説明

フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルカリ現像性樹脂組成物及びアルカリ現像性感光性樹脂組成物

【課題】感度、耐アルカリ性、電気特性等に優れ、微細パターンを精度良く形成できるアルカリ現像性樹脂組成物、及びアルカリ現像性感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】一般式(I)で表される化合物と、アルデヒド化合物若しくはその誘導体、一般式(II)で表される化合物、又は、一般式(III)若しくは(III)で表される化合物及びアルデヒド化合物若しくはその誘導体とを反応させて得られるフェノール樹脂(A)、該フェノール樹脂(A)のフェノール性水酸基をグリシジルエーテル化させて得られるエポキシ樹脂(B)、該エポキシ樹脂(B)にエチレン性不飽和結合を付与した光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物及び該アルカリ現像性樹脂組成物に光重合開始剤及び色材を含有させたアルカリ現像性感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有する新規のフェノール樹脂、該フェノール樹脂のフェノール性水酸基をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂にエチレン性不飽和結合を付与した特定の化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物及び該アルカリ現像性樹脂組成物に光重合開始剤及び色材を含有させてなるアルカリ現像性感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ現像性感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物及び光重合開始剤を含有するものである。このアルカリ現像性感光性樹脂組成物は、紫外線もしくは電子線を照射することによって重合硬化させることができるので、光硬化性インキ、感光性印刷版、プリント配線版、各種フォトレジスト等に用いられている。最近、電子機器の軽薄短小化や高機能化の進展に伴い、微細パターンを精度良く形成することができるアルカリ現像性感光性樹脂組成物が望まれている。
【0003】
アルカリ現像性樹脂組成物及びアルカリ現像性感光性樹脂組成物に関し、下記特許文献1には、エチレン性不飽和結合を持つプレポリマーを含有する感光性樹脂組成物が提案されている。また、下記特許文献2には、不飽和基含有ポリカルボン酸樹脂を含有する感光性樹脂組成物が提案されている。しかし、これらの公知のアルカリ現像性感光性樹脂組成物は、感度、耐アルカリ性や電気特性が充分でなく、適切なパターン形状や微細パターンを得ることが困難であった。そのため、感度及び耐アルカリ性に優れ、微細パターンを精度良く形成できるアルカリ現像性感光性樹脂組成物が望まれていた。
【0004】
また、下記特許文献3には、フルオレン骨格とフェノール類とがメチレン基で縮合された構造を持つノボラック型樹脂が開示されているが、下記特許文献4には、フェノール化合物とアルデヒド類とを重縮合反応させて得られるフェノール樹脂が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−235261号公報
【特許文献2】特開2000−355621号公報
【特許文献3】特開平11−199656号公報
【特許文献4】特開2004−244526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、上述したように、感度及び耐アルカリ性に優れ、適切なパターン形状や微細パターンを得ることのできるアルカリ現像性樹脂組成物、及びアルカリ現像性感光性樹脂組成物がこれまでなかったということである。
【0007】
従って、本発明の目的は、感度、耐アルカリ性、電気特性等に優れ、微細パターンを精度良く形成できるアルカリ現像性樹脂組成物、及びアルカリ現像性感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記一般式(I)で表される化合物と、アルデヒド化合物又はその誘導体とを反応させて得られる構造を有するフェノール樹脂(A1)を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
【化1】

(式中、Cyは炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、R1は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数2〜10のアシル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を示し、Xはフェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、前記のアルキル基、アルケニル基、アシル基、シクロアルキル基、フェニル基、アリール基又はアリールアルキル基は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基若しくはハロゲン原子により置換されていてもよく、Y及びZは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を示し、該アルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、kは0又は1の数であり、pは0〜(5−k)の数であり、rは0〜4の数である。)
【0010】
また、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物と下記一般式(II)で表される化合物とを反応させて得られる構造を有するフェノール樹脂(A2)を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0011】
【化2】

(式中、Gはm価の結合基を示し、mは、2〜4の数である。)
【0012】
また、本発明は、上記一般式(I)で表される化合物、下記一般式(III)又は(III')で表される化合物及びアルデヒド化合物又はその誘導体を反応させて得られる構造を有するフェノール樹脂(A3)を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0013】
【化3】

(上記一般式(III)中、R2は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数2〜10のアシル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を示し、R3は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基又は炭素原子数7〜12のアリールアルキル基を示し、隣接するR3は、互いに環構造を形成していてもよく、sは1〜5の数である。上記一般式(III')中、R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基又は炭素原子数7〜12のアリールアルキル基を示し、pは1〜4の数であり、qは1〜3の数である。)
【0014】
また、本発明は、上記フェノール樹脂(A)のフェノール性水酸基をグリシジルエーテル化させて得られるエポキシ樹脂(B)を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0015】
また、本発明は、上記エポキシ樹脂(B)に不飽和一塩基酸(C)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(D)をエステル化させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(X)を含有することを特徴とするアルカリ現像性樹脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0016】
また、本発明は、上記エポキシ樹脂(B)に不飽和一塩基酸(C)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(D)をエステル化させて得られる構造を有する反応生成物に、さらにエポキシ化合物(E)を付加させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(Y)を含有することを特徴とするアルカリ現像性樹脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0017】
また、本発明は、上記エポキシ樹脂(B)に不飽和一塩基酸(C)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(D)をエステル化させて得られる構造を有する反応生成物に、エポキシ化合物(E)を付加させ、さらに多塩基酸無水物(F)をエステル化させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(Z)を含有することを特徴とするアルカリ現像性樹脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0018】
また、本発明は、上記アルカリ現像性樹脂組成物に光重合開始剤(G)を含有させることを特徴とするアルカリ現像性感光性樹脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0019】
また、本発明は、上記アルカリ現像性感光性樹脂組成物に、さらに色材(H)を含有させることを特徴とする着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物は、感度、耐アルカリ性及び電気特性に優れ、微細パターンを精度良く形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のフェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルカリ現像性樹脂組成物、アルカリ現像性感光性樹脂組成物及び着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0022】
本発明のフェノール樹脂(A1)は、上記一般式(I)で表される化合物とアルデヒド化合物又はその誘導体とを反応させることにより得られる。
【0023】
上記一般式(I)中、Cyで示される炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等が挙げられる。
1で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、へプチル、オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル等が挙げられ、炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル、1−ノネニル、1−デセニル等が挙げられ、炭素原子数2〜10のアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、デセノイル等の炭素数2〜10のアルキルカルボニル基;ベンゾイル等の炭素数7〜10のアリールカルボニル基;ベンジルカルボニル等の炭素数8〜10のアリールアルキルカルボニル基等が挙げられ、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、Cyで示される炭素原子数3〜10のシクロアルキル基として例示したものが挙げられ、炭素原子数6〜20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル等が挙げられ、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等が挙げられる。R1で表される炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数2〜10のアシル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、炭素原子数6〜20のアリール基及び炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を置換してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基としては、それぞれ、R1で示されるものとして例示したものが挙げられ、炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、Y及びZで表されるものとして後述するものが挙げられ、ハロゲン原子としては、R1で示されるものとして例示したものが挙げられる。
Xで表される炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、Cyで示される炭素原子数3〜10のシクロアルキル基として例示したものが挙げられる。Xで示されるフェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を置換してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基及びハロゲン原子としては、それぞれ、R1で示されるものとして例示したものが挙げられる。
Y及びZで示される炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、それぞれ、R1で示されるものとして例示したものが挙げられ、Y及びZで示される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、メトキシエチル、エトキシエチル、プロピロキシエチル、メトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエチル、プロピロキシエトキシエチル、メトキシプロピル等が挙げられ、Y及びZで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。Y及びZで示される上記のアルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。例えば、フッ素原子で置換された炭素原子数1〜10のアルキル基としては、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、パーフルオロエチル等が挙げられる。
【0024】
上記一般式(I)で表される化合物の中でも、R1が水素原子であるものが、反応性がよいので好ましい。
【0025】
本発明のフェノール樹脂(A)は、その調製に用いられる上記一般式(I)で表される化合物がトリアリールモノシクロアルキルメタン骨格を有するため、該フェノール樹脂を用いて調製されるエポキシ樹脂の耐水性、耐熱性等が優れるものと考えられる。該化合物としては、上記一般式(I)において、Cyがシクロヘキシルであるもの;Xがフェニル基であるもの;p及びrが0であるものが好ましい。
【0026】
上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物No.1〜No.10の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
【0027】
【化4】

【0028】
【化5】

【0029】
【化6】

【0030】
【化7】

【0031】
【化8】

【0032】
【化9】

【0033】
【化10】

【0034】
【化11】

【0035】
【化12】

【0036】
【化13】

【0037】
上記アルデヒド化合物としては、特に制限されず公知のものを用いることができるが、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナールアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロロベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、けい皮アルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、セバシンアルデヒド等が挙げられる。アルデヒド化合物の誘導体としては、ジオール、ヒドロキシエーテル、アセタール、エナミン、α―アシルチオエーテル等の反応系中で反応してアルデヒドになる化合物が挙げられる。
これらのアルデヒド化合物又はその誘導体の中でも、ホルムアルデヒドが、反応性が高いため好ましい。該アルデヒド化合物又はその誘導体は、上記一般式(I)で表される化合物1モルに対し、好ましくは0.1〜2.0モル、より好ましくは0.5〜1.0モル用いられる。
【0038】
本発明のフェノール樹脂(A2)は、上記一般式(I)で表される化合物と上記一般式(II)で表される化合物とを反応させることにより得られる。
【0039】
上記一般式(II)中、Gで表されるm価の結合基としては、例えば、直接結合、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリールジアルキレン基、ビスアリーレン基及びその誘導体等が挙げられ、中でもアリーレン基及びビスアリーレン基が好ましい。前記ビスアリーレン基の誘導体としては、イソプロピリデンビフェニル、スルホニルビフェニル、ジクロロエチレンビフェニル、エチリデンビフェニル、メタンビフェニル、シクロヘキシリデンビフェニル、フェニレンイソプロピリデンビフェニル等が挙げられる。
【0040】
上記一般式(II)で表される化合物は、上記一般式(I)で表される化合物1.0モルに対し、好ましくは0.1〜2.0モル、より好ましくは0.5〜1.0モル用いられる。
【0041】
本発明のフェノール樹脂(A3)は、上記一般式(I)で表される化合物、上記一般式(III)又は(III’)で表される化合物及びアルデヒド化合物又はその誘導体とを反応させることにより得られる。
【0042】
上記一般式(III)中のR2、R3、上記一般式(III’)中のR8及びR9で表される炭素原子数1〜10のアルキル基、R2で表される炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基及び炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、並びにR2、R3、R8及びR9で表される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、上記一般式(I)で例示したものが挙げられる。R2で表される炭素原子数2〜10のアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、デセノイル等の炭素数2〜10のアルキルカルボニル基;ベンゾイル等の炭素数7〜10のアリールカルボニル基;ベンジルカルボニル等の炭素数8〜10のアリールアルキルカルボニル基等が挙げられ、R3、R8及びR9で表される炭素原子数6〜20のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル等が挙げられ、R3、R8及びR9で表される炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等が挙げられる。
上記一般式(III)中のR3が互いに結合して形成する環構造としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、テトラヒドロピラン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり、置換されていたりしてもよい。
上記一般式(III)又は(III')で表される化合物は、単独又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0043】
上記アルデヒド化合物又はその誘導体としては、上記フェノール樹脂(A1)の調製に用いられるアルデヒド化合物又はその誘導体として例示したものを用いることができる。これらのアルデヒド化合物又はその誘導体の中でも、ホルムアルデヒドが、反応性が高いため好ましい。
【0044】
上記一般式(III)又は(III’)で表される化合物は、上記一般式(I)で表される化合物1モルに対し、それぞれ好ましくは0.1〜5.0モル、より好ましくは0.1〜4.0モル用いられ、上記アルデヒド化合物は、上記一般式(I)で表される化合物1モルに対し、好ましくは0.5〜3.0モル、より好ましくは0.8〜2.0モル用いられる。
【0045】
本発明のフェノール樹脂(A)は、従来公知のノボラック化反応条件によって製造することができ、例えば、酸性触媒の存在下、20〜200℃の温度で1〜20時間反応させることにより得られる。
【0046】
上記酸性触媒としては、例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、m−キシレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ヒドロキシメチルスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、ヒドロキシプロピルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スルホサリチル酸、スルホフタル酸等のスルホン酸類;硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、塩酸、塩化水素ガス、シュウ酸、ギ酸、リン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ケイタングステン酸、リンタングステン酸等のヘテロポリ酸、強酸性のイオン交換樹脂、活性白土、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等が挙げられる。該酸性触媒は、上記一般式(I)で表される化合物100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは10〜30質量部用いられる。
【0047】
また、上記反応には、従来公知の溶媒を使用することができ、反応溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶剤;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒;エーテル類、セロソルブ系溶媒、ケトン系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、ジオキサン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素等が挙げられる。
【0048】
本発明のフェノール樹脂(A)は、成形材料用素材、有機繊維粘結剤、ゴム配合剤、研磨剤用粘結剤、摩擦材用粘結剤、無機繊維用粘結剤、エポキシ樹脂用硬化剤、半導体封止材等の広範な用途に使用することができる。
【0049】
本発明のエポキシ樹脂(B)は、本発明のフェノール樹脂(A)のフェノール性水酸基をグリシジルエーテル化することにより得られる。
【0050】
上記グリシジル化は、特に限定されるものではないが、例えば、上記フェノール樹脂(A)とエピクロルヒドリンとをアルカリ及びルイス酸又は層間移動触媒の存在下、20〜100℃の温度で1〜30時間反応させることにより行なわれる。
【0051】
上記反応で使用されるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、ルイス酸としては、上記で例示した如き酸性触媒、四塩化スズ、三フッ化ホウ素、四塩化チタン、活性白土、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム等が挙げられ、層間移動触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、メチルトリデシルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、N,N−ジメチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムヨージド、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ベンジル−N−メチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムヨージド、N−アリル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムクロリド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムブロミド、N,N−ジメチルピペリジニウムヨージド、N−メチル−N−エチルピペリジニウムアセテート、N−メチル−N−エチルピペリジニウムヨージド等が挙げられるが、テトラメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
【0052】
上記反応におけるエピクロルヒドリンの使用量は、フェノール樹脂(A)の水酸基1当量に対し、好ましくは1当量以上、より好ましくは2〜10当量の範囲で使用され、上記アルカリは水酸基1当量に対し、好ましくは0.1〜2.0モル、より好ましくは0.3〜1.5モル使用され、上記層間移動触媒は、フェノール樹脂(A)の水酸基1当量に対し、好ましくは0.01〜10モル%、より好ましくは0.2〜5モル%使用される。
【0053】
上記反応には溶媒を使用することもでき、該溶媒としては、上記フェノール樹脂(A)の製造において例示したものを用いることができる。また、過剰のエピクロルヒドリンを溶媒として使用することもできる。
【0054】
本発明のエポキシ樹脂(B)は、後述のアルカリ現像性樹脂の他、コンクリート、セメントモルタル、各種金属、皮革、ガラス、ゴム、プラスチック、木、布、紙等に対する塗料あるいは接着剤;包装用粘着テープ、粘着ラベル、冷凍食品ラベル、リムーバルラベル、POSラベル、粘着壁紙、粘着床材の粘着剤;アート紙、軽量コート紙、キャストコート紙、塗工板紙、カーボンレス複写機、含浸紙等の加工紙;天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の収束剤、ほつれ防止剤、加工剤等の繊維処理剤;シーリング材、セメント混和剤、防水材等の建築材料;電子・電気機器用封止剤等の広範な用途に使用することができる。
【0055】
本発明のアルカリ現像性樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂(B)に不飽和一塩基酸(C)を、上記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基1個に対し、上記不飽和一塩基酸(C)のカルボキシル基が0.1〜1.0個となる比率で付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(D)を、上記エポキシ付加物の水酸基1個に対し酸無水物構造が0.1〜1.0個となる比率で、さらに必要に応じてエポキシ化合物(E)を、上記エポキシ付加物の水酸基1個に対しエポキシ基が0.1〜1.0個となる比率で付加させ、続いて必要に応じて多塩基酸無水物(F)を、上記エポキシ付加物の水酸基1個に対し酸無水物構造が0.1〜1.0となる比率でエステル化させて得られる光重合性不飽和化合物を含有する。
上記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基1個に対する上記不飽和一塩基酸(C)のカルボキシル基の比率は、好ましくは0.3〜1.0個である。また、上記エポキシ化合物の水酸基1個に対し、上記多塩基酸無水物(D)の酸無水物構造の比率は、好ましくは0.3〜0.95個であり、上記エポキシ化合物(E)のエポキシ基の比率は、好ましくは0.3〜0.9個であり、上記多塩基酸無水物(F)の酸無水物構造の比率は、好ましくは0.3〜0.7個である。
【0056】
上記光重合性不飽和化合物を上記の好ましい構造を有するものとするためには、(B)〜(F)成分を、(B)成分100質量部に対し、(C)成分10〜30質量部、(D)成分20〜40質量部、(E)成分25〜65質量部、(F)成分5〜30質量部の使用比率で反応に供するのが好ましい。(B)成分に対する(C)成分の付加反応及び(D)成分のエステル化反応、さらに(E)成分及び(F)成分の反応は、常法に従って行なうことができる。
【0057】
本発明のアルカリ現像性樹脂組成物の調製に使用される不飽和一塩基酸(C)は、該アルカリ現像性樹脂組成物の感度を向上させるために用いられ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート・マレート、ヒドロキシエチルアクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルアクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレートあるいは1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0058】
上記1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレートは、例えば1分子中に1個のヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物又はカルボン酸とを反応させることによって得ることができる。
【0059】
上記1個のカルボキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する多官能(メタ)アクリレートとしては、下記化合物No.11〜15を挙げることができる。
【0060】
【化14】

【0061】
【化15】

【0062】
【化16】

【0063】
【化17】

【0064】
【化18】

【0065】
本発明のアルカリ現像性樹脂組成物の調製に使用される多塩基酸無水物(D)は、該アルカリ現像性樹脂組成物の酸価を増大させてパターン形状、現像性及び現像速度を向上させるために用いられ、例えば、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,2’−3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等が挙げられる。これらの中でも、コハク酸無水物、トリメリット酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。
【0066】
本発明のアルカリ現像性樹脂組成物の調製に使用されるエポキシ化合物(E)としては、単官能又は多官能エポキシ化合物が挙げられる。
上記単官能エポキシ化合物は該アルカリ現像性樹脂組成物の酸価を調整するのに用いられ、例えば、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、プロパルギルグリシジルエーテル、p−メトキシエチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−メトキシグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、2−メチルクレジルグリシジルエーテル、4−ノニルフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、p−クミルフェニルグリシジルエーテル、トリチルグリシジルエーテル、2,3−エポキシプロピルメタクリレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、グリシジルブチレート、ビニルシクロヘキサンモノオキシド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、スチレンオキシド、ピネンオキシド、メチルスチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、プロピレンオキシド、下記化合物No.16〜No.19等が挙げられる。
【0067】
【化19】

【0068】
【化20】

【0069】
【化21】

【0070】
【化22】

【0071】
上記多官能エポキシ化合物は、上記光重合性不飽和化合物の分子量を増大させて現像速度を調整するのに用いられ、例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物及びグリシジルエーテル類を用いることができる。
上記ビスフェノール型エポキシ化合物としては、アルキリデンビスフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の他、水添ビスフェノール型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物を用いることができる。
上記グリシジルエーテル類としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)エタン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)メタン、1,1,1,1−テトラ(グリシジルオキシメチル)メタンが挙げられる。
【0072】
上記多官能エポキシ化合物としては、その他、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ化合物;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルP−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンなどのグリシジルアミン類;1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物;ジシクロペンタジエンジオキシド等のジオキシド化合物;ナフタレン型エポキシ化合物、トリフェニルメタン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物等を用いることができる。
【0073】
本発明のアルカリ現像性樹脂組成物を得るために使用される多塩基酸無水物(F)としては、上記多塩基酸無水物(D)として挙げたものを用いることができる。
(B)〜(F)の各成分を反応させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物に、さらにエポキシ化合物(E)を付加させ、続いて多塩基酸無水物(F)をエステル化させることを繰り返してもよく、また、(B)〜(F)の各成分を反応させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物に、さらにエポキシ化合物(E)を付加させた後、多塩基酸無水物(F)に代えてラクトン化合物をエステル化させてもよい。
【0074】
(B)〜(F)の各成分を反応させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(X)、(Y)又は(Z)の含有量は、その含有量が、本発明のアルカリ現像性樹脂組成物において好ましくは1〜70質量%、より好ましくは3〜30質量%であり、固形分の酸価が好ましくは20〜100mg・KOH/g、より好ましくは50〜110mg・KOH/gの範囲である。
【0075】
本発明のアルカリ現像性樹脂組成物には、上記光重合性不飽和化合物の他に、溶媒を含有させてもよく、例えば、光重合性不飽和化合物の含有量を上記の好ましい範囲とする場合、光重合性不飽和化合物以外の残部には溶媒を用いることができる。該溶媒の具体例としては、後述のアルカリ現像性感光性樹脂組成物に用いられる溶媒として例示するものが挙げられる。また、(B)〜(F)成分から上記光重合性不飽和化合物を合成する際に用いた溶媒を除去せず、そのまま本発明のアルカリ現像性樹脂組成物に含有させてもよい。
【0076】
本発明のアルカリ現像性樹脂組成物は、主として、光重合開始剤(G)及び溶媒と混合され、アルカリ現像性感光性樹脂組成物として用いられる。
以下に、上記アルカリ現像性感光性樹脂組成物(以下、本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物ともいう)について、好ましい実施形態に基づき説明する。
【0077】
本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物は、少なくとも、前記光重合性不飽和化合物を含有する本発明のアルカリ現像性樹脂組成物に、光重合開始剤(G)及び溶媒を含有させたものである。
本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物において、前記光重合性不飽和化合物の含有量は、アルカリ現像性感光性樹脂組成物から溶媒を除く全固形分の合計質量に占める割合で好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜80質量%である。
【0078】
上記光重合開始剤(G)としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、下記化合物No.20、No.21等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンが好ましい。
【0079】
【化23】

(式中、X1はハロゲン原子又はアルキル基を表し、R4はR、OR、COR、SR、CONRR’又はCNを表し、R5はR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R6はR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R及びR’は、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を表し、これらはハロゲン原子及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合又はエステル結合により中断されていてもよく、また、R及びR’は一緒になって環を形成していてもよく、tは0〜5である。)
【0080】
【化24】

(式中、X1、R4、R5、R6、R及びR’は上記化合物No.20と同様であり、X1’はハロゲン原子又はアルキル基を表し、Zは酸素原子又は硫黄原子を表し、a及びbはそれぞれ1〜4の数を表し、R4’はR、OR、COR、SR、CONRR’又はCNを表し、R5’はR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R6’はそれぞれR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R7はジオール残基又はジチオール残基を表す。)
【0081】
本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物において、上記光重合開始剤(G)の含有量は、アルカリ現像性感光性樹脂組成物から溶媒を除く全固形分の合計質量に占める割合で
好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは1.0〜10質量%である。
【0082】
本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物に含まれる溶媒としては、通常、前記の各成分を溶解または分散しえる溶媒であれば特に制限はないが、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセルソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、中でも、ケトン類あるいはセロソルブ系溶媒が好ましい。これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物において、上記溶媒の含有量は、アルカリ現像性感光性樹脂組成物に占める全固形分濃度が好ましくは5〜40質量%、より好ましくは15〜30質量%となるように調整するとよい。
【0083】
本発明の着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物は、上記アルカリ現像性感光性樹脂組成物に、色材(H)を含有させたものである。
【0084】
本発明の着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物に色材として使用される顔料としては、従来のカラーフィルタの製造に使用されている公知の顔料をいずれも用いることができる。以下に、有機顔料の具体例をカレーインデックス(C.I.)ナンバーで示す。尚、下記一覧中、「x」で表されるのはC.I.ナンバーから任意で選択できる整数である。
・Pigment Blue:
<C.I>1,1:2,1:x,9:x,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:5,15:6,16,24,24:x,56,60,61,62
・Pigment Green:
<C.I>1,1:x,2,2:x,4,7,10,36
・Pigment Orange
<C.I>2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,59,60,61,62,64
・Pigment Red
<C.I>1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:3,81:x,83,88,90,112,119,122,123,144,146,149,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,224、226
・Pigment Violet:
<C.I>1,1:x,3,3:3,3:x,5:1,19,23,27,32,42
・Pigment Yellow
<C.I>1,3,12,13,14,16,17,24,55,60,65,73,74,81,83,93,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,156,175
【0085】
また、黒色顔料としては、三菱化学社製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CF9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックN339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSF,ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR、キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908、旭カーボン社製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭F−200、旭#66、旭#66U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグザ社製のカーボンブラックColorBlack Fw200、ColorBlack Fw2、ColorBlack Fw2V、ColorBlack Fw1、ColorBlack Fw18、ColorBlack S170、ColorBlack S160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、SpecialBlack250、SpecialBlack350、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0086】
その他顔料としては、ミロリブルー、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、コバルト系、マンガン系、タルク、クロム酸塩、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、リン酸塩群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン等の無機顔料も使用することができる。これらの顔料は単独で、あるいは複数を混合して用いることができる。
【0087】
上記色材として用いることのできる染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
【0088】
本発明の着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物において、上記色材(H)の含有量は、着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物から溶媒を除く全固形分の合計質量に占める割合で好ましくは0.5〜70質量%、より好ましくは5〜60質量%である。
【0089】
本発明のアルカリ現像性樹脂組成物、アルカリ現像性感光性樹脂組成物及び着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物には、さらに不飽和結合を有するモノマー、連鎖移動剤、界面活性剤等を併用することができる。
【0090】
上記不飽和結合を有するモノマーとしては、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸N−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸亜鉛、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等が挙げられる。
本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物において、上記不飽和結合を有するモノマーの含有量は、アルカリ現像性感光性樹脂組成物から溶媒を除く全固形分の合計質量に占める割合で好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。
【0091】
上記連鎖移動剤としては、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4-メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物が挙げられる。
【0092】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
【0093】
本発明のアルカリ現像性樹脂組成物、アルカリ現像性感光性樹脂組成物及び着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物には、さらに熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
【0094】
また、本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物及び着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物には、必要に応じて、アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、第三ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;可塑剤;接着促進剤;充填剤;消泡剤;分散剤;レベリング剤;シランカップリング剤;難燃剤等の慣用の添加物を加えることができる。
【0095】
本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物及び着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用される。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0096】
本発明の(着色)アルカリ現像性感光性樹脂組成物は、主として、前記溶媒、前記光重合開始剤及び色材と混合され、(着色)アルカリ現像性感光性樹脂組成物として用いられるもので、該(着色)アルカリ現像性感光性樹脂組成物は、その用途に特に制限はなく、光硬化性塗料、光硬化性接着剤、印刷版、印刷配線板用フォトレジスト、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル、ビデオカメラ等に使用される液晶分割配向制御用突起あるいはカラーフィルタの画素部の形成等の各種の用途に使用することができる。
【0097】
また、本発明のアルカリ現像性感光性樹脂組成物及び着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物を硬化させる際に用いられる活性光の光源としては、波長300〜450nmの光を発光するものを用いることができ、例えば、超高圧水銀、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等を用いることができる。
【実施例】
【0098】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、下記実施例等において、「%」は、質量%を意味する。
実施例1〜4は、フェノール樹脂(A)の製造及びエポキシ樹脂(B)の製造を示し、実施例5〜8は、実施例1〜4で得られたエポキシ樹脂(B)の硬化物の調製並びに誘電正接及び比誘電率の測定を示し、比較例1は、比較エポキシ樹脂の硬化物の調製並びに誘電正接及び比誘電率の測定を示し、実施例9〜12は、光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜No.4の調製を示し、比較例2及び3は、比較光重合性不飽和化合物を含有する比較アルカリ現像性樹脂組成物No.5及びNo.6の調製を示す。実施例13〜16は、実施例9〜12で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜No.4に、光重合開始剤(G)を混合して得られたアルカリ現像性感光性樹脂組成物No.1〜No.4の調製を示し、比較例4及び5は、比較例2及び3で得られた比較アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.5及びNo.6に光重合開始剤(G)を混合して得られた比較アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.5及びNo.6の調製を示す。実施例17〜19は、実施例9〜11で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜No.3に、光重合開始剤(G)及び色材(H)を混合して得られた着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.7〜No.9の調製を示し、比較例6及び7は、比較例2及び3で得られた比較アルカリ現像性樹脂組成物No.5及びNo.6に、光重合開始剤(G)及び色材(H)を混合して得られた比較着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.10及びNo.11の調製を示す。
【0099】
〔実施例1〕フェノール樹脂No.1及びエポキシ樹脂No.1の製造
<ステップ1>フェノール樹脂No.1の製造
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(以下、フェノール化合物a−1ともいう)348g、37%ホルマリン51.9g(以下、化合物b−1ともいう)、シュウ酸二水和物80.0g及びメチルイソブチルケトン480gを仕込み、108〜110℃で6時間加熱還流した後、減圧にて溶剤とシュウ酸を留去し、常温で赤褐色透明の固形フェノール樹脂No.1を得た(収量350g、Mw=3450、Mn=1420)。
【0100】
<ステップ2>エポキシ樹脂No.1の製造
ステップ1で得られたフェノール樹脂No.1の120g、エピクロロヒドリン398.8g、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド1.15gを仕込み、74℃で15時間撹拌した。60℃まで冷却し、13000Paの減圧下、48%水酸化ナトリウム水溶液44.8gをゆっくり滴下し、水と共沸してくるエピクロロヒドリンを系内に戻しながら2.5時間撹拌した。常圧でトルエン340gを加えながらエピクロロヒドリンを共沸留去し、さらにトルエン520gを加え、水200gで二度洗浄した。このトルエン溶液に48%水酸化ナトリウム水溶液37.0gを仕込み、78℃で2.5時間撹拌した。水100gで一度、10%リン酸二水素ナトリウム水溶液100gで二回、再び水200gで二度洗浄した。得られたトルエン溶液をセライトでろ過し、溶媒を留去してエポキシ樹脂No.1を得た(収量109g、Mw=3620、Mn=1270、エポキシ当量(固形分)=338)。尚、エポキシ樹脂No.1は、フェノール化合物a−1の1.00当量に対し、0.800当量の化合物b−1を反応させて得られる構造を有するものである。
【0101】
〔実施例2〕フェノール樹脂No.2及びエポキシ樹脂No.2の製造
<ステップ1>フェノール樹脂No.2の製造
フェノール化合物a−1の157g、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール42.4g(以下化合物b−2ともいう)、p−トルエンスルホン酸一水和物0.783g、及びメチルイソブチルケトン587gを仕込み、110〜116℃で6時間加熱還流した後水200gで一度、5%炭酸水素ナトリウム水溶液200gで二回、再び水200gで二回洗浄した。メチルイソブチルケトン550gを減圧留去した後、トルエン130gを加えながらメチルイソブチルケトンを共沸留去し、樹脂固形分が56.9%の橙色透明トルエン溶液としてフェノール樹脂No.2を得た(収量295g、Mw=6590、Mn=1480)。
【0102】
<ステップ2>エポキシ樹脂No.2の製造
ステップ1で得られたフェノール樹脂No.2のトルエン溶液の150g、エピクロロヒドリン323g、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.995gを仕込み、74℃で15時間撹拌した。60℃まで冷却し、19000Paの減圧下、48%水酸化ナトリウム水溶液77.2gをゆっくり滴下し、水、トルエンと共沸してくるエピクロロヒドリンを系内に戻しながら2.5時間撹拌した。常圧でトルエン250gを加えながらエピクロロヒドリンを共沸留去し、さらにトルエン520gを加え、水200gで二回洗浄した。このトルエン溶液に6.97gの48%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、78℃で2.5時間攪拌した。この溶液を水200gで一回、10%リン酸二水素ナトリウム水溶液200gで二回、再び水200gで二回洗浄し、セライトで濾過して、溶媒を留去してエポキシ樹脂No.2を得た(収量84.5g、Mw=5510、Mn=1500、エポキシ当量(固形分)=266)。尚、エポキシ樹脂No.2は、フェノール化合物a−1の1.00当量に対し、0.700当量の化合物b−2を反応させて得られる構造を有するものである。
【0103】
〔実施例3〕フェノール樹脂No.3及びエポキシ樹脂No.3の製造
<ステップ1>フェノール樹脂No.3の製造
フェノール化合物a−1の200g、p−クレゾール40.7g(以下フェノール化合物a−2ともいう)、化合物b−1の54.3g、p−トルエンスルホン酸一水和物1.27g、及びメチルイソブチルケトン600gを仕込み、88〜90℃で6時間加熱還流した。水200g一回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液200gで二回、再び水200gで二回洗浄した。メチルイソブチルケトン550gを減圧留去した後、トルエン230gを加えながらメチルイソブチルケトンを共沸留去し、樹脂固形分が56.8%の橙色透明トルエン溶液としてフェノール樹脂No.3を得た(収量422g、Mw=1510、Mn=940)。
【0104】
<ステップ2>エポキシ樹脂No.3の製造
ステップ1で得られたフェノール樹脂No.3のトルエン溶液の100g、エピクロロヒドリン424g、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロリド1.31gを仕込み、74℃で15時間撹拌した。60℃まで冷却し、19000Paの減圧下、48%水酸化ナトリウム水溶液95.5gをゆっくり滴下し、水、トルエンと共沸してくるエピクロロヒドリンを系内に戻しながら2.5時間撹拌した。常圧でトルエン250gを加えながらエピクロロヒドリンを共沸留去し、さらにトルエン520gを加え、水200gで二回洗浄した。このトルエン溶液に0.590gの48%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、78℃で2.5時間撹拌した。この溶液を水200gで一回、10%リン酸二水素ナトリウム水溶液200gで二回、再び水200gで二回洗浄し、セライトで濾過して、溶媒を留去してエポキシ樹脂No.3を得た(収量66.3g、Mw=1640、Mn=970、エポキシ当量(固形分)=215)。尚、エポキシ樹脂No.3は、フェノール化合物a−1の1.00当量及びフェノール化合物a―2の0.818当量に対し、1.46当量の化合物b−1を反応させて得られる構造を有するものである。
【0105】
〔実施例4〕フェノール樹脂No.4及びエポキシ樹脂No.4の製造
<ステップ1>フェノール樹脂No.4の製造
フェノール化合物a−1の218g、ベンズアルデヒド(以下化合物b−3ともいう)42.5g、p−トルエンスルホン酸一水和物10.7g、及びγ−ブチロラクトン450gを仕込み、170℃で6時間加熱還流した。γ−ブチロラクトン400gを減圧留去した後、トルエン520gを加え、水200gで一回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液200gで二回、再び水200gで二回洗浄し、樹脂固形分が59.0%の赤褐色透明トルエン溶液としてフェノール樹脂No.4を得た(収量370g、Mw=1000、Mn=680)。
【0106】
<ステップ2>エポキシ樹脂No.4の製造
ステップ1で得られたフェノール樹脂No.4のトルエン溶液の150g、エピクロロヒドリン262g、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.806gを仕込み、74℃で15時間撹拌した。60℃まで冷却し、19000Paの減圧下、48%水酸化ナトリウム水溶液59.0gをゆっくり滴下し、水、トルエンと共沸してくるエピクロロヒドリンを系内に戻しながら2.5時間撹拌した。常圧でトルエン150gを加えながらエピクロロヒドリンを共沸留去し、さらにトルエン520gを加え、水200gで二回洗浄した。このトルエン溶液に0.510gの48%水酸化ナトリウム水溶液を仕込み、78℃で2.5時間撹拌した。この溶液を水200gで一回、10%リン酸二水素ナトリウム水溶液200gで二回、再び水200gで二回洗浄し、セライトで濾過して、溶媒を留去してエポキシ樹脂No.4を得た(収量66.0g、Mw=1050、Mn=650、エポキシ当量(固形分)=400)。尚、エポキシ樹脂No.4は、フェノール化合物a−1の1.00当量に対して、0.798当量の化合物b−3を反応させて得られる構造を有するものである。
【0107】
〔実施例5〜8及び比較例1〕エポキシ樹脂(B)の硬化物の調製並びに誘電正接及び比誘電率の測定
実施例1〜4で得られたエポキシ樹脂No.1〜No.4及び比較エポキシ樹脂No.5としてエピコート154(ジャパンエポキシレジン社製)、硬化剤として無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、トリフェニルホスフィン(TPP)、及びトルエンを〔表1〕に示す配合で混合して硬化性組成物No.1〜No.5を得た。ガラス基板上に該硬化性組成物を塗布し、100℃で1時間、130度で1時間、160で1時間硬化させ、硬化物の誘電正接及び比誘電率を測定した。これらの結果を〔表1〕に示す。〔表1〕中の配合量は質量部を表す。尚、該硬化性組成物は、エポキシ樹脂No.1〜No.4及び比較エポキシ樹脂No.1に含まれるエポキシ基1個に対し、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸1個の割合で含むものである。
【0108】
【表1】

【0109】
実施例5〜8の硬化性組成物は、20Hzにおける誘電正接及び比誘電率が低く、優れた電気特性を有していた。
それに比べて、比較例1の硬化性組成物は、20Hzにおける誘電正接及び比誘電率が高く、電気特性が思わしくなかった。
【0110】
〔実施例9〕アルカリ現像性樹脂組成物No.1の製造
エポキシ樹脂No.1の20.3g、アクリル酸(化合物c)4.42g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.109g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.074g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート45.9gを仕込み120℃で22時間撹拌した。室温まで冷却し、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(化合物d)4.38g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート8.13gを加え100℃で2時間撹拌し、樹脂固形分が36.1%のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.1を得た(収量80.3g、Mw=6800、Mn=2630、酸価(固形分)66mg・KOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.1が含有する反応生成物(光重合性不飽和化合物)は、(B)成分であるエポキシ樹脂No.1のエポキシ基1個に対し、(C)成分である化合物cのカルボキシル基が1.0個となる比率で付加させた構造を有するエポキシ付加物に、(D)成分である化合物dを上記エポキシ付加物の水酸基1個に対し、酸無水物構造が0.48個となる比率でエステル化させて得られる構造を有するものである。
【0111】
〔実施例10〕アルカリ現像性樹脂組成物No.2の製造
エポキシ樹脂No.2の15.3g、アクリル酸(化合物c)4.21g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.104g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.089g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート36.2gを仕込み120℃で18時間撹拌した。室温まで冷却し、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(化合物d)3.22g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート5.98gを加え100℃で2時間撹拌し、樹脂固形分が36.4%のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.2を得た(収量60.7g、Mw=10100、Mn=2400、酸価(固形分)63mg・KOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.2が含有する反応生成物(光重合性不飽和化合物)は、(B)成分であるエポキシ樹脂No.2のエポキシ基1個に対し、(C)成分である化合物cのカルボキシル基が1.0個となる比率で付加させた構造を有するエポキシ付加物に、(D)成分である化合物dを上記エポキシ付加物の水酸基1個に対し、酸無水物構造が0.37個となる比率でエステル化させて得られる構造を有するものである。
【0112】
〔実施例11〕アルカリ現像性樹脂組成物No.3の製造
エポキシ樹脂No.3の16.2g、アクリル酸(化合物c)5.54g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.136g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.065g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート40.3gを仕込み120℃で15時間撹拌した。室温まで冷却し、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(化合物d)3.67g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート6.81gを加え100℃で2時間撹拌し、樹脂固形分が37.4%のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.3を得た(収量69.1g、Mw=2700、Mn=1300、酸価(固形分)62mg・KOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.3が含有する反応生成物(光重合性不飽和化合物)は、(B)成分であるエポキシ樹脂No.3のエポキシ基1個に対し、(C)成分である化合物cのカルボキシル基が1.0個となる比率で付加させた構造を有するエポキシ付加物に、(D)成分である化合物dを上記エポキシ付加物の水酸基1個に対し、酸無水物構造が0.32個となる比率でエステル化させて得られる構造を有するものである。
【0113】
〔実施例12〕アルカリ現像性樹脂組成物No.4の製造
エポキシ樹脂No.4の11.9g、アクリル酸(化合物c)2.18g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.054g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.042g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート38.1gを仕込み120℃で15時間撹拌した。室温まで冷却し、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸(化合物d)3.00gを加え100℃で2時間撹拌し、樹脂固形分が32.6%のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.4を得た(収量50.0g、Mw=1900、Mn=1000、酸価(固形分)84mg・KOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.4が含有する反応生成物(光重合性不飽和化合物)は、(B)成分であるエポキシ樹脂No.4のエポキシ基1個に対し、(C)成分である化合物cのカルボキシル基が1.0個となる比率で付加させた構造を有するエポキシ付加物に、(D)成分である化合物dを上記エポキシ付加物の水酸基1個に対し、酸無水物構造が0.66個となる比率でエステル化させて得られる構造を有するものである。
【0114】
〔比較例2〕比較アルカリ現像性樹脂組成物No.5の製造
エピコート157S65(ジャパンエポキシレジン社製)50.0g、アクリル酸17.8g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.483g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.204g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート55.5gを仕込み120℃で30時間撹拌した。室温まで冷却し、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸12.4g、及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート70.4gを加え100℃で2時間撹拌し、樹脂固形分が38.0%のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.5を得た(収量204g、Mw=4440、Mn=1940、酸価(固形分)64mg・KOH/g)。
【0115】
〔比較例3〕比較アルカリ現像性樹脂組成物No.6
エピコート154(ジャパンエポキシレジン社製)50.0g、アクリル酸20.9g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.513g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.213g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート58.0gを仕込み120℃で15時間撹拌した。室温まで冷却し、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸12.8g、及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート73.7gを加え100℃で2時間撹拌し、樹脂固形分が38.0%のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.6を得た(収量214g、Mw=2620、Mn=1410、酸価(固形分)62mg・KOH/g)。
【0116】
〔実施例13〜16(実施例9〜12で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜No.4をそれぞれ含有するアルカリ現像性感光性樹脂組成物No.1〜No.4の調製)並びに比較例4及び5(比較例2及び3で得られた比較アルカリ現像性樹脂組成物No.5及びNo.6をそれぞれ含有する比較アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.6及びNo.7の調製)〕
実施例9〜12で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜No.4並びに比較例2及び3で得られた比較アルカリ現像性樹脂組成物No.5及びNo.6の44gに対し、それぞれ、トリメチロールプロパントリアクリレート6.3g、ベンゾフェノン2.1g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート78gを加えてよく撹拌し、アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.1〜No.4並びに比較アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.5及びNo.6を得た。
【0117】
上記実施例13〜16で調製したアルカリ現像性感光性樹脂組成物No.1〜No.4、並びに比較例4及び5で調製した比較アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.5及びNo.6の評価を以下のようにして行った。
すなわち、基板上にγ−グリシドキシプロピルメチルエトキシシランをスピンコートして良くスピン乾燥させた後、上記アルカリ現像性感光性樹脂組成物をスピンコート(1300r.p.m、50秒間)し乾燥させた。70℃で20分間プリベークを行った後、ポリビニルアルコール5%溶液をコートして酸素遮断膜とした。70℃20分間の乾燥後、所定のマスクを用い、光源として超高圧水銀ランプを用いて露光後、2.5%炭酸ナトリウム溶液に25℃で30秒間浸漬して現像し、良く水洗した。水洗乾燥後、230℃で1時間ベークしてパターンを定着させた。得られたパターンについて、以下の評価を行った。結果を〔表2〕に示す。
【0118】
<感度>
露光時に、露光量が100mJ/cm2で十分だったものをa、100mJ/cm2では不十分で、130mJ/cm2で露光したものをb、130mJ/cm2では不十分で、160mJ/cm2で露光したものをcとした。
<解像度>
露光現像時に、線幅10μm以下でも良好にパターン形成できたものをA、線幅10〜30μmであれば良好にパターン形成できたものをB、線幅30μm以上のものでないと良好なパターン形成ができなかったものをCと評価した。
<密着性>
現像して得られたパターンのはがれを目視により観察し、パターンはがれが全く観察されなかったものを○、パターンはがれが一部に観察されたものを×とした。
【0119】
【表2】

【0120】
実施例13〜16のアルカリ現像性感光性樹脂組成物No.1〜No.4及び実施例17の着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.5は、高感度で解像度及び密着性に優れるものであった。
これに対して、比較例4及び5の比較アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.5及びNo.6は、感度が低いため露光量を多くせざるを得ず、解像度が低下し、線幅30μm以上でないと形成できず、また、密着性も思わしくなかった。
【0121】
〔実施例17〜19(実施例9〜11で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜No.3をそれぞれ含有する着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.7〜No.9の調製)並びに比較例6及び7(比較例2及び3で得られた比較アルカリ現像性樹脂組成物No.5及びNo.6をそれぞれ含有する比較着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.10及びNo.11の調製)〕
実施例9〜11で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜No.3並びに比較例2及び3で得られた比較アルカリ現像性樹脂組成物No.5及びNo.6の44gに対し、それぞれ、トリメチロールプロパントリアクリレート8.0g、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド1.8g、色材としてMA100(カーボンブラック、三菱化学社製)3.2g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート75gを加えてよく撹拌し、着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.7〜No.9並びに比較着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.10及びNo.11を得た。
【0122】
上記実施例17〜19で調製した着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.7〜No.9並びに比較例6及び7で調製した比較アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.10及びNo.11の評価を上記アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.1〜4と同様にして行った。結果を〔表3〕に示す。
【0123】
【表3】

【0124】
実施例17〜19の着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.7〜No.9は、高感度で解像度、密着性に優れるものであった。
これに対して、比較例6及び7の比較着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物No.10及びNo.11は、感度が低いため露光量を多くせざるを得ず、解像度が低下し、線幅30μm以上でないと形成できず、また、密着性も思わしくなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される化合物と、アルデヒド化合物又はその誘導体とを反応させて得られる構造を有するフェノール樹脂(A1)。
【化1】

(式中、Cyは炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、R1は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数2〜10のアシル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を示し、Xはフェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、前記のアルキル基、アルケニル基、アシル基、シクロアルキル基、フェニル基、アリール基又はアリールアルキル基は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基若しくはハロゲン原子により置換されていてもよく、Y及びZは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を示し、該アルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、kは0又は1の数であり、pは0〜(5−k)の数であり、rは0〜4の数である。)
【請求項2】
上記一般式(I)で表される化合物と下記一般式(II)で表される化合物とを反応させて得られる構造を有するフェノール樹脂(A2)。
【化2】

(式中、Gはm価の結合基を示し、mは、2〜4の数である。)
【請求項3】
上記一般式(I)で表される化合物、下記一般式(III)又は(III')で表される化合物及びアルデヒド化合物又はその誘導体を反応させて得られる構造を有するフェノール樹脂(A3)。
【化3】

(上記一般式(III)中、R2は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数2〜10のアシル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を示し、R3は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基又は炭素原子数7〜12のアリールアルキル基を示し、隣接するR3は、互いに環構造を形成していてもよく、sは1〜5の数である。上記一般式(III')中、R8及びR9は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基又は炭素原子数7〜12のアリールアルキル基を示し、pは1〜4の数であり、qは1〜3の数である。)
【請求項4】
上記一般式(I)中、Cyがシクロヘキシル基であり、Xがフェニル基であり、p及びrが0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフェノール樹脂(A)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のフェノール樹脂(A)のフェノール性水酸基をグリシジルエーテル化させて得られるエポキシ樹脂(B)。
【請求項6】
請求項5記載のエポキシ樹脂(B)に不飽和一塩基酸(C)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(D)をエステル化させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(X)を含有することを特徴とするアルカリ現像性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項5記載のエポキシ樹脂(B)に不飽和一塩基酸(C)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(D)をエステル化させて得られる構造を有する反応生成物に、さらにエポキシ化合物(E)を付加させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(Y)を含有することを特徴とするアルカリ現像性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項5記載のエポキシ樹脂(B)に不飽和一塩基酸(C)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に、多塩基酸無水物(D)をエステル化させて得られる構造を有する反応生成物に、エポキシ化合物(E)を付加させ、さらに多塩基酸無水物(F)をエステル化させて得られる構造を有する光重合性不飽和化合物(Z)を含有することを特徴とするアルカリ現像性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のアルカリ現像性樹脂組成物に光重合開始剤(G)を含有させることを特徴とするアルカリ現像性感光性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項9記載のアルカリ現像性感光性樹脂組成物に、さらに色材(H)を含有させることを特徴とする着色アルカリ現像性感光性樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−208312(P2008−208312A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49078(P2007−49078)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】