ヒストンデアセチラーゼ阻害剤
新規な治療薬の開発の必要性に鑑み、本発明は、新規なヒストンデアセチラーゼ阻害剤を提供する。これらの化合物は、エステラーゼによる非活性化に感受性を与えるエステル結合を含む。したがって、これらの化合物は、皮膚疾患の治療に特に有用である。この化合物が血流に達すると、エステラーゼまたはエステラーゼ活性を有する酵素は、この化合物を、生物学的に不活性なフラグメントまたは活性が著しく減少したフラグメントに切断する。理想的には、これらの分解性生物は、短い血清半減期および/または全身半減期を示し、迅速に除去される。これらの化合物およびその医薬組成物は、たとえば、皮膚T細胞リンパ腫、神経線維腫症、乾癬、脱毛、皮膚色素沈着および皮膚炎の治療に特に有用である。また、本発明は、本発明の化合物およびその中間体を製造する方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この発明は、米国特許法119(e)の下、2006年2月14日に出願された米国仮特許出願USSN60/773,172(これは、参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
特定の生物学的機能に作用する小さな有機分子を識別することは、生物学および医学の両方に強い影響を与える試みである。そのような分子は、治療薬および生物学的機能のプローブとして有用である。しかし、小分子が結合する生体分子の機能を変更するために、この小分子を使用できる、遺伝生物学の新たな分野の一例では、これらの分子が、化学的なタンパク質ノックアウトとして作用することによって、シグナル伝達経路を解明するのに有用で、それによって、タンパク質機能の欠損を起こしていた(Schreiberら,J.Am.Chem.Soc,1990,112,5583;Mitchison,Chem.and Biol.,1994,1,3)。さらに、これらの小分子と特定の生物学的標的との相互作用および特定の生物学的機能に影響を与える能力のため、これらは、治療法の開発のための候補としての役割も果たし得る。小分子の重要なクラスの1つ、自然から得られる小分子である天然物は、生物学および医学での開発において、明らかに重要な役割を果たしてきており、医薬的な指標、医薬品(Newmanら,Nat.Prod.Rep. 2000,17,215−234)、および細胞生物学を研究するための強力な試薬(Schreiber,S.L.Chem.and Eng.News1992年(10月26日),22−32)として役立ってきた。
【0003】
どの小分子が生物学的標的と相互作用するのかを予期することは難しく、また自然界で発見される小分子を効率的に入手し、合成することは難しいことが多いので、真剣な努力が、数多くのライブラリーとも言われる小さな有機化合物、しばしば「天然物様」ライブラリーと言われるものの作成に向けられてきた。これらのライブラリーは、次に、関心のある特定の生物学的標的に対し感度のよいスクリーンに連結され、活性分子が識別される。
【0004】
近年注目されている生物学的標的の1つは、ヒストンデアセチラーゼである(たとえば、癌治療用のヒストンデアセチラーゼの阻害剤の用途に関する検討:非特許文献1;非特許文献2を参照のこと)。リシン残基のアセチル化および脱アセチル化によるタンパク質の翻訳後修飾は、それらの細胞機能の調整に重要な役割を果たす。HDACは、ヒストンタンパク質およびその他の転写調整因子のN−アセチル−リシン残基の脱アセチル化によって遺伝子発現を調整する亜鉛加水分解酵素である(非特許文献3)。HDACは、細胞の形状および分化を制御する細胞経路に関与し、HDAC阻害剤は、他の難治性癌の治療に効果的であることが示されてきた(非特許文献4)。Znを補助因子として使用する11個のヒトHDACが特徴付けられている(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11)。これらの酵素は、3つの関連するクラス(クラスI、IIおよびIII)に分けられる。NADを補助因子として使用する追加の7個のHDACが識別されている。今まで、2つのクラスまたはこのファミリーの個々のメンバーのどちらかを選択的に標的とする小分子は知られていない((たとえば、オルソローグ−選択的HDAC阻害剤は報告されている:(a)Meinkeら.J.Med.Chem.2000,14,4919−4922;(b)Meinkeら.Curr.Med.Chem.2001,8,211−235)。
【非特許文献1】Marksら.Nature Reviews Cancer(2001)1,194
【非特許文献2】Johnstoneら.Nature Reviews Drug Discovery(2002)1,287
【非特許文献3】Hassigら.Curr.Opin.Chem.Biol.(1997)1,300−308
【非特許文献4】Warrellら.J.Natl.Cancer Inst.(1998)90,1621−1625
【非特許文献5】Tauntonら.Science(1996)272,408−411
【非特許文献6】Yangら.J.Biol.Chem.(1997)272,28001−28007
【非特許文献7】Grozingerら.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1999)96,4868−4873
【非特許文献8】Kaoら.Genes Dev.(2000)14,55−66
【非特許文献9】Huら.J.Biol.Chem.(2000)275,15254−15264
【非特許文献10】Zhouら.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(2001)98,10572−10577
【非特許文献11】Venterら.Science(2001)291,1304−1351
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、新規なヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ならびにこれらの化合物を製造する方法および使用する方法を提供する。本発明のHDAC阻害剤は、エステラーゼ−感受性エステル結合を含み、これによって、化合物が、たとえば血流中において、エステラーゼに接触した場合、この化合物は不活性化される。この化合物は、特に、皮膚T細胞リンパ腫、神経線維腫症、乾癬、脱毛、皮膚炎、脱毛および皮膚色素沈着のような皮膚疾患の治療に有用である。本発明の化合物を、臨床的に活性な患者の皮膚に局所投与する。一度化合物が体内に吸収されると、この化合物を2個以上の生物学的に不活性なフラグメントに切断するエステラーゼによって、素早く不活性化される。したがって、高い局所濃度(たとえば、皮膚では)が可能になり、全身毒性は減少する。ある実施形態では、化合物は、血清に接触すると5分未満、好ましくは1分未満で完全に切断される。
【0006】
本発明は、本明細書中、一般的におよびサブクラスで記載されているように、一般式(I):
【0007】
【化37】
の新規な化合物およびその医薬組成物を提供し、この化合物は、ヒストンデアセチラーゼまたは他のデアセチラーゼの阻害剤として有用であり、したがって、増殖性疾患の治療に有用である。さらに、本発明の化合物は、生物学的機能を精査するツールとして有用である。ある実施形態では、本発明の化合物は、皮膚疾患の治療に特に有用である。エステル結合は、エステラーゼ、特に血液中に見出されるエステラーゼの開裂に対して感受性が高い。したがって、これらの化合物を、全身的作用の危険性なしに、皮膚T細胞リンパ腫、乾癬、脱毛、皮膚炎などのような皮膚疾患を治療するために局所投与することができる。一度化合物が血流中に入れば、この化合物は、血清エステラーゼによって素早く分解される。この化合物は、非毒性で生物学的に不活性な副生成物に分解されるのが好ましい。
【0008】
他の態様では、本発明は、患者または生体試料におけるヒストンデアセチラーゼ活性または他のデアセチラーゼ活性を阻害する方法であって、阻害に有効な量の本発明の化合物を患者に投与することを含む方法、または生体試料を阻害に有効な量の本発明の化合物に接触させることを含む方法を提供する。ある実施形態では、この化合物は、特定のHDAC(たとえば、HDACl、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC8、HDAC9、HDAC10、HDAC11)またはHDACのクラス(たとえば、クラスI、IIまたはIII)を特異的に阻害する。ある実施形態では、この化合物は、HDAC6を特異的に阻害する。さらに別の態様では、本発明は、ヒストンデアセチラーゼ活性がある皮膚疾患を治療する方法であって、治療に有効な量の本発明の化合物を、それを必要とす対象に投与することを含む方法を提供する。化合物は、当該分野で公知のどのような方法で投与してもよい。ある実施形態では、この化合物を局所投与(たとえば、クリーム、ローション、軟膏剤、スプレー、ジェル、パウダーなどで)する。ある実施形態では、この化合物を皮膚に投与する。他のある実施形態では、この化合物を髪に投与する。この化合物を、静脈内投与または経口投与してもよい。また、本発明は、この化合物と医薬的に許容し得る賦形剤とを組合わせた、この化合物の医薬組成物も提供する。
【0009】
さらに他の態様では、本発明は、本発明の化合物およびその中間体を製造する方法を提供する。
【0010】
定義
本発明の化合物および特異的官能基の定義についても、以下に詳細に記載する。本発明の目的に関し、化学元素は、元素の周期表、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第75編、内表紙に従って記載し、および特異的官能基は、一般的に、そこに記載されているように定義する。さらに、有機化学の一般的原理、ならびに特定の官能基および反応性は、Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999に記載され、この文献の全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書に記載する合成方法で、種々の保護基を利用することを当業者は理解するであろう。本明細書で使用される用語「保護基」は、多官能性化合物において、反応が別の反応部位で選択的に起こりうるように、特定の官能基、たとえば、C、O、SまたはNを、一時的にブロックすることを意味する。好ましい実施形態では、保護基は選択的に高収率で反応し、計画している反応に対して安定な保護物質を与え、この保護基は、他の官能基を攻撃せず、簡単に入手し得る、好ましくは非毒性試薬によって、高収率で選択的に除去されなくてはならず、簡単に分離できる誘導体を形成し(より好ましくは、新しい立体形成中心を形成することなく)、追加の官能性は最小とし、反応部位がさらに増えることを回避する。本明細書で詳しく述べるように、酸素、イオウ、窒素および炭素を保護する基を利用してもよい。本明細書には、代表的な保護基が詳述されているが、本発明ではこれらの保護基に限定されるものではないことは理解されるであろう。むしろ、上記の判断基準を使用して、種々の等価の追加保護基を簡単に識別することができ、本発明の方法で利用することができる。さらに、種々の保護基が、Protective Groups in Organic Synthesis,第3編.Greene,T.W.およびWuts,P.G.,編集,John Wiley & Sons,New York:1999に記載され、この文献の全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。さらに、種々の炭素保護基が、Myers,A.;Kung,D.W.;Zhong,B.;Movassaghi,M.;Kwon,S.J.Am.Chem.Soc.1999,121,8401−8402に記載され、この文献の全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0011】
本明細書に記載される化合物は、任意数の置換基または官能基で置換されてよいことは理解されるであろう。一般的に、用語「置換された」(用語「場合によっては」が付いていても付いていなくても)および本発明の式に含まれる置換基は、ある構造体中の水素ラジカルを、特定された置換基のラジカルで置き換えることを言う。任意の構造体において複数の位置が、特定の群から選択される複数の置換基で置換されている場合、これらの置換基は、全ての位置で、同じまたは異なっていてもよい。本明細書で使用される用語「置換された」は、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことを意図する。広い態様では、許容される置換基として、有機化合物の非環状および環状、分岐および非分岐状、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。本発明の目的に関し、窒素のようなヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満足する、本明細書に記載される有機化合物の水素置換基および/または許容される任意の置換基を有してもよい。さらに、本発明は、有機化合物の許容される置換基によるいかなる方法にも限定されるものではない。本発明で想定される置換基と可変部分との組合わせは、たとえば、癌(これに限定されない)を始めとする増殖性疾患の治療において有用な、安定した化合物を形成するものが好ましい。本明細書で使用される用語「安定な」は、好ましくは、製造できるくらい十分に安定性を有し、それを検出するのに十分な時間、完全性を保つ、好ましくは十分な時間本明細書に詳述する目的に有用であるくらいの完全性を保つ化合物を言う。
【0012】
本明細書で使用される用語「アシル」は、カルボニル含有官能基、たとえば、−C(=O)R’(式中、R’は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、(脂肪族)アリール、(ヘテロ脂肪族)アリール、ヘテロ脂肪族(アリール)またはヘテロ脂肪族(ヘテロアリール)部分であり、ここで、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールまたはヘテロアリール部分は、それぞれ、置換されまたは非置換であり、あるいは、置換された(たとえば、水素または脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、またはヘテロアリール部分)酸素または窒素を含有する官能基(たとえば、カルボン酸、エステルまたはアミド官能基を形成する)である。
【0013】
本明細書で使用される用語「脂肪族」は、飽和および不飽和の両方、直鎖(すなわち、非分岐状)または分岐状脂肪族炭化水素を含み、これらは、場合によっては、1個以上の官能基で置換されている。当業者が理解するように、ここで意図する「脂肪族」として、アルキル、アルケニル、アルキニル部分が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、本明細書で使用される用語「アルキル」には、直鎖および分岐状アルキル基が含まれる。類似の規定が、「アルケニル」、「アルキニル」などのような他の一般的名称に適用される。さらに、本明細書で使用される用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などは、置換された基および置換されていない基の両方を包含する。本明細書で使用されるある実施形態では、「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基(置換、非置換、分岐または非分岐状)を示すために使用される。
【0014】
ある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。他のある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに別の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜4個の炭素原子を含有する。したがって、例示的な脂肪族基として、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル部分などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、これらは、1個以上の置換基を有してもよい。アルケニル基として、たとえば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアルキニル基として、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用される用語「脂環式」は、脂肪族化合物と環式化合物との特性を組合わせた化合物を言うが、環式または多環式脂肪族炭化水素および架橋シクロアルキル化合物であって、場合によっては1個以上の官能基で置換されたものが挙げられるが、これらに限定されない。当業者が理解するように、「脂環式」は、本明細書では、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニル部分を含むものであるが、これらに限定されない。これらは、場合によっては、1個以上の官能基で置換されている。したがって、例示的な脂環式基として、たとえば、シクロプロピル、−CH2−シクロプロピル、シクロブチル、−CH2−シクロブチル、シクロペンチル、−CH2−シクロペンチル−n、シクロヘキシル、−CH2−シクロヘキシル、シクロヘキセニルエチル、シクロヘキサニルエチル、ノルボルニル部分などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、これらは、1個以上の置換基を有してもよい。
【0016】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」(または「アルキルオキシ」)、または「チオアルキル」は、先に定義したアルキル基であって、酸素原子またはイオウ原子を介して親分子部分に結合するものを言う。ある実施形態では、アルキル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。他のある実施形態では、アルキル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含有する、さらに別の実施形態では、アルキル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、アルキル基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。アルコキシの例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ,ネオペントキシおよびn−ヘキソキシが挙げられるが、これらに限定されない。チオアルキルの例として、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
用語「アルキルアミノ」は、構造:−NHR’(式中、R’は、本明細書で定義するアルキルである)で表される基を言う。用語「アミノアルキル」は、構造:NH2R’−(式中、R’は、本明細書で定義するアルキルである)で表される基を言う。ある実施形態では、アルキル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含有する、他のある実施形態では、アルキル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに別の実施形態では、アルキル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、アルキル基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。アルキルアミノの例として、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本発明化合物の前記脂肪族(およびその他)部分の置換基のいくつかの例として、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(O)Rx;−CO2(Rx);−C0N(Rx)2;−OC(O)Rx;−OCO2Rx;−OCON(RX)2;−N(RX)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx、(ここで、各Rxとして、独立して、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、先に記載しおよび本明細書に記載する脂肪族、ヘテロ脂肪族、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基は、いかなるものも、置換または非置換、分岐または非分岐状、環状または非環状であってもよく、先に記載しおよび本明細書に記載するアリールまたはヘテロアリール置換基のいかなるものも、置換されまたは非置換であってもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。
【0019】
一般的に、本明細書で使用される用語「芳香族部分」は、好ましくは3〜14個の炭素原子を有する安定な単環式または多環式の不飽和部分であって、それぞれ、置換されてもまたは非置換であってもよいものを言う。ある実施形態では、用語「芳香族部分」は、各環原子で環の平面に対し垂直なp軌道を有し、環内のpi電子の数が(4n+2)(ここで、nは整数)であるというヒュッケル則を満足する平面環を言う。芳香族性に関するこれらの基準の1つまたは全てを満足しない単環式または多環式、不飽和部分を、本明細書では、「非芳香族」と定義し、これには用語「脂環式」が包含される。
【0020】
一般的に、本明細書で使用される用語「ヘテロ芳香族部分」は、好ましくは3〜14個の炭素原子を有する安定な単環式または多環式、不飽和部分であって、各部分は置換されまたは非置換であってもよく、環の中に(すなわち、環炭素原子の代わりに)、O、SおよびNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有するものを言う。ある実施形態では、用語「ヘテロ芳香族部分」は、少なくとも1個のヘテロ原子を含み、各環原子で環の平面に対し垂直なp軌道を有し、環内のpi電子の数が(4n+2)(ここで、nは整数)であるというヒュッケル則を満足する平面環を言う。
【0021】
本明細書で定義する芳香族およびヘテロ芳香族部分は、アルキルまたはヘテロアルキル部分を介して結合してもよく、したがって、−(アルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)ヘテロ芳香族、および−(ヘテロアルキル)ヘテロ芳香族部分も含まれることは理解されるであろう。したがって、本明細書で使用される語句「芳香族またはヘテロ芳香族部分」および「芳香族、ヘテロ芳香族、−(アルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)へテロ芳香族および−(ヘテロアルキル)ヘテロ芳香族」は、互換性がある。置換基として、先に記載した任意の置換基、すなわち、脂肪族部分または他の部分に関して列挙した置換基であって、安定な化合物を形成するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用される用語「アリール」は、当該分野でのこの用語の一般的な意味と大きな違いはなく、少なくとも1個の芳香族環を含む不飽和環状部分を言う。ある実施形態では、「アリール」は、1個または2個の芳香族環を有する単環式または二環式炭素環構造を言い、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、当該分野でのこの用語の一般的な意味と大きな違いはなく、5〜10個の環原子を持ち、そのうちの1個の環原子は、S、OおよびNから選択される環状芳香族ラジカルを言い、0、1個または2個の環原子は、S、OおよびNから独立して選択される追加のヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素であり、ラジカルは、環原子のいずれかを介して分子の残りと結合する。たとえば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなどが挙げられる。
【0024】
アリールおよびヘテロアリール基(二環式アリール基を含む)は、非置換であっても置換されてもよく、置換は、1個以上の水素原子を1個以上の以下の部分で独立して置き換えることを含むことは理解されるであろう。この部分として、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(O)Rx;−CO2(Rx);−CON(RX)2;−OC(O)Rx;−OCO2Rx;−0C0N(Rx)2;−N(RX)2;−S(O)Rx;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(ここで、各Rxとして、独立して、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、先に記載しおよび本明細書に記載する脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基は、いかなるものも、置換または非置換、分岐または非分岐状、環状または非環状であってもよく、先に記載しおよび本明細書に記載する芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリールまたは−(アルキル)ヘテロアリール置換基のいかなるものも、置換されまたは非置換であってもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、任意の2個の隣接する基が一緒になって、4、5、6または7−員置換または非置換脂環式または複素環状部分を表してもよいことは理解されるであろう。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、具体的には、3〜7個、好ましくは3〜10個の炭素原子を有する基を言う。好適なシクロアルキルとして、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。このうち、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族または複素環式部分は、場合によっては、置換基で置換されてもよく、置換基として、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(O)Rx;−CO2(Rx);−CON(RX)2;−OC(O)Rx;−OCO2Rx;−0C0N(Rx)2;−N(RX)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(ここで、各Rxとして、独立して、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリールまたはヘテロアルキルヘテロアリールが、これらに限定されず、先に記載しおよび本明細書に記載する脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基は、いかなるものも、置換または非置換、分岐または非分岐状、環状または非環状であってもよく、先に記載しおよび本明細書に記載する芳香族、ヘテロ芳香族、アリールまたはヘテロアリール置換基のいかなるものも、置換されまたは非置換であってもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。
【0026】
本明細書で使用される用語「ヘテロ脂肪族」は、主鎖中の1個以上の炭素原子が、ヘテロ原子で置換されている脂肪族部分を言う。したがって、ヘテロ脂肪族基は、炭素原子の代わりに1個以上の酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素原子を含有する脂肪族鎖を言う。ヘテロ脂肪族部分は、直鎖または分岐状でもよく、飽和または不飽和であってもよい。ある実施形態では、ヘテロ脂肪族部分は、1個以上の水素原子が1個以上の部分による独立した置き換えによって置換されてもよい。この部分として、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アルキルチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(O)Rx;−CO2(Rx);−C0N(Rx)2;−OC(O)Rx;−OCO2Rx;−0C0N(Rx)2;−N(RX)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(ここで、各Rxとして、独立して、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリールまたはヘテロアルキルヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、先に記載しおよび本明細書に記載する脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基はいずれも、置換または非置換、分岐または非分岐状、飽和または不飽和であってもよく、先に記載しおよび本明細書に記載する芳香族、ヘテロ芳香族、アリールまたはヘテロアリール置換基のいかなるものも、置換されまたは非置換であってもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。
【0027】
本明細書で使用される用語「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」または「複素環式」は、ヘテロ脂肪族化合物と環状化合物との特性を組合わせた化合物を言い、5〜16個の原子を有する飽和および不飽和、単環式または多環式の環構造であって、少なくとも1個の環原子が、O、SおよびNから選択されるヘテロ原子(ここで、窒素およびイオウのヘテロ原子は、場合によっては、酸化されてもよい)であり、環構造は、場合によっては、本明細書で定義する1個以上の官能基で置換されているものが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、用語「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」または「複素環式」は、非芳香族5−、6−または7員環または多環状基であって、少なくとも1個の環原子は、O、SおよびNから選択されるヘテロ原子(ここで、窒素およびイオウヘテロ原子は、場合によっては、酸化されてもよい)であるものを言い、酸素、イオウおよび窒素から独立して選択される1〜3個の間のヘテロ原子を有する縮合6員環を含む二環式または三環式基が挙げられ(これらに限定されない)、(i)各5員環は0〜2個の二重結合を有し、各6員環は0〜2個の二重結合を有し、各7員環は0〜3個の二重結合を有し、(ii)窒素およびイオウヘテロ原子は、場合によっては、酸化されてもよく、(iii)窒素ヘテロ原子は、場合によっては、四級化していてもよく、(iv)前記複素環式環のいずれも、アリールまたはヘテロアリール環に縮合してもよい。代表的な複素環として、フラニル、チオフラニル、ピラニル、ピロリル、チエニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、ジオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、ジチアゾリル、ジチアゾリジニル、テトラヒドロフリルのような複素環、およびそのベンゾ縮合誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、「置換された複素環、あるいはヘテロシクロアルキルまたは複素環式」基が本明細書で利用され、使用されるこの基は、先に定義した複素環、あるいはヘテロシクロアルキルまたは複素環式基であって、1、2または3個の水素原子の独立した置き換えによって置換されたものを言う。ここで、置き換えるものとして、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(O)Rx;−CO2(Rx);−CON(Rx)2;−OC(O)Rx;−OCO2Rx;−0C0N(Rx)2;−N(RX)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(ここで、各Rxとして、独立して、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリールまたはヘテロアルキルヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、先に記載しおよび本明細書に記載する脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基はいずれも、置換または非置換、分岐または非分岐状、飽和または不飽和であってもよく、先に記載しおよび本明細書に記載する芳香族、ヘテロ芳香族、アリールまたはヘテロアリール置換基のいかなるものも、置換されまたは非置換であってもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。
【0028】
さらに、前記および本明細書に記載する脂環式または複素環式部分のいかなるものも、これに縮合するアリールまたはヘテロアリール部分を含んでもよいことは理解されるであろう。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。本明細書で使用される用語「ハロ」および「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を言う。
【0029】
本明細書で使用される用語「ハロ」および「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を言う。
【0030】
用語「ハロアルキル」は、先に定義したアルキル基であって、これに結合する1、2または3個のハロゲン原子を有するものを示し、クロロメチル、ブロモエチル、トリフルオロメチルなどが例示される。
【0031】
本明細書で使用される用語「アミノ」は、一級(−NH2)、二級(−NHRx)、三級(−NRxRy)または四級(−N+RxRyR2)アミン(式中、Rx、RyおよびRzは、独立して、本明細書で定義する脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分である)を言う。アミノ基の例として、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ジエチルアミノカルボニル、メチルエチルアミノ、イソプロピルアミノ、ピペリジノ、トリメチルアミノおよびプロピルアミノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書で使用される用語「アルキリデン」は、炭素原子および水素原子のみからなる置換または非置換、直鎖または分岐状の飽和二価ラジカルであって、1〜n個の炭素原子を有し、ラジカルの両端に自由原子価「−」を有するものを言う。
【0033】
本明細書で使用される用語「アルケニリデン」は、炭素原子および水素原子のみからなる置換または非置換、直鎖または分岐状の不飽和二価ラジカルであって、2〜n個の炭素原子を有し、ラジカルの両端に自由原子価「−」を有し、不飽和として二重結合のみが存在し、二重結合は鎖の最初の炭素と分子の残りとの間に存在し得るものを言う。
【0034】
本明細書で使用される用語「アルキニリデン」は、炭素原子および水素原子のみからなる置換または非置換、直鎖または分岐状の不飽和二価ラジカルであって、2〜n個の炭素原子を有し、ラジカルの両端に自由原子価「−」を有し、不飽和として三重結合のみが存在し、三重結合は鎖の最初の炭素と分子の残りとの間に存在し得るものを言う。
【0035】
別の記載がない限り、本明細書で使用される用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」、「アルキリデン」、「アルケニリデン」、−(アルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)ヘテロアリールなどは、置換および非置換、直鎖および分岐状の基を包含する。同様に、用語「脂肪族」、「ヘテロ脂肪族」などは、置換および非置換、飽和および不飽和、ならびに直鎖および分岐状の基を包含する。同様に、用語「シクロアルキル」、「複素環」、「複素環式」などは、置換および非置換、ならびに飽和および不飽和基を包含する。さらに、用語「シクロアルケニル」、「シクロアルキニル」、「ヘテロシクロアルケニル」、「ヘテロシクロアルキニル」、「芳香族」、「ヘテロ芳香族」、「アリール」、「ヘテロアリール」などは、置換および非置換基の両方を包含する。
【0036】
本明細書で使用される語句「医薬的に許容し得る誘導体」は、化合物、あるいは他の付加物または誘導体の医薬的に許容し得る塩、エステルまたはそのようなエステルの塩を示し、本明細書の他で記載するように、これを患者に投与すると、(直接または間接的に)化合物、あるいはその代謝物または残渣を生成し得るものを示す。したがって、医薬的に許容し得る誘導体として、とりわけ、プロドラッグが挙げられる。プロドラッグは、普通著しく減少した医薬活性を有する化合物の誘導体であって、追加の部分を含有し、これはインビボで除去されやすく、薬学的に活性な種として親分子を生成するものである。プロドラッグの例としてはエステルがあり、これは、インビボで切断され、関心のある化合物を生成する。種々の化合物のプロドラッグ、材料および親化合物を誘導体化してプロドラッグを作る方法は、公知であり、本発明に適用することができる。医薬的に許容し得る誘導体として、「リバースプロドラッグ」も含まれる。リバースプロドラッグは、吸収される時は、活性化ではなく不活性化している。たとえば、本明細書で検討するように、本発明のエステル含有化合物の多くは、生物活性があるが、エステラーゼ活性を持つある生理学的環境、たとえば、血液、リンパ液、血清、細胞外液などに接触するときは不活性化している。また、リバースプロドラッグおよびプロドラッグの生物活性は、化合物の感応性を付加することにより、変更されてもよく、これは、酵素によって触媒されてもよい。また、酵素触媒酸化および還元反応を始めとする酸化および還元反応も含まれる。代表的な医薬組成物および医薬的に許容し得る誘導体を、本明細書の以下でさらに詳しく検討する。
【0037】
本明細書で使用される用語「リンカー」は、関心のある化合物の一部を、この化合物の別の部分へ結合させるために利用される化学部分を言う。代表的なリンカーを本明細書に記載する。
【0038】
他で示されていない限り、以下に定義する用語は、以下の意味を持つ。
【0039】
「化合物」:本明細書で使用される用語「化合物」または「化学化合物」は、有機金属化合物、有機化合物、金属、遷移金属複合体、および小分子を含みうる。好ましいある実施形態では、ポリヌクレオチドは化合物の定義から除外される。他の好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドおよびペプチドは、化合物の定義から除外される。特に好ましい実施形態では、用語化合物は、小分子(たとえば、好ましくは、非ペプチド系および非オリゴマー系)を言い、ペプチド、ポリヌクレオチド、遷移金属複合体、金属および有機金属化合物を除外する。
【0040】
「小分子」:本明細書で使用される用語「小分子」は、実験室で合成され、あるいは自然界で発見される非ペプチド系、非オリゴマー系有機化合物を言う。本明細書で使用される小分子は、「天然物様」の化合物と言うことができるが、用語「小分子」は、「天然物様」化合物に限定されるものではない。むしろ、小分子は、数個の炭素−炭素結合を含有し、分子量は2000g/モル未満、好ましくは1500g/モル未満であることを特徴とするが、この特徴は、本発明の目的のために、限定されるものではない。自然界の「小分子」の例として、タキソール、ダイネマイシン、およびラパマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。実験室で合成される「小分子」の例として、Tanら,(「Stereoselective Synthesis of over Two Million Compounds Having Structural Features Both Reminiscent of Natural Products and Compatible with Miniaturized Cell−Based Assays」J.Am.Chem.Soc.120:8565,1998;参照として本明細書に組み入れられる)に記載の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の好ましいある実施形態では、天然物様小分子が利用される。
【0041】
「天然物様化合物」:本明細書で使用される用語「天然物様化合物」は、複合天然物(進化によって選択されてきた)に類似の化合物を言う。通常、これらの化合物は、1個以上の立体中心、官能性の高密度および多様性、および1つの構造体における原子の広い範囲の選択性を有する。この点に関し、官能性の多様性は、2、3例を挙げると、化合物に存在する官能基のトポロジー、電荷、大きさ、親水性、疎水性および反応性が様々であると定義することができる。本明細書で使用される用語「官能性の高密度」は、好ましくは3個以上の潜在的なまたは多様な活性官能基を含有する任意の分子を定義するために好ましく使用し得る。これらの構造的特徴は、さらに、本発明の化合物を、官能性において複合天然物に類似したものとし、特に、化合物は特定の生物学的レセプターと特異的に相互作用し、したがって官能的にも天然物様でありえる。
【0042】
「金属キレーター」:本明細書で使用される用語「金属キレーター」は、金属イオンとともに複合体(すなわち、「キレート」)を形成し得る任意の分子または部分を言う。ある代表的な実施形態では、金属キレーターは、溶液中で金属イオンに「結合」し、化学的/酵素的反応において、使用できなくする任意の分子または部分を言う。ある実施形態では、この溶液は、生理的条件下で水性環境を含む。金属イオンの例として、Ca2+、Fe3+、Zn2+、Na+などをが挙げられる、これらに限定されない。ある実施形態では、金属キレーターはZn2+に結合するが、これに限定されない。ある実施形態では、金属イオンを析出する部分の分子は、金属キレーターであるとは考えられない。
【0043】
本明細書で使用される用語「生体試料」として、細胞培養物またはその抽出物;動物(たとえば、哺乳類)またはそのその抽出物から得られる生検物質;および血液、唾液、尿、便、精液、涙液または他の体液、あるいはそれらの抽出物が挙げられるが、限定ではない。たとえば、用語「生体試料」は、単細胞微生物(たとえば、細菌および酵母)および多細胞生物(たとえば、植物および脊椎動物または哺乳類のような動物、特に健康なまたは健康に見えるヒト対象または診断または検査すべき状態に冒されているヒト患者を含む、任意の生体からの排出または分泌によって得られる、任意の固体または液体試料を言う。生体試料は、組織、細胞、細胞ペレット、細胞抽出物、細胞ホモジネートまたは細胞分画のような固体物質、あるいは切除生体または生体液を始めとし、いかなる形でもよい。生体液は、いかなる部位(たとえば、血液、唾液または口腔細菌を含有する口腔洗浄液)、涙液、血漿、血清、尿、胆汁、脊髄液、羊水、腹腔水および胸水、またはこれらからの細胞、眼房水またはガラス体液、または任意の分泌液)、漏出液、浸出液(たとえば、膿ようまたは他の感染または炎症部位から得た流体)、または関節から得た流体(たとえば、正常な間接またはリウマチ性関節炎、骨関節炎、通風または敗血性関節炎のような疾患を患っている関節)から得てもよい。生体試料は、どのような器官または組織(生検標本または部検資料を含む)からも得ることができ、細胞(一次細胞であろうと培養細胞であろうと)あるいは任意の細胞、組織または器官によって調整された培地を含んでもよい。また、生体試料としては、組織学的目的のために取られた凍結切片のような組織切片も挙げられる。また、生体試料としては、細胞または組織均質化物の部分的または完全な分別作用により生成するタンパク質、脂質、炭水化物および核酸を含有する生体分子の混合物も挙げられる。生体試料はヒト対象から取るのが好ましいが、いかなる動物、植物、細菌、ウィルス、酵母、その他から得てもよい。本明細書で使用される用語動物は、任意の発達段階におけるヒトおよび非ヒト動物、たとえば、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、虫類および単細胞類を言う。細胞培養および生組織試料も複数の動物であると考えられる。ある代表的な実施形態では、非ヒト動物は、哺乳類(たとえば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、またはブタ)である。動物は、形質転換動物またはヒトクローンであってもよい。所望の場合、生体試料を、予備分離法を始めとする予備加工に供してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
(発明の詳細な説明)
先に検討したように、新規なヒストンデアセチラーゼ阻害剤を開発する必要性が残っている。本発明は、一般式(I)で表される新規な化合物、およびその合成方法を提供し、この化合物は、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤として有用であり、したがって、増殖性疾患、特に、皮膚および/または毛髪に関連する増殖性のまたは他の障害を治療するのに有用である。特に、本発明の化合物は、エステル結合を含む。このエステル結合は、好ましくは、エステラーゼ開裂に対して感受性があり、したがって、化合物をエステラーゼと接触させると、この化合物は不活性化する。
【0045】
本発明の化合物
先に検討したように、本発明は、癌およびこれに関連する他の増殖性状態を治療するのに有用な、新規なクラスの化合物を提供する。ある実施形態では、本発明の化合物は、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤として有用であり、したがって、抗癌剤として有用であり、腫瘍細胞に死をもたらすことによって、または腫瘍細胞の成長を阻害することによって、癌の治療において有用である。ある代表的な実施形態では、本発明の抗癌剤は、癌または他の増殖性疾患、たとえば2、3例を挙げれば、乳癌、子宮頸癌、結腸および直腸癌、白血病、肺癌、黒色腫、多発骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、すい臓癌、前立腺癌および胃癌(これらに限定されない)の治療において有用である。ある実施形態では、本発明の抗癌剤は、白血病細胞および黒色腫細胞に対して活性があり、したがって、白血病(たとえば、骨髄性、リンパ性、骨髄球性およびリンパ芽球性白血病)および亜性黒色腫の治療に有用である。ある実施形態では、本発明の化合物は、皮膚T細胞リンパ腫に対して活性がある。さらに、先におよび例示に記載したように、本発明の化合物は、原虫感染の治療においても有用である。ある代表的な実施形態では、本発明の化合物は、ヒストン脱アセチル化活性から起こる障害に有用である。ある実施形態では、この化合物は、皮膚疾患に有用である。本発明の化合物を使用して治療できる代表的な皮膚疾患として、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、皮膚癌(たとえば、扁平上皮癌、基底細胞癌、亜性黒色腫など)、乾癬、脱毛、皮膚炎、神経線維腫症、皮膚色素過剰に伴う障害などが挙げられる。
【0046】
本発明の化合物は、先に規定し、本明細書に記載した化合物を含み、一部、本明細書の他で開示する種々のクラス、サブクラスおよび種によって説明する。
【0047】
一般的に、本発明は、一般構造式(I):
【0048】
【化38】
で表される化合物、ならびにその医薬的に許容し得る塩および誘導体を提供する。
(式中、
Aは、ヒストンデアセチラーゼを阻害する官能基を含み;
Lは、リンカー部分であり;
Arは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール脂肪族またはヘテロアリール脂肪族部分;置換または非置換環状または複素環状部分;置換または非置換、分岐または非分岐状環式脂肪族または複素環式脂肪族部分である。
【0049】
ある実施形態では、Aは金属キレート官能基を含む。たとえば、AはZn2+キレート基を含む。ある実施形態では、Aは、
【0050】
【化39】
からなる群から選択される官能基を含む。ある実施形態では、Aはヒドロキサム酸(
【0051】
【化40】
)またはその塩を含む。他の実施形態では、Aは式:
【0052】
【化41】
を含む。ある特定の実施形態では、Aは式:
【0053】
【化42】
を含む。他の実施形態では、Aはカルボン酸(−CO2H)を含む。他の実施形態では、Aはo−アミノアニリド(
【0054】
【化43】
)を含む。他の実施形態では、Aはo−ヒドロキシアニリド(
【0055】
【化44】
)を含む。さらに他のある実施形態では、Aはチオール(−SH)を含む。
【0056】
ある実施形態では、Arはアリール脂肪族である。他の実施形態では、Arはヘテロアリール脂肪族である。ある実施形態では、Arは置換または非置換アリール部分である。ある実施形態では、Arは単環式、置換または非置換アリール部分、好ましくは5員または6員アリール部分である。他の実施形態では、Arは二環式、置換または非置換アリール部分である。さらに別の実施形態では、Arは三環式、置換または非置換アリール部分である。ある実施形態では、Arは置換または非置換フェニル部分である。ある実施形態では、Arは非置換のフェニル部分である。他の実施形態では、Arは置換されたフェニル部分である。ある実施形態では、Arはモノ置換フェニル部分である。ある特定の実施形態では、Arはオルソ置換されたAr部分である。ある特定の実施形態では、Arはメタ置換されたAr部分である。ある特定の実施形態では、Arはパラ置換されたAr部分である。ある実施形態では、Arは二置換されたフェニル部分である。ある実施形態では、Arは三置換されたフェニル部分である。ある実施形態では、Arは四置換されたフェニル部分である。ある実施形態では、Arは置換または非置換の環式または複素環式のものである。
【0057】
ある実施形態では、Arは置換または非置換ヘテロアリール部分である。ある実施形態では、Arは単環式の置換または非置換ヘテロアリール部分、好ましくは5員または6員ヘテロアリール部分である。他の実施形態では、Arは二環式の置換または非置換ヘテロアリール部分である。さらに別の実施形態では、Arは三環式の置換または非置換ヘテロアリール部分である。ある実施形態では、ArはN、SまたはOを含む。ある実施形態では、Arは少なくとも1個のNを含む。ある実施形態では、Arは少なくとも2個のNを含む。
【0058】
ある実施形態では、Arは、
【0059】
【化45】
(式中、
nは、1〜5の整数(両端を含む);好ましくは1〜3(両端を含む);より好ましくは1または2であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状 脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHRA;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。ある実施形態では、Arは
【0060】
【化46】
である。他の実施形態では、Arは
【0061】
【化47】
である。さらに他のある実施形態では、Arは
【0062】
【化48】
である。ある実施形態では、R1は−N(RA)2(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である。ある実施形態では、R1は−ORA(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である。ある特定の実施形態では、R1は−OMeである。ある実施形態では、R1は、分岐または非分岐状アシルである。ある実施形態では、R1は、−O(=O)ORAである。ある実施形態では、R1は−C(=O)ORA(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である。ある実施形態では、R1は−C(=O)NH2である。ある実施形態では、R1は−NHC(=O)RAである。ある実施形態では、R1は−NHC(=O)RA(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である。ある実施形態では、R1はハロゲンである。ある実施形態では、R1はC1−C6アルキルである。
【0063】
ある特定の実施形態では、Arは、式:
【0064】
【化49】
で表される置換されたフェニル部分である。
【0065】
ある実施形態では、Arは、以下
【0066】
【化50】
の1つから選択される。
(式中、
nは、1〜4の整数(両端を含む);好ましくは1〜3(両端を含む);より好ましくは1または2であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHRA;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり、ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。
【0067】
ある実施形態では、Arは、以下
【0068】
【化51】
の1つから選択される。前記二環式環構造のいかなるものも、先に定義したR1置換基の7個までで置換されてもよい。
【0069】
ある実施形態では、Lは、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状脂肪族部分;置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族部分;置換または非置換アリール部分;置換または非置換ヘテロアリール部分である。ある実施形態では、Lは、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状脂肪族部分である。ある実施形態では、Lは、C1−C20アルキリデン、好ましくはC1〜C12アルキリデン、より好ましくはC4−C7アルキリデンである。ある実施形態では、Lは、C1−C20アルケニリデン、好ましくはC1〜C12アルケニリデン、より好ましくはC4−C7アルケニリデンである。ある実施形態では、Lは、C1−C20アルキニリデン、好ましくはC1〜C12アルキニリデン、より好ましくはC4−C7アルキニリデンである。ある実施形態では、Lは、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族部分である。ある実施形態では、Lは、環がアリール、ヘテロアリール、非芳香族炭素環または非芳香族複素環である環構造を含む。さらに別の実施形態では、Lは、置換または非置換ヘテロアリール部分を含む。ある特定の実施形態では、Lは、フェニル環を含む。ある実施形態では、Lは複数のフェニル環(たとえば、1、2、3、または4個のフェニル環)を含む。
【0070】
ある態様では、Lは
【0071】
【化52】
(式中、nは、1〜4の整数(両端を含む);好ましくは1〜3(両端を含む);より好ましくは1または2であり;R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHRA;−NHC(O)RA;または−C(RA)3;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。ある実施形態では、Lは
【0072】
【化53】
である。
【0073】
ある実施形態では、Lは
【0074】
【化54】
である。
【0075】
ある実施形態では、Lは、非分岐状。非置換、非環状アルキル鎖である。ある実施形態では、Lは、
【0076】
【化55】
である。他の実施形態では、Lは
【0077】
【化56】
である。他のある実施形態では、Lは
【0078】
【化57】
である。他の実施形態では、Lは
【0079】
【化58】
である。さらに他のある実施形態では、Lは
【0080】
【化59】
である。
【0081】
ある実施形態では、Lは、置換された、非環状脂肪族鎖である。ある実施形態では、Lは
【0082】
【化60】
である。
【0083】
ある実施形態では、Lは、非分岐状、非置換、非環状ヘテロ脂肪族鎖である。ある特定の実施形態では、Lは
【0084】
【化61】
(式中、nは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)であり;mは、0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)である)である。ある特定の実施形態では、Lは
【0085】
【化62】
(式中、nは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)であり;mは、0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)である)である。ある特定の実施形態では、Lは
【0086】
【化63】
(式中、nは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)であり;mは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)であり;R’は水素、C1−C6脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリールまたはアシルである)である。ある特定の実施形態では、Lは、
【0087】
【化64】
(式中、nは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)であり;mは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)である)である。
【0088】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia):
【0089】
【化65】
で示される構造式で表される。
(式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは0〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;Arは先に定義した通りである。)ある実施形態では、nは5である。他の実施形態では、nは6である。さらに別の実施形態では、nは7である。
【0090】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ib):
【0091】
【化66】
で示される構造式で表される。
(式中、nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは0〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;mは、1〜5の整数(両端を含む);好ましくはmは1、2または3であり;R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)ある実施形態では、R1は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロソ、アシルまたはC1−C6アルキルである。ある実施形態では、R1はアリールである。ある実施形態では、R1は、多環式アリール部分である。他の実施形態では、R1はヘテロアリール。ある実施形態では、R1は炭素環である。他の実施形態では、R1は複素環である。ある実施形態では、R1は、場合によっては置換されている1,3−ジオキサン環を含む。ある実施形態では、nは5である。他の実施形態では、nは6である。さらに別の実施形態では、nは7である。ある実施形態では、mは0である。他の実施形態では、mは1である。さらに別の実施形態では、mは2である。
【0092】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ic):
【0093】
【化67】
で表される。
(式中、nは0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは0〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)ある実施形態では、R1は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロソ、アシルまたはC1−C6アルキルである。ある実施形態では、R1はアリールである。他の実施形態では、R1はヘテロアリールである。ある実施形態では、R1は炭素環である。他の実施形態では、R1は複素環である。ある実施形態では、nは5である。他の実施形態では、nは6である。さらに別の実施形態では、nは7である。
【0094】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Id):
【0095】
【化68】
で表される。
(式中、nは、1〜5の整数(両端を含む);好ましくは1〜3;より好ましくは1また2であり;R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)ある実施形態では、R1は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロソ、アシルまたはC1−C6アルキルである。)ある実施形態では、R1はアリールである。他の実施形態では、R1はヘテロアリールである。ある実施形態では、R1は炭素環である。他の実施形態では、R1は複素環である。ある実施形態では、nは1である。他の実施形態では、nは2である。
【0096】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は式(Ie):
【0097】
【化69】
(式中、Rlはさきに定義した通りである)で表される。
【0098】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(If):
【0099】
【化70】
で示される立体化学および構造式を有する。
(式中、A、LおよびArは、先に定義した通りであり;
nは、0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む);さらにより好ましくは0、1、2または3である。)ある実施形態では、Arはフェニルである。
【0100】
ある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ig):
【0101】
【化71】
で表される。
(式中、
AおよびLは先に定義した通りであり;
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRc;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)
ある実施形態では、R2は水素である。他の実施形態では、R2はヒドロキシルまたは保護されたヒドロキシル基である。ある実施形態では、R2はアルコキシである。さらに他のある実施形態では、R2は低級アルキル、アルケニルまたはアルキニル基である。ある実施形態では、R2は−CH2−X(RB)n(式中、Xは、O、S、NまたはC、好ましくはO、SまたはNであり;nは1、2または3である)である。ある実施形態では、R2は−CH2−ORBである。他の実施形態では、R2は−CH2−SRBである。さらに他のある実施形態では、R2は−CH2−RBである。他の実施形態では、R2は−CH2−N(RB)2である。さらに別の実施形態では、R2は−CH2−NHRBである。本発明のある実施形態では、RBは、
【0102】
【化72】
【0103】
【化73】
の1つである。
(式中、
mおよびpは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は1〜6の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、WはO、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)本発明のある実施形態では、RBは、
【0104】
【化74】
の1つである。
(式中、mは1〜4の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここでRW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環式またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)
ある実施形態では、−X(RB)nは、構造:
【0105】
【化75】
【0106】
【化76】
の1つで表される。
【0107】
ある実施形態では、R2は
【0108】
【化77】
(式中、XはNであり、Yは、NH、SまたはOである)である。他の実施形態では、R2は
【0109】
【化78】
である。
【0110】
ある実施形態では、R3は置換または非置換アリールである。ある実施形態では、R3は置換または非置換フェニルである。ある特定の実施形態では、R3はモノ置換フェニルである。ある実施形態では、R3はパラ置換フェニルである。ある実施形態では、R3は
【0111】
【化79】
(式中、R3’は、水素、保護基、固形支持体単位、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である)である。ある実施形態では、R3は
【0112】
【化80】
である。他の実施形態では、R3は、置換または非置換ヘテロアリールである。
【0113】
ある実施形態では、式(Ig)の立体化学式は、以下:
【0114】
【化81】
のように定義される。
【0115】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ih):
【0116】
【化82】
で表される。
(式中、
AおよびLは、先に定義した通りであり;
nは、0〜10の整数(両端を含む);好ましくは1〜6(両端を含む);より好ましくは1〜3(両端を含む);さらにより好ましくは0、1、2または3であり;
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(Rc)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)
ある実施形態では、R2は水素である。他の実施形態では、R2は、ヒドロキシルまたは保護されたヒドロキシル基である。ある実施形態では、R2はアルコキシである。さらに他のある実施形態では、R2は、低級アルキル、アルケニルまたはアルキニル基である。ある実施形態では、R2は、−CH2−X(RB)n(式中、Xは、O、S、NまたはC、好ましくはO、SまたはNであり;nは、1、2または3である)である。ある実施形態では、R2は−CH2−ORBである。他の実施形態では、R2は−CH2−SRBである。さらに他のある実施形態では、R2は−CH2−RBである。他の実施形態では、R2は−CH2−N(RB)2である。さらに別の実施形態では、R2は−CH2−NHRBである。本発明のある実施形態では、RBは、
【0117】
【化83】
【0118】
【化84】
の1つである。
(式中、mおよびpは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は、1〜6の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)本発明のある実施形態では、RBは、構造:
【0119】
【化85】
の1つで表される。
(式中、mは、1〜4の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここで、RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)
ある実施形態では、−X(RB)nは、構造:
【0120】
【化86】
【0121】
【化87】
の1つで表される。
【0122】
ある実施例では、R2は、
【0123】
【化88】
(式中、XはNであり、YはNH、SまたはOである)である。他の実施形態では、R2は、
【0124】
【化89】
である。
【0125】
ある実施形態では、R3は、置換または非置換アリールである。ある実施形態では、R3は、置換または非置換フェニルである。ある特定の実施形態では、R3はモノ置換フェニルである。ある実施形態では、R3はパラ置換フェニルである。ある実施形態では、R3は、
【0126】
【化90】
(式中、R3’は、水素、保護基、固形支持体単位、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である)である。ある実施形態では、R3は
【0127】
【化91】
である。他の実施形態では、R3は、置換または非置換ヘテロアリールである。
【0128】
ある実施形態では、式(Ih)の立体化学式は、以下:
【0129】
【化92】
のように定義される。
【0130】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ii):
【0131】
【化93】
で示される構造を有する。
(式中、
AおよびLは先に定義した通りであり;
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2R8;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)
ある実施形態では、R2は水素である。他の実施形態では、R2は、ヒドロキシルまたは保護されたヒドロキシル基である。ある実施形態では、R2はアルコキシである。さらに他のある実施形態では、R2は、低級アルキル、アルケニルまたはアルキニル基である。ある実施形態では、R2は、−CH2−X(RB)n(式中、Xは、O、S、NまたはC、好ましくはO、SまたはNであり;nは、1、2または3である)である。ある実施形態では、R2は−CH2−ORBである。他の実施形態では、R2は−CH2−SRBである。さらに他のある実施形態では、R2は−CH2−RBである。他の実施形態では、R2は−CH2−N(RB)2である。さらに別の実施形態では、R2は−CH2−NHRBである。本発明のある実施形態では、RBは、
【0132】
【化94】
【0133】
【化95】
の1つである。
(式中、mおよびpは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は、1〜6の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここで、RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)本発明のある実施形態では、RBは、構造:
【0134】
【化96】
の1つで表される。
(式中、mは、1〜4の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(O=)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここで、RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)
ある実施形態では、−X(RB)nは、構造:
【0135】
【化97】
【0136】
【化98】
の1つで表される。
【0137】
ある実施形態では、R2は、
【0138】
【化99】
(式中、XはNであり、YはNH、SまたはOである)である。他の実施形態では、R2は、
【0139】
【化100】
である。
【0140】
ある実施形態では、R3は、置換または非置換アリールである。ある実施形態では、R3は、置換または非置換フェニルである。ある特定の実施形態では、R3はモノ置換フェニルである。ある実施形態では、R3はパラ置換フェニルである。ある実施形態では、R3は、
【0141】
【化101】
(式中、R3’は、水素、保護基、固形支持体単位、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である)である。ある実施形態では、R3は
【0142】
【化102】
である。他の実施形態では、R3は、置換または非置換ヘテロアリールである。
【0143】
ある実施形態では、式(Ii)の立体化学式は、以下:
【0144】
【化103】
のように定義される。
【0145】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ij):
【0146】
【化104】
で示される立体化学および構造式を有する。
(式中、
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(Rc)3であり;ここで各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)
ある実施形態では、R2は水素である。他の実施形態では、R2は、ヒドロキシルまたは保護されたヒドロキシル基である。ある実施形態では、R2はアルコキシである。さらに他のある実施形態では、R2は、低級アルキル、アルケニルまたはアルキニル基である。ある実施形態では、R2は、−CH2−X(RB)n(式中、Xは、O、S、NまたはC、好ましくはO、SまたはNであり;nは、1、2または3である)である。ある実施形態では、R2は−CH2−ORBである。他の実施形態では、R2は−CH2−SRBである。さらに他のある実施形態では、R2は−CH2−RBである。他の実施形態では、R2は−CH2−N(RB)2である。さらに別の実施形態では、R2は−CH2−NHRBである。本発明のある実施形態では、RBは
【0147】
【化105】
【0148】
【化106】
の1つである。
(式中、mおよびpは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は1〜6の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここでRW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)本発明のある実施形態では、RBは、構造:
【0149】
【化107】
の1つである。
(式中、mは、1〜4の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここでRW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)
ある実施形態では、−X(RB)nは、構造:
【0150】
【化108】
【0151】
【化109】
の1つである。
【0152】
ある実施形態では、R2は
【0153】
【化110】
(式中、XはNであり、YはNH、SまたはOである)である。他の実施形態では、R2は
【0154】
【化111】
である。
【0155】
ある実施形態では、R3は、置換または非置換アリールである。ある実施形態では、R3は、置換または非置換フェニルである。ある特定の実施形態では、R3はモノ置換フェニルである。ある実施形態では、R3はパラ置換フェニルである。ある実施形態では、R3は、
【0156】
【化112】
(式中、R3’は、水素、保護基、固形支持体単位、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリール、または−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である)である。ある実施形態では、R3は
【0157】
【化113】
である。他の実施形態では、R3は、置換または非置換ヘテロアリールである。
【0158】
特別に関心のある別のクラスの化合物として、前記および本明細書中のR3が置換されたフェニル部分であるサブクラスに記載された本発明の化合物が挙げられ、この化合物は(II):
【0159】
【化114】
で表される。
(式中、
L、A、XおよびRBは、先に定義した通りであり;
nは、0〜5の整数(両端を含む);好ましくは1〜3;より好ましくは2であり;
Zは、水素、−(CH2)qORZ、−(CH2)qSRZ、−(CH2)qN(RZ)2、−C(=O)RZ、−C(=O)N(RZ)2、またはアルキル、ヘテロアルキルアリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分であり、ここで、qは0〜4であり、各RZは、独立して、水素、保護基、固形支持体単位、またはアルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である。)ある実施形態では、RZは水素である。他の実施形態では、RZは、C1−C6アルキルである。ある実施形態では、RZは酸素保護基である。
【0160】
別のクラスの化合物として、式(II)(式中、Zは−CH2OR2である)の化合物が挙げられ、この化合物は、一般構造式(Im):
【0161】
【化115】
(式中、RB、RZ、X、L、nおよびAは、先に一般的に、および本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて定義した通りである)で表される。ある実施形態では、XはSである。他の実施形態では、XはOである。
【0162】
特別に関心のあるさらに別のクラスの化合物として、式(Ii)(式中、XはSである)の化合物が挙げられ、この化合物は、一般構造式(In):
【0163】
【化116】
(式中、
RB、X、L、nおよびAは、先に定義した通りであり;
Rzは、先に一般的に、および本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて定義した通りである)で表される。
【0164】
特別の関心のあるさらに別のクラスの化合物として、式(Ii)(式中、Xは−NR2Aである)の化合物が挙げられ、この化合物は、一般構造式(Io):
【0165】
【化117】
(式中、
RB、RZ、X、L、nおよびAは、先に一般的に、および本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて定義した通りである)で表される。
【0166】
特別に関心のあるさらに別のクラスの化合物として、式(Ii)(式中、XはOである)の化合物が挙げられ、この化合物は、一般構造式(Ip):
【0167】
【化118】
(式中、
RB、RZ、X、L、nおよびAは、先に一般的に、および本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて定義した通りである)で表される。
【0168】
本発明の代表的な化合物を示す。
【0169】
【化119】
前記化合物の中には、1個以上の不斉中心を含むことができ、したがって、種々の異性体形態、たとえば、立体異性体および/またはジアステレオマーが存在し得るものもある。したがって、本発明の化合物およびその医薬組成物は、独立した鏡像異性体、ジアステレオマーまたは幾何異性体の形態であってもよく、また立体異性体の混合物の形態であってもよい。ある実施形態では、本発明の化合物は、純粋な化合物である。他のある実施形態では、立体異性体またはジアステレオマーの混合物が提供される。
【0170】
さらに、本明細書に記載されたある化合物は、別の記載がない限り、ZまたはE異性体のいずれかとして存在し得る1個以上の二重結合を有していてもよい。さらに、本発明は、他の異性体を実質的に含まない単独の異性体としての、あるいは種々の異性体の混合物、たとえば、立体異性体のラセミ混合物としての化合物も包含する。前記化合物それ自体の他に、本発明は、これらの化合物の医薬的に許容し得る誘導体、および1種以上の本発明の化合物と1種以上の医薬的に許容し得る賦形剤または添加剤とを含む組成物も包含する。
【0171】
本発明の化合物は、異なる条件下で、化合物の結晶化によって調製してもよく、本発明の一部を形成する化合物の多形体として、あるいはそれらの組合わせとして存在してもよい。たとえば、再結晶用の異なる溶剤または異なる溶剤混合物を使用して;異なる温度での結晶化を行うことによって;または結晶中に非常に速い冷却速度から非常に遅い冷却速度まで変化させ、冷却の種々のモードを使用することによって、異なる多形体を識別および/または調製してもよい。また、多形体を、化合物を加熱あるいは溶融し、次いで徐々にあるいは早急に冷却することによって得てもよい。多形体の存在は、固体プルーブNMRスペクトル観測、IRスペクトル観測、示差走査熱量測定、粉末X線ディフラクトグラムおよび/または他の技術によって測定できる。したがって、本発明は、本発明の化合物、これらの誘導体、これらの互変異性体、これらの立体異性体、これらの多形体、これらの医薬的に許容し得る塩、これらの医薬的に許容し得る溶媒和物、およびこれらを含有する医薬的に許容し得る組成物も包含する。
【0172】
合成の概要
本発明の二量体、多量体およびポリマー化合物を製造するために使用される種々のモノマー化合物の合成は、当該分野で公知である。これらの公表されている合成法は、本発明の化合物を製造するために利用することができる。本発明の化合物を製造するための代表的な合成法は、米国特許第6,960,685号明細書;米国特許第6,897,220号明細書;米国特許第6,541,661号明細書;米国特許第6,512,123号明細書;米国特許第6,495,719号明細書;米国特許第2006/0020131号公開公報;米国特許第2004/087631公開公報;米国特許第2004/12752号公開公報;米国特許第2004/0072849号公開公報;米国特許第2003/0187027号公開公報;国際公開第2005/018578号パンフレット;国際公開第2005/007091号パンフレット;国際公開第2005/007091号パンフレット;国際公開第2005/018578号パンフレット;国際公開第2004/046104号パンフレット;国際公開第2002/89782号パンフレット;国際公開第に記載されている。これらの公報はそれぞれ、参照として、本明細書に組み入れられる。多くの場合、アミド部分はエステル部分に変更されて、本発明の化合物を製造した。
【0173】
SAHPを製造するための代表的な合成スキームを図13に示す。任意の本発明のエステラーゼ感受性化合物を、この教示および先に参考にした当該分野での教示に基づいて製造することができることは当業者であればわかるであろう。
【0174】
本発明のさらに別の態様では、本発明の化合物を製造するために有用な中間体の製造方法を提供する。
【0175】
本発明の一態様では、ある化合物のコア構造を合成する方法であって、
構造:
【0176】
【化120】
を有するエポキシアルコールを提供する工程と、
このエポキシアルコールを、構造:R2XHを有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【0177】
【化121】
を有するジオールを生成する工程と、
このジオールを、構造:R3CH(OMe)2を有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【0178】
【化122】
を有する骨格を生成する工程とを含む方法が提供される。
(式中、R1は、水素、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
R2は、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
Xは、−O−、−C(R2A)2−、−S−または−NR2A−であり、ここで、R2Aは、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;または
2個以上のR2およびR2Aが一緒になり、脂環式または複素環状部分、あるいはアリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
R3は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
Rzは、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり、これらは、場合によっては、固形支持体に結合する。)
ある代表的な実施形態では、エポキシアルコールは、構造:
【0179】
【化123】
を有し、ジオールは、構造:
【0180】
【化124】
を有し、そしてコア骨格は、構造:
【0181】
【化125】
を有する。
【0182】
他のある代表的な実施形態では、エポキシアルコールは、構造:
【0183】
【化126】
を有し、ジオールは、構造:
【0184】
【化127】
を有し、コア骨格は、構造:
【0185】
【化128】
を有している。
【0186】
ある実施形態では、R3は、以下の構造:
【0187】
【化129】
を有し、先に記載した方法により、構造:
【0188】
【化130】
のものを生成する。
【0189】
本発明の別の態様では、本発明のある化合物のコア構造を合成する方法であって、
構造:
【0190】
【化131】
を有するエポキシアルコールを提供する工程と、
このエポキシアルコールを、構造:R2XHを有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【0191】
【化132】
を有するジオールを生成する工程と、
このジオールを、構造:
【0192】
【化133】
(式中、R4Cは、窒素保護基である)を有する試薬を用い、好適な条件下で処理し、構造:
【0193】
【化134】
を有するアミンを生成する工程と、
このアミンを、構造:
【0194】
【化135】
を有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【0195】
【化136】
を有する骨格を生成する工程とを含む方法が提供される。
(式中、
R1は、水素、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
R2は、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
Xは、−O−、−C(R2A)2−、−S−または−NR2A−であり、ここで、R2Aは、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;または
2個以上のR2およびR2Aが一緒になって、脂環式または複素環状部分、あるいはアリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
rは、0または1であり;
sは、2〜5の整数であり;
wは、0〜4の整数であり;
R4Aは、金属キレーターを含み;
各R4Dは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、CN、NO2またはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)である)であり;ここで、RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、あるいはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、
あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環式またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、あるいは置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
RZは、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり、これらは場合によっては固形支持体に結合する。)
ある代表的な実施形態では、エポキシアルコールは、構造:
【0196】
【化137】
を有し、ジオールは、構造:
【0197】
【化138】
を有し、アミンは、構造:
【0198】
【化139】
を有し、コア骨格は、構造:
【0199】
【化140】
を有する。
【0200】
ある代表的な実施形態では、エポキシアルコールは、構造:
【0201】
【化141】
を有し、ジオールは、構造:
【0202】
【化142】
を有し、アミンは、構造:
【0203】
【化143】
を有し、コア骨格は、構造:
【0204】
【化144】
を有する。
【0205】
ある実施形態では、先に記載した方法は溶液相で行なわれる。他のある実施形態では、前記方法は固相で行われる。ある実施形態では、合成方法には高処理技術が適し、あるいはコンビナトリアル化学で通常使用されている技術が適している。
【0206】
医薬組成物
先に検討したように、本発明は、抗腫瘍および抗増殖性活性を有する新規な化合物を提供し、したがって、本発明の化合物は、癌(たとえば、皮膚T細胞リンパ腫)の治療に有用である。良性増殖性疾患も、本発明の化合物を使用して治療できる。また、この化合物は、アセチル化活性の阻害(たとえば、HDAC阻害)によって利益が得られる、他の疾患または状態の治療にも有用である。ある実施形態では、この化合物は、HDAC阻害(特にHDAC6阻害)がhsp90を介するアンドロゲンシグナル伝達をブロックするという発見に基づく、脱毛の治療に有用である。HDAC阻害は、エストロゲンシグナル伝達を阻害することも示している。ある実施形態では、この化合物は、HDAC阻害による皮膚の色素過剰症のブロックでも有用である。
【0207】
したがって、本発明の別の態様では、本明細書で記載された化合物のいずれか1項(またはそのプロドラッグ、医薬的に許容し得る塩または他の医薬的に許容し得る誘導体)を含み、場合によっては医薬的に許容し得る担体を含む医薬組成物を提供する。ある実施形態では、これらの組成物は、場合によってはさらに、1種以上の追加の治療薬を含む。あるいは、本発明の化合物を、1種以上の他の治療薬の投与と組合わせて、それを必要とする患者に投与してもよい。たとえば、本発明の化合物を含む医薬組成物と連帯投与するあるいはこの組成物に含有される追加の治療薬としては、認証された化学治療薬でもよく、あるいは最終的に、脱毛、皮膚色素過剰、原虫感染および/または細胞過剰増殖に関連する任意の障害の治療の承認を得た、食品医薬局で承認された数多くの薬剤の1つであってもよい。他のある実施形態では、追加の治療薬は、本明細書でさらに詳しく検討する抗癌剤である。他のある実施形態では、本発明の組成物は、原虫感染の治療に有用である。
【0208】
本発明のある化合物は、治療に関し遊離した形態、あるいは、好適な場合は、その医薬的に許容し得る誘導体として存在し得ることは理解されるであろう。本発明によれば、医薬的に許容し得る誘導体として、医薬的に許容し得る塩、エステル、そのようなエステルの塩、あるいはそれを必要とする患者への投与に際し、直接または関節的に与えうる、プロドラッグまたは本発明の化合物の他の付加物または誘導体、本明細書の他で記載した化合物、またはその代謝物または残渣が挙げられるが、これらに限定されない。
【0209】
本明細書で使用される用語「医薬的に許容し得る塩」は、正常な医学的判断の範囲内で、毒性、刺激、アレルギー反応などを起こすことなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触での使用に適し、妥当な効果/リスク比に見合った塩を言う。アミン、カルボン酸および他のタイプの化合物の医薬的に許容し得る塩が当該分野で周知である。たとえば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,66:1−19(1977)に医薬的に許容し得る塩を詳細に記載し、この文献は参照として本明細書に組み込まれる。塩は、本発明の化合物の最終分離または精製の間に製造することができ、あるいは別に遊離塩基または遊離酸官能基と、以下に一般的に記載する好適な試薬と反応させることによって製造することができる。たとえば、遊離塩基官能基は好適な酸と反応することができる。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、その好適な医薬的に許容し得る塩として、アルカリ金属塩、たとえば、ナトリウムまたはカリウム塩;およびアルカリ土類金属塩、たとえば、カルシウムまたはマグネシウム塩のような金属塩が挙げられる。医薬的に許容し得る非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸のような無機酸、あるいは酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸のような有機酸と形成される、あるいはイオン交換のような当該分野で使用される他の方法を使用して形成される、アミノ基の塩である。他の医薬的に許容し得る塩として、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘルニ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩として、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらに、好適な場合は、医薬的に許容し得る塩として、ハライド、水酸化物、カルボキシレート、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩のような対イオンを使用して形成された、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンカチオンが挙げられる。
【0210】
さらに、本明細書で使用される用語「医薬的に許容し得るエステル」は、インビボで加水分解するエステルを言い、ヒトの体内で簡単に分解し、親化合物またはその塩を残すものが挙げられる。好適なエステル基として、たとえば、医薬的に許容し得る脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカン二酸から誘導されるものがあり、ここで、アルキル部分またはアルケニル部分はそれぞれ、6個以下の炭素原子を有するのが有利である。特定のエステルの例として、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルコハク酸エステルが挙げられる。
【0211】
さらに、本明細書で使用される用語「医薬的に許容し得るプロドラッグ」は、正常な医学的判断の範囲内で、毒性、刺激、アレルギー反応などを起こすことなく、ヒトと下等動物の組織との間で起こる接触での使用に適し、妥当な効果/リスク比に見合い、意図する用途に効果的である本発明の化合物のプロドラッグを言い、可能な場合は、本発明の化合物の双性イオン形態も含む。用語「プロドラッグ」は、たとえば、血液中での加水分解によるように、インビボで素早く変換し、前記式で表される親化合物となる化合物を言う。T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,the A.C.S. Symposium Seriesの第14巻、およびEdward B.Roche編,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に完全な検討がなされ、両文献は参照として本明細書に組み込まれる。
【0212】
先に記載したように、本発明の医薬組成物は、追加として、医薬的に許容し得る担体を含んでもよく、本明細書で使用されるような、所望される特定の投薬形態に適するいかなる全ての溶剤、希釈剤または他の液体ビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固形結合剤、潤滑剤などが挙げられる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16編,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)に、医薬組成物の製剤化に使用される種々の担体およびその製造のための公知の方法が開示されている。任意の従来の担体媒体が、望ましくない生物学的効果を生み出す、その他、この医薬組成物のほかの成分(複数を含む)を有害な方法で妨害するような、本発明の化合物と相溶性がない場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であるとされる。医薬的に許容し得る担体として役立つ物質のいくつかの例として、糖類、たとえば、ラクトース、グルコースおよびショ糖;デンブン、たとえば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、たとえば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;パウダー状トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、たとえば、ココアバターおよび坐剤ワックス;油類、たとえば、ピーナッツ油、綿実油;サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油;グリコール、たとえば、プロピレングリコール;エステル、たとえば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;カンテン;緩衝剤、たとえば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱性物質除去水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、および他の非毒性相溶性潤滑剤、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、さらに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、風味剤および芳香剤、防腐剤および酸化防止剤(これらに限定されない)を、製剤化の判断に従って、この組成物に存在させることができる。
【0213】
経口投与用の液体投薬形態として、医薬的に許容し得る乳液、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられるが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体投薬形態は、当該分野で普段使用される不活性希釈剤、たとえば、水または他の溶剤、可溶化剤および乳化剤、たとえば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物には、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、風味剤および芳香剤のような添加剤が含まれてもよい。
【0214】
注射製剤、たとえば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、公知の技術に従って、好適な分散化剤、湿潤剤および懸濁化剤を使用して製剤化してもよい。滅菌注射製剤は、非毒性非経口許容希釈剤または溶剤中の滅菌注射用溶液、懸濁液または乳液、たとえば、1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用してもよい許容し得るビヒクルおよび溶剤では、水、リンゲル液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌不揮発性油は、溶剤または懸濁媒として、従来から使用されている。この目的に関しては、任意のブランドの不揮発性油を使用することができ、合成モノグリセリドおよびジグリセリドが挙げられる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸も注射液の製造に使用される。
【0215】
注射用製剤は、たとえば、細菌保持フィルターを使用するろ過、あるいは滅菌水、または使用前に他の滅菌注射用媒体に溶解または分散できる、滅菌固体組成物形態中に滅菌剤を導入することによって、滅菌することができる。
【0216】
薬効を引き伸ばすために、しばしば、皮下注射または筋肉内注射からの薬の吸収を遅くすることが望まれる。これは、低水溶性の、液体懸濁液、あるいは結晶性またはあもるアモルファス物質を使用することによって達成できる。薬の吸収速度は溶解速度に依存し、したがって、結晶サイズおよび結晶形に依存するかもしれない。あるいは、非経口投与された薬剤形態の吸収の遅延は、油性ビヒクルに薬を溶解または分散させることによって達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチドポリグリコリドのような生分解性ポリマー中で、薬のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって製造する。ポリマーに対する薬の比、および使用される特定のポリマーの性質により、薬の放出を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、(ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。また、デポー注射用製剤は、薬を体組織と相溶性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョン内に閉じ込めることによっても製造される。
【0217】
直腸経路または膣経路投与用の組成物は、本発明の化合物と、周辺温度では固体であるが体温では液体となり、したがって直腸または膣の腔で溶融し、活性化合物を放出する、好適な非刺激性賦形剤または担体、たとえば、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスと混合することによって製造することができる座剤が好ましい。
【0218】
経口投与用の固体投薬形態として、カプセル剤、錠剤、ピル、粉末剤および果粒剤が挙げられる。この固体投薬形態では、活性化合物を、不活性な医薬的に許容し得る賦形剤または担体の少なくとも1種と混合する。この賦形剤または担体として、クエン酸ナトリウムまたはリン酸ジカルシウムおよび/またはa)充填剤または増量剤、たとえば、デンブン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、b)結合剤、たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖およびアカシア、c)保湿剤、たとえば、グリセロール、d)崩解剤、たとえば、アガー−アガー、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンブン、アルギン酸、ある種のシリケートおよび炭酸ナトリウム、e)溶液化防止剤、たとえば、パラフィン、f)吸収促進剤、たとえば、第四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、たとえば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアリン酸塩,h)吸収剤、たとえば、カオリンおよびベントナイトクレイ、およびi)潤滑剤、たとえば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物が挙げられる。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、投薬形態は緩衝剤も含んでよい。
【0219】
賦形剤としてラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤において、充填剤として類似のタイプの固形組成物を使用してもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピルおよび果粒剤の固形投薬形態は、腸溶性コーティングや医薬製剤技術において周知のほかの膜のような、膜およびシェルを伴って製造することができる。これらには、場合によっては、不透明化剤が含有されてもよく、腸管のある部分のみあるいはそこに優先的に、場合によっては徐放的に、活性成分(複数を含む)を放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例として、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。そのような賦形剤としてラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤として、類似のタイプの固形組成物も使用してもよい。
【0220】
活性化合物は、先に記載した賦形剤1種以上とともに、マイクロカプセル形態中に存在することもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピル、および果粒剤の固形投薬形態は、腸溶性コーティング、放出調節膜および他の医薬製剤技術で周知の膜のような膜およびセルとともに製造することができる。そのような固形投薬形態では、活性化合物と、ショ糖、ラクトースおよびデンブンのような不活性希釈剤の少なくとも1種とを配合する。そのような投薬形態は、一般的な慣例のように、不活性希釈剤以外の追加の物質、たとえば、錠剤化潤滑剤および他の錠剤化助剤、たとえばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースを含んでもよい。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、投薬形態には、緩衝剤が含まれてもよい。これらには、場合によっては、不透明化剤が含有されてもよく、腸管のある部分のみあるいはそこに優先的に、場合によっては徐放的に、活性成分(複数を含む)を放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例として、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0221】
本発明は、本発明の化合物の医薬的に許容し得る局所用製剤も包含する。本明細書で使用される用語「医薬的に許容し得る局所用製剤」は、外皮に対し製剤を適用することによって、本発明の化合物を皮内投与するための医薬的に許容し得る任意の製剤を意味する。本発明のある実施形態では、局所用製剤はキャリアシステムを含む。医薬的に効果的な担体として、溶剤(たとえば、アルコール、ポリアルコール、水)、クリーム、ローション、軟膏剤、油類、プラスター、リポソーム、粉末剤、乳液、マイクロエマルジョン、および緩衝溶液(たとえば、低張食塩水または緩衝食塩水)、あるいは医薬品を局所投与する技術で公知の任意の他の担体が上げられるが、これらに限定されない。業界で公知の担体のさらに完全なリストは、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16編,1980、および第17編,1985に載せられており、両文献とも、Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvaniaにより出版され、これらの開示はその全てを参照として本明細書に組み入れる。他のある実施形態では、本発明の局所用製剤には、賦形剤が含まれてもよい。本発明の医薬的に許容し得る局所用製剤を製造するために、業界で知られれている任意の医薬的に許容し得る賦形剤を使用してよい。本発明の局所用製剤に含有させることができる賦形剤の例として、防腐剤、酸化防止剤、保湿成分、皮膚軟化剤、緩衝剤、可溶化剤、他の浸透剤、皮膚保護剤、界面活性剤、および推進薬剤および/または本発明の化合物と組合わせて使用される追加の治療薬が挙げられるが、これらに限定されない。好適な防腐剤として、アルコール、第四級アミン、有機酸、パラベンおよびフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。好適な酸化防止剤として、アスコルビン酸およびそのエステル、亜硫酸水素ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール、ならびにEDTAおよびクエン酸のようなキレート剤が挙げられるが、これらに限定されない。好適な保湿成分として、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素、およびプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。本発明との使用に好適な緩衝剤として、クエン酸、塩酸および乳酸緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。好適な可溶化剤として、第四級アンモニウムクロリド、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、レシチンおよびポリソルベートが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の局所用製剤において使用することができる好適な皮膚保護剤として、ビタミンE油、アラトイン、ジメチコン、グリセリン、ペトロラタムおよび酸化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0222】
ある実施形態では、本発明の医薬的に許容し得る局所用製剤は、少なくとも1種の本発明の化合物と透過促進剤とを含む。局所用製剤の選択は、治療すべき状態、存在する本発明の化合物および他の賦形剤の物理化学的特長、それらの製剤中での安定性、利用できる製造設備、およびコスト面の制約を始めとするいくつかの要因に依存する。本明細書で使用される用語「透過促進剤」は、薬理活性化合物を、皮膚角質層を通って表皮または真皮に送達することができ、好ましくはほとんどあるいは全く前進吸収がない剤を意味する。
広範囲で種々の化合物が、皮膚を通した薬の浸透速度の促進におけるそれらの有効性に関して評価されてきた。たとえば、Percutaneous Penetration Enhancers,Maibach H.I.およびSmith H.E.(編集),CRC Press社,Boca Raton,FIa.(1995)(これは、種々の皮膚浸透促進剤の用途および試験を調べている)、およびBuyuktimkinら,Chemical Means of Transdermal Drug Permeation Enhancement in Transdermal and Topical Drug Delivery Systems,Gosh T.K.,Pfister W.R.,Yum S.I.(編集),Interpharm Press社,Buffalo Grove,111.(1997)を参照のこと。ある代表的な実施形態では、本発明で使用される促進剤として、トリグリセリド(たとえば、大豆油)、アロエ組成物(たとえば、アロエベラジェル)、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクトリフェニルポリエチレングリコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N−デシルメチルスルホキシド、脂肪酸エステル(たとえば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、モノオレイン酸グリセロールおよびモノオレイン酸プロピレングリコール)、およびN−メチルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0223】
ある実施形態では、この組成物は、軟膏剤、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、粉末剤、溶液、スプレー、吸入薬またはパッチの形態であってもよい。ある代表的な実施形態では、本発明による組成物の製剤はクリームであり、これは、さらに、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、パルミット−オレイン酸、セチルまたはオレイルアルコール(ステアリン酸は特に好ましい)のような飽和または不飽和 脂肪酸を含有してもよい。また、本発明のクリームは、非イオン性界面活性剤、たとえば、ポリオキシ−40−ステアリン酸塩を含有してもよい。ある実施形態では、必要であれば、活性成分を、滅菌条件下で、医薬的に許容し得る担体および任意の必要な防腐剤または緩衝液と混合する。眼病用製剤、点耳剤、点眼剤も本発明の範囲内であると想定する。さらに、本発明は、化合物の体への調整された送達を提供する追加の利点を有する経皮パッチの使用も意図している。そのような投薬形態は、化合物を適正な媒体に溶解または分散させることによって作られる。先に検討したように、皮膚を通す化合物の流れを増やすために、透過促進剤を使用することもできる。速度は、速度制御膜を備える、またはポリマーマトリックスまたはゲル中で化合物を分散させることにより制御することができる。
【0224】
本発明の化合物および医薬組成物を、併用療法において製剤化および使用することができる、すなわち、化合物および医薬組成物を、1種以上の他の所望の治療法または医学的処置と同時に、その前にあるいはそれに続けて製剤化または投与するすることができることも理解されるであろう。組合わせレジメンにおいて使用する治療(治療法または処置)の特定の組合せは、所望の治療法および/または処置の適合性、ならびに達成される所望の治療法効果が考慮に入れられるであろう。採用される治療は、同じ障害に対する所望の効果を達成(たとえば、本発明の化合物を、別の免疫調節剤、抗癌剤または乾癬の治療に有用な薬剤とともに同時に投与してもよい)、あるいは異なる効果(たとえば、副作用の制御)を達成するかもしれないことも理解されるであろう。
【0225】
たとえば、本発明の化合物と組合わせて使用してもよい他の治療または抗癌剤として、手術、放射線療法(僅かな例示ではあるが、2,3例を挙げると、γ−放射線、中性子線放射線療法、電子線放射線療法、陽子線療法、近接照射療法および全身性放射性同位元素)、内分泌療法、生体応答調節剤(2、3例を挙げると、インターフェロン、インターロイキンおよび腫瘍壊死因子(TNF))、温熱療法および寒冷療法、任意の有害な効果を緩和する薬剤(たとえば、制吐剤)、および他の承認された化学治療薬、たとえば、これらに限定されないが、2、3例を挙げると、アルキル化剤(メクロルエタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗剤(メトトレキサート)、プリン拮抗薬およびピリミジン拮抗薬(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビル、ゲムシタビン)、紡錘体毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソ尿素化合物(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、およびホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミドおよびメゲストロール)が挙げられる。最新の癌治療のより包括的な検討に関しては、The Merck Manual,第17編1999を参照のこと。この文献の全体は、参照として本明細書に組み込まれる。また、National Cancer Institute (CNI)ウェブサイト(www.nci.nih.gov)および食品医薬局(the Food and Drug Administration(FDA))ウェブサイト、FDAが承認した腫瘍薬物のリスト(www.fda.gov/cder/cancer/druglistframe)も参照。
【0226】
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、さらに、1種以上の追加の治療活性成分(たとえば、化学治療法薬および/または緩和剤)を含む。本発明の目的に関して、用語「緩和」は、疾患の症状および/または治療レジメンの副作用の開放に焦点を合わせた処置を言う。たとえば、緩和処置には、鎮痛剤、制吐投薬、および抗シックネス薬が包含される。さらに、化学療法、放射線療法および手術も全て、緩和的に使用することができる(すなわち、治癒のためではなく症状を減らすため、たとえば、腫瘍を縮小するため、および苦痛、出血、疼痛および癌の他の症状を減少させるために)。
【0227】
さらに、本発明は、本発明の化合物の医薬的に許容し得る誘導体、およびこれらの化合物、その医薬組成物を使用して、またはこれらのどちらかと1種以上の追加の治療薬と組合わせて使用して、対象を治療する方法を提供する。
【0228】
本発明のある化合物は、治療のために遊離した形態で存在することができ、あるいは好適な場合は、その医薬的に許容し得る誘導体として存在することもできることも理解されるであろう。本発明によれば、医薬的に許容し得る誘導体として、医薬的に許容し得る塩、エステル、そのようなエステルの塩、あるいはそれを必要とする患者への投与に際し、直接または関節的に与えうる、プロドラッグまたは本発明の化合物の他の付加物または誘導体、本明細書の他で記載した化合物、またはその代謝物または残渣が挙げられるが、これらに限定されない。
【0229】
研究用用途、医薬用途および治療方法
研究用用途
本発明によれば、本発明の化合物は、抗原虫活性、HDAC阻害活性、毛髪成長活性、アンドロゲン情報伝達阻害活性、エストロゲン情報伝達阻害活性および/または抗増殖性活性を有する化合物を識別するために、当該分野で公知の試料できる任意のアッセイで試験することができる。たとえば、アッセイは、細胞性であっても非細胞性であっても、インビボでもまたはインビトロでに、高出力または低出力フォーマットであってもよい。
【0230】
したがって、一態様では、特に関心が持たれる本発明の化合物はとして、以下があげられる。
・HDAC阻害を発揮するもの;
・HDACクラスI阻害活性(たとえば、HDACl、HDAC2、HDAC3、HDAC8)を発揮するもの;
・HDACクラスII阻害活性(たとえば、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC9a、HDAC9b、HDRP/HDAC9c、HDAClO)を発揮するもの;
・HDAC1を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NP_004955、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC2を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NP_001518、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC3を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号O15739, 参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC4を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号AAD29046、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC5を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NP_005465、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC6を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NP_006035、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC7を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号AAP63491、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC8を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号AAF73428、NM_018486、AF245664、AF230097、それぞれ、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC9を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NM_178425、NM_178423、NM_058176、NM_014707, BCl11735、NM_058177、それぞれ、参照として本明細書に組み込まれる)
・HDAC10を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NM_032019、参照として本明細書に組み込まれる)
・HDAC11を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号BC009676、参照として本明細書に組み込まれる);
・チューブリン脱アセチル化を阻害する能力を発揮するもの(TDAC);
・Ure2pの下流の遺伝子のグルコース感受性サブセットを調整する能力を発揮もの;
・インビトロで癌細胞系に、または科学的に許容し得る癌細胞異種移植モデルをしようする動物研究において、細胞毒作用または成長阻害剤作用を発揮するもの;および/または
・既存の化学治療薬より優れた治療プロフィール(たとえば、最適安全性および治療効果)を発揮するもの。
【0231】
本明細書の例示で詳述したように、癌細胞成長を阻害する化合物の能力を測定するアッセイにおいて、本発明のある化合物は、IC50値≦100μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦50μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦40μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦30μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦20μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦10μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦7.5μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦5μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦2.5μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦1μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦0.75μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦0.5μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦0.25μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦0.1μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦75μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦50μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦25μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦10μMを発揮する。他の実施形態では、代表的な化合物は、IC50値≦7.5μMを発揮する。他の実施形態では、代表的な化合物は、IC50値≦5μMを発揮する。
【0232】
医薬用途および治療方法
一般的に、本発明の化合物を使用する方法は、治療に有効な量の本発明の化合物を、それを必要とす対象に投与することを含む。
本発明の化合物は、一般的に、デアセチラーゼ活性の阻害剤である。先に検討したように、本発明の化合物は、普通、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤であり、それ自体は、ヒストンデアセチラーゼにより変化させられた障害の治療において有用である。チューブリンデアセチラーゼのような他のデアセチラーゼも、本発明の化合物により阻害されうる。
【0233】
ある実施形態では、本発明の化合物は、増殖性疾患(たとえば、癌、良性新生物、炎症性疾患、自己免疫疾患)の治療において有用である。ある実施形態では、本発明の化合物中にエステラーゼ感受性エステル化架橋があるとすれば、それらは、ヒストンデアセチラーゼによって変化した皮膚疾患の治療に特に有用であり、そこでは、この薬剤の全身的な作用は避けられる、あるいは少なくとも最小にされる。本発明の化合物のこの特徴は、通常は対象に全身的に投与するには毒性が強すぎる化合物の使用を可能にするかもしれない。ある実施形態では、これらの皮膚疾患は増殖性疾患である。たとえば、本発明の化合物は、皮膚癌および良性の皮膚腫瘍の治療に特に有用である。ある実施形態では、この化合物は、皮膚T細胞リンパ腫の治療に有用である。ある実施形態では、この化合物は、神経線維腫症の治療に有用である。したがって、さらに別の態様では、本発明の治療方法によれば、前記腫瘍細胞に、本明細書に記載された、本発明の化合物または組成物を接触することにより、腫瘍細胞は殺され、あるいはそれらの成長は阻害される。他の実施形態では、この化合物は、乾癬または皮膚炎のような皮膚の炎症性疾患の治療に有用である。他の実施形態では、この化合物は、脱毛の治療または予防に有用である。ある実施形態では、この化合物は、皮膚色素沈着に関連する疾患の治療に有用である。たとえば、この化合物を、皮膚の色素過剰症を予防するために使用してもよい。
【0234】
したがって、本発明の別の態様では、癌を治療する方法であって、本明細書に記載された本発明化合物を治療に有効な量、それを必要とす対象に投与することを含む方法が提供される。ある実施形態では、癌を治療する方法であって、治療に有効な量の本発明の化合物または本発明の化合物を含む医薬組成物を、それを必要とす対象に、所望の結果を達成するのに必要とされる量および時間、投与することを含む方法を提供する。本発明の化合物は局所的に投与されるのが好ましい。本発明のある実施形態では、本発明の化合物または医薬組成物の「治療に有効な量」は、腫瘍細胞を殺すまたはその成長を阻害するのに有効な量である。本発明の方法によれば、この化合物および組成物は、腫瘍細胞を殺すまたはその成長を阻害するのに効果のある任意の量および任意の投与経路を使用して、投与することができる。したがって、本明細書で使用される表現「腫瘍細胞を殺すまたはその成長を阻害するのに有効な量」は、腫瘍細胞を殺すまたはその成長を阻害するのに十分な薬剤の量を言う。必要とする正確な量は、種、年齢および対象の全身状態、感染の重篤度、特定の抗癌剤、その投与モードなどにより、対象によって変化する。本発明のある実施形態では、本発明の化合物または医薬組成物の「治療に有効な量」は、皮膚細胞のデアセチラーゼ活性(特に、HDAC活性)を阻害するのに有効な量である。本発明のある実施形態では、本発明の化合物または医薬組成物の「治療に有効な量」は、皮膚細胞を殺すまたはその成長を阻害するのに有効な量である。
【0235】
ある実施形態では、この方法は、治療に有効な量の化合物またはその医薬的に許容し得る誘導体を、それを必要とする対象(ヒトまたは動物が挙げられるが、これらに限定されない)に投与することを含む。ある実施形態では、本発明の化合物は、癌(神経膠芽種、網膜芽細胞腫、乳癌、子宮頸癌、結腸および直腸癌、白血病、リンパ腫、肺癌(小細胞肺癌が挙げられるが、これに限定されない)、黒色腫および/または皮膚癌、多発骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、すい臓癌、前立腺癌および胃癌、膀胱癌、子宮癌、腎臓癌、精巣癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌または食道癌が挙げられるが、これらに限定されない)の治療に有用である。
【0236】
ある実施形態では、本発明の抗癌剤は、癌および他の増殖性疾患、2、3例を挙げると、たとえば、乳癌、子宮頸癌、結腸および直腸癌、白血病、肺癌、黒色腫、多発骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、すい臓癌、前立腺癌および胃癌(これらに限定されない)の治療に有用である。ある実施形態では、本発明の抗癌剤は、白血病細胞および黒色腫細胞に対し活性であり、したがって、白血病(たとえば、骨髄性、リンパ性、骨髄球性およびリンパ芽球性白血病)、および亜性黒色腫の治療に有用である。さらに別の実施形態では、本発明の抗癌剤は、固形腫瘍に対して活性である。
【0237】
ある実施形態では、本発明の化合物には、血管形成術およびステント留置のような外傷に曝された血管狭窄の再発の予防における用途も見出される。たとえば、本発明の化合物は、埋め込まれる医療装置、たとえば、管、シャント、カテーテル、人工移植片、ピン、ペースメーカーのような電気移植片用の、特に、バルーン拡張式ステントを始めとする、動脈ステントまたは静脈ステント用の塗膜として有用であろうことが考えられる。ある実施形態では、本発明の化合物を、移植可能な医療装置に結合してもよく、あるいは移植可能な装置の表面に受動的に吸着させてもよい。他のある実施形態では、本発明の化合物を、たとえば、ステント、縫合糸、留置カテーテル、義歯などのような手術装置、医療装置移植片内に、あるいはこれらによって放出するように含有させて製剤化してもよい。たとえば、抗増殖性活性および抗炎症活性を有する薬物は、ステント塗膜として評価され、再狭窄を予防する見込みがあることを示してきた(たとえば、Presbitero P.ら「Drug eluting ステントs do they make the difference?」,Minerva Cardioangiol,2002,50(5):431−442;Ruygrok P.N.ら,「Rapamycin in cardiovascular medicine」,Intern.Med.J.,2003,33(3):103−109;およびMarx S.O.ら,「Bench to bedside:the development of rapamycin and its application to ステント restenosis」,Circulation,2001,104(8):852−855を参照のこと。これらの参考文献はそれぞれ、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)。したがって、いかなる特定の理論にしばられるものではないが、出願人は、抗増殖性効果を有する本発明の化合物を、ステント塗膜としておよび/またはステント薬物送達装置内で、とりわけ、狭窄の再発の予防または狭窄の再発率の減少のために、使用できることを提案する。
好適な塗膜および塗布された移植可能な装置の一般的製造は、米国特許第6,099,562号;第5,886,026号;および第5,304,121号明細書に記載されている。塗膜は、普通、生体適合性ポリマー材料、たとえば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸、エチレンビニルアセテート、およびこれらの混合物である。塗膜は、場合によっては、さらにフルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質、またはこれらの組合せの好適なトップコートにより被覆され、制御された組成物の放出特性を付与してもよい。狭窄の再発を防ぐためのステント塗膜および/または局所ステント薬物送達に関する、様々な組成物および方法が当該分野では高知である(たとえば、米国特許第6,517,889号;第6,273,913号;第6,258,121号;第6,251,136号;第6,248,127号;第6,231,600号;第6,203,551号;第6,153,252号;第6,071,305号;第5,891,507号;第5,837,313号明細書、および米国特許出願公開公報第US2001/0027340号を参照。これらはそれぞれ、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)。例えば、ステントは、ステントをポリマー−薬物溶液に浸漬する、またはステントにそのような溶液をスプレーすることによって、ポリマー−薬物複合物が塗布されてもよい。ある実施形態では、移植可能な装置用の好適な材料として生体適合性および非毒性材料が挙げられ、ニッケル−チタン合金、スチールのような金属、または生体適合性ポリマー、ヒドロゲル、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート共重合体などから選択してもよい。ある実施形態では、本発明の化合物を、動脈または静脈に挿入するために、ステントに塗布し、バルーン血管形成術をフォローする。
【0238】
また、本発明の化合物またはその医薬的に許容し得る組成物を、移植可能な医療装置、たとえば、プロテアーゼ、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテルを塗布するための組成物に導入してもよい。したがって、別の態様では、本発明は、移植可能な装置を塗布する組成物であって、先に一般的に、および本明細書のクラスおよびサブクラスで記載した本発明の化合物と、前記移植可能な装置への塗布に適した担体とを含む組成物も含む。さらに別の態様では、本発明は、先に一般的に、および本明細書のクラスおよびサブクラスで記載した本発明の化合物と、前記移植可能な装置への塗布に適した担体とを含む組成物で塗布された移植可能な装置を含む。
【0239】
本発明の他の態様では、体内流路の内腔を拡張する方法であって、ステントをこの流路に挿入することを含み、このステントは一般的に管状構造を有し、この構造の表面は、前記流路が拡張されるように、本発明の化合物または組成物で塗布され(あるいは放出するように構成され)ている方法が提供される。ある実施形態では、胆管、消化管、食道、気管/気管支、尿道および/または血管の障害物を排出するために体内の流路の内腔を拡張する。
【0240】
ステントを使用して、胆管、消化管、食道、気管/気管支、尿道および/または血管の障害物を排出する方法は、当該分野で公知である。当業者であれば、本発明の実施において、どのようにしてこれらの方法を適応させるかはわかるであろう。たとえば、指針を、米国特許出願公開公報第2003/0004209号、段落[0146]〜[0155]に見出すことができ、これらの段落は、ここで、参照として本明細書に組み込まれる。
【0241】
本発明の別の態様は、生体試料または患者において、多剤耐性細胞の成長を阻止する方法であって、式Iの化合物またはこの化合物を含む組成物を患者に投与する、またはこれを生体試料に接触させることを含む方法に関する。
【0242】
さらに、本発明は、本発明の化合物の医薬的に許容し得る誘導体、およびこれらの化合物、その医薬組成物、あるいはこれらのどちらかと1種以上の追加の治療薬とを組合わせて使用し、対象を治療する方法を提供する。
【0243】
本発明の別の態様は、患者の増殖障害に関連する疾患または状態の重篤度を処置するまたは軽減する方法であって、式Iの化合物またはこの化合物を含む組成物を、患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0244】
本発明の方法によれば、癌および/または細胞過剰増殖に関連する障害の治療に有効な任意の投与量および投与経路を用いて、この化合物および組成物を投与してもよいことは理解されるであろう。たとえば、本発明の化合物を癌の治療のために使用する場合、本明細書で使用される表現「有効量」は、細胞増殖を阻害するのに十分な薬剤の量を言い、あるいは癌の効果を減少させるのに十分な量を言う。必要とする正確な量は、種、年齢および対象の全身状態、疾患の重篤度、特定の抗癌剤、その投与モードなどにより、対象によって変化する。
【0245】
本発明の化合物は、投与が簡単で投与量が均一な単位投与剤形の形で製剤化するのが好ましい。本明細書で使用される表現「単位投与剤形」は、治療すべき患者に適正な治療薬の物理的な分離ユニットを言う。しかし、本発明の化合物および組成物の毎日の総使用量は、正常な医学的判断の範囲内で、担当の医者によって決定されるであろうことは理解されるであろう。任意の特定の患者または病原体に特定の治療に有効な用量レベルは、治療されるべき障害および障害の重篤度を始めとする種々の要因、すなわち、使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、全身的健康状態、性別、食事; 使用される特定の化合物の投与期間、投与経路および排出速度;治療の期間;使用される特定の化合物と組合わせてあるいは同時に使用される薬物;および薬剤業界で周知のこのような要因(たとえば、Goodman and Gilman’s,「The Pharmacological Basis of Therapeutics」, Tenth Edition,A.Gilman,J.HardmanおよびL.Limbird,編,McGraw−Hill Press,155−173,2001を参照。これはその全体が参照として本明細書に組み込まれる)に依存する。
【0246】
本発明の別の態様は、生体試料または患者のヒストンデアセチラーゼ活性を阻害する方法であって、本発明の化合物またはこの化合物を含む組成物を患者に投与する、またはこれを生体試料に接触させることを含む方法に関する。
【0247】
さらに、適正な医薬的に許容し得る担体と所望の投与量で製剤化した後、本発明の医薬組成物を、治療すべき感染の重篤度に応じて、ヒトまたは他の動物に、経口的に、直腸から、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(粉末剤、軟膏剤、クリームまたはドロップとして)、口腔内に、または口腔または鼻スプレーとして投与することができる。ある実施形態では、本発明の化合物を、所望の治療効果を得るために、1日あたり対象の体重の約0.001mg/1kg〜約50mg/kg、約0.01mg/kg〜約25mg/kg、あるいは約0.1mg/kg〜約10mg/kgの投与量レベルで、1日に1回以上投与することができる。0.001mg/kgより少ない投与量または50mg/kgを超える投与量(たとえば、50〜100mg/kg)を対象に投与することができることも理解されるであろう。ある実施形態では、化合物を経口または非経口投与する。
【0248】
治療キット
他の実施形態では、本発明は、本発明に従って、前記方法を有利におよび効果的に実施するためのキットに関する。この医薬パックまたはキットは、一般的に、本発明の医薬組成物の1種以上の成分が充填された1個以上の容器を含む。そのようなキットは、本発明の化合物の局所送達に特に適している。場合によっては、そのような容器(複数を含む)に、医薬製品の製造、使用または販売を取り締まる政府機関によって規定されたフォームで書かれた通知書を付けることができ、この通知書によって、ヒトへの投与のための製造、使用または販売に関する機関による承認が反映される。
【0249】
等価物
以下に代表的な実施例が続くが、これらは本発明の説明を助けるためのものであり、本発明の範囲を限定するものではなく、またそのように解釈すべきではない。実際、本明細書で示し、記載したものに加え、本発明の種々の変形およびそれらの多くのさらなる実施形態は、以下に記載する例および本明細書に列挙した科学文献および特許文献の参考文献を含む本発明の全体から当業者には明らかになるであろう。さらに、別の記載がない限り、本明細書で列挙したそれぞれの参考文献の全内容は、技術の現状の説明を助けるために、参照として本明細書に組み込まれたものであることも理解すべきである。以下の例は、種々の実施形態およびその等価物において、本発明の実施に適用できる重要な追加の情報、例示および指針を含む。
【0250】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の実施例を考慮することにより、さらに理解されるであろう。この実施例は、本発明のある特定の実施形態を説明するためのものであり、請求項によって規定される発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0251】
本発明の化合物およびその製造は、これらの化合物を製造または使用する方法のいくつかを説明する実施例によって、さらに理解することができる。しかし、これらの実施例は本発明を限定しないことは理解されるであろう。現在知られているあるいはさらに開発される本発明の変形は、本明細書および後に続く請求項に記載された本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0252】
合成方法の一般的説明
本明細書に列挙される種々の参考文献は、本明細書に記載される本発明の化合物または関連する中間体に類似の化合物の製造に関する有益な背景情報、および関心のあるそのような化合物の製造、用途および投与に関する情報を提供する。
【0253】
さらに、実施する者は、種々の代表的な化合物およびその中間体に関する本明細書で提供される特定の指針および例示に指示される。
【0254】
本発明の化合物およびそれらの製造は、これらの化合物を製造または使用する方法のいくつかを説明する実施例によって、さらに理解することができる。しかし、これらの実施例は本発明を限定しないことは理解されるであろう。現在知られているあるいはさらに開発される本発明の変形は、本明細書および後に続く請求項に記載された本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0255】
本発明によれば、本発明の化合物またはそれらを含有する組成物を製造または調製するために、任意の利用可能な技術を使用することができる。たとえば、以下に詳細に検討する、種々の組合せ技術、並列合成および/または固相合成方法を使用してもよい。それに代え、あるいは追加的に、当該分野で公知の種々の溶液相合成方法を使用して、本発明の化合物を製造してもよい。
【0256】
以下に記載するように、本明細書に記載する方法に従って、種々の本発明の化合物を合成できることは理解されるであろう。これらの化合物の製造において使用される出発物質および試薬は、Aldrich Chemical社(Milwaukee,WI)、Bachem(Torrance,CA)、Sigma(St.Louis,MO)のような市販業者から入手し得るか、あるいは、Fieser and Fieser1991,「Reagents for Organic Synthesis」,第1〜17巻,John Wiley and Sons,New York,NY,1991;Rodd1989「Chemistry of Carbon Componds」,第1〜5巻および付録,Elsevier Science Publishers,1989;「Organic Reactions」,第1〜40巻,John Wiley and Sons,New York,NY,1991;2001年3月,「Advanced Organic Chemistry」,第5編.John Wiley and Sons,New York,NY;およびLarock1990,「Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations」,第2編.VCH Publishersのような参考文献に記載の処置に倣い、当業者に周知の方法によって製造する。これらのスキームは、本発明の化合物を製造することができるいくつかの方法の単なる例示的なものであり、これらのスキームに対して種々の変形ができ、およびこの開示に対し関心を持つ当業者には種々の変形が示唆されるであろう。
【0257】
出発物質、中間体および本発明の化合物は、ろ過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを始めとする従来の技術を使用して単離および精製してもよい。これらを、物理定数およびスペクトルデータを含む従来の方法を使用して特徴付けてもよい。
【0258】
代表的化合物の合成
別の記載がない限り、出発物質は、市販されているか、または当該分野に適度に精通した者による実験室合成によって簡単に入手できるものである。本明細書に一般的にあるいは、そのクラスまたはサブクラスにおいて記載した化合物の合成に関する処理および一般的指針を以下に記載する。
【0259】
実施例1:HDAC阻害剤として使用されるSAHPの合成
【0260】
【化145】
以下に、SAHP、SAHAのエステル含有類縁体(図12に示す)を記載する。
【0261】
3.86g(24.2mmol)のO−塩酸ベンジルヒドロキシルアミンおよび13mL(75mmol)のジイソプロピルエチルアミンを、100mLの塩化メチレンに溶解し、0℃に冷却した。5.00g(24.2mmol)の8−クロロ−8−オキソオクタン酸メチルを1OmLの塩化メチレンに溶解し、これを反応混合物にゆっくり加えた。反応混合物を0℃で1時間攪拌し、室温に温めた。さらに12時間攪拌した後、300mLの0.5NのHClを加えた。有機層を分離し、食塩水および飽和重炭酸塩で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、有機溶剤を減圧除去し、粗生成物をシリカ(塩化メチレン/メタノール12:1,rf=0.7)で生成し、所望の化合物1を白色固体(6.3g,89%)として得た。
【0262】
6.3g(21.5mmol)のメチルエステル1を、200mLのメタノールに溶解し、次いで50mLの2NのLiOHを加えた。反応混合物を、1時間還流加熱し、室温に冷却した。100mLの1NのHClおよび200mLの水を加えた後、反応混合物を150mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を減圧除去し、純粋なカルボン酸2を定量収率で白色固体として得た。
【0263】
140mgのカルボン酸2(5mmol)、56.5mgのフェノール(6mmol)および113mgのジシクロヘキシルカルボジイミド(5.5mmol)を混合し、次いで、10mLの塩化メチレンおよび30mgの4−ジメチルアミノピリジンを加えた。反応混合物を、2時間攪拌し、粗生成物をシリカカラムに供し、次いでヘキサン/酢酸エチル(10−100%酢酸エチル)で溶出した。所望のフェノールエステル3を、収率87%(155mg)で白色固体として得た。
【0264】
80mgのフェノールエステル3(0.225mmol)を、メタノールに溶解した。触媒量の木炭上のパラジウム(10%)を加え、水素を反応混合物にバブリングした。1時間後、出発物質は、TLCで検出されなかった。反応混合物をセライトによりろ過し、溶剤を減圧除去し、遊離のヒドロキサム酸塩SAHPを定量収率(59mg)で褐色がかった固体として得た。LCMSおよびNMRで判定し、粗生成物にはいかなる不純物も見当たらなかった。
【0265】
実施例2:生物学的アッセイ処置
細胞培養および形質移入 TAg−Jurkat細胞を、5μgの組換えタンパク質の発現用FLAG−エピトープ−標的pBJ5構造体を用いて電気穿孔法によって、形質移入した。形質移入から48時間後、細胞を採取した。
【0266】
HDACアッセイ[3H]アセテート導入ヒストンを、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(Tong,ら.Nature1997,395,917−921.に記載するように)によって、酪酸塩処理HeLa細胞から単離した。免疫沈降物を、1.4μg(10,000dpm)のヒストンを用い、37℃で3時間培養した。酢酸エチル溶解性[3H]酢酸をカウントするシンチレーションによって(Taunton,ら,Science1996,272,408−411に記載するように)、HDAC活性を測定した。最終アッセイ濃度が1%DMSOとなるように、化合物をDMSOに加えた。IC50値を、Prism3.0ソフトウェアを使用して計算した。拘束を行わずに、プログラムのSigmoidal−Dose Responseパラメータを使用して、カーブフィッチングを行った。全てのデータポイントを2個獲得し、IC50値を少なくとも1つの別々の実験を複合した結果から計算する。
【0267】
実施例3:インビボ活性
種々の方法を利用することができるが、本発明の化合物のインビボ活性を測定する1つの代表的な方法は、所望の腫瘍塊をマウスに皮下的に移植する。次いで、腫瘍塊の移植後、腫瘍塊が約100mm3になった時、薬物治療を始める。次いで、先により詳しく記載した好適な組成物を、好ましくは生理食塩水を用いてマウスに投与し、また好ましくは、5、10および25mg/kgの用量で1日1回投与するが、他の用量を投与することができることは理解されるであろう。次いで、体重および腫瘍サイズを毎日測定し、最初の値に対するパーセント比をプロットする。移植された腫瘍が腫瘍化し、体重の減少がコントロールの体重減少の25〜30%を超え、腫瘍の重さが担癌マウスの体重の10%を超えまたは担癌マウスが死亡した時、該動物を、動物保護の指針に従って致死させる。
【0268】
実施例4:ヒストンデアセチラーゼの阻害により潜在的な抗原虫化合物を識別するアッセイ
米国特許第6,068,987号明細書に詳述されているように、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤は、抗原虫剤としても有用である。該特許には、ヒストンデアセチラーゼ活性および阻害のアッセイが記載され、種々の原虫疾患が記載されている。6,068,987の全内容は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0269】
【図1】ヒトおよびマウスの血漿中に見出されるエステラーゼの表を含む。
【図2】SAHA−SAHPのリバースプロドラッグ(リバースプロドラッグバージョン)の設計を示す。
【図3】PBS中のSAHAの(アミンによる)安定性をグラフで示す。
【図4】血清中のSAHAの安定性をグラフで示す。
【図5】PBS中のSAHP(アミドの代わりにエステル)の安定性を示す。
【図6】血清中のSAHPの分解を示す。SAHPは、15分未満で完全に分解する。
【図7】血清中のSAHPの分解のさらに詳しい実験を示す。SAHPは、2分未満でフェノールおよび対応カルボン酸の完全に分解される。
【図8】種々の条件下でのヒト血清によるSAHPの分解を示す。
【図9】組換えパラオキソナーゼによるSAHPの分解を示す。
【図10】RPMI培地で10%FBSを使用したSAHPの分解を示す。
【図11】リシンアセチル化に対するSAHA対SAHPの効果を示す。
【図12】マウスモデルに関し、オリーブ油/アセトン形成におけるSAHPの安定性を示す。
【図13】SAHPを生成するための代表的な合成スキームである。
【図14】インターロイキン−7は、T細胞発生における成長因子、特にガンマ−デルタサブセットである。ケラチノサイトでIL−7を過剰発現するトランスジェニックマウスは、Thomas KupperおよびBenjamin Richの研究所で、組織特異的ケラチン−14プロモーター要素を使用して発生された。これらのマウスは、ヒト皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)に、肉眼的および組織学的に類似する特徴的なリンパ増殖性皮膚疾患を発現すると報告されている。関連皮膚から誘導された変体リンパ球を、エクスビボで培養し、同系(非トランスジーニー(non−trans genie))マウスに注射した。14日後、これらのマウスは、同質のリンパ増殖性疾患を発症した。5匹のマウスのうち2匹のコホートは、局所、毎日スベロイルヒドロキサム酸フェニルエステル(SAHP、SHAPEとしても知られる)対ビヒクルコントロールの予測試験に含めた。治療から14日後、マウスを殺処分し、組織学的検査のために治療した領域を切断した。SHAPE処置マウスでは、ヘマトキシリン−エオシン染色により、処置窓の中で、処置リンパ腫の浸潤が著しく減少しているのが確認された。ビヒクルコントロールマウスでは、細胞障害反応を示さなかった。
【図15】アセチル化ヒストンをビヒクル処置コントロールと比較するため、免疫組織化学染色を用いて評価した時のSAHP処置の薬力学的効果を示す。SAHP処理マウスにおいて、AcH3K18染色により、化合物処理の周縁部で過剰アセチル化ヒストン染色が確認され、薬物反応の領域では核染色はなかった。ビヒクルコントロールマウスは、ヒストン過剰アセチル化の増加は示さなかった。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この発明は、米国特許法119(e)の下、2006年2月14日に出願された米国仮特許出願USSN60/773,172(これは、参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
特定の生物学的機能に作用する小さな有機分子を識別することは、生物学および医学の両方に強い影響を与える試みである。そのような分子は、治療薬および生物学的機能のプローブとして有用である。しかし、小分子が結合する生体分子の機能を変更するために、この小分子を使用できる、遺伝生物学の新たな分野の一例では、これらの分子が、化学的なタンパク質ノックアウトとして作用することによって、シグナル伝達経路を解明するのに有用で、それによって、タンパク質機能の欠損を起こしていた(Schreiberら,J.Am.Chem.Soc,1990,112,5583;Mitchison,Chem.and Biol.,1994,1,3)。さらに、これらの小分子と特定の生物学的標的との相互作用および特定の生物学的機能に影響を与える能力のため、これらは、治療法の開発のための候補としての役割も果たし得る。小分子の重要なクラスの1つ、自然から得られる小分子である天然物は、生物学および医学での開発において、明らかに重要な役割を果たしてきており、医薬的な指標、医薬品(Newmanら,Nat.Prod.Rep. 2000,17,215−234)、および細胞生物学を研究するための強力な試薬(Schreiber,S.L.Chem.and Eng.News1992年(10月26日),22−32)として役立ってきた。
【0003】
どの小分子が生物学的標的と相互作用するのかを予期することは難しく、また自然界で発見される小分子を効率的に入手し、合成することは難しいことが多いので、真剣な努力が、数多くのライブラリーとも言われる小さな有機化合物、しばしば「天然物様」ライブラリーと言われるものの作成に向けられてきた。これらのライブラリーは、次に、関心のある特定の生物学的標的に対し感度のよいスクリーンに連結され、活性分子が識別される。
【0004】
近年注目されている生物学的標的の1つは、ヒストンデアセチラーゼである(たとえば、癌治療用のヒストンデアセチラーゼの阻害剤の用途に関する検討:非特許文献1;非特許文献2を参照のこと)。リシン残基のアセチル化および脱アセチル化によるタンパク質の翻訳後修飾は、それらの細胞機能の調整に重要な役割を果たす。HDACは、ヒストンタンパク質およびその他の転写調整因子のN−アセチル−リシン残基の脱アセチル化によって遺伝子発現を調整する亜鉛加水分解酵素である(非特許文献3)。HDACは、細胞の形状および分化を制御する細胞経路に関与し、HDAC阻害剤は、他の難治性癌の治療に効果的であることが示されてきた(非特許文献4)。Znを補助因子として使用する11個のヒトHDACが特徴付けられている(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11)。これらの酵素は、3つの関連するクラス(クラスI、IIおよびIII)に分けられる。NADを補助因子として使用する追加の7個のHDACが識別されている。今まで、2つのクラスまたはこのファミリーの個々のメンバーのどちらかを選択的に標的とする小分子は知られていない((たとえば、オルソローグ−選択的HDAC阻害剤は報告されている:(a)Meinkeら.J.Med.Chem.2000,14,4919−4922;(b)Meinkeら.Curr.Med.Chem.2001,8,211−235)。
【非特許文献1】Marksら.Nature Reviews Cancer(2001)1,194
【非特許文献2】Johnstoneら.Nature Reviews Drug Discovery(2002)1,287
【非特許文献3】Hassigら.Curr.Opin.Chem.Biol.(1997)1,300−308
【非特許文献4】Warrellら.J.Natl.Cancer Inst.(1998)90,1621−1625
【非特許文献5】Tauntonら.Science(1996)272,408−411
【非特許文献6】Yangら.J.Biol.Chem.(1997)272,28001−28007
【非特許文献7】Grozingerら.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1999)96,4868−4873
【非特許文献8】Kaoら.Genes Dev.(2000)14,55−66
【非特許文献9】Huら.J.Biol.Chem.(2000)275,15254−15264
【非特許文献10】Zhouら.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(2001)98,10572−10577
【非特許文献11】Venterら.Science(2001)291,1304−1351
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、新規なヒストンデアセチラーゼ阻害剤、ならびにこれらの化合物を製造する方法および使用する方法を提供する。本発明のHDAC阻害剤は、エステラーゼ−感受性エステル結合を含み、これによって、化合物が、たとえば血流中において、エステラーゼに接触した場合、この化合物は不活性化される。この化合物は、特に、皮膚T細胞リンパ腫、神経線維腫症、乾癬、脱毛、皮膚炎、脱毛および皮膚色素沈着のような皮膚疾患の治療に有用である。本発明の化合物を、臨床的に活性な患者の皮膚に局所投与する。一度化合物が体内に吸収されると、この化合物を2個以上の生物学的に不活性なフラグメントに切断するエステラーゼによって、素早く不活性化される。したがって、高い局所濃度(たとえば、皮膚では)が可能になり、全身毒性は減少する。ある実施形態では、化合物は、血清に接触すると5分未満、好ましくは1分未満で完全に切断される。
【0006】
本発明は、本明細書中、一般的におよびサブクラスで記載されているように、一般式(I):
【0007】
【化37】
の新規な化合物およびその医薬組成物を提供し、この化合物は、ヒストンデアセチラーゼまたは他のデアセチラーゼの阻害剤として有用であり、したがって、増殖性疾患の治療に有用である。さらに、本発明の化合物は、生物学的機能を精査するツールとして有用である。ある実施形態では、本発明の化合物は、皮膚疾患の治療に特に有用である。エステル結合は、エステラーゼ、特に血液中に見出されるエステラーゼの開裂に対して感受性が高い。したがって、これらの化合物を、全身的作用の危険性なしに、皮膚T細胞リンパ腫、乾癬、脱毛、皮膚炎などのような皮膚疾患を治療するために局所投与することができる。一度化合物が血流中に入れば、この化合物は、血清エステラーゼによって素早く分解される。この化合物は、非毒性で生物学的に不活性な副生成物に分解されるのが好ましい。
【0008】
他の態様では、本発明は、患者または生体試料におけるヒストンデアセチラーゼ活性または他のデアセチラーゼ活性を阻害する方法であって、阻害に有効な量の本発明の化合物を患者に投与することを含む方法、または生体試料を阻害に有効な量の本発明の化合物に接触させることを含む方法を提供する。ある実施形態では、この化合物は、特定のHDAC(たとえば、HDACl、HDAC2、HDAC3、HDAC4、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC8、HDAC9、HDAC10、HDAC11)またはHDACのクラス(たとえば、クラスI、IIまたはIII)を特異的に阻害する。ある実施形態では、この化合物は、HDAC6を特異的に阻害する。さらに別の態様では、本発明は、ヒストンデアセチラーゼ活性がある皮膚疾患を治療する方法であって、治療に有効な量の本発明の化合物を、それを必要とす対象に投与することを含む方法を提供する。化合物は、当該分野で公知のどのような方法で投与してもよい。ある実施形態では、この化合物を局所投与(たとえば、クリーム、ローション、軟膏剤、スプレー、ジェル、パウダーなどで)する。ある実施形態では、この化合物を皮膚に投与する。他のある実施形態では、この化合物を髪に投与する。この化合物を、静脈内投与または経口投与してもよい。また、本発明は、この化合物と医薬的に許容し得る賦形剤とを組合わせた、この化合物の医薬組成物も提供する。
【0009】
さらに他の態様では、本発明は、本発明の化合物およびその中間体を製造する方法を提供する。
【0010】
定義
本発明の化合物および特異的官能基の定義についても、以下に詳細に記載する。本発明の目的に関し、化学元素は、元素の周期表、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第75編、内表紙に従って記載し、および特異的官能基は、一般的に、そこに記載されているように定義する。さらに、有機化学の一般的原理、ならびに特定の官能基および反応性は、Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999に記載され、この文献の全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書に記載する合成方法で、種々の保護基を利用することを当業者は理解するであろう。本明細書で使用される用語「保護基」は、多官能性化合物において、反応が別の反応部位で選択的に起こりうるように、特定の官能基、たとえば、C、O、SまたはNを、一時的にブロックすることを意味する。好ましい実施形態では、保護基は選択的に高収率で反応し、計画している反応に対して安定な保護物質を与え、この保護基は、他の官能基を攻撃せず、簡単に入手し得る、好ましくは非毒性試薬によって、高収率で選択的に除去されなくてはならず、簡単に分離できる誘導体を形成し(より好ましくは、新しい立体形成中心を形成することなく)、追加の官能性は最小とし、反応部位がさらに増えることを回避する。本明細書で詳しく述べるように、酸素、イオウ、窒素および炭素を保護する基を利用してもよい。本明細書には、代表的な保護基が詳述されているが、本発明ではこれらの保護基に限定されるものではないことは理解されるであろう。むしろ、上記の判断基準を使用して、種々の等価の追加保護基を簡単に識別することができ、本発明の方法で利用することができる。さらに、種々の保護基が、Protective Groups in Organic Synthesis,第3編.Greene,T.W.およびWuts,P.G.,編集,John Wiley & Sons,New York:1999に記載され、この文献の全内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。さらに、種々の炭素保護基が、Myers,A.;Kung,D.W.;Zhong,B.;Movassaghi,M.;Kwon,S.J.Am.Chem.Soc.1999,121,8401−8402に記載され、この文献の全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0011】
本明細書に記載される化合物は、任意数の置換基または官能基で置換されてよいことは理解されるであろう。一般的に、用語「置換された」(用語「場合によっては」が付いていても付いていなくても)および本発明の式に含まれる置換基は、ある構造体中の水素ラジカルを、特定された置換基のラジカルで置き換えることを言う。任意の構造体において複数の位置が、特定の群から選択される複数の置換基で置換されている場合、これらの置換基は、全ての位置で、同じまたは異なっていてもよい。本明細書で使用される用語「置換された」は、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことを意図する。広い態様では、許容される置換基として、有機化合物の非環状および環状、分岐および非分岐状、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。本発明の目的に関し、窒素のようなヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満足する、本明細書に記載される有機化合物の水素置換基および/または許容される任意の置換基を有してもよい。さらに、本発明は、有機化合物の許容される置換基によるいかなる方法にも限定されるものではない。本発明で想定される置換基と可変部分との組合わせは、たとえば、癌(これに限定されない)を始めとする増殖性疾患の治療において有用な、安定した化合物を形成するものが好ましい。本明細書で使用される用語「安定な」は、好ましくは、製造できるくらい十分に安定性を有し、それを検出するのに十分な時間、完全性を保つ、好ましくは十分な時間本明細書に詳述する目的に有用であるくらいの完全性を保つ化合物を言う。
【0012】
本明細書で使用される用語「アシル」は、カルボニル含有官能基、たとえば、−C(=O)R’(式中、R’は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、(脂肪族)アリール、(ヘテロ脂肪族)アリール、ヘテロ脂肪族(アリール)またはヘテロ脂肪族(ヘテロアリール)部分であり、ここで、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールまたはヘテロアリール部分は、それぞれ、置換されまたは非置換であり、あるいは、置換された(たとえば、水素または脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、またはヘテロアリール部分)酸素または窒素を含有する官能基(たとえば、カルボン酸、エステルまたはアミド官能基を形成する)である。
【0013】
本明細書で使用される用語「脂肪族」は、飽和および不飽和の両方、直鎖(すなわち、非分岐状)または分岐状脂肪族炭化水素を含み、これらは、場合によっては、1個以上の官能基で置換されている。当業者が理解するように、ここで意図する「脂肪族」として、アルキル、アルケニル、アルキニル部分が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、本明細書で使用される用語「アルキル」には、直鎖および分岐状アルキル基が含まれる。類似の規定が、「アルケニル」、「アルキニル」などのような他の一般的名称に適用される。さらに、本明細書で使用される用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などは、置換された基および置換されていない基の両方を包含する。本明細書で使用されるある実施形態では、「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基(置換、非置換、分岐または非分岐状)を示すために使用される。
【0014】
ある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。他のある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに別の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜4個の炭素原子を含有する。したがって、例示的な脂肪族基として、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル部分などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、これらは、1個以上の置換基を有してもよい。アルケニル基として、たとえば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアルキニル基として、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用される用語「脂環式」は、脂肪族化合物と環式化合物との特性を組合わせた化合物を言うが、環式または多環式脂肪族炭化水素および架橋シクロアルキル化合物であって、場合によっては1個以上の官能基で置換されたものが挙げられるが、これらに限定されない。当業者が理解するように、「脂環式」は、本明細書では、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびシクロアルキニル部分を含むものであるが、これらに限定されない。これらは、場合によっては、1個以上の官能基で置換されている。したがって、例示的な脂環式基として、たとえば、シクロプロピル、−CH2−シクロプロピル、シクロブチル、−CH2−シクロブチル、シクロペンチル、−CH2−シクロペンチル−n、シクロヘキシル、−CH2−シクロヘキシル、シクロヘキセニルエチル、シクロヘキサニルエチル、ノルボルニル部分などが挙げられるが、これらに限定されない。なお、これらは、1個以上の置換基を有してもよい。
【0016】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」(または「アルキルオキシ」)、または「チオアルキル」は、先に定義したアルキル基であって、酸素原子またはイオウ原子を介して親分子部分に結合するものを言う。ある実施形態では、アルキル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。他のある実施形態では、アルキル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含有する、さらに別の実施形態では、アルキル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、アルキル基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。アルコキシの例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ,ネオペントキシおよびn−ヘキソキシが挙げられるが、これらに限定されない。チオアルキルの例として、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
用語「アルキルアミノ」は、構造:−NHR’(式中、R’は、本明細書で定義するアルキルである)で表される基を言う。用語「アミノアルキル」は、構造:NH2R’−(式中、R’は、本明細書で定義するアルキルである)で表される基を言う。ある実施形態では、アルキル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含有する、他のある実施形態では、アルキル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに別の実施形態では、アルキル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他のある実施形態では、アルキル基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。アルキルアミノの例として、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本発明化合物の前記脂肪族(およびその他)部分の置換基のいくつかの例として、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(O)Rx;−CO2(Rx);−C0N(Rx)2;−OC(O)Rx;−OCO2Rx;−OCON(RX)2;−N(RX)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx、(ここで、各Rxとして、独立して、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、先に記載しおよび本明細書に記載する脂肪族、ヘテロ脂肪族、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基は、いかなるものも、置換または非置換、分岐または非分岐状、環状または非環状であってもよく、先に記載しおよび本明細書に記載するアリールまたはヘテロアリール置換基のいかなるものも、置換されまたは非置換であってもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。
【0019】
一般的に、本明細書で使用される用語「芳香族部分」は、好ましくは3〜14個の炭素原子を有する安定な単環式または多環式の不飽和部分であって、それぞれ、置換されてもまたは非置換であってもよいものを言う。ある実施形態では、用語「芳香族部分」は、各環原子で環の平面に対し垂直なp軌道を有し、環内のpi電子の数が(4n+2)(ここで、nは整数)であるというヒュッケル則を満足する平面環を言う。芳香族性に関するこれらの基準の1つまたは全てを満足しない単環式または多環式、不飽和部分を、本明細書では、「非芳香族」と定義し、これには用語「脂環式」が包含される。
【0020】
一般的に、本明細書で使用される用語「ヘテロ芳香族部分」は、好ましくは3〜14個の炭素原子を有する安定な単環式または多環式、不飽和部分であって、各部分は置換されまたは非置換であってもよく、環の中に(すなわち、環炭素原子の代わりに)、O、SおよびNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有するものを言う。ある実施形態では、用語「ヘテロ芳香族部分」は、少なくとも1個のヘテロ原子を含み、各環原子で環の平面に対し垂直なp軌道を有し、環内のpi電子の数が(4n+2)(ここで、nは整数)であるというヒュッケル則を満足する平面環を言う。
【0021】
本明細書で定義する芳香族およびヘテロ芳香族部分は、アルキルまたはヘテロアルキル部分を介して結合してもよく、したがって、−(アルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)ヘテロ芳香族、および−(ヘテロアルキル)ヘテロ芳香族部分も含まれることは理解されるであろう。したがって、本明細書で使用される語句「芳香族またはヘテロ芳香族部分」および「芳香族、ヘテロ芳香族、−(アルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)へテロ芳香族および−(ヘテロアルキル)ヘテロ芳香族」は、互換性がある。置換基として、先に記載した任意の置換基、すなわち、脂肪族部分または他の部分に関して列挙した置換基であって、安定な化合物を形成するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用される用語「アリール」は、当該分野でのこの用語の一般的な意味と大きな違いはなく、少なくとも1個の芳香族環を含む不飽和環状部分を言う。ある実施形態では、「アリール」は、1個または2個の芳香族環を有する単環式または二環式炭素環構造を言い、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、当該分野でのこの用語の一般的な意味と大きな違いはなく、5〜10個の環原子を持ち、そのうちの1個の環原子は、S、OおよびNから選択される環状芳香族ラジカルを言い、0、1個または2個の環原子は、S、OおよびNから独立して選択される追加のヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素であり、ラジカルは、環原子のいずれかを介して分子の残りと結合する。たとえば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなどが挙げられる。
【0024】
アリールおよびヘテロアリール基(二環式アリール基を含む)は、非置換であっても置換されてもよく、置換は、1個以上の水素原子を1個以上の以下の部分で独立して置き換えることを含むことは理解されるであろう。この部分として、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(O)Rx;−CO2(Rx);−CON(RX)2;−OC(O)Rx;−OCO2Rx;−0C0N(Rx)2;−N(RX)2;−S(O)Rx;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(ここで、各Rxとして、独立して、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、先に記載しおよび本明細書に記載する脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基は、いかなるものも、置換または非置換、分岐または非分岐状、環状または非環状であってもよく、先に記載しおよび本明細書に記載する芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリールまたは−(アルキル)ヘテロアリール置換基のいかなるものも、置換されまたは非置換であってもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、任意の2個の隣接する基が一緒になって、4、5、6または7−員置換または非置換脂環式または複素環状部分を表してもよいことは理解されるであろう。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、具体的には、3〜7個、好ましくは3〜10個の炭素原子を有する基を言う。好適なシクロアルキルとして、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。このうち、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族または複素環式部分は、場合によっては、置換基で置換されてもよく、置換基として、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(O)Rx;−CO2(Rx);−CON(RX)2;−OC(O)Rx;−OCO2Rx;−0C0N(Rx)2;−N(RX)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(ここで、各Rxとして、独立して、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリールまたはヘテロアルキルヘテロアリールが、これらに限定されず、先に記載しおよび本明細書に記載する脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基は、いかなるものも、置換または非置換、分岐または非分岐状、環状または非環状であってもよく、先に記載しおよび本明細書に記載する芳香族、ヘテロ芳香族、アリールまたはヘテロアリール置換基のいかなるものも、置換されまたは非置換であってもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。
【0026】
本明細書で使用される用語「ヘテロ脂肪族」は、主鎖中の1個以上の炭素原子が、ヘテロ原子で置換されている脂肪族部分を言う。したがって、ヘテロ脂肪族基は、炭素原子の代わりに1個以上の酸素、イオウ、窒素、リンまたはケイ素原子を含有する脂肪族鎖を言う。ヘテロ脂肪族部分は、直鎖または分岐状でもよく、飽和または不飽和であってもよい。ある実施形態では、ヘテロ脂肪族部分は、1個以上の水素原子が1個以上の部分による独立した置き換えによって置換されてもよい。この部分として、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アルキルチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(O)Rx;−CO2(Rx);−C0N(Rx)2;−OC(O)Rx;−OCO2Rx;−0C0N(Rx)2;−N(RX)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(ここで、各Rxとして、独立して、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリールまたはヘテロアルキルヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、先に記載しおよび本明細書に記載する脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基はいずれも、置換または非置換、分岐または非分岐状、飽和または不飽和であってもよく、先に記載しおよび本明細書に記載する芳香族、ヘテロ芳香族、アリールまたはヘテロアリール置換基のいかなるものも、置換されまたは非置換であってもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。
【0027】
本明細書で使用される用語「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」または「複素環式」は、ヘテロ脂肪族化合物と環状化合物との特性を組合わせた化合物を言い、5〜16個の原子を有する飽和および不飽和、単環式または多環式の環構造であって、少なくとも1個の環原子が、O、SおよびNから選択されるヘテロ原子(ここで、窒素およびイオウのヘテロ原子は、場合によっては、酸化されてもよい)であり、環構造は、場合によっては、本明細書で定義する1個以上の官能基で置換されているものが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、用語「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」または「複素環式」は、非芳香族5−、6−または7員環または多環状基であって、少なくとも1個の環原子は、O、SおよびNから選択されるヘテロ原子(ここで、窒素およびイオウヘテロ原子は、場合によっては、酸化されてもよい)であるものを言い、酸素、イオウおよび窒素から独立して選択される1〜3個の間のヘテロ原子を有する縮合6員環を含む二環式または三環式基が挙げられ(これらに限定されない)、(i)各5員環は0〜2個の二重結合を有し、各6員環は0〜2個の二重結合を有し、各7員環は0〜3個の二重結合を有し、(ii)窒素およびイオウヘテロ原子は、場合によっては、酸化されてもよく、(iii)窒素ヘテロ原子は、場合によっては、四級化していてもよく、(iv)前記複素環式環のいずれも、アリールまたはヘテロアリール環に縮合してもよい。代表的な複素環として、フラニル、チオフラニル、ピラニル、ピロリル、チエニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、ジオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、ジチアゾリル、ジチアゾリジニル、テトラヒドロフリルのような複素環、およびそのベンゾ縮合誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、「置換された複素環、あるいはヘテロシクロアルキルまたは複素環式」基が本明細書で利用され、使用されるこの基は、先に定義した複素環、あるいはヘテロシクロアルキルまたは複素環式基であって、1、2または3個の水素原子の独立した置き換えによって置換されたものを言う。ここで、置き換えるものとして、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(O)Rx;−CO2(Rx);−CON(Rx)2;−OC(O)Rx;−OCO2Rx;−0C0N(Rx)2;−N(RX)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(ここで、各Rxとして、独立して、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリールまたはヘテロアルキルヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、先に記載しおよび本明細書に記載する脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基はいずれも、置換または非置換、分岐または非分岐状、飽和または不飽和であってもよく、先に記載しおよび本明細書に記載する芳香族、ヘテロ芳香族、アリールまたはヘテロアリール置換基のいかなるものも、置換されまたは非置換であってもよい)が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。
【0028】
さらに、前記および本明細書に記載する脂環式または複素環式部分のいかなるものも、これに縮合するアリールまたはヘテロアリール部分を含んでもよいことは理解されるであろう。一般的に適用される置換基の追加の例として、本明細書に記載される実施例に示される特定の実施形態が挙げられる。本明細書で使用される用語「ハロ」および「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を言う。
【0029】
本明細書で使用される用語「ハロ」および「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を言う。
【0030】
用語「ハロアルキル」は、先に定義したアルキル基であって、これに結合する1、2または3個のハロゲン原子を有するものを示し、クロロメチル、ブロモエチル、トリフルオロメチルなどが例示される。
【0031】
本明細書で使用される用語「アミノ」は、一級(−NH2)、二級(−NHRx)、三級(−NRxRy)または四級(−N+RxRyR2)アミン(式中、Rx、RyおよびRzは、独立して、本明細書で定義する脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分である)を言う。アミノ基の例として、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ジエチルアミノカルボニル、メチルエチルアミノ、イソプロピルアミノ、ピペリジノ、トリメチルアミノおよびプロピルアミノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書で使用される用語「アルキリデン」は、炭素原子および水素原子のみからなる置換または非置換、直鎖または分岐状の飽和二価ラジカルであって、1〜n個の炭素原子を有し、ラジカルの両端に自由原子価「−」を有するものを言う。
【0033】
本明細書で使用される用語「アルケニリデン」は、炭素原子および水素原子のみからなる置換または非置換、直鎖または分岐状の不飽和二価ラジカルであって、2〜n個の炭素原子を有し、ラジカルの両端に自由原子価「−」を有し、不飽和として二重結合のみが存在し、二重結合は鎖の最初の炭素と分子の残りとの間に存在し得るものを言う。
【0034】
本明細書で使用される用語「アルキニリデン」は、炭素原子および水素原子のみからなる置換または非置換、直鎖または分岐状の不飽和二価ラジカルであって、2〜n個の炭素原子を有し、ラジカルの両端に自由原子価「−」を有し、不飽和として三重結合のみが存在し、三重結合は鎖の最初の炭素と分子の残りとの間に存在し得るものを言う。
【0035】
別の記載がない限り、本明細書で使用される用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」、「アルキリデン」、「アルケニリデン」、−(アルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)ヘテロアリールなどは、置換および非置換、直鎖および分岐状の基を包含する。同様に、用語「脂肪族」、「ヘテロ脂肪族」などは、置換および非置換、飽和および不飽和、ならびに直鎖および分岐状の基を包含する。同様に、用語「シクロアルキル」、「複素環」、「複素環式」などは、置換および非置換、ならびに飽和および不飽和基を包含する。さらに、用語「シクロアルケニル」、「シクロアルキニル」、「ヘテロシクロアルケニル」、「ヘテロシクロアルキニル」、「芳香族」、「ヘテロ芳香族」、「アリール」、「ヘテロアリール」などは、置換および非置換基の両方を包含する。
【0036】
本明細書で使用される語句「医薬的に許容し得る誘導体」は、化合物、あるいは他の付加物または誘導体の医薬的に許容し得る塩、エステルまたはそのようなエステルの塩を示し、本明細書の他で記載するように、これを患者に投与すると、(直接または間接的に)化合物、あるいはその代謝物または残渣を生成し得るものを示す。したがって、医薬的に許容し得る誘導体として、とりわけ、プロドラッグが挙げられる。プロドラッグは、普通著しく減少した医薬活性を有する化合物の誘導体であって、追加の部分を含有し、これはインビボで除去されやすく、薬学的に活性な種として親分子を生成するものである。プロドラッグの例としてはエステルがあり、これは、インビボで切断され、関心のある化合物を生成する。種々の化合物のプロドラッグ、材料および親化合物を誘導体化してプロドラッグを作る方法は、公知であり、本発明に適用することができる。医薬的に許容し得る誘導体として、「リバースプロドラッグ」も含まれる。リバースプロドラッグは、吸収される時は、活性化ではなく不活性化している。たとえば、本明細書で検討するように、本発明のエステル含有化合物の多くは、生物活性があるが、エステラーゼ活性を持つある生理学的環境、たとえば、血液、リンパ液、血清、細胞外液などに接触するときは不活性化している。また、リバースプロドラッグおよびプロドラッグの生物活性は、化合物の感応性を付加することにより、変更されてもよく、これは、酵素によって触媒されてもよい。また、酵素触媒酸化および還元反応を始めとする酸化および還元反応も含まれる。代表的な医薬組成物および医薬的に許容し得る誘導体を、本明細書の以下でさらに詳しく検討する。
【0037】
本明細書で使用される用語「リンカー」は、関心のある化合物の一部を、この化合物の別の部分へ結合させるために利用される化学部分を言う。代表的なリンカーを本明細書に記載する。
【0038】
他で示されていない限り、以下に定義する用語は、以下の意味を持つ。
【0039】
「化合物」:本明細書で使用される用語「化合物」または「化学化合物」は、有機金属化合物、有機化合物、金属、遷移金属複合体、および小分子を含みうる。好ましいある実施形態では、ポリヌクレオチドは化合物の定義から除外される。他の好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドおよびペプチドは、化合物の定義から除外される。特に好ましい実施形態では、用語化合物は、小分子(たとえば、好ましくは、非ペプチド系および非オリゴマー系)を言い、ペプチド、ポリヌクレオチド、遷移金属複合体、金属および有機金属化合物を除外する。
【0040】
「小分子」:本明細書で使用される用語「小分子」は、実験室で合成され、あるいは自然界で発見される非ペプチド系、非オリゴマー系有機化合物を言う。本明細書で使用される小分子は、「天然物様」の化合物と言うことができるが、用語「小分子」は、「天然物様」化合物に限定されるものではない。むしろ、小分子は、数個の炭素−炭素結合を含有し、分子量は2000g/モル未満、好ましくは1500g/モル未満であることを特徴とするが、この特徴は、本発明の目的のために、限定されるものではない。自然界の「小分子」の例として、タキソール、ダイネマイシン、およびラパマイシンが挙げられるが、これらに限定されない。実験室で合成される「小分子」の例として、Tanら,(「Stereoselective Synthesis of over Two Million Compounds Having Structural Features Both Reminiscent of Natural Products and Compatible with Miniaturized Cell−Based Assays」J.Am.Chem.Soc.120:8565,1998;参照として本明細書に組み入れられる)に記載の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の好ましいある実施形態では、天然物様小分子が利用される。
【0041】
「天然物様化合物」:本明細書で使用される用語「天然物様化合物」は、複合天然物(進化によって選択されてきた)に類似の化合物を言う。通常、これらの化合物は、1個以上の立体中心、官能性の高密度および多様性、および1つの構造体における原子の広い範囲の選択性を有する。この点に関し、官能性の多様性は、2、3例を挙げると、化合物に存在する官能基のトポロジー、電荷、大きさ、親水性、疎水性および反応性が様々であると定義することができる。本明細書で使用される用語「官能性の高密度」は、好ましくは3個以上の潜在的なまたは多様な活性官能基を含有する任意の分子を定義するために好ましく使用し得る。これらの構造的特徴は、さらに、本発明の化合物を、官能性において複合天然物に類似したものとし、特に、化合物は特定の生物学的レセプターと特異的に相互作用し、したがって官能的にも天然物様でありえる。
【0042】
「金属キレーター」:本明細書で使用される用語「金属キレーター」は、金属イオンとともに複合体(すなわち、「キレート」)を形成し得る任意の分子または部分を言う。ある代表的な実施形態では、金属キレーターは、溶液中で金属イオンに「結合」し、化学的/酵素的反応において、使用できなくする任意の分子または部分を言う。ある実施形態では、この溶液は、生理的条件下で水性環境を含む。金属イオンの例として、Ca2+、Fe3+、Zn2+、Na+などをが挙げられる、これらに限定されない。ある実施形態では、金属キレーターはZn2+に結合するが、これに限定されない。ある実施形態では、金属イオンを析出する部分の分子は、金属キレーターであるとは考えられない。
【0043】
本明細書で使用される用語「生体試料」として、細胞培養物またはその抽出物;動物(たとえば、哺乳類)またはそのその抽出物から得られる生検物質;および血液、唾液、尿、便、精液、涙液または他の体液、あるいはそれらの抽出物が挙げられるが、限定ではない。たとえば、用語「生体試料」は、単細胞微生物(たとえば、細菌および酵母)および多細胞生物(たとえば、植物および脊椎動物または哺乳類のような動物、特に健康なまたは健康に見えるヒト対象または診断または検査すべき状態に冒されているヒト患者を含む、任意の生体からの排出または分泌によって得られる、任意の固体または液体試料を言う。生体試料は、組織、細胞、細胞ペレット、細胞抽出物、細胞ホモジネートまたは細胞分画のような固体物質、あるいは切除生体または生体液を始めとし、いかなる形でもよい。生体液は、いかなる部位(たとえば、血液、唾液または口腔細菌を含有する口腔洗浄液)、涙液、血漿、血清、尿、胆汁、脊髄液、羊水、腹腔水および胸水、またはこれらからの細胞、眼房水またはガラス体液、または任意の分泌液)、漏出液、浸出液(たとえば、膿ようまたは他の感染または炎症部位から得た流体)、または関節から得た流体(たとえば、正常な間接またはリウマチ性関節炎、骨関節炎、通風または敗血性関節炎のような疾患を患っている関節)から得てもよい。生体試料は、どのような器官または組織(生検標本または部検資料を含む)からも得ることができ、細胞(一次細胞であろうと培養細胞であろうと)あるいは任意の細胞、組織または器官によって調整された培地を含んでもよい。また、生体試料としては、組織学的目的のために取られた凍結切片のような組織切片も挙げられる。また、生体試料としては、細胞または組織均質化物の部分的または完全な分別作用により生成するタンパク質、脂質、炭水化物および核酸を含有する生体分子の混合物も挙げられる。生体試料はヒト対象から取るのが好ましいが、いかなる動物、植物、細菌、ウィルス、酵母、その他から得てもよい。本明細書で使用される用語動物は、任意の発達段階におけるヒトおよび非ヒト動物、たとえば、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、虫類および単細胞類を言う。細胞培養および生組織試料も複数の動物であると考えられる。ある代表的な実施形態では、非ヒト動物は、哺乳類(たとえば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、またはブタ)である。動物は、形質転換動物またはヒトクローンであってもよい。所望の場合、生体試料を、予備分離法を始めとする予備加工に供してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
(発明の詳細な説明)
先に検討したように、新規なヒストンデアセチラーゼ阻害剤を開発する必要性が残っている。本発明は、一般式(I)で表される新規な化合物、およびその合成方法を提供し、この化合物は、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤として有用であり、したがって、増殖性疾患、特に、皮膚および/または毛髪に関連する増殖性のまたは他の障害を治療するのに有用である。特に、本発明の化合物は、エステル結合を含む。このエステル結合は、好ましくは、エステラーゼ開裂に対して感受性があり、したがって、化合物をエステラーゼと接触させると、この化合物は不活性化する。
【0045】
本発明の化合物
先に検討したように、本発明は、癌およびこれに関連する他の増殖性状態を治療するのに有用な、新規なクラスの化合物を提供する。ある実施形態では、本発明の化合物は、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤として有用であり、したがって、抗癌剤として有用であり、腫瘍細胞に死をもたらすことによって、または腫瘍細胞の成長を阻害することによって、癌の治療において有用である。ある代表的な実施形態では、本発明の抗癌剤は、癌または他の増殖性疾患、たとえば2、3例を挙げれば、乳癌、子宮頸癌、結腸および直腸癌、白血病、肺癌、黒色腫、多発骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、すい臓癌、前立腺癌および胃癌(これらに限定されない)の治療において有用である。ある実施形態では、本発明の抗癌剤は、白血病細胞および黒色腫細胞に対して活性があり、したがって、白血病(たとえば、骨髄性、リンパ性、骨髄球性およびリンパ芽球性白血病)および亜性黒色腫の治療に有用である。ある実施形態では、本発明の化合物は、皮膚T細胞リンパ腫に対して活性がある。さらに、先におよび例示に記載したように、本発明の化合物は、原虫感染の治療においても有用である。ある代表的な実施形態では、本発明の化合物は、ヒストン脱アセチル化活性から起こる障害に有用である。ある実施形態では、この化合物は、皮膚疾患に有用である。本発明の化合物を使用して治療できる代表的な皮膚疾患として、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、皮膚癌(たとえば、扁平上皮癌、基底細胞癌、亜性黒色腫など)、乾癬、脱毛、皮膚炎、神経線維腫症、皮膚色素過剰に伴う障害などが挙げられる。
【0046】
本発明の化合物は、先に規定し、本明細書に記載した化合物を含み、一部、本明細書の他で開示する種々のクラス、サブクラスおよび種によって説明する。
【0047】
一般的に、本発明は、一般構造式(I):
【0048】
【化38】
で表される化合物、ならびにその医薬的に許容し得る塩および誘導体を提供する。
(式中、
Aは、ヒストンデアセチラーゼを阻害する官能基を含み;
Lは、リンカー部分であり;
Arは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール脂肪族またはヘテロアリール脂肪族部分;置換または非置換環状または複素環状部分;置換または非置換、分岐または非分岐状環式脂肪族または複素環式脂肪族部分である。
【0049】
ある実施形態では、Aは金属キレート官能基を含む。たとえば、AはZn2+キレート基を含む。ある実施形態では、Aは、
【0050】
【化39】
からなる群から選択される官能基を含む。ある実施形態では、Aはヒドロキサム酸(
【0051】
【化40】
)またはその塩を含む。他の実施形態では、Aは式:
【0052】
【化41】
を含む。ある特定の実施形態では、Aは式:
【0053】
【化42】
を含む。他の実施形態では、Aはカルボン酸(−CO2H)を含む。他の実施形態では、Aはo−アミノアニリド(
【0054】
【化43】
)を含む。他の実施形態では、Aはo−ヒドロキシアニリド(
【0055】
【化44】
)を含む。さらに他のある実施形態では、Aはチオール(−SH)を含む。
【0056】
ある実施形態では、Arはアリール脂肪族である。他の実施形態では、Arはヘテロアリール脂肪族である。ある実施形態では、Arは置換または非置換アリール部分である。ある実施形態では、Arは単環式、置換または非置換アリール部分、好ましくは5員または6員アリール部分である。他の実施形態では、Arは二環式、置換または非置換アリール部分である。さらに別の実施形態では、Arは三環式、置換または非置換アリール部分である。ある実施形態では、Arは置換または非置換フェニル部分である。ある実施形態では、Arは非置換のフェニル部分である。他の実施形態では、Arは置換されたフェニル部分である。ある実施形態では、Arはモノ置換フェニル部分である。ある特定の実施形態では、Arはオルソ置換されたAr部分である。ある特定の実施形態では、Arはメタ置換されたAr部分である。ある特定の実施形態では、Arはパラ置換されたAr部分である。ある実施形態では、Arは二置換されたフェニル部分である。ある実施形態では、Arは三置換されたフェニル部分である。ある実施形態では、Arは四置換されたフェニル部分である。ある実施形態では、Arは置換または非置換の環式または複素環式のものである。
【0057】
ある実施形態では、Arは置換または非置換ヘテロアリール部分である。ある実施形態では、Arは単環式の置換または非置換ヘテロアリール部分、好ましくは5員または6員ヘテロアリール部分である。他の実施形態では、Arは二環式の置換または非置換ヘテロアリール部分である。さらに別の実施形態では、Arは三環式の置換または非置換ヘテロアリール部分である。ある実施形態では、ArはN、SまたはOを含む。ある実施形態では、Arは少なくとも1個のNを含む。ある実施形態では、Arは少なくとも2個のNを含む。
【0058】
ある実施形態では、Arは、
【0059】
【化45】
(式中、
nは、1〜5の整数(両端を含む);好ましくは1〜3(両端を含む);より好ましくは1または2であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状 脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHRA;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。ある実施形態では、Arは
【0060】
【化46】
である。他の実施形態では、Arは
【0061】
【化47】
である。さらに他のある実施形態では、Arは
【0062】
【化48】
である。ある実施形態では、R1は−N(RA)2(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である。ある実施形態では、R1は−ORA(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である。ある特定の実施形態では、R1は−OMeである。ある実施形態では、R1は、分岐または非分岐状アシルである。ある実施形態では、R1は、−O(=O)ORAである。ある実施形態では、R1は−C(=O)ORA(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である。ある実施形態では、R1は−C(=O)NH2である。ある実施形態では、R1は−NHC(=O)RAである。ある実施形態では、R1は−NHC(=O)RA(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である。ある実施形態では、R1はハロゲンである。ある実施形態では、R1はC1−C6アルキルである。
【0063】
ある特定の実施形態では、Arは、式:
【0064】
【化49】
で表される置換されたフェニル部分である。
【0065】
ある実施形態では、Arは、以下
【0066】
【化50】
の1つから選択される。
(式中、
nは、1〜4の整数(両端を含む);好ましくは1〜3(両端を含む);より好ましくは1または2であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHRA;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり、ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。
【0067】
ある実施形態では、Arは、以下
【0068】
【化51】
の1つから選択される。前記二環式環構造のいかなるものも、先に定義したR1置換基の7個までで置換されてもよい。
【0069】
ある実施形態では、Lは、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状脂肪族部分;置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族部分;置換または非置換アリール部分;置換または非置換ヘテロアリール部分である。ある実施形態では、Lは、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状脂肪族部分である。ある実施形態では、Lは、C1−C20アルキリデン、好ましくはC1〜C12アルキリデン、より好ましくはC4−C7アルキリデンである。ある実施形態では、Lは、C1−C20アルケニリデン、好ましくはC1〜C12アルケニリデン、より好ましくはC4−C7アルケニリデンである。ある実施形態では、Lは、C1−C20アルキニリデン、好ましくはC1〜C12アルキニリデン、より好ましくはC4−C7アルキニリデンである。ある実施形態では、Lは、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族部分である。ある実施形態では、Lは、環がアリール、ヘテロアリール、非芳香族炭素環または非芳香族複素環である環構造を含む。さらに別の実施形態では、Lは、置換または非置換ヘテロアリール部分を含む。ある特定の実施形態では、Lは、フェニル環を含む。ある実施形態では、Lは複数のフェニル環(たとえば、1、2、3、または4個のフェニル環)を含む。
【0070】
ある態様では、Lは
【0071】
【化52】
(式中、nは、1〜4の整数(両端を含む);好ましくは1〜3(両端を含む);より好ましくは1または2であり;R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHRA;−NHC(O)RA;または−C(RA)3;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。ある実施形態では、Lは
【0072】
【化53】
である。
【0073】
ある実施形態では、Lは
【0074】
【化54】
である。
【0075】
ある実施形態では、Lは、非分岐状。非置換、非環状アルキル鎖である。ある実施形態では、Lは、
【0076】
【化55】
である。他の実施形態では、Lは
【0077】
【化56】
である。他のある実施形態では、Lは
【0078】
【化57】
である。他の実施形態では、Lは
【0079】
【化58】
である。さらに他のある実施形態では、Lは
【0080】
【化59】
である。
【0081】
ある実施形態では、Lは、置換された、非環状脂肪族鎖である。ある実施形態では、Lは
【0082】
【化60】
である。
【0083】
ある実施形態では、Lは、非分岐状、非置換、非環状ヘテロ脂肪族鎖である。ある特定の実施形態では、Lは
【0084】
【化61】
(式中、nは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)であり;mは、0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)である)である。ある特定の実施形態では、Lは
【0085】
【化62】
(式中、nは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)であり;mは、0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)である)である。ある特定の実施形態では、Lは
【0086】
【化63】
(式中、nは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)であり;mは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)であり;R’は水素、C1−C6脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリールまたはアシルである)である。ある特定の実施形態では、Lは、
【0087】
【化64】
(式中、nは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)であり;mは0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む)である)である。
【0088】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia):
【0089】
【化65】
で示される構造式で表される。
(式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは0〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;Arは先に定義した通りである。)ある実施形態では、nは5である。他の実施形態では、nは6である。さらに別の実施形態では、nは7である。
【0090】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ib):
【0091】
【化66】
で示される構造式で表される。
(式中、nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは0〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;mは、1〜5の整数(両端を含む);好ましくはmは1、2または3であり;R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)ある実施形態では、R1は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロソ、アシルまたはC1−C6アルキルである。ある実施形態では、R1はアリールである。ある実施形態では、R1は、多環式アリール部分である。他の実施形態では、R1はヘテロアリール。ある実施形態では、R1は炭素環である。他の実施形態では、R1は複素環である。ある実施形態では、R1は、場合によっては置換されている1,3−ジオキサン環を含む。ある実施形態では、nは5である。他の実施形態では、nは6である。さらに別の実施形態では、nは7である。ある実施形態では、mは0である。他の実施形態では、mは1である。さらに別の実施形態では、mは2である。
【0092】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ic):
【0093】
【化67】
で表される。
(式中、nは0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは0〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)ある実施形態では、R1は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロソ、アシルまたはC1−C6アルキルである。ある実施形態では、R1はアリールである。他の実施形態では、R1はヘテロアリールである。ある実施形態では、R1は炭素環である。他の実施形態では、R1は複素環である。ある実施形態では、nは5である。他の実施形態では、nは6である。さらに別の実施形態では、nは7である。
【0094】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Id):
【0095】
【化68】
で表される。
(式中、nは、1〜5の整数(両端を含む);好ましくは1〜3;より好ましくは1また2であり;R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)ある実施形態では、R1は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロソ、アシルまたはC1−C6アルキルである。)ある実施形態では、R1はアリールである。他の実施形態では、R1はヘテロアリールである。ある実施形態では、R1は炭素環である。他の実施形態では、R1は複素環である。ある実施形態では、nは1である。他の実施形態では、nは2である。
【0096】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は式(Ie):
【0097】
【化69】
(式中、Rlはさきに定義した通りである)で表される。
【0098】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(If):
【0099】
【化70】
で示される立体化学および構造式を有する。
(式中、A、LおよびArは、先に定義した通りであり;
nは、0〜10の整数(両端を含む);好ましくは0〜5(両端を含む);さらにより好ましくは0、1、2または3である。)ある実施形態では、Arはフェニルである。
【0100】
ある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ig):
【0101】
【化71】
で表される。
(式中、
AおよびLは先に定義した通りであり;
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRc;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)
ある実施形態では、R2は水素である。他の実施形態では、R2はヒドロキシルまたは保護されたヒドロキシル基である。ある実施形態では、R2はアルコキシである。さらに他のある実施形態では、R2は低級アルキル、アルケニルまたはアルキニル基である。ある実施形態では、R2は−CH2−X(RB)n(式中、Xは、O、S、NまたはC、好ましくはO、SまたはNであり;nは1、2または3である)である。ある実施形態では、R2は−CH2−ORBである。他の実施形態では、R2は−CH2−SRBである。さらに他のある実施形態では、R2は−CH2−RBである。他の実施形態では、R2は−CH2−N(RB)2である。さらに別の実施形態では、R2は−CH2−NHRBである。本発明のある実施形態では、RBは、
【0102】
【化72】
【0103】
【化73】
の1つである。
(式中、
mおよびpは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は1〜6の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、WはO、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)本発明のある実施形態では、RBは、
【0104】
【化74】
の1つである。
(式中、mは1〜4の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここでRW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環式またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)
ある実施形態では、−X(RB)nは、構造:
【0105】
【化75】
【0106】
【化76】
の1つで表される。
【0107】
ある実施形態では、R2は
【0108】
【化77】
(式中、XはNであり、Yは、NH、SまたはOである)である。他の実施形態では、R2は
【0109】
【化78】
である。
【0110】
ある実施形態では、R3は置換または非置換アリールである。ある実施形態では、R3は置換または非置換フェニルである。ある特定の実施形態では、R3はモノ置換フェニルである。ある実施形態では、R3はパラ置換フェニルである。ある実施形態では、R3は
【0111】
【化79】
(式中、R3’は、水素、保護基、固形支持体単位、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である)である。ある実施形態では、R3は
【0112】
【化80】
である。他の実施形態では、R3は、置換または非置換ヘテロアリールである。
【0113】
ある実施形態では、式(Ig)の立体化学式は、以下:
【0114】
【化81】
のように定義される。
【0115】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ih):
【0116】
【化82】
で表される。
(式中、
AおよびLは、先に定義した通りであり;
nは、0〜10の整数(両端を含む);好ましくは1〜6(両端を含む);より好ましくは1〜3(両端を含む);さらにより好ましくは0、1、2または3であり;
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(Rc)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)
ある実施形態では、R2は水素である。他の実施形態では、R2は、ヒドロキシルまたは保護されたヒドロキシル基である。ある実施形態では、R2はアルコキシである。さらに他のある実施形態では、R2は、低級アルキル、アルケニルまたはアルキニル基である。ある実施形態では、R2は、−CH2−X(RB)n(式中、Xは、O、S、NまたはC、好ましくはO、SまたはNであり;nは、1、2または3である)である。ある実施形態では、R2は−CH2−ORBである。他の実施形態では、R2は−CH2−SRBである。さらに他のある実施形態では、R2は−CH2−RBである。他の実施形態では、R2は−CH2−N(RB)2である。さらに別の実施形態では、R2は−CH2−NHRBである。本発明のある実施形態では、RBは、
【0117】
【化83】
【0118】
【化84】
の1つである。
(式中、mおよびpは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は、1〜6の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)本発明のある実施形態では、RBは、構造:
【0119】
【化85】
の1つで表される。
(式中、mは、1〜4の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここで、RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)
ある実施形態では、−X(RB)nは、構造:
【0120】
【化86】
【0121】
【化87】
の1つで表される。
【0122】
ある実施例では、R2は、
【0123】
【化88】
(式中、XはNであり、YはNH、SまたはOである)である。他の実施形態では、R2は、
【0124】
【化89】
である。
【0125】
ある実施形態では、R3は、置換または非置換アリールである。ある実施形態では、R3は、置換または非置換フェニルである。ある特定の実施形態では、R3はモノ置換フェニルである。ある実施形態では、R3はパラ置換フェニルである。ある実施形態では、R3は、
【0126】
【化90】
(式中、R3’は、水素、保護基、固形支持体単位、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である)である。ある実施形態では、R3は
【0127】
【化91】
である。他の実施形態では、R3は、置換または非置換ヘテロアリールである。
【0128】
ある実施形態では、式(Ih)の立体化学式は、以下:
【0129】
【化92】
のように定義される。
【0130】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ii):
【0131】
【化93】
で示される構造を有する。
(式中、
AおよびLは先に定義した通りであり;
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2R8;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)
ある実施形態では、R2は水素である。他の実施形態では、R2は、ヒドロキシルまたは保護されたヒドロキシル基である。ある実施形態では、R2はアルコキシである。さらに他のある実施形態では、R2は、低級アルキル、アルケニルまたはアルキニル基である。ある実施形態では、R2は、−CH2−X(RB)n(式中、Xは、O、S、NまたはC、好ましくはO、SまたはNであり;nは、1、2または3である)である。ある実施形態では、R2は−CH2−ORBである。他の実施形態では、R2は−CH2−SRBである。さらに他のある実施形態では、R2は−CH2−RBである。他の実施形態では、R2は−CH2−N(RB)2である。さらに別の実施形態では、R2は−CH2−NHRBである。本発明のある実施形態では、RBは、
【0132】
【化94】
【0133】
【化95】
の1つである。
(式中、mおよびpは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は、1〜6の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここで、RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)本発明のある実施形態では、RBは、構造:
【0134】
【化96】
の1つで表される。
(式中、mは、1〜4の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(O=)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここで、RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)
ある実施形態では、−X(RB)nは、構造:
【0135】
【化97】
【0136】
【化98】
の1つで表される。
【0137】
ある実施形態では、R2は、
【0138】
【化99】
(式中、XはNであり、YはNH、SまたはOである)である。他の実施形態では、R2は、
【0139】
【化100】
である。
【0140】
ある実施形態では、R3は、置換または非置換アリールである。ある実施形態では、R3は、置換または非置換フェニルである。ある特定の実施形態では、R3はモノ置換フェニルである。ある実施形態では、R3はパラ置換フェニルである。ある実施形態では、R3は、
【0141】
【化101】
(式中、R3’は、水素、保護基、固形支持体単位、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である)である。ある実施形態では、R3は
【0142】
【化102】
である。他の実施形態では、R3は、置換または非置換ヘテロアリールである。
【0143】
ある実施形態では、式(Ii)の立体化学式は、以下:
【0144】
【化103】
のように定義される。
【0145】
本発明のある実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ij):
【0146】
【化104】
で示される立体化学および構造式を有する。
(式中、
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(Rc)3であり;ここで各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である。)
ある実施形態では、R2は水素である。他の実施形態では、R2は、ヒドロキシルまたは保護されたヒドロキシル基である。ある実施形態では、R2はアルコキシである。さらに他のある実施形態では、R2は、低級アルキル、アルケニルまたはアルキニル基である。ある実施形態では、R2は、−CH2−X(RB)n(式中、Xは、O、S、NまたはC、好ましくはO、SまたはNであり;nは、1、2または3である)である。ある実施形態では、R2は−CH2−ORBである。他の実施形態では、R2は−CH2−SRBである。さらに他のある実施形態では、R2は−CH2−RBである。他の実施形態では、R2は−CH2−N(RB)2である。さらに別の実施形態では、R2は−CH2−NHRBである。本発明のある実施形態では、RBは
【0147】
【化105】
【0148】
【化106】
の1つである。
(式中、mおよびpは、それぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は1〜6の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここでRW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)本発明のある実施形態では、RBは、構造:
【0149】
【化107】
の1つである。
(式中、mは、1〜4の整数であり;R2Cは、水素、低級アルキルまたは窒素保護基であり;各R2Bは、独立して、水素、ハロゲン、−CNまたはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)であり;ここでRW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成する)である。)
ある実施形態では、−X(RB)nは、構造:
【0150】
【化108】
【0151】
【化109】
の1つである。
【0152】
ある実施形態では、R2は
【0153】
【化110】
(式中、XはNであり、YはNH、SまたはOである)である。他の実施形態では、R2は
【0154】
【化111】
である。
【0155】
ある実施形態では、R3は、置換または非置換アリールである。ある実施形態では、R3は、置換または非置換フェニルである。ある特定の実施形態では、R3はモノ置換フェニルである。ある実施形態では、R3はパラ置換フェニルである。ある実施形態では、R3は、
【0156】
【化112】
(式中、R3’は、水素、保護基、固形支持体単位、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリール、または−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である)である。ある実施形態では、R3は
【0157】
【化113】
である。他の実施形態では、R3は、置換または非置換ヘテロアリールである。
【0158】
特別に関心のある別のクラスの化合物として、前記および本明細書中のR3が置換されたフェニル部分であるサブクラスに記載された本発明の化合物が挙げられ、この化合物は(II):
【0159】
【化114】
で表される。
(式中、
L、A、XおよびRBは、先に定義した通りであり;
nは、0〜5の整数(両端を含む);好ましくは1〜3;より好ましくは2であり;
Zは、水素、−(CH2)qORZ、−(CH2)qSRZ、−(CH2)qN(RZ)2、−C(=O)RZ、−C(=O)N(RZ)2、またはアルキル、ヘテロアルキルアリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分であり、ここで、qは0〜4であり、各RZは、独立して、水素、保護基、固形支持体単位、またはアルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である。)ある実施形態では、RZは水素である。他の実施形態では、RZは、C1−C6アルキルである。ある実施形態では、RZは酸素保護基である。
【0160】
別のクラスの化合物として、式(II)(式中、Zは−CH2OR2である)の化合物が挙げられ、この化合物は、一般構造式(Im):
【0161】
【化115】
(式中、RB、RZ、X、L、nおよびAは、先に一般的に、および本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて定義した通りである)で表される。ある実施形態では、XはSである。他の実施形態では、XはOである。
【0162】
特別に関心のあるさらに別のクラスの化合物として、式(Ii)(式中、XはSである)の化合物が挙げられ、この化合物は、一般構造式(In):
【0163】
【化116】
(式中、
RB、X、L、nおよびAは、先に定義した通りであり;
Rzは、先に一般的に、および本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて定義した通りである)で表される。
【0164】
特別の関心のあるさらに別のクラスの化合物として、式(Ii)(式中、Xは−NR2Aである)の化合物が挙げられ、この化合物は、一般構造式(Io):
【0165】
【化117】
(式中、
RB、RZ、X、L、nおよびAは、先に一般的に、および本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて定義した通りである)で表される。
【0166】
特別に関心のあるさらに別のクラスの化合物として、式(Ii)(式中、XはOである)の化合物が挙げられ、この化合物は、一般構造式(Ip):
【0167】
【化118】
(式中、
RB、RZ、X、L、nおよびAは、先に一般的に、および本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて定義した通りである)で表される。
【0168】
本発明の代表的な化合物を示す。
【0169】
【化119】
前記化合物の中には、1個以上の不斉中心を含むことができ、したがって、種々の異性体形態、たとえば、立体異性体および/またはジアステレオマーが存在し得るものもある。したがって、本発明の化合物およびその医薬組成物は、独立した鏡像異性体、ジアステレオマーまたは幾何異性体の形態であってもよく、また立体異性体の混合物の形態であってもよい。ある実施形態では、本発明の化合物は、純粋な化合物である。他のある実施形態では、立体異性体またはジアステレオマーの混合物が提供される。
【0170】
さらに、本明細書に記載されたある化合物は、別の記載がない限り、ZまたはE異性体のいずれかとして存在し得る1個以上の二重結合を有していてもよい。さらに、本発明は、他の異性体を実質的に含まない単独の異性体としての、あるいは種々の異性体の混合物、たとえば、立体異性体のラセミ混合物としての化合物も包含する。前記化合物それ自体の他に、本発明は、これらの化合物の医薬的に許容し得る誘導体、および1種以上の本発明の化合物と1種以上の医薬的に許容し得る賦形剤または添加剤とを含む組成物も包含する。
【0171】
本発明の化合物は、異なる条件下で、化合物の結晶化によって調製してもよく、本発明の一部を形成する化合物の多形体として、あるいはそれらの組合わせとして存在してもよい。たとえば、再結晶用の異なる溶剤または異なる溶剤混合物を使用して;異なる温度での結晶化を行うことによって;または結晶中に非常に速い冷却速度から非常に遅い冷却速度まで変化させ、冷却の種々のモードを使用することによって、異なる多形体を識別および/または調製してもよい。また、多形体を、化合物を加熱あるいは溶融し、次いで徐々にあるいは早急に冷却することによって得てもよい。多形体の存在は、固体プルーブNMRスペクトル観測、IRスペクトル観測、示差走査熱量測定、粉末X線ディフラクトグラムおよび/または他の技術によって測定できる。したがって、本発明は、本発明の化合物、これらの誘導体、これらの互変異性体、これらの立体異性体、これらの多形体、これらの医薬的に許容し得る塩、これらの医薬的に許容し得る溶媒和物、およびこれらを含有する医薬的に許容し得る組成物も包含する。
【0172】
合成の概要
本発明の二量体、多量体およびポリマー化合物を製造するために使用される種々のモノマー化合物の合成は、当該分野で公知である。これらの公表されている合成法は、本発明の化合物を製造するために利用することができる。本発明の化合物を製造するための代表的な合成法は、米国特許第6,960,685号明細書;米国特許第6,897,220号明細書;米国特許第6,541,661号明細書;米国特許第6,512,123号明細書;米国特許第6,495,719号明細書;米国特許第2006/0020131号公開公報;米国特許第2004/087631公開公報;米国特許第2004/12752号公開公報;米国特許第2004/0072849号公開公報;米国特許第2003/0187027号公開公報;国際公開第2005/018578号パンフレット;国際公開第2005/007091号パンフレット;国際公開第2005/007091号パンフレット;国際公開第2005/018578号パンフレット;国際公開第2004/046104号パンフレット;国際公開第2002/89782号パンフレット;国際公開第に記載されている。これらの公報はそれぞれ、参照として、本明細書に組み入れられる。多くの場合、アミド部分はエステル部分に変更されて、本発明の化合物を製造した。
【0173】
SAHPを製造するための代表的な合成スキームを図13に示す。任意の本発明のエステラーゼ感受性化合物を、この教示および先に参考にした当該分野での教示に基づいて製造することができることは当業者であればわかるであろう。
【0174】
本発明のさらに別の態様では、本発明の化合物を製造するために有用な中間体の製造方法を提供する。
【0175】
本発明の一態様では、ある化合物のコア構造を合成する方法であって、
構造:
【0176】
【化120】
を有するエポキシアルコールを提供する工程と、
このエポキシアルコールを、構造:R2XHを有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【0177】
【化121】
を有するジオールを生成する工程と、
このジオールを、構造:R3CH(OMe)2を有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【0178】
【化122】
を有する骨格を生成する工程とを含む方法が提供される。
(式中、R1は、水素、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
R2は、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
Xは、−O−、−C(R2A)2−、−S−または−NR2A−であり、ここで、R2Aは、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;または
2個以上のR2およびR2Aが一緒になり、脂環式または複素環状部分、あるいはアリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
R3は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
Rzは、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり、これらは、場合によっては、固形支持体に結合する。)
ある代表的な実施形態では、エポキシアルコールは、構造:
【0179】
【化123】
を有し、ジオールは、構造:
【0180】
【化124】
を有し、そしてコア骨格は、構造:
【0181】
【化125】
を有する。
【0182】
他のある代表的な実施形態では、エポキシアルコールは、構造:
【0183】
【化126】
を有し、ジオールは、構造:
【0184】
【化127】
を有し、コア骨格は、構造:
【0185】
【化128】
を有している。
【0186】
ある実施形態では、R3は、以下の構造:
【0187】
【化129】
を有し、先に記載した方法により、構造:
【0188】
【化130】
のものを生成する。
【0189】
本発明の別の態様では、本発明のある化合物のコア構造を合成する方法であって、
構造:
【0190】
【化131】
を有するエポキシアルコールを提供する工程と、
このエポキシアルコールを、構造:R2XHを有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【0191】
【化132】
を有するジオールを生成する工程と、
このジオールを、構造:
【0192】
【化133】
(式中、R4Cは、窒素保護基である)を有する試薬を用い、好適な条件下で処理し、構造:
【0193】
【化134】
を有するアミンを生成する工程と、
このアミンを、構造:
【0194】
【化135】
を有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【0195】
【化136】
を有する骨格を生成する工程とを含む方法が提供される。
(式中、
R1は、水素、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
R2は、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
Xは、−O−、−C(R2A)2−、−S−または−NR2A−であり、ここで、R2Aは、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;または
2個以上のR2およびR2Aが一緒になって、脂環式または複素環状部分、あるいはアリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
rは、0または1であり;
sは、2〜5の整数であり;
wは、0〜4の整数であり;
R4Aは、金属キレーターを含み;
各R4Dは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、CN、NO2またはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)である)であり;ここで、RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、あるいはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分であり、
あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環式またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、あるいは置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
RZは、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり、これらは場合によっては固形支持体に結合する。)
ある代表的な実施形態では、エポキシアルコールは、構造:
【0196】
【化137】
を有し、ジオールは、構造:
【0197】
【化138】
を有し、アミンは、構造:
【0198】
【化139】
を有し、コア骨格は、構造:
【0199】
【化140】
を有する。
【0200】
ある代表的な実施形態では、エポキシアルコールは、構造:
【0201】
【化141】
を有し、ジオールは、構造:
【0202】
【化142】
を有し、アミンは、構造:
【0203】
【化143】
を有し、コア骨格は、構造:
【0204】
【化144】
を有する。
【0205】
ある実施形態では、先に記載した方法は溶液相で行なわれる。他のある実施形態では、前記方法は固相で行われる。ある実施形態では、合成方法には高処理技術が適し、あるいはコンビナトリアル化学で通常使用されている技術が適している。
【0206】
医薬組成物
先に検討したように、本発明は、抗腫瘍および抗増殖性活性を有する新規な化合物を提供し、したがって、本発明の化合物は、癌(たとえば、皮膚T細胞リンパ腫)の治療に有用である。良性増殖性疾患も、本発明の化合物を使用して治療できる。また、この化合物は、アセチル化活性の阻害(たとえば、HDAC阻害)によって利益が得られる、他の疾患または状態の治療にも有用である。ある実施形態では、この化合物は、HDAC阻害(特にHDAC6阻害)がhsp90を介するアンドロゲンシグナル伝達をブロックするという発見に基づく、脱毛の治療に有用である。HDAC阻害は、エストロゲンシグナル伝達を阻害することも示している。ある実施形態では、この化合物は、HDAC阻害による皮膚の色素過剰症のブロックでも有用である。
【0207】
したがって、本発明の別の態様では、本明細書で記載された化合物のいずれか1項(またはそのプロドラッグ、医薬的に許容し得る塩または他の医薬的に許容し得る誘導体)を含み、場合によっては医薬的に許容し得る担体を含む医薬組成物を提供する。ある実施形態では、これらの組成物は、場合によってはさらに、1種以上の追加の治療薬を含む。あるいは、本発明の化合物を、1種以上の他の治療薬の投与と組合わせて、それを必要とする患者に投与してもよい。たとえば、本発明の化合物を含む医薬組成物と連帯投与するあるいはこの組成物に含有される追加の治療薬としては、認証された化学治療薬でもよく、あるいは最終的に、脱毛、皮膚色素過剰、原虫感染および/または細胞過剰増殖に関連する任意の障害の治療の承認を得た、食品医薬局で承認された数多くの薬剤の1つであってもよい。他のある実施形態では、追加の治療薬は、本明細書でさらに詳しく検討する抗癌剤である。他のある実施形態では、本発明の組成物は、原虫感染の治療に有用である。
【0208】
本発明のある化合物は、治療に関し遊離した形態、あるいは、好適な場合は、その医薬的に許容し得る誘導体として存在し得ることは理解されるであろう。本発明によれば、医薬的に許容し得る誘導体として、医薬的に許容し得る塩、エステル、そのようなエステルの塩、あるいはそれを必要とする患者への投与に際し、直接または関節的に与えうる、プロドラッグまたは本発明の化合物の他の付加物または誘導体、本明細書の他で記載した化合物、またはその代謝物または残渣が挙げられるが、これらに限定されない。
【0209】
本明細書で使用される用語「医薬的に許容し得る塩」は、正常な医学的判断の範囲内で、毒性、刺激、アレルギー反応などを起こすことなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触での使用に適し、妥当な効果/リスク比に見合った塩を言う。アミン、カルボン酸および他のタイプの化合物の医薬的に許容し得る塩が当該分野で周知である。たとえば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,66:1−19(1977)に医薬的に許容し得る塩を詳細に記載し、この文献は参照として本明細書に組み込まれる。塩は、本発明の化合物の最終分離または精製の間に製造することができ、あるいは別に遊離塩基または遊離酸官能基と、以下に一般的に記載する好適な試薬と反応させることによって製造することができる。たとえば、遊離塩基官能基は好適な酸と反応することができる。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、その好適な医薬的に許容し得る塩として、アルカリ金属塩、たとえば、ナトリウムまたはカリウム塩;およびアルカリ土類金属塩、たとえば、カルシウムまたはマグネシウム塩のような金属塩が挙げられる。医薬的に許容し得る非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸のような無機酸、あるいは酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸のような有機酸と形成される、あるいはイオン交換のような当該分野で使用される他の方法を使用して形成される、アミノ基の塩である。他の医薬的に許容し得る塩として、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘルニ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩として、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらに、好適な場合は、医薬的に許容し得る塩として、ハライド、水酸化物、カルボキシレート、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩のような対イオンを使用して形成された、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンカチオンが挙げられる。
【0210】
さらに、本明細書で使用される用語「医薬的に許容し得るエステル」は、インビボで加水分解するエステルを言い、ヒトの体内で簡単に分解し、親化合物またはその塩を残すものが挙げられる。好適なエステル基として、たとえば、医薬的に許容し得る脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカン二酸から誘導されるものがあり、ここで、アルキル部分またはアルケニル部分はそれぞれ、6個以下の炭素原子を有するのが有利である。特定のエステルの例として、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルコハク酸エステルが挙げられる。
【0211】
さらに、本明細書で使用される用語「医薬的に許容し得るプロドラッグ」は、正常な医学的判断の範囲内で、毒性、刺激、アレルギー反応などを起こすことなく、ヒトと下等動物の組織との間で起こる接触での使用に適し、妥当な効果/リスク比に見合い、意図する用途に効果的である本発明の化合物のプロドラッグを言い、可能な場合は、本発明の化合物の双性イオン形態も含む。用語「プロドラッグ」は、たとえば、血液中での加水分解によるように、インビボで素早く変換し、前記式で表される親化合物となる化合物を言う。T.HiguchiおよびV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,the A.C.S. Symposium Seriesの第14巻、およびEdward B.Roche編,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に完全な検討がなされ、両文献は参照として本明細書に組み込まれる。
【0212】
先に記載したように、本発明の医薬組成物は、追加として、医薬的に許容し得る担体を含んでもよく、本明細書で使用されるような、所望される特定の投薬形態に適するいかなる全ての溶剤、希釈剤または他の液体ビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固形結合剤、潤滑剤などが挙げられる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16編,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)に、医薬組成物の製剤化に使用される種々の担体およびその製造のための公知の方法が開示されている。任意の従来の担体媒体が、望ましくない生物学的効果を生み出す、その他、この医薬組成物のほかの成分(複数を含む)を有害な方法で妨害するような、本発明の化合物と相溶性がない場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であるとされる。医薬的に許容し得る担体として役立つ物質のいくつかの例として、糖類、たとえば、ラクトース、グルコースおよびショ糖;デンブン、たとえば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体、たとえば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;パウダー状トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、たとえば、ココアバターおよび坐剤ワックス;油類、たとえば、ピーナッツ油、綿実油;サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油;グリコール、たとえば、プロピレングリコール;エステル、たとえば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;カンテン;緩衝剤、たとえば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱性物質除去水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、および他の非毒性相溶性潤滑剤、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、さらに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、風味剤および芳香剤、防腐剤および酸化防止剤(これらに限定されない)を、製剤化の判断に従って、この組成物に存在させることができる。
【0213】
経口投与用の液体投薬形態として、医薬的に許容し得る乳液、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられるが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体投薬形態は、当該分野で普段使用される不活性希釈剤、たとえば、水または他の溶剤、可溶化剤および乳化剤、たとえば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物には、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、風味剤および芳香剤のような添加剤が含まれてもよい。
【0214】
注射製剤、たとえば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、公知の技術に従って、好適な分散化剤、湿潤剤および懸濁化剤を使用して製剤化してもよい。滅菌注射製剤は、非毒性非経口許容希釈剤または溶剤中の滅菌注射用溶液、懸濁液または乳液、たとえば、1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用してもよい許容し得るビヒクルおよび溶剤では、水、リンゲル液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌不揮発性油は、溶剤または懸濁媒として、従来から使用されている。この目的に関しては、任意のブランドの不揮発性油を使用することができ、合成モノグリセリドおよびジグリセリドが挙げられる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸も注射液の製造に使用される。
【0215】
注射用製剤は、たとえば、細菌保持フィルターを使用するろ過、あるいは滅菌水、または使用前に他の滅菌注射用媒体に溶解または分散できる、滅菌固体組成物形態中に滅菌剤を導入することによって、滅菌することができる。
【0216】
薬効を引き伸ばすために、しばしば、皮下注射または筋肉内注射からの薬の吸収を遅くすることが望まれる。これは、低水溶性の、液体懸濁液、あるいは結晶性またはあもるアモルファス物質を使用することによって達成できる。薬の吸収速度は溶解速度に依存し、したがって、結晶サイズおよび結晶形に依存するかもしれない。あるいは、非経口投与された薬剤形態の吸収の遅延は、油性ビヒクルに薬を溶解または分散させることによって達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチドポリグリコリドのような生分解性ポリマー中で、薬のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって製造する。ポリマーに対する薬の比、および使用される特定のポリマーの性質により、薬の放出を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、(ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。また、デポー注射用製剤は、薬を体組織と相溶性のあるリポソームまたはマイクロエマルジョン内に閉じ込めることによっても製造される。
【0217】
直腸経路または膣経路投与用の組成物は、本発明の化合物と、周辺温度では固体であるが体温では液体となり、したがって直腸または膣の腔で溶融し、活性化合物を放出する、好適な非刺激性賦形剤または担体、たとえば、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスと混合することによって製造することができる座剤が好ましい。
【0218】
経口投与用の固体投薬形態として、カプセル剤、錠剤、ピル、粉末剤および果粒剤が挙げられる。この固体投薬形態では、活性化合物を、不活性な医薬的に許容し得る賦形剤または担体の少なくとも1種と混合する。この賦形剤または担体として、クエン酸ナトリウムまたはリン酸ジカルシウムおよび/またはa)充填剤または増量剤、たとえば、デンブン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、b)結合剤、たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖およびアカシア、c)保湿剤、たとえば、グリセロール、d)崩解剤、たとえば、アガー−アガー、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンブン、アルギン酸、ある種のシリケートおよび炭酸ナトリウム、e)溶液化防止剤、たとえば、パラフィン、f)吸収促進剤、たとえば、第四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、たとえば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアリン酸塩,h)吸収剤、たとえば、カオリンおよびベントナイトクレイ、およびi)潤滑剤、たとえば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物が挙げられる。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、投薬形態は緩衝剤も含んでよい。
【0219】
賦形剤としてラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤において、充填剤として類似のタイプの固形組成物を使用してもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピルおよび果粒剤の固形投薬形態は、腸溶性コーティングや医薬製剤技術において周知のほかの膜のような、膜およびシェルを伴って製造することができる。これらには、場合によっては、不透明化剤が含有されてもよく、腸管のある部分のみあるいはそこに優先的に、場合によっては徐放的に、活性成分(複数を含む)を放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例として、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。そのような賦形剤としてラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用する軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤として、類似のタイプの固形組成物も使用してもよい。
【0220】
活性化合物は、先に記載した賦形剤1種以上とともに、マイクロカプセル形態中に存在することもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピル、および果粒剤の固形投薬形態は、腸溶性コーティング、放出調節膜および他の医薬製剤技術で周知の膜のような膜およびセルとともに製造することができる。そのような固形投薬形態では、活性化合物と、ショ糖、ラクトースおよびデンブンのような不活性希釈剤の少なくとも1種とを配合する。そのような投薬形態は、一般的な慣例のように、不活性希釈剤以外の追加の物質、たとえば、錠剤化潤滑剤および他の錠剤化助剤、たとえばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースを含んでもよい。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、投薬形態には、緩衝剤が含まれてもよい。これらには、場合によっては、不透明化剤が含有されてもよく、腸管のある部分のみあるいはそこに優先的に、場合によっては徐放的に、活性成分(複数を含む)を放出する組成物であってもよい。使用することができる包埋組成物の例として、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0221】
本発明は、本発明の化合物の医薬的に許容し得る局所用製剤も包含する。本明細書で使用される用語「医薬的に許容し得る局所用製剤」は、外皮に対し製剤を適用することによって、本発明の化合物を皮内投与するための医薬的に許容し得る任意の製剤を意味する。本発明のある実施形態では、局所用製剤はキャリアシステムを含む。医薬的に効果的な担体として、溶剤(たとえば、アルコール、ポリアルコール、水)、クリーム、ローション、軟膏剤、油類、プラスター、リポソーム、粉末剤、乳液、マイクロエマルジョン、および緩衝溶液(たとえば、低張食塩水または緩衝食塩水)、あるいは医薬品を局所投与する技術で公知の任意の他の担体が上げられるが、これらに限定されない。業界で公知の担体のさらに完全なリストは、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16編,1980、および第17編,1985に載せられており、両文献とも、Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvaniaにより出版され、これらの開示はその全てを参照として本明細書に組み入れる。他のある実施形態では、本発明の局所用製剤には、賦形剤が含まれてもよい。本発明の医薬的に許容し得る局所用製剤を製造するために、業界で知られれている任意の医薬的に許容し得る賦形剤を使用してよい。本発明の局所用製剤に含有させることができる賦形剤の例として、防腐剤、酸化防止剤、保湿成分、皮膚軟化剤、緩衝剤、可溶化剤、他の浸透剤、皮膚保護剤、界面活性剤、および推進薬剤および/または本発明の化合物と組合わせて使用される追加の治療薬が挙げられるが、これらに限定されない。好適な防腐剤として、アルコール、第四級アミン、有機酸、パラベンおよびフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。好適な酸化防止剤として、アスコルビン酸およびそのエステル、亜硫酸水素ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール、ならびにEDTAおよびクエン酸のようなキレート剤が挙げられるが、これらに限定されない。好適な保湿成分として、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素、およびプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。本発明との使用に好適な緩衝剤として、クエン酸、塩酸および乳酸緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。好適な可溶化剤として、第四級アンモニウムクロリド、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、レシチンおよびポリソルベートが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の局所用製剤において使用することができる好適な皮膚保護剤として、ビタミンE油、アラトイン、ジメチコン、グリセリン、ペトロラタムおよび酸化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0222】
ある実施形態では、本発明の医薬的に許容し得る局所用製剤は、少なくとも1種の本発明の化合物と透過促進剤とを含む。局所用製剤の選択は、治療すべき状態、存在する本発明の化合物および他の賦形剤の物理化学的特長、それらの製剤中での安定性、利用できる製造設備、およびコスト面の制約を始めとするいくつかの要因に依存する。本明細書で使用される用語「透過促進剤」は、薬理活性化合物を、皮膚角質層を通って表皮または真皮に送達することができ、好ましくはほとんどあるいは全く前進吸収がない剤を意味する。
広範囲で種々の化合物が、皮膚を通した薬の浸透速度の促進におけるそれらの有効性に関して評価されてきた。たとえば、Percutaneous Penetration Enhancers,Maibach H.I.およびSmith H.E.(編集),CRC Press社,Boca Raton,FIa.(1995)(これは、種々の皮膚浸透促進剤の用途および試験を調べている)、およびBuyuktimkinら,Chemical Means of Transdermal Drug Permeation Enhancement in Transdermal and Topical Drug Delivery Systems,Gosh T.K.,Pfister W.R.,Yum S.I.(編集),Interpharm Press社,Buffalo Grove,111.(1997)を参照のこと。ある代表的な実施形態では、本発明で使用される促進剤として、トリグリセリド(たとえば、大豆油)、アロエ組成物(たとえば、アロエベラジェル)、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクトリフェニルポリエチレングリコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N−デシルメチルスルホキシド、脂肪酸エステル(たとえば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、モノオレイン酸グリセロールおよびモノオレイン酸プロピレングリコール)、およびN−メチルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0223】
ある実施形態では、この組成物は、軟膏剤、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、粉末剤、溶液、スプレー、吸入薬またはパッチの形態であってもよい。ある代表的な実施形態では、本発明による組成物の製剤はクリームであり、これは、さらに、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、パルミット−オレイン酸、セチルまたはオレイルアルコール(ステアリン酸は特に好ましい)のような飽和または不飽和 脂肪酸を含有してもよい。また、本発明のクリームは、非イオン性界面活性剤、たとえば、ポリオキシ−40−ステアリン酸塩を含有してもよい。ある実施形態では、必要であれば、活性成分を、滅菌条件下で、医薬的に許容し得る担体および任意の必要な防腐剤または緩衝液と混合する。眼病用製剤、点耳剤、点眼剤も本発明の範囲内であると想定する。さらに、本発明は、化合物の体への調整された送達を提供する追加の利点を有する経皮パッチの使用も意図している。そのような投薬形態は、化合物を適正な媒体に溶解または分散させることによって作られる。先に検討したように、皮膚を通す化合物の流れを増やすために、透過促進剤を使用することもできる。速度は、速度制御膜を備える、またはポリマーマトリックスまたはゲル中で化合物を分散させることにより制御することができる。
【0224】
本発明の化合物および医薬組成物を、併用療法において製剤化および使用することができる、すなわち、化合物および医薬組成物を、1種以上の他の所望の治療法または医学的処置と同時に、その前にあるいはそれに続けて製剤化または投与するすることができることも理解されるであろう。組合わせレジメンにおいて使用する治療(治療法または処置)の特定の組合せは、所望の治療法および/または処置の適合性、ならびに達成される所望の治療法効果が考慮に入れられるであろう。採用される治療は、同じ障害に対する所望の効果を達成(たとえば、本発明の化合物を、別の免疫調節剤、抗癌剤または乾癬の治療に有用な薬剤とともに同時に投与してもよい)、あるいは異なる効果(たとえば、副作用の制御)を達成するかもしれないことも理解されるであろう。
【0225】
たとえば、本発明の化合物と組合わせて使用してもよい他の治療または抗癌剤として、手術、放射線療法(僅かな例示ではあるが、2,3例を挙げると、γ−放射線、中性子線放射線療法、電子線放射線療法、陽子線療法、近接照射療法および全身性放射性同位元素)、内分泌療法、生体応答調節剤(2、3例を挙げると、インターフェロン、インターロイキンおよび腫瘍壊死因子(TNF))、温熱療法および寒冷療法、任意の有害な効果を緩和する薬剤(たとえば、制吐剤)、および他の承認された化学治療薬、たとえば、これらに限定されないが、2、3例を挙げると、アルキル化剤(メクロルエタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗剤(メトトレキサート)、プリン拮抗薬およびピリミジン拮抗薬(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビル、ゲムシタビン)、紡錘体毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソ尿素化合物(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、およびホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミドおよびメゲストロール)が挙げられる。最新の癌治療のより包括的な検討に関しては、The Merck Manual,第17編1999を参照のこと。この文献の全体は、参照として本明細書に組み込まれる。また、National Cancer Institute (CNI)ウェブサイト(www.nci.nih.gov)および食品医薬局(the Food and Drug Administration(FDA))ウェブサイト、FDAが承認した腫瘍薬物のリスト(www.fda.gov/cder/cancer/druglistframe)も参照。
【0226】
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、さらに、1種以上の追加の治療活性成分(たとえば、化学治療法薬および/または緩和剤)を含む。本発明の目的に関して、用語「緩和」は、疾患の症状および/または治療レジメンの副作用の開放に焦点を合わせた処置を言う。たとえば、緩和処置には、鎮痛剤、制吐投薬、および抗シックネス薬が包含される。さらに、化学療法、放射線療法および手術も全て、緩和的に使用することができる(すなわち、治癒のためではなく症状を減らすため、たとえば、腫瘍を縮小するため、および苦痛、出血、疼痛および癌の他の症状を減少させるために)。
【0227】
さらに、本発明は、本発明の化合物の医薬的に許容し得る誘導体、およびこれらの化合物、その医薬組成物を使用して、またはこれらのどちらかと1種以上の追加の治療薬と組合わせて使用して、対象を治療する方法を提供する。
【0228】
本発明のある化合物は、治療のために遊離した形態で存在することができ、あるいは好適な場合は、その医薬的に許容し得る誘導体として存在することもできることも理解されるであろう。本発明によれば、医薬的に許容し得る誘導体として、医薬的に許容し得る塩、エステル、そのようなエステルの塩、あるいはそれを必要とする患者への投与に際し、直接または関節的に与えうる、プロドラッグまたは本発明の化合物の他の付加物または誘導体、本明細書の他で記載した化合物、またはその代謝物または残渣が挙げられるが、これらに限定されない。
【0229】
研究用用途、医薬用途および治療方法
研究用用途
本発明によれば、本発明の化合物は、抗原虫活性、HDAC阻害活性、毛髪成長活性、アンドロゲン情報伝達阻害活性、エストロゲン情報伝達阻害活性および/または抗増殖性活性を有する化合物を識別するために、当該分野で公知の試料できる任意のアッセイで試験することができる。たとえば、アッセイは、細胞性であっても非細胞性であっても、インビボでもまたはインビトロでに、高出力または低出力フォーマットであってもよい。
【0230】
したがって、一態様では、特に関心が持たれる本発明の化合物はとして、以下があげられる。
・HDAC阻害を発揮するもの;
・HDACクラスI阻害活性(たとえば、HDACl、HDAC2、HDAC3、HDAC8)を発揮するもの;
・HDACクラスII阻害活性(たとえば、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC9a、HDAC9b、HDRP/HDAC9c、HDAClO)を発揮するもの;
・HDAC1を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NP_004955、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC2を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NP_001518、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC3を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号O15739, 参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC4を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号AAD29046、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC5を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NP_005465、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC6を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NP_006035、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC7を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号AAP63491、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC8を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号AAF73428、NM_018486、AF245664、AF230097、それぞれ、参照として本明細書に組み込まれる);
・HDAC9を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NM_178425、NM_178423、NM_058176、NM_014707, BCl11735、NM_058177、それぞれ、参照として本明細書に組み込まれる)
・HDAC10を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号NM_032019、参照として本明細書に組み込まれる)
・HDAC11を阻害する能力を発揮するもの(ジェンバンク登録番号BC009676、参照として本明細書に組み込まれる);
・チューブリン脱アセチル化を阻害する能力を発揮するもの(TDAC);
・Ure2pの下流の遺伝子のグルコース感受性サブセットを調整する能力を発揮もの;
・インビトロで癌細胞系に、または科学的に許容し得る癌細胞異種移植モデルをしようする動物研究において、細胞毒作用または成長阻害剤作用を発揮するもの;および/または
・既存の化学治療薬より優れた治療プロフィール(たとえば、最適安全性および治療効果)を発揮するもの。
【0231】
本明細書の例示で詳述したように、癌細胞成長を阻害する化合物の能力を測定するアッセイにおいて、本発明のある化合物は、IC50値≦100μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦50μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦40μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦30μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦20μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦10μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦7.5μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦5μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦2.5μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦1μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦0.75μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦0.5μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦0.25μMを発揮する。ある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦0.1μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦75μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦50μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦25μMを発揮する。他のある実施形態では、本発明の化合物は、IC50値≦10μMを発揮する。他の実施形態では、代表的な化合物は、IC50値≦7.5μMを発揮する。他の実施形態では、代表的な化合物は、IC50値≦5μMを発揮する。
【0232】
医薬用途および治療方法
一般的に、本発明の化合物を使用する方法は、治療に有効な量の本発明の化合物を、それを必要とす対象に投与することを含む。
本発明の化合物は、一般的に、デアセチラーゼ活性の阻害剤である。先に検討したように、本発明の化合物は、普通、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤であり、それ自体は、ヒストンデアセチラーゼにより変化させられた障害の治療において有用である。チューブリンデアセチラーゼのような他のデアセチラーゼも、本発明の化合物により阻害されうる。
【0233】
ある実施形態では、本発明の化合物は、増殖性疾患(たとえば、癌、良性新生物、炎症性疾患、自己免疫疾患)の治療において有用である。ある実施形態では、本発明の化合物中にエステラーゼ感受性エステル化架橋があるとすれば、それらは、ヒストンデアセチラーゼによって変化した皮膚疾患の治療に特に有用であり、そこでは、この薬剤の全身的な作用は避けられる、あるいは少なくとも最小にされる。本発明の化合物のこの特徴は、通常は対象に全身的に投与するには毒性が強すぎる化合物の使用を可能にするかもしれない。ある実施形態では、これらの皮膚疾患は増殖性疾患である。たとえば、本発明の化合物は、皮膚癌および良性の皮膚腫瘍の治療に特に有用である。ある実施形態では、この化合物は、皮膚T細胞リンパ腫の治療に有用である。ある実施形態では、この化合物は、神経線維腫症の治療に有用である。したがって、さらに別の態様では、本発明の治療方法によれば、前記腫瘍細胞に、本明細書に記載された、本発明の化合物または組成物を接触することにより、腫瘍細胞は殺され、あるいはそれらの成長は阻害される。他の実施形態では、この化合物は、乾癬または皮膚炎のような皮膚の炎症性疾患の治療に有用である。他の実施形態では、この化合物は、脱毛の治療または予防に有用である。ある実施形態では、この化合物は、皮膚色素沈着に関連する疾患の治療に有用である。たとえば、この化合物を、皮膚の色素過剰症を予防するために使用してもよい。
【0234】
したがって、本発明の別の態様では、癌を治療する方法であって、本明細書に記載された本発明化合物を治療に有効な量、それを必要とす対象に投与することを含む方法が提供される。ある実施形態では、癌を治療する方法であって、治療に有効な量の本発明の化合物または本発明の化合物を含む医薬組成物を、それを必要とす対象に、所望の結果を達成するのに必要とされる量および時間、投与することを含む方法を提供する。本発明の化合物は局所的に投与されるのが好ましい。本発明のある実施形態では、本発明の化合物または医薬組成物の「治療に有効な量」は、腫瘍細胞を殺すまたはその成長を阻害するのに有効な量である。本発明の方法によれば、この化合物および組成物は、腫瘍細胞を殺すまたはその成長を阻害するのに効果のある任意の量および任意の投与経路を使用して、投与することができる。したがって、本明細書で使用される表現「腫瘍細胞を殺すまたはその成長を阻害するのに有効な量」は、腫瘍細胞を殺すまたはその成長を阻害するのに十分な薬剤の量を言う。必要とする正確な量は、種、年齢および対象の全身状態、感染の重篤度、特定の抗癌剤、その投与モードなどにより、対象によって変化する。本発明のある実施形態では、本発明の化合物または医薬組成物の「治療に有効な量」は、皮膚細胞のデアセチラーゼ活性(特に、HDAC活性)を阻害するのに有効な量である。本発明のある実施形態では、本発明の化合物または医薬組成物の「治療に有効な量」は、皮膚細胞を殺すまたはその成長を阻害するのに有効な量である。
【0235】
ある実施形態では、この方法は、治療に有効な量の化合物またはその医薬的に許容し得る誘導体を、それを必要とする対象(ヒトまたは動物が挙げられるが、これらに限定されない)に投与することを含む。ある実施形態では、本発明の化合物は、癌(神経膠芽種、網膜芽細胞腫、乳癌、子宮頸癌、結腸および直腸癌、白血病、リンパ腫、肺癌(小細胞肺癌が挙げられるが、これに限定されない)、黒色腫および/または皮膚癌、多発骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、すい臓癌、前立腺癌および胃癌、膀胱癌、子宮癌、腎臓癌、精巣癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌または食道癌が挙げられるが、これらに限定されない)の治療に有用である。
【0236】
ある実施形態では、本発明の抗癌剤は、癌および他の増殖性疾患、2、3例を挙げると、たとえば、乳癌、子宮頸癌、結腸および直腸癌、白血病、肺癌、黒色腫、多発骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、すい臓癌、前立腺癌および胃癌(これらに限定されない)の治療に有用である。ある実施形態では、本発明の抗癌剤は、白血病細胞および黒色腫細胞に対し活性であり、したがって、白血病(たとえば、骨髄性、リンパ性、骨髄球性およびリンパ芽球性白血病)、および亜性黒色腫の治療に有用である。さらに別の実施形態では、本発明の抗癌剤は、固形腫瘍に対して活性である。
【0237】
ある実施形態では、本発明の化合物には、血管形成術およびステント留置のような外傷に曝された血管狭窄の再発の予防における用途も見出される。たとえば、本発明の化合物は、埋め込まれる医療装置、たとえば、管、シャント、カテーテル、人工移植片、ピン、ペースメーカーのような電気移植片用の、特に、バルーン拡張式ステントを始めとする、動脈ステントまたは静脈ステント用の塗膜として有用であろうことが考えられる。ある実施形態では、本発明の化合物を、移植可能な医療装置に結合してもよく、あるいは移植可能な装置の表面に受動的に吸着させてもよい。他のある実施形態では、本発明の化合物を、たとえば、ステント、縫合糸、留置カテーテル、義歯などのような手術装置、医療装置移植片内に、あるいはこれらによって放出するように含有させて製剤化してもよい。たとえば、抗増殖性活性および抗炎症活性を有する薬物は、ステント塗膜として評価され、再狭窄を予防する見込みがあることを示してきた(たとえば、Presbitero P.ら「Drug eluting ステントs do they make the difference?」,Minerva Cardioangiol,2002,50(5):431−442;Ruygrok P.N.ら,「Rapamycin in cardiovascular medicine」,Intern.Med.J.,2003,33(3):103−109;およびMarx S.O.ら,「Bench to bedside:the development of rapamycin and its application to ステント restenosis」,Circulation,2001,104(8):852−855を参照のこと。これらの参考文献はそれぞれ、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)。したがって、いかなる特定の理論にしばられるものではないが、出願人は、抗増殖性効果を有する本発明の化合物を、ステント塗膜としておよび/またはステント薬物送達装置内で、とりわけ、狭窄の再発の予防または狭窄の再発率の減少のために、使用できることを提案する。
好適な塗膜および塗布された移植可能な装置の一般的製造は、米国特許第6,099,562号;第5,886,026号;および第5,304,121号明細書に記載されている。塗膜は、普通、生体適合性ポリマー材料、たとえば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸、エチレンビニルアセテート、およびこれらの混合物である。塗膜は、場合によっては、さらにフルオロシリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質、またはこれらの組合せの好適なトップコートにより被覆され、制御された組成物の放出特性を付与してもよい。狭窄の再発を防ぐためのステント塗膜および/または局所ステント薬物送達に関する、様々な組成物および方法が当該分野では高知である(たとえば、米国特許第6,517,889号;第6,273,913号;第6,258,121号;第6,251,136号;第6,248,127号;第6,231,600号;第6,203,551号;第6,153,252号;第6,071,305号;第5,891,507号;第5,837,313号明細書、および米国特許出願公開公報第US2001/0027340号を参照。これらはそれぞれ、その全体が参照として本明細書に組み込まれる)。例えば、ステントは、ステントをポリマー−薬物溶液に浸漬する、またはステントにそのような溶液をスプレーすることによって、ポリマー−薬物複合物が塗布されてもよい。ある実施形態では、移植可能な装置用の好適な材料として生体適合性および非毒性材料が挙げられ、ニッケル−チタン合金、スチールのような金属、または生体適合性ポリマー、ヒドロゲル、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート共重合体などから選択してもよい。ある実施形態では、本発明の化合物を、動脈または静脈に挿入するために、ステントに塗布し、バルーン血管形成術をフォローする。
【0238】
また、本発明の化合物またはその医薬的に許容し得る組成物を、移植可能な医療装置、たとえば、プロテアーゼ、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテルを塗布するための組成物に導入してもよい。したがって、別の態様では、本発明は、移植可能な装置を塗布する組成物であって、先に一般的に、および本明細書のクラスおよびサブクラスで記載した本発明の化合物と、前記移植可能な装置への塗布に適した担体とを含む組成物も含む。さらに別の態様では、本発明は、先に一般的に、および本明細書のクラスおよびサブクラスで記載した本発明の化合物と、前記移植可能な装置への塗布に適した担体とを含む組成物で塗布された移植可能な装置を含む。
【0239】
本発明の他の態様では、体内流路の内腔を拡張する方法であって、ステントをこの流路に挿入することを含み、このステントは一般的に管状構造を有し、この構造の表面は、前記流路が拡張されるように、本発明の化合物または組成物で塗布され(あるいは放出するように構成され)ている方法が提供される。ある実施形態では、胆管、消化管、食道、気管/気管支、尿道および/または血管の障害物を排出するために体内の流路の内腔を拡張する。
【0240】
ステントを使用して、胆管、消化管、食道、気管/気管支、尿道および/または血管の障害物を排出する方法は、当該分野で公知である。当業者であれば、本発明の実施において、どのようにしてこれらの方法を適応させるかはわかるであろう。たとえば、指針を、米国特許出願公開公報第2003/0004209号、段落[0146]〜[0155]に見出すことができ、これらの段落は、ここで、参照として本明細書に組み込まれる。
【0241】
本発明の別の態様は、生体試料または患者において、多剤耐性細胞の成長を阻止する方法であって、式Iの化合物またはこの化合物を含む組成物を患者に投与する、またはこれを生体試料に接触させることを含む方法に関する。
【0242】
さらに、本発明は、本発明の化合物の医薬的に許容し得る誘導体、およびこれらの化合物、その医薬組成物、あるいはこれらのどちらかと1種以上の追加の治療薬とを組合わせて使用し、対象を治療する方法を提供する。
【0243】
本発明の別の態様は、患者の増殖障害に関連する疾患または状態の重篤度を処置するまたは軽減する方法であって、式Iの化合物またはこの化合物を含む組成物を、患者に投与する工程を含む方法に関する。
【0244】
本発明の方法によれば、癌および/または細胞過剰増殖に関連する障害の治療に有効な任意の投与量および投与経路を用いて、この化合物および組成物を投与してもよいことは理解されるであろう。たとえば、本発明の化合物を癌の治療のために使用する場合、本明細書で使用される表現「有効量」は、細胞増殖を阻害するのに十分な薬剤の量を言い、あるいは癌の効果を減少させるのに十分な量を言う。必要とする正確な量は、種、年齢および対象の全身状態、疾患の重篤度、特定の抗癌剤、その投与モードなどにより、対象によって変化する。
【0245】
本発明の化合物は、投与が簡単で投与量が均一な単位投与剤形の形で製剤化するのが好ましい。本明細書で使用される表現「単位投与剤形」は、治療すべき患者に適正な治療薬の物理的な分離ユニットを言う。しかし、本発明の化合物および組成物の毎日の総使用量は、正常な医学的判断の範囲内で、担当の医者によって決定されるであろうことは理解されるであろう。任意の特定の患者または病原体に特定の治療に有効な用量レベルは、治療されるべき障害および障害の重篤度を始めとする種々の要因、すなわち、使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;患者の年齢、体重、全身的健康状態、性別、食事; 使用される特定の化合物の投与期間、投与経路および排出速度;治療の期間;使用される特定の化合物と組合わせてあるいは同時に使用される薬物;および薬剤業界で周知のこのような要因(たとえば、Goodman and Gilman’s,「The Pharmacological Basis of Therapeutics」, Tenth Edition,A.Gilman,J.HardmanおよびL.Limbird,編,McGraw−Hill Press,155−173,2001を参照。これはその全体が参照として本明細書に組み込まれる)に依存する。
【0246】
本発明の別の態様は、生体試料または患者のヒストンデアセチラーゼ活性を阻害する方法であって、本発明の化合物またはこの化合物を含む組成物を患者に投与する、またはこれを生体試料に接触させることを含む方法に関する。
【0247】
さらに、適正な医薬的に許容し得る担体と所望の投与量で製剤化した後、本発明の医薬組成物を、治療すべき感染の重篤度に応じて、ヒトまたは他の動物に、経口的に、直腸から、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(粉末剤、軟膏剤、クリームまたはドロップとして)、口腔内に、または口腔または鼻スプレーとして投与することができる。ある実施形態では、本発明の化合物を、所望の治療効果を得るために、1日あたり対象の体重の約0.001mg/1kg〜約50mg/kg、約0.01mg/kg〜約25mg/kg、あるいは約0.1mg/kg〜約10mg/kgの投与量レベルで、1日に1回以上投与することができる。0.001mg/kgより少ない投与量または50mg/kgを超える投与量(たとえば、50〜100mg/kg)を対象に投与することができることも理解されるであろう。ある実施形態では、化合物を経口または非経口投与する。
【0248】
治療キット
他の実施形態では、本発明は、本発明に従って、前記方法を有利におよび効果的に実施するためのキットに関する。この医薬パックまたはキットは、一般的に、本発明の医薬組成物の1種以上の成分が充填された1個以上の容器を含む。そのようなキットは、本発明の化合物の局所送達に特に適している。場合によっては、そのような容器(複数を含む)に、医薬製品の製造、使用または販売を取り締まる政府機関によって規定されたフォームで書かれた通知書を付けることができ、この通知書によって、ヒトへの投与のための製造、使用または販売に関する機関による承認が反映される。
【0249】
等価物
以下に代表的な実施例が続くが、これらは本発明の説明を助けるためのものであり、本発明の範囲を限定するものではなく、またそのように解釈すべきではない。実際、本明細書で示し、記載したものに加え、本発明の種々の変形およびそれらの多くのさらなる実施形態は、以下に記載する例および本明細書に列挙した科学文献および特許文献の参考文献を含む本発明の全体から当業者には明らかになるであろう。さらに、別の記載がない限り、本明細書で列挙したそれぞれの参考文献の全内容は、技術の現状の説明を助けるために、参照として本明細書に組み込まれたものであることも理解すべきである。以下の例は、種々の実施形態およびその等価物において、本発明の実施に適用できる重要な追加の情報、例示および指針を含む。
【0250】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の実施例を考慮することにより、さらに理解されるであろう。この実施例は、本発明のある特定の実施形態を説明するためのものであり、請求項によって規定される発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0251】
本発明の化合物およびその製造は、これらの化合物を製造または使用する方法のいくつかを説明する実施例によって、さらに理解することができる。しかし、これらの実施例は本発明を限定しないことは理解されるであろう。現在知られているあるいはさらに開発される本発明の変形は、本明細書および後に続く請求項に記載された本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0252】
合成方法の一般的説明
本明細書に列挙される種々の参考文献は、本明細書に記載される本発明の化合物または関連する中間体に類似の化合物の製造に関する有益な背景情報、および関心のあるそのような化合物の製造、用途および投与に関する情報を提供する。
【0253】
さらに、実施する者は、種々の代表的な化合物およびその中間体に関する本明細書で提供される特定の指針および例示に指示される。
【0254】
本発明の化合物およびそれらの製造は、これらの化合物を製造または使用する方法のいくつかを説明する実施例によって、さらに理解することができる。しかし、これらの実施例は本発明を限定しないことは理解されるであろう。現在知られているあるいはさらに開発される本発明の変形は、本明細書および後に続く請求項に記載された本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0255】
本発明によれば、本発明の化合物またはそれらを含有する組成物を製造または調製するために、任意の利用可能な技術を使用することができる。たとえば、以下に詳細に検討する、種々の組合せ技術、並列合成および/または固相合成方法を使用してもよい。それに代え、あるいは追加的に、当該分野で公知の種々の溶液相合成方法を使用して、本発明の化合物を製造してもよい。
【0256】
以下に記載するように、本明細書に記載する方法に従って、種々の本発明の化合物を合成できることは理解されるであろう。これらの化合物の製造において使用される出発物質および試薬は、Aldrich Chemical社(Milwaukee,WI)、Bachem(Torrance,CA)、Sigma(St.Louis,MO)のような市販業者から入手し得るか、あるいは、Fieser and Fieser1991,「Reagents for Organic Synthesis」,第1〜17巻,John Wiley and Sons,New York,NY,1991;Rodd1989「Chemistry of Carbon Componds」,第1〜5巻および付録,Elsevier Science Publishers,1989;「Organic Reactions」,第1〜40巻,John Wiley and Sons,New York,NY,1991;2001年3月,「Advanced Organic Chemistry」,第5編.John Wiley and Sons,New York,NY;およびLarock1990,「Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations」,第2編.VCH Publishersのような参考文献に記載の処置に倣い、当業者に周知の方法によって製造する。これらのスキームは、本発明の化合物を製造することができるいくつかの方法の単なる例示的なものであり、これらのスキームに対して種々の変形ができ、およびこの開示に対し関心を持つ当業者には種々の変形が示唆されるであろう。
【0257】
出発物質、中間体および本発明の化合物は、ろ過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを始めとする従来の技術を使用して単離および精製してもよい。これらを、物理定数およびスペクトルデータを含む従来の方法を使用して特徴付けてもよい。
【0258】
代表的化合物の合成
別の記載がない限り、出発物質は、市販されているか、または当該分野に適度に精通した者による実験室合成によって簡単に入手できるものである。本明細書に一般的にあるいは、そのクラスまたはサブクラスにおいて記載した化合物の合成に関する処理および一般的指針を以下に記載する。
【0259】
実施例1:HDAC阻害剤として使用されるSAHPの合成
【0260】
【化145】
以下に、SAHP、SAHAのエステル含有類縁体(図12に示す)を記載する。
【0261】
3.86g(24.2mmol)のO−塩酸ベンジルヒドロキシルアミンおよび13mL(75mmol)のジイソプロピルエチルアミンを、100mLの塩化メチレンに溶解し、0℃に冷却した。5.00g(24.2mmol)の8−クロロ−8−オキソオクタン酸メチルを1OmLの塩化メチレンに溶解し、これを反応混合物にゆっくり加えた。反応混合物を0℃で1時間攪拌し、室温に温めた。さらに12時間攪拌した後、300mLの0.5NのHClを加えた。有機層を分離し、食塩水および飽和重炭酸塩で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、有機溶剤を減圧除去し、粗生成物をシリカ(塩化メチレン/メタノール12:1,rf=0.7)で生成し、所望の化合物1を白色固体(6.3g,89%)として得た。
【0262】
6.3g(21.5mmol)のメチルエステル1を、200mLのメタノールに溶解し、次いで50mLの2NのLiOHを加えた。反応混合物を、1時間還流加熱し、室温に冷却した。100mLの1NのHClおよび200mLの水を加えた後、反応混合物を150mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を減圧除去し、純粋なカルボン酸2を定量収率で白色固体として得た。
【0263】
140mgのカルボン酸2(5mmol)、56.5mgのフェノール(6mmol)および113mgのジシクロヘキシルカルボジイミド(5.5mmol)を混合し、次いで、10mLの塩化メチレンおよび30mgの4−ジメチルアミノピリジンを加えた。反応混合物を、2時間攪拌し、粗生成物をシリカカラムに供し、次いでヘキサン/酢酸エチル(10−100%酢酸エチル)で溶出した。所望のフェノールエステル3を、収率87%(155mg)で白色固体として得た。
【0264】
80mgのフェノールエステル3(0.225mmol)を、メタノールに溶解した。触媒量の木炭上のパラジウム(10%)を加え、水素を反応混合物にバブリングした。1時間後、出発物質は、TLCで検出されなかった。反応混合物をセライトによりろ過し、溶剤を減圧除去し、遊離のヒドロキサム酸塩SAHPを定量収率(59mg)で褐色がかった固体として得た。LCMSおよびNMRで判定し、粗生成物にはいかなる不純物も見当たらなかった。
【0265】
実施例2:生物学的アッセイ処置
細胞培養および形質移入 TAg−Jurkat細胞を、5μgの組換えタンパク質の発現用FLAG−エピトープ−標的pBJ5構造体を用いて電気穿孔法によって、形質移入した。形質移入から48時間後、細胞を採取した。
【0266】
HDACアッセイ[3H]アセテート導入ヒストンを、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(Tong,ら.Nature1997,395,917−921.に記載するように)によって、酪酸塩処理HeLa細胞から単離した。免疫沈降物を、1.4μg(10,000dpm)のヒストンを用い、37℃で3時間培養した。酢酸エチル溶解性[3H]酢酸をカウントするシンチレーションによって(Taunton,ら,Science1996,272,408−411に記載するように)、HDAC活性を測定した。最終アッセイ濃度が1%DMSOとなるように、化合物をDMSOに加えた。IC50値を、Prism3.0ソフトウェアを使用して計算した。拘束を行わずに、プログラムのSigmoidal−Dose Responseパラメータを使用して、カーブフィッチングを行った。全てのデータポイントを2個獲得し、IC50値を少なくとも1つの別々の実験を複合した結果から計算する。
【0267】
実施例3:インビボ活性
種々の方法を利用することができるが、本発明の化合物のインビボ活性を測定する1つの代表的な方法は、所望の腫瘍塊をマウスに皮下的に移植する。次いで、腫瘍塊の移植後、腫瘍塊が約100mm3になった時、薬物治療を始める。次いで、先により詳しく記載した好適な組成物を、好ましくは生理食塩水を用いてマウスに投与し、また好ましくは、5、10および25mg/kgの用量で1日1回投与するが、他の用量を投与することができることは理解されるであろう。次いで、体重および腫瘍サイズを毎日測定し、最初の値に対するパーセント比をプロットする。移植された腫瘍が腫瘍化し、体重の減少がコントロールの体重減少の25〜30%を超え、腫瘍の重さが担癌マウスの体重の10%を超えまたは担癌マウスが死亡した時、該動物を、動物保護の指針に従って致死させる。
【0268】
実施例4:ヒストンデアセチラーゼの阻害により潜在的な抗原虫化合物を識別するアッセイ
米国特許第6,068,987号明細書に詳述されているように、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤は、抗原虫剤としても有用である。該特許には、ヒストンデアセチラーゼ活性および阻害のアッセイが記載され、種々の原虫疾患が記載されている。6,068,987の全内容は、参照によって本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0269】
【図1】ヒトおよびマウスの血漿中に見出されるエステラーゼの表を含む。
【図2】SAHA−SAHPのリバースプロドラッグ(リバースプロドラッグバージョン)の設計を示す。
【図3】PBS中のSAHAの(アミンによる)安定性をグラフで示す。
【図4】血清中のSAHAの安定性をグラフで示す。
【図5】PBS中のSAHP(アミドの代わりにエステル)の安定性を示す。
【図6】血清中のSAHPの分解を示す。SAHPは、15分未満で完全に分解する。
【図7】血清中のSAHPの分解のさらに詳しい実験を示す。SAHPは、2分未満でフェノールおよび対応カルボン酸の完全に分解される。
【図8】種々の条件下でのヒト血清によるSAHPの分解を示す。
【図9】組換えパラオキソナーゼによるSAHPの分解を示す。
【図10】RPMI培地で10%FBSを使用したSAHPの分解を示す。
【図11】リシンアセチル化に対するSAHA対SAHPの効果を示す。
【図12】マウスモデルに関し、オリーブ油/アセトン形成におけるSAHPの安定性を示す。
【図13】SAHPを生成するための代表的な合成スキームである。
【図14】インターロイキン−7は、T細胞発生における成長因子、特にガンマ−デルタサブセットである。ケラチノサイトでIL−7を過剰発現するトランスジェニックマウスは、Thomas KupperおよびBenjamin Richの研究所で、組織特異的ケラチン−14プロモーター要素を使用して発生された。これらのマウスは、ヒト皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)に、肉眼的および組織学的に類似する特徴的なリンパ増殖性皮膚疾患を発現すると報告されている。関連皮膚から誘導された変体リンパ球を、エクスビボで培養し、同系(非トランスジーニー(non−trans genie))マウスに注射した。14日後、これらのマウスは、同質のリンパ増殖性疾患を発症した。5匹のマウスのうち2匹のコホートは、局所、毎日スベロイルヒドロキサム酸フェニルエステル(SAHP、SHAPEとしても知られる)対ビヒクルコントロールの予測試験に含めた。治療から14日後、マウスを殺処分し、組織学的検査のために治療した領域を切断した。SHAPE処置マウスでは、ヘマトキシリン−エオシン染色により、処置窓の中で、処置リンパ腫の浸潤が著しく減少しているのが確認された。ビヒクルコントロールマウスでは、細胞障害反応を示さなかった。
【図15】アセチル化ヒストンをビヒクル処置コントロールと比較するため、免疫組織化学染色を用いて評価した時のSAHP処置の薬力学的効果を示す。SAHP処理マウスにおいて、AcH3K18染色により、化合物処理の周縁部で過剰アセチル化ヒストン染色が確認され、薬物反応の領域では核染色はなかった。ビヒクルコントロールマウスは、ヒストン過剰アセチル化の増加は示さなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物およびその医薬的に許容し得る塩であって、式中、
Aは、ヒストンデアセチラーゼを阻害する官能基を含み;
Lは、リンカー部分であり;
Arは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール脂肪族またはヘテロアリール脂肪族部分;置換または非置換、環状または複素環状部分;置換または非置換、分岐または非分岐状環式脂肪族または複素環式脂肪族部分である、化合物およびその医薬的に許容し得る塩。
【請求項2】
Aが、Zn2+をキレート化する官能基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、
【化2】
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、
【化3】
を含む請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、
【化4】
を含む請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Aが、
【化5】
を含む請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Arが、アリール脂肪族である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Arが、ヘテロアリール脂肪族である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Arが、置換または非置換アリールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
Arが、置換されたフェニル部分である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
Arが、以下:
【化6】
から選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
Arが、置換または非置換ヘテロアリール部分である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
Arが、以下:
【化7】
のものから選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
Lが、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状の脂肪族部分;置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状のヘテロ脂肪族部分;置換または非置換アリール部分;置換または非置換ヘテロアリール部分である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
Lが、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状の脂肪族部分である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
Lが、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状のヘテロ脂肪族部分である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
Lが、C1−C15アルキリデンである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
Lが、C1−C10アルキリデンである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
Lが、C2−C6アルキリデンである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
Lが、非分岐状、非置換、非環状アルキル鎖である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
Lが、以下:
【化8】
のものから選択される請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
Lが、以下:
【化9】
のものから選択される請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
Lが、
【化10】
である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
式(Ia):
【化11】
の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物であって、式中、nは、0〜15の整数である、化合物。
【請求項25】
式(Ib):
【化12】
の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む)であり;
mは、1〜5の整数(両端を含む)であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項26】
nが、1〜8の整数(両端を含む)である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
nが、5、6または7である、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
nが6である、請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
mが1である、請求項25〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
mが2である、請求項25〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
mが3である、請求項25〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
R1が、置換または非置換1,3−ジオキサン環を含む請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
R1がハロゲンである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
R1が−ORAである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
R1が−N(RA)2である、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
R1が−NHRAである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。,
【請求項37】
R1がC1−C6アルキルである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項38】
R1が、置換または非置換アシルである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項39】
R1が、−C(=O)ORA(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
R1が、−C(=O)N(RA)2(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
R1が−C(=O)NH2である、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
R1が−CHOである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
R1が、−NHC(=O)RA(式中、RAはC1−C6アルキルである)である、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
式(Ic):
【化13】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは1〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項45】
式:
【化14】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは1〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項46】
式:
【化15】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは1〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項47】
式:
【化16】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは1〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項48】
nが、1〜8の整数(両端を含む)である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項49】
nが、5、6または7である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項50】
nが6である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項51】
R1が置換または非置換1,3−ジオキサン環を含む請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項52】
R1がハロゲンである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項53】
R1が−ORAである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項54】
R1が−N(RA)2である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項55】
R1が−NHRAである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項56】
R1がC1−C6アルキルである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項57】
R1が置換または非置換アシルである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項58】
R1が−C(=O)ORA(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項59】
R1が−C(=O)N(RA)2(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項60】
R1が−C(=O)NH2である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項61】
R1が−CHOである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項62】
R1が−NHC(=O)RA(式中、RAはC1−C6アルキルである)である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項63】
式(If):
【化17】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、nは、1〜6の整数(両端を含む)である、化合物。
【請求項64】
Arが、置換または非置換フェニルである、請求項63に記載の化合物。
【請求項65】
式(Ig):
【化18】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項66】
R2が、−CH2−X(RB)n(式中、XはO、SまたはNであり;nは1または2である)である、請求項65に記載の化合物。
【請求項67】
式(Ih):
【化19】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
nは、1〜6の整数(両端を含む)であり;
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;(ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項68】
式(Ii):
【化20】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項69】
式(Ij):
【化21】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項70】
R2が
【化22】
である、請求項65、66、67、68または69のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項71】
式(Il):
【化23】
の請求項68に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜5の整数(両端を含む)であり;
Zは、水素、−(CH2)qORZ、−(CH2)qSRZ、−(CH2)qN(RZ)2、−C(=O)RZ、−C(=O)N(RZ)2、またはアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分であり、ここで、qは0〜4であり、各RZは、独立して、水素、保護基、固形支持体単位、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリール、または−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である、化合物。
【請求項72】
式:
【化24】
の請求項71に記載の化合物。
【請求項73】
式
【化25】
【化26】
の請求項1に記載の化合物。
【請求項74】
請求項1〜73のいずれか1項に記載の化合物と、医薬的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項75】
ヒストンデアセチラーゼを阻害する方法であって、ヒストンデアセチラーゼを、請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項76】
前記ヒストンデアセチラーゼが精製されている請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記ヒストンデアセチラーゼが細胞内にある、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記ヒストンデアセチラーゼがHDAC6である、請求項75、76または77に記載の方法。
【請求項79】
増殖性疾患を患う対象を治療する方法であって、治療に有効な量の請求項1〜34の1つに記載の化合物を対象に投与する工程を含む方法。
【請求項80】
前記対象が哺乳類である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記対象がヒトである、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記増殖性疾患が癌である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項83】
前記増殖性疾患が、炎症性疾患である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項84】
前記増殖性疾患が、皮膚に関連する増殖性疾患である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項85】
前記増殖性疾患が、皮膚T細胞リンパ腫である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項86】
前記増殖性疾患が皮膚癌である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項87】
前記増殖性疾患が、良性の皮膚増殖である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項88】
前記増殖性疾患が乾癬である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項89】
前記増殖性疾患が皮膚炎である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項90】
前記増殖性疾患が神経線維腫症である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項91】
前記投与工程が、前記化合物を局所的に投与することを含む請求項79〜90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記化合物を、エステラーゼによって、インビボで切断する請求項79〜90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記化合物を、血流中に見出されるエステラーゼによって切断する請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記化合物を、エステラーゼによってインビボで不活性化する請求項79〜90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記化合物を、血流中に見出されるエステラーゼによって不活性化する請求項94に記載の方法。
【請求項96】
脱毛を患う対象を治療する方法であって、治療に有効な量の請求項1〜73のいずれか1項に記載の化合物を対象に投与する工程を含む方法。
【請求項97】
皮膚色素過剰を患う対象を治療する方法であって、治療に有効な量の治療に有効な量の請求項1〜73のいずれか1項に記載の化合物を対象に投与する工程を含む方法。
【請求項98】
請求項1〜73のいずれか1項に記載の化合物を投与する方法であって、請求項1〜72のいずれか1項に記載の化合物を対象に局所的に投与する工程を含む方法。
【請求項99】
前記投与工程が、前記化合物を前記対象の皮膚に投与することを含む請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記投与工程が、前記化合物を前記対象の毛髪に投与することを含む請求項98に記載の方法。
【請求項101】
式(IIIA)の化合物を合成するための方法であって、
構造:
【化27】
を有するエポキシアルコールを提供する工程と、
該エポキシアルコールを、構造:R2XHを有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【化28】
を有するジオールを生成する工程と、
該ジオールを、構造:R3CH(OMe)2を有する試薬と好適な条件下で反応させ、式(IIIA):
【化29】
の化合物を生成する工程とを含み、式中、
R1は、水素、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
R2は、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
Xは、−O−、−C(R2A)2−、−S−または−NR2A−であり、ここで、R2Aは、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;または
2個以上のR2およびR2Aが一緒になり、脂環式または複素環状部分、あるいはアリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
R3は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
RZは、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり、これらは、場合によっては、固形支持体に結合する、方法。
【請求項102】
式:
【化30】
の化合物を合成する方法であって、
構造:
【化31】
を有するエポキシアルコールを提供する工程と、
該エポキシアルコールを、構造:R2XHを有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【化32】
を有するジオールを生成する工程と、
該ジオールを、好適な条件下で、構造:
【化33】
(式中、R4Cは、窒素保護基である)を有する試薬に供し、構造:
【化34】
を有するアミンを生成する工程と、
該アミンを、構造:
【化35】
を有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【化36】
を有する骨格を生成する工程とを含み、式中、
R1は、水素、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
R2は、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
Xは、−O−、−C(R2A)2−、−S−または−NR2A−であり、ここで、R2Aは、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;または
2個以上のR2およびR2Aが一緒になって、脂環式または複素環状部分、あるいはアリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
rは、0または1であり;
sは、2〜5の整数であり;
wは、0〜4の整数であり;
R4Aは、金属キレーターを含み;
各R4Dは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、CN、NO2またはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)である)であり;ここで、RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、あるいはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、あるいは置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
RZは、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり、これらは場合によっては固形支持体に結合する、方法。
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物およびその医薬的に許容し得る塩であって、式中、
Aは、ヒストンデアセチラーゼを阻害する官能基を含み;
Lは、リンカー部分であり;
Arは、置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール脂肪族またはヘテロアリール脂肪族部分;置換または非置換、環状または複素環状部分;置換または非置換、分岐または非分岐状環式脂肪族または複素環式脂肪族部分である、化合物およびその医薬的に許容し得る塩。
【請求項2】
Aが、Zn2+をキレート化する官能基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、
【化2】
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、
【化3】
を含む請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、
【化4】
を含む請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Aが、
【化5】
を含む請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Arが、アリール脂肪族である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Arが、ヘテロアリール脂肪族である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Arが、置換または非置換アリールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
Arが、置換されたフェニル部分である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
Arが、以下:
【化6】
から選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
Arが、置換または非置換ヘテロアリール部分である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
Arが、以下:
【化7】
のものから選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
Lが、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状の脂肪族部分;置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状のヘテロ脂肪族部分;置換または非置換アリール部分;置換または非置換ヘテロアリール部分である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
Lが、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状の脂肪族部分である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
Lが、置換または非置換、環状または非環状、分岐または非分岐状のヘテロ脂肪族部分である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
Lが、C1−C15アルキリデンである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
Lが、C1−C10アルキリデンである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
Lが、C2−C6アルキリデンである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
Lが、非分岐状、非置換、非環状アルキル鎖である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
Lが、以下:
【化8】
のものから選択される請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
Lが、以下:
【化9】
のものから選択される請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
Lが、
【化10】
である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
式(Ia):
【化11】
の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物であって、式中、nは、0〜15の整数である、化合物。
【請求項25】
式(Ib):
【化12】
の請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む)であり;
mは、1〜5の整数(両端を含む)であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項26】
nが、1〜8の整数(両端を含む)である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
nが、5、6または7である、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
nが6である、請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
mが1である、請求項25〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
mが2である、請求項25〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
mが3である、請求項25〜28のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
R1が、置換または非置換1,3−ジオキサン環を含む請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
R1がハロゲンである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
R1が−ORAである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
R1が−N(RA)2である、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
R1が−NHRAである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。,
【請求項37】
R1がC1−C6アルキルである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項38】
R1が、置換または非置換アシルである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項39】
R1が、−C(=O)ORA(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
R1が、−C(=O)N(RA)2(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
R1が−C(=O)NH2である、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
R1が−CHOである、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
R1が、−NHC(=O)RA(式中、RAはC1−C6アルキルである)である、請求項25〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
式(Ic):
【化13】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは1〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項45】
式:
【化14】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは1〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項46】
式:
【化15】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは1〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項47】
式:
【化16】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜15の整数(両端を含む);好ましくは0〜10(両端を含む);より好ましくは1〜8(両端を含む);さらにより好ましくは4、5、6、7または8であり;
R1は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORA;−C(=O)RA;−CO2RA;−CN;−SCN;−SRA;−SORA;−SO2RA;−NO2;−N(RA)2;−NHC(O)RA;または−C(RA)3であり;ここで、各RAは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項48】
nが、1〜8の整数(両端を含む)である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項49】
nが、5、6または7である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項50】
nが6である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項51】
R1が置換または非置換1,3−ジオキサン環を含む請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項52】
R1がハロゲンである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項53】
R1が−ORAである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項54】
R1が−N(RA)2である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項55】
R1が−NHRAである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項56】
R1がC1−C6アルキルである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項57】
R1が置換または非置換アシルである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項58】
R1が−C(=O)ORA(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項59】
R1が−C(=O)N(RA)2(式中、RAは、水素またはC1−C6アルキルである)である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項60】
R1が−C(=O)NH2である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項61】
R1が−CHOである、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項62】
R1が−NHC(=O)RA(式中、RAはC1−C6アルキルである)である、請求項44、45、46または47に記載の化合物。
【請求項63】
式(If):
【化17】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、nは、1〜6の整数(両端を含む)である、化合物。
【請求項64】
Arが、置換または非置換フェニルである、請求項63に記載の化合物。
【請求項65】
式(Ig):
【化18】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項66】
R2が、−CH2−X(RB)n(式中、XはO、SまたはNであり;nは1または2である)である、請求項65に記載の化合物。
【請求項67】
式(Ih):
【化19】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
nは、1〜6の整数(両端を含む)であり;
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;(ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項68】
式(Ii):
【化20】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項69】
式(Ij):
【化21】
の請求項1に記載の化合物であって、式中、
R2は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORB;−C(=O)RB;−CO2RB;−CN;−SCN;−SRB;−SORB;−SO2RB;−NO2;−N(RB)2;−NHC(O)RB;または−C(RB)3であり;ここで、各RBは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分であり;
R3は、水素;ハロゲン;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状脂肪族;環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロ脂肪族;置換または非置換、分岐または非分岐状アシル;置換または非置換、分岐または非分岐状アリール;置換または非置換、分岐または非分岐状ヘテロアリール;−ORC;−C(=O)RC;−CO2RC;−CN;−SCN;−SRC;−SORC;−SO2RC;−NO2;−N(RC)2;−NHC(O)RC;または−C(RC)3であり;ここで、各RCは、独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;またはヘテロアリールチオ部分である、化合物。
【請求項70】
R2が
【化22】
である、請求項65、66、67、68または69のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項71】
式(Il):
【化23】
の請求項68に記載の化合物であって、式中、
nは、0〜5の整数(両端を含む)であり;
Zは、水素、−(CH2)qORZ、−(CH2)qSRZ、−(CH2)qN(RZ)2、−C(=O)RZ、−C(=O)N(RZ)2、またはアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリールまたは−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分であり、ここで、qは0〜4であり、各RZは、独立して、水素、保護基、固形支持体単位、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリール、または−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である、化合物。
【請求項72】
式:
【化24】
の請求項71に記載の化合物。
【請求項73】
式
【化25】
【化26】
の請求項1に記載の化合物。
【請求項74】
請求項1〜73のいずれか1項に記載の化合物と、医薬的に許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項75】
ヒストンデアセチラーゼを阻害する方法であって、ヒストンデアセチラーゼを、請求項1〜34のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程を含む、方法。
【請求項76】
前記ヒストンデアセチラーゼが精製されている請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記ヒストンデアセチラーゼが細胞内にある、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記ヒストンデアセチラーゼがHDAC6である、請求項75、76または77に記載の方法。
【請求項79】
増殖性疾患を患う対象を治療する方法であって、治療に有効な量の請求項1〜34の1つに記載の化合物を対象に投与する工程を含む方法。
【請求項80】
前記対象が哺乳類である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記対象がヒトである、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記増殖性疾患が癌である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項83】
前記増殖性疾患が、炎症性疾患である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項84】
前記増殖性疾患が、皮膚に関連する増殖性疾患である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項85】
前記増殖性疾患が、皮膚T細胞リンパ腫である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項86】
前記増殖性疾患が皮膚癌である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項87】
前記増殖性疾患が、良性の皮膚増殖である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項88】
前記増殖性疾患が乾癬である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項89】
前記増殖性疾患が皮膚炎である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項90】
前記増殖性疾患が神経線維腫症である、請求項79、80または81に記載の方法。
【請求項91】
前記投与工程が、前記化合物を局所的に投与することを含む請求項79〜90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記化合物を、エステラーゼによって、インビボで切断する請求項79〜90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記化合物を、血流中に見出されるエステラーゼによって切断する請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記化合物を、エステラーゼによってインビボで不活性化する請求項79〜90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記化合物を、血流中に見出されるエステラーゼによって不活性化する請求項94に記載の方法。
【請求項96】
脱毛を患う対象を治療する方法であって、治療に有効な量の請求項1〜73のいずれか1項に記載の化合物を対象に投与する工程を含む方法。
【請求項97】
皮膚色素過剰を患う対象を治療する方法であって、治療に有効な量の治療に有効な量の請求項1〜73のいずれか1項に記載の化合物を対象に投与する工程を含む方法。
【請求項98】
請求項1〜73のいずれか1項に記載の化合物を投与する方法であって、請求項1〜72のいずれか1項に記載の化合物を対象に局所的に投与する工程を含む方法。
【請求項99】
前記投与工程が、前記化合物を前記対象の皮膚に投与することを含む請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記投与工程が、前記化合物を前記対象の毛髪に投与することを含む請求項98に記載の方法。
【請求項101】
式(IIIA)の化合物を合成するための方法であって、
構造:
【化27】
を有するエポキシアルコールを提供する工程と、
該エポキシアルコールを、構造:R2XHを有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【化28】
を有するジオールを生成する工程と、
該ジオールを、構造:R3CH(OMe)2を有する試薬と好適な条件下で反応させ、式(IIIA):
【化29】
の化合物を生成する工程とを含み、式中、
R1は、水素、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
R2は、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
Xは、−O−、−C(R2A)2−、−S−または−NR2A−であり、ここで、R2Aは、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;または
2個以上のR2およびR2Aが一緒になり、脂環式または複素環状部分、あるいはアリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
R3は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
RZは、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり、これらは、場合によっては、固形支持体に結合する、方法。
【請求項102】
式:
【化30】
の化合物を合成する方法であって、
構造:
【化31】
を有するエポキシアルコールを提供する工程と、
該エポキシアルコールを、構造:R2XHを有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【化32】
を有するジオールを生成する工程と、
該ジオールを、好適な条件下で、構造:
【化33】
(式中、R4Cは、窒素保護基である)を有する試薬に供し、構造:
【化34】
を有するアミンを生成する工程と、
該アミンを、構造:
【化35】
を有する試薬と好適な条件下で反応させ、コア構造:
【化36】
を有する骨格を生成する工程とを含み、式中、
R1は、水素、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
R2は、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;
Xは、−O−、−C(R2A)2−、−S−または−NR2A−であり、ここで、R2Aは、水素、保護基、あるいは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり;または
2個以上のR2およびR2Aが一緒になって、脂環式または複素環状部分、あるいはアリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
rは、0または1であり;
sは、2〜5の整数であり;
wは、0〜4の整数であり;
R4Aは、金属キレーターを含み;
各R4Dは、独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、複素環、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、CN、NO2またはWRW1(式中、Wは、O、S、NRW2、−C(=O)、−S(=O)、−SO2、−C(=O)O−、−OC(=O)、−C(=O)NRW2、−NRW2C(=O)である)であり;ここで、RW1およびRW2は、それぞれ独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分、あるいはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリール部分、あるいはWがNRW2の場合、RW1およびRW2は、これらが結合する窒素原子と一緒になって、複素環またはヘテロアリール部分を形成し;あるいは任意の隣り合う2個のR2Bは、これらが結合する原子と一緒になって、置換または非置換、飽和または不飽和脂環式または複素環状部分、あるいは置換または非置換アリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
RZは、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分であり、これらは場合によっては固形支持体に結合する、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2009−526865(P2009−526865A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555472(P2008−555472)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/062152
【国際公開番号】WO2007/095584
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【出願人】(502206795)ダナ−ファーバー キャンサー インスティチュート,インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/062152
【国際公開番号】WO2007/095584
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【出願人】(502206795)ダナ−ファーバー キャンサー インスティチュート,インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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