説明

ヒートツールおよび熱圧着装置

【課題】発熱体の加圧面の温度を全長に亘って均一化することができるヒートツールを得ることにある。
【解決手段】複数の第1の被接合子と複数の第2の被接合子とを重ね合わせて一括して半田付けするヒートツールは、通電により発熱する発熱体と、発熱体を支持するホルダと、を備えている。発熱体は、第1および第2の被接合子と向かい合うとともに、第1および第2の被接合子の配列方向に沿って延びる細長い加圧面を有している。ホルダは、発熱体の長手方向に延びて加圧面の長手方向と直交する方向から発熱体を挟み込むとともに、発熱体に電気的に接続された一対の支持部と、各支持部の長手方向に沿う端部に設けられ、支持部よりも熱容量が大きい電流供給部と、を含んでいる。電流供給部の外周部分に、冷却媒体が吹き付けられる放熱部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば複数のリード端子をプリント配線板に一括してはんだ付けする際に用いるヒートツールおよびヒートツールを有する熱圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばテープキャリアパッケージの複数のリード端子を、プリント配線板の複数の導体パターンにはんだ付けする方法として、パルスヒータ法が知られている。
【0003】
パルスヒータ法では、金属製の発熱体を用いてリード端子を導体パターンに押し付けるとともに、発熱体にパルス電流を供給して発熱体を発熱させ、これにより、リード端子および導体パターンにコーティングされたはんだを発熱体の熱で溶かして、はんだ付けを行っている。
【0004】
発熱体は、複数のリード端子と複数の導体パターンとを一括してはんだ付けするため、数多くのリード端子と導体パターンとのはんだ付け部分を短時間のうちに均等に加熱することが必要となる。
【0005】
このため、従来では、発熱体に熱電対を溶接し、熱電対が出力する熱起電力に基づいて発熱体に供給されるパルス電流を制御することで、発熱体の全体の温度の均一化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−227918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発熱体に対する通電は、発熱体の温度に応じてON・OFFされるために、実際問題として発熱体の端部と発熱体の中央部との間に温度差が生じている。
【0008】
発熱体の長手方向に沿う温度分布にばらつきがあると、全てのリード端子と導体パターンとを均等にはんだ付けすることができなくなり、はんだ付け不良を招く要因となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、複数の第1の被接合子と複数の第2の被接合子とを重ね合わせて一括して半田付けするヒートツールは、通電により発熱する発熱体と、発熱体を支持するホルダと、を備えている。
発熱体は、第1および第2の被接合子と向かい合うとともに、第1および第2の被接合子の配列方向に沿って延びる細長い加圧面を有している。ホルダは、発熱体の長手方向に延びて加圧面の長手方向と直交する方向から発熱体を挟み込むとともに、発熱体に電気的に接続された一対の支持部と、各支持部の長手方向に沿う端部に設けられ、支持部よりも熱容量が大きい電流供給部と、を含んでいる。電流供給部の外周部分に、冷却媒体が吹き付けられる放熱部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る熱圧着装置の斜視図。
【図2】第1の実施形態に係るヒートツールの平面図。
【図3】第1の実施形態に係るヒートツールの底面図。
【図4】第1の実施形態に係るヒートツールの側面図。
【図5】第1の実施形態に係るヒートツールが備える発熱体の斜視図。
【図6】第1の実施形態に係るヒートツールの断面図。
【図7】第1の実施形態において、ヒートツールの長手方向に沿う中央部の温度と、ヒートツールの長手方向に沿う端部の温度との関係を示す特性図。
【図8】第2の実施形態に係る熱圧着装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、図1ないし図7を参照して説明する。
【0012】
図1は、プリント配線板1にテープキャリアパッケージ2をはんだ付けする際に使用する熱圧着装置3を開示している。プリント配線板1は、例えばインクジェットヘッドの基板を構成する要素であり、その表面1aに複数の導体パターン4が形成されている。導体パターン4は、インクジェットヘッドの複数の電極から引き出されている。導体パターン4の先端は、夫々角形のランド4aを構成している。ランド4aは、第1の被接合子の一例である。ランド4aは、互いに間隔を存して一列に並んでいるとともに、予めはんだでコーティングされている。
【0013】
テープキャリアパッケージ2は、チップ部品が実装された可撓性フィルム5と、可撓性フィルム5に形成された複数の導体パターン6とを有している。導体パターン6の先端は、夫々リード端子6aを構成している。リード端子6aは、第2の被接合子の一例であって、ランド4aに対応するように互いに間隔を存して一列に並んでいる。さらに、リード端子6aは、可撓性フィルム5の外周縁から突出されているとともに、予めはんだでコーティングされている。
【0014】
熱圧着装置3は、パルスヒータ法を用いてテープキャリアパッケージ2のリード端子6aをプリント配線板1のランド4aに一括してはんだ付けするためのものである。
【0015】
図1ないし図4および図6に示すように、熱圧着装置3は、テーブル9およびヒートツール10を備えている。テーブル9は、プリント配線板1およびテープキャリアパッケージ2が載置されるもので、上下方向および水平方向に個々に位置調整が可能となっている。プリント配線板1およびテープキャリアパッケージ2は、ランド4aの上にリード端子6aが重なるように位置決めされた状態で、テーブル9の上に載置されている。
【0016】
ヒートツール10は、発熱体11と、電極を兼ねるホルダ12とを備えている。発熱体11は、例えばチタンのような耐熱合金製であり、ランド4aおよびリード端子6の配列方向に沿って延びている。
【0017】
図5に示すように、発熱体11は、本体13と加熱部14とを有する一体構造物である。本体13は、溝15によって分割された第1のねじ受け部16aおよび第2のねじ受け部16bを有している。第1および第2のねじ受け部16a,16bは、ランド4aおよびリード端子6の配列方向に沿って延びる細長い板であり、溝15を間に挟んで互いに平行に配置されている。
【0018】
第1および第2のねじ受け部16a,16bは、夫々垂直な接触面17と傾斜面18とを有している。接触面17は、溝15の反対側に位置されて発熱体11の外に露出されている。傾斜面18は、接触面17の下端に連なるとともに、接触面17の下方に進むに従い溝15に近づく方向に傾いている。したがって、第1および第2のねじ受け部16a,16bの下部は、下方に進むに従い先細り状に形成されている。
【0019】
複数のねじ孔19が第1および第2のねじ受け部16a,16bに形成されている。ねじ孔19は、接触面17および溝15に開口されているとともに、第1および第2のねじ受け部16a,16bの長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。
【0020】
加熱部14は、第1のねじ受け部16aの下端および第2のねじ受け部16bの下端に連続するように、第1および第2のねじ受け部16a,16bと一体化されている。加熱部14は、一対の垂直な側面20a,20bを有している。側面20a,20bは、第1および第2のねじ受け部16a,16bの傾斜面18の下端から下向きに延びている。
【0021】
さらに、加熱部14は、発熱体11の下端に位置されて溝15の底を規定している。加熱部14の下端は、フラットな加圧面21を構成している。加圧面21は、全てのリード端子6aを一括してランド4aに押し付けるためのもので、ランド4aおよびリード端子6aの配列方向に沿って一直線状に延びている。加圧面21の全長L1は、リード端子6aの配列方向に沿う全長L2を上回っている。加圧面21の幅は、リード端子6の幅と同等か、それ以下となっている。
【0022】
一方、ヒートツール10のホルダ12は、発熱体11の本体13を挟み込んで支持する第1の支持ブロック23および第2の支持ブロック24を備えている。図1ないし図4に示すように、第1および第2の支持ブロック23,24は、互いに共通の構成であり、互換性を有している。
【0023】
具体的には、第1の支持ブロック23および第2の支持ブロック24は、夫々支持部25と電流供給部26とで構成されている。支持部25および電流供給部26は、例えば真鍮あるいは黄銅のような熱伝導性に優れた金属材料で一体に形成されている。それとともに、支持部25および電流供給部26の外周面に金めっきが施されている。
【0024】
第1の支持ブロック23の支持部25は、発熱体11の第1のねじ受け部16aを支えるための要素であって、第1のねじ受け部16aに沿って延びる四角い柱状に形成されている。支持部25の全長は、第1のねじ受け部16aの全長と同等である。
【0025】
図6に示すように、第1の支持ブロック23の支持部25は、接合面27と、複数のねじ挿通孔28とを有している。接合面27は、第1のねじ受け部16aの接触面17に突き合わされるフラットな面である。ねじ挿通孔28は、発熱体11のねじ孔19に対応するように、支持部25の長手方向に間隔を存して一列に並んでいる。
【0026】
複数のねじ29がねじ挿通孔28を通じてねじ孔19にねじ込まれている。ねじ29は、発熱体11の第1のねじ受け部16aと第1の支持ブロック23の支持部25とを一体的に結合している。この結合により、第1のねじ受け部16aの接触面17が支持部25の接合面27に全面的に押し付けられて、第1のねじ受け部16aと支持部25との間が電気的に接続された状態に保たれている。
【0027】
第2の支持ブロック24の支持部25は、発熱体11の第2のねじ受け部16bを支えるための要素であって、第2のねじ受け部16bに沿って延びる四角い柱状に形成されている。第2の支持ブロック24の支持部25は、第1の支持ブロック23の支持部25と同一の構成を有するため、第1の支持ブロック23と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0028】
図6に最もよく示されるように、発熱体11の本体13は、第1の支持ブロック23の支持部25と第2の支持ブロック24の支持部25との間で挾持されている。第1の支持ブロック23の支持部25と第2の支持ブロックの支持部25とは、発熱体11を間に挟んで互いに切り離されている。
【0029】
言い換えると、第1の支持ブロック23の支持部25と第2の支持ブロックの支持部25とは、発熱体11を介して間接的に接続された状態に保たれている。
【0030】
一方、第1の支持ブロック23の電流供給部26は、支持部25の一端から支持部25の長手方向に沿って突出されている。さらに、電流供給部26は、膨出部31を有している。膨出部31は、発熱体11の長手方向に沿う一端を横切って第2の支持ブロック24の支持部25に向けて一体的に張り出している。
【0031】
そのため、発熱体11の幅方向に沿う電流供給部26の断面積は、発熱体11の幅方向に沿う支持部25の断面積よりも大きくなっている。この結果、第1の支持ブロック23の電流供給部26は、この電流供給部26に連なる支持部25の一端よりも熱容量が大きくなっている。
【0032】
第2の支持ブロック24の電流供給部26は、支持部25の一端から支持部25の長手方向に沿って突出されている。第2の支持ブロック24の電流供給部26は、第1の支持ブロック23の電流供給部26と同様の膨出部31を有している。膨出部31は、発熱体11の長手方向に沿う他端を横切って第1の支持ブロック23の支持部25に向けて一体的に張り出している。したがって、第2の支持ブロック24の電流供給部26は、この電流供給部26に連なる支持部25の一端よりも熱容量が大きくなっている。
【0033】
図3に最もよく示されるように、第1の支持ブロック23の電流供給部26の膨出部31は、発熱体11の長手方向に沿う一端と向かい合い、第2の支持ブロック24の電流供給部26の膨出部31は、発熱体11の長手方向に沿う他端と向かい合っている。この結果、第1の支持ブロック23および第2の支持ブロック24は、互いに協働して発熱体11の本体13を取り囲んでいる。
【0034】
図1ないし図4に示すように、複数のスリット32が膨出部31を含む電流供給部26の外周部に形成されている。スリット32は、電流供給部26の厚さ方向に延びているとともに、電流供給部26の周方向に間隔を存して並んでいる。
【0035】
隣り合うスリット32は、電流供給部26の外周部に複数の放熱フィン33を規定している。放熱フィン33は、放熱部の一例であって、電流供給部26の外に露出されている。
【0036】
第1の支持ブロック23の電流供給部26および第2の支持ブロック24の電流供給部26に夫々ボルト35を介して電源ケーブル36a,36bが接続されている。電源ケーブル36a,36bは、交流電源37に接続されている。
【0037】
第1および第2の支持ブロック23,24に交流電源37から交流電圧が印加されると、ヒートツール10にパルス電流が流れる。すなわち、パルス電流は、第1の支持ブロック23から発熱体11を介して第2の支持ブロック24に流れるとともに、交流電源37の位相が変わると、第2の支持ブロック24から発熱体11を介して第1の支持ブロック23に流れる。これにより、発熱体11の温度が上昇し、加圧面21がはんだ付けに最適な設定温度に到達する。
【0038】
第1の実施形態では、二つの熱電対38を用いて発熱体11の温度を制御している。熱電対38は、加熱部14の一方の側面20aに溶接されて、加熱部14の長手方向に沿う中央部の温度に応じた熱起電力を出力する。熱起電力は、図示しない制御回路に入力される。制御回路は、発熱体11が適正な温度を保つように発熱体11に流すパルス電流を位相角制御する。
【0039】
具体的に述べると、図7は、発熱体11に通電した時の加熱部14の温度特性を示すもので、図中Aは、目標とする加熱部14の温度特性を示し、図中Bは、実際の加熱部14の長手方向に沿う中央部の温度特性を示している。制御回路は、熱電対38が出力する熱起電力に基づいて、加熱部14の長手方向に沿う中央部の温度が目標とする温度特性Aに追従するように発熱体11に流すパルス電流を位相角制御する。
【0040】
この結果、通電開始とともに加熱部14の長手方向に沿う中央部の温度が上昇し始め、通電開始から所定の時間を経過した時点で、加熱部14の中央部の温度が設定値に到達する。
【0041】
図1に示すように、ヒートツール10は、例えばツール駆動機構のスピンドル40に支持されて、待機位置と加圧位置との間で昇降動が可能となっている。待機位置では、ヒートツール10がプリント配線板1およびテープキャリアパッケージ2の上方に遠ざかった位置に退いている。加圧位置では、ヒートツール10が待機位置から降下して、発熱体11の加圧面21がテープキャリアパッケージ2のリード端子6aをプリント配線板1のランド4aとの間で挟み込んで加圧する。
【0042】
図1および図3に示すように、第1の実施形態の熱圧着装置3は、冷却手段の一例である第1のノズル42aおよび第2のノズル42bを備えている。第1のノズル42aは、第1の支持ブロック23を構成する電流供給部26に対応するものであり、ヒートツール10が加圧位置に降下した時に、電流供給部26の放熱フィン33と向かい合う。第1のノズル42aは、放熱フィン33に冷却媒体としての空気を吹き付ける。
【0043】
第2のノズル42bは、第2の支持ブロック24を構成する電流供給部26に対応するものであり、ヒートツール10が加圧位置に降下した時に、電流供給部26の放熱フィン33と向かい合う。第2のノズル42bは、放熱フィン33に冷却媒体としての空気を吹き付ける。
【0044】
テープキャリアパッケージ2のリード端子6aをプリント配線板1のランド4aにはんだ付けする際には、まず、スピンドル40に支持されたヒートツール10が待機位置から加圧位置に降下する。これにより、発熱体11の下端の加圧面21が全てのリード端子6aに接触し、リード端子6aを所定の加圧力でランド4aに押し付ける。
【0045】
次に、交流電源37からヒートツール10にパルス電流が供給され、第1および第2の支持ブロック23,24に支持された発熱体11にパルス電流が流れ始める。これにより、発熱体11の温度が上昇する。発熱体11の加熱部14の温度は、目標とする温度特性Aに追従するように制御されて、はんだ付けに最適な設定値に保たれる。
【0046】
加熱部14の熱は、加圧面21からリード端子6aとランド4aとの接触部に伝わる。これにより、リード端子6aおよびランド4aにコーティングされたはんだが瞬時に溶融する。この結果、複数のリード端子6aが一括して複数のランド4aにはんだ付けされる。
【0047】
第1の実施形態によると、ヒートツール10の発熱体11の温度が上昇すると、発熱体11の熱が第1および第2の支持ブロック23,24に伝わる。さらに、第1および第2の支持ブロック23,24にしても固有の抵抗値を有するので、第1および第2の支持ブロック23,24にパルス電流が流れると、第1および第2の支持ブロック23,24が発熱する。
【0048】
第1および第2の支持ブロック23,24の電流供給部26は、発熱体11を支持する支持部25の端部に比べて発熱体11の幅方向に沿う断面積が大きく、その分、熱容量が大きい。
【0049】
そのため、電流供給部26に熱が蓄えられてしまい、発熱体11に対する通電が遮断された以降においても、電流供給部26は支持部25よりも高温の状態に維持される。この結果、電流供給部26と隣り合う発熱体11の端部は、通電が遮断された以降においても電流供給部26の熱影響を受けて発熱体11の長手方向の中央部よりも温度が高い状態となるのを否めない。
【0050】
したがって、発熱体11への通電を再開させた場合、発熱体11の中央部に比べて発熱体11の端部の温度の立ち上がりが早くなり、発熱体11の端部は、図7にCで示すような温度特性となる。
【0051】
すなわち、通電開始から発熱体11の温度が設定値に到達するまでの立ち上がり期間中に、発熱体11の端部の温度が目標とする温度特性Aに追従することができなくなり、発熱体11の端部の温度が目標値を一時的に上回る。
【0052】
第1の実施形態では、発熱体11の端部の温度が目標とする温度特性Aを外れようとする通電開始後の立ち上がり期間中に、熱が蓄えられ易い電流供給部26に第1および第2のノズル42a,42bから空気を吹き付けて、電流供給部26を強制的に冷却している。
【0053】
さらに、電流供給部26に複数の放熱フィン33を設けることで、第1および第2のノズル42a,42bから噴き出す空気と電流供給部26との接触面積を増やして、電流供給部26の放熱性能を高めている。
【0054】
この結果、発熱体11の端部に対する電流供給部26の熱影響が緩和され、発熱体11の端部は、図7に示すように目標とする温度特性Aに追従するような温度特性Dを示すことになる。
【0055】
このことから、第1および第2の支持ブロック23,24の電流供給部26に空気を吹き付けるだけの簡単な構成で、発熱体11の端部の温度を適正に制御することができ、加熱面21の長手方向に沿う発熱体11の温度を均等化することができる。
【0056】
よって、第1の実施形態によれば、全てのリード端子6aとランド4aとを均等にはんだ付けすることができ、はんだ付け不良を防止できるといった利点がある。
【0057】
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態を開示している。
【0058】
第2の実施形態は、電流供給部の放熱性能を高めるための構成が第1の実施形態と相違している。これ以外のヒートツールの構成は、第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
図8に示すように、第1および第2の支持ブロック23,24の電流供給部26は、夫々突起51を有している。突起51は、放熱部の一例であって、電流供給部26の膨出部31から発熱体11の幅方向に水平に突出されている。
【0060】
冷却用の空気を噴き出す第1のノズル42aは、第1の支持ブロック23に対応する突起51の先端と向かい合っている。同様に、冷却用の空気を噴き出す第2のノズル42bは、第2の支持ブロック24に対応する突起51の先端と向かい合っている。
【0061】
このような第2の実施形態によると、第1および第2のノズル42a,42bから第1および第2の支持ブロック23,24の突起51に空気を吹き付けることで、熱が蓄えられ易い電流供給部26を強制的に冷やすことができる。しかも、突起51の存在により、第1および第2のノズル42a,42bから噴き出す空気と電流供給部26との接触面積が増大し、電流供給部26の放熱性能を高めることができる。
【0062】
したがって、第1の実施形態と同様に、発熱体11の端部に対する電流供給部26の熱影響が緩和され、発熱体11の端部の温度を適正に制御することができる。この結果、加熱面21の長手方向に沿う発熱体11の温度を均等化することができ、全てのリード端子6aとランド4aとを均等にはんだ付けすることができる。
【0063】
第2の実施形態において、突起の数は一つに限らず、例えば複数の突起を電流供給部の外周部から放射状に突出させてもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
4a…第1の被接合子(ランド)、6a…第2の被接合子(リード端子)、10…ヒートツール、12…ホルダ(電極)、21…加圧面、25…支持部、26…電流供給部、33,51…放熱部(放熱フィン、突起)、42a,42b…冷却手段(第1のノズル、第2のノズル)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を存して配列された複数の第1の被接合子と、前記第1の被接合子に対応するように配列された複数の第2の被接合子とを互いに重ね合わせて一括して半田付けするヒートツールであって、
前記第1および第2の被接合子と向かい合うとともに、前記第1および第2の被接合子の配列方向に沿って延びる細長い加圧面を有し、通電により発熱する発熱体と、
前記発熱体を支持するホルダであって、前記発熱体の長手方向に延びて前記加圧面の長手方向と直交する方向から前記発熱体を挟み込むとともに、前記発熱体に電気的に接続された一対の支持部と、前記各支持部の長手方向に沿う端部に設けられ、前記支持部よりも熱容量が大きい電流供給部と、前記電流供給部の外周部分に設けられ、冷却媒体が吹き付けられる放熱部と、を含むホルダと、を具備したヒートツール。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記放熱部は、複数の放熱フィンを有し、前記放熱フィンは、前記電流供給部の外周部分に間隔を存して設けられた複数のスリットの間で規定されたヒートツール。
【請求項3】
請求項1の記載において、前記放熱部は、前記電流供給部の外周部分から突出された少なくとも一つの突起であるヒートツール。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項の記載において、前記一方の支持部に対応する前記電流供給部は、前記発熱体の長手方向に沿う一端に位置し、前記他方の支持部に対応する前記電流供給部は、前記発熱体の長手方向に沿う他端に位置されたヒートツール。
【請求項5】
請求項4の記載において、前記一方の支持部に対応する前記電流供給部は、前記発熱体の長手方向に沿う一端を横切って前記他方の支持部の方向に張り出す膨出部を有し、前記他方の支持部に対応する前記電流供給部は、前記発熱体の長手方向に沿う他端を横切って前記一方の支持部の方向に張り出す膨出部を有するヒートツール。
【請求項6】
請求項5の記載において、前記電流供給部は、前記発熱体の長手方向と直交する方向に沿う幅寸法が前記支持部よりも大きいヒートツール。
【請求項7】
互いに間隔を存して配列された複数の第1の被接合子と、前記第1の被接合子に対応するように配列された複数の第2の被接合子とを互いに重ね合わせて加圧する細長い加圧面を有し、通電により発熱する発熱体と、
前記発熱体に電気的に接続された電極であって、前記発熱体の長手方向に延びて前記加圧面の長手方向と直交する方向から前記発熱体を挟み込んで支持するとともに、互いに電気的に絶縁された一対の支持部と、前記各支持部の長手方向に沿う端部に設けられ、前記支持部よりも熱容量が大きい電流供給部と、前記電流供給部の外周部分に設けられた放熱部と、を含む電極と、
前記電極の前記放熱部に冷却媒体を供給する冷却手段と、
を具備した熱圧着装置。
【請求項8】
請求項7の記載において、前記発熱体の長手方向に沿う中央部に取り付けられた熱電対をさらに備えており、前記熱電対が出力する熱起電力に基づいて前記電極の前記電流供給部に供給されるパルス電流を制御する熱圧着装置。
【請求項9】
請求項8の記載において、前記放熱部は、複数の放熱フィンを有し、前記放熱フィンは、前記電流供給部の外周部分に間隔を存して設けられた複数のスリットの間で規定されているとともに、前記冷却手段は、前記放熱フィンに向けて前記冷却媒体を吹き付けるノズルを含む熱圧着装置。
【請求項10】
請求項8の記載において、前記放熱部は、前記電流供給部の外周部分から突出された少なくとも一つの突起を有し、前記冷却手段は、前記突起に向けて前記冷却媒体を吹き付けるノズルを含む熱圧着装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10の記載において、前記冷却手段は、前記発熱体に通電を開始してから前記発熱体の長手方向に沿う中央部の温度が予め設定された値に達するまでの期間中に、前記放熱部に前記冷却媒体を吹き付ける熱圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−178414(P2012−178414A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39909(P2011−39909)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】