説明

ヒスタミンH3受容体薬剤、製剤及び治療的使用

本発明は、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニスト活性を有する式Iに示される新規化合物又はその薬理学的に許容できる塩、並びにそのような化合物の調製方法を開示する。別の具体的態様において、本発明は、式Iの化合物を含有する医薬組成物、並びにその医薬組成物を使用して、肥満症、認知障害、睡眠発作及びヒスタミンH3受容体に関連する他の疾患の治療方法を開示する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2005年7月1日に出願された米国特許仮出願第60/696,257号に記載の利点を主張する。
【0002】
本発明は、新規なアリール−メタノン−ピロリジニル−メチル−ピロリジニル化合物に関し、化合物を含む医薬組成物、これらの化合物及び組成物を使用して治療する方法、並びに、中間体及びこれらの化合物を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒスタミンH3受容体は、比較的にニューロン特異的であり、ヒスタミンを含む多数のモノアミンの放出を阻害する。ヒスタミンH3受容体は、中枢及び抹消神経系の双方に位置するシナプス前自己受容体及びヘテロ受容体である。ヒスタミンH3受容体は、ヒスタミン並びに例えばセロトニン及びアセチルコリンのような他の神経伝達物質の放出を制御する。ヒスタミンH3受容体により媒介される応答の例が存在する。最近の研究結果から、H3受容体は、インビトロ及びインビボにて、固有の、構成的な活性を示す(即ち、アゴニストの不在下で活性である)ことが示唆されている。この活性は、インバースアゴニストとして作用する化合物により阻害することができる。従って、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストは、脳内でH3受容体により制御される神経伝達物質の放出を増大させることが期待できる。それに対して、ヒスタミンH3受容体アゴニストは、生合成の阻害、並びに/或いはヒスタミン及び例えばセロトニン及びアセチルコリン等の他の神経伝達物質の放出の阻害を招く。これらの発見は、ヒスタミンH3受容体アゴニスト、インバースアゴニスト及びアンタゴニストが、ニューロンの活性及びヒスタミンH3受容体を発現し得る他の細胞の活性の重要なメディエータであることを示唆している。ヒスタミンH3受容体の逆作動又は選択的拮抗は、脳内のヒスタミン及び他のモノアミンの濃度を上昇させ、例えば食物消費のような活動を阻害しながら、非特異的な抹消作用を最小限にする。この機構により、ヒスタミンH3受容体の逆作動又は選択的拮抗は、覚醒の延長、認知機能の改善、食物摂取の低下及び前庭反射の正常化が促進される。従って、ヒスタミンH3受容体は、アルツハイマー病、気分及び注意力の調整、認知欠損、肥満症、めまい、統合失調症、てんかん、睡眠障害、睡眠発作及び動揺病の新しい治療法のための重要なターゲットである。
【0004】
ヒスタミンは、4種の受容体サブタイプ、H1R、H2R、H3R及び新たに確認されたGPRv53と指定された受容体[(Oda T.ら,J.Biol.Chem.275(47):36781−6(2000)]を介してその活性を仲介する。GPRv53の別名は、PORT3又はH4Rである。H1R、H2R及びH3Rに関しては比較的に選択的なリガンドが開発されているが、H3RをH4Rから区別できる特異的リガンドは殆ど開発されていない。H4Rは、人の白血球中に高い濃度で発見される、広く分布した受容体である。H3R受容体の拮抗をターゲットとした場合、GPRv53受容体の活性化又は阻害により望ましくない副作用が生じる場合がある。H4R受容体の同定は、ヒスタミンに関する学説を根本的に変化させており、この問題はヒスタミンH3受容体アンタゴニストの開発において考慮する必要がある。
【0005】
数種のヒスタミンH3受容体アンタゴニストが開発されており、これらは概ね4(5)位が置換されたイミダゾール環を有する点で、ヒスタミンと類似している(Ganellinら,Ars Pharmaceutica,1995,36:3,455−468)。これらのイミダゾール含有化合物は、血液脳関門の通過が乏しく、チトクロムP−450タンパクと相互作用し、また肝臓毒性及び眼毒性を有するという欠点がある。最近、ヒスタミンH3受容体の他のイミダゾール系リガンド及び非イミダゾール系リガンドが、例えば国際公開2002/076925号パンフレットで開示されている。
【0006】
ヒスタミンH3受容体アゴニスト、インバースアゴニスト又はアンタゴニストとして作用してH3受容体の活性を調節し、H3受容体の調節により利益を受け得る疾病を治療する代替的な又は改良された医薬を使用した、改良された治療法が今もなお必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ヒスタミンH3受容体にて親和性及び選択性が高く、かつ、活性が強力な新規な種類のアリール−メタノン−ピロリジニル−メチル−ピロリジニル化合物の発見に基づいて当該技術分野に貢献するものである。本発明はその構造及び活性において独自性を有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬理学的に許容できる塩を提供する。
【化1】

(I)
[式中、R1は、独立して、−N(R2)(R3)、−N(R2)SO2−フェニル(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N(R2)SO2−CH2−フェニル(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−モルホリニル、−N(R2)C(O)NH(R3)、−C(O)N(R2)(R3)、−SO2N(R2)(R3)、−SO2−N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−SO2−N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−SO2−N−モルホリニル又は−X−(CH2n−R5(ここに、Xは−S−又は−CH2−であり、nは0、1、2、3又は4である)であり、式中、nが0である場合、(CH2nは結合であり、R2は、独立して、−H又は−(C1−C4)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)であり、R3は、独立して、−(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−(C2−C4)アルキレン−N−ピロリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−ピペリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−モルホリニル、−(C1−C4)アルキレン−2−ピリジニル、−(C1−C4)アルキレン−3−ピリジニル又は−(C1−C4)アルキレン−4−ピリジニルであり、R4は、独立して、−CH3、−CF3、−CN又は−SO2CH3であり、R5は、独立して、−N(R2)(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−N(R2)((C3−C7)シクロアルキル)、−N(R2)(−CH2−フェニル)、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル、−N−ピペラジン−N−メチル、−2−ピリジニル、−3−ピリジニル、−4−ピリジニル、−2−ピリミジニル又は−4−ピリミジニルであり、但し、式中、Xが−S−であり且つnが0又は1である場合、R5は、−N(R2)(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−N(R2)((C3−C7)シクロアルキル)、−N(R2)(−CH2−フェニル)、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル又は−N−ピペラジン−N−メチルではなく、R6は、独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)であり、R7は、独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)である]。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ヒスタミンH3受容体と選択的かつ高い親和性で結合し、従ってヒスタミンH3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストとして有用な化合物を提供する。別の態様において、本発明はヒスタミンH3受容体の選択的アンタゴニスト又はインバースアゴニストとして有用であるが、GPRv53に対しては殆ど又は全く結合親和性がない化合物を提供する。更に、本発明は、神経系疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。本発明は更に、肥満症又は認知障害を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。また更に別の一態様では、本発明は、ヒスタミンH3受容体のアンタゴニスト又はインバースアゴニストを含有する医薬組成物を提供する。
【0010】
本願明細書の化合物、組成物及び方法の説明に使用する一般的な用語は、通常の意味を有する。本願明細書全体を通して、以下の用語はそこで定義された意味を有する。用語「GPRv53」は、Odaら(前出)に記載されているような最近確認された新規なヒスタミン受容体を意味する。この受容体の別名は、PORT3又はH4Rである。
【0011】
用語「H3R」は、ヒスタミンを含む多数のモノアミンの放出を阻害するヒスタミンH3受容体を意味する。用語「H1R」は、ヒスタミンH1受容体サブタイプを意味する。用語「H2R」は、ヒスタミンH2受容体サブタイプを意味する。用語「H3Rアンタゴニスト」は、アゴニストR−(−)αメチルヒスタミンに応答したホルスコリン刺激によるcAMP産生を遮断する能力を有する化合物として定義する。用語「H3Rインバースアゴニスト」は、H3Rの構成的活性を阻害する能力を有する本発明の化合物として定義する。用語「選択的H3Rアンタゴニスト又はインバースアゴニスト」は、GPRv53ヒスタミン受容体との親和性より大きなH3ヒスタミン受容体との親和性を有する本発明の化合物を意味する。
【0012】
本願明細書の一般式において、一般的な化学用語はそれらの通常の意味を有する。
【0013】
「(C1−C4)アルキレン」は、1個から4個の炭素原子からなる直鎖又は分鎖構造の飽和ヒドロカルビルジイル遊離基である。メチレン、1,2−エタン−ジイル、1,1−エタン−ジイル、1,3−プロパン−ジイル、1,2−プロパン−ジイル、1,3ブタン−ジイル、1,4−ブタンージイル等が、この用語の範囲内に含まれる。「(C2−C4)アルキレン」は、2個から4個の炭素原子からなる直鎖又は分鎖構造の飽和ヒドロカルビルジイル遊離基である。1,2−エタン−ジイル、1,3−プロパン−ジイル、1,2−プロパン−ジイル、1,3−ブタン−ジイル、1,4−ブタン−ジイル等が、この用語の範囲内に含まれる。
【0014】
例えば、「(C1−C3)アルキル」は、メチル、エチル、プロピル等の1〜3個の炭素原子であり、1〜3個のハロゲンで任意に置換され、「(C1−C4)アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の4個の炭素原子及びその分鎖又は異性体形であり、1〜4個のハロゲンで任意に置換され、並びに、「(C1−C6)アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の1〜6個の炭素原子及びその分鎖又は異性体形であり、1〜3個のハロゲンで任意に置換される。
【0015】
「(C3−C7)シクロアルキル」は、3〜7個の炭素原子を有する環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルシクロヘキシル及びシクロヘプチルを意味する。「−N−ピペリジニル」は、
【化2】

であり、「−N−ピロリジニル」は、
【化3】

であり、「−N−モルホリニル」は、
【化4】

であり、「−N−ピペラジン−N−メチル」は、
【化5】

であり、式中、点線は、付着位置を表す。
【0016】
「ハロゲン」又は「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0017】
本願明細書で使用される場合、「任意に置換される」という用語は、対象となる基が、特定した1種類以上の置換基で置換される、或いは、置換されないという意味である。対象となる基が1種類以上の置換基で置換される場合、置換基は同一でも異なっていてもよい。更に、「独立して」、「独立して〜である」及び「〜から独立して選択される」が用いられる場合、対象とする基が同一又は異なっていてもよいと理解される。上記で定義された用語のいくつかは、構造式において2回以上現れてもよく、その各用語は、互いに独立して定義される。
【0018】
用語「患者」は、ヒト及び非ヒト動物(例えば、伴侶動物(イヌ及びネコ等)及び家畜動物)を含む。家畜動物は、食物生産のために飼育される動物である。家畜動物の例には、ウシ、雄牛、雌牛、食用牛、ヒツジ、バッファロ、バイソン、ヤギ及びレイヨウのような反芻類又は「反芻」動物が含まれる。家畜の他の例は、豚及び例えば鶏、家鴨、七面鳥及び鵞鳥のような鳥類(家禽類)を含む。家畜の更なる他の例は、水産養殖で飼育される魚、貝及び甲殻類を含む。ワニ、水牛及び走鳥類(例えば、エミュー、レア又はダチョウ)等、食糧生産における珍しい動物も含まれる。治療される患者は、好ましくは哺乳類、特にヒトである。
【0019】
本願明細書に使用されているように、用語「治療」「処置」及び「治療する」は、それらが一般に認知されている意味、即ち本願明細書に記載する疾患、障害又は病的状態の進行又は重症度を予防、制止、阻害、緩和、改善、遅延、停止又は逆行するように患者の管理又は治療することであり、症状又は複雑化の緩和又は軽減、或いは、疾患、障害、症状の治療又は除去を含む。
【0020】
ここで、「治療上有効量」とは、本願明細書に記載の様々な病的状態の兆しを緩和することができる本発明の化合物の量を意味する。本発明によって投与される化合物の特定の投与量は、もちろん、例えば、投与された化合物、投与方法、患者の状態、並びに治療されている病的状態を含むケースの特定の状況で決定される。
【0021】
一般に、用語「薬理学的な」は、形容詞として使用される場合、生体にとって実質的に無毒であることを意味する。例えば、本願明細書で使用される用語「薬理学的に許容できる塩」は、生体にとって実質的に毒性のない式Iの化合物の塩を指す。例えばBerge、S.M,Bighley,L.D.,及びMonkhouse、D.C.,「PharmaceuticalSalts」J.Pharm.Sci.,66:1,1977を参照されたい。本発明は、本化合物の薬学的に許容できる塩を包含する。
【0022】
「組成物」は医薬組成物を意味し、式Iの活性成分(1種類以上)と、担体を構成する不活性成分(1種類以上)とを含有する医薬製品を包含することを意図する。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物及び薬理学的に許容できる担体を混合して生成された全ての組成物が包含される。
【0023】
用語「適切な溶媒」はあらゆる溶媒又はこれらの混合物に言及し、所望の反応をもたらす媒体が得られる反応物を可溶化する反応において不活発である。
【0024】
用語「単位剤形」は、ヒト被験者及び非ヒト動物のための単位用量に適した、物理的に分離された単位を意味し、各単位は適切な医薬担体と組み合わされた形で、所望の治療効果が得られるように計算された所定量の活性物質を含有する。
【0025】
一具体的態様において、本発明は、上記にて詳細に説明したような式Iの化合物を提供する。本発明の全化合物が有用であるが、具体的にはある特定の化合物が興味深く、また好ましい。
【0026】
別の具体的態様において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬理学的に許容できる塩を提供する。式中、R1は、独立して、−N(R2)(R3)、−N(R2)SO2−フェニル(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N(R2)SO2−CH2−フェニル(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−モルホリニル、−N(R2)C(O)NH(R3)であり、R2は、独立して、−H又は−(C1−C4)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)であり、R3は、独立して、−(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−(C2−C4)アルキレン−N−ピロリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−ピペリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−モルホリニル、−(C1−C4)アルキレン−2−ピリジニル、−(C1−C4)アルキレン−3−ピリジニル又は−(C1−C4)アルキレン−4−ピリジニルであり、R4は、独立して、−CH3、−CF3、−CN又は−SO2CH3であり、R6は、独立して、−H又は−CH3であり、R7は、独立して、−H又は−CH3である。
【0027】
別の具体的態様において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬理学的に許容できる塩を提供する。式中、R1は、独立して、−C(O)N(R2)(R3)、R2は、独立して、−H又は−(C1−C4)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、R3は、独立して、−(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−(C2−C4)アルキレン−N−ピロリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−ピペリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−モルホリニル、−(C1−C4)アルキレン−2−ピリジニル、−(C1−C4)アルキレン−3−ピリジニル又は−(C1−C4)アルキレン−4−ピリジニルであり、R6は、独立して、−H又は−CH3であり、R7は、独立して、−H又は−CH3である。
【0028】
別の具体的態様において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬理学的に許容できる塩を提供する。式中、R1は、独立して、−SO2N(R2)(R3)、−SO2−N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−SO2−N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、又は−SO2−N−モルホリニルであり、R2は、独立して、−H又は−(C1−C4)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、R3は、独立して、−(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−(C2−C4)アルキレン−N−ピロリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−ピペリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−モルホリニル、−(C1−C4)アルキレン−2−ピリジニル、−(C1−C4)アルキレン−3−ピリジニル又は−(C1−C4)アルキレン−4−ピリジニルであり、R4は、独立して、−CH3、−CF3、−CN又は−SO2CH3であり、R6は、独立して、−H又は−CH3であり、R7は、独立して、−H又は−CH3である。
【0029】
別の具体的態様において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬理学的に許容できる塩を提供する。式中、R1は、独立して、−X−(CH2n−R5であり、式中、Xは−CH2−であり、nは0、1、2、3又は4であり、nが0の場合、(CH2nは結合であり、R2は、独立して、−H又は−(C1−C4)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)であり、R5は、独立して、−N(R2)(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−N(R2)((C3−C7)シクロアルキル)、−N(R2)(−CH2−フェニル)、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル、−N−ピペラジン−N−メチル、−2−ピリジニル、−3−ピリジニル、−4−ピリジニル、−2−ピリミジニル、又は−4−ピリミジニルであり、但し、Xが−S−であり且つnが0又は1である場合、R5は、−N(R2)(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−N(R2)((C3−C7)シクロアルキル)、−N(R2)(−CH2−フェニル)、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル、又は−N−ピペラジン−N−メチルではなく、R6は、独立して、−H又は−CH3であり、R7は、独立して、−H又は−CH3である。
【0030】
別の具体的態様において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬理学的に許容できる塩を提供する。式中、R1は、独立して−X−(CH2n−R5であり、式中、Xは−S−であり、nは0、1、2、3又は4であり、nが0の場合、(CH2nは結合であり、R2は、独立して、−H又は−(C1−C4)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)であり、R5は、独立して、−N(R2)(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−N(R2)((C3−C7)シクロアルキル)、−N(R2)(−CH2−フェニル)、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル、−N−ピペラジン−N−メチル、−2−ピリジニル、−3−ピリジニル、−4−ピリジニル、−2−ピリミジニル又は−4−ピリミジニルであり、但し、Xが−S−であり且つnが0又は1である場合、R5は、−N(R2)(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−N(R2)((C3−C7)シクロアルキル)、−N(R2)(−CH2−フェニル)、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル又は−N−ピペラジン−N−メチルではなく、R6は、独立して、−H又は−CH3であり、R7は、独立して、−H又は−CH3である。
【0031】
別の具体的態様では、本発明は、式Iによって構造的に示される化合物又はその薬理学的に許容できる塩である。
【化6】

(I)
[式中、R1は、独立して、−N(R2)(R3)、−N(R2)SO2−フェニル(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N(R2)SO2(CH2)フェニル(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−モルホリニル、−N(R2)C(O)NH(R3)、−C(O)N(R2)(R3)、−SO2N(R2)(R3)、−SO2N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−SO2N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−SO2N−モルホリニル又は−X(CH2n(R5)(ここに、Xは−S−又は−CH2−であり、nは0、1、2、3又は4である)であり、R2は、独立して、−H又は−(C1−C4)アルキルであり、R3は、独立して、−(C1−C6)アルキル、−(C2−C4)アルキレン−N−ピロリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−ピペリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−モルホリニル、−(C1−C4)アルキレン−2−ピリジニル、−(C1−C4)アルキレン−3−ピリジニル、又は−(C1−C4)アルキレン−4−ピリジニルであり、R4は、独立して、−CH3、−CF3、−CN又は−SO2Meであり、R5は、独立して、−N(R2)(C1−C6)アルキル、−N(R2)(シクロアルキル)、−N(R2)(CH2−フェニル)、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル、−N−ピペラジン−N−メチル、−2−ピリジニル、−3−ピリジニル、−4−ピリジニル、−2−ピリミジニル又は−4−ピリミジニルであり、但し、Xが−S−であり且つnが0又は1である場合、R5は、−N(R2)(C1−C6)アルキル、−N(R2)(シクロアルキル)、−N(R2)(CH2)フェニル、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル、又は−N−ピペラジン−N−メチルであり、R6は、独立して、−H又は−(C1−C3)アルキルであり、R7は、独立して、−H又は−(C1−C3)アルキルである]。
【0032】
本発明の更なる具体的態様は、以下の好ましい具体的態様に記載されるように、上記に記載される各具体的態様を更に限定したものである。特に、以下に記載される好ましい具体的態様の各々は、上記の具体的態様の各々と独立して組み合わせられ、特定の組み合わせは、その好ましい具体的態様で示している変数をその好ましい具体的態様に従って限定した別の具体的態様を提供する。
【0033】
好ましい具体的態様において、R1は、−N(R2)(R3)、−N(R2)SO2−フェニル(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N(R2)SO2(−CH2−フェニル)(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−モルホリニル又は−N(R2)C(O)NH(R3)である。好ましい具体的態様において、R1は、−C(O)N(R2)(R3)である。好ましい具体的態様において、R1は、−SO2N(R2)(R3)、−SO2−N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−SO2−N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)又は−SO2−N−モルホリニルである。
【0034】
好ましい具体的態様において、R1は、−X−(CH2n−R5(ここに、Xは−S−であり、nは0、1、2、3又は4である)であり、nが0の場合、(CH2nは結合であり、但し、Xが−S−であり且つnが0又は1である場合、R5は、−N(R2)(C1−C6)アルキル、−N(R2)(C3−C7シクロアルキル)、−N(R2)(CH2)フェニル、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル又は−N−ピペラジン−N−メチルではない。好ましい具体的態様において、R1は、−X−(CH2n−R5(ここに、Xは−CH2−であり、nは0、1、2、3又は4である)であり、式中、nが0である場合、(CH2nは結合であり、但し、Xが−S−であり且つnが0又は1である場合、R5は、−N(R2)(C1−C6)アルキル、−N(R2)((C3−C7)シクロアルキル)、−N(R2)(CH2)フェニル、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル、又は−N−ピペラジン−N−メチルではない。
【0035】
好ましい具体的態様において、R1は、独立して、−N(H)−CH2−CH2−N−ピロリジニル、−N(H)−CH2−CH2−CH2−N−ピペリジニル、−N(H)−CH2−CH2−CH2−CH3、−N(−CH2−CH3)(−CH2−CH3)、−N−ピペリジニル、−N(H)−C(O)−N(H)−CH2−CH2−CH2−CH3、−SO2−N(−CH2CH3)(−CH2CH3)、−N(−CH3)(−CH3)、−CH2−CH2−N(H)(−シクロペンチル)、−CH2−CH2−CH2−N(H)(−シクロペンチル)、−CH2−CH2−N(H)(−CH2−フェニル)、−CH2−CH2−N−ピペリジニル、−CH2−CH2−N−ピロリジニル、−CH2−CH2−CH2−N−ピロリジニル、−CH2−CH2(−N−ピペラジニル−N−メチル)、−CH2−CH2−N(−CH2−CH3)(−CH2−CH3)、−C(O)N(H)(−CH2−CH2−CH2(−N−ピロリジニル)、−SO2−N−ピロリジニル、−SO2−N−モルホリニル、−SO2−N−ピロリジニル−3−SO2CH3、−N(H)(−SO2−CH2−フェニル)、−N(H)(−SO2−フェニル−4−SO2CH3)、−N(−CH3)(−SO2−フェニル−4−SO2CH3)、−S−CH2−CH2−CH2−4−ピリジニル、−S−CH2−CH2−CH2−3−ピリジニル、−S−4−ピリジニル、−C(O)N(H)−CH2−CH2−3−ピリジニル、−S−4−ピリミジニル、及び−S−3−ピリジニルである。
【0036】
好ましくは、R2は−Hである。好ましくは、R2は、−(C1−C3)アルキルである。好ましくは、R2は、メチル又はエチルである。好ましくは、R3は、−(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)である。好ましくは、R4は、−SO2CH3である。好ましくは、Xは−S−である。好ましくは、nは、2又は3である。好ましくは、R6は−Hである。好ましくは、R7は−Hである。好ましくは、R6は−Hであり、R7は−Hである。好ましくは、R6及びR7は、独立して、−H又は−CH3である。好ましくは、R6は−CH3であり、R7は−Hである。本発明の更なる具体的態様には、式X1〜X28の化合物又はその薬理学的に許容できる塩が含まれる。本発明の更なる実施態様は、式I又はX1からX28のヒスタミンH3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストの製造に有用な、本願明細書に記載される全ての新規な中間体の調製である。
【0037】
表1
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【0038】
本発明は、更に、ヒスタミン受容体GPRv53に対する結合親和性が殆ど又は全くないことを特徴とする式Iのアンタゴニスト又はインバースアゴニストを提供する。ヒスタミンH3受容体との相互作用ゆえに、本発明の化合物はヒスタミンH3受容体との相互作用が有益である幅広い症状及び疾患の治療に有用である。従って、本発明の方法は、式Iの化合物又は医薬組成物の予防的及び治療的に投与することを包含する。本発明はまた、式Iの化合物及び薬理学的に許容できる担体を含有する医薬組成物を提供する。式Iの医薬製剤は、式Iの化合物であるヒスタミンH3受容体のアンタゴニスト又はインバースアゴニストと細胞を接触させることによって、細胞中のヒスタミン濃度を選択的に上昇させるか、或いは、細胞によって放出されるヒスタミンを選択的に増加させる方法を提供することができる。
【0039】
従って、本発明の化合物又は式Iの医薬組成物は、例えば中枢神経系、末梢神経系、心血管系、肺システム、胃腸系及び内分泌システムの疾病又は症状の予防、治療及び/又は緩和に用いられ得ると共に、同時に進行中の治療に関連する1種類以上の望ましくない副作用を軽減及び/又は除去する。
【0040】
また、本発明は、式Iの化合物又はその薬理学的な塩、若しくは、式Iの化合物又はその薬理学的な塩と、薬理学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤を含有する医薬組成物であって、H3受容体を阻害するために使用し、哺乳類のH3受容体が媒介する細胞応答を阻害するために使用し、哺乳類のH3受容体が調節する神経伝達物質の放出を増大させるために使用し、過剰量のヒスタミンH3受容体活性から発症する疾患を治療するために使用し、限定されないが、肥満症、認知障害、注意力欠如障害、記憶障害、例えばアルツハイマー病及び注意欠陥多動性障害のような痴呆症及び認知障害、双極性障害、精神疾患における認知欠損、記憶欠損、学習障害、痴呆症、軽度認知機能障害、偏頭痛、気分及び注意力の変化、動揺病、神経原性炎症、強迫性障害、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、発作又はてんかん性発作、例えば睡眠発作のような睡眠障害、例えばメニエール病のような前庭機能障害、疼痛、薬物乱用、鬱病、てんかん、時差ぼけ、覚醒、トゥーレット症候群、めまいを含む哺乳類の神経系疾患を治療するために使用する医薬組成物を提供する。
【0041】
本発明は、更に式Iの化合物、その薬理学的な塩、若しくは式Iの化合物又はその薬理学的な塩と薬理学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物の使用であって、H3受容体を阻害するための医薬品の製造、哺乳類のH3受容体が媒介する細胞応答を阻害するための医薬品の製造、哺乳類の脳内のH3受容体により調節される神経伝達物質の放出を増大させる医薬品の製造、過剰なヒスタミンH3受容体活性から生じる疾患を治療するための医薬品の製造、哺乳類の認識障害を治療するための医薬品の製造、限定されないが、肥満症、認知障害、注意力欠如障害、記憶障害、例えばアルツハイマー病及び注意欠陥多動性障害のような痴呆症及び認知障害;双極性障害、精神疾患における認知欠損、記憶欠損、学習障害、痴呆症、軽度認知機能障害、偏頭痛、気分及び注意力の変化、動揺病、神経原性炎症、強迫性障害、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、てんかん及び発作又はてんかん性発作;発作性睡眠等の睡眠障害;例えばメニエール病のような前庭機能障害、疼痛、薬物乱用、鬱病、てんかん、時差ぼけ、覚醒、トゥーレット症候群、めまいを含む哺乳類の神経系疾患を治療するための医薬品の製造に関する。本発明の別の具体的態様において、本化合物は、ヒスタミンH3受容体が媒介する状態及び疾患の治療用医薬の製造に使用される。
【0042】
本発明は更に、哺乳類のヒスタミンH3受容体の過剰な活性化より生じる症状を治療する方法、哺乳類のヒスタミンH3受容体の活性を阻害する方法、哺乳類のヒスタミンH3受容体により媒介される細胞応答を阻害する方法、哺乳類の脳内のH3受容体により調節される神経伝達物質の放出を増大させる方法、哺乳類の認知障害を治療する方法、限定されないが、肥満症、認識障害、注意力及び注意欠陥障害、記憶障害、学習障害、痴呆症、アルツハイマー病、注意欠如多動性障害、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、てんかん及び発作又はてんかん性発作を含む哺乳類の神経系疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳類に、式Iの化合物若しくはその薬理学的に許容できる塩、若しくは、式Iの化合物又はその薬理学的な塩と薬理学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物のヒスタミンH3受容体阻害量を投与することを含む方法を更に提供する。
【0043】
本発明は更に、哺乳類のヒスタミンH3受容体の過剰な活性化より生じる症状を治療する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳類に、ヒスタミンH3受容体を阻害する量の式Iの化合物又はその薬理学的な塩と薬理学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤を含有する医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。また、式Iの医薬組成物は、ヒスタミンH3受容体の活性の調節が有利な効果を奏する疾患又は疾病の治療又は予防に有用である。本発明は更に、ヒスタミンH1R、H2R又はH4R受容体に対する親和性と比較して、ヒスタミンH3受容体に対して親和性が高いことを特徴とする式Iのアンタゴニスト又はインバースアゴニストを提供する。本発明の更に別の具体的態様において、本化合物は、食欲調節又はエネルギー消費障害の治療用医薬組成物の製造に使用される。本発明の別の形態において、本化合物による患者の治療は、食事及び/又は運動と組み合わせられる。別の具体的態様において、中間体化合物は、本発明の最終化合物を調製するために有用である。更に、本発明の具体的態様には、本願明細書に記載されている方法により命名され、並びにヒスタミンH3受容体に結合してPET撮像に有用なポジトロン断層撮影法(PET)のリガンドを生成するために当該技術分野にて周知の方法で補充される化合物例の合成が含まれる。
【0044】
本発明には、本発明の化合物の互変異性体、エナンチオマー及び他の立体異性体も含まれる。すなわち、当業者に周知のように、特定のアリールは互変異性体形態で存在し得る。ゆえにこのような変形は、本発明の範囲に含まれるものとする。本願明細書で使用される式Iの化合物には、その薬理学的な塩、エナンチオマー及びラセミ混合物も含まれることを意味するものと理解されたい。本発明の化合物は、キラル体であってもよく、分離した、純粋又は部分的に純粋な鏡像異性体、或いはそのラセミ混合物としてのあらゆる鏡像異性体が、本発明の範囲内に含まれることを意図される。
【0045】
記号
【化7】

は、頁の平面から前方に突き出る結合を指す。記号
【化8】

は、頁の平面から後方に突き出る結合を指す。記号
【化9】

は、立体化学的に定義されない結合を指す。
【0046】
式Iの化合物は、ジアステレオマー混合物として存在する場合、例えばメタノール、酢酸エチル又はそれらの混合物等の適切な溶媒から分別再結晶することにより、ジアステレオ異性のエナンチオマー対に分離できる。このように得られたエナンチオマー対は、例えば分割剤として光学活性酸を使用する従来の手段により、個々の立体異性体に分離される。代替的に、式Iの化合物のいずれかのエナンチオマーは、周知の立体配置を有する光学的に純粋な出発物質又は試薬を使用する立体特異的な合成又はエナンチオ選択的な合成により得ることができる。
【0047】
式Iの化合物の立体異性体及びエナンチオマーは、例えばJ.Jacquesら、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」John Wiley and Sons,Inc.,1981、並びにE.L.Eliel及びS.H.Wilen、「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley−Interscience 1994)及び1998年4月29日に発行された欧州特許出願公開第838448号明細書に開示されている、当業者にとって周知の技術及び工程を用いて調製することができる。
【0048】
本発明の化合物は、当業者にとって周知の方法を使用し、標準の低分子量の溶媒を有する溶媒和化合物を形成してもよい。このような溶媒和化合物も、本発明の範囲内であることが意図される。
【0049】
また、本発明は、本化合物のプロドラッグを包含し、投与においては、薬理学的な作用物質になる前に代謝プロセスによって化成処理される。一般に、このようなプロドラッグは、本化合物の機能性誘導体であり、インビボで本発明の化合物に容易に変換される。適切なプロドラッグ誘導体を選択及び調製する従来の方法は、例えば、「Design of Prodrugs」、ed. H. Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
【0050】
当業者により様々な手順に従って、式Iの化合物を調製することができ、そのいくつかは以下に示す手順及びスキームにて説明する。式Iの化合物の調製に必要な工程の特定の順序は、合成される特定の化合物、出発化合物及び置換された部分の相対的な依存性による。試薬又は出発物質は当業者により容易に入手可能であり、商業的に入手が不可能なものについては、当該技術分野で通常使用されている標準的な手順及び以下に示す手順及びスキームに従って、当業者によって容易に合成される。
【0051】
以下のスキーム、手順、調製及び実施例は、本発明の具体的態様をより詳細に説明するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。当業者にとって、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、様々な変更を為し得ることが認識されよう。本願明細書中に言及する全刊行物は、本発明が属する技術分野の当業者の水準を表すものである。
【0052】
本願明細書の調製及び実施例で使用されている用語及び略語は、明記しない限り、それらの通常の意味を有する。例えば、本願明細書において使用される用語及びその意味を以下に示す。「min」は分を指し、「h」又は「hr」は時間を指し、「TLC」は薄層クロマトグラフィーを指し、「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを指し、「Rf」は、保持因子を指し、「Rt」は、保持時間を指し、「δ」は、テトラメチルシランから低磁場側での百万分率を指し、「MS」は、質量分析を指し、「MS(ES)」は、エレクトロンスプレー質量分析を指し、「APCI」は、大気化学イオン化を指し、「UV」は、紫外線分光測定法を指し、「1HNMR」は、陽子核磁気共鳴分光測定法を指し、「RT」は、室温を指し、「PS−トリスアミン」は、トリス−(2−アミノエチル)アミンポリスチレンであり、「PS−カルボジイミド」又は「PS−CDI」は、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N’−プロピルオキシメチルポリスチレンであり、「PS−DIEA」は、N,N−(ジイソプロピル)アミノメチルポリスチレン(1%無機帯電防止剤)を指し、「PS−DMAP」は、N−(メチルポリスチレン)−4−(メチルアミノ)ピリジンを指し、「Boc」又は「BOC」は、t−ブチルカルバメートを指し、「HOBt」は、1−ヒドロベンゾトリアゾールであり、「MeOH」は、メタノールを指し、「DMF」は、ジメチルホルムアミドを指し、「EtOAc」は、酢酸エチルを指す。
【0053】
一般スキーム:
スキームA
【化10】

【0054】
スキームAにおいて、Raは、H又は対応する塩である。スキーム1、工程1において、カルボン酸又はカルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩(ここでRaはH、Li、Na又はKであり得る)を文献にて周知の様々なカップリング方法を用いて、対応するアミドに変換する。これらの方法は、Klausner&Bodansky、Synthesis,1972,9,453−463に記載されている。
【0055】
例えば、4−(ピペリジン−1−スルホニル)−安息香酸(R1は4−(ピペリジン−1−スルホニルである)又は対応するリチウム塩若しくはナトリウム塩を、適切な有機溶媒、例えばジクロロメタン、DMF又はそれらの混合物中に懸濁させる。適切なアミドカップリング剤(すなわちTBTU又はHATU、若しくはEDC、DCC等)を添加し、次いで、HOBt等を室温で添加する。例えばジイソプロピルエチルアミン及び適切なアミン等のアミン塩基、、この場合、(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンを混合物に添加する。この混合物を室温で8〜48時間撹拌する。水を添加して反応をクエンチする。得られた混合物を、周知の技術によって抽出、濃縮及び精製してもよい。
【0056】
或いは、塩化チオニル又は塩化オキザリルと数滴のDMFを用いて、対応する酸又はその塩から対応する酸塩化物を生成することができ、適切なアミンで処理して所望のアミドを得る。
【0057】
例えば、1.00gの4−(2−クロロエチル)安息香酸(R1は4−(2−クロロエチル)である)を10mlのチオニルクロリドに溶解し、還流で1〜12時間撹拌し、過剰量の塩化チオニルを真空除去する。残渣を適切な溶媒、この場合CH2Cl2に溶解して酸塩化物溶液を形成し、適切なアミン、この場合(S)(+)(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン及びプロトンスカベンジャー、即ちトリエチルアミンのCH2Cl2溶液に加える。混合物を室温で30分間〜12時間撹拌する。得られた混合物を、周知の方法により濃縮、抽出及び精製することができる。
【0058】
スキームB
【化11】

【0059】
スキームBにおいて、Yは、アルキル化、アシル化、酸化、還元、スルホニル化、置換等で更にR1に変換できる官能基を含む任意の基である。スキームB、工程1において、スキームA(工程1)に記載した方法により、カルボン酸をピロリジニルメチルピロリジンアミドに変換する。
【0060】
例えば、(4−フルオロ−フェニル)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(YはFである)を適切な求核原子、この場合、DMSO等の適切な溶媒中の2−ピロリジン−1−イル−エチルアミンで処理し、33%のKF/Al23及び反応物を、1〜3日間加熱し、[4−ピロリジン−1−イル−エチルアミノ)フェニル]−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンを得る。
【0061】
例えば、4−(2−クロロ−エチル)−フェニル]−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(Yは2−クロロエチルである)を適切な求核原子、この場合、NaIを有するDMF等の適切な溶媒中のシクロペンチルアミンで処理し、反応物を1〜3日間加熱し、[4−(2−シクロペンチルアミノ−エチル)−フェニル]−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンを得る。
【0062】
例えば、(4−ブロモ−フェニル)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−イル)メタノン(YはBrである)を適切な求核原子、この場合、炭酸カリウムを有するDMF等の適切な溶媒中の4−メルカプトピリジンで処理し、反応物を1〜3日間加熱還流し、[4−(ピリジン−4−イルスルファニル)−フェニル]−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンを得る。
【0063】
スキームC
【化12】

【0064】
スキームCにおいて、ZはNH2又はSHであり、Rbは、限定されないが、対応するメチル、エチル又はベンジルエステル類である。スキームC、工程1(ZはNH2である)において、アミノ基は、アシル化、スルホニル化、アルキル化又は置換により、R1に変換できる。
【0065】
例えば、4−アミノ−安息香酸メチルエステルを、ハロゲン化スルホニル、この場合、外界温度のジクロロメタンとピリジンの1:1混合物等の適切な溶媒中の4−メタンスルフォニルベンゼンスルホニル塩化物で2〜24時間処理し、4−(4−メタンスルホニル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸メチルエステルを得る。
【0066】
代替的に、式中、ZはSHであり、チオール基は、ハロゲン化アルキル又はメタンスルホニルアルキルエステルを伴うアルキル化により、R1に変換できる。例えば、4−メルカプト−安息香酸メチルエステルを、アルキル化剤、この場合、炭酸カリウムの存在下で、DMF等の適切な溶媒中のメタンスルホン酸3−ピリジン−4−イル−プロピルエステル(アルコールのスルホニル化により調製する)で処理し、2〜24時間加熱して、4−(3−ピリジン−4−イル−プロピルスルファニル)−安息香酸メチルエステルを得る。
【0067】
スキームC、工程2において、得られたエステル(RbはMe、Et、Bz等である)を標準的条件により鹸化して、対応するカルボン酸又はリチウム、ナトリウム若しくはカリウムのカルボン酸塩(RaはH、Li、Na又はKでもよい)を得ることができる。
【0068】
例えば、3−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イルメチル)−安息香酸メチルエステルをMeOH又はジオキサンの適切な溶媒に溶解し、その後、1MLiOHを添加する。反応混合物を室温で一夜撹拌するか、或いは、50℃で30分間〜18時間加熱する。溶媒を真空除去し、当業者に周知の方法により酸又は塩を単離する。
【0069】
スキームC、工程3において、カルボン酸又は対応するリチウム塩、ナトリウム塩若しくはカリウム塩(RaはH、Li、Na、Kである)を、スキームA、工程1に記載した方法により、ピロリジニルメチルピロリジンアミドに変換する。
【0070】
スキームD
【化13】

【0071】
スキームDにおいて、Rcは、アルキル基であり、C(O)NHRcはR1である。スキームD、工程1において、酸塩化物は、アルキル基によりアシル化され、アミドを得る。
【0072】
例えば、塩化テレフタル酸モノメチルエステルを、アルキルアミン、この場合、外界温度のジクロロメタン等の適切な溶媒中の3−ピペリジノプロピルアミン及びトリエチルアミンで1〜12時間処理し、所望のアミド、N−(3−ピペリジン−1−イル−プロピル)−テレフタルアミド酸メチルエステルを得る。
【0073】
スキームD(工程2)において、メチルエステルを、テトラヒドロフラン等の適切な溶媒中の1−(2−ピロリジンイルメチル)ピロリジン及びトリメチルアルミニウムで処理し、直接ピロリジンアミドに変換する。混合物を、外界温度で2〜24時間撹拌し、N−(3−ピペリジン−1−イル−プロピル)−4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−ベンザミンを得る。
【0074】
代替的に、スキームD(工程3)において、メチルエステルは、スキームC(工程2)に記載した方法により、対応するカルボン酸又はカルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩若しくはカリウム塩(RbはH、Li、Na又はKである)に鹸化できる。
【0075】
スキームD、工程3において、カルボン酸又は対応するリチウム塩、ナトリウム塩若しくはカリウム塩(RbはH、Li、Na、Kである)を、スキームA(工程1)に記載した方法により、ピロリジニルメチルピロリジンアミドに変換する。
【実施例】
【0076】
調製及び実施例:
中間体1
【0077】
(4−フルオロ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)メタノン(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(1.07g、6.93mmol)及びトリエチルアミン(763mg、7.56mmol)を、ジクロロメタン(20mL)に溶解し、0℃に冷却する。ジクロロメタン(2.0mL)中の4−フルオロベンゾイル塩化物(1.00g、6.3mmol)を、0℃で混合物に添加して、室温で3時間撹拌する。反応混合物を、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥して、蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH中のCH2Cl2:2MのNH3は40:1である)を用いて精製して、1.45g(83%)の標題化合物を得る。MS(APCI+)277(M+1)+
【0078】
実施例1
[4−(2−ピロリジン−1−イル)−フェニル−エチルアミノ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化14】

手順A:
(4−フルオロ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(352mg、1.27mmol)及び2−ピロリジン−1−イル−エチルアミン(913mg、8.0mmol)をDMSO(2mL)を有する4.0mlのバイアルで混合し、次いで、33%のKF/Al23(320mg)を添加する。そのバイアルを、160℃で3日間加熱する。反応混合物を濾過し、濾液をCH2Cl2で希釈し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥して、蒸発させる。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH中のCH2Cl2:2MのNH3は20:1である)を用いて精製して、69mg(15%)の標題化合物を得る。MS(APCI+)371(M+1)+
【0079】
実施例2
[4−(3−ピペリジン−イル−プロピルアミノ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化15】

(S)−[4−(3−ジエチルアミノ−プロピルアミノ)−フェニル]−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンを、(4−フルオロ−フェニル)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン及び3−ピペリジノプロピルアミンから、実質的に手順Aに類似の方法で調製する。MS(APCI+)399(M+H)+
【0080】
実施例3
(4−ブチルアミノ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化16】

(4−ブチルアミノ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンを、(4−フルオロ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン及びn−ブチルアミンから、実質的に手順Aに類似の方法で調製する。、MS(APCI+)330(M+H)+
【0081】
実施例4
(4−ジエチルアミノ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化17】

(4−ジエチルアミノ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノンを、(4−フルオロ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン及びジエチルアミンから、実質的に手順Aと類似の方法で調製する。MS(APCI+)330(M+H)+
【0082】
実施例5
(4−ピペリジン−1−イル−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化18】

手順B:
4−ピペリジン−1−イル安息香酸(96mg、0.47mmol)、(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(86mg、0.56mmol)及びPS−カルボジイミド(424mg、0.56mmol)を、ジクロロメタン(5mL)中の5%のDMFを有する反応バイアルに入れて、十分に混合する。その反応バイアルを、テフロンキャップで封止して、室温で3日間振盪する。反応混合物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄する。濾液を濃縮し、得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH中のCH2Cl2:2MのNH3は45:1である)を用いて精製して、50mg(31%)の標題化合物を得る。MS(APCI+)342(M+H)+
【0083】
実施例6
1−ブチル−3−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェニル]−尿素
【化19】

標記化合物を、4−(3−ブチルウレイド)安息香酸(CAS51739−79−8)から、実質的に手順Bと類似の方法で調製する。MS(APCI+)373(M+H)+
【0084】
実施例7
N,N−ジプロピル−4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−ベンゼンスルホンアミド
【化20】

標題化合物を、4−ジプロピルスルファニル安息香酸から、実質的に手順Bに類似の方法で調製する。MS(APCI+)422(M+H)+
【0085】
実施例8
(4−ジメチルアミノ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化21】

標題化合物を、4−メチルアミノ安息香酸から、実質的に手順Bに類似の方法で調製する。MS(APCI+)302(M+H)+
【0086】
中間体2
[4−(2−クロロ−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
手順C:
4−(2−クロロエチル)安息香酸(1.00g、5.4mmol)を、塩化チオニル(6.0mL)に溶解し、50℃で30分間撹拌する。過剰量の塩化チオニルを真空除去し、残渣をジクロロメタン(2mL)に溶解して、酸塩化物溶液を作る。トリエチルアミン(656mg、6.5mmol)及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(1.00g、6.5mmol)を、ジクロロメタン(30mL)に溶解して、0℃に冷却する。酸塩化物溶液を、0℃でこの混合物に添加し、室温で2時間撹拌する。反応混合物を、CH2Cl2で希釈し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥して、蒸発させる。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH中のCH2Cl2:2MのNH3は40:1である)で精製して、1.35g(80%)の標題化合物を得る。MS(APCI+)321(M+H)+
【0087】
実施例9
[4−(2−シクロペンチルアミノ−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化22】

手順D:
[4−(2−クロロ−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(190mg、0.59mmol)及びシクロロペンチルアミン(151mg、1.77mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)中の5%のDMFを有する4.0mlのバイアルで混合し、次いで、沃化ナトリウム(10mg)を添加する。そのバイアルを、テフロンキャップで封止し、100℃で3日間加熱し、次いで室温に冷却できる。反応混合物を窒素ガスの下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH中のCH2Cl2:2MのNH3は20:1である)で精製して、46mg(22%)の標題化合物を得る。MS(APCI+)370(M+H)+
【0088】
実施例10
[4−(2−シクロペンチルアミノ−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩
【化23】

[4−(2−シクロペンチルアミノ−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(100mg)をエーテルに溶解し、エーテル中の1MHClの1個相当を滴下状に添加する。得られた沈殿物を、濾過し、真空下で乾燥して、二塩化水素化物塩(95mg、79%)を得る。MS(ES+)370.2(M+H)+
【0089】
実施例11
[4−(2−ベンジルアミノ−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化24】

実施例12を、中間体2及びベンジルアミンから、実質的に手順Dと類似の方法で調製する。MS(APCI+)392(M+H)+
【0090】
実施例12
[4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化25】

実施例12を、中間体2及びピペリジンから、実質的に手順Dと類似の方法で調製する。MS(APCI+)370(M+H)+
【0091】
実施例13
[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化26】

実施例13を、中間体2及びピロリジンから、実質的に手順Dと類似の方法で調製する。MS(APCI+)356(M+H)+
【0092】
実施例14
(S)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[4−(3−ピロリジン−1−イル−プロピル)−フェニル]−メタノン
【化27】

実施例14を、4−(3−ブロモ−プロピル)安息香酸(CAS6309−79;Schmid,C.R.,ら.Bioorg.Med.Chem.Lett.9(1999)523)から、実質的に手順B及びDと類似の方法で調製する。MS(APCI+)370(M+H)+
【0093】
実施例15
{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)エチル]−フェニル}−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化28】

実施例15を、中間体2及び1−メチルピペラジンから、実質的に手順Dと類似の方法で調製する。MS(APCI+)385(M+H)+
【0094】
実施例16
[4−(2−ジエチルアミノ−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化29】

実施例16を、中間体2及びジエチルアミンから、実質的に手順Dと類似の方法で調製する。MS(APCI+)358(M+H)+
【0095】
中間体3
N−(3−ピペリジン−1−イル−プロピル)−テレフタルアミド酸メチルエステルトリエチルアミン(250mg、2.5mmol)及び3−ピペリジノプロピルアミン(284mg、2.0mmol)を、CH2Cl2(5mL)に溶解する。2.0mlのCH2Cl2中の塩化テレフタル酸モノメチルエステル(197mg、2.0mmol)を、混合物に添加する。反応混合物を室温で2時間撹拌する。反応物をCH2Cl2で希釈して、ブラインで洗浄する。分離した有機層をNa2SO4で乾燥して、蒸発させる。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH中のCH2Cl2:2MのNH3)で精製して、473mg(78%)の標題化合物を得る。MS(APCI+)305(M+H)+
【0096】
実施例17
N−(3−ピペリジン−1−イル−プロピル)4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−ベンザミン
【化30】

手順E:
(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(287mg、1.86mmol)を、乾燥したテトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、トリメチルアルミニウム(トルエン中、0.92mL、2.0Mの溶液)を添加する。混合物を室温で1時間撹拌する。N−(3−ピペリジン−1−イル−プロピル)−テレフタルアミド酸メチルエステル(470mg、1.54mmol)を、テトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、その溶液を反応混合物に添加して、室温で一晩撹拌する。反応混合物を、CH2Cl2で希釈して、ブラインで洗浄する。分離した有機層を、Na2SO4で乾燥して、蒸発させる。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(MeOH中のCH2Cl2:2MのNH3は10:1である)で精製して、490mg(74%)の標題化合物を得る。MS(APCI+)427(M+H)+
【0097】
中間体4
4−(ピペリジン−1−スルホニル)−安息香酸
手順F:
4−(クロロスルホニル)安息香酸(CAS10130−89−9)(441mg、2.0mmol)及びトリエチルアミン(202mg、2.0mmol)を、ジクロロメタン(20mL)に溶解し、窒素下で撹拌しながら、ジクロロメタン(5mL)中のピペリジン(340mg、4.0mmol)を室温で混合物に添加する。18時間後、その反応混合物を濃縮する。粗物質を、NaHCO3水溶液中で懸濁し、ジエチルエーテルで洗浄して、分離する。酢酸エチルを水性層に添加して、pHを1NHClで2に調製する。層を分離し、水性層をEtOAc(2×)で抽出する。EtOAcの抽出物を混合し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥して、蒸発させる。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜8%、MeOH/CH2Cl2勾配)で精製して、350mg(65%)の標題化合物を得る。MS(ES+)270.1(M+H)+
【0098】
実施例18
[4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化31】

手順G:
4−(ピペリジン−1−スルホニル)−安息香酸(323mg、1.2mmol)を、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−カルボジイミド塩酸塩(EDCI)(287mg、1.5mmol)を部分的に添加しながら、10%のDMF/CH2Cl2中で撹拌する。ヒドロキシベンゾトリアゾール(203mg、1.5mmol)を添加し、反応物を室温では30〜40分間撹拌する。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.47mL、2.7mmol))及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(CAS 51207−66−0)(154mg、1.0mmol)を添加して、反応物を18時間撹拌する。反応物を、CH2Cl2で希釈し、NaHCO3水溶液及びブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)して、真空濃縮する。粗混合物を、SCXクロマトグラフィー(MeOHで洗浄し、次いで2MのNH3/MeOHで抽出する)及びシリカゲルカラムクロマトグラフィー(勾配:MeOH/CH2Cl2中の10%2MのNH3〜100%CH2Cl2)で精製して、250mg(61%)の標題化合物を得る。(MS(ES+)406.2(M+H)+
【0099】
中間体5
4−(モルホリン−4−スルホニル)−安息香酸標題中間体を、4−(クロロスルホニル)安息香酸(CAS10130−89−9)(662mg、3.0mmol)及びモルホリン(522mg、6.0mmol)から、実質的に手順Fと類似の方法で調製して、450mg(55%)の標題化合物を得る。MS(ES+)272.3.(M+H)+
【0100】
実施例19
[4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化32】

標題化合物を、4−(モルホリン−4−スルホニル)−安息香酸(407mg、1.5mmol)及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(CAS51207−66−0)(193mg、1.2mmol)から、実質的に手順Gと類似の方法で調製して、175mg(34%)の標題化合物を得る。MS(ES+)408.3(M+H)+
【0101】
中間体6
4−(3−メタンスルホニル−ピロリジン−1−スルホニル)−安息香酸標題中間体を、4−(クロロスルホニル)安息香酸(CAS10130−89−9)(375mg、1.7mmol)及び3−(メチルスルホニル)ピロリジン(CAS433980−62−2)(343mg、2.3mmol)から、実質的に手順Fと類似の方法で調製して、250mg(44%)の標題化合物を得る。MS(ES)332.0(M−H)-
【0102】
実施例20
[4−(3−メタンスルホニル−ピロリジン−1−スルホニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化33】

標題化合物を、4−(3−メタンスルホニル−1−ピロリジン−スルホニル)−安息香酸(230mg、0.69mmol)及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(CAS51207−66−0)(88mg、0.57mmol)から、実質的に手順Gと類似の方法で調製して、133mg(50%)の標題化合物を得る。MS(ES+)470.2(M+H)+
【0103】
中間体7
4−(4−メタンスルホニル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸メチルエステルジクロロメタン(15mL)/ピリジン(15mL)の混合物中の4−アミノ−安息香酸メチルエステル(0.594g、3.93mmol)の撹拌溶液に、4−メタンスルホニル塩化ベンゼンスルホニル(1.0g、3.93mmol)を添加して、その混合物を外界温度で6時間反応させる。反応物を酢酸エチルで希釈し、1NHClで洗浄する。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、1.26g(87%)の標記化合物を得る。MS(ES−)(m/e)368.0(M−1)-
【0104】
中間体8
4−(4−メタンスルホニル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸テトラヒドロフラン(10mL)/メタノール(10mL)の混合物中の4−(4−メタンスルホニル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸メチルエステル(0.456g、1.26mmol)の撹拌溶液に、2Nの水酸化ナトリウム(2ml、4.0mmol)を添加して、反応物を1時間加熱還流する。次いで、反応液物を濃縮乾燥し、残渣を95%のジクロロメタン/5%のイソプロパノールに溶解して、0.1NHClで洗浄する。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、0.403g(90%)の純粋な標題化合物を得る。MS(ES−)m/e354.0(M−1)-
【0105】
実施例21
C−フェニル−N−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェニル]−メタンスルホンアミド塩酸塩
【化34】

ジクロロメタン(10mL)中の4−フェニルメタンスルホニルアミノ−安息香酸(CAS536−95−8、Aldrichから入手可能)(0.300g、1.03mmol)の撹拌溶液に、塩化オキサリル(0.262g、2.06mmol)及び1滴のN,N−ジメチルホルムアミドを添加して、その混合物を外界温度で1時間反応させる。次いで、反応液を濃縮乾燥する。残渣を、トルエン(10mL)に溶解して、再び濃縮する。残渣を、ジクロロメタン(6mL)に溶解し、(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(0.154g、1.0mmol)及びN−メチルモルホリン(0.111g、1.1mmol)を含有するフラスコに添加して、20分間撹拌する。混合物をジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液及び水の順で洗浄する。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、固体になるまで濃縮する。固体をジクロロメタン(1mL)に溶解し、2:1のジエチルエーテル/ヘキサンを添加する。得られた固体を、濾過し、乾燥して、純粋な遊離塩基の標題化合物を得る。遊離塩基(0.021g、0.049mmol)をジクロロメタン(1ml)に溶解し、ジエチルエーテル(0.1ml)中の1Mの無水HClを添加して、白色固体として所望の標題化合物を沈殿させる。MS(ES+)m/e428.2(M+1)+(遊離塩基)
【0106】
実施例22
4−メタンスルホニル−N−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
【化35】

標題化合物を、中間体8(4−(4−メタンスルホニル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸)(0.270g、0.761mmol)、塩化オキサリル(0.145g、1.14mmol)、1滴のN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルモルホリン(0.081g、0.8mmol)及び1:1のジクロロメタン/アセトニトリルの混合物中の(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(0.115g、0.75mmol)の標題化合物を用いて、実質的にC−フェニル−N−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェニル]−メタンスルホンアミド塩酸塩(実施例21)の遊離塩基により調製する。反応物を、ラジアルクロマトグラフィーで精製して、白色固体として0.338g(90%)の標題化合物を得る。MS(ES+)m/e492.1(M+1)+
【0107】
実施例23
4−メタンスルホニル−N−メチル−N−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド塩酸塩
【化36】

2mlのジクロロメタン(2mL)中の4−メタンスルホニル−N−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド(実施例22)(0.028g、0.057mmol)の撹拌溶液に、ヘキサン(0.063ml、0.126mmol)中の2Mの(トリメチルシリル)ジアゾメタンを添加し、外界温度で5時間反応させる。反応物をジクロロメタンで希釈して、0.1NHClで洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して濾過し、油状の固体になるまで濃縮する。油状の固体を、実施例23(C−フェニル−N−[4−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェニル]−メタンスルホンアミド塩酸塩)の標題化合物の調製により塩酸塩に変換し、固体として標題化合物を得る。MS(ES+)m/e506.1(M+1)+
【0108】
中間体9
メタンスルホン酸3−ピリジン−4−イル−プロピルエステル
手順I:
0℃の氷浴中のジクロロメタン(20mL)中の3−ピリジン−4−イル−プロパン−1−オール(0.71mL、5.47mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(0.95mL、6.83mmol)及び塩化メタンスルホニル(0.44mL、5.74mmol)を添加し、氷浴を除去する。混合物を、反応終了後に室温で15分間撹拌する。溶液中に生成物を残留させ、次の反応で用いられる。
【0109】
中間体10
4−(3−ピリジン−4−イル−プロピルスルファニル)−安息香酸メチルエステル
手順J:
ジメチルホルムアミド(10mL)中の4−メルカプト−安息香酸メチルエステル(506mg、3.01mmol)及び炭酸カリウム(1.245g、9.01mmol)の撹拌溶液に、ジクロロメタン(11mL、2.73mmol)中のメタンスルホン酸3−ピリジン−4−イル−プロピルエステル(中間体14参照)を添加する。ジクロロメタンを真空除去し、次いで、反応物を100℃で4時間加熱する。反応物を室温に冷却し、水で洗浄しながら、酢酸エチルで抽出する。有機部分を真空濃縮する。得られた残渣を、ラジアルクロマトグラフィーを用いて精製し、メタノール及びジクロロメタンで溶離して、174mg(22%)の標題化合物を得る。MS(ES+)m/e288.1(M+1)+
【0110】
中間体11
4−(3−ピリジン−4−イル−プロピルスルファニル)−安息香酸ナトリウム塩
手順K:
1:1のテトラヒドロフラン/メタノール(4ml)中の4−(3−ピリジン−4−イル−プロピルスルファニル)−安息香酸メチルエステル(174mg、0.605mmol)(中間体10)及び2Nの水酸化ナトリウム(0.42mL、0.848mmol)の撹拌溶液を、還流温度まで18時間加熱する。反応物を室温に冷却し、次いで、真空濃縮し、180mg(99%)の標題化合物を得る。MS(ES+)m/e274.0(M+1)+
【0111】
中間体12
(4−ブロモ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−イル)メタノン
手順L:
テトラヒドロフラン(0.15M)中の4−ブロモ安息香酸−2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル(3.5g、11.7mmol)[CAS:80586−82−9]の撹拌溶液に、(S)−(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(1.9mL、11.7mmol)を添加し、混合物を4時間加熱還流する。反応物を室温に冷却し、水で洗浄しながら、10%のイソプロパノール/ジクロロメタンで抽出する。有機部分を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、真空濃縮する。得られた残渣を、シリカゲルカラム上で精製し、メタノール及びジクロロメタン中の2Mのアンモニアで溶離して、2.80g(71%)の標題化合物を得る。MS(ES+)m/e337.1(M+1)+
【0112】
中間体13
N−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−テレフタルアミド酸メチルエステル
手順M:
ジクロロメタン(20mL)中のテレフタル酸モノメチルエステル(500mg、2.5mmol)及び塩化オキサリル(0.44mL、5.03mmol)の撹拌溶液に、3滴のジメチルホルムアミドを添加して、反応物を室温で2時間撹拌する。反応液を真空濃縮し、次いで、ジクロロメタンに再溶解する。溶液を、ジクロロメタン(20mL)中の3−(2−アミノエチル)ピリジン(308mg、2.52mmol)及びn−メチルモルホリン(0.28mL、2.52mmol)の撹拌溶液にゆっくり添加する。20分後、反応物を、重炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄しながら、10%のイソプロパノール/ジクロロメタンで抽出する。有機部分を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、真空濃縮する。得られた残渣を、ラジアルクロマトグラフィーを用いて精製し、メタノール及びジクロロメタンで溶離して、613mg(86%)の標題化合物を得る。MS(ES+)m/e285.1(M+1)+
【0113】
中間体14
4−(ピリジン−3−イルスルファニル)−安息香酸
手順N:
ジメチルホルムアミド(10mL)中の3−ヨードピリジン(823mg、4.01mmol)、メチル−4−メルカプトベンゾアート(500mg、2.97mmol)、炭酸カリウム(677mg、4.90mmol)及び銅の粉末(4mg、0.653mmol)の混合物を、還流温度まで18時間加熱する。熱を除去し、反応液をジクロロメタンを有するCelite(商標登録)で濾過する。濾液を真空濃縮し、残渣をエーテル及びヘキサンから再結晶化して、689mg(99%)の標題化合物を得る。MS(ES+)m/e232.0(M+1)+
【0114】
実施例24
[4−(3−ピリジン−4−イル−プロピルスルファニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩
【化37】

手順O:
2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン(106mg、0.605mmol)を、0℃の氷浴中のジクロロメタン(6mL)中の4−(3−ピリジン−4−イル−プロピルスルファニル)−安息香酸ナトリウム塩(180mg、0.605mmol)(中間体11)及びN−メチルモルホリン(0.13mL、1.21mmol)の撹拌溶液に添加する。氷浴を除去して、反応物を30分間撹拌する。(S)−(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(93mg、0.605mmol)を添加し、室温で18時間撹拌し続ける。反応物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄しながら、ジクロロメタンで抽出する。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、真空濃縮する。得られた残渣をシリカクロマトグラフィーを用いて精製し、メタノール及びジクロロメタン中の2Mアンモニアで溶離する。得られた遊離塩基を、必要最低限量のジクロロメタンに溶解し、エーテル中の1M塩酸を、溶液が濁るまで添加する。エーテル/ヘキサン(1/1)を添加し、物質を真空濃縮し、100mg(34%)の標題化合物を得る。MS(ES+)m/e410.3(M+1)+
【0115】
実施例25
[4−(3−ピリジン−3−イル−プロピルスルファニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩
【化38】

標題化合物を、3−ピリジン−3−イル−プロパン−1−オールから出発し、実質的に手順I〜K及び手順Oにより調製する。MS(ES+)m/e 410.3(M+1)+
【0116】
実施例26
[4−(ピリジン−4−イルスルファニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩
【化39】

手順P:
トルエン中の(4−ブロモ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−イル)メタノン(95mg、0.282mmol)(中間体12参照)、4−メルカプトピリジン(63mg、0.563mmol)及び臭化銅(8mg、0.563mmol)に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン(0.08mL、0.563mmol)を添加し、反応液を加熱還流する。2時間後、更に臭化銅(80mg、5.63mmol)を添加して、加熱し続ける。これを更に2時間繰り返し、還流を18時間続ける。この後、生生物構造は認められない。反応液を真空濃縮する。ジメチルホルムアミド(2mL)及び炭酸カリウム(85mg、0.620mmol)を添加して、反応液を48時間加熱還流する。熱を除去して、反応は室温で48時間続く。反応液を、Celite(商標登録)で濾過し、次いで、水で洗浄しながら、酢酸エチルで抽出する。有機部分を真空濃縮する。得られた残渣をラジアルクロマトグラフィーを用いて精製し、メタノール及びジクロロメタン中の2Mアンモニアで溶離する。得られた遊離塩基を必要最低限量のジクロロメタンに溶解し、エーテル中の1M塩酸を、溶液が濁るまで添加する。エーテル/ヘキサン(1/1)を添加し、物質を真空濃縮して、34mg(27%)の標題化合物を得る。MS(ES+)m/e368.2(M+1)+
【0117】
実施例27
N−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−ベンザミド二塩酸塩
【化40】

標題化合物を、N−(2−ピリジン−3−イル−エチル)テレフタルアミド酸メチルエステル(中間体13)から出発し、実質的に手順K及びOにより調製する。MS(ES+)m/e407.3(M+1)+
【0118】
実施例28
[4−(ピリミジン−4−イルスルファニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン塩酸塩
【化41】

標題化合物を、ピリミジン−4−チオールから出発し、実質的に手順Pにより調製する。MS(ES+)m/e369.2(M+1)+
【0119】
実施例29
[4−(ピリジン−3−イルスルファニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩
【化42】

【0120】
標題化合物を、4−(ピリジン−3−イルスルファニル)−安息香酸(中間体14)から出発し、実質的に手順Mにより調製する。得られた遊離塩基を必要最低限量のジクロロメタンに溶解し、エーテル中の1M塩酸を、溶液が濁るまでは添加する。エーテル/ヘキサン(1/1)を添加し、物質を真空濃縮して、塩を得る。MS(ES+)m/e368.2(M+1)+
【0121】
スキーム、調製及び手順の反応を実施する最適時間は、従来のクロマトグラフ技術により反応の進行を監視することで決定される。当業者は全ての置換基が全ての反応条件に適合するものではないことを理解するであろう。これらの化合物は、合成中、都合のよい時点で周知の方法により保護又は修飾される。(例えば、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,John Wiley and Sons Inc.,1999参照)。更に、本発明の反応は、例えばアルゴン又は特に窒素のような不活性雰囲気下で実施することが好ましい。溶媒の選択は、その溶媒が進行中の反応に対して不活性であり、反応物を十分に溶解して所望の反応を達成させる限り、一般的に重要ではない。化合物は、次の反応に使用する前に単離及び精製することが好ましい。数種の化合物は、その生成中に反応溶液から結晶化する場合があり、その後濾過により収集するか又は反応溶媒を抽出、蒸発若しくはデカンテーションにより除去する。式Iの中間体及び最終生成物は、所望であれば、例えば再結晶化又は例えばシリカゲル若しくはアルミナ等の固体支持体上のクロマトグラフィーのような通常の技術を用いて、更に精製してもよい。
【0122】
化合物は、経口投与されることが好ましい。医薬製剤は、単位剤形であることが好ましい。この形態にて、製剤は、適量、例えば所望の目的を達成する有効量の活性成分を含有する、適量の単位用量に更に分割される。一般に、製剤の単位用量中に含まれる本発明の活性組成物の量は、特定の用途に従って、約0.01mg〜約1,000mg、好ましくは約0.01〜約950mg、より好ましくは約0.01〜約500mg、一般には約1〜約250mgの間で変化又は調製される。使用される実際の用量は、患者の年齢、性別、体重及び治療する症状の重症度に応じて変更することができる。そのような技術は、当業者に周知である。一般的には、活性成分を含有するヒト用の経口剤形は、一日に1回又は2回投与される。
【0123】
本発明の組成物は、患者に投与された後に活性成分を迅速、持続又は遅延放出するように処方することができる。持続放出に適した剤形には、様々な崩壊速度を有する層を含む多層錠又は活性成分を含浸し、錠剤形に生成された放出制御ポリマーマトリクス又はそのような含浸若しく封入した多孔質ポリマーマトリクスを有するカプセルが挙げられる。
【0124】
薬理学的に許容できる塩及びその一般的な調製方法は、公知技術である。例えば、P.Stahl,ら.,HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS: PROPERTIES,SELECTION AND USE,(VCHA/Wiley−VCH, 2002);S.M.Berge,ら.,「Pharmaceutical Salts,」Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol.66,No.1,January1977参照。本発明の化合物は、好ましくは、様々な手段で投与される医薬組成物として調製される。最も好ましくは、かかる組成物は、経口投与される。かかる医薬組成物及びその調製方法は、公知技術である。例えば、REMININGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(A.Gennaro,ら.,eds.,19thed.,Mack Publishing Co.,1995)参照。
【0125】
多数のH3Rアンタゴニストが公知であるが、肥満症又は認知障害の満足できる薬として証明されているものは全く存在しない。ヒスタミンがエネルギー恒常性に重要な役割を果たしているとの証拠が益々増大している。視床下部内で神経伝達物質として作用するヒスタミンは、食欲を阻害する。ヒスタミンは、多数の細胞型で見られるほぼ普遍的なアミンであり、Gタンパク共役受容体(GPCR)のファミリーと共役する。このファミリーは、それによりヒスタミンが受容体の分布に基づいて異なる細胞応答を誘導することができる機構を提供する。H1R及びH2Rの両方は幅広く分布している。H3Rは、主として脳内、特に視床及び尾状核内に発現する。H3Rは、脳の摂食中枢内にて高密度で発現することが発見された。最近、新規なヒスタミン受容体GPRv53が確認されている。GPRv53は、末梢白血球中に高い濃度で見出されているが、ある研究者は脳内の低い濃度でのみ確認されているが、他の研究者は確認することができない。しかしながら、H3R周辺で開始された薬物発見のいずれの取り組みにおいても、GPRv53及び他のサブタイプを考慮する必要がある。
【0126】
本発明の化合物は、[3H]αメチルヒスタミンをリガンドとして使用するH3R結合アッセイに基づいた、競合的阻害シンチレーション近接アッセイ(SPA)を用いて容易に評価できる。限定されないがHEKを含む安定な細胞株を、H3RをコードするcDNAでトランスフェクトして、結合アッセイに使用する膜を調製できる。このヒスタミン受容体サブタイプに関する技術を、以下(ヒスタミン受容体サブタイプ膜の調製)に説明する。
【0127】
「ヒスタミン受容体サブタイプ膜の調製」に説明されているように単離された膜を、[35S]GTPχS機能アッセイに使用する。[35S]GTPχSの膜に対する結合は、アゴニスト活性を示す。式Iの本発明の化合物について、アゴニストの存在下で結合阻害能を試験する。また、同一のトランスフェクト細胞株を、H3Rアゴニストがホルスコリン−活性化cAMP合成を阻害するcAMPアッセイにおいて使用する。式Iの化合物について、アゴニストの存在下でホルスコリン刺激cAMP合成を行なう能力を試験する。
【0128】
A.H1R膜の調製
ヒトヒスタミン1受容体(H1R)のcDNAを、CMVプロモーター(pcDNA3.1(+)、Invitogen)を含む哺乳類の発現ベクター内にクローン化し、FuGENEトランスフェクション試薬(Roche Diagnostics社)を使用してHEK293細胞内にトランスフェクトする。G418(500μ/ml)を使用してトランスフェクト細胞を選択する。選択に耐えたコロニーを増殖させ、放射性リガンド結合アッセイに基づくシンチレーション近接アッセイ(SPA)を用いて、96−ウェル皿内で増殖した細胞に対するヒスタミン結合アッセイを試験する。即ち、個々の選択されたクローンを発現している細胞を、ウェルに25,000細胞にて播種し、48時間増殖させることにより(37℃、5%CO2)、96−ウェル皿(クリアボトムプレート(Costar)、#3632)内でコンフルエントな単層として増殖させる。培養基を除去し、ウェルをPBS(−Ca2+又はMg2+)で2度すすぐ。全結合のために、50mMトリス−HCL(アッセイバッファ)、pH7.6、1mg小麦胚芽レクチンSPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech、#RPNQ0001)及び0.8nM3H−ピリラミン(Net−594、NEN)を含有するSPA反応内(ウェル1個あたり総体積は200μlである)で細胞を分析する。アステミゾール(10μM、Sigma#A6424)を適切なウェルに添加して、非特異的結合を測定する。プレートをFasCalでカバーし、室温で120分間インキュベートする。インキュベートの後、プレートを1,000rpm(800g以下)にて室温で10分間、遠心分離する。プレートをWallacTrilux1450マイクロベータシンチレーションカウンター内で計数する。結合が陽性の数個のクローンを選択し、単一のクローン(H1R40)を用いて、結合試験用の膜を調製する。約10gの細胞ペレットを30mlアッセイバッファに再懸濁させ、ボルテックスにより混合し、(4℃で40,000g)10分間遠心分離する。ペレットの再懸濁、ボルテックス及び遠心分離は、更に2回繰り返す。最終的な細胞ペレットを30mlに再懸濁し、ポリトロン組織ホモジナイザーでホモジナイズする。CoomassiePlusプロテインアッセイ試薬(Pierce)を用いてタンパク質を決定する。SPA受容体−結合アッセイにて、ウェル1個につき5μgのタンパク質を使用する。
【0129】
B.H2R膜の調製
上述したようにヒトヒスタミン2受容体のcDNAをクローン化、発現及びHEK293細胞内にトランスフェクトする。細胞に結合しているヒスタミンを、上述したSPAにより分析する。全結合のために、50mMトリス−HCl(アッセイバッファ)、pH7.6、1mg小麦胚芽レクチンSPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech、#RPNQ0001)及び6.2nM3H−チオチジン(Net−688、NEN)を含有するSPA反応内(ウェル1個あたり総容量は200μlである)で細胞を分析する。シメチジン(10μM、Sigma#C4522)を適切なウェルに添加して、非特異的結合を測定する。
【0130】
結合が陽性のいくつかのクローンを選択し、単一のクローン(H2R10)を用いて、結合試験用の膜を調製する。SPA受容体−結合アッセイにて、ウェル1個につき5μgのタンパク質を使用する。
【0131】
C.H3R膜の調製
ヒトヒスタミン3受容体のcDNAを、上記の(A.H1R膜の調製)に説明したようにクローン化して発現させる。G418(500μ/mL)を使用してトランスフェクト細胞を選択し、増殖させ、上述したSPAによりヒスタミン結合を試験する。全結合のために、50mMトリス−HCL(アッセイバッファ)、pH7.6、1mg小麦胚芽レクチンSPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech、#RPNQ0001)及び1nM(3H)−n−α−メチルヒスタミン(NEN、NET1027)を含有する、上述したSPA反応内(ウェル当たり総容量は200μlである)で細胞を分析する。チオペリミドを添加して、非特異的結合を測定する。結合が陽性の数個のクローンを選択し、単一のクローン(H3R8)を用いて、上述した結合試験用の膜を調製する。SPA受容体−結合アッセイにて、ウェル1個につき5μgのタンパク質を使用する。
【0132】
本発明による化合物は、好ましくは、本願明細書において開示される「ヒスタミンH3受容体の結合アッセイ」によって測定されるように、5μM以下のKi値を有する。より好ましくは、本発明による化合物は、1μM未満のKi値を有する。実施例に記載した全化合物は、1μM未満のH3受容体に対するKiを有する。本発明による化合物は、本願明細書において開示される「ヒスタミンH3受容体の結合アッセイ」によって測定されるように、500nM未満、更に好ましくは、100nM未満のKi値を有する。本発明の最も好ましい化合物は、H3受容体に対して20nMを越える親和性を示す。更にまた、本発明による化合物は、好ましくは、GPRv53レセプタとの結合能により高い結合能をヒスタミンH3受容体に対して有する。
【0133】
D.GPRv53膜の調製
ヒトGPRv53受容体のためのcDNAを、上記の(A.H1R膜の調製)に説明したようにクローン化し発現させる。トランスフェクト細胞を選択し、ヒスタミン結合を試験し、選択する。HEK293 GPRv5350細胞を、5%FBS及び500ug/mlG418を添加したDMEM/F12(Gibco)内でコンフルエントまで増殖させ、DelbeccoのPBS(Gibco)で洗浄し、スクレーピングにより回収する。全細胞をポリトロン組織ホモジナイザーより結合バッファ、50mMトリスpH7.5中でホモジナイズする。細胞溶解物50ugを、96ウェル皿内において、結合バッファ中で3nM(3H)ヒスタミン及び化合物と共に室温で2時間インキュベートする。Tomtecセルハーベスターを用いて、グラスファイバーフィルター(PerkinElmer)で溶解物を濾過する。融解するシンチレーターシート(PerkinElmer)を用いて、フィルターをWallacTrilux1450マイクロベータシンチレーションカウンターにおいて5分間計数する。
【0134】
薬理学的な結果
cAMP ELISA
上述したように調製したHEK293 H3R8細胞を50,000細胞/ウェルの密度にて播種し、5%FBS及び500ug/mlのG418を添加したDMEM/F12(Gibco)中で一晩増殖させる。翌日、組織培地を除去し、4mMの3−イソブチル1−メチルキサンチン(Sigma)を含有する50μl細胞培地で交換して、室温で20分間インキュベートする。50μlの細胞培地にアンタゴニストを添加して、室温で20分間インキュベートする。次に、1×10-10〜1×10-5Mの用量応答におけるR(−)αメチルヒスタミン(RBI)を50μl細胞培地中にてウェルに添加し、室温で5分間インキュベートする。次いで、20μMホルスコリン(Sigma)を含有する50μlの細胞培地を各ウェルに添加し、室温で20分間インキュベートする。組織培地を除去し、細胞を0.1MHClに溶解し、cAMPをELISA(Assay Designs社)により測定する。
【0135】
[35S]GTPγ[S]結合アッセイ
アゴニスト存在下でのH3R膜に対する[35S]GTPγ[S]結合の阻害に関して、選択された化合物のアンタゴニスト活性を試験する。96−ウェルのプレート(Costar)内で、200ulの最終体積の20mMのHEPES、100mMのNaCl、5mMのMgCl2及び10uMのGDP、pH7.4中にて室温で分析を実施する。H3R8を発現しているHEK293細胞株(20ug/ウェル)から単離した膜及びGDPを、50μl体積のアッセイバッファ中にて各ウェルに添加する。次いで、アンタゴニストを50μl体積のアッセイバッファ中にてウェルへ添加し、室温で15分間インキュベートする。次いで、用量応答1×10-10〜1×10-5M又は100nMの固定濃度のいずれかのアゴニストR(−)αメチルヒスタミン(RBI)を50μl体積のアッセイバッファ中にてウェルに添加し、室温で5分間インキュベートする。200pMの最終濃度のGTPγ[35S]を50μl体積のアッセイバッファ中にて各ウェルに添加した後、20mg/mlのWGAを被覆したSPAビーズ(Amersham)50μlを添加する。プレートをWallacTrilux1450マイクロベータシンチレーションカウンター内で1分間計数する。放射性リガンドの受容体に対する特異的結合を50%より大きく阻害した化合物を連続的に希釈してK[i](nM)を決定する。
【0136】
対象とする化合物に対するヒトH3RのKi値は、以下のように得られる。
【0137】
表2
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(I)
で構造的に表される化合物又はその薬理学的に許容できる塩:
[式中、
R1は、独立して、−N(R2)(R3)、−N(R2)SO2−フェニル(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N(R2)SO2−CH2−フェニル(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−モルホリニル、−N(R2)C(O)NH(R3)、−C(O)N(R2)(R3)、−SO2N(R2)(R3)、−SO2−N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−SO2−N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−SO2−N−モルホリニル又は−X−(CH2n−R5(ここに、Xは−S−又は−CH2−であり、nは0、1、2、3又は4である)であり;nが0の場合、(CH2nは結合であり;
R2は、独立して、−H又は−(C1−C4)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)であり;
R3は、独立して、−(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−(C2−C4)アルキレン−N−ピロリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−ピペリジニル、−(C2−C4)アルキレン−N−モルホリニル、−(C1−C4)アルキレン−2−ピリジニル、−(C1−C4)アルキレン−3−ピリジニル、又は−(C1−C4)アルキレン−4−ピリジニルであり;
R4は、独立して、−CH3、−CF3、−CN又は−SO2CH3であり;
R5は、独立して、−N(R2)(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−N(R2)((C3−C7)シクロアルキル)、−N(R2)(−CH2−フェニル)、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル、−N−ピペラジン−N−メチル、−2−ピリジニル、−3−ピリジニル、−4−ピリジニル、−2−ピリミジニル又は−4−ピリミジニルであり、但し、Xが−S−であり、nが0又は1である場合、R5は、−N(R2)(C1−C6)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)、−N(R2)((C3−C7)シクロアルキル)、−N(R2)(−CH2−フェニル)、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル又は−N−ピペラジン−N−メチルではなく;
R6は、独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)であり;
R7は、独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1個から3個のハロゲンで適宜置換されていてもよい)である]。
【請求項2】
R1が−N(R2)(R3)、−N(R2)SO2−フェニル(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N(R2)SO2(−CH2−フェニル)(ここに、フェニルは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−N−モルホリニル又は−N(R2)C(O)NH(R3)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が−C(O)N(R2)(R3)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1が−SO2N(R2)(R3)、−SO2−N−ピロリジニル(ここに、ピロリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)、−SO2−N−ピペリジニル(ここに、ピペリジンは、R4で適宜置換されていてもよい)又は−SO2−N−モルホリニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R1が−X−(CH2n−R5(ここに、Xは−S−又は−CH2−であり、nは0、1、2、3又は4である)であり、nが0である場合、(CH2nは結合であり、但し、Xが−S−でありnが0又は1である場合、R5が−N(R2)(C1−C6)アルキル、−N(R2)((C3−C7)シクロアルキル)、−N(R2)(CH2)フェニル、−N−ピロリジニル、−N−ピペリジニル、−N−モルホリニル又は−N−ピペラジン−N−メチルではない、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R1が独立して、−N(H)−CH2−CH2−N−ピロリジニル、−N(H)−CH2−CH2−CH2−N−ピペリジニル、−N(H)−CH2−CH2−CH2−CH3、−N(−CH2−CH3)(−CH2−CH3)、−N−ピペリジニル、−N(H)−C(O)−N(H)−CH2−CH2−CH2−CH3、−SO2−N(−CH2CH3)(−CH2CH3)、−N(−CH3)(−CH3)、−CH2−CH2−N(H)(−シクロペンチル)、−CH2−CH2−CH2−N(H)(−シクロペンチル)、−CH2−CH2−N(H)(−CH2−フェニル)、−CH2−CH2−N−ピペリジニル、−CH2−CH2−N−ピロリジニル、−CH2−CH2−CH2−N−ピロリジニル、−CH2−CH2(−N−ピペラジニル−N−メチル)、−CH2−CH2−N(−CH2−CH3)(−CH2−CH3)、−C(O)N(H)(−CH2−CH2−CH2(−N−ピロリジニル)、−SO2−N−ピロリジニル、−SO2−N−モルホリニル、−SO2−N−ピロリジニル−3−SO2CH3、−N(H)(−SO2−CH2−フェニル)、−N(H)(−SO2−フェニル−4−SO2CH3)、−N(−CH3)(−SO2−フェニル−4−SO2CH3)、−S−CH2−CH2−CH2−4−ピリジニル、−S−CH2−CH2−CH2−3−ピリジニル、−S−4−ピリジニル、−C(O)N(H)−CH2−CH2−3−ピリジニル、−S−4−ピリミジニル、又は−S−3−ピリジニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R6及びR7が独立して、−H又は−CH3である、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
R6が−CH3であり、R7が−Hである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
R6が−Hであり、R7が−Hである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
式X1から式X28:
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項11】
[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチルアミノ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
[4−(3−ピペリジン−1−イル−プロピルアミノ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
(4−ブチルアミノ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
(4−ジエチルアミノ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
(4−ピペリジン−1−イル−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
1−ブチル−3−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェニル]−尿素;
N,N−ジプロピル−4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−ベンゼンスルホンアミド;
(4−ジメチルアミノ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
[4−(2−シクロペンチルアミノ−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
[4−(2−シクロペンチルアミノ−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩;
[4−(2−ベンジルアミノ−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
[4−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
(S)−(2−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[4−(3−ピロリジン−1−イル−プロピル)−フェニル]−メタノン;
{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−フェニル}−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
[4−(2−ジエチルアミノ−エチル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
N−(3−ピペリジン−1−イル−プロピル)−4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−ベンザミン;
[4−(ピペリジン−1−スルホニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
[4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
[4−(3−メタンスルホニル−ピロリジン−1−スルホニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
C−フェニル−N−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェニル]−メタンスルホンアミド塩酸塩;
4−メタンスルホニル−N−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−メタンスルホニル−N−メチル−N−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド塩酸塩;
[4−(3−ピリジン−4−イル−プロピルスルファニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩;
[4−(3−ピリジン−3−イル−プロピルスルファニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩;
[4−(ピリジン−4−イルスルファニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩;
N−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−ベンザミド二塩酸塩;
[4−(ピリミジン−4−イルスルファニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン塩酸塩;および
[4−(ピリジン−3−イルスルファニル)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン二塩酸塩からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の化合物と、薬理学的に許容できる担体とを含む、医薬組成物。
【請求項13】
肥満症を治療する方法であって、かかる治療の必要がある患者に、有効量の請求項1〜11のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項14】
アンタゴニスト又はインバースアゴニストが請求項12に記載の医薬組成物である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
認知機能障害を治療する方法であって、かかる治療の必要がある患者に、有効量の請求項1〜11のいずれかに記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
アンタゴニストが請求項12に記載の医薬組成物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
肥満症の治療用医薬の製造のための、請求項1〜11のいずれかに記載の式Iの化合物又はその塩の使用。

【公表番号】特表2009−500335(P2009−500335A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519550(P2008−519550)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/025328
【国際公開番号】WO2007/005503
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】