説明

ビシクロオクタン誘導体類、ビシクロオクタン誘導体類の調製方法、および、ビシクロオクタン誘導体類の薬学的使用

本発明は、以下の一般式(I)で示される新規なビシクロオクタン誘導体類、これらを含む調製方法および薬学組成物類、並びに使用、特に、明細書にて規定されるジペプチジルペプチダーゼIVインヒビター(DPPIV)としての使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、新規なビシクロオクタン誘導体類、ビシクロオクタン誘導体類の調製方法、ビシクロオクタン誘導体類を含む薬学組成物類、および、ビシクロオクタン誘導体類の治療への使用、特に、ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビターとしての、ビシクロオクタン誘導体類の薬学的使用に関するものである。
【0002】
〔背景技術〕
糖尿病は、複数の要因から生じ、インシュリン分泌および/またはインシュリン分泌動作の欠陥により生じる、糖、脂肪およびタンパクの代謝異常を伴う、血漿のブドウ糖レベルの上昇すなわち高血糖症により特徴付けられる病状に関するものである。糖尿病は、古からの病気であり、人体での、インシュリンの欠如または減少が原因となって、血液中でのブドウ糖の濃度の増加を招来する。上記血液中での濃度が増加したブドウ糖は、主に、尿中に排出されて、多飲、多尿、過食、体重減少、目まい、虚弱、および他の、各病状を伴う。
【0003】
ジペプチジルペプチダーゼ‐IV(DPPIV)は、好ましくは、最後から2番目の位置にプロリン残基を含むペプチド鎖から、N‐末端ジペプチドを開裂するセリンプロテアーゼである。DPPIVの哺乳類器官における生物学的役割はまだ完全には確立されていないが、ニューロペプチド代謝、T‐細胞活性化、癌細胞の内皮への結合およびHIVのリンパ細胞への侵入に重要な役割を担うと考えられている(WO98/19998号)。
【0004】
近年、DPPIVは、グルカゴン様ペプタイド(GLP)‐1の分泌を阻害するための原因となることが発見された。より具体的には、DPPIVは、GLP‐1のHis‐Alaジペプタイドのアミノ末端を開裂して、活性型のGLP‐1(7‐36)NHを、不活性型のGLP‐1(9‐36)NHに分解する(Endocrinology, 1999, 140: 5356-5363)。GLP‐1の半減期が短い生理学的な条件下では、DPPIVにより分解されたGLP‐1からの不活性型の代謝物は、GLP‐1レセプタと結合できて、活性型のGLP‐1と拮抗するので、GLP‐1への生理学的な応答は、低減される。生体内のGLP‐1、生体外のGLP‐1であっても、DPPIVにより不活性化されることから、DPPIVインヒビターにより完全に保護され得、その場合には、GLP‐1の生物活性は、顕著に増加する(5倍から10倍)。GLP‐1は、膵臓でのインシュリン分泌の主な刺激体であり、ブドウ糖の処理に対して直接的に影響するものなので、DPPIVインヒビターは、インシュリン非依存型の糖尿病(NIDDM)の治療のために極めて有用なものである(米国特許第6110949号公報)。
【0005】
〔発明の要約〕
したがって、本発明は、下記の式(I)の化合物または上記化合物の薬学的に許容され得る塩に関するものであり、
【0006】
【化1】

【0007】
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アミノカルボニルアルキル基、アミドアルキル基、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基、およびアミノアルキル基からなるグループから選択され、上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、3員環から8員環までを形成する原子に共に結合され、3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択される1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
nは、0から4までの整数であり、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数である。
【0008】
さらに、本発明は、下記の式(IA)の化合物を含み、
【0009】
【化2】

【0010】
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アミノカルボニルアルキル基、アミドアルキル基、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基、およびアミノアルキル基からなるグループから選択され、上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、3員環から8員環までを形成する原子に共に結合され、3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択される1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数である。
【0011】
上記式(I)の化合物、または、上記化合物の薬学的に供される塩では、好ましくは、Rは、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基であり、上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の基により置換され、
は、水素または水酸基であり、Rは、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記3員環から8員環までの内の5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数である。
【0012】
上記式(I)の化合物、または、上記化合物の薬学的に許容され得る塩では、好ましくは、Rは、下記の式のものであり、
【0013】
【化3】

【0014】
は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択され、
Xは、C、S、またはOであり、好ましくは、nは0である。
【0015】
他の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物または薬学的に許容され得る塩、すなわち、上記式(I)の化合物は、遊離型、および酸付加塩の、薬学的に許容され得る形態であり、上記塩は、塩酸、メタンスルホン酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酢酸、およびトリフルオロ酢酸からなるグループから選択される酸と形成された塩を含み、上記酸としては、好ましくは、塩酸およびトリフルオロ酢酸である。
【0016】
本発明は、式(I)の化合物の調製方法に関し、上記調製方法は、
【0017】
【化4】

【0018】
出発原料であるテトラヒドロ‐ペンタレン‐2,5‐ジオン(I‐1a)を、エチレングリコールと、触媒としてのp‐トルエンスルホン酸の存在下にて、ベンゼン溶媒中での加熱還流を通して反応させて、保護された、7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン(I‐1b)を得るステップと、
【0019】
【化5】

【0020】
上記得られた7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン(I‐1b)を、室温にて、NaBHにより還元して、3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を得るステップと、
【0021】
【化6】

【0022】
上記得られた3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を、酢酸エチルおよび水の混合溶媒中にて、シュウ酸と反応させて、5‐ハイドロキシ‐ヘキサハイドロ‐ペンタレン‐2‐オン(I‐1e)を得るステップ、
【0023】
【化7】

【0024】
または、上記得られた3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を、種々のイソシアネートおよびトリメチルクロロシランと、室温にて反応させる、または、エーテル溶媒中にて種々のグリニャール試薬と反応させ、その後、反応生成物を、さらに2Nの塩酸により酸性化して、上記式(I‐1d)の化合物を得るステップと、
【0025】
【化8】

【0026】
上記式(I‐1a)、上記式(I‐1d)または上記式(I‐1e)の各化合物を、それぞれ、独立に、種々の互いに等価なアミンと、メタノール溶媒中にて、トリエトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよびトリエチルアミンの存在下、室温にて反応させて、式(IA)の化合物を得るステップとを含み、
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アミノカルボニルアルキル基、アミドアルキル基、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基、およびアミノアルキル基からなるグループから選択され、上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、3員環から8員環までを形成する原子に共に結合され、3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択される1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記3員環から8員環までの内の5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、Rは、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数である。
【0027】
上述した調製方法において、好ましくは、Rは、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基であり、上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の基により置換され、
は、水素または水酸基であり、Rは、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記3員環から8員環までの内の5員環から8員環までヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数である。
【0028】
Rは、好ましくは、下記の式の化合物であり、
【0029】
【化9】

【0030】
は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択され、
Xは、C、S、またはOである。
【0031】
さらに、上述した調製方法では、精製された式(IA)の化合物を、氷浴中にて、エーテル溶媒中において、酸と直接的に反応させて上記化合物の酸付加塩を得てもよく、また、窒素原子を保護するために、ジ‐tert‐ブチルジカーボネートと反応させ、上記得られた化合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した後、氷浴中にて、エーテル溶媒中において、酸と反応させて上記化合物の酸付加塩を得てもよく、上記塩は、塩酸、メタンスルホン酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酢酸、およびトリフルオロ酢酸からなるグループから選択される酸と形成された塩を含み、上記酸としては、好ましくは、塩酸およびトリフルオロ酢酸である。
【0032】
さらに、上述した調製方法においては、上記式(I‐1a)、上記式(I‐1d)または上記式(I‐1e)の各化合物を、それぞれ、独立に、等価なRNHと、メタノール溶媒中にて、トリエトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよびトリエチルアミンの存在下、室温にて反応させて、式(IA)の化合物を得るステップとを含み、
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アミノカルボニルアルキル基、アミドアルキル基、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基、およびアミノアルキル基からなるグループから選択され、上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の置換基にて置換されている。
【0033】
Rは、好ましくは、下記の式の化合物であり、
【0034】
【化10】

【0035】
は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択され、
Xは、C、S、またはOである。
【0036】
本発明の好ましい各実施形態では、下記の表に示される、式(I)の化合物または薬学的に許容され得る塩を含む。
【0037】
【表1】



さらに、本発明は、以下の式(I‐1d)または式(I‐1e)を有する式(I)の各化合物の合成における、各中間体としての各化合物に関するものである。
【0038】
【化11】

【0039】
およびRは、それぞれ、独立に、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数である。
【0040】
その上、本発明は、式(I‐1d)の化合物または式(I‐1e)の化合物の調製方法に関し、上記調製方法は、
【0041】
【化12】

【0042】
出発原料であるテトラヒドロ‐ペンタレン‐2,5‐ジオン(I‐1a)を、エチレングリコールと、触媒としてのp‐トルエンスルホン酸の存在下にて、ベンゼン溶媒中での加熱還流を通して反応させて、保護された、7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン(I‐1b)を得るステップと、
【0043】
【化13】

【0044】
上記得られた7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン(I‐1b)を、室温にて、NaBHにより還元して、3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を得るステップと、
【0045】
【化14】

【0046】
上記得られた3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を、酢酸エチルおよび水の混合溶媒中にて、シュウ酸と反応させて、5‐ハイドロキシ‐ヘキサハイドロ‐ペンタレン‐2‐オン(I‐1e)を得るステップ、
【0047】
【化15】

【0048】
または、上記得られた3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を、種々のイソシアネートおよびトリメチルクロロシランと、室温にて反応させる、または、エーテル溶媒中にて種々のグリニャール試薬と反応させ、その後、反応生成物を、さらに2Nの塩酸により酸性化して、上記式(I‐1d)の化合物を得るステップとを含む。
【0049】
他の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物または上記化合物の塩の治療に有効な投与量を、薬学的に許容され得る担体と共に含む薬学的組成物に関するものである。
【0050】
さらに実施形態では、本発明は、ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビター(DPPIV)としての医薬品の調製において、上記式(I)の化合物または上記化合物の塩を使用することに関する。
【0051】
言い換えると、本発明は、下記の式(IB)にて示される、新規なビシクロオクタン誘導体類、上記ビシクロオクタン誘導体類の互変異体類、上記ビシクロオクタン誘導体類の対掌体類、上記ビシクロオクタン誘導体類の非対掌体類、上記ビシクロオクタン誘導体類のラセミ体、上記ビシクロオクタン誘導体類の薬学的に許容され得る塩類、上記ビシクロオクタン誘導体類の代謝物類、上記ビシクロオクタン誘導体類の代謝前躯体類、およびプロドラッグ類を提供することが意図される。
【0052】
【化16】

【0053】
上記式(IB)において、
Xは、C、SまたはOであり、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、3員環から8員環までを形成する原子に共に結合され、3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択される1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
nは、0から4までの整数であり、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数である。
【0054】
好ましくは、本発明は、下記の式(IC)に示される化合物類または上記化合物類の薬学的に許容され得る塩類に関しており、
【0055】
【化17】

【0056】
Xは、C、SまたはOであり、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、3員環から8員環までを形成する原子に共に結合され、3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択される1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数である。
【0057】
本発明は、以下の式(I‐1d)または式(I‐1e)を有する式(I)の各化合物の合成における、各中間体としての各化合物に関するものでもある。
【0058】
【化18】

【0059】
およびRは、それぞれ、独立に、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記3員環から8員環の内の5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数である。
【0060】
本発明は、好ましくは、式(IB)にて示される化合物類または上記化合物類の薬学的に許容され得る塩類に関するものであり、
は、水素または水酸基であり、Rは、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記3員環から8員環までの内の5員環から8員環までヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数である。
【0061】
本発明は、式(IB)に示される化合物類または上記化合物類の薬学的に許容され得る塩類であり、好ましくは、Xが、C、SまたはOであるものに関する。
【0062】
本発明は、式(IB)に示される化合物類または上記化合物類の薬学的に許容され得る塩類であり、好ましくは、nが、0であるものに関する。
【0063】
式(IC)の化合物類または上記化合物類の薬学的に許容され得る塩類の調製方法においては、上記式(I‐1a)、上記式(I‐1d)または上記式(I‐1e)の各化合物を、それぞれ、独立に、種々のアミンと、メタノール溶媒中にて、トリエトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよびトリエタノールアミンの存在下、室温にて反応させて、式(IC)の化合物類を得る。
【0064】
本発明は、式(IB)の化合物類または上記化合物類の薬学的に許容され得る塩において、上記式(IB)の化合物における、遊離型、および酸付加塩型に関し、上記式(IB)の化合物の薬学的に許容され得る(生理学的に許容され得る非毒性)塩類を提供するものであり、上記薬学的に許容され得る塩類として、塩酸、メタンスルホン酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酢酸、およびトリフルオロ酢酸からなるグループから選択される塩類を含み、好ましくは、塩酸塩およびトリフルオロ酢酸塩であり、より好ましくは、塩酸塩である。
【0065】
〔本発明の化合物の合成方法〕
本発明の上記目的を達成するために、本発明は以下の技術的な課題に適用される。
【0066】
本発明に係る式(IC)の化合物類または上記化合物類の薬学的に許容され得る塩類の調製方法は、以下の、
【0067】
【化19】

【0068】
出発原料であるテトラヒドロ‐ペンタレン‐2,5‐ジオン(I‐1a)を、エチレングリコールと、触媒としてのp‐トルエンスルホン酸の存在下にて、ベンゼン溶媒中での加熱還流を通して反応させて、保護された、7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン(I‐1b)を得るステップと、
その後、上記得られた7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン(I‐1b)を、室温にて、NaBHにより還元して、3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を得るステップと、
上記得られた3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を、酢酸エチルおよび水の混合溶媒中にて、シュウ酸と反応させて、5‐ハイドロキシ‐ヘキサハイドロ‐ペンタレン‐2‐オン(I‐1e)を得るステップ、
または、上記得られた3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を、種々のイソシアネートおよびトリメチルクロロシランと、室温にて反応させる、または、エーテル溶媒中にて種々のグリニャール試薬と反応させ、その後、反応生成物を、さらに2Nの塩酸により酸性化して、上記式(I‐1d)の化合物を得るステップと、
上記式(I‐1a)、上記式(I‐1d)または上記式(I‐1e)の各化合物を、それぞれ、独立に、等価な、種々のアミンと、メタノール溶媒中にて、トリエトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよびトリエタノールアミンの存在下、室温にて反応させて、式(IC)の化合物を得るステップと、を含み、
上記式(IC)の化合物を、氷水浴下、エーテル溶媒中にて酸と直接的に反応させる精製を通して、上記化合物の酸付加塩を得るステップ、または、上記化合物を、ジ‐tert‐ブチルカーボネートと反応させて、窒素原子を保護し、続いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、上記保護された化合物を精製し、その後、氷水浴下、エーテル溶媒中にて酸と直接的に反応させる精製を通して、上記化合物の酸付加塩を得るステップとを含む。
【0069】
本発明は、上記化合物または上記化合物の塩の治療に有効な投与量を、薬学的に許容され得る担体と共に含む薬学的組成物に関するもの、または、本発明は、ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビター(DPPIV)としての医薬品の調製において、上記化合物または上記化合物の塩を使用することに関する。言い換えると、本発明は、上記化合物または上記化合物の塩を治療に有効な投与量にて含有する組成物を提供し、また、ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビターとしての医薬品の調製に上記化合物の使用を提供することも含む。
【0070】
以下の各実施例は、本発明を説明するために提供されるが、上記下記実施例は本発明の権利範囲を限定するものとして考えられるべきではない。
【0071】
〔各実施例〕
上記化合物の構造の決定は、NMRおよびMSによって確認された。NMRのケミカルシフトは、ppm(10−6)にて示された。NMRは、ブルカー社製アドバンス‐400機により決定された。溶媒は、内部標準としてのトリメチルシラン(TMS)を含む、重水素化クロロホルム(CDCl)および重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO‐d6)である。ケミカルシフトは、ppm(10−6)にて示された。
【0072】
MSは、FINNIGAN LCQ Ad(ESI)マススペクトロメータによって決定された。
【0073】
IC50は、NovoStar ELIASA(BMG社、ドイツ)により決定された。
【0074】
薄層シリカゲルは、yantai haunghai HSGF254、またはqingdao GF254のシリカゲルプレートである。
【0075】
DMSO‐D6は、重水素化ジメチルスルホキシドである。
【0076】
CDCl3は、重水素化クロロホルムである。
【0077】
〔実施例1:1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 塩酸塩1の調製〕
【0078】
【化20】

【0079】
【化21】

【0080】
<7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン1bの調製>
水分離器を装着した、250mLの丸底フラスコ内にて、テトラヒドロ‐ペンタレン‐2,5‐ジオン 1a(3g、21mmol)と、エタン‐1,2‐ジオール(1.03mL、18.5mmol)とを、150mLのベンゼン中に攪拌下にて溶解させ、その後、4‐メチルベンゼンスルホン酸(50mg、0.21mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合物を、一晩、還流しながら加熱した。その後、室温まで冷却した。そして、上記ベンゼン溶媒は、減圧下にて除去された。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン 1b(1.8g、収率56%)を、無色のオイル状物質として得た。MS m/z(ESI)は、183.5[M+1]であった。
【0081】
<3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン1cの調製>
7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン 1b(1g、5.5mmol)を、15mLのメタノールに溶解し、上記メタノール溶液に対して、氷水浴中にて、水素化ホウ素ナトリウム(0.4g、11mmol)を上記メタノール中にバッチ式にて添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合物を、室温にて1〜2時間攪拌した。上記反応をアセトンの添加により停止させた。上記混合物中の目的物質を、酢酸エチル(50mL×3)によって抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、50mLの飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより脱水して、ろ過し、減圧下にて濃縮して、上記タイトル化合物の、3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1c(1.01g、収率99.9%)を、無色のオイル状物質として得た。MS m/z(ESI)は、185.2[M+1]であった。
【0082】
<3‐メトキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1dの調製>
3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1c(1g、5.4mmol)を、30mLのテトラヒドロフランに溶解し、その後、水酸化ナトリウム(522mg、10.9mmol)を攪拌下にて添加した。上記添加を完了させ、上記混合物を1時間室温にて攪拌した後、ヨウ化メチル(1.35mL、21.7mmol)を添加し、3時間還流して加熱した。上記反応を氷水の添加により停止させた。上記反応混合物を酢酸エチル(50mL×3)により抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、30mLの飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、3‐メトキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1d(944mg、収率88%)を、無色オイル状物質として得た。MS m/z(ESI)は、199.6[M+1]であった。
【0083】
<5‐ハイドロキシ‐ヘキサハイドロ‐ペンタレン‐2‐オン 1eの調製>
3‐メトキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1d(944mg、5.02mmol)を、30mLの酢酸エチルおよび10mLの水の混合溶媒中に溶解した後、上記混合溶媒中に、エタン二酸(シュウ酸、632mL、5.02mmol)を攪拌下にて添加し、上記添加を完了させ、上記反応混合物を、薄層クロマトグラフィー(TLC)が、出発原料が消滅していることを示すまで、室温下にて攪拌して反応させた。上記反応混合物を酢酸エチル(50mL×3)により抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、30mLの飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐メトキシ‐ヘキサハイドロ‐ペンタレン‐2‐オン 1e(610mg、収率79%)を,淡黄色オイル状物質として得た。MS m/z(ESI)は、155.1[M+1]であった。
【0084】
<[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1fの調製>
1)[2‐(2‐カルバモイル‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステルの調製
N‐tert‐ブチルオキシカルバニルグリシン(5g、28.56mmol)と、L‐ピロリジン‐2‐カルボキサミド(3.25g、28.50mmol)とを、0℃の冷却下にて、75mLのN,N‐ジメチルホルムアミドに溶解した。その後、上記溶液に、1‐ハイドロキシベンゾトリアゾール(11.8g、87.3mmol)、N‐エチル‐N’‐(ジメチルアミノプロピル)‐カルボジイミド(11.3g、59mmol)およびトリエチルアミン(12.1mL、87.3mmol)を攪拌下にて添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合物は自然に室温まで昇温し、一晩、攪拌して反応させた。上記得られた混合物を50℃未満にて、減圧下、濃縮し、酢酸エチル(200mL×3)により抽出した。
【0085】
上記各有機層の合わせた溶液を、50mLの飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、酢酸エチルによる再結晶により精製して、上記タイトル化合物である、[2‐(2‐カルバモイル‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(7.42g、収率95.8%)を白色粉末として得た。
【0086】
MS m/z(ESI)は、272.1[M+1]であった。
【0087】
2)[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1fの調製
窒素ガス雰囲気下の、乾燥させた三つ口フラスコ内に、286mLのピリジン、[2‐(2‐カルバモイル‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル(13.5g、49.8mmol)およびイミダゾール(7.11g、104.6mmol)を、この順にて添加した。上記混合溶液を、−35℃に冷却し、その温度を維持して攪拌しながら、上記混合溶液に対して、オキシ塩化りん(19mL、204.2mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記混合溶液を1時間攪拌した後、自然に室温まで昇温し、室温にて0.5時間反応させた。上記反応混合溶液から、ピリジンを留去した後、上記反応混合溶液を、酢酸エチル(200mL×3)にて抽出した。
【0088】
上記各有機層を合わせた溶液を、50mLの飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、ろ過後、減圧下にて濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(10.7g、収率84.9%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、254.3[M+1]であった。
【0089】
1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 1gの調製
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(740mg、2.92mmol)を,20mLジクロロメタンに溶解した後、氷浴中にて冷却しながら、上記溶液にトリフルオロ酢酸(6.71mL、87.6mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合溶液を、反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。上記反応混合溶液から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。上記残渣を、20mLのメタノールに溶解して溶液を得た後、上記溶液に対して、トリエチルアミン(0.813mL、5.844mmol)、5‐メトキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 1e(310mg、1.984mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.65g、7.792mmol)を、この順にて添加した。
【0090】
上記添加を完了させ、上記反応混合物溶液を、室温にて一晩攪拌した後、減圧下、濃縮し、20mLの飽和炭酸ナトリウム水溶液を添加し、ジクロロメタン(20mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、10mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。その残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 1g(200mg、収率35.3%を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、292.7[M+1]であった。
【0091】
H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)4.79(m,1H),3.82(m,2H),3.67(m,2H),3.48(m,1H),3.26(s,3H),2.40(m,2H),2.36−1.98(m,6H),1.85(m,3H),1.62(m,2H),1.53−1.14(m,2H)
<1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 塩酸塩1の調製>
1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 1g(200mg、0.687mmol)を、10mLエーテル内に分散し、0.5Nの塩酸のエーテル溶液2mL中を、氷浴中にて冷却しながら添加した。得られた固体を、遠心分離により分離して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 塩酸塩1(180mg、収率80%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、292.7[M+1]であった。
【0092】
〔実施例2:1‐[2‐(5‐エトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐ イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 2の調製〕
【0093】
【化22】

【0094】
<3‐エトキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン2aの調製>
3‐ヒドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1c(1g、5.4mmol)を、20mLのテトラヒドロフランに溶解し、その後、50%水素化ナトリウム(521mg)を攪拌下にて添加した。添加が完了した後、反応混合物を1時間攪拌し、ヨウ化エチル(0.869mL、10.86mmol)を添加し、3時間還流して加熱した。反応を氷水の添加により停止した。また、反応混合物を酢酸エチル(80mL×3)により抽出した。
【0095】
上記各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、3‐エトキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 2a(1.15g、収率100%)を、淡黄色オイル状物質として得た。MS m/z(ESI)は、213.2[M+1]であった。
【0096】
<5‐エトキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 2bの調製>
3‐エトキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 2a(1.15g、5.4mmol)を、30mLの酢酸エチルおよび10mLの水の混合溶媒中に溶解した後、エタン二酸(1.368g、10.85mmol)を攪拌下にて添加した。添加が完了した後、反応混合物を、薄層クロマトグラフィー(TLC)が、出発原料2aが消滅していることを示すまで、室温下にて攪拌した。
【0097】
反応混合物を酢酸エチル(50mL×3)により抽出した。上記各有機層を合わせた溶液を、50mLの飽和食塩水にて洗浄し、酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐エトキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 2b(871mg、収率80%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、169.3[M+1]であった。
【0098】
<1‐[2‐(5‐エトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 2cの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(903mg、3.57mmol)を、氷浴中にて、20mLジクロロメタンに溶解した後、トリフルオロ酢酸(8.2mL、107.1mmol)を添加した。上記添加が完了した後、反応混合物を、反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。上記反応混合物から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。上記残渣を、20mLのメタノールに溶解して溶液を得た後、上記溶液に対して、トリエチルアミン(0.993mL、7.143mmol)、5‐エトキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 2b(400mg、2.38mmol)および水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(2.017g、9.52mmol)を、室温で、この順にて添加した。
【0099】
反応混合物を、濃縮し、50mLの飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(50mL×3)にて抽出した。上記各有機層を合わせた溶液を、50mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧濃縮して残渣を得た。その残渣を、カラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐エトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 2c(182mg、収率30%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、306.5[M+1]であった。
【0100】
H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm) 4.78(m,1H),3.89(m,2H),3.65(m,2H),3.44(m,3H),2.38(m,2H),2.32(m,2H),2.22(m,2H),2.13(m,2H),1.89−1.82(m,2H),1.58(m,3H),1.32−1.26(m,2H),1.15(m,3H)
<1‐[2‐(5‐エトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 塩酸塩 2の調製>
1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 2c(182mg、0.598mmol)を、15mLエーテルに分散し、3mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を、氷浴中にて添加した。得られた固体を、遠心分離により分離して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐エトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 塩酸塩 2(160mg、収率80%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、306.4[M+1]であった。
【0101】
〔実施例3:5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩3の調製〕
【0102】
【化23】

【0103】
<5,5‐(エチリデンアセタール)‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 3aの調製>
アルゴン雰囲気下、3‐ヒドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1c(1.3g、7.065mmol)を、18mLのピリジンに溶解した。その後、4‐ジメチルアミノピリジン(0.26g、2.12mmol)を添加し、ジエチルアミノホルミルクロリド(2.68mL、21.20mmol)を攪拌下にて滴下した。滴下が完了した後、反応混合物は、一晩、還流しながら加熱された。反応が完了した後、ピリジンを留去し、反応混合物を、酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した。各有機層を合わせた溶液を、50mLの飽和食塩水にて洗浄し、酢酸エチルを無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、ろ過後、減圧下にて濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、5,5‐(エチリデンアセタール)‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 3a(1.57g、収率88%)を、淡黄色オイル状物質として得た。MS m/z(ESI)は、284.3[M+1]であった。
【0104】
<5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 3bの調製>
5,5‐(エチリデンアセタール)‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 3a(140mg、4.947mmol)を、60mLの酢酸エチルおよび15mLの水の混合溶媒中に溶解した後、エタン二酸(623mg、4.947mmol)を攪拌下にて添加した。添加が完了した後、反応混合物を、薄層クロマトグラフィー(TLC)が、出発原料3aが消滅していることを示すまで、室温下にて攪拌した。反応混合物は、酢酸エチル(60mL×3)により抽出された。各有機層を合わせた溶液を、50mLの飽和食塩水にて洗浄し、酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 3b(1.02g、収率86%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、240.5[M+1]であった。
【0105】
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 3cの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(530mg、2.1mmol)を、20mLジクロロメタンに溶解した。その後、その溶液を、氷浴中にて冷却しながら、トリフルオロ酢酸(4.8mL、63mmol)を添加した。上記添加が完了した後、反応混合物を、上記添加を完了させ、0℃を維持して攪拌した。上記反応混合物から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。上記残渣を、20mLのメタノールに溶解して溶液を得た後、上記溶液に対して、トリエチルアミン(0.88mL、6.3mmol)、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 3b(500mg、2.1mmol)および水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(1.34g、6.3mmol)を、この順にて添加した。反応混合物を、室温にて一晩攪拌した後、濃縮し、50mLの飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(50mL×3)にて抽出した。各有機層を合わせた溶液を、50mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタンを、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。その残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 3c(400mg、収率50%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、377.2[M+1]であった。
【0106】
H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm) 5.07(m,1H),4.79(m,1H),3.92−3.40(m,4H),3.25(m,4H),2.39(m,2H),2.27(m,2H),2.20−2.12(m,6H),1.69(m,1H),1.57−1.54(m,2H),1.50−1.23(m,2H),1.11(m,6H)
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩3の調製>
5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 3c(200mg、0.53mmol)を、15mLエーテルに分散し、3mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を、氷浴中にて添加した。得られた固体を、遠心分離により分離して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジエチル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩3(180mg、収率82%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、377.3[M+1]であった。
【0107】
〔実施例4:5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル塩酸塩4の調製〕
【0108】
【化24】

【0109】
<5,5‐(エチリデンアセタール)‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル 4aの調製>
アルゴン雰囲気下、3‐ヒドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1c(1.3g、7.065mmol)を、15mLのピリジンに溶解した。その後、4‐ジメチルアミノピリジン(0.26g、2.120mmol)を添加し、ジメチルアミノホルミルクロリド(1.95mL、21.20mmol)を攪拌下にて滴下した。上記添加を完了させ、反応混合物を、一晩、還流しながら加熱した。反応が完了した後、ピリジンを留去し、反応混合物を、酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、ろ過後、減圧下にて濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、5,5‐(エチリデンアセタール)‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル 4a(1.8g、収率67%)を、淡黄色オイル状物質として得た。MS m/z(ESI)は、256.0[M+1]であった。
【0110】
<5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル 4bの調製>
氷浴中にて、5,5‐(エチリデンアセタール)‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル4a(830mg、3.255mmol)を、60mLの酢酸エチルおよび10mLの水の混合溶媒中に溶解した後、エタン二酸(410mg、3.255mmol)を攪拌下にて添加した。上記添加を完了させ、反応混合物を、薄層クロマトグラフィー(TLC)が、出発原料4aが消滅していることを示すまで、室温下にて攪拌した。反応混合物は、酢酸エチル(50mL×3)により抽出された。
【0111】
各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル 4b(600mg、収率87%)を淡黄色オイル状物質として得た。MS m/z(ESI)は、212.2[M+1]であった。
【0112】
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル 4cの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(835mg、3.3mmol)を、20mLジクロロメタンに溶解した。その後、その溶液に、氷浴中にて冷却しながら、トリフルオロ酢酸(7.66mL、100mmol)を添加した。上記添加を完了させ、反応混合物を、反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。反応混合物から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。上記残渣を、20mLのメタノールに溶解して溶液を得た後、当該溶液に対して、トリエチルアミン(0.922mL、6.6mmol)、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル 4b(460mL、2.2mmol)および水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(1.86g、8.8mmol)を、この順にて添加した。
【0113】
反応混合物を、室温にて攪拌した後、減圧下にて濃縮し、20mLの飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(60mL×3)にて抽出した。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタンを、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。その残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル 4c(400mg、収率52%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、349.4[M+1]であった。
【0114】
H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm) 5.06(m,1H),4.79(m,1H),4.01−3.37(m,4H),2.89(s,6H),2.42(m,2H),2.36−2.05(m,9H),1.62(m,2H),1.54−1.26(m,2H)
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル塩酸塩4の調製>
5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル 4c(230mg、0.661mmol)を、15mLエーテルに分散し、4mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を、氷浴中にて攪拌下で添加した。得られた固体を、遠心分離により分離して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル ジメチル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩4(200mg、収率78.7%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、349.2[M+1]であった。
【0115】
〔実施例5:5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル 塩酸塩5の調製〕
【0116】
【化25】

【0117】
<5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 5aの調製>
3‐ヒドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1c(2.0g、10.87mmol)を、60mLの酢酸エチルおよび20mLの水の混合溶媒中に溶解した後、エタン二酸(2.739g、21.74mmol)を添加した。上記添加を完了させ、反応混合物を、薄層クロマトグラフィー(TLC)が、出発原料1cが消滅していることを示すまで、室温下にて攪拌した。反応混合物は、酢酸エチル(60mL×3)により抽出された。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 5a(1.12g、収率75%)を淡黄色オイル状物質として得た。MS m/z(ESI)は、141.3[M+1]であった。
【0118】
<5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル5bの調製>
乾燥させた三つ口フラスコ内に、5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 5a(0.7mg、5mmol)を、ピリジン(15mL)に溶解させた。その後、4‐ジメチルアミノピリジン(0.18g、1.5mmol)を添加し、無水酢酸(0.94mL、10mL)を攪拌下にて滴下した。上記滴下を完了させ、反応混合物を、一晩、還流しながら加熱した。反応が完了した後、ピリジンを留去し、反応混合物を、酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、ろ過後、減圧下にて濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル5b(480mg、収率53.4%)を、淡黄色オイル状物質として得た。MS m/z(ESI)は、183.6[M+1]であった。
【0119】
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル 5cの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(1.01g、4.0mmol)を、20mLのジクロロメタン及びトリフルオロ酢酸(9.2mL、120mmol)に、氷浴中にて溶解させた。上記添加を完了させ、反応混合物を、反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。反応混合物から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。上記残渣を、20mLのメタノールに溶解して溶液を得た後、当該溶液に対して、トリエチルアミン(1.12mL、8.0mmol)、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル 5b(486mg、2.67mmol)および水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(1.97g、9.34mmol)を、この順にて添加した。反応混合物を、室温にて攪拌した後、濃縮し、20mLの飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。その残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル 5c(950mg)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、320.3[M+1]であった。
【0120】
<5‐{tert‐ブトキシカルボニル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐アミノ}‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル 5dの調製>
5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル 5c(粗生成物950mg)を、ジクロロメタン(30mL)に溶解した後、炭酸カリウム(1.38g、10mmol)、ジ‐tert‐ブチルジカーボネート(1.08g、5mmol)を、氷浴中にてこの順にて添加した。上記添加を完了させ、反応混合物を、薄層クロマトグラフィー(TLC)が、出発原料5cが消滅していることを示すまで、室温下にて攪拌した。反応は、水の添加により停止された。反応混合物を、ジクロロメタン(80mL×3)により抽出した。
【0121】
各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタンを、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐{tert‐ブトキシカルボニル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐アミノ}‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル 5d(350mg、収率36%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、320.4[M+1]であった。
【0122】
H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm) 5.16(m,1H),4.79(m,1H),3.98−3.37(m,4H),2.45(m,2H),2.36−1.94(m,12H),1.61(m,2H),1.45(s,9H),1.54−1.24(m,2H)
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル 塩酸塩5の調製>
5‐{tert‐ブトキシカルボニル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐アミノ}‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル 5d(350mg、0.835mmol)を、20mLエーテルに分散し、4mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を、氷浴中にて攪拌下で添加した。薄層クロマトグラフィー(TLC)が、出発原料5dが消滅していることを示した後、得られた固体を、分取クロマトグラフィーにより分離して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル 酢酸エステル 塩酸塩5(140mg、収率47%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、320.3[M+1]であった。
【0123】
〔実施例6:5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル フェニル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩 6の調製〕
【0124】
【化26】

【0125】
<5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル フェニル‐カルバミン酸エステル6aの調製>
トリカルボニルクロリド(2.97g、0.1mol)を、20mLのトルエンに溶解し、トルエン10mLにアニリン(2.73mL、0.3mol)を溶解した溶液を、氷浴中にて攪拌下で滴下した。滴下が完了した後、反応混合物を、室温下にて0.5時間攪拌し、50℃でさらに2時間攪拌した。その後、反応混合物は、還流しながら2時間加熱され、室温に冷却された。反応混合物からろ過により不溶物質を除去した。
【0126】
3‐ヒドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1c(1.0g、5.4mmol)を、氷浴中にて、20mLの塩化エチレンに溶解し、その後、上記イソシアネート及びトリメチルクロロシリカン(70μL、0.55mmol)を添加した。その後、反応混合物を自然に室温まで昇温し、一晩、攪拌した。反応は、水の添加により停止された。反応混合物は、ジクロロメタン(30mL×3)により抽出された。各有機層を合わせた溶液を、30mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮した。
【0127】
得られた濃縮物に、20mLの酢酸エチル及び5mLの2N塩酸を添加し、35℃で1時間攪拌した。反応混合物を、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。各有機層を合わせた溶液を、30mLの飽和食塩水にて洗浄し、酢酸エチルを無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル フェニル‐カルバミン酸エステル6a(1.0g、収率75%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、260.4[M+1]であった。
【0128】
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル フェニル‐カルバミン酸エステル 6bの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(750mg、2.96mmol)を、20mLジクロロメタンに溶解した後、氷浴中にて、攪拌下で、トリフルオロ酢酸(6.8mL、90mmol)を添加した。上記添加が完了した後、反応混合物を、反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。反応混合物から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。
【0129】
上記残渣を、20mLのメタノールに溶解して溶液を得た後、上記溶液に対して、トリエチルアミン(1.03mL、7.1mmol)、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル フェニル‐カルバミン酸エステル6a(640mg、2.47mmol)および水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(2.1g、9.9mmol)を、この順にて添加した。反応混合物を、室温で攪拌し、濃縮し、20mLの飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタンを、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧濃縮して残渣を得た。その残渣を、カラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル フェニル‐カルバミン酸エステル 6b(300mg、収率30.6%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、397.6[M+1]であった。
【0130】
H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm) 7.55(m,1H),7.27(m,3H),7.01(m,1H),5.32(m,1H),4.72(m,1H),4.32−3.93(m,2H),3.65(m,2H),2.55(m,2H),2.40−1.95(m,7H),1.94−1.60(m,6H)
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル フェニル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩 6の調製>
5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル フェニル‐カルバミン酸エステル 6b(300mg、0.758mmol)を、15mLエーテルに分散し、2mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を、氷浴中にて添加した。得られた固体を、遠心分離により分離して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル フェニル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩 6(200mg、収率61%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、397.3[M+1]であった。
【0131】
〔実施例7:5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩 7の調製〕
【0132】
【化27】

【0133】
<5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル7aの調製>
トリカルボニルクロリド(2.97g、0.1mol)を、20mLのトルエンに溶解し、トルエン10mLにイソプロピルアミン(2.6mL、30mmol)を溶解した溶液を、氷浴中にて攪拌下で滴下した。上記添加を完了させ、反応混合物を、室温下にて0.5時間攪拌し、50℃でさらに2時間攪拌した。その後、反応混合物は、還流しながら2時間加熱され、室温に冷却された。反応混合物からろ過により不溶物質を除去した。
【0134】
3‐ヒドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1c(1.0g、5.4mmol)を、氷浴中にて、塩化エチレン(20mL)に溶解し、その後、上記イソシアネート及びトリメチルクロロシリカン(70μL、0.55mmol)を添加した。その後、反応混合物を自然に室温まで昇温した。添加が完了した後、反応混合物を、室温で一晩、攪拌し、水の添加により反応を停止させた。反応混合物は、ジクロロメタン(80mL×3)により抽出された。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタンを、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮した。
【0135】
得られた濃縮物に、20mLの酢酸エチル及び5mLの2N塩酸を添加し、35℃で1時間攪拌した。反応混合物を、酢酸エチル(80mL×3)で抽出した。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下で濃縮して残渣を得た。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル7a(1.01g、収率81.8%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、226.2[M+1]であった。
【0136】
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル 7bの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(843mg、3.33mmol)を、30mLジクロロメタンに溶解した後、氷浴中にて、トリフルオロ酢酸(7.66mL、100mmol)を添加した。上記添加が完了した後、反応混合物を、反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。反応混合物から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。上記残渣を、20mLのメタノールに溶解して溶液を得た後、上記溶液に対して、トリエチルアミン(1.3mL、9.6mmol)、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル7a(500mg、2.22mmol)および水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(2.2g、10mmol)を、この順にて添加した。反応混合物を、室温で攪拌し、減圧下で濃縮し、20mLの飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(60mL×3)にて抽出した。
【0137】
各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧濃縮して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル 7b(1.9g)を白色粉末として得た。粗生成物は、そのまま次の反応に用いられた。MS m/z(ESI)は、363.5[M+1]であった。
【0138】
<5‐{tert‐ブトキシカルボニル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐アミノ}‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル 7cの調製>
5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル 7b(1.9g、2.22mmol)を、ジクロロメタン(30mL)に溶解した後、炭酸カリウム(1.53g、11.1mmol)、ジ‐tert‐ブチルジカーボネート(1.21g、5.35mmol)を、氷浴中にてこの順にて添加した。添加が完了した後、反応混合物を、出発原料7bが消滅するまで、室温下にて攪拌した。反応は、水の添加により停止された。
【0139】
反応混合物は、ジクロロメタン(60mL×3)により抽出された。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタンを、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐{tert‐ブトキシカルボニル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐アミノ}‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル 7c(630mg、収率61.2%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、463.3[M+1]であった。
【0140】
H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm) 5.15(m,1H),4.76(m,1H),4.01(m,2H),3.81(m,2H),3.65(m,2H),2.45(m,2H),2.38−2.00(m,6H),1.98−1.60(m,6H),1.46(s,9H),1.18(m,6H)
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩 7の調製>
乾燥させた三つ口フラスコ内に、30mLのジクロロメタンを導入した。5‐{tert‐ブトキシカルボニル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐アミノ}‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル 7c(360mg、0.779mmol)を、15mLエーテルに分散し、3mLのエーテルの0.5Nの塩酸溶液を、氷浴中にて添加した。出発原料7cが消滅した後、溶媒を減圧下で留去して残渣を得た。上記残渣を、カラムクロマトグラフィーにて分離して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル イソプロピル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩 7(150mg、収率66%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、363.1[M+1]であった。
【0141】
〔実施例8:5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル tert‐ブチル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩 8の調製〕
【0142】
【化28】

【0143】
<5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル tert‐ブチル‐カルバミン酸エステル8aの調製>
トリカルボニルクロリド(2.97g、0.1mol)を、トルエン(20mL)に溶解し、トルエン(10mL)にtert‐ブチルアミン(3.16mL、30mmol)を溶解した溶液を、氷浴中にて滴下した。滴下が完了した後、反応混合物を、室温下にて0.5時間攪拌し、50℃でさらに2時間攪拌した。その後、反応混合物は、還流しながら2時間加熱され、室温に冷却された。反応混合物からろ過により不溶物質を除去した。
【0144】
3‐ヒドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1c(1.0g、5.4mmol)を、塩化エチレン(20mL)に溶解し、その後、氷浴中にて、上記イソシアネート及びトリメチルクロロシリカン(70μL、0.55mmol)を添加した。その後、反応混合物を自然に室温まで昇温した。添加が完了した後、反応混合物を、室温で一晩、攪拌し、水の添加により反応を停止させた。反応混合物は、ジクロロメタン(80mL×3)により抽出された。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタンを、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮した。
【0145】
得られた濃縮物に、10mLの酢酸エチル及び5mLの2N塩酸を添加し、35℃で1時間攪拌した。反応混合物を、酢酸エチル(60mL×3)で抽出した。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、酢酸エチルを無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル tert‐ブチル‐カルバミン酸エステル8a(1.03g、収率79.4%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、240.2[M+1]であった。
【0146】
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル tert‐ブチル‐カルバミン酸エステル 8bの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(794mg、3.318mmol)を、30mLジクロロメタンに溶解した後、氷浴中にて、トリフルオロ酢酸(7.2mL、94.18mmol)を添加した。上記添加が完了した後、反応混合物を、反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。反応混合物から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。上記残渣を、20mLのメタノールに溶解して溶液を得た後、上記溶液に対して、トリエチルアミン(0.87mL、6.276mmol)、5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル tert‐ブチル‐カルバミン酸エステル8a(500mg、2.092mmol)および水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(1.744g、8.368mmol)を、この順にて添加した。反応混合物を、室温で攪拌し、減圧下で濃縮し、20mLの飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧濃縮して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル tert‐ブチル‐カルバミン酸エステル 8b(1.5g)を白色粉末として得た。粗生成物は、そのまま次の反応に用いられた。MS m/z(ESI)は、377.3[M+1]であった。
【0147】
<5‐{tert‐ブトキシカルボニル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐アミノ}‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル tert‐ブチル‐カルバミン酸エステル 8cの調製>
5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルtert‐ブチル‐カルバミン酸エステル 8b(1.5g、2.09mmol)を、30mLのジクロロメタンに溶解した後、炭酸カリウム(1.44g、10.46mmol)、ジ‐tert‐ブチルジカーボネート(1.14g、5.23mmol)を、氷浴中にてこの順にて添加した。添加が完了した後、反応混合物を、出発原料8bが消滅するまで攪拌した。
【0148】
反応は、水の添加により停止された。反応混合物は、ジクロロメタン(60mL×3)により抽出された。各有機層を合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、ジクロロメタンを、無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐{tert‐ブトキシカルボニル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐アミノ}‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル tert‐ブチル‐カルバミン酸エステル 8c(280mg、収率28.1%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、477.1[M+1]であった。
【0149】
<5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル tert‐ブチル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩 8の調製>
乾燥させた三つ口フラスコ内に、30mLのジクロロメタンを導入した。5‐{tert‐ブトキシカルボニル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐アミノ}‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル tert‐ブチル‐カルバミン酸エステル 8c(210mg、0.441mmol)を、15mLエーテルに分散し、3mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を、氷浴中にて添加した。出発原料8cが消滅した後、溶媒を減圧下で留去して残渣を得た。上記残渣を、カラムクロマトグラフィーにて分離して、上記タイトル化合物である、5‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチルアミノ]‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル tert‐ブチル‐カルバミン酸エステル 塩酸塩 8(100mg、収率55%)を、白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、377.5[M+1]であった。
【0150】
H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm) 5.11(m,1H), 4.76(m,1H),3.64(m,2H),2.44(m,2H),2.33−2.09(m,8H),2.06(m,2H),1.74−1.64(m,5H),1.47(s,9H),1.33(m,9H)
〔実施例9:1‐[2‐(5‐エチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐1‐ヒドロキシ‐エチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩9の調製〕
【0151】
【化29】

【0152】
<5‐エチル‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 9aの調製>
マグネシウム(243mg、10mmol)に20mLのエーテルを加え、即座に加熱した。1時間軽く沸騰させるよう反応系を維持しながら、上記混合物に触媒量のヨウ素を添加し、ヨウ化エチル(0.75mL、10mmol)を滴下した。上記反応混合物に対して、5mLのエーテル溶液の7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン1b(0.8g、4.4mmol)を滴下し、2時間攪拌した。反応を停止させるため、2Nの10mLの塩酸を添加し、さらに2時間攪拌した。その後、上記反応混合物を酢酸エチルにて抽出した(30mL×3)。
【0153】
各有機層の合わせた溶液を30mLの飽和食塩水にて洗浄した。そして、上記酢酸エチル層を無水炭酸ナトリウムにて脱水し、ろ過し、減圧下にて濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐エチル‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 9a(420mg、収率57%)を淡黄色のオイル状化合物として得た。MS m/z(ESI)は169.2[M+1]であった。
【0154】
<1‐[2‐(5‐エチル‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル9bの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(949mg、3.75mmol)を30mLジクロロメタンに溶解した後、その溶液を氷浴中にて冷却しながら、トリフルオロ酢酸(8.62mL、112.5mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合溶液を、反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。上記反応混合溶液から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。
【0155】
上記残渣を20mLのメタノールに溶解させ、トリエチルアミン(1.04mL,7.5mmol)、5‐エチル‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 9a(420g、2.5mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.385g、11.25mmol)をこの順にて添加した。上記反応混合物溶液を、室温にて攪拌した後、減圧下、濃縮し、20mLの飽和炭酸ナトリウム水溶液を添加し、ジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。
【0156】
上記各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐エチル‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル9b(700mg)を白色粉末として得た。上記粗生成物をさらなる反応にて用いた。MS m/z(ESI)は、306.4[M+1]であった。
【0157】
<tert‐ブチル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン)‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐(5‐エチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル)‐カルバミン酸エステル 9cの調製>
1‐[2‐(5‐エチル‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル9b(700mg、2.5mmol)を30mLのジクロロメタンに溶解した後、氷浴中にて冷却しながら、炭酸カリウム(1.09g、6.25mmol)およびジ‐tert‐ブチル炭酸塩(1.38g、12.5mmol)をこの順にて添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合溶液を、上記出発物質である9bが消失するまで攪拌した。
【0158】
上記反応を停止させるために水を添加し、上記反応混合物をジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、tert‐ブチル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン)‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐(5‐エチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル)‐カルバミン酸エステル 9c(355mg、収率35%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は406.2[M+1]であった。
【0159】
H NMR (400MH, CDCl) δ(ppm) 4.78(m,1H), 3.94‐3.89(m,3H), 2.48(m,2H),2.34‐2.08(m,6H),1.75(m,2H),1.68‐1.39(m,17H),0.93(m,3H)
<1‐[2‐(5‐エチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐1‐ヒドロキシ‐エチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩9の調製>
乾燥させた三つ口フラスコ内にて、10mLのジクロロメタンを添加し、tert‐ブチル‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐(5‐エチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル)‐カルバミン酸エステル9c(200mg、0.4938mmol)を15mLのエーテルに溶解させた。その後、2mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を、氷浴中にて冷却しながら添加した。出発物質である9cが消失するまで攪拌した後、上記溶液を減圧下濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐エチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐1‐ヒドロキシ‐エチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩9(100mg、収率59.5%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は306.5[M+1]であった。
【0160】
〔実施例10:1‐[2‐(5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 塩酸塩10の調製〕
【0161】
【化30】

【0162】
<5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン10a>
乾燥させた三つ口フラスコ内にて、ブチルマグネシウムクロリド(2Nのテトラヒドロフラン溶液、4.8mL)をテトラヒドロフラン(15mL)に溶解させ、氷浴中にて、10mLのテトラヒドロフラン溶液の7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン1b(1.46g、8mmol)を滴下した。
【0163】
上記添加を完了させ、上記反応混合物を2時間攪拌した。その後、反応を停止させるために2mLの2N塩酸を添加してさらに2時間攪拌し、上記反応混合物を酢酸エチル(80mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。
【0164】
上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐25‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン10a(620mg、収率35%)を淡黄色オイル状化合物として得た。MS m/z(ESI)は197.2[M+1]であった。
【0165】
<1‐(2‐(5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル)‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル10bの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(1.20g、4.7mmol)を20mlのジクロロメタンに溶解させ、氷浴中にて冷却しながら、トリフルオロ酢酸(10.8mL、141mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合物を反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。その後、上記反応混合溶液から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。
【0166】
上記残渣を、20mLのメタノールに溶解して溶液を得た後、上記溶液に対して、トリエチルアミン(1.32mL、9.5mmol)、5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン10a(620mg、3.16mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.0g、14.2mmol)をこの順にて添加した。
【0167】
上記反応混合溶液を室温で攪拌し、減圧下濃縮した。これに、飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して、タイトル化合物である、1‐(2‐(5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル)‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル10b(1.0g)を淡黄色のオイル状化合物として得た。上記粗生成物をさらなる反応にて直接用いた。MS m/z(ESI)は、334.5[M+1]であった。
【0168】
H NMR (400 MH,CDOD)δ(ppm) 4.61(m,1H),3.48(m,1H), 3.34(m,3H),2.90(m,1H), 2.32(m,2H),2.10(m,2H), 1.98(m,4H), 1.70(m,2H), 1.43(m,2H),1.31(m,4H),1.17(m,4H),0.76(m,3H)
<tert‐ブチル‐(5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル)‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸エステル 10cの調製>
1‐[2‐(5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 10b(900mg、2.7mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解させた。その後、氷浴中にて冷却しながら、炭酸カリウム(1.38g、10mmol)、ジ‐tert‐ブチル炭酸塩(1.08g、5mmol)をこの順にて添加した。
【0169】
上記添加を完了させ、上記反応混合溶液を、上記出発物質である10bが消失するまで攪拌した。上記反応を停止させるために水を添加し、上記反応混合物をジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、tert‐ブチル‐(5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル)‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸エステル 10c(350mg、収率30%)を白色粉末にて得た。MS m/z(ESI)は434.3[M+1]であった。
【0170】
<1‐[2‐(5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 10の調製>
乾燥させた三つ口フラスコ内にて、10mLのジクロロメタンを添加し、tert‐ブチル‐(5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル)‐[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸エステル 10c(200mg、0.462g)を15mLのエーテルに溶解させた。その後、2mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を、氷浴中にて冷却しながら添加した。出発原料である10cが消失した後、溶媒を減圧下揮発させ、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐ブチル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 10(75mg、収率44%)を白色粉末にて得た。MS m/z(ESI)は334.2[M+1]であった。
【0171】
〔実施例11:1‐[2‐(5‐イソプロピル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 11の調製〕
【0172】
【化31】

【0173】
<5‐ヒドロキシ‐5‐イソプロピル‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 11aの調製>
マグネシウム(4.92g、40mmol)に10mLのエーテルを加え、即座に加熱した。1時間軽く沸騰させるよう反応系を維持しながら、上記混合物に触媒量のヨウ素を添加し、2‐ブロモプロパン(40mL、40mmol)を滴下した。上記反応混合物に対して、10mLのエーテル溶液の7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン1b(1.82g、10mmol)を滴下し、2時間攪拌した。反応を停止させるため、2Nの2mLの塩酸を添加し、さらに2時間攪拌した。その後、上記反応混合物を酢酸エチルにて抽出した(80mL×3)。
【0174】
各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムにより脱水して、ろ過し、減圧下にて濃縮して、残渣を得た。上記残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐ヒドロキシ‐5‐イソプロピル‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 11a(270mg、収率15%)を淡黄色のオイル化合物として得た。MS m/z(ESI)は、282.2[M+1]であった。
【0175】
<1‐[2‐(5‐イソプロピル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル 11bの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(562mg、2.22mmol)を20mlのジクロロメタンに溶解させ、氷浴中にて冷却しながら、トリフルオロ酢酸(5.12mL、66.8mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合物を反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。その後、上記反応混合溶液から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。
【0176】
上記残渣を、20mLのメタノールに溶解して溶液を得た後、上記溶液に対して、トリエチルアミン(0.62mL、4.44mmol)、5‐ヒドロキシ‐5‐イソプロピル‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 11a(270mg、1.48mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.41g、6.66mmol)をこの順にて添加した。
【0177】
上記反応混合溶液を室温で攪拌し、減圧下濃縮した。これに、飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して、タイトル化合物である、1‐(2‐(5‐イソプロピル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル)ピロリジン‐2‐カルボニトリル 11b(90mg、収率20%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、320.4[M+1]であった。
【0178】
<1‐[2‐(5‐イソプロピル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩11の調製>
1‐[2‐(5‐イソプロピル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル 11a(90mg、0.282mmol)を10mLのエーテルに溶解させた。その後、氷浴中にて冷却しながら、2mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を添加した。得られた固体を、遠心分離により分離して、上記タイトル化合物である、1‐(2‐(5‐イソプロピル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル)ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩11を得た。MS m/z(ESI)は、320.5[M+1]であった。
【0179】
〔実施例12:1‐{2‐[5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ]‐アセチル}‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩12の調製〕
【0180】
【化32】

【0181】
<5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 12aの調製>
マグネシウム(486mg、20mmol)に20mLのエーテルを加え、即座に加熱した。1時間軽く沸騰させるよう反応系を維持しながら、上記混合物に触媒量のヨウ素を添加し、1‐ブロモ‐4‐フルオロ‐ベンゼン(2.4mL、22mmol)を滴下した。上記反応混合物に対して、10mLのエーテル溶液の7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン1b(1.19g、6.54mmol)を滴下し、2時間攪拌した。反応を停止させるため、2Nの2mLの塩酸を添加し、さらに2時間攪拌した。その後、上記反応混合物を酢酸エチルにて抽出した(80mL×3)。
【0182】
各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムにより脱水して、ろ過し、減圧下にて留去して、残渣を得た。上記残渣を30mLのジクロロメタン、10mLの水、エタン二酸(1.18g、9.35mL)の混合液に溶解させ、一昼夜攪拌した。各有機層の合わせた溶液を15mLの飽和食塩水で洗浄し、酢酸エチルの層を無水硫酸ナトリウムにより脱水して、ろ過し、減圧下にて留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 12a(900mg、収率60%)にて白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、235.3[M+1]であった。
【0183】
<1‐{2‐[5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ]‐アセチル}‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 12bの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(680mg、2.69mmolを30mL中に溶解させ、氷浴中にて冷却しながら、トリフルオロ酢酸(6.18mL、80.7mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合物を反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。その後、上記反応混合溶液から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。
【0184】
上記残渣を、20mLのメタノールに溶解させ、トリエチルアミン(0.747mL,5.37mmol),5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 12a(420mg,1.79mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.71g,8.06mmol)をこの順にて添加した。
【0185】
上記反応混合溶液を室温で攪拌し、減圧下留去した。これに、飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下留去して、残渣を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、1‐(2‐(5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル)‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 12b(110mg,収率16.6%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、372.3[M+1]であった。
【0186】
H NMR (400MH,CDCl) δ(ppm) 7.44(m,2H), 6.97(m,2H), 4.75(m,1H), 3.64‐3.22(m,5H), 2.86(m,2H), 2.40(m,2H), 2.36‐2.04(m,8H), 1.82(m,2H)
<1‐{2‐[5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ]‐アセチル}‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩12の調製>
1‐{2‐[5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ]‐アセチル}‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 12b(110mg,0.296mmol)を10mLのエーテルに溶解させた。その後、2mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を、氷浴中にて冷却しながら添加した。得られた固体を、遠心分離により分離して、上記タイトル化合物である、1‐{2‐[5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ]‐アセチル}‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩12(100mg,収率83%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、372.4[M+1]であった。
【0187】
〔実施例13:1‐[2‐(5‐シクロヘキシル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 13の調製〕
【0188】
【化33】

【0189】
<5‐シクロヘキシル‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 13aの調製>
マグネシウム(486mg、20mmol)に10mLのエーテルを加え、即座に加熱した。1時間軽く沸騰させるよう反応系を維持しながら、上記混合物に触媒量のヨウ素を添加し、1‐クロロ‐ヘキサン(2.48mL,21mmol)を滴下した。上記反応混合物に対して、10mLのエーテル溶液の7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン1b(0.546g,3mmol)を滴下し、2時間攪拌した。反応を停止させるため、2Nの2mLの塩酸を添加し、さらに2時間攪拌した。その後、上記反応混合物を酢酸エチルにて抽出した(80mL×3)。
【0190】
各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムにより脱水して、ろ過し、減圧下にて留去して、残渣を得た。上記残渣を10mLの酢酸エチル、50mLの水、エタン二酸(189mg,1.5mmol)の混合液に溶解させ、40℃で6時間攪拌した。その後、上記反応混合物を酢酸エチルにて抽出した(80mL×3)。
【0191】
各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムにより脱水して、ろ過し、減圧下にて留去して、残渣を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐シクロヘキシル‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 13a(110mg,収率54%)を淡黄色粉末にて得た。MS m/z(ESI)は、223.1[M+1]であった。
【0192】
<1‐[2‐(5‐シクロヘキシル‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 13bの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(479mg,1.89mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解させ、氷浴中にて冷却しながら、トリフルオロ酢酸(4.34mL、56.7mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合物を反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。その後、上記反応混合溶液から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。
【0193】
上記残渣を、20mLのメタノールに溶解させ、トリエチルアミン(0.66mL,4.74mmol),5‐シクロヘキシル‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 13a(350mg,1.58mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.51g,7.11mmol)をこの順にて添加した。
【0194】
上記反応混合溶液を室温で攪拌し、減圧下留去した。これに、飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下留去して、残渣を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐シクロヘキシル‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 13b(90mg,収率16.0%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、360.3[M+1]であった。
【0195】
<1‐[2‐(5‐シクロヘキシル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 13の調製>
1‐[2‐(5‐シクロヘキシル‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 13b(90mg,0.28mmol)を10mLのエーテルに溶解させた。その後、2mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を氷浴中にて冷却しながら添加した。反応混合物を留去してタイトル化合物である、1‐[2‐(5‐シクロヘキシル‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 13(80mg,収率80%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、360.2[M+1]であった。
【0196】
〔実施例14:3‐{2‐[5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ]‐アセチル}‐チアゾリジン‐2‐カルボニトリル‐塩酸塩14の調製>
【0197】
【化34】

【0198】
<5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 14aの調製>
マグネシウム(486mg、20mmol)に20mLのエーテルを加え、即座に加熱した。上記混合物を攪拌し、1時間軽く沸騰させるよう反応系を維持しながら、上記混合物に触媒量のヨウ素を添加し、1‐ブロモ‐4‐フルオロ‐ベンゼン(2.1mL,22mmol)を滴下した。上記反応混合物に対して、10mLのエーテル溶液の7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン1b(1.19g,6.54mmol)を滴下し、2時間攪拌した。反応を停止させるため、2Nの2mLの塩酸を添加し、さらに2時間攪拌した。その後、上記反応混合物を酢酸エチルにて抽出した(80mL×3)。
【0199】
各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムにより脱水して、ろ過し、減圧下にて留去して、残渣を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 14a(900mg,収率60%)を白色粉末にて得た。MS m/z(ESI)は、235.3[M+1]であった。
【0200】
<tert‐ブチル‐[2‐(4‐カルバモイル‐チアゾリジン‐3‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸エステル 14b>
N‐tert‐ブチルカルボニル‐グリシン(0.75g,4.31mmol)およびR‐チアゾリジン‐4‐カルボキシアミド(1.05g,4.31mmol)を0℃にて75mLのアセトニトリルに溶解させた。その後、1‐ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.74g,12.93mmol),N‐エチル‐N’‐(ジメチルアミノプロパン)‐カルボジイミド(1.65g,8.62mmol)およびトリエチルアミン(1.8mL,12.93mmol)を攪拌下にて添加した。
【0201】
上記添加を完了させ、上記反応溶液は自然と室温に上昇し、3時間攪拌を行った。TLCによって出発原料が消滅していることが示された後、余剰のアセトニトリルを除去し、上記反応混合物を酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、25mLの飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下留去して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、tert‐ブチル‐[2‐(4‐カルバモイル‐チアゾリジン‐3‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸エステル 14b(1.15g,収率92.7%)を白色粉末にて得た。MS m/z(ESI)は、290.1[M+1]であった。
【0202】
<tert‐ブチル‐[2‐(4‐シアノ‐チアゾリジン‐3‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸エステル14cの調製>
窒素雰囲気下の乾燥させた三つ口フラスコ内にて、反応系を−35℃に維持しながら、維持しながら20mLのピリジン、tert‐ブチル‐[2‐(4‐カルバモイル‐チアゾリジン‐3‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸エステル 14b(1.15g,3.98mmol)、イミダゾール(0.57g,8.36mmol)をこの順にて添加した。さらに、オキシ塩化リン(1.52mL,16.32mmol)を−35℃にて1時間攪拌下にて滴下した。上記反応混合物は、自然と室温に上昇した。
【0203】
余剰のピリジンを留去し、上記反応混合物を酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、25mLの飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下留去して残渣を得た。上記残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、tert‐ブチル‐[2‐(4‐シアノ‐チアゾリジン‐3‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸エステル14c(0.811g,収率75%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、272.3[M+1]であった。
【0204】
<3‐{2‐[5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ]‐アセチル}‐チアゾリジン‐2‐カルボニトリル 14dの調製>
tert‐ブチル‐[2‐(4‐シアノ‐チアゾリジン‐3‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸エステル14c(698mg,2.58mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解させた。氷浴中にて冷却しながら、トリフルオロ酢酸(5.93mL、77.4mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合物を反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。その後、上記反応混合溶液から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。
【0205】
上記残渣を15mLのメタノールに溶解させた後、トリエチルアミン(600mg,2.5mmol),5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 14a(600mg,2.5mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.38g,11.25mmol)をこの順にて添加した。
【0206】
上記反応混合溶液を室温で攪拌し、減圧下濃縮した。これに、飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して、タイトル化合物である、3‐{2‐[5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ]‐アセチル}‐チアゾリジン‐2‐カルボニトリル 14d(80mg,収率19.6%)を淡黄色粉末にて得た。MS m/z(ESI)は、390.3[M+1]であった。
【0207】
H NMR (400MH,CDOD) δ(ppm)7.35(m,2H),6.89(m,2H), 4.62(m,1H), 4.39(m,2H),3.83(m,1H),3.39(m,1H), 3.18(m,3H),3.10(m,1H),2.62(m,2H),2.06(m,2H),2.00‐1.72(m,5H)
<3‐{2‐[5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ]‐アセチル}‐チアゾリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 14の調製>
3‐{2‐[5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ]‐アセチル}‐チアゾリジン‐2‐カルボニトリル 14d(80mg,0.206mmol)を10mLのエーテルに溶解させた。その後、その後、2mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を氷浴中にて冷却しながら添加した。反応混合物を留去してタイトル化合物である、3‐{2‐[5‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ]‐アセチル}‐チアゾリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 14(80gm,収率91%)で白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、390.2[M+1]であった。
【0208】
〔実施例15:1‐[2‐(5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 15の調製〕
【0209】
【化35】

【0210】
<1‐[2‐(5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 15aの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル(1.83g,7.246mmol)を40mLのジクロロメタンに溶解させた。その後、氷浴中にて冷却しながら、トリフルオロ酢酸(16.65mL、217.4mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合溶液を、反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。上記反応混合溶液から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。
【0211】
上記残渣を、40mLのメタノールに溶解して溶液を得た後、上記溶液に対して、トリエチルアミン(3.024mL、21.74mmol)、テトラヒドロ‐ペンタレン‐2,5‐ジオン 1a(1mg、7.246mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(6.142g、28.98mmol)を、この順にて添加した。上記反応混合物を室温にて一晩攪拌した後、減圧下、濃縮し、10mLの飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、ジクロロメタン(80mL×3)にて抽出した。
【0212】
上記各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記ジクロロメタン層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。その残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 15a(100mg,収率5%)を白色粉末にて得たMS m/z(ESI)は、276.6[M+1]であった。
【0213】
H NMR (400MH,CDCl) δ(ppm) 4.69(m,1H), 3.52(m,1H),3.36(m,1H), 3.16(m,1H), 2.66(m,2H),2.44(m,3H),2.24‐1.98(m,8H),1.25(m,3H)
<1‐[2‐(5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 15の調製>
1‐[2‐(5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 15a(100mg,0.364mmol)を10mLのエーテルに溶解させた。その後、氷浴中にて2mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を冷却しながら添加した。得られた固体を遠心分離により分離して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐オキソ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 15(80mg,収率70.1%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、276.2[M+1]であった。
【0214】
〔実施例16:1‐[2‐(5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 16の調製〕
【0215】
【化36】

【0216】
<1‐[2‐(5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル 16aの調製>
[2‐(2‐シアノ‐ピロリジン‐1‐イル)‐2‐オキソ‐エチル]‐カルバミン酸‐tert‐ブチルエステル 1f(903mg,3.571mmol)を40mLのジクロロメタンに溶解させた。その後、その溶液を氷浴中にて冷却しながら、トリフルオロ酢酸(8.2mL、107.14mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合溶液を、反応が完了するまで、0℃を維持して攪拌した。上記反応混合溶液から、ジクロロメタンおよびトリフルオロ酢酸を留去して残渣を得た。
【0217】
上記残渣を50mLのメタノールに溶解させ、トリエチルアミン(1.49mL,10.714mmol)、5‐ヒドロキシ‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐2‐オン 5a(0.5g、3.571mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.02g、14.285mmol)をこの順にて添加した。
【0218】
上記反応混合物溶液を、一晩攪拌した後、減圧下、濃縮し、20mLの飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、酢酸エチル(80mL×3)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、15mLの飽和食塩水にて洗浄し、上記酢酸エチル層を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。その残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル 16a(200mg,収率20.4%)を白色粉末として得た。MS m/z(ESI)は、278.5[M+1]であった。
【0219】
H NMR(400MH, CDCl ) δ(ppm)4.49(m,1H), 3.98(m,1H),3.36(m,2H),3.20(m,1H),3.07(s,1H),2.99(m,1H),2.77(m,2H),1.98(m,5H),1.79(m,2H),1.31(m,3H),1.05(m,2H)
<1‐[2‐(5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 16の調製>
1‐[2‐(5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル 16a(192mg,0.686mmol)を10mLのエーテルに溶解させた。その後、氷浴中にて3mLのエーテル中の0.5Nの塩酸溶液を冷却しながら添加した。
【0220】
得られた固体を遠心分離により分離して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐ヒドロキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 16(80mg,収率40%)を白色粉末にて得た。MS m/z(ESI)は、278.2[M+1]であった。
【0221】
〔実施例17:1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩の調製〕
【0222】
【化37】

<7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐安息香酸エステル 17aの調製>
安息香酸(2.68g,22mmol)およびアゾジカルボン酸ジエチル(3.828g,22mmol)の4mLのエーテル溶液を、3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 1c(3.68g,20mmol)およびオキシ塩化リン(5.786g,22mmol)の50mLのエーテル溶液に添加した。上記添加を完了させ、上記反応溶液を室温にて14時間攪拌した。その後、反応溶液を濃縮し、残渣を得た。上記残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐安息香酸エステル 17a(2.9g,収率50%)を無色のオイル状化合物として得た。
【0223】
<3‐ヒドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 17bの調製>
7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐安息香酸エステル 17a(2.9g,10.0mmol)および水酸化カリウム(3.2g,22mmol)を、73mLのメタノールおよび37mLの水の混合液に溶解させた。その後、この反応溶液を40℃にて2時間攪拌し、上記反応溶液を酢酸エチル(50mL×4)にて抽出した。
【0224】
上記各有機層を合わせた溶液を、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、ろ過後、減圧下にて濃縮して、タイトル化合物である、3‐ヒドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 17b(1.7g,収率93%)を無色のオイル状化合物として得た。MS m/z(ESI)は、185.5[M+1]であった。
【0225】
<3‐メトキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 17cの調製>
3‐ヒドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 17b(0.86g,4.67mmol)を50mLのテトラヒドロフランに溶解させ、水酸化ナトリウム(0.45g,9.34mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合溶液を、反応が完了するまで、室温にて1時間攪拌した。その後、ヨウ化メチル(1.162mL,18.69mmol)を添加し、還流温度にて2時間加熱した。その後、冷却し、反応を停止させるために水(10mL)を加え、酢酸エチル(50mL×4)にて抽出を行った。
【0226】
上記各有機層を合わせた溶液を、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、ろ過後、減圧下にて濃縮して、次のステップで使用する、タイトル化合物である、3‐メトキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 17cを得た。
【0227】
<5‐メトキシ‐ヘキサヒドロペンタレン‐2‐オン 17dの調製>
3‐メトキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン 17c(920mg,4.67mmol)を50mLの酢酸エチルおよび25mLの水の混合物中に溶解させ、エタン二酸(1.134g,9mmol)を攪拌下添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合物を反応が完了するまで、室温にて一晩攪拌した。その後、50mLの水を加え、酢酸エチル(50mL×3)にて抽出を行った。
【0228】
上記有機層の合わせた溶液を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下留去して、タイトル化合物である、5‐メトキシ‐ヘキサヒドロペンタレン‐2‐オン 17d(0.65g)を無色のオイル状化合物として得た。MS m/z(ESI)は、157.3[M+1]であった。
【0229】
<1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル 17eの調製>
5‐メトキシ‐ヘキサヒドロペンタレン‐2‐オン 17d(308mg,2mmol)を50mLのテトラヒドロフランに溶解させ、1‐(2‐アミノ‐アセチル)‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩(630mg、3.32mmol)を添加した。上記反応混合物を0.5時間攪拌し、硫酸ナトリウム(5g)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.4g、6.6mmol)を添加した。
【0230】
上記添加を完了させ、上記反応混合物を室温にて3時間攪拌した。その後、20mLの飽和炭酸ナトリウム溶液を添加し、酢酸エチル(50mL×5)にて抽出し、さらに、ジクロロメタン(50mL×10)にて抽出した。
【0231】
上記各有機層の合わせた溶液を、50mLの飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル 17e(250mg,収率43%)を無色のオイル状化合物として得た。MS m/z(ESI)は320.3[M+1]であった。
【0232】
<1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセリル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 17の調製>
1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]ピロリジン‐2‐カルボニトリル 17e(250mg,0.313mmol)を10mLのエーテルに溶解させ、2mLのエーテル中の0.5N塩酸溶液を氷浴中にて冷却しながら添加した。得られた固体を遠心分離して、タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセリル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 17(250mg,収率76.3%)を白色粉末にて得た。MS m/z(ESI)は、292.6[M+1]であった。
【0233】
〔実施例18:1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル)]ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 18の調製〕
【0234】
【化38】

<5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐オール 18aの調製>
5‐メトキシ‐ヘキサヒドロペンタレン‐2‐オン 17d(2.5g,7.12mmol)を50mLのメタノールに溶解させ、氷浴中にて冷却しながら、水素化ホウ素ナトリウム(0.537g,14.2mmol)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応溶液を30分攪拌した。さらに、反応を停止させるために10mLの水および少量のアセトン(2mL)を添加し、上記反応混合物溶液を、減圧下、濃縮し、酢酸エチル(50mL×3)にて抽出を行った。
【0235】
上記各有機層の合わせた溶液を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して、タイトル化合物である、5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐オール 18a(1.46g)を無色のオイル状化合物として得た。上記化合物を次の反応にて直接用いた。
【0236】
<5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル メタンスルホン酸エステル 18bの調製>
5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐オール 18a(1.47g,7.0mmol)を50mLのジクロロメタンに溶解させ、トリエチルアミン(1.95mL,14.0mmol)を添加した。その後、氷浴中にて、塩化メタンスルホニル(0.7mL,9.1mmol)を添加した。上記添加が完了するまでに、上記反応混合物を一晩攪拌した。その後、50mLの水を添加し、ジクロロメタン(50mL×4)にて抽出を行った。
【0237】
上記各有機層の合わせた溶液を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。その残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル メタンスルホン酸エステル 18b(1.13g,収率69.0%)を無色のオイル状化合物として得た。
【0238】
<5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル アジド類18cの調製>
5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル メタンスルホン酸エステル 18b(1.13g,4.82mmol)、アジ化ナトリウム(0.313g,4.82mmol)を50mLのN,N‐ジメチルホルムアミドにアルゴン雰囲気下にて添加した。上記反応混合物を一晩65℃にて加熱した。
【0239】
その後、反応混合物を冷却し、濃縮し、50mLの水を添加して、酢酸エチル(50mL×4)にて抽出を行った。上記各有機層を合わせた溶液を、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、ろ過後、減圧下にて濃縮して、残渣を得た。上記残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル アジド類18c(500mg,収率57%)を無色のオイル状化合物として得た。
【0240】
<5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミン 18dの調製>
5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル アジド類18c(0.15g,0.83mmol)を50mLのメタノールに溶解させ、Pd‐C(0.05g)およびクロロホルム(0.1ml)を添加した。上記添加を完了させ、上記反応混合物を、室温、0.3Mpaの条件下にて3時間水素化した。その後、ろ過、および、メタノール(10mL×5)による洗浄を行った。
【0241】
濾液を濃縮し、タイトル化合物である、5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミン 18d(0.16g)を得た。上記化合物を次のステップにて直接用いた。MS m/z(ESI)は、156.5[M+1]であった。
【0242】
<1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 18eの調製>
5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミン 18d(0.16g,0.83mmol)、1‐(2‐クロロ‐アセチル)‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル(143mg,0.83mmol)[J. Med. Chem. 2002 45(12), 2362-2365]、炭酸カリウム(0.230g,1.66mmol)および触媒量のヨウ化カリウムを100mLのアセトニトリルに溶解させた。
【0243】
上記添加が完了するまで、上記反応混合物を室温にて一晩攪拌した。その後、水層がpH>10を維持するように、20mLの水を添加し、1Nの水酸化ナトリウム溶液にてpH>10に調節し、酢酸エチル(50mL×8)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、飽和食塩水(50mL)にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。
【0244】
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 18e(0.142g)を無色のオイル状化合物として得た。上記化合物を次のステップにて直接用いた。MS m/z(ESI)は292.6[M+1]であった。
【0245】
<1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 18の調製>
1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 18e(142mg,0.487mmol)を10mLのエーテルに溶解させ、その後、氷浴中にて、2mLのエーテル中の0.5N塩酸溶液を添加した。得られた固体を遠心分離してタイトル化合物である、1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 18(142mg,収率89%)を白色粉末として得た。
【0246】
〔実施例19:1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 19の調製〕
【0247】
【化39】

<5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐オール 19aの調製>
5‐メトキシ‐ヘキサハイドロ‐ペンタレン‐2‐オン 1e(2.5g,7.12mmol)を50mLのメタノールに溶解させ、氷浴中にて冷却しながら、水素化ホウ素ナトリウム(0.537g,14.2mmol)を添加した。上記反応が完了するまで、上記反応混合物を30分攪拌した。
【0248】
その後、反応を停止させるために、10mLの水および少量のアセトン(2mL)を添加し、減圧下濃縮し、酢酸エチル(50mL×3)にて抽出を行った。上記各有機層を合わせた溶液を、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、ろ過後、減圧下にて濃縮して、タイトル化合物である、5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐オール 19a(1.46g)を無色のオイル状化合物として得た。上記化合物を次の反応にて直接用いた。
【0249】
<5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル メタンスルホン酸エステル 19bの調製>
5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐オール 19a(1.46g,7.12mmol)を50mLのジクロロメタンに溶解させ、トリエチルアミン(1.98ml,14.2mmol)を添加した。その後、氷浴中にて、塩化メタンスルホニル(0.66ml,8.54mmol)を添加した。上記添加が完了するまでに、上記反応混合物を一晩攪拌した。その後、50mLの水を添加し、ジクロロメタン(50mL×4)にて抽出を行った。
【0250】
上記各有機層の合わせた溶液を、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。その残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、上記タイトル化合物である、5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル メタンスルホン酸エステル 19b(1.47g,収率88.1%)を無色のオイル状化合物として得た。
【0251】
<5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル アジド類 19cの調製>
5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル メタンスルホン酸エステル 19b(1.47g,6.27mmol)、アジ化ナトリウム(0.408g,6.27mmol)を50mLのN,N‐ジメチルホルムアミドにアルゴン雰囲気下にて添加した。上記反応混合物を一晩65℃にて加熱した。
【0252】
その後、反応混合物を冷却し、濃縮し、50mLの水を添加して、酢酸エチル(50mL×4)にて抽出を行った。上記各有機層を合わせた溶液を、無水硫酸ナトリウムにより脱水し、ろ過後、減圧下にて濃縮して、残渣を得た。上記残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、タイトル化合物である、5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル アジド類 19c(540mg,収率48%)を無色のオイル状化合物として得た。
【0253】
<5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミン 19dの調製>
5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イル アジド類 19c(0.52g,2.87mmol)を20mLのメタノールに溶解させ、Pd‐C(0.25g)を添加した。上記添加が完了するまで、上記反応混合物を、室温、0.3Mpaの条件下にて3時間水素化した。その後、ろ過、および、メタノール(10mL×5)によるPd‐Cの洗浄を行った。
【0254】
濾液を濃縮し、タイトル化合物である、5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミン 19d(0.42g,収率92.2%)を得た。MS m/z(ESI)は、156.5[M+1]であった。
【0255】
<1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 19eの調製>
5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミン 19d(0.42g,1.3mmol)、1‐(2‐クロロ‐アセチル)‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル(334mg,1.9mmol)[J. Med. Chem. 2002 45(12), 2362-2365], 炭酸カリウム(0.719g,5.2mmol)およびヨウ化カリウム(100mg,0.6mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解させた。
【0256】
上記添加が完了するまで、上記反応混合物を室温にて一晩攪拌した。その後、水層がpH>10を維持するように、20mLの水を添加し、1Nの水酸化ナトリウム溶液にてpH>10に調節し、酢酸エチル(50mL×8)にて抽出した。上記各有機層の合わせた溶液を、飽和食塩水(50mL)にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて脱水し、ろ過後、減圧下濃縮して残渣を得た。
【0257】
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して、上記タイトル化合物である、1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 19e(0.2g,収率35%)を無色のオイル状化合物として得た。MS m/z(ESI)は292.6[M+1]であった。
【0258】
<1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 19の調製>
1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル 19e(200mg,0.687mmol)を10mLのエーテルに溶解させ、その後、氷浴中にて、エーテル中の2mLの0.5N塩酸溶液を添加した。
【0259】
得られた固体を遠心分離してタイトル化合物である、1‐[2‐(5‐メトキシ‐オクタヒドロ‐ペンタレン‐2‐イルアミノ)‐アセチル]‐ピロリジン‐2‐カルボニトリル塩酸塩 19(180mg,収率80%)を白色粉末として得た。
【0260】
〔生物検定法:DPPIVインヒビター活性の分析〕
DPPIVを直接ターゲットとする検出方法は化学ルミネセンス分析であり、プロメガ社のDPPIV‐Glo(登録商標)Protease Assay Kit(カタログ番号 G8350)およびジペプチジルペプチダーゼ、Calbiochem社のHuman Plecenta(カタログ番号 317630)が用いられる。本発明によれば、上記Kitのマニュアルに従い、実験的にDPPIV酵素の量および化学ルミネッセンス分析法に相当する各試薬の量を分析することができる。
【0261】
また、本発明によれば、二つの平行処理に対して、IC50のテストサンプルを分析できた。DPPIVに対する化合物の阻害率を測定し、表2に示した。
【0262】
【表2】


〔DPPIVインヒビターの血糖降下活性における予備評価〕
実施例15および16に関して、通常のICRマウスでのグルコース耐性の効果を測定した。また、生体内での血糖降下活性を予備評価した。
【0263】
<試験薬物>
調製手法:薬物を正確に秤量し、再蒸留水に溶解させ、十分に攪拌して0.5mg/mlの懸濁液を得た。その後、上記懸濁液を無色透明の0.15、0.05および0.015mg/mlの濃度に希釈した。
【0264】
1回の投与量:経口量は、0.3、1、3,10mg/kgおよび体積は、20ml/kgである。
【0265】
<陽性対照>
名前:LAF−237
調製手法:薬物を正確に秤量し、その後、上記懸濁液を無色透明の0.15、0.05および0.015mg/mlの濃度に希釈した。
【0266】
1回の投与量:経口量は、0.3、1、3,10mg/kgおよび体積は、20ml/kgである。
【0267】
<血清グルコースの測定>
グルコースキットを血清中のグルコース濃度を測定するために用いた。まず、酵素の流体250μlを採取し、5μlの血清を添加した。ブランクチューブ(再蒸留5μlが添加されている)および標準チューブ(標準のグルコース溶液5μlが添加されている)を同時に氷浴にて37℃で20分間混合した。ブランクチューブの0値を調整するために、OD(505nm)の濃度を測定した。
【0268】
血清グルコース濃度BG(mmol/l)=ODサンプルチューブ/OD標準チューブ×5.55
<結論>
実施例15および16の両方から、生体内でのDPPIVの良好な阻害因子活性が見出された。また、実施例16ではLAF−237よりもわずかに良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)の化合物、または、下記式(I)の薬学的に許容され得る塩の化合物であり、
【化1】

Rは、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アミノカルボニルアルキル基、アミドアルキル基、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基、およびアミノアルキル基からなるグループから選択され、
上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、3員環から8員環までを形成する原子に共に結合され、上記3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択される1以上のヘテロ原子を含み、形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
nは、0から4までの整数であり、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数であることを特徴とする化合物。
【請求項2】
下記の式(IA)の化合物を含み、
【化2】

Rは、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アミノカルボニルアルキル基、アミドアルキル基、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基、およびアミノアルキル基からなるグループから選択され、上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、3員環から8員環までを形成する原子に共に結合され、3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択される1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rは、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基であり、上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の基により置換され、
は、水素または水酸基であり、
は、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記3員環から8員環までの内の5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Rは、下記の式のものであり、
【化3】

は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択され、
Xは、C、S、またはOであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
nが0であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
上記式(I)の化合物は、遊離型、および酸付加塩の、薬学的に許容され得る形態であり、
上記塩は、塩酸、メタンスルホン酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酢酸、およびトリフルオロ酢酸からなるグループから選択される酸と形成された塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
上記酸は、塩酸またはトリフルオロ酢酸であることを特徴とする請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の式(I)の化合物の調製方法であり、
【化4】

出発原料であるテトラヒドロ‐ペンタレン‐2,5‐ジオン(I‐1a)を、エチレングリコールと、触媒としてのp‐トルエンスルホン酸の存在下にて、ベンゼン溶媒中での加熱還流を通して反応させて、保護された、7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン(I‐1b)を得るステップと、
【化5】

上記得られた7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン(I‐1b)を、室温にて、NaBHにより還元して、3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を得るステップと、
【化6】

上記得られた3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を、酢酸エチルおよび水の混合溶媒中にて、シュウ酸と反応させて、5‐ハイドロキシ‐ヘキサハイドロ‐ペンタレン‐2‐オン(I‐1e)を得るステップ、
【化7】

または、上記得られた3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を、種々のイソシアネートおよびトリメチルクロロシランと、室温にて反応させる、または、エーテル溶媒中にて種々のグリニャール試薬と反応させ、その後、反応生成物を、さらに2Nの塩酸により酸性化して、上記式(I‐1d)の化合物を得るステップと、
【化8】

上記式(I‐1a)、上記式(I‐1d)または上記式(I‐1e)の各化合物を、それぞれ、独立に、種々の互いに等価なアミンと、メタノール溶媒中にて、トリエトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよびトリエチルアミンの存在下、室温にて反応させて、式(IA)の化合物を得るステップとを含み、
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アミノカルボニルアルキル基、アミドアルキル基、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基、およびアミノアルキル基からなるグループから選択され、上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、
上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、
上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、3員環から8員環までを形成する原子に共に結合され、3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択される1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記3員環から8員環までの内の5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数であることを特徴とする調製方法。
【請求項9】
Rは、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基であり、上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の基により置換され、
は、水素または水酸基であり、
は、水素、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記3員環から8員環までの内の5員環から8員環までヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数であることを特徴とする請求項8に記載の調製方法。
【請求項10】
Rは、下記の式の化合物であり、
【化9】

は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択され、
Xは、C、S、またはOであることを特徴とする請求項8に記載の調製方法。
【請求項11】
精製された式(IA)の化合物を、氷浴中にて、エーテル溶媒中において、酸と直接的に反応させて上記化合物の酸付加塩を得ることを特徴とする請求項8に記載の調製方法。
【請求項12】
精製された式(IA)の化合物を、窒素原子を保護するために、ジ‐tert‐ブチルジカーボネートと反応させ、得られた化合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した後、氷浴中にて、エーテル溶媒中において、酸と反応させて上記化合物の酸付加塩を得ることを特徴とする請求項8に記載の調製方法。
【請求項13】
上記酸は、塩酸、メタンスルホン酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酢酸、または、トリフルオロ酢酸であることを特徴とする請求項11または12に記載の調製方法。
【請求項14】
上記酸は、塩酸またはトリフルオロ酢酸であるであることを特徴とする請求項11または12に記載の調製方法。
【請求項15】
上記式(I‐1a)、上記式(I‐1d)または上記式(I‐1e)の各化合物を、それぞれ、独立に、等価なRNHと、メタノール溶媒中にて、トリエトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよびトリエチルアミンの存在下、室温にて反応させて、式(IA)の化合物を得るステップとを含み、
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アミノカルボニルアルキル基、アミドアルキル基、ヘテロシクロアミノカルボニルアルキル基、およびアミノアルキル基からなるグループから選択され、上記ヘテロシクロは、5員または6員のヘテロ環からなるグループから選択され、上記ヘテロ環は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択された1以上の置換基にて置換されていることを特徴とする請求項8に記載の調製方法。
【請求項16】
Rは、好ましくは、下記の式の化合物であり、
【化10】

は、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、さらに、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、およびハロゲン基からなるグループから選択され、
Xは、C、S、またはOであることを特徴とする請求項15に記載の調製方法。
【請求項17】
下記の各式で示される化合物からなるグループから選択されたことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【化11】

【化12】

【請求項18】
以下の式(I‐1d)または式(I‐1e)を有する請求項1に記載の式(I)の化合物の合成における、各中間体としての各化合物であり、
【化13】

およびRは、それぞれ、独立に、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数であることを特徴とする化合物。
【請求項19】
請求項18に記載の式(I‐1d)の化合物または式(I‐1e)の化合物の調製方法であり、
【化14】

出発原料であるテトラヒドロ‐ペンタレン‐2,5‐ジオン(I‐1a)を、エチレングリコールと、触媒としてのp‐トルエンスルホン酸の存在下にて、ベンゼン溶媒中での加熱還流を通して反応させて、保護された、7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン(I‐1b)を得るステップと、
【化15】

上記得られた7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン‐3‐オン(I‐1b)を、室温にて、NaBHにより還元して、3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を得るステップと、
【化16】

上記得られた3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を、酢酸エチルおよび水の混合溶媒中にて、シュウ酸と反応させて、5‐ハイドロキシ‐ヘキサハイドロ‐ペンタレン‐2‐オン(I‐1e)を得るステップ、
【化17】

または、上記得られた3‐ハイドロキシ‐7,7‐(エチリデンアセタール)ビシクロ[3.3.0]オクタン(I‐1c)を、種々のイソシアネートおよびトリメチルクロロシランと、室温にて反応させる、または、エーテル溶媒中にて種々のグリニャール試薬と反応させ、その後、反応生成物を、さらに2Nの塩酸により酸性化して、上記式(I‐1d)の化合物を得るステップとを含み、
およびRは、それぞれ、独立に、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、‐OR、‐(CHCHO)、‐(CHC(O)OR、‐(CHC(O)NR、‐(CHOC(O)NR、‐C(O)R、‐NRC(O)R、‐NRC(O)OR、‐OC(O)OR、‐OC(O)NR、‐NC(O)NR、および、‐NR、からなるグループから選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリル基、または、ヘテロアリル基は、アルキル基、ハロゲン基、アリル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、および、カルボン酸エステル基からなるグループから選択された1以上の基でさらに置換され、
およびRは、それぞれ、独立に、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、および、ヘテロシクロアルキル基から選択され、上記アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、または、ヘテロシクロアルキル基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ヘテロアリルオキシル基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルコキシル基、トリフルオロメチル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基からなる1以上の置換基にて置換され、
およびRは、3員環から8員環までのヘテロ環を形成するN原子に共に結合され、上記5員環から8員環までのヘテロ環は、さらに、N、O、Sからなるグループから選択された1以上のヘテロ原子を含み、上記形成された3員環から8員環までは、さらに、アルキル基、アリル基、ヘテロアリル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、アミノカルボニル基、シアノ基、アルコキシル基、アリルオキシル基、アミノアルキル基、ハイドロキシアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、ハロゲン基、および、‐NRからなるグループから選択された1以上の置換基により置換され、
は、水素およびアルキル基からなるグループから選択され、
rは、1から6までの整数であり、
mは、0から6までの整数であることを特徴とする調製方法。
【請求項20】
請求項1〜7,17に何れか1項に記載の式(I)の化合物または上記式(I)の化合物の塩の治療に有効な投与量を、薬学的に許容され得る担体と共に含む薬学的組成物。
【請求項21】
ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビター(DPPIV)としての医薬品の調製における、請求項1に記載の式(I)の化合物または上記化合物の塩の使用。
【請求項22】
ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビター(DPPIV)としての医薬品の調製における、請求項20に記載の薬学的組成物の使用。

【公表番号】特表2009−532391(P2009−532391A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503393(P2009−503393)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【国際出願番号】PCT/CN2007/001008
【国際公開番号】WO2007/112669
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508226621)シャンハイ ヘンルイ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENGRUI PHARMACEUTICAL CO.LTD.
【住所又は居所原語表記】No.279 Wenjing Road,Minhang District,Shanghai 200245,China
【Fターム(参考)】