説明

パルス状ガスの送出の制御および方法

モル送出のシステムおよび方法は、各パルスの持続時間の関数として既知のモル量のパルスを供給し、各パルスの持続時間は、理想気体の法則の関数として導出される。このシステムの一実施形態では、同システムは、既知の温度に制御された既知の容量のチャンバと、チャンバ内の圧力を測定するための圧力センサと、処理手段への出口弁と、チャンバに送出ガスを充填するための入口弁と、出口弁の動作を制御して、処理手段への弁のタイミングを制御することにより、各パルス状ガスの量を制御するように構成して配置された制御システムとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本出願は、2010年1月19日出願の米国特許出願第12/689,961号の利益を主張するものであり、その全体の教示が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、一般に、精密な少量のガスまたは蒸気の送出の測定および制御に関し、より具体的には、各パルスで送出されるガスまたは蒸気の正確なモル量を制御するように、計量されたパルス状のガスまたは蒸気を正確に送出するための較正された制御システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]本明細書で言及されるとき、文脈が許す場合は常に、「ガス」に対する言及は「蒸気」を含む。半導体素子の製造においては、処理チャンバまたは反応器などの処理手段に対して、12またはより多くのガスを緻密に同期して、正確に測定して送出することがしばしば要求される。製造処理では様々な製法が用いられ、多くの処理ステップが個別に必要とされる。例えば、半導体素子では、洗浄、研磨、酸化、マスク、エッチング、ドープ、金属化などが必要とされる場合がある。用いられるステップ、それらの特定の順序、および含まれる材料が、すべて特定の素子の作製に寄与する。
【0004】
[0004]素子サイズが90nm未満に縮小し続けるにつれて、少しの例を挙げると、銅相互接続のための障壁の堆積、タングステン核形成層の生成、高導電性誘電体の製造などの様々な用途に、原子層堆積(ALD)処理が必要とされることを半導体の行程表は示唆する。ALD処理では、真空に保たれた処理チャンバの中で、ウェーハ表面の上に順次2以上の前駆物質ガスが流れる。2以上の前駆物質ガスは、通常1つまたは複数の反応器の中に一連の連続パルスで導入され、その結果、ガスは、ウェーハ表面でその部位または官能基と反応することができる。ガスのモル数が精密に送出されるように、パルスを注意深く制御する必要がある。実際、ALD処理では、その制御は、通常、各パルスで送出されるガスの原子または分子の数を制御するほどに精密である必要がある。例えば、米国特許第7,615,120号(Shajiiら)、米国特許第6,913,031号(Nowataら)および米国特許第6887521号(Basceri)、ならびに米国特許出願公開第2007/0022951号(Spartz)および米国特許出願公開第2006/0130755号(Clark)を参照されたい。すべての利用可能な部位を前駆物質ガスのうちの1つ(例えばガスA)で飽和すると反応が終わり、一般にパージガスを用いて処理チャンバから過剰な前駆物質分子が除去される。次の前駆物質ガス(例えばガスB)がウェーハ表面の上に流れるとき、一般にこの処理が繰り返される。2つの前駆物質ガスだけを用いる簡単な処理の一般的なサイクルは、例えば、前駆物質ガスAの1つのパルス、パージ、前駆物質ガスBの1つのパルス、およびパージと定義される。この順序は、通常、最終的な厚さが達成されるまで繰り返される。前駆物質ガスに対する自己制御式表面反応のこれらサイクルのそれぞれにより、1サイクルにつき堆積膜の単一原子層1つが得られる。
【0005】
[0005]処理チャンバまたは反応器などの手段に導入された前駆物質ガスのパルスは、通常オン−オフ弁または遮断弁を使用して制御される。1つの弁が、充填される貯蔵器への入口弁として使用され、第2の弁が、貯蔵器からの出口弁として使用されて、手段に送出されるパルスを制御する。出口弁は、蓄積貯蔵器から所望のモル量の前駆物質ガスを送出するのに必要な所定の期間にわたって単に開かれる。米国特許第7,615,120号(Shajiiら)の開示で例示されたパルスの流れを制御する現行の方法の1つに、蓄積貯蔵器を充填するために、適切な入口弁の開閉のタイミングを制御する技法が含まれる。送出されるモル数は、出口弁の上流にある容量が既知の蓄積貯蔵器の圧力低下と、リアルタイムガス温度モデルとに基づいており、弁動作による変化、すなわち貯蔵器に出入りするガスまたは蒸気の流れを制御するのに使用される入口弁および出口弁の開閉による変化によって、蓄積貯蔵器の容量のガスの温度変動が指定される。この手法は、システムを通って流れるガスの特性に左右されるので、ガスの予備的知識が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]処理チャンバまたは反応器などの手段に対して、送出されるべきガスから独立して各パルスの持続時間を制御することにより、予測可能で反復可能な量の前駆物質ガスを、パルス状ガスとして、急速に繰り返し送出する新規の改善されたシステムおよび方法が依然として望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]一実施形態では、上流の貯蔵器の容量が一定のままであること、および、システムによって送出されるガスが、各パルスの最初と最後で常に一様な温度であることを保証することにより、送出されるガスのモル量および蓄積貯蔵器内の始動圧力のみに依存するパルスの時間間隔の値のテーブルが生成され得る。ガスが貯蔵器の中で保たれて予測通りに送出される場合の圧力の許容可能範囲はガスによって規定されるが、これは、手段により処理が遂行される範囲の全体にわたって、十分な条件にガスがとどまることを保証するのみである。十分なデータによりテーブルが一旦確立されると、パルスを送出する前にチャンバ内のガスの始動圧力が許容可能範囲にわたって変化したとしても、その後システムは各パルスでガスの精密なモル量を送出することができる。したがって、システムは、各パルスによって供給されるガスの原子または分子の数を、単にパルス持続時間の関数として制御する。ここでパルス持続時間は、上流チャンバ内の始動圧力の関数として求められる。この改善されたシステムおよび方法は、例えばALD処理などの半導体製造処理で特に有益である。
【0008】
[0008]さらに、各前駆物質ガスのパルス状の流れを測定し、かつ送出するための改善されたシステムおよび方法の他の利点および態様は、各パルスを送出するのに使用される弁が故障した場合のすべての態様ではないが、いくつかの態様を予測して検出するために用いられ得る。
【0009】
[0009]本開示の他の特徴および利点は、本明細書で説明される例示的実施形態の詳細な説明を、図面を参照しながら読み取って理解することにより、理解されるであろう。
[0010]本開示の態様は、以下の説明から、添付図面と一緒に読み取られたとき、より十分に理解されるはずであり、これらは、本質的に例示と見なされるべきであり、限定するものと見なされるべきではない。図面は、必ずしも原寸に比例せず、本開示の原理が強調されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】[0011]各パルスの持続時間と上流チャンバのガスの始動圧力との関数として規定され、または予測されたガスのモル量をそれぞれ含むパルス状のガスを送出するように構成された、パルスガス送出システムの例示的実施形態のブロック図である。
【図2】[0012]図1のシステムを較正する方法の例示的実施形態を説明する流れ図である。
【図3】[0013]ガスまたは蒸気の精密なモル量を送出するために図1のシステムを操作する方法の例示的実施形態を説明する状態図である。
【図4】[0014]図1の例示的システム向けの例示的ルックアップテーブルを示す図である。
【図5A】[0015]必要とされるデータを有するルックアップテーブルを取り込むための手続きの一実施形態の流れ図である。
【図5B】必要とされるデータを有するルックアップテーブルを取り込むための手続きの一実施形態の流れ図である。
【図5C】必要とされるデータを有するルックアップテーブルを取り込むための手続きの一実施形態の流れ図である。
【図5D】必要とされるデータを有するルックアップテーブルを取り込むための手続きの一実施形態の流れ図である。
【図6】[0016]図1のパルスガス送出システムを2つ含む原子層堆積システムの例示的実施形態の概略図である。
【0011】
[0017]図面には特定の実施形態が示されているが、当業者なら、示された実施形態は例示であり、それらの示された実施形態の変形形態ならびに本明細書で説明された他の実施形態も、本開示の範囲内に予見され、かつ実施され得ることを理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0018]前述のように、本開示の実施形態は精密なモル量のガスを、チャンバから送出される各パルスの時間間隔と貯蔵器のガスの始動圧力との関数として、一定の温度で、一定の容量のチャンバまたは貯蔵器から手段へパルスとして正確に繰り返し送出するためのシステムおよび方法を対象とする。ルックアップテーブルは、送出されるモル量の関数として各パルスの時間間隔の様々な値を表すデータ、および各パルスの開始に先立つ貯蔵器のガスの始動圧力を含めて生成され得る。ルックアップテーブルのデータは、ガスの、各パルス間隔の前の始動圧力と後の終了圧力との関数として生成することができる。パルスの時間間隔は、チャンバからのガスの流れを制御するのに使用される弁によって制御される。チャンバの容量が一定であるので、これが可能である。上流のガスチャンバ内のガスまたは蒸気の温度は測定でき、一定値に保たれるべきであり、すなわちパルスの開始前とパルスの送出後で同一の値であるべきである。チャンバの容積および温度が、パルス状のガスの送出の前後で同一であれば、理想気体の法則により、パルス間隔中に送出されるモル数は、単一変数、すなわちチャンバ内のガスの、パルスの送出前の始動圧力と送出後の終了圧力の間の差の関数になるはずである。その結果、始動圧力が与えられれば、各パルスの時間間隔が求めら、手段に対するガスの既知のモル量を送出することができる。ガスの温度を一定に保つために、パルスが送出される前の始動圧力およびパルスが送出された後の終了圧力は安定していなければならないことに留意されたい。時間間隔の最後には、チャンバの最終圧力は、理想気体の法則に基づいて予測可能な値へと変化することになる。一旦データが生成されると、始動圧力が既知であれば、時間制御パルスが注意深く制御される場合は、送出されるガスの所定のモル量を求めるために最終圧力を測定する必要はない。
【0013】
[0019]初期圧力すなわち始動圧力における、パルス状のガスにより送出されるモル量とパルスの時間間隔との間の相関は、in situ(その場)で測定することによって可能である。次いで、相関性のあるデータが生成されて、読取り可能なルックアップテーブルに保存され得る。
【0014】
[0020]図面を参照すると、図1は、パルスガス送出システムまたはモル送出装置(MDD)100の例示的実施形態を示す。図2は、装置100を較正する方法200の例示的実施形態を示し、図3は、所望の量レベル(dose level)と各パルスの送出を開始するときの装置100のチャンバ内のガスまたは蒸気の初期圧力すなわち始動圧力との関数として、各パルス状ガスの時間間隔を制御する方法300の例示的実施形態の状態図を示す。システム100ならびに方法200および300は、半導体処理手段に対して、正確に計量された非常に少量の処理ガスを急速に送出するように特に意図されている。また、このシステムおよび方法は、送出される各パルス状ガスの持続時間を、送出されるガスと無関係に、単に量レベルおよび送出システム内の始動圧力の関数として制御することにより、半導体製造処理で用いられる各ガスの精密な量を送出することによって、高度に再現可能な性能結果を提供する。ガスは、送出されているガスまたは蒸気の関数として求められる一定で一様な温度に保たれる。あらかじめ求められた相関データに基づいてパルスの時間間隔を求めるように、パルスの送出に先立って開始圧力が測定される。一実施形態では、送出されるガス量の精度を保証するために、パルスの送出後の終了圧力は、圧力が安定した後に測定され得る。ガスの温度は監視することができ、代替実施形態では、所望の一定レベルに保つように制御される。このシステムおよび方法は、原子層堆積(ALD)のシステムおよび処理など、非常に少量のガスの送出を必要とするシステムに対して特に有益であり、この場合システムおよび処理はより効率的になる。
【0015】
[0021]温度を所望の一定レベルに保ち、既知の容量のチャンバを使用することにより、持続時間は、単に2つの変数、すなわち送出される所望の量レベルおよびパルス送出前のシステムのチャンバのガスまたは蒸気の初期圧力だけに依存するようになる。したがって、各パルスの持続時間を与えるよう、送出される量のモル量および上流チャンバ内のパルス送出開始時点の測定された圧力に基づいてルックアップが確立され得る。前述のように、温度およびチャンバの容量が一定のままであるという条件下では、理想気体の法則は、開始圧力およびパルスの持続時間が与えられれば、各パルスの送出後のチャンバ内の最終圧力が完全に予測可能であることを示す。結果として、制御弁が適切に動作しているかどうか判断するために、パルス送出後の最終圧力が測定され得るが、一旦ルックアップテーブルが確立されれば、パルスの持続時間を求めるステップの一部分として測定される必要はない。
【0016】
[0022]以下で図2に関してより詳細に説明されるように、図1のシステムの実施形態では、パルス送出前にチャンバ内で測定された始動圧力を与えて、チャンバ内のガスまたは蒸気の精密なモル量を送出するように、システムが供給可能なパルスの持続時間を表すルックアップテーブル用のデータの収集が必要とされる。システムを動作させるのに適切に用いることができるデータの範囲では、手段に対して送出されるガスまたは蒸気の仕様に配慮する必要がある。仕様には、ガスまたは蒸気で送出される材料の状態を保つのに許容できる温度および圧力の範囲が含まれる。多くの用途では、送出される材料がガスまたは蒸気の状態に保たれるように特定の温度が好ましい。したがって、理想気体の法則を用いると、パルスの期間中の送出されるモル数は、パルスの開始時の初期圧力および時間間隔の関数である。パルスが終了すると、チャンバ内の圧力は完全に予測可能であるので、弁の動作を制御するためにチャンバ内の圧力を測定する必要はない。ガスパルスが送出されている時間間隔の間は、チャンバ内のガスの流れのために圧力および温度が変動する傾向があり、弁の動作を正確に制御するのが非常に困難になるので、チャンバ内の圧力測定が不要であることには利点がある。各圧力値が安定する機会を得た後に、チャンバ内のガスまたは蒸気の初期圧力すなわち始動圧力の各測定を行ない、その結果、ガスまたは蒸気の温度が一定の温度値に保たれる。そのため、ユーザまたはシステムは、各パルスで必要な所望の量またはモル量のガスを要求でき、システムは、パルスの持続時間を制御することによってその量を送出することになる。
【0017】
[0023]より詳細に説明すると、図1に示されるシステム100は、所定の容量の送出チャンバ102と、チャンバ102に入るガス流れを制御する第1の弁すなわち入口弁104と、チャンバ102からのガス流れを制御する第2の弁すなわち出口弁106とを備える。この実装形態では、チャンバは、送出チャンバの容量が既知であって、パルスの送出前後でチャンバの温度が均一かつ一定に保たれるように構成される。さらに、第1の弁104および第2の弁106は、好ましくはオン−オフ型の遮断弁を備え、少なくとも第2の弁すなわち出口弁106は、例えば約1ミリ秒と5ミリ秒の間の相対的に非常に高速な応答時間を有するが、実際の応答時間は用途次第で変化させることができる。
【0018】
[0024]図示されたパルスガス送出システム100は、チャンバ102内の圧力測定をもたらすための圧力変換器108およびチャンバ102の壁の温度測定をもたらすための温度センサ110も含む。圧力変換器108も、好ましくは、例えば約1〜5ミリ秒の相対的に非常に高速な応答時間を有するが、圧力変換器の実際の応答時間もまた、用途次第で変化させることができる。
【0019】
[0025]本開示の送出システム100とともに使用するのに適切な圧力変換器108の一例には、本出願の譲受人から購入可能な、マサチューセッツ州アンドーヴァーのMKS Instruments社(www.mksinst.com)のBaratron(登録商標)ブランドの圧力変換器がある。高速の応答時間を有する他の圧力センサも使用することができる。
【0020】
[0026]図示されたパルス状ガス送出システム100の入力データ装置114は、操作者から直接的に、または例えばウェーハ処理コンピュータコントローラといったコントローラ手段を介して間接的に、入力112を受け取る。入力112は、該手段により必要とされるガスの所望のモル量を表しており、命令をコンピュータコントローラまたはプロセッサ(すなわちコンピュータ処理装置または「CPU」)116に渡して、送出されるガスまたは蒸気に依存する、ある範囲の初期圧力内にある好ましい温度レベルで、チャンバ102において測定された初期圧力の関数として、各パルスについてガスの所望のモル量を送出するのに必要とされる持続時間を確立する。コンピュータコントローラまたはプロセッサ116は、圧力変換器108、温度センサ110、弁104、106、ルックアップテーブル118、および入力インターフェース114に接続される。さらに、チャンバ内の圧力が安定しているとき、チャンバ102内のガスを好ましい温度レベルに保つために、例えばコントローラ116によって制御されるヒータ120が設けられ得る。
【0021】
[0027]チャンバ内のガスを温度測定することは好ましいが、チャンバの全体にわたって温度が変動する可能性があり、このような場合ガスの測定は不可能でないにしても困難になる。したがって、壁の温度をガスまたは蒸気の温度の最善の推定値として得る。チャンバ内のガス圧が安定に保たれている限り、測定された壁温度はガス温度と等しくなる。さらに、温度勾配をできるだけ回避して、全体の容量を一様な温度に制御しなければならない。較正データは理想気体の法則の関数であり、高温では多くの前駆物質がガスとしてのみ存在するので、較正データをもたらすよう用いられた温度にガスを保つことが重要である。さらに、例えば入口弁が開いていてガスがチャンバに流入可能なとき、または出口弁が開いていてガスがチャンバから流出可能なときなど、ガスまたは蒸気の圧力が遷移事象によって変化していると、ガスの温度が変化する可能性がある。このために、遷移事象に続く場合にガス圧を安定化することを可能にすることが重要である。容量の温度が、較正処理に用いたものから別の温度に変化するか、または別の動作温度が望まれる場合、ルックアップテーブルは再び生成される必要がある。また、入力データインターフェース114は、プロセスの課程にわたって各パルスに対応する所望のモル量のガスを供給するために、送出が必要とされる様々なガスのパルスの数および次数などの他の処理命令を入力するために使用される。いくつかの実施形態では、データインターフェース114は、システム100によって送出されるガス量の指標を(操作者から直接的に、またはウェーハプロセッサなどの処理手段のコンピュータコントローラを介して間接的に)もたらすように構成して配置された出力インターフェースも含むことができる。
【0022】
[0028]入出力データインターフェース114は、個別のユニットに分けられるか、または単一ユニットに組み合わせられてよい。入出力インターフェース114は、キーボードおよび/またはモニタを有するパーソナルコンピュータに接続することができる。
【0023】
[0029]本開示の一例示的実施形態によれば、図1のパルスガス送出システム100のコントローラ116は、較正ならびに図2の量(dose)送出方法200および図3の量送出方法300を実行するのに使用され得る。
【0024】
[0030]図2に示されるように、較正プロセスは、図4で400に示されたものなどのルックアップテーブルを生成するのに用いられる。ルックアップテーブル400は、コントローラ116の一部分として、適切なメモリに記憶され得る。一実施形態では(図4に示されるように、以下でより詳細に説明されるが)、ルックアップテーブル用に生成されたデータは、既定の範囲内の圧力にあるチャンバ102内のガスの初期圧力(Pi)の関数としてそれぞれ送出される、対応するガスまたは蒸気の複数のモルの集合を送出するのに必要な時間間隔の集合である。
【0025】
[0031]最初に、較正処理の一部分として、較正テーブルを生成するために、送出されるべきガスまたは蒸気の特定の仕様がシステムに与えられる。仕様は、処理手段に送出されるために必要とされる量(好ましくはモル)の予期される範囲、(通常、処理を通じて均一のままである)ガスまたは蒸気の動作温度、およびガスまたは蒸気が処理に適さなくなる最高圧力(Pmax)を含む。出口弁が開かれる時間の最大の許容長によって求められる最低圧力(Pmin)も存在する。この最低圧力は、操作者によって定義され、通常、遂行されている特定の処理に左右される。最高圧力および最低圧力は、生成されているルックアップテーブル用の初期圧力の範囲を定義することになる。以下でより明らかになるが、(圧力変換器108で測定された)チャンバ102のガスまたは蒸気の初期圧力を、パルスが送出される前に常に安定化することが可能である。精密なモル量のガスを送出するためのパルスの持続時間または間隔は、チャンバのガスまたは蒸気の始動圧力および終了圧力に左右されることになる。具体的には、理想気体の法則を用いて量は次式で計算される。
【0026】
【数1】

【0027】
この式で、
Δn=量、
Pf=最終圧力、
Pi=初期圧力、
V=体積、
R=一般ガス定数、
T=ボリュームの温度、である。
式(1)は、
n=K(Pi−Pf) (2)
となり、Kは定数である。
【0028】
[0032]したがって、モル数は、初期圧力および最終圧力の関数である。しかし、前述のように、温度およびチャンバの容量が一定のままであるという条件下では、理想気体の法則は、開始圧力およびパルスの持続時間が与えられれば、各パルスの送出後のチャンバ内の最終圧力が完全に予測可能であることを示す。結果として、適切なデータでルックアップテーブルを生成することにより、パルスの持続時間を求めるステップの一部分としてパルス送出の次に最終圧力を測定する必要はない。したがって、ルックアップテーブルは、PminからPmaxの圧力許容範囲の情報、およびガスまたは蒸気をチャンバ102内で一様な温度に保つことに基づいて、2つの変数だけで生成され得る。
【0029】
[0033]図2を参照すると、較正プロセス200の一実施形態はステップ202で開始する。ステップ204では、手段に送出するための、チャンバ102に導入されるガスの特定の仕様を表すデータが受け取られる。ガスまたは蒸気のこれらの仕様には、特定の処理のための予期された量、動作温度および最大圧力(Pmax)が含まれる。ステップ206では、システム100がさらに較正されなければならないかどうか判断される。「はい」の場合、ステップ208で、そのデータ、持続時間値(t)が、始動圧力および量の関数として求められる。このデータはin situで生成され得て、工場で求められる必要はない。結果として、このシステムは処理が実行さるより前に較正され得る。ステップ206で、ステップ204で与えられた仕様が必要なデータを有して、ルックアップテーブルが既に十分に生成されている場合、またはステップ208でルックアップテーブル用のさらなるデータが生成されてから完成している場合に、次にシステムは、ステップ210で、図3を参照して以下に示して説明される実施形態などの処理を実行するための状態機械へ進む。
【0030】
[0034] チャンバ内の温度を、仕様の一部分として最初に与えられた決められた一定値に保つために、チャンバ102の温度は、温度変換器110の出力を検知して加熱器120の動作を制御することにより絶えず監視されている。
【0031】
[0035]図3を参照すると、このシステムは、作動中、チャンバ102内のガスの選択されたモル数を手段に供給する命令を受け取る。次いで、状態機械は、充填状態302で動作することになる。したがって、出口弁が閉められ、入口弁が開かれて、チャンバ内の圧力が初期の仕様で定義された範囲内の適切なレベルまで上昇することが可能になる。次いで、状態304で、入口弁が閉められて圧力が安定化され得る。チャンバにガスが流入または流出するとき、ガスまたは蒸気の温度は、その一様な値から変動することになる。したがって、次の状態に進む前に、ガスまたは蒸気の圧力が、初期の圧力すなわち開始圧力(Pi)のレベルで安定化することを可能にすると、ガスまたは蒸気の温度は、その一様な温度に戻ることができる。このことは正確な量の正確な送出を保証する。
【0032】
[0036]次いで、システムは状態306に進む。圧力Piは、圧力変換器108と、送出されるガスまたは蒸気の要求されたモル数の関数としてルックアップテーブルから検索されたΔtの値とを用いて測定される。次いで、状態機械300は状態308に遷移することになり、そこで、システムは、要求された量を送出するための命令を待つ。状態310に遷移すると、ルックアップテーブルから与えられた時間Δtにわたって出口弁108が開かれる。例えば、図4を参照すると、PiがP3に相当し、また、必要とされるモル数がn2であると、ルックアップテーブルは、出口弁108がΔt=t32の期間にわたって開かれている必要があることを示す。
【0033】
[0037]したがって、再び図3を参照すると、状態310で、ルックアップテーブルで示されたΔtにわたって弁が開かれ、Δt=t32のとき出口弁108は閉まる。次いで、システムは、状態312に遷移して、チャンバ102内の圧力が安定化して温度が所望の動作温度に落ち着くことを可能にする。このことは、圧力変換器108および温度変換器110を読み取ることにより確認され得る。状態314に遷移して、システムは現在の圧力(最終圧力Pf)を求め、モル数(N)が計算される。次いで、システムは、次に指示された量を送出するために、状態302から314までを繰り返す。
【0034】
[0038]代替の実施形態では、図3の状態314に続いて、システムは状態316に遷移することができ、正確な量が送出されたことを確認し、必要に応じてルックアップテーブルを更新する。これはin situ較正を可能にする。
【0035】
[0039]別の代替の実施形態では、状態314から318に進んで、最終圧力Pfが元の仕様によって定義されたPmin未満かどうか判断することができる。Pmin未満でなければ、次のサイクルで状態302および304を飛ばして状態306に進むことにより、迅速な供給が達成され得る。PfがPmin未満の場合、さらなるガスまたは蒸気のチャンバ内への流入を可能にするよう、チャンバ102は状態302で(出口弁は閉じたままで)入口弁を開くことにより、充填される必要がある。次いで、この処理は、ステップ304等に進むことができる。
【0036】
[0040]前述のように、ルックアップテーブル用のデータを生成するとき、図2の較正ステップ中に与えられる仕様の一部分として、許容可能な圧力範囲を設けることができる。システム100は、パルスの開始時点でチャンバが含んでいるものより多くのモル数を送出することはできない。また、下流の状態(圧力温度およびチャンバの容量)は手段ごとに異なり、流れがどれくらい速くチャンバ102を出ることができるかを決定する。実際の問題として、目標量に対して、初期圧力Piに対応するΔtが処理にとってあまりにも負担になると、最低圧力が制限されることになる。最大Δtの代表例はおよそ2秒以上であるが、これが用途および環境次第で変化することは明らかである。
【0037】
[0041]図5を参照して、以下は、必要とされるデータを有するルックアップテーブルを生成するための一実施形態である。図5Aを参照すると、較正プロセス500はステップ502で始まり、システムは、このシステムを使用して遂行されることになる処理に関する情報を受け取る。この与えられた例では、情報は、Pmax、Δt_maxおよびΔn_target(目標量)、ならびに貯蔵器の容量と温度、および収束の許容範囲Δn_tolを含む。以下でより明らかになるように、Δn_tolは、貯蔵器内のガスの特定の始動圧力に対応する実際のモル値と理想気体の法則を用いて求められた値との間の許容され得る差を表す。
【0038】
[0042]一旦情報が受け取られると、較正プロセスは、ステップ502で求められた最大圧力Pmaxまで貯蔵器を充填するために、サブルーチン504へ進む。サブルーチン504は、入口弁を開くステップ506と、圧力を監視するステップ508と、P=Pmaxのとき入口弁を閉じるステップ510と、PがdP/dt=0に安定化するのを待つステップ512とを含む。次いで、システムは、図5Bに示されたサブルーチン514を用いる較正テーブルの初期化に進む。
【0039】
[0043]サブルーチン514は、各量バルブΔnを求めるためのサブルーチン516を含む。サブルーチン516は、行なわれる各測定に関して以下を含む。最初に、開始圧力すなわち初期圧力Piの値が表に記録される。次いで、ΔnおよびPiの値が与えられると、ステップ520で、理想気体の法則を用いて(式2を用いて)最終圧力Pfが計算される。一旦最終圧力Pfが求められると、次いで、ステップ522で出口弁が開かれ、ステップ524で貯蔵器の圧力が監視される。モニタ圧力がPfの所定値と等しいとき(P=Pf)、ステップ526で出口弁が閉められる。次いで、ステップ528で、時間間隔の実際の値Δt_actualが記録される。次いで、システムは、ステップ530で、貯蔵器の圧力が安定する(dP/dt=0)のを待つ。一旦安定すると、処理はステップ532に進む。次いで、Δnの値が、理想気体の法則によってPiおよびPfの実際の測定値を用いて計算される。
【0040】
[0044]次いで、システムは、ステップ534で、Δtの測定値からΔt_targetの値を補間し、Δnの計算値からΔn_targetの値を補間する。このステップでは、in situ較正のために、弁タイミングに対してPID制御を実施することができることを理解されたい。ステップ536で、Δt_targetの結果を示す値が、較正テーブルに(行=Pi、列=Δn_targetに)挿入される。次いで、ステップ538で、システムは、Δt_target>Δt_maxかどうか調べて判断する。「いいえ」の場合、次いで、処理はステップ518に戻り、ステップ518〜536が繰り返される。「はい」の場合、ステップ540でPminの値が記録され、処理は、ルーチン550のステップ552に進んで較正テーブルを調べる。
【0041】
[0045]サブルーチン550はステップ552を含み、ここで、システムは、収束=はい、を設定して、最初に測定値および計算値が許容限度内にあることを示す。次に、ステップ554で、貯蔵器がPmaxに充填される(ステップ506〜510を含むサブルーチン504を繰り返す)。次いで、この処理は、量を時間間隔Δtの関数として測定するルーチン556に進む。このシステムは、ルーチン中に、ステップ558で開始圧力Piを記録する。ステップ560で、較正テーブルからΔt_targetの値が検索される。次いで、ステップ562で、Piの値および較正テーブルの圧力値からΔt_targetの値が補間される。ステップ564で出口弁が開かれ、システムは、ステップ566でΔt_targetの値の時間だけ待つ。一旦、これらの値が与えられると、システムは出口弁568を閉じる。次いで、サブルーチン550はステップ570に進み、ここで、システムは、貯蔵器の圧力がdP/dt=0に安定するのを待つ。次いで、ステップ572で、理想気体の法則を用いてΔnの値が計算されて記録される。ステップ574で、収束したかどうか、すなわち、絶対値|Δn−Δn_target|がΔn_tol(処理の初めのステップ502で用意された値未満かどうかが調査される。「はい」の場合、システムは、以下で説明されるステップ584に進む。「いいえ」の場合、収束しておらず、システムは、収束=いいえ、に設定することにより、ステップ578で始まるサブルーチン576を実行する。ステップ580で、Δtの測定値からΔt_targetの値が補間され、測定されたΔnからΔn_targetが補間される。次いで、ステップ582で、システムは、較正テーブルを更新するか、または較正テーブルの中にΔt_targetの値を挿入する。次いで、システムはステップ584に進む。
【0042】
[0046]次いで、ステップ584で、システムは、Δt_targetの値がΔt_maxより大であるか、またはPがPmin未満であるかどうか調べて判断する。「いいえ」の場合、処理は、戻ってステップ558〜574を(必要に応じてステップ578〜582も)繰り返す。「はい」の場合、処理は図5Dに示されるステップ590に進み、ここで、対象のすべての値に対して、収束=はい、が設定されているかどうか、すなわち表中のすべての値が収束したかどうか、判断される。「はい」の場合、較正テーブルの生成がデータを伴って完成されている。「いいえ」の場合、システムはステップ552(図5C)に戻り、ステップ552〜574(必要に応じてステップ578〜582)およびステップ584が繰り返される。
【0043】
[0047]ここでは、収束サブルーチンを実行するために、PIDまたは他の標準的アルゴリズムが適用され得ることを理解されたい。ここで説明した方法は、図3の第2の実施形態を表し、システムは、顧客が量の処理を起動することを除けば、較正モードで連続的に動作している。
【0044】
[0048]圧力範囲、圧力ステップのサイズ、時間範囲、および時間ステップのサイズは、あらかじめプログラムされるか、またはユーザ定義のものであり、入力データインターフェース116を介して与えられ得る。圧力範囲は、例えば0.5トルのステップサイズを伴う1〜20トルを含むことができる。時間範囲は、例えば0.1秒のステップサイズで0.1〜1.5秒を含むことができるが、時間範囲およびステップサイズは、部分的には用途次第で明確に変化する可能性がある。
【0045】
[0049]図5A〜図5Dで説明して示されたルックアップテーブルの較正ルーチンは、現在開示されたパルスガス送出システム100の例示的実施形態の1つであることを理解されたい。ルックアップテーブル112のすべてまたは一部分を生成することができるいかなる処理も、本開示の範囲内にある。例えば、圧力および時間は、どちらも較正ループの反復修正中に変化する可能性がある。各放出で圧力が低下し、チャンバ102を再充填するのに時間がかかるので、コントローラ114は、圧力が範囲外に低下するまで連続的に様々な時間間隔を試験することができる。ルックアップテーブルは、分類され、または分類されていない、任意のデータ構造で記憶され得る。
【0046】
[0050]図6は、原子層堆積システム600の例示的実施形態の概略図である。システム600は、半導体ウェーハまたは基板の632を収容するための処理手段をALD反応器631の形で含む。一般に、ウェーハ632は支持体(またはチャック)633の上に存在し、チャック633および膜堆積のためのウェーハ632を加熱するために、チャックには加熱器634が結合される。処理ガスは、チャンバ631の一端にあるガス分配器635を通ってチャンバ631の中に導入される。ウェーハ表面の端から端までガス流れを取り込むために、真空ポンプ636が反対端に配置される。処理チャンバ内の圧力を調整するために、絞り弁637が設けられてよい。
【0047】
[0051]蒸気とガスを混合するために、当技術分野で既知の適合技法を含む様々な化学的気相成長法(CVD)の技法が利用され得る。示されていないが、ガスは、プラズマとして導入されてもよい。ガス分配器635は、図6に示されるMDD 100aおよび100bなどの1つまたは複数のモル送出装置(MDD)100からガスを受け取る。システム600は、ガス分配器635および処理チャンバ631の中へ様々な処理ガスおよびパージガスを導くための多重コネクタ638も含む。
【0048】
[0052]図示された多重コネクタ638は、ガスおよび化学物質を導入するための2つの入口およびパージガスを導入するための入口を有する。他の実施形態では、多重コネクタ538は、異なる数のガス供給源を接続する異なる数の入口を有することができる。パージガスは、一般に、窒素などの不活性のガスである。この例では、ガスAおよびガスBはパージガスと混合して示されている。ガスAは第1の前駆物質ガスに関するものでよく、また、ガスBは第2の前駆物質ガスに関するものでよく、これらは、処理チャンバ631に含まれる半導体ウェーハ632上に原子層堆積を遂行するためのものである。化学物質選択マニホールド(図示せず)は、前駆物質ガスAおよびBとして用いられ得る化学物質の選択をもたらす。各MDD 100の出口弁102(図6には示されていない)は、それぞれ前駆物質ガスAおよびBの多重コネクタ638への導入を調整し、調節型の弁644はパージガスの流れを調整する。
【0049】
[0053]一旦、ウェーハ632が処理チャンバ631の内部に常駐すると、チャンバの環境が、所望のパラメータを満たすように整えられる。例えば、半導体ウェーハ632の温度は原子層堆積を遂行するために上昇する。原子層堆積が実行されることになっているとき、MDD 100bの出口弁が開かれて、第1の前駆物質が処理チャンバ631の中へ導入されることを可能にする。あらかじめ選択された期間の後、MDD 100bの出口弁が閉められ、弁644が開かれて、パージガスが、あらゆる残りの反応種を処理チャンバ631から除去する。次いで、別のあらかじめ選択された時間の後、パージガスを止めるために弁644が閉められ、処理チャンバ631の中へ第2の前駆物質を導入するためにMDD 100aの出口弁が開かれる。再び別のあらかじめ選択された期間の後、MDD 100aの出口弁が閉められ、弁644が開かれて、パージガスが、反応種を処理チャンバ631から除去する。半導体ウェーハ632上に膜層を堆積する原子層堆積サイクルを遂行するために、搬送流の流れの中に2つの化学物質AとBが交互に導入される。
【0050】
[0054]したがって、処理チャンバ631に流入する前駆物質ガスのパルスは、MDD 100aおよび100bのそれぞれの出口弁102を使用して制御され、ここで、MDD 100aおよび100bのそれぞれの出口弁102は、処理チャンバ631の中へ所望の量の前駆物質ガスを送出するために所定の期間にわたって単純に開かれる。各モル送出装置は、図1〜図5に関連して説明されたように較正して使用され得る。
【0051】
[0055]当業者なら、本開示の実施形態が、電気分解を制御するための制御アルゴリズム/ソフトウェア/信号を含み、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこのようなものの任意の組合せ、ならびに1つまたは複数のネットワークによって実施され得ることを理解するであろう。
【0052】
[0056]本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、当業者なら、様々な変更形態および改善を容易に思いつくであろう。このような変更形態および改善は、本発明の範囲内に入るように意図されている。したがって、前述の説明は単なる実例であって、限定するようには意図されていない。本発明は、以下の特許請求の範囲およびその等価物によって定義されるようにのみ限定される。したがって、本明細書で説明され、添付の特許請求の範囲で特許請求される実施形態は、あらゆる点で、本開示の実例であって限定するものではないと見なされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の範囲の精密で反復可能なガスの量を送出するように構成されたパルスガス送出システムであって、
既知の容量のチャンバであって、前記チャンバ内の前記ガスを一様な温度に保ち、前記チャンバからの各量のガスの送出の前後で一定の範囲内の安定した圧力に保つように構成して配置されたチャンバと、
前記チャンバの中へガスを導入するために開くように構成して配置された入口弁と、
制御された時間間隔を通じて、前記時間間隔中に、要求された量のパルス状ガスを送出するために開閉するように構成して配置された出口弁と、
前記弁の時間間隔を、所望のガス量のレベル、ならびに前記チャンバ内の前記ガスの、各パルスの送出前の初期安定化圧力および送出後の最終安定化圧力の関数としてのみ制御するためのコントローラとを備えるパルスガス送出システム。
【請求項2】
様々な時間間隔を表すデータを含むルックアップテーブルをさらに備え、該時間間隔のそれぞれが前記チャンバから送出されるガスの対応する量および前記チャンバ内の前記初期安定化圧力の関数である、請求項1に記載のパルスガス送出システム。
【請求項3】
前記テーブルが、in situで生成されたデータを用いて生成される請求項2に記載のパルスガス送出システム。
【請求項4】
量および初期圧力に対応する前記時間間隔は、前記チャンバ内の前記ガスが、前記出口弁が開いているときの前記初期圧力から前記出口弁が閉まっているときの最終圧力に遷移するのに要する時間を測定することにより求められ、すべてが、
n=k(Pi−Pf)、
という関係に従い、ここで、nはモルで表した前記量であり、
kは定数であり、
Piは前記チャンバ内の前記初期安定化圧力であり、
Pfは前記チャンバ内の前記最終安定化圧力である、
請求項2に記載のパルス送出システム。
【請求項5】
前記チャンバ内の前記ガスの前記初期安定化圧力および前記最終安定化圧力を測定するように構成して配置された圧力測定サブシステムをさらに含み、前記チャンバ内の前記圧力がPfに等しくなるときを求めるために、各時間間隔の値が、前記出口弁が開いている期間中に前記チャンバ内の前記圧力を測定することにより、nおよびPiの各値に対して求められる請求項4に記載のパルス送出システム。
【請求項6】
前記圧力測定サブシステムが、前記出口弁が開く前および閉まった後の前記チャンバ内の前記圧力がそれぞれ安定しているときに、前記チャンバ内の前記ガスの前記初期圧力および前記最終圧力をそれぞれ測定するように構成して配置される請求項4に記載のパルスガス送出システム。
【請求項7】
前記チャンバ内の前記ガスを一様な温度に保つための温度制御サブシステムをさらに含む請求項1に記載のパルスガス送出システム。
【請求項8】
前記温度制御サブシステムが、前記ガスを一様な温度に保つために、前記チャンバ内の前記ガスを加熱するように構成して配置された加熱器を含む請求項7に記載のパルスガス送出システム。
【請求項9】
前記コントローラが、前記チャンバ内の前記ガスの、前記出口弁が開かれる前の前記初期圧力および前記出口弁が閉められた後の前記最終圧力を測定するための圧力測定サブシステムを含み、該ガスの圧力は安定しており、データは、要求された前記量の大きさ、測定された前記初期圧力、および以下の関係n=k(Pi−Pf)により求められる前記最終圧力に基づいて生成され、ここで、nはモルで表した前記量であり、kは定数であり、Piは前記初期圧力であり、Pfは前記最終圧力である請求項7に記載のパルスガス送出システム。
【請求項10】
前記最終圧力は前記測定された最終圧力と比較され、前記出口弁の適切な動作を確認する請求項9に記載のパルスガス送出システム。
【請求項11】
前記チャンバ内の前記ガスの前記初期圧力および前記最終圧力のそれぞれを安定させた後、前記出口弁が開かれる前の前記初期圧力および前記出口弁が開かれた後の前記最終圧力を測定するように構成して配置された圧力測定サブシステムをさらに含む請求項7に記載のパルスガス送出システム。
【請求項12】
前記チャンバ内の前記ガスの前記最終圧力は、前記パルスの前記持続時間に続いて測定され、前記出口弁の精度を保証する請求項11に記載のパルスガス送出システム。
【請求項13】
ガスの各量が前記チャンバから送出された後に、前記チャンバはガスを補充される請求項1に記載のパルスガス送出システム。
【請求項14】
ガスの複数の量が前記チャンバから送出された後に、前記チャンバはガスを補充される請求項1に記載のパルスガス送出システム。
【請求項15】
前記チャンバ内の前記圧力があらかじめ設定されたレベル未満に下がるときにのみに、前記チャンバはガスを補充される請求項1に記載のパルスガス送出システム。
【請求項16】
前記入口弁は、前記出口弁が閉まっている限り、前記チャンバにガスを充填するために開き、前記チャンバ内の前記ガスを保つために閉まるように構成して配置され、前記チャンバから1つまたは複数の量が続いて送出され得る請求項1に記載のパルスガス送出システム。
【請求項17】
前記チャンバ内の前記ガスの前記圧力があらかじめ設定されたレベル未満に下がるとき、コントローラが、前記チャンバを充填するように前記入口弁を動作させる請求項16に記載のパルスガス送出システム。
【請求項18】
精密な量のガスを用いて加工物上に堆積層を形成する堆積プロセスを実行するように構成して配置された手段と、
モル送出装置とを備え、
該モル送出装置は、
前記手段に対して一定の範囲の精密で反復可能なガスの量を送出するように構成されたパルスガス送出装置と、
チャンバからの各量のガスが送出される前後で、前記チャンバ内のガスを、一様な温度で一定の範囲内で安定した圧力にそれぞれ保つように構成して配置された一定容量のチャンバと、
前記チャンバの中へガスを導入するために開くよう構成して配置された入口弁と、
制御された時間間隔を通じて、前記時間間隔中に、要求された量のパルス状ガスを送出するために開閉するように構成して配置された出口弁と、および
前記出口弁の時間間隔を、所望のガス量レベル、ならびに前記チャンバ内のガスの、各パルスの送出前の初期安定化圧力および送出後の最終安定化圧力の関数としてのみ制御するためのコントローラを備える、備えるシステム。
【請求項19】
原子層堆積システムである請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
それぞれが、計量された量の2つの前駆物質ガスのパルスを二者択一で送出するように構成された少なくとも2つのモル送出装置をさらに含む請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
様々な時間間隔を表すデータを含むルックアップテーブルをさらに備え、時間間隔のそれぞれは、前記チャンバから送出されるガスの対応する量と前記チャンバ内の前記初期安定化圧力の関数である請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記ルックアップテーブルがin situで生成されたデータを用いて生成される請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
量および初期圧力に対応する前記時間間隔は、前記チャンバ内の前記ガスが、前記出口弁が開かれているときの初期圧力から前記出口弁が閉められたときの最終圧力に遷移するのに要する時間を測定することにより求められ、すべては、
n=k(Pi−Pf)、
という関係に従い、ここで、nはモルで表した前記量であり、
kは定数であり、
Piは前記チャンバ内の前記初期安定化圧力であり、
Pfは前記チャンバ内の前記最終安定化圧力である、
請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
ガスの各量が前記チャンバから送出された後に、前記チャンバはガスを補充される請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
ガスの複数の量が前記チャンバから送出された後に、前記チャンバはガスを補充される請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
前記チャンバ内の前記圧力があらかじめ設定されたレベル未満に下がるときにのみ、前記チャンバはガスを補充される請求項18に記載のパルスガス送出システム。
【請求項27】
前記入口弁は、前記出口弁が閉まっている限り、前記チャンバにガスを充填するために開き、前記チャンバ内の前記ガスを保つために閉まるように構成して配置され、前記チャンバから1つまたは複数の量が続いて送出され得る請求項18に記載のパルスガス送出システム。
【請求項28】
前記チャンバ内の前記ガスの前記圧力があらかじめ設定されたレベル未満に下がるとき、コントローラが、前記チャンバを充填するように前記入口弁を動作させる請求項27に記載のパルスガス送出システム。
【請求項29】
既知の容量のチャンバ内のガスを一様な温度で一定の範囲内の安定した圧力に保つように構成され配置されたモル送出システムを較正する方法であって、出口弁が、コントローラによってパルス状ガスを送出するように制御される、方法であって、
前記システムから送出されるそれぞれの前記パルス状ガスの持続時間を、各パルス状ガスのモル量と、前記パルス状ガスが送出される前の前記チャンバ内の前記ガスの前記初期安定化圧力との関数として表す較正データを生成することにより、前記システムを較正するステップを含む方法。
【請求項30】
前記圧力がn=k(Pi−Pf)という関係を満たすような安定した最終圧力(Pf)になるまで、前記システムによって送出される前記パルス状ガスのそれぞれに対する、特定のモル量(n)および初期圧力(Pi)に関する持続時間を測定することにより、前記較正データを生成するステップは、それぞれのパルス状ガスの持続時間を求めるステップを含む請求項29に記載のモル送出システムを較正する方法。
【請求項31】
既知の容量のチャンバと、
前記チャンバに流入するガスの流れを制御するように構成された入口弁と、
前記チャンバから流出するガスの流れを制御するように構成された出口弁と、
前記チャンバ内の前記圧力の関数としてデータを生成するように構成して配置された圧力変換器と、
前記チャンバ内の前記ガスを一様な温度に保つための温度センサを含む加熱システムと、
前記入口弁、前記出口弁、前記圧力センサ、および前記加熱システムに接続されたコントローラであって、送出される所望の量と、前記出口弁が開いて次に閉まるまでに対応する時間間隔中に前記チャンバから流出するパルス状ガスのモル量の中の前記ガスの初期圧力との関数として、前記出口弁が開いていなければならない持続時間を表すルックアップテーブル用のデータを生成するように構成されたコントローラと、を備えるパルスガス送出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−517387(P2013−517387A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550022(P2012−550022)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際出願番号】PCT/US2011/020324
【国際公開番号】WO2011/090825
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】