種の波形データから接合の良否を判断するが、接合の良否を最も的確に検出するのは上記インピーダンス変化であることから、最低限、インピーダンス変化を判定することで、接合の良否を判断するようにしてもよい。
【0088】
次に、図25に示す動作フローチャートを参照して、上記接合中におけるバンプ接合装置505及び制御装置510の接合判定動作について説明する。
接合を開始すると、CPU530は、ステップ#51でVCM121の制御方式を位置フィードバック制御から電流フィードバック制御方式に切り換えて、ステップ#52にて超音波発振器133をONにして超音波振動発生装置9を動作させ、超音波振動を発振させる。予め接合時間として設定しているt[ms]時間が経過するまでの間にて、以下のステップ#54〜ステップ#56の処理が実行されるが、ステップ#53では、上記接合時間の経過の有無が判断される。
【0089】
上記接合時間が経過していない場合における、ステップ#54では、上述したように、A/D変換器523から送出された、接合動作中のサンプリング時刻における、インピーダンス信号524、電流信号525、及び現在位置信号526のディジタル変換信号がFIFO527に送出される。ステップ#55では、FIFO527に格納された各波形データのノイズ成分を除去するためにフィルタリング処理が実行される。ステップ#56では、CPU530は、予め第2メモリ528に記憶されている、接合動作開始時刻から当該サンプリング時刻までにおいて、図19〜図21に示すような良品波形データと、FIFO527から供給された上記フィルタリング処理された3つの波形データとについて、本実施形態ではそれら全てについて比較を行う。上述のように第2メモリ528には、各種の半導体チップ150や回路基板20毎に、上記インピーダンス、上記電流、及び上記ノズル移動量の3つの波形データが格納されているので、CPU530は現在使用中の半導体チップ150や回路基板20に対応した上記3つの波形データを読み出す。そしてCPU530は、上記3つの波形データのそれぞれの差の絶対値の全てが、予め設定されているそれぞれの許容値を超えるときには、接合不良と見なしステップ#57に進み、当該バンプ接合装置505を停止させる。一方、上記3つの波形データのそれぞれの差の絶対値のいずれか一つでも上記許容値以下であるときには、ステップ#53に移行する。そして、上記接合時間t[ms]時間が経過していなければ、再度、接合良否判定のためのサンプリングを行い、ステップ#54からステップ#56を実行する。一方、上記接合時間t[ms]時間が経過したときには、次工程へ進む。
【0090】
尚、本実施形態のように上記3つの波形データの全てについて比較を行いこれら3つのデータの全てが許容値を超えるのときに接合不良とみなす代わりに、以下のように動作してもよい。つまり、上記3つのデータのいずれか一つが許容値を超えるときには接合不良とみなし、上記3つのデータの全てが許容値以下のときにのみ接合良好とみなしてもよい。さらに又、上記3つの波形データの内、いずれか一つについてのみ、上記接合良否判断を行ってもよい。このとき、上述のように上記インピーダンス信号がより的確に接合良否を表すことから、インピーダンス信号について接合良否判断を行うのが、好ましい。又、上記インピーダンス信号と上記現在位置信号とについて、又は上記インピーダンス信号と上記電流信号とについて、接合良否判断を行い、両者の内、少なくとも一方にて接合不良とみなされたときには接合不良と判断するようにしてもよい。あるいはまた、上記3つの波形データについて順次上記接合良否判断を行い、接合不良が見つかった時点で、接合不良と判断するようにしてもよい。この場合、まず最初に、上記インピーダンス信号について良否判断を行うのが好ましい。
【0091】
次のステップ#58では、CPU530は、本実施形態では上述の3つの不良波形データを第3メモリ529に格納し、ステップ#59にて、該不良波形データを表示装置531に表示する。同時に、ブザー538をON、停止のランプ539を点灯して、作業者に接合不良が発生したことを通知する。
上述した動作にて、例えば半導体チップ150の電極13に設けたバンプ11と回路基板20の電極部21との接合中に超音波振動発生装置9におけるインピーダンスやVCM121へ供給する電流、ノズル93の下降移動量を計測し、それらの波形データを良品波形データと比較することによって、不良品は取り除き、良品のみを次工程に進ませることで接合品質を向上することができる。
さらに、又、上述した動作の変形例として、図26〜図29に示す接合判定動作を行わせることもできる。尚、図26〜図29において、図25に示す動作と同じ動作については同じステップ番号を付し、ここでの説明を省略する。
【0092】
図26〜図29に示す動作は、半導体チップ150の電極13に形成されているバンプ11と、回路基板20の電極部21との接合中に、該接合不良を検出したときには、良好な接合となるように接合条件を変更するようにし、さらに、上述した接合時間t[ms]内での接合良否判断に加えて上記接合条件変更の回数nによっても接合良否判断を行うようにした。以下に詳しく説明する。
【0093】
図26において、上述のステップ#52とステップ#53との間にステップ#60を設け、該ステップ#60では、上記接合条件変更回数nの初期値をゼロにリセットする。
上述のステップ#55の次のステップ#61では、上記接合中にて、CPU530は、FIFO527から送出され上記フィルタリング処理がなされた上記インピーダンス波形データと、第2メモリ528から読み出した良品インピーダンス波形データとを比較する。そして、その差の絶対値が予め設定された許容値を超えるときには、ステップ#64に進む。ステップ#64では、CPU530は、当該サンプリング時刻においては不良になりつつあるバンプ11と電極部21との接合状態が良好に転じるように、超音波発振器133に対して超音波振動発生装置9への超音波出力電圧を大きく又は小さくして、接合条件の変更を行う。このようにステップ#64にて1回、接合条件を変更したことから、ステップ#65にて、上記接合条件変更回数nに1を加える。そしてステップ#68では、上記接合条件変更回数nが予め設定している設定回数を超えるか否かが判断され、超えていなければステップ#53に戻る。ステップ#53では上述した動作が行われる。一方、上記設定回数を超えている場合、つまり上記設定回数にわたり修復を試みたが接合状態が改善されない場合には、修復不可能と判断して、上述したステップ#58に進む。
【0094】
又、上述したインピーダンス波形に基づいた接合判断に代えて、図27に示すように、上記電流波形データに基づいて接合判断を行っても良い。つまり、上記ステップ#55の次工程としてステップ#62へ移行する。ステップ#62では、上記接合中にて、CPU530は、FIFO527から送出され上記フィルタリング処理がなされた上記電流波形データ、即ち半導体チップ150の回路基板20への押圧力に関するデータと、第2メモリ528から読み出した良品電流波形データとを比較する。そして、その差の絶対値が予め設定された許容値を超えるときには、ステップ#66に進む。ステップ#66では、CPU530は、当該サンプリング時刻においては不良になりつつあるバンプ11と電極部21との接合状態が良好に転じるように、VCMドライバ522に対してVCM121への電流値を大きく又は小さくして上記押圧力を変化させ、接合条件の変更を行う。このようにステップ#66にて1回、接合条件を変更したことから、ステップ#69にて、上記接合条件変更回数nに1を加える。そして上述のステップ#68へ移行する。
【0095】
さらに、上述したインピーダンス波形及び電流波形に基づいた接合判断に代えて、図28に示すように、上記位置波形データに基づいて接合判断を行っても良い。つまり、上記ステップ#55の次工程としてステップ#63へ移行する。ステップ#63では、上記接合中にて、CPU530は、FIFO527から送出され上記フィルタリング処理がなされた上記位置波形データ、即ち半導体チップ150つまり該半導体チップ150を保持しているノズル93の昇降方向における変位量に関するデータと、第2メモリ528から読み出した良品位置波形データとを比較する。そして、その差の絶対値が予め設定された許容値を超えるときには、ステップ#67に進む。ステップ#67では、CPU530は、当該サンプリング時刻においては不良になりつつあるバンプ11と電極部21との接合状態が良好に転じるように、VCMドライバ522に対してVCM121への電流値を大きく又は小さくして上記押圧力を変化させて接合条件の変更を行うとともに、超音波発振器133に対して超音波振動発生装置9への超音波出力電圧を大きく又は小さくして接合条件の変更を行う。このようにステップ#67にて1回、接合条件を変更したことから、ステップ#70にて、上記接合条件変更回数nに1を加える。そして上述のステップ#68へ移行する。
【0096】
さらに又、図29に示すように、ステップ#55の次に、まず、ステップ#61を実行し、該ステップ#61にて、上記インピーダンス波形データと良品インピーダンス波形との差の絶対値が上記許容値を超えていないとき、つまり、インピーダンス波形上では良好に接合が進行していると判断されたときには、上記ステップ#62を実行し、ステップ#62にて、上記電流波形上では良好に接合が進行していると判断されたときには、ステップ#63を実行するように構成することもできる。
【0097】
本実施形態では、上記ステップ#68における上記設定回数は10回前後の適宜な値を設定しており、又、上記ステップ#53における接合時間t[ms]は200〜500ms内の適宜な値を設定している。
図26〜図29に示す動作を実行することによって、超音波振動発生装置9におけるインピーダンスやVCM121へ供給する電流、ノズル93の下降移動量を計測し、それらの波形データをリアルタイムで監視することによって、接合中に接合状態が悪化した場合には、接合条件を変更することにより、不良品の発生を防止し歩留まりを向上することができる。
【0098】
尚、該第4実施形態では、半導体チップ150側を超音波振動させる形態にて説明したが、該形態に限定されるものではなく、上述の第1実施形態にて述べたように、半導体チップ150と回路基板20とは相対的に超音波振動されればよい。又、該第4実施形態では、半導体チップ150を回路基板20へ移動させる形態にて説明したが、該形態に限定されるものではなく、上述の第1実施形態にて述べたように、半導体チップ150と回路基板20とは相対的に移動されればよい。
【0099】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0100】
9 超音波振動発生装置
11 バンプ
101 半導体部品製造装置
110 制御装置
140 振動減衰検出装置
141 判定装置
301 半導体部品製造装置
310 制御装置
311 振動成分電流分離器
401 半導体部品製造装置
410 制御装置
411 測長装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と回路基板とを相対的に振動させて上記電子部品の電極と上記回路基板の電極部とをバンプを介して接合して半導体部品を製造するときに該接合時におけるバンプ接合良否の判定を行うバンプ接合判定装置において、
振動発生装置に対して上記振動を発生させ、上記バンプを介して行われる接合中の上記振動発生装置に関するインピーダンスの値を送出するインピーダンス出力装置と、
送出される上記インピーダンスの変化の波形データと、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの良品インピーダンス変化の波形データとを比較して、この波形データの差の絶対値が、予め設定されている許容値を超えるときには接合不良と見なして、上記接合の良否を判断する判定装置とを備える、バンプ接合判定装置。
【請求項2】
電子部品と回路基板とを相対的に振動させて上記電子部品の電極と上記回路基板の電極部とをバンプを介して接合するときに該接合時におけるバンプ接合良否の判定を行うバンプ接合判定方法において、
上記電極と上記電極部との接合開始から接合終了までの間における上記振動の発生に関するインピーダンスの変化の波形データと、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの上記接合開始から上記接合終了までの間の良品インピーダンス変化の波形データとを比較して、この波形データの差の絶対値が、予め設定されている許容値を超えるときには接合不良と見なして、上記接合の良否を判断する、バンプ接合判定方法。
【請求項3】
超音波振動を用いて電子部品の電極と回路基板の電極部とをバンプを介して接合して半導体部品を製造する半導体部品製造装置において、
振動発生装置に対して上記超音波振動を発生させ、上記バンプを介して行われる接合中の上記振動発生装置に関するインピーダンスの値を送出するインピーダンス出力装置と、
送出される上記インピーダンスの変化の波形データと、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの良品インピーダンス変化の波形データとを比較して、この波形データの差の絶対値が、予め設定されている許容値を超えるときには接合不良と見なして、上記接合の良否を判断する接合判断装置とを備える、半導体部品製造装置。
【請求項4】
電子部品保持部材に上記電子部品を保持し上記電子部品保持部材を上記回路基板の厚み方向へ移動させて上記バンプを介して上記電子部品を上記回路基板上に圧力制御をしながら実装する圧力制御装置と、
上記圧力制御装置にて、上記バンプを介して上記電子部品を上記回路基板上に押圧するときの上記電子部品保持部材の変位を計測する計測装置と、
をさらに備え、
上記接合判断装置は、さらに、上記計測装置が送出する上記電子部品保持部材変位の変化の波形データと、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの良品変位変化の波形データとを比較して、この波形データの差の絶対値が、予め設定されている許容値を超えるときには、接合不良と見なして、あるいは、上記接合の開始から上記接合の終了までの間における変位変化の移動量が設定された移動量よりも小さいときには、接合不良とみなして、上記接合の良否を判断する、請求項3に記載の半導体部品製造装置。
【請求項5】
電子部品保持部材に上記電子部品を保持し上記電子部品保持部材を上記回路基板の厚み方向へ移動させて上記電子部品を上記回路基板上に圧力制御をしながら実装し、かつ上記バンプを介して上記電子部品を上記回路基板上に押圧するときの上記電子部品保持部材の押圧力を送出する圧力制御装置と、をさらに備え、
上記接合判断装置は、さらに、上記圧力制御装置が送出する上記電子部品保持部材の押圧力の変化の波形データと、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの良品押圧力変化の波形データとを比較して、この波形データの差の絶対値が、予め設定されている許容値を超えるときには接合不良と見なして、あるいは、上記接合の開始から上記接合の終了までの間における上記電子部品保持部材の押圧力の変化の波形データに突発的な波形が観測されたときには接合不良と見なして、上記接合の良否を判断する、請求項3に記載の半導体部品製造装置。
【請求項6】
上記圧力制御装置は、さらに、上記電子部品を上記回路基板上に押圧するときの上記電子部品保持部材の押圧力をさらに送出し、上記接合判断装置は、さらに、上記圧力制御装置が送出する上記電子部品保持部材の押圧力の変化の波形データと、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの良品押圧力の変化の波形データとを比較して、この波形データの差の絶対値が、予め設定されている許容値を超えるときには接合不良と見なして、あるいは、上記接合の開始から上記接合の終了までの間における上記電子部品保持部材の押圧力の変化の波形データに突発的な波形が観測されたときには接合不良と見なして、上記接合の良否を判断する、請求項4に記載の半導体部品製造装置。
【請求項7】
上記インピーダンス出力装置から送出される上記インピーダンスの変化の波形データ、上記計測装置が送出する上記電子部品保持部材変位の変化の波形データ、及び上記圧力制御装置が送出する上記電子部品保持部材押圧力の変化の波形データを記憶する第1記憶装置と、
上記良品インピーダンス変化の波形データ、上記良品変位変化の波形データ、及び上記良品押圧力変化の波形データを記憶する第2記憶装置と、をさらに備え、
上記接合判断装置は、上記第1記憶装置及び上記第2記憶装置に記憶されている、上記インピーダンス変化の波形データと上記良品インピーダンス変化の波形データ、上記電子部品保持部材変位変化の波形データと上記良品変位変化の波形データ、及び上記電子部品保持部材押圧力変化の波形データと上記良品押圧力変化の波形データをそれぞれ比較して、この3つの波形データのそれぞれの差の絶対値の全てが、予め設定されている許容値を超えるときには、接合不良と見なし、あるいは、上記3つのデータのいずれか一つが許容値を超えるときには接合不良とみなし、あるいは、上記3つの波形データの内、いずれか一つについてのみ上記接合の良否の判断を行うことで、上記接合の良否を判断する、請求項6に記載の半導体部品製造装置。
【請求項8】
超音波振動を用いて電子部品の電極と回路基板の電極部とをバンプを介して接合して半導体部品を製造する半導体部品製造方法において、
上記電極と上記電極部との接合開始から接合終了までの間における上記超音波振動の発生に関するインピーダンスの変化の波形データと、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの上記接合開始から上記接合終了までの間の良品インピーダンス変化の波形データとを比較して、この波形データの差の絶対値が、予め設定されている許容値を超えるときには接合不良と見なして、上記接合の良否を判断する、半導体部品製造方法。
【請求項9】
上記超音波振動を作用させ、かつ上記バンプを挟んで上記回路基板の厚み方向に上記電子部品と上記回路基板とが接近するように移動させて互いに押圧し、
上記インピーダンスによる上記接合の良否の判断に加えて、さらに、上記接合開始から上記接合終了までの間における上記電子部品と上記回路基板との変位の変化の波形データと、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの上記接合開始から上記接合終了までの間における良品変位変化の波形データとの比較をして、この波形データの差の絶対値が、予め設定されている許容値を超えるときには、接合不良と見なして、あるいは、上記接合の開始から上記接合の終了までの間における上記電子部品と上記回路基板との変位の変化の量が設定された量よりも小さいときには、接合不良とみなして、上記接合の良否を判断し、及び、上記接合開始から上記接合終了までの間における上記電子部品と上記回路基板との押圧力の変化の波形データと、上記電子部品と上記回路基板とが良好に接合したときの上記接合開始から上記接合終了までの間における良品押圧力変化の波形データとの比較をして、この波形データの差の絶対値が、予め設定されている許容値を超えるときには接合不良と見なして、あるいは、上記接合の開始から上記接合の終了までの間における上記電子部品保持部材の押圧力の変化の波形データに突発的な波形が観測されたときには接合不良と見なして、上記接合の良否を判断することの少なくとも一方を行い、上記接合の良否を判断する、請求項8に記載の半導体部品製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2010−67999(P2010−67999A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284159(P2009−284159)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【分割の表示】特願2000−568121(P2000−568121)の分割
【原出願日】平成11年8月27日(1999.8.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】