説明

ピラゾールの縮合誘導体

式(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物(式中、A、B、X、Y、Z、W、k、R1、R2、R3、R4およびR5は、明細書中で定義されたとおりである)およびそれを含む組成物。本発明は、また、その化合物の製造方法および被験対象でのp38により仲介される障害の処置におけるその使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アザインダゾール、それらの誘導体、それらの製造方法、それらを含む医薬製剤、およびそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAP)は、それらの基質を二重リン酸化により活性化するプロリン指向性セリン/トレオニンキナーゼの一群である。キナーゼは、栄養および浸透ストレス、UV光、成長因子、エンドトキシンおよび炎症性サイトカインを包含する様々な信号により活性化される。MAPキナーゼの一群は、様々なアイソフォーム(例えばp38α、p38β、p38γおよびp38δ)を包含するp38キナーゼ群である。p38キナーゼは、他のキナーゼと同様にリン酸化および転写因子活性化の原因となり、物理的および化学的ストレス、炎症促進性サイトカインおよび細菌性リポ多糖により活性化される。
【0003】
より重要なことに、p38リン酸化の生成物が、TNFおよびIL−1を包含する炎症性サイトカインおよびシクロオキシゲナーゼ−2の産生を媒介することが示されている。これらのサイトカインのそれぞれは、数多くの病状および病態に関係している。例えば、TNF−αは、主として活性化された単球およびマクロファージにより産生されるサイトカインである。その過剰なまたは制御されない産生は、関節リウマチの病理学において原因的な役割を果たしている。より最近では、TNF産生の抑制は、炎症、炎症性腸疾患、多発性硬化症および喘息の処置に広い用途があることが示されている。TNFは、ウイルス感染、例えば、HIV、インフルエンザウイルス、ならびに単純ヘルペスウイルスタイプ−1(HSV−1)、単純ヘルペスウイルスタイプ−2(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス、ヒトヘルペスウイルス−6(HHV−6)、ヒトヘルペスウイルス−7(HHV−7)、ヒトヘルペスウイルス−8(HHV−8)を含むヘルペスウイルス、仮性狂犬病および鼻気管炎(rhinotracheitis)等にも関連している。同様に、IL−1は、活性化された単球およびマクロファージにより産生され、関節リウマチ、発熱および骨吸収の低下を包む多くの病理生理学的反応で役割を果たしている。さらに、p38の関与が、脳卒中、アルツハイマー病、変形性関節症、肺損傷、敗血症性ショック、血管新生、皮膚炎、乾癬およびアトピー性皮膚炎で示唆されている。J. Exp. Opin. Ther. Patents, 2000, 10(1)。
【0004】
p38キナーゼを阻害することによりこれらのサイトカインを抑制することは、これらの病状の多くを制御し、軽減し、緩和するのに有益である。
【0005】
本発明は、式Ia、IbまたはIc:
【0006】
【化2】

【0007】
(式中、
1は、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはシクロアルキルであり;
2は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、分枝状アルキルまたはヘテロシクリルであり;
3は、水素またはアルキルであり;
4は、水素、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、−(CHRar−C(=O)−Rb、−(CHRar−O−C(=O)−Rb、−(CHRar−NH−C(=O)−Rbまたは−SO2−Rbであり、ここで、Raは、水素、アルキルまたはヘテロアルキルであり;Rbは、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり;rは0〜4であり;
5は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキル、−C(=O)−Rcまたは−SO2−Rcであり、ここで、Rcは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;
XおよびYは窒素であるか、あるいはXおよびYの一つは窒素であり、他はCRdであり;ZはNまたはCRdであり、ここで、Rdは、水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、ハロアルキル、シアノ、ハロ、ヘテロアルキル、C(=O)−Reまたは−SO2−Reであり、ここで、Reは、水素またはアルキルであり;
Wは、O、S(O)m、CH2またはNRfであり、ここでmは0〜2であり、Rfは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキル、−C(=O)−Rgまたは−SO2−Rgであり、ここで、Rgは、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
あるいはR4およびRfは、それらが結合している原子と一緒にヘテロ環を形成してもよく;
Aは、O、CH2、S(O)n、C(=O)、NRh、またはCH(ORh)であり、ここでnは0〜2であり、Rhは、水素またはアルキルであり;
あるいはR1およびRhは、ヘテロシクリルを形成してもよく;
kは、0または1であり;
Bは、O、S(O)j、CH(ORi)、NRj、またはC(=O)であり、ここで、jは0、1または2であり;Riは、水素またはアルキルであり、Rjは、水素、アルキル、−C(=O)−Rk、または−SO2mであり、ここで、Rkは、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;Rmは、アルキルである)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0008】
本発明の他の実施態様において、本発明は、式I:
【0009】
【化3】

【0010】
(式中、
1は、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはシクロアルキルであり;
2は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
3は、水素またはアルキルであり;
4は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、−C(=O)−Raまたは−SO2−Raであり、ここで、Raは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり;
5は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキル、−C(=O)−Rbまたは−SO2−Rbであり、ここで、Rbは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;
X、YおよびZは、各々独立に、NまたはCRcであり;ここで、Rcは、水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、ハロアルキル、シアノ、ハロ、ヘテロアルキル、C(=O)−Rdまたは−SO2−Rdであり;ここで、Rdは、水素またはアルキルであり;
Wは、O、S(O)m、CH2またはNReであり、ここでmは0〜2であり、Reは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキル、−C(=O)−Rfまたは−SO2−Rfであり、ここで、Rfは、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロシクリルであり;あるいは
4およびReは、ヘテロ環を形成してもよく;
Aは、O、CH2、S(O)n、C(=O)、NRg、またはCH(ORg)であり、ここでnは0〜2であり;Rgは、水素またはアルキルであり;あるいは
1およびRgは、ヘテロシクリルを形成してもよく、
kは、0または1であり;
Bは、O、S(O)j、CH(ORh)、NRi、またはC(=O)であり、ここで、jは0、1または2であり;Rhは、水素またはアルキルであり、Riは、水素、アルキル、−C(=O)−Rj、または−SO2kであり、ここで、Rjは、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;Rkは、アルキルである)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを提供する。
【0011】
本発明の他の態様は、1以上の式Ia、IbまたはIcの化合物およびそれに対する薬学的に許容され得る担体、希釈剤および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明の化合物は、プロテインキナーゼの阻害剤であり、インビトロでp38に対して有効な活性を示す。それらは、サイクリン依存性キナーゼおよびチロシンキナーゼと比べて、p38キナーゼに対して選択的である。したがって、本発明の化合物は、炎症促進性サイトカイン、例えばTNFおよびIL−1により媒介される疾患の処置に使用することができる。したがって、本発明のもう一つの態様は、p38により仲介される障害または状態の処置方法であって、治療上有効量の1以上の式Iの化合物を、患者に投与する方法を提供する。
【0013】
この開示に記載の全ての刊行物は、それらの全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0014】
特記しない限り、明細書と特許請求の範囲を含むこの出願において使用される以下の用語は、以下の定義を有する。なお、明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「一つの、ある(a)、(an)」、「その(the)」は、文脈から明白に示される場合を除いて、複数の対象物を包含するものである。
【0015】
「アルキル」は、1〜6個の炭素原子の直鎖状の飽和1価炭化水素部分または3〜6個の炭素原子の分枝状の飽和1価炭化水素部分、例えばメチル、エチル、プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル等を意味する。
【0016】
「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子の直鎖状の飽和2価炭化水素部分または3〜6個の炭素原子の分枝状の飽和2価炭化水素部分、例えばメチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレン等を意味する。
【0017】
「アルコキシ」は、式−ORの部分を意味し、ここで、Rは、本明細書中で定義されたとおりのアルキル部分である。アルコキシ部分の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等を包含するが、これらに限定するものではない。
【0018】
「アルコキシアルキル」は、式Ra’−O−Rb’−の部分を意味し、ここで、Ra’は、本明細書中で定義されたとおりのアルキルであり、Rb’は、本明細書中で定義されたとおりのアルキレンである。例示的なアルコキシアルキル基としては、例として、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、1−メチル−2−メトキシエチル、1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピル、および1−(2−メトキシエチル)−3−メトキシプロピルが挙げられる。
【0019】
「アルキルスルホニルアルキル」は、式Ra’−SO2−Rb’−の部分を意味し、ここで、Ra’は、本明細書中で定義されたとおりのアルキルであり、Rb’は、本明細書中で定義されたとおりのアルキレンである。例示的なアルキルスルホニルアルキル基としては、例として、3−メタンスルホニルプロピル、2−メタンスルホニルエチル、2−メタンスルホニルプロピル等が挙げられる。
【0020】
「アルキルアミノ」は、式−NR−R’の部分を意味し、ここで、Rは、水素または本明細書中で定義されたとおりのアルキルであり、R’は、本明細書中で定義されたとおりのアルキルである。
【0021】
「アルコキシアミノ」は、式−NR−OR’の部分を意味し、ここで、Rは、水素または本明細書中で定義されたとおりのアルキルであり、R’は、本明細書中で定義されたとおりのアルキルである。
【0022】
「アルキルスルファニル」は、式−SRの部分を意味し、ここで、Rは、本明細書中で定義されたとおりのアルキルである。
【0023】
「アルキルスルホニル」は、式−SO2Rの部分を意味し、ここで、Rは、本明細書中で定義されたとおりのアルキルである。
【0024】
「アミノアルキル」は、基−R−R’を意味し、ここで、R’は、アミノであり、Rは、本明細書中で定義されたとおりのアルキレンである。「アミノアルキル」としては、アミノメチル、アミノエチル、1−アミノプロピル、2−アミノプロピル等が挙げられる。「アミノアルキル」のアミノ部分は、アルキルで1回または2回置換されていてもよく、それぞれ、「アルキルアミノアルキル」および「ジアルキルアミノアルキル」となる。「アルキルアミノアルキル」としては、メチルアミノメチル、メチルアミノエチル、メチルアミノプロピル、エチルアミノエチル等が挙げられる。「ジアルキルアミノアルキル」としては、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、N−メチル−N−エチルアミノエチル等が挙げられる。
【0025】
「アミノアルコキシ」は、基−OR−R’を意味し、ここで、R’は、アミノであり、Rは、本明細書中で定義されたとおりのアルキレンである。「アルキルスルホニルアミド」は、式−NR’SO2−Rの部分を意味し、ここで、Rは、アルキルであり、R’は、水素またはアルキルである。
【0026】
「アミノ」は、基−NR’Rを意味し、R’およびRは、各々独立に、水素またはアルキルである。
【0027】
「アリール」は、場合により1個以上の置換基、好ましくは1、2または3個の置換基で置換された、1価の単環式または二環式芳香族炭化水素部分を意味し、各々の置換基は、好ましくは、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、アミノ、モノおよびジアルキルアミノ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アシル、ヘテロアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているアラルキル、ならびに場合により置換されているヘテロアラルキルよりなる群から選択される。特に好ましいアリール置換基は、ハロゲン化物である。より具体的には、用語アリールとして、その各々が置換されているかまたは置換されていない、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
「アラルキル」は、式Ara−Rz−の部分を意味し、ここで、Araは、本明細書中で定義されたとおりの場合により置換されているアリールであり、Rzは、本明細書中で定義されたとおりのアルキレンである。
【0029】
「置換アラルキル」または「場合により置換されているアラルキル」は、それぞれ、アリール部分が置換されたまたは場合により置換されているアラルキルを意味する。
【0030】
「シクロアルキル」は、3〜7個の環炭素の飽和1価環式炭化水素部分、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、4−メチル−シクロヘキシル等を意味する。シクロアルキルは、場合により、1以上の置換基、好ましくは1、2または3個の置換基で置換されていてもよい。好ましくは、シクロアルキル置換基は、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロ、アミノ、モノおよびジアルキルアミノ、ヘテロアルキル、アシル、アリールならびにヘテロアリールよりなる群から選択される。
【0031】
「シクロアルキルアルキル」は、式Rc'−Rd'−の部分を意味し、ここで、Rc'は、本明細書中で定義されたとおりのシクロアルキルであり、Rd'は、本明細書中で定義されたとおりのアルキレンである。
【0032】
「ハロ」、「ハロゲン」または「ハロゲン化物」は、本明細書中で互換的に使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。好ましいハロゲン化物は、フルオロおよびクロロであり、特に好ましいハロゲン化物は、フルオロである。
【0033】
「ハロアルキル」は、1個以上の、同一または異なるハロ原子で置換されたアルキル、例えば−CH2Cl、−CF3、−CH2CF3、−CH2CCl3等を意味する。
【0034】
「ヘテロアルキル」は、1個以上の、好ましくは1、2または3個の水素原子が、−ORa’、−NRb’c’(ここで、Rb’およびRc’が双方とも独立に、アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキルである場合には、nは、0または1であり、そうでない場合には、nは0である)および−S(O)nd’(ここで、nは0〜2の整数である)よりなる群から独立して選択された置換基で置き換えられている、本明細書中で定義されたとおりのアルキル部分を意味し、その際、ヘテロアルキル部分の結合点は炭素原子を通してであると理解され、ここで、Rは、水素、アシル、アルコキシカルボニル、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アミノスルホニルアミノ、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルであり;Rb’およびRc’は、互いに独立に、水素、アシル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノカルボニル、アミノスルホニルアミノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、モノもしくはジアルキルアミノスルホニル、アミノアルキル、モノもしくはジアルキルアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキルスルホニルまたはアルコキシアルキルスルホニルであり;nが0である場合、Rd’は、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルまたはアリールであり、nが1または2である場合、Rd’は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミノ、アミノカルボニル、アミノスルホニルアミノ、アルキルスルホニル、アミノ、または場合により置換されているフェニルである。代表例としては、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。したがって、ヒドロキシアルキルおよびアルコキシアルキルは、ヘテロアルキルの下位集合である。
【0035】
「ヘテロアリール」は、N、OまたはS(好ましくは、NまたはO)から選択された1、2または3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである少なくとも1個の芳香族環を有する、5〜12個の環原子の1価の単環式または二環式部分を意味し、ヘテロアリール部分の結合点は、芳香環上であると理解される。ヘテロアリール環は、場合により、1個以上の置換基、好ましくは1、2または3個の置換基で独立に置換されており、それらの各々は、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ニトロ、およびシアノから互いに独立に選択される。より具体的には、用語ヘテロアリールとして、ピリジル、フラニル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジニル、ベンゾフラニル、テトラヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリルまたはベンゾチエニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、およびこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
「ヘテロアリールアルキル」は、式Arz−Ry−の部分を意味し、ここでArzは、本明細書中で定義されたとおりのヘテロアリールであり、Ryは、本明細書中で定義されたとおりのアルキレンである。
【0037】
「ヘテロシクリル」は、1または2個の環原子が、N、OまたはS(O)n(ここで、nは、0〜2の整数である)、好ましくはNまたはOから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCである、3〜8環原子の飽和または不飽和非芳香族環式部分を意味し、ここで、1または2個のC原子は、場合によりカルボニル基で置き換えれていてもよい。ヘテロシクリル環は、場合により独立に、1以上の、好ましくは1、2または3個の置換基で置換されていてもよく、それらの各々は、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ニトロ、シアノ、シアノアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノおよびジアルキルアミノ、アラルキル、−(X)n−C(O)Re(ここで、XはOまたはNRfであり、nは0または1であり、Reは水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ(nが0のとき)、アルコキシ、アミノ、モノおよびジアルキルアミノ、または場合により置換されているフェニルであり、RfはHまたはアルキルである)、−アルキレン−C(O)Rg(ここで、Rgはアルキル、−ORhまたはNRijであり、Rhは水素、アルキルまたはハロアルキルであり、RiおよびRjは独立に、水素またはアルキルである)、および−S(O)nk(ここで、nは、0〜2の整数であり、nが0のとき、Rkは水素、アルキル、シクロアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり、nが1または2のとき、Rkはアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、またはジアルキルアミノである)から独立に選択される。ヘテロシクリル置換基の特に好ましい群として、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノおよびジアルキルアミノ、アラルキル、ならびに−S(O)nkが挙げられる。特に、用語ヘテロシクリルとしては、テトラヒドロフラニル、ピリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジノ、N−メチルピペリジン−3−イル、ピペラジノ、N−メチルピロリジン−3−イル、3−ピロリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオモルホリノ−1−オキシド、チオモルホリノ−1、1−ジオキシド、4−(1,1−ジオキソ−テトラヒドロ−2H−チオピラニル)、ピロリニル、イミダゾリニル、N−メタンスルホニルピペリジン−4−イル、およびそれらの誘導体が挙げられ、それらの各々は、場合により置換されている。
【0038】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式−R−R’の部分を意味し、ここで、Rは、本明細書中で定義されたとおりのアルキレンであり、R’は、本明細書中で定義されたとおりのヘテロシクリルである。
【0039】
「ヘテロシクリルオキシ」は、式−ORの部分を意味し、ここで、Rは、本明細書中で定義されたとおりのヘテロシクリルである。
【0040】
「ヘテロシクリルアルコキシ」は、式−OR−R’の部分を意味し、ここで、Rは、本明細書中で定義されたとおりのアルキレンであり、R’は、本明細書中で定義されたとおりのヘテロシクリルである。
【0041】
「ヒドロキシアルコキシ」は、式−ORの部分を意味し、ここで、Rは、本明細書中で定義されたとおりのヒドロキシアルキルである。
【0042】
「ヒドロキシアルキルアミノ」は、式−NR−R’の部分を意味し、ここで、Rは、水素または本明細書中で定義されたとおりのアルキルであり、R’は、本明細書中で定義されたとおりのヒドロキシアルキルである。
【0043】
「ヒドロキシアルキルアミノアルキル」は、式−R−NR’−R”の部分を意味し、ここで、Rは、本明細書中で定義されたとおりのアルキレンであり、R’は、水素または本明細書中で定義されたとおりのアルキルであり、R”は、本明細書中で定義されたとおりのヒドロキシアルキルである。
【0044】
「ヒドロキシアルキル」は、ヘテロアルキルの下位集合を意味し、特に、1以上の、好ましくは1、2または3個のヒドロキシ基で置換された、本明細書中で定義されたとおりのアルキル部分を意味するが、但し、同一の炭素原子は1より多いヒドロキシ基を持たない。代表例として、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチルおよび2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
「ヒドロキシシクロアルキル」は、本明細書中で定義されたとおりのシクロアルキル部分の下位集合を意味し、具体的に、シクロアルキル部分中の1以上の、好ましくは1、2または3個の水素原子がヒドロキシ置換基で置き換えられた、本明細書中で定義されたとおりのシクロアルキル部分を意味する。代表例として、2−、3−、または4−ヒドロキシシクロヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
「脱離基」とは、合成有機化学において通常それに伴う意味を有し、すなわち求核剤で置き換えることができる原子または基を意味し、ハロ(例えばクロロ、ブロモおよびヨード)、アルカンスルホニルオキシ、アレーンスルホニルオキシ、アルキルカルボニルオキシ(例えばアセトキシ)、アリールカルボニルオキシ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールオキシ(例えば2,4−ジニトロフェノキシ)、メトキシ、N,O−ジメチルヒドロキシルアミノ等が挙げられる。
【0047】
「場合により置換されているフェニル」とは、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、アミノ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、およびアシルよりなる群から選択される、1以上の置換基、好ましくは1または2個の置換基で場合により独立して置換されているフェニル環を意味する。
【0048】
「薬学的に許容され得る賦形剤」とは、医薬組成物の製造において有用であって、一般的に安全であり、無毒性であり、生物学的にも、他の観点からも好ましくないものではない賦形剤を意味し、獣医用ならびにヒト医薬用途に許容され得る賦形剤を包含する。本明細書および特許請求の範囲で使用する「薬学的に許容され得る賦形剤」は、このような賦形剤の1種以上を包含する。
【0049】
化合物の「薬学的に許容され得る塩」は、薬学的に許容され得る、親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味する。このような塩としては、(1)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等で形成される酸付加塩;または有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等で形成される酸付加塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンにより置き換えられるか;または有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等と配位する場合に形成される塩が挙げられる。
【0050】
用語「プロ−ドラッグ」および「プロドラッグ」は、本明細書中で互換的に使用され、このようなプロドラッグを哺乳動物被験対象に投与した時に、式Iに係る活性な親薬物をインビボで放出するすべての化合物を意味する。式Iの化合物のプロドラッグは、式Iの化合物中に存在する1個以上の官能基を修飾し、その修飾部がインビボで開裂して親化合物が放出されるように製造される。プロドラッグは、式Iの化合物中のヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル、カルボキシまたはカルボニル基が、インビボで開裂して遊離のヒドロキシル、アミノまたはスルフヒドリル基をそれぞれ再生することができるいずれかの基に結合している式Iの化合物を包含する。プロドラッグの例として、式Iの化合物中の、ヒドロキシ官能基のエステル(例えばアセテート、ジアルキルアミノアセテート、ホルメート、ホスフェート、スルフェート、およびベンゾエート誘導体)およびカ−バメート(例えばN,N−ジメチルアミノカルボニル)、カルボキシ官能基のエステル基(例えば、エチルエステル、モルホリノエタノールエステル)、アミノ官能基のN−アシル誘導体(例えば、N−アセチル)N−マンニッヒ塩基、シッフ塩基およびエナミノン、ケトンおよびアルデヒド官能基のオキシム、アセタール、ケタールおよびエノールエステル等挙げられるが、これらに限定されるものではない。Bundegaard, H. "Design of Prodrug" p1-92, Elsevier, New York-Oxford (1985)参照。
【0051】
「保護基」は、分子中の反応性基に結合した時に、その反応性をマスク、抑制または阻止する原子団を意味する。保護基の例は、Green and Wuts, Protective Groups in Organic Chemistry, (Wiley, 2nd ed. 1991)およびHarrison and Harrisonら、Compendium of Synthetic Organic Methods, Vols. 1-8 (John Wiley and Sons, 1971-1996)に記載されている。代表的なアミノ保護基としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、トリメチルシリル(TMS)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(SES)、トリチルおよび置換されたトリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)等が挙げられる。代表的なヒドロキシ保護基としては、ヒドロキシ基をアシル化またはアルキル化する保護基、例えばベンジル、およびトリチルエーテルならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテルおよびアリルエーテルが挙げられる。
【0052】
疾患を「処置すること」または「処置」は、(1)疾患を予防すること、すなわち疾患にさらされる可能性があるか、または病気になりやすいが、まだ疾患を経験していないか、または疾患の症状を示していない哺乳動物において、疾患の臨床的症状を引き起こさないこと、(2)疾患を抑制すること、すなわち疾患またはその臨床的症状の進行を止めるか、または遅らせること、または(3)疾患を緩和すること、すなわち疾患またはその臨床的症状を後退させることを包含する。
【0053】
「治療上有効量」とは、疾患を処置するために哺乳動物に投与した時に、その疾患を処置するのに十分な化合物の量を意味する。「治療上有効量」は、化合物、疾患およびその重篤度、ならびに処置される哺乳動物の年齢、体重等により異なる。
【0054】
本明細書中で使用される、用語「上で定義されたとおりのもの」および「本明細書中で定義されたとおりのもの」は、本明細書中で互換的に使用され、ある変形を参照する場合、その変形の広い定義および、存在するのであれば、好ましい、より好ましいおよび最も好ましい定義を参照して組み入れられる。
【0055】
「モジュレーター」は、対象物と相互作用する分子を意味する。相互作用は、本明細書中で定義されたとおりのアゴニスト、アンタゴニスト等を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0056】
「場合による」または「場合により」は、その後に続いて記載される事象または状況が起こり得るが、起こる必要はなく、そしてその記載が、その事象または状況が起こる場合と、起こらない場合とを包むことを意味する。
【0057】
「疾患状態」は、すべての疾患、状態、症状、または徴候を意味する。
【0058】
「不活性有機溶媒」または「不活性溶媒」は、それに関連して説明されている反応条件下で不活性である溶媒を意味し、例えばベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、塩化メチレンまたはジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、ピリジン等を包含する。特記のない限り、本発明の反応で使用する溶媒は、不活性溶媒である。
【0059】
「溶媒和物」は、化学量論的または非化学量論的量の溶媒を含む溶媒付加形態を意味する。ある種の化合物は、結晶性固体状態において一定モル比の溶媒分子をトラップし、それによって溶媒和物を形成する傾向を有する。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1個以上の水分子と物質の一つとの組合せにより形成され、そこでは、水がH2Oとしてのその分子状態を維持しており、そのような組合せは一種以上の水和物を形成することができる。
【0060】
「被験対象」は、哺乳動物および非哺乳動物を意味する。哺乳動物は、ヒト;非ヒト霊長目、例えばチンパンジーおよび他の類人猿およびサル種;家畜動物、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギおよびブタ;家畜、例えばウサギ、イヌおよびネコ;実験動物、例えばラット、マウスおよびモルモット等の齧歯類などを含む哺乳綱区分のすべてのメンバーを意味するが、これらに限定されるものではない。非哺乳動物の例は、鳥類などを含むが、これらに限定されるものではない。用語「被験対象」は、特定の年齢または性を指定しない。
【0061】
用語「上で定義されたとおりのもの」および「本明細書中で定義されたとおりのもの」は、ある変形を参照する場合、その変形の広い定義および、存在するのであれば、好ましい、より好ましいおよび最も好ましい定義が参照して組み入れられる。
【0062】
化学反応に関しての用語「処理する」、「接触する」および「反応する」は、適切な条件下に2以上の反応剤を添加または混合して、指示されたおよび/または所望の生成物を製造することを意味する。指示されたおよび/または所望の生成物を製造する反応は、必ずしも、最初に添加した2種の反応剤の組合せから直接得られるものではなく、すなわち、最終的には指示されたおよび/または所望の生成物の生成に導く、混合物中で製造される1以上の中間体が存在していてもよい。
【0063】
一般的に、本願で使用する命名法は、IUPAC系統的命名法の生成のためのBeilstein Instituteコンピュータ化方式AUTONOM(商標)v.4.0に基づく。本明細書中に示す化学構造は、ISIS(登録商標)バージョン2.2を用いて作成した。本明細書中の構造における炭素、酸素および窒素原子でのあらゆる空原子価は、水素原子の存在を意味する。
【0064】
多くの実施態様において、本発明の化合物は、式Iaのものである。
【0065】
式Iaのある実施態様において、kは0である。
【0066】
式Iaのある実施態様において、R3は水素である。
【0067】
式Iaのある実施態様において、XおよびYは窒素である。他の実施態様において、XおよびYの一つは窒素であり、他はCRdである。
【0068】
式Iaの多くの実施態様において、対象化合物は、式II:
【0069】
【化4】

【0070】
(式中、X、Y、Z、A、R1、R2およびR4は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0071】
式IIのある実施態様において、XおよびYは窒素である。他の実施態様において、XおよびYの一つは窒素であり、他はCRdである。
【0072】
式Iaのある実施態様において、本発明の化合物は、式III:
【0073】
【化5】

【0074】
(式中、A、W、R1、R2およびR4は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0075】
式Ia、IIまたはIIIのある実施態様において、AはO、SまたはNRhであり、より好ましくは、Oであり得る。
【0076】
式Iaのある実施態様において、本発明の化合物は、式IV:
【0077】
【化6】

【0078】
(式中、W、R1、R2およびR4は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0079】
式Ia、II、IIIまたはIVの実施態様において、R1は、場合により置換されているフェニルであり得る。
【0080】
式Ia、II、IIIまたはIVのある実施態様において、R1は、2−ハロフェニルまたは2,4−ジハロフェニルである。
【0081】
式Ia、II、IIIまたはIVのある実施態様において、R2は、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているチエニル、または場合により置換されているピリジルである。より好ましくは、R2は、場合により置換されているフェニルである。
【0082】
式Ia、II、IIIまたはIVのある実施態様において、R2は、2−ハロフェニル、2,4−ジハロフェニル、2−アルコキシフェニル、2−アルコキシ−4−ハロフェニルまたは2−アルコキシ−5−ハロフェニルである。
【0083】
式Ia、II、IIIまたはIVのある実施態様において、R2は、ハロ、アルキル、アミノ、アルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルコキシ、アルキルスルファニル、アルコキシアミノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアルコキシ、アミノアルコキシ、ヒドロキシアルキルアミノ、ヒドロキシアルキルアミノアルキル、アラルキルオキシ、またはピリジルアルキルオキシで場合により置換されているフェニルである。
【0084】
式Ia、II、IIIまたはIVのある実施態様において、R2は、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ピリジル、モルホリノ、ベンジルオキシ、4−メチルピペリジニル、2−メトキシエチル−メチルアミノ、イソプロポキシ、ピリジン−2−イルエトキシ、アミノ、メチルスルファニル、2,3−ジヒドロキシプロポキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−(モルホリン−4−イル)エトキシ、2−(ジメチルアミノ)エトキシ、3,4−ジヒドロキシブチルオキシ、モルホリン−4−イルメチル、(2−ヒドロキシプロピル)−アミノメチル、ヒドロキシメチル、エトキシ、ピペリジン−4−イルオキシ、またはピラン−4−イルオキシで場合により置換されているフェニルである。
【0085】
式Iaのある実施態様において、本発明の化合物は、式V:
【0086】
【化7】

【0087】
(式中、
pおよびqの各々は、独立に、0〜4であり;
各々のR6は、独立に、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、またはシアノであり;
各々のR7は、独立に、ハロ、アルキル、ハロアルキル、シアノ、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキルまたは−C(=O)−Rnであり、ここで、Rnは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;
X、Y、A、WおよびR4は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0088】
式Vのある実施態様において、XおよびYは窒素である。他の実施態様において、XおよびYの一つは窒素であり、他はCRdである。
【0089】
式Iaのある実施態様において、本発明の化合物は、式VI:
【0090】
【化8】

【0091】
(式中、p、q、A、W、R4、R6およびR7は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0092】
式VまたはVIのある実施態様において、AはO、SまたはNRhであり、より好ましくは、Oであり得る。
【0093】
式Iaのある実施態様において、本発明の化合物は、式VII:
【0094】
【化9】

【0095】
(式中、p、q、W、R4、R6およびR7は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0096】
式Ia、II、III、IV、V、VIまたはVIIのある実施態様において、Wは、NRfまたはOであり得る。
【0097】
式Iaのある実施態様において、本発明の化合物は、式VIII:
【0098】
【化10】

【0099】
(式中、p、q、A、R4、R6、R7およびRfは、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0100】
式VIIIのある実施態様において、AはO、SまたはNRhであり、より好ましくは、Oであり得る。
【0101】
式Iaのある実施態様において、本発明の化合物は、式IX:
【0102】
【化11】

【0103】
(式中、p、q、R4、R6、R7およびRfは、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0104】
式Iaのある実施態様において、本発明の化合物は、式X:
【0105】
【化12】

【0106】
(式中、p、q、A、R4、R6、およびR7は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0107】
式Xのある実施態様において、AはO、SまたはNRfであり、より好ましくは、Oであり得る。
【0108】
式Iaのある実施態様において、本発明の化合物は、式XI:
【0109】
【化13】

【0110】
(式中、p、q、R4、R6、およびR7は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0111】
式V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、pは1または2であり、R6はハロである。好ましくは、R6は、フルオロまたはクロロ、より好ましくはフルオロである。
【0112】
式V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R2はハロ、アルキル、アミノ、アルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルコキシ、アルキルスルファニル、アルコキシアミノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアルコキシ、アミノアルコキシ、ヒドロキシアルキルアミノ、ヒドロキシアルキルアミノアルキル、アラルキルオキシ、またはピリジルアルキルオキシである。
【0113】
式V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R2は、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ピリジル、モルホリノ、ベンジルオキシ、4−メチルピペリジニル、2−メトキシエチル−メチルアミノ、イソプロポキシ、ピリジン−2−イルエトキシ、アミノ、メチルスルファニル、2,3−ジヒドロキシプロポキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−(モルホリン−4−イル)エトキシ、2−(ジメチルアミノ)エトキシ、3,4−ジヒドロキシブチルオキシ、モルホリン−4−イルメチル、(2−ヒドロキシプロピル)−アミノメチル、ヒドロキシメチル、エトキシ、ピペリジン−4−イルオキシ、またはピラン−4−イルオキシである。
【0114】
式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアラルキル、ヒドロキシシクロアルキル、−(CHRar−C(=O)−Rbであるか、またはR4およびRfは、それらが結合している窒素と一緒にヘテロシクリルを形成する。
【0115】
式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、ヘテロアルキルである。
【0116】
4がヘテロアルキルである式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、アミノアルキル、アルキルスルホニルアルキル、アルキルスルホニルアミノアルキルまたはアミノスルホニルアミノアルキルである。
【0117】
式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、ヒドロキシアルキルである。
【0118】
4がヒドロキシアルキルである式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシプロパン−2−イル、2−ヒドロキシエチル、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、1,5−ジヒドロキシペンタン−3−イル、3,4−ジヒドロキシブチル、1,3−ジヒドロキシブタン−2−イル、2−ヒドロキシメチル−1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、3−ヒドロキシ−3−メチルブタン−2−イル、4,5−ジヒドロキシペンチル、3−ヒドロキシプロピル、または1,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イルであり得る。好ましいヒドロキシアルキルとして、(R)−2−ヒドロキシプロピルおよび(S)−2−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0119】
式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、ヘテロシクリルである。
【0120】
4がヘテロシクリルである式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、テトラヒドロピラン−4−イル、ピペリジン−4−イル、1−メタンスルホニルピペリジン−4−イル、3−ヒドロキシテトラヒドロピラン−4−イル、3−ヒドロキシテトラヒドロフラン−4−イル、または3−ヒドロキシヘキサヒドロフロ[3,2−b]フラン−3−イルであり得る。
【0121】
式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、ヘテロシクリルアルキルである。
【0122】
4がヘテロシクリルアルキルである式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、3−(モルホリン−4−イル)プロピル、2−(モルホリン−4−イル)エチル、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピル、2−(テトラヒドロフラン−4−イル)エチル、テトラヒドロフラン−2−イルメチル、3−フルオロオキセタン−3−イルメチル、3−ヒドロキシメチルオキセタン−3−イルメチル、2,2−ジメチル[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル、2−(ピロリジン−2,5−ジオン−1−イル)エチル、2−(イミダゾリン−2−オン−1−イル)エチル、2−(2,2−ジメチル[1,3]ジオキソラン−4−イル)エチル、3−(2,2−ジメチル[1,3]ジオキソラン−4−イル)プロピル、2−(ピロリジン−2−オン−1−イル)エチル、2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル、2−(4−メタンスルホニルピペラジン−1−イル)エチル、2−(オキサゾリジン−2−オン−1−イル)エチル、1,4−ジオキサン−2−イルメチル、2−(ピロリジン−1−イル)エチル、1−メチルピペリジン−4−イルメチル、または2−(3−メチル−イミダゾリン−2−オン−1−イル)エチルであり得る。
【0123】
式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、ヘテロアラルキルである。
【0124】
4がヘテロアラルキルである式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、2−(2−メチルイミダゾール−1−イル)エチル、2−(オキサジアゾール−2−イル)エチル、2−(4−メチル−2,3−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン−5−イル)エチル、2−(1−メチルイミダゾール−2−イル)エチル、2−(1−メトキシメチル−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)エチル、2−(2−メトキシメチル−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)エチル、2−([1,2,4]トリアゾール−3−イル)エチル、2−(2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン−4−イル)エチルであり得る。
【0125】
式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、−(CHRar−C(=O)−Rbである。
【0126】
4が−(CHRar−C(=O)−Rbである式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、rは1、2または3であり、Raは、水素であり、Rbは、tert-ブトキシ、ヒドロキシ、モルホリン−4−イル、ジメチルアミノまたはメチルである。
【0127】
4が−(CHRar−C(=O)−Rbである式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、rは1であり、Raは、ヒドロキシメチルまたは1−ヒドロキシエチルであり、Rbは、tert-ブトキシ、ヒドロキシ、モルホリン−4−イル、ジメチルアミノまたはメチルである。
【0128】
式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4およびRfは、それらが結合している窒素と一緒にヘテロシクリルを形成する。
【0129】
4およびRfが、それらが結合している窒素と一緒にヘテロシクリルを形成する、式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、そのヘテロシクリルは、1,1−ジオキソ−1λ*6*−チオモルホリン−4−イル、1,1−ジオキソ−1λ*6*[1,2]チアジナン−2−イル、4−メチルピペラジン−1−イル、4−ヒドロキシピペリジン−1−イル、4−メタンスルホニルピペラジン−1−イル、モルホリン−4−イル、4−ヒドロキシメチルピペリジン−1−イル、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル、3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル、2−ヒドロキシメチルピロリジン−1−イル、3−ヒドロキシピペリジン−1−イル、4−(ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル、または3−ヒドロキシピロロジン−1−イルであり得る。
【0130】
式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、ヒドロキシシクロアルキルである。
【0131】
4がヒドロキシシクロアルキルである式Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、XまたはXIのある実施態様において、R4は、ヒドロキシシクロヘキサン−2−イル、ヒドロキシシクロペンタン−2−イル、または1,3−ジヒドロキシシクロヘキサン−5−イルであり得る。
【0132】
式Ibのある実施態様において、XおよびYは窒素である。他の実施態様において、XおよびYの一つは窒素であり、他はCRdである。
【0133】
式Ibのある実施態様において、本発明の化合物は、より具体的には、式XII:
【0134】
【化14】

【0135】
(式中、A、W、R1、R2およびR4は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0136】
式Ibのある実施態様において、本発明の化合物は、より具体的には、式XIII:
【0137】
【化15】

【0138】
(式中、W、R1、R2およびR4は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0139】
式Ibのある実施態様において、本発明の化合物は、より具体的には、式XIV:
【0140】
【化16】

【0141】
(式中、p、q、A、X、Y、W、R4、R6、およびR7は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0142】
式XIVのある実施態様において、XおよびYは窒素である。他の実施態様において、XおよびYの一つは窒素であり、他はCRdである。
【0143】
式Ibのある実施態様において、本発明の化合物は、より具体的には、式XV:
【0144】
【化17】

【0145】
(式中、p、q、A、W、R4、R6、およびR7は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0146】
式Ibのある実施態様において、本発明の化合物は、より具体的には、式XVI:
【0147】
【化18】

【0148】
(式中、p、q、W、R4、R6、およびR7は、本明細書中で定義されたとおりである)
のものであり得る。
【0149】
式Icのある実施態様において、ZはCRcであり、対象化合物は、式XVII:
【0150】
【化19】

【0151】
(式中、A、R1、R2、R5、およびRcは、本明細書中で定義されたとおりである)
で表すことができる。
【0152】
式Icのある実施態様において、本発明の化合物は、式XVIII:
【0153】
【化20】

【0154】
(式中、
pおよびqの各々は、独立に、0〜4であり;
各々のR6は、独立に、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、またはシアノであり;
各々のR7は、独立に、ハロ、アルキル、ハロアルキル、シアノ、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキルまたは−C(=O)−Rnであり、ここで、Rnは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり;
AおよびR5は、本明細書中で定義されたとおりである)
で表し得る。
【0155】
式Icの具体的な実施態様において、本発明の化合物は、式XIX:
【0156】
【化21】

【0157】
(式中、p、q、R5、R6およびR7は、本明細書中で定義されたとおりである)
で表し得る。
【0158】
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、RjまたはRkのいずれかがアルキルであるかまたはアルキル部分を有している本発明の実施態様において、そのようなアルキルは、好ましくは低級アルキル、すなわちC1〜C6アルキル、より好ましくはC1〜C4アルキルである。
【0159】
式Iの化合物の薬学的に許容され得る酸付加塩として、無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等から誘導される塩、ならびに有機酸、例えば脂肪族モノ−およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸等から誘導される塩が挙げられる。このような塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩等が挙げられる。アミノ酸の塩、例えばアルギン酸塩等、およびグルコン酸塩、ガラクツロン酸塩も含まれる(例えば、Bergeら、J. of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19参照)。
【0160】
塩基性化合物の酸付加塩は、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用の方法で塩を生成することにより、製造することができる。遊離塩基形態は、塩形態を塩基と接触させ、遊離塩基を慣用の方法で単離することにより、再生することができる。遊離塩基形態は、それらのそれぞれの塩形態と、特定の物理的特性、例えば極性溶媒に対する溶解度においてある程度異なる場合があるが、他の点では、これらの塩は、本発明の目的のためにそれらのそれぞれの遊離塩基と等価である。
【0161】
本発明に係る代表的な化合物を、下記の表1に示す。
【0162】
【表1】

































【0163】
本発明の化合物は、以下に示され記載される説明用の合成反応スキームに記載の種々の方法により製造することができる。
【0164】
これらの化合物を製造する上で使用される出発原料および試薬は、一般に、商業的供給者、例えばAldrich Chemical Co.,から入手できるか、あるいは参考文献、例えばFieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-15; Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Elsevier Science Publishers, 1989, Volumes 1-5および補遺;ならびにOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40に記載の手順に従って、当業者に公知の方法により製造される。以下の合成反応スキームは、それにより本発明の化合物が合成できるいくつかの方法の単なる例示であり、これらの合成反応スキームへの種々の修正を行うことができ、またこの出願に含まれる開示を参照した当業者はその示唆を受けるであろう。
【0165】
合成反応スキームの出発原料および中間体は、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等を含み、但しそれらに限定されない慣用の手法を用いて、所望により単離および精製することができる。そのような物質は、物理定数およびスペクトルデータを含む、慣用の手段を用いて特徴付けすることができる。
【0166】
異なるように特記されない限り、本明細書中に記載の反応は、好ましくは、不活性な雰囲気下に、大気圧で、約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約125℃の反応温度範囲で、最も好ましく且つ好都合には、およそ室温(または周囲温度)、例えば約20℃で行われる。
【0167】
本発明のピラゾロピリミジン化合物を製造する具体的な方法の一つを、下記のスキーム1に示す。
【0168】
【化22】

【0169】
スキームIにおいて、ジクロロチオピリミジンaは、塩基、例えばリチウムジイソプロピルアミド(LDA)または当業者に周知の他の好適な塩基を用いて、脱プロトン化される。脱プロトン化されたピリミジンaを、ベンズアルデヒドbまたはその誘導体と反応させて、アルコールcを得る。このアルコールcは、例えば二酸化マンガンで酸化されて、ピリミジンフェニルケトンdを生成する。ケトンdをヒドラジンと反応させると、ピラゾロピリミジンeの形態の閉環生成物を与える。ピラゾロピリミジンeを求核剤、例えばアミンfと反応させると、ピラゾロピリミジンe上のクロロ基が置換されて、アミノピラゾロピリミジンgが得られる。あるいは、アルコキシドRa-またはチオアルコキシドRa-を、アミンfの代わりに使用し得る。次いで、アミノピラゾロピリミジンg上のチオ基は、例えばオキソン(Oxone)、m−クロロ過安息香酸または当業者に公知の他の酸化剤で酸化されて、スルホニルピラゾロピリミジン誘導体hを与える。ピラゾロピリミジン誘導体h上のスルホニル基は、次いで、求核性のアリール基i、例えば場合により置換されているフェノキシド、場合により置換されているアニリン、または場合により置換されているチオフェノキシドで置き換えられて、本発明に係るピラゾロピリミジンjを与える。
【0170】
本発明のピラゾロピリジノン化合物は、下記のスキームIIに示すように、ピラゾール化合物から製造することができ、ここで、PGは保護基であり、各々の出現毎に同一であっても異なっていても良い。
【0171】
【化23】

【0172】
スキームIIにおいて、ニトロピラゾールカルボン酸化合物kをエステル化すると、ニトロピラゾールエステルが得られ、続いて、環窒素原子の一つを保護すると、保護された位置異性体m、nの混合物を与え、それらは分離される。保護基としては、例えば、2−(トリメチルシリル)エトキシ−メチル基を含み得る。2−保護ピラゾール化合物mを、次いで、還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウムまたは当業者に公知の他の好適な還元剤で処理すると、アルコールoが得られる。アルコールoは、上記の、酸化マンガン(IV)または他の好適な酸化剤で酸化されて、ピラゾールカルボアルデヒド化合物pをもたらす。アルデヒドpをα−アリールオキシエステルqのアニオンと縮合させると、α−アリールオキシ−β−ヒドロキシエステルrが得られる。α−アリールオキシ−β−ヒドロキシエステルrのニトロ基を還元剤、例えば塩化アンモニウムの存在下での鉄または当業者に公知の他の好適な還元条件で還元すると、環形成とβ−ヒドロキシ基の脱離が同時に生起して、ピラゾロピリジノン誘導体sを与える。アミド窒素は、次いで、慣用の条件下に、ヨウ化アルキルまたはヨウ化ヘテロアルキルRcI等のアルキル化剤でアルキル化されて、N−アルキルピラゾロピリジノンtを与える。RcI上に存在する官能性、例えばヒドロキシ基は、保護され、続いて、スキームIIの最後に脱保護され得る。
【0173】
N−アルキル化ピラゾロピリジノンtのピラゾリン環部分の脱保護と、引き続く炭酸カリウムの存在下での一塩化ヨウ素または当業者に公知の他の好適なヨウ素化条件での処理は、ヨードピラゾロピリジノンuを与える。ヨードピラゾロピリジノンuのピラゾールの一位は、次いで、Bocまたは同様の保護基で保護され、その後、適切なアリールまたはヘテロアリール化合物vとの交差カップリング反応(例えば、パラジウム触媒の存在下でのアリールボロン酸でのスズキカップリング反応)により、保護されたアリールオキシヨードピラゾロピリジノンwが得られる。次いで、ピラゾリン環窒素原子上の保護基を除去すると、本発明に係るピラゾロピリジノン化合物xを与える。
【0174】
当業者であれば、上記のスキームに対していくつかの変性が考えられ、それらは本発明の範囲内であることを理解するであろう。例えば、いくつかの工程が、特定の反応条件と共存できない官能基に対する保護基の使用を含むであろう。
【0175】
式(I)の化合物を製造するより具体的な詳細は、下記の実施例の項に記載されている。
【0176】
本発明は、少なくとも1種の本発明の化合物、あるいは個々の異性体、異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物、またはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物を、少なくとも1種の薬学的に許容され得る担体、および場合により他の治療的および/または予防的成分と一緒になって含む医薬組成物を包含する。
【0177】
一般的に、本発明の化合物は、治療上有効な量で、類似の用途に使用できる薬剤を投与する妥当な様式のいずれかで投与される。適切な投与量の範囲は、多くのファクター、例えば処置すべき疾患の重篤度、被験対象の年齢および相対的な健康状態、使用する化合物の効力、投与の経路および形態、投与が目的とする兆候、関与する医師の選択および経験に応じて、典型的には1〜500mg/日、好ましくは1〜100mg/日、最も好ましくは1〜30mg/日である。そのような疾患を処置する分野の当業者であれば、過度の実験をせずに、個人の知識および本願の開示により、特定の疾患に対する本発明の化合物の治療上有効量を確定することができる。
【0178】
一般的に、本発明の化合物は、経口(口腔および舌下を含む)、直腸内、経鼻、局所的、経肺、経膣、もしくは非経口的(筋肉内、動脈内、脊髄内、皮下および静脈内を含む)投与に好適なものを包含する医薬製剤として、または吸入もしくは通気による投与に好適な形態で投与する。好ましい投与様式は、一般に、苦痛の度合いに応じて調節できる、便利な一日投薬計画を使用する経口投与である。
【0179】
本発明の化合物は、1種以上の慣用の助剤、担体、または希釈剤と一緒になって、医薬組成物の形態および単位投薬形態にすることができる。医薬組成物および単位投薬形態は、他の活性化合物または活性成分を含むか、または含まずに、慣用の成分を慣用の比率で含んでなり、単位投薬形態は、採用された所期の1日当たりの用量範囲に応じた、任意の適切な有効量の活性成分を含み得る。医薬組成物は、固形剤、例えば、錠剤もしくは充填カプセル剤、半固形剤、散剤、徐放性製剤、または液剤、例えば溶液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤もしくは経口用の充填カプセル剤;あるいは直腸または膣内投与用の坐剤の形態で;または非経口的に使用するための無菌注射溶液の形態で使用できる。したがって、1錠あたり、約1ミリグラム、またはより広く、約0.01〜約100ミリグラムの活性成分を含む製剤が適切な代表的単位投薬形態である。
【0180】
本発明の化合物は、多種多様な経口投与剤形で製剤化し得る。医薬組成物および投薬形態は、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を活性成分として含み得る。薬学的に許容され得る担体は、固体でも液体でもよい。固体形態の製剤は、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤を含む。固体担体は、希釈剤、着香剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤またはカプセル封入材料としても作用し得る1種以上の物質であり得る。散剤では、担体は一般に細かく分割した固体であり、それは細かく分割した活性成分との混合物である。錠剤では、活性成分は一般に、必要な結合能力を有する担体と適切な比率で混合され、所望の形状および大きさに圧縮される。散剤および錠剤は、好ましくは約1〜約70%の活性化合物を含む。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバター等を含むが、これらに限定されない。用語「製剤」は、活性化合物と担体としてのカプセル封入材料との処方物を包含するものであり、活性成分が、担体を伴うかまたは伴わずに、それに関連する担体により取り囲まれているカプセル剤を与える。同様に、カシェ剤およびロゼンジも包含される。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびロゼンジは、固体形態として、経口投与に適切である。
【0181】
経口投与に適切な他の形態は、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性溶液剤、水性懸濁剤を包含する液体形態製剤、または使用の直前に液体形態製剤に変換する固体形態製剤を含む。乳剤は、溶液中で、例えばプロピレングリコール水溶液中で調製されてもよく、また乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアカシアを含んでいてもよい。水性溶液剤は、活性成分を水に溶解させ、適切な着色剤、香料、安定化剤および増粘剤を加えることにより調製することができる。水性懸濁剤は、細かく分割した活性成分を水中に、粘性物質、例えば天然または合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、その他の周知の懸濁化剤を用いて分散させることにより、調製することができる。固体形態製剤は、溶液剤、懸濁剤、および乳剤を含み、活性成分に加えて、着色剤、香料、安定化剤、緩衝剤、人工または天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含んでいてもよい。
【0182】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注入による、例えばボーラス注射または持続注入)用に製剤化してもよく、アンプル剤、予め充填した注射器、小容量注入剤中の単位投薬形態で、または保存剤を加えた繰り返し投薬用容器として提供し得る。組成物は、油性または水性ビヒクル中の、懸濁剤、溶液剤、または乳剤、例えば、水性ポリエチレングリコール中の溶液剤のような形態を取ってもよい。油性または非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えばオリーブ油)、および注射用有機エステル(例えばオレイン酸エチル)が挙げられ、処方用助剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤または懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤を含んでもよい。あるいは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水で構成されるための、滅菌固体の無菌的単離によりまたは溶液から凍結乾燥により得られる粉末形態であってもよい。
【0183】
本発明の化合物は、表皮への局所投与用に、軟膏剤、クリーム剤またはローション剤として、または経皮パッチ剤として製剤化してもよい。軟膏剤およびクリーム剤は、例えば適切な増粘剤および/またはゲル化剤を加えた水性または油性基剤で製剤化してもよい。ローション剤は、水性または油性基剤で製剤化してもよく、一般的に1種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤または着色剤をも含む。口腔中の局所投与に適切な製剤は、着香した基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性剤を含むロゼンジ;不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア中に活性成分を含む香錠;ならびに適切な液体担体中に活性成分を含むマウスウォッシュ剤を含む。
【0184】
本発明の化合物は、坐剤として投与されるように製剤化してもよい。低融点ワックス、例えば脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物をまず融解させ、活性成分を例えば攪拌により均質に分散させる。次いで、溶融した均質な混合物を慣用の大きさの型に流し込み、冷却させ、固化させる。
【0185】
本発明の化合物は、膣内投与用に製剤化してもよい。活性成分に加えてそのような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー剤がこの分野で適切であることが知られている。
【0186】
本発明の化合物は、鼻内投与用に製剤化してもよい。慣用の手段、例えばドロッパー、ピペットまたはスプレーにより、溶液剤または懸濁剤を鼻腔に直接適用する。製剤は、単回または複数回投薬形態で提供されてもよい。後者のドロッパーまたはピペットの場合、患者が、適切な所定量の溶液剤または懸濁剤を投与することにより達成される。スプレー剤の場合、これは、例えば計量噴霧スプレーポンプにより達成することができる。
【0187】
本発明の化合物は、鼻内投与を含む、エアゾール投与用、特に呼吸管投与用に製剤化してもよい。化合物は一般的に、例えば5ミクロン以下のオーダーの小さな粒子径を有する。そのような粒子径は、この分野で公知の手段、例えば微粉化により得てもよい。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンもしくはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素あるいは他の適切なガスなどの適切な噴射剤を有する加圧容器で提供される。エアゾールは、レシチンなどの界面活性剤をも好適に含み得る。投薬量は、計量バルブにより制御してもよい。あるいは、活性成分は、乾燥散剤、例えば適切な粉末基剤、例えばラクトース、デンプン、デンプン誘導体(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース)、およびポリビニルピロリドン(PVP)中の化合物の粉末混合物の形態で提供し得る。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、単位投薬形態、例えばゼラチンのカプセルもしくはカートリッジまたはブリスターパックで存在してもよく、そこから粉末を吸入器により投与してもよい。
【0188】
所望の場合、製剤は、活性成分を、徐放または制御放出投与するために適合された腸溶コーティングを使用して製造することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮または皮下薬物送達デバイスに製剤化することができる。これらの送達システムは、化合物の徐放が必要な場合および処置計画での患者のコンプライアンスが極めて重要な場合に有利である。経皮送達システム中の化合物は、しばしば皮膚に接着する固体支持体に付着される。目的の化合物は、浸透促進剤、例えば、Azone(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることもできる。徐放送達システムは、手術または注入により皮下層中に皮下挿入される。皮下インプラントでは、脂溶性の膜、例えば、シリコーンゴムまたは生物分解性ポリマー、例えばポリ乳酸中に本化合物を封入する。
【0189】
医薬製剤は、単位投薬形態であることが好ましい。そのような形態では、製剤は、適量の活性成分を含む単位投薬量に再分割されている。単位投薬形態は、包装された製剤であることができ、その包装は、個別量の製剤、例えばパック化錠剤、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の粉末を含む。また、単位投薬形態は、それ自体が、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジであることができ、あるいは包装形態にある適当数のこれらのいずれかであることができる。
【0190】
他の適切な薬学的担体およびそれらの製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995、E.W. Martin編、Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。本発明の化合物を含む代表的な薬学的製剤を、下記の実施例に記載する。
【0191】
本発明の化合物は、ヒトまたは他の哺乳動物における、このような哺乳動物による過剰のもしくは制御されないTNFまたはp38キナーゼ産生により悪化するか、または引き起こされるあらゆる障害または病状の処置(ただし、これらに限定されるものではない)に有用である。したがって、本発明は、p38により仲介される障害の処置方法であって、有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを、それを必要とする被験対象または患者に投与することを含む方法を提供する。
【0192】
本発明の化合物は、被験対象における炎症の処置に、および発熱の処置用の解熱薬として使用するのに有用である(ただし、これらに限定されるものではない)。本発明の化合物は、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、骨関節炎、全身性エリテマトーデスおよび若年性関節炎を包含する(ただし、これらに限定されるものではない)関節炎、骨関節炎、痛風性関節炎、ならびに他の関節炎症状の処置に有用である。このような化合物は、成人呼吸困難症候群、肺サルコイドーシス、喘息、珪肺、および慢性肺炎症性疾患を包含する肺の障害または肺の炎症の処置に有用である。化合物はまた、敗血症、敗血性ショック、グラム陰性敗血症、マラリア、髄膜炎、感染または悪性腫瘍による二次性の悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)による二次性の悪液質、AIDS、ARC(AIDS関連複合疾患)、肺炎、およびヘルペスウイルスを包含するウイルスおよび細菌感染の処置にも有用である。化合物はまた、骨吸収病、例えば骨粗鬆症、内毒素ショック、毒物ショック症候群、再潅流損傷(reperfusion injury)、移植片対宿主反応および同種移植片拒絶を包含する自己免疫性疾患、アテローム性動脈硬化症、血栓症、鬱血性心不全および心臓再潅流損傷を包含する心臓血管病、腎再潅流損傷、肝臓病および腎炎、ならびに感染による筋肉痛の処置にも有用である。
【0193】
化合物は、アルツハイマー病、インフルエンザ、多発性硬化症、癌、糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚に関連する状態、例えば乾癬、湿疹、熱傷、皮膚炎、ケロイド形成、および瘢痕組織形成の処置にも有用である。さらに、本発明の化合物は、胃腸状態、例えば炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、および潰瘍性大腸炎の処置に有用である。化合物は、眼病、例えば網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、眼の輝所恐怖症、および眼の組織に対する急性損傷の処置にも有用である。化合物は、新形成を包含する血管新生;転移;眼科学的状態、例えば角膜移植片拒絶、眼の新生血管形成、損傷または感染に続く新生血管形成を包含する網膜新生血管形成、糖尿病性網膜症、水晶体後方線維増殖症および新生血管緑内障;潰瘍性疾患、例えば胃潰瘍;病理学的な、ただし悪性ではない状態、例えば小児血管腫、鼻咽頭の線維性血管腫および骨の無血管性壊死を包含する血管腫;糖尿病性ネフロパシーおよび心筋症;ならびに女性の生殖系障害、例えば子宮内膜症の処置にも有用であることができる。化合物は、さらに、シクロオキシゲナーゼ−2の産生を阻害に使用可能であり、鎮痛特性を有する。したがって、式Iの化合物は、痛みの処置に有用である。
【0194】
式Iの化合物の他の用途として、HCV、重篤な喘息、乾癬、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、抗TNF化合物で処置することができる他の疾患の処置が挙げられる。
【0195】
ヒトの処置に有用であることに加えて、これらの化合物は、哺乳動物、齧歯類等を包含するペット、外来動物および家畜類の獣医学的処置にも有用である。より好ましい動物としては、馬、犬および猫が挙げられる。
【0196】
本化合物はまた、部分的にまたは完全に、他の慣用の抗炎症剤と置き換わって、例えばステロイド、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、NSAID、DMARDS、免疫抑制剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、LTB4アンタゴニストおよびLTA4ヒドロラーゼ阻害剤と共に、共治療(co-therapy)に使用できる。
【0197】
ここで使用する用語「TNFにより仲介される障害」とは、TNFそれ自体の制御により、あるいはTNFが別のモノカイン、例えばIL−1、IL−6またはIL−8(ただし、これらに限定されるものではない)を放出させることにより、TNFが役割を果たすすべての障害および病気状態を意味する。例えば、IL−1が主成分であり、その産生または作用がTNFに応答して増幅されるかまたは分泌される、病気状態は、したがって、TNFにより仲介される障害と考えられる。
【0198】
ここで使用する用語「p38により仲介される障害」とは、p38それ自体の制御により、あるいはp38が別の因子、例えばIL−1、IL−6またはIL−8(ただし、これらに限定されるものではない)を放出させることにより、p38が役割を果たすすべての障害および病気状態を意味する。例えば、IL−1が主成分であり、その産生または作用がp38に応答して増幅されるかまたは分泌される、病気状態は、したがって、p38により仲介される障害といえる。
【0199】
TNF−βは、TNF−α(カケクチン(chachectin)としても知られている)と近接した構造上の相同性を有しており、それぞれが類似の生物学的応答を誘発し、また同じ細胞レセプタ−に結合するので、TNF−αとTNF−βの双方の合成が本発明の化合物により阻害され、それゆえ、特に他に指示がない限り、本明細書中で一括して「TNF」と呼ぶことにする。
【0200】
実施例
下記の調製例および実施例は、当業者が本発明をより明確に理解し、実施できるために示されている。これらは、本発明の範囲を制限すると考えられるべきではなく、本発明の例示および代表例としてのみ考えられるべきである。
【0201】
特に表記しない限り、融点(すなわちMP)を含む温度は、全て摂氏(℃)である。表示および/または目的生成物を製造する反応が、最初に加えられた2つの試薬を組み合わせた直接の結果である必要はないこと、すなわち混合物中に製造された一つ以上の中間体が存在してよく、最終的にそれが表示および/または目的生成物の形成につながることを理解すべきである。以下の略語を実施例中で使用する。
【0202】
略語:DCM:ジクロロメタン;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;gc:ガスクロマトグラフィー;HMPA:ヘキサメチルホスホルアミド;hplc:高性能液体クロマトグラフィー;mCPBA:m−クロロ過安息香酸;MeCN:アセトニトリル;TEA:トリエチルアミン;THF:テトラヒドロフラン;LDA:リチウムジイソプロピルアミン;TLC:薄層クロマトグラフィー;RT:室温
【0203】
実施例1:スキームIの手順に従った(S)−1−[3−(2−クロロフェニル)−6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]プロパン−2−オールの合成
【0204】
工程1.(2−クロロフェニル)−(4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニルピリミジン−5−イル)−メタノールの調製。
【0205】
【化24】

【0206】
乾燥THF(130mL)中の4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジン(Aldrich)(5.0g、25.64mmol)の溶液に、THF中の2.0M LDA(23.0mL、1.8当量)の溶液をシリンジを介して窒素下で−78℃にてゆっくりと加えた。得られた混合物を更に20分間−78℃で撹拌し、その後シリンジを介して2−クロロベンズアルデヒド(Aldrich)(7.2mL、2当量)を滴下により加えた。反応混合物を−78℃で更に30分間撹拌し、次に飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチした。酢酸エチルを加え、混合物を室温に温めた。水層を分離し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗生成物(14.2g)を油状物として得た。ヘキサン中の5%酢酸エチルで溶離する、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、標記化合物(8.60g、(M+H)=336、融点=109.5〜112.5℃)を得て、それを放置して結晶化させ、白色の固体を得た。
【0207】
工程2.(2−クロロフェニル)−(4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニルピリミジン−5−イル)−メタノンの調製。
【0208】
【化25】

【0209】
トルエン(300mL)中の(2−クロロフェニル)−(4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニルピリミジン−5−イル)−メタノール(8.6g、25.6mmol)の溶液に、酸化マンガン(IV)(Aldrich)(22.3g、10当量)を加え、得られた混合物を合計で5時間撹拌しながら加熱還流した。反応物を室温に冷却し、次に3.5cmのセライトパッドを通して濾過し、濾液を濃縮して、粗生成物8.84gを得た。純粋なヘキサンから出発し、ヘキサン中2%酢酸エチルへ推移し、最後にヘキサン中5%酢酸エチルとなる勾配で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物をオフホワイトの粉末(1.388g、(M+H)=333)として得た。
【0210】
工程3.4−クロロ−3−(2−クロロフェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンの調製。
【0211】
【化26】

【0212】
THF(20mL)中の(2−クロロフェニル)−(4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニルピリミジン−5−イル)−メタノン(875mg、2.62mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.69mL、1.5当量)の混合物に、THF(20mL)中のヒドラジン(83μL、1当量)の溶液を0℃にて撹拌しながら滴下により加えた。添加が完了した後、反応物を2時間かけて徐々に室温に温めた。TLCによる分析は、出発物質がまだ残っていることを示した。更にTHF(10mL)中のヒドラジン(17μL)の溶液3mLを反応混合物に滴下により加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(150mL)および水(50mL)で希釈した。有機層を分離し、水(4×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、標記化合物を黄色を帯びた粉末(867mg、(M+H)=311)として得た。
【0213】
工程4.(S)−1−[3−(2−クロロフェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの調製。
【0214】
【化27】

【0215】
THF(5mL)中の4−クロロ−3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(300mg、0.964mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.34mL、2当量)の混合物に、THF中の(S)−(+)−1−アミノ−2−プロパノール(Aldrich)(0.217g、3当量)の溶液を滴下により加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。反応物をTLC分析によりモニターした。反応混合物を酢酸エチル(150mL)および水(70mL)で希釈した。有機層を分離し、水(2×70mL)およびブライン(1×70mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、標記化合物をオフホワイトの固体として得た(328mg、(M+H)=350)。
【0216】
工程5.(S)−1−[3−(2−クロロフェニル)−6−メタンスルホニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]−ピリミジン−4−イルアミノ]プロパン−2−オールの調製。
【0217】
【化28】

【0218】
THF(15mL)およびメタノール(5mL)中の(S)−1−[3−(2−クロロフェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]プロパン−2−オール(320mg、0.915mmol)の溶液に、m−クロロペルオキシ安息香酸(Aldrich)(431mg、2.1当量)を加え、得られた混合物を室温で30時間撹拌した。反応物をTLC分析によりモニターした。反応混合物を酢酸エチル(170mL)および飽和重炭酸ナトリウム(50mL)で希釈した。有機層を分離し、飽和重炭酸ナトリウム(3×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、標記化合物をオフホワイトの粉末(325mg、(M+H)=382)として得た。
【0219】
工程6.(S)−1−[3−(2−クロロフェニル)−6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]プロパン−2−オールの調製。
【0220】
【化29】

【0221】
マイクロ波反応容器内のDMSO(2mL)中の2,4−ジフルオロフェノール(Aldrich)(0.15mL、4当量)の0℃の溶液に、THF中のカリウムtert−ブトキシド1.0M溶液(1.61mL、4.1当量)を加えた。得られた溶液を室温に温め、10分間撹拌し、次に反応混合物をマイクロ波反応器に入れ、150℃で1時間加熱した。反応混合物を冷却し、酢酸エチル(150mL)および水(50mL)で希釈した。有機層を分離し、水(2×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗化合物(370mg)を得た。DCM中の5%メタノールで溶離する分取薄層クロマトグラフィーにより精製して、標記化合物を白色の粉末(109mg、(M+H)=432、融点=254.6〜258.2℃)として得た。
【0222】
上記の実施例に従って調製した追加の化合物を表1に示す。
【0223】
実施例2:スキームIIの手順に従った3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−4−メチル−1,4−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−5−オンの合成
【0224】
工程1.4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステルの調製。
【0225】
【化30】

【0226】
塩化アセチル(50mL)をエタノール(450mL)に0℃で撹拌しながら滴下により加えた。添加が完了した後、氷浴を取り外し、混合物を室温で30分間撹拌した。この混合物に4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(Aldrich)(10g、63.65mmol)を加え、得られた均質混合物を室温にて合計で48時間撹拌した。反応物をTLCによりモニターした。溶媒を減圧下で除去し、次に酢酸エチルで4回共蒸発した。残渣を高真空下で濃縮し、標記化合物を白色の粉末(11.426g、(M−H)=184、融点=128.0〜130.1℃)として得た。
【0227】
工程2.4−ニトロ−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステルおよび4−ニトロ−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステルの調製。
【0228】
【化31】

【0229】
ジメチルホルムアミド(80mL)中の4−ニトロ−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(6.4g、34.58mmol)の0℃の溶液に、水素化ナトリウム(2.07g、1.5当量)を加え、得られた混合物を0℃から室温に1時間撹拌した。この混合物に2−(トリメチルシリル)エトキシ−メチルクロリド(Aldrich)(9.17mL、1.5当量)を加え、得られた混合物を室温で2日間撹拌した。反応物をTLCによりモニターした。反応混合物を酢酸エチル(300mL)および水(100mL)で希釈した。有機層を分離し、水(6×100mL)およびブライン(1×100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗生成物10gを得た。ヘキサン中の5%酢酸エチルを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−ニトロ−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(3.82g)を無色の油状物として、4−ニトロ−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(4.055g)を明褐色の油状物として得た。(M−H)=314。
【0230】
工程3.[4−ニトロ−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−メタノールの調製。
【0231】
【化32】

【0232】
THF(200mL)中の4−ニトロ−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(10g、31.7mmol)の0℃の溶液に、メタノール(24mL)を、続いて水素化ホウ素ナトリウム(9.59g、8当量)を一度に加えた。得られた混合物を0℃で20分間撹拌した。次に反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(600mL)および酢酸エチル(800mL)の混合物に氷浴中で加えた。4N HClの溶液を、撹拌しながら0℃にて加え、水層のpHを約4に調整した。有機層を分離し、ブライン(1×500mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、標記化合物(7.76g)を赤みを帯びた油状物として得た。M=273。
【0233】
工程4.4−ニトロ−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−カルボアルデヒドの調製。
【0234】
【化33】

【0235】
クロロホルム(500mL)中の[4−ニトロ−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−イル]メタノール(7.776g、28.38mmol)の溶液に、二酸化マンガン(29.18g、9当量)を加えた。得られた混合物を4時間加熱還流し、室温に冷却し、一晩撹拌した。反応混合物を再び3時間加熱還流し、追加のクロロホルムを用いて3cmのセライトのプラグを通して濾過した。濾液を濃縮して、粗物質4.55gを得、ヘキサン中の2〜4%酢酸エチル勾配を用いてシリカゲルクロマトグラフィーを介して精製して、標記化合物を無色の油状物(1.55g)として得た。M=271。
【0236】
工程5:2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−3−ヒドロキシ−3−[4−ニトロ−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−イル]プロピオン酸メチルエステルの調製。
【0237】
【化34】

【0238】
ジエチルエーテル(3mL)中のジイソプロピルアミン(0.3mL、2.1当量)の−78℃の溶液に、ヘキサン中のn−ブチルリチウムの2.5M溶液(Aldrich)(0.84mL、2.1当量)を加えた。得られた混合物を15分間撹拌した。この混合物に、シリンジを介してジエチルエーテル(2mL)中の(2,4−ジフルオロフェノキシ)酢酸メチルエステル(425mg、2.1当量)の溶液を加え、得られた混合物を−78℃で30分間撹拌し、その後ジエチルエーテル(2mL)中の4−ニトロ−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−カルボアルデヒド(271mg、1mmol)の溶液を加えた。得られた混合物を2時間撹拌した。−78℃の反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、次に酢酸エチル(150mL)および水(25mL)で希釈した。有機層を分離し、ブライン(1×50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗生成物を油状物(709mg)として得た。ヘキサン中の25%酢酸エチルで溶離する分取薄層クロマトグラフィーにより粗生成物を精製して、標記化合物をジアステレオマー混合物(257mg、濃厚な無色の油状物)として得た。M=473。
【0239】
工程6:6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1,4−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−5−オンの調製。
【0240】
【化35】

【0241】
エタノール(2mL)および水(1mL)中の2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−3−ヒドロキシ−3−[4−ニトロ−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2H−ピラゾール−3−イル]プロピオン酸メチルエステル(125mg、0.264mmol)の溶液に、塩化アンモニウム(74mg、5.2当量)、続いて鉄粉末(Fisher Brand, Electrolytic)を加えた。得られた混合物を室温で45分間撹拌し、一晩還流し、室温に冷却し、エタノールで希釈し、追加のエタノールを用いて3cmのセライトベッドを通して濾過した。濾液を濃縮し、残渣を酢酸エチル(80mL)および水(40mL)で希釈した。有機層を分離し、水(2×40mL)およびブライン(1×40mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、標記化合物を濃厚な褐色の油状物(98mg、(M+H)=394)として得た。
【0242】
工程7:6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−4−メチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシ−メチル)−1,4−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−5−オンの調製。
【0243】
【化36】

【0244】
ジメチルホルムアミド(1mL)中の6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1,4−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−5−オン(98mg、0.249mmol)の0℃の溶液に、水素化ナトリウム(油中分散60%、Aldrich)(15mg、1.5当量)を加え、得られた混合物を30分間撹拌し、その後ヨウ化メチル(25μL、1.5当量)を加え、混合物を0℃から室温に温めながら更に1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(35mL)および水(25mL)で希釈した。有機層を分離し、水(2×25mL)およびブライン(1×25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、標記化合物を褐色の粉末(118mg、(M+H)=408)として得た。
【0245】
工程8:6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−3−ヨード−4−メチル−1,4−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−5−オンの調製。
【0246】
【化37】

【0247】
クロロホルム(25mL)中の6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−4−メチル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1,4−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−5−オン(118mg、0.289mmol)の溶液に、一塩化ヨウ素(141mg、3当量)を、続いて炭酸カリウム(200mg、5当量)を加え、得られた混合物を(暗所にて)撹拌しながら24時間加熱還流した。追加の一塩化ヨウ素(過剰量)を加え、得られた溶液を還流下で更に16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、DCMで希釈し、Na223(aq)水溶液で2回、続いてブラインで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗生成物を油状物(97mg)として得た。ヘキサン中の60%酢酸エチルで溶離する分取TLCにより精製して、標記化合物をオフホワイトの粉末(12mg、(M+H)=462)として得た。
【0248】
工程9:6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−3−ヨード−4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製。
【0249】
【化38】

【0250】
THF(5mL)中の6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−3−ヨード−4−メチル−1,4−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−5−オン(12mg、0.0298mmol)の溶液に、BOC2O(16mg、2.5当量)およびDMAP(触媒)を加えた。得られた混合物を30分間加熱還流し、室温に冷却し、酢酸エチル(35mL)および水(25mL)で希釈した。有機層を分離し、水(2×25mL)、0.5N HCl(2×20mL)およびブライン(1×25mL)で連続して洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、標記化合物を白色の粉末(18mg、(M+H)=504)として得た。
【0251】
工程10:3−(2−クロロフェニル)−6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルの調製。
【0252】
【化39】

【0253】
ベンゼン(1.3mL)およびメタノール(0.26mL)中の6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−3−ヨード−4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−ピラゾロ−[4,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(18mg)の溶液に、炭酸ナトリウムの1M水溶液(76μL、2当量)、2−クロロフェニルボロン酸(12mg、2当量)、およびPd(PPh34(13mg、0.3当量)を加えた。混合物をアルゴンでパージし、2時間加熱還流し、室温に冷却し、酢酸エチル(35mL)および水(25mL)で希釈した。有機層を分離し、ブライン(1×25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗生成物((M+H)=488)を得て、それを精製しないで次の工程に使用した。
【0254】
工程11:3−(2−クロロフェニル)−6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−4−メチル−1,4−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−5−オンの調製。
【0255】
【化40】

【0256】
メタノール(Aldrich)中の0.5Mナトリウムメトキシドの溶液(7mL)中の粗3−(2−クロロフェニル)−6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−4−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.0298mmol)の混合物を、室温で1時間撹拌した。溶媒を55℃にて減圧下で除去し、得られた残渣を酢酸エチル(35mL)および水(25mL)で希釈した。有機層を分離し、ブライン(1×25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、ヘキサン中の60%酢酸エチルで溶離する分取薄層クロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(5.2mg、(M+H)=388)を白色の粉末として得た。
【0257】
実施例3:ピリジン−2−カルボン酸[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−アミドの合成
【0258】
工程1:3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4イルアミンの調製。
【0259】
【化41】

【0260】
4−クロロ−3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン200mg(実施例1の工程4より)をメタノール中の7Nアンモニア5mlに溶解し、溶液を密閉管中で80℃にて一晩撹拌した。得られた反応混合物を真空下で濃縮し、次に酢酸エチル60mlに抽出した。溶液を最初に水で、次にブラインで洗浄し、乾燥し、溶媒を真空下で除去した後、3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン190mg(90%)を明褐色の固体として得た、MS:292(M+H)。粗3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミンを更に精製しないで次の工程に使用した。
【0261】
工程2:ピリジン−2−カルボン酸[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−アミドの調製。
【0262】
【化42】

【0263】
ピリジン−2−カルボン酸(78mg、0.64mmol)を塩化チオニル5mlに入れ、3時間還流した。次に過剰の塩化チオニルを真空下で除去し、粗酸塩化物を無水THF 2mlに懸濁した。酸塩化物の溶液を無水THF 6ml中の3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン(190mg、0.64mmol)およびジイソプロピルアミン(247mg、1.92mmol)の混合物に加えた。反応混合物を15時間還流した。室温に冷却した後、得られた混合物を酢酸エチル60mlとブライン15mlに分配した。有機層を3N HClで3回、次に飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を真空下で蒸発した後、ピリジン−2−カルボン酸[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−アミド140mg、MS:397.1(M+H)を得た。
【0264】
工程3:ピリジン−2−カルボン酸[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メタンスルホニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル−アミドの調製。
【0265】
【化43】

【0266】
ピリジン−2−カルボン酸[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ{3,4ピリミジン−4−イル}−アミド(140mg、0.35mmol)を、THF 9mlおよびメタノール3mlに溶解した。この溶液にm−クロロ過安息香酸[190mg(77%)、0.84mmol]を加えた。混合物をその温度で4時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル60mlに取り、飽和重炭酸ナトリウム溶液で3回、ブラインで1回洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を真空下で除去した後、粗ピリジン−2−カルボン酸[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メタンスルホニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル−アミド105mg、MS:429.1(M+H)を得て、更に精製しないで次の工程に使用した。
【0267】
工程4:ピリジン−2−カルボン酸[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−アミドの調製。
【0268】
【化44】

【0269】
無水NMP(2ml)中のピリジン−2−カルボン酸[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メタンスルホニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−アミド(105mg、0.24mmol)に、NMP 0.5ml中の無水炭酸カリウム(25mg、0.18mmol)および2,4−ジフルオロ−フェノール(47mg、0.36mmol)を加えた。混合物を120℃で2時間加熱した。冷却した後、反応混合物を酢酸エチル50mlとブライン20mlに分配した。有機層を更に2回ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。粗混合物を最初に塩化メチレン中の5%メタノールを用いて2回、次にヘキサン中の50%酢酸エチルを用いてクロマトグラフィーに付し、標記化合物18mgを白色の固体として得た、MS:479(M+H)。
【0270】
上記の実施例に従って調製した追加の化合物を表1に示す。
【0271】
実施例4:(R)−1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(2−エトキシ−5−フルオロ−フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの合成
【0272】
工程1.4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボアルデヒドの調製。
【0273】
【化45】

【0274】
オキシ塩化リン(213mL、2.3mol)を塩化ナトリウム−水氷浴中で1.8℃に窒素下で冷却した。ジメチルホルムアミド(71.4mL、0.92mol)を45分かけて撹拌しながら滴下により加えた。反応混合物を室温に温め、室温で30分間撹拌し、続いて40℃で20分間撹拌した。次に反応混合物を57℃に加熱し、2−メチルスルファニル−ピリミジン−4,6−ジオール(50.0g、0.307mol)を5.0gずつ90分かけて加えた。反応混合物を55℃で1時間撹拌し、次に17.5時間撹拌しながら110℃に加熱した。反応混合物を冷却し、揮発物を減圧下で除去した。残渣を1Lの氷水に注いだ。得られた沈殿物を濾過により単離し、水、次にヘプタンで洗浄し、乾燥して、粗4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボアルデヒド25.2gを得た。質量分析.M+H=224。
【0275】
工程2.4−クロロ−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンの調製。
【0276】
【化46】

【0277】
4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−カルボアルデヒド(7.54g、0.0338mol)をジオキサン80mLに加え、10分間室温で撹拌した。ジイソプロピルエチルアミン(6.03mL、0.0340mol)を加え、混合物を10分間撹拌しながら氷浴中で冷却した。無水ヒドラジン(1.08mL、0.0338mol)を3分かけて滴下により加え、更に5分間撹拌を続けた。氷浴を取り除き、反応混合物を2時間撹拌しながら加熱還流した。次に反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を2N HCl 20mLおよびEtOAc 100mLに加えた。得られた懸濁液を撹拌し、濾過し、固体を水で、続いてEtOAcで洗浄した。濾液の有機相を回収し、水相をEtOAc 150mLで3回抽出した。合わせた有機相を乾燥(MgSO4)し、濾過し、濾液を減圧下で蒸発した。得られた個体をジエチルエーテル/ヘキサン(1:1)で洗浄し、固体を乾燥して、粗4−クロロ−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン3.13gを得た。質量分析.M+H=201。
【0278】
工程3.4−クロロ−6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンの調製。
【0279】
【化47】

【0280】
4−クロロ−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(497mg、2.477mmol)を乾燥DMF 5mL中に溶解し、反応混合物を0℃に冷却した。水素化ナトリウム(鉱油中の60%懸濁液の109mg)を加え、反応混合物を5分間撹拌した。次に(2−クロロメトキシ−エチル)−トリメチル−シラン(0.52mL、2.922mmol)を加え、反応混合物を10分間撹拌した。水を加えて反応混合物をクエンチし、水と酢酸エチルに分配した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発した。残渣をヘキサン中の5%EtOAcを用いてフラッシュクロマトグラフィーを介して精製して、4−クロロ−6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン391mgを得た。
【0281】
工程4.(R)−1−[6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの調製。
【0282】
【化48】

【0283】
4−クロロ−6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(391mg、1.182mmol)を、乾燥THF 5mL中に溶解した。トリエチルアミン(239mg、2.363mmol)を加え、反応混合物を4時間撹拌した。次に(S)−1−アミノ−プロパン−2−オール(93mg、1.241mmol)を加え、反応混合物を64時間撹拌した。水を加えて反応混合物をクエンチし、水と酢酸エチルに分配した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発して、(R)−1−[6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール(469mg)を得た。質量分析.M+H=370。
【0284】
工程5.(R)−1−[6−メタンスルホニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの調製。
【0285】
【化49】

【0286】
1−[6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール(456mg、1.239mmol)をTHF 6mLおよびMeOH 2mLの混合物に溶解した。mCPBA(77%mCPBAの447mg、2.592mmol)を加え、反応混合物を2時間撹拌した。水を加えて反応混合物をクエンチし、水と酢酸エチルに分配した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発して、(R)−1−[6−メタンスルホニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール529mgを得た。質量分析.M+H=402。
【0287】
上記の実施例に従って調製された追加の化合物を表1に示す。
【0288】
工程6.(R)−1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシ−メチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの調製。
【0289】
【化50】

【0290】
2,4−ジフルオロフェノール(510mg、3.922mmol)を乾燥DMF 5mL中に溶解し、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液の152mg、3.791mmol)を加えた。反応混合物を25分間撹拌し、次に(R)−1−[6−メタンスルホニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール(525mg、1.307mmol)を加えた。反応混合物を4時間撹拌しながら100℃に加熱し、次に16時間室温で撹拌した。水を加えて反応混合物をクエンチし、水および酢酸エチルに分配した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン中8%MeOH)により精製して、(R)−1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール258mgを得た。質量分析.M+H=452。
【0291】
工程7.(R)−1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの調製。
【0292】
【化51】

【0293】
(R)−1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール(258mg)をMeOH 8mLに溶解し、6M HCl 0.6mLを加えた。反応混合物を80℃に3.5時間加熱し、次に冷却した。水を加えて反応混合物をクエンチし、水および酢酸エチルに分配した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン中10%MeOH)により精製して、(R)−1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール116mgを得た。質量分析.M+H=322。
【0294】
工程8.(R)−1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの調製。
【0295】
【化52】

【0296】
N−ヨードスクシンイミド(35mg、0.157mmol)をDMF 3mLに溶解し、(R)−1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール(42mg、0.131mmol)を加えた。反応混合物を80℃に2時間加熱し、その後更にN−ヨードスクシンイミド35mgを加えた。80℃で更に2時間加熱した後、更にN−ヨードスクシンイミド35mgを加えた。反応混合物を80℃で更に5時間加熱し、次に室温に冷却した。水を加えて反応混合物をクエンチし、水と酢酸エチルに分配した。有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発して、1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール64mgを得た。質量分析.M+H=448。
【0297】
工程9.(R)−1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(2−エトキシ−5−フルオロ−フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの調製。
【0298】
【化53】

【0299】
1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール(200mg、0.447mmol)、5−フルオロ−2−エトキシフェニルボロン酸(246mg)、K3PO4(285mg)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)CH2Cl2(73mg)を、マイクロ波バイアル中のジオキサン2mLに加えた。バイアルを密閉し、反応混合物を180℃に10分間加熱した。反応混合物を水と酢酸エチルに分配し、有機層を分離し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発した。残渣を塩化メチレン中の10%MeOHを用いてシリカゲルを通して濾過し、次に塩化メチレン中の10%MeOHを用いて分取スケールTLCにより精製して、(R)−1−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−3−(2−エトキシ−5−フルオロ−フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール62.9mgを得た。質量分析.M+H=460。
【0300】
上記の実施例に従って調製した追加の化合物を表1に示す。
【0301】
実施例5:(S)−3−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルオキシ]−プロパン−1,2−ジオールの合成
【0302】
工程1.3−(2−クロロ−フェニル)−4−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンの調製。
【0303】
【化54】

【0304】
ジオキサン10mL中の(R)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−エタノール(2.12g)に、水素化ナトリウム(0.656g)を0℃で加えた。得られた混合物を10分間撹拌し、次に4−クロロ−3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(1.0g、3.213mmol)を加えた。反応混合物を1時間加熱還流し、次に室温に冷却した。水(150mL)および酢酸エチル(300mL)を加え、層を分離した。水層を酢酸エチルで4回洗浄し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の20%〜30%EtOAc)により精製して、3−(2−クロロ−フェニル)−4−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イル−メトキシ)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン1.03gを得た。質量分析.M+H=407。融点=119.5〜122.3℃。
【0305】
工程2.(S)−3−(2−クロロ−フェニル)−4−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−6−メチルスルホニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンの調製。
【0306】
【化55】

【0307】
3−(2−クロロ−フェニル)−4−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(1.2g、2.95mmol)を実施例1の工程5の手順を用いてmCPBAで処理し、(S)−3−(2−クロロ−フェニル)−4−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−6−メチルスルホニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン1.342gを得た。質量分析.M+H=440。融点=161.0〜162.3℃。
【0308】
工程3.(S)−3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−4−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンの調製。
【0309】
【化56】

【0310】
粉末KOH(1.0g)を2,4−ジフルオロフェノール4mLに取り、得られた混合物を120℃で15分間加熱した。(S)−3−(2−クロロ−フェニル)−4−(2,2−ジメチル−[1,3]−ジオキソラン−4−イルメトキシ)−6−メチルスルホニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(1.34g、0.305mmol)を加え、反応混合物を120℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水(100mL)とEtOAc(300mL)に分配し、層を分離した。有機層を2N NaOH水溶液で3回、ブラインで1回洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を分取スケールTLC(塩化メチレン中50%MeOH)により精製して、(S)−3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−4−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン1.395mgを得た。質量分析.M+H=489。融点=70.1〜75.9℃。
【0311】
工程4.(S)−3−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルオキシ]−プロパン−1,2−ジオールの調製。
【0312】
【化57】

【0313】
(S)−3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−4−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(1.395g)をジオキサン30mLに取り、4N HCl 25mLを加えた。反応混合物を室温で25分間撹拌し、次に反応混合物を水(100mL)とEtOAc(300mL)に分配した。有機相をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を塩化メチレン中30%EtOAcと共にシリカゲルを通して溶離し、(S)−3−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルオキシ]−プロパン−1,2−ジオール886.4mgを得た。質量分析.M+H=449。融点=179.2〜181.3℃。
【0314】
上記の実施例に従って調製した追加の化合物を表1に示す。
【0315】
実施例6:C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミドの合成
【0316】
工程1.4−クロロ−3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンの調製。
【0317】
【化58】

【0318】
4−クロロ−3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(10.0g、0.032mol)を乾燥DMF 100mLに加え、得られた溶液を0℃に冷却した。(2−クロロメトキシ−エチル)−トリメチル−シラン(6.8mL、0.038mol)を滴下により加え、反応混合物を5分間撹拌した。次に水素化ナトリウム(1.40g、0.0333mol)を加え、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。反応混合物を水と酢酸エチルに分配した。層を分離し、水層を酢酸エチルで2回洗浄した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc中0%〜10%ヘキサン)により精製して、4−クロロ−3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン8.55gを得た。
【0319】
工程2.C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミドの調製。
【0320】
【化59】

【0321】
乾燥THF 5mL中のN,N−ジメチルメタンスルホンアミド(419mg、3.40mmol)の溶液に、n−BuLi(ヘキサン中1.6M溶液の2.2mL、3.50mmol)を5℃にて滴下により加えた。この撹拌溶液に、乾燥THF 1mL中の4−クロロ−3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(0.500g、1.13mmol)の溶液を滴下により加えた。反応混合物を2時間撹拌し、この時間の間室温に温めた。反応物を水10mLおよび1.2M HCl 1mLを加えてクエンチし、得られた水溶液を塩化メチレン20mLで2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の0%〜30%EtOAc)により精製して、C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミド421mgを得た。
【0322】
工程3.C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メタンスルホニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミドの調製。
【0323】
【化60】

【0324】
C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルファニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミド(421mg、0.997mmol)を実施例1の工程5の手順を用いてmCPBAで処理し、C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルホニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミド398mgを得た。質量分析.M+H=560。
【0325】
工程4.C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1−(2−トリメチル−シラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミドの調製。
【0326】
【化61】

【0327】
C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−メチルスルホニル−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミド(398mg)を、KOHの存在下、実施例4の工程6の手順を用いて2,4−ジフルオロフェノールで処理し、C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミド287mgを得た。質量分析.M+H=610。
【0328】
工程5.C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミドの調製。
【0329】
【化62】

【0330】
C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミド(273mg、0.447mmol)をクロロホルム5mLに溶解し、トリフルオロ酢酸2.5mLを加えた。反応混合物を室温で22時間撹拌し、次に減圧下で濃縮乾固した。残渣をMeOH 7mlに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(109mg、4.47mmol)を加えた。反応混合物を15分間撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc 100mLとブライン100mLに分配し、有機層を分離し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中0%〜40%EtOAc)を介して精製し、C−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−メタンスルホンアミド167mgを得た。質量分析.M+H=481。
【0331】
上記の実施例に従って調製した追加の化合物を表1に示す。
【0332】
実施例7:
工程1.シクロペンチル−(4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノールの調製。
【0333】
【化63】

【0334】
4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン(8.0g、41.01mmol)を乾燥THF 500mLに溶解し、−78℃に冷却した。リチウムジイソプロピルアミン(ヘキサン中2.0M溶液の36.9mL)を滴下により加え、反応混合物を−78℃で20分間撹拌した。シクロペンタン−カルボキシアルデヒド(8.05g、82.02mmol)を加え、反応混合物を−78℃で45分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応物をクエンチした。水性混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水で洗浄し、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧下で蒸発した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の5%〜40%EtOAc)により精製して、シクロペンチル−(4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノール9.76gを得た。質量分析.M+H=294。
【0335】
工程2.シクロペンチル−(4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノンの調製。
【0336】
【化64】

【0337】
シクロペンチル−(4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノール(8.1g、27.62mmol)を乾燥アセトン100mLに溶解し、窒素下で0℃にて撹拌した。CrO3(11.05g、110.497mmol)を3分かけて少量ずつ加えた。反応混合物を20分間撹拌した。イソプロパノール15mLを加えて反応物をクエンチし、続いて飽和重炭酸ナトリウム水溶液で塩基性化した。得られた溶液をセライトを通して濾過し、セライトをアセトンで洗浄した。得られた溶液をNa2SO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、シクロペンチル−(4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノン3.1gを得た。質量分析.M+H=292。
【0338】
工程3.4−クロロ−3−シクロペンチル−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンの調製。
【0339】
【化65】

【0340】
シクロペンチル−(4,6−ジクロロ−2−メチルスルファニル−ピリミジン−5−イル)−メタノン(2.0g、6.868mmol)を乾燥THF 25mLに溶解し、窒素下で0℃にて撹拌した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.392mL、13.763mmol)を滴下により加え、反応混合物を5分間撹拌した。ヒドラジン(0.205mL、6.525mmol)を滴下により加え、反応物を16時間撹拌し、その間に反応混合物を室温に温めた。反応混合物を水と酢酸エチルに分配し、有機相を分離し、水で洗浄し、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧下で蒸発して、4−クロロ−3−シクロペンチル−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン2.09gを得た。質量分析.M+H=270。
【0341】
工程3.(R)−1−(3−シクロペンチル−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−プロパン−2−オールの調製。
【0342】
【化66】

【0343】
4−クロロ−3−シクロペンチル−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(500mg、1.860mmol)を乾燥THF 25mLに溶解し、(S)−1−アミノ−プロパン−2−オール(1.758mL、22.32mmol)を加えた。反応混合物を3時間加熱還流し、次に室温に冷却した。反応混合物を水と酢酸エチルに分配し、有機相を分離し、水で洗浄し、ブラインで洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧下で蒸発して、(R)−1−(3−シクロペンチル−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−プロパン−2−オール0.56gを得た。質量分析.M+H=309。
【0344】
工程4.(R)−1−(3−シクロペンチル−6−メチルスルホニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−プロパン−2−オールの調製。
【0345】
【化67】

【0346】
(R)−1−(3−シクロペンチル−6−メチルスルファニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−プロパン−2−オールを、実施例1の工程5の手順を用いてmCPBAで処理し、(R)−1−(3−シクロペンチル−6−メチルスルホニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−プロパン−2−オール0.60gを得た。質量分析.M+H=340。
【0347】
工程5.(R)−1−[3−シクロペンチル−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]−ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの調製。
【0348】
【化68】

【0349】
(R)−1−(3−シクロペンチル−6−メチルスルホニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ)−プロパン−2−オールを、KOHの存在下、実施例4の工程6の手順を用いて2,4−ジフルオロフェノールで処理し、(R)−1−[3−シクロペンチル−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール0.56mgを得た。質量分析.M+H=390。
【0350】
実施例8:(R)−1−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン−5−イルアミノ]−プロパン−2−オールの合成
【0351】
工程1.(2−クロロフェニル)−(3,5−ジクロロピラジン−2−イル)−メタノールの調製。
【0352】
【化69】

【0353】
乾燥THF(200mL)中のn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、Aldrich、26.5mmol)の−20℃溶液に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(Aldrich、11.5mL、66.5mmol、1.22当量)をアルゴン下で加えた。得られた溶液を0.5時間かけて0℃に温めた。次に溶液を−78℃に冷却し、THF中の2,6−ジクロロピラジン(Aldrich、8.24g、55.3mmol、1.0当量)の溶液をシリンジを介してゆっくりと加えた。添加が完了した後、得られた混合物を−78℃で更に1時間撹拌し、その後、2−クロロ−ベンズアルデヒド(Aldrich、9.3mL、83mmole、1.5当量)をシリンジを介して滴下により加えた。反応混合物を更に1時間撹拌し、塩酸(18mL、220mmol、4当量)/エタノール(75mL)/THF(90mL)の混合物でクエンチし、次に室温に温めた。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、エーテルで抽出した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗油状物を得て、それをDCM/ヘキサン(1:1)を溶離液として用いるクロマトグラフィーを介して精製し、(2−クロロフェニル)−(3,5−ジクロロピラジン−2−イル)メタノール(12.8g、44mmol、収率80%)を得た。質量分析.M+1=290。
【0354】
工程2.(2−クロロフェニル)−(3,5−ジクロロピラジン−2−イル)メタノンの調製。
【0355】
【化70】

【0356】
(2−クロロフェニル)−(3,5−ジクロロピラジン−2−イル)メタノール(7.1g、24.5mmol)のDCM溶液に、固体酸化マンガン(IV)(25g、245mmol)を少量ずつ加え、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、(2−クロロフェニル)−(3,5−ジクロロピラジン−2−イル)メタノン(6.02g、21mmol、収率85%)を得た。質量分析.M+1=288。
【0357】
工程3.[3−クロロ−5−(2,4−ジフルオロフェノキシル)ピラジン−2−イル]−(2−クロロフェニル)−メタノンの調製。
【0358】
【化71】

【0359】
(2−クロロフェニル)−(3,5−ジクロロピラジン−2−イル)メタノン(2.1g、7.3mmol、1.0当量)のDMF(25mL)溶液に、2,4−ジフルオロフェノール(0.7mL、7.3mmol、1.0当量)および炭酸カリウム(1.21g、8.76mmol、1.2当量)を窒素下で加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、次に濃縮した。残渣をDCMに溶解し、水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗油状物を得て、それをDCM/ヘキサン(1:1)を溶離液として用いるクロマトグラフィーを介して精製し、[3−クロロ−5−(2,4−ジフルオロフェノキシル)ピラジン−2−イル]−(2−クロロフェニル)メタノン(2.46g、6.45mmol、収率88%)を得た。質量分析.M+1=382。
【0360】
工程4.3−(2−クロロフェニル)−6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−b]−ピラジンの調製。
【0361】
【化72】

【0362】
エタノール中の[3−クロロ−5−(2,4−ジフルオロフェノキシル)ピラジン−2−イル]−(2−クロロフェニル)−メタノン(0.73g、1.9mmol、1.0当量)の溶液に、ヒドラジン水和物(0.19mL、3.8mmol、2.0当量)を加えた。得られた混合物を窒素下で0.5時間還流した。反応混合物を冷却し、濾過して、3−(2−クロロフェニル)−6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン(0.285g、0.8mmol、収率42%)を固体として得た。融点=240.5〜241.5℃。質量分析.M+1=359。
【0363】
工程5.5−クロロ−3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジンの調製。
【0364】
【化73】

【0365】
四塩化炭素500mL中の3−(2−クロロフェニル)−6−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン(2.70g、7.5mmol)の懸濁液を、16時間室温にて撹拌しながら、塩素ガスで泡立てた。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をクロマトグラフィー(塩化メチレン/ヘキサン 2:3〜1:0)により精製して、5−クロロ−3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン1.21gを得た。質量分析.M+1=394。
【0366】
工程6.(R)−1−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ−[3,4−b]ピラジン−5−イルアミノ]−プロパン−2−オールの調製。
【0367】
【化74】

【0368】
5−クロロ−3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン(0.66g、1.7mmol)の撹拌したエタノール(100mL)懸濁液に、(S)−1−アミノ−2−プロパノール(0.63g、8.4mmol)を窒素下で室温にて加えた。反応混合物を加熱還流し、16時間還流下で撹拌した。反応混合物を冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン中の2%MeOH)に付して、(R)−1−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピラジン−5−イルアミノ]−プロパン−2−オール82mgを得た。質量分析.M+1=433。
【0369】
実施例9:(S)−1−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの合成
【0370】
工程1.(2−クロロ−フェニル)−(2,4,6−トリフルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノールの調製。
【0371】
【化75】

【0372】
2,4,6−トリフルオロピリジン(7.5g、56.36mmol)を乾燥THF 9mLに取り、反応混合物をアルゴン下で撹拌しながら−78℃に冷却した。リチウムジイソプロピルアミン(THF中2M溶液の42.3mL)を滴下により加え、溶液を10分間撹拌した。シリンジを介して2−クロロベンズアルデヒド(9.5mL、1.5当量)を滴下により加え、反応混合物を15分間撹拌した。飽和塩化アンモニウムおよび水を加えて反応物をクエンチし、水性混合物をEtOAcで1回抽出した。合わせた有機層を飽和ブラインおよび水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、蒸発した。残渣を5%〜10%EtOAc/ヘキサンを用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、(2−クロロ−フェニル)−(2,4,6−トリフルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノール8.02gを得た。質量分析.M+1=275。
【0373】
工程2.(2−クロロ−フェニル)−(2,4,6−トリフルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノンの調製。
【0374】
【化76】

【0375】
(2−クロロ−フェニル)−(2,4,6−トリフルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノール(8.02g、29.3mmol)を乾燥トルエン80mLに取り、二酸化マンガン26gを加えた。反応混合物を2.5時間還流し、その後追加のMnO2 2.5gを加えた。反応混合物を更に1時間還流し、追加のMgO2 2.5gを加えた。反応混合物を3時間還流し、次に高温のままセライトを通して濾過した。セライトプラグを高温のEtOAcで(数回に分けて)洗浄し、有機溶媒を合わせた。溶媒を減圧下で蒸発し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の5%〜10%EtOAc)に付して、(2−クロロ−フェニル)−(2,4,6−トリフルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノン2.55gを得た。質量分析.M−H=270。
【0376】
工程3.(S)−(2−クロロ−フェニル)−[4,6−ジフルオロ−2−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル]−メタノンおよび(S)−(2−クロロ−フェニル)−[2,6−ジフルオロ−4−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル]−メタノンの調製。
【0377】
【化77】

【0378】
(S)−(2−クロロ−フェニル)−(2,4,6−トリフルオロ−ピリジン−3−イル)−メタノン(2.0g、7.36mmol)を乾燥THF 30mLに取り、アルゴン下で撹拌しながら−78℃に冷却した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.4mL)および(S)−1−アミノ−2−プロパノール(0.64mL)を加え、反応混合物を撹拌しながら−10℃にゆっくりと温めた。反応混合物を−10℃で16時間撹拌し、次に飽和塩化アンモニウムおよび水を加えてクエンチした。水性混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を飽和ブラインおよび水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、蒸発した。残渣を5%〜30%EtOAc/ヘキサンを用いてフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、(S)−(2−クロロ−フェニル)−[4,6−ジフルオロ−2−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル]−メタノン652mgを第1画分で、(2−クロロ−フェニル)−[2,6−ジフルオロ−4−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル]−メタノン1.338gを第2画分で得た。質量分析.各異性体 M+H=327。H1 NMRを使用して、個別の異性体の純度を確認した。
【0379】
工程4.(S)−(2−クロロ−フェニル)−(6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−4−フルオロ−2−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル)−メタノンの調製。
【0380】
【化78】

【0381】
(S)−2,4−ジフルオロフェノール(0.77mL)をフラスコに入れ、撹拌しながら0℃に冷却し、カリウムtert−ブトキシド(1M THF溶液の8.1mL)を加えた。反応混合物を0℃で5分間撹拌し、次に室温に温めた。乾燥THF 5mL中の(2−クロロ−フェニル)−[4,6−ジフルオロ−2−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル]−メタノン(650mg、1.79mmol)の溶液を撹拌溶液に滴下により加え、添加後撹拌を5分間続けた。次に飽和塩化アンモニウムおよび水を加えて反応物をクエンチし、水性混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を飽和ブラインおよび水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、蒸発した。残渣を分取スケールTLC(ヘキサン中の30%EtOAc)により精製して、(S)−(2−クロロ−フェニル)−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−4−フルオロ−2−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル]−メタノン795mgを得た。質量分析.M+H=437。
【0382】
工程5.(S)−1−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの調製。
【0383】
【化79】

【0384】
1−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール(690mg、1.6mmol)をジオキサン15mLおよびEtOH 2mLの混合物に取った。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.3mL)および無水ヒドラジン(0.15mL)を加え、反応混合物を撹拌しながら90℃にゆっくりと加熱した。反応混合物を90℃で6時間撹拌し、次に室温に冷却し、水を加えてクエンチし、酢酸エチルを用いて分配し、続いて追加の酢酸エチルを用いて水相を逆抽出した。合わせた有機相を飽和ブラインおよび水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を分取スケールTLC(塩化メチレン中3.5%MeOH)により精製し、次に塩化メチレン/ヘキサンから再結晶化して、(S)−1−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール246mgを得た。質量分析.M+1=432。融点=171.2〜172℃。
【0385】
実施例10:(S)−1−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの合成
【0386】
工程1.(S)−(2−クロロ−フェニル)−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−2−フルオロ−4−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル]−メタノンの調製。
【0387】
【化80】

【0388】
(S)−2,4−ジフルオロフェノール(0.45mL)をフラスコに入れ、氷浴を介して撹拌しながら0℃に冷却し、カリウムtert−ブトキシド(1M THF溶液の3.1mL)を加えた。反応混合物を0℃で5分間撹拌した。THF 8mL中の(2−クロロ−フェニル)−[2,6−ジフルオロ−4−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル]−メタノン(610mg、1.87mmol)の溶液を滴下により加えた。添加後、氷浴を取り除き、反応混合物を2時間撹拌し、その間に反応混合物を室温に温めた。次に飽和塩化アンモニウムおよび水を加えて反応物をクエンチし、水性混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を飽和ブラインおよび水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、蒸発した。残渣を分取スケールTLC(ヘキサン中30%EtOAc)により精製して、(S)−(2−クロロ−フェニル)−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−2−フルオロ−4−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル]−メタノンと少量の生成物として異性体(2−クロロ−フェニル)−[2−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−6−フルオロ−4−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル]−メタノンの混合物864mgを得た。この粗生成混合物を分離せずに次の工程に直接使用した。
【0389】
工程1.(S)−1−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ−[3,4−b]ピリジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オールの調製。
【0390】
【化81】

【0391】
粗(S)−(2−クロロ−フェニル)−[6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−2−フルオロ−4−(2−ヒドロキシ−プロピルアミノ)−ピリジン−3−イル]−メタノン(837mg、1.92mmol)を実施例9の工程5の手順を用いてヒドラジンで処理し、(S)−1−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−4−イルアミノ]−プロパン−2−オール148mgを得た。質量分析.M+1=432。融点=237.9〜238.5℃。
【0392】
実施例11:p38(MAP)キナーゼインビトロアッセイ
【0393】
本発明の化合物のインビトロでのp38MAPキナーゼ阻害活性を、Ahnら、J. Biol. Chem. 266: 4220-4227 (1991)に記載の方法を少し変更して用いて、p−38キナーゼによる、γ−33P−ATPからミエリン塩基性タンパク質(Myelin Basic Protein)(MBP)へのγ−リン酸の移動を測定することにより決定した。
【0394】
組換えp38MAPキナーゼのリン酸化型は、E. coli中でSEK−1およびMEKKと共に発現させ(Khokhlatchevら、J. Biol. Chem. 272: 11057-11062 (1997)参照)、次にニッケルカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。
【0395】
リン酸化p38MAPキナーゼを、キナーゼ緩衝液(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸20mM、pH7.2、β−グリセロールリン酸25mM、エチレングリコール−ビス(ベータ−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸5mM、オルトバナジン酸ナトリウム1mM、ジチオトレイトール1mM、塩化マグネシウム40mM)中に希釈した。DMSOに溶解した試験化合物またはDMSOのみ(対照)を加え、試料を30℃で10分間インキュベートした。MBPおよびγ−33P−ATPを含む基質カクテルの添加により、キナーゼ反応を開始させた。30℃で更に20分間インキュベートした後、0.75%リン酸を加えることにより、反応を終了させた。次にホスホセルロース膜(Millipore, Bedfrod, MA)を用いて、リン酸化MBPを残留γ−33P−ATPから分離して、シンチレーションカウンター(Packard, Meriden, CT)を用いて定量した。
【0396】
上記の手順を使用して、本発明の化合物がp38MAPキナーゼのインヒビターであることが分かった。例えば、3−[3−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,4−ジフルオロ−フェノキシ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミノ]−プロパン−1,2−ジオールは、0.004のp38IC50(μM)を示す。
【0397】
実施例12:処方
【0398】
種々の経路で送達される医薬製剤が下記の表で示されるように配合される。表中で使用される「活性成分」または「活性化合物」は、一つ以上の式Iの化合物を意味する。
【0399】
【表2】

【0400】
成分を混合し、それぞれ約100mgを含有するカプセルに調剤する。1カプセルが1日用量のほぼ全てとなる。
【0401】
【表3】

【0402】
成分を合わせ、メタノールのような溶媒を使用して粒状にする。次に配合物を乾燥させ、適切な錠剤成形機を用いて錠剤(活性化合物約20mg含有)を形成する。
【0403】
【表4】

【0404】
成分を混合して、経口投与用の懸濁剤を形成する。
【0405】
【表5】

【0406】
活性成分を注射用の水の一部に溶解する。次に塩化ナトリウムの十分な量を撹拌しながら加えて、溶液を等張にする。注射用の水の残りで溶液の重量にして、0.2μ膜フィルタを通して濾過し、滅菌条件下で包装する。
【0407】
【表6】

【0408】
成分を一緒に溶融し、蒸気浴で混合し、全重量2.5gを含有する型に注ぐ。
【0409】
【表7】

【0410】
水以外の全ての成分を合わせ、撹拌しながら約60℃に加熱する。次に、十分な量の水を激しく撹拌しながら約60℃で加え、成分を乳化し、次に、100gになる十分量の水を加えた。
【0411】
鼻内スプレー処方物
約0.025〜0.5%の活性化合物を含有するいくつかの水性懸濁液を、鼻内スプレー処方物として調製した。場合により、処方物は、例えば、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース等の非活性成分を含有する。pHを調整するために、塩酸を加えてもよい。鼻内スプレー処方物を、1回当り約50〜100μLの処方物を送出する鼻内スプレー計量ポンプを介して送出してもよい。典型的な投与計画は、4〜12時間毎に2〜4回のスプレーである。
【0412】
本発明は、その特定の実施態様を参照して記載されたが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされてもよく、同等物で置き換えてもよいことが、当業者によって、理解されるべきである。さらに、特別な状況、物質、組成物、方法またはプロセス工程あるいは工程を、本発明の主題とする精神および範囲に適合させるために、多くの変形がなされてもよい。すべてのこのような変形は、これに添付の特許請求の範囲の範囲内にあるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia、IbまたはIc:
【化1】


(式中、
1は、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはシクロアルキルであり;
2は、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、分枝状アルキルまたはヘテロシクリルであり;
3は、水素またはアルキルであり;
4は、水素、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホンアミド、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、−(CHRar−C(=O)−Rb、−(CHRar−O−C(=O)−Rb、−(CHRar−NH−C(=O)−Rbまたは−SO2−Rbであり、ここで、Raは、水素、アルキルまたはヘテロアルキルであり;Rbは、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり;rは0〜4であり;
5は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキル、−C(=O)−Rcまたは−SO2−Rcであり、ここで、Rcは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルであり;
XおよびYは窒素であるか、あるいはXおよびYの一つは窒素であり、他はCRdであり;ZはNまたはCRdであり、ここで、Rdは、水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、ハロアルキル、シアノ、ハロ、ヘテロアルキル、C(=O)−Reまたは−SO2−Reであり、ここで、Reは、水素またはアルキルであり;
Wは、O、S(O)m、CH2またはNRfであり、ここで、mは0〜2であり、Rfは、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキル、−C(=O)−Rgまたは−SO2−Rgであり、ここで、Rgは、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアルキルまたはヘテロシクリルであり;
あるいはR4およびRfは、それらが結合している原子と一緒にヘテロ環を形成してもよく;
Aは、O、CH2、S(O)n、C(=O)、NRh、またはCH(ORh)であり、ここでnは0〜2であり、Rhは、水素またはアルキルであり;
あるいはR1およびRhは、ヘテロシクリルを形成してもよく;
kは、0または1であり;
Bは、O、S(O)j、CH(ORi)、NRj、またはC(=O)であり、ここで、jは0、1または2であり;Riは、水素またはアルキルであり、Rjは、水素、アルキル、−C(=O)−Rk、または−SO2mであり、ここで、Rkは、アルキル、アリールまたはアラルキルであり;Rmは、アルキルである)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
その化合物が式Iaのものである、請求項1の化合物。
【請求項3】
kが0である、請求項2の化合物。
【請求項4】
3が水素である、請求項3の化合物。
【請求項5】
WがNRfまたはOである、請求項4の化合物。
【請求項6】
AがO、SまたはNReである、請求項5の化合物。
【請求項7】
XおよびYが窒素である、請求項6の化合物。
【請求項8】
1が、場合により置換されているフェニルである、請求項7の化合物。
【請求項9】
2が、場合により置換されているフェニル、場合により置換されているチエニル、または場合により置換されているピリジルである、請求項8の化合物。
【請求項10】
4が、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシシクロアルキル、−C(=O)−Rbまたは−SO2−Rbであるか、あるいはR4およびRfは、それらが結合している窒素と一緒にヘテロシクリルを形成する、請求項8の化合物。
【請求項11】
薬学的に許容され得る賦形剤;および請求項1の化合物を含む組成物。
【請求項12】
p38により仲介される障害の処置方法であって、患者に請求項1の化合物の治療上有効量を投与することを含む方法。
【請求項13】
p38により仲介される障害が、関節炎、クローン病、過敏性腸症候群、成人呼吸困難症候群、または慢性閉塞性肺疾患である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
治療上活性な物質として、特に抗炎症性活性物質として使用するための、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
p38により仲介される障害の処置用の、請求項1記載の化合物を含む医薬を製造するための、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項16】
明細書記載の発明。

【公表番号】特表2007−523938(P2007−523938A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500149(P2007−500149)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001936
【国際公開番号】WO2005/085249
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】