説明

ピニオン給油型動力伝達装置

【課題】ピニオン6に潤滑油を均一に自動供給することができ、給油作業の省力化が図られるピニオン給油型動力伝達装置1を提供する。
【解決手段】圧縮コイルスプリング15を設け、その付勢力により含浸部材14をピンローラ7に摺接させているため、ピニオン6の回転に伴って、ピンローラ7が含浸部材14の下面部14dを摺動する。このため、給油部12の含浸部材14から潤滑油がピンローラ7に供給されるので、ピニオン6に潤滑油を必要な時に必要な量だけ自動的に供給することができる。これにより、潤滑油の自動供給が実現するため、手作業でグリースなどをピニオン6に塗布するものと異なり、潤滑油の無駄な使用がなくなるとともに、給油作業の省力化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のピンローラがラックに噛合するピニオンを設けたピニオン給油型動力伝達装置に係り、とりわけ、回転時のピニオンに自動給油が行われるように改良したピニオン給油型動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラックとピニオンとを組合せた種々の作動機構のうち、「回転運動と直線運動の変換装置」として知られたものがある(例えば特許文献1参照)。特許文献1の変換装置は、二個のローラ保持部材の間に複数のピンを設けたローラピニオンを有している。
ローラピニオンのピンは、ラックに噛合し、ローラピニオンの回転に伴ってラックが長手方向に往復移動する。これにより、低騒音かつ低振動で、伝達抵抗が小さく、がたつきがなく、剛性の高いラック・ピニオンの構造体を実現している。
【0003】
この種の変換装置は、ラック・ピニオンを工作機械、精密装置、ロボットの走行、ストッカー搬送や洗浄ライン搬送などに組込むことにより、生産現場で有効に活用されるように改良されている。
近年、大規模な生産工場では、液晶表示部などに用いられる極薄の硝子板を多数束ねて長距離を走行させている。この場合、上記変換装置のピニオンに給油し、ラックに対するピニオンの円滑な噛み合わせにより、迅速で騒音の少ない走行を確保する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−184842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、ピニオンへの給油時には、給油容器からグリースなどの固形潤滑油を取り出し、へらなどを手作業でピニオンに塗布していた。
手作業のため、ピニオンへの給油作業が頻繁となって面倒であり、ピニオンに対する固形潤滑油の供給不足を想定し、多めに給油することになり、固形潤滑油が無駄に使用されてしまう虞がある。とりわけ、ピニオンに長尺なラックを適用する場合、手作業でグリースなどの潤滑油を長距離にわたってラックの歯部に塗布しなければならず、時間がかかる上に多くの労力を要する。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的はピニオンに潤滑油を必要な時に必要な量だけ過不足なく、均一に自動供給することができ、給油作業の省力化が実現し、潤滑油の無駄な使用がなくなるピニオン給油型動力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1について)
ラックは、使用対象に応じて決められた長さを有し、上面に多数の歯部を連続的に形成している。ピニオンは、互いに対面する二枚の円盤の間に掛け渡されて環状に配列され、ラックの歯部に噛合する複数のピンローラを有している。ハウジングは、天井部と両側の外壁部とから門型に形成されている。ハウジングにおける両側の外壁部はラックを挟み、天井部はピニオンを覆うように設けられている。駆動軸は、ピニオンの中心部に固定状態に取り付けられている。駆動軸の一端部は、一方の外壁部に回転可能となるように支持され、他端部は他方の外壁部に回転可能となるように支持されている。
給油部は、内部に潤滑油を保有し、ピニオンとハウジングの天井部との間で、ピンローラに対向するように配置されている。駆動軸の駆動時、ピニオンがラックの歯部に噛み合いながら回転し、ラックに対して相対的に移動する。そして、ピニオンの回転に伴って、給油部から潤滑油がピンローラに供給される。
【0008】
請求項1では、ピニオンの回転に伴って、給油部から潤滑油がピンローラに供給されるため、ピニオンに潤滑油を必要な時に必要な量だけ過不足なく、均一で自動的に供給することができる。
これにより、潤滑油の自動供給が実現するため、手作業でグリースなどをピニオンに塗布するものと異なり、給油作業の省力化が図られて潤滑油の無駄な使用がなくなる。
また、ピニオンに長尺なラックを適用する場合も、手作業でグリースなどの潤滑油をラックの歯部に塗布する必要がなく、給油作業の省力化に寄与することができる。
【0009】
(請求項2について)
給油部は、ピニオンの外周部に沿うように設けられた弧状の外殻部と、外殻部内に配されて潤滑油を染み込ませた含浸部材と、含浸部材をピンローラに摺接させる方向に付勢する付勢部材とから成っている。
請求項2では、含浸部材をピンローラに摺接させているため、ピニオンの回転に伴って、ピンローラが含浸部材を摺動し、含浸部材から潤滑油をピンローラに過不足なく供給することができる。
【0010】
(請求項3について)
含浸部材は、潤滑油を焼結合金に含浸させた含浸金属、あるいは潤滑油を合成樹脂に含浸させた含浸プラスチックである。
請求項3では、含浸部材を入手し易い既存の含浸金属、あるいは含浸プラスチックとして設けたので、コスト的に有利である。
【0011】
(請求項4について)
給油部は、ピニオンの外周部に沿うように設けられ、内部に潤滑油を収容した弧状の容器部と、容器部の底部に周方向に沿って形成され、潤滑油をピンローラに流下させる複数のノズル部とを有する。
請求項4では、ピニオンの回転に伴って、容器内の潤滑油がノズル部からピンローラに流下するので、潤滑油をピンローラに過不足なく供給することができる。
【0012】
(請求項5について)
潤滑油は、ハウジングの天井部に取り付けられて容器部に臨むように配された中空のねじ込み継手から充填される。
請求項5では、グリースガンなどの工具をねじ込み継手に当てて給油操作をすることにより、迅速かつ容易に潤滑油を容器内に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ピニオン給油型伝達装置を示す斜視図である(実施例1)。
【図2】ピニオン給油型伝達装置を示す縦断面図である(実施例1)。
【図3】天井部、給油部およびピニオンを一部破断して示す斜視図である(実施例1)。
【図4】給油部およびピニオンを示す斜視図である(実施例1)。
【図5】天井部、給油部およびピニオンの縦断面図である(実施例2)。
【図6】工具とともにピニオン給油型伝達装置を示す縦断面図である(実施例3)。
【図7】ねじ込み継手、天井部、給油部およびピニオンを一部破断して示す斜視図である(実施例3)。
【図8】(a)はねじ込み継手を示す正面図、(b)は(a)のA−A線に沿う横断面図である(実施例3)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るピニオン給油型動力伝達装置では、ラックに対するピニオンの回転に伴って、給油部からピニオンに潤滑油が供給される構成を各実施例により具体化する。
【実施例】
【0015】
〔実施例1の構成〕
図1ないし図4に基づいて本発明の実施例1を説明する。以後の説明では、特に断らない限り、各部材の位置および方向の特定は、各実施例を通して対応する図面の左右および上下方向に従う。
【0016】
図1に示すピニオン給油型動力伝達装置1において、設置面に固定した基盤2は、左右両側に断面T字形の搬送レール3、4を有し、中央にラック5を長手方向Mに沿って形成している。ラック5は、使用対象に応じて決められた長さを有し、その上面にサイクロイド系プロフィールに基づく歯部5aをピッチ線Pに沿って連続的に形成している。
【0017】
ピニオン6は、ラック5の歯部5aに噛合する複数のピンローラ7を有している。ピニオン6は、例えば10本のピンローラ7を有し、ピンローラ7は互いに対面する二枚の円盤8、9の間に掛け渡され、ピッチ円Eに沿って、例えば36°の等角度間隔で環状に配されている。ハウジング10は、天井部10aと両側の外壁部10b、10cとから門型に形成されている。ハウジング10の外壁部10b、10cは、ラック5を両側から挟み、天井部10aはピニオン6を覆うように配置されている。
【0018】
外壁部10b、10cの基端部には、左右対称となるアングル状の擁壁部10d、10eがラック5を挟むようにそれぞれ形成されている。一方の擁壁部10dは、搬送レール3に対して摺動可能に嵌合し、他方の擁壁部10eは、搬送レール4に対して摺動可能に嵌合している。
駆動軸11はピニオン6の中心部に固定状態に取り付けられている。駆動軸11の一端部11aは、一方の外壁部10dに回転可能となるように支持され、他端部11bは他方の外壁部10cに回転可能となるように支持されている。
【0019】
駆動軸11には、例えばハウジング10側に設けられた電動機の回転軸(図示せず)が連結されており、電動機の通電により、図1に示すように時計回り方向Fにピニオン6がラック5の歯部5aに噛み合いながら回転し、ハウジング10の擁壁部10d、10eが搬送レール3、4に沿って長手方向Mへ摺動する。
【0020】
ハウジング10における天井部10aの内面とピニオン6の外周部との間には、図2、図4に示すように、空間部Spが設けられており、この空間部Spに給油部12が配置されている。
給油部12は、ピニオン6に沿う弧状の外殻部13および外殻部13内に配された含浸部材14を備えている。含浸部材14は、後述するように潤滑油を保有し、内部に圧縮コイルスプリング15を付勢部材として設けている。
【0021】
外殻部13は、金属あるいは合成樹脂により下面開放形の容器状に形成され、左右の両端部にフック部13a、13bを備えている。含浸部材14は、外殻部13に対応する形状であり、一端部はフック部13aに弾性係合する爪部14aを有し、他端部はフック部13bに弾性係合する爪部14bを有している。含浸部材14の左右両側には、圧縮コイルスプリング15を収容するための底付き縦穴16が設けられている。
【0022】
圧縮コイルスプリング15の上端部15aは、外殻部13の内面部13cに弾接し、下端部15bは底付き縦穴16の内底面16aに弾接している。これにより、圧縮コイルスプリング15は、図2および図3に矢印Hで示す方向の付勢力が生じ、この付勢力により含浸部材14の下面部14dをピンローラ7に摺接させている。
【0023】
含浸部材14は、焼結合金に潤滑油を染み込ませた含浸金属であり、潤滑油には、鉱油あるいは炭化水素系、フッ素系、エステル系、エーテル系などの合成油や液状グリースなどが用いられる。低粘度の潤滑油は、高速かつ軽負荷条件下で適用され、高粘度の潤滑油は低速かつ高負荷条件下で適用される。
【0024】
潤滑油への添加剤としては、アルキルジチオリン酸亜鉛(Zn−DTP)や焼き付けを防ぐイオウや燐系の極圧剤、あるいはアルコール系や脂肪酸エステルなどの油性剤、あるいは酸化防止剤や防錆剤が使用される。
また、含浸部材14としては、含浸金属の代わりに、多孔性の合成樹脂に潤滑油を染み込ませた含浸プラスチックを用いてもよい。
【0025】
天井部10aの外殻部13に対応する部分には、螺子18がワッシャ18aを介して挿通する取付孔17が左右に形成されている。外殻部13には、取付孔17に対応して螺子18が締め付けられる螺子孔19が形成されている。螺子孔19に対する螺子18の締め付けにより、外殻部13が含浸部材14と一緒に天井部10aの内面に固定される。
【0026】
なお、外殻部13の中央部には、含浸部材14の窪み部14sに連通する挿通孔20が設けられている。挿通孔20は、天井部10aに形成した給油口10Aに連通している。このため、含浸部材14の含浸油が不足する場合には、グリースガンなどの工具Opを用いて、潤滑油を含浸油として給油口10Aから挿通孔20を介して含浸部材14に補給することができる。
【0027】
〔実施例1の効果〕
上記構成では、電動機の通電により、ピニオン6がラック5の歯部5aに歯み合いながら時計回り方向Fに回転し、ハウジング10の擁壁部10d、10eが搬送レール3、4に沿って長手方向Mへ摺動する。このため、ハウジング10に設けたパレット(図示せず)などに極薄の硝子板を液晶表示部(図示せず)として多数束ねて載せることにより、硝子板を資材工程から組立工程へ迅速かつ円滑に搬送することができる。
【0028】
この際、圧縮コイルスプリング15を設けて、その付勢力により含浸部材14をピンローラ7に摺接させているため、ピニオン6の回転に伴って、ピンローラ7が含浸部材14の下面部14dを摺動する。
このため、図3に示すように、給油部12の含浸部材14から潤滑油Wがピンローラ7に供給されるので、ピニオン6に潤滑油Wを必要な時に必要な量だけ過不足なく、均一で自動的に供給することができる。
これにより、潤滑油Wの自動供給が実現するため、手作業でグリースなどをピニオン6に塗布するものと異なり、給油作業の省力化が図られて潤滑油Wの無駄な使用がなくなる。
また、ピニオン6に長尺なラック5を適用する場合も、手作業でグリースなどの潤滑油Wをラック5の歯部5aに塗布する必要がなく、給油作業の省力化に寄与することができる。
さらには、含浸部材14を入手し易い既存の含浸金属、あるいは含浸プラスチックとして設けたので、コスト的に有利である。
【0029】
〔実施例2の構成〕
図5は本発明の実施例2を示す。実施例2が実施例1と異なるところは、螺子18および取付孔17を省略し、ハウジング10における天井部10aの内面に外殻部13に対応する窪み10fを設けたことである。
【0030】
この窪み10fに外殻部13の上面部13eを嵌合することにより、外殻部13と含浸部材14とが天井部10aとピンローラ7との間に挟持されるので、外殻部13と含浸部材14とを一緒にしてハウジング10に固定することができる。
なお、外殻部13を磁石により形成し、外殻部13を窪み10fに嵌合する際、外殻部13を磁気力により窪み10fに吸着保持させてもよい。
【0031】
〔実施例3の構成〕
図6ないし図8は本発明の実施例3を示す。実施例3が実施例2と異なるところは、給油部12を半円弧状の容器部21と複数のノズル部22とから構成し、給油口10Aを取付孔17としたことである。
容器部21は、図6に示すように、潤滑油Wを内部に収容し、ピニオン6の外周部に沿って設けられている。ノズル部22は、容器部21の底部に細径孔部として周方向に沿って等角度間隔に複数個(例えば8個)形成されている。
【0032】
容器部21は上面開放形であり、内部の弧状を成す空洞部21aに縦形の螺子孔23が等角度間隔で複数個(例えば3個)形成されている。螺子孔23の径寸法Dは、図7に示すように、空洞部21aの幅寸法Nよりも大きいため、螺子孔23の一部は空洞部21aから外方にはみ出た状態に設けられている。
【0033】
天井部10aの取付孔17には、六角頭部24aを有する中空のねじ込み継手24が容器部21内に臨むように挿通されている。このねじ込み継手24は、そのスタッド部24bを螺子孔23に締め付けている。これにより、天井部10aが容器部21の上面開放部21bを覆って閉鎖する。
【0034】
ねじ込み継手24は、図8(a)、(b)にも示すように、上下に貫通する軸孔24cを有するとともに、スタッド部24bに対して垂直方向に貫通形成された横穴24dを設けている。このため、グリースガンなどの工具Opにより、容器部21内に潤滑油Wを補給する際、潤滑油Wをねじ込み継手24の軸孔24cから横穴24dに流出させて容器部21内に充填する(図6参照)。
【0035】
実施例3では、ピニオン6の回転に伴って、ノズル部22とピンローラ7との隙間Gpに空気流Rが生じる。これにより、ノズル部22は負圧を受け、容器部21内の潤滑油Wをノズル部22からピンローラ7に流下させるので、潤滑油Wをピンローラ7に過不足なく供給することができる。
【0036】
また、軸孔24cを有する中空のねじ込み継手24を設けているので、グリースガンなどの工具Opをねじ込み継手24の軸孔24cに当てて給油操作をすることにより、迅速かつ容易に潤滑油Wを容器部21内に充填することができる。
【0037】
〔変形例〕
(a)実施例1では、ピニオン6をラック5に沿って走行させたが、基盤2を設置面に摺動可能に設け、ハウジング10をピニオン6の駆動軸11とともに設置面側に固定し、ピニオン6の回転に伴って、ラック5を基盤2とともに長手方向Mに移動させてもよい。
また、実施例1では、天井部10aに給油口10Aおよび外殻部13に挿通孔20を設けたが、給油口10Aおよび挿通孔20はなくてもよい。
【0038】
(b)実施例1の付勢部材として圧縮コイルスプリング15を用いたが、圧縮コイルスプリング15に限らず、捩りばね、コイルスプリング、スポンジあるいは合成ゴムなどを利用してもよく、要は付勢力により含浸部材14をピンローラ7に摺接させる部材であればよい。
【0039】
(c)実施例1で外殻部13を合成樹脂で形成する場合、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアセタール、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)あるいはシンジオタクチックポリスチレン(SPS)などのプラスチック材料を用いてもよい。
(d)実施例3のノズル部22を8個としたが、ノズル部22については、8個に限らず、使用状況などに応じて9個あるいは10個など所望の個数に設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のピニオン給油型動力伝達装置では、ピニオンの回転に伴って、潤滑油が給油部からピンローラに供給されるため、ピニオンに潤滑油を必要な時に必要な量だけ過不足なく、均一で自動的に供給することができる。これにより、潤滑油の自動供給が実現するため、手作業でグリースなどをピニオンに塗布するものと異なり、給油作業の省力化が実現し、潤滑油の無駄な使用がなくなる。このため、ピンローラへの自動給油が実現する有益性が業者の需要を喚起し、関連部品の流通を介して機械産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ピニオン給油型動力伝達装置
3、4 搬送レール
5 ラック
5a ラックの歯部
6 ピニオン
7 ピンローラ
8、9 円盤
10 ハウジング
10a ハウジングの天井部
10b、10c ハウジングの外壁部
11 駆動軸
11a 駆動軸の一端部
11b 駆動軸の他端部
12 給油部
13 外殻部
14 含浸部材
15 圧縮コイルスプリング(付勢部材)
21 容器部
22 ノズル部
24 ねじ込み継手
24c ねじ込み継手の軸孔
24d ねじ込み継手の横穴
E ピンローラのピッチ円
F ピニオンの時計回り方向
M ラックの長手方向
Op グリースガンなどの工具
P ラックのピッチ線
W 潤滑油

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用対象に応じて決められた長さを有し、上面に多数の歯部を連続的に形成したラックと、
互いに対面する二枚の円盤の間に掛け渡されて環状に配列され、前記ラックの前記歯部に噛合する複数のピンローラを設けたピニオンと、
天井部と両側の外壁部とから門型に形成され、前記両側の外壁部により前記ラックを挟み、前記天井部により前記ピニオンを覆うように設けられたハウジングと、
前記ピニオンの中心部に固定状態に取り付けられ、一端部が前記ハウジングにおける一方の前記外壁部に回転可能となるように支持され、他端部が前記ハウジングにおける他方の前記外壁部に回転可能となるように支持された駆動軸と、
前記ピニオンと前記ハウジングの前記天井部との間で、前記ピンローラに対向するように配置され、内部に潤滑油を保有する給油部とを備え、
前記駆動軸の駆動時、前記ピニオンが前記ラックの前記歯部に噛合したまま回転し、前記ラックに対して相対的に移動するようになっており、
前記ピニオンの回転に伴って、前記給油部から前記潤滑油が前記ピンローラに供給されることを特徴とするピニオン給油型動力伝達装置。
【請求項2】
前記給油部は、前記ピニオンの外周部に沿うように設けられた弧状の外殻部と、
前記外殻部内に配されて前記潤滑油を染み込ませた含浸部材と、
前記含浸部材を前記ピンローラに摺接させる方向に付勢する付勢部材とから成ることを特徴とする請求項1に記載のピニオン給油型動力伝達装置。
【請求項3】
前記含浸部材は、潤滑油を焼結合金に含浸させた含浸金属、あるいは潤滑油を合成樹脂に含浸させた含浸プラスチックであることを特徴とする請求項2に記載のピニオン給油型動力伝達装置。
【請求項4】
前記給油部は、前記ピニオンの外周部に沿うように設けられ、内部に前記潤滑油を収容した弧状の容器部と、
前記容器部の底部に周方向に沿って形成され、前記潤滑油を前記ピンローラに流下させる複数のノズル部とを有することを特徴とする請求項1に記載のピニオン給油型動力伝達装置。
【請求項5】
前記潤滑油は、前記ハウジングの前記天井部に取り付けられて前記容器部に臨むように配された中空のねじ込み継手から充填されることを特徴とする請求項4に記載のピニオン給油型動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−19435(P2013−19435A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151653(P2011−151653)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000124188)加茂精工株式会社 (14)
【Fターム(参考)】