説明

パケット中継装置及び障害診断方法

【課題】通信キャリア網に求められる高信頼性を保証し同時に高機能なパケット中継装置を安価に提供する。
【解決手段】パケット中継装置は、データパケットを送受信する複数のインターフェース部と、受信したデータパケットをデータパケットの宛先に対応するインターフェース部に振り分ける現用系及び予備系の2つのパケットスイッチ部と、複数のインターフェース部の制御を行うと共に外部に接続されたオペレーション装置との間で制御信号を送受信する装置管理部とを備え、インターフェース部は装置管理部からの制御コマンドを受信し、そのコマンドにより診断パケットの挿入が指示されると、予め定められた一定の周期で診断パケットを生成してデータパケットのストリームに挿入し、他のインターフェース部からパケットスイッチ部を介して送られてきた診断パケットが、予め定めた数の監視周期連続して到着しなかった場合、パケットスイッチ部の系切替を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット中継装置及び障害診断方法に係り、特に、パケット通信網を構成するパケット中継装置におけるパケット受信インタフェースからパケット送信インタフェースへ電気信号を中継するスイッチ部に障害が発生した場合もデータパケットの中継を継続できるようにしたパケット中継装置及び障害診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信の規制緩和は、過去には政府主導の寡占市場であった通信市場を、資本主義に基づく競争社会に変えた。この結果、従来からの通信キャリアと新興の通信キャリアとの間の競争が激化し、通信料金の低廉化が促進された。この結果、通信キャリアにとっては、従来にも増して通信網(以下、伝送網、または、単に網ということがある)の運用コストの削減や、より収益性の高い網への転換が急務となっている。
【0003】
近年のIP(Internet Protocol)を代表とするパケット通信技術の普及に伴い、通信キャリア向け通信網にIPやイーサネット(登録商標)技術が導入され、従来の網同期型(回線交換型)の通信技術からパケット交換型の通信技術への移行が確実に進んでいる。これに伴い、トラヒックの殆どがパケットデータになり、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)やOTN(Optical Transport Network)等の回線交換技術をベースとした伝送網構築技術では、データ伝送効率(通信装置毎のトラヒック収容効率)の面で十分な投資効果が期待できない場合が出てきた。その結果、より低コストでトラヒックを効率的に収容できるパケット通信技術の必要性が高まってきた。
【0004】
パケット通信技術は、もともとLAN(Local Area Network)を中心に小規模網を対象として普及してきた技術であり、ユーザ端末を接続するための技術として広く用いられており、扱いやすく、また、技術的には基盤が確立されており、対応部品の大量生産が可能なものである。そのためパケット通信装置(以下、「通信装置」あるいは単に「装置」ということもある)は、専用線を構成する通信キャリア向け特殊通信装置に比べて、低コスト化が可能である。また、複雑な網構成を実現するため、パケット通信装置同士が互いに連携動作し、装置設定や経路構成の変更を可能にする多様な制御プロトコルの開発も進んでいる。これらを利用することにより、パケット通信装置相互間の同期状況をオペレータが常時管理する必要がなく、装置相互間で自律的に接続関係を構築することができるため、障害対応や性能向上のため一部の通信装置を置き換えることも容易である。
【0005】
イーサネット関連技術の標準化は、2002年頃まではIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802委員会で行われてきたが、それ以降は、通信キャリアの要求条件等を反映しつつ、ITU−T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)SG(Study Group)13、SG15でも行われるようになった。IEEE802委員会とITU−T SG13、SG15は、緊密に連携しながら標準化を進めており、互いに議論を補完しつつ、整合のとれた標準技術が規定されている。これまで、主に高ビットレート通信、大容量通信への対応、通信区間の長距離化、保守運用機能の向上等の技術領域での機能拡張がなされてきた。
【0006】
イーサネットは、伝送距離についても長距離向けインターフェース仕様の標準化により、SDH、OTN等の通信キャリア網向け伝送技術と同等の高速、長距離伝送を提供することが可能となりつつあり、OTNと組み合わせることにより、これまで以上に大容量、長距離のイーサネット伝達網の実現が期待される。
【0007】
イーサネットは、LAN向けのコンピュータ間通信技術として開発されてきたため、当初は、通信キャリアが構築するような大規模網に対する保守管理機能であるOAM(Operation Administration and Maintenance)に関する規定が殆どなかった。しかし、通信キャリア網での使用が増加するに従い、OAM機能に対する要求が強くなり、イーサネットOAMに関する標準化がなされた。
【0008】
また、イーサネット技術を通信キャリア網に適用するにあたっては、OAM機能を用いた保守管理制御に加え、通信の信頼性(継続性)向上も課題の1つである。スパニングツリープロトコルやリンクアグリゲーションがこれまで信頼性向上のための手段として用いられてきたが、それらに加え、従来のSDHやATM(Asynchronous Transfer Mode)で広く用いられてきたリニアプロテクション切替方式(現用伝送路に対応して予備伝送路を設置し、現用伝送路障害時に予備伝送路へ通信経路を切り替えることにより耐障害性を向上する方式)がITU−T勧告G.8031(非特許文献1)として、2006年6月に標準化された。
【0009】
前述したような標準化活動の成果を受け、イーサネット網での通信サービスに関する保守管理が可能となっている。そして、現在では、イーサネットを含むパケット通信網におけるOAM機能の実用化が始まっている。イーサネットは、通常、個人または法人ユーザが所有するLANに適用されることが多いが、イーサネット技術にOAMを利用した品質管理機能を備えることにより、通信キャリアが提供するインフラサービスにおいてもその適用の可能性が注目されている。
【0010】
従来技術によるパケット中継装置は、装置管理部、複数のインターフェース部、冗長化された構成を持つ2つのパケットスイッチ部から構成されるのが一般的である。2つのパケットスイッチ部は、複数のインターフェース部のいずれかより受信したデータパケットを、そのパケットの宛先に対応したインターフェース部のいずれかに振り分ける機能を有するものである。一般に、装置管理部と装置管理部以外の各モジュールとの間には、制御信号用のバス線が実装されており、2つのパケットスイッチ部の一方に障害が発生した場合、障害となったパケットスイッチ部は、バス線経由でその障害を装置管理部に通知する。通知を受けた装置管理部は、網上のオペレーション装置に障害発生を通知する。これにより、オペレータは、パケット中継装置のパケットスイッチ部の一方に障害が発生したことを知ることができ、交換工事等の対応を行うことができる。
【0011】
パケット通信装置には、従来の通信キャリア網専用の通信装置に比べて大幅な低コスト化が期待されている。最近では、通信キャリア向け特殊通信装置において、装置内の機能のモジュール化を行い、汎用の部品を利用可能な部分については汎用品に置き換えることにより、通信装置の低価格化を図る例が多く見られる。通信装置を構成する各機能をモジュール化し、各機能相互の独立性を高めることにより、通信装置の故障対応やメンテナンスが行い易くなる。メンテナンス性の向上は、通信装置の信頼性向上にも繋がる。さらに、各機能モジュールを大量生産可能な汎用部品で構成することにより、低価格化が可能となる。このように、装置あるいはシステムにおける部品共通化や類似装置を設計する上での共通プラットフォーム構築は、製品の高信頼化と高機能化、さらに、低コスト化を同時に実現できる手法である。そのため通信装置産業以外の分野でも着目されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】ITU-T Recommendation G.8031/Y.1342
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来技術による一般的なパケット中継装置は、前述したように、装置管理部、複数のインターフェース部、2つのパケットスイッチ部から構成される。このようなパケット中継装置の装置管理部の仕様は、オペレーション装置とのインターフェース仕様との整合性が求められるため、汎用化を行うことが難しく、また、インターフェース部についても、外部の網及び網内の通信装置のインターフェース仕様との相互接続性が重要であるため、各装置のベンダが独自の工夫により汎用化することが難しい。
【0014】
ところが、パケットスイッチ部は、パケット中継装置の内部でのみ接続性を提供すればよく、機能ブロック(インターフェース)間の接続性さえ確保できれば、外部環境に左右されずベンダ毎の工夫により多様な実装方法を選択することができる。この点に着目し、パケットスイッチ部を汎用の製品(またはデバイス)としてパケット通信装置を作成することにより、パケット通信装置の低価格化を実現することができる。
【0015】
しかし、パケット通信装置は、先に説明したように、パケットスイッチ部の故障等による通信障害が発生した場合、オペレータにその障害発生を通知する手段が必要である。汎用製品を用いたパケットスイッチ部を備えるパケット中継装置は、これを実現するためにパケットスイッチ部に障害検出機能や装置管理部との間の通知インターフェースを追加する必要がある。
【0016】
すなわち、汎用製品を用いたパケットスイッチ部を備えるパケット中継装置は、汎用製品であるパケットスイッチ部への改造を行う必要が生じ、結果的に、製品製造コストを削減するという目的を実現することができないことになってしまうという問題点を生じさせる。このような問題点を回避するためには、パケットスイッチ部に汎用製品を利用したパケット中継装置のインターフェース部に、パケットスイッチ部の障害を検出して装置管理部に通知し、さらに、パケットスイッチ部の現用系あるいは予備系のいずれか正常なほうにデータパケットを振り分ける手段を備えればよい。
【0017】
本発明の目的は、前述したような点に鑑み、通信キャリア網に求められる高信頼性を保証すると同時に高機能なパケット中継装置を安価に提供することにあり、パケット中継装置の機能ブロックを構成する要素のうちパケットスイッチ部を汎用スイッチにより構成し、この汎用スイッチを改造する必要をなくし、汎用スイッチにより構成したパケットスイッチ部に障害が生じた場合に、その障害を検知し、装置内通信経路を切り替え、その障害をオペレータに通知する機能を備えたパケット中継装置及び障害診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば前記目的は、パケット通信網を構成し、データパケットを送受信する機能を備え、外部に接続されたオペレーション装置から制御可能なパケット中継装置において、前記パケット中継装置は、前記データパケットを送受信する複数のインターフェース部と、前記インターフェース部から受信した前記データパケットを前記データパケットの宛先に対応する前記インターフェース部に振り分ける現用系及び予備系の2つのパケットスイッチ部と、前記複数のインターフェース部の制御を行うと共に、前記外部に接続されたオペレーション装置との間で制御信号を送受信する装置管理部とを備え、前記インターフェース部は、前記装置管理部からの制御コマンドを受信するコマンド受信部と、診断パケットを生成して前記パケットスイッチ部へのデータパケットのストリーム内に挿入する診断パケット生成挿入部と、データパケットの送信先の前記パケットスイッチ部を切替制御する切替制御部と、他のインターフェース部から前記パケットスイッチ部を介して送られてきた診断パケットを受信終端する診断パケット終端部と、前記診断パケット終端部での診断パケットの受信状態から前記パケットスイッチ部への経路または前記パケットスイッチ部の障害を判定する障害診断部と、前記障害診断部の判定情報を前記装置管理部に通知する障害通知部と、前記コマンド受信部からの指示、前記障害診断部での判定情報に基づいて、診断パケットの挿入有無、前記パケットスイッチ部の系切替を制御する診断機能管理部とを備えることにより達成される。
【0019】
また、前記目的は、パケット通信網を構成し、データパケットを送受信する機能を備え、外部に接続されたオペレーション装置から制御可能なパケット中継装置の障害診断方法において、前記パケット中継装置は、前記データパケットを送受信する複数のインターフェース部と、前記インターフェース部から受信した前記データパケットを前記データパケットの宛先に対応する前記インターフェース部に振り分ける現用系及び予備系の2つのパケットスイッチ部と、前記複数のインターフェース部の制御を行うと共に、前記外部に接続されたオペレーション装置との間で制御信号を送受信する装置管理部とを備え、前記インターフェース部は、前記装置管理部からの制御コマンドを受信し、そのコマンドにより診断パケットの挿入が指示されると、予め定められた一定の周期で診断パケットを生成してデータパケットのストリームに挿入し、他のインターフェース部から前記パケットスイッチ部を介して送られてきた診断パケットが、予め定めた数の監視周期連続して到着しなかった場合、前記パケットスイッチ部の系切替を制御することにより達成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、開発コストを低減しユーザへの安価なサービスを提供することができるパケット中継装置を得ることができ、また、冗長系を構成する汎用スイッチによるパケットスイッチ部に障害が生じた場合、その障害を検知し、経路を切替え、更にその障害をオペレータに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明が適用される一般的な通信網の構成例とパケット中継装置の構成例とを示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるパケット中継装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるパケット中継装置での障害発生の例について説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるインターフェース部の装置構成例とユーザパケットの送受信経路とを説明する図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるインターフェース部での診断パケットの送信経路を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるインターフェース部での診断パケットの受信経路を説明する図である。
【図7】診断パケット終端部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図8】障害診断部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図9】診断機能管理部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図10】診断パケット生成挿入部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図11】切替制御部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態におけるインターフェース部の装置構成例を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施形態におけるインターフェース部で障害を直接検出する方法と検出した障害の通知情報の転送経路とを説明する図である。
【図14】本発明の第2の実施形態におけるインターフェース部で障害を間接的に検出する方法と検出した障害の通知情報の転送経路とを説明する図である。
【図15】Link監視部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図16】障害通知パケット終端部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図17】障害診断部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図18】診断機能管理部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図19】障害通知パケット生成挿入部での処理動作を説明するフローチャートである。
【図20】本発明の第3の実施形態によるパケット中継装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明によるパケット中継装置及び障害診断方法の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明が適用される一般的な通信網の構成例とパケット中継装置の構成例とを示すブロック図であり、まず、図1を参照して、一般的な通信網の構成例とパケット中継装置の構成例とを説明する。
【0024】
図1に示す一般的な通信網は、パケット通信装置4、5を収容する複数の網1、2と、物理ケーブル6、7を介してパケット通信装置4、5の相互間を接続し、パケット通信装置4、5の相互間で送受信されるデータパケット(ヘッダとペイロードとにより構成されている)の中継を行うパケット中継装置110と、パケット中継装置110に網102を介して接続されるオペレーション装置100とにより構成されている。
【0025】
前述において、網1のパケット通信装置4は、パケット中継装置110を経由して網2のパケット通信装置5とデータパケット8、9、10、11の送受信を行って通信を行う。パケット中継装置110は、装置管理部111と、複数のインターフェース部121、122、123と、冗長化された2つのパケットスイッチ部131、132とを備えて構成される。インターフェース部#1 121、インターフェース部#2 122と現用系パケットスイッチ部131との間はそれぞれバス線141、143で接続され、インターフェース部#1 121、インターフェース部#2 122と予備系パケットスイッチ部132との間はそれぞれバス線142、144で接続されている。インターフェース部#3 123も冗長化された2つのパケットスイッチ部131、132に説明されいる。装置管理部111は、制御信号用経路103を経てパケット中継装置の外部の網102と接続されており、さらに、制御信号用経路101を経てオペレーション装置100と接続されている。そして、装置管理部111は、オペレーション装置100との間で通信を行っている。矢印151で示すように、ユーザパケットは、あるインターフェース部からパケット中継装置に入力され、現用系パケットスイッチ部131を経由して、あるインターフェース部から出力されることになる。
【0026】
以下、本発明の第1の実施形態によるパケット中継装置を説明する。本発明の第1の実施形態によるパケット中継装置は、インターフェース部相互間で専用の診断パケットを送受信し合い、一方のインターフェース部が他方のインターフェース部からの診断パケットが到着したことを確認することにより、パケットスイッチ部が正常であると判定し、診断パケットが到着しない場合に、パケットスイッチ部に障害が発生したと判定して、パケットスイッチ部の系の切替を行い、さらに、自インターフェースからの診断パケットの送信を停止することにより、他のインターフェース部に対しても、同様にパケットスイッチ部の系の切替を発生させ、インターフェース部相互間において選択されるパケットスイッチ部の系の不一致を防止するようにしたものである。
【0027】
図2は本発明の第1の実施形態によるパケット中継装置110の構成を示すブロック図である。
【0028】
本発明の第1の実施形態におけるパケット中継装置110は、図1により説明した場合と同様に、装置管理部111と、複数のインターフェース部121、122、123と、冗長化された2つのパケットスイッチ部131、132とを備えて構成される。
【0029】
そして、インターフェース部#1 121は、パケット中継装置の外部に接するパケット受信部201及びパケット送信部202と、パケット中継装置の内部に接し、現用系パケットスイッチ部131と通信するためのパケット送信部211及びパケット受信部212、予備系パケットスイッチ部132と通信するためのパケット送信部213及びパケット受信部214と、パケット制御部205とから構成される。パケット制御部205は、その内部に、本発明の実施形態での主な機能としての診断機能管理部703、障害診断部709が設けられて構成されている。インターフェース部#2 122も、インターフェース部#1 121と同様に構成されている。
【0030】
現用系パケットスイッチ部131は、インターフェース部#1 121側のパケット受信部302及びパケット送信部303と、インターフェース部#2 122側のパケット受信部306及びパケット送信部307と、コア機能である経路決定部301で構成されている。予備系パケットスイッチ部132も、現用系パケットスイッチ部131と同様に構成されている。
【0031】
インターフェース部#1 121と現用系パケットスイッチ部131とは、物理ケーブル141により接続され、物理ケーブル141の内部には、インターフェース部#1 121から現用系パケットスイッチ部131へのパケット送信経路603と、現用系パケットスイッチ部131からインターフェース部#1 121へのパケット送信経路604とが備えられている。他の物理ケーブル142、143、144も、インターフェース部とパケットスイッチ部とを接続するものであり、その内部には、パケット送信経路、パケット受信経路605、606、607、608、609、610が備えられている。
【0032】
本発明の第1の実施形態によるパケット中継装置110は、専用の診断パケットを使用してパケットスイッチ部の障害を監視するが、その診断パケットは、矢印152、153により表わしているように、異なるインターフェース部相互間で、現用系パケットスイッチ部131と予備系パケットスイッチ部132とのそれぞれを経由して送受信される。
【0033】
図3は本発明の第1の実施形態によるパケット中継装置110での障害発生の例について説明する図である。ここでは、例として、インターフェース部#1 121と現用系パケットスイッチ部131との間で障害181が発生したものとしている。
【0034】
図3に示す例において、インターフェース部#1 121は、直接的に障害を検出することができるので、障害を検出した場合、自律的に、点線で示す矢印182に示すようにパケットスイッチ部を現用系から予備系に切替える。このとき、一般には、インターフェース部#1 121が装置管理部111に現用系パケットスイッチ部131の側で障害が発生したことを通知し、装置管理部111がインターフェース部#2 122に系切替え指示を行う指示を行うことにより、インターフェース部#1 121とインターフェース部#2 122との間で、選択されたパケットスイッチ部の系が不一致になることなく、データパケットの導通を継続することができる。しかし、このとき、装置管理部111が故障していた場合や、装置管理部111が交換工事等の都合で抜去されていた場合、インターフェース部相互間での選択しているパケットスイッチの系の不一致が発生してしまうことになる。本発明の実施形態によるパケット中継装置110を通信キャリア向けに使用する場合、装置管理部111が機能しない場合でも、ユーザデータの導通の継続は必須である。本発明は、このような場合でもインターフェース部相互間におけるパケットスイッチの系の不一致が起こらないようにしているが、そのための構成の詳細については後述する。
【0035】
図4は本発明の第1の実施形態におけるインターフェース部の装置構成例とユーザパケットの送受信経路とを説明する図である。ここに示す例は、インターフェース部#1 121を例としている。
【0036】
インターフェース部#1 121は、図2、図3により説明した前述のパケット送信部、パケット受信部、パケット制御部に加えて、コマンド受信部701、障害通知部702を備えている。コマンド受信部701は、装置管理部111からの制御コマンドを受け付ける。一方、障害通知部702は、装置管理部111へ障害情報を通知する。パケット制御部205は、診断機能管理部703、診断パケット生成挿入部704、切替制御部705、パケット送信切替部706、パケット受信切替部707、診断パケット終端部708、障害診断部709を備えて構成されている。
【0037】
前述したようなインターフェース部の装置構成の例において、ユーザパケットは、矢印601に示す方向にパケット受信部241で受信され、矢印203の方向にパケット送信切替部706に送られる。そして、ユーザパケットは、選択されているパケットスイッチの系が現用系の場合、パケット送信部211に送られ、矢印603に示す方向に現用系パケットスイッチ部に送信されるが、選択されているパケットスイッチの系が予備系の場合、パケット送信部213に送られ、矢印142に示す方向に予備系パケットスイッチ部に送信される。
【0038】
一方、現用系パケットスイッチ部から送られたユーザパケットは、パケット受信部212で受信され、予備系パケットスイッチ部から送られたユーザパケットは、パケット受信部214で受信され、それぞれパケット受信切替部707に送られる。パケット受信切替部707は、選択されているパケットスイッチ部の系から到着したユーザパケットを選択してパケット送信部242に送る。このユーザパケットは、パケット送信部242から外部の網及び通信装置に送信される。
【0039】
なお、前段落にてパケット送信側及び受信側における系選択について記載したが、系選択は受信側のみとしてもよい。
【0040】
図5は本発明の第1の実施形態におけるインターフェース部での診断パケットの送信経路を説明する図である。
【0041】
保守者は、システムの立ち上げ時、装置管理部111の交換工事等の後に装置管理部111が挿入されたとき等に、オペレーション装置100から本発明による診断機能を有効にする設定を行う。なお、保守者は、装置管理部111の交換工事等の開始時には、診断機能を無効にする設定を行う。この設定の情報は、図5に太い線の矢印で示しているように、コマンドとして、装置管理部111を経由し、コマンド受信部701で受信される。
【0042】
コマンド受信部701は、装置管理部111から受信したコマンドを診断機能管理部703に送る。診断機能管理部703は、診断機能の有効設定コマンドを受けた場合、診断パケット生成挿入部704に対して、診断パケットの生成挿入を指示する。指示を受けた診断パケット生成挿入部704は、両系のパケットスイッチ部のそれぞれに対応するパケット送信部211、213に対して送信されるユーザパケットのストリームに診断パケットを予め定められた一定の周期で挿入して送信する。パケット送信部211に定期的に挿入されて送信された診断パケットは、現用系パケットスイッチ部へ、パケット送信部213に定期的に挿入されて送信された診断パケットは、予備系パケットスイッチ部に送信される。
【0043】
図6は本発明の第1の実施形態におけるインターフェース部での診断パケットの受信経路を説明する図である。
【0044】
図5を参照して説明したように現用系及び予備系パケットスイッチ部へ送信された診断パケットは、インターフェース部#1 121のパケット受信部212、パケット受信部214により受信されて、診断パケット終端部708に終端される。診断パケット終端部708は、診断パケットが周期的に受信されているかどうかの終端状態を監視し、現用系及び予備系パケットスイッチ部の何れかからの診断パケットが予め定めた数の監視周期、例えば、3監視周期連続して到着しなかった場合、障害診断部709に、診断パケットが到着しないことを通知する。障害診断部709は、この通知を受け、診断パケットが到着しなかった方のパケットスイッチ部の系で障害が発生したと判定し、障害通知部702と、診断機能管理部703との両方にそれを通知する。
【0045】
障害通知部702は、パケットスイッチ部またはパケットスイッチ部とインターフェース部との間で障害が発生したことを、装置管理部111に通知する。この通知は、装置管理部111からオペレーション装置100に送られる。これにより、オペレータは、障害回復のための対処を実施することができる。また、診断機能管理部703は、通知された障害が現用系のパケットスイッチ部への経路の障害であった場合に、切替制御部705に対して、パケットスイッチ部の系の切替を指示し、診断パケット生成挿入部704に対しては、診断パケットの生成挿入を停止する指示を行う。これにより、パケットスイッチ部を介して接続されている他のインターフェース部には、診断パケットが到着しないことになり、他のインターフェース部は、パケットスイッチ部の系切替を行うことができる。なお、診断機能管理部703は、通知された障害が予備系のパケットスイッチ部への経路の障害であった場合、前述したような処理を行わず、現用系のパケットスイッチ部を利用したパケット通信を継続させる。
【0046】
図7は診断パケット終端部708での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0047】
診断パケット終端部708は、他のインターフェース部からの診断パケット到着を監視し、現用系及び予備系パケットスイッチ部の何れかからの診断パケットが3監視周期連続で、その到着を確認できないか否かを判定し(ステップ901、902)、3監視周期連続で診断パケットの到着を確認できなかった場合、障害診断部709に対して、診断パケット未達を通知(ステップ903)して処理を終了する。
【0048】
図8は障害診断部709での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0049】
障害診断部709は、診断パケット終端部708から、診断パケットが到着しなくなったことの通知の受信(ステップ911、912)を待ち、診断パケットが到着しなくなったことの通知が受信された場合、障害通知部へ該当パケットスイッチ部の系の障害を通知(ステップ913)し、診断機能管理部へも同じように該当パケットスイッチ部の系の障害を通知(ステップ914)する。
【0050】
図9は診断機能管理部703での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0051】
(1)診断機能管理部703は、コマンド受信部701からのコマンド受信を監視し、コマンドを受信した場合、受信したコマンドの内容が診断機能の有効設定か、診断機能の無効設定かを判定する(ステップ921、922、927)。
【0052】
(2)ステップ927の判定で、コマンド内容が診断機能の有効設定であった場合、診断機能管理部703は、診断パケット生成挿入部704に対して、両系のパケットスイッチ部への診断パケットの生成挿入の開始を指示してここでの処理を終了する(ステップ929)。
【0053】
(3)また、ステップ927の判定で、コマンド内容が診断機能の無効設定であった場合、診断機能管理部703は、診断パケット生成挿入部704に対して、両系のパケットスイッチ部への診断パケットの生成挿入の停止を指示して、ここでの処理を終了する(ステップ928)。
【0054】
(4)診断機能管理部703は、ステップ922のコマンド受信部701からのコマンド受信の監視で、コマンドを受信しなかった場合、障害診断部709からの障害通知を受信を監視し、障害通知を受信していなかった場合、ステップ922からの処理に戻って、コマンド受信の監視を行う(ステップ923)。
【0055】
(5)ステップ923の障害診断部709からの障害通知の受信の監視で、障害通知を受信した場合、診断機能管理部703は、診断機能の設定状態が機能有効となっているか、機能無効となっているかを判定し、機能無効となっていた場合、何もせずにここでの処理を終了する(ステップ924)。
【0056】
(6)ステップ924の判定で、診断機能の設定状態が機能有効となっていた場合、診断機能管理部703は、診断パケット生成挿入部704へパケットスイッチ部の故障した系への診断パケット挿入の停止を指示し、さらに、切替制御部705に対してパケットスイッチ部の系の切替を指示してここでの処理を終了する(ステップ925、926)。
【0057】
図10は診断パケット生成挿入部704での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0058】
(1)診断パケット生成挿入部704は、診断機能管理部703からの指示の受信を待ち、指示を受信した場合、その指示内容が診断パケットの挿入開始の指示か、診断パケットの挿入停止の指示かを判定する(ステップ931〜933)。
【0059】
(2)ステップ933の判定で、診断機能管理部703からの指示内容が診断パケットの挿入開始であった場合、指定された系(両系の場合もある)への診断パケットの挿入を開始し、指示内容が診断パケットの停止指示であった場合、指定された系への診断パケットの挿入を停止してここでの処理を終了する(ステップ935、934、936)。
【0060】
図11は切替制御部705での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0061】
(1)切替制御部705は、診断機能管理部703から切替指示の受信を待ち、切替指示を受信した場合、パケットスイッチ部の現用系が故障であって、予備系が正常となっているか否かを判定する(ステップ941〜943)。
【0062】
(2)ステップ943の判定で、パケットスイッチ部の現用系が故障中であって予備系が正常状態であった場合、パケット送信切替部706に対してユーザパケットの送信先を切替えるよう指示を行ってここでの処理を終了し、また、パケットスイッチ部の予備系が故障中であった場合、切替指示を行うことなくここでの処理を終了する(ステップ944、945)。
【0063】
以上で本発明の第1の実施形態の説明を終了し、次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態は、専用の障害通知パケットを用いるものである。このため本発明の第2の実施形態でのインターフェース部は、パケットスイッチ部との間を接続している物理ケーブル内のパケット送信経路及び受信経路のLink状態を監視し、Link断を検出した場合に、自身から他のインターフェース部に対して障害通知パケットを送信するように構成される。障害通知パケットを送信したインターフェース以外の他の各インターフェース部は、その障害通知パケットを受信することによってパケットスイッチ部で障害が発生したと判定し、パケットスイッチ部の系の切替えを行う。
【0064】
図12は本発明の第2の実施形態におけるインターフェース部の装置構成例を示すブロック図である。ここに示す例は、インターフェース部#1 121を例としている。
【0065】
図12に示す第2の実施形態でのインターフェース部#1 121は、本発明の第1の実施形態におけるインターフェース部の診断パケット生成挿入部704の代わりに障害通知パケット生成挿入部710が、診断パケット終端部708の代わりに障害通知パケット終端部711が設けられ、また、Link監視部712が追加されて構成されている。そして、本発明の第2の実施形態におけるインターフェース部#1 121は、第1の実施形態でのインターフェース部の場合と同様に、装置管理部111からのコマンドをコマンド受信部701が受信することにより、診断機能管理部に対して、診断機能の有効設定、無効設定を行っている。
【0066】
図13は本発明の第2の実施形態におけるインターフェース部で障害を直接検出する方法と検出した障害の通知情報の転送経路とを説明する図である。
【0067】
図13に示すインターフェース部におけるLink監視部712は、パケットスイッチ部との間を接続しているパケット送信及び受信経路であるLinkの状態を監視し、Link断(パケットスイッチ部の障害をも含む)を検出した場合に、障害診断部709に対してLink断を通知する。そのとき、障害診断部709は、障害通知部702と、診断機能管理部703との両方に、パケットスイッチ部の障害を通知する。なお、Link監視部712がLinkの状態を監視して、Link断を検出する方法は、従来からよく知られている方法を用いることができ、ここては説明を省略する。
【0068】
障害通知部702は、障害情報を受信すると、パケットスイッチ部またはパケットスイッチ部とインターフェース部との間で障害が発生したことを、装置管理部111に通知する。この通知は、装置管理部111からオペレーション装置100に送られ、これによりオペレータは、障害回復のための対処を実施することができる。診断機能管理部703は、通知された障害が現用系のパケットスイッチ部への経路の障害であった場合に、切替制御部705に対して、パケットスイッチ部の系の切替を指示すると共に、障害通知パケット生成挿入部710に対して、障害通知パケットの挿入を指示する。これにより、パケットスイッチ部を介して接続されている他のインターフェース部が障害通知パケットを受信してパケットスイッチ部の系切替を行うことができる。なお、診断機能管理部703は、通知された障害が予備系のパケットスイッチ部への経路の障害であった場合、前述したような処理を行わず、現用系のパケットスイッチ部を利用したパケット通信を継続させる。
【0069】
図14は本発明の第2の実施形態におけるインターフェース部で障害を間接的に検出する方法と検出した障害の通知情報の転送経路とを説明する図である。図14により説明する例は、図13により説明したインターフェース部がLink断を検出して送信してきた障害通知パケットを受信した他のインタフェース部での例である。
【0070】
図14に示すインターフェース部は、自インターフェース部のLink監視部712がLink断を検出しない場合にも、他のインターフェース部がLink断を検出して送信してきた該当パケットスイッチ系からの障害通知パケットを受信することになる。障害通知パケット終端部711は、障害通知パケットの到着を確認すると、障害診断部709に対して、障害通知パケットが到着したことを通知する。その後の障害診断部709、障害通知部702、診断機能管理部703、障害通知パケット生成挿入部710、切替制御部705での処理動作に関しては、図13を参照して説明した場合と同一である。
【0071】
図15はLink監視部712での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0072】
Link監視部712は、パケットスイッチ部との間のLink断を監視(ステップ952)しており、パケットスイッチ部との間のLink断を検出した場合、障害診断部709へLink断検出を通知(ステップ953)する。
【0073】
図16は障害通知パケット終端部711での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0074】
障害通知パケット終端部711は、送信されてくる障害通知パケットの受信を待ち受け(ステップ962)ており、障害通知パケットを受信した場合、障害診断部709へ障害通知パケットを受信したことを通知(ステップ963)する。
【0075】
図17は障害診断部709での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0076】
(1)障害診断部709は、Link監視部712からのLink断通知の受信を待ち、また、障害通知パケット終端部711からの障害通知パケットの受信を待つ(ステップ972、973)。
【0077】
(2)障害診断部709は、ステップ972のLink監視部712からのLink断通知の受信待ちで、Link監視部712からLink断通知を受信した場合、または、ステップ973の障害通知パケット終端部711からの障害通知パケットの受信待ちで、障害通知パケット終端部711からの障害通知パケットを受信した場合、診断機能管理部703に対してパケットスイッチ部の障害を通知すると共に、障害通知部702に対してパケットスイッチ部の障害を通知する(ステップ974、975)。
【0078】
図18は診断機能管理部703での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0079】
(1)診断機能管理部703は、コマンド受信部701からコマンドを受信したか否かを判定し、コマンドを受信した場合、受信したコマンドの内容が診断機能の有効設定か、診断機能の無効設定かを判定する(ステップ981、982、987)。
【0080】
(2)診断機能管理部703は、ステップ987の判定で、コマンド内容が診断機能の有効設定であった場合、診断機能の有効設定を行い、コマンド内容が診断機能の無効設定であった場合、診断機能の無効設定を行う(ステップ989、988)。
【0081】
(3)ステップ982の判定で、コマンドを受信していなかった場合、診断機能管理部703は、障害診断部709から障害通知を受信したか否かを判定し、障害通知を受信していなかった場合、ステップ982からの処理に戻って処理を続ける(ステップ983)。
【0082】
(4)ステップ983の判定で、障害通知を受信していた場合、診断機能管理部703は、診断機能の設定状態が設定有効となっているか、設定無効となっているか否かを判定し、診断機能の設定状態が有効である場合にのみ、障害通知パケット生成挿入部710に対して、障害系への障害通知パケット挿入を指示し、切替制御部705にパケットスイッチ部の系の切替を指示する(ステップ984〜986)。
【0083】
図19は障害通知パケット生成挿入部710での処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。
【0084】
障害通知パケット生成挿入部710は、診断機能管理部703からの障害通知パケットの挿入指示が送信されてくるのを監視(ステップ992)し、障害通知パケットの挿入指示があった場合に、障害系への障害通知パケットの挿入(ステップ993)を行う。
【0085】
前述までに説明した本発明の第1、第2の実施形態は、パケット中継装置110の内部に冗長化された2つのパケットスイッチ部131、132を備えるものであったが、本発明は、パケットスイッチ部131、132をパケット中継装置110の外に設けて構成することもでき、次に、これを本発明の第3の実施形態として説明する。
【0086】
図20は本発明の第3の実施形態によるパケット中継装置の構成を示すブロック図である。
【0087】
図20に示すパケット中継装置110は、前述までに説明した本発明の第1、第2のパケット中継装置におけるパケットスイッチ部131、132をパケット中継装置110の外に存在するように構成したものである。このため、パケット中継装置110は、その外に存在するパケットスイッチ部131、132とパケット中継装置110とを接続するために、スイッチ接続部171、172を備えて構成される。このようなパケット中継装置110とパケットスイッチ部131、132とによる動作は、前述で接続した本発明の第1、第2の実施形態の場合と同様である。
【0088】
前述した本発明の実施形態によれば、開発コストを低減しユーザへの安価なサービスを提供することができるパケット中継装置を得ることができる。そして、本発明の実施形態によるパケット中継装置は、冗長系を構成する汎用スイッチによるパケットスイッチ部に障害が生じた場合、その障害を検知し、経路を切替え、更にその障害をオペレータに通知することができる。また、本発明の実施形態によるパケット中継装置は、パケットスイッチ部の障害を直接的に検出したインターフェース部以外のインターフェース部においても、間接的にパケットスイッチ部の障害が検出可能な仕組みを備えることにより経路の切替に際して、インターフェース部相互間を接続するために選択されるパケットスイッチ部の系が不一致になってしまうようなことを防止することができる。
【符号の説明】
【0089】
1、2、102 網
4、5 パケット通信装置
6、7 物理ケーブル
8〜11 データパケット
100 オペレーション装置
101、103 制御信号経路
104〜106、141〜144 信号線
111 装置管理部
121〜123 インターフェース部
131、132 パケットスイッチ部
151 データパケットの経路
154〜157 ユーザパケットの経路
171、172 スイッチ接続部
201、211、213、303、307、403、407、501、511、513 パケット送信部
202、212、214、302、306、402、406、502、512、514 パケット受信部
205、505 パケット制御部
301、401 経路決定部
506、709 障害診断部
515、703 診断機能管理部
701 コマンド受信部
702 障害通知部
703 診断機能管理部
704 診断パケット生成挿入部
705 切替制御部
706 パケット送信切替部
707 パケット受信切替部
708 診断パケット終端部
709 障害診断部
710 障害通知パケット生成挿入部
711 障害通知パケット終端部
712 Link監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット通信網を構成し、データパケットを送受信する機能を備え、外部に接続されたオペレーション装置から制御可能なパケット中継装置において、
前記パケット中継装置は、
前記データパケットを送受信する複数のインターフェース部と、
前記インターフェース部から受信した前記データパケットを前記データパケットの宛先に対応する前記インターフェース部に振り分ける現用系及び予備系の2つのパケットスイッチ部と、
前記複数のインターフェース部の制御を行うと共に、前記外部に接続されたオペレーション装置との間で制御信号を送受信する装置管理部とを備え、
前記インターフェース部は、
前記装置管理部からの制御コマンドを受信するコマンド受信部と、
診断パケットを生成して前記パケットスイッチ部へのデータパケットのストリーム内に挿入する診断パケット生成挿入部と、
データパケットの送信先の前記パケットスイッチ部を切替制御する切替制御部と、
他のインターフェース部から前記パケットスイッチ部を介して送られてきた診断パケットを受信終端する診断パケット終端部と、
前記診断パケット終端部での診断パケットの受信状態から前記パケットスイッチ部への経路または前記パケットスイッチ部の障害を判定する障害診断部と、
前記障害診断部の判定情報を前記装置管理部に通知する障害通知部と、
前記コマンド受信部からの指示、前記障害診断部での判定情報に基づいて、診断パケットの挿入有無、前記パケットスイッチ部の系切替を制御する診断機能管理部とを備えることを特徴とするパケット中継装置。
【請求項2】
パケット通信網を構成し、データパケットを送受信する機能を備え、外部に接続されたオペレーション装置から制御可能なパケット中継装置において、
前記パケット中継装置は、
前記データパケットを送受信する複数のインターフェース部と、
前記インターフェース部から受信した前記データパケットを前記データパケットの宛先に対応する前記インターフェース部に振り分ける現用系及び予備系の2つのパケットスイッチ部との接続を確保するスイッチ接続部と、
前記複数のインターフェース部の制御を行うと共に、前記外部に接続されたオペレーション装置との間で制御信号を送受信する装置管理部とを備え、
前記インターフェース部は、
前記装置管理部からの制御コマンドを受信するコマンド受信部と、
診断パケットを生成して前記パケットスイッチ部へのデータパケットのストリーム内に挿入する診断パケット生成挿入部と、
データパケットの送信先の前記パケットスイッチ部を切替制御する切替制御部と、
他のインターフェース部から前記パケットスイッチ部を介して送られてきた診断パケットを受信終端する診断パケット終端部と、
前記診断パケット終端部での診断パケットの受信状態から前記パケットスイッチ部への経路または前記パケットスイッチ部の障害を判定する障害診断部と、
前記障害診断部の判定情報を前記装置管理部に通知する障害通知部と、
前記コマンド受信部からの指示、前記障害診断部での判定情報に基づいて、診断パケットの挿入有無、前記パケットスイッチ部の系切替を制御する診断機能管理部とを備えることを特徴とするパケット中継装置。
【請求項3】
前記診断パケット生成挿入部は、前記診断機能管理部を介して前記コマンド受信部から診断パケットの挿入が指示されると、予め定められた一定の周期で診断パケットを生成してデータパケットのストリームに挿入し、前記診断パケット終端部は、他のインターフェース部から前記パケットスイッチ部を介して送られてきた診断パケットが、予め定めた数の監視周期連続して到着しなかった場合、前記障害診断部に診断パケットが到着していないことを通知することを特徴とする請求項1または2記載のパケット中継装置。
【請求項4】
パケット通信網を構成し、データパケットを送受信する機能を備え、外部に接続されたオペレーション装置から制御可能なパケット中継装置において、
前記パケット中継装置は、
前記データパケットを送受信する複数のインターフェース部と、
前記インターフェース部から受信した前記データパケットを前記データパケットの宛先に対応する前記インターフェース部に振り分ける現用系及び予備系の2つのパケットスイッチ部と、
前記複数のインターフェース部の制御を行うと共に、前記外部に接続されたオペレーション装置との間で制御信号を送受信する装置管理部とを備え、
前記インターフェース部は、
前記装置管理部からの制御コマンドを受信するコマンド受信部と、
障害通知パケットを生成して前記パケットスイッチ部へのデータパケットのストリーム内に挿入する障害通知パケット生成挿入部と、
データパケットの送信先の前記パケットスイッチ部を切替制御する切替制御部と、
前記パケットスイッチ部との間を接続しているパケット送信及び受信経路であるLinkの状態を監視するLink監視部と、
他のインターフェース部から前記パケットスイッチ部を介して送られてきた障害通知パケットを受信終端する障害通知パケット終端部と、
前記障害通知パケット終端部での障害通知パケットの受信状態から前記パケットスイッチ部への経路または前記パケットスイッチ部の障害を判定する障害診断部と、
前記障害診断部の判定情報を前記装置管理部に通知する障害通知部と、
前記コマンド受信部からの指示、前記障害診断部での判定情報に基づいて、障害通知パケットの挿入有無、前記パケットスイッチ部の系切替を制御する診断機能管理部とを備えることを特徴とするパケット中継装置。
【請求項5】
パケット通信網を構成し、データパケットを送受信する機能を備え、外部に接続されたオペレーション装置から制御可能なパケット中継装置において、
前記パケット中継装置は、
前記データパケットを送受信する複数のインターフェース部と、
前記インターフェース部から受信した前記データパケットを前記データパケットの宛先に対応する前記インターフェース部に振り分ける現用系及び予備系の2つのパケットスイッチ部との接続を確保するスイッチ接続部と、
前記複数のインターフェース部の制御を行うと共に、前記外部に接続されたオペレーション装置との間で制御信号を送受信する装置管理部とを備え、
前記インターフェース部は、
前記装置管理部からの制御コマンドを受信するコマンド受信部と、
障害通知パケットを生成して前記パケットスイッチ部へのデータパケットのストリーム内に挿入する障害通知パケット生成挿入部と、
データパケットの送信先の前記パケットスイッチ部を切替制御する切替制御部と、
前記パケットスイッチ部との間を接続しているパケット送信及び受信経路であるLinkの状態を監視するLink監視部と、
他のインターフェース部から前記パケットスイッチ部を介して送られてきた障害通知パケットを受信終端する障害通知パケット終端部と、
前記障害通知パケット終端部での障害通知パケットの受信状態から前記パケットスイッチ部への経路または前記パケットスイッチ部の障害を判定する障害診断部と、
前記障害診断部の判定情報を前記装置管理部に通知する障害通知部と、
前記コマンド受信部からの指示、前記障害診断部での判定情報に基づいて、障害通知パケットの挿入有無、前記パケットスイッチ部の系切替を制御する診断機能管理部とを備えることを特徴とするパケット中継装置。
【請求項6】
前記診断機能管理部は、前記Link監視部が前記障害診断部を介してLink断を通知してきたとき、前記パケットスイッチ部の系切替を指示すると共に、前記障害通知パケット生成挿入部に障害通知パケットの挿入を指示し、前記障害通知パケット終端部が障害通知パケットを受信したことを前記障害診断部を介して通知してきたとき、前記パケットスイッチ部の系切替を指示することを特徴とする請求項4または5記載のパケット中継装置。
【請求項7】
パケット通信網を構成し、データパケットを送受信する機能を備え、外部に接続されたオペレーション装置から制御可能なパケット中継装置の障害診断方法において、
前記パケット中継装置は、
前記データパケットを送受信する複数のインターフェース部と、
前記インターフェース部から受信した前記データパケットを前記データパケットの宛先に対応する前記インターフェース部に振り分ける現用系及び予備系の2つのパケットスイッチ部と、
前記複数のインターフェース部の制御を行うと共に、前記外部に接続されたオペレーション装置との間で制御信号を送受信する装置管理部とを備え、
前記インターフェース部は、
前記装置管理部からの制御コマンドを受信し、そのコマンドにより診断パケットの挿入が指示されると、予め定められた一定の周期で診断パケットを生成してデータパケットのストリームに挿入し、他のインターフェース部から前記パケットスイッチ部を介して送られてきた診断パケットが、予め定めた数の監視周期連続して到着しなかった場合、前記パケットスイッチ部の系切替を制御することを特徴とするパケット中継装置の障害診断方法。
【請求項8】
パケット通信網を構成し、データパケットを送受信する機能を備え、外部に接続されたオペレーション装置から制御可能なパケット中継装置の障害診断方法において、
前記パケット中継装置は、
前記データパケットを送受信する複数のインターフェース部と、
前記インターフェース部から受信した前記データパケットを前記データパケットの宛先に対応する前記インターフェース部に振り分ける現用系及び予備系の2つのパケットスイッチ部と、
前記複数のインターフェース部の制御を行うと共に、前記外部に接続されたオペレーション装置との間で制御信号を送受信する装置管理部とを備え、
前記インターフェース部は、
前記パケットスイッチ部との間を接続しているパケット送信及び受信経路であるLinkの状態を監視してLink断を検出したとき、前記パケットスイッチ部の系切替を指示すると共に、障害通知パケットを生成してデータパケットのストリームに挿入し、他のインターフェース部から前記パケットスイッチ部を介して送られてきた障害通知パケットを受信したとき、前記パケットスイッチ部の系切替を指示することを特徴とするパケット中継装置の障害診断方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2011−166514(P2011−166514A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27956(P2010−27956)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(399035766)エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 (321)
【Fターム(参考)】