説明

パターン形成方法及びパターン形成体

【課題】複数回のリソグラフィ工程を実施することなく、多段の凸形状からなる微細3次元構造パターンを形成することが可能なパターン形成方法及びパターン形成体を提供する。
【解決手段】基板900の面上に第1と第2のエッチングマスク層100,200と、パターニング処理した第3層目のエッチングマスク301を積層し、この第1層目から第3層目のエッチングマスク層100,200、301において、隣接する上層のエッチングマスクをエッチング用マスクとして下層のエッチングマスクをエッチングし上層のエッチングマスクに形成されたパターンを下層のエッチングマスクに転写する。そして、第3層目のエッチングマスク301のパターンをトリミングした後、該トリミング後のエッチングマスクとエッチング後の第1及び第2層目のエッチングマスクを用いて基板を順にエッチングし、第1及び第2層目のエッチングマスクのパターンを基板900に転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な三次元構造のパターン形成方法及び該パターン形成方法を用いて製造されたパターン形成体に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に特定の微細な3次元構造パターンを形成した構造物は、広範に用いられている。微細な3次元構造パターンを形成した構造物としては、例えば、半導体デバイス、光学素子、配線回路、記録デバイス、医療検査用チップ、ディスプレイパネル、マイクロ流路などが挙げられる。
【0003】
近年、より微細なパターンや、より段数の多い構造に対する要求が増加している。例えば、多段の凸形状からなる微細3次元構造を有する撮影素子(特許文献1参照)やレンズシート(特許文献2参照)などが考案されている。
【0004】
複数の段差を有する微細3次元構造の形成方法としては、例えば半導体分野におけるデュアルダマシン構造の形成方法としてインプリント法が提案されている(特許文献3参照)。インプリント法においては、モールドに形成された3次元構造パターンを転写することが可能であるので、多段構造のパターンを転写することも可能である。これにより、必要な工程数を削減できるということから、多段構造のインプリントモールドに対する要望が高まっている。
【0005】
微細3次元構造を有するインプリントモールドの製造方法としては、例えば下記特許文献4に示されるような、基材をエッチングする際のハードマスクに複数の段差を設けた単層ハードマスクパターンを形成し、基材にハードマスクパターンを転写する方法や、下記特許文献5に示されるような、基材をエッチングするハードマスクを複数層積層し、複数の段差を有する多層ハードマスクパターンとし、基材にハードマスクパターンを転写する方法が知られている。
【0006】
また、積層体に多段の凸形状を形成したダイクロイックミラー(特許文献6参照)も考案されており、さらに下記特許文献6には、隣接する2層のうち上層のエッチングに対して下層がエッチングストッパ層としての機能を有し、リソグラフィ工程によるレジストパターン形成と、積層体のエッチングを交互に繰り返す製造方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、上記いずれの方法においても、インプリントモールド基板の上にハードマスク層に段差を形成する工程において、各段を形成するために、荷電粒子線リソグラフィなどの手法を用いた、ハードマスク、もしくは積層体をエッチングするためのエッチングマスク形成を必要回数だけ繰り返さなくてはならない。
さらに、ハードマスクの膜厚が大きい場合、例えばハードマスクをエッチングするためのエッチングマスクを荷電粒子線リソグラフィなどの手法により形成しようとすると、既にパターンが形成されたハードマスクパターン領域において生じた段差により、均一な膜厚のリソグラフィ用レジスト膜が得られず、パターンが倒壊してしまう恐れがある他、各レジストパターン形成時に行うアライメントの不良などにより、パターン形成の歩留まりの悪化が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−344709号公報
【特許文献2】特開2010−204518号公報
【特許文献3】特表2007−521645号公報
【特許文献4】特開2009−111241号公報
【特許文献5】特開2011−71383号公報
【特許文献6】特開2009−272622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するためになされたもので、複数回のリソグラフィ工程を実施することなく、多段の凸形状からなる微細3次元構造パターンを形成することが可能なパターン形成方法及びパターン形成体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、パターン形成方法であって、基板の一方の面上に2層以上の複数のエッチングマスク層を積層するエッチングマスク積層工程と、前記積層された最上層のエッチングマスク層から最下層のエッチングマスク層まで、上層のエッチングマスク層にエッチングマスクを形成し該エッチングマスクを使用して下層のエッチングマスク層にエッチングマスクを順に形成していく第1のエッチング工程と、前記第1のエッチング工程後に、前記積層された最上層のエッチングマスクから最下層のエッチングマスクまで、上層のエッチングマスクのマスクパターンを使用して下層のエッチングマスクを順に再エッチングしていく第2のエッチング工程と、前記第2のエッチング工程で処理された前記最下層のエッチングマスクから前記最上層のエッチングマスクを順に全て使用し、前記基板をエッチングマスク毎にエッチング処理し、これらエッチングマスクに形成されたパターンを基板に転写する転写工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載のパターン形成方法において、前記第1のエッチング工程後で前記第2のエッチング工程の前に、前記最上層のエッチングマスクのマスクパターンをトリミングするトリミング工程を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2記載のパターン形成方法において、前記最上層のエッチングマスクは、パターニング処理を実施したリソグラフィ用のレジスト材料から構成されることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至3に何れか1項記載のパターン形成方法において、前記転写工程で使用されたエッチングマスクを除去する除去工程を更に備えることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至4に何れか1項記載のパターン形成方法において、珪素(Si)、または窒化珪素(SiN)、またはタンタル(Ta)、または窒化タンタル(TaN)、またはモリブデン(Mo)、もしくはその混合物を第1グループとし、二酸化珪素(SiO)、または酸化タンタル(Ta)、または、タンタル酸リチウム(LiTaO)、またはニオブ酸リチウム(LiNbO)、もしくはその混合物を第2グループとし、クロム(Cr)、または窒化クロム(CrN)、または酸化窒化クロム(CrON)、またはルテニウム(Ru)、もしくはその混合物を第3グループとし、ニッケル(Ni)とCrの合金NiCr、または酸化チタン(TiO)、または酸化インジウム(InO)、または酸化錫(SnO)、または窒化ガリウム(GaN)、または酸化アルミニウム(Al)、もしくはその混合物を第4グループとし、前記基板を構成する材料、前記最上層から最下層のエッチングマスク層を構成する材料が前記第1乃至第4グループのうち、少なくとも2つのグループ以上から構成され、前記隣接する上層と下層のエッチングマスク層は互いに異なるグループの材料から構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、パターン形成体であって、請求項1乃至5に何れか1項記載のパターン形成方法を用いて製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のパターン形成方法及びパターン形成体によれば、積層された最上層のエッチングマスク層から最下層のエッチングマスク層まで、上層のエッチングマスク層にエッチングマスクを形成し該エッチングマスクを使用して下層のエッチングマスク層にエッチングマスクを順に形成し、さらに、このエッチング工程後に、積層された最上層のエッチングマスクから最下層のエッチングマスクまで、上層のエッチングマスクのマスクパターンを使用して下層のエッチングマスクを順に再エッチングする構成にしたので、複数回のリソグラフィ工程を実施することなく、3次元構造パターンを形成することができる。これにより、3次元構造パターン形成において、歩留まりを低減するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるパターン形成方法の各工程を示す説明用断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態におけるパターン形成方法の各工程を示す説明用断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態におけるパターン形成方法の各工程を示す説明用断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態におけるパターン形成方法の各工程を示す説明用断面図である。
【図5】本発明の第4の実施形態におけるパターン形成方法の各工程を示す説明用断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1から第4の実施の形態まで図面を参照ながら説明する。尚、第1から第4の実施形態では、基板、またはエッチングマスクを構成する材料として、Si、SiO、Crを適用している。Siは六フッ化硫黄ガスを用いたプラズマによりエッチング処理することが可能であり、同様にエッチング処理可能なSiNやTaやTaNやMoなどを代替として適用することが可能である。SiOはフッ化炭素ガスを用いたプラズマによりエッチング処理することが可能であり、同様にエッチング処理可能なTa、LiTaO、LiNbOなどを代替として適用することが可能である。Crは塩素と酸素の混合ガスを用いたプラズマによりエッチング可能であり、同様にエッチング処理可能なCrNや、CrONや、Ruなどを代替として適用することが可能である。その他、塩素、もしくは三塩化ホウ素の少なくとも1つを含むガスを用いたプラズマにてエッチング処理可能な、NiCrや、TiO、InO、SnO、GaN、Alなどを基板、もしくはエッチングマスクを構成する材料として適用することも可能である。
【0019】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について、図1を参照して詳細に説明する。
まず、図1(a)に示したように、Siで構成された基板900の表面に、Crで構成される第1層目のエッチングマスク層100を形成し、続けてSiOで構成される第2層目のエッチングマスク層200を形成する。
上記エッチングマスク層100,200の形成には公知の技術、例えばスパッタリングなどを用いることができる。
【0020】
次に、図1(b)に示したように、パターニング処理を実施したリソグラフィ用のレジスト材料から構成される第3層目のエッチングマスク層301を形成する。エッチングマスク層301のパターニング処理には公知の技術、例えば荷電粒子線や紫外線などを用いたリソグラフィ技術を用いることができる。
【0021】
次に、図1(c)に示したように、パターンが形成された第3層目のエッチングマスク層301をエッチングマスクとして、第2層目のエッチングマスク層200をエッチング処理し、第3層目のエッチングマスク層301に形成されたパターンが転写された第2層目エッチングマスク201を得る。
上記SiOで構成される第2層目のエッチングマスク200のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、Cなどのフッ化炭素ガスを用いることができる。
【0022】
次に、図1(d)に示したように、パターンが形成された第2層目のエッチングマスク201をエッチングマスクとして、第1層目のエッチングマスク層100をエッチング処理し、第2層目のエッチングマスク201に形成されたパターンが転写された第1層目エッチングマスク101を得る。
上記Crで構成される第1層目のエッチングマスク層100のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば塩素と酸素の混合ガスなどを用いることができる。
【0023】
次に、図1(e)に示したように、図1(d)に示す第3層目のエッチングマスク層301に形成されたパターンのトリミング工程を実施し、第3層目のエッチングマスクの存在するパターン領域が縮小された第3層目のエッチングマスク302を得る。
上記トリミング工程では公知の技術、例えば酸素プラズマによるスリミング技術を用いることができる。
【0024】
次に、図1(f)に示したように、パターンが形成された第3層目のエッチングマスク302をエッチングマスクとして、第2層目のエッチングマスク201をエッチング処理し、第3層目のエッチングマスク302に形成されたパターンが転写された第2層目エッチングマスク202を得る。
上記SiOで構成される第2層目のエッチングマスク201のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、Cなどのフッ化炭素ガスを用いることができる。
【0025】
次に、図1(g)に示したように、図1(f)に示す第3層目のエッチングマスク302の除去工程を実施し、第2層目のエッチングマスク202のパターン領域が、第1層目のエッチングマスク101の領域よりも小さい、階段状の2層エッチングマスクパターンを得る。
上記第3層目のエッチングマスク302の除去には公知の技術、例えば硫酸と過酸化水素水の混合溶液を用いるSPM洗浄を用いることができる。但し、後続の工程において、該工程が必ずしも必要でない場合は、該工程を省くことも可能である。
【0026】
次に、図1(h)に示したように、パターンが形成された第1層目のエッチングマスク101をエッチングマスクとして、Siで構成される基板900をエッチング処理し、第1層目のエッチングマスク101に形成されたパターンが転写された基板901を得る。
上記Siで構成される基板900のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、六フッ化硫黄などのガスを用いることができる。
【0027】
次に、図1(i)に示したように、図1(h)に示すパターンが形成された第2層目のエッチングマスク202をエッチングマスクとして、第1層目のエッチングマスク101をエッチング処理し、第2層目のエッチングマスク202に形成されたパターンが転写された第1層目エッチングマスク102を得る。
上記Crで構成される第1層目のエッチングマスク101のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば塩素と酸素の混合ガスなどを用いることができる。
【0028】
次に、図1(j)に示したように、図1(i)に示す第2層目のエッチングマスク202の除去工程を実施する。上記第2層目のエッチングマスク202の除去には公知の技術、例えばフッ化水素酸溶液によるSiOウェットエッチング洗浄を用いることができる。
尚、該除去工程は、後述する第1層目のエッチングマスク102の除去工程の直前に行うことも可能である。
【0029】
次に、図1(k)に示したように、パターンが形成された第1層目のエッチングマスク102をエッチングマスクとして、Siで構成される基板901をエッチング処理し、第1層目のエッチングマスク102に形成されたパターンが転写された基板902を得る。
上記Siで構成される基板901のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、六フッ化硫黄などのガスを用いることができる。
【0030】
次に、図1(l)に示したように、図1(k)に示す第1層目のエッチングマスク102の除去工程を実施する。
上記第2層目のエッチングマスク102の除去には公知の技術、例えば硝酸アンモニウムセリウム溶液によるCrウェットエッチング洗浄を用いることができる。
【0031】
上記各工程を経て、図1(g)に示した、第2層目のエッチングマスク202のパターン領域が、第1層目のエッチングマスク101のパターン領域よりも小さい、階段状の2層エッチングマスクパターンが転写されたSiで構成される基板902を得る。
【0032】
第1の実施の形態に示すパターン形成方法のように、基板上に形成するエッチングマスクの積層数が奇数、すなわち2M+1の場合は、少なくとも2M回の上層エッチングマスクパターンの下層エッチングマスクへのエッチング転写工程と、M回の最上層に形成されたエッチングマスクパターンのトリミング工程が必要になる。ここで、Mは1以上の自然数を表す。
【0033】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について、図2を参照して詳細に説明する。
まず、図2(a)に示したように、SiOで構成された基板910の表面に、Crから構成される第1層目のエッチングマスク層110を形成する。上記エッチングマスク層110の形成には公知の技術、例えばスパッタリングなどを用いることができる。
【0034】
次に、図2(b)に示したように、Crから構成される1層目のエッチングマスク層110上に、パターニング処理を実施したSiで構成される第2層目のエッチングマスク211を形成する。
エッチングマスク211のパターニング処理には公知の技術、例えば荷電粒子線や紫外線などを用いたリソグラフィ技術によりリソグラフィ用のレジストパターン形成後に、電子線蒸着法によりSi層を形成し、レジスト除去工程を実施するリフトオフ技術を用いることができる。
【0035】
次に、図2(c)に示したように、パターンが形成された第2層目のエッチングマスク211をエッチングマスクとして、第1層目のエッチングマスク層110をエッチング処理し、第2層目のエッチングマスク211に形成されたパターンが転写された第1層目エッチングマスク111を得る。
上記Crで構成される第1層目のエッチングマスク層110のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば塩素と酸素の混合ガスなどを用いることができる。
【0036】
次に、図2(d)に示したように、図2(c)に示す第2層目のエッチングマスク211に形成されたパターンのトリミング工程を実施し、第2層目のエッチングマスクの存在するパターン領域が縮小された第2層目のエッチングマスク212を得る。
上記トリミング工程により、第2層目のエッチングマスク212のパターン領域が、第1層目のエッチングマスク111のパターン領域よりも小さい、階段状の2層エッチングマスクパターンを得る。上記トリミング工程では公知の技術、例えば六フッ化硫黄プラズマにより等方的にエッチングするスリミング技術を用いることができる。
【0037】
次に、図2(e)に示したように、パターンが形成された第1層目のエッチングマスク111をエッチングマスクとして、SiOで構成される基板910をエッチング処理し、第1層目のエッチングマスク111に形成されたパターンが転写された基板911を得る。
上記SiOで構成される基板910のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、Cなどのフッ化炭素ガスを用いることができる。
【0038】
次に、図2(f)に示したように、図2(e)に示すパターンが形成された第2層目のエッチングマスク212をエッチングマスクとして、第1層目のエッチングマスク111をエッチング処理し、第2層目のエッチングマスク212に形成されたパターンが転写された第1層目エッチングマスク112を得る。
上記Crで構成される第1層目のエッチングマスク111のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば塩素と酸素の混合ガスなどを用いることができる。
【0039】
次に、図2(g)に示したように、図2(f)に示す第2層目のエッチングマスク212の除去工程を実施する。第2層目のエッチングマスク212の除去には公知の技術、例えば水酸化カリウム溶液によるSiウェットエッチング洗浄を用いることができる。
尚、該除去工程は、後述する第1層目のエッチングマスク112の除去工程の直前に行うことも可能である。
【0040】
次に、図2(h)に示したように、パターンが形成された第1層目のエッチングマスク112をエッチングマスクとして、SiOで構成される基板911をエッチング処理し、第1層目のエッチングマスク112に形成されたパターンが転写された基板912を得る。
上記Siで構成される基板911のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、Cなどのフッ化炭素ガスを用いることができる。
【0041】
次に、図2(i)に示したように、図2(h)に示す第1層目のエッチングマスク112の除去工程を実施する。第2層目のエッチングマスク112の除去には公知の技術、例えば硝酸アンモニウムセリウム溶液によるCrウェットエッチング洗浄を用いることができる。
【0042】
上記各工程を経て、図2(d)に示した第2層目のエッチングマスク212のパターン領域が、第1層目のエッチングマスク111のパターン領域よりも小さい、階段状の2層エッチングマスクパターンが転写されたSiOで構成される基板912を得ることができる。
【0043】
第2の実施の形態に示すパターン形成方法のような、基板上に形成するエッチングマスクの積層数が偶数、すなわち2Mの場合は、少なくとも2M−1回の上層エッチングマスクパターンの下層エッチングマスクへのエッチング転写工程と、M回の最上層に形成されたエッチングマスクパターンのトリミング工程が必要になる。
【0044】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について、図3及び図4を参照して詳細に説明する。
まず、図3(a)に示したように、SiOで構成された基板920の表面に、Crから構成される第1、3、5層目のエッチングマスク層120、320、520を、Siから構成される第2、4層目のエッチングマスク層220、420を交互に形成した積層体を得る。
上記エッチングマスクの形成には公知の技術、例えばスパッタリングなどを用いることができる。積層体は隣接する2層のうち上層が下層のエッチングマスクとしての機能を有し、最下層が基板920のエッチングマスクとしての機能を有するという条件を満足すれば、材料は任意に適用可能である。その場合、後述する各エッチングマスクのエッチング処理の際に、それぞれ好適な手段を適用する必要がある。
【0045】
次に、図3(b)に示したように、パターニング処理を実施したリソグラフィ用のレジスト材料から構成される第6層目のエッチングマスク621を形成する。
エッチングマスク621のパターニング処理には公知の技術、例えば荷電粒子線や紫外線などを用いたリソグラフィ技術を用いることができる。
【0046】
次に、図3(c)に示したように、パターンが形成された第6層目のエッチングマスク621をエッチングマスクとして、第5層目のエッチングマスク層520をエッチング処理し、第6層目のエッチングマスク621に形成されたパターンが転写された第5層目エッチングマスク521を得る。
上記Crで構成される第5層目のエッチングマスク521のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば塩素と酸素の混合ガスなどを用いることができる。
【0047】
次に、図3(d)に示したように、パターンが形成された第5層目のエッチングマスク521をエッチングマスクとして、第4層目のエッチングマスク層420をエッチング処理し、第5層目のエッチングマスク521に形成されたパターンが転写された第4層目エッチングマスク421を得る。
上記Siで構成される第4層目のエッチングマスク421のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、六フッ化硫黄などのガスを用いることができる。
【0048】
次に、図3(e)に示したように、図3(d)に示す第6層目のエッチングマスク621に形成されたパターンのトリミング工程を実施し、第6層目のエッチングマスクの存在するパターン領域が縮小された第6層目のエッチングマスク622を得る。
上記トリミング工程では公知の技術、例えば、酸素プラズマによるスリミング技術を用いることができる。尚、第4層目のエッチングマスク層420をエッチング処理に適用したプラズマで、第6層目のエッチングマスク621のパターン領域を縮小し、第6層目のエッチングマスク622が得られた場合は、該工程は省略される。
【0049】
次に、図3(f)に示したように、図3(e)に示すパターンが形成された第6層目のエッチングマスク622をエッチングマスクとして、第5層目のエッチングマスク521をエッチング処理し、第6層目のエッチングマスク622に形成されたパターンが転写された第5層目エッチングマスク522を得る。また、パターンが形成された第4層目のエッチングマスク421をエッチングマスクとして、第3層目のエッチングマスク層320も同時にエッチング処理され、第4層目のエッチングマスク421に形成されたパターンが転写された第3層目エッチングマスク321を得る。
上記Crで構成される第3層目のエッチングマスク層320、5層目のエッチングマスク521のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば塩素と酸素の混合ガスなどを用いることができる。
尚、第3層目のエッチングマスク層に、第5層目のエッチングマスクのエッチング処理に使用するプラズマに対しエッチング耐性を有する材料を適用した場合は、別途第4層目のエッチングマスク421をエッチングマスクとする、第3層目のエッチングマスク層320のエッチング処理を好適な手段にて実施する必要がある。
【0050】
次に、図3(g)に示したように、図3(f)に示すパターンが形成された第5層目のエッチングマスク522をエッチングマスクとして、第4層目のエッチングマスク421をエッチング処理し、第5層目のエッチングマスク522に形成されたパターンが転写された第4層目エッチングマスク422を得る。また、パターンが形成された第3層目のエッチングマスク321をエッチングマスクとして、第2層目のエッチングマスク層220も同時にエッチング処理され、第3層目のエッチングマスク321に形成されたパターンが転写された第2層目エッチングマスク221を得る。
上記Siで構成される第2層220、4層目のエッチングマスク421のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば六フッ化硫黄ガスなどを用いることができる。
尚、第2層目のエッチングマスク層に、第4層目のエッチングマスクのエッチング処理に使用するプラズマに対しエッチング耐性を有する材料を適用した場合は、別途第3層目のエッチングマスク321をエッチングマスクとする、第2層目のエッチングマスク層220のエッチング処理を好適な手段にて実施する必要がある。
【0051】
次に、図3(h)に示したように、第6層目のエッチングマスク622に形成されたパターンのトリミング工程を実施し、第6層目のエッチングマスクの存在するパターン領域が縮小された第6層目のエッチングマスク623を得る。
上記エッチングマスク622のトリミング工程では公知の技術、例えば酸素プラズマによるスリミング技術を用いることができる。
尚、第2、4層目のエッチングマスク層220、420をエッチング処理に適用したプラズマで、第6層目のエッチングマスク622のパターン領域を縮小し、第6層目のエッチングマスク623が得られた場合は、該トリミング工程は省略される。
【0052】
次に、図3(i)に示したように、図3(h)に示すパターンが形成された第6層目のエッチングマスク623をエッチングマスクとして、第5層目のエッチングマスク522をエッチング処理し、第6層目のエッチングマスク623に形成されたパターンが転写された第5層目エッチングマスク523を得る。また、パターンが形成された第4層目のエッチングマスク422をエッチングマスクとして、第3層目のエッチングマスク321が、さらにパターンが形成された第2層目のエッチングマスク221をエッチングマスクとして、第1層目のエッチングマスク層120が、同時にエッチング処理され、第4層目のエッチングマスク422に形成されたパターンが転写された第3層目エッチングマスク322、および第2層目のエッチングマスク221に形成されたパターンが転写された第1層目エッチングマスク121が得られる。
上記Crで構成される第1層目のエッチングマスク層120、第3、5層目のエッチングマスク321、522のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば塩素と酸素の混合ガスなどを用いることができる。尚、第1、もしくは3層目のエッチングマスクに、第5層目のエッチングマスクのエッチング処理に使用するプラズマに対しエッチング耐性を有する材料を適用した場合は、別途、第4層目のエッチングマスク422をエッチングマスクとする第3層目のエッチングマスク321のエッチング処理、もしくは第2層目のエッチングマスク221をエッチングマスクとする、第1層目のエッチングマスク層120のエッチング処理を好適な手段にて実施する必要がある。
【0053】
次に、図3(j)に示したように、図3(i)に示す第6層目のエッチングマスク623の除去工程を実施し、第5層目のエッチングマスク523のパターン領域が第4層目のエッチングマスク422のパターン領域よりも小さく、第3層目のエッチングマスク322のパターン領域が第2層目のエッチングマスク221のパターン領域よりも小さい、階段状に形成されたエッチングマスクパターンを得る。
上記第6層目のエッチングマスク623の除去には公知の技術、例えば硫酸と過酸化水素水の混合溶液を用いるSPM洗浄を用いることができる。尚、上記除去工程は後述する第4層目のエッチングマスク422、および第2層目のエッチングマスク221のエッチング処理以後に実施することも可能である。
【0054】
次に、図3(k)に示したように、パターンが形成された第5層目のエッチングマスク523をエッチングマスクとして、第4層目のエッチングマスク422をエッチング処理し、第5層目のエッチングマスク523に形成されたパターンが転写された第4層目エッチングマスク423を得る。また、パターンが形成された第3層目のエッチングマスク322をエッチングマスクとして、第2層目のエッチングマスク221が同時にエッチング処理され、第3層目のエッチングマスク322に形成されたパターンが転写された第2層目エッチングマスク222を得る。以上により、第4層目のエッチングマスク423のパターン領域が、第3層目のエッチングマスク322のパターン領域よりも小さく、第2層目のエッチングマスク222の領域が、第1層目のエッチングマスク121の領域よりも小さい、階段状に形成されたエッチングマスクパターンを得る。
上記Siで構成される第2、4層目のエッチングマスク221、422のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば六フッ化硫黄ガスなどを用いることができる。尚、第2層目のエッチングマスクに、第4層目のエッチングマスクのエッチング処理に使用するプラズマに対しエッチング耐性を有する材料を適用した場合は、別途第3層目のエッチングマスク322をエッチングマスクとする、第2層目のエッチングマスク221のエッチング処理を好適な手段にて実施する必要がある。
なお、図3に示すパターン形成方法では、図3(k)に示す工程が終了した段階で完成品とすることができる。また、図3(k)に示す完成品では、SiOからなる基板上にSiからなるエッチングマスクとCrからなるエッチングマスクとが交互に積層されたものとなる。
【0055】
図4は、図3の(k)に示す階段状のエッチングマスクパターンを形成する工程に引き続いて行われるパターン形成の工程を表したものであり、同図(a)は図3(k)に示す工程と同様に、基板920の表面にエッチングマスクパターンを階段状に形成する工程である。したがって、ここでは、図4(b)以下に示す工程について説明する。
まず、図4(a)に示す工程が終了した後、図4(b)に示したように、パターンが形成された第1層目のエッチングマスク121をエッチングマスクとして、SiOで構成される基板920をエッチング処理し、第1層目のエッチングマスク121に形成されたパターンが転写された基板921を得る。上記SiOで構成される基板920のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、Cなどのフッ化炭素ガスを用いることができる。
【0056】
次に、図4(c)に示したように、パターンが形成された第2層目のエッチングマスク222をエッチングマスクとして、第1層目のエッチングマスク121をエッチング処理し、第2層目のエッチングマスク222に形成されたパターンが転写された第1層目エッチングマスク122を得る。また、表面が露出している第5層目のエッチングマスク523が、さらにパターンが形成された第4層目のエッチングマスク423をエッチングマスクとして、第3層目のエッチングマスク322が、同時にエッチング処理され第5層目のエッチングマスク523は膜厚が減少、もしくは消失し、さらに第4層目のエッチングマスク423に形成されたパターンが転写された第3層目エッチングマスク323を得る。
上記Crで構成される第1層目のエッチングマスク121のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば塩素と酸素の混合ガスなどを用いることができる。但し、第3層目のエッチングマスク321に、第1層目のエッチングマスクのエッチング処理に使用するプラズマに対しエッチング耐性を有する材料を適用した場合は、別途第4層目のエッチングマスク423をエッチングマスクとする、第3層目のエッチングマスク322のエッチング処理を好適な手段にて実施する必要がある。
【0057】
次に、図4(d)に示したように、パターンが形成された第3層目のエッチングマスク323をエッチングマスクとして、第2層目のエッチングマスク222をエッチング処理し、第2層目のエッチングマスク323に形成されたパターンが転写された第2層目エッチングマスク223を得る。ここで、上記第1層目のエッチングマスク121のエッチング処理にて、第5層目のエッチングマスク523が消失していた場合、表面が露出している第4層目のエッチングマスク423が同時にエッチング処理され、膜厚が減少、もしくは消失する。
上記Siで構成される第2層目のエッチングマスク222のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば塩素と酸素の混合ガスなどを用いることができる。尚、該エッチング工程は後述する基板921のエッチング処理後に実施することも可能である。
【0058】
次に、図4(e)に示したように、パターンが形成された第1層目のエッチングマスク122をエッチングマスクとして、SiOで構成される基板921をエッチング処理し、第1層目のエッチングマスク122に形成されたパターンが転写された基板922を得る。
上記SiOで構成される基板921のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、Cなどのフッ化炭素ガスを用いることができる。
【0059】
次に、図4(f)に示したように、パターンが形成された第2層目のエッチングマスク223をエッチングマスクとして、第1層目のエッチングマスク122をエッチング処理し、第2層目のエッチングマスク223に形成されたパターンが転写された第1層目エッチングマスク123を得る。ここで、前記第2層目のエッチングマスク222のエッチング処理にて、第4層目のエッチングマスク423が消失していた場合、表面が露出している第3層目のエッチングマスク323が同時にエッチング処理され、膜厚が減少、もしくは消失する。
上記Crで構成される第1層目のエッチングマスク122のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば塩素と酸素の混合ガスなどを用いることができる。
【0060】
次に、図4(g)に示したように、図4(f)に示す第2層目のエッチングマスク223の除去工程を実施する。
上記第2層目のエッチングマスク223の除去には公知の技術、例えば水酸化カリウム溶液によるSiウェットエッチング洗浄を用いることができる。但し、第2層目のエッチングマスク223の上部に、第3、4、5層目のエッチングマスクが存在している場合は、好適な手段にて除去する必要がある。
なお、上記除去工程は、後述する基板922のエッチング処理の直後に行うことも可能である。
【0061】
次に、図4(h)に示したように、パターンが形成された第1層目のエッチングマスク123をエッチングマスクとして、SiOで構成される基板922をエッチング処理し、第1層目のエッチングマスク123に形成されたパターンが転写された基板923を得る。
上記SiOで構成される基板922のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、Cなどのフッ化炭素ガスを用いることができる。
【0062】
次に、図4(i)に示したように、図4(h)に示す第1層目のエッチングマスク123の除去工程を実施する。上記第2層目のエッチングマスク123の除去には公知の技術、例えば硝酸アンモニウムセリウム溶液によるCrウェットエッチング洗浄を用いることができる。
以上により、図4(a)に示した階段状のエッチングマスクパターンが転写された基板923を得ることができる。
【0063】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施形態について、図5を参照して詳細に説明する。尚、図3と同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、特に断る場合を除き同じ説明を繰り返さないものとする。
【0064】
図5(a)に示した階段状のエッチングマスクパターンを形成する工程までは、第3の実施の形態に示す図3(a)から図3(j)を得る工程までと同じである。
【0065】
まず、図5(a)に示す工程が終了した後、図5(b)に示したように、パターンが形成された第1層目のエッチングマスク121をエッチングマスクとして、SiOで構成される基板920をエッチング処理し、第1層目のエッチングマスク121に形成されたパターンが転写された基板921を得る。
この基板920のエッチング処理にはプラズマエッチングを適用し、エッチングに用いるガスをCなどのフッ化炭素ガスに六フッ化硫黄を添加した混合ガスとすることにより、SiOとSiを同時にエッチング処理できるプラズマを生成する。これにより、基板920のエッチングと同時に、パターンが形成された第5層目のエッチングマスク523をエッチングマスクとして、第4層目のエッチングマスク422がエッチング処理され、またパターンが形成された第3層目のエッチングマスク322をエッチングマスクとして、第2層目のエッチングマスク221がエッチング処理されるため、第5層目のエッチングマスク523のパターンが転写された第4層目のエッチングマスク423、第3層目のエッチングマスク322のパターンが転写された第2層目のエッチングマスク222が得られる。
【0066】
次に、図5(c)に示したように、パターンが形成された第2層目のエッチングマスク222をエッチングマスクとして、第1層目のエッチングマスク121をエッチング処理し、第2層目のエッチングマスク222に形成されたパターンが転写された第1層目エッチングマスク122を得る。ここで、表面が露出している第5層目のエッチングマスク523が、さらにパターンが形成された第4層目のエッチングマスク423をエッチングマスクとして、第3層目のエッチングマスク322が、同時にエッチング処理され第5層目のエッチングマスク523は膜厚が減少、もしくは消失し、第4層目のエッチングマスク423に形成されたパターンが転写された第3層目エッチングマスク323を得る。
上記Crで構成される第1層目のエッチングマスク121のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、例えば塩素と酸素の混合ガスなどを用いることができる。
【0067】
次に、図5(d)に示したように、パターンが形成された第1層目のエッチングマスク122をエッチングマスクとして、SiOで構成される基板921をエッチング処理し、第1層目のエッチングマスク122に形成されたパターンが転写された基板922を得る。
この基板921のエッチング処理にはプラズマエッチングを適用し、エッチングに用いるガスをCなどのフッ化炭素ガスに六フッ化硫黄を添加した混合ガスとすることにより、SiOとSiを同時にエッチング処理できるプラズマを生成する。これにより、基板921のエッチングと同時に、パターンが形成された第3層目のエッチングマスク323をエッチングマスクとして、第2層目のエッチングマスク222がエッチング処理され、るため、第3層目のエッチングマスク323のパターンが転写された第2層目のエッチングマスク223が得られる。また前記工程で第5層目のマスクパターンが消失していた場合、表面が露出している第4層目のマスクパターンは膜厚が減少、もしくは消失する。
【0068】
次に、図5(e)に示したように、パターンが形成された第2層目のエッチングマスク223をエッチングマスクとして、第1層目のエッチングマスク122をエッチング処理し、第2層目のエッチングマスク223に形成されたパターンが転写された第1層目エッチングマスク123を得る。ここで、前記第2層目のエッチングマスク222のエッチング処理にて、第4層目のエッチングマスク423が消失していた場合、表面が露出している第3層目のエッチングマスク323が同時にエッチング処理され、膜厚が減少、もしくは消失する。
【0069】
次に、図5(f)に示したように、図5(e)に示す第2層目のエッチングマスク223の除去工程を実施する。
上記第2層目のエッチングマスク223の除去には公知の技術、例えば水酸化カリウム溶液によるSiウェットエッチング洗浄を用いることができる。但し、第2層目のエッチングマスク223の上部に、第3、4、5層目のエッチングマスクが存在している場合は、好適な手段にて除去する必要がある。なお、該除去工程は、後述する基板922のエッチング処理の直後に行うことも可能である。
【0070】
次に、図5(g)に示したように、パターンが形成された第1層目のエッチングマスク123をエッチングマスクとして、SiOで構成される基板922をエッチング処理し、第1層目のエッチングマスク123に形成されたパターンが転写された基板923を得る。
上記SiOで構成される基板922のエッチングには公知の技術、例えばプラズマエッチングを用いることができ、エッチングに用いるガスとしては、Cなどのフッ化炭素ガスを用いることができる。
【0071】
次に、図4(h)に示したように、図5(g)に示す第1層目のエッチングマスク123の除去工程を実施する。
上記第2層目のエッチングマスク123の除去には公知の技術、例えば硝酸アンモニウムセリウム溶液によるCrウェットエッチング洗浄を用いることができる。
以上により、図5(a)に示した階段状のエッチングマスクパターンが転写された基板923を得ることができる。
【0072】
上記第4の実施の形態に示すように、N段の凸形状からなるパターンを基板へ転写する際には、少なくとも、N回の第1から第N層目エッチングマスクパターンの基板への転写工程と、N−1回の第2層目のエッチングマスクパターンの第1層目のエッチングマスクパターンの転写工程が必要となる。
【0073】
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
フォトマスク用の石英ガラス基板の表面に、10nmのCr層、10nmのSi層、10nmのCr層、10nmのSi層、10nmのCr層を順次マグネトロンスパッタリングにより成膜した。スパッタリングに用いたCr、Siターゲットは純度99.995%である。スパッタチャンバ内にArを100sccm導入し、スパッタチャンバ内の圧力0.5Paとした。これをDC電源より500Wターゲット下部の電極へ印加し、プラズマ放電させ、Cr膜、Si膜を交互に成膜した。
【0074】
上記スパッタリングによる成膜を実施した石英ガラス基板の最表面に、電子線リソグラフィ用のポジ型レジストFEP171(富士フィルムエレクトロニクスマテリアル社製)を塗布し、膜厚500nmのレジスト層を形成した。
【0075】
上記レジスト層を形成した石英ガラス基板に電子線描画を実施し、1.5μmピッチで1辺1μmのドットパターンを、基板中央を中心として101×101のアレイ状に形成した。電子線照射のドーズ量は10μC/cmとし、ポストエクスポージャーベークは100℃に加熱したホットプレートで10分間実施した。現像液にはTMAH水溶液、リンス液には純水を用いた。
【0076】
上記レジスト層に1辺1μmのドットパターンアレイを形成した石英ガラス基板に、塩素と酸素の混合ガスを用いたプラズマによるエッチング処理を実施し、レジスト層に形成された1辺1μmのドットパターンアレイを隣接した下層のCr層に転写した。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。塩素を50sccm、酸素を10sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定後、ICPパワー500W、RIEパワー50Wを印加し、プラズマ放電させた。
【0077】
上記レジスト層と、その下層のCr層に1辺1μmのドットパターンアレイを形成した石英ガラス基板に、六フッ化硫黄とパーフルシクロブタンの混合ガスを用いたプラズマによるエッチング処理を実施し、Cr層に形成された1辺1μmのドットパターンアレイを隣接した下層のSi層に転写した。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。六フッ化硫黄を50sccm、パーフルシクロブタンを10sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定後、ICPパワー500W、RIEパワー50Wを印加し、プラズマ放電させた。
【0078】
上記レジスト層と、これに隣接した下層のCr層と、これに隣接した下層のSi層に1辺1μmのドットパターンアレイを形成した石英ガラス基板に、酸素ガスを用いたプラズマによるトリミング処理を実施し、レジスト層のドットパターンアレイ領域を縮小した。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。酸素を50sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定後、ICPパワー500W、RIEパワー10Wを印加し、プラズマ放電させた。トリミング処理後のレジストパターンを観測した結果、1辺0.75μmのドットパターンアレイとなっていることが確認された。
【0079】
上記レジスト層に1辺0.75μmのドットパターンアレイを形成し、これに隣接した下層のCr層と、これに隣接した下層のSi層に1辺1μmのドットパターンアレイを形成した石英ガラス基板に、塩素と酸素の混合ガスを用いたプラズマによるエッチング処理を実施し、レジスト層に形成された1辺0.75μmのドットパターンアレイを隣接した下層のCr層に転写し、これに隣接した下層のSi層に形成された1辺1μmのドットパターンアレイを、これに隣接した下層Cr層に転写した。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。塩素を50sccm、酸素を10sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定後、ICPパワー500W、RIEパワー50Wを印加し、プラズマ放電させた。
【0080】
上記レジスト層と、その下層のCr層に1辺0.75μmのドットパターンアレイを形成し、このCr層に隣接した下層のSi層と、これに隣接した下層のCr層に1辺1μmのドットパターンアレイを形成が形成された石英ガラス基板に、六フッ化硫黄とパーフルシクロブタンの混合ガスを用いたプラズマによるエッチング処理を実施し、レジスト層に隣接した下層のCr層に形成された1辺0.75μmのドットパターンアレイを、これに隣接した下層のSi層に転写し、このSi層に隣接した下層のCr層に形成された1μmのドットパターンアレイを隣接した下層のSi層に転写した。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。六フッ化硫黄を50sccm、パーフルシクロブタンを10sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定後、ICPパワー500W、RIEパワー50Wを印加し、プラズマ放電させた。
【0081】
上記レジスト層と、これに隣接した下層のCr層と、これに隣接した下層のSi層に1辺0.75μmのドットパターンアレイを形成し、このSi層に隣接した下層のCr層と、これに隣接した下層のSi層に1辺1μmのドットパターンアレイを形成が形成された石英ガラス基板に、酸素ガスを用いたプラズマによるトリミング処理を実施し、レジスト層のドットパターンアレイ領域を縮小した。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。酸素を50sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定後、ICPパワー500W、RIEパワー10Wを印加し、プラズマ放電させた。トリミング処理後のレジストパターンを観測した結果、1辺0.5μmのドットパターンアレイとなっていることが確認された。
【0082】
上記レジスト層に1辺0.5μmのドットパターンアレイを形成し、これに隣接した下層のCr層と、これに隣接した下層のSi層に1辺0.75μmのドットパターンアレイを形成し、これに隣接した下層のCr層と、これに隣接した下層のSi層に1辺1μmのドットパターンアレイを形成した石英ガラス基板に、塩素と酸素の混合ガスを用いたプラズマによるエッチング処理を実施し、レジスト層に形成された1辺0.5μmのドットパターンアレイを隣接した下層のCr層に転写し、これに隣接した下層のSi層に形成された1辺0.75μmのドットパターンアレイを、これに隣接した下層Cr層に転写し、これに隣接した下層のSi層に形成された1辺1μmのドットパターンアレイを、これに隣接した下層Cr層に転写した。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。塩素を50sccm、酸素を10sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定後、ICPパワー500W、RIEパワー50Wを印加し、プラズマ放電させた。
【0083】
以上の工程により、基板表面に1辺1μmのドットパターンアレイが形成されたCrで構成される第1層目のエッチングマスクが、第1層目のエッチングマスク表面に、1辺1μmのドットパターンアレイが形成されたSiで構成される第2層目のエッチングマスクが、第2層目のエッチングマスク表面に1辺0.75μmのドットパターンアレイが形成されたCrで構成される第3層目のエッチングマスクが、第3層目のエッチングマスク表面に、1辺0.75μmのドットパターンアレイが形成されたSiで構成される第4層目のエッチングマスクが、第4層目のエッチングマスク表面に1辺0.5μmのドットパターンアレイが形成されたCrで構成される第5層目のエッチングマスクが、第5層目のエッチングマスク表面に1辺0.5μmのドットパターンアレイが形成されたレジスト層が形成された3段の凸形状からなるエッチングマスクが形成された。
【0084】
次に、上記エッチングマスクが形成された石英ガラス基板に、フッ化硫黄とパーフルシクロブタンの混合ガスを用いたプラズマによるエッチング処理を実施し、第1層目のエッチングマスクであるCr層に形成された1辺1μmのドットパターンアレイを石英ガラス基板に転写した。このエッチング処理中に、第5層目のエッチングマスクであるCr層に形成された1辺0.5μmのドットパターンアレイが第4層目のSi層に転写され、第3層目のエッチングマスクであるCr層に形成された1辺0.75μmのドットパターンアレイが第2層目のSi層に転写された。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。六フッ化硫黄を10sccm、パーフルオロシクロブタンを50sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定後、ICPパワー500W、RIEパワー100Wを印加し、プラズマ放電させた。
【0085】
次に、1層目のエッチングマスクであるCr層に形成された1辺1μmのドットパターンアレイが転写された石英ガラス基板に、塩素と酸素の混合ガスを用いたプラズマによるエッチング処理を実施し、第4層目のエッチングマスクであるSi層に形成された1辺0.5μmのドットパターンアレイを第3層目のCr層に転写し、第2層目のエッチングマスクであるSi層に形成された1辺0.75μmのドットパターンアレイを第1層目のCr層に転写した。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。塩素を50sccm、酸素を10sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定後、ICPパワー500W、RIEパワー50Wを印加し、プラズマ放電させた。
【0086】
次に、第1層目のエッチングマスクであるCr層に1辺0.75μmのドットパターンアレイが形成された石英ガラス基板に、フッ化硫黄とパーフルオロシクロブタンの混合ガスを用いたプラズマによるエッチング処理を実施し、第1層目のエッチングマスクであるCr層に形成された1辺0.75μmのドットパターンアレイを石英ガラス基板に転写した。このエッチング処理中に、第3層目のエッチングマスクであるCr層に形成された1辺0.5μmのドットパターンアレイが第2層目のSi層に転写された。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。六フッ化硫黄を10sccm、パーフルオロシクロブタンを50sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定した後、ICPパワー500W、RIEパワー100Wを印加し、プラズマ放電させた。
【0087】
次に、1層目のエッチングマスクであるCr層に形成された1辺0.75μmのドットパターンアレイが転写された石英ガラス基板に、塩素と酸素の混合ガスを用いたプラズマによるエッチング処理を実施し、第2層目のエッチングマスクであるSi層に形成された1辺0.5μmのドットパターンアレイを第1層目のCr層に転写した。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。塩素を50sccm、酸素を10sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定後、ICPパワー500W、RIEパワー50Wを印加し、プラズマ放電させた。
【0088】
次に、第1層目のエッチングマスクであるCr層に1辺0.5μmのドットパターンアレイ形成された石英ガラス基板に、フッ化硫黄とパーフルシクロブタンの混合ガスを用いたプラズマによるエッチング処理を実施し、第1層目のエッチングマスクであるCr層に形成された1辺0.5μmのドットパターンアレイを石英ガラス基板に転写した。該エッチング処理にはICPドライエッチング装置を適用した。六フッ化硫黄を10sccm、パーフルオロシクロブタンを50sccm導入し、プラズマチャンバ内の圧力を1.5Paに設定後、ICPパワー500W、RIEパワー100Wを印加し、プラズマ放電させた。
【0089】
次に、1層目のエッチングマスクであるCr層に形成された1辺0.5μmのドットパターンアレイが転写された石英ガラス基板に、硫酸に過酸化水素水を加えたSPM洗浄、水酸化カリウム水溶液洗浄、硝酸アンモニウムセリウム洗浄を行い、純水リンスを実施した。これにより、1辺1μm、0.75μm、0.5μmのドットアレイパターンが順次階段状に形成された石英ガラス基板を得た。
【0090】
次に、前記1辺1μm、0.75μm、0.5μmのドットアレイパターンが順次階段状に形成された石英ガラス基板表面に、離型剤としてオプツールHD−1100Z(ダイキン工業製)を塗布した。
次に、膜厚300nmの光硬化性樹脂PAK−01(東洋合成工業製)が表面に塗布されたポリエチレンテレフタラート(PET)基板表面と、離型剤が塗布された石英ガラス基板表面を接触させ、2MPaの圧力をかけ、石英ガラス基板の裏面より波長365nmの紫外光を照射し、光硬化性樹脂を硬化させた。該処理は室温で行い、紫外光の露光量は100mJ/cm2とした。
次に、光硬化性樹脂が表面に塗布されたPET基板を離型剤が塗布された石英ガラス基板から剥離し、石英ガラス基板に形成されたパターンが転写されたPET基板を得た。
【0091】
以上により、本発明を用いて、光ナノインプリントモールドとして用いることができる、3段の階段構造が形成された石英ガラス基板を製造することができた。
【符号の説明】
【0092】
100、220、301、320、420…Crで構成されるエッチングマスク層。
101、102、110、111、112、120、121、123、321、322、323、520、521、522、523…Crで構成されるエッチングマスク。
200、201、202…SiOで構成されるエッチングマスク。
210、211、212、221、222、223、421、422、423…Siで構成されるエッチングマスク。
302、621、622、623…リソグラフィ用レジストからなるエッチングマスク。
900、901、902…Siで構成される基板。
910、911、912、920、921、922、923…SiOで構成される基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の面上に2層以上の複数のエッチングマスク層を積層するエッチングマスク積層工程と、
前記積層された最上層のエッチングマスク層から最下層のエッチングマスク層まで、上層のエッチングマスク層にエッチングマスクを形成し該エッチングマスクを使用して下層のエッチングマスク層にエッチングマスクを順に形成していく第1のエッチング工程と、
前記第1のエッチング工程後に、前記積層された最上層のエッチングマスクから最下層のエッチングマスクまで、上層のエッチングマスクのマスクパターンを使用して下層のエッチングマスクを順に再エッチングしていく第2のエッチング工程と、
前記第2のエッチング工程で処理された前記最下層のエッチングマスクから前記最上層のエッチングマスクを順に全て使用し、前記基板をエッチングマスク毎にエッチング処理し、これらエッチングマスクに形成されたパターンを基板に転写する転写工程と、
を備えることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記第1のエッチング工程後で前記第2のエッチング工程の前に、前記最上層のエッチングマスクのマスクパターンをトリミングするトリミング工程を備えることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記最上層のエッチングマスクは、パターニング処理を実施したリソグラフィ用のレジスト材料から構成されることを特徴とする請求項1または2記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記転写工程で使用されたエッチングマスクを除去する除去工程を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載のパターン形成方法。
【請求項5】
珪素(Si)、または窒化珪素(SiN)、またはタンタル(Ta)、または窒化タンタル(TaN)、またはモリブデン(Mo)、もしくはその混合物を第1グループとし、二酸化珪素(SiO)、または酸化タンタル(Ta)、または、タンタル酸リチウム(LiTaO)、またはニオブ酸リチウム(LiNbO)、もしくはその混合物を第2グループとし、クロム(Cr)、または窒化クロム(CrN)、または酸化窒化クロム(CrON)、またはルテニウム(Ru)、もしくはその混合物を第3グループとし、ニッケル(Ni)とCrの合金NiCr、または酸化チタン(TiO)、または酸化インジウム(InO)、または酸化錫(SnO)、または窒化ガリウム(GaN)、または酸化アルミニウム(Al)、もしくはその混合物を第4グループとし、前記基板を構成する材料、前記最上層から最下層のエッチングマスク層を構成する材料が前記第1乃至第4グループのうち、少なくとも2つのグループ以上から構成され、前記隣接する上層と下層のエッチングマスク層は互いに異なるグループの材料から構成されていることを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載のパターン形成方法。
【請求項6】
請求項1乃至5に何れか1項記載のパターン形成方法を用いて製造されたことを特徴とするパターン形成体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−77665(P2013−77665A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215887(P2011−215887)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】