説明

パルス合成回路

【課題】取り付けられた2個の磁気検出素子が出力するパルス信号の位相差を用いずに、後段の処理装置でモータの回転状態を検出することができ、また、パルス信号の配線数を減らして1つの信号とすることにより、モータ装置から引き出すパルス信号の配線の取り回しを容易にしたパルス合成回路を提供する。
【解決手段】A相パルスの変化するタイミングより後にB相パルスが変化する第1の状態と、A相パルスの変化するタイミングより前にB相パルスが変化する第2の状態との、いずれか一方の状態のときは、A相パルスが変化するタイミングを示すパルスを含む、モータの回転方向を表す回転パルスを出力し、第1の状態、または第2の状態の、他方の状態のときは、A相パルスが変化するタイミングを示すパルスを含む、モータの回転方向を表す信号を反転させた回転パルスを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転状態を示すパルスを合成するパルス合成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
挟み込み検出機能を持った車両用開閉体(例えば、車両のパワーウインド、パワースライドドア、サンルーフ、等)において、車両開閉体以外の物の挟み込みを検出するためには、車両開閉体の進行方向や進行速度を検出する必要がある。この車両開閉体の進行方向や進行速度の検出は、車両開閉体を動作させているモータの回転の状態、すなわち回転方向や回転速度を測定することによって行われ、車両開閉体以外の物の挟み込みの検出は、モータの回転の状態を検出した結果に基づいて判断される。例えば、パワーウインドが閉まる方向に制御している状態でモータの回転速度が低下した場合は、車両開閉体以外の物を挟み込んでいると判断することができる。
【0003】
この車両開閉体を動作させているモータの回転方向や回転速度を検出するため、従来の車両開閉体を動作させるモータ装置には、モータの回転に伴い回転する永久磁石の磁界を検出して電気信号として出力する、例えば、ホール素子等の磁気検出素子が取り付けられている(特許文献1参照)。
【0004】
図7(a)は、従来の車両開閉体を動作させるモータ装置において、モータの回転方向や回転速度を検出するための磁気検出素子が取り付けられている状態を示した概略図である。図7(a)に示すモータ10は、回転軸11と、この回転軸11に固定された永久磁石12と、この永久磁石12の回転方向に沿って配置された磁気検出素子13と、磁気検出素子14と、から構成されている。
この磁気検出素子13と磁気検出素子14は、予め定められた間隔で2カ所に取り付けられ、それぞれの取り付けられた場所において回転する永久磁石12の磁界の変化を検出し、例えば、永久磁石12のN極が検出されているときは、“High”レベルの電気信号、また、永久磁石12のS極が検出されているときは、“Low”レベルの電気信号として出力する。
【0005】
図7(b)は、この磁気検出素子13と磁気検出素子14が出力した電気信号の変化を示す図である。図7(a)に示したモータが時計方向(以下、「CW:ClockWise」という)に回転しているとき、例えば、永久磁石12がN極→S極→N極と変化するとき、磁気検出素子13と磁気検出素子14は、“High”レベル→“Low”レベル→“High”レベルというように変化するパルス信号を出力する。また、2個の磁気検出素子は、予め定められた間隔を持って取り付けられているため、磁気検出素子13が出力するA相パルス信号出力に遅れて、磁気検出素子14が、磁気検出素子13と同様なB相パルス信号を出力する(図7(b)上段参照)。すなわち、モータが時計回りで回転している(以下、モータの時計回りの回転を「CW回転」という)場合は、A相パルス信号に対してB相パルス信号が遅れた位相差を持っている。
【0006】
また、モータが反時計方向(以下、「CCW:Counter ClockWise」という)に回転しているときは、磁気検出素子14が出力するB相パルス信号に遅れて、磁気検出素子13が、磁気検出素子14と同様なA相パルス信号を出力する(図7(b)下段参照)。すなわち、モータが反時計回りで回転している(以下、モータの反時計回りの回転を「CCW回転」という)場合は、B相パルス信号に対してA相パルス信号が遅れた位相差を持っている。
【0007】
この予め定められた間隔で取り付けられ2個の磁気検出素子の出力するパルス信号の位相差を検出することによって、車両開閉体を動作させているモータの回転方向や回転速度の検出が行われる。すなわち、モータが停止状態から回転を始めたとき、A相パルス信号に対してB相パルス信号が遅れた位相差を持っている場合は、モータがCW回転していると判断し、また、B相パルス信号に対してA相パルス信号が遅れた位相差を持っている場合は、モータがCCW回転していると判断する。
また、A相パルス信号およびB相パルス信号の周期は、モータの回転速度の判断に用いられる。
【特許文献1】特開平5−80066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この車両開閉体を動作させるモータ装置を小型化するためには、取り付ける2個の磁気検出素子の取り付け間隔を小さくすることが考えられる。
しかしながら、車両開閉体を動作させるモータの回転状態を判断する処理装置は、取り付けられている2個の磁気検出素子が出力するパルス信号の位相差を利用してモータの回転状態を判断している。このため、モータの回転状態の判断精度は、処理装置によって行われるパルス信号の位相差の検出精度(分解能)に大きく影響されるので、2個の磁気検出素子を取り付ける位置は、パルス信号の位相差を判断する処理装置の処理性能、すなわち、分解能によって決定されている。また、2個の磁気検出素子の取り付け位置の精度も要求されている。
【0009】
このことにより、2個の磁気検出素子の取り付け位置の間隔を小さくすることができない。また、モータ装置からは、2個の磁気検出素子から出力されるそれぞれのパルス信号の配線を引き出す必要があるという問題がある。
【0010】
また、2個の磁気検出素子から出力されるパルス信号の配線の取り回しを容易にする等により、加工性を向上させることも考えられるが、それに伴う加工のコストが増加してしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、モータ装置を小型化する場合において、取り付けられた2個の磁気検出素子が出力するパルス信号の位相差を用いずに、後段の処理装置でモータの回転状態を検出することが可能な、モータの回転状態を示す信号を出力することができるパルス合成回路を提供することを目的としている。
また、2個の磁気検出素子が出力するパルス信号の配線数を減らして1つの信号とすることにより、モータ装置から引き出すパルス信号の配線の取り回しを容易にしたパルス合成回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載した発明のパルス合成回路(例えば、実施の形態におけるパルス合成回路20)は、永久磁石(例えば、実施の形態における永久磁石12)が固定された回転軸(例えば、実施の形態における回転軸11)と、前記永久磁石の回転方向に沿って配置され、前記永久磁石の磁界に応じた第1のパルス信号(例えば、実施の形態におけるA相パルス)を出力する第1の磁気検出素子(例えば、実施の形態における磁気検出素子13)と、前記永久磁石の回転方向に沿って、前記第1の磁気検出素子と予め定められた間隔で配置され、前記永久磁石の磁界に応じた第2のパルス信号(例えば、実施の形態におけるB相パルス)を出力する第2の磁気検出素子(例えば、実施の形態における磁気検出素子14)と、を備えたモータ(例えば、実施の形態におけるモータ10)の前記回転軸の回転状態を示す信号を生成するパルス合成回路において、前記第1のパルス信号の変化するタイミングより後に前記第2のパルス信号が変化する第1の状態と、前記第1のパルス信号の変化するタイミングより前に前記第2のパルス信号が変化する第2の状態との、いずれか一方の状態のときは、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含む、前記モータの回転方向を表す信号(例えば、実施の形態における回転パルス)を出力し、前記第1の状態、または前記第2の状態の、他方の状態のときは、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含む、前記モータの回転方向を表す信号を反転させた信号を出力する、ことを特徴とする。
このことにより、第1のパルス信号の変化に対して第2のパルス信号の変化が後であるか、先であるかによって異なるモータの回転方向を表す信号を出力する。また、出力するパルス信号を1つの信号として出力する。
【0013】
請求項2に記載した発明のパルス合成回路は、前記第1のパルス信号と、前記第2のパルス信号とに基づいて、前記回転軸が第1の方向に回転している場合は、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含み、前記回転軸が前記第1の方向と反対の第2の方向に回転している場合は、一定の値である第1の回転パルス信号(例えば、実施の形態におけるCWパルス)と、前記回転軸が前記第1の方向と反対の第2の方向に回転している場合は、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含み、前記回転軸が第1の方向に回転している場合は、一定の値である第2の回転パルス信号(例えば、実施の形態におけるCCWパルス)と、を生成するパルス生成手段(例えば、実施の形態におけるパルス生成部21)と、前記パルス生成手段によって生成された前記第1の回転パルス信号または前記第2の回転パルス信号に基づいて、前記回転軸が第1の方向に回転している場合は、前記第1の回転パルス信号からなり、前記回転軸が前記第1の方向と反対の第2の方向に回転している場合は、前記第2の回転パルス信号の反転信号からなる前記回転方向を表す信号を生成するパルス合成手段(例えば、実施の形態におけるパルス合成部22)と、を備えることを特徴とする。
このことにより、第1のパルス信号と第2のパルス信号とに基づいて、モータの回転軸の回転方向によって、モータの回転軸の回転方向を表す第1の回転パルス信号と、第2の回転パルス信号を生成し、その生成した信号を合成した1つの信号を出力する。
【0014】
請求項3に記載した発明のパルス合成回路の前記パルス生成手段は、前記第1のパルス信号に対して前記第2のパルス信号の位相が遅れている場合は、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含み、前記第1のパルス信号に対して前記第2のパルス信号の位相が進んでいる場合は、一定の値である前記第1の回転パルス信号と、前記第1のパルス信号に対して前記第2のパルス信号の位相が遅れている場合は、一定の値であり、前記第1のパルス信号に対して前記第2のパルス信号の位相が進んでいる場合は、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含む前記第2の回転パルス信号と、を生成し、前記パルス合成手段は、前記第1の回転パルス信号に前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスが含まれる場合は、前記第1の回転パルス信号を出力し、前記第2の回転パルス信号に前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスが含まれる場合は、前記第2の回転パルス信号を反転させた信号を出力する、ことを特徴とする。
このことにより、第1のパルス信号の変化するタイミングで、第2のパルス信号が第1のパルス信号に対して遅れているのか、進んでいるのかによって、第1のパルス信号に同期した、モータの回転軸の回転方向を表す信号を生成し、その生成した信号を回転軸の回転方向に応じて異なる基準レベルを持つ1つの回転パルス信号に合成して出力する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載した発明によれば、第1のパルス信号の変化に対して第2のパルス信号の変化が後であるか、先であるかによって異なるモータの回転方向を表す信号を出力する。これによって、後段の処理装置でモータの回転状態を検出することが可能な、モータの回転状態を示す信号を出力することができる。
また、出力するパルス信号を1つの信号として出力する。これによって、モータ装置から引き出すパルス信号の配線の取り回しが容易となり、モータ装置の加工性を向上して、加工に伴うコスト増加を防ぐことができる。
【0016】
請求項2に記載した発明によれば、第1のパルス信号と第2のパルス信号とに基づいて、モータの回転軸の回転方向を表す信号を生成し、その生成した信号を合成した1つの信号を出力する。これによって、1つの信号で後段の処理装置がモータの回転状態を検出することが可能な、モータの回転状態を示す信号を出力することができる。また、モータ装置から引き出すパルス信号の配線の取り回しを容易にすることができる。
【0017】
請求項3に記載した発明によれば、第1のパルス信号の変化するタイミングで、第2のパルス信号が第1のパルス信号に対して遅れているのか、進んでいるのかによって、第1のパルス信号に同期した、モータの回転軸の回転方向を表す信号を生成し、その生成した信号を回転軸の回転方向に応じて異なる基準レベルを持つ1つの回転パルス信号に合成して出力する。これによって、1つの回転パルス信号の基準レベルを確認することによってモータの回転方向を検出することが可能なモータの回転状態を示す信号を、後段の処理装置に出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態によるパルス合成回路を備えたモータ装置の概略構成を示したブロック図である。図1において、本実施形態のモータ装置は、モータ10、パルス合成回路20から構成される。また、モータ10は、図示しないウォームが形成された回転軸11と、この回転軸11に固定された永久磁石12と、この永久磁石12の近傍に配置された磁気検出素子13と、永久磁石12の近傍で磁気検出素子13から予め定められた間隔に配置された磁気検出素子14と、から構成されている。なお、磁気検出素子13と、磁気検出素子14とは、例えば、ホール素子等の磁界センサである。また、パルス合成回路20は、パルス生成部21、パルス合成部22から構成される。
また、図2は、モータ10が回転することによって出力されるパルス生成部21と、モータ装置の出力パルス、すなわち、パルス合成部22から出力される出力パルスを示したタイミングチャートである。
【0019】
磁気検出素子13は、モータ10の回転軸11および永久磁石12が回転することによって変化する永久磁石12の磁界を検出し、検出した磁界に応じて、例えば、永久磁石のN極が検出されているときは、“High”レベル、また、永久磁石のS極が検出されているときは、“Low”レベルとなるA相パルスを出力する。
磁気検出素子14は、磁気検出素子13と同様に永久磁石12の磁界を検出し、検出した磁界に応じたB相パルスを出力する。
回転軸11がCW回転を開始すると、図2(a)に示すように、A相パルスに遅れて、B相パルスが出力される。また、逆に、回転軸11がCCW回転を開始すると、図2(b)に示すように、B相パルスに遅れて、A相パルスが出力される。
この回転軸11の回転に応じて出力されるA相パルスと、B相パルスとを、パルス合成回路20に出力する。
【0020】
パルス合成回路20は、磁気検出素子13から入力されたA相パルスと、磁気検出素子14から入力されたB相パルスとから、回転軸11の回転方向に応じた回転パルスを出力するブロックである。
【0021】
パルス生成部21は、磁気検出素子13から入力されたA相パルスと、磁気検出素子14から入力されたB相パルスとから、回転軸11の回転方向に応じた2種類の回転方向パルスを出力するブロックである。
パルス生成部21は、磁気検出素子13から入力されたA相パルスの立ち上がりエッジと、立ち下がりエッジのタイミングで、回転軸11が回転している方向を示す2種類の回転方向パルスとしてA相パルスに同期したパルス信号を出力する。
パルス生成部21は、回転軸11がCW回転を開始すると、図2(a)に示すように、時計方向の回転を示すパルス(以下、「CWパルス」という)をパルス合成部22に出力する。なお、CW回転時に出力される反時計方向の回転を示すパルス(以下、「CCWパルス」という)は、図2(a)に示すように、“Low”レベルで固定される。
また、パルス生成部21は、回転軸11がCCW回転を開始すると、図2(b)に示すように、反時計方向の回転を示すCCWパルスをパルス合成部22に出力する。なお、CCW回転時に出力されるCWパルスは、図2(b)に示すように、“Low”レベルで固定される。
【0022】
パルス合成部22は、パルス生成部21から入力されたCWパルスと、CCWパルスとを合成した1つの回転パルスを、パルス合成回路20、すなわち、本実施形態のモータ装置の出力として、外部に出力するブロックである。
パルス合成部22は、回転軸11がCW回転をしているときは、図2(a)に示すように、パルス生成部21から入力されたCWパルスを、回転パルスとして出力する。また、回転軸11がCCW回転しているときは、図2(b)に示すように、パルス生成部21から入力されたCCWパルスを反転したパルス信号を、回転パルスとして出力する。
【0023】
<第1実施形態>
次に、本実施形態のパルス合成回路20の詳細な構成および動作について説明する。図3は、本実施形態によるパルス合成回路20の構成を示したブロック図である。図3において、パルス合成回路20は、上述したようにパルス生成部21、パルス合成部22から構成される。
また、図4は、本実施形態によるパルス合成回路20内の各部の信号を示したタイミングチャートである。なお、図4は、パルス合成回路20を備えたモータ装置の回転軸11が、CW回転からCCW回転に移行する例を示している。
【0024】
パルス生成部21は、D型フリップフロップDFF1,DFF2、論理否定ゲートINV1〜INV6、排他的論理和ゲートXOR1、立ち上がりエッジモノマルチMM1,MM2、論理和ゲートOR1〜OR3、論理積ゲートAND1〜AND4から構成される。
【0025】
排他的論理和ゲートXOR1には、磁気検出素子13から出力されたA相パルスと、磁気検出素子14から出力されたB相パルスとが入力される。排他的論理和ゲートXOR1は、図4に示すようにA相パルスとB相パルスが同じレベル、すなわち、“High”レベル同士、または、“Low”レベル同士であるときに、“Low”レベルを出力する。また排他的論理和ゲートXOR1は、A相パルスとB相パルスが異なるレベル、すなわち、A相パルスまたはB相パルスのいずれか一方が“High”レベルであり、他方が“Low”レベルであるときに、“High”レベルを出力する。
この排他的論理和ゲートXOR1の出力が、D型フリップフロップDFF1のリセット信号として、クリア端子に入力される。
【0026】
論理否定ゲートINV2は、排他的論理和ゲートXOR1から出力されたリセット信号が入力され、図4に示すように、入力されたリセット信号の反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV2の出力が、D型フリップフロップDFF2のリセット信号として、クリア端子に入力される。
【0027】
論理否定ゲートINV1は、磁気検出素子13から出力されたA相パルスが入力され、図4に示すように、入力されたA相パルスの反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV1の出力が、D型フリップフロップDFF1のクロック端子に入力される。
【0028】
D型フリップフロップDFF1は、クロック端子に論理否定ゲートINV1から出力されたA相パルスの反転信号が入力され、データ端子に磁気検出素子14から出力されたB相パルスが入力され、クリア端子に排他的論理和ゲートXOR1から出力されたリセット信号が入力される。
D型フリップフロップDFF1は、クロック端子に入力された信号(以下、「クロック信号」という)の立ち上がりで、データ端子に入力された信号(以下、「データ信号」という)を取り込み、取り込んだデータ信号の値を出力し、次のクロック信号の立ち上がりまでその値を保持する。すなわち、図4のt2タイミング、t4タイミング、およびt7タイミングに示すように、A相パルスの立ち下がりのタイミングで、B相パルスの値を取り込み、次のA相パルスの立ち下がりまでその値を保持する。また、D型フリップフロップDFF1は、クリア端子に入力されたリセット信号の“Low”レベルで、保持している値を初期化して、“Low”レベルを出力する。
D型フリップフロップDFF1の出力は、論理否定ゲートINV5、および論理積ゲートAND2に入力される。
【0029】
D型フリップフロップDFF2は、クロック端子にA相パルスが入力され、データ端子に磁気検出素子14から出力されたB相パルスが入力され、クリア端子に論理否定ゲートINV2から出力された信号が入力される。
D型フリップフロップDFF2は、D型フリップフロップDFF1と同様に、クロック信号の立ち上がりで、データ信号を取り込み、取り込んだデータ信号の値を出力し、次のクロック端子の立ち上がりまでその値を保持する。すなわち、図4のt3タイミング、t6タイミング、およびt8タイミングに示すように、A相パルスの立ち上がりのタイミングで、B相パルスの値を取り込み、次のA相パルスの立ち上がりまでその値を保持する。また、D型フリップフロップDFF2は、クリア端子に入力されたリセット信号の“Low”レベルで、保持している値を初期化して、“Low”レベルを出力する。
D型フリップフロップDFF2の出力は、論理否定ゲートINV6、および論理積ゲートAND3に入力される。
【0030】
論理否定ゲートINV3は、磁気検出素子13から出力されたA相パルスが入力され、図4に示すように、入力されたA相パルスの反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV3の出力が、立ち上がりエッジモノマルチMM2に入力される。
【0031】
立ち上がりエッジモノマルチMM1は、磁気検出素子13から出力されたA相パルスが入力され、入力されたA相パルスの立ち上がりのタイミングで、予め定められたレベル幅の“High”レベルパルスを論理和ゲートOR1に出力する。
【0032】
立ち上がりエッジモノマルチMM2は、論理否定ゲートINV3から出力されたA相パルスの反転信号が入力され、入力されたA相パルスの反転信号の立ち上がりのタイミング、すなわち、A相パルスの立ち下がりのタイミングで、予め定められたレベル幅の“High”レベルパルスを論理和ゲートOR1に出力する。
【0033】
論理和ゲートOR1は、立ち上がりエッジモノマルチMM1から出力された“High”レベルパルスと、立ち上がりエッジモノマルチMM2から出力された“High”レベルパルスとが入力され、それぞれの入力信号を合成し、図4に示すような、A相パルスの立ち上がりのタイミングと、立ち下がりのタイミングの位置を示すエッジパルスを出力する。
論理和ゲートOR1の出力は、論理積ゲートAND1〜AND4に入力される。
【0034】
論理否定ゲートINV4は、磁気検出素子13から出力されたA相パルスが入力され、図4に示すように、入力されたA相パルスの反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV4の出力が、論理積ゲートAND2、およびAND4に入力される。
論理否定ゲートINV5は、D型フリップフロップDFF1から出力された信号が入力され、図4に示すように、入力されたD型フリップフロップDFF1の出力信号の反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV5の出力が、論理積ゲートAND4に入力される。
論理否定ゲートINV6は、D型フリップフロップDFF2から出力された信号が入力され、図4に示すように、入力されたD型フリップフロップDFF2の出力信号の反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV6の出力が、論理積ゲートAND1に入力される。
【0035】
論理積ゲートAND1は、磁気検出素子13から出力されたA相パルスと、論理否定ゲートINV6から出力されたD型フリップフロップDFF2の出力信号の反転信号と、論理和ゲートOR1から出力されたエッジパルスとが入力され、図4のt3タイミングに示すようにA相パルスと、D型フリップフロップDFF2の出力信号の反転信号とが“High”レベルであるときのエッジパルスを論理和ゲートOR2に出力する。
【0036】
論理積ゲートAND2は、論理否定ゲートINV4から出力されたA相パルスの反転信号と、D型フリップフロップDFF1の出力信号と、論理和ゲートOR1から出力されたエッジパルスとが入力され、図4のt2タイミング、およびt4タイミングに示すようにA相パルスの反転信号と、D型フリップフロップDFF1の出力信号とが“High”レベルであるとき、すなわち、A相パルスが“Low”レベルであり、D型フリップフロップDFF1の出力信号が“High”レベルであるときのエッジパルスを論理和ゲートOR2に出力する。
【0037】
論理和ゲートOR2は、論理積ゲートAND1から出力されたエッジパルスと、論理積ゲートAND2から出力されたエッジパルスとが入力され、それぞれの入力信号を合成し、図4に示すような、CWパルス(時計方向パルス)を出力する。
この論理和ゲートOR2の出力が、パルス合成部22に出力される。
【0038】
論理積ゲートAND3は、磁気検出素子13から出力されたA相パルスと、D型フリップフロップDFF2の出力信号と、論理和ゲートOR1から出力されたエッジパルスとが入力され、図4のt6タイミング、およびt8タイミングに示すようにA相パルスと、D型フリップフロップDFF2の出力信号とが“High”レベルであるときのエッジパルスを論理和ゲートOR3に出力する。
【0039】
論理積ゲートAND4は、論理否定ゲートINV4から出力されたA相パルスの反転信号と、論理否定ゲートINV5から出力されたD型フリップフロップDFF1の出力信号の反転信号と、論理和ゲートOR1から出力されたエッジパルスとが入力され、図4のt7タイミングに示すようにA相パルスの反転信号と、D型フリップフロップDFF1の出力信号の反転信号とが“High”レベルであるとき、すなわち、A相パルスが“Low”レベルであり、D型フリップフロップDFF1の出力信号の反転信号が“High”レベルであるときのエッジパルスを論理和ゲートOR3に出力する。
【0040】
論理和ゲートOR3は、論理積ゲートAND3から出力されたエッジパルスと、論理積ゲートAND4から出力されたエッジパルスとが入力され、それぞれの入力信号を合成し、図4に示すような、CCWパルス(反時計方向パルス)を出力する。
この論理和ゲートOR3の出力が、パルス合成部22に出力される。
【0041】
パルス合成部22は、RS型フリップフロップRSFF1、論理否定ゲートINV7、論理積ゲートAND5、論理和ゲートOR4から構成される。
【0042】
RS型フリップフロップRSFF1は、セット端子にパルス生成部21から出力されたCCWパルスが入力され、リセット端子にパルス生成部21から出力されたCWパルスが入力される。
RS型フリップフロップRSFF1は、セット端子に入力された信号(以下、「セット信号」という)が“High”レベルのときに、図4のt5タイミングに示すように、“High”レベルを出力して保持する。また、RS型フリップフロップRSFF1は、リセット端子に入力された信号(以下、「リセット信号」という)が“High”レベルのときに、図4のt1タイミングに示すように、“Low”レベルを出力して保持する。
このことによって、図4のt1タイミング、およびt5タイミングに示すように、CW回転時に“Low”レベルとなり、CCW回転時に“High”レベルとなる信号(以下、「回転方向信号」という)を出力する。
RS型フリップフロップRSFF1の出力は、論理積ゲートAND5に入力される。
【0043】
論理否定ゲートINV7は、パルス生成部21から出力されたCCWパルスが入力され、入力されたCCWパルスの反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV7の出力が、論理積ゲートAND5に入力される。
【0044】
論理積ゲートAND5は、論理否定ゲートINV7から出力されたCCWパルスの反転信号と、RS型フリップフロップRSFF1から出力された回転方向信号とが入力され、図4に示すように回転方向信号が“High”レベルであるときにCCWパルスの反転信号を論理和ゲートOR4に出力する。
このことにより、CCW回転時のみ、CCWパルスを反転することとなる。
【0045】
論理和ゲートOR4は、パルス生成部21から出力されたCWパルスと、論理積ゲートAND5から出力されたCCW回転時のみ反転したCCWパルスとが入力され、それぞれの入力信号を合成し、図4に示すような、回転パルスを出力する。
この論理和ゲートOR4の出力が、パルス合成回路20、すなわち、本実施形態によるパルス合成回路を備えたモータ装置の出力する回転パルスとなる。
【0046】
上記に述べたとおり、本発明の第1の実施形態によれば、回転軸11の回転に応じた回転パルスが出力される。
すなわち、CW回転時は、回転パルスの基準レベルが“Low”レベルであり、CCW回転時は、回転パルスの基準レベルが“High”レベルである1つの回転パルスが出力される。
【0047】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態のパルス合成回路20の詳細な構成および動作について説明する。図5は、本実施形態によるパルス合成回路20の構成を示したブロック図である。図5において、パルス合成回路20は、上述したようにパルス生成部21、パルス合成部22から構成される。
また、図6は、本実施形態によるパルス合成回路20内のパルス生成部21と、パルス合成部22から出力される出力パルス、すなわち、本実施形態によるパルス合成回路20を備えたモータ装置の出力パルスを示したタイミングチャートである。なお、図6は、磁気検出素子14から出力されたB相パルスの変化点で各パルスを出力する例を示している。
【0048】
パルス生成部21は、論理否定ゲートINV11〜INV14、論理和ゲートOR11,OR12、パルス生成回路211〜214から構成される。また、パルス生成回路211は、立ち上がりエッジモノマルチMM2〜MM24、RS型フリップフロップRSFF21、論理否定ゲートINV21,INV22、論理和ゲートOR21、論理積ゲートAND21から構成される。なお、パルス生成回路212〜214は、パルス生成回路211と同じ構成である。
【0049】
まず、パルス生成回路の動作を、パルス生成回路211を例にとって説明する。また、パルス生成回路のAI端子に入力される信号をAI信号、BI端子に入力される信号をBI信号とする。パルス生成回路は、AI信号が“High”レベルのときのBI信号の立ち上がりのタイミングの位置を表すパルス信号をPO端子に出力する回路である。
なお、パルス生成回路212〜214は、パルス生成回路211と同じ構成で、同じ動作をするため、説明は省略する。
【0050】
立ち上がりエッジモノマルチMM21は、AI信号が入力され、入力されたAI信号の立ち上がりのタイミングで、予め定められたレベル幅の“High”レベルとなるパルス(以下、「AI立ち上がりタイミングパルス」という)を出力する。
立ち上がりエッジモノマルチMM21の出力は、RS型フリップフロップRSFF21のセット端子に入力される。
【0051】
立ち上がりエッジモノマルチMM22は、BI信号が入力され、入力されたBI信号の立ち上がりのタイミングで、予め定められたレベル幅の“High”レベルとなるパルス(以下、「BI立ち上がりタイミングパルス」という)を論理和ゲートOR21と、論理積ゲートAND21とに出力する。
【0052】
論理否定ゲートINV21は、BI信号が入力され、入力されたBI信号の反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV21の出力が、立ち上がりエッジモノマルチMM23に入力される。
【0053】
立ち上がりエッジモノマルチMM23は、論理否定ゲートINV21から出力されたBI信号の反転信号が入力され、入力されたBI信号の反転信号の立ち上がりのタイミング、すなわち、BI信号の立ち下がりのタイミングで、予め定められたレベル幅の“High”レベルとなるパルス(以下、「BI立ち下がりタイミングパルス」という)を論理和ゲートOR21に出力する。
【0054】
論理和ゲートOR21は、立ち上がりエッジモノマルチMM22から出力されたBI立ち上がりタイミングパルスと、立ち上がりエッジモノマルチMM23から出力されたBI立ち下がりタイミングパルスパルスとが入力され、それぞれの入力信号を合成し、BI信号の立ち上がりのタイミングと、立ち下がりのタイミングの位置を示すパルス(以下、「BIエッジパルス」という)を出力する。
論理和ゲートOR21の出力は、論理否定ゲートINV22に入力される。
【0055】
論理否定ゲートINV22は、論理和ゲートOR21から出力されたBIエッジパルスが入力され、入力されたBIエッジパルスの反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV22の出力が、立ち上がりエッジモノマルチMM24に入力される。
【0056】
立ち上がりエッジモノマルチMM24は、論理否定ゲートINV22から出力されたBIエッジパルスの反転信号が入力され、入力されたBIエッジパルスの反転信号の立ち上がりのタイミング、すなわち、BIエッジパルスの立ち下がりのタイミングで、予め定められたレベル幅の“High”レベルとなるパルスを出力する。
このことにより、立ち上がりエッジモノマルチMM24は、BI信号の立ち上がりのタイミングで、立ち上がりエッジモノマルチMM22が出力する“High”レベルの幅の時間が遅れ、BI信号の立ち下がりのタイミングで、立ち上がりエッジモノマルチMM23が出力する“High”レベルの幅の時間が遅れたパルス(以下、「BI遅れエッジパルス」という)を出力することとなる。
立ち上がりエッジモノマルチMM24の出力は、RS型フリップフロップRSFF21のリセット端子に入力される。
【0057】
RS型フリップフロップRSFF21は、セット端子に立ち上がりエッジモノマルチMM21から出力されたAI立ち上がりタイミングパルスが入力され、リセット端子に立ち上がりエッジモノマルチMM24から出力されたBI遅れエッジパルスが入力される。
RS型フリップフロップRSFF21は、セット端子に入力されたAI立ち上がりタイミングパルスの立ち上がりのタイミングから、リセット端子に入力されたBI遅れエッジパルスの立ち下がりのタイミングまでが“High”レベルとなる信号を論理積ゲートAND21に出力する。
【0058】
論理積ゲートAND1は、RS型フリップフロップRSFF21から出力された信号と、立ち上がりエッジモノマルチMM22から出力されたBI立ち上がりタイミングパルスとが入力され、RS型フリップフロップRSFF21から出力された信号が“High”レベルであるときのBI立ち上がりタイミングパルスをパルス生成回路211の出力としてPO端子に出力する。
このことによって、AI信号が“High”レベルのときのBI信号の立ち上がりのタイミングの位置を表すパルス信号を出力する。
【0059】
次に、パルス生成部21の動作を説明する。
論理否定ゲートINV11は、磁気検出素子13から出力されたA相パルスが入力され、入力されたA相パルスの反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV11の出力が、パルス生成回路212のAI端子に入力される。
論理否定ゲートINV12は、磁気検出素子14から出力されたB相パルスが入力され、入力されたB相パルスの反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV12の出力が、パルス生成回路212のBI端子に入力される。
論理否定ゲートINV13は、磁気検出素子14から出力されたB相パルスが入力され、入力されたB相パルスの反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV13の出力が、パルス生成回路213のBI端子に入力される。
論理否定ゲートINV14は、磁気検出素子13から出力されたA相パルスが入力され、入力されたA相パルスの反転信号を出力する。この論理否定ゲートINV14の出力が、パルス生成回路214のAI端子に入力される。
【0060】
パルス生成回路211は、AI端子に磁気検出素子13から出力されたA相パルスが入力され、BI端子に磁気検出素子14から出力されたB相パルスが入力される。このことにより、パルス生成回路211は、A相パルスが“High”レベルのときのB相パルスの立ち上がりのタイミングの位置を表すパルスを論理和ゲートOR11に出力する。
【0061】
パルス生成回路212は、AI端子に論理否定ゲートINV11から出力されたA相パルスの反転信号が入力され、BI端子に論理否定ゲートINV12から出力されたB相パルスの反転信号が入力される。このことにより、パルス生成回路212は、A相パルスが“Low”レベルのときのB相パルスの立ち下がりのタイミングの位置を表すパルスを論理和ゲートOR11に出力する。
【0062】
論理和ゲートOR11は、パルス生成回路211から出力されたパルス信号と、パルス生成回路212から出力されたパルス信号とが入力され、それぞれのパルス信号を合成し、図6に示すような、CWパルス(時計方向パルス)を出力する。
この論理和ゲートOR11の出力が、パルス合成部22に出力される。
【0063】
パルス生成回路213は、AI端子に磁気検出素子13から出力されたA相パルスが入力され、BI端子に論理否定ゲートINV13から出力されたB相パルスの反転信号が入力される。このことにより、パルス生成回路213は、A相パルスが“High”レベルのときのB相パルスの立ち下がりのタイミングの位置を表すパルスを論理和ゲートOR12に出力する。
【0064】
パルス生成回路214は、AI端子に論理否定ゲートINV14から出力されたA相パルスの反転信号が入力され、BI端子に磁気検出素子14から出力されたB相パルスが入力される。このことにより、パルス生成回路214は、A相パルスが“Low”レベルのときのB相パルスの立ち上がりのタイミングの位置を表すパルスを論理和ゲートOR12に出力する。
【0065】
論理和ゲートOR12は、パルス生成回路213から出力されたパルス信号と、パルス生成回路214から出力されたパルス信号とが入力され、それぞれのパルス信号を合成し、図6に示すような、CCWパルス(反時計方向パルス)を出力する。
この論理和ゲートOR12の出力が、パルス合成部22に出力される。
【0066】
パルス合成部22は、図3に示したパルス合成部22と同様である。パルス合成部22は、パルス生成部21から出力されたCWパルスと、CCWパルスとから、図3に示したパルス合成部22と同様にCW回転時はCWパルスとなり、CCW回転時は反転したCCWパルスとなる、図6に示すような、回転パルスを出力する。
このパルス合成部22の出力が、パルス合成回路20、すなわち、本実施形態によるパルス合成回路を備えたモータ装置の出力する回転パルスとなる。
【0067】
上記に述べたとおり、本発明の第2の実施形態においても、回転軸11の回転に応じた回転パルスが出力される。
すなわち、CW回転時は、回転パルスの基準レベルが“Low”レベルであり、CCW回転時は、回転パルスの基準レベルが“High”レベルである1つの回転パルスが出力される。
【0068】
上記に述べたとおり、本発明を実施するための最良の形態によれば、2個の磁気検出素子が出力するパルス信号の配線数を減らして1つの信号とした場合でも、モータ10の回転状態を検出することができる回転信号を出力することができる。このことにより、後段の処理装置では、この回転パルス信号の基準レベルによってモータ装置の回転方向を判断することができる。
また、本発明のパルス合成回路を備えたモータ装置から出力される回転パルスの周期は、モータの回転速度を表しているので、後段の処理装置は、車両開閉体以外の物の挟み込みを検出するための車両開閉体の進行速度を判断することができる。
【0069】
なお、本発明の実施形態の説明においては、回転軸11が、CW回転からCCW回転に移行する例を示した図4を用いて説明したが、例えば、回転軸11が、CCW回転からCW回転に移行する場合でも、磁気検出素子14から出力されたB相パルスが先に変化するのみであり、図4と同様に考えることができる。
また、磁気検出素子13と、磁気検出素子14との間で、永久磁石12のS極とN極との境界の位置が停止した場合においても、磁気検出素子13と、磁気検出素子14から出力されるA相パルス、およびB相パルスのいずれかが先に変化するのみであり、図4と同様に考えることができる。
【0070】
また、本発明の実施形態においては、説明のために含まれる冗長な回路ゲートが存在するが、回路の最適化によって回路規模を削減することもできる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
例えば、本実施形態と同様の出力波形が得られる回路構成であれば、本実施形態と異なる回路構成に変更することもできる。また、出力波形の論理を逆にした回路構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態によるパルス合成回路を備えたモータ装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態においてモータが回転することによって出力されるパルス合成回路の出力パルスを示したタイミングチャートである。
【図3】本実施形態によるパルス合成回路の構成を示したブロック図である。
【図4】本実施形態によるパルス合成回路内の信号を示したタイミングチャートである。
【図5】本実施形態によるパルス合成回路の第2の実施形態の構成を示したブロック図である。
【図6】本実施形態においてモータが回転することによって出力される第2の実施形態のモータ装置の出力パルスを示したタイミングチャートである。
【図7】従来のモータ装置の概略構成、および出力パルスを示した図である。
【符号の説明】
【0073】
10・・・モータ、
11・・・回転軸、
12・・・永久磁石、
13・・・磁気検出素子(第1の磁気検出素子)、
14・・・磁気検出素子(第2の磁気検出素子)、
20・・・パルス合成回路、
21・・・パルス生成部(パルス生成手段)、
22・・・パルス合成部(パルス合成手段)、
211,212,213,214・・・パルス生成回路、
DFF1,DFF2・・・D型フリップフロップ、
RSFF1,RSFF21・・・RS型フリップフロップ、
INV1,INV2,INV3,INV4,INV5,INV6,INV7,INV11,INV12,INV13,INV14,INV21,INV22・・・論理否定ゲート、
XOR1・・・排他的論理和ゲート、
MM1,MM2,MM21,MM22,MM23,MM24・・・立ち上がりエッジモノマルチ、
OR1,OR2,OR3,OR4,OR11,OR12,OR21・・・論理和ゲート、
AND1,AND2,AND3,AND4,AND5,AND21・・・論理積ゲート、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石が固定された回転軸と、前記永久磁石の回転方向に沿って配置され、前記永久磁石の磁界に応じた第1のパルス信号を出力する第1の磁気検出素子と、前記永久磁石の回転方向に沿って、前記第1の磁気検出素子と予め定められた間隔で配置され、前記永久磁石の磁界に応じた第2のパルス信号を出力する第2の磁気検出素子と、を備えたモータの前記回転軸の回転状態を示す信号を生成するパルス合成回路において、
前記第1のパルス信号の変化するタイミングより後に前記第2のパルス信号が変化する第1の状態と、前記第1のパルス信号の変化するタイミングより前に前記第2のパルス信号が変化する第2の状態との、いずれか一方の状態のときは、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含む、前記モータの回転方向を表す信号を出力し、
前記第1の状態、または前記第2の状態の、他方の状態のときは、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含む、前記モータの回転方向を表す信号を反転させた信号を出力する、
ことを特徴とするパルス合成回路。
【請求項2】
前記第1のパルス信号と、前記第2のパルス信号とに基づいて、前記回転軸が第1の方向に回転している場合は、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含み、前記回転軸が前記第1の方向と反対の第2の方向に回転している場合は、一定の値である第1の回転パルス信号と、前記回転軸が前記第1の方向と反対の第2の方向に回転している場合は、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含み、前記回転軸が第1の方向に回転している場合は、一定の値である第2の回転パルス信号と、を生成するパルス生成手段と、
前記パルス生成手段によって生成された前記第1の回転パルス信号または前記第2の回転パルス信号に基づいて、前記回転軸が第1の方向に回転している場合は、前記第1の回転パルス信号からなり、前記回転軸が前記第1の方向と反対の第2の方向に回転している場合は、前記第2の回転パルス信号の反転信号からなる前記回転方向を表す信号を生成するパルス合成手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス合成回路。
【請求項3】
前記パルス生成手段は、
前記第1のパルス信号に対して前記第2のパルス信号の位相が遅れている場合は、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含み、前記第1のパルス信号に対して前記第2のパルス信号の位相が進んでいる場合は、一定の値である前記第1の回転パルス信号と、
前記第1のパルス信号に対して前記第2のパルス信号の位相が遅れている場合は、一定の値であり、前記第1のパルス信号に対して前記第2のパルス信号の位相が進んでいる場合は、前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスを含む前記第2の回転パルス信号と、
を生成し、
前記パルス合成手段は、
前記第1の回転パルス信号に前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスが含まれる場合は、前記第1の回転パルス信号を出力し、
前記第2の回転パルス信号に前記第1のパルス信号が変化するタイミングを示すパルスが含まれる場合は、前記第2の回転パルス信号を反転させた信号を出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載のパルス合成回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−139427(P2010−139427A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317173(P2008−317173)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】