フィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法
【課題】ディーゼルエンジンの排気系に設置されるDPFの長期信頼性、耐久性の確認、評価を、正確に高い精度で効率よく行うことが可能な手段を提供すること。
【解決手段】ガスの中に粒子状物質を発生させるPM発生装置10と、フィルタ再生用高熱ガスを製造する高熱ガス製造装置42と、フィルタを収納するとともにフィルタの入口側に温度測定制御手段を備える収納室32と、を具備し、収納室32におけるフィルタの入口側に、PM発生装置10及び高熱ガス製造装置42が、並列に接続されているフィルタ用連続再生試験装置20の提供による。
【解決手段】ガスの中に粒子状物質を発生させるPM発生装置10と、フィルタ再生用高熱ガスを製造する高熱ガス製造装置42と、フィルタを収納するとともにフィルタの入口側に温度測定制御手段を備える収納室32と、を具備し、収納室32におけるフィルタの入口側に、PM発生装置10及び高熱ガス製造装置42が、並列に接続されているフィルタ用連続再生試験装置20の提供による。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質を捕集するフィルタの長期信頼性、耐久性を確認するための連続再生試験装置、及び、それを用いたフィルタの連続再生試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の内燃機関等から排出される排気ガス中の微粒子や有害物質は、人体、環境への影響が大きく、これらの大気への放出を防止する必要性が高まっている。特にディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(パティキュレートマター(PM))や窒素酸化物(NOX)等は影響が甚大であり、それらにかかる規制は世界的に強化されている。
【0003】
このような状況の下、PMを除去するためのフィルタ(ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF))やNOXを窒素と水に還元するため等に有用な触媒を備えた排気ガス浄化装置の研究・開発が進められ、現在では、高性能な浄化装置が市場に提供されるようになっている。
【0004】
ところが、その排気ガス浄化装置を試験し、その性能や耐久性を、正確に高い精度で評価する手段は提案されていない、というのが現状である。又、このような技術に関連する先行文献も多くはない。
【0005】
このような現状を打破すべく、先に、本願出願人は、特許文献1,2にかかる技術を開発し、これを開示している。これらにより、排気ガス浄化装置を評価するために、実際のディーゼルエンジン等から排出される排気ガスを模擬した排気ガスを、安定的に供給することが可能になっている。尚、他の先行技術文献として、特許文献3,4を挙げることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−155712号公報
【特許文献2】特開2007−155708号公報
【特許文献3】特開2005−214742号公報
【特許文献4】特開平8−189339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、PMの堆積と再生を繰り返すDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)を備えた排気ガス浄化装置における、当該DPFの長期信頼性、耐久性を確認しあるいは評価するに際しては、正確に高い精度で効率よく行うことが求められているところ、上記特許文献3,4に係る技術は、このような要望に応えられているとはいえず、本願出願人の開示した特許文献1,2に係る技術でも十分とはいえない。
【0008】
即ち、DPFの長期信頼性、耐久性を確認しあるいは評価するためには、先ず、実際の排気ガスに含まれるものと同様の性状を有するPM(粒子状物質)を、通常の再生開始状態の量まで、DPF内部に速く堆積させる必要があるが、従来、DPFにPMを堆積するのに、多大な時間を要している。
【0009】
又、通常セラミック構造体で構成されるDPFにおいて、異常燃焼(失火、溶損)を起こさせずに、PMを燃焼させるDPFの再生を、繰り返し行う必要があるが、特に、実際のディーゼルエンジンを用いて連続再生方式で試験を行うと、ECU(エンジンコントロールユニット)で制御を行っても、DPFの入口における温度が変動し、再生時にDPF内部で異常燃焼が生じてしまう場合がある。そうなると、試験は最初からやり直しとなる。このように、DPFを備えた排気ガス浄化装置の長期信頼性、耐久性を確認しあるいは評価することは、容易ではない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、ディーゼルエンジンの排気系に設置されるDPFの再生を模擬し、再生を実機に対し再現性高く行い、DPFの長期信頼性、耐久性の確認、評価を、正確に高い精度で(即ち、試験における長期信頼性、耐久性についての確認ないし評価が、実際のディーゼルエンジンの排気系に設置した場合におけるDPFの長期信頼性、耐久性と、相関性が高くなるように制御する)、効率よく行い得る手段を提供することにある。研究が重ねられた結果、以下に示す手段により、上記課題を解決し得ることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、先ず、本発明によれば、軽油と軽油燃焼用空気との混合を行いその混合をされた軽油混合気の燃焼を生じる軽油用燃焼室、その軽油用燃焼室へ軽油を間欠で噴射することが可能な軽油噴射手段、及び、軽油混合気を着火する軽油用パイロットバーナ、を具備し、軽油混合気の燃焼が不完全であることによってガスの中に粒子状物質を発生させるPM発生装置(PM発生ユニット)と、ガス燃料とガス燃料燃焼用空気との混合を行いその混合をされたガス燃料混合気の燃焼を生じるガス燃料用燃焼室、そのガス燃料用燃焼室へガス燃料を噴射することが可能なガス燃料噴射手段、及び、ガス燃料混合気を着火するガス燃料用パイロットバーナ、を具備し、ガス燃料混合気の燃焼によってフィルタ再生用高熱ガスを製造する高熱ガス製造装置(高熱ガス発生ユニット)と、フィルタを収納するとともに、フィルタの入口側に温度測定制御手段を備える収納室(収納ユニット)と、を有し、収納室におけるフィルタの入口側に、PM発生装置及び高熱ガス製造装置が、並列に接続されているフィルタ用連続再生試験装置が提供される。
【0012】
収納室におけるフィルタの入口側とは、フィルタ用連続再生試験装置を使用する際に、PM(粒子状物質)含有ガス又はフィルタ再生用高熱ガスがフィルタに入る側である。フィルタ再生用高熱ガスにおける高熱とは、フィルタに堆積したPMを燃焼させ、これを除去するに充分な温度を意味し、通常、フィルタの入口側において300℃以上、700℃以下となる温度である。
【0013】
次に、本発明によれば、上記したフィルタ用連続再生試験装置を使用し、PM発生装置において、軽油燃焼用空気の中に、軽油を、空気過剰率λを特定して、間欠で噴射し、燃焼させ、ガスの中に、特定の成分比率からなり、特定の粒径分布からなる粒子状物質を発生させ、その粒子状物質を発生させた粒子状物質含有ガスを、収納室に収納されたフィルタに供給する工程(PM堆積工程という)と、高熱ガス製造装置において、ガス燃料燃焼用空気の中に、ガス燃料を噴射し燃焼させ、フィルタ再生用高熱ガスを製造し、そのフィルタ再生用高熱ガスを、収納室におけるフィルタの入口側において300℃以上、700℃以下となるように温度を制御して、収納室に収納されたフィルタに供給する工程(再生工程という)と、を繰り返し行うフィルタの連続再生試験方法が提供される。再生工程は、いわばPM除去(燃焼)工程である。
【0014】
本発明に係るフィルタの連続再生試験方法において、上記特定の粒径分布は、日本国内の市販軽油の場合は、ピーク値が80μm以上100μm以下である粒径分布であることが好ましい。
【0015】
本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法において、好ましいガス燃料は、LPガス(プロパンを主成分とするガス)又は天然ガス(メタンを主成分とするガス)である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置のPM発生装置は、実記ディーゼルエンジンに比べて、10倍オーダーのPM製造能力を有するものである。本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法によれば、そのPM発生装置を用い、軽油燃焼用空気の中に、軽油を、空気過剰率λを特定して、間欠で噴射し、燃焼させ、ガスの中に、特定の成分比率からなり、特定の粒径分布からなる粒子状物質を発生させ、その粒子状物質を発生させた粒子状物質含有ガスを、収納室に収納されたフィルタに供給するPM堆積工程を行なうので、DPF内部にPMを速く堆積させることが出来、効率よく速く試験を行うことが可能である。実際のディーゼルエンジンを用いてPMを堆積させると、多大な時間を要することになるが、本発明によればこのような問題を回避出来る。
【0017】
本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法によれば、収納室のフィルタの入口側に温度測定制御手段を備えているので、高熱ガス製造装置において、ガス燃料燃焼用空気の中に、ガス燃料を噴射し燃焼させ、フィルタ再生用高熱ガスを製造し、そのフィルタ再生用高熱ガスを、収納室におけるフィルタの入口側において300℃以上、700℃以下となるように温度を制御して、収納室に収納されたフィルタに供給する再生工程を行うに際し、フィルタの再生時温度をタイトに制御することが可能であり、フィルタの入口側における温度が変動し、再生時にDPF内部で異常燃焼が生じる、といった問題は起こり難い。
【0018】
上記のような効果を奏することから、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法は、フィルタへのPMの堆積及びフィルタの再生を、容易に、精度よく、繰り返し、行い、それらの確認、評価を行うに適した手段であるといえる。又、ディーゼルエンジン実機で行う場合と同様にして、フィルタへのPMの堆積及びフィルタの再生を繰り返し行い、それらの確認、評価を行うことが可能な手段である。特に、PMの堆積とDPFの再生(PMの除去)を、数百サイクル連続して繰り返す再生試験を行う場合に、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法は適している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置の一実施形態を模式的に描いた構成図であり、PM堆積工程の状態を示す図である。
【図1B】本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置の一実施形態を模式的に描いた構成図であり、再生工程の状態を示す図である。
【図2】実施例におけるDPF内部の温度測定位置を示す図であり、外形が円柱状をなすDPFの軸方向に垂直な断面を表し、ガスの出口側の端面から15mmの位置における断面図である。
【図3】実施例の結果を示す図であり、再生工程における、DPFの入口及びDPF内部の、温度の経時変化を表すグラフである。
【図4A】実施例の結果を示す図であり、フィルタの連続再生試験を繰り返し行なったときの、DPF内部の最高温度の変化を表すグラフである。
【図4B】図4Aの一部(実施例1及び比較例1のみ)を取り出して表したグラフである。
【図5】本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置のうちPM発生装置の一実施形態を示す上面図である。
【図6】図5に示される装置の側面図である。
【図7】図5におけるPP断面を示す断面図である。
【図8】図6におけるQQ断面を示す断面図である。
【図9】図5に示される装置の内部を分解して表す斜視図である。
【図10】図8と同じ断面を示す図であり、(燃料及び燃焼用空気の流れを説明するために)筐体部を拡大し軽油噴射手段を簡略化して描いた断面図である。
【図11】本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置を用い本発明に係るフィルタの連続再生試験方法で発生させた(PM含有ガス中の)PMの粒径分布(左側の縦軸)と、実際のエンジン(6.6リッターディーゼルエンジン)から排出された排気ガス中のPMの粒径分布(右側の縦軸)と、を表すグラフである。
【図12】本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置を用い本発明に係るフィルタの連続再生試験方法でPMを発生させたときの、空気過剰率λと(PM含有ガス中のPMの)SOF比率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明に係る要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明に係る実施形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
【0021】
先ず、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置について、説明する。図1A及び図1Bに示されるフィルタ用連続再生試験装置20は、PM発生装置(PM発生ユニット)10と、高熱ガス製造装置(高熱ガス製造ユニット)42と、収納室(収納ユニット)32と、を具備し、メインヘッダ21を介して、PM発生装置10、高熱ガス製造装置42、及び収納室32が、配管で接続されているものである。収納室32におけるDPF(フィルタ)の入口側に、PM発生装置10及び高熱ガス製造装置42が並列に接続されており、PM発生装置10から供給されるPM含有ガスと、高熱ガス製造装置42から供給される再生用高熱ガスは、収納室32に収納されるDPFの入口側に送られる。
【0022】
PM発生装置10の(PM含有ガスの)出口側(図1A及び図1Bにおける右側)には、希釈空気供給管31が接続されており(合流しており)、PM含有ガスが任意の流量になるように、空気で希釈することが可能である。同様に、高熱ガス製造装置42の(再生用高熱ガスの)出口側(図1A及び図1Bにおける右側)には、希釈空気供給管41が接続されており(合流しており)、再生用高熱ガスが任意の流量になるように、空気で希釈することが可能である。
【0023】
PM発生装置10は、軽油用燃焼室1、軽油噴射手段3、及び、(図1A及び図1Bには示さない)軽油用パイロットバーナ、を具備し、軽油混合気の燃焼が不完全であることによってガスの中にPM(粒子状物質)を発生させる装置である。軽油用燃焼室1は、軽油と軽油燃焼用空気との混合を行い、その混合をされた軽油混合気の燃焼を生じる空間を有するものである。軽油噴射手段3は、その軽油用燃焼室1へ軽油を間欠で噴射することが可能なインジェクタである。軽油用パイロットバーナは、燃焼させるために軽油混合気を着火するものである。
【0024】
又、PM発生装置10には、軽油用燃焼室1へ送られる軽油燃焼用空気の流量を制御する調節弁25が備わるとともに、更に、軽油用燃焼室1の温度を測定するための温度測定器23(温度計)が設けられる。温度測定器23は、センサ部分が軽油用燃焼室1の壁内に差し込まれており、軽油用燃焼室1の壁内温度を測定することが可能である。
【0025】
高熱ガス製造装置42は、ガス燃料用燃焼室141、ガス燃料噴射手段143、及び、(図1A及び図1Bには示さない)ガス燃料用パイロットバーナ、を具備し、ガス燃料混合気の燃焼によってフィルタ再生用高熱ガスを製造する装置である。ガス燃料用燃焼室141は、ガス燃料(例えばLPガス)とガス燃料燃焼用空気との混合を行い、その混合をされたガス燃料混合気の燃焼を生じる空間を有するものである。ガス燃料噴射手段143は、そのガス燃料用燃焼室141へガス燃料を噴射することが可能なメインバーナである。ガス燃料用パイロットバーナは、燃焼させるためにガス燃料混合気を着火するものである。又、高熱ガス製造装置42には、ガス燃料用燃焼室141へ送られるガス燃料燃焼用空気の流量を制御する調節弁26が備わっている。
【0026】
収納室32は、DPF(フィルタ)を収納する空間を有するものであり、DPFの入口側(図1A及び図1Bにおける左側)に温度測定制御器33(温度調節計)を備えている。又、DPFの入口と出口の差圧を測定するための差圧計34が設けられている。
【0027】
図5〜図10は、PM発生装置10を、更に詳細に表す図である。特許文献2に開示されたPM発生装置は、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置を構成するPM発生装置として好適な装置であり、このPM発生装置10は、特許文献2に開示されたPM発生装置と同じものである。尚、図1A及び図1Bは模式図であり、PM発生装置10は簡略して描かれている。
【0028】
図5〜図10に示されるPM発生装置10は、軽油131を間欠で噴射する軽油噴射手段3と、燃焼を生じる軽油用燃焼室1と、を具備する装置である。PM発生装置10は、軽油燃焼用空気132を、空気入口113から軽油用燃焼室1へ、連続して供給するとともに、軽油131を、軽油噴射手段3によって、間欠で軽油用燃焼室1へ噴射することにより、軽油の混合気を生成し、この軽油の混合気が、軽油用燃焼室1において、軽油燃焼用空気と接する側(外側)から燃焼するため、軽油燃焼用空気と接しない側(内側)の軽油(気体)が軽油燃焼用空気と遮断され、燃焼の熱によって蒸し焼き状態となり、ガスの中にPMが発生する装置である。即ち、PM発生装置10は、PMを発生させたガス(PM含有ガス133)を製造することが可能な装置である。
【0029】
PM発生装置10の軽油噴射手段3は、自らが噴射する軽油131の噴射方向(図10を参照)が、円筒状の外筒部6の中心軸方向(図9において横方向)に対し概ね直角であり、且つ、外筒部6の中心軸方向に垂直な断面(円形又は円輪形)の接線方向に傾くように、筐体部5に設けられる(図8及び図10を参照)。軽油噴射手段3としては、例えば、筐体部5と外筒部6との間の空間101に、軽油131を間欠で噴射することが可能な電磁式インジェクタが採用される。
【0030】
PM発生装置10の軽油用燃焼室1は、分割面53で2つに分割し内部を開くことが可能な筐体部5と、その筐体部5の円筒状部分5aの中に収められた外筒部6、内筒部7、及び外筒部6を保持するリング4を有する。外筒部6は円筒状を呈し、筐体部5の円筒状部分5aの中に、その筐体部5の円筒状部分5aと同軸になるように組み込まれ、更に、円筒状の内筒部7が、外筒部6の中に、外筒部6と中心軸方向を同じくし且つ偏心して(図7及び図8を参照)、組み込まれている。
【0031】
PM発生装置10の軽油用燃焼室1では、円筒状の外筒部6は、軽油燃焼用空気が供給される空気入口113と連通しており、円筒状の内筒部7は、空気入口113と直接連通しておらず、軽油用パイロットバーナ2に通じる火炎入口51と連通している(図7を参照)。外筒部6、前板部8、及び後板部9の中心軸方向の長さは、筐体部5の円筒状部分5aの内側における中心軸方向の長さD(図7を参照)に対し、98%の大きさである。換言すれば、外筒部6、前板部8、及び後板部9の中心軸方向の長さと、筐体部5の円筒状部分5aの軸方向の長さDと、の比が98:100になっている。
【0032】
筐体部5には、軽油用パイロットバーナ2に通じる火炎入口51及びPMを発生させたガスを送出するガス出口52が形成され、前板部8は、ガス出口52に通じる開口81を備え、筐体部5の円筒状部分5aの中に組み込まれてガス出口52側の端面を構成し、後板部9は、火炎入口51に通じる開口91を備え、筐体部5の円筒状部分5aの中に組み込まれて火炎入口51側の端面を構成する。ガス出口52の径Cは、外筒部6の内径Aに対し、25%の大きさである(図7を参照)。換言すれば、ガス出口52の径Cと、外筒部6の内径Aと、の比C:Aは、25:100になっている。軽油用燃焼室1では、前板部8と外筒部6とは一体化していないが、後板部9と内筒部7とは一体化している。又、リング4と筐体部5の間にはガスケット301が挿入され、後板部9と筐体部5の間には図示しない非膨張セラミックス繊維性マットが挿入されている。
【0033】
軽油用燃焼室1において、外筒部6は、その周面に貫通孔61を備えている。貫通孔61は、円筒状の外筒部6の中心軸方向(図9において横方向)に3つの層を形成するように設けられ、各層毎に、円筒状の外筒部6の中心軸方向に垂直な断面の周上に、均等間隔で(中心角が90°になるように)4つ配設されている。即ち、外筒部6には、合計で(3×4=)12の貫通孔61が備わっている。外筒部6の貫通孔61は、全て、外筒部6の中心軸方向に垂直な断面(円形又は円輪形)の接線方向(外筒部の周面の方向)に傾いて形成されており(図8を参照)、貫通孔61が傾く結果、外筒部6の表面には楕円形の開口が形成される(図9を参照)。貫通孔61の径Bは、外筒部6の内径Aに対して7%の大きさである(図8を参照)。換言すれば、貫通孔61の径Bと、外筒部6の内径Aと、の比B:Aは7:100になっている。尚、貫通孔61の径Bは、図8に示されるように、外筒部6の表面の、楕円形の開口で定められるのではなく、貫通孔61自体の中心軸方向に垂直な断面の直径として求められる。
【0034】
一方、内筒部7は、その周面に貫通孔71を備えている。貫通孔71は、円筒状の内筒部7の中心軸方向(図9において横方向)に2つの層を形成するように設けられ、各層毎に、円筒状の内筒部7の中心軸方向に垂直な断面の周上に、均等間隔で(中心角が90°になるように)4つ配設されている。即ち、内筒部7には、合計で(2×4=)8の貫通孔71が備わっている。内筒部7の貫通孔71は、全て、傾いて形成されておらず、内筒部7の中心軸方向に垂直な断面(円形又は円輪形)の法線方向(周面から中心軸へ向けた方向)に向けて形成され(図8を参照)、その結果、内筒部7の表面には円形の開口が形成される(図9を参照)。
【0035】
PM発生装置10において、外筒部6は、軽油燃焼用空気が供給される空気入口113と連通しており、円筒状の内筒部7は空気入口113とは、直接、連通しておらず、軽油用パイロットバーナ2(に通じる火炎入口51)と連通している(図7を参照)。軽油噴射手段3によって筐体部5と外筒部6との間の空間101に噴射された軽油131は、気化し、外筒部6の貫通孔61を介して外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入され、燃焼する。このとき、軽油噴射手段3は、軽油131の噴射方向が既述の如く傾くように、筐体部5に設けられるから、軽油噴射手段3によって筐体部5と外筒部6との間の空間101へ噴射された燃料は、外筒部6の周面を廻りながら、外筒部6の貫通孔61を介して、外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入される(図10を参照)。
【0036】
空気入口113から筐体部5と外筒部6との間の空間101に連続供給された軽油燃焼用空気132は、外筒部6の周面を廻りながら、外筒部6の貫通孔61を介して、外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入される(図10を参照)。そして、筐体部5と外筒部6との間の空間101に、間欠で噴射された軽油131は、外筒部6の周面を廻りながら、外筒部6の貫通孔61を介して、外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入され、軽油燃焼用空気132と接する側(外側)が燃焼し、接しない側(内側)の燃料(気体)は、空気と遮断され、燃焼の熱によって蒸し焼き状態となり、PMが発生し、PM含有ガス133となって、ガス出口52から、排気ガス浄化装置等へ供給される。PM発生装置10は、外筒部6、内筒部7、前板部8、後板部9は全て、インコネル材料で形成されたものであり、上記PMを発生させる不完全な燃焼は、全てインコネル材料からなる部材で囲われた空間で生じる。空気入口113は、軽油噴射手段3の近傍に設けられており、装置のコンパクト化、メンテナンス性向上の観点から都合がよい構造になっている。
【0037】
PM発生装置10は、外筒部6、内筒部7、前板部8、後板部9を全て、インコネル材料で形成する代わりに、セラミック材料(窒化珪素)で形成されたものとすることも出来る。このようにセラミック材料(窒化珪素)で形成すると、PM発生装置10の耐久性能が向上する。更に、セラミック材料は、金属材料に比べて熱変形が生じ難いため、熱変形に起因するPM発生量の低下を防止することが出来るという利点がある。
【0038】
ここで、図10に示された座標軸を用いて、PM発生装置10における軽油噴射手段3及び貫通孔61の位置、並びに外筒部6の中心軸に対し内筒部7の中心軸がずれる方向について説明する。図10における座標軸は、筐体部5の円筒状部分の中心軸方向に垂直な断面に、その中心軸を通り相互に直角をなすように設定されたX軸及びY軸からなるものである。
【0039】
PM発生装置10では、座標軸上において、筐体部5の円筒状部分の内壁がY=+100に位置するとき、それに対し、軽油噴射手段3は、Y=+60の位置に、且つ、燃料の噴射方向がX軸に平行になるように、筐体部5に設けられている。外筒部6の貫通孔61のうちの1つである貫通孔61aの設けられる位置は、Y=+70の位置である。そして、既述のように外筒部6と内筒部7とは偏心しているが、それは内筒部7の中心軸が外筒部6の中心軸より−Y側にずれることによって実現されている。即ち、座標軸上で、軽油噴射手段3は+Y側に設けられ、それとは反対の−Y側で、外筒部6と内筒部7とが偏心している。又、PM発生装置10では、外筒部6の貫通孔61のうちの1つである貫通孔61aと座標軸の原点Oと軽油噴射手段3とが形成する角度θは、27°になっている。
【0040】
次に、本発明に係るフィルタの連続再生試験方法について、フィルタ用連続再生試験装置20を使用する場合を例にして、説明する。本発明に係るフィルタの連続再生試験方法は、PM堆積工程及び再生工程(別言すればPM除去(燃焼)工程)を繰り返し行なうものである。
【0041】
PM堆積工程は、PM発生装置10を用いて行う。PM堆積工程では、軽油燃焼用空気の中に、軽油(燃料)を、空気過剰率λを特定して、間欠で噴射し、温度測定器23で測定された温度として、好ましくは750℃以上、1050℃以下の温度で燃焼させ、ガスの中に、特定の成分比率からなり、特定の粒径分布からなるパティキュレートマター(PM)を発生させ、そのPMを発生させたPM含有ガスを、収納室32に収納されたDPF(フィルタ)に供給して、DPFにPMを堆積する。このPM堆積工程では、ガスの中にPMを発生させる。換言すれば、PM堆積工程で行なっていることは、PMを発生させたガス(PM含有ガス)を製造し、DPF(フィルタ)に供給することである。
【0042】
温度測定器23で測定される温度(軽油用燃焼室1の壁内温度)が、750℃未満の場合、特に、700℃以下では、PM成分が不安定になり、好ましくない。例えば、PM含有ガスを濾紙にサンプリングすると、濾紙上のPMの色が茶色(SOF分多し)になったり黒く(SOOT分多し)なったりする現象が認められる。又、軽油用燃焼室の壁面温度を1050℃超にすると、軽油用燃焼室1の部材の熱劣化や溶融が生じるおそれが高まり、好ましくない。好ましい軽油用燃焼室1の壁内温度は、概ね850℃である。
【0043】
図11に示されるように、PM堆積工程において発生させたPMの粒径分布(左側の縦軸)と、実際のエンジン(6.6リッターディーゼルエンジン)から排出された排気ガス中のPMの粒径分布(右側の縦軸)と、は概ね同じ粒径分布を表し、且つ、PM堆積工程において発生させたPMの数(量)は、実際のエンジンから排出された排気ガス中のPMの数(量)より、20倍程度、多い。換言すれば、本発明に係るフィルタの連続再生試験方法のPM堆積工程では、実際のエンジンから排出される排気ガス中のPMと略同じ粒径分布を有するPMを、多く発生させることが出来るものである。従って、再生試験を、速く効率よく進めることが出来、所謂加速試験手段として好適である。尚、図11において、SGはSootGenerater(PM発生装置)を意味し、E/GはEngine(実際のエンジン)を意味する。PMは、有機溶媒可溶成分とスート(Soot)とサルフェートの3成分として検出されるものであり、通常、スートが主な成分である。
【0044】
又、図12に示されるように、PM堆積工程において、空気過剰率λを変化させると、ガスの中に発生するパティキュレートマター(PM)の、SOF比率が変化する。空気過剰率λを特定すれば、ガスの中に発生するパティキュレートマター(PM)は特定のSOF比率を形成する。このSOF比率は、PM含有ガスを吸引し、超微量PM分析装置(例えば堀場製作所製の型番MEXA−1370)を用いて、PMの全質量、及びSOFの質量を測定し、計算によりSOF比率を求めることが可能である。
【0045】
ラムダ(λ)は、本明細書において、空気過剰率と表現される。これは、実際の空燃比が理論値から、どれだけ離れているかを示す割合であり、空気過剰率λは、(供給される(燃焼用)空気の量)/(理論的に必要な(燃焼用)空気の量)で求められる。λ<1であれば、(既述のように本明細書において空気過剰率λと呼ぶが、)空気不足であり、濃厚な混合気である。一方、λ>1であれば、空気過剰であり、希薄な混合気である。空気過剰率λは、軽油用燃焼室に供給される燃料の量と軽油燃焼用空気の一定時間(例えば1分間)における流量に基づいて、算出することも出来る。
【0046】
空気過剰率λは、例えば、PM発生装置10に備わる軽油噴射手段3による燃料の噴射圧力、開弁時間(燃料の噴射時間)、開弁周期(燃料の噴射周期)、デューティー比(Duty比)、及び調節弁25による軽油燃焼用空気の流量、を制御することによって、特定し又は変化させることが出来る。デューティー比は、開弁時間と開弁周期との比であり、開弁時間/開弁周期で表される。弁の開くと燃料が噴射され、弁の閉じると燃料の噴射が停止される(噴射されない)。例えば、開弁周期を固定にして、開弁時間を変化させることによって、空気過剰率λを調節することが出来る。但し、開弁時間による空気過剰率λの調節量は小さく、空気過剰率λを特定し又は変化させるに際しては、開弁周期を調整する方が容易である。
【0047】
本発明に係るフィルタの連続再生試験方法のPM堆積工程において、特定される燃料は軽油であるが、噴射を間欠で行うことが出来れば、液体及び気体のうちの何れか又は両方の燃料であっても、本発明と同様の効果を得ることが出来るものと推定される。但し、重油の場合、粘性が大きく噴射し難いので、使用する装置に留意する必要がある。又、燃焼させる温度は、使用する燃料に合わせて調節する必要がある。
【0048】
再生工程は、高熱ガス製造装置42を用いて行う。この再生工程では、ガス燃料燃焼用空気の中に、ガス燃料(例えばLPガス)を噴射し燃焼させ、フィルタ再生用高熱ガスを製造し、そのフィルタ再生用高熱ガスを、温度測定制御器33で測定される温度において、例えば300℃以上となる温度で、収納室32に収納されたDPFに供給し、DPFに堆積したPMを燃焼させ、焼却除去して、DPFを再生する。
【0049】
フィルタ再生用高熱ガスの温度は、高熱ガス製造装置42に備わるガス燃料噴射手段143によるガス燃料の噴射量と、調節弁26によるガス燃料燃焼用空気の流量、を制御することによって、調節することが出来る。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)図1A及び図1Bに示されるフィルタ用連続再生試験装置20を使用し、DPFの連続再生試験を行った。燃料としては、国内市販の軽油(JIS規格2号、硫黄分10ppm以下のもの)を用いた。DPFは、炭化珪素製で、外径がφ5.66インチ、軸方向の長さが6インチのものを使用した。そして、PM発生装置10を用いて以下に示すPM堆積工程を行い、PM発生装置10を停止した後、高熱ガス製造装置42を用いて以下に示す再生工程を行い、これらを200回繰り返した。
【0052】
[PM堆積工程]PM発生装置10に備わる軽油噴射手段3による燃料の噴射圧力を0.24MPa、開弁時間(燃料の噴射時間)を4.9ミリ秒、開弁周期(燃料の噴射周期)を58ミリ秒(デューティー(Duty)比は0.08)とし、軽油用燃焼室1に送られる軽油燃焼用空気の流量を300NL/minとし、空気過剰率λが0.80になるようにして、PM含有ガスを製造し、これを収納室32に収納されたDPF(フィルタ)に、供給して、再生工程時に、DPF内部の最高温度が1000〜1100℃となるように、DPFにPMを堆積させた。
【0053】
尚、再生時のDPFの最高温度は、DPF(フィルタ)にPMを堆積させた重量(PM堆積量)によって変化する。PM堆積工程の開始前と終了後のDPFの重量を計測し、その差をDPFの体積当たりで換算した結果、PM堆積量は、7.7〜10.4g/Lであった。又、その時の圧力損失は10.5〜13.3kPa、堆積時間は50〜60分であった。
【0054】
又、PM含有ガスの製造に際しては、予め、PM発生装置10における軽油用燃焼室1の壁内温度を、プロパンガス燃料と燃焼用空気を用い燃焼させて、一旦、350〜400℃に昇温して、その温度になった軽油用燃焼室1において、上記の軽油を燃焼させ、更に、850℃まで昇温した。
【0055】
[再生工程]ガス燃料としてLPガスを使用し、再生中におけるDPF内部の最高温度が1050℃程度になるように、ディーゼルエンジンでの再生データを模擬し、温度測定制御器33で測定される温度の制御目標値を580℃に設定し、ガス燃料噴射手段143によるLPガスの噴射量と、調節弁25によるガス燃料燃焼用空気の流量と、を制御して、フィルタ再生用高熱ガスを製造し、このフィルタ再生用高熱ガスを、収納室32に収納されたDPFに、600秒間供給して、DPFに堆積したPMを燃焼させ、DPFを再生した。
【0056】
再生中におけるDPF入口及びDPF内部の、温度の推移(経時変化)を、図3に示す。DPF入口の温度は、温度測定制御器33で測定し、DPF内部の温度は、断面における図2に示される位置であって軸方向の、ガスの出口側の端面から15mmの位置において、シースΦ0.5K熱電対にて、測定した。又、200回の再生におけるDPF内部の最高温度の推移(再生毎の変化)を図4A及び図4Bに示す。
【0057】
(実施例2、3)PM堆積量を変更して、DPF内部の最高温度を制御した。それ以外は、PM堆積工程におけるPM発生装置10の条件等を含み、実施例1と同一である。
【0058】
(比較例1)フィルタ用連続再生試験装置20におけるPM発生装置10の代わりに、2.2リットルのディーゼルエンジン(実機)を使用し、DPFの連続再生試験を行った。燃料及びDPFは、実施例1と同じである。PM堆積工程と再生工程の繰り返し回数の目標を50回とした。
【0059】
[PM堆積工程]エンジンの排気管(Closed couple位置)に、DPFを取り付けた後、回転数とトルクを、1500rpm/50N.mとしてエンジンを運転し、水温70℃以上まで暖気を行った。その後、表1に示される7段階の条件で、運転を繰り返し、PMを堆積させた。尚、PM堆積速度は、3.5〜5.5g/hであった。
【0060】
【表1】
【0061】
[再生工程]エンジン排気管からDPFを外し、重量計で測定して、PMを8.8〜9.6g/L堆積させたことを確認した後、エンジンを再始動し、1500rpm/50N.mの条件で暖機運転を行い、暖気後、2000rpm/60N.mとした。この条件で、エンジン筒内に軽油をPost噴射(再生処理)し、90秒後にアイドリング運転に切り替えた。未燃成分である軽油が、DOC(酸化触媒担体)を通過することによって、DPF入口のガス温度は上昇するが、570〜610℃のバラツキを示した。
【0062】
再生中におけるDPF入口及びDPF内部の、温度の推移(経時変化)の代表例を、図3に示す。DPF入口の温度は、実施例1と同様に、温度測定制御器33で測定し、DPF内部の温度は、断面における図2に示される位置であって軸方向の、ガスの出口側端面から15mmの位置において、シースΦ0.5K熱電対にて、測定した。又、50回までの再生におけるDPF内部の最高温度の推移(再生毎の変化)を、図4Aに示す。
【0063】
(考察)図3に示される結果より、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法によれば、ディーゼルエンジン実機で行う場合と同様にして、フィルタへのPMの堆積及びフィルタの再生を繰り返し行い、それらの確認、評価を行うことが可能なことがわかる。即ち、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法は、フィルタの連続再生試験を正確に高い精度で行い得る手段であるといえる。
【0064】
又、図4に示される結果より、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法によれば、効率よく、速く、フィルタへのPMの堆積及びフィルタの再生を繰り返し行い、それらの確認、評価を行うことが可能なことがわかる。即ち、試験に、多大な時間を要さず、又、試験のやり直しを避けることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法は、ディーゼルエンジンの排気系に設置されるDPFの長期信頼性、耐久性の確認、評価を、正確に高い精度で効率よく行うために、好適に利用される。
【符号の説明】
【0066】
1:軽油用燃焼室、2:軽油用パイロットバーナ、3:軽油噴射手段、4:リング、5:筐体部、5a:(筐体部の)円筒状部分、6:外筒部、7:内筒部、8前板部、9:後板部、10:PM発生装置、11:火炎検知器、20:フィルタ用連続再生試験装置、21:メインヘッダ、23:温度測定器、25:調節弁、26:調節弁、31:希釈空気供給管、32:収納室、33:温度測定制御器、34:差圧計、41:希釈空気供給管、42:高熱ガス製造装置、51:火炎入口、52:(PMを発生させた)ガス出口、53:分割面、61,61a:貫通孔、71:貫通孔、81:開口、91:開口、101:空間、102:空間、113:空気入口、131:軽油、132:軽油燃焼用空気、133:PM含有ガス、141:ガス燃料用燃焼室、142:ガス燃料用パイロットバーナ、143:ガス燃料噴射手段、301:ガスケット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質を捕集するフィルタの長期信頼性、耐久性を確認するための連続再生試験装置、及び、それを用いたフィルタの連続再生試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の内燃機関等から排出される排気ガス中の微粒子や有害物質は、人体、環境への影響が大きく、これらの大気への放出を防止する必要性が高まっている。特にディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(パティキュレートマター(PM))や窒素酸化物(NOX)等は影響が甚大であり、それらにかかる規制は世界的に強化されている。
【0003】
このような状況の下、PMを除去するためのフィルタ(ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF))やNOXを窒素と水に還元するため等に有用な触媒を備えた排気ガス浄化装置の研究・開発が進められ、現在では、高性能な浄化装置が市場に提供されるようになっている。
【0004】
ところが、その排気ガス浄化装置を試験し、その性能や耐久性を、正確に高い精度で評価する手段は提案されていない、というのが現状である。又、このような技術に関連する先行文献も多くはない。
【0005】
このような現状を打破すべく、先に、本願出願人は、特許文献1,2にかかる技術を開発し、これを開示している。これらにより、排気ガス浄化装置を評価するために、実際のディーゼルエンジン等から排出される排気ガスを模擬した排気ガスを、安定的に供給することが可能になっている。尚、他の先行技術文献として、特許文献3,4を挙げることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−155712号公報
【特許文献2】特開2007−155708号公報
【特許文献3】特開2005−214742号公報
【特許文献4】特開平8−189339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、例えば、PMの堆積と再生を繰り返すDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)を備えた排気ガス浄化装置における、当該DPFの長期信頼性、耐久性を確認しあるいは評価するに際しては、正確に高い精度で効率よく行うことが求められているところ、上記特許文献3,4に係る技術は、このような要望に応えられているとはいえず、本願出願人の開示した特許文献1,2に係る技術でも十分とはいえない。
【0008】
即ち、DPFの長期信頼性、耐久性を確認しあるいは評価するためには、先ず、実際の排気ガスに含まれるものと同様の性状を有するPM(粒子状物質)を、通常の再生開始状態の量まで、DPF内部に速く堆積させる必要があるが、従来、DPFにPMを堆積するのに、多大な時間を要している。
【0009】
又、通常セラミック構造体で構成されるDPFにおいて、異常燃焼(失火、溶損)を起こさせずに、PMを燃焼させるDPFの再生を、繰り返し行う必要があるが、特に、実際のディーゼルエンジンを用いて連続再生方式で試験を行うと、ECU(エンジンコントロールユニット)で制御を行っても、DPFの入口における温度が変動し、再生時にDPF内部で異常燃焼が生じてしまう場合がある。そうなると、試験は最初からやり直しとなる。このように、DPFを備えた排気ガス浄化装置の長期信頼性、耐久性を確認しあるいは評価することは、容易ではない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、ディーゼルエンジンの排気系に設置されるDPFの再生を模擬し、再生を実機に対し再現性高く行い、DPFの長期信頼性、耐久性の確認、評価を、正確に高い精度で(即ち、試験における長期信頼性、耐久性についての確認ないし評価が、実際のディーゼルエンジンの排気系に設置した場合におけるDPFの長期信頼性、耐久性と、相関性が高くなるように制御する)、効率よく行い得る手段を提供することにある。研究が重ねられた結果、以下に示す手段により、上記課題を解決し得ることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、先ず、本発明によれば、軽油と軽油燃焼用空気との混合を行いその混合をされた軽油混合気の燃焼を生じる軽油用燃焼室、その軽油用燃焼室へ軽油を間欠で噴射することが可能な軽油噴射手段、及び、軽油混合気を着火する軽油用パイロットバーナ、を具備し、軽油混合気の燃焼が不完全であることによってガスの中に粒子状物質を発生させるPM発生装置(PM発生ユニット)と、ガス燃料とガス燃料燃焼用空気との混合を行いその混合をされたガス燃料混合気の燃焼を生じるガス燃料用燃焼室、そのガス燃料用燃焼室へガス燃料を噴射することが可能なガス燃料噴射手段、及び、ガス燃料混合気を着火するガス燃料用パイロットバーナ、を具備し、ガス燃料混合気の燃焼によってフィルタ再生用高熱ガスを製造する高熱ガス製造装置(高熱ガス発生ユニット)と、フィルタを収納するとともに、フィルタの入口側に温度測定制御手段を備える収納室(収納ユニット)と、を有し、収納室におけるフィルタの入口側に、PM発生装置及び高熱ガス製造装置が、並列に接続されているフィルタ用連続再生試験装置が提供される。
【0012】
収納室におけるフィルタの入口側とは、フィルタ用連続再生試験装置を使用する際に、PM(粒子状物質)含有ガス又はフィルタ再生用高熱ガスがフィルタに入る側である。フィルタ再生用高熱ガスにおける高熱とは、フィルタに堆積したPMを燃焼させ、これを除去するに充分な温度を意味し、通常、フィルタの入口側において300℃以上、700℃以下となる温度である。
【0013】
次に、本発明によれば、上記したフィルタ用連続再生試験装置を使用し、PM発生装置において、軽油燃焼用空気の中に、軽油を、空気過剰率λを特定して、間欠で噴射し、燃焼させ、ガスの中に、特定の成分比率からなり、特定の粒径分布からなる粒子状物質を発生させ、その粒子状物質を発生させた粒子状物質含有ガスを、収納室に収納されたフィルタに供給する工程(PM堆積工程という)と、高熱ガス製造装置において、ガス燃料燃焼用空気の中に、ガス燃料を噴射し燃焼させ、フィルタ再生用高熱ガスを製造し、そのフィルタ再生用高熱ガスを、収納室におけるフィルタの入口側において300℃以上、700℃以下となるように温度を制御して、収納室に収納されたフィルタに供給する工程(再生工程という)と、を繰り返し行うフィルタの連続再生試験方法が提供される。再生工程は、いわばPM除去(燃焼)工程である。
【0014】
本発明に係るフィルタの連続再生試験方法において、上記特定の粒径分布は、日本国内の市販軽油の場合は、ピーク値が80μm以上100μm以下である粒径分布であることが好ましい。
【0015】
本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法において、好ましいガス燃料は、LPガス(プロパンを主成分とするガス)又は天然ガス(メタンを主成分とするガス)である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置のPM発生装置は、実記ディーゼルエンジンに比べて、10倍オーダーのPM製造能力を有するものである。本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法によれば、そのPM発生装置を用い、軽油燃焼用空気の中に、軽油を、空気過剰率λを特定して、間欠で噴射し、燃焼させ、ガスの中に、特定の成分比率からなり、特定の粒径分布からなる粒子状物質を発生させ、その粒子状物質を発生させた粒子状物質含有ガスを、収納室に収納されたフィルタに供給するPM堆積工程を行なうので、DPF内部にPMを速く堆積させることが出来、効率よく速く試験を行うことが可能である。実際のディーゼルエンジンを用いてPMを堆積させると、多大な時間を要することになるが、本発明によればこのような問題を回避出来る。
【0017】
本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法によれば、収納室のフィルタの入口側に温度測定制御手段を備えているので、高熱ガス製造装置において、ガス燃料燃焼用空気の中に、ガス燃料を噴射し燃焼させ、フィルタ再生用高熱ガスを製造し、そのフィルタ再生用高熱ガスを、収納室におけるフィルタの入口側において300℃以上、700℃以下となるように温度を制御して、収納室に収納されたフィルタに供給する再生工程を行うに際し、フィルタの再生時温度をタイトに制御することが可能であり、フィルタの入口側における温度が変動し、再生時にDPF内部で異常燃焼が生じる、といった問題は起こり難い。
【0018】
上記のような効果を奏することから、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法は、フィルタへのPMの堆積及びフィルタの再生を、容易に、精度よく、繰り返し、行い、それらの確認、評価を行うに適した手段であるといえる。又、ディーゼルエンジン実機で行う場合と同様にして、フィルタへのPMの堆積及びフィルタの再生を繰り返し行い、それらの確認、評価を行うことが可能な手段である。特に、PMの堆積とDPFの再生(PMの除去)を、数百サイクル連続して繰り返す再生試験を行う場合に、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法は適している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置の一実施形態を模式的に描いた構成図であり、PM堆積工程の状態を示す図である。
【図1B】本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置の一実施形態を模式的に描いた構成図であり、再生工程の状態を示す図である。
【図2】実施例におけるDPF内部の温度測定位置を示す図であり、外形が円柱状をなすDPFの軸方向に垂直な断面を表し、ガスの出口側の端面から15mmの位置における断面図である。
【図3】実施例の結果を示す図であり、再生工程における、DPFの入口及びDPF内部の、温度の経時変化を表すグラフである。
【図4A】実施例の結果を示す図であり、フィルタの連続再生試験を繰り返し行なったときの、DPF内部の最高温度の変化を表すグラフである。
【図4B】図4Aの一部(実施例1及び比較例1のみ)を取り出して表したグラフである。
【図5】本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置のうちPM発生装置の一実施形態を示す上面図である。
【図6】図5に示される装置の側面図である。
【図7】図5におけるPP断面を示す断面図である。
【図8】図6におけるQQ断面を示す断面図である。
【図9】図5に示される装置の内部を分解して表す斜視図である。
【図10】図8と同じ断面を示す図であり、(燃料及び燃焼用空気の流れを説明するために)筐体部を拡大し軽油噴射手段を簡略化して描いた断面図である。
【図11】本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置を用い本発明に係るフィルタの連続再生試験方法で発生させた(PM含有ガス中の)PMの粒径分布(左側の縦軸)と、実際のエンジン(6.6リッターディーゼルエンジン)から排出された排気ガス中のPMの粒径分布(右側の縦軸)と、を表すグラフである。
【図12】本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置を用い本発明に係るフィルタの連続再生試験方法でPMを発生させたときの、空気過剰率λと(PM含有ガス中のPMの)SOF比率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明に係る要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明に係る実施形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
【0021】
先ず、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置について、説明する。図1A及び図1Bに示されるフィルタ用連続再生試験装置20は、PM発生装置(PM発生ユニット)10と、高熱ガス製造装置(高熱ガス製造ユニット)42と、収納室(収納ユニット)32と、を具備し、メインヘッダ21を介して、PM発生装置10、高熱ガス製造装置42、及び収納室32が、配管で接続されているものである。収納室32におけるDPF(フィルタ)の入口側に、PM発生装置10及び高熱ガス製造装置42が並列に接続されており、PM発生装置10から供給されるPM含有ガスと、高熱ガス製造装置42から供給される再生用高熱ガスは、収納室32に収納されるDPFの入口側に送られる。
【0022】
PM発生装置10の(PM含有ガスの)出口側(図1A及び図1Bにおける右側)には、希釈空気供給管31が接続されており(合流しており)、PM含有ガスが任意の流量になるように、空気で希釈することが可能である。同様に、高熱ガス製造装置42の(再生用高熱ガスの)出口側(図1A及び図1Bにおける右側)には、希釈空気供給管41が接続されており(合流しており)、再生用高熱ガスが任意の流量になるように、空気で希釈することが可能である。
【0023】
PM発生装置10は、軽油用燃焼室1、軽油噴射手段3、及び、(図1A及び図1Bには示さない)軽油用パイロットバーナ、を具備し、軽油混合気の燃焼が不完全であることによってガスの中にPM(粒子状物質)を発生させる装置である。軽油用燃焼室1は、軽油と軽油燃焼用空気との混合を行い、その混合をされた軽油混合気の燃焼を生じる空間を有するものである。軽油噴射手段3は、その軽油用燃焼室1へ軽油を間欠で噴射することが可能なインジェクタである。軽油用パイロットバーナは、燃焼させるために軽油混合気を着火するものである。
【0024】
又、PM発生装置10には、軽油用燃焼室1へ送られる軽油燃焼用空気の流量を制御する調節弁25が備わるとともに、更に、軽油用燃焼室1の温度を測定するための温度測定器23(温度計)が設けられる。温度測定器23は、センサ部分が軽油用燃焼室1の壁内に差し込まれており、軽油用燃焼室1の壁内温度を測定することが可能である。
【0025】
高熱ガス製造装置42は、ガス燃料用燃焼室141、ガス燃料噴射手段143、及び、(図1A及び図1Bには示さない)ガス燃料用パイロットバーナ、を具備し、ガス燃料混合気の燃焼によってフィルタ再生用高熱ガスを製造する装置である。ガス燃料用燃焼室141は、ガス燃料(例えばLPガス)とガス燃料燃焼用空気との混合を行い、その混合をされたガス燃料混合気の燃焼を生じる空間を有するものである。ガス燃料噴射手段143は、そのガス燃料用燃焼室141へガス燃料を噴射することが可能なメインバーナである。ガス燃料用パイロットバーナは、燃焼させるためにガス燃料混合気を着火するものである。又、高熱ガス製造装置42には、ガス燃料用燃焼室141へ送られるガス燃料燃焼用空気の流量を制御する調節弁26が備わっている。
【0026】
収納室32は、DPF(フィルタ)を収納する空間を有するものであり、DPFの入口側(図1A及び図1Bにおける左側)に温度測定制御器33(温度調節計)を備えている。又、DPFの入口と出口の差圧を測定するための差圧計34が設けられている。
【0027】
図5〜図10は、PM発生装置10を、更に詳細に表す図である。特許文献2に開示されたPM発生装置は、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置を構成するPM発生装置として好適な装置であり、このPM発生装置10は、特許文献2に開示されたPM発生装置と同じものである。尚、図1A及び図1Bは模式図であり、PM発生装置10は簡略して描かれている。
【0028】
図5〜図10に示されるPM発生装置10は、軽油131を間欠で噴射する軽油噴射手段3と、燃焼を生じる軽油用燃焼室1と、を具備する装置である。PM発生装置10は、軽油燃焼用空気132を、空気入口113から軽油用燃焼室1へ、連続して供給するとともに、軽油131を、軽油噴射手段3によって、間欠で軽油用燃焼室1へ噴射することにより、軽油の混合気を生成し、この軽油の混合気が、軽油用燃焼室1において、軽油燃焼用空気と接する側(外側)から燃焼するため、軽油燃焼用空気と接しない側(内側)の軽油(気体)が軽油燃焼用空気と遮断され、燃焼の熱によって蒸し焼き状態となり、ガスの中にPMが発生する装置である。即ち、PM発生装置10は、PMを発生させたガス(PM含有ガス133)を製造することが可能な装置である。
【0029】
PM発生装置10の軽油噴射手段3は、自らが噴射する軽油131の噴射方向(図10を参照)が、円筒状の外筒部6の中心軸方向(図9において横方向)に対し概ね直角であり、且つ、外筒部6の中心軸方向に垂直な断面(円形又は円輪形)の接線方向に傾くように、筐体部5に設けられる(図8及び図10を参照)。軽油噴射手段3としては、例えば、筐体部5と外筒部6との間の空間101に、軽油131を間欠で噴射することが可能な電磁式インジェクタが採用される。
【0030】
PM発生装置10の軽油用燃焼室1は、分割面53で2つに分割し内部を開くことが可能な筐体部5と、その筐体部5の円筒状部分5aの中に収められた外筒部6、内筒部7、及び外筒部6を保持するリング4を有する。外筒部6は円筒状を呈し、筐体部5の円筒状部分5aの中に、その筐体部5の円筒状部分5aと同軸になるように組み込まれ、更に、円筒状の内筒部7が、外筒部6の中に、外筒部6と中心軸方向を同じくし且つ偏心して(図7及び図8を参照)、組み込まれている。
【0031】
PM発生装置10の軽油用燃焼室1では、円筒状の外筒部6は、軽油燃焼用空気が供給される空気入口113と連通しており、円筒状の内筒部7は、空気入口113と直接連通しておらず、軽油用パイロットバーナ2に通じる火炎入口51と連通している(図7を参照)。外筒部6、前板部8、及び後板部9の中心軸方向の長さは、筐体部5の円筒状部分5aの内側における中心軸方向の長さD(図7を参照)に対し、98%の大きさである。換言すれば、外筒部6、前板部8、及び後板部9の中心軸方向の長さと、筐体部5の円筒状部分5aの軸方向の長さDと、の比が98:100になっている。
【0032】
筐体部5には、軽油用パイロットバーナ2に通じる火炎入口51及びPMを発生させたガスを送出するガス出口52が形成され、前板部8は、ガス出口52に通じる開口81を備え、筐体部5の円筒状部分5aの中に組み込まれてガス出口52側の端面を構成し、後板部9は、火炎入口51に通じる開口91を備え、筐体部5の円筒状部分5aの中に組み込まれて火炎入口51側の端面を構成する。ガス出口52の径Cは、外筒部6の内径Aに対し、25%の大きさである(図7を参照)。換言すれば、ガス出口52の径Cと、外筒部6の内径Aと、の比C:Aは、25:100になっている。軽油用燃焼室1では、前板部8と外筒部6とは一体化していないが、後板部9と内筒部7とは一体化している。又、リング4と筐体部5の間にはガスケット301が挿入され、後板部9と筐体部5の間には図示しない非膨張セラミックス繊維性マットが挿入されている。
【0033】
軽油用燃焼室1において、外筒部6は、その周面に貫通孔61を備えている。貫通孔61は、円筒状の外筒部6の中心軸方向(図9において横方向)に3つの層を形成するように設けられ、各層毎に、円筒状の外筒部6の中心軸方向に垂直な断面の周上に、均等間隔で(中心角が90°になるように)4つ配設されている。即ち、外筒部6には、合計で(3×4=)12の貫通孔61が備わっている。外筒部6の貫通孔61は、全て、外筒部6の中心軸方向に垂直な断面(円形又は円輪形)の接線方向(外筒部の周面の方向)に傾いて形成されており(図8を参照)、貫通孔61が傾く結果、外筒部6の表面には楕円形の開口が形成される(図9を参照)。貫通孔61の径Bは、外筒部6の内径Aに対して7%の大きさである(図8を参照)。換言すれば、貫通孔61の径Bと、外筒部6の内径Aと、の比B:Aは7:100になっている。尚、貫通孔61の径Bは、図8に示されるように、外筒部6の表面の、楕円形の開口で定められるのではなく、貫通孔61自体の中心軸方向に垂直な断面の直径として求められる。
【0034】
一方、内筒部7は、その周面に貫通孔71を備えている。貫通孔71は、円筒状の内筒部7の中心軸方向(図9において横方向)に2つの層を形成するように設けられ、各層毎に、円筒状の内筒部7の中心軸方向に垂直な断面の周上に、均等間隔で(中心角が90°になるように)4つ配設されている。即ち、内筒部7には、合計で(2×4=)8の貫通孔71が備わっている。内筒部7の貫通孔71は、全て、傾いて形成されておらず、内筒部7の中心軸方向に垂直な断面(円形又は円輪形)の法線方向(周面から中心軸へ向けた方向)に向けて形成され(図8を参照)、その結果、内筒部7の表面には円形の開口が形成される(図9を参照)。
【0035】
PM発生装置10において、外筒部6は、軽油燃焼用空気が供給される空気入口113と連通しており、円筒状の内筒部7は空気入口113とは、直接、連通しておらず、軽油用パイロットバーナ2(に通じる火炎入口51)と連通している(図7を参照)。軽油噴射手段3によって筐体部5と外筒部6との間の空間101に噴射された軽油131は、気化し、外筒部6の貫通孔61を介して外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入され、燃焼する。このとき、軽油噴射手段3は、軽油131の噴射方向が既述の如く傾くように、筐体部5に設けられるから、軽油噴射手段3によって筐体部5と外筒部6との間の空間101へ噴射された燃料は、外筒部6の周面を廻りながら、外筒部6の貫通孔61を介して、外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入される(図10を参照)。
【0036】
空気入口113から筐体部5と外筒部6との間の空間101に連続供給された軽油燃焼用空気132は、外筒部6の周面を廻りながら、外筒部6の貫通孔61を介して、外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入される(図10を参照)。そして、筐体部5と外筒部6との間の空間101に、間欠で噴射された軽油131は、外筒部6の周面を廻りながら、外筒部6の貫通孔61を介して、外筒部6と内筒部7との間の空間102へ導入され、軽油燃焼用空気132と接する側(外側)が燃焼し、接しない側(内側)の燃料(気体)は、空気と遮断され、燃焼の熱によって蒸し焼き状態となり、PMが発生し、PM含有ガス133となって、ガス出口52から、排気ガス浄化装置等へ供給される。PM発生装置10は、外筒部6、内筒部7、前板部8、後板部9は全て、インコネル材料で形成されたものであり、上記PMを発生させる不完全な燃焼は、全てインコネル材料からなる部材で囲われた空間で生じる。空気入口113は、軽油噴射手段3の近傍に設けられており、装置のコンパクト化、メンテナンス性向上の観点から都合がよい構造になっている。
【0037】
PM発生装置10は、外筒部6、内筒部7、前板部8、後板部9を全て、インコネル材料で形成する代わりに、セラミック材料(窒化珪素)で形成されたものとすることも出来る。このようにセラミック材料(窒化珪素)で形成すると、PM発生装置10の耐久性能が向上する。更に、セラミック材料は、金属材料に比べて熱変形が生じ難いため、熱変形に起因するPM発生量の低下を防止することが出来るという利点がある。
【0038】
ここで、図10に示された座標軸を用いて、PM発生装置10における軽油噴射手段3及び貫通孔61の位置、並びに外筒部6の中心軸に対し内筒部7の中心軸がずれる方向について説明する。図10における座標軸は、筐体部5の円筒状部分の中心軸方向に垂直な断面に、その中心軸を通り相互に直角をなすように設定されたX軸及びY軸からなるものである。
【0039】
PM発生装置10では、座標軸上において、筐体部5の円筒状部分の内壁がY=+100に位置するとき、それに対し、軽油噴射手段3は、Y=+60の位置に、且つ、燃料の噴射方向がX軸に平行になるように、筐体部5に設けられている。外筒部6の貫通孔61のうちの1つである貫通孔61aの設けられる位置は、Y=+70の位置である。そして、既述のように外筒部6と内筒部7とは偏心しているが、それは内筒部7の中心軸が外筒部6の中心軸より−Y側にずれることによって実現されている。即ち、座標軸上で、軽油噴射手段3は+Y側に設けられ、それとは反対の−Y側で、外筒部6と内筒部7とが偏心している。又、PM発生装置10では、外筒部6の貫通孔61のうちの1つである貫通孔61aと座標軸の原点Oと軽油噴射手段3とが形成する角度θは、27°になっている。
【0040】
次に、本発明に係るフィルタの連続再生試験方法について、フィルタ用連続再生試験装置20を使用する場合を例にして、説明する。本発明に係るフィルタの連続再生試験方法は、PM堆積工程及び再生工程(別言すればPM除去(燃焼)工程)を繰り返し行なうものである。
【0041】
PM堆積工程は、PM発生装置10を用いて行う。PM堆積工程では、軽油燃焼用空気の中に、軽油(燃料)を、空気過剰率λを特定して、間欠で噴射し、温度測定器23で測定された温度として、好ましくは750℃以上、1050℃以下の温度で燃焼させ、ガスの中に、特定の成分比率からなり、特定の粒径分布からなるパティキュレートマター(PM)を発生させ、そのPMを発生させたPM含有ガスを、収納室32に収納されたDPF(フィルタ)に供給して、DPFにPMを堆積する。このPM堆積工程では、ガスの中にPMを発生させる。換言すれば、PM堆積工程で行なっていることは、PMを発生させたガス(PM含有ガス)を製造し、DPF(フィルタ)に供給することである。
【0042】
温度測定器23で測定される温度(軽油用燃焼室1の壁内温度)が、750℃未満の場合、特に、700℃以下では、PM成分が不安定になり、好ましくない。例えば、PM含有ガスを濾紙にサンプリングすると、濾紙上のPMの色が茶色(SOF分多し)になったり黒く(SOOT分多し)なったりする現象が認められる。又、軽油用燃焼室の壁面温度を1050℃超にすると、軽油用燃焼室1の部材の熱劣化や溶融が生じるおそれが高まり、好ましくない。好ましい軽油用燃焼室1の壁内温度は、概ね850℃である。
【0043】
図11に示されるように、PM堆積工程において発生させたPMの粒径分布(左側の縦軸)と、実際のエンジン(6.6リッターディーゼルエンジン)から排出された排気ガス中のPMの粒径分布(右側の縦軸)と、は概ね同じ粒径分布を表し、且つ、PM堆積工程において発生させたPMの数(量)は、実際のエンジンから排出された排気ガス中のPMの数(量)より、20倍程度、多い。換言すれば、本発明に係るフィルタの連続再生試験方法のPM堆積工程では、実際のエンジンから排出される排気ガス中のPMと略同じ粒径分布を有するPMを、多く発生させることが出来るものである。従って、再生試験を、速く効率よく進めることが出来、所謂加速試験手段として好適である。尚、図11において、SGはSootGenerater(PM発生装置)を意味し、E/GはEngine(実際のエンジン)を意味する。PMは、有機溶媒可溶成分とスート(Soot)とサルフェートの3成分として検出されるものであり、通常、スートが主な成分である。
【0044】
又、図12に示されるように、PM堆積工程において、空気過剰率λを変化させると、ガスの中に発生するパティキュレートマター(PM)の、SOF比率が変化する。空気過剰率λを特定すれば、ガスの中に発生するパティキュレートマター(PM)は特定のSOF比率を形成する。このSOF比率は、PM含有ガスを吸引し、超微量PM分析装置(例えば堀場製作所製の型番MEXA−1370)を用いて、PMの全質量、及びSOFの質量を測定し、計算によりSOF比率を求めることが可能である。
【0045】
ラムダ(λ)は、本明細書において、空気過剰率と表現される。これは、実際の空燃比が理論値から、どれだけ離れているかを示す割合であり、空気過剰率λは、(供給される(燃焼用)空気の量)/(理論的に必要な(燃焼用)空気の量)で求められる。λ<1であれば、(既述のように本明細書において空気過剰率λと呼ぶが、)空気不足であり、濃厚な混合気である。一方、λ>1であれば、空気過剰であり、希薄な混合気である。空気過剰率λは、軽油用燃焼室に供給される燃料の量と軽油燃焼用空気の一定時間(例えば1分間)における流量に基づいて、算出することも出来る。
【0046】
空気過剰率λは、例えば、PM発生装置10に備わる軽油噴射手段3による燃料の噴射圧力、開弁時間(燃料の噴射時間)、開弁周期(燃料の噴射周期)、デューティー比(Duty比)、及び調節弁25による軽油燃焼用空気の流量、を制御することによって、特定し又は変化させることが出来る。デューティー比は、開弁時間と開弁周期との比であり、開弁時間/開弁周期で表される。弁の開くと燃料が噴射され、弁の閉じると燃料の噴射が停止される(噴射されない)。例えば、開弁周期を固定にして、開弁時間を変化させることによって、空気過剰率λを調節することが出来る。但し、開弁時間による空気過剰率λの調節量は小さく、空気過剰率λを特定し又は変化させるに際しては、開弁周期を調整する方が容易である。
【0047】
本発明に係るフィルタの連続再生試験方法のPM堆積工程において、特定される燃料は軽油であるが、噴射を間欠で行うことが出来れば、液体及び気体のうちの何れか又は両方の燃料であっても、本発明と同様の効果を得ることが出来るものと推定される。但し、重油の場合、粘性が大きく噴射し難いので、使用する装置に留意する必要がある。又、燃焼させる温度は、使用する燃料に合わせて調節する必要がある。
【0048】
再生工程は、高熱ガス製造装置42を用いて行う。この再生工程では、ガス燃料燃焼用空気の中に、ガス燃料(例えばLPガス)を噴射し燃焼させ、フィルタ再生用高熱ガスを製造し、そのフィルタ再生用高熱ガスを、温度測定制御器33で測定される温度において、例えば300℃以上となる温度で、収納室32に収納されたDPFに供給し、DPFに堆積したPMを燃焼させ、焼却除去して、DPFを再生する。
【0049】
フィルタ再生用高熱ガスの温度は、高熱ガス製造装置42に備わるガス燃料噴射手段143によるガス燃料の噴射量と、調節弁26によるガス燃料燃焼用空気の流量、を制御することによって、調節することが出来る。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)図1A及び図1Bに示されるフィルタ用連続再生試験装置20を使用し、DPFの連続再生試験を行った。燃料としては、国内市販の軽油(JIS規格2号、硫黄分10ppm以下のもの)を用いた。DPFは、炭化珪素製で、外径がφ5.66インチ、軸方向の長さが6インチのものを使用した。そして、PM発生装置10を用いて以下に示すPM堆積工程を行い、PM発生装置10を停止した後、高熱ガス製造装置42を用いて以下に示す再生工程を行い、これらを200回繰り返した。
【0052】
[PM堆積工程]PM発生装置10に備わる軽油噴射手段3による燃料の噴射圧力を0.24MPa、開弁時間(燃料の噴射時間)を4.9ミリ秒、開弁周期(燃料の噴射周期)を58ミリ秒(デューティー(Duty)比は0.08)とし、軽油用燃焼室1に送られる軽油燃焼用空気の流量を300NL/minとし、空気過剰率λが0.80になるようにして、PM含有ガスを製造し、これを収納室32に収納されたDPF(フィルタ)に、供給して、再生工程時に、DPF内部の最高温度が1000〜1100℃となるように、DPFにPMを堆積させた。
【0053】
尚、再生時のDPFの最高温度は、DPF(フィルタ)にPMを堆積させた重量(PM堆積量)によって変化する。PM堆積工程の開始前と終了後のDPFの重量を計測し、その差をDPFの体積当たりで換算した結果、PM堆積量は、7.7〜10.4g/Lであった。又、その時の圧力損失は10.5〜13.3kPa、堆積時間は50〜60分であった。
【0054】
又、PM含有ガスの製造に際しては、予め、PM発生装置10における軽油用燃焼室1の壁内温度を、プロパンガス燃料と燃焼用空気を用い燃焼させて、一旦、350〜400℃に昇温して、その温度になった軽油用燃焼室1において、上記の軽油を燃焼させ、更に、850℃まで昇温した。
【0055】
[再生工程]ガス燃料としてLPガスを使用し、再生中におけるDPF内部の最高温度が1050℃程度になるように、ディーゼルエンジンでの再生データを模擬し、温度測定制御器33で測定される温度の制御目標値を580℃に設定し、ガス燃料噴射手段143によるLPガスの噴射量と、調節弁25によるガス燃料燃焼用空気の流量と、を制御して、フィルタ再生用高熱ガスを製造し、このフィルタ再生用高熱ガスを、収納室32に収納されたDPFに、600秒間供給して、DPFに堆積したPMを燃焼させ、DPFを再生した。
【0056】
再生中におけるDPF入口及びDPF内部の、温度の推移(経時変化)を、図3に示す。DPF入口の温度は、温度測定制御器33で測定し、DPF内部の温度は、断面における図2に示される位置であって軸方向の、ガスの出口側の端面から15mmの位置において、シースΦ0.5K熱電対にて、測定した。又、200回の再生におけるDPF内部の最高温度の推移(再生毎の変化)を図4A及び図4Bに示す。
【0057】
(実施例2、3)PM堆積量を変更して、DPF内部の最高温度を制御した。それ以外は、PM堆積工程におけるPM発生装置10の条件等を含み、実施例1と同一である。
【0058】
(比較例1)フィルタ用連続再生試験装置20におけるPM発生装置10の代わりに、2.2リットルのディーゼルエンジン(実機)を使用し、DPFの連続再生試験を行った。燃料及びDPFは、実施例1と同じである。PM堆積工程と再生工程の繰り返し回数の目標を50回とした。
【0059】
[PM堆積工程]エンジンの排気管(Closed couple位置)に、DPFを取り付けた後、回転数とトルクを、1500rpm/50N.mとしてエンジンを運転し、水温70℃以上まで暖気を行った。その後、表1に示される7段階の条件で、運転を繰り返し、PMを堆積させた。尚、PM堆積速度は、3.5〜5.5g/hであった。
【0060】
【表1】
【0061】
[再生工程]エンジン排気管からDPFを外し、重量計で測定して、PMを8.8〜9.6g/L堆積させたことを確認した後、エンジンを再始動し、1500rpm/50N.mの条件で暖機運転を行い、暖気後、2000rpm/60N.mとした。この条件で、エンジン筒内に軽油をPost噴射(再生処理)し、90秒後にアイドリング運転に切り替えた。未燃成分である軽油が、DOC(酸化触媒担体)を通過することによって、DPF入口のガス温度は上昇するが、570〜610℃のバラツキを示した。
【0062】
再生中におけるDPF入口及びDPF内部の、温度の推移(経時変化)の代表例を、図3に示す。DPF入口の温度は、実施例1と同様に、温度測定制御器33で測定し、DPF内部の温度は、断面における図2に示される位置であって軸方向の、ガスの出口側端面から15mmの位置において、シースΦ0.5K熱電対にて、測定した。又、50回までの再生におけるDPF内部の最高温度の推移(再生毎の変化)を、図4Aに示す。
【0063】
(考察)図3に示される結果より、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法によれば、ディーゼルエンジン実機で行う場合と同様にして、フィルタへのPMの堆積及びフィルタの再生を繰り返し行い、それらの確認、評価を行うことが可能なことがわかる。即ち、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法は、フィルタの連続再生試験を正確に高い精度で行い得る手段であるといえる。
【0064】
又、図4に示される結果より、本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法によれば、効率よく、速く、フィルタへのPMの堆積及びフィルタの再生を繰り返し行い、それらの確認、評価を行うことが可能なことがわかる。即ち、試験に、多大な時間を要さず、又、試験のやり直しを避けることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係るフィルタ用連続再生試験装置及びフィルタの連続再生試験方法は、ディーゼルエンジンの排気系に設置されるDPFの長期信頼性、耐久性の確認、評価を、正確に高い精度で効率よく行うために、好適に利用される。
【符号の説明】
【0066】
1:軽油用燃焼室、2:軽油用パイロットバーナ、3:軽油噴射手段、4:リング、5:筐体部、5a:(筐体部の)円筒状部分、6:外筒部、7:内筒部、8前板部、9:後板部、10:PM発生装置、11:火炎検知器、20:フィルタ用連続再生試験装置、21:メインヘッダ、23:温度測定器、25:調節弁、26:調節弁、31:希釈空気供給管、32:収納室、33:温度測定制御器、34:差圧計、41:希釈空気供給管、42:高熱ガス製造装置、51:火炎入口、52:(PMを発生させた)ガス出口、53:分割面、61,61a:貫通孔、71:貫通孔、81:開口、91:開口、101:空間、102:空間、113:空気入口、131:軽油、132:軽油燃焼用空気、133:PM含有ガス、141:ガス燃料用燃焼室、142:ガス燃料用パイロットバーナ、143:ガス燃料噴射手段、301:ガスケット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽油と軽油燃焼用空気との混合を行いその混合をされた軽油混合気の燃焼を生じる軽油用燃焼室、その軽油用燃焼室へ前記軽油を間欠で噴射することが可能な軽油噴射手段、及び、前記軽油混合気を着火する軽油用パイロットバーナ、を具備し、前記軽油混合気の燃焼が不完全であることによってガスの中に粒子状物質を発生させるPM発生装置と、
ガス燃料とガス燃料燃焼用空気との混合を行いその混合をされたガス燃料混合気の燃焼を生じるガス燃料用燃焼室、そのガス燃料用燃焼室へ前記ガス燃料を噴射することが可能なガス燃料噴射手段、及び、前記ガス燃料混合気を着火するガス燃料用パイロットバーナ、を具備し、前記ガス燃料混合気の燃焼によってフィルタ再生用高熱ガスを製造する高熱ガス製造装置と、
フィルタを収納するとともに、フィルタの入口側に温度測定制御手段を備える収納室と、を有し、
前記収納室におけるフィルタの入口側に、前記PM発生装置及び高熱ガス製造装置が、並列に接続されているフィルタ用連続再生試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ用連続再生試験装置を使用し、
前記PM発生装置において、軽油燃焼用空気の中に、軽油を、空気過剰率λを特定して、間欠で噴射し、燃焼させ、ガスの中に、特定の成分比率からなり、特定の粒径分布からなる粒子状物質を発生させ、その粒子状物質を発生させた粒子状物質含有ガスを、前記収納室に収納されたフィルタに供給する工程と、
前記高熱ガス製造装置において、ガス燃料燃焼用空気の中に、ガス燃料を噴射し燃焼させ、フィルタ再生用高熱ガスを製造し、そのフィルタ再生用高熱ガスを、前記収納室におけるフィルタの入口側において300℃以上、700℃以下となるように温度を制御して、前記収納室に収納されたフィルタに供給する工程と、
を繰り返し行うフィルタの連続再生試験方法。
【請求項1】
軽油と軽油燃焼用空気との混合を行いその混合をされた軽油混合気の燃焼を生じる軽油用燃焼室、その軽油用燃焼室へ前記軽油を間欠で噴射することが可能な軽油噴射手段、及び、前記軽油混合気を着火する軽油用パイロットバーナ、を具備し、前記軽油混合気の燃焼が不完全であることによってガスの中に粒子状物質を発生させるPM発生装置と、
ガス燃料とガス燃料燃焼用空気との混合を行いその混合をされたガス燃料混合気の燃焼を生じるガス燃料用燃焼室、そのガス燃料用燃焼室へ前記ガス燃料を噴射することが可能なガス燃料噴射手段、及び、前記ガス燃料混合気を着火するガス燃料用パイロットバーナ、を具備し、前記ガス燃料混合気の燃焼によってフィルタ再生用高熱ガスを製造する高熱ガス製造装置と、
フィルタを収納するとともに、フィルタの入口側に温度測定制御手段を備える収納室と、を有し、
前記収納室におけるフィルタの入口側に、前記PM発生装置及び高熱ガス製造装置が、並列に接続されているフィルタ用連続再生試験装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ用連続再生試験装置を使用し、
前記PM発生装置において、軽油燃焼用空気の中に、軽油を、空気過剰率λを特定して、間欠で噴射し、燃焼させ、ガスの中に、特定の成分比率からなり、特定の粒径分布からなる粒子状物質を発生させ、その粒子状物質を発生させた粒子状物質含有ガスを、前記収納室に収納されたフィルタに供給する工程と、
前記高熱ガス製造装置において、ガス燃料燃焼用空気の中に、ガス燃料を噴射し燃焼させ、フィルタ再生用高熱ガスを製造し、そのフィルタ再生用高熱ガスを、前記収納室におけるフィルタの入口側において300℃以上、700℃以下となるように温度を制御して、前記収納室に収納されたフィルタに供給する工程と、
を繰り返し行うフィルタの連続再生試験方法。
【図1A】
【図1B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図1B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【公開番号】特開2010−223882(P2010−223882A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73948(P2009−73948)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
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