説明

ビーム成形と、薄いシリコン導波管への外部ソースおよび光学系の嵌合に関連する損失を減らす実用的方法

入力自由空間光学系および出力自由空間光学系からサブミクロン厚さの高屈折率導波管への光の高効率転送を達成し、維持する実用的実現を説明する。必要な光学要素と、これらの要素の製造、位置合わせ、および組立の方法を述べる。現実的な範囲のデバイス動作パラメータにわたる高い結合効率の信頼性のある維持を、好ましい実施形態の文脈で述べる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2003年4月10日出願の米国仮出願第60/461697号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、薄いシリコン光導波管に関連する結合配置に関し、具体的には、ビーム成形(beam shaping)と、そのような薄い導波管への外部ソースおよび光学系の嵌合に関連する損失を減らす方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
多くのデバイス応用例について、入力信号をデバイス内で前処理し、その結果、主機能を実行するデバイス固有テクノロジに最適化しなければならない。同様に、外部の世界に伝送する前に、デバイス・コアから発する信号を後処理して、通常のユーザ要件と互換の信号を作らなければならない。光電子モジュールについて、必要な光信号処理に、光生成、波長制御、偏光制御、位相制御、ビーム・ステアリング、ビーム成形、ビーム・スプリッティングまたはビーム再組合せ、変調、および検出などの機能が含まれる。使い易くするために、またはデバイス性能に重要なパラメータを制御するために、しばしば、モジュール自体の内部に前処理機能および後処理機能を集積することが望ましい。たとえば、重要な利益は、デバイスの光挿入損失を、しばしば、モジュールにより多くの光学機能を集積することによって減らすことができることである。これが発生するのは、デバイス固有テクノロジについて構成要素選択をより簡単に最適化できるからであり、異なるデバイスまたはモジュールの間の物理接続の個数が減ったからでもある。低損失光電子モジュールは、システム・アプリケーションを可能にする。というのは、これを、システム内の異なる点により簡単に配置できるからであり、これによって、システムに関連するスパンが長くなるからである。さらに、デバイスの物理的寸法または「フットプリント」を、コンポーネント集積によって縮小することができる。
【0004】
前処理光学機能および後処理光学機能の集積は、本質的に、赤外波長で動作するシリコンベースの光電子回路にクリティカルである。シリコンベース・レーザは、まだ、市販応用例で広く使用可能ではないので、単一の処理要素およびレシーバ要素と同一のシリコン・ウェハ内に光源を組み込むことは、現在は可能でない。したがって、光信号は、外部ソースからシリコン導波管に導入されなければならない。これは、その信号を前処理するために光学要素を挿入し(ソースと導波管の間に)、その結果、光強度のかなりの部分を導波管に転送できるようにすることを必要とする。さらに、赤外波長に適当なシリコンベース検出器は、開発され始めたばかりなので、光信号を、シリコン導波管から外部の検出器要素またはレシーバ要素に転送しなければならない。したがって、光要素は、光信号の後処理のためにデバイスの出力側にも必要である。光を従来技術から既知の屈折率の高いコントラスト(high−index contrast)導波管に結合する方法の例に、プリズム・カプラ、格子カプラ(grating coupler)、テーパー付きモード変換器(tapered mode converter)、および特殊な形状のファイバ終端またはレンズド・ファイバ(lensed fiber)が含まれる。これらの光学要素のすべてが、研究室環境で、外部ソースから使用可能な光の一部をhigh−index contrast導波管に転送するのに使用されたが、これらの構成要素を低損失デバイスのプロトタイプまたは最終製品に組み込む時に、かなりの制限が生じる。
【0005】
たとえば、特殊な形状のファイバ終端、レンズド・ファイバ、またはテーパー付きモード変換器によって作ることができる最小スポット・サイズは、1.5μm程度であり、これは、一部のシリコン導波管のサブミクロン寸法と互換性がない。具体的に言うと、複数の応用例が、0.35μm以下程度の寸法を有するシングルモード・シリコン導波管を必要とする。特別に準備されたファイバまたはテーパー付きモード変換器の出力ビームのモードフィールド径と導波管モードのモードフィールド径の不一致は、非常に高い挿入損失をもたらす。導波管厚さが、数ミクロン程度の場合であっても、デバイスの入力ポートおよび出力ポートを、導波管を含むウェハ・ダイの縁ファセットに置かなければならないという要件が、特別に準備されたファイバまたはテーパー付きモード変換器に結合される時にデバイス・ジオメトリ(たとえば、デバイス・トポロジおよびサイズ)にかなりの制限を課す。
【0006】
上で述べた制限は、格子カプラまたはプリズム・カプラのいずれかを使用して外部ソースからの光をhigh−index contrast導波管におよびこれから外に結合することによって緩和することができる。適当に設計すれば、10ナノメートルから数十ミクロンの範囲の厚さを有する導波管に光を成功裡に結合することが可能である。さらに、格子要素またはプリズム要素は、ダイまたはウェハの表面の任意の所望の位置に置くことができ、ダイまたはウエハのかなりの部分への光学アクセスが容易になる。
【0007】
これらのかなりの利益にかかわらず、格子カプラおよびプリズム・カプラの両方に関連する製造のむずかしさが、その使用を少数の特殊化された応用例に制限してきた。格子カプラの結合効率は、格子ピッチ(グレーティング周期、grating period)、深さ、および傾斜角に比較的敏感である。理論上、格子パラメータの設計目標が満足される場合に、70〜80%程度の結合効率を達成することができるが、実際には、製造公差に対する敏感さに起因して、40%程度の結合効率が、より一般的に観察されている。
【0008】
従来技術では、プリズム・カプラは、大きいバルク光学要素(直径数mm)が、導波管の非常に近くに置かれ、導波管に関して非常に正確に向けられることを必要とした。この文脈で、「非常に近くに」は、光学要素と導波管の間の分離距離が、光学要素から導波管への光のエバネッセント結合(evanescent coupling)を可能にすることを意味する。遠隔通信応用例に使用される赤外波長について、分離距離の典型値は、200〜550nmの範囲に含まれる。導波管に対してプリズムを操作するのに必要なモーション・コントロール(たとえば、圧電マウントを使用する)は、研究室の光学ベンチまたはテスト・セットアップでは達成できるが、そのような方法は、コンパクトな光電子パッケージでは実施することができない。この理由から、プリズム結合応用例は、主に、導波管のテストおよび特性記述に制限されてきた。
【0009】
プリズム・カプラは、従来技術のコンパクトな光電子パッケージに使用されてこなかったので、小さいデバイス構造に収納されたプリズム・カプラと共に使用するのに適する光学アセンブリおよび機械アセンブリは、開発されなかった。たとえば、コンパクトな光電子パッケージ内のプリズム・カプラ・デバイスに光を配送し、これから光を受け取る例示的な光学要素の特定の実施形態は、従来技術で開示されていない。研究室のセッティングでは、光学要素を、一般に、複数の形で操作または「チューニング」して、プリズム・カプラに導入される信号がある形で(たとえば、波長、偏光状態、ビーム位置、入射角などを)変更される時の信号伝送を最適化することができる。パッケージ化された設計について、さまざまな入力に透明なすなわち、信号の入力状態が変更される時にデバイスが正しく機能するためにパラメータの小さいサブセットの限られたチューニング(またはチューニングなし)が必要であるデバイスを設計することが好ましい。したがって、入力ビーム、出力ビーム、入力光学要素、出力光学要素、およびプリズム・カプラに関連する光パラメータの選択は、デバイスの多用途性および製造可能性に直接に影響する。しかし、プリズム・カプラは、従来技術でコンパクトな光電子デバイスにパッケージ化されてこなかったので、多用途で製造可能なデバイスを作る特定の設計は、まだ開発されていない。
【特許文献1】米国仮出願第60/461697号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、当技術分野には、コンパクト、低損失、堅牢な光電子パッケージ内でプリズム・カプラにインターフェースできる光学システムの設計および実装の必要が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来技術に残っている必要は、コンパクトなプリズム結合光電子デバイスに出入りする赤外光信号を作るのに使用できる光学システムの設計に関する本発明によって対処される。
【0012】
具体的に言うと、本発明は、永久的に結合されたコンパクトなプリズム・アセンブリおよび導波管アセンブリに、必要なインターフェースを提供する光学要素の複数の実施形態を詳述する。このインターフェースには、外部ソースから高屈折率プリズム構造に光を発射する自由空間光学要素と、プリズム入力面およびプリズム出力面として働くエッチングされたファセットと同一のシリコン・ウェハまたはシリコン・ダイに形成された光学要素または光学構造と、高屈折率プリズムと導波管の間の直接の物理的界面を形成するエバネッセント結合層と、出力プリズム面から出る出力ビームを受ける自由空間光学要素とが含まれるが、これに制限はされない。
【0013】
上で述べたさまざまな実施形態は、遠隔通信応用に重要な波長帯で薄いシリコン導波管と共に使用するのに特に適する。しかし、本発明のさまざまなインターフェース配置は、他の配置、多分より大きい寸法の導波管および/または他の波長範囲を使用する配置にも有用である。プリズム結合デバイスの新しいコンパクトなパッケージング解決策を提供する発射の光学系および条件の特定の実施形態を説明する。プリズム結合を使用するコンパクトな光電子デバイスのエンドツーエンド挿入損失を最小にする設計を開示し、特定の実施形態について理論結合効率を計算する。有利なことに、所望の出力ビーム・プロファイルおよび減らされた挿入損失につながるエバネッセント結合層の特定の製造可能な実施形態を詳述する。
【0014】
製造要件に関する必要な自由空間ビーム・サイズが減るという利益は、次の説明の過程の間に、添付図面を参照することによって明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の主題をよりよく理解するために、まず図1に示された例示的なプリズム構造10の入力面に配送され、次にプリズム構造を介して薄いシリコン導波管12に結合される入力ビームに関する要件を理解することが重要である。入力ビームがプリズム構造を介してどのように伝搬するかの詳細な概略を、図2によって提供する。ビームは、斜辺(入力ファセット)面14を介してプリズム構造10に入り、入力ファセット面14は、1つまたは複数の層16によって反射防止コーティングされて、低屈折率媒体(空気)から高屈折率媒体(図1の実施形態ではシリコン)への通過に関連する実質的なフレネル損が減らされている。図2を参照すると、入力ビームは、入力ファセット面14法線と入射角θairをなし、その後、プリズムによって屈折される。既知の光学系と互換になるために、プリズム内の角度(θSi)を、導波管に垂直な軸に関してビームがなす角度によって表すことが最も便利である。図2のジオメトリによれば、θSiおよびθairは、
θSi=θpr−sin−1{sinθair/nSi
によって関係し、ここで、nSi=シリコンの屈折率≒1.3〜1.6μm帯の波長について3.5である。
【0016】
屈折によって、プリズム内の、図2に示された軸に沿ったビーム径が、係数2ωPR/2ω={1−(sinθair/nSi1/2/cosθairだけ大きくなる。結合効率のために、プリズムとエバネッセント結合層の界面へのこのビームの投影が、非常に重要なパラメータである。図2に関連するジオメトリから、入力自由空間ビームと、プリズム結合面15への直径2ωを有する自由空間入力ビームの投影の間の関係が、
(2ω)PCS=(2ω){1−(sinθair/nSi1/2/(cosθair*cosθSi
によって与えられることがわかる。
【0017】
図2には、プリズム10の外部および内部の光ビームの伝搬を左右する幾何学的制約が示されているが、図1には、プリズム・カプラがシリコン・ウェハから形成され、導波管12を含む嵌合するシリコン・オン・インシュレータ(SOI、silicon−on−insulator)ウェハ20に永久的に取り付けられた、好ましい配置が示されている。図1からわかるように、導波管層12は、バリヤ酸化物層24によってシリコン基板22から分離されている。別個の精密なプリズム光学要素を使用するのではなく、必要なプリズム面が、パターン形成プロセスおよびエッチング・プロセスの組合せを介してシリコン・ウェハ内で作られる。垂直側壁30および32の必要な部分は、さまざまなエッチング・プロセスによって作ることができ、プリズム斜辺/ファセット面14および18は、異方性湿式エッチング・プロセスを使用することによって最も簡単に作られる。異方性プロセスは、異なる結晶面を異なる速度でエッチングするので、プリズム斜辺面14および18は、ウェハの平面に関して特定の角度で形成される。図1の構成に関して、シリコン・プリズム・ウェハは、<100>結晶方位を有し、その結果、異方性KOHエッチングが、ウェアの平面に関して54.74°の角度でプリズム・ファセットを作る。シリコンの屈折率(n≒3.5)より小さい屈折率を有する材料の層をシリコン・プリズム・ウェハまたは嵌合するSOIウェハの上側導波管面の基礎の上で成長させるか堆積することによって、エバネッセント結合層26が形成される。プリズム・カプラおよび導波管を含むSOIウェハが、好ましくは半導体ボンディング・プロセスを使用して(接着法およびハンダ接合法を使用することもできる)永久的に取り付けられる。結果のプリズム・カプラ/SOIウェハ・アセンブリでは、プリズム・カプラ10の基部(プリズム結合面15)が、SOIウェハ20の導波管面12と直接接触して置かれ、その結果、プリズム/エバネッセント結合層/導波管「サンドイッチ」が形成される。入力および出力のプリズム斜辺面(以下では「プリズム・ファセット」と称する)でのフレネル損を減らすために、材料の1つまたは複数の追加層が、プリズム・ファセットを組み込んだシリコン・プリズム・カプラの表面で成長または堆積される。この層構造または多層構造は、光がプリズム・ファセットをトラバースする際の透過を大きく改善する反射防止(AR)コーティング16として働く。
【0018】
従来技術の周知の理論を使用することによって、シリコン・プリズム構造内のビームの角度θSiを、遠隔通信応用例に重要なシングルモード伝搬および波長帯と互換の導波管厚さの範囲にわたって計算することができる。0.10μm、0.14μm、および0.21μmの導波管厚さに関する1290〜1630nmからのθSiの計算の結果を、図3に示す。この例示的な導波管厚さは、光学機能および高速電子機能の両方をこれらの比較的薄い導波管に組み込むことができるので選択された。ビーム角度θSi(図2で定義)が、重要な波長および導波管厚さにわたって約38°から58°までの範囲にわたることがわかる。プリズムの外部の適当な発射角θairを判定するために、θairとθSiを関係させる、前の結果を使用することができる。前に述べたように、図1に示された実施形態に関して、入力および出力の角度付きファセットを作るのに使用された異方性エッチング・プロセスは、<100>シリコン・ウェハ方位について値θpr=54.74°をもたらす。しかし、図1の実施形態の使用は、θprのこの特定の値に制限されず、他のエッチング・プロセスまたは異なる方法から簡単に作ることができる他のθprを使用することができる。図4に、0.10μm、0.14μm、および0.21μmの導波管厚さに関する1290〜1630nmからのθairの計算の結果を示す。空気中の入射の角度の範囲は、かなり大きく、−15°から90°まで変化する。これは、空気の屈折率(n≒1.0)とシリコンの屈折率(n≒3.5)の間の大きな差に起因する。
【0019】
図5に、θpr=54.74°を有するプリズムの波長および導波管厚さの全範囲にまたがってデバイスを使用するためにアクセスされなければならない、プリズム内の角度(θSi)およびプリズム外の角度(θair)の範囲の絵図を示す。0.10μmの導波管厚さでの1590nmを超える波長を除いて、空気発射条件は、広い範囲の波長および導波管厚さにまたがって物理的に実現することができる。したがって、図1に示された実施形態の重要な利益に、(1)製造可能なプリズム・カプラおよび導波管配置を作るのに一般に使用されている半導体のパターン形成プロセス、エッチング・プロセス、およびボンディング・プロセスを活用することと、(2)広範囲の赤外波長および導波管厚さをカバーする応用例に包括的に有用な構造を含めることとが含まれる。
【0020】
図1に示された配置の有用性は、図1の配置への光信号のインターフェースを単純にする、入力ビームおよび出力ビームの光学特性および空間特性を選択することによってさらに機能強化することができる。入力信号の波長範囲および出力は、しばしば、応用例によって決定されるが、偏光、ビーム形状、ビーム(または波面)品質、および伝搬の向きは、モジュール自体の中で変更することができる。プリズム結合応用例について、本発明によれば、これらのパラメータの正確な制御が、プリズム・カプラから導波管への光の所望の高い結合効率を達成するために必要である。具体的に言うと、次の条件を満足しなければならない。
【0021】
1)入力ビームは、入力ビームの偏光状態および波長、シリコン・デバイスの導波管層12およびエバネッセント結合層26の屈折率および厚さ(以下ではシリコン導波管層の厚さをWによって表す)、ならびにプリズム10および周囲の媒体の屈折率によって決定される入射角で発射されなければならない。入射ビームが、適当な入射角で発射された場合に、プリズム10内および導波管12内の場の伝搬定数が一致し、高い結合効率が可能になる。
2)ビームは、プリズム結合面15でよくコリメートされ、その結果、入力ガウス波のウェストが、プリズム結合面の近くに置かれなければならない。波面の位相が、プリズム結合面15でのビーム投影で大きく変化する場合に、結合効率が下がることがわかっている。
3)入力ビームは、エバネッセント結合層の形および入力光信号のビーム・プロファイルに応じて、特定の位置でプリズム結合面15を捕らえなければならない。ガウス入力ビームおよび一定の厚さのエバネッセント結合層26に関して、結合効率を最大にするために、プリズム結合面でのビーム投影の中心を、図2に示されたプリズムの垂直側壁34から0.735ωPCSの距離に置かなければならないことを示すことができる。ビームのうちで垂直側壁34によって切り捨てられる小さい部分は、最終的に出力ファセット18を介して出る前に、まず垂直側壁34によって、次にプリズム結合面15によって、全反射される。この位置からの±0.2ωPCSの小さい逸脱が、結合効率のわずかな低下(約10%)をもたらすことに留意されたい。この特定の形でのプリズム結合面15への入力ビームの投影の切り捨てによって、プリズム構造から導波管12に転送された光が、プリズム構造に戻るように結合されなくなる。
4)結合効率を最大にするために、エバネッセント層26の厚さは、プリズム結合面15への入力ビームの投影の直径(2ω)PCSに適当なものでなければならない。従来技術から既知のように、結合効率は、入力ビームの投影((2ω)PCS程度)と、主にエバネッセント層の厚さによって決定される結合強度パラメータ(以下では「α」と称する)の間の特定の関係を達成することによって最大にすることができる。これが発生するのは、αおよび(2ω)PCSが、結合効率を決定する重なり積分のクリティカル・パラメータであるからである。
【0022】
コンパクトな光電子パッケージでこれらの条件を満足するために、ビームをコリメートし、成形し、向けなおす適当な微細要素ならびに偏光および位相制御用の追加光学系が、図1に示されたものなどの構造への結合効率の鍵である。図1のプリズム・ファセットの通常の寸法が、0.5〜1.0mm程度なので、光学要素の開口(アパーチャ)を類似するサイズにして、全体的なモジュールのコンパクトさを保たなければならない。光ビームの最大サイズを、光学要素の寸法よりわずかに小さくして、ビームのアパーチャリング(aperturing)からの伝送損失を避けなければならない。下で述べるように、プリズム結合応用例に固有の他の製造考慮事項が、最大ビーム・サイズに対するより厳格な制限を課す。効率的なプリズム結合のために、最適ビーム・サイズ(上で述べたように、エバネッセント結合層の特性に関係する)と、ビームがプリズム構造をトラバースし、プリズム結合面と交差する時にビームがコリメートされたままになるようにする最小ビーム・サイズもある。
【0023】
適切な最大ビーム・サイズが選択された場合に、図1に示されたものなどのデバイスの製造に関連する公差に、より簡単に対処することができる。具体的に言うと、入力ビームIの発射角およびエバネッセント結合層26の厚さに対する公差に関する大きい利益を実現することができる。
【0024】
従来技術から既知の通り、一定の厚さのエバネッセント結合層に関して、80%の最適結合効率を、αωPCS=0.68の時に得ることができる。長さの逆数の単位を有するαは、結合強度を表すパラメータであり、プリズム構造の出力ファセットからの出力ビームのプロファイルに比例定数として現れ、このプロファイルは、g(z)∝exp(−αz)の形を有する。パラメータαは、主に、エバネッセント結合層厚さ、エバネッセント結合層の伝搬定数、および導波管の2つの境界での反射に起因する位相シフトによって決定される。
【0025】
積αωPCSに、結合を最適化するために0.68がセットされた場合に、ωPCSの値が減った時に、αが増えなければならず、これは、より強い結合またはより薄いエバネッセント結合層に対応する。増えた結合強度は、より広い共振をもたらし、より広い共振は、より広い範囲の波長または同等に入力角度を導波管に結合することを可能にする。実際に、β空間(βは伝搬定数を表す)での共振のLorentzianプロファイルの半値全幅(FWHM)は、次の関係に従ってαに直接に比例する。
FWHM(β)=FWHM(nSisinθSi)=αλ/π
分子と分母に2ωPCSをかけ、関係
θSi=θpr−sin−1{sinθair/nSi
を使用することによって、入力角度θairの関数としての半値全幅が、
FWHM(θair)=(2λ/π)*((αωPCS)/2ωPCS)*F(θair,θpr
であることを示すことができ、ここで、
F(θair,θpr)={1−(sinθair/nSi1/2/[cos(θair)*cos{θpr−sin−1(sinθair/nSi)}]
である。図1に示されたものなどの特定のデバイス構成について、θprおよびW(導波管厚さ)は、それぞれ固定量(θprおよびWである。さらに、特定の波長λが選択された場合に、θairの中央値に、特定の値(θairがセットされる(図4に示されているように)。この場合に、θair(プリズム構造への外部発射角)の小さい変動に関する半値全幅強度は、
FWHM(θair)=(2λ/π)*((αωPCS)/2ωPCS)*F((θair,(θpr
によって与えられる。これは、入力角度の範囲にまたがる強度分布が、結合効率を決定するパラメータαωPCSに伴って線形に増加し、プリズム結合面15でのビーム径の投影の逆数に伴って増加することを示している。結合効率αωPCSの所与の値について、入力角度のある範囲にまたがる強度分布は、プリズム結合面15での入力ビーム径の投影を減らすことによって増やすことができる。また、結合定数αωPCSの値をわずかに増やすことによって、入力角度の範囲にまたがる強度分布を、結合効率のわずかな低下だけで増やすことができる。製造の観点からは、結合定数αωPCSおよびビーム投影ωPCSの両方に適当な値を選択し、その結果、最終的なデバイスが、デバイスの寿命の間に発生し得るθairの小さい変化に対してより堅牢になるようにすることが重要である。下の例で、高い結合効率と互換の、ビーム・サイズおよび入力角度の変動の範囲を示す。
【0026】
図6に、4つの自由空間入力ビーム径(2ω)値の関数としての、3つの異なる結合定数(αωPCS)値に関するFWHM(θair)を示す。選択された4つのビーム・サイズは、(1)63μm:レンズド・ファイバ・アセンブリの標準出力ビーム・サイズ、(2)100μm:レーザ・パッケージに一体化されたマイクロレンズを有する垂直共振器面発光レーザ(VCSEL、vertical−cavity surface−emitting laser)の通常のビーム・サイズ、(3)200μm:標準光ファイバ・コリメータ(GRINレンズまたは非球面レンズに位置合せされたファイバ/フェルール・アセンブリ)で使用可能な最小ビーム・サイズ、および(4)360μm:標準光ファイバ・コリメータ(GRINレンズまたは非球面レンズに位置合せされたファイバ/フェルール・アセンブリ)の最も一般的に使用されているビーム・サイズに対応する。入力発射角の変動に関して結合効率および半値全幅を計算するために、プリズム結合面でのビームの投影2ωPCSを、上で述べた式を使用して、自由空間ビーム径2ωから計算する。次に、αωPCSの値を調整することによる結合効率の変更の影響を考慮する。エバネッセント結合層が、所与のビーム・サイズの最適値より厚い場合に、システムは、結合不足になり、これは、αωPCSが、0.68の最適値未満であることを意味する。αωPCS=0.37の値について、それでも、72%結合強度を、図1の実施形態について達成することができる。入力角度の公差に関して、これは望ましくない状態である。というのは、共振がより鋭く、θairの変動に対する公差が、最適結合に関連するものより小さいからである。1550nmで動作する図1のデバイスについて、結合不足領域での72%の結合効率は、約40nm厚すぎるエバネッセント結合層に対応する(図7参照)。この結合値の実現可能なすべての構成について、FWHM(θair)が、一般に0.35°を超えないことがわかる。最適結合αωPCS=0.68で、FWHM(θair)が、2ω<100μmについて0.4°〜0.6°に増えるが、より大きいビーム径については約0.1°〜0.2°のままである。次に、エバネッセント結合層が、約40nm薄過ぎ、その結果、72%の結合効率とαωPCS=1.25を有する過結合事例が達成された場合を考慮する。図6から、角度公差が、2ω<100μmについて0.7°〜1.1°まで大幅に改善されたが、より大きいビーム径については約0.2°〜0.35°に達することがわかる。したがって、自由空間光学系を位置合せした後に、適度に過結合のデバイスで小さいビーム径を使用することによって、デバイス動作中に(温度変動に起因して)またはデバイス加齢から発生する可能性がある小さい変化に非常に鈍感なデバイスを作ることができる。
【0027】
比較的小さいビーム径の使用から生じる追加の利益は、光ビームとエバネッセント結合層の相互作用の限られた物理的範囲から生じる。エバネッセント結合層の厚さは、高い結合効率を達成するために非常に注意深く制御されなければならない。層厚さの変動は、αの変動に直接に変換され、αωPCSの値が0.68の最適値からずれる。例として、図7に、導波管12の3つの異なる厚さに関する、二酸化珪素エバネッセント結合層26の厚さの関数としての図1に詳細に示された好ましい実施形態の結合効率を示す。エバネッセント結合層厚さは、1550nmの応用例波長および63μmの入力自由空間ビーム径について査定されたものである。このグラフに示されたデバイス層厚さの範囲は、技術的現状のsilicon−on−insulatorプロセスについて期待される層厚さの実際の広がりを表す。目標デバイス層厚さは、好ましい実施形態で示されたように、0.14μmである。このグラフから、エバネッセント結合層厚さは、結合効率が10%低下するのを避ける(導波管層12の厚さの公差±0.01μmを考慮に入れた場合に)ために、目標値の±20nm以内、この例では約320nmに含まれなければならないことがわかる。それでも、高い結合効率を保証するために、±20nm公差を、プリズム結合面でのビーム投影の物理的範囲全体にわたって維持しなければならない。この要件は、(1)エバネッセント結合層を構成する媒体が、図7の結合効率曲線が適当な幅を有するように選択され、(2)プリズム・カプラをSOIウェハの導波管表面に取り付けるプロセスが、ビーム投影の物理的範囲にわたって厚さ公差を維持することを可能にし、(3)プリズム結合面でのビーム投影の物理的範囲が、比較的小さい場合に、より簡単にすることができる。
【0028】
図8に、エバネッセント結合層の3つの異なる屈折率値に関する、エバネッセント層結合厚さの関数と結合効率を表示する、図7に似た分析を示す。この3つの値は、3つの例示的な媒体すなわち、空気(n≒1.0)、二酸化珪素(n≒1.45)、および窒化珪素(n≒2.0)を表す。結合効率曲線の基本的な形は、3つのすべての事例で同一であるが、最適エバネッセント結合層厚さが変化し、結合効率曲線の幅が、エバネッセント層の屈折率の増加に伴ってわずかに広がることは明白である。図8を参照すると、n=2.0で、エバネッセント結合層厚さは、結合効率が10%減るのを避ける(シリコン導波管層(図1の導波管層ラベルを用いる)の厚さの公差±0.01μmを考慮に入れた場合に)ために、目標値の±25nm以内、この例では約385nmでなければならない。この理由から、より高い屈折率を有するエバネッセント結合層の使用から、小さい利益を得ることができる。正しいエバネッセント結合層厚さが得られた場合に、3つのすべての媒体(空気、二酸化珪素、窒化珪素)が、この実施形態の文脈でよく動作することに留意することが興味深い。示された結合曲線幅(二酸化珪素で±20nm、窒化珪素で±25nm)は、エバネッセント結合層厚さの±6〜7%公差に対応し、これは、現在の技術的現状の製造方法と互換の値である。
【0029】
図1に示されたデバイス構成について、結合表面での入力ビームの投影の最大寸法(2ωPCS)は、63μmの自由空間入力ビーム径(2ω)が入力プリズム・ファセットに配送される(1550nmの波長、0.14μmの導波管厚さ、厚さ約320nmの二酸化珪素エバネッセント結合層について)場合に、約110μmである。さらに、図7には、エバネッセント結合層の厚さを±20nmだけ変更し、なおかつ同一のデバイス構成の70%を超える結合効率を維持できることが示されている。デバイス製造中に、プリズム結合面は、一般に、導波管の平面と完全に平行ではない。平行からの小さい逸脱は、プリズム結合面に沿ってわずかに大きさが変動する厚さを有するエバネッセント結合層をもたらす。図9に、図1に示されたものなどの実施形態に関して、入力ビーム・サイズのある範囲を用いてサポートでき、なおかつ「一定の」厚さのエバネッセント結合層のモデルとの一貫性を有する、平行からの逸脱を示す。図7に示されているように、エバネッセント結合層が、本質的に一定の厚さの結合領域として実行するためには、光結合領域に存在する、±20nmまたは合計40nmの最大厚さ変動をサポートすることができる。したがって、プリズム結合面での入力ビームの投影が110μmである場合に、最大許容くさびは、約0.04μm/110μm=4×10−4ラジアンまたは0.02°である。その代わりに、窒化珪素エバネッセント結合層が使用される場合には、類似する計算から、平坦からの最大許容逸脱を、62μm径を有する自由空間ビームについて0.026°に適度に増やせることが示される。より大きいビーム・サイズが使用される場合に、エバネッセント結合層の最適厚さのサイズが増えるが、高い結合効率を許容する厚さの変動は、本質的に同一で、約±20nmのままになる。360μmの自由空間ビーム・サイズ(2ω)について、プリズム結合面でのビームの対応する投影は、図1のデバイス構成で約610μmである。類似する計算から、許容されるくさび角度(wedge angle)が、0.04μm/610μm=6.6×10−5ラジアンまたは0.004°まで減ることが示される。くさび角度公差の改善のほとんどは、より小さいビーム・サイズについてより小さい距離にわたってクリティカル・ギャップ間隔を維持する必要があるという事実に起因する。上で述べたすべての許容されるくさび角度が、非常に小さく、プリズム結合面でのビームの投影と逆に減少するので、図1に示されたものなど、光を効率的に結合できるデバイスの製造は、有利なことに、相対的に小さいビーム・サイズを使用する設計によって質を高められる。
【0030】
図1に示されたデバイス構成の変形形態では、入力および出力の光結合領域に沿ったエバネッセント結合層の厚さの小さい変動が、80%を超えて結合効率を改善するために望ましい可能性がある。従来技術から、ビームが出力プリズムを介して導波管から初めて分離される光結合領域での最適より厚い厚さと、導波管の最後の残りの光強度が出力プリズムを介して分離される光結合領域での最適より薄い厚さとを有するエバネッセント結合領域の段階的な厚さが、性質において実質的にガウス的な出力自由空間ビーム・プロファイルをもたらすことが知られている。これは、出力ビーム・プロファイルが対数的である一定の厚さのエバネッセント結合層の場合と対照的である。テーパー付きエバネッセント結合層に関連するガウス入力ビームと実質的にガウス的な出力ビームの間の改善されたモード一致は、理論的結合効率を80%から約97%まで改善する。詳細な数学的議論なしで、図10のテーパーに関連する適当なくさび角度を計算する基本情報は、図7から入手可能である。前に述べたように、結合強度に関係し、出力ビーム・プロファイルの関数形に現れるパラメータαは、主に、エバネッセント結合層厚さによって決定される。導波管の伝搬の方向(z)に沿って変化する層厚さを有するテーパー付きエバネッセント結合層について、所与のz値での結合強度は、αのローカル値α(z)に直接に関係する。エバネッセント結合層の厚さは、プリズム結合面での入力ビームの投影とほぼ等しい距離スケールで、弱い結合(小さいα(z))から強い結合(大きいα(z))まで変化しなければならない。高い結合効率を得るためには、適当な平均厚さ値(一定のエバネッセント結合層の最適結合に適するαの最適値に近いα値を作る)と、zに伴う厚さの適当な線形変動または「くさび角度」の両方を指定する必要がある。図7の例に関して、W=0.14μmで、結合効率が、250nmおよび450nmのエバネッセント結合層厚さで最大値の約37%(または1/e)まで低下することがわかる。これは、結合面でのビームの投影にまたがる200nmの総変動に対応する。図1の実施形態および図7で指定された構成について、結合面での入力ビーム投影に関連する電場の振幅は、110μmの総投影ビーム長について、ピーク値から±55μm(±ωPCS)でその最大値の約37%まで低下する。一般的な理論および従来技術から既知の特定の重なり積分から、この一致が、出力ビームと入力ビームの高い度合の重なりにつながると推論することができる。線形に変化するギャップの最適傾斜は、200nm/110μm=1.8×10−3rad=0.1°によって与えられる。この条件が、63μmという比較的小さいが達成可能な自由空間ビーム径に適用されることに留意されたい。窒化珪素エバネッセント結合層が、二酸化珪素の代わりに使用される(図8、ただしn≒2.0)場合に、最適傾斜は、63μm直径を有する自由空間ビームについて0.13°に適度に増える。
【0031】
図10に、図9に示された計算に使用されたビーム・サイズに関して上と正確に同一の計算を実行する、自由空間ビーム・サイズの関数としての最適くさび角度を示す。最適くさびが、360μmの自由空間ビーム・サイズの0.02°から63μmビーム径の0.10°まで、6〜7倍だけ増えることに留意されたい。やはり、公差の改善のほとんどは、より小さいビーム・サイズについてより小さい距離にわたってクリティカル厚さ変動を維持する必要があるという事実に起因する。
【0032】
一定の厚さと段階的厚さの両方のエバネッセント結合層の所望のくさび角度は比較的小さいので、くさび角度の値を増やすと、最終的なデバイスの製造可能性が大きく高まる。図9および図10から、所望のくさび角度に関する公差の改善は、自由空間ビーム径が200μm未満に減る時に実現され始めることがわかる。自由空間ビーム・サイズが100μm未満に減る時に、より多くの利益が実現される。
【0033】
前の議論から、ビーム・サイズを減らすと、複数の理由からデバイスの製造可能性が大きく改善されることが示されたが、プリズム・カプラ(ならびにすべての先行する入力光学系)のサイズおよび設計は、その設計と互換性のある最小ビーム・サイズに制約を課す。小さい径のビームは、比較的小さい伝搬距離で素早く発散する。この距離について一般的に使用される性能指数は、Rayleigh範囲と称し(本明細書ではzと表す)、関係z=πnω/λによって定義され、ここで、nは、ビームが伝搬する媒体の屈折率であり、他の記号は、上で定義した通りである。物理的には、Rayleighは、ビームがコリメートされたままになる距離におおむね対応する。プリズム構造が外部ソースから導波管に光を転送するのに使用される場合に高い結合効率を得るために、ビームのウェストを、プリズム結合面での入力ビームの投影の近くに置かなければならない。ビームは、プリズム結合面を捕らえる前に、シリコン・プリズム・カプラを介し、しばしば空気および他の入力光学系を介して、ある距離を伝搬しなければならない。ビーム・サイズが小さすぎる場合に、空気、入力光学系、およびシリコンを介して許容される経路長が、実用的に実現可能になるには短すぎる。図1などのデバイス構成の文脈で具体的に述べる例示的な計算を、これから続ける。
【0034】
図1に示されたプリズム構造が、0.45mm(V溝の最深部から水平に、エッチング・プロセスによって作成された角の縁まで測定)の基本寸法を有し、1550nmの光が、シリコン・プリズム・カプラ内で45.5°のθSi値で発射される場合に、このビームは、入力プリズム・ファセットからプリズム構造の角およびプリズム結合面まで約400μmの経路長をトラバースしなければならない。空気中のビームの経路長ならびに光ビームの前処理に使用される光学要素の厚さを含む、プリズム・ファセットの前の発射距離も、ビーム・ウェスト位置の計算に含められなければならない。要素の必要な個数に応じて、入力ファセットの前のビーム経路長は、約1mm(デバイス位置合わせに適度な製造公差)から数mmの範囲におよぶ可能性がある。空気の屈折率(および、一般に入力光学系の屈折率)は、シリコンの屈折率よりかなり小さいので、また、プリズム・ファセットの前の経路長が、しばしばシリコン・プリズム構造内の経路長を超えるという事実のゆえに、Rayleigh範囲計算は、入力プリズム・ファセットの前の発射によって支配される。上で与えたzの関係を使用して、20μmのビーム径について、Rayleigh範囲が、空気中で0.2mm、シリコン内で0.7mmであることを示すことができる。63μmのより大きいビーム径について、Rayleigh範囲は、空気中で約2.1mm、シリコン内で7.3mmである。100μmのビーム径について、Rayleigh範囲は、空気中で約5.1mm、シリコン内で17.6mmである。空気中で1mmから数mm程度の移動距離を達成するためには、計算から、60〜100μm程度のビーム・サイズを使用することが実現可能であることが示される。
【0035】
偏光ビーム・スプリッタ、波長板(waveplate)、およびマイクロくさびまたはマイクロプリズムなどの例示的なマイクロ光構成要素は、0.5mm以下の厚さで入手可能なので、複数の要素を使用して、コリメーティング・レンズの後に光ビームを成形し、ステアリングし、偏光状態を調整することができる。したがって、60〜100μmのビーム・サイズは、小さいビーム、微細化されたパッケージ、およびマイクロ光学要素の入力トレーンを求める要求との互換性がある。60〜100μm程度の入力ビーム径の設計範囲を選択して、パッケージングおよび前に述べた他のアセンブリ態様を単純にすることが望ましい。
【0036】
入力ビーム・サイズに関する最後の考慮事項は、プリズム・カプラ、エバネッセント結合層、および導波管が課すビーム・サイズに対する下限である。この3つの構成要素おすべての特性が、プリズム内のビームの角度θSiを決定し、したがって、プリズム結合面でのビームの投影2ωPCS=2ωPR/cosθSi(図2参照)に直接に影響する。さらに、プリズム・カプラの材料およびジオメトリが、ビームが入力プリズム・ファセットでどのように屈折するかを、関係2ωPR=2ω{1−(sinθair/nSi/}1/2/cosθairに従って決定する。一般に、角度付きの面での屈折および結合面での投影に起因して、2ωPCS>2ωである(量2ωは、自由空間内のビーム径を定義する)ことに留意されたい。通常、プリズム結合面でのビームの投影2ωPCSは、1から3までの範囲の倍率だけ、自由空間ビーム径2ωを超える。
【0037】
図11に、遠隔通信波長の全範囲にわたる、図1のさまざまなデバイス層厚さのこれらの効果に起因するプリズム結合面でのビームの拡大を示す。重要なほとんどの場合について、ビームが、移動の軸に沿って1.6〜2.0倍だけ延ばされることがわかる。2ωPCS/2ωのより大きい値およびより急激な増加(θpr=54.74°のW=0.10μmなど)は、角度付きのプリズム・ファセットに入射する非常に斜めの角度での屈折の効果の増大に対応する。同一の理由から、これらの構成は、パッケージングの観点からより望ましくない。したがって、実用的な目的から、プリズム結合面でのビーム寸法が、自由空間値から1.4〜2.4倍だけ増やされると仮定する。また、導波管厚さおよびプリズム角度の特定の値(W=0.17μmおよびθpr=54.74°など)を選択することによって、結合面での入力ビームの投影2ωPCSを、実質的に波長と独立にすることができることに留意されたい。この形で、範囲内のすべての波長について適当な小さいビーム・サイズを達成することができ、これによって、デバイスの設計が単純になる。これによって、所与のプリズム・ウェハ/エバネッセント結合層/導波管構成を、任意のデバイス構成より広い波長範囲で高い結合効率で使用できるようになる。
【0038】
本発明に従って、ビーム特性の所望の組を達成するために、さまざまな異なる構成要素を設計し、組み立てて、光信号を生成し、透過させ、変更することができることを理解されたい。次の説明に、図1に示されたものに類似するデバイスへの有利なインターフェースを提供するのに使用できる、光源および光学要素のトレーンの複数の例示的構成が含まれる。
【0039】
さらに、いくつかの応用例について、プリズム・カプラ、エバネッセント結合層、および導波管の特性を選択して、外部ソースまたは受け取る要素へのインターフェースを単純にすることができる。具体的に言うと、入力光信号の透過および変更に使用される要素のいくつかを、プリズム・カプラ・ウェハまたはダイ自体の中に形成することができ、別々の構成要素の数が減り、組立プロセスが単純になる。エバネッセント結合層および導波管の適当な材料、厚さ、およびジオメトリを選択することによって、望ましい発射ジオメトリおよびビーム・プロファイルを達成することができ、やはり組立プロセスが単純になる。
【0040】
レーザ・ダイオードは、遠隔通信波長(1.1−1.65μm)用に設計された光電子デバイスで一般的に使用されている例示的な光源である。多くの赤外線レーザ・ダイオードに、通常、ガリウム・ヒ素ベースまたはインジウム・リンベースの材料の多層構造が含まれ、光は、レーザ・チップの劈開された縁ファセットから発する(当技術分野で端面発光(edge−emitting)レーザ・ダイオードと称する)。レーザ・ダイオードは、このチップの形で直接に使用することができ、あるいは、従来技術でしっかりと確立された多くのパッケージング技法で行われているように、レーザ・チップを、一連の光学要素を介して出力ファイバにインターフェースすることができる。レーザ・ダイオードの第2の例示的なクラスを、当技術分野では、面発光レーザまたはVCSELと称する。赤外線VCSELには、光が層スタックに垂直に、デバイスの最上面を介して発する、複数層構造が含まれる(ガリウム・ヒ素、インジウム・リン、またはインジウム・ガリウム・ヒ素窒化物ベースの材料を使用する)。
【0041】
いくつかの応用例について、レーザ・チップからプリズム構造へ、自由空間光学系だけを使用して透過することが望ましい。レーザに直接結合することによって、非常にコンパクトなパッケージングが可能になり、高い度合の偏光制御がもたらされる。しかし、レーザの発光ファセットの小さい寸法および比較的長い赤外波長に起因して、出力ビームが、強く発散性になる可能性がある。1300〜1600nm範囲で動作する端面発光レーザ・ダイオードは、通常、32°〜50°程度の接合に垂直なFWHMビーム発散と、10°〜25°程度の接続に接合なFWHMビーム発散を有する。
【0042】
ビーム発散が大きく、異方性なので、よい波面品質を有する有効な自由空間ビーム・コリメーションを提供するには、少なくとも2つのレンズが必要である。1タイプのレンズ・アセンブリでは、交差する円筒形レンズの対を使用して、非点収差を訂正し、遅軸(slow axis)および速軸(fast axis)の両方に沿ったコリメーションを作る。非常に発散性の軸または「速」軸の有効なコリメーションを提供するために、第1の円筒形レンズは、一般に、段階的な屈折率を有する材料から形成される(当技術分野で「GRIN」レンズと称する)。より発散性でない軸または「遅」軸をコリメートする第2の円筒形レンズは、レンズ形状だけでコリメーションを提供するのに十分なので、さまざまな光学的に透明の材料から形成することができる。マイクロGRIN棒レンズが続く通常のレーザ・ダイオードから出る出力ビーム径は、40μmから数mmの範囲に収まるように選択することができる。第2の構成では、第1レンズを使用して、接合に平行な発散角度の値と等しくなるまで、接合に垂直な発散角度を減らし、ビームを円形にし、非点収差を訂正する。このレンズ・タイプを、時々、「レーザ・ダイオード・コレクタ(laser diode corrector)」または「サーキュラライザ(circularizer)」と称する。第2のレンズは、平凸レンズまたは非球面レンズなど、さまざまな光学的に透明の材料から形成された普通のコリメーティング・マイクロレンズとすることができる(ビーム発散を0まで減らすための)。第2の構成の利益は、2つではなく1つの特殊化されたレンズだけが必要であることである。「コレクタ」レンズが続く通常のレーザ・ダイオードから発する出力ビーム径は、100μmから1mmの範囲に収まるように選択することができる。
【0043】
VCSELは、2°(レンズド・アセンブリの場合)から18°の範囲の発散角度など、適度に発散性のビームを有する円形ビームを発する。使用されるレンズは、平凸レンズまたは非球面レンズなど、さまざまな光学的に透明の材料から形成された普通のコリメーティング・マイクロレンズとすることができる(ビーム発散を0まで減らすための)。小さいビーム径を有するコリメートされたビームを作るために、一体マイクロレンズを、VCSEL構造自体の一部として組み込むことができる。約3μmの直径を有するVCSELアクティブ区域について、100〜200μmのコリメートされたビームを、この形で作ることができる。中赤外波長VCSEL(1270〜1650nm)が、使用可能になり始めたばかりであるが、これらの使用は、構成要素の数を減らし、光電子パッケージの複雑さを下げるのに潜在的に有利である。
【0044】
他の応用例では、ある長さのファイバが、レーザ・ソースからプリズム・カプラへ光を配送する導管として働くことができる。レーザ・ソースが、ファイバ出力と別々のエンクロージャに収納される場合に、プリズムを結合された導波管デバイスに、レーザ・ソースのファイバ出力に直接に嵌合できる入力ファイバ・アセンブリを設けなければならない(複数の光デバイスが、レーザ・ソースとプリズムを結合された導波管デバイスの間に置かれる場合には、プリズムを結合された導波管デバイスの入力ファイバ・アセンブリが、チェーンの終りのファイバ出力に嵌合されると理解されたい)。レーザ・ソースが、プリズムを結合された導波管デバイスと同一のパッケージに組み込まれる場合に、それでも、一部の応用例で、レーザ・チップとプリズム・カプラの間に介在するファイバを使用することが有益である可能性がある。たとえば、広い範囲のコリメートされたビーム・サイズおよびプロファイルを、特別に終端されたファイバを用いて実現することができる。プリズム・カプラに最も近いファイバ端で使用される特別な終端は、しばしば、ファイバ端を成形することまたはファイバの端に直接に微細レンズを融着することからなる。ファイバ端またはレンズのサイズと曲率半径または非球面プロファイルとを変更することによって、ユーザ指定の作動距離での最小スポット・サイズのコリメートされたビーム(「ビーム・ウェスト」とも称する)を作ることができる。技術的現状のテクノロジを使用すると、約15μmから100μmまでの範囲にわたるビーム・ウェスト径を有するファイバ・コリメータを、この形で簡単に製造することができる。レーザ・ソースは、従来技術で明確に文書化されているレンズ・アセンブリを使用して、ファイバ長の他端にインターフェースすることができる。したがって、図13、14、および15の構成について、60μmのビーム径を、ファイバ入力およびレーザ入力の両方のための融着レンズ/ファイバ・アセンブリの出力から簡単に作ることができる。
【0045】
レンズ・アセンブリは、必要なビーム・コリメーションを提供するが、まだ、ビームが、プリズムに入る前に所望の偏光状態を有することを保証する必要がある。TE(transverse electric)偏光状態およびTM(transverse magnetic)偏光状態の両方を、導波管に高い効率で結合することができるが、θSiの特定の値では、1つの偏光状態しか高い高率で結合することはできない。端面発光レーザ・ダイオードは、安定した既知の偏光状態を有するビームを発するので、マイクロ波長板を使用して、偏光を所望の状態に回転することができる。いくつかの応用例について、端面発光レーザ・ダイオードから発するものと一致するように所望の偏光状態を選択することによって、波長板を完全に省略することが可能である場合がある。入力が、偏光を維持するファイバを介して透過する場合に、そのファイバを、組立の時に回転して、所望の偏光状態が得られることを保証することができ、やはり、追加の偏光光学系の必要がなくなる。
【0046】
しかし、VCSELの偏光状態は、それほど明確にはわからない。具体的に言うと、偏光状態が、経時的に安定しているが未知の方向である場合があり、その代わりに、偏光状態が、経時的にまたはレーザ駆動電流に伴って変化する場合がある。同様に、偏光を維持しない入力ファイバが使用される場合に、光の偏光状態は、未知であり、経時的にドリフトする。図12に示されているように、従来技術の光サーキュレータに使用された構成要素を本発明で使用して、正しい偏光状態を作ることができる。入力ビームは、単一の入力ビームを2つの偏光ビーム(一方は所望の偏光を有し、他方は所望の偏光に直交)に分離する複屈折要素50に配送される。屈折率は、2つの偏光状態に関して異なるので、2つのビームは、まず、デバイス50内で異なる方向に伝搬する。所望の偏光状態を有するビームは、その偏光状態に影響しない媒体を介して伝搬し続ける。しかし、所望の偏光状態に直交するビームは、第2の複屈折要素すなわちビーム・ステアリング要素52を通過し、このビーム・ステアリング要素52は、その偏光を所望の偏光状態へ90°回転する。最終的な出力は、互いにわずかにオフセットし、両方が所望の偏光状態を有する2つの別々のビームである。ほとんどの応用例で、2つの要素50および52は、物理的に互いに接着され、位置合わせおよび製造が簡単な1つの光学サブアセンブリが作られる。天然複屈折材料(YvO、水晶、ルチル、またはニオブ酸リチウム)または人造複屈折材料(サブ波長回折光学系など)のいずれかを使用することができる。偏光アセンブリが、両方のビームが実質的に同一の入射角でプリズム・ファセット14に突き当たる向きになっている場合に、両方のビームを、高い効率で導波管層12に結合することができる。一部の応用例について、導波管層12に入った後にビームを再組合せすることが望ましい。この再組合せは、SOI導波管層12自体の中の適当な案内構造によって最も簡単に達成される。
【0047】
入力ビームがコリメートされ、偏光の所望の状態が作られたならば、所望の波長の光が導波管に効率的に結合されなければならない場合に、光信号を、プリズム・ファセットに適当な入射角θairで発射しなければならない。図1のものなどの実施形態について、ビームを、プリズム構造に直接に角度θairで発射することができ、あるいはその代わりに、小さい光学要素を使用して、入ってくるビームをプリズム構造への入射角θairに向けなおすことができる。パッケージングの理由から、端面発光ダイオード・ソース、ファイバ入力、または垂直共振器面発光レーザ(VCSEL、vertical−cavity surface−emitting laser)について、光をウェハに平行に発射させることがしばしば便利である(直接発射の場合にθair=−35.3°)。VCSELなどの外部ソースについて、導波管に垂直に発射する(直接発射の場合にθair=54.74°)ことも望ましい。図4から、所与の波長に適当な導波管厚さを選択することによって、適当な発射条件を選択できることがわかる。しかし、いくつかの設計について、特定の発射角に必要な導波管厚さが、競合するデバイス要件と非互換である場合がある。これらの理由から、あるビームステアリング光学系をソースの近くにパッケージングさせることが望ましい。角度選択のほかに、ビームステアリング光学系を他の位置合わせ技法(プリズムに対するソースの位置決めなど)と共に使用して、ビームがプリズムに対して正しく位置決めされる(並進的に)ことを保証することができる。
【0048】
端面発光ダイオードまたは光ファイバからプリズム・ファセットにビームをステアリングする例示的方法を、図13および図5に詳細に示す。図14および15で、端面発光レーザ・ダイオードまたは光ファイバからのコリメートされた自由空間ビームが、マイクロ光プリズムまたはくさびに向けられる。ビーム偏向の大きさは、マイクロ光学系の屈折率およびくさび角度に伴って増える。類似するマイクロ光学系を出力側で使用して、出力ビームを、受け取るファイバに向けることができる。その代わりに、直線位相グレーティング(linear phase grating)などの回折光学要素を、ビームステアリング要素として使用することができる。回折光学要素は、適当に設計された格子の光学分散を大きくすることができ、大きい角度(60°まで)の偏向が可能にあるので、ビームステアリング応用例に有利になる可能性がある。第2の利益は、より複雑な回折光学要素が、複数の光学機能を同時に実行することができ、より少数の構成要素を用いて改善された性能が提供されることである。例として、ビームステアリング要素として働くことに加えて、回折光学要素を使用して、波面訂正を提供することができ、ビーム品質が改善される。
【0049】
図13では、微小電気機械システム(MES)処理を介して製造されたマイクロミラー54を使用して、ビームを所望の入射角θairに反射する。図13に示された例では、シリコン微細加工によって製造されたマイクロヒンジ56が、ミラーを正しい位置および角度にラッチする。このテクノロジの使用の利益は、マイクロミラー54の位置および角度が、作動され、調整可能であり、θairと、エッチングされた角に対するビームの位置との両方をチューニングして、導波管に透過する光を最大にすることが可能になることである。前と同様に、同一の構造を出力側で使用して、出力ビームを、受け取るファイバに向けることができる。
【0050】
図14〜19に、プリズムを結合された導波管デバイスに高い結合効率でインターフェースできる、特定の入力光学構成および出力光学構成を示す。特定の光学要素(たとえば、図15のレンズド・ファイバ60)が、1つの実施形態だけに示されている場合があるが、所与の構成要素を、さまざまな異なる実施形態で有利に使用できることを理解されたい。したがって、図14〜19に示された実施形態は、性質において例示的であることを意図されており、可能な構成の網羅的な組を提供するものではない。
【0051】
図14および15に、プリズム結合された導波管デバイスにインターフェースされた、2つの普通のファイバピッグテール(fiber−pigtailed)光電子パッケージ構成を示す。プリズム構造およびSOIデバイス・ウェハが、接合されて1つのアセンブリを形成しているが、入力光学トレーンおよび出力光学トレーンのパッケージング構造が、別々のアセンブリを構成することができる。この例では、光学要素が、別々の担体の上のマウントに置かれ、位置合せされ、この担体は、プリズム/SOIデバイス導波管アセンブリに嵌合され、位置合せされる。その代わりに、プリズム構成がシリコン・ウェハ内に形成される場合に、追加のマスク・プロセスおよびエッチング・プロセスを使用して、嵌合面と反対のシリコン・ウェハの表面に、自由空間要素を取り付けるための溝を画定することができる。どちらの場合でも、光学要素の外側寸法とほぼ等しい寸法を有するチャネルまたは溝(あるいは、要素が含まれる場合にハウジング)が、基板材料内に形成される。その後、自由空間要素が、チャネル内の指定された位置に位置決めされ、位置合せされ、固定される。図14および15の両方で、光信号は、光ファイバを用いてパッケージに導入され、パッケージから抽出される(当技術分野で、「ファイバピッグテール」と称する)。
【0052】
図14では、2つの別々のデバイスが、ファイバピッグテール光電子パッケージ内の特色であり、入力ファイバ接続がパッケージの片側にあり、出力ファイバ接続が反対側に位置する。図14に示された実施形態では、偏光を維持するファイバ70が使用され、その結果、正しい偏光状態が、追加の偏光光学系なしで実現されている。マイクロ光学レンズ72(微細非球面、微細GRINレンズ、または微細球レンズ)が、ファイバから発散するビームをコリメートするのに使用され、コリメートされたビームは、その後、ビームステアリング要素74に向けられ、このビームステアリング要素74は、プリズム78の入力ファセット76での正しい入射角θairにビームを偏向する。ビームステアリング要素74が、さらに、図14に示された回転自由度を有する別々のサブマウント上に位置決めされている場合に、入射角を、組立の時に調整または「チューニング」し、その後、デバイスの寿命の間に固定することができる。デバイスの出力側では、出力ビームが、逆の順序の光学要素の同一のシーケンスをトラバースする。デバイスの出力側に偏光を維持するファイバを有することは、厳密に必要ではないが、偏光を維持するファイバを使用することによって、図14の構造を両方向システムとして使用できるようになる。
【0053】
図14の実施形態に似た図15の実施形態には、入力ポートおよび出力ポートがパッケージの同じ側に配置されたパッケージ化されたデバイスが示されている。この特定の構成は、パッケージ全体のサイズを最小限に保たなければならない時に有利になる可能性がある。図15からわかるように、ビーム伝搬の方向は、SOIウェハの導波管層内に置かれた反射光学要素によって逆転される。光信号は、パッケージの最下部に置かれた光ファイバ80を介してデバイスに導入される。この構成では、微細レンズ82が、光ファイバ80に直接に融着され、単一サブアセンブリでよくコリメートされたビームがもたらされる。ビームは、レンズド・ファイバを出た後に周知の偏光を有しないので、偏光制御要素84を使用して、入力ビームを所望の偏光状態を有する2つのビームに変換する。偏光制御要素84は、2つの出力ビームが水平に変位する(すなわち、両方のビームを含む平面が、ウェハの平面と平行になる)向きにされている。2つのビームの間の分離距離が比較的小さく、数百ミクロン程度なので、両方のビームを、同一のビームステアリング要素86を用いて偏向することができる。両方のビームが、実質的に同一の角度θairでプリズム89の入力ファセット88に配送され、SOIウェハの導波管層12に結合される。2つのビームは、導波管層内に置かれた光学要素によって、互いに関して位相シフトされ、その後、単一のビームに再組合せされる。SOI導波管層内の残りの光電子構造をトラバースした後に、出力ビームが、出力プリズム・ファセットを出、類似する光出力トレーンを介して伝搬する。しかし、非偏光出力ビームを再作成する必要がない場合に、出力側で偏光制御要素を省略することができる。
【0054】
図16に、レーザ・ソースのアレイ90がパッケージ自体に直接に組み込まれている代替実施形態を示す。VCSELは、表面ファセットからレーザを発し、比較的小さい寸法(100〜250μm程度)を有することができるので、シリコン・ウェハまたはウェハ・ダイにエッチングされたシリコン・プリズム構造のバー94を用いて簡単にアレイ化することができる。ビーム・コリメーションおよびビームステアリングは、図16に示されているように、屈折レンズ92および回折レンズまたはビームステアリング要素のアレイによって達成することができる。レンズ・アレイの要素のサイズは、数ミクロンから数ミリメートルの範囲とすることができる。よりコンパクトな構造を、ステアリング・プリズムおよび/またはコリメーティング・レンズをVCSELウェハ自体に直接にエッチングすることによって実現することができる。光ビームは、実質的に同一の角度θairでプリズム構造のバー94に配送され、導波管12に結合され、プリズム・バー94の出力ファセット95から出る。レンズおよび回折要素96の類似するアレイを使用して、ビームを偏向させ、成形し、光ファイバ98の受け取るアレイに集光させる。代替案では、図17に示されているように、アレイのピッチが端面発光デバイスのより大きいサイズに対処するのに十分であるならば、端面発光レーザ・ダイオード91を、類似する構成で使用することができる。図17を参照すると、端面発光レーザ・ダイオード91を使用する実施形態が、さらに、端面発光レーザ・ダイオード・アレイ91の出力に配置されたレーザ・ダイオード・コリメーティング・レンズ・アレイ93を使用し、このコリメーティング・レンズ・アレイは、ビーム・ステアリング要素92に正しい信号プロファイルを提示するのに使用される。図18に、レンズド・ファイバ・アレイ97がコリメーティング・レンズ・アレイ93の出力に配置された、図17の実施形態のもう1つの版を示す。
【0055】
構成要素および位置合わせ手順の総数を減らすことが望ましい場合には、図19に示されているように、必要な光学要素を、シリコン・プリズムのウェハまたはダイに形成することができる。この構成では、入力ビームをエッチングされた「斜辺」プリズム入力ファセットに、必要な角度θairで直接に配送するのではなく、ビームが、プリズム・ウェハ100のユーザ指定の表面を通ってシリコン・プリズム・ウェハ100に入る。図19の例では、ビームが、SOIウェハ106と嵌合する表面104(プリズム結合面)と対向するプリズム・ウェハ100の表面102を通って入る。ビームは、プリズム・ウェハ100内で伝搬する時に、シリコン内の所望の発射角θSiが達成されるまで、伝搬の方向を変更する一連の表面に出会う。これらの表面は、ウェハ100の上面102および底面104、またはエッチング・プロセスから生じる追加の表面からなるものとすることができる。シリコン・ウェハ内を伝搬するビームについて、これらの表面での全反射を、シリコンの高い屈折率に起因して、広い範囲の入射角について達成することができる。空気−シリコン界面について(空気の屈折率n≒1およびシリコンの屈折率n≒3.5を仮定する)、必要な入射角は、16.6°という全反射の臨界角を超えなければならず、窒化珪素−シリコン界面について(窒化珪素の反射率n≒2を仮定する)、必要な入射角は34.8°を超えなければならない。入射角が臨界角未満になる場合でも、鏡として働くために表面102の一部108をメタライズすることによって、非常に高い反射を達成することができる。シリコン・ウェハの厚さが、比較的薄く、500〜700μm程度なので、ビームは、シリコン・ウェハ100内で比較的短い物理的経路長(数mm程度)を伝搬する際に複数の異なる反射面に出会うことができる。したがって、シリコン・プリズム・ウェハ自体を、コンパクトな低損失ビーム・ステアリング要素として使用することができる。
【0056】
最も単純な構成では、プリズム・ウェハを使用して、(1)ビームを適当な角度θSiにステアリングし、(2)ビームを導波管に結合する。シリコン・プリズム・カプラの上面を介して中に発射された後に、ビームは、シリコン・ウェハ内に屈折し、エッチングされた表面に突き当たる。エッチングされた表面への入射角は、この表面で全反射が発生するのに十分に大きいが、全反射されたビームが上面に向かって発射されるのに十分に小さい。上面への入射角は、ビームが上面で全反射されるのに十分に大きい。上面で全反射された後に、ビームは、適当な発射角θSiで光結合領域に向かって発射される。このビーム・ステアリングの方法は、シリコン・プリズム・カプラ上面から光結合領域への直接発射と比較して、より広い範囲の発射角θSiにアクセスできる(シリコンの高い屈折率に起因して)ので、特に有用である。上面の、光ビームの直接経路内にある位置に光学要素を組み込むことによって、追加の光学機能を追加することができる。図19の例では、要素が、シリコン・プリズム・カプラの上面へのビームの最初の進入点と、上面での全反射の点に置かれる。これらの要素に、発散する入力ビームをコリメートするための屈折レンズまたは回折レンズ、あるいは、追加のビーム・ステアリング機能、ビーム成形機能、波面訂正機能、または偏光制御機能をもたらすための他の回折光学要素が含まれるが、これに制限はされない。
【0057】
そのような屈折構成要素および回折構成要素を使用することによって、コリメーションおよび偏光制御などの追加の光学機能をシリコン・プリズム・ウェハに一体化できるようになる。マイクロレンズを、普通のリソグラフィ技法、フォトレジスト・リフロー技法、プラズマ・エッチング技法、拡散技法、および注入技法の組合せを介してシリコン内に形成することができる。代替案では、グレイスケール・リソグラフィを使用して、より複雑な非球面レンズ形状を作ることができる。本質的に格子構造である多数の回折要素を、普通のリソグラフィ技法を介してシリコン基板内に形成することができる。しかし、より微細な分解能を有するリソグラフィ技法(電子ビーム・リソグラフィなど)が、偏光制御要素として働くことのできるサブ波長格子構造を作るのに必要になる場合がある。
【0058】
図1などの例示的デバイスの結合効率の大きい改善を、ビームの形状がデバイス性能にどのように影響するかを注意深く検討することによって達成することができる。考慮しなければならない3つの主要なインターフェースすなわち、(1)入力光学系からの自由空間入力ビームの形状、(2)エバネッセント結合層の正確な形、および(3)自由空間出力ビームの形状および出力を受け取る光学系がある。
【0059】
一般に、結合効率は、従来技術から既知の重なり積分によって判定することができる。この積分から、入力ビーム形状が出力ビーム形状に合わせられた時に100%結合効率を達成できることを示すことができる。
【0060】
図1の例示的実施形態について、次の、考慮すべき3つの関係する重なり積分がある。
(1)η=プリズム結合面での所望のビーム投影に関する光ソースのビーム形状
(2)η=出力プリズム結合面から配送されるビームに関する入力プリズム結合面でのビーム形状
(3)η=出力を受け取る光学系の所望のビーム形状に関する出力プリズム結合面から配送されるビーム形状。
【0061】
結合効率を、まず、図20に示された好ましい実施形態の文脈で述べる。この実施形態は、入力シリコン・プリズムおよび出力シリコン・プリズムが、一定の厚さおよび一定の屈折率のエバネッセント結合層によってシリコン導波管から分離されることを示すものである。
【0062】
図20の実施形態の総結合効率は、標準的なファイバピッグテール・レーザ入力および光ファイバ出力について、
η=ηηη3、≒64%
と定義される。結合効率ηは、レーザ入力または光ファイバ入力などのソース入力からよくコリメートされたガウス・ビームを作ることに関連する損失によって決定される。光学系が、ソースと一体である(たとえば、レンズド・ファイバまたは一体化されたコリメーティングおよびビーム成形光学系を有するレーザ・ソースを使用する)場合に、ηは、非常に高く、100%に近い。しかし、入力自由空間ビームの出力に対するプリズムの出力自由空間ビームの出力の比によって決定される結合効率ηは、ガウス入力自由空間ビームについて80%を超えることができない。従来技術から既知のように、ηは、入力ビームと出力ビームがこの好ましい実施形態で異なるモード・プロファイルを有するので制限されている。入力ビームは、移動の方向に沿ったガウス・プロファイルを有するが、出力プリズムからのビームは、移動の方向に沿った指数プロファイルを有する(たとえば、図20(b)および(c)の振幅対位置プロット参照)。最後に、正確に同一の議論によって、出力ファイバへの結合での効率ηは、約80%である。やはり、これは、プリズムから発する指数エンベロープを有する自由空間ビームと、ファイバ出力での所望のガウス・ビーム形状の間の不完全な重なりに起因する。したがって、
η=ηηη3、≒(1)(0.8)(0.8)=0.64
または約2dBの挿入損失である。
【0063】
図20の実施形態を介する結合効率を改善するためには、80%を超えてηまたはηを増やすためにさらなるビーム成形が必要であることが明白である。レーザなどの光ソースについて、最も一般的なビーム形状は、正規分布またはフラットトップ分布(flat−top distribution)を有し、この両方の形状が、結合効率η=80%を作ることを示すことができる。ηを改善するためには、入力ビーム形状が、出力プリズムから出る指数エンベロープに近いプロファイルを有する必要があることは明白である。これを達成する方法の1つが、「半ガウス」入力ビーム形状を使用することによるものである。図21からわかるように、オリジナル入力ガウス・ビームが、ビームスプリッタ構造120に入射し、このビームの中心は、ビーム・スプリッタ表面の交差点に位置合せされている。2つのビームの半分が、プリズム(図示せず)に別々に配送され、導波管に結合される。適当な光学系(たとえば、フォールド・ミラー(fold mirror)122)を使用して、ビーム半分の一方のプロファイルを反転することができる。ビーム半分が、導波管に入る前に再組合せされないことが重要である。というのは、これが、入力ビームの強度プロファイルを変調する強い干渉縞をもたらすからである。この事例では、η=出力ビームの指数形状を有する半ガウス・ビーム形状の重なり積分=97%である。結合効率ηが、2つの半ガウスへの変換で減ることは現実的であり、明らかに、入力ビーム・プロファイルの変更で得られる大きい利益があるならば、η>83%である。入力ビームからよりガウス的なプロファイルを作るのに使用される標準的な方法(アパーチャリングなど)が輝度を減らすので、結合効率ηを増やすことは、よりむずかしい。図20の構成に関して達成できる最大総合結合効率ηが、追加の入力ビーム成形を用いて約80%、追加の入力ビーム成形なしで約64%であることが予想される。
【0064】
総合結合効率ηのより大きく実現可能な改善を、図22の実施形態で達成することができる。この実施形態は、位置と共に線形に変化するエバネッセント結合層によってシリコン導波管から分離されたシリコン・プリズムを示すものである。入力ファセットでは、エバネッセント結合層の厚さが、出力のほとんどが導波管に転送された時の値より、出力が初めて導波管に転送される時に小さい。出力ファセットでは、エバネッセント結合層の厚さが、出力のほとんどが導波管内にある時により大きい値であり、出力が導波管からプリズムに結合され続ける時に大きさが減る。この方法では、近似ガウス・ビーム形状を、入力ソースから出力ファイバ接続までの全体で維持できるので、図20の実施形態より高い結合効率が可能である。
【0065】
前と同様に、レーザ・ソースまたはファイバ入力からの標準的な入力ビームが、高い入力結合効率ηを有するコリメートされたガウス・ビームになる。結合効率ηを改善するために、プリズムからの出力自由空間ビームのプロファイルは、ガウス・ビームのプロファイルにより類似しなければならない。出力ビームは、一般に、真にガウス的ではないが、入力ガウス・ビームとの新しい出力ビームの重なり積分が、入力ガウス・ビームとの指数エンベロープの重なり積分を超える場合に、結合効率を80%を超えて改善することができる。技術文献から、出力ビームをよりガウス的にする方法の1つが、移動の方向に沿ってエバネッセント結合層の厚さに段階をつけることであることが既知である。エバネッセント結合層の厚さが一定の場合に、光は、すべての点で同一の結合強度で導波管からプリズムに結合され、g(z)∝exp(−αz)によって与えられる出力ビーム・プロファイルをもたらす(図20参照)。結合強度は、エバネッセント結合層の厚さが増えるにつれて減り、エバネッセント結合層の厚さが減るにつれて増える。出力ビームが、入力ビームによりよく合わされている場合に、プリズム表面から出る最初の光は、かなり弱く結合され、その結果、光の大半が導波管内に残る。これが発生することを保証するために、エバネッセント結合層は、最適結合値の十分上でなければならない。この点の後で、光が見る結合強度が増え、その結果、光の大多数を抽出して、「ガウス」出力ビームのピークを形成する必要がある。したがって、ビームのこの部分は、エバネッセント層が最適厚さに近い界面をサンプリングしなければならない。次に、エネルギの大部分が、導波管から転送され、出力プリズムを介してシステムから完全に出る。結合強度は、エバネッセント結合層の厚さの減少に伴って増え続けるが、プリズムを出る光の量は、導波管内の光がますます低いレベルに低下するので、減り始める。この形で、出力ビームのよりガウス様のプロファイルが達成される。出力ビームは、一般に、真にガウス的ではないが、この入力ガウス・ビームとの新しい出力ビームの重なり積分η≒97%であることを示すことができる。エバネッセント結合層の傾きが、所望のビーム形状を作るのに正しい値を有することが重要である。この傾きの決定は、前にビーム・サイズの節で述べた。
【0066】
プリズムからの出力自由空間ビームが、出力ファイバ接続が必要とするガウス形状を有するので、結合効率ηを非常に高くすることができる。前と同様に、ファイバの特性を表すガウス・モードとの出力プリズムからの近似ガウスの重なり積分ηを、97%程度に高くすることができる。必要な場合に、光ファイバ・ケーブルへの配送の前にレーザ・ダイオード・ビームを成形するのに使用されたものに類似するコリメーティング光学系および円形化する光学系を使用して、出力ビームの発散または楕円率を減らすことができる。コリメートされたビームをファイバに集光する最後のレンズは、必ず必要である。このレンズは、レンズド・ファイバまたはコリメータ・アセンブリの一体化された部分であるか、別々の球レンズまたは屈折率分布型レンズ(gradient−index lens)を、この目的のために普通のファイバ終端と共に使用することができる。
【0067】
図22の実施形態の総合結合効率は、
η=ηηη3、≒(1)(0.97)(0.97)≒0.94
または約0.3dBによって与えられる。これは、多分、レーザまたはファイバベース入力からファイバ出力への非常に高効率のエンドツーエンド結合を達成する最も単純な方法であり、このテクノロジを、挿入損失により敏感な追加応用例に使用することを可能にする。しかし、結合効率の利得は、エバネッセント結合層の厚さの変動を作るのに必要なグレイスケール・リソグラフィの追加の必要に対して重みを付けられなければならない。94%以上の高い結合効率を、出力プリズムからの類似する近似ガウス出力ビームまたはより真にガウス的な出力ビームを作るエバネッセント結合層のすべての構成を用いて達成できることに留意されたい。すなわち、改善された結合効率は、厚さの線形変動を有するエバネッセント結合層に制限されない。本発明において、「より真にガウス的」は、既知の重なり積分の値を増やす、すべての出力ビーム・プロファイルと定義することができる。1例として、導波管に沿った距離に伴うエバネッセント結合層の対数変動が、線形変動より真にガウス的なビームを作ることを示すことができる(結合効率対層厚さを対数スケールでプロットすることが、より対称な結合効率ピークまたは結合効率曲線につながる)。そのような厚さプロファイルの製造は、一般により複雑であるが、応用例の挿入損失要件を満たすのに94%の総合結合効率が十分でない場合に必要になるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】シリコン導波管層を含むsilicon−on−insulatorウェハに永久的に取り付けられたシリコンベース・プリズム・カプラの実施形態を示す図である。
【図2】プリズムの内面および外面の発射角(θairおよびθSi)ならびにエバネッセント結合層に直接に嵌合するプリズム表面の光結合領域の物理サイズを含む、プリズム構造を介して伝搬するビームのジオメトリを示す図である。
【図3】遠隔通信波長のある範囲にわたる、3つの異なるシリコン導波管厚さでの、図1に示された実施形態のプリズムの内面のビーム発射角θSiの範囲を示す図である。
【図4】遠隔通信波長のある範囲にわたる、3つの異なるシリコン導波管厚さでの、図1に示された実施形態の空気中のビーム発射角θair(プリズムの外面)の範囲を示す図である。
【図5】0.1から0.21μmのデバイス・シリコン層厚さの範囲および1290から1590nmの波長範囲をカバーする、図1に示された実施形態のプリズム構造の内部の発射角(θSi)およびプリズム・ファセットの外部の発射角(θair)の全範囲を示す図である。
【図6】ある範囲の自由空間入力ビーム径値にわたる、結合定数αωPCSの3つの異なる値での、結合効率曲線(FWHM(θair)によって表される)の角度半値全幅を示す図である。
【図7】SOIウエハ内の導波管層の3つの異なる厚さに関する、図1に示された実施形態の二酸化珪素エバネッセント結合層厚さの関数としての結合効率のシミュレーションを示す図である。
【図8】エバネッセント結合層を構成する3つの異なる材料に関する、図1に示されたものに類似する実施形態のエバネッセント層結合厚さの関数としての結合効率のシミュレーションを示す図である。
【図9】自由空間入力ビーム径の関数としての、図1の実施形態の定数厚さのエバネッセント結合層の理論モデリングとの一貫性を有する平坦さ(「くさび角度」に関する)からの最大値導出のグラフである。
【図10】自由空間入力ビーム径の関数としての、テーパー付きエバネッセント結合層を有する図1に類似する実施形態の最適「くさび角度」を示す図である。
【図11】SOIウェハ内の導波管層の4つの異なる厚さに関する、図1の実施形態の遠隔通信波長のある範囲にわたる入力自由空間ビームのサイズ(2ω)に対するプリズム結合表面での入力ビームのサイズ(2ωPCS)の比を示す図である。
【図12】最初に無偏光の入力ビームを所望の偏光の2つの別々のビームにどのように変換でき、したがってプリズム構造を介する導波管への光の高い結合効率を可能にするかを示す、平面透視図および側面透視図である。
【図13】水平光発射からプリズムの外面の適当な発射角にビームをステアリングするために作動されたMEMマイクロミラーの使用の例を示す図である。
【図14】出力がパッケージの両側にある、デバイスへのファイバ・ピッグテイル端面発光ダイオードまたは他のファイバ入力からの光の側面発射を例示する物理レイアウトを示す図である。
【図15】出力がパッケージの片側にある、デバイスへのファイバ・ピッグテイル端面発光ダイオードまたは他のファイバ入力からの光の側面発射を例示する物理レイアウトを示す図である。
【図16】ビームをプリズム構造のバーにステアリングするためのアレイVCSELソースおよびマイクロレンズ/プリズム・アレイの使用の例を示す図である。
【図17】端面発光ダイオード・アレイがVCSELソースのアレイ・セットの代わりに使用される場合の、図16の配置に対する代替実施形態を示す図である。
【図18】ビーム・ステアリング配置に関連して配置されたレンズド・ファイバのアレイをさらに使用する、図16に類似するもう1つの実施形態を示す図である。
【図19】エバネッセント結合層とのインターフェースの前にビームをコリメートし、ステアリングするために追加光学要素を含むプリズム・ウェハを示す図である。
【図20】(a)は、一定の厚さのエバネッセント結合層を有する、図1の好ましい実施形態を示す図であり、(b)および(c)は、zの関数として入力ビーム振幅および出力ビーム振幅のプロファイルを示す図であり、(d)は、(b)および(c)の重なりを示す図である。
【図21】半ガウス波を形成する特定の配置を示す図である。
【図22】zの関数としての入力ビーム振幅および出力ビーム振幅のプロファイルならびに入力ビーム振幅と出力ビーム振幅の重なりを示す、線形に変化する厚さを有するエバネッセント結合層を有する図1の好ましい実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板上に形成された絶縁体層の上に堆積されたシリコン光導波管層を含むSOI(silicon−on−insulator)ウェハの表面層内に形成されたシリコン光導波管へおよびこれからの信号経路を提供する光結合配置であって、
光源から入ってくる光ビームを捕らえるように配置されたシリコンベース・プリズム・カプラであって、前記シリコンベース・プリズム・カプラは、前記プリズム・カプラの第1表面は前記SOIウェハの平坦な表面に実質的に平行に配置され、これに嵌合する形で前記SOIウェハに永久的に取り付けられ、前記シリコンベース・プリズム・カプラの屈折率は、前記シリコン光導波管の屈折率以上である、シリコンベース・プリズム・カプラと、
前記光ビームをコリメートし、成形し、前記シリコンベース・プリズム・カプラへの入射の特定の入口点および角度にステアリングするために、前記光源と前記シリコンベース・プリズム・カプラとの間に置かれた自由空間マイクロ光入力要素と、
前記シリコンベース・プリズム・カプラと前記シリコン光導波管との間に配置されたエバネッセント結合領域と、
前記光ビームを成形し、コリメートし、集光し、前記光ビームを受取要素に向かってステアリングするために、前記シリコンベース・プリズム・カプラの出力表面から出る前記ビームの経路内に置かれた自由空間マイクロ光要素と
を含む光結合配置。
【請求項2】
前記配置は、さらに、前記自由空間マイクロ光入力要素に結合された光源を含む、請求項1に記載の光結合配置。
【請求項3】
前記光源は、端面発光レーザ・ダイオードである、請求項2に記載の光結合配置。
【請求項4】
前記光源は、垂直共振器面発光レーザダイオードである、請求項2に記載の光結合配置。
【請求項5】
前記光源は、光ファイバである、請求項2に記載の光結合配置。
【請求項6】
前記光ファイバの後の前記マイクロ光自由空間入力要素は、未知の偏光状態を有する入射ビームを同一の既知の偏光状態の2つの別々の出力ビームに変換する光学要素を含み、第2ビームは、第1ビームから変位されるが実質的に第1ビームと平行である、請求項5に記載の光結合配置。
【請求項7】
前記マイクロ光自由空間入力要素は、入射ビームの平行移動および角度偏向をもたらすために、電子作動機構を介して平行移動され、回転されることができる反射要素を含む、請求項1に記載の光結合配置。
【請求項8】
前記エバネッセント結合領域は、厚さが実質的に一定である、請求項1に記載の光結合配置。
【請求項9】
前記エバネッセント結合領域は、厚さにテーパーを付けられている、請求項1に記載の光結合配置。
【請求項10】
シリコン基板上に形成された絶縁体層の上に堆積されたシリコン光導波管層を含むSOI(silicon−on−insulator)ウェハの表面層内に形成されたシリコン光導波管へおよびこれからの信号経路を提供する光結合配置であって、
シリコンベース・プリズム・カプラの第1表面が前記SOIウェハの平坦な表面と実質的に平行に配置され、これと嵌合する形で前記SOIウェハに永久的に取り付けられた前記シリコンベース・プリズム・カプラであって、前記シリコンベース・プリズム・カプラの屈折率は、前記シリコン光導波管の屈折率以上である、シリコンベース・プリズム・カプラと、
入力光ビームをコリメートし、成形し、前記シリコンベース・プリズム・カプラの結合面への入射の特定の入口点および角度にステアリングするために、前記シリコンベース・プリズム・カプラの一体化された部分として形成された光学要素と、
前記シリコンベース・プリズム・カプラと前記シリコン光導波管との間に配置されたエバネッセント結合領域と、
前記光ビームを成形し、コリメートし、または集光し、前記光ビームを受取要素に向かってステアリングするために、前記シリコンベース・プリズム・カプラの出力面から発するビームの経路内に置かれた自由空間マイクロ光出力要素と
を含む光結合配置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2006−522943(P2006−522943A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501265(P2006−501265)
【出願日】平成16年4月12日(2004.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/011146
【国際公開番号】WO2004/092783
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(505377120)シオプティカル インコーポレーテッド (20)
【Fターム(参考)】