説明

ピラートリム取付用クリップ

【課題】エアバッグ袋体の膨張展開における衝撃によって、ピラートリム取付用クリップ及びピラーが破損するのを防止する。
【解決手段】規制部位体120は、取付部位体110のフロントピラートリム30の取付開口部38に取付嵌合された部位箇所から一体的に延設形成されており、フロントピラートリム30が離脱した後のエアバッグ袋体60の膨張展開に必要とする所定の浮き上がり移動を許容する所定長さの線形状の移動案内部位122と、線形状の移動案内部位122の先端に設けられたフロントピラートリム30の移動を係止させる移動係止部位130とを備え、線形状の移動案内部位122は、フロントピラートリム30の取付開口部38が当部位を移動する際に移動障害となってエアバッグ袋体60の膨張展開に生じるフロントピラートリム30の浮き上がり衝撃を緩和する波状部位124(衝撃緩和手段)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピラートリム取付用クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等の車両本体部の側壁(例えばドア、ボディーサイドパネル等)の上方に配置される屋根部材(例えばルーフパネル)を支える柱としてピラーが配置構成されている。かかるピラーの大部分は、金属製の板状部材(例えば鋼板材)で形成されているためピラーに対する車両内方側を覆って車室の内壁として構成されるピラートリムが配置装備されている。このピラートリムは、他のトリム材と同様に適宜の合成樹脂素材や繊維素材等が組み合わされて構成されている。これは、単にピラーを覆うだけではなく、車室内壁を滑らかな面形状とする意匠面としての機能と、車両衝突時の乗員保護の機能を果たすためである。
例えば、車両の前部位置にはフロントピラーが配置構成されており、このフロントピラーに対する車両内方側を覆って車室の内壁として構成されるフロントピラートリムが配置装備されている。
【0003】
近年、車両衝突における乗員保護の対策として、一般にカーテンエアバッグと称されるエアバッグ装置を備えた車両が知られている。このエアバッグ装置は、エアバッグ袋体をフロントピラーからルーフサイドレールに沿って折り畳んで格納されている。そして、車両に取付けられた衝突検知センサからの出力に基いてイグナイタ(発火装置)を作動させインフレータ(ガス発生器)から発生するガスをエアバッグ袋体に導入し、このエアバッグ袋体を車室側面に沿ってカーテン状に膨張展開させ衝突時における乗員の保護をする。
ここで、フロントピラーの部分におけるエアバッグ袋体はフロントピラートリムの内側に折り畳んで格納されており、車両衝突時にはエアバッグ袋体の膨張展開圧によってフロントピラートリムの後側端縁部を押し退けて、フロントピラーとフロントピラートリムとの間に生じる間隙から車室側面に沿って膨張展開し得るように構成されている。
【0004】
ところで、従来より、上記ピラーにピラートリムを取り付ける手段として、例えば特許文献1のようなピラートリム取付用クリップの構成が知られている。このピラートリム取付用クリップは、ピラートリムをピラーに取り付ける取付部位体を有すると共に、エアバッグ袋体の膨張展開時にピラートリムがピラーへの取付状態から離脱して浮き上がる浮き上がり量を規制する規制部位体を備えている。この規制部位体は、ピラートリムの浮き上がる移動量を許容する長さを有すると共に、その先端にピラートリムがエアバッグ袋体の膨張展開に必要とする浮き上がり量を超える移動を規制する係止部位を備えている。
【0005】
ところで、上記特許文献1のピラートリム取付用クリップは、直線形状若しくは弓形状に形成されている。そのため、エアバッグ袋体の膨張展開時にピラートリムがピラーへの取付状態から離脱する際、ピラートリムは係る膨張展開圧によって一気に浮き上がる。そのため、ピラートリムはピラートリム取付用クリップの規制部位体の先端に構成される係止部位まで瞬時に到達する挙動となる。そのため、エアバッグ袋体の膨張展開にともなう衝撃は、かかる係止部位に集中して破断する傾向にありピラートリム取付用クリップが破損して、ピラートリムの脱落が懸念される。また、ピラートリム側が割れて飛散の発生が懸念されている。
近年、エアバッグ装置の膨張展開能力の向上や膨張展開出力の増加に伴って、上記懸念事項が顕著となっている。そのため、エアバッグ袋体の膨張展開時におけるピラートリム取付用クリップの破損を起因とするピラートリムの脱落の問題、ピラートリムの割れの発生による飛散発生のおそれに対し、更なる改善の余地を有する。
そこで、ピラートリム取付用クリップの破損防止対策として、上記特許文献1のピラートリム取付用クリップの係止部位に不織布等を巻き付けて衝撃吸収を図る対策がなされている。また、ピラートリムの割れ防止対策として、ピラートリムの表面に表皮を貼付けたり、ピラートリムの裏面にテープを貼付けるなどして割れ防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−168044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のピラートリム取付用クリップの係止部位に不織布を巻きつけるのは、材料コストがかかるといった問題がある。また、不織布の巻き付け作業は、手作業で行われることから巻きつけ方にバラつきが生じて衝撃吸収に差が生じ信頼性の問題を有していた。また、ピラートリムの割れ防止対策である表皮やテープの貼付けは、材料コストが増加するという問題は払拭されない。また、ピラートリム取付用クリップは、一直線状の長尺状に形成されていることから、係るクリップをピラートリムに押し込むことで一部を撓ませて取り付けている。しかしながら、ピラーとピラートリムの隙間は狭く、クリップが撓ませにくいため取付作業が困難であるという問題も有している。
【0008】
而して、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、エアバッグ袋体の膨張展開における衝撃によって、ピラートリム取付用クリップ及びピラーが破損するのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のピラートリム取付用クリップは次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、自動車等車両本体部の上方に配置される屋根部材を支えるピラーと、該ピラーの車両内方側を覆うピラートリムとの間にエアバッグ袋体を格納して、前記ピラートリムを前記ピラーに取り付ける取付部位体と、前記エアバッグ袋体の膨張展開時に前記ピラートリムがピラーへの取付状態から離脱して浮き上がる浮き上がり量を規制する規制部位体とを備えたピラートリム取付用クリップであって、前記規制部位体は、前記取付部位体の前記ピラートリムの取付開口部に取付嵌合された部位箇所から一体的に延設形成されており、前記ピラートリムが離脱した後の前記エアバッグ袋体の膨張展開に必要とする所定の浮き上がり移動を許容する所定長さの線形状の移動案内部位と、該線形状の移動案内部位の先端に設けられたピラートリムの移動を係止させる移動係止部位とを備え、前記線形状の移動案内部位は、前記ピラートリムの取付開口部が当該部位を移動する際に移動障害となって前記エアバッグ袋体の膨張展開に生じるピラートリムの浮き上がり衝撃を緩和する衝撃緩和手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
この第1の発明によれば、ピラートリム取付用クリップが備える規制部位体は、エアバッグ袋体の膨張展開時にピラートリムがピラーへの取付状態から離脱して浮き上がる浮き上がり量を規制するものである。この規制部位体は、線形状の移動案内部位と、移動係止部位とを備えている。線形状の移動案内部位は、ピラートリムが離脱した後のエアバッグ袋体の膨張展開に必要とする所定の浮き上がり移動を許容する所定長さに形成されている。そして、その先端にピラートリムの浮き上がり移動の移動を係止させる移動係止部位が設けられている。
上記した規制部位体は、ピラートリム取付用クリップの取付部位体と一体に形成されている。そのため、ピラートリム取付用クリップは、部品点数の増加をすることなく、ピラートリムをピラーに取り付ける本来的機能と、エアバッグ袋体の膨張展開時におけるピラートリムの浮き上がり量を規制する機能との二つの機能を有することができる。
更に、規制部位体の線形状の移動案内部位は、衝撃緩和手段を備えている。すなわち、エアバッグ袋体の膨張展開時にピラートリムがピラーへの取付状態から離脱して浮き上がる。そして、ピラートリムの取付開口部が移動案内部位を移動して移動係止部位に到達するまでに、かかる衝撃緩和手段が移動障害となってエアバッグ袋体の膨張展開に生じるピラートリムの浮き上がり衝撃を緩和する。これにより、エアバッグ袋体の膨張展開における衝撃によって、ピラートリム取付用クリップ及びピラーが破損するのを防止することができる。
【0011】
次に、第2の発明は、第1の発明のピラートリム取付用クリップにおいて、前記線形状の移動案内部位における衝撃緩和手段は、自由状態で少なくとも二次元方向に波形状に湾曲して形成されて配設されており、前記ピラートリムの取付開口部が当該部位を移動する際に湾曲形状が移動障害となって前記エアバッグ袋体の膨張展開に生じるピラートリムの浮き上がり衝撃を緩和することを特徴とする。
【0012】
この第2の発明によれば、エアバッグ袋体の膨張展開時にピラートリムの取付開口部は直線的に移動する。これに対し、移動案内部位に備える衝撃緩和手段は、自由状態で少なくとも二次元方向に波形状に湾曲して形成されている。そして、ピラートリムの取付開口部が移動案内部位を移動する際に湾曲形状が移動障害となってエアバッグ袋体の膨張展開に生じるピラートリムの浮き上がり衝撃を緩和する。これにより、エアバッグ袋体の膨張展開における衝撃によって、ピラートリム取付用クリップ及びピラーが破損するのを防止することができる。
また、移動案内部位における衝撃緩和手段は波形状に湾曲して形成されることから、ピラートリムが離脱した後のエアバッグ袋体の膨張展開に必要とする浮き上がり移動を許容する長さを確保すると共に、クリップ全長をコンパクトにすることができる。そのため、ピラートリム取付用クリップをピラートリムに取り付ける際に、係るクリップを押し込んで移動案内部位を撓ませる量が少なくなり、取付作業性の向上を図ることができる。
【0013】
次に、第3の発明は、第2の発明のピラートリム取付用クリップにおいて、前記線形状の移動案内部位は、前記波形状に湾曲して形成された部位が弾性変形可能な伸縮構造であることを特徴とする。
【0014】
この第3の発明によれば、線形状の移動案内部位は、波形状に湾曲して形成された部位が弾性変形可能な伸縮構造である。かかる伸縮構造によって、エアバッグ袋体の膨張展開に生じるピラートリムの浮き上がり衝撃をより一層、緩和することができる。
【0015】
次に、第4の発明は、第2の発明または第3の発明のピラートリム取付用クリップにおいて、線形状の移動案内部位のうち前記取付部位体と接続する側の部位には、前記ピラートリムの浮き上がり方向に向かって直線状に延設形成された直線状部位を有しており、該直線状部位と前記移動係止部位の間に前記波形状に湾曲して形成された部位が配設されていることを特徴とする。
【0016】
この第4の発明によれば、線形状の移動案内部位のうち取付部位体と接続する側の部位には、ピラートリムの浮き上がり方向に向かって直線状に延設形成された直線状部位を有している。これは、エアバッグ袋体の膨張展開のうち、初期の膨張展開スピードに対応してピラートリムの浮き上がりが円滑に行われるようにするものである。
すなわち、エアバッグ袋体の膨張展開が開始してピラートリムの浮き上がりが開始される際、ピラートリムの取付開口部は、先ず移動案内部位の直線状部位を通過するため円滑に移動がなされる。そして、そして、直線状部位と移動係止部位の間に波形状に湾曲して形成された部位が配設されているため、直線状部位を通過した後は、波形状に湾曲して形成された部位によってエアバッグ袋体の膨張展開に生じるピラートリムの浮き上がり衝撃が緩和される。よって、すばやくエアバッグ袋体を膨張展開させることができるとともに、係る膨張展開に生じるピラートリムの浮き上がり衝撃の緩和も果たすことができる。
【0017】
次に、第5の発明は、第3の発明または第4の発明のピラートリム取付用クリップにおいて、前記波形状に湾曲して形成された部位は、複数の波状部位からなり、隣接する波状部位は、該隣接波状部位間に配設される橋架部位により連結されており、前記橋架部位には、前記エアバッグ袋体の膨張展開圧よりも弱い強度の脆弱部が形成されており、該脆弱部は、エアバッグ袋体の膨張展開が作用した際に前記波状部位の弾性変形より先に破断することでエアバッグ袋体の膨張展開時の衝撃を緩和することを特徴とする。
【0018】
この第5の発明によれば、波形状に湾曲して形成された部位は、複数の波状部位からなっている。これにより、複数の波状部位の弾性変形によってエアバッグ袋体の膨張展開に生じるピラートリムの浮き上がり衝撃をより一層、緩和することができる。
さらに、隣接する波状部位の間に配設される橋架部位によって連結されており、この橋架部位の一部にはエアバッグ袋体の膨張展開圧よりも弱い強度の脆弱部が形成されている。この脆弱部は、エアバッグ袋体の膨張展開が作用した際に波状部位の弾性変形より先に破断する構成である。先ず、脆弱部が破断することでエアバッグ袋体の膨張展開時の衝撃を緩和し、更に複数の波状部位の弾性変形によってかかる衝撃を緩和することができる。これにより、ピラートリムの取付開口部が移動案内部位を移動して移動係止部位に到達するまでに、複数の構成によって衝撃緩和をすることができるため、ピラートリム取付用クリップ及びピラーの破損防止をより一層図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上記各発明の手段をとることにより、エアバッグ袋体の膨張展開における衝撃によって、ピラートリム取付用クリップ及びピラーが破損するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態1に係るピラートリム取付用クリップによってフロントピラートリムがフロントピラーに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】実施形態1に係るピラートリム取付用クリップの側面図である。
【図4】実施形態1に係るピラートリム取付用クリップをフロントピラートリムに取り付ける状態を示した斜視図である。
【図5】実施形態1に係るピラートリム取付用クリップによって取り付けられたフロントピラートリムがエアバッグ袋体の膨張展開によってフロントピラーから離脱する途中状態を示した断面図である。
【図6】実施形態1に係るピラートリム取付用クリップによって取り付けられたフロントピラートリムがエアバッグ袋体の膨張展開によってフロントピラーから離脱した状態を示した断面図である。
【図7】実施形態2に係るピラートリム取付用クリップの側面図である。
【図8】実施形態2に係るピラートリム取付用クリップによって取り付けられたフロントピラートリムがエアバッグ袋体の膨張展開によってフロントピラーから離脱する途中状態を示した断面図である。
【図9】実施形態2に係るピラートリム取付用クリップによって取り付けられたフロントピラートリムがエアバッグ袋体の膨張展開によってフロントピラーから離脱した状態を示した断面図である。
【図10】実施形態3に係るピラートリム取付用クリップの側面図である。
【図11】実施形態3に係るピラートリム取付用クリップによって取り付けられたフロントピラートリムがエアバッグ袋体の膨張展開によってフロントピラーから離脱する途中状態を示した断面図である。
【図12】実施形態3に係るピラートリム取付用クリップによって取り付けられたフロントピラートリムがエアバッグ袋体の膨張展開によってフロントピラーから離脱した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
以下に、本発明を実施するための実施形態1について、図1〜図6を用いて説明する。
自動車等の車両には、車両のボディ本体部と、車両の屋根として構成されるルーフパネルとの間にかかるルーフパネルを支える柱としてピラーが配置構成される。このピラーには、車両の前席の斜め前方に配置構成されるフロントピラー、前席と後席の間に配置構成されるセンターピラー、後席の斜め後方に配置構成されるリヤピラー等がある。本実施形態では、図1に図示されるように、車両構造物として構成されるピラーのうちフロントピラー10の部位を代表して説明する。
【0022】
図1、2に図示されるように、フロントピラー10は、車両のボディ本体部2とルーフパネル4の間に配置構成され、このルーフパネル4を支えるピラーのうち車両の前部位置に配設されて構成される。このフロントピラー10の車両内方側を覆うのがフロントピラートリム30である。このフロントピラー10とフロントピラートリム30の間には、エアバッグ袋体60が格納されている。実施形態1にかかるピラートリム取付用クリップ100は、フロントピラー10と、フロントピラートリム30との間にエアバッグ袋体60を格納した状態で、フロントピラートリム30をフロントピラー10に取り付けるものである。ここで、フロントピラー10との間にエアバッグ袋体60が格納されたフロントピラートリム30の取付構造の概略を説明した上で、ピラートリム取付用クリップ100の詳細を説明する。
【0023】
[フロントピラートリム30の取付構造の概略]
図1に図示されるように、フロントピラー10との間にエアバッグ袋体60が格納されたフロントピラートリム30の取付構造は、フロントピラー10と、フロントピラートリム30と、エアバッグ袋体60と、ピラートリム取付用クリップ100とを主体として構成される。
【0024】
図1、2に図示されるように、このフロントピラー10は、鋼板製のアウターパネル12とインナーパネル14、金属リインフォースメント16の三つの部材から構成されている。アウターパネル12は、車両の外壁となる部材であり、インナーパネル14は、車両の内方側に配設されて車室を区画形成するために構成されている。金属リインフォースメント16は、アウターパネル12及びインナーパネル14の剛性の補強を図るための補強材である。このフロントピラー10は、このアウターパネル12とインナーパネル14との間に、金属リインフォースメント16を挟んだ状態で、各々の両端に構成されているフランジ部12f、14fをスポット溶接することで接合された閉断面構造として構成されている。このフロントピラー10の一端のフランジ部12f、14fには、フロントウィンドガラス18の端部が配設されており、アウターパネル12とフロントウィンドガラス18との間をフロントウィンドシール19で塞いでフロントウィンドガラス18が支持されている。また、フロントピラー10の他端のフランジ部12f、14fには、ドアシール20が取り付けられている。
このドアシール20の車両外方には、フロントドア21が構成されている。このフロントドア21は、外周に枠状のドアサッシ24が配置構成されており、その枠内にフロントドアウィンドガラス22が配設されている。このドアシール20は、フロントドア21を閉じたたときにドアサッシ24に密接することでシールするものである。
また、インナーパネル14の長手方向の複数箇所には、後述するピラートリム取付用クリップ100の取付部位体が嵌合されるクリップ取付孔14hが開孔形成されている。
そして、このフロントピラー10に対する車室内方側には、フロントピラートリム30が配置設備されている。すなわち、インナーパネル14を全体的に被覆するようにフロントピラートリム30が配設されている。
【0025】
図1、2、4に図示されるように、このフロントピラートリム30は、上記フロントピラー10に対する車室内方側に配置装備されるものである。このフロントピラートリム30は、適宜の合成樹脂材をもって所用の型成形によって長尺状の板状部材に形成されている。このフロントピラートリム30は、先ずその外表面が、車室内壁を滑らかな面形状とする意匠面としての機能を果たす。なお、装飾性に鑑み表皮を貼合されるものであってもよい。また、車両衝突時の乗員保護の機能を果たす。すなわち、車両の衝突時に乗員が慣性によってフロントピラー10に衝突する所謂2次衝突に対するプロテクター機能とを併有する。
このフロントピラートリム30は、インナーパネル14を全体的に被覆する領域を覆う長尺状に形成される。また、図示を省略するがフロントピラートリム30の上,下端部に内,外方向に向けてオフセットした接続片が形成されている。この接続片は、図示を省略するがルーフトリムまたはルーフレールトリム等の天井トリム材の裏側およびインストルメントパネルの側部に差込み係着して、これら天井トリム材およびインストルメントパネルとの面整合が図られている。
フロントピラートリム30の内面側(インナーパネル14と対向する面)は、インナーパネル14のクリップ取付孔14hに対応する位置に、ピラートリム取付用クリップ100を取り付けるためのクリップ取付台32が設けられている。
具体的には、フロントピラートリム30の内面からインナーパネル14に向かって複数の壁部34が立設され、この両壁部34の先端側を架け渡す取付基部36が形成される。
係る取付基部36の略中央には、後述するピラートリム取付用クリップ100が嵌合される取付開口部38が形成されている。この取付開口部38は、取付基部36の縁部からスリット状に切欠き形成されている。具体的には、後述するピラートリム取付用クリップ100の規制部位体120のうち、取付部位体110のピラートリム係止部117が嵌合される開口幅38dに切欠き形成されている。なお、取付基部36の取付開口部38は、ピラートリム取付用クリップ100の規制部位体120を挿通可能であると共に、取付部位体110のピラートリム係止部117が嵌合可能な構成であれば、スリット状の切欠き形成以外に、取付基部36を貫通する開孔の態様であってもよい。
【0026】
図2に図示されるように、インナーパネル14とフロントピラートリム30との間には、乗員保護のためのエアバッグ装置のエアバッグ袋体60が折畳んで上下方向に格納配置されている。このエアバッグ袋体60は、図1に図示されるように、フロントピラー10から天井トリム材の車幅方向側縁部で覆われる図外のルーフサイドレールに沿って配設されている。フロントピラー10の下側基部あるいはルーフサイドレールの後部には、図示を省略したインフレータが配設されている。そして、このエアバッグ袋体60は、車両に取付けられた衝突検知センサからの出力に基いて図示を省略するイグナイタ(発火装置)を作動させインフレータ(ガス発生器)から発生するガスをエアバッグ袋体60に導入しこのガスにより膨張して、車室側面に沿ってカーテン状に展開されて衝突時における乗員の保護をする。
【0027】
[ピラートリム取付用クリップ100の構造]
ピラートリム取付用クリップ100は、図2に図示されるようにフロントピラートリム30をフロントピラー10に取り付けると共に、エアバッグ袋体60の膨張展開時におけるフロントピラートリム30の浮き上がり量S(図6参照)を規制するものである。図3に図示されるように、ピラートリム取付用クリップ100は、適宜の合成樹脂材をもって所用の型成形によって軸状に形成されている。このピラートリム取付用クリップ100は、取付部位体110と規制部位体120とを備えている。
【0028】
取付部位体110は、図2に図示されるようにフロントピラー10のクリップ取付孔14hに嵌合するとともに、フロントピラートリム30の取付開口部38に嵌合する部位である。これにより、フロントピラートリム30をフロントピラー10に取り付ける。
取付部位体110は、図3に図示されるように、嵌合軸部112と、弾性係合片113と、ピラー係止部114と、第1取付座面部115と、第2取付座面部116と、ピラートリム係止部117と、拡開軸部118とを有する。
【0029】
図3に図示されるように、嵌合軸部112は、軸状に形成されており、フロントピラー14のクリップ取付孔14hに嵌合可能な断面形状を有している。
弾性係合片113は、嵌合軸部112の根元近傍から径方向外方に突出する爪形状を二つ有している。ここで、弾性係合片113を側面視で見て、互いの弾性係合片113の縁部の幅113dは、クリップ取付孔14hより大きな幅寸法を有している。また、弾性係合片113は、径方向内方に弾性変形可能に構成されている。これにより、弾性係合片113は、クリップ取付孔14hを挿通する際に径方向内方に弾性変形して嵌合軸部112を更に奥まで進入させ、クリップ取付孔14hを通過後は弾性復帰してクリップ取付孔14hの外周縁を係合する。
ピラー係止部114は、弾性係合片113と後述する第1取付座面部115の間に配置構成されている。このピラー係止部114は、クリップ取付孔14hと略同一の断面形状に形成されている。これにより、ピラートリム取付用クリップ100は、ピラー係止部114が弾性係合片113と第1取付座面部115に挟持されてクリップ取付孔14hに係止される。
第1取付座面部115は、クリップ取付孔14hの断面積より大きな断面形状の皿形状に形成されている。ピラートリム取付用クリップ100は、第1取付座面部115がフロントピラー14のクリップ取付孔14h周りに当接することで安定した取付け状態が保持される。
【0030】
図3に図示されるように、第2取付座面部116は、第1取付座面部115に隣接して構成されている。この第2取付座面部116は、取付開口部38の断面積より大きな断面形状の平板形状に形成されている。ピラートリム取付用クリップ100は、第2取付座面部116がフロントピラートリム30におけるクリップ取付台32の取付基部36周りに当接することで安定した取付け状態が保持される。
ピラートリム係止部117は、第2取付座面部116と後述する拡開軸部118の間に配置構成されている。このピラートリム係止部117の幅117dは、取付開口部38の開口幅38dと略同一幅を有している。これにより、ピラートリム取付用クリップ100は、ピラートリム係止部117が第2取付座面部116と拡開軸部118に挟持されて取付開口部38に係止される。
拡開軸部118は、ピラートリム係止部117と隣接し、ピラートリム係止部117の幅117dより拡開した幅を有する。この拡開軸部118と第2取付座面部116との間に取付開口部38を挟持して、フロントピラートリム30を係止する。具体的には、拡開軸部118の幅118dは、取付開口部38の開口幅38dより大きい幅寸法を有している。
【0031】
図3に図示されるように、規制部位体120は、エアバッグ袋体60の膨張展開時にフロントピラートリム30がフロントピラー10への取付状態から離脱して浮き上がる浮き上がり量S(図6参照)を規制する部位である。規制部位体120は、拡開軸部118の部位から嵌合軸部112の配設側と反対方向に向かって一体的に延設形成されている。
これは、図2に図示されるようにフロントピラートリム30がフロントピラー10へ取付られた状態では、規制部位体120は、取付部位体110のフロントピラートリム30の取付開口部38に取付嵌合された部位箇所から一体的に延設形成される関係となる。
この規制部位体120は、図3に図示されるように移動案内部位122と、移動係止部位130とを有する。
移動案内部位122は、側面視で見て線形状に形成されると共に、自由状態で少なくとも二次元方向に波形状に湾曲した波状部位124(衝撃緩和手段)を複数有している。
この波状部位124の振幅幅124dは、取付開口部38の開口幅38dより大きい幅寸法を有する。そのため、フロントピラートリム30の取付開口部38が移動案内部位122を移動する際に波状部位124が移動障害となってエアバッグ袋体60の膨張展開に生じるフロントピラートリム30の浮き上がり衝撃を緩和する。また、この波状部位124は、弾性変形可能な伸縮構造とされており浮き上がり衝撃を緩和する。
なお、この移動案内部位122の全長は、エアバッグ袋体60の膨張展開時にフロントピラートリム30がフロントピラー10への取付状態から離脱して浮き上がる浮き上がり量S(図6参照)に必要な長さを有している。これにより、移動案内部位122は、波状部位124が伸びることでフロントピラートリム30が離脱した後のエアバッグ袋体60の膨張展開に必要とする所定の浮き上がり移動を許容する。
移動係止部位130は、移動案内部位122の先端に設けられている。移動係止部位130は、取付開口部38の開口幅38dよりも大きく形成されている。これにより、フロントピラートリム30の取付開口部38の移動を係止させる。
【0032】
このピラートリム取付用クリップの作用は次のとおりである。
図2に図示されるように、常時は、ピラートリム取付用クリップ100がフロントピラー14のクリップ取付孔14hに嵌合すると共に、フロントピラートリム30の取付開口部38に嵌合することで、フロントピラートリム30はフロントピラー10との間にエアバッグ袋体60が格納された状態で保持されている。
次に、図示を省略するが車両に取付けられた衝突検知センサからの出力がなされると、この出力に基いて図示を省略するイグナイタ(発火装置)が作動されインフレータ(ガス発生器)からのガスによりエアバッグ袋体60が膨張展開を始める。図5に図示されるように、フロントピラートリム30は、エアバッグ袋体60の膨張展開によってピラートリム係止部117が取付開口部38との嵌合状態が外れてフロントピラー10への取付状態から離脱して車室内方側に浮き上がる。
図6に図示されるように、更にエアバッグ袋体60が膨張展開されると、フロントピラートリム30の取付開口部38は、ピラートリム取付用クリップ100の移動案内部位122上を移動する。この際、取付開口部38は、移動案内部位122の波状部位124と干渉しながら移動するため、取付開口部38の移動障害となる。これにより、エアバッグ袋体60の膨張展開に生じるフロントピラートリム30の浮き上がり衝撃が緩和される。また、波状部位124は、弾性変形可能な伸縮構造とされており浮き上がり衝撃を緩和する。取付開口部38は、移動案内部位122上を移動して移動係止部位130によって係止される。これにより、フロントピラートリム30は、エアバッグ袋体60の浮き上がり量Sを確保しつつ、係る浮き上がり量Sの形成寸法以上に車室内方側に浮き上がるのが防止される。そして、エアバッグ袋体60は、車室側面に沿ってカーテン状に展開される。
【0033】
このように、実施形態1のピラートリム取付用クリップ100が備える規制部位体120は、エアバッグ袋体60の膨張展開時にフロントピラートリム30がフロントピラー10への取付状態から離脱して浮き上がる浮き上がり量Sを規制するものである。この規制部位体120は、線形状の移動案内部位122と、移動係止部位130とを備えている。線形状の移動案内部位122は、フロントピラートリム30が離脱した後のエアバッグ袋体60の膨張展開に必要とする所定の浮き上がり移動を許容する所定長さに形成されている。そして、その先端にフロントピラートリム30の浮き上がり移動の移動を係止させる移動係止部位130が設けられている。
上記した規制部位体120は、ピラートリム取付用クリップ100の取付部位体110と一体に形成されている。そのため、ピラートリム取付用クリップ100は、部品点数の増加をすることなく、フロントピラートリム30をフロントピラー10に取り付ける本来的機能と、エアバッグ袋体60の膨張展開時におけるフロントピラートリム30の浮き上がり量Sを規制する機能との二つの機能を有することができる。
更に、規制部位体120の線形状の移動案内部位122は、波状部位124(衝撃緩和手段)を備えている。すなわち、エアバッグ袋体60の膨張展開時にフロントピラートリム30がフロントピラー10への取付状態から離脱して浮き上がる。そして、フロントピラートリム30の取付開口部38が移動案内部位122を移動して移動係止部位130に到達するまでに、かかる波状部位124が移動障害となってエアバッグ袋体60の膨張展開に生じるフロントピラートリム30の浮き上がり衝撃を緩和する。これにより、エアバッグ袋体60の膨張展開における衝撃によって、ピラートリム取付用クリップ100及びフロントピラー10が破損するのを防止することができる。
【0034】
また、エアバッグ袋体60の膨張展開時にフロントピラートリム30の取付開口部38は直線的に移動する。これに対し、移動案内部位122に備える波状部位124は、自由状態で少なくとも二次元方向に波形状に湾曲して形成されている。そして、フロントピラートリム30の取付開口部38が移動案内部位122を移動する際に湾曲形状が移動障害となってエアバッグ袋体60の膨張展開に生じるフロントピラートリム30の浮き上がり衝撃を緩和する。これにより、エアバッグ袋体60の膨張展開における衝撃によって、ピラートリム取付用クリップ100及びフロントピラー10が破損するのを防止することができる。
また、移動案内部位122における波状部位124は波形状に湾曲して形成されることから、フロントピラートリム30が離脱した後のエアバッグ袋体60の膨張展開に必要とする浮き上がり移動を許容する長さを確保すると共に、クリップ全長をコンパクトにすることができる。そのため、ピラートリム取付用クリップ100をフロントピラートリム30に取り付ける際に、係るクリップを押し込んで移動案内部位122を撓ませる量が少なくなり、取付作業性の向上を図ることができる。
【0035】
また、線形状の移動案内部位122は、波形状に湾曲して形成された部位が弾性変形可能な伸縮構造である。かかる伸縮構造によって、エアバッグ袋体60の膨張展開に生じるフロントピラートリム30の浮き上がり衝撃をより一層、緩和することができる。
【0036】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2に係るピラートリム取付用クリップを図7から9にしたがって説明する。なお、上記実施形態1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略することがある。
この実施形態2に係るピラートリム取付用クリップ200は、図7に図示されるように、隣接する波状部位124の間に配設される橋架部位226によって連結されている。橋架部位226の一部には、エアバッグ袋体60の膨張展開圧よりも弱い強度の脆弱部228が形成されている。この脆弱部228は、橋架部位226の軸方向の一部が薄肉状に形成されている。かかる脆弱部228は、図8、9に図示されるようにエアバッグ袋体60の膨張展開が作用した際に波状部位124の弾性変形より先に破断することでエアバッグ袋体60の膨張展開時の衝撃を緩和する。その他の構成については実施形態1と同様である。
【0037】
以上より、実施形態2に係るピラートリム取付用クリップ200は、実施形態1と同一の機能を果たし、同一の作用、効果を得ることができる。
また、ピラートリム取付用クリップ200は、複数の波状部位124からなっている。これにより、複数の波状部位124の弾性変形によってエアバッグ袋体60の膨張展開に生じるフロントピラートリム30の浮き上がり衝撃をより一層、緩和することができる。
さらに、隣接する波状部位124の間に配設される橋架部位226によって連結されており、この橋架部位226の一部にはエアバッグ袋体60の膨張展開圧よりも弱い強度の脆弱部228が形成されている。この脆弱部228は、エアバッグ袋体60の膨張展開が作用した際に波状部位124の弾性変形より先に破断する構成である。先ず、脆弱部228が破断することでエアバッグ袋体60の膨張展開時の衝撃を緩和し、更に複数の波状部位124の弾性変形によってかかる衝撃を緩和することができる。これにより、フロントピラートリム30の取付開口部38が移動案内部位122を移動して移動係止部位130に到達するまでに、複数の構成によって衝撃緩和をすることができるため、ピラートリム取付用クリップ200及びフロントピラートリム30の破損防止をより一層図ることができる。
【0038】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3に係るピラートリム取付用クリップを図10から12にしたがって説明する。なお、上記実施形態1及び実施形態2と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略することがある。
この実施形態3に係るピラートリム取付用クリップ300は、図10に図示されるように、線形状の移動案内部位122のうち取付部位体110と接続する側の部位には、フロントピラートリム30の浮き上がり方向に向かって直線状に延設形成された直線状部位340を有している。この直線状部位340の構成は、エアバッグ袋体60の膨張展開のうち、初期の膨張展開スピードに対応してフロントピラートリム30の浮き上がりが円滑に行われるようにするものである。すなわち、図11に図示されるように、エアバッグ袋体60の膨張展開が開始してフロントピラートリム30の浮き上がりが開始される際、フロントピラートリム30の取付開口部38は、先ず移動案内部位122の直線状部位340を通過するため円滑に移動がなされる。
そして、図10、12に図示されるように、直線状部位340と移動係止部位130の間に波状部位124と、脆弱部228を備える橋架部位226が配設されているため、直線状部位340を通過した後は、かかる波状部位124と、脆弱部228を備える橋架部位226によってエアバッグ袋体60の膨張展開に生じるフロントピラートリム30の浮き上がり衝撃が緩和される。なお、直線状部位340の長さは、エアバッグの膨張展開能力に伴うフロントピラートリム30の浮き上がり量に鑑みて適宜設定できる。
【0039】
以上より、実施形態3に係るピラートリム取付用クリップ300は、実施形態1及び実施形態2と同一の機能を果たし、同一の作用、効果を得ることができる。
また、すばやくエアバッグ袋体60を膨張展開させることができるとともに、エアバッグ袋体60の膨張展開に生じるフロントピラートリム30の浮き上がり衝撃の緩和も果たすことができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態1から3について説明したが、本発明のピラートリム取付用クリップは、本実施の形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。例えば、本実施例においては、フロントピラーにフロントピラートリムを取り付けるためのピラートリム取付用クリップを示したが、センターピラー、リヤピラーも同様に適用できるものである。
【0041】
また、実施形態1から3におけるフロントピラートリムは、アシストグリップが構成される態様にも適用できるものである。
【0042】
また、実施形態1から3における移動案内部位における波状部位は、二次元方向に波形状に湾曲して形成されていればよく弾性変形しない構成のものであってもよい。
【0043】
また、実施形態1から3における移動案内部位における波状部位は、複数構成されるものについて示したが二次元方向に波形状に湾曲した構成が少なくとも一つ構成されるものでもよい。
【0044】
また、実施形態1から3における衝撃緩和手段は、波形状に限定されない。すなわち、フロントピラートリムの取付開口部が移動案内部位を移動する際に移動障害となってエアバッグ袋体の膨張展開に生じるフロントピラートリムの浮き上がり衝撃を緩和するものであればよい。例えば、移動案内部位の延出方向と交差する方向に突出する突起状部位を構成するものでもよい。
【0045】
また、実施形態2、3における橋架部位は全ての波状部位の間を連結しなくてもよく、エアバッグ袋体の膨張展開時の衝撃に鑑みて構成数を設定できる。また、脆弱部も同様である。
【0046】
また、実施形態2、3における脆弱部は、橋架部位の軸方向の一部が薄肉状に形成されているものについて示した。しかしながらこれに限定されず、橋架部位の全体が脆弱部として構成するものであってもよい。例えば、橋架部位が軸方向全体に薄肉状に構成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
2 ボディ本体部
4 ルーフパネル
10 フロントピラー
12 アウターパネル
12f フランジ部
14 インナーパネル
14h クリップ取付孔
14f フランジ部
16 金属リインフォースメント
18 フロントウィンドガラス
19 フロントウィンドシール
20 ドアシール
21 フロントドア
22 フロントドアウィンドガラス
24 ドアサッシ
30 フロントピラートリム
32 クリップ取付台
34 壁部
36 取付基部
38 取付開口部
38d 取付開口部の開口幅
60 エアバッグ袋体
100 ピラートリム取付用クリップ
110 取付部位体
112 嵌合軸部
113 弾性係合片
113d 弾性係合片の縁部の幅
114 ピラー係止部
115 第1取付座面部
116 第2取付座面部
117 ピラートリム係止部
117d ピラートリム係止部の幅
118 拡開軸部
118d 拡開軸部の幅
120 規制部位体
122 移動案内部位
124 波状部位(衝撃緩和手段)
124d 波状部位の振幅幅
130 移動係止部位
200 ピラートリム取付用クリップ
226 橋架部位
228 脆弱部
300 ピラートリム取付用クリップ
340 直線状部位
S フロントピラートリムの浮き上がり量


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車等車両本体部の上方に配置される屋根部材を支えるピラーと、該ピラーの車両内方側を覆うピラートリムとの間にエアバッグ袋体を格納して、前記ピラートリムを前記ピラーに取り付ける取付部位体と、
前記エアバッグ袋体の膨張展開時に前記ピラートリムがピラーへの取付状態から離脱して浮き上がる浮き上がり量を規制する規制部位体とを備えたピラートリム取付用クリップであって、
前記規制部位体は、前記取付部位体の前記ピラートリムの取付開口部に取付嵌合された部位箇所から一体的に延設形成されており、前記ピラートリムが離脱した後の前記エアバッグ袋体の膨張展開に必要とする所定の浮き上がり移動を許容する所定長さの線形状の移動案内部位と、該線形状の移動案内部位の先端に設けられたピラートリムの移動を係止させる移動係止部位とを備え、
前記線形状の移動案内部位は、前記ピラートリムの取付開口部が当該部位を移動する際に移動障害となって前記エアバッグ袋体の膨張展開に生じるピラートリムの浮き上がり衝撃を緩和する衝撃緩和手段を備えていることを特徴とするピラートリム取付用クリップ。
【請求項2】
請求項1に記載のピラートリム取付用クリップであって、
前記線形状の移動案内部位における衝撃緩和手段は、自由状態で少なくとも二次元方向に波形状に湾曲して形成されて配設されており、前記ピラートリムの取付開口部が当該部位を移動する際に湾曲形状が移動障害となって前記エアバッグ袋体の膨張展開に生じるピラートリムの浮き上がり衝撃を緩和することを特徴とするピラートリム取付用クリップ。
【請求項3】
請求項2に記載のピラートリム取付用クリップであって、
前記線形状の移動案内部位は、前記波形状に湾曲して形成された部位が弾性変形可能な伸縮構造であることを特徴とするピラートリム取付用クリップ。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のピラートリム取付用クリップであって、
線形状の移動案内部位のうち前記取付部位体と接続する側の部位には、前記ピラートリムの浮き上がり方向に向かって直線状に延設形成された直線状部位を有しており、
該直線状部位と前記移動係止部位の間に前記波形状に湾曲して形成された部位が配設されていることを特徴とするピラートリムの取付用クリップ。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のピラートリム取付用クリップであって、
前記波形状に湾曲して形成された部位は、複数の波状部位からなり、隣接する波状部位は、該隣接波状部位間に配設される橋架部位により連結されており、
前記橋架部位には、前記エアバッグ袋体の膨張展開圧よりも弱い強度の脆弱部が形成されており、
該脆弱部は、エアバッグ袋体の膨張展開が作用した際に前記波状部位の弾性変形より先に破断することでエアバッグ袋体の膨張展開時の衝撃を緩和することを特徴とするピラートリムの取付用クリップ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−52788(P2013−52788A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192958(P2011−192958)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(509069892)豊和繊維工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】