説明

パターニングされたターボ機械構成部品およびターボ機械構成部品上にパターンを形成する方法

【課題】ターボ機械構成部品上にパターンを形成し、圧縮機および/またはタービン・ブレードの有効表面積を増加させて空力特性を高める。
【解決手段】
ターボ機械(2)構成部品上にパターンを形成する方法が、ターボ機械(2)構成部品の選択された表面領域に材料を加えることを含み、材料は所定のパターンで配置される。本発明の別の態様によれば、ターボ機械構成部品は、外部表面を有するボディ部分を備え、パターンが外部表面上に形成される。パターンは、直接描画(DW)プロセスを通して外部表面に加えられる材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する主題は、ターボ機械の技術に関し、より詳細には、パターニングされたターボ機械構成部品、およびターボ機械構成部品上にパターンを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械構成部品(たとえば圧縮機ブレード)は、回転して高圧空気流を発生させる。高圧空気流は、燃焼空気流と混合して、タービン・ブレードを回転させる。圧縮機ブレードおよび/またはタービン・ブレードのいずれかの空力特性が変化すると、ターボ機械の全体的な動作特性が変化する。圧縮機および/またはタービン・ブレードの表面積を増加させると、ターボ機械動作が向上することが分かっている。
【0003】
圧縮機および/またはタービン・ブレードの表面積を増加させる従来の方法としては、成形プロセスとエッチングまたは加工(すなわち表面除去)プロセスとがある。成形プロセスでは、パターンをモールド上に形成する。鋳造時に、パターンを圧縮機および/またはタービン・ブレードの表面上に形成する。パターンの構成および配置を、圧縮機および/またはタービン・ブレードの有効表面積を増加させて空力特性を高めるように定める。エッチング・プロセスでは、化学薬品、レーザ、または他の方法を用いて、圧縮機および/またはタービン・ブレードの表面から特定の部分を除去する。前述したように、パターンの構成および配置を、圧縮機および/またはタービン・ブレードの有効表面積を増加させて空力特性を高めるように定める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,200,439号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ターボ機械構成部品上にパターンを形成し、圧縮機および/またはタービン・ブレードの有効表面積を増加させて空力特性を高める。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ターボ機械構成部品上にパターンを形成する方法が、ターボ機械構成部品の選択された表面領域に材料を加えることを含み、材料は所定のパターンで配置される。
【0007】
本発明の別の態様によれば、ターボ機械構成部品は、外部表面を有するボディ部分を備える。
【0008】
パターンを外部表面上に形成する。パターンは、直接描画(DW)プロセスを通して外部表面に加えられる材料を含む。
【0009】
また、ターボ機械構成部品の選択された領域に材料を加えるためのシステムおよびコンピュータ・プログラム製品も、本明細書において説明および請求している。
【0010】
これらおよび他の優位性および特徴は、以下の説明とともに図面からより明らかとなる。
【0011】
主題は、本発明とみなされるものであるが、特に明細書の終わりの請求項において指摘され明瞭に請求される。本発明の前述および他の特徴および優位性は、以下の詳細な説明とともに添付図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】典型的な実施形態によりパターニングされたターボ機械構成部品を備えるターボ機械の部分断面図である。
【図2】図1のパターニングされたターボ機械構成部品の斜視図である。
【図3】図2のパターニングされたターボ機械構成部品の部分側面図であって、パターンを形成するためにターボ機械構成部品の表面に加えられる材料を例示する図である。
【図4】典型的な実施形態によりターボ機械構成部品上にパターンを形成する方法を例示するフロー・チャートである。
【図5】典型的な実施形態による別のパターニングされたターボ機械構成部品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明では、本発明の実施形態とともに優位性および特徴を一例として図面を参照して説明する。
【0014】
図1を参照して、典型的な実施形態により構成されるターボ機械を、概略的に2で示す。ターボ機械2は、タービン・ケーシング4を備え、タービン・ケーシング4は、燃焼室6およびタービン段8を収容している。図示した典型的な実施形態においては、タービン段8は第1段である。燃焼室6から出た燃焼ガスは、第1段ノズル10を高温ガス経路(HGP)12に沿って通って、第2段ノズル14に至る。燃焼ガスによって、ロータ・ディスク20が駆動され、その結果、タービン・シャフト(図示せず)が駆動される。ロータ・ディスク20が、ターボ機械2のホイール・スペース領域22内に配置され、複数のタービン・バケット(そのうちの1つを24で示す)が、ロータ・ディスク20に取り付けられている。各タービン・バケット24は、ボディ部分27(ベース部分30を規定する)と翼部分32とを備えている。翼部分32は第1の端部34を備え、第1の端部34は、第2の端部35まで翼表面38を通って延びている。高温ガス経路12に沿って進んだ燃焼ガスは、翼表面38に衝突して、翼部分32を周方向に押すことで、ロータ・ディスク20を回転させる。
【0015】
典型的な実施形態によれば、翼表面38は、タービン・バケット24に対する空力性能を高める複数の隆起要素(そのうちの1つを54で示す)を有するパターニングされたゾーン47を備える。各隆起要素54は、先端部分61まで延びるベース部分59を有するボディ部分57を備える。先端部分61よりもベース部分59が大きい略台形の形状を有すると示しているが、隆起要素54は、種々の形状(たとえば、矩形断面、曲線断面などを有する形状)を呈することができることを理解されたい。典型的な実施形態の一態様によれば、コーティングを、パターニングされたゾーン47に施す。コーティング65によって、各隆起要素54に対する付加的な保護が実現される。図示した典型的な実施形態においては、コーティング65は、実質的に直線的な層(linear layer)で施す。しかし、コーティング65は、外形をつける(contoure)ことも可能であることを理解されたい。典型的な実施形態の別の態様によれば、複数の孔69がボディ部分57において形成されている。孔69によって、隆起要素54の表面積がさらに増す。
【0016】
さらに典型的な実施形態によれば、パターニングされたゾーン47を、直接描画(DW)プロセスを用いて形成する。直接描画プロセスによって、材料が翼表面38に所定のパターンで加えられる。典型的な実施形態の一態様によれば、隆起要素54は、ポリマー、セラミック、金属、および複合物のうちの少なくとも1つから形成される。当然のことながら、他の材料および複合物を用いても良い。以下でより十分に説明するように、隆起要素54に対して用いる材料に応じて、パターニングされたゾーン47を加える前に、ボンド・コート78を翼表面38に施す。ボンド・コート78によって、DWプロセスを用いて加えられる複数の隆起特徴物54の粘着が高まる。
【0017】
次に、図4を参照して、パターニングされたゾーン47を形成する方法90について説明する。最初に、パターン・デザインおよび材料タイプを、DWプロセスに対して案出する(ブロック92に示す)。すなわち、パターニングされたゾーン47を形成する前に、パターンを形成するために用いる特定のタイプのパターンおよび特定の材料を案出して、DWプロセス・アプリケーションに入力する。一態様によれば、選択した特定の材料は、孔69を備える隆起要素54になる。この時点で、必要に応じて、ボンド・コート78を翼表面38に加える(ブロック94に示す)。ボンド・コート78を施し、および/またはグリット・ブラストもしくは化学的なエッチングを施して、表面粗さを向上させて粘着を高めた後に、表面堆積物を翼表面38に加える(ブロック96に示す)。表面堆積物を加えて複数の隆起特徴物54を形成した後に、翼表面38を熱処理して隆起特徴物54を固化または硬化させる(ブロック98に示す)。当然のことながら、熱処理に対する必要性は、複数の隆起特徴物を形成する際に用いる特定のタイプの材料に依存することを理解されたい。
【0018】
熱処理の後に、部分的な上塗りを複数の隆起特徴物54に施す(ブロック100に示す)。上塗りまたはコーティングを用いて、複数の隆起特徴物に対する付加的な保護を実現することは、前述した通りである。当然のことながら、上塗りまたはコーティングに対する必要性も、パターニングされたゾーン47を形成する際に用いる特定のタイプの材料に依存する。特徴物を加えること以外に、材料を除去して翼表面48に付加的なパターンを形成しても良い。材料を、1または複数の知られた技術(たとえばエッチング、レーザなど)を用いて除去する。
【0019】
この時点で、典型的な実施形態では、直接描画(DW)プロセスを用いて材料をターボ機械構成部品の表面部分に加え、パターニングされたゾーンを形成することを理解されたい。当然のことながら、いったん加えられれば、材料の一部を選択的に除去して、パターニングされたゾーンを変更/調整することができる。必要に応じて、材料の選択的な除去を、パターニングされたゾーンの一部を溶解する溶媒を用いて、またはパターニングされたゾーンの一部を除去/変更するためのレーザを用いて、行なう。3次元(3D)表面(たとえば前述のタービン・バケット)上にパターンを設けることに加えて、典型的な実施形態を用いて、パターニングされたゾーン110を2次元(2D)表面(たとえば図5に示す側板(シュラウド)120)上に形成することができる。表面に関係なく、付加的な材料によって、ターボ機械構成部品の構造安定性が高まる。すなわち、既存のターボ機械構成部品上にパターンを形成するための従来のプロセスでは材料を除去する必要があるが、その代わりに、典型的な実施形態では、ターボ機械構成部品に材料を加えて空力特性を高める。
【0020】
本発明を限られた数の実施形態に関してのみ詳細に説明してきたが、本発明はこのような開示された実施形態に限定されないことが容易に理解されるはずである。むしろ、これまで説明してはいないが本発明の趣旨および範囲に見合う任意の数の変形、変更、置換、または等価な配置を取り入れるように、本発明を変更することができる。さらに加えて、本発明の種々の実施形態について説明してきたが、本発明の態様には、説明した実施形態の一部のみが含まれる場合があることを理解されたい。したがって本発明は、前述の説明によって限定されると考えるべきではなく、添付の請求項の範囲のみによって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械構成部品(24)上にパターンを形成する方法であって、ターボ機械構成部品(24)の選択された表面領域(38)に、直接描画(DW)プロセスを用いて材料を加えることであって、材料は所定のパターンで配置される、加えること、を含む方法。
【請求項2】
選択された表面領域(38)に材料を加えることは、選択された表面領域(38)に2次元構造および3次元構造の少なくとも一方を加えることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ターボ機械構成部品(24)の選択された表面領域(38)に加えるべき所定のパターンを規定するコンピュータ描画ファイルを形成することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ターボ機械構成部品にパターンを直接移すことをさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ノズル分配プロセス、溶射プロセス、ソフト・リソグラフィ・プロセス、およびレーザ・プロセスのうちの少なくとも1つを用いて材料を加えることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
選択された表面領域(38)に加えた材料の一部を除去することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
材料の一部を除去することは、材料の所定の部分をレーザを用いて溶解することを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
材料を加えて、圧縮機ブレードおよびタービン・ブレード(24)の一方の表面領域(38)を選ぶ請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−137466(P2011−137466A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289136(P2010−289136)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】