説明

フィルム処理装置及びプリント処理システム

【課題】その課題は、コマ位置誤認識に基づくプリント処理を改善することが可能なフィルム処理装置及びそれを具備するプリント処理システムを提供することである。
【解決手段】フィルムプロセッサFPと、フィルムスキャナーFSと、搬送ユニットFCとを備えたフィルム処理装置FAと、写真プリントを作成するプリント作成装置PAとを具備するプリント処理システム1であって、プレスキャン実行手段25aと、コマ位置を解析するコマ位置解析手段25bと、コマ位置解析手段の解析結果に基づいて、本スキャンを実行する本スキャン実行手段25cとを備え、写真フィルム先端からの所定の長さのデータを格納する格納部300を備える。コマ位置解析手段25bは、当該所定の長さ分について除外してコマ位置を解析することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備えたフィルム処理装置、及びそのフィルム処理装置を具備するプリント処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーとを結合して一体化したシステムとしては、下記特許文献1に開示される写真感光材料処理装置が公知である。フィルムプロセッサにおいて写真フィルムの現像処理を行う場合には、写真フィルムの先端にフィルムリーダと呼ばれる案内部材を取り付け、写真フィルムはこのフィルムリーダによりフィルムプロセッサ内の各部を移動する。写真フィルムの現像処理及び乾燥処理が終了すると、写真フィルムはフィルムプロセッサから排出されて搬送ユニットへ送り込まれ、まず写真フィルムとフィルムリーダを分離するために写真フィルムの先端部をカットする。フィルムリーダは所定の場所に回収され、現像済み写真フィルムはフィルムスキャナーに引き続き搬送されて、各コマ画像のスキャニングが行われる。
【0003】
上記のフィルムスキャナーでの各コマ画像のスキャンニングは、2度行われる。すなわち、1度目のスキャンニングは、各コマ画像を含むフィルム全体の画像を低解像度で読み取ることであり、通常、プレスキャンと称される。このプレスキャンでコマ画像数が演算される。次いで、2度目のスキャンニングは、プレスキャン画像から切り出された各コマ画像が高解像度で読み取られ、通常、本スキャンニングと称される。
【0004】
上記装置とこれに接続されるプリント作成装置からなるシステムにおいて、未現像写真フィルムの現像処理からプリント作成までを自動で処理することが可能である。すなわち、上記装置で現像処理、スキャン処理を連続して行い、スキャン処理で読み取られた画像データをプリント作成装置に送信する。プリント作成装置では、オペレータによる個々のコマ画像ごとの画像判定処理(赤め補正、ガンマ補正処理、プリントサイズ設定、プリント枚数等の設定)を省いて、予め設定された画像処理のみを実行して印画紙に露光して写真プリントを作成する。これにより、フィルム挿入から写真プリントまでを連続して自動で処理することができる。この処理方法を自動同時プリントと称する。
【0005】
この自動同時プリントにおいて、オペレータは、フィルムをフィルムプロセッサにセットする前に、フィルムと写真プリントを照合するための識別ラベルをフィルムに貼り付ける必要がある。この識別ラベルによりフィルムと写真プリントの照合が簡単に行える。
【0006】
さらに、上記の装置において、フィルムプロセッサにカートリッジに巻き取ったままのフィルムをそのままセットできないため、予め、カートリッジから所定長さ分のフィルムを引き出し、リーダと呼ばれる先頭ガイド部材(フィルムと同等以上の材質であり、フィルムプロセッサ内での現像処理工程を安定して行わせるために必要なものである)をフィルム先端部分に貼り付ける必要がある。かかるリーダの貼り付け作業は、所定の貼り付け器具(通常、スプライス台と称される)を用いて行われる。この貼り付け作業において、上記したようにフィルム先端から所定の長さ分が引き出されるので、その部分は感光されてしまう。なお、識別ラベルは、この所定の長さ部分に貼り付けられる。
【0007】
【特許文献1】特開平11−234476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
プレスキャン処理において、各コマ画像が画像検出(コマ位置の検出)されるが、上記の識別ラベル、この識別ラベルの周辺に生じる感光部分、又は、上記リーダ貼り付け作業で生じた感光部分をコマ画像であると過って認識することがある。
【0009】
かかる場合に、スキャナーがこれを異常な画像であると判定した場合には、プリント作成装置の操作画面にて、オペレータがフィルム停止位置の確認を行う必要がある。このフィルム停止位置確認を行わない限り、このフィルムの本スキャンが実行されず、よって、それ以降のフィルムのプリント処理が開始されない。このため、自動処理が中断され、作業効率が低下するので改善が望まれていた。
【0010】
一方、スキャナーがこれを正常な画像であると判定した場合には、オペレータによる画像判定(個々のコマ画像に対する画像判定)が行われないために、本来であればプリントされない不要な感光部分がプリントされてしまうという問題があり改善が望まれていた。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、コマ位置誤認識に基づくプリント処理を改善することが可能なフィルム処理装置及びプリント処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本発明に係るプリント処理システムは、
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備えたフィルム処理装置と、
前記取得された画像データに基づいて写真プリントを作成するプリント作成装置とを具備するプリント処理システムであって、
前記写真フィルムのプレスキャンを実行するプレスキャン実行手段と、
前記プレスキャン実行により、コマ位置を解析するコマ位置解析手段と、
前記コマ位置解析手段の解析結果に基づいて、本スキャンを実行する本スキャン実行手段と
前記写真フィルム先端からの所定の長さのデータを格納する格納部と
を備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成の作用効果を以下にしめす。すなわち、フィルム処理装置は、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備える。ここで、フィルムプロセッサから排出される現像済み写真フィルムは、通常、所定の間隔で排出される。「所定の間隔」は、例えば、現像処理される写真フィルムのインターバル時間である。このインターバル時間は、現像処理とスキャン処理が自動的に行われるように、例えば、フィルム長さ、スキャン解像度、スキャン処理時間、フィルム搬送時間等に基づいて算出される。
【0014】
そして、フィルムスキャナーで読み取られた画像データは、プリント作成装置に送信され、かかる画像データに基づいて写真プリントが作成される。
【0015】
プリント作成装置では、通常、個々のコマ画像について画像判定(画像補正の判断等、プリント枚数、プリントサイズの設定等)を行うが、自動同時プリントにおいては、個々のコマ画像についての画像判定が行われず、フィルム処理装置から受信した画像データに予め設定された補正処理を施した後に露光処理・現像処理が行われ写真プリントが作成される。格納部には、予め、写真フィルム先端からの所定の長さのデータが格納されている。この「所定の長さ」のデータは、オペレータが入力手段を用いて適宜設定変更できるように構成されていることが好ましい。
【0016】
この「所定の長さ」は、以下のように設定される。搬送用リーダをフィルム先端に貼り付ける作業で、スプライス台(貼り付け器具)を用いるため、カートリッジから引きだされるフィルム長さが定まり、この引き出された長さに基づいて設定できる。
【0017】
プレスキャン実行手段は、写真フィルムのプレスキャンを実行する。そして、コマ位置解析手段は、プレスキャン実行により取得された画像データに基づいて、コマ位置を解析する。コマ位置解析手段は、格納部に格納されている写真フィルム先端からの所定の長さのデータを取得し、この所定の長さに基づいて、コマ位置を解析することができる。コマ位置が決定されると、本スキャン実行手段は、このコマ位置に基づいて、本スキャンを実行する。
【0018】
本発明において、コマ位置解析手段は、写真フィルム先端からの所定の長さのデータを取得し、当該所定の長さ分について除外してコマ位置を解析することが好ましい。この構成によればコマ位置の解析の場合に、写真フィルム先端からの所定の長さ分については、解析を除外することができる。
【0019】
したがって、フィルム先端部分の識別ラベルや感光部分等をコマ画像と誤認識する頻度を大幅に低下でき、オペレータによるフィルム停止位置確認要求、そのための確認処理を行うことが無くなり、作業効率が向上する。また、フィルム先端から所定長さの感光部分がコマ画像として認識されて、写真プリント作成されることも少なくなり、ロスプリントが減少するものとなる。
【0020】
また、他の本発明において、コマ位置解析手段は、プレスキャンで得られた画像データの全てについて解析を行い、その後、写真フィルム先端からの所定の長さ分についての解析結果で得られたコマ位置については、コマ位置でないと判断するように構成してもよい。
【0021】
また、本発明において、プレスキャン実行手段が、写真フィルム先端から所定の長さ分を除いてプレスキャンを実行することが好ましい実施形態である。この構成によれば、プレスキャン処理において、写真フィルム先端から所定の長さ分を除いてプレスキャン処理するので、コマ画像解析手段が、コマ位置の解析の場合に、写真フィルム先端からの所定の長さ分について解析を除外する必要がなく、プレスキャンで得られた画像データの全てについて解析を行えばよい。
【0022】
また、本発明において、所定の長さのデータは、フィルムスキャナーの格納部に予め格納されていることは好ましい。フィルム先端からの感光部分が予め定まっているような場合に好適である。
【0023】
また、他の本発明のフィルム処理装置は、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備えたフィルム処理装置であって、
前記フィルムスキャナーは、
前記写真フィルムのプレスキャンを実行するプレスキャン実行手段と、
前記プレスキャン実行により、コマ位置を解析するコマ位置解析手段と、
前記コマ位置解析手段の解析結果に基づいて、本スキャンを実行する本スキャン実行手段と
を備え、
前記コマ位置解析手段は、
前記写真フィルム先端からの所定の長さ分について除外してコマ位置を解析することを特徴とする。
【0024】
かかる構成の作用効果は、上記で説明した内容と同様であるので説明は省略する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係るフィルム処理装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、フィルムプロセッサFPとフィルムスキャナーFSで構成されるフィルム処理装置FAと、プリント作成装置PAを有するプリント処理システム1全体の外観構成を示す図である。なお、プリント処理システム1は、その他の装置(例えば、注文者用受付端末、記録媒体への書き込み・読み取り装置、インターネット受け付け可能なPC端末等)を有するものであってもよい。
【0026】
<システムの全体構成>
図1において、フィルム処理装置FAは、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサFPと、このフィルムプロセッサFPにより現像処理された現像済み写真フィルムのコマ画像を光電変換によりデジタルの画像データとして取得するためのフィルムスキャナーFSとを上下位置に配置する。そして、フィルム処理装置FAは、フィルムプロセッサFPの排出部から排出された現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーFSの供給部へ搬送するための搬送ユニットFCを備えている。
【0027】
このフィルム処理装置FAは、通信回線を介してプリント作成装置PAに接続される。プリント作成装置PAは、通信機能、オーダー管理・制御機能、画像処理機能、プリント作成機能を有し、コンピュータ、ディスプレイ等の表示手段、キーボード、マウス等のインターフェースとを備えている。この構成によりフィルム処理装置FAで取得した画像データは、通信回線を介してプリント作成装置PAに伝送され、このプリント作成装置PAにより印画紙等のプリント媒体に画像がプリントされる。オーダー管理・制御は、画像データをオーダー単位で管理し、プリント作成の順序を設定できるように構成される。
【0028】
なお、プリント作成装置PAは銀塩式の印画紙を使用するものに限定されず、インクジェット型、昇華型のプリント作成装置を用いてもよい。
【0029】
本発明において、フィルムプロセッサFPにより現像処理される前の写真フィルム(コマ画像が潜像状態のもの)を特に未現像写真フィルムと称し、フィルムプロセッサFPにより現像処理された後の写真フィルム(コマ画像が顕在化したもの)を特に現像済み写真フィルムと称することがある。
【0030】
<フィルムプロセッサ>
フィルムプロセッサFPは、図1、2に示すように、プロセッサ本体の前部にフィルム挿入部11を配置し、プロセッサ本体内部に現像処理部12、乾燥処理部13とを備え、プロセッサ本体の後部に排出部14を配置し、フィルム挿入部11から排出部14にわたって搬送機構15を形成している。プロセッサ本体の前部位置には各種情報を表示する液晶ディスプレイ16aと複数の操作ボタン16bを有したコントロールパネル16を備え、プロセッサ本体内部にフィルムプロセッサFP全体の制御を実現する制御ユニット17を備える。プロセッサ本体の上面には、排出部14から送りだされる現像済写真フィルムを受け止めるフィルムストッカー18が形成されている。
【0031】
フィルム挿入部11には、開閉自在な蓋体11aを備え、フィルムカートリッジCa(もしくはパトローネ)に収容されたロール状の未現像写真フィルムをセットし、搬送機構15に受け渡す作動系(フィルム駆動機構11e)と、写真フィルムの後端を切断する切断ユニット11bを備える。
【0032】
また、写真フィルムの長さの情報を得るために、搬送機構15によって搬送される写真フィルムの先端及び後端の通過を検出するローディングセンサー11c(フィルム位置検出センサーに相当)を備える。ローディングセンサー11cは、例えば、一対の光学式センサ(受光式、投光式)、反射型センサ、レーザセンサー、その他の近接センサ、イメージセンサー等で構成できるが、一対の光学式センサー(受光式、投光式)が好ましい。このローディングセンサー11cは、フィルム先端位置(もしくはフィルムリーダの先端位置)とフィルム後端位置を検出することができる。これら検出された先端位置と後端位置情報に基づいて、写真フィルムの長さ情報を演算することができる。
【0033】
APSフィルムの現像処理の場合、カートリッジCaから引き出した写真フィルムの先端にフィルムリーダLを取り付け、蓋体11aを開放して、このフィルムリーダLが先行するようにフィルム挿入部11にカートリッジCaをセットする。写真フィルムFとフィルムリーダLとを接続した状態を図3に示す。フィルムリーダLは、樹脂製のフィルムと同程度の柔軟性を持つシート状部材であり、写真フィルムFよりも大きな幅寸法を有する。フィルムリーダLには、多数のパーフォレーションLaが形成されており、このパーフォレーションLaと噛み合うスプロケットにより、写真フィルムFはフィルムプロセッサFP内を搬送される。かかるパーフォレーションLaを設けることで、フィルムプロセッサFP内をすべりが生じることなく確実に写真フィルムを案内することができる。
【0034】
パーフォレーションLaは、好ましくは、図示のようにフィルムリーダLの幅方向の片側端部(図3(b)参照)に形成されるが、両側端部に形成されていてもよい。写真フィルムFとフィルムリーダLとの連結は、図3(a)に示すように、フィルムリーダLに形成された係合突起を写真フィルムFに形成された孔に挿入することで連結してもよいし、図3(b)に示すように、粘着テープTにより写真フィルムFの先端部とフィルムリーダLとを連結してもよい。使用されるフィルムリーダLの形状・大きさは予め決まっている。また、フィルムリーダLと写真フィルムFの連結は治具を用いて行なうため、フィルムリーダLに対する写真フィルムFの連結位置(貼り付け位置)も予め決まっている。
【0035】
フィルムリーダL付きの写真フィルムFをセットして、蓋体11aを閉じた後、コントロールパネル16の所定の操作ボタン16bを操作することで制御ユニット17の制御によってフィルム搬送(ローディング)が開始され、現像処理部12での現像処理と、乾燥処理部13での乾燥処理の後に排出部14からフィルムリーダLを先頭にして写真フィルムが排出される。この場合、カートリッジ検出手段11dがカートリッジCaを検出して、次いで、蓋体11aを閉じると、ローディングが開始され、写真フィルムFが搬送開始される。
【0036】
制御ユニット17は、ローディングを開始するようにフィルムプロセッサFPの各要素を制御する。フィルム駆動機構11eが、フィルムリーダL及び写真フィルムFを圧着ローラで狭持しながら現像処理部12まで搬送し、ローディングセンサー11cが搬送されてきたフィルムリーダL及び写真フィルムの先端を検出すると、現像処理部12及び乾燥処理部13の搬送機構部15が駆動され、フィルムリーダL及び写真フィルムを圧着ローラで挟持して、現像処理部側に搬送する。ここで、フィルム駆動機構11eと搬送機構15は、別駆動で動作する。なお、フィルムプロセッサFPでの「ローディング」とは、フィルムカートリッジCaから写真フィルムがフィルム駆動機構11eによって引き出され、現像処理部12に搬送される動作を意味する。
【0037】
現像処理部12は、発色現像槽、漂白槽、定着槽、安定槽を有し、現像処理部12内部において搬送機構15は、フィルムリーダL及び写真フィルムを搬送するためフィルムリーダLのスプロケットLaと係合する複数のスプロケット機構と圧着ローラ機構15aを備えている。また、乾燥処理部13は、現像処理部12から搬送されてきた写真フィルムを乾燥するブロワ13aを備える。同様に、乾燥処理部13にも上記スプロケット機構と圧着ローラ機構が備えられている。搬送機構15は、スプロケット機構と圧着ローラ機構15aと、これらを電動モータ(不図示)で同期駆動する駆動系を備えている。
【0038】
排出部14には、現像済み写真フィルムをフィルムプロセッサFPから排出するための排出ローラ15bが設けられている。排出ローラ15bにより排出された写真フィルムは、搬送ユニットFCに受け渡されフィルムスキャナーFSへと搬送されることになる。
【0039】
フィルムスキャナーFSは、図1,2に示すように、スキャナー本体の下部にフィルムキャリア21を配置し、このフィルムキャリア21の下側に光源ユニット22を、フィルムキャリア21の上側にズームレンズ23と光電変換ユニット24とを配置している。スキャナー本体の内部にスキャナー制御部25(制御ユニット)を配置している。フィルムスキャナーFSは、フィルムプロセッサFPに固定されており、排出部14の排出ブロック上部位置に配置されている。
【0040】
プレスキャン実行手段25a、コマ位置解析手段25b、本スキャン実行手段25cは、スキャナー制御部25の有する機能である。
【0041】
プレスキャン実行手段25aは、写真フィルムのプレスキャンを実行する。また、プレスキャン実行手段25aは、写真フィルム先端から所定の長さ分を除いてプレスキャンを実行することができる。
【0042】
コマ位置解析手段25bは、プレスキャン実行により得られた画像データに基づいて、コマ位置を解析する。コマ位置解析手段25bは、写真フィルム先端からの所定の長さのデータを格納部300から取得し、当該所定の長さ分について除外してコマ位置を解析することができる。また、コマ位置解析手段25bは、プレスキャンで得られた画像データの全てについて解析を行い、その後、写真フィルム先端からの所定の長さ分についての解析結果で得られたコマ位置については、コマ位置でないと判断することができる。コマ位置解析手段25bは、スキャナー制御部25の機能として説明したが、これに限定されず、プリント作成装置PAにこの機能をもたせてもよい。すなわち、プレスキャン実行手段25aで得られたプレスキャン画像データがプリント作成装置PAに送信され、プリント作成装置PAのコマ位置解析手段がコマ位置を解析し、この解析結果でコマ位置が決定されたら、本スキャン実行手段25cに本スキャン実行指令を行うように構成してもよい。
【0043】
本スキャン実行手段25cは、コマ位置解析手段25bの解析結果に基づいて、本スキャンを実行する。
【0044】
データ格納部25dは、プリント作成装置PAの格納部300に格納されている所定の長さのデータを受信し格納する。また、データ格納部25dは、予め、フィルム先端からの所定の長さを格納することができる。
【0045】
フィルムキャリア21は、フィルムプロセッサFPの前部と同じ方向に現像済写真フィルムの供給部21aを形成し、この供給部21aからフィルムを後部側に搬送しながらスキャニングを行えるように構成される。なお、フィルムキャリア21に写真フィルムを送り出す前に、搬送ユニットFCにおいて写真フィルムからフィルムリーダLを切り離す処理がなされる。また、フィルムキャリア21は、搬送ローラ21bを駆動する搬送モータ(不図示)を備える。
【0046】
光源ユニット22は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の発光ダイオード(不図示)を有し、ズームレンズ23は、焦点距離の調節によって、写真フィルムのコマの情報を設定された拡大率で光電変換ユニット24の光電変換面に結像させる。この光電変換ユニット24は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に対応してCCD等の光電変換素子でなる3つのラインセンサ(不図示)を備える。
【0047】
<搬送ユニットの構成>
次に、フィルムプロセッサFPから排出された現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーFSへ搬送するための搬送ユニットFCの構成を図4により説明する。図4に示すように、フィルムプロセッサFPの排出部14には、排出ローラ15bが設けられている。
【0048】
搬送ユニットFCは、フレームに固定された搬送ブロックBと、所定の軸芯周りに回転可能に取り付けられたチャッカーCとを備えている。搬送ブロックBの下側のブロック部の上流側端部には、フィルムガイド30が設けられており、軸芯30a周りに回転可能に軸支されている。フィルムガイド30は、搬送すべき写真フィルムの幅寸法に対応したガイド部を備えており、図4に示す第1位置と想像線で示す第2位置との間をガイド切替ソレノイド31によりいずれかの位置に切り替えられる。第1位置にセットされているときは、写真フィルムをフィルムスキャナーFSの方向に導くことができる。第2位置にセットしているときは、写真フィルムはフィルムストッカー18に排出される。
【0049】
搬送経路に沿って、上流側の搬送ローラ対32aと下流側の搬送ローラ対32bとからなるローラ搬送機構32が設けられている。各搬送ローラ対32a,32bは、駆動ローラと圧着ローラにより構成され、第1駆動モータM1により同期駆動される。下流側の搬送ローラ対32bの上流側近傍に第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34が設けられている。これらのセンサは、発光素子と受光素子からなる光センサであり、写真フィルムやフィルムリーダがセンサ位置を通過すると、透光状態から遮光状態に切り換わることで検出を行なう。第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34は、図4の紙面に直交する方向から見ると同じ位置に配置されているが、幅方向において異なる位置に配置されており、写真フィルムとフィルムリーダを別々に検出することができる。
【0050】
下流側搬送ローラ対32bの更に下流側には、写真フィルムとフィルムリーダを切り離すためのカッター35が設けられており、カットモータ36により駆動される。カットされたフィルムリーダはリーダーストッカー19に回収される。カッター35のすぐ下流側には、第2フィルムセンサー37が設けられており、フィルムリーダの先端や写真フィルムの先端を検出する。第2フィルムセンサー37も第1フィルムセンサー33と同様の光センサで構成することができる。
【0051】
チャッカーCはフィルムリーダが切り離された写真フィルムの先端部を挟持ローラ対40により挟持し、フィルムスキャナーFSの供給部21aへと搬送する。チャッカーCは、チャッカー駆動モータにより軸芯41回りに回転可能に設けられている。チャッカーCは、図4に示すような写真フィルムを受け取る受け取り位置と、写真フィルムをフィルムスキャナーFSに受け渡し可能な受け渡し位置の間を回転可能であり、更に、ループボックス50内にループを形成するためにループ形成位置において中間停止することができる。
【0052】
搬送ユニットFCの右側の空間はループボックス50であり、写真フィルムがループを形成するための空間部が形成されている。搬送ユニットFCの上部には、第1ガイド部60と第2ガイド部61が設けられており、夫々写真フィルムを搬送するための搬送経路60a,61aが形成されている。チャッカーCが受け渡し位置に回転してきたときは、第2ガイド部61は経路外に退避するように移動し、第1ガイド部60の搬送経路60aに写真フィルムが受け渡される。
【0053】
ループボックス50の上方には第1排出経路51と第2排出経路52が設けられている。フィルムスキャナーFSによるコマ画像の読み取りが終了した写真フィルムは、第1ガイド部60と第2ガイド部61を逆方向に搬送され、第1排出経路51へと導かれる。第1排出経路51の終端はフィルムストッカー18へと連結されており、スキャニングを終了した写真フィルムはフィルムストッカー18に回収される。
【0054】
フィルムプロセッサFPにより現像処理された写真フィルムは、搬送ユニットFCを介して自動的にフィルムスキャナーFSに送り込まれるが、手動でフィルムスキャナーFSに写真フィルムを供給することもできる。この場合は、第1ガイド部60と第2ガイド部61を開いて、手動で写真フィルムを供給部21aから供給する。例えば、焼き増しプリントの依頼で写真フィルムの現像処理を行わない場合は、手動で写真フィルムをフィルムスキャナーFSに供給する。手動で挿入された写真フィルムは、第2排出経路52から排出されるように構成されている。
【0055】
フィルムスキャナーFSには、搬送経路に沿って搬送ローラ21bが配置されており、その途中に読み取り用の開口部21cが設けられる。この開口部21cの位置に読み取り光軸SLが設定される。供給部21aには、ローディングセンサー26が設けられており、写真フィルムの先端が搬送されてきたことを検出する。この検出に基づいて、各搬送ローラ21bを回転させるための駆動モータを駆動する。また、ローディングセンサー26とは別にレディセンサー27が設けられており、このレディセンサー27による検出タイミングを基準として、写真フィルムの画像スキャニング開始が制御される。
【0056】
<フィルム処理装置の制御ブロック構成>
次に、図5の制御ブロック図によりフィルム処理装置FAの制御機能について説明する。まず、フィルムプロセッサFPの制御ユニット17の主要な機能を説明する。フィルム端部検出部17aは、ローディングセンサー11cによる検出信号に基づいて、写真フィルム(フィルムリーダ)の先端位置及び後端位置を検出する。フィルム長さ演算部17bは、フィルム端部検出部17aにより検出された先端位置と後端位置の情報に基づいて、写真フィルムの長さを演算する。実際にローディングセンサー11cにより検出されるのはフィルムリーダの先端であるが、フィルムリーダの大きさは予め分かっているため、その分を差し引くことで写真フィルムの長さを演算することができる。通信制御部17cは、搬送ユニットFCやフィルムスキャナーFSとの通信を行う機能を有する。
【0057】
フィルム位置演算部17dは、写真フィルムの先端位置情報に基づいて、現像済み写真フィルムが搬送ユニットFC内に送り込まれてくるタイミングを演算する。具体的には、排出ローラ15bから所定距離の位置に写真フィルム先端が到達したことを検出する。カウント部17eは、ローディングセンサー11cにより先端が検出された時点から予め設定された所定時間をカウントする。所定時間をカウント終了した時点で、写真フィルムの先端が排出ローラ15bから所定距離の位置に到達していることになる。なお、時間をカウントするのではなく、搬送機構15による搬送量をカウントするように構成してもよい。
【0058】
搬送制御部70は、搬送ユニットFC内を搬送される写真フィルムの搬送・停止を含む駆動制御を統括的に行なう。また、フィルムプロセッサFPの制御ユニット17及びフィルムスキャナーFSのスキャナー制御部25との通信を行なう。写真フィルムの位置情報や長さ情報は、制御ユニット17からの通信によりデータを受信することができる。
【0059】
搬送量演算部71は、写真フィルムの搬送量を演算する。搬送ユニットFCにおいて写真フィルムの搬送・停止の制御を行うためには、写真フィルムの搬送量を監視することが必要である。搬送量の演算は、各モータ(パルスモータ)を駆動するために供給される駆動パルスの数や、搬送ローラに連動して回転するエンコーダからの信号に基づいて、搬送量を演算することができる。あるいはタイマーによる時間カウントを行なって搬送量を演算してもよい。また、搬送量演算部71は第1フィルム長さカウント部71aと第2フィルム長さカウント部71bの機能を備えており、搬送される写真フィルムの長さをカウントする機能を有する。
【0060】
搬送制御部70は、ガイド切替ソレノイド31、第1駆動モータM1、第2駆動モータM2、第3駆動モータM3、チャッカーモータCM、カットモータ36に対する駆動制御を行なう。第1駆動モータM1は、ローラ搬送機構32を駆動し、第2駆動モータM2と第3駆動モータM3はチャッカーCの挟持ローラ対40を駆動する。チャッカーC自身には駆動源は搭載されておらず、チャッカーCが受け取り位置にあるときは、第2駆動モータM2と挟持ローラ対40とが機械的に連結し、チャッカーCが受け渡し位置にあるときは、第3駆動モータM3と挟持ローラ対40とが機械的に連結可能に構成されている。第2駆動モータM2と第3駆動モータM3は、搬送ユニットFCのフレームに対して固定されている。
【0061】
第1・第2フィルムセンサー33,37については既に説明した通り、写真フィルム(フィルムリーダ)の先端・後端の検出を行なう。ホームリミットスイッチ35aは、カッター35がホーム位置にあるか否かを検出する。ホームリミットスイッチ35aは機械的にカッター35を検出するものであるが、光センサなど他のタイプのセンサを用いてもよい。
【0062】
ホームセンサー38は、チャッカーCが受け取り位置(ホーム位置)にいることを検出するためのセンサである。ガイド検出センサ62は、第1ガイド部60が閉じているか否かを検出するためのセンサである。第1ガイド部60が閉じているときに、チャッカーCにより写真フィルムをフィルムスキャナーFSに受け渡すことができる。以上の各センサ信号は、搬送制御部70に送信され、これらの検出結果に基づいて、ソレノイドやモータの駆動制御が行なわれる。
【0063】
<プリント作成装置の機能ブロック構成>
図6を用いて、プリント作成装置PAの機能について説明する。
【0064】
入力手段100は、画像データの注文に関する情報であるオーダー情報の入力を受け付ける。例えば、モニター7に表示される操作画面(GUI)を参照しながら、キーボード、マウス等の入力操作部8を操作して、オーダー情報が入力されるように機能する。オーダー情報入力の際には、自動同時プリント処理モードを選択入力できる。
【0065】
制御手段200は、自動同時プリント処理モードが設定されている場合に、自動同時プリント処理が実行できるように、プリント作成装置PAの各要素を制御し、フィルム処理装置FAの各制御ユニットに自動同時プリント処理モードの指令を行う。
【0066】
制御手段200の処理手順は、通常、ソフトウェアで構成され、かかるソフトウェアは、不図示のCPU、メモリ等のハードウェア資源と協働して動作するものであるが、専用回路、ファームウエア等を組み合わせて構成してもよい。当該ソフトウエアプログラムは、ROM等のメモリに予め格納されている。
【0067】
格納部300は、写真フィルム先端からの所定の長さのデータが格納されている。予め格納されていてもよく、オペレータが、オーダー情報の入力の際に設定できるように構成することもできる。かかる場合、コマ位置解析手段25bは、オーダーごとに、所定の長さのデータをプリント作成装置PAから取得するように構成される。
【0068】
画像判定部4は、フィルム処理装置FAから取得した画像データに対する判定をオペレータが行なうための機能を提供し、かかる機能は主としてソフトウェアにより提供される。これは、画像データに基づいて写真プリントを作成する前に、適切な画質の写真プリントが作成されるか否かを判定するものであり、かかる作業をプレジャッジと称することとする。画像判定部4には、補正データの設定機能、プリントデータの設定機能、サムネイル画像の設定機能が主たる機能として設けられている。なお、プレジャッジは必ず行なわなければならないものではなく、プレジャッジを省略してプリント処理を行うことも可能である。自動同時プリント処理モードでは、プレジャッジが行われないように構成される。なお、以下において、オーダーデータとは、1オーダーに含まれる画像データ群と、プレジャッジにより設定された補正データ、プリントサイズ、プリント枚数などのプリントデータ、オーダーを特定するデータ(オーダー識別ID、顧客の氏名、住所、会員IDなどのデータ)により構成される。オーダー情報は、プリントデータの一部を構成する。
【0069】
オーダー制御部5は、プリント処理すべき画像データをオーダー単位に管理する機能を提供する。オーダー登録部5aは、画像判定部4によりプレジャッジの終了したオーダーデータを記憶装置6に登録・保存する機能を有する。記憶装置6は概念的に、スプーラ6aと呼ばれる部分と、その他の記憶部6bとで構成される。プリント処理すべきオーダーデータは、すべてスプーラ6aに保存される。従って、スプーラ6aにオーダーデータを保存することでオーダーの管理を行なうことができ、プリント処理の順番や割り込みなどの制御を行なうことができる。スプーラ6aと、記憶部6bは、いずれもハードディスクのような大容量記憶装置により構成することができるが、スプーラ6aと記憶部6bは、ハードウェア的に別々のハードディスクにより構成してもよいし、1つのハードディスクの記憶領域を分割して、スプーラ6aとして機能する領域と、それ以外の領域を形成してもよい。
【0070】
プリント処理制御部5bは、プリント処理指令を後述する画像処理基板9に送信する。そして、この指令に従って、画像処理基板9は、オーダーデータに基づいて、画像処理を行う。
【0071】
モニター7は、オーダー情報の入力操作画面表示以外に、その他の例えば、プレジャッジを行なうための画面やオーダー管理画面等を表示させるものであり、プリント処理等を行うために必要な画面を提供する。入力操作部8は、キーボードやマウス等により構成され、オーダー情報入力、プリント処理に必要なデータ入力や設定、各種指令を行うために用いられる。
【0072】
画像処理基板9は、スプーラ6aから画像データと補正データを受け取り、補正データに基づいて画像データに対する画像処理を行い、写真プリントを作成するために用いられるプリント用画像データを生成する。画像処理基板9は、受信メモリ、処理回路部、展開メモリにより構成され、処理回路部において指定された画像処理が行なわれる。具体的には、補正データに基づく色・濃度の補正、設定されたプリントサイズに従ったデータの拡縮処理などである。自動同時プリントでは、予め設定された補正内容の画像処理が実行される。
【0073】
次に、図6に示すプリント処理部の構成を簡単に説明する。ペーパーマガジン101には、写真感光材料(印画紙ともいう)であるペーパーがロール状に収容されている。ペーパーマガジン101は、2台を設置することができ、例えば、ペーパー幅の異なるペーパーを予めセットしておくことができる。ペーパーカッターは、ペーパーマガジン101から引き出された長尺状のペーパーを設定されたプリントサイズになるように切断する。
【0074】
露光エンジン102aは、画像処理基板9の展開メモリから送信されてくるプリント用画像データを受け取り、このプリント用画像データに基づいて、ペーパーの乳剤面に画像を焼付露光する。露光エンジン102aとしては、特定の方式のものに限定されるものではなく、例えば、レーザーエンジン、CRTエンジン、PLZTエンジンなどを用いることができる。
【0075】
裏印字手段102bは、ペーパーの裏面に、オーダー識別ID、コマナンバー、プリント処理済枚数、プリント要求枚数、補正テータ等をプリントする機能を有する。裏印字手段102bは、例えば、ドットインパクトプリンタ、熱転写式プリンタ、インクジェットプリンタ等で実現される。
【0076】
現像処理部103は、画像が焼付露光されたペーパーの現像処理を行い、乾燥処理部104は、現像処理されたペーパーの乾燥処理を行なう。ペーパー排出部から仕上がりの写真プリントが装置本体外部に排出され、所定の集積装置(不図示)によりオーダー単位で集積される。
【0077】
ペーパーセンサー106は、ペーパー排出部から排出されるペーパーを検出し、あるオーダーの写真プリントが全て排出されたか否かを検出する。センサ制御部(不図示)は、ペーパーセンサー106の駆動制御を行なうと共に、ペーパーセンサー106からの信号を受信して解析する。
【0078】
<自動同時プリントの動作>
現像処理とスキャン処理を連続して処理し、スキャン処理で読み取られた画像データをプリント作成装置PAに送信し、個々のコマ画像データの画像判定を行わずに、そのまま、或いは所定の画像処理を施すのみで、画像データに基づく露光処理・現像処理を行い写真プリント作成する自動同時プリント処理の場合について以下に図面を用いて説明する。
【0079】
まず、未現像写真フィルムに識別ラベル及びリーダを貼り付ける作業について説明する。この作業においては、所定の貼り付け器具(スプライス台)を用いる。図7に示すように、カートリッジからフィルムが所定寸法引き出され、引き出されたフィルム先端にリーダLが貼り付けられ、さらに、識別ラベルIDが貼り付けられる。リーダLの貼り付け位置は、スプライス台(不図示)によって規定され、リーダLとフィルムとの貼り合わせ手段として、スプライステープ(粘着テープ)が用いられる。また、識別ラベルIDは、貼り付け位置が略設定されている。また、感光部分Qが斜線で示される。この感光部分Qをかぶりと称することがある。
【0080】
リーダLと識別ラベルIDが貼り付けられた未現像写真フィルムを、フィルムプロセッサFPにセットする。そして、オペレータがプリント作成装置PA側の操作でオーダー情報(識別ラベルIDの情報を含む)を入力すると、ローディングが開始され、現像処理、乾燥処理を経て、排出部14から現像済み写真フィルムが排出される。格納部300には、フィルム先端から所定の長さのデータが予め格納されている。所定の長さは、図7に示すように、リーダLカット後のフィルム先端からの長さであり、任意の値であるが、通常、リーダL貼り付け作業で引き出されたフィルムの寸法分に基づいて設定され、例えば、引き出し寸法と同じ値、引き出し寸法より5〜30mm程大きい値等である。また、オペレータは、フィルム先端から所定の長さのデータを入力することができる。入力されたデータは、新規データとして保存され、予め格納されているデータを初期値として区別し、新規データが優先して使用される。これは、写真店によって、所定の長さを任意に変更できるようにすることで、写真店の状況に適合した所定の長さを設定できるようにしたものである。
【0081】
(実施形態1)
以下に、コマ位置解析手段25bが、プレスキャンで取得された画像データを解析する場合に、所定の長さ分を除外してコマ位置の解析を行う動作について図8のフローチャートを用いて説明する。
【0082】
フィルムプロセッサFPによって現像処理されて排出された現像済み写真フィルムは、搬送ユニットFCで自動搬送されて、フィルムスキャナーFSにセットされる。セットされた現像済み写真フィルムは、プレスキャン実行手段25aによってプレスキャンされる(S101)。
【0083】
次いで、コマ位置解析手段25bが、プレスキャンで取得された画像データを解析し、コマ位置を判断する(S102)。ここで、コマ位置解析手段25bは、プリント作成装置PAの格納部300に格納されているフィルム先端からの所定の長さのデータを取得する。コマ位置解析手段25bは、コマ位置の解析の際に、この取得された所定の長さ分について、画像データの解析を除外し、それ以降の画像データについてコマ位置判断の解析対象とする。
【0084】
次いで、コマ位置解析手段25bは、コマ位置の解析結果が本スキャン可能であるか否かを判断する(S103)。本スキャン可能であると判断された場合、本スキャン実行手段25cは、本スキャンを実行する(S104)。本スキャンする場合、コマ位置が決定されているので、フィルム先端からの所定の長さ分について本スキャンされない。本スキャンで取得された画像データは、プリント作成装置PAに送信され、この画像データに基づいて写真プリントが作成される(S105)。
【0085】
一方、本スキャン可能でないと判断された場合、停止位置確認要求がなされる(S106)。オペレータが停止位置確認を行うと(S107)、ステップS104に行き、本スキャン実行手段25cによって本スキャンが実行される(S104)。
【0086】
以上の実施形態によれば、所定の長さ分についてコマ位置解析が実行されないので、コマ位置解析の画像データ対象から上記説明の感光部分、識別ラベル等を画像データであると誤認識することが無くなり、停止位置確認要求をすることがない。
【0087】
(実施形態2)
以下に、コマ位置解析手段25bが、プレスキャンで得られた画像データの全てについて解析を行い、その後、写真フィルム先端からの所定の長さに相当する部分から得られたコマ位置については、コマ位置でないと判断する動作について図9のフローチャートを用いて説明する。
【0088】
上記同様にフィルムスキャナーFSに自動搬送されてセットされた現像済み写真フィルムは、プレスキャン実行手段25aによってプレスキャンされる(S201)。次いで、コマ位置解析手段25bが、プレスキャンで取得された画像データを解析し、コマ位置を判断する(S202)。ここで、コマ位置解析手段25bは、プレスキャンされた画像データのすべてについてコマ位置解析を実行する。
【0089】
次いで、コマ位置解析手段25bは、コマ位置の解析結果が本スキャン可能であるか否かを判断する(S203)。本スキャン可能であると判断された場合、本スキャン実行手段25cは、本スキャンを実行する(S205)。本スキャンで取得された画像データは、プリント作成装置PAに送信され、この画像データに基づいて写真プリントが作成される(S206)。
【0090】
一方、本スキャン可能でないと判断された場合、コマ位置解析手段25bは、コマ位置の解析結果において、停止位置確認要求をする画像データの部分が、フィルム先端から所定の長さ部分の画像データであるか否かを判断する(S204)。なお、コマ位置解析手段25bは、プリント作成装置PAの格納部300に格納されているフィルム先端からの所定の長さのデータを取得する。停止位置確認要求をする画像データの部分が、フィルム先端から所定の長さ部分の画像データである場合、ステップS205に行き、本スキャン実行手段25cによって本スキャン実行される(S205)。
【0091】
一方、停止位置確認要求をする画像データの部分が、フィルム先端から所定の長さ部分の画像データでない場合、停止位置確認要求がなされる(S207)。オペレータが停止位置確認を行うと(S208)、ステップS205に行き、本スキャン実行手段25cによって本スキャンが実行される(205)。
【0092】
以上の実施形態によれば、コマ位置解析結果で停止位置確認要求が必要な場合に、当該停止位置確認要求が必要な画像データの部分が、フィルム先端から所定の長さ分のものであれば、停止位置確認要求を行わず、本スキャン実行することができる。
【0093】
また、上記において、コマ位置解析手段25bは、コマ位置の解析結果が本スキャン可能であるか否かを判断するように構成したが、本スキャン可能か否かの判断として、解析結果で得られたコマ位置が所定の長さの範囲か否かを判断するように構成してもよい。
【0094】
また、コマ位置解析の結果、先端部分から本スキャンが可能であると判断された場合、先端部分の画像は、プリント対象から除外するように構成してもよい。フィルム先端から所定の長さ分の範囲で本スキャンされて得られた画像は、プリント処理されないように、プリント作成装置PAに送信されないように構成してもよく、プリント作成装置PA側でかかる範囲の画像について露光処理されないように構成してもよい。
【0095】
(実施形態3)
以下に、プレスキャン実行手段25aが、写真フィルム先端から所定の長さ分を除いてプレスキャンを実行する動作について説明する。
【0096】
プレスキャン実行手段25aは、プリント作成装置PAの格納部300に格納されているフィルム先端からの所定の長さのデータを取得する。プレスキャン実行手段25aは、取得された所定の長さ分を除外してプレスキャンを実行する。
【0097】
以上の実施形態によれば、プレスキャン実行の際に、写真フィルム先端から所定の長さ分を除いてプレスキャンを実行するため、プレスキャン対象から上記説明の感光部分、識別ラベル貼り付け部分を適切に除外しているので、画像データであると誤認識をして、停止位置確認要求をすることがない。
【0098】
以上の実施形態1〜3において、所定の長さをプリント作成装置PAの格納部300から取得する構成を説明したが、特にこれに制限されず、所定の長さがデータ格納部25dに格納されている場合、コマ位置解析手段25bは、データ格納部25dから所定の長さのデータを取得するように構成できる。また、写真店によって、所望の所定の長さを用いたい場合に、所定の長さのデータが入力できるように構成され、このデータをデータ格納部25dに格納するように構成してもよい。
【0099】
また、本発明において処理対象となる写真フィルムは、ネガフィルムかポジフィルムか限定されるものではなく、また、135タイプやAPSタイプなどの適宜の種類の写真フィルムに対して応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】フィルム処理装置を有するプリント処理システム全体の外観構成を示す図
【図2】フィルム処理装置の全体構成を示す断面図
【図3】写真フィルムとフィルムリーダを連結した状態を示す図
【図4】搬送ユニットの構成を示す断面図
【図5】フィルム処理装置の制御機能を示すブロック図
【図6】プリント処理システムの制御機能を示すブロック図
【図7】写真フィルムとフィルムリーダを連結した状態を示す図
【図8】実施形態1の動作を説明するフローチャート
【図9】実施形態2の動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0101】
1 プリント処理システム
17 制御ユニット
25 スキャナー制御部
25a プレスキャン実行手段
25b コマ位置解析手段
25c 本スキャン実行手段
25d データ格納部
70 搬送制御部
300 格納部
F 写真フィルム
FP フィルムプロセッサ
FA フィルム処理装置
FC 搬送ユニット
FS フィルムスキャナー
C チャッカー
L フィルムリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備えたフィルム処理装置と、
前記取得された画像データに基づいて写真プリントを作成するプリント作成装置とを具備するプリント処理システムであって、
前記写真フィルムのプレスキャンを実行するプレスキャン実行手段と、
前記プレスキャン実行により、コマ位置を解析するコマ位置解析手段と、
前記コマ位置解析手段の解析結果に基づいて、本スキャンを実行する本スキャン実行手段と
前記写真フィルム先端からの所定の長さのデータを格納する格納部と
を備えることを特徴とするプリント処理システム。
【請求項2】
前記コマ位置解析手段は、
前記写真フィルム先端からの所定の長さのデータを取得し、当該所定の長さ分について除外してコマ位置を解析することを特徴とする請求項1に記載のプリント処理システム。
【請求項3】
前記プレスキャン実行手段は、
写真フィルム先端から所定の長さ分を除いてプレスキャンを実行することを特徴とする請求項1に記載のプリント処理システム。
【請求項4】
コマ位置解析手段は、プレスキャンで得られた画像データの全てについて解析を行い、その後、写真フィルム先端からの所定の長さ分についての解析結果で得られたコマ位置については、コマ位置でないと判断することを特徴とする請求項1に記載のプリント処理システム。
【請求項5】
前記所定の長さのデータは、
前記フィルムスキャナーの格納部に予め格納されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプリント処理システム。
【請求項6】
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーと、フィルムプロセッサから排出される現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーへ搬送するための搬送ユニットと、この搬送ユニットにおける写真フィルムの搬送制御を行なう搬送制御部とを備えたフィルム処理装置であって、
前記フィルムスキャナーは、
前記写真フィルムのプレスキャンを実行するプレスキャン実行手段と、
前記プレスキャン実行により、コマ位置を解析するコマ位置解析手段と、
前記コマ位置解析手段の解析結果に基づいて、本スキャンを実行する本スキャン実行手段と
を備え、
前記コマ位置解析手段は、
前記写真フィルム先端からの所定の長さ分について除外してコマ位置を解析することを特徴とするフィルム処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−202058(P2007−202058A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20992(P2006−20992)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】