説明

ピリジルホスフィン化合物を有する金属錯体、及びアルキルメタクリレートの製造方法

【課題】従来の金属錯体を触媒とする製造方法では、メチルアセチレン等のアセチレン化合物を原料とした場合、パラジウム原子などの金属原子1モルあたり、アルキルメタクリレートの生成量が必ずしも十分満足できるものではなかった。
【解決手段】式(1)


[式中、Rは直鎖アルキル基、アルコキシ基等を表す。R、R、R及びRはアルキル基等を表す。R及びRは水素原子、アルキル基、アルコキシ基等を表す。]
で示されるピリジルホスフィン化合物と周期表第10族に属する金属原子とを有することを特徴とする金属錯体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリジルホスフィン化合物を有する金属錯体、及びアルキルメタクリレートの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、メチルアセチレン等のアセチレン化合物から有用な化学原料を製造する触媒の開発が進められつつある。例えば、特許文献1には、6−ハロ−2−ピリジルジフェニルホスフィンを配位子として有するパラジウム錯体を触媒とし、さらにプロトン酸の存在下で、一酸化炭素及びメタノールと、アセチレン化合物の1種であるメチルアセチレンと、を1時間反応させることにより、最大で1.0×10モル(メチルメタクリレート)/モル(パラジウム原子)/時でメチルメタクリレートを生成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平9−501671号公報(実施例IV)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている製造方法では、メチルアセチレン等のアセチレン化合物を原料とした場合、パラジウム原子などの金属原子1モルあたり、アルキルメタクリレートの生成量が必ずしも十分満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下、本発明者は、メチルアセチレン等のアセチレン化合物を原料とした場合、金属原子1モルあたりのアルキルメタクリレートの生成量を増加させ得る金属錯体を見出すべく検討した結果、以下の本発明に至った。
<1> 式(1)

[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20の直鎖アルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい7〜20のアラルキルオキシ基又は
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基
を表す。
、R、R及びRはそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
下記式(2)

(式中、R、R及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又は
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基
を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
前記式(2)で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
、R、R、R、R及びRのうち、隣接する炭素原子に結合する2つの基は互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
で示されるピリジルホスフィン化合物と周期表第10族に属する金属原子とを有することを特徴とする金属錯体。
【0006】
<2> ピリジルホスフィン化合物が配位子であることを特徴とする<1>記載の金属錯体。
<3> Rが水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、ベンジル基、フェニル基、メトキシ基、ベンジロキシ基またはフェノキシ基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする<1>又は<2>記載の金属錯体。
<4> Rが水素原子または炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか記載の金属錯体。
<5> Rが炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか記載の金属錯体。
<6> Rが炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRがメチル基であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか記載の金属錯体。
【0007】
<7> ピリジルホスフィン化合物が、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、またはビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の金属錯体。
<8> ピリジルホスフィン化合物が、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンであることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか記載の金属錯体。
<9> ピリジルホスフィン化合物が、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の金属錯体。
<10> ピリジルホスフィン化合物が、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィンであることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか記載の金属錯体。
<11> 周期表第10族金属原子がパラジウム原子であることを特徴とする<1>〜<10>のいずれか記載の金属錯体。
【0008】
<12> 式(1)

[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20の直鎖アルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
、R、R及びRはそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
下記式(2)で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
下記式(2)で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
、R、R、R、R及びRのうち、隣接する炭素原子に結合する2つの基同士は互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
式(2)は、

(式中、R、R及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
)で示される。]
で示されるピリジルホスフィン化合物。
【0009】
<13> Rが水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、ベンジル基、フェニル基、メトキシ基、ベンジロキシ基またはフェノキシ基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする<12>記載のピリジルホスフィン化合物。
<14> Rが水素原子または炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする<12>又は<13>記載のピリジルホスフィン化合物。
<15> Rが炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする<12>〜<14>のいずれか記載のピリジルホスフィン化合物。
<16> ピリジルホスフィン化合物が、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン又はビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィンである<12>〜<15>のいずれか記載のピリジルホスフィン化合物。
【0010】
<17> 式(3)

(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20の直鎖アルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
はハロゲン原子を示す)
で示されるハロゲン置換ピリジン化合物とアルキルリチウム化合物とを反応させる第1工程と、
該第1工程で得られる反応混合物と式(4)

(式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
下記式(2)で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
下記式(2)で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
、R、R、R、R及びRのうち、隣接する炭素原子に結合する2つの基同士は互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
式(2)は、

(式中、R、R及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
)で示される。
はハロゲン原子を表す。)
で示されるハロゲン化ホスフィンとを反応させる第2工程と
を有することを特徴とする式(1)

(式中、R〜Rは前記と同義である。)
で示されるピリジルホスフィン化合物の製造方法。
【0011】
<18> <12>〜<16>のいずれか記載のピリジルホスフィン化合物と周期表第10族に属する金属原子を有する化合物とを接触させて得られる金属錯体。
<19> <1>、<2>、<3>、<4>、<5>、<6>、<7>、<8>、<9>、<10>、<11>又は<18>のいずれか記載の金属錯体、及び、プロトン酸の存在下、
アセチレン化合物と、一酸化炭素及びアルコールと、
を反応させる工程を有することを特徴とするアルキルメタクリレートの製造方法。
<20> アセチレン化合物がメチルアセチレンであることを特徴とする<19>記載のアルキルメタクリレートの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メチルアセチレン等のアセチレン化合物を原料とした場合、金属原子1モルあたりのアルキルメタクリレートの生成量に優れる。また、プロパジエンを含み、アセチレン化合物を主成分とする原料を用いた場合でも、金属原子1モルあたりのアルキルメタクリレートの生成量に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
<ピリジルホスフィン化合物>
本発明のピリジルホスフィン化合物は、式(1)


で示される化合物であり、以下、「ピリジルホスフィン化合物(1)」と記すことがある。
【0015】
ピリジルホスフィン化合物(1)におけるRは、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20の直鎖アルキル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
【0016】
、R、R及びRはそれぞれ独立に、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、下記式(2)で示されるシリル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
【0017】
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、下記式(2)で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
、R、R、R、R及びRのうち、隣接する炭素原子に結合する2つの基同士は互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
式(2)は、

(式中、R、R及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
)で示される。
【0018】
本明細書において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子のうちいずれであってもよい。これらの中でもRのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
【0019】
本明細書において、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20の直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基及びn−エイコシル基などの炭素数1〜20の直鎖アルキル基、並びに、ここに例示するアルキル基にある水素原子の1つ以上がハロゲン原子で置き換えられた炭素数1〜20の直鎖ハロアルキル基が挙げられる。なお、ハロゲン原子はすでに例示したもののいずれであってもよい。
これらのうち、炭素数1〜4の直鎖アルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましい。
【0020】
本明細書において、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(4−エチルフェニル)メチル基、[4−(n−プロピル)フェニル]メチル基、(4−イソプロピルフェニル)メチル基、[4−(n−ブチル)フェニル]メチル基、[4−(sec−ブチル)フェニル]メチル基、[4−(tert−ブチル)フェニル]メチル基、[4−(n−ペンチル)フェニル]メチル基、(4−ネオペンチルフェニル)メチル基、[4−(n−ヘキシル)フェニル]メチル基、[4−(n−オクチル)フェニル]メチル基、[4−(n−デシル)フェニル]メチル基、[4−(n−ドデシル)フェニル]メチル基及びナフチルメチル基などのアラルキル基、並びに、ここに例示するアラルキル基にある環上の水素原子の1つ以上がハロゲン原子で置き換えられたハロアラルキル基が挙げられる。なお、ハロゲン原子はすでに例示したもののいずれであってもよい。これらのうち、ベンジル基が好ましい。
【0021】
本明細書において、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−(n−プロピル)フェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−(n−ブチル)フェニル基、4−(sec−ブチル)フェニル基、4−(tert−ブチル)フェニル基、4−(n−ペンチル)フェニル基、4−(ネオペンチル)フェニル基、4−(n−ヘキシル)フェニル基、4−(n−オクチル)フェニル基、4−(n−デシル)フェニル基、4−(n−ドデシル)フェニル基、4−(n−テトラデシル)フェニル基、ナフチル基及びアントラセニル基などのアリール基、並びに、ここに例示するアリール基にある水素原子の1つ以上がハロゲン原子で置き換えられたハロアリール基が挙げられる。なお、ハロゲン原子はすでに例示したもののいずれであってもよい。これらのうち、フェニル基が好ましい。
【0022】
本明細書において、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基としては、すでに例示したハロゲン原子を置換基として有していてもよいアラルキル基のメチレン部分に酸素原子が結合した基が挙げられる。これらのうち、ベンジルオキシ基がより好ましい。
本明細書において、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい6〜20のアリールオキシ基としては、すでに例示したハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリール基に酸素原子が結合した基が挙げられる。これらのうち、フェノキシ基がより好ましい。
【0023】
本明細書において、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基としては、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい直鎖アルキル基に加え、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基及びイソペンチル基などの分岐のアルキル基も例示される。これらの分岐アルキル基にある水素原子の1つ以上がハロゲン原子で置き換えられていてもよく、該ハロゲン原子の例示は上述のとおりである。
【0024】
においてピリジン環に結合する原子が分岐構造を有していないピリジルホスフィン化合物(1)であると、アルキルアルキレートの製造方法において生成物であるアルキルアルキレートの収率が向上する傾向があることから好ましい。そのため、Rのアルキル基は直鎖であることが必要であり、その炭素数は4以下が好ましく、2以下がより好ましい。
【0025】
が上述のアルコキシ基、アラルキルオキシ基及びアリールオキシ基である場合、ピリジン環に結合している原子が酸素原子なので、ピリジン環に結合する原子が分岐構造をとることはない。かかるアルコキシ基、アラルキルオキシ基及びアリールオキシ基は、それぞれ嵩高さはより小さい方が好ましいので、炭素数が少ないことが好ましい。かかるアルコキシ基の炭素数は、好ましくは4以下、より好ましくは2以下である。上記アラルキルオキシ基の炭素数は、好ましくは10以下、より好ましくは7である。上記アリールオキシ基の炭素数は、好ましくは9以下、より好ましくは6である。アリール基の炭素数は、好ましくは9以下、より好ましくは6である。
【0026】
、R、R、R、R及びRにおける、ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアラルキル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリール基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアラルキルオキシ基及びハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリールオキシ基の具体例は、すでにRで説明したものと同じものが例示される。かかるR、R、R、R、R及びRにおける、ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアラルキル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリール基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアラルキルオキシ基及びハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリールオキシ基は、ピリジルホスフィン化合物(1)がより製造し易い点で、炭素数18以下が好ましく、炭素数9以下がより好ましい。
【0027】
、R、R及びRは、好ましくは、それぞれ独立に、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、後述の式(2)で示されるシリル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基である。
【0028】
、R、R、R、R及びRにおいて、アルキル基は、炭素数が4以下であることが好ましく、炭素数2以下であることがより好ましい。
【0029】
、R、R、R、R及びRにおいて、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基及びアリールオキシ基は、ピリジルホスフィン化合物(1)がより製造し易い点では、炭素数が18以下であることが好ましく、炭素数9以下であることがより好ましい。
【0030】
式(1)において、R、R、R、R、R及びRの中で、隣接する炭素原子に結合している2つの基は互いに結合して、それらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよい。具体的には、RおよびR、RおよびR、RおよびR、または、R及びRは、それぞれ互いに結合して、それらが結合しているピリジン環もしくはベンゼン環と縮合環を形成する例が示される。これらの隣接する基が形成する環としては、飽和もしくは不飽和の炭化水素環などがあげられ、具体的には、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環が挙げられる。これらの環にある水素原子の1つ以上は、塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子などで置換されていてもよい。
本明細書において、炭化水素基としては、上述の炭素数1〜20のアルキル基、上述の炭素数6〜20のアリール基等が挙げられる。
【0031】
本明細書において、式(2)で示されるシリル基としては、R、R及びR10が、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であるシリル基が挙げられる。式(2)で示されるシリル基としては、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基などがあげられる。
【0032】
ピリジルホスフィン化合物(1)を、式(1)におけるR、R、R、R、R、R及びRの好適な組み合わせを具体的に例示すると、表1、表2、表3、表4及び表5(以下、「表1〜表5」のように記す。)に示すものが挙げられる。
なお、以下の表1〜表5に示す、それぞれの記号は、H:水素原子、Me:メチル基、Et:エチル基、n-Pr:n−プロピル基、i−Pr:イソプロピル基、n−Bu:n-ブチル基、i−Bu:i-ブチル基、t−Bu:t−ブチル基、Bn:ベンジル基、Ph:フェニル基、TMS:トリメチルシリル基、TBDMS:tert−ブチルジメチルシリル基を意味する。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
【表4】

【0037】
【表5】

【0038】
表1〜表5に例示するピリジルホスフィン化合物(1)の中で、好ましくは、式(1)におけるRが水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、ベンジル基、フェニル基、メトキシ基、ベンジロキシ基またはフェノキシ基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である化合物であり、
より好ましくは、式(1)におけるR
が水素原子または炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である化合物、
更に好ましくは、式(1)におけるRが水素原子または炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基である化合物であり、特に好ましくは、式(1)におけるRが水素原子または炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である化合物である。その他、式(1)におけるRが炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRがメチル基である化合物も特に好ましい化合物として挙げられる。
【0039】
ピリジルホスフィン化合物(1)は、具体的には、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン[化合物<1>]、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン[化合物<26>]、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィン[化合物<51>]、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(2−ピリジル)ホスフィン[化合物<14>]、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン[化合物<39>]及びビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィン[化合物<55>]であり、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン[化合物<26>]、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン[化合物<39>]及びビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィン[化合物<55>]がより好ましく、
ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン[化合物<26>]及びビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン[化合物<39>]が特に好ましい。
ここで、ピリジルホスフィン化合物(1)の名称の後に記載された[化合物< >]の< >内の数字は表1〜表5に記載された化合物の番号を意味する。
【0040】
<ピリジルホスフィン化合物(1)の製造方法>
次に、ピリジルホスフィン化合物(1)の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ということがある。)について説明する。
ピリジルホスフィン化合物(1)は、式(3)

で示されるハロゲン置換ピリジル化合物(以下、「ハロゲン置換ピリジル化合物(3)」ということがある。)とアルキルリチウム化合物とを反応させる第1工程と、該第1工程で得られる反応混合物と式(4)

で示されるハロゲン化ホスフィン(以下、「ハロゲン化ホスフィン化合物(4)」ということがある。)とを反応させる第2工程とを有する製造方法により製造することができる。
【0041】
以下、この製造方法について詳細に説明する。
上記式(3)において、Xとしては塩素原子及び臭素原子が好ましい。上記式(3)において、Rおよびその好ましい範囲は、上記式(1)における定義と同じであるが、炭素数1〜4の直鎖アルキル基であることが特に好ましい。
ハロゲン置換ピリジル化合物(3)の具体例としては、2−クロロピリジン、2−クロロ−6−メチルピリジン、2−クロロ−6−エチルピリジン、2−クロロ−6−n−プロピルピリジン、2−クロロ−6−イソプロピルピリジン、2−クロロ−6−n−ブチルピリジン、2−ブロモピリジン、2−ブロモ−6−メチルピリジン、2−ブロモ−6−エチルピリジン、2−ブロモ−6−n−プロピルピリジン及び2−ブロモ−6−n−ブチルピリジンなどが挙げられる。
【0042】
上記式(4)において、Xとしては、塩素原子及び臭素原子が好ましい。上記式(4)において、R、R、R、R、R及びRおよびそれらの好ましい範囲は、上記式(1)における定義と同じである。上記式(4)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。R及びRおよびそれらの好ましい範囲は、上記式(1)における定義と同じであるが、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
【0043】
式(4)におけるX、R、R、R、R、R及びRの組み合わせとしては、表6及び表7に示す組み合わせが挙げられる。なお、表6及び表7におけるそれぞれの記号は、上述の表1〜表5で説明した記号と同じ意味である。
【0044】
【表6】

【0045】
【表7】

【0046】
ハロゲン化ホスフィン化合物(4)としては、好ましくは、式(4)におけるXが塩素原子及び臭素原子であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である化合物であり、
より好ましくは、式(4)におけるXが塩素原子及び臭素原子であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である化合物であり、
更に好ましくは、式(4)においてXが塩素原子又は臭素原子であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基である化合物であり、
特に好ましくは、式(4)においてXが塩素原子又は臭素原子であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基、特にメチル基であり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基である化合物である。
【0047】
ハロゲン化ホスフィン化合物(4)としては、具体的には、ビス(3,5−ジメチルフェニル)クロロホスフィン[化合物<201>]、ビス(3,5−ジメチルフェニル)ブロモホスフィン[化合物<226>]、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)クロロホスフィン[化合物<214>]及びビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ブロモホスフィン[化合物<239>]が好ましく、
ビス(3,5−ジメチルフェニル)クロロホスフィン[化合物<201>]、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)クロロホスフィン[化合物<214>]及びビス(3,5−ジメチルフェニル)クロロホスフィン[化合物<201>]がより好ましく、
ビス(3,5−ジメチルフェニル)クロロホスフィン[化合物<201>]及びビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)クロロホスフィン[化合物<214>]が更に好ましい。
ここで、ハロゲン化ホスフィン化合物(4)の名称の後に記載された[化合物< >]の< >内の数字は表6及び表7に記載された化合物の番号を意味する。
【0048】
本発明の製造方法において、アルキルリチウム化合物としては、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルリチウムが好ましい。アルキルリチウム化合物の具体例として、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム等が挙げられる。
本発明の製造方法において、必ずしも溶媒を使用する必要はないが、溶媒の存在下で行われることが好ましい。
本発明の製造方法に使用する溶媒としては、テトラヒドロフラン[THF]及びジエチルエーテルなどのエーテル溶媒、又はヘキサンなどの炭化水素溶媒が好ましく、これらは単独でも2種以上を混合した混合溶媒でもよい。
【0049】
前記製造方法において、溶媒の存在下、ハロゲン置換ピリジル化合物(3)とアルキルリチウム化合物とを反応させて第1工程を行い、第1工程で得られる反応混合物にハロゲン化ホスフィン(4)を加えて第2工程を行ってもよいし、ハロゲン置換ピリジル化合物(3)とアルキルリチウム化合物とを混合して第1工程を行い、該第1工程で得られる反応混合物をハロゲン化ホスフィン(4)に加えて第2工程を行ってもよい。操作が簡便である点では、前者の形式が好ましい。
なお、かかる製造方法において、ハロゲン置換ピリジル化合物(3)とアルキルリチウム化合物との使用量比(モル比)は、[ハロゲン置換ピリジル化合物(3)]/[アルキルリチウム化合物]で表して、1/0.5〜1/1.5の範囲が好ましく、1/0.75〜1/1.3の範囲がより好ましい。
ハロゲン置換ピリジル化合物(3)とハロゲン化ホスフィン(4)との使用量比(モル比)は、[ハロゲン置換ピリジル化合物(3)]/[ハロゲン化ホスフィン(4)]で表して、1/0.5〜1/2の範囲が好ましい。
【0050】
本発明の製造方法における反応条件について説明する。
各工程における反応温度は、−80℃〜使用した溶媒の沸点以下の範囲から選択され、好ましくは−80℃〜約100℃の範囲である。なお、第1工程の反応温度と第2工程の反応温度は、同じでも異なっていてもよいが、第1工程の反応温度は第2工程の反応温度よりも低温であることが好ましい。
各工程における反応時間は、上記温度範囲で反応を行う場合、48時間以内で充分である。
反応後は、必要に応じて反応混合物の温度を室温程度にした後、抽出、再結晶、再沈殿又は各種クロマトグラフィー等の操作、あるいはこれらを組み合わせた操作によって、生成物であるピリジルホスフィン化合物(1)を得ることができる。
【0051】
第2工程終了後の反応混合物に水又は塩水溶液を加えることにより、第2工程で生じる無機成分を含む水相とピリジルホスフィン化合物(1)及び溶媒を含む有機相とを分液することができる。上記塩水溶液としては、塩化ナトリウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液等を挙げることができる。更に、上記分液により得られた有機層を濃縮し、得られた濃縮物をカラムクロマトグラフィーにより精製する、該有機層を再結晶する等により、ピリジルホスフィン化合物(1)を分離・精製することができる。必要に応じて、上記分液により得られた水相に有機溶媒を加えることにより、ピリジルホスフィン化合物(1)を抽出することもできる。
【0052】
<金属錯体>
本発明の金属錯体は、上述の式(1)で示されるピリジルホスフィン化合物と周期表第10族に属する金属原子とを有する。以下、「周期表第10族に属する金属」を「第10族金属」ということがある。
本発明の金属錯体において、式(1)で示されるピリジルホスフィン化合物は、通常、配位子である。第10族金属原子は、通常、金属錯体の中心原子として存在する。
第10族金属原子としては、ニッケル原子、パラジウム原子及び白金原子などが挙げられ、好ましくはパラジウム原子である。
本発明の金属錯体は、ピリジルホスフィン化合物(1)と、第10族金属の金属単体又は第10族金属を有する化合物とから、好ましくはピリジルホスフィン化合物(1)と第10族金属を有する化合物とから得ることができる。
第10族金属原子がパラジウム原子である場合、本発明の金属錯体を得るための第10族金属を有する化合物を例示すると、パラジウムアセチルアセトナート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムアセテート、塩化パラジウム及び酢酸パラジウムを挙げることができる。
【0053】
上記金属錯体の調製において、上記金属単体または上記金属化合物、およびピリジルホスフィン化合物(1)の使用量は限定されないが、ピリジルホスフィン化合物(1)の使用量は、上記金属単体または上記金属化合物1モルあたり、3〜400モルの範囲が好ましく、10〜240モルの範囲がより好ましい。
【0054】
本発明の金属錯体を調製する際、アルコール溶媒、含硫黄溶媒、炭化水素溶媒、ハロゲン含有炭化水素溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒およびアミド溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒を存在させることが好ましい。
上記アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール、エチレングリコール等が挙げられる。上記含硫黄溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。上記炭化水素溶媒としては、ヘキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。上記ハロゲン含有炭化水素溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。上記エステル溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、メタクリル酸メチル等が挙げられる。上記エーテル溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アニソール、ジメトキシエタン、ジグライム、メチル−tert−ブチルエーテル、ジブチルエーテル、THF等が挙げられる。上記アミド溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン及びN,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。上記金属錯体を後述のアルコキシカルボニル化反応に用いる場合、上記調製における溶媒は、アルコキシカルボニル化反応に用いるアルコールと同じことが好ましい。
【0055】
本発明の金属錯体の調製における調製温度は、0〜100℃の範囲が好ましい。上記範囲の温度で反応を行う場合、一般に0.25〜48時間の間、上記金属単体または上記金属化合物とピリジルホスフィン化合物(1)とを混合することにより、これらを充分に接触させることができる。
本発明の金属錯体を後述のアルコキシカルボニル化反応に用いる場合、該金属錯体の調製は後述のプロトン酸ならびにアミン化合物の存在下で行ってもよい。その際には、アルコールを溶媒として存在させることが好ましく、該アルコキシカルボニル化反応の反応試剤として用いるアルコールを存在させることが特に好ましい。
上記接触により、本発明の金属錯体を含む金属錯体溶液を得ることができる。該金属錯体溶液から、再結晶、濃縮、カラムクロマトグラフィー等の公知の方法により、金属錯体を分離、精製することができる。
【0056】
本発明の金属錯体は、重合反応、オリゴマー化反応、アルキル化反応、ヘック[Heck]反応、水素化反応、カップリング反応、酸化反応、カルボキシル化反応、アルコキシカルボニル化反応、ヒドロホルミル化反応及びヒドロシリル化反応などの各種反応に用いることができる。
【0057】
本発明の金属錯体は、上記金属錯体溶液から適切な操作により分離した金属錯体を各種反応の触媒として用いてよいし、該金属錯体溶液を、該金属錯体を分離することなく各種反応の触媒として用いてよい。
【0058】
<アルコキシカルボニル化反応>
本発明の金属錯体は、特に、アセチレン化合物をアルコキシカルボニル化反応することでアルキルメタクリレートを得る反応の触媒として特に有用である。ここでいうアセチレン化合物のアルコキシカルボニル化反応とは、アセチレン化合物と一酸化炭素及びアルコールを反応させることにより、アルキルメタクリレートを製造する反応をいう。
該アルコキシカルボニル化反応において、分離および精製された金属錯体をアルコキシカルボニル化反応の触媒として用いることもできるが、第10族金属の金属単体又は第10族金属を有する化合物とピリジルホスフィン化合物(1)とを接触させることにより得られる金属錯体溶液に、アセチレン化合物、一酸化炭素及びアルコールを供給することにより反応を行うこともできる。
【0059】
本発明の金属錯体に対するアセチレン化合物の使用量比は、該金属錯体中の第10属金属原子がアセチレン化合物1モルあたり10−2〜10−6モルの範囲になるようにすることが好ましい。単離していない金属錯体にアセチレン化合物を供給する場合、金属錯体調製時に用いた第10族金属の金属単体または該金属を有する化合物の量をアセチレン化合物1モルあたり10−2〜10−6モルの範囲にしておけばよい。
【0060】
本発明のアルコキシカルボニル化反応は、前記金属錯体に加え、プロトン酸の存在下に行うことが好ましい。かかるプロトン酸としては、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸及びベンゼンリン酸などのリン酸;硫酸;ハロゲン化水素酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びトリメチルメタンスルホン酸などのスルホン酸;モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸及びシュウ酸などのカルボン酸が例示され、これらは2種以上を混合して用いてもよい。
好ましいプロトン酸としてはスルホン酸を挙げることができ、より好ましくはメタンスルホン酸である。プロトン酸の使用量としては、金属錯体中の第10族金属原子1モルに対して3〜600モルの範囲を挙げることができ、好ましくは、10〜360モルの範囲である。
【0061】
アルコキシカルボニル化反応におけるアセチレン化合物は、炭素−炭素三重結合を有する化合物であり、好ましくは炭素数2〜20である。かかるアセチレン化合物として、好ましくはアセチレン、メチルアセチレン、シクロヘキシルアセチレン、フェニルアセチレン、1−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、2−ブチン、3−ヘキシン及びジフェニルアセチレンを挙げることができる。
これらの中でも、メチルアセチレンは、工業的に有用なメチルメタクリレートを得るアルコキシカルボニル化反応に特に有用である。
アセチレン化合物に、プロパジエンやブテン、プロピレンなどの炭化水素が不純物として含まれていても、本発明の金属錯体を触媒として用いることにより、アルコキシカルボニル化反応は十分進行することができるので、本発明の金属錯体はかかるアルコキシカルボニル化反応に特に有効といえる。ただし、プロパジエンの量は、アセチレン化合物100重量部に対して、1重量部以下が好ましく、0.1重量部以下がより好ましく、0.005重量部以下が更に好ましい。
【0062】
アルコキシカルボニル化反応において使用されるアルコールは特に限定されず、該アルコールに対応するアルキルメタクリレートを高収率で製造することができる。上記反応におけるアルコールとして、例えば炭素数1〜6の脂肪族アルコールが挙げられ、炭素数1〜4の脂肪族アルコールが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、sec−ブタノール及びエチレングリコールからなる群より選ばれるアルコールがさらに好ましい。
なお、メチルアセチレンからメタクリル酸メチルを得るためには、アルコールとしてメタノールを用いればよい。
アルコールの使用量は、アセチレン化合物1モルに対して通常0.5モル以上、好ましくは1モル以上であり、通常20モル以下であってもよい。過剰量のアルコールの使用は、より一層収率を高くできることに加え、溶媒なしで反応を行うことができるので更に好ましい。
【0063】
アルコキシカルボニル化反応は、溶媒の存在下で行うことができる。
アルコキシカルボニル化反応における溶媒としては例えば、ジメチルスルホキシド、ジイソプロピルスルホン及びスルホランなどの含硫黄溶媒;ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチルなどのエステル溶媒;アセトン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン溶媒;アニソール、ジメトキシエタン、ジグライム、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、ジブチルエーテル及びジイソプロピルエーテルなどのエーテル溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン及びジメチルアセトアミドなどのアミド溶媒;が挙げられる。これらの溶媒は2種以上の混合物であってもよい。その他の溶媒の使用量は特に限定されない。
【0064】
アルコキシカルボニル化反応においては、プロトン酸の他にアミン化合物を添加することで、さらに好ましい反応結果が得られる場合がある。
かかるアミン化合物としては、3級アミンもしくは環状アミンが好ましい。具体的にはN,N−ジアルキルアニリン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、トリアジン、イミダゾール、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びN,N−ジイソプロピルエチルアミンが例示され、これらから選ばれる2種以上を用いてもよい。好ましくはN,N−ジメチルアニリン又はピリジンである。
アミン化合物を添加する場合、その添加量に制限はないが、プロトン酸1モルに対して1〜50モルの範囲であることが好ましく、1〜10モルの範囲であることがさらに好ましい。
【0065】
本発明の金属錯体、アルコール及びプロトン酸、並びに必要により加える溶媒の混合物、好ましくは、本発明の金属錯体、アルコール、プロトン酸、アミン化合物及び溶媒の混合物に、アセチレン化合物と一酸化炭素とを供給することにより、アルコキシカルボニル化反応を行うことができる。
前記アルコキシカルボニル化反応では、本発明の金属錯体、アルコール等の混合順序は限定されないが、第10族金属の金属単体又は第10族金属を有する化合物とピリジルホスフィン化合物(1)とを接触させることにより得られる金属錯体溶液と、アルコールと、プロトン酸と、アミン化合物とを予め混合し、得られた混合液にアセチレン化合物を加えることが好ましい。更に、反応に用いるアルコールの存在下で該接触を行い、得られた金属錯体溶液とプロトン酸とアミン化合物とを混合することにより、反応を効率よく行うことができる。
【0066】
アルコキシカルボニル化反応に使用する一酸化炭素は、必ずしも純粋な一酸化炭素でなくてもよく、窒素及びアルゴンなどの前記アルコキシカルボニル化反応の進行を著しく妨げないガスを含んでいてもよい。反応の際の一酸化炭素分圧は好ましくは0.1〜10MPaGである。
【0067】
アルコキシカルボニル化反応の反応温度は、好ましくは20〜100℃、より好ましくは50〜90℃の範囲である。反応時間は使用する本発明の金属錯体の種類、アセチレン化合物、アルコール及びプロトン酸の種類又はその量により適宜調節できるが、12〜24時間が好ましい。また、反応圧力は、好ましくは、0.5〜10MPaGの範囲であり、さらに好ましくは1〜9MPaGの範囲である。
【0068】
アルコキシカルボニル化反応後、蒸留、抽出、再結晶、各種クロマトグラフィー等の操作又はこれらを組み合わせた操作により、得られたアルキルメタクリレートを単離、精製することができる。例えば、アセチレン化合物としてメチルアセチレンを用い、アルコールとしてメタノールを用いることにより得られるメチルメタクリレート(メタクリル酸メチル)は、蒸留及び/又は抽出などの操作により精製することができる。
アルコキシカルボニル化反応により得られるアルキルメタクリレートとして、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート等が挙げられる。かかるアルキルメタクリレートの具体例として、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート等が挙げられる。
【0069】
<アルキルメタクリレートの用途>
かくして得られるアルキルメタクリレートは、各種の工業材料の原料として使用できる。アルキルメタクリレートのうち、メチルメタクリレートについてその用途を例示しておく。
メチルメタクリレートから得られるポリメチルメタクリレートや、メチルメタクリレートと他のオレフィンなどとから得られる共重合体は、建築材料、電子材料又は分離材料等の各種の用途に適用できる。これらポリメチルメタクリレートや共重合体は公知の重合手段(懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法など)により製造することができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。なお、%は特に断りが無い限りは重量基準である。また、本実施例に用いられる原料ガスは、ガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析した結果、メチルアセチレンを99%含有していた。
【0071】
実施例1(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンの合成例)
2−ブロモ−6−メチルピリジン(18.9mmol)をテトラヒドロフラン[THF]40mlに溶解させ、ドライアイス−エタノール浴で冷却しつつ撹拌しながら、n−ブチルリチウムの1.59Mヘキサン溶液(18.9mmol)を滴下した。その後、得られた混合液を10分撹拌して反応混合物を得た。得られた反応混合物に、THF20mlに溶解させたクロロビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン(17.5mmol)を加え、温度を室温に戻し、更に室温下で2時間撹拌し、反応を行った。得られた反応溶液に少量の水を加えてクエンチし、さらに飽和食塩水を加えた。次に、得られた溶液に酢酸エチルを加えて攪拌し分液させた後、酢酸エチル相(有機相)を分取した。この有機相を、無水硫酸マグネシウムにより乾燥した後ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。
得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=5/1、重量比)、4.45gのビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンを得た(収率81%)。
H−NMR(H−核磁気共鳴スペクトル)で分析した結果から、純度は99%であった。

H NMR(CDCl, 270MHz):δ 7.42(1H, td, J = 8, 2 Hz),6.99(5H, pseudo d, J = 8 Hz),6.82(1H,d,J = 8 Hz),3.71(6H, s),2.55(3H, s),2.22(12H, s)
【0072】
実施例2(ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンの合成)
2−ブロモ−6−メチルピリジン(19.5mmol)をTHF40mlに溶解させ、ドライアイス−エタノール浴で冷却しつつ撹拌しながら、n−ブチルリチウムの1.59Mヘキサン溶液(19.5mmol)を滴下した。その後、得られた混合液を10分撹拌して反応混合物を得た。得られた反応混合物に、THF20mlに溶解させたクロロビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン(18.8mmol)を加え、温度を室温に戻し、更に室温で2時間撹拌し、反応を行った。得られた反応溶液に少量の水を加えてクエンチし、さらに飽和食塩水を加えた。次に、得られた溶液に酢酸エチルを加えて攪拌し分液させた後、酢酸エチル相(有機相)を分取した。この有機層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥した後ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで2回精製することにより(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=5/1、9/1、重量比)、3.68gのビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンを得た(収率59%)。H−NMR分析により求められる純度は99%であった。

H NMR(CDCl, 270MHz):δ 7.42(1H,td,J=8,2Hz),7.25−7.03(7H,m),6.83(1H,d,J=8Hz),2.56(3H,s),2.26(12H,s).
【0073】
実施例3(ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィンの合成)
2−ブロモ−6−エチルピリジン(18.2mmol)をTHF40mlに溶解させ、ドライアイス−エタノール浴で冷却しつつ撹拌しながら、n−ブチルリチウムの1.65Mヘキサン溶液(19.1mmol)を滴下した。その後、得られた混合液を10分撹拌して反応混合物を得た。得られた反応混合物に、THF20mlに溶解させたクロロビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン(16.8mmol)を加え、温度を室温に戻し、更に室温で3時間撹拌し、反応を行った。得られた溶液に少量の水を加えてクエンチし、さらに飽和食塩水を加えた。次に、得られた溶液に酢酸エチルを加えて攪拌し分液させた後、酢酸エチル相(有機相)を分取した。この有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後ろ過し、得られたろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=20/1)、2.07gのビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィンを得た(収率33%)。H−NMR分析により求められる純度は97%であった。

H NMR(CDCl,600MHz):δ 7.44(td, 1H, J=8,2Hz),7.03−6.95(m, 7H),7.03(d,1H,J=8Hz),6.83(d,1H,J=8Hz),2.83(q,2H,J=8Hz),2.26(s,12H),1.27(t,3H,J=8Hz).
【0074】
実施例4
(実施例1で得られたピリジルホスフィン化合物(1)を配位子として有するパラジウム錯体の調製)
シュレンク管中で、45mLのメタノールに、酢酸パラジウム1.8mg(0.0080mmol)及び実施例1で得られたビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン127mg(0.32mmol)を溶解させた後、得られた混合液にN,N−ジメチルアニリン0.10ml(0.80mmol)およびメタンスルホン酸31μl(0.48mmol)を加え、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンを有するパラジウム錯体を含む溶液(金属錯体溶液1)を調製した。
【0075】
実施例5
(実施例4で得られたパラジウム錯体を触媒とするアルコキシカルボニル化反応)
実施例4で得た金属錯体溶液1を1.7ml(パラジウム原子換算で0.00030mmolに相当)分取し、窒素雰囲気下で内容積100mlのステンレス製オートクレーブに導入後、該オートクレーブに更にメタノール28.3mlを導入した。該オートクレーブをドライアイス−エタノール浴で冷却し、原料ガス 6.40g(158mmol)を、このオートクレーブに導入し、さらに該オートクレーブ中を一酸化炭素(CO)で加圧して、オートクレーブ内の圧力を5MPaGとした。尚、原料ガスにはプロパジエンが含まれており、その含有量は、原料ガスに含まれるメチルアセチレンに対して20重量ppmであった。
反応温度65℃で7時間保持し、この間はCO分圧を5MPaGに保つため、減圧弁にて消費分の一酸化炭素を常時導入した。反応後の反応液をサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(GC)により定量分析したところ、メチルメタクリレートの収率は73%であり、導入したパラジウム錯体にあるパラジウム原子(Pd)1モルあたりのメチルメタクリレート生成量は3.8×10モルであった
【0076】
実施例6
(実施例2で得られたピリジルホスフィン化合物(1)を配位子として有するパラジウム錯体の調製)
ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン127mgの代わりに、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン108mg(0.32mmol)を用いた以外は、実施例4と同じ実験を行い、パラジウム錯体とN,N−ジメチルアニリンとメタンスルホン酸とを含む金属錯体溶液2を調製した。
【0077】
実施例7
(実施例6で得られたパラジウム錯体を触媒とするアルコキシカルボニル化反応)
金属錯体溶液1の代わりに実施例6で得られた金属錯体溶液2を用い、メチルアセチレンとして、原料ガス 6.05g(149mmol)を用いた以外は実施例5と同じ実験を行った。パラジウム錯体にあるPd1モルあたりのメチルメタクリレート生成量は4.2×10モルであった。尚、原料ガスにはプロパジエンが含まれており、その含有量は、原料ガスに含まれるメチルアセチレンに対して27重量ppmであった。
【0078】
実施例8
(実施例3で得られたピリジルホスフィン化合物(1)を配位子として有するパラジウム錯体の調製)
ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン127mgの代わりに、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィン115mg(0.32mmol)を用いた以外は、実施例4と同じ実験を行い、パラジウム錯体とN,N−ジメチルアニリンとメタンスルホン酸とを含む金属錯体溶液3を調製した。
【0079】
実施例9
(実施例8で得られたパラジウム錯体を触媒とするアルコキシカルボニル化反応)
金属錯体溶液1の代わりに実施例8で得られた金属錯体溶液3を、原料ガス 7.72g(191mmol)を用いた以外は実施例5と同じ実験を行った。パラジウム錯体にあるPd1モルあたりのメチルメタクリレート生成量は3.7×10モルであった。尚、原料ガスにはプロパジエンが含まれており、その含有量は、原料ガスに含まれるメチルアセチレンに対して8.4重量ppmであった。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、メチルアセチレン等のアセチレン化合物を原料とした場合、金属原子1モルあたりのアルキルメタクリレートの生成量に優れる。また、プロパジエンを含み、アセチレン化合物を主成分とする原料を用いた場合でも、金属原子1モルあたりのアルキルメタクリレートの生成量に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20の直鎖アルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい7〜20のアラルキルオキシ基又は
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基
を表す。
、R、R及びRはそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
下記式(2)

(式中、R、R及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又は
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基
を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
前記式(2)で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
、R、R、R、R及びRのうち、隣接する炭素原子に結合する2つの基は互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。]
で示されるピリジルホスフィン化合物と周期表第10族に属する金属原子とを有することを特徴とする金属錯体。
【請求項2】
ピリジルホスフィン化合物が配位子であることを特徴とする請求項1記載の金属錯体。
【請求項3】
が水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、ベンジル基、フェニル基、メトキシ基、ベンジロキシ基またはフェノキシ基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする請求項1又は2記載の金属錯体。
【請求項4】
が水素原子または炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の金属錯体。
【請求項5】
が炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の金属錯体。
【請求項6】
が炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRがメチル基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の金属錯体。
【請求項7】
ピリジルホスフィン化合物が、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、またはビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の金属錯体。
【請求項8】
ピリジルホスフィン化合物が、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の金属錯体。
【請求項9】
ピリジルホスフィン化合物が、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の金属錯体。
【請求項10】
ピリジルホスフィン化合物が、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の金属錯体。
【請求項11】
周期表第10族金属原子がパラジウム原子であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の金属錯体。
【請求項12】
式(1)

[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20の直鎖アルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
、R、R及びRはそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
下記式(2)で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
下記式(2)で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
、R、R、R、R及びRのうち、隣接する炭素原子に結合する2つの基同士は互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
式(2)は、

(式中、R、R及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
)で示される。]
で示されるピリジルホスフィン化合物。
【請求項13】
が水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基、ベンジル基、フェニル基、メトキシ基、ベンジロキシ基またはフェノキシ基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする請求項12記載のピリジルホスフィン化合物。
【請求項14】
が水素原子または炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基またはフェノキシ基であり、R及びRが、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする請求項12又は13記載のピリジルホスフィン化合物。
【請求項15】
が炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、R、R、R及びRが、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基であり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか記載のピリジルホスフィン化合物。
【請求項16】
ピリジルホスフィン化合物が、ビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン又はビス(3,5−ジメチルフェニル)(6−エチル−2−ピリジル)ホスフィンである請求項12〜15のいずれか記載のピリジルホスフィン化合物。
【請求項17】
式(3)

(式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20の直鎖アルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
はハロゲン原子を示す)
で示されるハロゲン置換ピリジン化合物とアルキルリチウム化合物とを反応させる第1工程と、
該第1工程で得られる反応混合物と式(4)

(式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
下記式(2)で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
下記式(2)で示されるシリル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数7〜20のアラルキルオキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基を表す。
、R、R、R、R及びRのうち、隣接する炭素原子に結合する2つの基同士は互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
式(2)は、

(式中、R、R及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
)で示される。
はハロゲン原子を表す。)
で示されるハロゲン化ホスフィンとを反応させる第2工程と
を有することを特徴とする式(1)

(式中、R〜Rは前記と同義である。)
で示されるピリジルホスフィン化合物の製造方法。
【請求項18】
請求項12〜16のいずれか記載のピリジルホスフィン化合物と周期表第10族に属する金属原子を有する化合物とを接触させて得られる金属錯体。
【請求項19】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は18のいずれか記載の金属錯体、及び、プロトン酸の存在下、
アセチレン化合物と、一酸化炭素及びアルコールと、
を反応させる工程を有することを特徴とするアルキルメタクリレートの製造方法。
【請求項20】
アセチレン化合物がメチルアセチレンであることを特徴とする請求項19記載のアルキルメタクリレートの製造方法。

【公開番号】特開2011−98957(P2011−98957A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226290(P2010−226290)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】