説明

パネルのインサートブロー成形方法

【課題】 リーンフォースパイプをパネルに装着するために、従来のブロー成形後の成形品の孔あけ、リーンフォースパイプの圧入という余分な工程を省く。
【解決手段】パネルにリーンフォースパイプをインサートしてブロー成形するに際し、金型内キャビティー面から内側に突き出て突設されたマグネットに、該リーンフォースパイプを該マグネットの磁力により固定し、その後パリソンを型締めし、該パリソン内にエアを吹き込むことによって該リーンフォースパイプをインサート成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルにリーンフォースパイプをインサートしてブロー成形する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、リーンフォースパイプをパネルに装着するには、ブロー成形後のパネル成形品本体にドリル等により孔をあけ、該リーンフォースパイプを圧入している。
【特許文献1】特開平11−156926
【0003】
しかし、ブロー成形後に孔あけ、圧入という余分な工程を要していたため、コストアップになるという欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、ブロー成形後の成形品の孔あけ、リーンフォースパイプの圧入という余分な工程を省くことができないという点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、金型内キャビティー面から内側に突き出て突設されたマグネットに、リーンフォースパイプを該マグネットの磁力により固定し、その後パリソンを型締めし、該パリソン内にエアを吹き込むことによって該リーンフォースパイプをインサート成形することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の成形方法によると、ブロー成形完了と同時にリーンフォースパイプのインサートが完了しているので、ブロー成形後の成形品の孔あけ、リーンフォースパイプの圧入という余分な工程を必要としないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
マグネット付きの金型を使用して該リーンフォースパイプをインサートブロー成形することにより、安価なリーンフォースパイプ付きのパネルを製造するという目的を、該パネルの強度を損なわずに実現した。
【実施例1】
【0008】
図1は、本発明による自動車用パネル9を表している。1は鋼製リーンフォースパイプを示す。図2はブロー成形時の金型縦断面図である。7はブロー成形機(図示せず)の押出し機ヘッド、8はダイ、2は金型内キャビティー面6から該キャビティー面6の内側に面直方向に突き出て突設された複数個のマグネットである。図2に示すように金型3に装着された該マグネット2の磁力によって該鋼製リーンフォースパイプ1が固定されている。尚、該鋼製リーンフォースパイプの材質は鋼に限るものではなく、鉄、ニッケル、コバルトその他の強磁性体を含むものであれば何でも良い。
【0009】
次に、図3〜図6によって本発明の作用を説明する。図3〜図6は本発明のブロー成形の各段階の状態をそれぞれ示す横断面図である。先ず、あらかじめ該鋼製リーンフォースパイプ1を該マグネット2により固定させられた該金型3内にポリプロピレン等の樹脂製パリソン4を押出してから型締めする。
【0010】
該樹脂としてはポリプロピレンに限らず、他の汎用樹脂やエンジニアリングプラスチック、及びそれらに樹脂以外の材料を混錬した複合材等、ブロー成形が可能な樹脂であれば何でも良い。型締め後のパリソンの状態は図3の4のようである。該パリソン4内にエアを吹き込むことにより該パリソン4は図4に示すように該鋼製リーンフォースパイプ1を囲むように変形する。
【0011】
その後、エアが最後まで吹き込まれると該マグネット2が該金型内キャビティー面6から内側に面直方向に突き出て突設されているため図5に示すように該パリソン4が該鋼製リーンフォースパイプ1を完全に囲み、両者は完全に密着する。
【0012】
その後、該金型3を開くと図6に示すように鋼製リーンフォースパイプ付きパネルのインサートブロー成形が完了する。
【0013】
尚、この場合該マグネット2が該金型内キャビティー面6から内側に面直方向に突き出て突設されているため該マグネット2を型抜きした跡が空洞5として残されるが、該マグネット2を図示しないエアシリンダや同じく図示しない油圧シリンダ等によって吹込み完了前に引抜けば、該空洞5は引続く該パリソン4の変形により満たされて消滅するので、成形品の外観は向上し商品性がアップする。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明による鋼製リーンフォースパイプ付きパネルは自動車の後部荷物室用、または一般のテーブル用として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるパネルの斜視図
【図2】本発明によるブロー成形時の金型縦断面図
【図3】本発明のブロー成形の第1段階を示す横断面図
【図4】本発明のブロー成形の第2段階を示す横断面図
【図5】本発明のブロー成形の第3段階を示す横断面図
【図6】本発明のブロー成形の第4段階を示す横断面図
【符号の説明】
【0016】
1 鋼製リーンフォースパイプ
2 マグネット
3 金型
4 パリソン
5 空洞
6 金型内キャビティー面
7 押出し機ヘッド
8 ダイ
9 自動車用パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内キャビティー面から該金型内キャビティー面の内側に突き出て突設された複数個のマグネットに、リーンフォースパイプを該マグネットの磁力により固定し、その後パリソンを型締めし、該パリソン内にエアを吹き込むことによって該リーンフォースパイプをインサート成形することを特徴とするパネルのインサートブロー成形方法
【請求項2】
金型内キャビティー面から該金型内キャビティー面の内側に突き出て突設されたマグネットをエアシリンダや油圧シリンダ等によって吹込み完了前に引抜くことを特徴とする請求項1に記載されたパネルのインサートブロー成形方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−188074(P2006−188074A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2006−110352(P2006−110352)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(503233130)株式会社アイテック (96)
【Fターム(参考)】