説明

ビット線ロックアウト制御を有する検知向上のための不揮発性メモリおよび方法

多状態不揮発性メモリにおけるセル群の検知にあたって、複数の記憶状態を一通り解決するには、それぞれ異なる分界しきい値レベルを基準とする複数の検知サイクルが必要となる。それぞれの検知サイクルには検知工程がある。さらに、しきい値電圧が検知の基準となる分界しきい値レベルを下回るセルを識別するための予備検知工程またはサブサイクルを含むこともある。これらの高電流セルをオフにすることにより、節電とソースバイアスエラーの低減を達成できる。セルは、そのビット線を接地にロックアウトすることによってオフにする。その結果、検知工程を繰り返すことにより正確な結果が出る。性能を向上させ、検知操作で最大電流レベル以上消費しないようにするため、ビット線ロックアウトと予備検知を選択的にイネーブルもしくはディスエーブルする回路および方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には電気的に消去可能でプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)やフラッシュEEPROM等の不揮発性半導体メモリに関し、より具体的には伝導電流が比較的高いメモリセルのビット線でロックアウトを制御するメモリおよび検知操作に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性電荷蓄積が可能なソリッドステートメモリ、特に形状因子が小さいカードにパッケージされたEEPROMやフラッシュEEPROMの形をとるものが最近、情報家電や家庭用電化製品を中心に様々なモバイルおよびハンドヘルド装置のストレージとして盛んに選ばれている。同じくソリッドステートメモリであるRAM(ランダムアクセスメモリ)と違って、フラッシュメモリは不揮発性であって、電源を切った後にも蓄積されたデータは残る。フラッシュメモリはコストが高くつくにもかかわらず、大容量ストレージ用途に使われることが多くなっている。ハードドライブやフロッピーディスク等、回転する磁気媒体を基礎とする従来の大容量ストレージは、モバイル/ハンドヘルド環境に不向きである。というのは、ディスクドライブは多くの場合かさばり、機械的な故障が起きやすく、待ち時間が長く、電力を食うからである。このような望ましくない属性を持つディスク方式のストレージは、ほとんどのモバイル/ポータブル用途にとって実用的でない。他方、埋め込み型や取り外し可能なカードの形をとるフラッシュメモリは、その小さなサイズと、低消費電力と、高速度と、高い信頼性ゆえにモバイル/ハンドヘルド環境に理想的にマッチする。
【0003】
EEPROMと電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)は、消去可能でそのメモリセルに新しいデータを書き込める、すなわち「プログラム」できる不揮発性メモリである。いずれも、半導体基板のソース領域とドレイン領域との間のチャネル領域上に配置された電界効果トランジスタ構造によるフローティング(非接続)導電性ゲートを利用する。さらに、このフローティングゲートの上にコントロールゲートを設ける。トランジスタのしきい値電圧特性はフローティングゲート上に保持される電荷の量によって制御される。つまり、フローティングゲート上の所与のレベルの電荷に応じてコントロールゲートに印加すべき電圧(しきい値)があり、これが印加されることによりトランジスタは「オン」に切り替わり、ソース領域とドレイン領域との導通が可能となる。
【0004】
フローティングゲートは一定範囲の電荷を保持でき、しきい値電圧ウィンドウ(「伝導ウィンドウ」とも呼ばれる)内の任意のしきい値電圧レベルまでプログラムできる。しきい値電圧ウィンドウのサイズは装置の最小しきい値レベルと最大しきい値レベルによって決まり、これはフローティングゲートにプログラムできる電荷の範囲に相当する。しきい値ウィンドウは通常、メモリ装置の特性と、作動条件と、来歴とに左右される。基本的には、ウィンドウ内の個々の分解可能なしきい値電圧レベル範囲によってセルの限定的な記憶状態が決まる。しきい値電圧を2つの個別領域に分割する場合は、各メモリセルに1ビットのデータを蓄積できる。同様に、しきい値電圧ウィンドウを3つ以上の個別領域に分割する場合は、各メモリセルに2ビット以上のデータを蓄積できる。
【0005】
通常の2状態EEPROMセルでは、少なくとも1つの電流区切りレベルを設定して伝導ウィンドウを2つの領域に分割する。予め決められた一定の電圧を印加することによってセルを読み出すときには、そのソース/ドレイン電流を区切りレベル(または基準電流IREF)に比較することによって記憶状態が決定する。読み出される電流が区切りレベルのものより高ければ、セルはひとつの論理状態(例えば「0」状態)にあると判断する。他方、電流が区切りレベルのものに満たなければ、セルは別の論理状態(例えば「1」状態)にあると判断する。このような2状態セルは1ビットのデジタル情報を蓄積する。基準電流源は通常ならばメモリシステムの一部として用意され、外部からプログラムでき、区切りレベル電流を生成する。
【0006】
メモリ容量を増やすため、フラッシュEEPROM装置の実装密度は半導体技術の進歩にともないどんどん高くなっている。各メモリセルで3状態以上を蓄積することによって蓄積容量を増やす方法もある。
【0007】
多状態またはマルチレベルEEPROMメモリセルの場合は、伝導ウィンドウを複数の区切り点で3つ以上の領域に分割し、各セルで2ビット以上のデータを蓄積できるようにする。したがって、EEPROMアレイで蓄積できる情報は、各セルに蓄積できる状態数にともない増加する。米国特許第5,172,338号(特許文献1)には、多状態またはマルチレベルメモリセルを備えるEEPROMまたはフラッシュEEPROMが記載されている。
【0008】
メモリセルとして機能するトランジスタは通常、2通りの方法のいずれか一方によって「プログラム済み」状態までプログラムされる。「ホットエレクトロン注入法」では、ドレインに印加される高電圧によって基板チャネル領域上の電子が加速する。同時に、コントロールゲートに印加される高電圧は、薄いゲート誘電体を通じてフローティングゲートまでホットエレクトロンを引き寄せる。「トンネル注入法」では、基板に比べて高い電圧をコントロールゲートに印加する。かくして、電子は基板から介在するフローティングゲートへ引き寄せられる。
【0009】
メモリ装置の消去にはいくつか方法がある。EPROMの場合には、紫外線によってフローティングゲートから電荷を取り除くことによってメモリをまとめて消去できる。EEPROMの場合には、コントロールゲートに比べて高い電圧を基板に印加し、フローティングゲートの電子を薄い酸化物を通じて基板チャネル領域まで誘導することによってメモリセルを電気的に消去できる(すなわち、ファウラー・ノルドハイム・トンネリング)。通常、EEPROMはバイト単位で消去可能である。フラッシュEEPROMの場合は、メモリが一度にまとめて電気的に消去されるか、一度に1ブロック以上が電気的に消去され、このブロックは512バイト以上のメモリを構成することがある。
【0010】
メモリ装置は通常、1つ以上のメモリチップを備え、チップはカード上に実装され得る。それぞれのメモリチップは、デコーダや消去、書き込み、および読み出し回路等の周辺回路によって支援されるメモリセルアレイを備える。より精緻なメモリ装置は外部メモリコントローラと連動し、これが知的で高度なメモリ操作とインターフェイスを実行する。
【0011】
今日、商業的に成功を収めた不揮発性ソリッドステートメモリ装置が数多く使われている。これらのメモリ装置にはフラッシュEEPROMのほかに、タイプの異なる不揮発性メモリセルを採用するものがある。米国特許第5,070,032号(特許文献2)、第5,095,344号(特許文献3)、第5,315,541号(特許文献4)、第5,343,063号(特許文献5)、および第5,661,053号(特許文献6)、第5,313,421号(特許文献7)、および第6,222,762号(特許文献8)には、フラッシュメモリの例とこれを製造するシステムおよび方法が記載されている。特に、米国特許第5,570,315号(特許文献9)、第5,903,495号(特許文献10)、第6,046,935号(特許文献11)は、NANDストリング構造を持つフラッシュメモリ装置を説明している。
【0012】
不揮発性メモリ装置はまた、電荷蓄積のための誘電体層を備えるメモリセルから製造される。前述した導電性フローティングゲート素子の代わりに誘電体層が使われる。誘電体蓄積素子を利用するこのようなメモリ装置は、Eitan et al., "NROM: A Novel Localized Trapping, 2-Bit Nonvolatile Memory Cell," IEEE Electron Device Letters, vol. 21, no. 11, November 2000, pp. 543-545(非特許文献1)で説明されている。ソースおよびドレイン拡散間のチャネルにわたってONO誘電体層が延在する。1データビットの電荷はドレインに近接する誘電体層に局在し、他のデータビットの電荷はソースに近接する誘電体層に局在する。例えば、米国特許第5,768,192号(特許文献12)および第6,011,725号(特許文献13)は、2つの二酸化シリコン層にトラッピング誘電体を挟んだ不揮発性メモリセルを開示している。多状態データストレージは、誘電体の中で空間的に分離した電荷蓄積領域のバイナリ状態を別々に読み出すことによって実現する。
【0013】
読み出しとプログラミングの性能を上げるには、アレイの中にある複数の電荷蓄積素子またはメモリトランジスタの読み出しやプログラミングを並行して行う。つまり、「1ページ」の記憶素子で読み出しやプログラミングを一斉に行う。既存のメモリアーキテクチャでは通常、1行の中にいくつかの交互ページがあるか1行で1ページを構成する。1ページの全記憶素子で読み出しやプログラミングを一斉に行う。
【0014】
通常、メモリセルページのプログラミングはプログラム/ベリファイからなる一連の交互サイクルをともなう。各プログラムサイクルでは、メモリセルからなるページを1つ以上のプログラミング電圧パルスに晒す。プログラムサイクルの後にはベリファイサイクルが続き、それぞれのセルをリードバックし、正常にプログラムされているか否かを判断する。ベリファイ済みのセルはそれ以降、プログラミングパルスによるプログラミングが禁じられる。プログラミング電圧レベルを上げながらプログラム/ベリファイサイクルが継続し、最終的にはページ内の全てのセルがプログラム/ベリファイ済みとなる。
【0015】
読み出し操作とベリファイ操作にあたっては1つ以上の検知サイクルを実行し、分界値を基準にページに含まれる各メモリセルの伝導電流かしきい値電圧を判定する。一般的に、メモリがn個の状態に分割されるなら、記憶状態をひととおり解決するために少なくともn−1回の検知サイクルがある。多くの場合は各検知サイクルにつき2つ以上の工程をともない得る。例えば、メモリセルが密集すると近傍の電荷蓄積素子間の相互作用が著しくなるため、一部の検知手法では近傍のワード線上のメモリセルを検知し、相互作用による誤りを補償する。容量を増やすために1つのチップに多くのメモリセルが高度に集積され、各メモリセルに多くの状態が詰め込まれるにつれ、繰り返しの回数が読み出し・ベリファイ性能に大きく影響する。
【0016】
したがって、大容量・高性能不揮発性メモリが一般的に求められている。特に、検知性能を向上させ、前述した不利な点を最小限に抑える大容量不揮発性メモリが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第5,172,338号
【特許文献2】米国特許第5,070,032号
【特許文献3】米国特許第5,095,344号
【特許文献4】米国特許第5,315,541号
【特許文献5】米国特許第5,343,063号
【特許文献6】米国特許第5,661,053号
【特許文献7】米国特許第5,313,421号
【特許文献8】米国特許第6,222,762号
【特許文献9】米国特許第5,570,315号
【特許文献10】米国特許第5,903,495号
【特許文献11】米国特許第6,046,935号
【特許文献12】米国特許第5,768,192号
【特許文献13】米国特許第6,011,725号
【特許文献14】米国特許第5,595,924号
【特許文献15】米国特許第6,657,891号
【特許文献16】米国公開特許出願第2005−0169082号
【特許文献17】米国特許出願第11/083,514号
【特許文献18】米国特許第7,196,931号
【特許文献19】米国特許第7,170,784号
【特許文献20】米国特許第7,173,854号
【特許文献21】米国特許出願第11/739,501号
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Eitan et al., "NROM: A Novel Localized Trapping, 2-Bit Nonvolatile Memory Cell," IEEE Electron Device Letters, vol. 21, no. 11, November 2000, pp. 543-545
【発明の概要】
【0019】
本発明の一般的な態様によると、1ページのメモリセルを並行して検知するときには、所定の電流レベルを超過するメモリセルをビット線の接地により遮断するビット線ロックアウトの回数が最小限に抑えられる。これにより、高電流セルを識別し遮断するためのさらなる検知サブサイクルは電流消費バジェットが許す限り省略され、特定の検知コントロールゲート電圧による検知ではONセルのビット線が遮断され、他のコントロールゲート電圧による検知ではいかなるビット線遮断操作も行われない。この手法を用いれば検知サブサイクル数が減るほか、ビット線を遮断するときにビット線間結合によって発生するノイズが減り、検知操作性能が向上する。この文脈におけるビット線結合とは、近傍のグローバルビット線間に存在する容量結合を意味する。
【0020】
好適な実施形態において、ビット線を接地までプルできるプルダウン回路によってビット線ロックアウトを実施する。このプルダウン回路は、ビット線と接地との間に直列する2つのパスゲートを備える。2つのパスゲートによってANDゲートが形成され、一方のパスゲートはプルダウンのイネーブルまたはディスエーブル制御信号によって制御され、他方のパスゲートは対象となるセルで検知される電流が基準電流を上回るか下回るかによって制御される。プルダウン回路がディスエーブルになると、検知結果にかかわりなく、ビット線は接地されない。プルダウン回路がイネーブルになっているときに高電流メモリセルが検知されると、ビット線は接地までプルされる。
【0021】
多数の状態を基準に多数のメモリセルページの検知工程をともないながら多状態メモリを検知する一実施例では、所定の電流レベルを上回るメモリセルのビット線をロックアウトするステップを、所定の検知工程だけで実施する。こうすれば、合計電流とソースバイアスエラーを抑えるというビット線ロックアウトの利点が得られる一方で、サブサイクル数増加によるより長い検知時間とノイズ低下にかかるより長い待ち時間というビット線ロックアウトの弊害は軽減される。ページの中で高電流状態を均一に分布させるため、好ましくはどの記憶状態でも蓄積データがページ上で比較的均等に分布するように符号化する。好適な実施形態において、符号化されたデータが擬似ランダムに現れる。
【0022】
本発明のもうひとつの態様によると、ビット線ロックアウト数は、所定の最大電流を超過しないメモリセルページを流れる合計電流に応じて減少する。これによりビット線ロックアウト数は最小限に抑えられるが、データしだいで合計電流が所定の電流レベルを超過しそうになると、ビット線ロックアウト操作を実行する。
【0023】
多数の状態を基準に多数のメモリセルページの検知工程をともないながら多状態メモリを検知する一実施例では、検知工程でメモリセルページを流れる合計電流が所定の最大電流を超過しそうになるときに限り、所定の電流レベルを上回るメモリセルのビット線をロックアウトするステップを実施する。
【0024】
一実施形態において、メモリセルページを流れる合計電流を監視するための電流監視部を設ける。
もうひとつの実施形態において、高伝導セルに対応するビット線の数を累算し、この情報をもとにメモリセルページを流れる合計電流を推定する。
【0025】
本発明のさらなる特徴と利点は、この後に続く本発明の好適な実施形態の説明を添付の図面と併せて解釈することで理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を実施できる不揮発性メモリチップの機能ブロックを概略的に示す。
【図2】不揮発性メモリセルを概略的に示す。
【図3】フローティングゲートが随時一度に選択的に蓄積できる4つの異なる電荷Q1〜Q4でソース−ドレイン電流IDとコントロールゲート電圧VCGとの関係を示す。
【図4】NORメモリセルアレイの一例を示す。
【図5A】NANDストリングの形に編成されたメモリセルストリングを概略的に示す。
【図5B】図5Aに見られるNANDストリング等、NANDストリングからなるNANDメモリセルアレイの一例を示す。
【図6】プログラム/ベリファイからなる一連の交互サイクルによりメモリセルページを目標の記憶状態までプログラムする典型的手法を示す。
【図7】(1)は接地状態「Gr」としての消去済み状態と累進的にプログラムされていく記憶状態「A」、「B」、「C」からなる4状態メモリアレイ例のしきい値電圧分布を示し、(2)は(1)に見られる4通りの記憶状態を表す好適な2ビットLM符号化を示す。
【図8】(1)は8状態メモリアレイ例のしきい値電圧分布を示し、(2)は(1)に見られる8通りの記憶状態を表す好適な3ビットLM符号化を示す。
【図9】図1に見られる読み出し/書き込み回路を示すもので、メモリセルアレイにまたがって1バンクのセンスモジュールを含む。
【図10】本発明の実施に適する図9のセンスモジュールをより詳細に概略的に示す。
【図11A】図10に見られるプレチャージ/クランプ回路をより詳細に示す。
【図11B】図10に見られるセル電流判別回路をより詳細に示す。
【図12A】接地にかけて有限抵抗を有するソース線の電流に起因するソース電圧エラー問題を示す。
【図12B】ソース線電圧降下によって生じるメモリセルのしきい値電圧レベル誤差を示す。
【図13】(A)〜(J)はビット線ロックアウトをともなう2工程検知のタイミング図である。
【図14】図8に見られる8状態メモリに既存の2工程検知方式を適用する一例を概略的に示す。
【図15】3本の近接ビット線とそれらの容量結合効果を示す。
【図16】(A)〜(J)は選択的ビット線ロックアウトが採用されたセンスモジュールの動作を制御する信号のタイミング図である。
【図17A】多状態検知操作の複数の工程の中でビット線ロックアウトを選択的にイネーブルする例示的なスケジュールを示す。
【図17B】多状態検知操作の複数の工程の中でビット線ロックアウトを選択的にイネーブルするもうひとつの例示的なスケジュールを示す。
【図17C】擬似ランダムデータを蓄積するメモリセルページを示す。
【図18】メモリシステムの監視電流に応じたビット線ロックアウト操作を示す。
【図19】ロックアウトされたビット線の数によってメモリセルページを流れる合計電流を推定するもうひとつの実施形態を示す。
【図20】多状態検知操作の複数の工程の中で、システム電流制限超過に応じてビット線ロックアウトを選択的にイネーブルした場合の例示的な結果を示す。
【図21】本発明の好適な実施形態に従い検知中のビット線ロックアウト制御を示す流れ図である。
【図22】高電流セルをロックアウトするための予備検知を省いて実際の検知が行われる単一工程検知の代替実施形態を示す。
【図23】図22の代替の実施形態に従い検知中のビット線ロックアウト制御を示す流れ図である。
【図24】高電流セルのロックアウトを省いて実際の検知が行われる単一工程検知のもうひとつの代替の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
メモリシステム
図1〜図9は、本発明の様々な態様を実施できる例示的なメモリシステムを示す。
図10〜図21は、本発明の様々な態様および実施形態を示す。
図1は、本発明を実施できる不揮発性メモリチップの機能ブロックを概略的に示す。メモリチップ100は、二次元のメモリセルアレイ200と、制御回路210と、デコーダ、読み出し/書き込み回路、マルチプレクサ等の周辺回路とを含む。
【0028】
メモリアレイ200は、行デコーダ230(230A、230Bに分割)を介してワード線により、そして列デコーダ260(260A、260Bに分割)を介してビット線により、アドレスできる(図4および図5も参照されたい)。読み出し/書き込み回路270(270A、270Bに分割)により、1ページのメモリセルの読み出しまたはプログラミングを並行して行うことができる。読み出し/書き込み回路270にはデータI/Oバス231が結合されている。
好適な実施形態において、同じワード線を共有する一連のメモリセル行からページが構成される。メモリセル行を複数のページに分割する別の実施形態において、個々のページに向けて読み出し/書き込み回路270を多重化するためのブロックマルチプレクサ250(250A、250Bに分割)を設ける。例えば、奇数および偶数メモリセル列によってそれぞれ形成される2つのページを読み出し/書き込み回路に向けて多重化する。
【0029】
図1は好適な構成を示すものであり、様々な周辺回路によるメモリアレイ200へのアクセスはアレイの両側で相称的に行われるため、アクセス線と回路の密度はそれぞれの側で半分に減る。つまり、行デコーダは行デコーダ230Aおよび230Bに分かれ、列デコーダは列デコーダ260Aおよび260Bに分かれている。メモリセル行を多数のページに分割する実施形態では、ページマルチプレクサ250をページマルチプレクサ250Aおよび250Bに分ける。同様に、読み出し/書き込み回路270は、アレイ200の下からビット線へ接続する読み出し/書き込み回路270Aと、上からビット線へ接続する読み出し/書き込み回路270Bとに分ける。その結果、読み出し/書き込みモジュールの密度、したがってセンスモジュール380の密度は、基本的には2分の1になる。
【0030】
制御回路110は、読み出し/書き込み回路270と協働しながらメモリアレイ200でメモリ操作を実行するオンチップコントローラである。通常、制御回路110は状態マシン112を含むほか、オンチップアドレスデコーダや電力制御モジュール(図に明示せず)等、その他の回路を含む。状態マシン112はチップレベルのメモリ動作制御を提供する。制御回路は外部メモリコントローラを経由してホストと通信する。
メモリアレイ200は通常、行および列に配列されてワード線およびビット線によりアドレス可能な二次元のメモリセルアレイとして編成される。アレイは、NORタイプのアーキテクチャまたはNANDタイプのアーキテクチャに従って形成できる。
【0031】
図2は、不揮発性メモリセルを概略的に示す。メモリセル10は、フローティングゲートや誘電体層等の電荷蓄積単位20を有する電界効果トランジスタによって実装できる。メモリセル10はまた、ソース14と、ドレイン16と、コントロールゲート30とを含む。
今日、商業的に成功を収めた不揮発性ソリッドステートメモリ装置が数多く使われている。これらのメモリ装置には様々なタイプのメモリセルが採用され、各種のメモリセルは1つ以上の電荷蓄積素子を具備する。
【0032】
EEPROMとフラッシュEEPROMは、典型的な不揮発性メモリセルである。米国特許第5,595,924号(特許文献14)には、EEPROMセルの例とその製造方法が記載されている。米国特許第5,070,032号(特許文献2)、第5,095,344号(特許文献3)、第5,315,541号(特許文献4)、第5,343,063号(特許文献5)、第5,661,053号(特許文献6)、第5,313,421号(特許文献7)、および第6,222,762号(特許文献8)には、フラッシュEEPROMセルの例と、メモリシステムにおけるその運用と、その製造方法が記載されている。特に、米国特許第5,570,315号(特許文献9)、第5,903,495号(特許文献10)、第6,046,935号(特許文献11)には、NANDセル構造を持つメモリ装置の例が記載されている。また、Eitan et al., "NROM: A Novel Localized Trapping, 2-Bit Nonvolatile Memory Cell," IEEE Electron Device Letters, vol. 21, no. 11, November 2000, pp. 543-545(非特許文献1)と米国特許第5,768,192号(特許文献12)および第6,011,725号(特許文献13)には、誘電性蓄積素子を利用するメモリ装置の例が記載されている。
【0033】
実際には、コントロールゲートに基準電圧が印加されるときにセルのソース電極とドレイン電極にかけて伝導電流を検知することによってセルの記憶状態を読み出すのが普通である。この場合には、セルのフローティングゲート上の各電荷につき、一定の基準コントロールゲート電圧に対する伝導電流を検出できる。同様に、対応するしきい値電圧ウィンドウや伝導電流ウィンドウはフローティングゲートにプログラムできる電荷の範囲によって決まる。
【0034】
分割された電流ウィンドウの中で伝導電流を検出する代わりに、特定の記憶状態に対応するしきい値電圧をコントロールゲートで設定し、伝導電流がしきい値電流より低いか高いかを検出することも可能である。一実施形態において、ビット線のキャパシタンスを通じて放電する伝導電流の割合を調べることによってしきい値電流に対する伝導電流の検出を果たす。
【0035】
図3は、フローティングゲートが随時一度に選択的に蓄積できる4つの異なる電荷Q1〜Q4でソース−ドレイン電流IDとコントロールゲート電圧VCGとの関係を示すものである。実線で描かれた4本のID対VCG曲線はメモリセルのフローティングゲートにプログラムできると考えられる4通りの電荷レベルを表し、考えられる4通りの記憶状態にそれぞれ相当する。一例として、セル集団のしきい値電圧ウィンドウ範囲は0.5Vから3.5Vにおよぶ。しきい値ウィンドウをそれぞれ約0.4V間隔で8つの領域に分割することにより、1つの消去済み状態と7つのプログラム済み状態とにそれぞれ相当する考えられる8通りの記憶状態「0」、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、および「7」に分界できる。例えば、図に示されたように0.05μAの基準電流IREFを使用するならば、Q1でプログラムされるセルは、その曲線がVCG=0.43Vおよび0.88Vで分界されたしきい値ウィンドウの領域内でIREF と交差するため、記憶状態「1」にあるとみなされる。同様に、Q4は記憶状態「5」にある。
【0036】
前の説明から分かるように、メモリセルで蓄積する状態が多ければ多いほどしきい値ウィンドウは細かく分割される。例えば、メモリ装置のメモリセルでしきい値ウィンドウが−1.5V〜5Vにおよぶことがある。この場合の最大幅は6.5Vになる。メモリセルで16の状態を蓄積するならば、各状態はしきい値ウィンドウの中で350mV〜450mVを占めることになる。この場合に所要の分解能を達成するには、プログラミング操作と読み出し操作の精度を上げる必要がある。
【0037】
図4は、NORメモリセルアレイの一例を示す。メモリアレイ200のメモリセル行は、それぞれのソース14とドレイン16とによってデイジーチェーン方式で接続される。この設計は仮想接地設計と呼ばれることがある。行内のセル10のコントロールゲート30はワード線、例えばワード線42へ接続される。列内のセルのソースおよびドレインは、特定のビット線、例えばビット線34および36へそれぞれ接続される。
【0038】
図5Aは、NANDストリングの形に編成されたメモリセルストリングを概略的に示す。NANDストリング50は、ソースおよびドレインによってデイジーチェーン方式で接続された一連のメモリトランジスタM1、M2・・・Mn(例えばn=4、8、16以上)からなる。1対の選択トランジスタS1、S2は、NANDストリングのソース端子54とドレイン端子56とを通じて外部に至るメモリトランジスタチェーンの接続を制御する。メモリアレイでソース選択トランジスタS1がオンになると、ソース端子はソース線へ結合される(図5B参照)。同様に、ドレイン選択トランジスタS2がオンになると、NANDストリングのドレイン端子はメモリアレイのビット線へ結合される。チェーンの中の各メモリトランジスタ10はメモリセルの働きをする。メモリトランジスタは、一定量の電荷を蓄積して目的の記憶状態を表現する電荷蓄積素子20を具備する。各メモリトランジスタのコントロールゲート30は読み出し操作と書き込み操作を制御する。図5Bに見られるように、NANDストリング行沿いの対応するメモリトランジスタのコントロールゲート30はいずれも同じワード線へ接続される。同様に、選択トランジスタS1、S2の各コントロールゲート32は、それぞれソース端子54とドレイン端子56を介するNANDストリングに対して制御アクセスを提供する。同様に、NANDストリング行の対応する選択トランジスタのコントロールゲート32はいずれも同じ選択線へ接続される。
【0039】
NANDストリングの中でアドレスされたメモリトランジスタ10を読み出したりプログラミング中にベリファイしたりするときには、そのコントロールゲート30にしかるべき電圧を供給する。同時に、NANDストリング50の中でアドレスされていない残りのメモリトランジスタは、それぞれのコントロールゲートに十分な電圧が印加されることによって完全にオンになる。こうして個々のメモリトランジスタのソースからNANDストリングのソース端子54にかけて効果的に導電経路ができあがり、個々のメモリトランジスタのドレインからセルのドレイン端子56にかけても同様である。米国特許第5,570,315号(特許文献9)、第5,903,495号(特許文献10)、第6,046,935号(特許文献11)には、そのようなNANDストリング構造を持つメモリ装置が記載されている。
【0040】
図5Bは、図5Aに見られるNANDストリング50等、NANDストリングからなるNANDメモリセルアレイ200の一例を示す。ビット線、例えばビット線36は、NANDストリングの列に沿って各NANDストリングのドレイン端子56へ結合する。ソース線、例えばソース線34は、NANDストリングのバンクに沿って各NANDストリングのソース端子54へ結合する。また、1バンクのNANDストリングでメモリセル行沿いのコントロールゲートは、ワード線、例えばワード線42へ接続される。1バンクのNANDストリングで選択トランジスタ行沿いのコントロールゲートは、選択線、例えば選択線44へ接続される。NANDストリングバンクのワード線と選択線へのしかるべき電圧により、NANDストリングバンクのメモリセル行全体をアドレスできる。NANDストリングの中である1つのメモリトランジスタを読み出すときには、ストリングの中にある残りのメモリトランジスタがそれぞれのワード線を通じてハードオンになるため、ストリングの中を流れる電流は基本的に、読み出し対象セルに蓄積される電荷レベルに左右される。
【0041】
プログラムとベリファイ
図6は、プログラム/ベリファイからなる一連の交互サイクルによりメモリセルページを目標の記憶状態までプログラムする典型的な手法を示す。メモリセルのコントロールゲートには結合ワード線を介してプログラミング電圧VPGMが印加される。VPGMは、初期電圧レベルVPGM0から始まって階段波形の形をとる一連のプログラミング電圧パルスである。プログラミングの対象となるセルはこの一連のプログラミング電圧パルスに晒され、そのつどフローティングゲートには漸増電荷が加えられる。プログラミングパルスの合間にはセルのリードバックまたはベリファイを行い、区切りレベルを基準にソース−ドレイン電流を判定する。このリードバックプロセスは1つ以上の検知操作をともなうことがある。セルが目標状態に達したことがベリファイされると、そのセルのプログラミングは停止する。メモリセルの電荷蓄積単位にプログラムされ蓄積していく電子に対処するため、使用するプログラミングパルストレインの周期または振幅は上げることができる。通常、プログラミング回路は選択されたワード線に一連のプログラミングパルスを印加する。このため、コントロールゲートを通じてワード線に接続する1ページのメモリセルはまとめてプログラムできる。ページのメモリセルが目標状態までプログラムされると、そのメモリセルはプログラム禁止になり、このページの全セルがプログラム/ベリファイ済みとなるまで残りのセルのプログラミングが続く。
【0042】
記憶状態を分割する例
図7(1)は、接地状態「Gr」としての消去済み状態と累進的にプログラムされていく記憶状態「A」、「B」、「C」からなる4状態メモリアレイの例のしきい値電圧分布を示す。読み出し中は3つの分界区切り点DA 〜DC によって4つの状態に分界される。
図7(2)は、図7(1)に見られる考えられる4通りの記憶状態を表す好適な2ビットLM符号化を示す。それぞれの記憶状態(「Gr」、「A」、「B」、および「C」)は「上位、下位」からなる1対の符号ビット、すなわち「11」、「01」、「00」、および「10」によって表現される。米国特許第6,657,891号(特許文献15)に開示された「LM」符号には、電荷の大きな変化を要するプログラミング操作を回避することによって近接するフローティングゲート間の電界効果結合を抑えるという利点がある。この符号化では、「下位」および「上位」の2符号ビットのプログラミングと読み出しを別々に行うことができる。下位ビットのプログラミングでは、セルのしきい値レベルが「消去済み」領域にとどまるか、しきい値ウィンドウの「下位中位」領域まで進む。上位ビットのプログラミングでは、2つの領域のいずれか一方にあるセルのしきい値レベルがさらにしきい値ウィンドウの「下位中間」領域内の若干高いレベルまで進む。
【0043】
図8(1)は、8状態メモリアレイの例のしきい値電圧分布を示す。考えられる8通りの記憶状態「Gr」、「A」、「B」、「C」、「D」、「E」、「F」、および「G」を分界するため、しきい値ウィンドウにまたがる各メモリセルの考えられるしきい値電圧は8つの領域に分割される。接地状態「Gr」は緊縮した分布の中での消去済み状態であり、「A」〜「G」は累進的にプログラムされていく7つの状態である。読み出し中は7つの分界区切り点DA 〜DG によって8つの状態に分界される。
【0044】
図8(2)は、図8(1)に見られる考えられる8通りの記憶状態を表す好適な3ビットLM符号化を示す。8つの記憶状態は「上位、中位、下位」からなる3つ1組みのビット、すなわち「111」、「011」、「001」、「101」、「100」、「000」、「010」、および「110」によってそれぞれ表現される。この符号化では、「下位」、「中位」、および「上位」の3符号ビットのプログラミングと読み出しを別々に行うことができる。第1のラウンドの下位ページプログラミングで下位ビットが「1」ならば、セルは「消去済み」状態、すなわち「Gr」状態にとどまり、下位ビットが「0」ならば「下位中間」状態までプログラムされる。基本的に、「Gr]すなわち「接地」状態は「消去済み」状態であって、狭いしきい値範囲内で完全なる消去済み状態がプログラムされることにより緊縮した分布となる。「下位中間」状態のしきい値電圧分布は記憶状態「B」および「D」にまたがって広くなり得る。プログラミング中は区切り点DB等、粗いしきい値レベルを基準にして「下位中間」状態をベリファイできる。中位ビットのプログラミングでは、下位ページプログラミングの結果に応じて2つの領域のいずれか一方からセルのしきい値レベルを開始し、考えられる4通りの領域のいずれか1つまで進む。上位ビットのプログラミングでは、中位ページプログラミングの結果に応じて考えられる4通りの領域のいずれか1つからセルのしきい値レベルを開始し、考えられる8通りの記憶状態のいずれか1つまで進む。
【0045】
検知回路および手法
図9は、図1に見られる読み出し/書き込み回路270Aおよび270Bを示すもので、p個のセンスモジュールからなるバンクがメモリセルアレイにまたがっている。p個のセンスモジュール480からなるバンク全体の並列動作により、行沿いにp個のセルからなるブロック(またはページ)の読み出しとプログラミングは並行して行うことができる。基本的に、センスモジュール1はセル1の電流I1 を検知し、センスモジュール2はセル2の電流I2 を検知し、・・・センスモジュールpはセルpの電流Ip を検知する。ソース線34から集約ノードCLSRCへ流れ、そこからさらに接地へ流れ込むこのページの合計セル電流iTOT は、p個のセルの全電流を加算したものとなる。従来のメモリアーキテクチャでは、ワード線を共有する1行のメモリセルによって2つ以上のページが形成され、1ページ内のメモリセルの読み出しとプログラミングは並行して行われる。1行2ページの場合には、偶数ビット線によって一方のページにアクセスし、奇数ビット線によって他方のページにアクセスする。偶数ビット線と奇数ビット線のいずれか一方へ1ページ分の検知回路が随時一度に結合する。
【0046】
現在生産されている56nm技術によるチップの場合にはp>64,000であり、43nm 32Gビットx4チップの場合にはp>150,000である。好適な実施形態において、一連のセル行全体がブロックに相当する。これがいわゆる「全ビット線」アーキテクチャであり、ページは、連続するビット線へそれぞれ結合される1行の連続するメモリセルから構成される。別の実施形態において、行に含まれるセルの部分集合がブロックに相当する。例えば、行全体の2分の1や行全体の4分の1がセルの部分集合となる。セルの部分集合は連続する一連のセル、1つおきのセル、もしくは一定セル数おきのセルである。それぞれのセンスモジュールはビット線を通じてメモリセルへ結合され、メモリセルの伝導電流を検知するセンスアンプを含む。通常、メモリアレイの両側に読み出し/書き込み回路を分散させる場合には、2組の読み出し/書き込み回路270Aおよび270Bの間にp個のセンスモジュールからなるバンクを分散させる。その全体が本願明細書において参照により援用されている、Cerneaらによる2005年8月4日に公開された「IMPROVED MEMORY SENSING CIRCUIT AND METHOD FOR LOW VOLTAGE OPERATION」という米国公開特許出願第2005−0169082号(特許文献16)には、好適なセンスモジュールが開示されている。
【0047】
図10は、本発明の実施に適する図9のセンスモジュールをより詳細に概略的に示す。センスモジュール480は、結合されたビット線36を通じてNANDチェーン50に含まれるメモリセルの伝導電流を検知する。このセンスモジュールは、ビット線へ選択的に結合できるセンスノード481と、センスアンプ600と、リードアウトバス499とを有する。まずは、信号BLSによってイネーブルされたアイソレーショントランジスタ482がビット線36をセンスノード481へ接続する。センスアンプ600はセンスノード481を検知する。センスアンプはプレチャージ/クランプ回路640と、セル電流判別部650と、ラッチ660とを含む。このセンスモジュール480により、NANDチェーンの中で選択されたメモリセルの伝導電流検知が可能となる。
【0048】
好適な実施形態において、ビット線36を選択的に接地までプルするためのプルダウン回路550を設ける。プルダウン回路550は、信号INVともうひとつの信号GRSが両方ともHIGHになると作動する。信号GRSは状態マシン112(図1参照)から制御され、制御およびタイミング信号の一部としてページコントローラ498から供給される。後ほど詳述するように、信号GRSを、プルダウン回路550をイネーブル(GRS=HIGH)もしくはディスエーブル(GRS=LOW)することによって高電流ビット線のロックアウトをイネーブルもしくはディスエーブルするための制御信号として状態マシンにより認識できる。検知によって高電流状態が判明するとINVはHIGHになり、プルダウン回路がイネーブルされる場合はプルダウン回路によってビット線がプルダウンされる。
【0049】
検知の前には、1つ以上のプレチャージ操作で該当するワード線とビット線を通じて選択されたメモリセルの電極に至る電圧を設定しなければならない。例えば図10に見られるように、NANDチェーン50に交差するワード線WL1沿いのメモリセルページを検知のために選択できる。プレチャージ操作ではまず、選択されていないワード線WL0、WL2〜WL31を電圧Vreadまで充電し、選択されたワード線WL1は記憶状態を検査するために所定のしきい値電圧VT (i)まで充電される。次に、ビット線プレチャージ回路640がビット線36を検知に適した所定のドレイン電圧にする。その結果、NANDチェーン50の中で選択されたメモリセルにはソース−ドレイン伝導電流が流れ、この伝導電流は、NANDチェーンの経路から結合されたビット線36を介して検出される。伝導電流は、メモリセルのソースおよびドレイン間に公称電圧差が存在する場合に印加されるVT (i)と選択されたメモリセルにプログラムされる電荷との関数である。
【0050】
図11Aは、図10に見られるプレチャージ/クランプ回路をより詳細に示す。この回路は電圧クランプ620’コンポーネントとプレチャージ回路640’コンポーネントとを有する。電圧クランプ620’はゲートのアナログ信号BLXが制御するトランジスタ612に実行される。BLXは、ビット線電圧クランプ610が正常に機能するようにノードSEN2 481(図10参照)で十分な電圧を保証する。
T (i)電圧が安定していれば、信号XXLによりゲート制御されるトランジスタ630を経由して、ビット線36から選択メモリセルの伝導電流もしくはプログラム済みしきい値電圧を検知できる。セル電流判別部650は電流レベルの判別器または比較器として機能する。メモリセルの伝導電流を検知するため、セル電流判別部はセンスノードへ結合される。
【0051】
図11Bは、図10に見られるセル電流判別回路をより詳細に示す。セル電流判別部650’はコンデンサ652とpチャネルトランジスタ656とを含む。セル電流判別部は基本的に、コンデンサ652が充電もしくは放電するレートによってメモリ蓄積単位の伝導電流を測定する。これはノード631で信号SENを検知することで達成される。信号SENはpトランジスタ656のゲートを制御する。SENは検知に先立ちプレチャージ回路640’によってVdd(HIGH)までプレチャージされる。図10を併せて参照し、信号HHLによって結合トランジスタ632がオンになり、ノードSEN 651がノード647にてプレチャージ回路へ結合することにより、プレチャージが可能となる。これによりコンデンサ652の電圧は最初にゼロに設定される。そして、コンデンサが放電するレートによりセルの伝導電流を測定し検知を達成する。
【0052】
検知のときには、ビット線におけるメモリ蓄積単位の伝導電流によってコンデンサ652が放電する。ノードSENの電圧はVddから伝導電流に応じたレートで減少する。基準電流に一致する所定の放電期間の後にSENはある程度の値まで低下し、これにより測定pトランジスタ656はオンになる場合とならない場合とがある。これが十分に低下しpトランジスタ656がオンになる場合は、伝導電流が基準電流より高いことを意味する。この場合に信号STBがアサートされるとINV信号はHIGHにプルされる。他方、検知期間の終わりにトランジスタ656がオンにならなければ伝導電流は基準電流より低く、信号INVはLOWになる。図10を併せて参照し、検知期間の終わりにはSENノードからビット線が分離し、結合トランジスタ630はXXLによってオフになる。検知結果はストローブ信号STBによってラッチ650の中にラッチされる。
【0053】
セル電流判別部650は事実上、セルの伝導電流が所定の分界電流値より高いか低いかを判断する。この所定の分界電流値は所定の放電時間に一致する。検知された電流が分界電流値より高ければ、信号INV=1(HIGH)によりラッチ660は所定の状態に設定される。これはまた、対象となるメモリセルのしきい値がコントロールゲートに印加されるVT (i)に満たないことを意味する。
【0054】
一般的に、メモリセルページはメモリセルと同数のマルチパスセンスモジュール480によって操作される。ページコントローラ498は各センスモジュールに制御信号とタイミング信号を供給する。ページコントローラ498は所定の工程数でマルチパスセンスモジュール480を周期的に実行するほか(j=1〜N)、各工程につき所定の分界電流値I0 (j)を供給する。当該技術分野では周知のように、分界電流値を分界しきい値電圧あるいは検知期間として実装することもできる。ページコントローラ498は最後の工程の後に信号NCOにより転送ゲート488をイネーブルし、検知データとしてセンスノード481の状態をリードアウトバス499へ読み出す。全部で1ページ分の検知データを全マルチパスモジュール480から読み出す。
【0055】
検知中の高電流メモリセルにかかわる問題
前に述べたように、読み出し性能を上げるには1ページのメモリセルを並行して検知し、ページが大きいほど性能は上がる。しかし、図9から分かるように、多数のセルを並行して操作すると大量の電流を消費することにもなる。
大量の電流を扱うことから数々の問題が生じる。一般的に、デバイスの消費電力を抑えることが常に望ましい。特に、高電流を収容するコンポーネントはかさばり、貴重なチップスペースをふさぐ。メモリ装置はしばしばより悪い場合の電流を想定して設計されるが、ほとんどの場合、使用する電流はこれを遥かに下回る。というのは、電流はセルにプログラムされるデータに左右され、プログラムされる度合いが低いセルほど伝導電流は高くなるからである。
【0056】
もうひとつの問題は、ソース線とチップの接地パッドとの間の有限抵抗によって生じる誤差に関係する。メモリセルの検知にあたっては、有限抵抗にまたがるソース負荷によってソース線バイアスが生じることがある。多数のメモリセルを並行して検知すると、メモリセルの総電流のための有限抵抗により接地ループで著しい電圧降下が生じることがある。その結果、ソース線バイアスが生じ、しきい値電圧検知による読み出し操作に誤りが生じる。
【0057】
図12Aは、接地にかけて有限抵抗を有するソース線の電流に起因するソース電圧誤差問題を示す。読み出し/書き込み回路270Aおよび270Bは、1ページのメモリセルに同時に働きかける。読み出し/書き込み回路の中の各センスモジュール480は、ビット線36を通じて対応するセルへ結合される。例えば、センスモジュール480はメモリセル10の伝導電流i1 (ソース−ドレイン電流)を検知する。伝導電流はセンスモジュールからビット線36を通じてメモリセル10のドレインに流れ込み、さらにソース14からソース線34を通じて接地に至る。集積回路チップのメモリアレイでは、メモリチップの外部接地パッド(Vssパッド等)へ接続するソース線34の複数分岐としてセルのソースがともに結ばれる。ソース線の抵抗を減らすためのメタルストラッピングを使用する場合でも、メモリセルのソース電極と接地パッドとの間には有限抵抗Rが残る。通常、接地ループ抵抗Rは50オームあたりである。
【0058】
並行して検知するメモリページ全体で、ソース線34を流れる合計電流は全伝導電流を加算したもの、すなわちiTOT =i1 +i2 +...+ip になる。通常、各メモリセルの伝導電流はその電荷蓄積素子にプログラムされる電荷の量に左右される。メモリセルのある一定のコントロールゲート電圧で電荷が少量ならば伝導電流は比較的高くなる(図3参照)。メモリセルのソース電極と接地パッドとの間に有限抵抗が存在する場合、その抵抗にまたがる電圧降下はVdrop=iTOT Rになる。
【0059】
例えば、各ビット線につき0.25μAで24,000本のビット線が同時に放電するならば、ソース線電圧降下は24,000線×0.25μA/線×50オーム〜0.3ボルトに等しくなる。人体効果が0.3Vのソース電圧上昇によってしきい値電圧が0.45V上昇すると仮定すると、メモリセルのしきい値電圧を検知するときには、このソース線バイアスから0.45ボルトの検知誤差が生じる。
【0060】
図12Bは、ソース線電圧降下によって生じるメモリセルのしきい値電圧レベル誤差を示す。メモリセル10のコントロールゲート30に供給されるしきい値電圧VT はGNDを基準とする。しかし、メモリセルから見た実効VT は、そのコントロールゲート30とソース14との電圧差である。供給VT と実効VT には約1.5xVdropの差がある(ソース14からソース線までの細かな電圧降下影響は無視する)。メモリセルのしきい値電圧を検知するときには、このVdropすなわちソース線バイアスからの検知誤差、例えば0.45ボルトの検知誤差が生じる。このバイアスはデータに左右される、すなわちページのメモリセルの記憶状態に左右されるため、容易く解消できない。
【0061】
ビット線ロックアウトを用いたソース負荷および節電手法
本願明細書において参照により援用されている、2005年3月16日に出願されたLiらの「NON-VOLATILE MEMORY AND METHOD WITH POWER-SAVING READ AND PROGRAM-VERIFY OPERATIONS 」という米国特許出願第11/083,514号(特許文献17)には節電手法が開示されている。具体的に、読み出しまたはプログラム/ベリファイ操作には、1つ以上の分界しきい値電圧に応じて1つ以上の検知サイクルがあり、複数の考えられる記憶状態のうちのメモリセルがどの記憶状態にあるかを判断する。
【0062】
検知サイクルは分界しきい値電圧を基準として1ページのメモリセルに対して並行して行われる。通常は、検知サイクルでページ内の全セルの記憶状態を解決するために2回以上の工程すなわちサブサイクルがある。一態様において、ページの中で伝導電流が最も高いメモリセルを第1の工程すなわちサブサイクルで可能な限り検知し、識別する。こうすることで、その後のサブサイクルで高電流セルが原因で生じる検知誤差は最小限に抑えられる。これらのセルは読み出し済みであるため、その伝導電流は節電のためにオフにする。セルはビット線の接地によってオフになるため、各セルのソースとドレインの電位差は実質的になくなる。以降の工程すなわちサブサイクルでは再びページ内の残りのメモリセルを並行して検知するが、その際、高電流セルからの干渉は抑えられる。
【0063】
つまり、分界しきい値電圧を基準に2つの隣り合う記憶状態を識別するには、少なくとも2回の検知工程を実行する。第1の工程またはサブサイクルでは、しきい値電圧が分界レベルを下回る高電流セルを識別する。高電流セルのビット線を接地電位にロックアウトして高電流セルをオフにした後には、第2の工程またはサブサイクルで検知を繰り返す。
【0064】
図10ではさらに、信号INVともうひとつの信号GRSが両方ともHIGHになると作動するビット線36のプルダウン回路550を示す。プルダウン回路550は、好ましくは第1のnトランジスタ550と直列の第2のnトランジスタ552とによって構成される。信号INVおよびGRSがともにHIGHになるとトランジスタ550および552がオンに切り替わる。これによりセンスノード481と、接続されたビット線36は接地電圧までプルダウンされる。その結果、ソースとドレインとの電圧差がなくなるため、メモリセル10における伝導電流の流れはコントロールゲート電圧にかかわりなく阻止される。信号GRSは事実上、ビット線のロックアウトをイネーブル(GRS=HIGH)もしくはディスエーブル(GRS=LOW)するための制御信号として状態マシンにより認識できる。
【0065】
図13(A)〜(J)は、ビット線ロックアウトをともなう2工程検知のタイミング図である。検知サイクルでは通常、ページ内の各セルのしきい値電圧が2つの記憶状態を分界するために使われる分界しきい値レベルを下回るか上回るかを判断することを理解するべきである。メモリの各基準しきい値電圧を基準として各検知サイクルにつき2回の検知工程がある。
【0066】
具体的には、図13(A)〜(J)は、図10に見られるセンスモジュール480の動作を制御する信号のタイミング図である。全体的には、所定の基準しきい値レベルまたは基準伝導電流を基準として1ページのメモリセルを並行して検知する。前に述べたように、分界しきい値レベルを基準にメモリセルのしきい値レベルを検知するには、基準電流を基準にしてセルの伝導電流を判定することで達成できる。しきい値電圧が分界しきい値レベルを下回るセルの伝導電流は基準電流を上回ることになる。したがって、検知サイクルが昇順で次の分界しきい値レベルに進むならば、伝導電流が基準伝導電流を下回るセルを検知サイクルのたびに識別することになる。
【0067】
米国特許第7,196,931号(特許文献18)には、2工程検知サイクルによりソースバイアスエラーを抑える方法が開示されている。この2工程検知サイクルの第1の工程では、伝導電流が基準電流を大幅に上回るセルを識別する。これらのセルが識別されオフになった後には、実質的に第2の工程で基準電流を基準とする検知が行われ、その際、高電流セルの干渉はない。
つまり、基準しきい値電圧を基準とする検知のたびに、フェーズ(1)〜(4)とフェーズ(5)〜(9)とにより図に示された少なくとも2回のサブサイクルがあって、それぞれのサブサイクルでは1ページのメモリセルを並行して検知する。検知サブサイクルにあたっては、そのつど事前にワード線とビット線をしかるべき電圧に設定する必要がある。これをプレチャージ操作で果たす。
第1のサブサイクルのプレチャージ操作はフェーズ(1)〜(2)間で行われ、第2のサブサイクルのものはフェーズ(5)〜(6)間で行われる。
【0068】
図13(A)は、選択されたワード線をプレチャージするタイミングを示す。検知の基準となる分界しきい値電圧レベルがVT1なら、ワード線はこの電圧レベルまでプレチャージされる。ビット線のRC遅延に対するワード線のRC遅延によってはワード線のプレチャージがビット線のプレチャージより先に始まる。
【0069】
ビット線のプレチャージは、メモリセルがビット線へ結合された状態で行われる場合とそうでない場合がある。前に述べたように、一実施形態において、最初にセルがビット線から分離されるため、そのドレイン電流によってビット線のプルアップに支障をきたすことはない。それには、信号BLS HIGH(図13(E))によりアイソレーショントランジスタ482を経由したプレチャージ回路をビット線へ接続し、SGS LOW(図13(F))によりソースへ至るNANDチェーンを切断する。プレチャージ/クランプ回路640(図10参照)は、信号HHLがHIGH(図13(B))に切り替わることによって結合される。かくして、ビット線のプルアップが始まる(図13(H1)および13(I1)等)。ビット線が目標値付近まで充電されたらビット線プレチャージのフェーズ(2)が始まる。フェーズ(2)でもプレチャージは継続するが、検知状態でビット線電圧を安定させるため、セルはビット線へ結合される。プレチャージ期間700は、第1のサブサイクル工程における合計プレチャージ期間を示す。
【0070】
最初にビット線がセルから分離されるこの実施形態は、結合後にビット線電圧を安定させるための長い待ち時間を被らない場合に限り望ましい。換言すると、この実施形態が望ましいのは、その待ち時間が、ビット線プレチャージ操作が始まるときにビット線がセルへ結合される場合の安定化時間より短い場合に限る。そうでなければ、別の実施形態として、フェーズ(1)を実行せず、フェーズ(2)からビット線プレチャージを開始し、セルの伝導電流に逆らってビット線をプレチャージするほうが望ましい。
【0071】
検知はフェーズ(3)で行われる。前に述べたように、第1の検知サブサイクルでは高電流セルを識別する。そのため、この検知の基準となるしきい値と次の検知サブサイクルで使用するしきい値にはマージンがあってもよい。換言すると、第1のサブサイクルで使用するマージンでの分界電流は次のサブサイクルの分界電流より高くてもよい。一実施形態において、センスモジュール480(図10参照)のセル電流判別部650(図11B参照)でコンデンサ652の放電時間を短くすることによってこれを達成する。トランジスタ632(図10参照)は信号HHLによって制御され、これによりプレチャージ回路とSENノードが結合もしくは分離し、ひいてはセル電流判別部650が結合もしくは分離する。他方、トランジスタ630は信号XXLによって制御され、これによりビット線とSENノードが結合もしくは分離する。フェーズ(3)が始まると信号HHLがLOW(図13(B))になることによってプレチャージは終了し、セルの伝導電流によってキャパシタ652は放電する。放電期間を終了させるため、フェーズ(3)の終わりにはXXLがLOWになり、SENノードからビット線が分離することにより電流は絶ち切られる。分界電流レベルは放電時間に関係し、放電時間が長いほど分界電流レベルが小さくなることは図11Bのセル電流判別部650から分かる。
【0072】
その後、フェーズ(4)では、放電されたコンデンサの電圧をpトランジスタ656(図11B参照)のしきい値電圧と比較し、その結果をストローブ信号STBによりラッチする。フェーズ(3)の検知期間を短縮することによって前述した増加マージンを達成する。このため、短縮された期間中には最も高い電流によってのみコンデンサが放電し、pトランジスタ656が作動する。
【0073】
第1のサブサイクルで識別された高電流セルは次の検知に先立ちラッチされ、オフになる。これは、検知結果がINV=HIGHになる高電流セルで行われる。例えば図13でビット線BL1へ結合されたセルの伝導電流は約120nAと(図13(H1)参照)、分界しきい値電流を下回る。この比較的小さい電流でコンデンサ652は十分に放電され、SEN(図11B参照)の電圧は減少しpトランジスタ656はオンになるため、ストローブSTB信号がアサートされるときに信号INV(図13(H2)に示されたINV1)はHIGHまでプルアップされない。つまり、電流が比較的小さいセルはINV=LOWとなる。
【0074】
他方、電流が比較的大きいセル(例えば300nA以上、図13(I1)参照)では信号INV(図13(I2)に示されたINV2)がHIGHTでラッチされる。これをもとに図10のプルダウン回路550が作動する。GRS信号HIGH(図13(J))によりイネーブルされたプルダウン回路550は、INVがHIGHになるたびにイネーブル状態のアイソレーショントランジスタ482(図13(E)参照)を通じてビット線を接地までプルする。つまり、比較的大きい電流が検知されたセルのビット線が接地にロックアウトされることにより、それらのセルは遮断される。
【0075】
フェーズ(5)〜(9)で表された第2の検知工程のプロセス、すなわち次の検知サブサイクルのプロセスは、第1のサブサイクルに類似している。プレチャージ期間702はフェーズ(5)〜(6)で実施される。ビット線の電圧が安定し、変位電流がとるに足りない値まで減衰した後には、フェーズ(7)で検知を行う。フェーズ(8)ではストロービングとラッチングが行われ、第1の工程でとりこぼした高電流状態のビット線も先行フェーズ(4)における図13(I2)と同様、接地にロックアウトされる。フェーズ(9)では、基本的に信号INVの反対である信号SENの形をとる検知結果がリードアウトバスを通じて送出される。
【0076】
ビット線を接地にロックアウトすることによって電流検知に関係ないセルをオフにすれば、合計電流iTOT(図12A参照)は少なくなる。これには2つの利点がある。第1に、電力の節約になる。第2に、iTOTによるVdropの減少によりソース(CLSRC)の接地ループバイアスエラーが抑えられる。そこで、既存の検知手法では全ての記憶状態に対して2工程検知を実施する。
【0077】
図14は、図8に見られる8状態メモリに既存の2工程検知方式を適用する一例を概略的に示すものである。8状態メモリは少なくとも7つの分界しきい値電圧レベル、具体的にはDA 、DB 、DC 、DD 、DE 、DF 、およびDG によって分界される。したがって、これらの分界しきい値電圧レベルのそれぞれに対して少なくとも相当数の検知サイクルがある。例えばDA によって記憶状態「Gr」および「A」が分界され、DB によって記憶状態「A」および「B」が分界される。検知サイクルのたびに選択されたワード線には分界しきい値電圧レベルが印加される。
【0078】
それぞれの検知サイクルにはさらに2つの工程がある。第1の工程には「予備検知」があり、検出された高電流ビット線のロックアウトがその後に続く。予備検知は印加された分界しきい値電圧レベルを下回るしきい値電圧の高電流状態を検知し、識別する。識別された高電流セルのビット線は接地へのラッチによってロックアウトされる。高電流状態が排除されることで、第2の工程では検知をより正確に行うことができる。第1の工程で識別されなかった高電流状態も適切に識別され、ロックアウトもされる。このようにしてデータが印加された分界しきい値電圧レベルを下回るか上回るセルが正確に検知される。
【0079】
全ての考えられる記憶状態を識別するため、それぞれの分界しきい値レベルを基準にして順次メモリセルページの検知を行う。セルのしきい値ウィンドウの中で分界しきい値レベルがより高い値に移行するにつれ、ページ内の高電流セル(しきい値電圧が分界しきい値電圧レベルを下回るもの)が識別されていき、これに応じてページのビット線はロックアウトされていく。
【0080】
前に述べたように、ビット線のロックアウトは図10に見られるプルダウン回路550によって成就する。既存の2工程検知方式では、ラッチ信号INVがHIGHになるたびにプルダウン回路500がプルダウンされる。図10に見られるプルダウン回路500では、信号GRSが常にHIGHになることによって回路がイネーブルされるため、nトランジスタ552は常に接地への接続を提供する。
【0081】
ビット線ロックアウトによる性能・電力問題
米国特許第7,196,931号(特許文献18)によると、検知済みセルや現在の検知に関係のないセルをビット線ロックアウトによってオフにする2工程検知方式は、最大電流を制限するのに役立つほか、ソースの接地ループバイアスエラーの減少により第2の工程でより正確な検知を行える。しかし、多数の検知工程による性能低下とビット線ロックアウト操作によって生じるノイズのため、利点は相殺されてしまう。
【0082】
メモリアレイにおける選択的ビット線接地には、ビット線間のキャパシタンスに起因する反動がともなう。ビット線間のキャパシタンスは回路の集積密度が増すほど顕著になる。前述したいわゆる「全ビット線」(「ABL」)アーキテクチャによるメモリでは、ビット線間キャパシタンスが一層高くなることがある。全ビット線アーキテクチャのページは、行沿いに連続する一連のメモリセルによって形成される。ビット線方向に長いメモリプレーンの場合には、ABLのビット線間キャパシタンスが高くなりえる。通常、ビット線から近傍のビット線までの距離はABLでも従来のアーキテクチャでも同じである。従来型アーキテクチャの場合にはビット線の半分がプレチャージされ、最寄のビット線は接地状態を保つが、これはビット線間クロストークキャパシタンスをともなうより悪い場合のシナリオである。ABLでは全てのビット線が一斉に充電されるが、放電は別々のときに行われる。
【0083】
ビット線(ならびにワード線)は容量性負荷となるため、ビット線がプレチャージされたり放電されたりするときには、ビット線ロックアウト方式の関係で2つの好ましくない影響が出る。
まず、ビット線の多くは接地電位にロックされ、それ以外はより高い電位にプレチャージされる間、プルアップされる。ビット線間キャパシタンスのため、一般的に固定され接地されたビット線の中でビット線をプレチャージするには、ページ内のビット線を部分的に接地せずに全てのビット線を一斉にプルアップする場合に比べて概して困難であり、より多くの電力を消費する。
次に、ビット線が印加電圧まで充電されるにつれて当初流れていた交流(「AC」)変位電流は最終的にゼロまで減衰する。この減衰時間はビット線のRC定数の関数であり、Cは実効キャパシタンスである。セルの検知は基本的には直流(「DC」)伝導電流を判定することなので、AC変位電流が低下した後でなければビット線で正確な検知を行うことはできない。
【0084】
各ビット線の合計キャパシタンスの大部分は、当該ビット線の両側に位置する2つの近傍のビット線に対するキャパシタンスであるから、検知対象のビット線に流れるAC変位電流のかなりの部分は、ビット線を最寄のビット線のキャパシタンスまで充電することから生じるとみなすことができる。各ビット線のキャパシタンスあるいは各電極のキャパシタンスは、当該電極の全近傍電極に対するキャパシタンスの合計に等しい。近傍のビット線に対する全キャパシタンスが差し引かれると何も残らない。各ビット線の合計キャパシタンスの約90%は、当該ビット線に最も近い第1、第2、および第3のビット線に対する合計キャパシタンスである。ビット線キャパシタンスの10%余りは上下の層に対するキャパシタンスとなる。
【0085】
全てのビット線を同時に充電した後に、同時に放電するならば、1ビット線当たりの実効キャパシタンスは各ビット線の合計キャパシタンスの10%ほどにしかならない。全てのビット線を同時に充電し、様々な検知操作中、別々のときに接地に設定する場合は、実効ビット線キャパシタンスが格段に高くなる。これは、ビット線が近傍のビット線と同時にロックアウトされるか別々のときにロックアウトされるかによってビット線ごとに異なる。ビット線がロックアウトされる機会は数多くあり、ある1つのビット線が近傍のビット線と同時にロックアウトされる見込みは低い。
【0086】
全てのビット線を同時に充電する場合の消費エネルギーはCxV2 で、そのうちの1/2×C×V2 は電界としてコンデンサ電極間の誘電体に蓄積され、残りの1/2×C×V2 は熱に変換されるエネルギーであり、この熱はエネルギーを供給する電源の内部抵抗にわたって燃焼する。この第2項は、電圧/電力源の内部抵抗値に左右されない。全てのビット線が一斉に充電される限り、これらの式のCは実効Cであり、前に説明したように、各ビット線の合計キャパシタンスの約10%にすぎない。しかし、ビット線が近傍ビット線と別々のときにロックアウトされる場合(よくある場合)、接地に設定されているビット線にはそれ以上電源からエネルギーを供給する必要はない。エネルギーは、接地に設定された近傍ビット線により容量的にプルダウンされている、ビット線電圧に保たれるべき、近傍のビット線に供給するだけでよい。近傍のビット線が接地に設定されている、ビット線電圧に保たれるべき、ビット線の場合には、全ビット線間キャパシタンスは連結される。接地に設定されているビット線では周囲の誘電体の電界にエネルギーが蓄積され、熱に変換され、接地に至る抵抗路に沿って消散する。
【0087】
図15は、3本の近接ビット線とそれらの容量結合効果を示す。メモリセル10−0には2つの近接メモリセル10−1および10−2がある。同様に、3つのメモリセルには3本の近接ビット線36−0、36−1、および36−2がそれぞれ結合されている。各ビット線の自己キャパシタンスは、当該ビット線の上下に位置する電極に対するキャパシタンスに加え、当該ビット線に1番目に近い近傍のビット線対、2番目に近い近傍のビット線対、3番目に近い近傍のビット線対等、他の全電極に対するキャパシタンスの合計になる。図15のキャパシタンスは最も重要な最大のキャパシタンスであって、前述したキャパシタンスが全て描かれているわけではない。
【0088】
様々なキャパシタンスのための電流の流れが様々に分岐することが分かる。具体的に、電流は各ビット線の自己キャパシタンスによって次のようになる。

BL0 =CBL01d/dt(VBL0 −VBL1 )+CBL2 d/dt(VBL0 −VBL2

第2、第3以降の近傍のビット線の影響と、注目ビット線の上下に位置する層の電極の影響は無視する。注目ビット線とその線の上下に位置する層の電極とのキャパシタンスに相当する項は無視するため、それらの電圧が注目ビット線のそれと並行して動かない限り、上の式は、全てのビット線が一斉に充電される場合にはゼロになる。
【0089】
近接ビット線の影響のみを考慮するため、前述したセル電流は、おおよそその電流である。一般的に、ビット線BL0の場合は左側の非近接ビット線によるキャパシタンスCBL03と右側の非近接ビット線によるキャパシタンスCBL04がある。同様に、非近接ビット線BL1およびBL2間には相互キャパシタンスCBL12がある。これらのキャパシタンスは、各コンデンサの様々な電圧に応じて変位電流の流れに影響する。
【0090】
そこで、合計ビット線電流は変位電流と伝導電流の合計になる。センスアンプは、ビット線に入ってセルを通過し接地に至る正の伝導電流を供給しなければならない。さらに、センスアンプは、近傍のビット線が接地に設定されているビット線で結果として生じる変位電流に対処するために追加の正の電流を供給しなければならない。ビット線は接地により接地に設定されているため、電極を接地に設定するにあたってセンスアンプ等からの電力は必要ない。
クロスカップリングキャパシタンスの充電について、変位電流はビット線間電圧差の変化率に左右される。電圧差の変化率は、ビット線と近傍のビット線とで異なる充電または放電レートに起因し得る。
【0091】
前に述べたように、プレチャージのときに伝導電流が多いセルに結合されたビット線の電圧充電にはより多くの正味電流が必要であり、伝導電流が少ないセルの近傍のビット線に比べて充電は遅くなり得る。したがって、記憶状態と伝導電流がほぼ同じビット線と近傍のビット線はほぼ同じ速度で充電され、電圧はいつでもほぼ同じになる。この場合、クロスカップリングキャパシタンスの電圧差は比較的小さくなり、関連する変位電流も同様に小さくなる。また、ビット線電圧を下げるとキャパシタンスの充電にかかるエネルギーが少なくなるばかりでなく、最大伝導電流も直線的に減少する。非伝導セルに接続されたビット線と伝導セルに接続されたビット線があっても、一定強度のセンスアンプによって全てのビット線で充電ランプ速度を容易に維持できることが望ましい効果である。
【0092】
好適な実施形態において、複数のメモリセルに結合された複数ビット線のビット線電圧制御にあたって、近接する各ビット線間の電圧差が伝導電流検知時間に実質的に左右されないようにする。この条件を課すと、様々なビット線キャパシタンスに起因する電流はどれも時間的に変化する電圧差に左右され、ドロップアウトする。したがって、前の等式から[iBLC00 +iBLC01 +iBLC02 ]=0であるため、ビット線から検知される電流はセルの電流に等しく、例えばiBL0 =iCELLとなる。
【0093】
検知対象のビット線のセルと近傍のビット線のセルとで記憶状態が異なると、最大の変位電流が発生する。例えば、検知対象のビット線が非伝導メモリセルに結合されているときに、その近傍のビット線は高伝導セルに結合される。一般的に、変位電流の範囲とその減衰持続時間には分布がある。つまり、より悪い場合の回復時間により長い所定の期間にわたってプレチャージ回復操作を実行し、変位電流を所定のレベルまで減衰させ、ビット線が安定したうえで、正確な検知を行えるようにしなければならない。
【0094】
2工程検知方式で第1の工程の終わりにロックアウトされた近接のビット線があると、第2の工程のプレチャージ期間702はさらに長くなる。ビット線ロックアウト方式では、高電流セルとして識別されたセルのビット線が第2の工程のプレチャージに先立ち接地にラッチされる。一部のビット線が先にプレチャージされたレベルから接地電位へ急速にプルされ、他のビット線が概ねプレチャージ電位に保たれると、電圧差の変化率が極端になる。その結果、次の検知が行われるときにはビット線で著しい変位電流が生じる。検知を正確に行うには、事前に十分に長いプレチャージ期間を設けて変位電流を減衰させなければならない。つまりビット線ロックアウト方式の場合は、検知に先立ちビット線電圧を安定させるためのロックアウト操作の後に毎回時間を多めに設けなければならない。図14を再び参照し、分界しきい値レベルを基準とする各検知サイクルにおいてロックアウトと次の検知の間にこの遅延が2度発生じる。マルチレベルメモリではこの遅延がさらに分界しきい値レベルごとにさらに度合いを強める。例えば、8状態メモリならビット線ロックアウトの影響で14回(8状態を識別する7つの読み出しレベルにつき2回)の遅延が生じ、深刻な性能劣化をもたらす。
【0095】
ビット線ロックアウトを選択的にイネーブルすることによる検知
本発明の一般的な態様によると、1ページのメモリセルを並行して検知するときには、所定の電流レベルを超過するメモリセルをビット線の接地により遮断するビット線ロックアウトの回数が最小限に抑えられる。これにより、高電流セルを識別し遮断するためのさらなる検知サブサイクルは電流消費のための所与のバジェットが許す限り省略され、特定の検知コントロールゲート電圧による検知ではONセルのビット線が遮断され、他のコントロールゲート電圧による検知ではビット線遮断操作が行われない。この手法を用いれば検知サブサイクル数が減るほか、ビット線を遮断するときにビット線間結合によって発生するノイズが減り、検知操作性能が向上する。この文脈におけるビット線結合とは、近傍のグローバルビット線間に存在する容量結合を意味する。
【0096】
好適な実施形態において、ビット線を接地までプルできるプルダウン回路によってビット線ロックアウトを実施する。このプルダウン回路は、ビット線と接地との間に直列する2つのパスゲートを備える。2つのパスゲートによってANDゲートが形成され、一方のパスゲートはプルダウンのイネーブルまたはディスエーブル制御信号によって制御され、他方のパスゲートは、対象となるセルで検知される電流が基準電流を上回るか下回るかによって制御される。プルダウン回路がディスエーブルになると、検知結果にかかわりなく、ビット線は接地されない。プルダウン回路がイネーブルになっているときに高電流メモリセルが検知されると、ビット線は接地までプルされる。
【0097】
図16(A)〜(J)は、選択的ビット線ロックアウトが採用されたセンスモジュールの動作を制御する信号のタイミング図である。図10に見られるセンスモジュール480では基本的に、制御信号GRSによってビット線ロックアウト機能がイネーブルもしくはディスエーブルされる。信号GRSは状態マシン112(図1参照)によって供給される。信号GRSがHIGHならプルダウン回路550(図10参照)はイネーブルになる。逆に、GRSがLOWならプルダウン回路550はディスエーブルになる。これに関し、前の図13(A)〜(J)に見られるタイミング図は、常にHIGHの信号GRSによってビット線ロックアウトがイネーブルになる場合を指している。他方、図16(A)〜(J)に見られるタイミング図は、LOWの信号GRS(図16(J))によってビット線ロックアウトを選択的にディスエーブルできる場合を指している。
実施形態によってはビット線ロックアウトがイネーブルになると、高電流セルを判定しロックアウトするための検知サブサイクルがビット線ロックアウトの前に実行される。他方、ビット線ロックアウトが選択的にディスエーブルになる場合には、高電流セルを判定するために先行する検知サブサイクルも省略される。
【0098】
図16(A)〜(J)は、それぞれ2つの連続する分界しきい値レベルを基準とする2つの検知サイクルを示すタイミング図であり、このときビット線ロックアウトは選択的にディスエーブルされる。したがって、ビット線ロックアウトがイネーブルになる場合と違って各サイクルは1工程検知になる。
T1を基準とする1工程検知で選択されたワード線をVT1に設定するプレチャージは、ビット線プレチャージの前かビット線プレチャージと同時に行われる。具体的に、ビット線プレチャージ期間はフェーズ(1.5)〜(1.6)で実施される。ビット線の電圧が安定し、変位電流がとるに足りない値まで減衰した後には、フェーズ(1.7)で検知を行う。フェーズ(1.8)ではストロービングとラッチが行われ、しきい値電圧がVT1を下回る「高」電流セルの信号INVはHIGHでラッチされ、しきい値電圧がVT1を上回るセルの信号INVはLOWでラッチされる。フェーズ(1.9)では、基本的に信号INVの反対である信号SENの形をとる検知結果がリードアウトバスを通じて送出される。
【0099】
図16(J)では信号GRSが両検知サイクルでLOWであるため、各ビット線のプルダウン回路550(図10)はINVの検知値にかかわりなくディスエーブルになる。これは、しきい値電圧がVT1を下回る高電流セル(図16(I1)および(I2))のビット線ですら、接地でプルされることによるロックアウトがなされないことを意味する。
ページ電流とソースバイアスエラーを制限するには、ビット線ロックアウト方式により次の検知工程に関係ない高電流セルのビット線を接地にロックアウトし、高電流セルをオフにする。つまり、既存の検知手法では全ての記憶状態に対してビット線ロックアウトを含む2工程検知を実施する。
【0100】
検知性能に大きく影響するという2工程検知の不利な点も説明してきた。2工程検知を実行すると検知工程数が倍になるため、検知操作の長さは単一工程検知に比べて約2倍になる。実際には、ビット線を接地にラッチすることによって発生する過渡的ノイズに対処するため、この遅延は格段に長くなる。前に述べたように、変位電流の大部分は電流検知の対象となるビット線のノイズとして発生する。変位電流は、近傍ビット線の相互キャパシタンスによる電圧変化率に起因する。変位電流が減衰するまで待つため、検知サイクルのビット線プレチャージ期間は大幅に長引く。この遅延中にメモリセルはビット線へ結合されているから、ビット線をプルアップするプレチャージ回路とこれに逆らうセルの伝導電流により電力を余分に消費する。
【0101】
検出された高電流セルのビット線ロックアウトを実行しなければ1工程検知だけですみ、さらにビット線は接地までプルされない。ノイズは最小限に抑えられ、ビット線プレチャージ期間が長引くこともない。図16に見られるVT2検知サイクルでは、フェーズ(2.5)の短いプレチャージ期間702によってこれが概略的に示されている。事実、セルの総ON時間が短縮され節電につながることが見込まれている。
【0102】
本発明に従い検知性能を向上させるためビット線ロックアウト数を減らすと、図12Aおよび12Bとの関係で前に説明したように、ON状態を保つ高電流セルが増えてソースバイアスエラーに寄与する。高レベルのiTOT Rにかかわらず誤差を最小限に抑える1つの方法として、個々のメモリセルのコントロールゲートおよびドレインに至る全電圧はメモリセルのソースにできるだけ近いノードで参照する。例えば図12Aおよび12Bに見られるように、接地ではなくソース線32に参照点をとれば、接地ループ抵抗は最小限に抑えられる。本願明細書において参照により援用されている、米国特許第7,170,784号(特許文献19)および第7,173,854号(特許文献20)と、2007年4月24日に出願されたSekar らの「COMPENSATING SOURCE VOLTAGE DROP IN NON-VOLATILE STORAGE」という米国特許出願第11/739,501号(特許文献21)には、ソースバイアスエラーを最小限に抑える手法が開示されている。
【0103】
多数の状態を基準に多数のメモリセルページの検知工程をともないながら多状態メモリを検知する一実施例では、所定の電流レベルを上回るメモリセルのビット線をロックアウトするステップを、所定の検知工程だけで実施する。こうすれば、合計電流とソースバイアスエラーを抑えるというビット線ロックアウトの利点と、サブサイクル数増加による長い検知時間と発生したノイズ低下にかかる長い待ち時間というビット線ロックアウトの弊害とでバランスがとれる。ロックアウトを選択的に減らせば、検知性能低下と消費電力増加の弊害は緩和される。
【0104】
図17Aは、多状態検知操作の複数の工程の中でビット線ロックアウトを選択的にイネーブルする例示的なスケジュールを示す。これは図8に見られる8状態メモリに関する例である。考えられる全8状態を解決するには、少なくとも7回の検知サイクルでそのつどDA 、DB ・・・等の異なる分界しきい値レベルを用いてメモリセルページを検知することになる。各検知サイクルにつき2工程検知を実施する。しかし、第2の工程でビット線ロックアウト操作がディスエーブルされる点が既存の2工程検知(図14参照)と異なる。換言すると、1検知工程おきにビット線ロックアウト操作を省略する。具体的には、第2の工程の検知の後にビット線ロックアウト操作を省略する。工程数は既存の2工程検知と同じだが、ビット線ロックアウト操作は50%減少する。この場合には第2の工程後に発生するノイズが減り、次のサイクルの第1の工程でビット線のプレチャージ期間を短縮できる。ビット線のロックアウトとロックアウトからの回復と同時に、ワード線電圧は次の検知レベルで安定するため、ワード線安定化時間がビット線間クロストークの回復時間と同程度なら、この実施形態から大幅な性能向上は望めない。
【0105】
図17Bは、多状態検知操作の複数の工程の中でビット線ロックアウトを選択的にイネーブルするもうひとつの例示的スケジュールを示す。これも図8に見られる8状態メモリに関する例であり、図17Aの例に類似するが、2工程検知は1検知サイクルおきに行う。1工程のサイクルでは検知操作のみ行い、予備検知操作とビット線ロックアウト操作は省略する。この場合は工程数が50%減少し、ビット線ロックアウト操作数は75%減少する。
【0106】
図17Cは、擬似ランダムデータを蓄積するメモリセルページを示す。ページの中で高電流状態を均一に分布させるため、好ましくは考えられる全ての記憶状態で蓄積データがページ上で比較的均等に分布するように符号化する。好適な実施形態において、考えられる全ての記憶状態でデータがページ上で擬似ランダム的に分布するように符号化する。こうすれば、省略されたビット線ロックアウト操作数をもとにメモリシステムの電流量を統計的に推定することが可能となる。
【0107】
本発明のもうひとつの態様によると、ビット線ロックアウト数は、所定の最大電流を超過しないメモリセルページを流れる合計電流に応じて減少する。逆に、データしだいで合計電流が所定の電流レベルを超過しそうになると、ビット線ロックアウト操作を実行する。こうすれば、システムでピーク電流を超過することなくビット線ロックアウト操作を最小限に抑えることができる。
【0108】
多数の状態を基準に多数のメモリセルページの検知工程をともないながら多状態メモリを検知する一実施例では、検知工程でメモリセルページを流れる合計電流が所定の最大電流を超過しそうになるときに限り、所定の電流レベルを上回るメモリセルのビット線をロックアウトするステップを実施する。一実施形態において、メモリセルページを流れる合計電流を監視するための電流監視部を設ける。
【0109】
図18は、メモリシステムの監視電流に応じたビット線ロックアウト操作を示す。図18は、図9に類似する読み出し/書き込み回路270Aのセンスモジュールによってメモリセルページを流れる電流が検知される様子を示す。電流監視部710は、ページの各メモリセルの電流の総量が集約される経路に置く。例えば、ソース線34とシステム接地をつなぐ伝導路にこれを置く。一実施形態において、図12Aのように抵抗器にまたがる電圧監視部として電流監視部を実装し、その場合の監視電流は電圧降下を抵抗で割ったものとなる。電流監視部710は、好ましくは状態マシン112(図1参照)へ信号BLNoLOCを供給するためのロジックを含む。監視電流iTOT が所定のレベルiMAX を下回る場合は特に、BLNoLOCはHIGHで出力される。HIGHのBLNoLOCに応じて状態マシンはビット線ロックアウトをディスエーブルにして検知を実行し、制御信号GRSはLOWになる(図10参照)。iTOT >iMAX ならBLNoLOCはLOWで出力され、これを合図に状態マシンはビット線ロックアウトをイネーブルにして検知を実行し、一部のメモリセルの電流は遮断される。
【0110】
図19は、ロックアウトされたビット線の数によってメモリセルページを流れる合計電流を推定するもうひとつの実施形態を示す。図19は、図9に類似する読み出し/書き込み回路270Aのセンスモジュールによってメモリセルページを流れる電流が検知される様子を示す。接地にラッチされたビット線の数は累算部で数える。その後、合計電流iTOT は、各セルの平均電流に、接地されていないページ内のビット線数を掛けることによって推定できる。累算部720は、好ましくは状態マシン112へ信号BLNoLOCを供給するためのロジックを含む。推定合計電流iTOT が所定のレベルiMAX を下回る場合は特に、BLNoLOCはHIGHで出力される。HIGHのBLNoLOCに応じて状態マシンはビット線ロックアウトをディスエーブルにして検知を実行し、制御信号GRSはLOWになる(図10参照)。iTOT >iMAX ならばBLNoLOCはLOWで出力され、これを合図に状態マシンはビット線ロックアウトをイネーブルにして検知を実行し、一部のメモリセルの電流は遮断される。
【0111】
図20は、多状態検知操作の複数の工程の中で、システム電流制限超過に応じてビット線ロックアウトを選択的にイネーブルした場合の例示的な結果を示す。図17Aおよび17Bに見られる例とは対照的に、ビット線ロックアウト操作は合計電流レベルに依拠し、合計電流レベルはデータに左右される。例えば、状態「A」について検知を行うときには2工程検知を実行し、最高電流状態を排除する。次に、状態「B」の1工程検知ではビット線ロックアウトをディスエーブルする。その後、iTOT がiMAX を超過しそうになるとビット線ロックアウトを再びイネーブルし、状態「C」で2工程検知を行う。同様に、状態「C」のビット線ロックアウトによってiTOT が低下するならば、これを再びディスエーブルする。状態「D」および「E」の検知でもこの状況が続き、「E」の検知が終わるまでは単一工程検知が行われる。そのときiTOT はiMAX を超過するか超過しそうになる。そこで状態「F」を検知する次のサイクルは2工程で実行する。
【0112】
図21は、本発明の好適な実施形態に従い検知中のビット線ロックアウト制御を示す流れ図である。
ステップ810:該当するビット線と共通のワード線とによりグループの各メモリセルに対するアクセスを提供する。
ステップ820:複数のしきい値電圧レベルから検知の基準となる分界しきい値電圧レベルを選択する。
ステップ830:選択された分界しきい値電圧レベルまで共通のワード線をプレチャージする。
ステップ832:該当するビット線を所定の電圧レベルまで概ねプレチャージする。
ステップ840:ビット線ロックアウトをイネーブルするか?イネーブルする場合にはステップ842へ進み、そうでなければステップ850へ進む。
ステップ842:選択された分界しきい値電圧を基準としメモリセルのグループを並行して検知する。
ステップ844:選択された分界しきい値電圧レベルを下回るしきい値電圧レベルが検知されたメモリセルを識別する。
ステップ846:識別されたメモリセルに該当するビット線を接地電位に設定しロックアウトする。このロックアウトは、複数のしきい値電圧レベルに含まれる電圧レベルの全適用回数に満たない回数で選択的に実行される。
ステップ850:選択された分界しきい値電圧を基準としてメモリセルのグループを並行して検知する。
ステップ860:選択された電圧は複数のしきい値電圧レベルの最後の電圧レベルに等しいか?等しい場合にはステップ870へ進み、そうでなければステップ820まで戻る。
ステップ870:メモリセルのグループの検知を終了する。
【0113】
図22は、高電流セルをロックアウトするための予備検知を省いて実際の検知が行われる単一工程検知の代替の実施形態を示す。ビット線ロックアウトは、システムの電流負荷レベルか所定のスケジュールに応じて行う。ビット線ロックアウトを行う場合には、ビット線ロックアウトとそこからの回復期間と同時にワード線電圧が次のレベルへ上昇する。このモードでは、伝導電流の持続時間減少によって伝導電流の増加を埋め合わせることができる。このモードの効率を上げるには、ある1つのワード線電圧レベルから次のワード線電圧レベルにかけて速やかに検知を進行できるようにワード線RC時定数をできるだけ減らす必要がある。例えばこれは、ワード線を短くするかワード線の伝導率を上げることによって達成できる。全てのビット線を一斉に充電し、最後のワード線電圧の後に一斉に放電すれば、1ビットの読み出しにかかるエネルギーを最小限に抑えることができる。全ての状態を速やかに検知し、電流が燃焼する時間を短縮することにより、伝導エネルギーは最小限に抑えられる。
【0114】
もうひとつの例として16状態メモリを取り上げる。一実施例では、3回目の状態検知の後に1回目のロックアウトを行う。最初の3回の検知操作は単一ストローブであり、3回目の検知操作では4/16=1/4のセルでONが判明する。この3回目の検知操作の結果に基づき、3回目の検知操作でONが判明したセルは一斉にロックアウトする。さらに、ビット線クロストーク回復時間と同時にワード線は第3の検知レベルから第4の検知レベルへ上昇する。次のビット線ロックアウト操作は、第7の検知レベルによるストローブ検知と第8の検知レベルによるストローブ検知の間に行われる。次のロックアウト操作は第11の検知レベルと第12の検知レベルとの間に行われる。このようにロックアウト操作は3回だけになり、ビット線クロストーク回復時間と同時にワード線は次のレベルへ上昇し、一連の処理の中でオンになったセルは次のロックアウト操作までDC電流を伝導する。
【0115】
図23は、図22の代替の実施形態に従い検知中のビット線ロックアウト制御を示す流れ図である。
ステップ910:該当するビット線と共通のワード線とによりグループの個々のメモリセルに対するアクセスを提供する。
ステップ920:複数のしきい値電圧レベルから検知の基準となる分界しきい値電圧レベルを選択する。
ステップ930:選択された分界しきい値電圧レベルまで共通ワード線をプレチャージする。
ステップ932:該当するビット線を所定の電圧レベルまで概ねプレチャージする。
ステップ940:選択された分界しきい値電圧を基準としてメモリセルのグループを並行して検知する。
ステップ950:ビット線ロックアウトをイネーブルするか?イネーブルする場合にはステップ952へ進み、そうでなければステップ960へ進む。
ステップ952:選択された分界しきい値電圧レベルを下回るしきい値電圧レベルが検知されたメモリセルを識別する。
ステップ954:識別されたメモリセルに該当するビット線を接地電位に設定しロックアウトする。このロックアウトは、複数のしきい値電圧レベルに含まれる電圧レベルの全適用回数に満たない回数で選択的に実行される。
ステップ960:選択された電圧は複数のしきい値電圧レベルの最後の電圧レベルに等しい?等しい場合はステップ970へ進み、そうでなければステップ920まで戻る。
ステップ970:メモリセルのグループの検知を終了する。
【0116】
図24は、高電流セルのロックアウトを省いて実際の検知が行われる単一工程検知のもうひとつの代替の実施形態を示す。ロックアウトを、所定のスケジュールかシステムの電流負荷レベルに応じて省くことができる。このモードでは、前に述べたビット線電圧の低減と伝導電流の持続時間減少により伝導電流の増加を埋め合わせることができる。
前に述べたように、検知工程数の削減に役立つ要素が2つあり、2工程検知を不要にすることすらできる。ひとつはビット線電圧の低減であり、もうひとつはデータのランダム化またはスクランブリングである。
【0117】
読み出し操作とベリファイ操作におけるビット線電圧の低減は、伝導エネルギーと容量電荷エネルギーを最小限に抑えるうえで非常に効果的である。セル電流の低減によりCLSRC負荷も緩和され、ロックアウト操作を減らすことができる。ビット線電圧の減少とON電流の減少にかかわりなく(VT、Iref)で良好な相互コンダクタンス値を得るには、検知電流Irefも減らさなければならない。
【0118】
しかし、従来型メモリアーキテクチャの検知方式ではビット線電圧の低減に限りがある。というのは、従来の検知方式ではビット線のキャパシタンスをもとにセルの伝導電流を測定するからである。ビット線はある程度の初期電圧までプレチャージされた後、セル電流によって放電する。この放電レートがセル電流の尺度となる。ビット線の初期電圧が低すぎると、ビット線はビット線のRC時定数に対して検出不能な値まで放電するため、ビット線電圧は限定される。さらに、基準検知電流はビット線のRC定数に固定され、容易に調整できない。
【0119】
他方、ABLメモリアーキテクチャで初めて導入された検知方式では、センスアンプとともに提供される専用のコンデンサが放電レートの基準となるため、検知はビット線の時定数に左右されない。米国特許第7,196,931号(特許文献18)にはこのような検知方式が開示されている。最適な検知が行えるように専用のコンデンサのRC定数は調整できる。この場合にはビット線電圧をさらに下げることができる。その結果、低い基準電流で検知を行うことになる。これは、コンデンサの値を適切に選択することによって容易に果たすことができる。
【0120】
データのスクランブリング/ランダム化により、それぞれの状態をとるセルの数はほぼ等しくなる。これは、セルの1/16が各状態をとることを意味する。それぞれの高いコントロールゲート電圧でオンになるのは1/16のセルだけであり、状態間の分離が僅か400mVなら、それらのセルが最初にオンになるときには完全に伝導しているわけではないため、データをスクランブルする場合は単一工程(1ストローブ)検知が好ましい。先に述べた2工程方式でも、最初のストローブのときに存在する高いセルソース負荷のため、最初のストローブの後にロックアウトされるべきセルのうちのかなりの数のセルはロックアウトを免れる。ロックアウトされたセルは遮断され、CLSRC負荷は減少するため、ロックアウトを免れたセルにはビット線間クロストーク回復期間中に10倍ほどの電流が伝導する。例えば70nAの電流で最初のストローブを免れたセルには、免れなかったセルがロックアウトされCLSRC電圧が下がると直ちに、700nAが伝導する。最初のストローブまたは2番目のストローブの積分時間は0.4usecである。しかし、その間には4.4usecのビット線クロストーク回復時間がある。このような状況で、2工程方式(2ストローブ)は性能とエネルギー消費の両面で大きな逆効果を招く。これは、データがランダム化されない場合、および/またはビット線電圧を低く保つことができない場合、および/または状態間の分離が大きい場合(8状態または16状態メモリに当てはまらない場合)に有用である。状態間の分離が大きい4状態メモリでも、平均セルON電流が〜0.3uAとなるようにビット線電圧を下げるだけで、ページの半分以上のセルは完全に伝導し、1回のストローブで速度とエネルギー効率を上げることは可能である。
【0121】
本願明細書で参照されている特許、特許出願、記事、書籍、仕様書、その他の出版物、文書、事物はどれも、その全体があらゆる目的のために本願明細書において参照により援用されている。援用されている出版物、文書、または事物のいずれかと本願明細書の文面との間で用語の定義または使用に矛盾や食い違いがある場合には、本願明細書における用語の定義または使用が優先するものとする。
これまで本発明の様々な態様を特定の実施形態との関係で説明してきたが、本発明が添付の特許請求の範囲内で保護を受ける権利があることが理解されるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリであって、
ビット線とワード線とによりアクセスできるメモリセルアレイと、
該当するビット線と共通のワード線とによりアクセスできる1グループのメモリセルで伝導電流を並行して検知する1グループの検知回路と、
1セットの複数のしきい値電圧レベルから検知の基準として選択される分界しきい値電圧レベルまで共通ワード線をプレチャージするワード線電圧供給部と、
該当するビット線を所定の電圧まで概ねプレチャージするビット線電圧供給部と、
選択された分界しきい値電圧を基準としてメモリセルのグループを並行して検知するための検知回路のグループを制御する1セットの制御信号と、
各検知回路の検知結果と、検知中にビット線ロックアウトをイネーブルする制御信号とに応じて、該当するビット線を接地する、検知回路ごとのビット線接地回路と、
を備える不揮発性メモリ。
【請求項2】
請求項1記載の不揮発性メモリにおいて、
検知結果は、検知対象メモリセルが基準検知電流を上回る伝導電流を有する場合のものであり、
制御信号は、ビット線ロックアウトのイネーブル条件が満たされる場合にアサートされる不揮発性メモリ。
【請求項3】
請求項2記載の不揮発性メモリにおいて、
ビット線ロックアウトのイネーブル条件は、メモリセルのグループの総計電流が所定の電流レベルに達することを含む不揮発性メモリ。
【請求項4】
請求項2記載の不揮発性メモリにおいて、
ビット線ロックアウトのイネーブル条件は、識別済みメモリセル数が所定の数に達することを含む不揮発性メモリ。
【請求項5】
請求項2記載の不揮発性メモリにおいて、
ビット線電圧供給部は、検知中に所定の最小ビット線電圧を供給する不揮発性メモリ。
【請求項6】
請求項2記載の不揮発性メモリにおいて、
ビット線ロックアウトのイネーブル条件は、選択された分界しきい値電圧レベルが、1セットの複数のしきい値電圧レベルのサブセットに含まれる所定のレベルに一致することを含む不揮発性メモリ。
【請求項7】
請求項6記載の不揮発性メモリにおいて、
サブセットは、1セットの複数のしきい値電圧レベルの中で概ね均等に間隔をおく分界しきい値電圧レベルを選択することによって形成される不揮発性メモリ。
【請求項8】
請求項7記載の不揮発性メモリにおいて、
メモリセルのグループは、擬似ランダムパターンで符号化されたデータを蓄積する不揮発性メモリ。
【請求項9】
請求項6記載の不揮発性メモリにおいて、
サブセットは、順序付けられた1セットの複数のしきい値電圧レベルの中でn個おきの分界しきい値レベルを選択したものであり、nは1より大きい整数である不揮発性メモリ。
【請求項10】
請求項1記載の不揮発性メモリにおいて、
1セットの分界しきい値電圧は、少なくとも3個の電圧レベルを含む不揮発性メモリ。
【請求項11】
請求項1記載の不揮発性メモリにおいて、
1セットの分界しきい値電圧は、少なくとも7個の電圧レベルを含む不揮発性メモリ。
【請求項12】
請求項1記載の不揮発性メモリにおいて、
1セットの分界しきい値電圧は、少なくとも15個の電圧レベルを含む不揮発性メモリ。
【請求項13】
請求項1記載の不揮発性メモリにおいて、
前記検知回路のグループは、前記メモリセルのグループにプログラムされた記憶状態を読み出す読み出し操作中に作動する不揮発性メモリ。
【請求項14】
請求項1記載の不揮発性メモリにおいて、
前記検知回路のグループは、選択された分界しきい値電圧を基準にメモリセルがプログラム済みか否かをベリファイするプログラミング操作の一部で作動する不揮発性メモリ。
【請求項15】
請求項1記載の不揮発性メモリにおいて、
不揮発性メモリセルのグループは、フラッシュEEPROMの一部分である不揮発性メモリ。
【請求項16】
請求項1記載の不揮発性メモリにおいて、
フラッシュEEPROMは、NANDタイプのものである不揮発性メモリ。
【請求項17】
請求項1記載の不揮発性メモリにおいて、
1グループの不揮発性メモリセルは、少なくとも1つの電荷蓄積素子を各々有する不揮発性メモリ。
【請求項18】
請求項17記載の不揮発性メモリにおいて、
電荷蓄積素子は、フローティングゲートである不揮発性メモリ。
【請求項19】
請求項16記載の不揮発性メモリにおいて、
電荷蓄積素子は、誘電体層である不揮発性メモリ。
【請求項20】
請求項1記載の不揮発性メモリにおいて、
1グループの不揮発性メモリセルは、少なくとも2ビットのデータを蓄積する不揮発性メモリ。
【請求項21】
不揮発性メモリであって、
ビット線とワード線とによりアクセスできるメモリセルアレイと、
該当するビット線と共通のワード線とによりアクセスできる1グループのメモリセルで伝導電流を並行して検知する1グループの検知回路と、
1セットの複数のしきい値電圧レベルから検知の基準として選択される分界しきい値電圧レベルまで共通ワード線をプレチャージするワード線電圧供給部と、
該当するビット線を所定の電圧まで概ねプレチャージするビット線電圧供給部と、
選択された分界しきい値電圧を基準としてメモリセルのグループを並行して検知するための検知回路グループを制御する手段と、
前記各検知回路の検知結果と、検知中にビット線ロックアウトをイネーブルする制御信号とに応じて、該当するビット線を接地する、検知回路ごとのビット線接地回路と、
を備える不揮発性メモリ。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか記載の不揮発性メモリにおいて、
不揮発性メモリセルは、メモリカードに内蔵される不揮発性メモリ。
【請求項23】
1グループの不揮発性メモリセルを並行して検知する方法であって、
(a)該当するビット線と共通のワード線とにより1グループの各メモリセルに対するアクセスを提供するステップと、
(b)1セットの複数のしきい値電圧レベルから検知の基準となる分界しきい値電圧レベルを選択するステップと、
(c)選択された分界しきい値電圧レベルまで共通ワード線をプレチャージするステップと、
(d)該当するビット線を所定の電圧まで概ねプレチャージするステップと、
(e)選択された分界しきい値電圧を基準としてメモリセルのグループを並行して検知するステップと、
(f)ビット線の接地によるビット線ロックアウトのイネーブル条件が満たされる場合には常に、(h)へ進む前に(g1)から(g2)を実行するステップと、そうでなければ(h)までスキップするステップと、
(g1)選択された分界しきい値電圧レベルを下回るしきい値電圧レベルが検知されたメモリセルを識別するステップと、
(g2)識別されたメモリセルに該当するビット線を接地電位に設定することによりロックアウトするステップと、
(h)セットに含まれる全電圧レベルが適用されるまで1セットの複数のしきい値電圧レベルに含まれる次の電圧レベルで(b)から(h)を繰り返すステップと、を含み、
前記ロックアウトは、ビット線ロックアウトのイネーブル条件が満たされる場合には常に、1セットの複数のしきい値電圧レベルに含まれる電圧レベルの全適用回数に満たない回数で選択的に実行される方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、
前記(g1)から(g2)を実行するステップは、(g3)選択された分界しきい値電圧を基準としてメモリセルのグループを並行して検知するステップをさらに含む方法。
【請求項25】
請求項23記載の方法において、
ビット線ロックアウトのイネーブル条件は、メモリセルのグループの総計電流が所定の電流レベルに達することを含む方法。
【請求項26】
請求項23記載の方法において、
ビット線ロックアウトのイネーブル条件は、識別済みメモリセル数が所定の数に達することを含む方法。
【請求項27】
請求項23記載の方法において、
検知中に所定の最小ビット線電圧でビット線を操作するステップをさらに含む方法。
【請求項28】
請求項23記載の方法において、
ビット線ロックアウトのイネーブル条件は、選択された分界しきい値電圧レベルが、1セットの複数のしきい値電圧レベルのサブセットに含まれる所定のレベルに一致することを含む方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法において、
サブセットは、1セットの複数のしきい値電圧レベルの中で概ね均等に間隔をおく分界しきい値電圧レベルを選択することによって形成される方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、
メモリセルのグループは、擬似ランダムパターンで符号化されたデータを蓄積する方法。
【請求項31】
請求項28記載の方法において、
サブセットは、順序付けられた1セットの複数のしきい値電圧レベルの中でn個おきの分界しきい値レベルを選択することによって形成され、nは1より大きい整数である方法。
【請求項32】
請求項23記載の方法において、
1セットの分界しきい値電圧は、少なくとも3個の電圧レベルを含む方法。
【請求項33】
請求項23記載の方法において、
1セットの分界しきい値電圧は、少なくとも7個の電圧レベルを含む方法。
【請求項34】
請求項23記載の方法において、
1セットの分界しきい値電圧は、少なくとも15個の電圧レベルを含む方法。
【請求項35】
請求項23記載の方法において、
前記検知するステップは、前記メモリセルのグループにプログラムされた記憶状態を読み出す読み出し操作の一部である方法。
【請求項36】
請求項23記載の方法において、
前記検知するステップは、選択された分界しきい値電圧を基準にメモリセルがプログラム済みか否かをベリファイするプログラミング操作の一部である方法。
【請求項37】
請求項23記載の方法において、
不揮発性メモリセルのグループは、フラッシュEEPROMの一部分である方法。
【請求項38】
請求項23記載の方法において、
フラッシュEEPROMは、NANDタイプのものである方法。
【請求項39】
請求項23記載の方法において、
1グループの不揮発性メモリセルは、少なくとも1つの電荷蓄積素子を各々有する方法。
【請求項40】
請求項39記載の方法において、
電荷蓄積素子は、フローティングゲートである方法。
【請求項41】
請求項38記載の方法において、
電荷蓄積素子は、誘電体層である方法。
【請求項42】
請求項23記載の方法において、
1グループの不揮発性メモリセルは、少なくとも2ビットのデータを蓄積する方法。
【請求項43】
請求項23〜42のいずれか記載の方法において、
不揮発性メモリセルは、メモリカードに内蔵される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2010−529585(P2010−529585A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511286(P2010−511286)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/065681
【国際公開番号】WO2008/154229
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(506197901)サンディスク コーポレイション (175)
【Fターム(参考)】