ファクシミリ装置及びそれを備えた多機能装置
【課題】一度に多くの画像情報を提示でき、且つ視認し易いようにしたファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】ハウジング2の上面に配置された原稿載置ガラス33を覆う原稿押え板35付きの原稿押えカバー体13がハウジング体の上面一側部にヒンジ部を介して起伏回動可能に装着され、原稿押えカバー体13のヒンジ部と反対側のハウジング2の上面に画像データを基に画像を投影するプロジェクタ38は上下方向に回動可能若しくは上下方向に移動可能となる機構を有して装着され、プロジェクタ38により、原稿押え板35に画像データまたはファクシミリ受信データを投影させるように構成する。原稿押え板35は原稿押えカバー体13の裏面と平行な面で回動可能に構成されている。
【解決手段】ハウジング2の上面に配置された原稿載置ガラス33を覆う原稿押え板35付きの原稿押えカバー体13がハウジング体の上面一側部にヒンジ部を介して起伏回動可能に装着され、原稿押えカバー体13のヒンジ部と反対側のハウジング2の上面に画像データを基に画像を投影するプロジェクタ38は上下方向に回動可能若しくは上下方向に移動可能となる機構を有して装着され、プロジェクタ38により、原稿押え板35に画像データまたはファクシミリ受信データを投影させるように構成する。原稿押え板35は原稿押えカバー体13の裏面と平行な面で回動可能に構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷しなくても受信した画像データを視認可能なファクシミリ装置及びファクシミリ機能(装置)を備えた多機能装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の文字や図形などの画像データを送受信可能なファクシミリ装置では、受信した画像データを用紙に印刷することで、そのデータを視認できる他、ファクシミリ装置に備えられた液晶パネル表示部(表示モニタ部)に受信した画像データを表示するもの(特許文献1乃至3)があった。
【0003】
他方、特許文献4に示すように、ファクシミリ装置本体の上部前側に投影手段を備え、装置本体の後端には、前下り傾斜して用紙を給紙するための給紙トレイを備え、この給紙トレイの表面または給紙トレイに載置された白色等の用紙に投影手段から画像を投影する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−211521号公報(図1〜5参照)
【特許文献2】特開2006−218650号公報(図1〜5参照)
【特許文献3】特開2008−6698号公報(図1〜5参照)
【特許文献4】特開2007−267013号公報(図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1乃至3のような液晶パネル表示部(表示モニタ部)が備えられていても、それらの表示部分の面積は通常印刷される用紙の面積に比べて遥かに小さいため、印刷された用紙の画像に比べて視認しずらいという問題を有していた。
【0006】
この不具合を解消するため、受信した画像データの一部を大きく液晶パネル表示部(表示モニタ部)に表示すると共に、受信した画像データをスクロールして順次画像を表示させることも考えられるが、それでも印刷された1枚の用紙の画像の全体をスクロールするのに手間が掛かるという問題があった。
【0007】
他方、特許文献4の構成では、給紙トレイの機能上の制約のため、投影角度が固定されて調整できないので、ユーザの目視方向が制限されて見づらい。また、用紙に投影する場合、当該用紙の曲がり癖、撓みにより、投影された画像に歪みが発生して見づらい。
【0008】
さらに、給紙トレイに載置された白色等の用紙の全体に縦長の画像の全体を表示するためには、ファクシミリ装置の本体ケースの上端からの給紙トレイの上端位置までの高さ寸法を大きくしなければならないから、装置全体が嵩高くなるという問題があった。
【0009】
本発明は、これらの従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、一度に多くの画像情報を提示でき、且つ視認し易いようにしたファクシミリ装置及びこのファクシミリ装置を備えた多機能装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、通信データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した受信データから画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データ生成手段で生成した画像データに基づいて画像を投影する投影手段と、スキャナ部とを装置本体に備え、前記装置本体の上面に原稿載置ガラスが配置され、前記原稿載置ガラスを覆う原稿押えカバー体が前記装置本体の上面一側部にヒンジ部を介して起伏回動可能に装着されてなるファクシミリ装置であって、前記原稿押えカバー体のヒンジ部と反対側の前記装置本体の上面には、前記投影手段が上下方向に回動可能若しくは上下方向に移動可能のいずれか一方又は双方の機構を有して装着され、前記投影手段により、前記原稿押えカバー体の裏面に設けられた原稿押え板に、画像データまたはファクシミリ受信データを投影させるように構成したものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のファクシミリ装置において、前記原稿押え板は、前記原稿押えカバー体に対してその裏面と平行な面に沿って回動可能に装着されているものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のファクシミリ装置において、前記原稿押えカバー体は前記装置本体の上面に対して回動角度の調整が可能となるように構成され、前記投影手段は、それによる投影画像を前記原稿押えカバー体の回動角度並びに前記投影手段の高さ位置及び回動角度に連動して補正可能に構成されているものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のファクシミリ装置において、前記原稿押えカバー体を実質的に垂直状に開いたとき、前記装置本体の一側縁と前記原稿押えカバー体の裏面との間に、前記原稿押え板がその平面の周りで回動可能な隙間が形成されるように、前記ヒンジ部を構成したものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のファクシミリ装置において、前記原稿押えカバー体には、前記原稿押え板の回動方向及び回動角度を検出するための押え板回動センサが設けられ、前記押え板回動センサの回動姿勢に応じて投影される画像の表示の向きを変換する画像表示変換手段を備えたものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1乃至5のいずれかに記載のファクシミリ装置に加えて、前記スキャナ部で読み込まれた原稿の画像を用紙に複写するコピー部と、各種記録媒体を装填可能なスロット部のうち少なくとも1つの機能を備えた多機能装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、通信データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した受信データから画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データ生成手段で生成した画像データに基づいて画像を投影する投影手段と、スキャナ部とを装置本体に備え、前記装置本体の上面に原稿載置ガラスが配置され、前記原稿載置ガラスを覆う原稿押えカバー体が前記装置本体の上面一側部にヒンジ部を介して起伏回動可能に装着されてなるファクシミリ装置であって、前記原稿押えカバー体のヒンジ部と反対側の前記装置本体の上面には、前記投影手段が上下方向に回動可能若しくは上下方向に移動可能のいずれか一方又は双方の機構を有して装着され、前記投影手段により、前記原稿押えカバー体の裏面に設けられた原稿押え板に、画像データまたはファクシミリ受信データを投影させるように構成したものである。
【0017】
従って、ファクシミリ装置で受信した受信データを用紙に印刷することなく、投影手段から受信データを画像として原稿押えカバー体の裏面に配置された原稿押え板に投影することができる。そして、本発明では、装置本体の上面には、前記投影手段が上下回動可能若しくは上下方向に移動可能のいずれか一方又は双方の機構を有して装着されているから、投影された画像が歪み無く視認することができる。また、原稿押え板に受信データの画像全体を一度に視認することができるという顕著な効果を奏するものである。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、前記原稿押え板は、前記原稿押えカバー体に対してその裏面と平行な面に沿って回動可能に装着されているものであるから、受信データが縦長の画像であるときに、原稿押え板の長辺の方向を縦方向となるように、当該原稿押え板の姿勢を変更すれば良く、これによって、受信データの画像全体を一度に視認することができるという顕著な効果を奏するものである。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、前記原稿押えカバー体は前記装置本体の上面に対して回動角度の調整が可能となるように構成され、前記投影手段は、それによる投影画像を前記原稿押えカバー体の回動角度並びに前記投影手段の高さ位置及び回動角度に連動して補正可能に構成されているものである。
【0020】
従って、ユーザが原稿押えカバー体の回動角度を変更したり、前記投影手段の高さ位置及び回動角度を変更するだけで、原稿押え板に投影される画像の歪みが補正部にて自動的に補正され、見やすい画像を簡単に得ることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、前記原稿押えカバー体を実質的に垂直状に開いたとき、前記装置本体の一側縁と前記原稿押えカバー体の裏面との間に、前記原稿押え板がその平面の周りで回動可能な隙間が形成されるように、前記ヒンジ部を構成したものであるから、原稿押えカバー体を実質的に垂直状に開いた状態で、原稿押え板の長辺を縦方向となるように、原稿押え板を回動させるときに、その角部が装置本体と干渉しないようにすることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、前記原稿押えカバー体には、前記原稿押え板の回動方向及び回動角度を検出するための押え板回動センサが設けられ、前記押え板回動センサの回動姿勢に応じて投影される画像の表示の向きを変換する画像表示変換手段を備えたものである。
【0023】
ファクシミリ装置で送られてくる画像データは、原稿用紙の縦長、横長の配置や天地方向などが統一されず、受信した画像データによる画像をそのまま原稿押え板の表面に投影すると、これを見る人にとっては、非常に見辛いことになる。本発明に従えば、例えば、ユーザが最初に横長の原稿押え板の表面に投影された画像を観察したとき、縦長の原稿用紙であると判断すると、原稿押え板の向きを左右いずれか一方に90度回動させて、原稿押え板が縦長となるように設定する。これにより、押え板回動センサの検出値に応じて、縦長の原稿用紙の適正な画像を投影するように補正するのである。受信した原稿用紙の画像が天地逆姿勢の場合には、基準位置の横長の原稿押え板の状態から180度回転することで、押え板回動センサの検出値に応じた補正を実行して、適正な画像を投影することができる。従って、一層簡便に適正画像を視認することができるという顕著な効果を奏するものである。
【0024】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1乃至5のいずれかに記載のファクシミリ装置に加えて、前記スキャナ部で読み込まれた原稿の画像を用紙に複写するコピー部と、各種記録媒体を装填可能なスロット部とのうち少なくとも1つの機能を備えた多機能装置である。
【0025】
従って、本発明によれば、外部装置や各種記録媒体から取り込まれた画像データを印刷する以前に、投影手段と原稿押え板とよって、印刷すべき画像か否かの判断を行なえる。しかして、印刷用の用紙の無駄な消費を無くすることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係る多機能装置1の外観構成を示す斜視図である。
【図2】記録部の主要構成を示す概略平面図である。
【図3】記録部及びキャリッジなどの概略側断面図である。
【図4】(A)は原稿押えカバー体を開いた状態の側面図、(B)はその斜視図である。
【図5】原稿押えカバー体を開いた状態で示すヒンジ部を構成を示す斜視図である。
【図6】原稿押えカバー体を開いた状態で原稿押え板が縦長状態のときの斜視図である。
【図7】図6の状態の側面図である。
【図8】(A)は原稿押えカバー体を省略した状態で原稿押え板の回動部材を示す斜視図、(B)は回動部材のみの拡大斜視図である。
【図9】押え板回動センサとしての姿勢センサを示す説明図である。
【図10】(A)は原稿押え板を原稿押えカバー体の裏面と平行な状態で回動するための他の実施例を示す正面図、(B)は拡大正面図である。
【図11】投影手段の他の実施例を示す側面図である。
【図12】投影手段のさらに他の実施例を示す側面図である。
【図13】本発明の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、本実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施例を適宜変更できることは言うまでもない。本発明において画像とは、文字、図形、写された像を含む。
【0028】
図1は多機能装置1の斜視図、図2は概略平面図である。この多機能装置1(MFD:Multi Function Device )は、プリンタ機能、ファクシミリ機能、コピー機能、スキャナ機能等の複数の機能を備えているが、本発明は単独のファクシミリ装置に適用しても良い。
【0029】
[基本形態]
本実施例の多機能装置1は、図1に示すように、合成樹脂製の射出成形品からなる装置本体としてのハウジング2の底部には、その前側の開口部2aから挿抜可能な第1給紙カセット3が配置されている。この第1給紙カセット3の上面には、第2給紙カセット30が進退動可能に連結または載置されている。
【0030】
ハウジング2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置12が配置されている。この画像読取装置12は図示しない枢軸部を介してハウジング2の一側端に対して上下方向に開閉回動可能に構成されている。画像読取装置12の上面には、原稿押えカバー体13を上側に開けて原稿を載置することができる載置用のガラス板33が設けられ、原稿押えカバー体13の裏面には、その裏面と平行な面に沿って原稿押え板35が回動可能に装着されている。原稿押え板35が回動可能に連結する構成は後述する。
【0031】
ガラス板33の下側に原稿読取り用の密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor) 等からなるスキャナ部31が主走査方向(図1におけるY軸方向であり、第2の方向)に延びるガイド部材32に沿って往復移動可能に設けられている(図4(A)参照)。原稿押えカバー体13はその基端部を載置用ガラス板33を挟んで操作パネル部14と反対側のハウジング2における上面の一側部(後端部)にヒンジ部34を介して起伏回動可能(上下方向に回動可能)に装着されている。その場合、図4(A)、図4(B)及び図5等に示すように、側面視でL字状のヒンジ部34を用い、ハウジング2の後面と上面との角部に形成された切欠き部40にヒンジ部34の一方の下向き片を固定するように構成する。これにより、原稿押えカバー体13を実質的に垂直状に開いたとき(図4(B)及び図5参照)、装置本体としてのハウジング2の後側縁と原稿押えカバー体13の裏面との間に、原稿押え板がその平面の周りで回動可能となるように寸法H1の隙間41が形成され、且つ原稿押えカバー体13を閉じたときには、原稿押えカバー体13の後端縁とハウジング2の後端縁とが実質的に垂直線上に並ぶように、ヒンジ部34を構成したものである。
【0032】
また、ヒンジ部34には、原稿押えカバー体13の下面(原稿押え板35)が載置用ガラス板33に当接している伏せ姿勢から載置用ガラス板33に対して90度乃至鈍角まで起立する姿勢の原稿押えカバー体13の回動角度を検知するための角度センサ36が設けられている。
【0033】
原稿押えカバー体13の下面(裏面)に設けられる原稿押え板35は表面(下面)が白色などの樹脂板若しくは白色などに塗装されたものである。実施例では、原稿押え板35は、後述する回動部材37を介して原稿押えカバー体13の裏面と平行状にて90度回動可能に取付けられている。これにより、載置用ガラス板33上の原稿を押える通常時には、矩形状の原稿押え板35はY軸方向に長辺で、X軸方向に短辺となるように配置されているが、上述の回動により、Y軸方向に短辺で、Z軸方向に長辺となるように姿勢を変更可能とする。
【0034】
第1実施例の回動部材37は、図4(A)、図8(A)及び図8(B)に示すように、円盤42と、円盤42の裏面中心部に取付けられた上下方向に回動可能なリンク部材43とを有する。円盤42には、リンク部材43よりも外周側に一対の円弧状(中心角度270度程度)のガイド溝44が、円盤42の表裏を貫通するように形成されている。原稿押え板35の裏面に固定された同じく円弧状(中心角度30度程度)の一対のガイド片45は上記ガイド溝44に嵌まっている。なお、各ガイド片45には、当該ガイド片45がガイド溝44から離脱しないようにする留めワッシャ(図示せず)が取付けられている。
【0035】
リンク部材43の基端部は原稿押えカバー体13の裏面の中心部近傍にて水平方向のピン(図示せず)により回動可能に連結されている。この構成により、矩形状の原稿押え板35は上述のように原稿押えカバー体13の裏面(下面)と平行状にて90度回動可能となる。その場合、リンク部材43を、原稿押え板35に取付けられた側(先端側)が下位置となる姿勢とすれば、図5、図7及び図8(A)に示すように回動途中の原稿押え板35の角部が原稿押えカバー体13の下端を越えて下方まで延びるので、リンク部材43が原稿押えカバー体13の裏面と実質的に平行となるように折り畳んだ状態で原稿押え板35を回動させると、上記の隙間44内に原稿押え板35の下角部が嵌まった状態で、当該原稿押え板35が回動できる。なお、図4(A)に示すように、リンク部材43を、原稿押え板35に取付けられた側(先端側)が上位置となるように回動させ、且つリンク部材43が原稿押えカバー体13の裏面と実質的に平行となるように折り畳んだ状態では、横長状に配置された原稿押え板35の上辺が原稿押えカバー体13の上辺より上方に配置することができるから、そのまま原稿押え板35を回動させれば、上記隙間44が無くても、その原稿押え板35の下角部がハウジング2の上面と干渉しない。
【0036】
ハウジング2の上側には、画像読取装置12の前方に各種操作ボタンを有する操作部14aや液晶表示部14b等を備えた操作パネル部14が設けられている。原稿押えカバー体13のヒンジ部34と反対側(操作パネル部14側)の中央部ハウジング2の上面には、投影手段(映写手段ともいう)としてのプロジェクタ38が上下回動可能若しくは上下方向に直線的に移動可能のいずれか一方又は双方の機構を有して装着されている。
【0037】
図1、図4(A)、図4(B)、図、図7及び図8(A)に示すように、第1実施例のプロジェクタ38は、屈曲可能なリンク手段46を介してハウジング2の上側の切欠き凹所47に設けられている。これにより、プロジェクタ38は切欠き凹所47内に沈み込んだ姿勢と、大きく上昇した姿勢とを採ることができる。
【0038】
上記プロジェクタ38により、原稿押えカバー体13の裏面に設けられた原稿押え板35に、メモリカード等の各種記録媒体の外部メモリから取り込まれた画像データまたはファクシミリ受信データから得られた画像を投影させるように構成する。また、プロジェクタ38は、それによる投影画像を原稿押えカバー体13の回動角度や原稿押え板35の回動方向及び回動角度に連動して後述する補正部55を介して補正可能に構成されている。
【0039】
[多機能装置1の制御手段]
図13は多機能装置1の制御手段を示す機能ブロック図である。制御手段における制御装置50には、通信データを受信する送受信手段としてのFAX通信装置51と、受信手段で受信した受信データから画像データを生成する画像データ生成手段(画像生成部52)と、画像データ生成手段で生成した画像データを基に画像を投影する投影手段としてのプロジェクタ38と、上記スキャナ部31と、原稿押えカバー体13の回動角度を検出する角度センサ36と、原稿押え板35の回動姿勢を検出する姿勢センサ53と、ハウジング2の上面に対するプロジェクタ38の高さを検知する高さセンサ54と、補正部55と、用紙に画像を記録するための記録部7と、スキャナ部31で読み込まれた原稿の画像を用紙に複写するコピー部(記録部7が兼用されている)が接続されている。なお、制御装置50には図示していないが、制御プログラムが記憶されたROMと、各種データを記憶するRAMと、画像データを記憶したり、画像データと送受信のデータとの変換などを実行するEEPROMなどを備えている。
【0040】
高さセンサ54はリンク手段46に関連して設けられており、リンク手段46の屈曲角度を検出するセンサや、プロジェクタ38の下面または切り込み凹所47内に設けられた光センサ等、機械的センサや非接触式光センサなどであって良い。
【0041】
図9は姿勢センサ53(請求項の押え板回動センサに相当)の一例であり、原稿押えカバー体13の裏面に対して原稿押え板35が支持ピン56を中心にして回動するように連結されている。原稿押えカバー体13の裏面には、支持ピン56を中心とする同一半径の円弧軌跡上にて、左右及び上位置に設けられた4つのセンサ部53a、53b、53cが配置されている。原稿押え板35の裏面には、当該原稿押え板35が原稿押えカバー体13の裏面と平行状に回動するとき、上記4つのセンサ部53a、53b、53c、53dのいずれか一つのセンサと接触するなどする被検出部53eを備えている。被検出部53eは、各センサ部53a、53b、53c、53dに一時的に係合して位置保持できるノッチ機構を備えることが好ましい。図示実施例では、センサ部53bが被検出部53eを検出すれば、原稿押え板35の回動無し(基準位置)と判断し、センサ部53aが被検出部53eを検出すれば、原稿押え板35が右向き回動姿勢と判断し、センサ部53cが被検出部53eを検出すれば、原稿押え板35が左向き回動姿勢と判断し、センサ部53dが被検出部53eを検出すれば、原稿押え板35が天地逆姿勢と判断するものとする。
【0042】
補正部55(請求項の画像表示変換手段に相当)では、写しだされた画像の領域が台形状になったものを矩形状の画像領域に補正したり、画像の向き左右または天地逆となるように画像回転させるなどのための従来から公知のソフトプログラムが収納されている。そして、このソフトプログラムを利用して、補正部55では、角度センサ36の検出値、姿勢センサ53及び高さセンサ54の検出値に応じて原稿押え板35に投影される画像の歪みや、画像の向きを修正する。
【0043】
[画像の歪み・画像の向きの修正態様]
(1).ハウジング2の上面に対する原稿押えカバー体13の回動角度とプロジェクタ38の高さ位置に応じて、角度センサ36及び高さセンサ54の検出値に対応する画像の歪みを修正する。即ち、原稿押えカバー体13の裏面と平行な原稿押え板35の表面(画像投影面)とプロジェクタ38の投影光の中心線(光軸)とのなす角度が90度よりずれるに従って、原稿押え板35の表面に投影された画像が歪むことになるので、角度センサ36及び高さセンサ54の検出値を基にして投影する元の画像(画像生成部52で生成された画像データ)を補正部54にて補正し、原稿押え板35の表面に投影された画像に歪みが出ないまたは、画像の歪みが可及的に少なくなるようにするものである。
【0044】
(2).適正な方向による画像の投影のための修正を補正部54にて実行する。ファクシミリ装置で送られてくる画像データは、原稿用紙の縦長、横長の配置や天地方向などが統一されず、受信した画像データによる画像をそのまま原稿押え板35の表面に投影すると、これを見る人にとっては、非常に見辛いことになる。
【0045】
そこで、受信した横長の原稿用紙のときは、図4(B)や図9のように、原稿押え板35の向きを横長状態とした投影画面に設定する。逆に、縦長の原稿用紙のときは、原稿押え板35の向きを90度回転させて(図5、図7、図8の二点鎖線参照)、図6、図7及び図8(A)のように、原稿押え板35の向きを縦長状態とした投影画面に設定するのである。
【0046】
(3).さらに、図9に示すような姿勢センサ53を利用すればさらに簡便に適正画像を視認することができる。例えば、ユーザが最初に原稿押え板35の回動無しの横長の原稿押え板35の表面に投影された画像を観察したとき、縦長の原稿用紙であると判断すると、原稿押え板35の向きを左右いずれか一方に90度回動させて、原稿押え板35が縦長となるように設定する。これにより、上記姿勢センサ53の検出値に応じて、縦長の原稿用紙の適正な画像を投影するように補正する。受信した原稿用紙の画像が天地逆姿勢の場合には、回動無し(基準位置)の横長の原稿押え板35の状態から180度回転することで、姿勢センサ53の検出値に応じた補正を実行して、適正な画像を投影することができる。
【0047】
上記のプロジェクタ38による画像投影操作については、操作パネル部14におけるキー操作部14aの操作により液晶表示部14bに操作手順を表示することでユーザが操作の実行が容易になる。
【0048】
図10(A)及び図10(B)は原稿押え板35を原稿押えカバー体13の裏面と平行な状態で回動するための他の実施例を示す。この実施例では、原稿押えカバー体13の裏面に、ハウジング2の上面に対して垂直の所定長さの縦長のガイド溝57を凹み形成し、原稿押え板35の裏面に突設した支持ピン58をガイド溝57に摺動可能に嵌め入れる。支持ピン58の軸線に対して原稿押え板35は回動可能に装着されれくているものとする。この構成により、原稿押えカバー体13を開いた状態で、原稿押えカバー体13と原稿押え板35との長辺が横方向に平行状になる姿勢(上記の基準位置)(図10(A)参照)から、原稿押え板35の長辺を縦方向になるように回動するに際して、まず、支持ピン58をガイド溝57の上端側に移動させてから原稿押え板35を回動させる。そうすれば、原稿押え板35の矩形状の角部がハウジング2の上面と干渉しないようにすることができる。図10(B)の破線による矩形は原稿押え板35の回動姿勢を示す。なお、支持ピン58がガイド溝57に沿って滑り落ちないようにする抵抗部を備えていることが好ましい。
【0049】
図11及び図12はプロジェクタ38の姿勢変更のための他の実施例を示し、図11ではプロジェクタ38がハウジング2の上面にブラケット59に水平軸周りに回動可能に装着されている構成とする。プロジェクタ38の上下方向に回動角度を検出するプロジェクタ角度センサ60の検出値に応じて、原稿押え板35に投影される画像の歪みを補正部55にて補正するのである。
【0050】
図12の実施例では、ハウジング2の上面に対して昇降可能な伸縮支柱61の上端の支持台にプロジェクタ38を上下方向に回動可能に装着する。伸縮支柱61の高さを検出する高さセンサ62の検出値に応じて、原稿押え板35に投影される画像の歪みを補正部55にて補正するのである。図11及び図12において、上述のように、原稿押え板35を縦長に配置することができることは勿論である。
【0051】
上記の各センサ36、53、54、60、62は機械式、光学式、3次元センサなど各種のものを使用できる。
【0052】
なお、画像読取装置12は自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)を備えたものであっても良い。その場合には自動原稿搬送装置が原稿押えカバー体13の一側部に設けられる。また、多機能装置1は、不図示のコンピュータ(外部情報機器)と主に接続されて、該コンピュータから送信された画像データや文書データを含む印刷データに基づいて、被記録媒体としての用紙に画像や文書を記録するものである。なお、多機能装置1には、デジタルカメラ等の外部機器が接続されて、デジタルカメラ等から出力される画像データを用紙に記録したり、メモリカード等の各種記憶媒体の外部メモリを取り込む(装填す)スロット部を設けて、該記憶媒体に記録された画像データ等を用紙に記録したり、上述のようにプロジェクタ38により画像を投影することも可能である。
【0053】
図1及び図2において、ハウジング2の前面右側には、インク貯蔵部11aにインクカートリッジ11を出し入れするための扉2bが設けられている。
【0054】
インク貯蔵部11aには、フルカラー記録のための4色のインクを各々収容したほぼ矩形箱状のインクカートリッジ13(個別の色、即ち、ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)用インクのカートリッジ)を、Y軸方向に沿って一列状に収容でき、前方から着脱可能となるように構成されている。各インクカートリッジ11からインクジェット式の記録ヘッド4に複数本(実施形態では4本)のインク供給管15(インクチューブ)を介してインクを供給するように構成されている。なお、4色よりも多数のインク色を使用する場合(6色〜8色等)には、そのインク色の数に応じたインクカートリッジをインク貯蔵部に収容可能に構成すれば良いし、インク供給管もインクカートリッジの数に合わせて増やせばよい。
【0055】
[記録部]
記録部7は、図2及び図3に示すように、上面が開放された箱型のメインフレーム(図示せず)とその左右一対の側板にて支持され、Y軸方向(主走査方向)に延びる長尺板状の第1及び第2ガイド部材22、23との間に形成される。記録部7における記録ヘッド4が下面側に搭載されたキャリッジ5は、用紙搬送方向(X軸方向であり、副走査方向(主走査方向と直交する方向))の上流側の第1ガイド部材22及び下流側の第2ガイド部材23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能となっている。
【0056】
キャリッジ5を往復移動させるために、用紙搬送方向(X軸方向)の下流側に配置された第2ガイド部材23の上面には、主走査方向(Y軸方向)に延びるように配置されたタイミングベルト25がプーリに巻回されており、そのタイミングベルト25を駆動するCR(キャジッジ)モータ24は第2ガイド部材23の下面に固定されている。
【0057】
キャリッジ5におけるインクジェット式の記録ヘッド4の下面と対峙するようにY軸方向に延びる扁平状のプラテン26は、前記両ガイド部材22、23の間であって、メインフレームの底板の上方に固定されている。記録ヘッド4には、プラテン26上の被記録媒体としての用紙に向けノズル(図示せず)を下向きに露出させている。
【0058】
また、プラテン26を挟んで搬送上流側には、用紙を記録ヘッド4の下面に送るためのレジストローラ(搬送ローラ)対27が配置されており、プラテン26の下流側には記録済みの用紙を、第2給紙カセット30の上面に設けられた排紙受け部30a上に搬送するための排紙ローラ対28が配置されている(図3参照)。そして、記録ヘッド4は公知のように主走査方向(Y軸方向)に移動しながら、ノズルから用紙にインクを選択式に吐出する。そのような記録ヘッド4の移動と用紙の移動とを繰り返することにより、用紙上に歯所望の画像が記録されるのである。
【0059】
図2に示すように、多機能装置1の本体フレーム内で、用紙のY軸方向の幅(画像記録領域)よりも外側における一方の側(図2の左側)には、フラッシング部16が設けられている。さらに、他方の側(図2の右側)にはキャリッジ5のホームポジションに対応すると共に、吐出機能の回復手段としてのメンテナンスユニット17が設けられている。記録ヘッド4は、フラッシング部16と対向する位置にて、記録前または記録動作の間に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出(フラッシング)を行う。
【0060】
メンテナンスユニット17には、記録ヘッド4が記録指令を待機しているときや、装置の電源が切られているときなどに、ノズル開口面を覆うためのキャップ体19が備えられている。キャップ体19には吸引ポンプ(図示せず)が接続されていて、キャップ体19がノズル開口面を覆った状態で、ノズルから増粘したインク等の不良インクを排出する回復動作(パージ動作)を行うことができる。
【0061】
[給紙装置]
次に、給紙装置の構成について説明する。実施例では、多数枚の用紙を堆積収容可能な第1収容部3bを備え、この第1収容部3b内の用紙を1枚ずつ、給送手段6により記録部7に給送するための第1給紙カセット3が備えられている。また、この第1給紙カセット3の第1収容部3b上には、第1給紙カセット3及び給送手段6に対してX軸方向に沿って進退動可能に配置される第2給紙カセット30が備えられている。第2給紙カセット30は、第1給紙カセット3における用紙と異なるサイズ(小さいサイズであり、葉書または写真のL版等)の複数枚(少なくとも1枚以上)の用紙を第2収容部30bに堆積状態で収容可能である(図3参照)。第2給紙カセット30には、第2収容部30bの後方(給送方向上流側部位)に、トレイ状の排紙受け部30aが一体的に形成されている。第2給紙カセット30を第1給紙カセット3に対して給送方向と反対側に後退させたとき、その第2給紙カセット30の用紙の給送方向の上流側端部が第1給紙カセット3の用紙の給送方向の上流側端部とほぼ同じ後位置になるように構成されている(図1参照)。
【0062】
第1給紙カセット3は、例えばA4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ等の大きいサイズにカットされた用紙を多数枚積載(堆積)させて収容できる形態とする。第1給紙カセット3の第1収容部3bへの用紙の最大堆積量は、本実施例では普通紙で100枚程度、堆積高さはほぼ10mm程度とする。
【0063】
実施例では、給送手段6における合成樹脂製のアーム体6cは駆動軸29を中心にして上下方向に回動可能であり、アーム体6cは傾斜分離板8に近づくように延び、アーム体6c先端部に給紙ローラ6aが配置され、駆動軸29から図示しない歯車伝動機構を介して給紙ローラ6aを回転駆動する。
【0064】
また、第1給紙カセット3の先端(給送方向の下流側、図3参照)には、用紙分離用の傾斜分離板8が配置されている。給送手段6における給紙ローラ6aと、傾斜分離板8の幅方向(Y軸方向)の中央部の内面(表面)側に設けられた分離手段としての弾性分離パッド(図示せず)とにより、第1給紙カセット3または第2給紙カセット30に堆積された被記録媒体である用紙を一枚ずつ分離搬送する。分離された用紙は上横向きのUターンパス(給紙搬送路)用の搬送路体9を介して第1給紙カセット3より上側(高い位置)に設けられた記録部7に給送される。そして、記録部7にて記録された用紙がその記録面を上向きにして開口部2aに向かって排出される。なお、記録部7(プリンタ部)はインクジェット式の他、レーザトナー式やサーマルヘッド式であっても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 多機能装置
2 装置本体としてのハウジング
12 画像読取装置
13 原稿押えカバー体
31 スキャナ部
33 ガラス板
34 ヒンジ部
35 原稿押え板
36 角度センサ
37 回動部材
38 投影手段としてのプロジェクタ
50 制御装置
53 押え板回動センサとしての姿勢センサ
54、62 高さセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷しなくても受信した画像データを視認可能なファクシミリ装置及びファクシミリ機能(装置)を備えた多機能装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の文字や図形などの画像データを送受信可能なファクシミリ装置では、受信した画像データを用紙に印刷することで、そのデータを視認できる他、ファクシミリ装置に備えられた液晶パネル表示部(表示モニタ部)に受信した画像データを表示するもの(特許文献1乃至3)があった。
【0003】
他方、特許文献4に示すように、ファクシミリ装置本体の上部前側に投影手段を備え、装置本体の後端には、前下り傾斜して用紙を給紙するための給紙トレイを備え、この給紙トレイの表面または給紙トレイに載置された白色等の用紙に投影手段から画像を投影する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−211521号公報(図1〜5参照)
【特許文献2】特開2006−218650号公報(図1〜5参照)
【特許文献3】特開2008−6698号公報(図1〜5参照)
【特許文献4】特開2007−267013号公報(図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1乃至3のような液晶パネル表示部(表示モニタ部)が備えられていても、それらの表示部分の面積は通常印刷される用紙の面積に比べて遥かに小さいため、印刷された用紙の画像に比べて視認しずらいという問題を有していた。
【0006】
この不具合を解消するため、受信した画像データの一部を大きく液晶パネル表示部(表示モニタ部)に表示すると共に、受信した画像データをスクロールして順次画像を表示させることも考えられるが、それでも印刷された1枚の用紙の画像の全体をスクロールするのに手間が掛かるという問題があった。
【0007】
他方、特許文献4の構成では、給紙トレイの機能上の制約のため、投影角度が固定されて調整できないので、ユーザの目視方向が制限されて見づらい。また、用紙に投影する場合、当該用紙の曲がり癖、撓みにより、投影された画像に歪みが発生して見づらい。
【0008】
さらに、給紙トレイに載置された白色等の用紙の全体に縦長の画像の全体を表示するためには、ファクシミリ装置の本体ケースの上端からの給紙トレイの上端位置までの高さ寸法を大きくしなければならないから、装置全体が嵩高くなるという問題があった。
【0009】
本発明は、これらの従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、一度に多くの画像情報を提示でき、且つ視認し易いようにしたファクシミリ装置及びこのファクシミリ装置を備えた多機能装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、通信データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した受信データから画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データ生成手段で生成した画像データに基づいて画像を投影する投影手段と、スキャナ部とを装置本体に備え、前記装置本体の上面に原稿載置ガラスが配置され、前記原稿載置ガラスを覆う原稿押えカバー体が前記装置本体の上面一側部にヒンジ部を介して起伏回動可能に装着されてなるファクシミリ装置であって、前記原稿押えカバー体のヒンジ部と反対側の前記装置本体の上面には、前記投影手段が上下方向に回動可能若しくは上下方向に移動可能のいずれか一方又は双方の機構を有して装着され、前記投影手段により、前記原稿押えカバー体の裏面に設けられた原稿押え板に、画像データまたはファクシミリ受信データを投影させるように構成したものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のファクシミリ装置において、前記原稿押え板は、前記原稿押えカバー体に対してその裏面と平行な面に沿って回動可能に装着されているものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のファクシミリ装置において、前記原稿押えカバー体は前記装置本体の上面に対して回動角度の調整が可能となるように構成され、前記投影手段は、それによる投影画像を前記原稿押えカバー体の回動角度並びに前記投影手段の高さ位置及び回動角度に連動して補正可能に構成されているものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載のファクシミリ装置において、前記原稿押えカバー体を実質的に垂直状に開いたとき、前記装置本体の一側縁と前記原稿押えカバー体の裏面との間に、前記原稿押え板がその平面の周りで回動可能な隙間が形成されるように、前記ヒンジ部を構成したものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のファクシミリ装置において、前記原稿押えカバー体には、前記原稿押え板の回動方向及び回動角度を検出するための押え板回動センサが設けられ、前記押え板回動センサの回動姿勢に応じて投影される画像の表示の向きを変換する画像表示変換手段を備えたものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1乃至5のいずれかに記載のファクシミリ装置に加えて、前記スキャナ部で読み込まれた原稿の画像を用紙に複写するコピー部と、各種記録媒体を装填可能なスロット部のうち少なくとも1つの機能を備えた多機能装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、通信データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した受信データから画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データ生成手段で生成した画像データに基づいて画像を投影する投影手段と、スキャナ部とを装置本体に備え、前記装置本体の上面に原稿載置ガラスが配置され、前記原稿載置ガラスを覆う原稿押えカバー体が前記装置本体の上面一側部にヒンジ部を介して起伏回動可能に装着されてなるファクシミリ装置であって、前記原稿押えカバー体のヒンジ部と反対側の前記装置本体の上面には、前記投影手段が上下方向に回動可能若しくは上下方向に移動可能のいずれか一方又は双方の機構を有して装着され、前記投影手段により、前記原稿押えカバー体の裏面に設けられた原稿押え板に、画像データまたはファクシミリ受信データを投影させるように構成したものである。
【0017】
従って、ファクシミリ装置で受信した受信データを用紙に印刷することなく、投影手段から受信データを画像として原稿押えカバー体の裏面に配置された原稿押え板に投影することができる。そして、本発明では、装置本体の上面には、前記投影手段が上下回動可能若しくは上下方向に移動可能のいずれか一方又は双方の機構を有して装着されているから、投影された画像が歪み無く視認することができる。また、原稿押え板に受信データの画像全体を一度に視認することができるという顕著な効果を奏するものである。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、前記原稿押え板は、前記原稿押えカバー体に対してその裏面と平行な面に沿って回動可能に装着されているものであるから、受信データが縦長の画像であるときに、原稿押え板の長辺の方向を縦方向となるように、当該原稿押え板の姿勢を変更すれば良く、これによって、受信データの画像全体を一度に視認することができるという顕著な効果を奏するものである。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、前記原稿押えカバー体は前記装置本体の上面に対して回動角度の調整が可能となるように構成され、前記投影手段は、それによる投影画像を前記原稿押えカバー体の回動角度並びに前記投影手段の高さ位置及び回動角度に連動して補正可能に構成されているものである。
【0020】
従って、ユーザが原稿押えカバー体の回動角度を変更したり、前記投影手段の高さ位置及び回動角度を変更するだけで、原稿押え板に投影される画像の歪みが補正部にて自動的に補正され、見やすい画像を簡単に得ることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、前記原稿押えカバー体を実質的に垂直状に開いたとき、前記装置本体の一側縁と前記原稿押えカバー体の裏面との間に、前記原稿押え板がその平面の周りで回動可能な隙間が形成されるように、前記ヒンジ部を構成したものであるから、原稿押えカバー体を実質的に垂直状に開いた状態で、原稿押え板の長辺を縦方向となるように、原稿押え板を回動させるときに、その角部が装置本体と干渉しないようにすることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、前記原稿押えカバー体には、前記原稿押え板の回動方向及び回動角度を検出するための押え板回動センサが設けられ、前記押え板回動センサの回動姿勢に応じて投影される画像の表示の向きを変換する画像表示変換手段を備えたものである。
【0023】
ファクシミリ装置で送られてくる画像データは、原稿用紙の縦長、横長の配置や天地方向などが統一されず、受信した画像データによる画像をそのまま原稿押え板の表面に投影すると、これを見る人にとっては、非常に見辛いことになる。本発明に従えば、例えば、ユーザが最初に横長の原稿押え板の表面に投影された画像を観察したとき、縦長の原稿用紙であると判断すると、原稿押え板の向きを左右いずれか一方に90度回動させて、原稿押え板が縦長となるように設定する。これにより、押え板回動センサの検出値に応じて、縦長の原稿用紙の適正な画像を投影するように補正するのである。受信した原稿用紙の画像が天地逆姿勢の場合には、基準位置の横長の原稿押え板の状態から180度回転することで、押え板回動センサの検出値に応じた補正を実行して、適正な画像を投影することができる。従って、一層簡便に適正画像を視認することができるという顕著な効果を奏するものである。
【0024】
請求項6に記載の発明は、前記請求項1乃至5のいずれかに記載のファクシミリ装置に加えて、前記スキャナ部で読み込まれた原稿の画像を用紙に複写するコピー部と、各種記録媒体を装填可能なスロット部とのうち少なくとも1つの機能を備えた多機能装置である。
【0025】
従って、本発明によれば、外部装置や各種記録媒体から取り込まれた画像データを印刷する以前に、投影手段と原稿押え板とよって、印刷すべき画像か否かの判断を行なえる。しかして、印刷用の用紙の無駄な消費を無くすることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係る多機能装置1の外観構成を示す斜視図である。
【図2】記録部の主要構成を示す概略平面図である。
【図3】記録部及びキャリッジなどの概略側断面図である。
【図4】(A)は原稿押えカバー体を開いた状態の側面図、(B)はその斜視図である。
【図5】原稿押えカバー体を開いた状態で示すヒンジ部を構成を示す斜視図である。
【図6】原稿押えカバー体を開いた状態で原稿押え板が縦長状態のときの斜視図である。
【図7】図6の状態の側面図である。
【図8】(A)は原稿押えカバー体を省略した状態で原稿押え板の回動部材を示す斜視図、(B)は回動部材のみの拡大斜視図である。
【図9】押え板回動センサとしての姿勢センサを示す説明図である。
【図10】(A)は原稿押え板を原稿押えカバー体の裏面と平行な状態で回動するための他の実施例を示す正面図、(B)は拡大正面図である。
【図11】投影手段の他の実施例を示す側面図である。
【図12】投影手段のさらに他の実施例を示す側面図である。
【図13】本発明の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、本実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施例を適宜変更できることは言うまでもない。本発明において画像とは、文字、図形、写された像を含む。
【0028】
図1は多機能装置1の斜視図、図2は概略平面図である。この多機能装置1(MFD:Multi Function Device )は、プリンタ機能、ファクシミリ機能、コピー機能、スキャナ機能等の複数の機能を備えているが、本発明は単独のファクシミリ装置に適用しても良い。
【0029】
[基本形態]
本実施例の多機能装置1は、図1に示すように、合成樹脂製の射出成形品からなる装置本体としてのハウジング2の底部には、その前側の開口部2aから挿抜可能な第1給紙カセット3が配置されている。この第1給紙カセット3の上面には、第2給紙カセット30が進退動可能に連結または載置されている。
【0030】
ハウジング2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置12が配置されている。この画像読取装置12は図示しない枢軸部を介してハウジング2の一側端に対して上下方向に開閉回動可能に構成されている。画像読取装置12の上面には、原稿押えカバー体13を上側に開けて原稿を載置することができる載置用のガラス板33が設けられ、原稿押えカバー体13の裏面には、その裏面と平行な面に沿って原稿押え板35が回動可能に装着されている。原稿押え板35が回動可能に連結する構成は後述する。
【0031】
ガラス板33の下側に原稿読取り用の密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor) 等からなるスキャナ部31が主走査方向(図1におけるY軸方向であり、第2の方向)に延びるガイド部材32に沿って往復移動可能に設けられている(図4(A)参照)。原稿押えカバー体13はその基端部を載置用ガラス板33を挟んで操作パネル部14と反対側のハウジング2における上面の一側部(後端部)にヒンジ部34を介して起伏回動可能(上下方向に回動可能)に装着されている。その場合、図4(A)、図4(B)及び図5等に示すように、側面視でL字状のヒンジ部34を用い、ハウジング2の後面と上面との角部に形成された切欠き部40にヒンジ部34の一方の下向き片を固定するように構成する。これにより、原稿押えカバー体13を実質的に垂直状に開いたとき(図4(B)及び図5参照)、装置本体としてのハウジング2の後側縁と原稿押えカバー体13の裏面との間に、原稿押え板がその平面の周りで回動可能となるように寸法H1の隙間41が形成され、且つ原稿押えカバー体13を閉じたときには、原稿押えカバー体13の後端縁とハウジング2の後端縁とが実質的に垂直線上に並ぶように、ヒンジ部34を構成したものである。
【0032】
また、ヒンジ部34には、原稿押えカバー体13の下面(原稿押え板35)が載置用ガラス板33に当接している伏せ姿勢から載置用ガラス板33に対して90度乃至鈍角まで起立する姿勢の原稿押えカバー体13の回動角度を検知するための角度センサ36が設けられている。
【0033】
原稿押えカバー体13の下面(裏面)に設けられる原稿押え板35は表面(下面)が白色などの樹脂板若しくは白色などに塗装されたものである。実施例では、原稿押え板35は、後述する回動部材37を介して原稿押えカバー体13の裏面と平行状にて90度回動可能に取付けられている。これにより、載置用ガラス板33上の原稿を押える通常時には、矩形状の原稿押え板35はY軸方向に長辺で、X軸方向に短辺となるように配置されているが、上述の回動により、Y軸方向に短辺で、Z軸方向に長辺となるように姿勢を変更可能とする。
【0034】
第1実施例の回動部材37は、図4(A)、図8(A)及び図8(B)に示すように、円盤42と、円盤42の裏面中心部に取付けられた上下方向に回動可能なリンク部材43とを有する。円盤42には、リンク部材43よりも外周側に一対の円弧状(中心角度270度程度)のガイド溝44が、円盤42の表裏を貫通するように形成されている。原稿押え板35の裏面に固定された同じく円弧状(中心角度30度程度)の一対のガイド片45は上記ガイド溝44に嵌まっている。なお、各ガイド片45には、当該ガイド片45がガイド溝44から離脱しないようにする留めワッシャ(図示せず)が取付けられている。
【0035】
リンク部材43の基端部は原稿押えカバー体13の裏面の中心部近傍にて水平方向のピン(図示せず)により回動可能に連結されている。この構成により、矩形状の原稿押え板35は上述のように原稿押えカバー体13の裏面(下面)と平行状にて90度回動可能となる。その場合、リンク部材43を、原稿押え板35に取付けられた側(先端側)が下位置となる姿勢とすれば、図5、図7及び図8(A)に示すように回動途中の原稿押え板35の角部が原稿押えカバー体13の下端を越えて下方まで延びるので、リンク部材43が原稿押えカバー体13の裏面と実質的に平行となるように折り畳んだ状態で原稿押え板35を回動させると、上記の隙間44内に原稿押え板35の下角部が嵌まった状態で、当該原稿押え板35が回動できる。なお、図4(A)に示すように、リンク部材43を、原稿押え板35に取付けられた側(先端側)が上位置となるように回動させ、且つリンク部材43が原稿押えカバー体13の裏面と実質的に平行となるように折り畳んだ状態では、横長状に配置された原稿押え板35の上辺が原稿押えカバー体13の上辺より上方に配置することができるから、そのまま原稿押え板35を回動させれば、上記隙間44が無くても、その原稿押え板35の下角部がハウジング2の上面と干渉しない。
【0036】
ハウジング2の上側には、画像読取装置12の前方に各種操作ボタンを有する操作部14aや液晶表示部14b等を備えた操作パネル部14が設けられている。原稿押えカバー体13のヒンジ部34と反対側(操作パネル部14側)の中央部ハウジング2の上面には、投影手段(映写手段ともいう)としてのプロジェクタ38が上下回動可能若しくは上下方向に直線的に移動可能のいずれか一方又は双方の機構を有して装着されている。
【0037】
図1、図4(A)、図4(B)、図、図7及び図8(A)に示すように、第1実施例のプロジェクタ38は、屈曲可能なリンク手段46を介してハウジング2の上側の切欠き凹所47に設けられている。これにより、プロジェクタ38は切欠き凹所47内に沈み込んだ姿勢と、大きく上昇した姿勢とを採ることができる。
【0038】
上記プロジェクタ38により、原稿押えカバー体13の裏面に設けられた原稿押え板35に、メモリカード等の各種記録媒体の外部メモリから取り込まれた画像データまたはファクシミリ受信データから得られた画像を投影させるように構成する。また、プロジェクタ38は、それによる投影画像を原稿押えカバー体13の回動角度や原稿押え板35の回動方向及び回動角度に連動して後述する補正部55を介して補正可能に構成されている。
【0039】
[多機能装置1の制御手段]
図13は多機能装置1の制御手段を示す機能ブロック図である。制御手段における制御装置50には、通信データを受信する送受信手段としてのFAX通信装置51と、受信手段で受信した受信データから画像データを生成する画像データ生成手段(画像生成部52)と、画像データ生成手段で生成した画像データを基に画像を投影する投影手段としてのプロジェクタ38と、上記スキャナ部31と、原稿押えカバー体13の回動角度を検出する角度センサ36と、原稿押え板35の回動姿勢を検出する姿勢センサ53と、ハウジング2の上面に対するプロジェクタ38の高さを検知する高さセンサ54と、補正部55と、用紙に画像を記録するための記録部7と、スキャナ部31で読み込まれた原稿の画像を用紙に複写するコピー部(記録部7が兼用されている)が接続されている。なお、制御装置50には図示していないが、制御プログラムが記憶されたROMと、各種データを記憶するRAMと、画像データを記憶したり、画像データと送受信のデータとの変換などを実行するEEPROMなどを備えている。
【0040】
高さセンサ54はリンク手段46に関連して設けられており、リンク手段46の屈曲角度を検出するセンサや、プロジェクタ38の下面または切り込み凹所47内に設けられた光センサ等、機械的センサや非接触式光センサなどであって良い。
【0041】
図9は姿勢センサ53(請求項の押え板回動センサに相当)の一例であり、原稿押えカバー体13の裏面に対して原稿押え板35が支持ピン56を中心にして回動するように連結されている。原稿押えカバー体13の裏面には、支持ピン56を中心とする同一半径の円弧軌跡上にて、左右及び上位置に設けられた4つのセンサ部53a、53b、53cが配置されている。原稿押え板35の裏面には、当該原稿押え板35が原稿押えカバー体13の裏面と平行状に回動するとき、上記4つのセンサ部53a、53b、53c、53dのいずれか一つのセンサと接触するなどする被検出部53eを備えている。被検出部53eは、各センサ部53a、53b、53c、53dに一時的に係合して位置保持できるノッチ機構を備えることが好ましい。図示実施例では、センサ部53bが被検出部53eを検出すれば、原稿押え板35の回動無し(基準位置)と判断し、センサ部53aが被検出部53eを検出すれば、原稿押え板35が右向き回動姿勢と判断し、センサ部53cが被検出部53eを検出すれば、原稿押え板35が左向き回動姿勢と判断し、センサ部53dが被検出部53eを検出すれば、原稿押え板35が天地逆姿勢と判断するものとする。
【0042】
補正部55(請求項の画像表示変換手段に相当)では、写しだされた画像の領域が台形状になったものを矩形状の画像領域に補正したり、画像の向き左右または天地逆となるように画像回転させるなどのための従来から公知のソフトプログラムが収納されている。そして、このソフトプログラムを利用して、補正部55では、角度センサ36の検出値、姿勢センサ53及び高さセンサ54の検出値に応じて原稿押え板35に投影される画像の歪みや、画像の向きを修正する。
【0043】
[画像の歪み・画像の向きの修正態様]
(1).ハウジング2の上面に対する原稿押えカバー体13の回動角度とプロジェクタ38の高さ位置に応じて、角度センサ36及び高さセンサ54の検出値に対応する画像の歪みを修正する。即ち、原稿押えカバー体13の裏面と平行な原稿押え板35の表面(画像投影面)とプロジェクタ38の投影光の中心線(光軸)とのなす角度が90度よりずれるに従って、原稿押え板35の表面に投影された画像が歪むことになるので、角度センサ36及び高さセンサ54の検出値を基にして投影する元の画像(画像生成部52で生成された画像データ)を補正部54にて補正し、原稿押え板35の表面に投影された画像に歪みが出ないまたは、画像の歪みが可及的に少なくなるようにするものである。
【0044】
(2).適正な方向による画像の投影のための修正を補正部54にて実行する。ファクシミリ装置で送られてくる画像データは、原稿用紙の縦長、横長の配置や天地方向などが統一されず、受信した画像データによる画像をそのまま原稿押え板35の表面に投影すると、これを見る人にとっては、非常に見辛いことになる。
【0045】
そこで、受信した横長の原稿用紙のときは、図4(B)や図9のように、原稿押え板35の向きを横長状態とした投影画面に設定する。逆に、縦長の原稿用紙のときは、原稿押え板35の向きを90度回転させて(図5、図7、図8の二点鎖線参照)、図6、図7及び図8(A)のように、原稿押え板35の向きを縦長状態とした投影画面に設定するのである。
【0046】
(3).さらに、図9に示すような姿勢センサ53を利用すればさらに簡便に適正画像を視認することができる。例えば、ユーザが最初に原稿押え板35の回動無しの横長の原稿押え板35の表面に投影された画像を観察したとき、縦長の原稿用紙であると判断すると、原稿押え板35の向きを左右いずれか一方に90度回動させて、原稿押え板35が縦長となるように設定する。これにより、上記姿勢センサ53の検出値に応じて、縦長の原稿用紙の適正な画像を投影するように補正する。受信した原稿用紙の画像が天地逆姿勢の場合には、回動無し(基準位置)の横長の原稿押え板35の状態から180度回転することで、姿勢センサ53の検出値に応じた補正を実行して、適正な画像を投影することができる。
【0047】
上記のプロジェクタ38による画像投影操作については、操作パネル部14におけるキー操作部14aの操作により液晶表示部14bに操作手順を表示することでユーザが操作の実行が容易になる。
【0048】
図10(A)及び図10(B)は原稿押え板35を原稿押えカバー体13の裏面と平行な状態で回動するための他の実施例を示す。この実施例では、原稿押えカバー体13の裏面に、ハウジング2の上面に対して垂直の所定長さの縦長のガイド溝57を凹み形成し、原稿押え板35の裏面に突設した支持ピン58をガイド溝57に摺動可能に嵌め入れる。支持ピン58の軸線に対して原稿押え板35は回動可能に装着されれくているものとする。この構成により、原稿押えカバー体13を開いた状態で、原稿押えカバー体13と原稿押え板35との長辺が横方向に平行状になる姿勢(上記の基準位置)(図10(A)参照)から、原稿押え板35の長辺を縦方向になるように回動するに際して、まず、支持ピン58をガイド溝57の上端側に移動させてから原稿押え板35を回動させる。そうすれば、原稿押え板35の矩形状の角部がハウジング2の上面と干渉しないようにすることができる。図10(B)の破線による矩形は原稿押え板35の回動姿勢を示す。なお、支持ピン58がガイド溝57に沿って滑り落ちないようにする抵抗部を備えていることが好ましい。
【0049】
図11及び図12はプロジェクタ38の姿勢変更のための他の実施例を示し、図11ではプロジェクタ38がハウジング2の上面にブラケット59に水平軸周りに回動可能に装着されている構成とする。プロジェクタ38の上下方向に回動角度を検出するプロジェクタ角度センサ60の検出値に応じて、原稿押え板35に投影される画像の歪みを補正部55にて補正するのである。
【0050】
図12の実施例では、ハウジング2の上面に対して昇降可能な伸縮支柱61の上端の支持台にプロジェクタ38を上下方向に回動可能に装着する。伸縮支柱61の高さを検出する高さセンサ62の検出値に応じて、原稿押え板35に投影される画像の歪みを補正部55にて補正するのである。図11及び図12において、上述のように、原稿押え板35を縦長に配置することができることは勿論である。
【0051】
上記の各センサ36、53、54、60、62は機械式、光学式、3次元センサなど各種のものを使用できる。
【0052】
なお、画像読取装置12は自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)を備えたものであっても良い。その場合には自動原稿搬送装置が原稿押えカバー体13の一側部に設けられる。また、多機能装置1は、不図示のコンピュータ(外部情報機器)と主に接続されて、該コンピュータから送信された画像データや文書データを含む印刷データに基づいて、被記録媒体としての用紙に画像や文書を記録するものである。なお、多機能装置1には、デジタルカメラ等の外部機器が接続されて、デジタルカメラ等から出力される画像データを用紙に記録したり、メモリカード等の各種記憶媒体の外部メモリを取り込む(装填す)スロット部を設けて、該記憶媒体に記録された画像データ等を用紙に記録したり、上述のようにプロジェクタ38により画像を投影することも可能である。
【0053】
図1及び図2において、ハウジング2の前面右側には、インク貯蔵部11aにインクカートリッジ11を出し入れするための扉2bが設けられている。
【0054】
インク貯蔵部11aには、フルカラー記録のための4色のインクを各々収容したほぼ矩形箱状のインクカートリッジ13(個別の色、即ち、ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)用インクのカートリッジ)を、Y軸方向に沿って一列状に収容でき、前方から着脱可能となるように構成されている。各インクカートリッジ11からインクジェット式の記録ヘッド4に複数本(実施形態では4本)のインク供給管15(インクチューブ)を介してインクを供給するように構成されている。なお、4色よりも多数のインク色を使用する場合(6色〜8色等)には、そのインク色の数に応じたインクカートリッジをインク貯蔵部に収容可能に構成すれば良いし、インク供給管もインクカートリッジの数に合わせて増やせばよい。
【0055】
[記録部]
記録部7は、図2及び図3に示すように、上面が開放された箱型のメインフレーム(図示せず)とその左右一対の側板にて支持され、Y軸方向(主走査方向)に延びる長尺板状の第1及び第2ガイド部材22、23との間に形成される。記録部7における記録ヘッド4が下面側に搭載されたキャリッジ5は、用紙搬送方向(X軸方向であり、副走査方向(主走査方向と直交する方向))の上流側の第1ガイド部材22及び下流側の第2ガイド部材23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能となっている。
【0056】
キャリッジ5を往復移動させるために、用紙搬送方向(X軸方向)の下流側に配置された第2ガイド部材23の上面には、主走査方向(Y軸方向)に延びるように配置されたタイミングベルト25がプーリに巻回されており、そのタイミングベルト25を駆動するCR(キャジッジ)モータ24は第2ガイド部材23の下面に固定されている。
【0057】
キャリッジ5におけるインクジェット式の記録ヘッド4の下面と対峙するようにY軸方向に延びる扁平状のプラテン26は、前記両ガイド部材22、23の間であって、メインフレームの底板の上方に固定されている。記録ヘッド4には、プラテン26上の被記録媒体としての用紙に向けノズル(図示せず)を下向きに露出させている。
【0058】
また、プラテン26を挟んで搬送上流側には、用紙を記録ヘッド4の下面に送るためのレジストローラ(搬送ローラ)対27が配置されており、プラテン26の下流側には記録済みの用紙を、第2給紙カセット30の上面に設けられた排紙受け部30a上に搬送するための排紙ローラ対28が配置されている(図3参照)。そして、記録ヘッド4は公知のように主走査方向(Y軸方向)に移動しながら、ノズルから用紙にインクを選択式に吐出する。そのような記録ヘッド4の移動と用紙の移動とを繰り返することにより、用紙上に歯所望の画像が記録されるのである。
【0059】
図2に示すように、多機能装置1の本体フレーム内で、用紙のY軸方向の幅(画像記録領域)よりも外側における一方の側(図2の左側)には、フラッシング部16が設けられている。さらに、他方の側(図2の右側)にはキャリッジ5のホームポジションに対応すると共に、吐出機能の回復手段としてのメンテナンスユニット17が設けられている。記録ヘッド4は、フラッシング部16と対向する位置にて、記録前または記録動作の間に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出(フラッシング)を行う。
【0060】
メンテナンスユニット17には、記録ヘッド4が記録指令を待機しているときや、装置の電源が切られているときなどに、ノズル開口面を覆うためのキャップ体19が備えられている。キャップ体19には吸引ポンプ(図示せず)が接続されていて、キャップ体19がノズル開口面を覆った状態で、ノズルから増粘したインク等の不良インクを排出する回復動作(パージ動作)を行うことができる。
【0061】
[給紙装置]
次に、給紙装置の構成について説明する。実施例では、多数枚の用紙を堆積収容可能な第1収容部3bを備え、この第1収容部3b内の用紙を1枚ずつ、給送手段6により記録部7に給送するための第1給紙カセット3が備えられている。また、この第1給紙カセット3の第1収容部3b上には、第1給紙カセット3及び給送手段6に対してX軸方向に沿って進退動可能に配置される第2給紙カセット30が備えられている。第2給紙カセット30は、第1給紙カセット3における用紙と異なるサイズ(小さいサイズであり、葉書または写真のL版等)の複数枚(少なくとも1枚以上)の用紙を第2収容部30bに堆積状態で収容可能である(図3参照)。第2給紙カセット30には、第2収容部30bの後方(給送方向上流側部位)に、トレイ状の排紙受け部30aが一体的に形成されている。第2給紙カセット30を第1給紙カセット3に対して給送方向と反対側に後退させたとき、その第2給紙カセット30の用紙の給送方向の上流側端部が第1給紙カセット3の用紙の給送方向の上流側端部とほぼ同じ後位置になるように構成されている(図1参照)。
【0062】
第1給紙カセット3は、例えばA4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ等の大きいサイズにカットされた用紙を多数枚積載(堆積)させて収容できる形態とする。第1給紙カセット3の第1収容部3bへの用紙の最大堆積量は、本実施例では普通紙で100枚程度、堆積高さはほぼ10mm程度とする。
【0063】
実施例では、給送手段6における合成樹脂製のアーム体6cは駆動軸29を中心にして上下方向に回動可能であり、アーム体6cは傾斜分離板8に近づくように延び、アーム体6c先端部に給紙ローラ6aが配置され、駆動軸29から図示しない歯車伝動機構を介して給紙ローラ6aを回転駆動する。
【0064】
また、第1給紙カセット3の先端(給送方向の下流側、図3参照)には、用紙分離用の傾斜分離板8が配置されている。給送手段6における給紙ローラ6aと、傾斜分離板8の幅方向(Y軸方向)の中央部の内面(表面)側に設けられた分離手段としての弾性分離パッド(図示せず)とにより、第1給紙カセット3または第2給紙カセット30に堆積された被記録媒体である用紙を一枚ずつ分離搬送する。分離された用紙は上横向きのUターンパス(給紙搬送路)用の搬送路体9を介して第1給紙カセット3より上側(高い位置)に設けられた記録部7に給送される。そして、記録部7にて記録された用紙がその記録面を上向きにして開口部2aに向かって排出される。なお、記録部7(プリンタ部)はインクジェット式の他、レーザトナー式やサーマルヘッド式であっても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 多機能装置
2 装置本体としてのハウジング
12 画像読取装置
13 原稿押えカバー体
31 スキャナ部
33 ガラス板
34 ヒンジ部
35 原稿押え板
36 角度センサ
37 回動部材
38 投影手段としてのプロジェクタ
50 制御装置
53 押え板回動センサとしての姿勢センサ
54、62 高さセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した受信データから画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データ生成手段で生成した画像データに基づいて画像を投影する投影手段と、スキャナ部とを装置本体に備え、前記装置本体の上面に原稿載置ガラスが配置され、前記原稿載置ガラスを覆う原稿押えカバー体が前記装置本体の上面一側部にヒンジ部を介して起伏回動可能に装着されてなるファクシミリ装置であって、
前記原稿押えカバー体のヒンジ部と反対側の前記装置本体の上面には、前記投影手段が上下方向に回動可能若しくは上下方向に移動可能のいずれか一方又は双方の機構を有して装着され、
前記投影手段により、前記原稿押えカバー体の裏面に設けられた原稿押え板に、画像データまたはファクシミリ受信データを投影させるように構成したことを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記原稿押え板は、前記原稿押えカバー体に対してその裏面と平行な面に沿って回動可能に装着されていることを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記原稿押えカバー体は前記装置本体の上面に対して回動角度の調整が可能となるように構成され、前記投影手段は、それによる投影画像を前記原稿押えカバー体の回動角度並びに前記投影手段の高さ位置及び回動角度に連動して補正可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記原稿押えカバー体を実質的に垂直状に開いたとき、前記装置本体の一側縁と前記原稿押えカバー体の裏面との間に、前記原稿押え板がその平面の周りで回動可能な隙間が形成されるように、前記ヒンジ部を構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記原稿押えカバー体には、前記原稿押え板の回動方向及び回動角度を検出するための押え板回動センサが設けられ、
前記押え板回動センサの回動姿勢に応じて投影される画像の表示の向きを変換する画像表示変換手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれかに記載のファクシミリ装置に加えて、前記スキャナ部で読み込まれた原稿の画像を用紙に複写するコピー部と、各種記録媒体を装填可能なスロット部とのうち少なくとも1つの機能を備えた多機能装置。
【請求項1】
通信データを受信する受信手段と、前記受信手段で受信した受信データから画像データを生成する画像データ生成手段と、前記画像データ生成手段で生成した画像データに基づいて画像を投影する投影手段と、スキャナ部とを装置本体に備え、前記装置本体の上面に原稿載置ガラスが配置され、前記原稿載置ガラスを覆う原稿押えカバー体が前記装置本体の上面一側部にヒンジ部を介して起伏回動可能に装着されてなるファクシミリ装置であって、
前記原稿押えカバー体のヒンジ部と反対側の前記装置本体の上面には、前記投影手段が上下方向に回動可能若しくは上下方向に移動可能のいずれか一方又は双方の機構を有して装着され、
前記投影手段により、前記原稿押えカバー体の裏面に設けられた原稿押え板に、画像データまたはファクシミリ受信データを投影させるように構成したことを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記原稿押え板は、前記原稿押えカバー体に対してその裏面と平行な面に沿って回動可能に装着されていることを特徴とする請求項1に記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記原稿押えカバー体は前記装置本体の上面に対して回動角度の調整が可能となるように構成され、前記投影手段は、それによる投影画像を前記原稿押えカバー体の回動角度並びに前記投影手段の高さ位置及び回動角度に連動して補正可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記原稿押えカバー体を実質的に垂直状に開いたとき、前記装置本体の一側縁と前記原稿押えカバー体の裏面との間に、前記原稿押え板がその平面の周りで回動可能な隙間が形成されるように、前記ヒンジ部を構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記原稿押えカバー体には、前記原稿押え板の回動方向及び回動角度を検出するための押え板回動センサが設けられ、
前記押え板回動センサの回動姿勢に応じて投影される画像の表示の向きを変換する画像表示変換手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
前記請求項1乃至5のいずれかに記載のファクシミリ装置に加えて、前記スキャナ部で読み込まれた原稿の画像を用紙に複写するコピー部と、各種記録媒体を装填可能なスロット部とのうち少なくとも1つの機能を備えた多機能装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−219657(P2010−219657A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61421(P2009−61421)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]