説明

ビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体、ビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体の製造方法、及び当該ビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体を用いた有機薄膜トランジスタ

【課題】均質薄膜を容易かつ低廉に作成できるビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体、および当該ビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体を用いた有機薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】例えば下記に示すフェナザシリン化合物を主鎖骨格とする重合体及び有機薄膜トランジスタ


(式中、R1−R10はMe基、n=5)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェナザシリン誘導体を主鎖に持つポリマー、即ち、5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン(以下、単に「フェナザシリン」という)化合物を主鎖に持つ新規なビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体、ビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体の製造方法および当該ビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体を用いた有機薄膜トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フェナザシリン化合物は酸化を防止する化合物として知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、ジェットエンジンの潤滑剤用の耐熱性添加剤としても知られている(例えば、非特許文献2参照)。さらに、フェナザシリンの低分子化合物については、発光素子の正孔輸送材料として好適に用いられることも知られている(例えば、特許文献1,2参照)。一方で、ポリアニリンをはじめとする芳香族アミン型ポリマーは、高い電気活性を示すことが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Issled.Obl.Fiz.Khim.Kauch.Rezin,2,14(1973)
【非特許文献2】Ann.N.Y.Acad.Sci.,125,242(1965)
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−302339号公報
【特許文献2】特開平10−218884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来のフェナザシリンをはじめとする低分子化合物を、発光素子をはじめとする電子素子の構成材料として用いる場合、キャスト法では溶液から縞状の析出となり均質薄膜形成がうまくいかないので、真空蒸着等の方法が用いられる。その場合、真空蒸着装置等の高価な機器が必要とされるので、より簡便な手段によって電子素子の構成材料として利用できることが求められていた。また、ポリアニリンをはじめとする芳香族アミン型ポリマーは、一般の有機溶媒への溶解性が低いため、膜形成がしにくく、素子化が難しいという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、高価な成膜機器を使用することなく高熱環境においても安定な特性を示す均質薄膜を容易かつ低廉に作成できるビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体、ビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体の製造方法、及び当該ビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体を用いた有機薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体は、下記一般式(1)で示される化合物を主鎖骨格とすることを特徴とする。
【化1】

(式中、R〜R10はそれぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、または水素原子を示す。Zは二価のアリール基、二価のアルキル基、または酸素原子を示す。nは平均重合度である。)
【0008】
また、本発明の請求項2に係る発明のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体は、下記一般式(2)で示される化合物を主鎖骨格とすることを特徴とする。
【化2】

(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、または水素原子を示し、Arは二価のアリール基、または二価のアルキル基を示す。nは平均重合度である。)
【0009】
また、本発明の請求項3に係る発明のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体の製造方法は、下記一般式(3)で示されるビス(5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン)化合物とビスヒドロシラン化合物とをプラチナ系触媒の存在下においてカップリング反応をさせることによって、請求項1に記載のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体を製造することを特徴とする。
【化3】

(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、または水素原子を示す。)
【0010】
また、本発明の請求項4に係る発明のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体の製造方法は、請求項3に記載の一般式(3)で示されるビス(5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン)化合物とジハロゲン化芳香族化合物とを、パラジウム系触媒の存在下でカップリング反応させることによって、請求項2に記載のフェナザシリン系重合体を製造することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明の有機薄膜トランジスタは、請求項1又は2に記載のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体が用いられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体は、上記一般式(1)で示されるビス(5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン)化合物を主鎖骨格としているので、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、トリフルオロ酢酸等の有機酸、トルエンやTHF(テトラヒドロフラン)等の通常の有機溶剤に容易に溶解させることができる。よって、本形態のフェナザシリン化合物誘導重合体にて有機溶媒溶解が可能となったキャスト法等を用いることによって、耐熱性の高い均質薄膜を容易かつ低廉に作成できる。
【0013】
また、請求項2に係る発明のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体は、上記一般式(2)で示されるビス(5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン)化合物を主鎖骨格としているので、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、トリフルオロ酢酸等の有機酸、トルエンやTHF(テトラヒドロフラン)等の通常の有機溶剤に容易に溶解させることができる。よって、本形態のフェナザシリン化合物誘導重合体にて有機溶媒溶解が可能となったキャスト法等を用いることによって、耐熱性の高い均質薄膜を容易かつ低廉に作成できる。
【0014】
また、請求項3に係る発明のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体の製造方法では、上記一般式(3)で示されるビス(5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン)化合物とビスヒドロシラン化合物とをプラチナ系触媒の存在下においてカップリング反応をさせることによって、請求項1に記載のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体を容易に製造できる。
【0015】
また、請求項4に係る発明のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体の製造方法では、上記一般式(3)で示されるビス(5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン)化合物とジハロゲン化芳香族化合物とを、パラジウム系触媒の存在下でカップリング反応させることによって、請求項2に記載のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体を容易に製造できる。
【0016】
また、請求項5に係る発明の有機薄膜トランジスタは、請求項1又は2に記載のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体が、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、トリフルオロ酢酸等の有機酸、トルエンやTHF(テトラヒドロフラン)等の通常の有機溶剤に容易に溶解するため、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法等の通常の塗布法を用いて簡易に成膜化して薄膜を形成可能であり、有機薄膜トランジスタの構成材料に用いることが可能であるので、良好なトランジスタ特性を有する有機薄膜トランジスタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】有機薄膜トランジスタ素子10の断面図である。
【図2】トランジスタ特性の分析に用いた半導体パラメータアナライザの回路図である。
【図3】試料1の分析結果を示すグラフである。
【図4】試料2の分析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について、複数の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0019】
まず、前記一般式(1)〜(3)において、R〜Rで表されるアルキル基としては、メチル、エチル、n−またはiso−プロピル、n−、iso−またはtert−ブチル、n−、iso−またはneo−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の直鎖、分岐、環状の炭素数1〜24、好ましくは1〜12のアルキル基が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、o−、m−、p−トリル基、1−および2−ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基等の炭素数6〜50、好ましくは6〜32のアリール基が挙げられる。
【0020】
また、前記一般式(1)〜(3)において、R〜Rで表されるアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−またはiso−プロポキシ、n−、iso−またはtert−ブトキシ、n−、iso−またはneo−ペントキシ、n−ヘキソキシ、シクロヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ等の直鎖、分岐、環状の炭素数1〜24、好ましくは1〜12のアルコキシ基があげられる。アリーロキシ基としては、フェノキシ基、o−、m−、p−トリロキシ基、1−および2−ナフトキシ基、アントロキシ基、フルオレニル基等の炭素数6〜50、好ましくは6〜32のアリーロキシ基が挙げられる。
【0021】
また、前記一般式(1)において、R〜R10で表されるアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基としては、前記一般式(1)〜(3)において、R〜Rとして表されたものと同様のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基が挙げられる。
【0022】
前記一般式(1)においてZで表される二価のアリール基としては、o−、m−、p−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、チオフェン−2,3−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,3−ジイル、ピリジン−4,5−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、アントラセン−9,10−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルが挙げられ、これらの芳香族化合物の芳香環上が置換された化合物も含まれる。
【0023】
前記一般式(1)においてZで表される二価のアリール基の芳香環上が置換された化合物としては、アルコキシベンゼン−1,4−ジイル、アルキルベンゼン−1,4−ジイル、アリールベンゼン−1,4−ジイル、アリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアルコキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアルコキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアルコキシベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアルキルベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアルキルベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアルキルベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアリールベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアリールベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアリールベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、アルコキシチオフェン−2,5−ジイル、アルキルチオフェン−2,5−ジイル、アリールチオフェン−2,5−ジイル、アリーロキシチオフェン−2,5−ジイル、ジアルコキシチオフェン−2,5−ジイル、ジアルキルチオフェン−2,5−ジイル、ジアリールチオフェン−2,5−ジイル、ジアリーロキシチオフェン−2,5−ジイル、9,9−ジアルコキシフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジアリールフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジアリーロキシフルオレン−2,7−ジイルが挙げられる。
【0024】
また、前記一般式(1)で、Zで表される二価のアルキル基としては、メチレン、エタン−1,2−ジイル、エタン−1,1−ジイル、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル等の直鎖、分岐の炭素数1〜20、望ましくは2〜8の二価のアルキル基が挙げられる。
【0025】
前記一般式(2)において、Arで表される二価のアルキル基としては、o−、p−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、チオフェン−2,3−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,3−ジイル、ピリジン−4,5−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、アントラセン−9,10−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルが挙げられ、これらの芳香族化合物の芳香環上が置換された化合物も含まれる。
【0026】
また、前記一般式(2)においてArで表される二価のアリール基としては、o−、m−、p−フェニレン、チオフェン−2,5−ジイル、チオフェン−2,3−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,3−ジイル、ピリジン−4,5−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、アントラセン−9,10−ジイル、アントラセン−1,4−ジイル、アントラセン−2,6−ジイル、アントラセン−1,7−ジイル、ビフェニレン−4,4’−ジイル、フルオレン−2,7−ジイルが挙げられ、これらの芳香族化合物の芳香環上が置換された化合物も含まれる。
【0027】
一般式(2)においてArで表される、二価のアリール基の芳香環上が置換された化合物としては、アルコキシベンゼン−1,4−ジイル、アルキルベンゼン−1,4−ジイル、アリールベンゼン−1,4−ジイル、アリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアルコキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアルコキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアルコキシベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアルキルベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアルキルベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアルキルベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアリールベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアリールベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアリールベンゼン−1,4−ジイル、2,5−、2,3−、2,6−ジアリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5−トリアリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、2,3,5,6−テトラアリーロキシベンゼン−1,4−ジイル、アルコキシチオフェン−2,5−ジイル、アルキルチオフェン−2,5−ジイル、アリールチオフェン−2,5−ジイル、アリーロキシチオフェン−2,5−ジイル、ジアルコキシチオフェン−2,5−ジイル、ジアルキルチオフェン−2,5−ジイル、ジアリールチオフェン−2,5−ジイル、ジアリーロキシチオフェン−2,5−ジイル、9,9−ジアルコキシフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジアリールフルオレン−2,7−ジイル、9,9−ジアリーロキシフルオレン−2,7−ジイルが挙げられる。
【0028】
さらに、前記一般式(1)〜(3)のR〜R、一般式(1)のR〜R10とZ、および一般式(2)のArが有する置換基としては、後述するカップリング反応に関与しないものであればよく、例えば、前記したアルコキシ基、アルキル基、アリール基、アリーロキシ基が挙げられる。
【0029】
前記一般式(1)および(2)における平均重合度nは、1を超える任意の数字を取りうるが、1<n<10000の範囲であることが望ましい。
【0030】
前記一般式(1)で表される化合物は、前記一般式(3)に記載の化合物とビスヒドロシラン化合物を適当な溶媒に溶かし、触媒を加えてヒドロシリル化後にカップリング反応を行うことによって製造することができる。この場合の反応は式(a)で表される。
【化4】

(式中、R〜R10はそれぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、または水素原子を示す。Zは二価のアリール基、二価のアルキル基、または酸素原子を示す。nは平均重合度である。)
【0031】
上述したヒドロシリル化反応にはプラチナ系(Pt系)触媒を用いる。プラチナ系触媒としては、従来ヒドロシリル化反応用に使われているものを用いることができる。例として、白金ジビニルテトラメチルジシロキサン、白金環状ビニルメチルシロキサン、トリス(ジベンジリデンアセトン)二白金、塩化白金酸、ビス(エチレン)テトラクロロ二白金、シクロオクタジエンジクロロ白金、ビス(シクロオクタジエン)白金、ビス(ジメチルフェニルホスフィン)ジクロロ白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金、白金カーボン等が挙げられる。
【0032】
前記一般式(2)で表される化合物は、前記一般式(3)に記載の化合物とジハロゲン化芳香族化合物とをパラジウム系(Pd系)触媒の存在下にてカップリング反応させることによって製造することができる。この場合の反応は式(b)で表される。
【化5】

(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、または水素原子を示し、Arは二価のアリール基、または二価のアルキル基を示す。また、XおよびXはそれぞれ独立にハロゲン原子を示す。nは平均重合度である。)
【0033】
反応式(b)中のX−Ar−Xにおいて、X及びXで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0034】
この製造方法では、まず、ハロゲン化されたジビニルフェナザシリン化合物及びジハロゲン化芳香族化合物を適当な溶媒に溶解させる。そして、その溶液中にモノマー1当量に対して0.001〜20当量のパラジウム系触媒を添加することによりカップリング反応が進行し、一般式(2)で表されるビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体を容易に得ることができる。
【0035】
ここで、カップリング反応にはパラジウム系(Pd系)触媒が用いられる。パラジウム系触媒としては、従来公知の金属パラジウムを含むパラジウム化合物やパラジウム錯体が用いられる。具体的には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキス(トリメチルホスフィン)パラジウム、トリス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリエチルホスフィト)パラジウム、テトラキス(トリフェニルアルシン)パラジウム、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(η−エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(η−無水マレイン酸)[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、クロロ(メチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、ジエチルビス(トリフェニルフォスフィト)パラジウム、ジエチルビス(トリメチルフォスフィト)パラジウム、ジエチルビス(トリ−i−プロピルフォスフィト)パラジウム、ジメチル[1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジメチル[1,3−ビス(ジメチルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジメチル[1,2−ビス(ジメチルアミノ)エタン]パラジウム、ジメチルビス(4−エチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン)パラジウム、ビス(t−ブチルイソシアニド)ジメチルパラジウム、ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルイソシアニド)ジメチルパラジウム、ジフェニルビス(メチルジフェニルホスフィニト)パラジウム、ジベンジルビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジエチニルビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジネオペンチル(2,2’−ビピリジル)パラジウム、ブロモ(メチル)ビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ベンゾイル(クロロ)ビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、シクロペンタジエニル(フェニル)(トリエチルホスフィン)パラジウム、η−アリル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)パラジウム、π−アリル(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムテトラフルオロほう酸塩、ビス(π−アリル)パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、ジクロロエチレンジアミンパラジウム、塩化パラジウム、パラジウム炭素などの担持パラジウム金属等を例示することができる。これらのパラジウム系触媒は、原料のモノフェナザシリン化合物一当量あたり、0.001〜20当量、好ましくは0.01〜0.1当量の割合で用いられる。
【0036】
また、式(b)においては、パラジウム系触媒に対し0.1〜10当量の塩化リチウムや臭化銅、アンモニウム塩等の添加剤を加えて反応させてもよい。さらに、カップリング反応では塩基を加えて反応させることができる。その塩基としては、カップリング反応において通常用いられる種々の塩基を用いることができる。これを例示すれば、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエトキシド、酢酸ナトリウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、酸化アルミニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリンが挙げられる。使用する塩基の量としては、前記反応式(b)に示したモノフェナザシリン化合物1当量に対して1〜100当量、好ましくは1〜20当量である。また、これらの塩基は水溶液にして使用してもよい。
【0037】
反応式(a)および反応式(b)におけるカップリング反応において利用する溶媒としては、この種の反応において通常用いられる種々の溶媒を用いることができる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
【0038】
また、反応式(a)および反応式(b)におけるカップリング反応は、使用する溶媒の融点から沸点まで種々の温度で実施できるが、特に0℃〜100℃程度が望ましい。反応終了後、生成物は再沈法やクロマトグラム等によって容易に精製できる。
【0039】
本発明のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、トリフルオロ酢酸等の有機酸、トルエンやTHF等の通常の有機溶剤に容易に溶解するから、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法等の通常の塗布法を用いて簡易に成膜化して薄膜を形成できるものであり、有機薄膜トランジスタの構成材料に用いることが可能である。
【0040】
<一般式(3)の化合物の合成>
以下に、一般式(3)で示されるビス(5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン)化合物の合成方法について説明する。まず、氷浴中、窒素雰囲気下で1.45gの4,N−ジメチル−2’,4’,4−トリブロモジフェニルアミンを25mLの脱水エーテルに懸濁させた後に5mLのn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6M)を加えた。さらにメチルビニルジクロロシランを0.57g加え、24時間かくはんした。反応液を氷水に注ぎ、エーテルで抽出した後にエーテル層を濃縮してシリカゲルカラムで精製することにより0.65gの2−ブロモ−5,8,10−トリメチル−5−ビニル−5,10−ジヒドロフェナザシリンを薄黄色の粉末として単離した。
【0041】
ここで得られた化合物のNMRデータは以下の通りであり、希望通りの物質が生成していることがわかる。
H‐NMRスペクトル(CDCl):δ6.8〜7.4(m,6H),6.0〜6.4(m,2H),5.69(dd,2H),3.69(s,3H),2.19(s,3H),0.37(s,3H)ppm
13C−NMRスペクトル(CDCl):δ149.77,148.47,135.85,135.33,134.97,134.11,132.56,131.03,129.64,124.05,118.49,116.71,115.07,112.97,38,11,20.32,−4.79ppm
【0042】
次に、窒素雰囲気下で320mgのビス(シクロオクタジエン)ニッケル(0)に1,5−シクロオクタジエン1mLを加えた後にN,N−ジメチルホルムアミド5mLを加えて懸濁させた。さらに2,2’−ビピリジル180mgを加えて攪拌した。さらに382.2mg(0.11mmol)の2−ブロモ−5,8,10−トリメチル−5−ビニル−5,10−ジヒドロフェナザシリンを加えた後に60℃に昇温して48時間攪拌した。反応液をメタノールに注いで析出した粉末をクロロホルムに溶かし、水を加えて抽出した。クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮したクロロホルム層をメタノールにて再沈殿させた。得られた粉末をヘキサンで洗浄することにより200.1mg(0.38mmol)の一般式(3)で示されるビス(5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン)化合物(R=R=R=R=R=R=Me:メチル基)であるモノマー1を単離した。
【0043】
ここで得られた化合物のNMRデータは以下の通りであり、一般式(3)で示されるビス(5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン)化合物が得られていることが分かる。
H‐NMRスペクトル(CDCl):δ6.9〜7.7(m,12H),6.1〜6.4(m,4H),5.85(dd,2H),3.56(s,6H),2.33(s,6H),0,54(s,6H)ppm
13C−NMRスペクトル(CDCl):δ149.83,149.45,135.91,135.38,134.17,132.61,131.09,129.70,124.05,120.72,116.78,115.14,113.04,38,17,20.38,−4.72ppm
【0044】
次に、一般式(1)及び(2)で示されるビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体の製造方法について例示する。
【0045】
<製造例1>
ここでは、一般式(1)において、R=R=R=R=R=R=R=R=R=R10=Me:メチル基、Z=酸素原子である、化学式(A)で示されるビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体のポリマー1の製造方法について説明する。
【化6】

【0046】
窒素雰囲気下で、115.6mgの上記モノマー1と29.4mgの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(反応式(a)参照、Z=酸素原子、R=R=R=R10=Me:メチル基)を、トルエン7mLに加えて溶解させた。更に塩化白金酸を2mg加え、72時間攪拌した。反応液をろ過した後,メタノールに注いで析出した粉末をヘキサンで洗浄することにより上記化学式(A)で示されるビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体であるポリマー1を113.0mg(モノマーユニットとして0.31mmol)単離した。得られたポリマー1の数平均分子量は2400(n=3.7)、重量平均分子量は3300(n=5.0)であり、キャストフィルムを作製するためには十分な重合度であった。
【0047】
<製造例2>
次に、一般式(2)において、R=R=R=R=R=R=メチル基,Ar=9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイルである、化学式(B)で示されるビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体のポリマー2の製造方法について説明する。
【化7】

【0048】
窒素雰囲気下で、77.8mgの上記モノマー1と2、7−ジブロモ-9,9−ジオクチルフルオレン(反応式(b)参照、Ar=9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル,X=X=臭素原子)80.4mgをトルエン3mLに加えて撹拌した。次に、トリスo−トリルホスフィンを8.9mg加え、更にトリエチルアミンを2mL加えた。更に酢酸パラジウム1.7mgを加え、90℃に昇温して48時間攪拌した。生成した反応液をクロロホルムで抽出したのち溶媒を減圧下にて溜去した。メタノールに析出させることにより、上記化学式(B)で示されるビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体であるポリマー2を58.7mg単離した。得られたポリマー2の数平均分子量は1100(n=1.2)、重量平均分子量は1300(n=1.4)であり、キャストフィルムを作製するためには十分な重合度であった。
【0049】
<ポリマー1〜2を使用したトランジスタの作製>
以下、製造したポリマー1〜2を使用したトランジスタについて説明する。図1は、有機薄膜トランジスタ10の断面図である。有機薄膜トランジスタ10は、基板2上にゲート電極3、ゲート絶縁層4をこの順に積層したのち、ゲート絶縁層4上にソース電極5とドレイン電極6を互いに離間して形成し、その両電極の間に半導体層7を、ソース電極5、ドレイン電極6の双方に接触するように形成した、通常よく知られている構成の有機薄膜トランジスタである。なお、以下の説明では、図1の上側を「上方」、下側を「下方」として説明する。
【0050】
以下に、ポリマー1〜2を半導体層7として使用した有機薄膜トランジスタの作製方法について述べる。
【0051】
厚さ0.7mmのガラス板で構成される基板2を、超純水と有機溶媒を用いて超音波洗浄する。次に、基板2上にアルミニウムを50nm厚で真空蒸着し、ゲート電極3とする。次に、オゾン洗浄を行った後、ゲート電極3上にポリイミド前駆体をスピンコート法にて成膜し、200℃でベークして厚さ270nmのゲート絶縁層4とした。その後、背面露光を用いてゲート電極3の上方のゲート絶縁層4表面にレジストを形成し、その上から金を50nm厚で真空蒸着し成膜した後、リフトオフを行うことで、ソース電極5とドレイン電極6を形成した。この上からポリマー1〜2の1.0wt%1,2−ジクロロエタン溶液をスピンコート法で成膜することで半導体層7とした。なお、半導体層7を上記ポリマー1で作成した有機薄膜トランジスタ10を「試料1」とし、半導体層7を上記ポリマー2で作成した有機薄膜トランジスタ10を「試料2」として以下説明する。
【0052】
<試料1〜2のトランジスタ特性の分析>
ここで、試料1〜2のトランジスタの特性の分析結果について示す。分析項目は、移動度[cm/Vs]、on−off比、閾値電圧[V]の3つのパラメータである。on−off比とは、有機トランジスタがオンであるときのソース電極とドレイン電極間の電流の、有機トランジスタがオフであるときのソース電極とドレイン電極間の電流に対する比のことである。閾値電圧とは、トランジスタがオフ状態(ドレイン電流が流れない状態)からオン状態(ドレイン電流が流れる状態)に移り変わるときの、境界となるゲート電圧のことである。
【0053】
次に、分析方法について説明する。本分析は、図2に示す半導体パラメータアナライザ20を用いて行った。半導体パラメータアナライザ20では、有機薄膜トランジスタ21である試料1〜2を被測定対象物とした。有機薄膜トランジスタ21のゲート側には入力電位を接続し、ソース側には基準電位を接続し、基準電位からの出力電圧を適宜変更した。入力電位からゲートに流れる電流は電流計22で計測し、入力電位と基準電位との電位差であるゲート電圧は電圧計24で計測した。有機薄膜トランジスタ21のドレイン側には出力電位を接続した。有機薄膜トランジスタ21にゲート電圧を印加することで、ドレインからソースに向けて電流が流れる。ドレイン−ソース間を流れる電流を電流計27で計測した。出力電位と基準電位との電位差は電圧計29で計測した。このような半導体パラメータアナライザ20を用いて、試料1〜2を、ゲート電圧を−40V〜10Vまで5V毎に異なる10区間の試験区を設け、各試験区においてドレイン電圧[Vd]を5V〜−30Vまで変えたときのドレイン−ソース間を流れる電流[Id]を電流計27で計測した。そして、これらの各分析結果に基づき、それぞれの試料について移動度[cm/Vs]、on−off比、閾値電圧[V]を算出した。
【0054】
試料1のトランジスタ特性の分析結果について、図3を参照して説明する。図3は、縦軸にドレイン−ソース間を流れる電流[Id]を表し、横軸にドレイン電圧[Vd]を表わす。試料1のゲート長は150μm、ゲート幅は700μmであった。試料1では、ゲート電圧を−40V〜10Vの範囲内で変えたどの試験区においても、ドレイン−ソース間に電流が流れた。そして、これらのデータに基づき、試料1のトランジスタ特性を分析したところ、移動度=2.9×10−7[cm/Vs]、on−off比=102.1、閾値電圧=−4.9Vであった。これにより、ポリマー1で作製した試料1の有機薄膜トランジスタは、良好なp型トランジスタ特性を有することが実証された。また、試料1の有機薄膜トランジスタは、耐熱性の高い有機溶媒可溶な有機半導体であるビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体を用いているため、他の部材を使用した場合と比べ、耐熱性は高い。
【0055】
試料2のゲート長は150μm、ゲート幅は700μmであった。試料2のトランジスタ特性の分析結果について、図4を参照して説明する。図4は、図3と同様に、縦軸にドレイン−ソース間を流れる電流[Id]を表し、横軸にドレイン電圧[Vd]を表わす。試料2でも、ゲート電圧を−40V〜10Vの範囲内で変えたどの試験区においても、ドレイン−ソース間に電流が流れた。そして、これらのデータに基づき、試料2のトランジスタ特性を分析したところ、移動度=3.9×10−7[cm/Vs]、on−off比=101.7、閾値電圧=−19.3Vであった。これにより、ポリマー2で作製した試料2の有機薄膜トランジスタも、良好なp型トランジスタ特性を有することが実証された。また、試料2の有機薄膜トランジスタは、耐熱性の高い有機溶媒可溶な有機半導体であるビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体を用いているため、他の部材を使用した場合と比べ、耐熱性は高い。
【符号の説明】
【0056】
2 基板
3 ゲート電極
4 ゲート絶縁層
5 ソース電極
6 ドレイン電極
7 半導体層
10 有機薄膜トランジスタ
20 半導体パラメータアナライザ
21 有機薄膜トランジスタ
22,27 電流計
24,29 電圧計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物を主鎖骨格とすることを特徴とするビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体。
【化1】

(式中、R〜R10はそれぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、または水素原子を示す。Zは二価のアリール基、二価のアルキル基、または酸素原子を示す。nは平均重合度である。)
【請求項2】
下記一般式(2)で示される化合物を主鎖骨格とすることを特徴とするビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体。
【化2】

(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、または水素原子を示し、Arは二価のアリール基、または二価のアルキル基を示す。nは平均重合度である。)
【請求項3】
下記一般式(3)で示されるビス(5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン)化合物とビスヒドロシラン化合物とをプラチナ系触媒の存在下においてカップリング反応をさせることによって、請求項1に記載のビス(ビニルフェナザシリン化合物誘導重合体を製造することを特徴とするビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体の製造方法。
【化3】

(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基または水素原子を示す。)
【請求項4】
請求項3に記載の一般式(3)で示されるビス(5,10−ジヒドロ−5H−フェナザシリン)化合物とジハロゲン化芳香族化合物とを、パラジウム系触媒の存在下でカップリング反応させることによって、請求項2に記載のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体を製造することを特徴とするビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体の製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のビス(ビニルフェナザシリン)化合物誘導重合体が半導体層に用いられていることを特徴とする有機薄膜トランジスタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−178711(P2011−178711A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43720(P2010−43720)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、経済産業省、地域イノベーション創出研究開発事業委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591270556)名古屋市 (77)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】