説明

フォトレジスト膜のリワーク方法

【課題】より簡単かつ低コストで行うことができ、しかも、その後、より確実に良好なレジストパターンを形成することのできるフォトレジスト膜のリワーク方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、第1の反射防止用ケイ素樹脂膜、その上にフォトレジスト膜を順次形成した基板のフォトレジスト膜をリワークする方法であって、少なくとも、溶剤で前記第1のケイ素樹脂膜を残したまま前記フォトレジスト膜を除去し、該ケイ素樹脂膜の上に第2の反射防止用ケイ素樹脂膜を形成し、該第2のケイ素樹脂膜の上に、再びフォトレジスト膜を形成することを特徴とするフォトレジスト膜のリワーク方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止用ケイ素樹脂膜、その上にフォトレジスト膜を順次形成した基板のフォトレジスト膜をリワークする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光を用いたリソグラフィーにおいては、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。
【0003】
レジストパターン形成の際に使用するリソグラフィー用の光源として、水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられているが、更なる微細化のための手段として、露光光を短波長化する方法が有効とされてきた。このため、例えば64MビットDRAM加工方法の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(例えば、加工寸法が0.13μm以下)を必要とする集積度1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、特にArFエキシマレーザー(193nm)を用いたリソグラフィーが検討されてきている。
【0004】
このようなリソグラフィー技術を用いて基板にパターンを形成する方法として、多層レジストプロセスがある。
例えば、ハレーションや定在波などの影響でレジストパターンが劣化するのを防ぐために、基板とフォトレジスト膜の間に、反射防止膜(Anti−Reflecting Coating)を設ける方法が知られている。
【0005】
さらに、段差のある基板に高アスペクト比のパターンを形成するために、基板の上に、有機膜、その上にケイ素含有膜、さらにその上にフォトレジスト膜を順次設けた基板を用いる方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。解像度の観点からは、フォトレジスト膜は薄い方が望ましい。一方、基板段差の埋め込み特性の観点や基板エッチング耐性の観点からは、フォトレジスト膜は厚い方が望ましい。そこで、上記のように3層とすることで、基板段差の埋め込み特性やドライエッチング耐性の高い層と、解像度の高い層とに分けることができ、段差のある基板に高アスペクト比のパターンを形成することができる。
ここで、ケイ素含有膜としては、例えばスピオングラス(SOG)膜を挙げることができ、多くのSOG膜が提案されている。
【0006】
そして、このような基板を用いて基板にパターンを形成するためには、先ず、フォトレジスト膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像してフォトレジスト膜にレジストパターンを形成する。さらに、フォトレジスト膜をマスクにして反射防止膜あるいはSOG膜にパターンを形成する。このようにしてレジストパターンを次々と転写し、最終的に、基板にパターンを形成する。
【0007】
しかしながら、レジスト液塗布時のストリエーションや露光後のレジストパターンにずれが生じるなど、レジストパターンの形成に失敗することがある。このような場合に、レジストパターンがずれたままで、基板にまでパターンを転写してしまうと、基板自体が不良となるとともにそこまでの時間と労力が無駄になる。
【0008】
そこで、このような場合、レジストパターンにずれが生じるなどしたフォトレジスト膜とその下の反射防止膜あるいはSOG膜を除去し、再び、反射防止膜あるいはSOG膜を形成し、さらにその上にフォトレジスト膜を形成する、所謂、フォトレジスト膜のリワークが行われている。
ところが、このような従来のフォトレジスト膜のリワーク方法は、煩雑で、しかもコストがかさむという問題があった。
また、リワーク後のフォトレジスト膜にレジストパターンを形成しても、良好なレジストパターンを得ることのできない場合もあった。
【0009】
【非特許文献1】J.Vac.Sci.Technol.,16(6),Nov./Dec.1979
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、より簡単かつ低コストで行うことができ、しかも、その後、より確実に良好なレジストパターンを形成することのできるフォトレジスト膜のリワーク方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、少なくとも、第1の反射防止用ケイ素樹脂膜、その上にフォトレジスト膜を順次形成した基板のフォトレジスト膜をリワークする方法であって、少なくとも、溶剤で前記第1のケイ素樹脂膜を残したまま前記フォトレジスト膜を除去し、該ケイ素樹脂膜の上に第2の反射防止用ケイ素樹脂膜を形成し、該第2のケイ素樹脂膜の上に、再びフォトレジスト膜を形成することを特徴とするフォトレジスト膜のリワーク方法を提供する(請求項1)。
【0012】
このように、溶剤で第1のケイ素樹脂膜を残したままフォトレジスト膜を除去し、再びフォトレジスト膜を形成するようにすれば、第1のケイ素樹脂膜は除去しなくてすむので、従来と比べてより簡単かつ低コストでフォトレジスト膜をリワークすることができる。しかも、フォトレジスト膜を除去後、第1のケイ素樹脂膜の上に第2の反射防止用ケイ素樹脂膜を形成することで、ケイ素樹脂膜表面を綺麗な状態にすることができる。そして、このような綺麗な状態のケイ素樹脂膜表面にフォトレジスト膜を再び形成することで、フォトレジスト膜に、より確実に良好なレジストパターンを形成することができる。
【0013】
そして、本発明のフォトレジスト膜のリワーク方法では、前記第1及び第2の反射防止用ケイ素樹脂膜を、ケイ素樹脂の側鎖とケイ素樹脂の側鎖間、ケイ素樹脂の側鎖とケイ素樹脂のシラノール基間のいずれか1以上で架橋を形成しているものとするのが好ましい(請求項2)。そして、この場合、前記第1及び第2のケイ素樹脂膜の架橋は、ケイ素樹脂の側鎖の架橋可能な水酸基、エポキシ基のいずれか1以上により形成されているものとするのが好ましい(請求項3)。
【0014】
第1及び第2の反射防止用ケイ素樹脂膜が、このようにケイ素樹脂の側鎖とケイ素樹脂の側鎖間、ケイ素樹脂の側鎖とケイ素樹脂のシラノール基間のいずれか1以上で架橋を形成しているものであれば、このケイ素樹脂膜の上に再形成したフォトレジスト膜にレジストパターンを形成したときに、より良好なレジストパターンを得ることができる。
【0015】
また、本発明のフォトレジスト膜のリワーク方法では、前記フォトレジスト膜をリワークする基板は、前記第1のケイ素樹脂膜の下に、有機膜を形成したものとすることができる(請求項4)。
【0016】
近年、有機膜の上に、反射防止用ケイ素樹脂膜、さらにその上にフォトレジスト膜を順次形成した基板を用いて基板にパターンを形成する方法の開発が進められている。本発明のフォトレジスト膜のリワーク方法は、このような基板のフォトレジスト膜をリワークするのに用いることができる。
【0017】
また、本発明は、少なくとも、前記本発明のリワーク方法により第2のケイ素樹脂膜の上に再びフォトレジスト膜を形成した後、該フォトレジスト膜にレジストパターンを形成し、該レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記第1及び第2のケイ素樹脂膜にパターンを形成し、該パターンが形成された第1及び第2のケイ素樹脂膜をマスクにして前記基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法を提供する(請求項5)。また、有機膜がある場合は、本発明は、少なくとも、前記本発明のリワーク方法により第2のケイ素樹脂膜の上に再びフォトレジスト膜を形成した後、該フォトレジスト膜にレジストパターンを形成し、該レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記第1及び第2のケイ素樹脂膜にパターンを形成し、該パターンが形成された第1及び第2のケイ素樹脂膜をマスクにして前記有機膜にパターンを形成し、該パターンが形成された有機膜をマスクにして前記基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法を提供する(請求項6)。
【0018】
レジストパターンがずれたときなどに、本発明のリワーク方法により溶剤で第1のケイ素樹脂膜を残したままフォトレジスト膜を除去し、該ケイ素樹脂膜の上に第2の反射防止用ケイ素樹脂膜を形成し、該第2のケイ素樹脂膜の上に、再びフォトレジスト膜を形成するようにすれば、レジストパターンがずれたままで、基板にまでパターンを転写してしまうのを避けることができる。そのため、高品質の基板が得られるとともに、そこまでの時間と労力をそれほど無駄にするということがなく、コストも低く抑えられる。
【0019】
また、本発明は、前記本発明のパターン形成方法でパターンを形成した基板を提供する(請求項7)。
【0020】
前記本発明のパターン形成方法で基板にパターンを形成するようにすれば、リワークされたものであって、高精度のパターンが形成された基板を歩留り良く製造することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、溶剤で第1のケイ素樹脂膜を残したままフォトレジスト膜を除去し、該ケイ素樹脂膜の上に第2の反射防止用ケイ素樹脂膜を形成し、該第2のケイ素樹脂膜の上に、再びフォトレジスト膜を形成するので、より簡単かつ低コストでフォトレジスト膜のリワークを行うことができ、しかも、リワーク後のフォトレジスト膜に、より確実に良好なレジストパターンを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について、さらに詳しく説明する。
前述のように、従来、レジストパターンにずれなどが生じた場合、フォトレジスト膜をリワークするのに、フォトレジスト膜とその下の反射防止膜等を全て除去し、再び、反射防止膜等を形成し、さらにその上にフォトレジスト膜を形成していた。これに習い、反射防止用ケイ素樹脂膜、その上にフォトレジスト膜を順次形成した基板の場合にも、フォトレジスト膜をリワークするのに、ケイ素樹脂膜とフォトレジスト膜の両方を除去し、再び、ケイ素樹脂膜とフォトレジスト膜を形成し直すのが常識として行われていた。
また、リワーク後のフォトレジスト膜にレジストパターンを形成しても、良好なレジストパターンを得ることのできない場合もあった。
【0023】
本発明者らは、このように煩雑でコストのかさむフォトレジスト膜のリワークを、より単純に、より低コストで行うことができ、しかも、リワーク後のフォトレジスト膜により確実に良好なレジストパターンを形成することのできる方法を開発すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、本発明らは、溶剤で第1の反射防止用ケイ素樹脂膜を残したままフォトレジスト膜だけを除去し、該ケイ素樹脂膜の上に第2の反射防止用ケイ素樹脂膜を形成し、該第2のケイ素樹脂膜の上に、再びフォトレジスト膜を形成するようにすれば、従来と比べてより簡単かつ低コストでフォトレジスト膜をリワークすることができ、しかも、リワークしたフォトレジスト膜により確実に良好なレジストパターンを形成することができることに想到し、本発明を完成させた。
【0024】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明のフォトレジスト膜のリワーク方法の一例を示す説明図である。
先ず、フォトレジスト膜のリワークに用いる基板は、レジストパターンの形成に失敗したものなどである(図1(a)参照)。図1(a)の基板10は、有機膜11の上に、第1の反射防止用ケイ素樹脂膜12、その上にフォトレジスト膜13を順次形成した基板であるが、レジストパターンの形成に失敗している。
レジストパターンの形成に失敗したものとは、例えば、パターン寸法が規格の範囲外であったり、パターンずれが生じたもののことである。
【0025】
レジストパターンの寸法変動等は、例えば、予め走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で寸法を確認するダミーパターンや1カセット内に寸法測定用のダミーウエーハを入れておくことで管理する。そして、パターン寸法が規格範囲外であったり、パターンずれが生じたものなど、レジストパターンの形成に失敗したものを抜き出して、フォトレジスト膜をリワークする。
【0026】
次に、溶剤で第1のケイ素樹脂膜12を残したままフォトレジスト膜13を除去する(図1(b)参照)。
フォトレジスト膜を溶解除去するための剥離溶剤は、少なくとも、第1の反射防止用ケイ素樹脂膜上のフォトレジスト膜を、該第1のケイ素樹脂膜を残したまま除去することのできるものであれば良い。そのような溶剤としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、エチル2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−エチル3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert―ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ―ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
尚、溶剤は、取り扱い易さの観点から、引火点が40度以上のものであるのが好ましい。また、単独では引火点が40度以下であっても、2種以上を混合した時に引火点が40度以下であれば、取り扱いが容易になるため好ましく使用できる。
【0027】
次に、第1のケイ素樹脂膜12の上に第2の反射防止用ケイ素樹脂膜14を形成する(図1(c)参照)。
フォトレジスト膜13の除去後、第1のケイ素樹脂膜12の上に、数オングストローム程度のフォトレジスト膜の残渣が見られる場合がある。また、溶剤で、第1のケイ素樹脂膜12の表面がダメージを受ける場合もある。このような場合でも、その上に第2の反射防止用ケイ素樹脂膜14を形成することで、ケイ素樹脂膜表面を綺麗な状態にすることができる。
尚、第1のケイ素樹脂膜と第2のケイ素樹脂膜は、同じ組成のものであっても良いし、異なる組成のものであっても良い。また、形成する第2のケイ素樹脂膜の厚さは、必ずしも第1のケイ素樹脂膜と同様にする必要はなく、第1のケイ素樹脂膜の表面を修復できる程度の厚さがあれば良い。
【0028】
次に、第2のケイ素樹脂膜14の上に、再びフォトレジスト膜13を形成する(図1(d)参照)。
このように、溶剤で第1のケイ素樹脂膜12を残したままフォトレジスト膜13を除去し、再びフォトレジスト膜13を形成するようにすれば、第1のケイ素樹脂膜12は除去しなくてすむので、従来と比べてより簡単かつ低コストでフォトレジスト膜13をリワークすることができる。しかも、フォトレジスト膜13を除去後、第1のケイ素樹脂膜12の上に第2の反射防止用ケイ素樹脂膜14を形成することで、ケイ素樹脂膜表面を綺麗な状態にすることができる。そして、このような綺麗な状態のケイ素樹脂膜表面にフォトレジスト膜13を再び形成することで、フォトレジスト膜13に、より確実に良好なレジストパターンを形成することができる。
【0029】
ここで、基板10、有機膜11、第1の反射防止用ケイ素樹脂膜12、第2の反射防止用ケイ素樹脂膜14、フォトレジスト膜13について説明する。
有機膜11は、基板10上にスピンコート法などで形成する。この有機膜は、基板10をエッチングするときのマスクとして作用するので、エッチング耐性が高いことが望ましく、上層の反射防止用ケイ素樹脂膜12とミキシングしないことが求められるので、スピンコート等で塗布した後に熱あるいは酸によって架橋することが望ましい。
【0030】
また、第1の反射防止用ケイ素樹脂膜12、第2の反射防止用ケイ素樹脂膜14も、有機膜11と同様にスピンコート法などで有機膜11等の上に塗布して形成することが可能である。スピンコートなどで塗布後、有機溶剤を蒸発し、上層となるフォトレジスト膜13等とのミキシング防止のため、ベークして架橋反応を促進させることが望ましい。ベーク温度は80〜300℃の範囲内で、ベーク時間は10秒から300秒の範囲内が好ましく用いられる。
【0031】
さらに、第1の反射防止用ケイ素樹脂膜12あるいは第2の反射防止用ケイ素樹脂膜14を形成した後、その上にフォトレジスト膜13を形成するが、有機膜11等の形成時と同様にスピンコート法が好ましく用いられる。フォトレジスト膜材料をスピンコート法などで塗布後、プリベークを行うのが好ましい。プリベーク条件としては、80℃から180℃の温度範囲で10秒から300秒の時間範囲が好ましい。
【0032】
第1及び第2の反射防止用ケイ素樹脂膜としては、ケイ素樹脂の側鎖とケイ素樹脂の側鎖間、ケイ素樹脂の側鎖とケイ素樹脂のシラノール基間のいずれか1以上で架橋を形成しているものが挙げられる。そして、この場合、第1及び第2のケイ素樹脂膜の架橋は、ケイ素樹脂の側鎖の架橋可能な水酸基、エポキシ基のいずれか1以上により形成されているものとするのが好ましい。
【0033】
このようなケイ素樹脂は、例えば、下記一般式(1)で示されるケイ素含有化合物の1種又は2種以上の混合物を加水分解、縮合して得ることができる。
【0034】
【化1】

(上記式中、R1aは炭素−酸素単結合、炭素−酸素二重結合のうち少なくとも1つを有する有機基であり、Rは光吸収基を有する1価の有機基であり、Xは同一又は異種のハロゲン原子、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数1〜6のアルキルカルボニルオキシ基である。mとnは各々0〜3の整数であって、0<(4−m−n)≦4の関係を満足する。)
【0035】
一般式(1)で示されるケイ素含有化合物から得られるケイ素樹脂の好ましい質量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)に基づく測定でポリスチレン換算で500〜100万、より好ましくは1000〜50万である。
【0036】
一般式(1)中の炭素−酸素単結合、炭素−酸素二重結合のうち少なくとも1つを有する有機基は、好ましくは炭素数2〜30であり、さらに好ましくは、エポキシ基とエステル基とアルコキシ基とヒドロキシ基から選ばれる一種以上の有機基である。有機基は、炭素を含む基の意味であり、水素、窒素、硫黄等を含んでもよい。一般式(1)中の炭素−酸素単結合、炭素−酸素二重結合のうち少なくとも1つを有する有機基は、例として次のものを挙げることができる。
【0037】
(P−Q−(S)v1−Q−)−(T)v2−Q−(S)v3−Q
(上記式中、Pは水素原子、ヒドロキシル基、エポキシ環(OCHCH−)、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数1〜6のアルキルカルボニル基であり、QとQとQとQは各々独立して−C2q−(式中、Pは上記と同様であり、pは0〜3の整数であり、qは0〜10の整数である。)、uは0〜3の整数であり、SとSは各々独立して−O−、−CO−、−OCO−、−COO−又はOCOOを表す。v1、v2、v3は、各々独立して0又は1を表す。これらとともに、Tの例を以下に示す。TにおいてQとQと結合する位置は、特に限定されないが、立体的な要因による反応性や反応に用いる市販試薬の入手性等を考慮して適宜選択できる。)
【0038】
【化2】

【0039】
一般式(1)中の炭素−酸素単結合、炭素−酸素二重結合のうち少なくとも1つを有する有機基の好ましい例として、以下のものが挙げられる。なお、下記式中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した。
【0040】
【化3】

【0041】
【化4】

【0042】
次に、一般式(1)中の光吸収基は、波長150〜300nmの間で吸収を有する基であり、好ましくは、アントラセン環、ナフタレン環、ベンゼン環のいずれか1以上を含むものである。又は、これらの環に一個以上の置換基があってもよい。置換基としては炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアシロキシ基又は炭素数1〜6のアセタール基が好ましく、より好ましくは、メチル基、メトキシ基、t−ブトキシ基、t−アミロキシ基、アセトキシ基、1−エトキシエトキシ基等である。この例を以下に挙げることができる。
【0043】
【化5】

【0044】
上記光吸収基のメトキシ基、アセトキシ基、アセタール基は、重合中あるいは重合後脱保護化して、ヒドロキシ基にすることも可能である。
特に波長200nm以下のリソグラフィ用には、上記光吸収基がべンゼン環を含むものであることが好ましい。
【0045】
また、上記芳香族系の光吸収基の他に、Si−Si結合を持つ光吸収基を用いることもできる。具体的には下記のものを挙げることができる。
【0046】
【化6】

【0047】
第1及び第2の反射防止用ケイ素樹脂膜のケイ素樹脂は、一般式(1)で示されるケイ素含有化合物(モノマー)を加水分解による共縮合を行うことで合成することができる。
加水分解反応における水の量は、モノマー1モル当たり0.2〜10モルを添加することが好ましい。この時に、触媒を用いることもでき、酢酸、プロピオン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、マロン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、塩酸、硫酸、硝酸、スルホン酸、メチルスルホン酸、トシル酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの塩基、テトラアルコキシチタン、トリアルコキシモノ(アセチルアセトナート)チタン、テトラアルコキシジルコニウム、トリアルコキシ
モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウムなどの金属キレート化合物を挙げることができる。
【0048】
反応操作としては、有機溶媒に水及び触媒を溶解させ、そこにモノマーを添加してもよい。このとき、モノマーは有機溶媒で希釈してもおいてもよい。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後40〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0049】
別の操作としては、有機溶媒に水分を含まない触媒を溶解させ、そこに水又は有機溶媒で希釈した水を添加しても良い。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。モノマーの滴下時に10〜50℃に加熱し、その後40〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
有機溶媒としては、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル及びこれらの混合物などが好ましい。
【0050】
その後、上記の水に難溶又は不溶の有機溶媒を添加し、有機溶媒層を分別、水洗して加水分解縮合に使用した触媒を除去する。このとき、必要に応じて触媒を中和してもよい。
【0051】
有機溶媒としては、水に難溶あるいは不溶のものが好ましく、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert―ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート、γ―ブチルラクトン及びこれらの混合物などが好ましい。
【0052】
その後、有機溶媒層を分別し脱水する。水分の残存は、残存したシラノールの縮合反応を進行させるため、十分に行う必要がある。硫酸マグネシウムなどの塩やモレキュラーシーブによる吸着法や、溶媒を除去しながらの共沸脱水法が好ましく挙げられる。
【0053】
また、別の操作方法として、モノマーの加水分解縮合に用いる有機溶媒として、水に難溶あるいは不溶のものを使用することもできる。例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert―ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート、γ―ブチルラクトン及びこれらの混合物などが好ましい。
【0054】
モノマーをこの有機溶媒に溶解させ、水を添加し加水分解反応を開始させる。
触媒は水に添加していても良いし、有機溶媒中に添加しておいても良い。反応温度は0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。水の滴下時に10〜50℃に加熱し、その後40〜80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0055】
このときの反応条件を調整することにより、末端がSi−OH及び/又はSi−ORになっているケイ素原子の割合が0.1〜50モル%となるシリコーン樹脂を得ることができる。このときの末端基は29Si−NMRを使用することで簡単に求めることができる。末端がSi−OH及び/又はSi−ORになっているケイ素原子の割合をA(モル%)とすると、下記の式となる。
【0056】
【数1】

【0057】
ここで、Q,Q,Q,Qは4官能Si原子が形成しているシロキサン結合の数、T,T,Tは3官能Si原子が形成しているシロキサン結合の数、D,Dは2官能Si原子が形成しているシロキサン結合の数を表す。それぞれの結合の量は29Si−NMRのピーク値を積分したものを使用して計算する。
【0058】
このとき、Aが0.1モル%以下では、樹脂の架橋に使用される末端SiOH、SiORの数が少なすぎて、塗布膜が十分に硬化しきれず、次工程で使用されるレジストとのインターミキシングが発生し、矩形性のよいレジストパターンを得ることができない場合がある。一方、Aが50モル%以上あると、縮合が不十分であり、強度的に弱い塗布膜しか得られず、レジストパターンの倒れなどが発生して好ましくない場合がある。
【0059】
更に、Aが0.1モル%以上50モル%以下の間であり、Si−OHとSi−ORの比率が所定の割合であれば、より十分に硬化した塗布膜を得ることができる。すなわち、さらに好ましくは、Si−OH/Si−OR=(100/0)〜(20/80)の割合とする。このとき、−SiOH/−SiORの比率は、13C−NMRを用いてSi原子のα位の炭素原子1個当りの積分強度(B)を内部標準として用いて求めることができる。即ち、−SiORのRをRx−CHとすると−SiO−Rxとなり、下線部の炭素原子の積分強度の比からSi−OR量(B)を求める。
【0060】
29Si−NMRでは、Si−OH及びSi−ORの合算量(C)が求まるので、SiOHとSiORの比率は、Si−OH/Si−OR=(C−B)/Bとなる。
Si−OH/Si−OR=20/80よりSi−ORの割合が少なければ、Si−OH同士の縮合やSi−OHとSi−OR間での縮合が容易に進行し、十分な強度があり、インターミキシングのほとんど発生しない塗布膜を得ることができる。
【0061】
更に、炭素−酸素結合を含有する有機基にエポキシ基が含まれている場合、ケイ素樹脂(シリコーン樹脂)を形成した後、変性反応させることにより種類の異なる炭素−酸素結合を有する有機基を持つ変性ケイ素樹脂(シリコーン樹脂)に変換することができる。変性ケイ素樹脂(シリコーン樹脂)の繰り返し単位の例を以下に挙げる。
【0062】
【化7】

【0063】
ここで、Y、Zは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜8のアルキルカルボニル基、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジエチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基などを例示することができる。
【0064】
もとのケイ素樹脂からの変換は、一般に知られている方法で可能である。例えば、酸、アルカリ又は4級アンモニウム触媒の存在下でアルコール類やカルボン酸類とを加熱することにより変性ケイ素樹脂に容易に変換することができる。また、カルボン酸類との反応では、カルボン酸自身が触媒となるので、触媒を添加する必要がない。
【0065】
このとき使用される酸触媒として、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、過塩素酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、マロン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸などの酸を使用することができる。またアルカリ触媒としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジエチルアミン、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの塩基、四級アンモニウム触媒として塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム等を挙げることができる。
【0066】
このようにして得られる元のケイ素樹脂及び変性ケイ素樹脂(以下、両者及び両者のブレンド物を含んでケイ素樹脂と呼ぶ。)をブレンドして用いることもできる。このときのブレンド比は、得られる反射防止用ケイ素樹脂膜材料の性能に大きく影響するため、性能が最高になるように任意の割合でブレンドすることができる。得られた混合物中を、加熱、攪拌、超音波照射、混練などの操作での高分子化合物を均一な組成にすると、より好ましい。
【0067】
また、第1及び第2の反射防止用ケイ素樹脂膜材料に用いる有機溶剤としては、ケイ素樹脂(シリコーン樹脂)、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、エチル2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−エチル3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert―ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ―ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジエチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0068】
有機溶剤の使用量は、ケイ素樹脂100質量部に対して400〜500,000質量部、特に500〜100,000質量部が好適である。
【0069】
第1及び第2の反射防止用ケイ素樹脂膜には、熱による架橋反応を更に促進させるために酸発生剤を添加することができる。酸発生剤は、熱分解によって酸を発生するものや、光照射によって酸を発生するものがあるが、いずれのものも添加することができる。
【0070】
添加する酸発生剤としては、
i.下記一般式(P1a−1)、(P1a−2)、(P1a−3)又は(P1b)のオニウム塩、
ii.下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、
iii.下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、
iv.下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、
v.下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、
vi.β−ケトスルホン酸誘導体、
vii.ジスルホン誘導体、
viii.ニトロベンジルスルホネート誘導体、
ix.スルホン酸エステル誘導体
等が挙げられる。
【0071】
【化8】

【0072】
(上記式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。R101d、R101e、R101f、R101gは、R101a、R101b、R101cに水素原子を加えて示される。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基を示す。)
【0073】
上記R101a、R101b、R101c、R101d、R101e、R101f、R101gは、互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルエチル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルエチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−エチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジエチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。
【0074】
-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0075】
(P1a−1)と(P1a−2)は光酸発生剤、熱酸発生剤の両方の効果があるが、(P1a−3)は熱酸発生剤として作用する。
【0076】
【化9】

【0077】
(上記式中、R102aとR102bはそれぞれ独立して炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R104aとR104bはそれぞれ独立して炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【0078】
102aとR102bとして、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルエチル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルエチル基等が挙げられる。
【0079】
103としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。
【0080】
104aとR104bとしては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等が挙げられる。
【0081】
-は、式(P1a−1)、(P1a−2)及び(P1a−3)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0082】
【化10】

【0083】
(上記式中、R105、R106は独立して炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0084】
105とR106のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0085】
105とR106のハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロエチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、メチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジエチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。
【0086】
105とR106のハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
105とR106のアラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0087】
【化11】

【0088】
(上記式中、R107とR108とR109は独立して炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R108とR109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R108とR109はそれぞれ独立して炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R105は、P2で説明したものと同様である。)
【0089】
107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R108、R109のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0090】
【化12】

(上記式中、R101a、R101bは前記と同様である。)
【0091】
【化13】

【0092】
(上記式中、R110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基若しくはアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、又はフェニル基で置換されていてもよい。R111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は置換のアルキル基、アルケニル基若しくはアルコキシアルキル基、フェニル基、又はナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基;炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基;炭素数3〜5のヘテロ芳香族基;又は塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよい。)
【0093】
110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が挙げられ、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が挙げられ、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等が挙げられる。
【0094】
111のアルキル基としては、R101a〜R101cと同様のものが挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジエチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が挙げられ、アルコキシアルキル基としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、ヘプチロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等が挙げられる。
【0095】
なお、更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が挙げられ、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
【0096】
具体的には、オニウム塩として、例えばトリフルオロメタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラn−ブチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラフェニルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリエチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルエチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルエチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジエチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジエチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)エチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[エチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2'−ナフチルカルボニルエチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等が挙げられる。
【0097】
ジアゾメタン誘導体としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0098】
グリオキシム誘導体としては、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−エチル3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−エチル3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジエチルグリオキシム等が挙げられる。
【0099】
ビススルホン誘導体としては、ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロエチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等が挙げられる。
【0100】
β−ケトスルホン誘導体としては、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等が挙げられる。
ジスルホン誘導体としては、ジフェニルジスルホン誘導体、ジシクロヘキシルジスルホン誘導体等のジスルホン誘導体を挙げることができる。
【0101】
ニトロベンジルスルホネート誘導体としては、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等が挙げられる。
【0102】
スルホン酸エステル誘導体としては、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等が挙げられる。
【0103】
N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体としては、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリエチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等が挙げられる。
【0104】
好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルエチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)エチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2'−ナフチルカルボニルエチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、
ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、
ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジエチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、
ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、
N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が用いられる。
【0105】
なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸発生剤の添加量は、ケイ素樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.3〜40質量部である。0.1質量部以上であれば酸発生量が十分であり、架橋反応がより十分になる。また、50重量部以下であれば上層のフォトレジスト膜へ酸が移動することによるミキシング現象が起こる可能性がより小さい。
【0106】
また、第1及び第2の反射防止用ケイ素樹脂膜には、中和剤を添加することもできる。中和剤は、発生した酸が次工程で塗布されるフォトレジスト膜へ拡散していくのを防止するための材料であり、例えば、メチロール基、アルコキシエチル基、アシロキシエチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたエポキシ化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、などを挙げることができる。
【0107】
中和剤のうち、エポキシ化合物を例示すると、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテルなどが例示される。
【0108】
中和剤のうち、メラミン化合物を具体的に例示すると、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1から6個がメトキシエチル化した化合物及びその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシエチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜5個がアシロキシエチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。
【0109】
中和剤のうち、グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシエチル化した化合物及びその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシエチル化した化合物及びその混合物が挙げられる。
【0110】
中和剤のうち、グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシエチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がメトキシエチル基化した化合物、又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がアシロキシエチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。
【0111】
中和剤のうち、ウレア化合物としては、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメトキシエチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜4個のメチロール基がメトキシエチル基化した化合物、又はその混合物などが挙げられる。
中和剤の添加量は、ケイ素樹脂100部(質量部、以下同様)に対して好ましくは0〜50部、より好ましくは0〜40部である。
【0112】
次に、フォトレジスト膜の形成に用いるフォトレジスト膜材料は、公知のものを使用でき、例えば、べース樹脂と有機溶媒と酸発生剤の組み合わせを用いることができる。べース樹脂としては、ポリヒドロキシスチレン及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリメタクリル酸及びその誘導体、ヒドロキシスチレンとアクリル酸とメタクリル酸とそれらの誘導体から選ばれ形成される共重合体、シクロオレフィン及びその誘導体と無水マレイン酸とアクリル酸及びその誘導体から選ばれる3以上の共重合体、シクロオレフィン及びその誘導体とマレイミドとアクリル酸及びその誘導体から選ばれる3以上の共重合体、ポリノルボルネン、及びメタセシス開環重合体からなる一群から選択される1種以上の重合体が挙げられる。なお、ここにいう誘導体は、アクリル酸誘導体にはアクリル酸エステル等、メタクリル酸誘導体にはメタクリル酸エステル等、ヒドロキシスチレン誘導体にはアルコキシスチレン等が含まれるように、主要な骨格が誘導後に残っているものを意味する。
【0113】
特に、KrFエキシマレーザー用のフォトレジスト膜材料としては、ポリヒドロキシスチレン(PHS)、ヒドロキシスチレンとスチレンとアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとマレイミドNカルボン酸エステルとから選ばれて形成される共重合体、ArFエキシマレーザー用のフォトレジスト膜材料としては、ポリアクリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系、ノルボルネンと無水マレイン酸との交互共重合系、テトラシクロドデセンと無水マレイン酸との交互共重合系、ポリノルボルネン系、開環重合によるメタセシス重合系があげられるが、これらの重合系ポリマーに限定されることはない。
【0114】
ポジ型のフォトレジスト膜材料の場合、フェノールあるいはカルボキシル基の水酸基を酸不安定基で置換することによって、未露光部の溶解速度を下げるのが一般的である。即ち、カルボキシル基の水素原子又はフェノール性水酸基の水素原子がアルカリ溶解制御能を有する酸不安定基で置換され、露光により発生した酸の作用により該酸不安定基が解離しアルカリ水溶液への溶解度が増大するべース樹脂と組み合わせてポジ型のフォトレジスト膜材料として用いることができる。
【0115】
フォトレジスト膜材料に用いる有機溶剤と酸発生剤としては、前述のケイ素樹脂膜材料の有機溶剤と酸発生剤と同様なものが挙げられる。フォトレジスト膜材料の各成分の添加量は、例えば、べース樹脂の添加量は、ケイ素樹脂膜材料中のケイ素樹脂の添加量と同様であり、フォトレジスト膜材料に用いる有機溶剤と酸発生剤の添加量も、ケイ素樹脂膜材料の有機溶剤と酸発生剤と同様である。
【0116】
また、有機膜の樹脂としては、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、カトールジシクロペンタジエンノボラック、アモルファスカーボン、ポリヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ポリイミド、ポリスルフォン等の樹脂が挙げられる。
【0117】
さらに、このとき使用される基板10としては、特に限定されず、シリコンウエーハ等が用いられる。尚、図1に示す例では、基板10は、下地層10b上の被加工層10aで構成されている。
【0118】
各膜の厚さは、例えば、有機膜11が50〜2000nm、第1の反射防止用ケイ素樹脂膜12が10〜2000nm、第2の反射防止用ケイ素樹脂膜14が1〜100nm、フォトレジスト膜13が0.1〜1μm(好ましくは100〜500nm)であるが、これに限定されるものではない。
【0119】
次に、本発明のパターン形成方法について説明する。
図2は、本発明のパターン形成方法の一例を示す説明図である。
図1(d)に示したように、本発明のリワーク方法により第2のケイ素樹脂膜14の上に再びフォトレジスト膜13を形成した後、先ず、図2(a)に示すように、パターン回路領域の露光、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像液での現像によってフォトレジスト膜13にレジストパターンを形成する。
【0120】
次に、図2(b)に示すように、パターンが形成されたフォトレジスト膜13をマスクとして第1及び第2のケイ素樹脂膜12,14のエッチングを行い、レジストパターンを第1及び第2のケイ素樹脂膜12,14に転写し、第1及び第2のケイ素樹脂膜12,14にパターンを形成する。
フォトレジスト膜13をマスクとして第1及び第2のケイ素樹脂膜12,14をエッチングするには、フロン系ガス、窒素ガス、炭酸ガスなどを使ってエッチングを行う。第1及び第2のケイ素樹脂膜12,14は、これらのガスに対するエッチング速度が速く、上層のフォトレジスト膜13の膜減りが小さいものが好ましい。
【0121】
次に、図2(c)に示すように、ケイ素樹脂膜12に形成されたパターンを酸素プラズマエッチングなどによって有機膜11に転写し、有機膜11にパターンを形成する。この時、フォトレジスト膜13も同時にエッチング除去される。
尚、ドライエッチング条件としては、上記酸素を含有するプラズマによる方法の他、水素−窒素を含有するガスプラズマによる方法等が使用できる。
【0122】
次に、図2(d)に示すように、パターンが形成された有機膜11をマスクにして下地層10bの上の被加工層10aのエッチングを行い、基板10にパターンを転写し、基板10にパターンを形成する。
例えば、被加工層10aが、酸化ケイ素、金属ケイ素等であれば、フッ素系ドライエッチング条件を用いるのが良い。フッ素系ドライエッチング条件を用いれば、基板のエッチングと同時に、有機膜11上に残っているケイ素樹脂膜12も除去される。しかしながら、これに制限されず、単層レジスト法で使用されるエッチング条件のいずれをも用いることができ、例えば、塩素系ドライエッチングで行っても良い。
尚、以上の工程により基板10にパターンを形成した後、基板10の上に残っている有機膜11は、例えば、酸素プラズマ、あるいは水素−窒素によるエッチング等により除去することができる。
【0123】
例えば、レジストパターンがずれたときなどに、本発明のリワーク方法により溶剤で第1のケイ素樹脂膜を残したままフォトレジスト膜を除去し、該ケイ素樹脂膜の上に第2の反射防止用ケイ素樹脂膜を形成し、該第2のケイ素樹脂膜の上に、再びフォトレジスト膜を形成するようにすれば、レジストパターンがずれたままで、基板にまでパターンを転写してしまうのを避けることができる。そのため、高品質の基板が得られるとともに、そこまでの時間と労力を無駄にするということがなく、コストも低く抑えられる。
【0124】
次に、本発明のパターン形成方法の別の例を、図3を参照して説明する。
この基板30は、第1の反射防止用ケイ素樹脂膜32、第2の反射防止用ケイ素樹脂膜34、その上にフォトレジスト膜33を順次形成したものであり、基板30と第1の反射防止用ケイ素樹脂膜32の間に有機膜を形成していない。尚、第2の反射防止用ケイ素樹脂膜34は、本発明のフォトレジスト膜のリワーク方法によりフォトレジスト膜をリワークした際に形成したものである。
本発明のフォトレジスト膜のリワーク方法により第2のケイ素樹脂膜34の上に再びフォトレジスト膜33を形成した後、先ず、図3(a)に示すように、パターン回路領域の露光、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像液での現像によってフォトレジスト膜33にレジストパターンを形成する。
【0125】
次に、図3(b)に示すように、レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜33をマスクとして第1及び第2のケイ素樹脂膜32,34をエッチングし、レジストパターンを第1及び第2のケイ素樹脂膜32,34に転写し、第1及び第2のケイ素樹脂膜32,34にパターンを形成する。レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜33をマスクとして第1及び第2のケイ素樹脂膜32,34をエッチングするには、フロン系ガス、窒素ガス、炭酸ガスなどを使ってエッチングを行う。
【0126】
次に、図3(c)に示すように、パターンが形成された第1及び第2のケイ素樹脂膜32,34をマスクにして基板30をエッチングし、基板30にパターンを転写し、基板30にパターンを形成する。パターンが形成された第1及び第2のケイ素樹脂膜32,34をマスクにして基板30をエッチングするには、下地層30b上の被加工層30aがSiO、SiNであればフロン系ガスを主体としたエッチング、p−Si(p型Si)やAl、Wでは塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行う。ケイ素樹脂膜32は、塩素、臭素に対するエッチング耐性に優れ、特に被加工層30aがp−SiやAl、Wなどの場合、ハードマスクとして適用可能であるのが好ましい。被加工層30aがSiO、SiN膜の場合においては、第1及び第2のケイ素樹脂膜32,34は、フォトレジスト膜33よりはエッチング速度が速いが、基板30よりはエッチング速度が遅く、ハードマスクとして機能し得るものが好ましい。
【0127】
基板30の被加工層30aをエッチング除去してパターンを作成する場合、フォトレジスト膜33をマスクとしてもよいし、パターンが形成された第1及び第2のケイ素樹脂膜32,34をマスクとして加工するようにしてもよい。
【実施例】
【0128】
以下、実施例、比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
(実施例1)
[ケイ素樹脂膜材料の調製]
3000mlのガラス製のフラスコに、エタノール1400g、純水700g及び25質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液50gを仕込み、攪拌した。この混合物に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン139gとフェニルトリメトキシシラン32gの混合物を、液温40℃で滴下し、その後40℃、2時間攪拌した。反応終了後、酢酸を35g加えて反応を停止させ、減圧でエタノールを留去した。得られた液に、酢酸エチル2000ml加え水層を分別し、有機液層を超純水で2回洗浄、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を600g加え、液温を40℃に加熱しながらの減圧下で、ポリマー1(Polymer1)を得た。
【0129】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)を求め、13C−NMRによって共重合比を下記の通りに求めた。
続いて、29Si−NMRで末端基の割合を測定し、Aを計算したところA=3.2%であり、13C−NMRでSi−OH/Si−ORを計算したところSi−OH/Si−OR=100/0になった。
【0130】
【化14】

【0131】
そして、上記のように合成したポリマー1を、ポリマー1:100質量部、有機溶剤:2000質量部、酸発生剤:0.3質量部、界面活性剤:0.5質量部、の割合で溶解させ、0.1μmの弗素樹脂製のフィルターでろ過することによってケイ素樹脂膜材料を調製した。
【0132】
上記ケイ素樹脂膜材料中の各組成は次の通りである。
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
酸発生剤:AG1(下記構造式参照)
【化15】

界面活性剤:FC−430(住友スリーエム社製)
【0133】
[フォトレジスト膜材料の調製]
以下の樹脂、光酸発生剤、塩基性添加物を、FC−430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%含有する有機溶剤中に溶解させ、0.1μmの弗素樹脂製のフィルターでろ過することによって、ArFエキシマレーザー光露光用のフォトレジスト膜材料を調製した。
【0134】
樹脂:ポリマー2(下記構造式参照) 10質量部
【化16】

光酸発生剤:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート
0.2質量部
塩基性添加物:トリエタノールアミン 0.02質量部
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
200質量部
【0135】
[有機膜材料の調製]
有機膜材料として、4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノールノボラック樹脂(分子量11000)含有材料(樹脂28質量部、溶剤100質量部)を調製した。
【0136】
[パターンの形成]
先ず、基板上に、上記調製した有機膜材料を回転塗布し、200℃、1分間、加熱成膜して、膜厚300nmの有機膜を形成した。
次に、有機膜上に、上記調製したケイ素樹脂膜材料を回転塗布して180℃で60秒間ベークして膜厚100nmの第1のケイ素樹脂膜を形成した。
更に、ケイ素樹脂膜の上に、上記調製したフォトレジスト膜材料を塗布し、130℃、60秒間ベークして膜厚200nmのフォトレジスト膜を形成した。
このようにして、有機膜の上に、第1の反射防止用ケイ素樹脂膜、その上にフォトレジスト膜を順次形成した基板を準備した。
【0137】
次いで、ArF露光装置(ニコン社製;S305B、NA0.68、σ0.85、2/3輪体照明、Crマスク)で露光し、110℃で90秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像し、ポジ型のパターンを得た。
得られた90nmL/Sのレジストパターンを観察したところ、パターン寸法が規格の寸法と異なるものが見つかった。
また、同時に、パターン寸法が規格内のものについては、ケイ素樹脂膜付近での裾引きやアンダーカット、インターミキシング現象の有無を観察したが、裾引き、アンダーカット、インターミキシング現象がなくレジストパターン形状は良好であることが確認できた。
【0138】
次に、パターン寸法が規格の寸法と異なるものを抜き出し、溶剤で第1のケイ素樹脂膜を残したままフォトレジスト膜を除去した。この時、用いた溶剤は、シクロヘキサノンである。
次に、第1のケイ素樹脂膜の上に、有機溶剤の含有量が50000質量部であることを除いて上記調製したのと同じケイ素樹脂膜材料を2000rpmで回転塗布して180℃で60秒間ベークして膜厚5nmの第2の反射防止用ケイ素樹脂膜を形成した。
そして、再び、上記調製したフォトレジスト膜材料を塗布し、130℃、60秒間ベークして膜厚200nmのフォトレジスト膜を形成した。
第1のケイ素樹脂膜を除去する必要がないので、簡単かつ低コストでフォトレジスト膜をリワークすることができた。
【0139】
次に、リワークしたフォトレジスト膜に前記と同様にしてレジストパターンを形成した。
得られたレジストパターンを観察したところ、今度は、パターン寸法が規格の寸法内であった。
そこで、第2のケイ素樹脂膜付近での裾引きやアンダーカット、インターミキシング現象の有無を観察した。その結果、リワーク前後でのパターン形状は、いずれも裾引きやアンダーカット、インターミキシング現象がなく良好であることが判った。
【0140】
次に、このレジストパターンをエッチングマスクとして、有機系材料に対し第1及び第2のケイ素樹脂膜のエッチング速度が優位に高いドライエッチング条件でのエッチングを行った。条件として、東京エレクトロン社製ドライエッチング装置TE−8500Pを用い、チャンバー圧力40Pa、RFパワー1300W、ギャップ9mm、CHFガス流量30ml/min、CFガス流量30ml/min、ArFガス流量100ml/minを使用した。このドライエッチングにより第1及び第2の反射防止用ケイ素樹脂膜をエッチング加工することで、フォトレジスト膜のサイドエッチングによるパターン変化の影響を殆ど受けずに、第1及び第2の反射防止用ケイ素樹脂膜にパターンを形成することができた。
【0141】
次に、このようにしてパターンが転写された第1及び第2のケイ素樹脂膜を持つ基板に対し、さらに、ケイ素樹脂膜に対し下層有機膜のエッチング速度が優位に高いドライエッチングを行った。条件として、酸素プラズマによる反応性ドライエッチング(チャンバー圧力60Pa、RFパワー600W、Arガス流量40sccm、Oガス流量60sccm、ギャップ9mm)を使用した。この反応性ドライエッチングにより、レジストパターンとして得られた露光パターンが高精度で下層有機膜に転写された。
次に、このようにしてパターンが転写された有機膜をエッチングマスクにして、基板のエッチングを行い、基板にパターンを形成した。この時、基板の被加工層が、酸化ケイ素であったので、フッ素系ドライエッチング条件を使用した。このドライエッチング条件により、基板の被加工層と同時に有機膜上の反射防止用ケイ素樹脂膜がエッチング除去された。
その後、基板上に残っていた有機膜を、酸素ガスプラズマによるエッチングで除去した。
基板に形成されたパターンを観察したところ、良好なパターンが形成されていることが判った。
【0142】
(比較例1)
基板の上に、ケイ素樹脂ではない市販の反射防止膜材料であるARC29A(Brewer Science社製)を回転塗布して、200℃で、90秒間ベークして膜厚80nmの反射防止膜を形成した。
次に、この反射防止膜の上に、実施例1で用いたのと同じフォトレジスト膜材料を塗布し、130℃、60秒間ベークして膜厚200nmのフォトレジスト膜を形成した。
このようにして、反射防止膜、その上にフォトレジスト膜を順次形成した基板を準備した。
【0143】
次いで、ArF露光装置(ニコン社製;S305B、NA0.68、σ0.85、2/3輪体照明、Crマスク)で露光し、110℃で90秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像し、ポジ型のパターンを得た。
得られた90nmL/Sのレジストパターンを観察したところ、パターン寸法が規格の寸法と異なるものが見つかった。
【0144】
次に、パターン寸法が規格の寸法と異なるものを抜き出し、反射防止膜とフォトレジスト膜の両方を除去した。
そして、基板の上に、再び、反射防止膜、フォトレジスト膜を形成した。
この方法は、フォトレジスト膜をリワークするのに、反射防止膜まで除去するものであり、煩雑で、コストがかさんだ。
【0145】
尚、パターン寸法が規格の寸法と異なるもののうちからさらに一部を抜き出し、シクロヘキサノンでフォトレジスト膜のみを除去した。
そして、反射防止膜の上に、再び、フォトレジスト膜を形成した。
次に、リワークしたフォトレジスト膜に前記と同様にしてレジストパターンを形成した。
得られたレジストパターンの形状を観察したところ、反射防止膜付近でのフッティングがひどいことが観察された。
このため、ARC29Aを用いて形成した反射防止膜の場合には、基板に良好なパターンを形成するためには、反射防止膜とフォトレジスト膜の両方を除去する必要があることが判った。
【0146】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明のフォトレジスト膜のリワーク方法の一例を示す説明図である。
【図2】本発明のパターン形成方法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明のパターン形成方法の別の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0148】
10、30…基板、 10a,30a…被加工層、 10b,30b…下地層、
11…有機膜、 12、32…第1の反射防止用ケイ素樹脂膜、
13,33…フォトレジスト膜、 14、34…第2の反射防止用ケイ素樹脂膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1の反射防止用ケイ素樹脂膜、その上にフォトレジスト膜を順次形成した基板のフォトレジスト膜をリワークする方法であって、少なくとも、溶剤で前記第1のケイ素樹脂膜を残したまま前記フォトレジスト膜を除去し、該ケイ素樹脂膜の上に第2の反射防止用ケイ素樹脂膜を形成し、該第2のケイ素樹脂膜の上に、再びフォトレジスト膜を形成することを特徴とするフォトレジスト膜のリワーク方法。
【請求項2】
前記第1及び第2のケイ素樹脂膜を、ケイ素樹脂の側鎖とケイ素樹脂の側鎖間、ケイ素樹脂の側鎖とケイ素樹脂のシラノール基間のいずれか1以上で架橋を形成しているものとすることを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト膜のリワーク方法。
【請求項3】
前記第1及び第2のケイ素樹脂膜の架橋は、ケイ素樹脂の側鎖の架橋可能な水酸基、エポキシ基のいずれか1以上により形成されていることを特徴とする請求項2に記載のフォトレジスト膜のリワーク方法。
【請求項4】
前記フォトレジスト膜をリワークする基板は、前記第1のケイ素樹脂膜の下に、有機膜を形成したものとすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフォトレジスト膜のリワーク方法。
【請求項5】
少なくとも、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のリワーク方法により第2のケイ素樹脂膜の上に再びフォトレジスト膜を形成した後、該フォトレジスト膜にレジストパターンを形成し、該レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記第1及び第2のケイ素樹脂膜にパターンを形成し、該パターンが形成された第1及び第2のケイ素樹脂膜をマスクにして前記基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項6】
少なくとも、請求項4に記載のリワーク方法により第2のケイ素樹脂膜の上に再びフォトレジスト膜を形成した後、該フォトレジスト膜にレジストパターンを形成し、該レジストパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして前記第1及び第2のケイ素樹脂膜にパターンを形成し、該パターンが形成された第1及び第2のケイ素樹脂膜をマスクにして前記有機膜にパターンを形成し、該パターンが形成された有機膜をマスクにして前記基板にパターンを形成することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載のパターン形成方法でパターンを形成した基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−140252(P2007−140252A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335518(P2005−335518)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】