フタラジノン誘導体
【課題】PARP活性を阻害する医薬の製造における、化合物ならびに該化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学保護体およびプロドラッグの提供。
【解決手段】下記式のフタラジノン誘導体。
式中、AおよびBは縮合芳香環を表し;Rcは−L−RLによって表され;Lは式−(CH2)n1−Qn2−(CH2)n3−のものであり;n1、n2およびn3はそれぞれ、0、1、2および3から選択され;n1、n2およびn3の合計は1、2または3であり;Qは、O、S、NHまたはC(=O)から選択され;RLは置換されていても良いC5−20アリール基であり;RNは、水素、アルキル、複素環等である。
【解決手段】下記式のフタラジノン誘導体。
式中、AおよびBは縮合芳香環を表し;Rcは−L−RLによって表され;Lは式−(CH2)n1−Qn2−(CH2)n3−のものであり;n1、n2およびn3はそれぞれ、0、1、2および3から選択され;n1、n2およびn3の合計は1、2または3であり;Qは、O、S、NHまたはC(=O)から選択され;RLは置換されていても良いC5−20アリール基であり;RNは、水素、アルキル、複素環等である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、フタラジノン誘導体およびそれの医薬としての使用に関する。詳細には本発明は、ポリ(ADP-リボース)シンターゼおよびポリADP-リボシルトランスフェラーゼとも称され、一般にはPARPと称される酵素ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼの活性を阻害する上でのその化合物の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
DNA一本鎖または二本鎖の切断を認識し、それに急速に結合する能力により、哺乳動物酵素PARP(113-kDaの多領域タンパク質)が、DNA損傷の信号伝達において示唆されている(D′Amours et al, 1999, Biochem. J. 342: 249-268)。
【0003】
いくつかの所見から、遺伝子増幅、細胞分裂、分化、アポトーシス、DNA塩基除去修復ならびにテロメア長さおよび染色体安定性に対する効果などの多様なDNA関係機能にPARPが関与しているという結論が得られている(d′Adda di Fagagna et al, 1999, Nature Gen., 23(1): 76-80)。
【0004】
PARPがDNA修復および他のプロセスを調節する機序に関する研究によって、細胞核内でのポリ(ADP-リボース)鎖形成におけるそれの重要性が確認されている(Althaus, F. R. and Richter, C., 1987, ADP Ribosylation of Proteins: Enzymology and Biological Significance, Springer-Verlag, Berlin)。DNA-結合活性化PARPはNADを利用して、トポイソメラーゼ、ヒストン類およびPARP自体などの多様な核標的タンパク質上でポリ(ADP-リボース)を合成する(Rhun et al, 1998, Biochem. Biophys. Res. Commun., 245: 1-10)。
【0005】
ポリ(ADP-リボシル)化も、悪性トランスフォーメーションに関連していた。例えば、SV40-トランスフォーム線維芽細胞の単離核ではPARP活性は相対的に高く、一方で白血病細胞および結腸癌細胞のいずれも同等の正常な白血球および結腸粘膜より高い酵素活性を示す(Miwa et al, 1977, Arch. Biochem. Biophys. 181: 313-321; Burzio et al, 1975, Proc. Soc. Exp. Bioi. Med. 149: 933-938 ; and Hirai et al, 1983, Cancer Res. 43: 3441-3446)。
【0006】
多くの低分子量PARP阻害薬を用いて、DNA修復におけるポリ(ADP-リボシル)化の機能的役割が解明されている。アルキル化剤で処理した細胞では、PARPの阻害によって、DNA鎖切断および細胞死に顕著な増加が生じる(Durkacz et al, 1980, Nature 283: 593-596; Berger, N. A., 1985, Radiation Research, 101: 4-14)。
【0007】
その後、そのような阻害薬が、致死的となり得る損傷の修復を抑制することで、放射線応答の効果を促進することが明らかになっている(Ben-Hur et al, 1984, British Journal of Cancer, 49 (Suppl. VI): 34-42 ; Schlicker et al, 1999, Int. J. Radiat. Bioi., 75: 91-100)。PARP阻害薬が、低酸素性腫瘍細胞の放射線増感において有効であることが報告されている(米国特許第5032617号;米国特許第5215738号および米国特許第5041653号)。
【0008】
さらに、PARPノックアウト(PARP-/-)動物は、アルキル化剤およびγ線照射に応答してゲノム不安定性を示す(Wang et al, 1995, Genes Dev., 9: 509-520; Menissier de Murcia et al, 1997, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94: 7303-7307)。
【0009】
PARPに関する役割は、ある種の血管疾患、敗血症ショック、虚血性損傷および神経毒性においても示されている(Cantoni et al, 1989, Biochim. Biophys. Acta, 1014: 1-7; Szabo, et al, 1997, J. Clin. lnvest., 100: 723-735)。後にPARPによって認識されるDNAにおける鎖切断を生じる酸素ラジカルDNA損傷は、PARP阻害薬試験によって示されるそのような疾患状態に対する主要な寄与因子である(Cosi et al, 1994, J. Neurosci. Res., 39: 38-46; Said et al, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 93: 4688-4692)。より最近ではPARPは、出血性ショックの病因において何らかの役割を果たすことが示されている(Liaudet et al, 2000, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 97(3): 10203-10208)。
【0010】
哺乳動物細胞の効率的レトロウィルス感染が、PARP活性の阻害によって遮断されることも明らかになっている。組換えレトロウィルスベクター感染のそのような阻害は、各種の異なる細胞型で起こることが明らかになっている(Gaken et al, 1996, J. Virology, 70(6): 3992-4000)。そこでPARPの阻害薬が、抗ウィルス療法および癌治療での使用に向けて開発されている(WO 91/18591)。
【0011】
さらにPARP阻害は、ヒト線維芽細胞における加齢特性の開始を遅延させるものと推定されている(Rattan and Clark, 1994, Biochem. Biophys. Res. Comm., 201(2): 665-672)。それは、PARPがテロメア機能の制御において果たす役割に関係する可能性がある(d′Adda di Fagagna et al, 1999, Nature Gen., 23(1): 76-80)。
【0012】
米国特許第5874444号には、多くのPARP阻害薬が開示されており、その中に1(2H)−フタラジノン(100)がある。
【化4】
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
本発明者らは、1(2H)−フタラジノンのある種の誘導体および関連化合物がPARP活性の阻害を示すことを発見した。
【0014】
従って本発明の第1の態様は、PARP活性を阻害する医薬の製造における、下記式の化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学保護体およびプロドラッグの使用を提供する。
【化5】
式中、
AおよびBは一体となって、置換されていても良い縮合芳香環を表し;
Rcは−L−RLによって表され;Lは式−(CH2)n1−Qn2−(CH2)n3−のものであり;
n1、n2およびn3はそれぞれ、0、1、2および3から選択され;n1、n2およびn3の合計は1、2または3であり;Qは、O、S、NH、C(=O)または−CR1R2−から選択され;R1およびR2は独立に、水素、ハロゲンまたは置換されていても良いC1−7アルキルから選択されるか、あるいはそれらが結合している炭素原子と一体となって、飽和(C3−7シクロアルキル基)もしくは不飽和(C3−7シクロアルケニル基)であることができるC3−7環状アルキル基を形成していても良く、あるいはR1およびR2の一方がRLにおける原子に結合して、Q、−(CH2)n3−(存在する場合)およびRLの一部においてR1およびR2が結合している炭素原子を含む不飽和3−7シクロアルケニル基を形成していても良く;RLは置換されていても良いC5−20アリールであり;RNは、水素、置換されていても良いC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール、ヒドロキシ、エーテル、ニトロ、アミノ、アミド、チオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホンから選択される。
【0015】
本発明の第2の態様は、下記式の化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学保護体およびプロドラッグである。
【化6】
式中、
AおよびBは一体となって、置換されていても良い縮合芳香環を表し;
Rcは−CH2−RLであり;
RLは置換されていても良いフェニルであり;
RNは水素である。
【0016】
本発明の第3の態様は、第2の態様の化合物および製薬上許容される担体もしくは希釈剤を含む医薬組成物に関する。
【0017】
本発明の第4の態様は、ヒトもしくは動物の身体の治療方法における第2の態様の化合物の使用に関する。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、血管疾患;敗血症ショック;虚血性損傷;神経毒性;出血性ショック;ウィルス感染;またはPARP活性阻害によって改善される疾患の治療用の医薬製造における本発明の第1の態様で定義の化合物の使用を提供する。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、癌療法において補助手段として使用される医薬または電離放射線または化学療法剤による治療に向けて腫瘍細胞を強化するための医薬の製造における、本発明の第1の態様で定義の化合物の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面の簡単な説明
図1〜19には本発明による化合物を示してある。
【0021】
発明の説明
定義
本明細書において「芳香環」という用語は、従来の意味で環状芳香族構造、すなわち非局在化π−電子軌道を有する環状構造を指すのに用いられる。
【0022】
主核に縮合した芳香環、すなわち−A−B−によって形成される環は、さらに別の縮合芳香環を有することができる(例えばナフチル基またはアントラセニル基が得られる)。芳香環は専ら炭素原子を有することができるか、あるいは炭素原子ならびに窒素、酸素および硫黄原子など(ただしこれらに限定されるものではない)の1以上のヘテロ原子を有することができる。芳香環は好ましくは、5個または6個の環原子を有する。
【0023】
芳香環は置換されていても良い。置換基自体がアリール基を有する場合、そのアリール基は、それが結合しているアリール基の一部とは見なさない。例えば、ビフェニル基は本明細書においては、フェニル基で置換されたフェニル基(1個の芳香環を有するアリール基)と考える。同様にベンジルフェニル基は、ベンジル基で置換されたフェニル基(1個の芳香環を有するアリール基)と考える。
【0024】
好ましい実施形態の1群において芳香族基は、環原子が炭素、窒素、酸素および硫黄から選択され、環が置換されていても良い5個もしくは6個の環原子を有する1個の芳香環を有する。その基の例としては、ベンゼン、ピラジン、ピロール、チアゾール、イソオキサゾールおよびオキサゾールなどがある。2−ピロンも芳香環と考えることができるが、あまり好ましいものではない。
【0025】
芳香環が6個の原子を有する場合、好ましくは環原子の少なくとも4個、または5個もしくは全てが炭素である。他の環原子は、窒素、酸素および硫黄から選択され、窒素および酸素が好ましい。好適な基には、ヘテロ原子を持たない環(ベンゼン);1個の窒素環原子を有する環(ピリジン);2個の窒素環原子を有する環(ピラジン、ピリミジンおよびピリダジン);1個の酸素環原子を有する環(ピロン);ならびに1個の酸素および1個の窒素環原子を有する環(オキサジン)などがある。
【0026】
芳香環が5個の環原子を有する場合、好ましくはその環原子の少なくとも3個が炭素である。残りの環原子は、窒素、酸素および硫黄から選択される。好適な環には、1個の窒素環原子を有する環(ピロール);2個の窒素環原子を有する環(イミダゾール、ピラゾール);1個の酸素環原子を有する環(フラン);1個の硫黄環原子を有する環(チオフェン);1個の窒素および1個の硫黄環原子を有する環(チアゾール);ならびに1個の窒素および1個の酸素環原子を有する環(イソオキサゾールもしくはオキサゾール)などがある。
【0027】
芳香環は、いずれか使用可能な環位置に1以上の置換基を有することができる。その置換基は、ハロ、ニトロ、ヒドロキシ、エーテル、チオール、チオエーテル、アミノ、C1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリールから選択される。芳香環はさらに、一体となって環を形成する1以上の置換基を有することもできる。詳細にはそれは、式−(CH2)m−または−O−(CH2)p−O−(mは2、3、4または5であり、pは1、2または3である)のものであることができる。
【0028】
C1−7アルキル:本明細書で使用される「C1−7アルキル」という用語は、脂肪族もしくは脂環式またはそれらの組み合わせであることができ、飽和、部分不飽和または完全不飽和であることができる1〜7個の炭素原子を有するC1−7炭化水素化合物から水素原子を除去することで得られる1価部分に関係するものである。
【0029】
(未置換)飽和直鎖C1−7アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルおよびn−ペンチル(アミル)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
(未置換)飽和分岐C1−7アルキル基の例には、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルおよびネオペンチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
飽和脂環式(炭素環式)C1−7アルキル基(「C3−7シクロアルキル」基とも称される)の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどの未置換基ならびにメチルシクロプロピル、ジメチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、ジメチルシクロブチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、シクロプロピルメチルおよびシクロヘキシルメチルなどの置換された基(例えば、そのような基を有する基)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
1以上の炭素−炭素二重結合を有する(未置換)不飽和C1−7アルキル基(「C2−7アルケニル」基とも称される)の例には、エテニル(ビニル、−CH=CH2)、2−プロペニル(アリル、−CH2−CH=CH2)、イソプロペニル(−C(CH3)=CH2)、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
1以上の炭素−炭素三重結合を有する(未置換)不飽和C1−7アルキル基(「C2−7アルキニル」基とも称される)の例には、エチニル(エチニル)および2−プロピニル(プロパルギル)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
1以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和脂環式(炭素環式)C1−7アルキル基(「C3−7シクロアルケニル」基とも称される)の例には、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどの未置換基、ならびにシクロプロペニルメチルおよびシクロヘキセニルメチルなどの置換された基(例えば、そのような基を有する基)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
C3−20複素環:本明細書で使用される「C3−20複素環」という用語は、1個の環または2個以上の環(例:スピロ、縮合、架橋)を有し、1〜10個が環ヘテロ原子である3〜20個の環原子を有し、その環のうちの少なくとも一つが複素環である非芳香族C3−20複素環化合物の環原子から水素原子を除去することで得られる1価部分に関係するものである。好ましくは各環は、3〜7個の環原子を有し、そのうちの1〜4個は環ヘテロ原子である。
【0036】
「C3−20」は、炭素原子かヘテロ原子かとは無関係に環原子を指す。
【0037】
1個の窒素環原子を有するC3−20複素環基の例には、アジリジン、アゼチジン、アゼチン、ピロリジン、ピロリン、ピペリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジンおよびジヒドロピロール(アゾリン)から誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
1個の酸素環原子を有するC3−20複素環基の例としては、オキシラン、オキセタン、オキソラン(テトラヒドロフラン)、オキソール(ジヒドロフラン)、オキサン(テトラヒドロピラン)、ジヒドロピランおよびピランから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。置換C3−20複素環基の例には、環状の形での糖、例えばフラノース類およびピラノース類などがあり、例を挙げるとリボース、リキソース、キシロース、ガラクトース、ショ糖、フルクトースおよびアラビノースなどがある。
【0039】
1個の硫黄環原子を有するC3−20複素環基の例には、チオラン(テトラヒドロチオフェン、チアン)およびテトラヒドロチオピランから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
2個の酸素環原子を有するC3−20複素環基の例には、ジオキサンから誘導されるもの、例えば1,3−ジオキサンおよび1,4−ジオキサンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
2個の窒素環原子を有するC3−20複素環基の例には、ジアゾリジン(ピラゾリジン)、ピラゾリン、イミダゾリジン、イミダゾリンおよびピペラジンから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
1個の窒素環原子および1個の酸素環原子を有するC3−20複素環基の例には、テトラヒドロオキサゾール、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、モルホリン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジンおよびオキサジンから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
1個の酸素環原子および1個の硫黄環原子を有するC3−20複素環基の例には、オキサチオランおよびオキサチアンから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
1個の窒素環原子および1個の硫黄環原子を有するC3−20複素環基の例には、チアゾリン、チアゾリジンおよびチオモルホリンから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
C3−20複素環基の他の例には、オキサジアジンなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0046】
C3−20複素環が置換されている場合、その置換基は炭素原子上または窒素(存在する場合)原子上である。
【0047】
C5−20アリール:本明細書で使用される「C5−20アリール」という用語は、1個の環または2個以上の環(例:縮合)を有し、5〜20個の環原子を有し、前記環のうちの少なくとも一つが芳香環であるC5−20芳香族化合物の芳香環原子から水素原子を除去することで得られる1価部分に関係するものである。好ましくは各環は5〜7個の環原子を有する。
【0048】
環原子は、「カルボアリール基」の場合のように全て炭素原子であることができ、その場合にはその基は簡便に、「C5−20カルボアリール」基と称することができる。
【0049】
環ヘテロ原子を持たないC5−20アリール基(すなわち、C5−20カルボアリール基)の例には、ベンゼン(すなわちフェニル)(C6)、ナフタレン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)およびピレン(C16)から誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
別の形態として環原子は、「ヘテロアリール基」の場合のように、酸素、窒素および硫黄など(これらに限定されるものではない)の1以上のヘテロ原子を有することができる。その場合、その基は簡便には、「C5−20ヘテロアリール」基と称することができ、その場合の「C5−20」は、炭素原子であるかヘテロ原子であるかとは無関係に環原子を指す。好ましくは各環は、5〜7個の環原子を有し、そのうちの0〜4個が環ヘテロ原子である。
【0051】
C5−20ヘテロアリール基の例には、フラン(オキソール)、チオフェン(チオール)、ピロール(アゾール)、イミダゾール(1,3−ジアゾール)、ピラゾール(1,2−ジアゾール)、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾールおよびオキサトリアゾールから誘導されるC5ヘテロアリール基;ならびにイソオキサジン、ピリジン(アジン)、ピリダジン(1,2−ジアジン)、ピリミジン(1,3−ジアジン;例えばシトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1,4−ジアジン)、トリアジン、テトラゾールおよびオキサジアゾール(フラザン)から誘導されるC6ヘテロアリール基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
ヘテロアリール基は、炭素環原子またはヘテロ環原子を介して結合していることができる。
【0053】
縮合環を有するC5−20ヘテロアリール基の例としては、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドールから誘導されるC9ヘテロアリール基;キノリン、イソキノリン、ベンゾジアジン、ピリドピリジンから誘導されるC10ヘテロアリール基;アクリジンおよびキサンテンから誘導されるC14ヘテロアリール基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
単独であるか別の置換基の一部であるかとは無関係に、上記のC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール基はそれ自体が、それ自体ならびに下記に挙げた別の置換基から選択される1以上の基で置換されていても良い。
【0055】
ハロ:−F、−Cl、−Brおよび−I。
【0056】
ヒドロキシ:−OH。
【0057】
エーテル:−OR、この式中Rはエーテル置換基であり、例えばC1−7アルキル基(C1−7アルコキシ基とも称される)、C3−20複素環基(C3−20複素環オキシ基とも称される)またはC5−20アリール基(C5−20アリールオキシ基とも称される)、好ましくはC1−7アルキル基である。
【0058】
ニトロ:−NO2。
【0059】
シアノ(ニトリル、カルボニトリル):−CN。
【0060】
アシル(ケト):−C(=O)R、式中においてRはアシル置換基であり、例えばC1−7アルキル基(C1−7アルキルアシルまたはC1−7アルカノイルとも称される)、C3−20複素環基(C3−20複素環アシルとも称される)またはC5−20アリール基(C5−20アリールアシルとも称される)、好ましくはC1−7アルキル基である。アシル基の例には、−C(=O)CH3(アセチル)、−C(=O)CH2CH3(プロピオニル)、−C(=O)C(CH3)3(ブチリル)および−C(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
カルボキシ(カルボン酸):−COOH。
【0062】
エステル(カルボキシレート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):−C(=O)OR、式中Rはエステル置換基であり、例えばC1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。エステル基の例には、−C(=O)OCH3、−C(=O)OCH2CH3、−C(=O)OC(CH3)3および−C(=O)OPhなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキサミド):−C(=O)NR1R2、式中R1およびR2は独立に、アミノ基について定義のアミノ置換基である。アミド基の例には、−C(=O)NH2、−C(=O)NHCH3、−C(=O)N(CH3)2、−C(=O)NHCH2CH3および−C(=O)N(CH2CH3)2ならびにR1およびR2がそれらが結合している窒素原子と一体となって、例えばピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニルおよびピペラジノカルボニルにおけるような複素環構造を形成しているアミド基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
アミノ:−NR1R2、式中R1およびR2は独立にアミノ置換基であり、例えば水素、C1−7アルキル基(C1−7アルキルアミノまたはジ−C1−7アルキルアミノとも称される)、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはHまたはC1−7アルキル基であり、あるいは「環状」アミノ基の場合、R1およびR2はそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する複素環を形成している。アミノ基の例には、−NH2、−NHCH3、−NHCH(CH3)2、−N(CH3)2、−N(CH2CH3)2および−NHPhなどがあるが、これらに限定されるものではない。環状アミノ基の例には、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ペルヒドロジアゼピノ、モルホリノおよびチオモルホリノなどがあるが、これらに限定されるものではない。環状アミノ基は、例えばカルボキシ、カルボキシレートおよびアミドなどの本明細書で定義のいずれかの置換基によって、その環上で置換されていることができる。特定の形のアミノ基には、R1およびR2のうちの一方がスルホン(−S(=O)2R)であり、Rがスルホン置換基であるものがあり、その基はスルホンアミド基と称することができる。スルホンアミド基の例には、−NHS(=O)2CH3、−NHS(=O)2Phおよび−NHS(=O)2C6H4Fなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
アシルアミド(アシルアミノ):−NR1C(=O)R2、式中R1はアミド置換基、例えば水素、C1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはHまたはC1−7アルキル基、最も好ましくはHであり、R2はアシル置換基、例えばC1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。アシルアミド基の例には、−NHC(=O)CH3、−NHC(=O)CH2CH3および−NHC(=O)Phなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
ある特定の形のアシルアミド基に、R2がアミノ基(−NR3R4)であり、R3およびR4が独立にアミノ置換基であるものがあり、そこでその基はウレイド基と称することができる。ウレイド基の例には、−NHC(=O)NHCH3、−NHC(=O)NHCH2CH3および−NHC(=O)NHPhなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
アシルオキシ(逆エステル):−OC(=O)R、式中Rはアシルオキシ置換基、例えばC1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。アシルオキシ基の例には、−OC(=O)CH3(アセトキシ)、−OC(=O)CH2CH3、−OC(=O)C(CH3)3、−OC(=O)Ph、−OC(=O)C6H4Fおよび−OC(=O)CH2Phなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
チオール:−SH。
【0069】
チオエーテル(スルフィド):−SR、式中Rはチオエーテル置換基、例えばC1−7アルキル基(C1−7アルキルチオ基とも称される)、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。C1−7アルキルチオ基の例には、−SCH3および−SCH2CH3などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
スルホキシド(スルフィニル):−S(=O)R、式中Rはスルホキシド置換基、例えばC1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。スルホキシド基の例には、−S(=O)CH3および−S(=O)CH2CH3などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
スルホン(スルホニル):−S(=O)2R、式中Rはスルホン置換基、例えばC1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。スルホン基の例には、−S(=O)2CH3(メタンスルホニル、メシル)、−S(=O)2CF3、−S(=O)2CH2CH3および4−メチルフェニルスルホニル(トシル)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
上記のように、上記の置換基を形成する基、例えばC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリールは、それ自体が置換されていても良い。そこで上記の定義は、置換されている置換基を含むものである。
【0073】
環を形成する置換基
Rcの一部を形成する環上の置換基と縮合芳香環上の置換基(−A−B−によって表される)とが一体となって環内連結を形成して、化合物においてさらに別の環状構造を形成することが可能である。
【0074】
環内連結を形成する芳香環上の置換基は好ましくは、中心部分に隣接する原子上のものである(すなわちα位)。
【0075】
環内連結を形成するRc上の置換基は好ましくは、中央部分に結合した原子から原子1個離れた原子上のものである。
【0076】
2つの環の間の連結は単結合であることができるか、あるいは式−(CH2)n1′−Q′n2′−(CH2)n3′−のものであることができ、n1′、n2′およびn3′はそれぞれ0、1、2および3から選択され、n1′、n2′およびn3′の合計は3以下である。Q′はO、S、NHまたはC(=O)である。
【0077】
さらに別の好ましいもの
適用可能な場合には、下記の好ましいものを本発明の各態様に適用することができる。
【0078】
本発明において、−A−B−によって表される縮合芳香環は好ましくは炭素環原子のみからなることから、ベンゼン、ナフタレンであることができ、より好ましくはベンゼンである。上述のように、これらの環は置換されていても良いが、一部の実施形態では好ましくは未置換である。
【0079】
RNは好ましくは、水素およびアミドから選択される。1実施形態では、RNは好ましくはアミドであり、1個のアミド置換基は好ましくはパラ位でフッ素によって置換されていても良いフェニルである。別の実施形態ではRNは好ましくはHである。
【0080】
Lでは、各Q(n2が1より大きい場合)がO、S、NHまたはC(=O)から選択されることが好ましい。
【0081】
Lは好ましくは、式−(CH2)n1−Qn2−のものであり、式中n1は0、1、2および3から選択され、n2は0および1から選択され(n1およびn2の合計は1、2または3である)、より好ましくはn2は0である。n1は好ましくは1または2、より好ましくは1である。Lについての最も好ましい選択肢は、−CH2−である。
【0082】
LにおけるQが−CR1R2−である場合、n2は好ましくは1である。1実施形態ではR1は、置換されていても良いC1−7アルキルであり、R2は水素である。R1はより好ましくは、置換されていても良いC1−4アルキルであり、最も好ましくは未置換C1−4アルキルである。別の実施形態では、R1およびR2がそれらが結合している炭素原子と一体となって、飽和C3−7環状アルキル基、より好ましくはC5−7環状アルキル基を形成している。別の実施形態では、R1はRLにおける原子に結合して、不飽和C3−7シクロアルケニル基、より好ましくはC5−7シクロアルケニル基を形成しており、その基はQ、−(CH2)n3−(存在する場合)およびRLの一部にR1およびR2が結合している炭素原子を有し、R2は水素である。
【0083】
RLは好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン、ピリジンまたは1,3−ベンゾジオキソール、より好ましくはベンゼン環である。
【0084】
RLがベンゼン環である場合、それは好ましくは置換されている。その1以上の置換基は、C1−7アルキル、より好ましくはメチル、CF3;C5−20アリール;C3−20複素環;ハロ、より好ましくはフッ素;ヒドロキシ;エーテル、より好ましくはメトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシおよびシクロペントキシ;ニトロ;シアノ;カルボキシ、エステルおよびアミドなどのカルボニル基;アミノ(スルホンアミドなど)、より好ましくは−NH2、−NHPhおよびモルホリノなどのシクロアミノ基;ウレイド基などのアシルアミドであって、アシルもしくはアミノ置換基が好ましくはそれ自体がフッ素化されていても良いフェニルであるもの;アシルオキシ;チオール;チオエーテル;スルホキシド;スルホンから選択することができる。
【0085】
実施形態の1群では、フェニルもしくはフッ素化フェニル要素を有する置換基とともに、フッ素が置換基として特に好ましいものである。
【0086】
RLがフェニルである場合のベンゼン環の好ましい置換基には、以下のものなどがある。
【0087】
(i)アシルアミドであって、アミド置換基がC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール、より好ましくはC1−7アルキルおよびC5−20アリールから選択され、それらの基がさらに置換されていても良いもの。存在しても良い置換基は、上記で挙げたものから選択することができるが、特に興味深いものにはC1−7アルキルおよびC5−20アリール基、ハロ、エーテル、チオエーテルおよびスルホン基などがある。
【0088】
(ii)ウレイドであって、1個のアミン置換基が好ましくは水素であり、他方がC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール、より好ましくはC1−7アルキルおよびC5−20アリールから選択され、それらがさらに置換されていても良いもの。存在しても良い置換基は、上記で挙げたものから選択することができるが、特に興味深いものにはC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール基、ハロおよびエーテル基などがある。
【0089】
(iii)スルホンアミノであって、アミン置換基が好ましくは水素であり、スルホン置換基がC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール、より好ましくはC1−7アルキルおよびC5−20アリールから選択され、それらの基がさらに置換されていても良いもの。存在しても良い置換基は、上記で挙げたものから選択することができるが、特に興味深いものにはC5−20アリール基およびアシルアミド基などがある。
【0090】
(iv)アシルオキシであって、アシルオキシ置換基がC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール、より好ましくはC1−7アルキルおよびC5−20アリールから選択され、それらの基がさらに置換されていても良いもの。存在しても良い置換基は、上記で挙げたものから選択することができるが、特に興味深いものにはC1−7アルキルおよびC5−20アリール基、ハロ、エーテル、チオエーテル、スルホンおよびニトロ基などがある。
【0091】
AとBが一体となって置換縮合芳香環を表す場合、置換基はRcの一部を形成する環上の置換基と環内連結を形成していないことが好ましい。5位の置換基が特に好ましい。
【0092】
適宜に、上記の好ましいものを互いに組み合わせることができる。
【0093】
含まれる他の形態
上記のものには、公知のイオン型、塩型、溶媒和物型およびこれら置換基の保護型が含まれる。例えば、カルボン酸(−COOH)についての言及は、アニオン(カルボキシレート)型(−COO−)、それの塩もしくは溶媒和物、ならびに従来の保護型をも含むものである。同様に、アミノ基についての言及は、プロトン化型(−N+HR1R2)、アミノ基の塩もしくは溶媒和物(例:塩酸塩)ならびにアミノ基の従来の保護型を含むものである。同様に、ヒドロキシル基についての言及は、アニオン型(−O−)、それの塩または溶媒和物、ならびにヒドロキシル基の従来の保護型をも含むものである。
【0094】
異性体、塩、溶媒和物、保護型およびプロドラッグ
ある種の化合物は、1以上の特定の幾何型、光学型、エナンチオマー型、ジアステレオマー型、エピマー型、立体異性体型、互変異、立体配座型またはアノマー型で存在する場合があり、それにはシスおよびトランス型;E型およびZ型;c、tおよびr型;エンドおよびエキソ型;R、Sおよびメソ型;DおよびL型;dおよびl型;(+)および(−)型;ケト、エノールおよびエノレート型;シンおよびアンチ型;シンクリナルおよびアンチクリナル型;αおよびβ型;アキシャルおよびエカトリアル型;ボート、チェア、ねじれ、包接および半チェア型;ならびにこれらの組み合わせなど(以下総称して「異性体」(または「異性体型」))があるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
化合物が結晶型である場合、それは多くの多形型で存在することができる。
【0096】
留意すべき点として、互変異体について下記で説明するものを除き、構造(または構成)異性体(すなわち、空間的な原子の位置によってのみではなく、原子間の連結において異なる異性体)は、特に本明細書で使用される場合の「異性体」という用語から除外される。例えばメトキシ基−OCH3についての言及は、それの構造異性体であるヒドロキシメチル基−CH2OHについて言及しているものと解釈すべきではない。同様に、オルトクロロフェニルについての言及は、それの構造異性体であるメタクロロフェニルについての言及と解釈すべきではない。しかしながら、ある種の構造についての言及が、その種類の範囲に含まれる構造異性体をも含む場合がある(例えば、C1−7アルキルには、n−プロピルおよびイソプロピルが含まれ;ブチルにはn−、イソ、sec−およびtert−ブチルが含まれ;メトキシフェニルにはオルト−、メタ−およびパラ−メトキシフェニルが含まれる)。
【0097】
上記の除外は、ケト/エノール、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ、およびニトロ/アシニトロという互変異体ペアの場合のように、ケト、エノールおよびエノレート型という互変異型に関するものではない。
【0098】
本発明に特に関連するものとしては、以下に示したようなRNがHである場合に存在する互変異体ペアがある。
【化7】
【0099】
留意すべき点として、1以上の同位体置換を有する化合物は特に「異性体」という用語に含まれる。例えば、Hは1H、2H(D)および3H(T)などの同位体型であることができる。Cは12C、13Cおよび14Cなどの同位体型であることができる。Oは16Oおよび18Oなどの同位体型であることができる等である。
【0100】
別段の断りがない限り、特定の化合物についての言及は、それの(全体または部分的)ラセミ体その他の混合物を含むそのような全ての異性体を含む。そのような異性体の製造方法(例:不斉合成)および分離方法(例:分別結晶およびクロマトグラフィー手段)は、当業界で公知であるか、あるいは本明細書に記載の方法または公知の方法を公知の手法で適合させることで容易に得られるものである。
【0101】
別段の断りがない限り、特定の化合物についての言及は、例えば以下に記載のようなそれのイオン、塩、溶媒和物および保護体、ならびにそれの異なる多形体をも含む。
【0102】
例えば製薬上許容される塩などの活性化合物の相当する塩を製造、精製および/または取り扱うことが簡便または望ましい場合がある。製薬上許容される塩の例は、バージらの報告に記載されている(Berge et al., 1977, "Pharmaceutically Acceptable Salts," J. Pharm. Sci., Vol. 66, pp. 1-19)。
【0103】
例えば、化合物が陰イオン性である場合、または陰イオン性であることができる官能基(例:−COOHは−COO−であることができる)を有する場合、好適な陽イオンと塩を形成することができる。好適な無機陽イオンの例としては、Na+およびK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+などのアルカリ土類陽イオン、Al3+などの他の陽イオンなどがあるが、これらに限定されるものではない。好適な有機陽イオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわち、NH4+)および置換アンモニウムイオン(例:NH3R+、NH2R2+、NHR3+、NR4+)などがあるが、これらに限定されるものではない。一部の好適な置換アンモニウムイオンの例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミンおよびトロメタミン、ならびにリジンおよびアルギニンなどのアミノ酸から誘導されるものがある。一般的な4級アンモニウム塩の例としては、N(CH3)4+がある。
【0104】
化合物が陽イオン性である場合、あるいは陽イオン性となり得る官能基(例えば、−NH2は−NH3+であることができる)を有する場合、好適な陰イオンと塩を形成することができる。好適な無機陰イオンの例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸および亜リン酸という無機酸から誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。好適な有機陰イオンの例としては、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸(gycolic)、ステアリン酸、パルミチン酸、乳酸、リンゴ酸、パモ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ケイ皮酸、ピルビン酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、吉草酸およびグルコン酸という有機酸から誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。好適なポリマー陰イオンの例としては、タンニン酸、カルボキシメチルセルロースというポリマー酸から誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
活性化合物の相当する溶媒和物を製造、精製および/または取り扱うことが簡便または望ましい場合がある。本明細書においては「溶媒和物」という用語は、溶質(例:活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒の錯体を指す従来の意味で用いられる。溶媒が水である場合、溶媒和物は簡便には、例えば1水和物、2水和物、3水和物などの水和物と称することができる。
【0106】
化学的に保護された形で活性化合物を製造、精製および/または取り扱うことが簡便または望ましい場合がある。本明細書で使用される「化学的に保護された形」という用語は、1以上の反応性官能基が望ましくない化学反応から保護されている、すなわち被保護基または保護基(被マスク基またはマスク基あるいは被ブロック基またはブロック基とも称される)の形である化合物に関係するものである。反応性官能基を保護することで、他の未保護の反応性官能基が関与する反応を、被保護基に影響を与えることなく実施することができる。保護基は、分子の残りの部分に実質的な影響を与えることなく、通常は後段階で脱離させることができる。例えば、グリーンらの著作を参照する(Protective Groups in Organic Synthesis., T. Green and P. Wuts, Wiley, 1991)。
【0107】
例えばヒドロキシ基は、エーテル(−OR)またはエステル(−OC(=O)R)として、例えばt−ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)またはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルまたはt−ブチルジメチルシリルエーテル;またはアセチルエステル(−OC(=O)CH3、−OAc)として保護することができる。
【0108】
例えばアルデヒド基またはケトン基は、カルボニル基(>C=O)が例えば1級アルコールとの反応によってジエーテル(>C(OR)2)に変換されるアセタールまたはケタールとしてそれぞれ保護することができる。アルデヒド基またはケトン基は、酸存在下で大過剰の水を用いる加水分解によって容易に再生される。
【0109】
例えばアミン基は、例えばアミドまたはウレタンとして、例えばメチルアミド(−NHCO−CH3);ベンジルオキシアミド(−NHCO−OCH2C6H5、−NH−Cbz);t−ブトキシアミド(−NHCO−OC(CH3)3、−NH−Boc);2−ビフェニル−2−プロポキシアミド(−NHCO−OC(CH3)2C6H4C6H5、−NH−Bpoc)、9−フルオレニルメトキシアミド(−NH−Fmoc)、6−ニトロベラトリルオキシアミド(−NH−Nvoc)、2−トリメチルシリルエチルオキシアミド(−NH−Teoc)、2,2,2−トリクロロエチルオキシアミド(−NH−Troc)、アリルオキシアミド(−NH−Alloc)、2(−フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(−NH−Psec)として、または好適な場合にはN−オキサイド(>NO・)として保護することができる。
【0110】
例えばカルボン酸基は、エステルとして、例えばC1−7アルキルエステル(例:メチルエステル、t−ブチルエステル);C1−7ハロアルキルエステル(例:C1−7トリハロアルキルエステル);トリC1−7アルキルシリル−C1−7アルキルエステル;またはC5−20アリール−C1−7アルキルエステル(例:ベンジルエステル、ニトロベンジルエステル)として;またはアミドとして、例えばメチルアミドとして保護することができる。
【0111】
例えばチオール基は、チオエーテル(−SR)として、例えばベンジルチオエーテル;アセトアミドメチルエーテル(−S−CH2NHC(=O)CH3)として保護することができる。
【0112】
プロドラッグの形で活性化合物を製造、精製および/または取り扱うことが簡便または望ましい場合がある。本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、代謝された場合に(例えばin vivoで)、所望の活性化合物を生じる化合物に関係するものである。代表的には、プロドラッグは不活性であるか、あるいは活性化合物と比較して活性が低いが、有利な取り扱い、管理または代謝特性を提供することができる。
【0113】
例えば一部のプロドラッグは、活性化合物のエステル(例:生理的に許容される代謝的に不安定なエステル)である。代謝の際、エステル基(−C(=O)OR)が開裂して活性薬剤が得られる。そのようなエステルは、例えば適宜に親化合物に存在する他の反応性基を事前に保護した親化合物におけるいずれかのカルボン酸基(−C(=O)OH)のエステル化と、それに続く必要に応じた脱保護によって形成することができる。そのような代謝的に不安定なエステルの例としては、RがC1−7アルキル(例−Me、−Et);C1−7アミノアルキル(例:アミノエチル;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル;2−(4−モルホリノ)エチル);およびアシルオキシ−C1−7アルキル(例:アシルオキシメチル;アシルオキシエチル;例:ピバロイルオキシメチル;アセトキシメチル;1−アセトキシエチル;1−(1−メトキシ−1−メチル)エチルカルボニルオキシエチル;1−(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシカルボニルオキシメチル;1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシルオキシカルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;および1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)であるものなどがある。
【0114】
別の好適なプロドラッグ型には、リン酸塩およびグリコール酸塩などがある。
詳細にはヒドロキシ基(−OH)は、亜リン酸クロロジベンジルとの反応と、次に水素化を行ってホスホネート基−O−P(=O)(OH)2を形成することでホスホネートプロドラッグとすることができる。そのような基は、代謝時にホスホターゼ酵素によって除去されて、ヒドロキシ基を有する活性薬剤を生じることができる。
【0115】
さらに、一部のプロドラッグは、酵素的に活性化させて活性化合物を得ることができるか、あるいはさらなる化学反応によって活性化合物を与える化合物を得ることができる。例えばプロドラッグは、糖誘導体その他の配糖体抱合体であることができるか、あるいはアミノ酸エステル誘導体であることができる。
【0116】
略語
簡便のため、多くの化学部分を公知の略称を用いて表す。それには、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、n−ブチル(nBu)、tert−ブチル(tBu)、n−ヘキシル(nHex)、シクロヘキシル(cHex)、フェニル(Ph)、ビフェニル(biPh)、ベンジル(Bn)、ナフチル(naph)、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、ベンゾイル(Bz)およびアセチル(Ac)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
簡便のため、多くの化合物を公知の略称を用いて表す。それには例えば、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(i−PrOH)、メチルエチルケトン(MEK)、エーテルもしくはジエチルエーテル(Et2O)、酢酸(AcOH)、塩化メチレン(メチレンクロライド、DCM)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)およびジメチルスルホキシド(DMSO)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0118】
合成
本発明の化合物は多くの方法によって合成することができ、以下にその例を示す。一部の合成経路は、ヤマグチらの報告に示されている(Yamaguchi et al., J. Med. Chem. 1993, 36, 4502-4068;参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0119】
一般に、これら化合物の合成における重要な段階は、ヒドラジンの付加/挿入によって、中央部分に隣接する窒素環原子を提供する段階である。このヒドラジンの付加は詳細には、以下に示す経路における環挿入段階によって行われる。
【0120】
形成された芳香環(−A−B−によって表される)は通常は誘導体化してから以下に示す経路を行うものであり、所望の構造および置換基パターンを有する原料は、市販されているか容易に合成される。
【0121】
経路2は、合成経路の最初に芳香環がすでに置換されている場合の戦略を例示したものである。
【0122】
示した経路によって、RNがHである化合物が得られる。この位置での可能な置換基は、好適な反応条件で適切な求電子剤を用いることで付加させることができる。
【0123】
Rc上の基のさらなる誘導体化は、各種の従来法を用いて行うことができ、そのうちの一部を「さらに別の誘導体化段階」で示してある。
【0124】
経路1
パート1:2−アリールインダン−1,3−ジオン類の合成
【化8】
フタリドまたは等価物(13.41g;0.1mol)および芳香族アルデヒド(0.1mol
)のメタノール(50mL)およびプロピオン酸エチル(50mL)混合液中の溶液を氷冷し、それにナトリウムメトキシドのメタノール溶液[メタノール(50mL)中ナトリウム(9.20g;0.4mol)]を、温度を10℃以下に維持しながら加えた。溶液を加熱して、3時間ゆるやかに還流させ、冷却して室温とし、水(500mL)に投入した。混合物をエーテルで洗浄し(100mLで5回)、水層を酢酸で酸性とし、固体を濾過した。それを次の段階で粗取得物のままで用いた。
【0125】
パート2:2−アリールインダン−1,3−オン類のヒドラジン水和物との反応
【化9】
2−アリールインダン−1,3−ジオン(20mmol)のヒドラジン・1水和物(40mL)懸濁液を4時間加熱還流し、冷却し、生成物を濾過した。固体をエタノールで洗浄した。
【0126】
経路2
【化10】
ピバロイルクロライド(120g、1mol)を室温で、2−メトキシアニリン(123g、1mol)およびトリエチルアミン(111g、1.1mol)の1,4−ジオキサン(1200mL)溶液に撹拌下で滴下し、混合物を室温で2時間撹拌し、それを水(3000mL)に投入した。生成物を酢酸エチルで抽出し(300mLで3回)、合わせた抽出液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して、N−(2−メトキシフェニル)ピバルアミド(198g;96%)を低融点固体として得た。それをそれ以上精製せずに用いた。
【0127】
n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液;200mL、0.32mol)を窒素下に−10℃で、N−(2−メトキシフェニル)ピバルアミド(27.6g、0.133mol)のテトラヒドロフラン(600mL)溶液に撹拌下で滴下し、混合物を昇温させて室温とし、さらに2時間撹拌し、それを大過剰の砕いた固体二酸化炭素に加えた。混合物を昇温させて室温とし、3M塩酸(200mL)を加え、テトラヒドロフランを減圧下に除去した。得られた固体を濾取し、アセトニトリルから結晶化して、3−メトキシ−2−ピバルアミド安息香酸(21g;63%)を融点117〜120℃の固体として得た。母液を濃縮することで、第2の取得物を得た(2.6g;8%)。
【0128】
3−メトキシ−2−ピバルアミド安息香酸(20g、0.08mol)および7M塩酸(280mL)の撹拌混合物を2時間加熱還流し、冷却して0℃とした。亜硝酸ナトリウム(5.8g、0.09mol)の水溶液(水46mL)を<5℃で滴下し、混合物を0〜5℃で2時間撹拌し、ヨウ化カリウム(17.8g、0.11mol)の水溶液(水39mL)を0〜5℃で滴下した。撹拌混合物を70〜80℃で2時間加熱し、氷で冷却した。生成物を酢酸エチルで抽出し(300mLで3回)、合わせた抽出液を20%チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し(300mLで3回)、それを脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して、2−ヨード−3−メトキシ安息香酸(13g、58%)を融点142〜146℃の固体として得た。
【0129】
2−ヨード−3−メトキシ安息香酸(20g、0.07mol;上記と同様にして製造)、メタノール(300mL)および濃硫酸(3.5mL)の撹拌混合物を8時間加熱還流し、冷却して室温とし、水(1500mL)に加えた。生成物を塩化メチレンで抽出し(500mLで3回)、合わせた抽出液を5%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し(500mLで3回)、それを脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して、2−ヨード−3−メトキシ安息香酸メチル(18.5g、90%)を融点58〜61℃の固体として得た。
【0130】
適切に置換した置換フェニルアセチレン(0.063mol)を、ヨウ化銅(I)(0.1g、6.3mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド(0.43g、6.3mmol)および2−ヨード−3−メトキシ安息香酸メチル(18.5g、0.063mol)のトリエチルアミン(375mL)溶液を撹拌したものに窒素下室温で加え、混合物を室温で72時間撹拌し、それを5M塩酸(1000mL)に加えた。生成物を酢酸エチルで抽出し(400mLで3回)、合わせた抽出液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して、3−メトキシ−2−(置換フェニルエチニル)安息香酸メチルを得た。それをそれ以上精製せずに用いた。
【0131】
粗3−メトキシ−2−(置換フェニルエチニル)安息香酸エステルおよび30%水酸化ナトリウム水溶液(302mL)の混合物を撹拌し、4時間加熱還流し、冷却して室温とし、濃硫酸を加えることで酸性とした。生成物をエーテルで抽出し(500mLで3回)、合わせた抽出液を10%炭酸ナトリウム水溶液(2000mL)で洗浄し、それを脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して、4−メトキシ−3−(置換ベンジリデン)フタリドを得た。それを精製せずに用いた。
【0132】
粗4−メトキシ−3−(置換ベンジリデン)フタリド(14g)およびヒドラジン水和物(83mL)の混合物を5時間加熱還流し、冷却して室温とした。得られた固体を濾取し、エタノールで十分に洗浄し、減圧下に乾燥して所望の化合物を得た。
【0133】
原料における芳香環の置換を適宜に変えることができる。
【0134】
経路3
【化11】
ジメチルホスファイト(11g、0.1mol)および次に2−ホルミル安息香酸(10.51g、0.07mol)または等価物を窒素下に0℃で、ナトリウムメトキシドの撹拌溶液[メタノール(80mL)中ナトリウム(2.3g)]に滴下し、混合物を室温で30分間撹拌し、それをメタンスルホン酸(10.6g、0.11mol)を加えることで反応停止した。メタノールを減圧下に除去し、残留物を塩化メチレン(200mL)と水(50mL)との間で分配し、塩化メチレン溶液を水で洗浄し(50mLで2回)、脱水した(MgSO4)。溶媒を減圧下に除去して、3−オキソベンゾ[c]フラン−1−イルホスホン酸ジメチルまたは等価物を得た。
【0135】
リチウムヘキサメチルジシラジド(1Mヘキサン溶液;33mL、0.033mol)を窒素下に−78℃で、3−オキソベンゾ[c]フラン−1−イルホスホン酸ジメチル(8g、0.033mol)または等価物のテトラヒドロフラン(300mL)溶液を撹拌したものに滴下し、混合物を−78℃で1時間撹拌した。適切なアリールアルキルケトン(0.03mol)を加え、混合物を−78℃で1時間撹拌し、昇温させて0℃とし、それを過剰の飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることで反応停止した。水相を分液し、塩化メチレン(100mL)とともに振盪し、合わせた有機溶液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去した。残留物をヘキサン(50mL)で磨砕し、得られた固体を濾取し、風乾して3−(α−アルキルアリーリデン)フタリドまたは等価物を得た。それをそれ以上精製せずに用いた。
【0136】
3−(α−アルキルアリーリデン)フタリド(0.019mol)または等価物およびヒドラジン水和物(20mL)の混合物を18時間加熱還流し、冷却して0℃とした。
得られた固体を濾取し、エタノールで十分に洗浄し、風乾して、所望の化合物を得た。
【0137】
さらなる誘導体化
(a)4−(メトキシベンジル)−1(2H)−フタラジノン類の脱メチル化
【化12】
メトキシベンジルフタラジノンまたは等価物(0.7g;2.65mmol)の塩化メチレン(5mL)懸濁液に室温で窒素下にて、三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液(1M;6mL;6.0mmol)を加えた。混合物を24時間加熱還流し、冷却し、水酸化ナトリウム(10%;25mL)に投入した。有機層を除去し、水層を酸性とし(HCl)、固体を濾過した。
【0138】
(b)4−(アミノベンジル)−1(2H)−フタラジノン類の誘導体化
【化13】
アミノベンジルフタラジノンまたは等価物(0.6g;2.4mmol)およびトリエチルアミン(0.24g;2.4mmol)の1,4−ジオキサン(50mL)溶液を撹拌しながら、それに求電子剤(2.4mmol)を滴下した。混合物を2時間加熱還流し、冷却し、水(100mL)に投入した。固体を濾過し、水およびエタノールで洗浄してから、減圧下に乾燥した。
【0139】
(c)ヒドロキシベンジルフタラジノン類のアシル化
このアシル化は、好適な条件下にヒドロキシベンジルフタラジノンに適切な酸塩化物を加えることで行う。その例を以下に示す。
【0140】
(i)
【化14】
ヒドロキシベンジルフタラジノンまたは等価物(例:164)(0.7g;2.79mmol)およびトリエチルアミン(0.28g;2.79mmol)の1,4−ジオキサン(40mL)溶液を撹拌しながら、それに塩化アセチル(0.2mL;2.79mmol)を滴下した。混合物を2時間加熱還流し、冷却し、水(100mL)に投入した。固体を濾過し、水およびエタノールで洗浄してから、減圧下に乾燥した。
【0141】
(ii)
【化15】
ヒドロキシベンジルフタラジノン(1.36g;5.41mmol)、トリエチルアミン(0.61g;6.00mmol)および4−フルオロベンゾイルクロライド(0.86g;5.41mmol)の脱水1,4−ジオキサン(50mL)懸濁液を撹拌し、水分を排除しながら(CaCl2)2時間加熱還流し、冷却して室温とした。反応混合物を水(250mL)に投入し、固体を濾過した。粗固体をシクロヘキサン(10mL)中で沸騰させ、冷却し、濾過した。
【0142】
(iii)
【化16】
ヒドロキシベンジルフタラジノン(0.70g;2.79mmol)または等価物、トリエチルアミン(0.4mL;2.79mmol)および塩化アセチル(0.2mL;2.79mmol)の脱水1,4−ジオキサン(40mL)懸濁液を撹拌し、水分を排除しながら(CaCl2)2時間加熱還流し、冷却して室温とした。反応混合物を水(250mL)に投入し、固体を濾過した。
【0143】
(iv)
【化17】
適切な酸塩化物(0.24mmol)を、4−(3−ヒドロキシベンジル)フタラジン−1(2H)−オン(50mg、0.2mmol)または等価物およびトリエチルアミン(33μ1)の1,4−ジオキサン(0.5mL)溶液を撹拌したものに加え、反応の進行をTLCでモニタリングしながら、混合物を室温で撹拌した。場合により、反応を進行させて完了させるために加熱還流が必要であった。反応が完結したら、混合物を氷水で希釈し、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去した。残留物を精製して、必要なエステルを得た。精製は、溶離液としてのトリフルオロ酢酸水溶液とアセトニトリルとの間の勾配溶離を用い、ジョーンズ・クロマトグラフィー・ジェネシス(Jones Chromatography Genesis)4μC18カラムを使用するギルソン(Gilson)LCでの分取スケールHPLCによって行った。
【0144】
(d)3−(アミノベンジル)−1(2H)フタラジノン類の誘導体化
(i)
【化18】
アミノベンジルフタラジノン(160)(1.00g;40mmol)または等価物の脱水1,4−ジオキサン(25mL)溶液を撹拌したものに40℃で適切なイソシアネート(40mmol)を加えた。混合物をさらに2時間撹拌し、冷却して室温とし、固体を濾過した。
【0145】
(ii)
【化19】
アミノフタラジノン(197)(1.00g;2.97mmol)または等価物のアセトニトリル(25mL)溶液を撹拌したものに無水ジグリコール酸(0.35g;3.00mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、固体を濾過した。粗固体をNaOH(10%;20mL)に溶かし、セライト濾過した。水層を酸性とし、固体を濾過した。
【0146】
(iii)
【化20】
適切な酸塩化物(0.2mmol)を、アミノベンジルフタラジノン160(0.05g、0.2mmol)または等価物およびトリエチルアミン(33μL)の1,4−ジオキサン(0.5mL)溶液を撹拌したものに加え、混合物を室温で18時間撹拌し、それを水(10mL)で希釈した。生成物を濾取し、水(5mL)で洗浄し、真空乾燥して必要なアミドを得た。
【0147】
(iv)
【化21】
アミノベンジルフタラジノン160(0.5g、2mmol)または等価物および1,4−ジオキサン(15mL)の混合物を、全ての固体が溶解するまで(5〜15分)、室温で撹拌した。適切なイソシアネート(2mmol)を加え、混合物を室温で2時間撹拌し、それを室温で18時間放置した。得られた固体を濾取し、水で十分に洗浄し、真空乾燥して必要なウレイド生成物を得た。
【0148】
(v)(a)
【化22】
適切なスルホニルクロライド(1mmol)を、アミノベンジルフタラジノン160(0.25g、1mmol)または等価物のピリジン(10mL)溶液に加え、撹拌混合物を2時間加熱還流し、それを水(200mL)で希釈した。得られた固体を濾取し、水で十分に洗浄し、真空乾燥して必要なスルホンアミド生成物を得た。
【0149】
(v)(b)
【化23】
適切なスルホニルクロライド(1mmol)を、アミノベンジルフタラジノン160(0.25g、1mmol)または等価物およびトリエチルアミン(0.1g、1mmol)の1,4−ジオキサン(10mL)溶液に加え、撹拌混合物を2時間加熱還流し、それを水(200mL)で希釈した。得られた固体を濾取し、水で十分に洗浄し、真空乾燥して必要なスルホンアミド生成物を得た。
【0150】
(e)227の合成
【化24】
4−フルオロベンゾイルクロライド(159)(0.95g;5.97mmol)の脱水1,4−ジオキサン(50mL)溶液を撹拌したものにトリエチルアミン(0.60g;5.97mmol)およびアミノベンジルフタラジノン(1.50g;5.97mmol)または等価物を加えた。混合物を、水分を排除しながら(CaCl2)2時間加熱還流し、冷却して室温とした。次に、反応混合物を水(250mL)に投入し、固体を濾過した。
【0151】
(f)239の合成
【化25】
ベンジルオキシメトキシベンジルフタラジノン(187)(5.00g;13.0mmol)の塩化メチレン(11.5mL)懸濁液を撹拌しながら、それに窒素下で、三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液(1.0M溶液;4.4mL;4.40mmol)を加えた。反応混合物を24時間加熱還流し、冷却して室温とし、氷/水(250mL)に投入した。混合物を、固体水酸化ナトリウムを加えることで塩基性とし、有機層を除去した。水層を塩化メチレンで洗浄し(50mLで3回)、濃HClで酸性とした。固体を濾過し、水で洗浄し、風乾した。
【0152】
(g)247の合成
【化26】
原料のメトキシ化合物(241)(1.50g;5.27mmol)の三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液(1.0M溶液;12mL;12.00mmol)中懸濁液を撹拌したものを窒素下に8時間加熱還流した。反応混合物を冷却して室温とし、氷/水(250mL)に投入した。混合物を固体水酸化ナトリウムを加えることで塩基性とし、有機層を除去した。水層を塩化メチレンで洗浄し(50mLで3回)、濃HClで酸性とした。固体を濾過し、水で洗浄し、風乾した。
【0153】
(h)277の合成
【化27】
カルボン酸(276)(8g、0.028mol)の塩化メチレン(240mL)溶液を室温で、ジシクロヘキシルカルボジイミド(5.8g、0.028mol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.2g、0.0014mol)、メタノール(0.92g、0.028mol)および塩化メチレン(40mL)の撹拌混合物に滴下し、混合物を室温で18時間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを塩化メチレン(280mL)で洗浄し、濾液および洗浄液を合わせ、溶媒を減圧下に除去した。残留物をエーテル(1000mL)で希釈し、得られた沈殿を濾去し、エーテル濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(400mL)、1.5M塩酸(400mL)、水(400mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(400mL)で洗浄した。溶液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して277を得た。
【0154】
(i)278の合成
【化28】
カルボン酸(276)(3g、0.01mol)の塩化メチレン(90mL)溶液を室温で、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.2g、0.01mol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.08g、0.5mmol)、アニリン(0.9g、0.01mol)および塩化メチレン(15mL)の撹拌混合物に滴下し、混合物を室温で18時間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを塩化メチレン(105mL)で洗浄し、濾液および洗浄液を合わせ、溶媒を減圧下に除去した。残留物をエーテル(375mL)で希釈し、得られた沈殿を濾去し、エーテル濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(150mL)、1.5M塩酸(150mL)、水(150mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(150mL)で洗浄した。溶液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して278を得た。
【0155】
(j)197の誘導体化
【化29】
3−クロロメチルベンゾイルクロライド(0.56g、3mmol)を、197(1g、3mmol)およびトリエチルアミン(0.4mL)の1,4−ジオキサン(50mL)溶液を撹拌したものに加え、混合物を室温で2時間撹拌し、それを水(100mL)で希釈した。生成物を酢酸エチルで抽出し(50mLで3回)、合わせた抽出液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去した。残留物を熱トルエン(50mL)で磨砕し、熱溶液を濾過し(セライト)、シクロヘキサン(50mL)を加え、混合物を放冷して室温とした。得られた固体を濾取し、真空乾燥して3−(クロロメチル)−N−[2−モルホリノ−5−(1−オキソフタラジン−4−イルメチル)フェニル]ベンズアミド(1.32g、90%)を融点117〜122℃の固体として得た。
【0156】
3−(クロロチル)−N−[2−モルホリノ−5−(1−オキソフタラジン−4−イルメチル)フェニル]ベンズアミド(0.66g、1.35mmol)、適切なアミン(27mmol)および1,4−ジオキサン(50mL)の混合物を2時間加熱還流し、冷却して室温とし、水(100mL)で希釈して、粘稠固体を沈殿させた。水層を傾斜法によって除去し、残留固体を酢酸エチルで抽出した(50mLで3回)。合わせた抽出液を水(50mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去した。残留物を熱トルエン(50mL)で磨砕し、熱溶液を傾斜法によって不溶物から分離し、シクロヘキサン(50mL)を加え、混合物を放冷して室温とした。得られた固体を濾取し、シクロヘキサン(30mL)で洗浄し、真空乾燥して所望の化合物を得た。
【0157】
(k)265の合成
【化30】
4−クロロブチリルクロライド(1.26g、8.9mmol)を197(3g、8.9mmol)およびトリエチルアミン(0.9g、8.9mmol)の1,4−ジオキサン(50mL)溶液を撹拌したものに加え、混合物を室温で2時間撹拌し、それを水(100mL)で希釈して、粘稠半固体を沈殿させた。水相を傾斜法によって除去し、残留物を熱酢酸エチル(100mL)で磨砕した。熱溶液を不溶残留物から分離し、溶媒を減圧下に除去した。残留物をシクロヘキサン(50mL)で磨砕し、得られた固体を濾取し、真空乾燥して4−クロロ−N−[2−モルホリノ−5−(1−オキソフタラジン−4−イルメチル)フェニル]ブチルアミドを得た。
【0158】
用途
本発明は、活性化合物、具体的にはPARPの活性を阻害する活性を有する化合物を提供する。
【0159】
本明細書で使用される「活性」という用語は、PARP活性を阻害することができる化合物に関係するものであり、具体的には固有の活性を有する化合物(薬剤)とそのような化合物のプロドラッグの両方を含み、プロドラッグ自体は固有の活性をほとんど示さない場合がある。
【0160】
特定の化合物が提供するPARP阻害を評価するのに簡便に用いることができる一つのアッセイを、下記の例で説明する。
【0161】
本発明はさらに、細胞におけるPARPの活性を阻害する方法であって、その細胞を、好ましくは製薬上許容される組成物の形での有効量の活性化合物と接触させる段階を有する方法を提供する。そのような方法は、in vitroまたはin vivoで行うことができる。
【0162】
例えば、細胞のサンプルをin vitroで増殖させ、活性化合物をその細胞と接触させ、その細胞に対する化合物の効果を観察することができる。「効果」の例として、一定時間で行われたDNA修復の量を求めることができる。活性化合物が細胞に対して影響を与えることが認められる場合には、同じ細胞種の細胞を有する患者の治療方法におけるその化合物の効力に関する予後または診断マーカーとして、それを用いることができる。
【0163】
状態の治療という文脈において本明細書で使用される「治療」という用語は、ヒトに関するものか動物に関するものか(例:獣医用途)を問わず、例えば状態進行の阻害などの何らかの望ましい治療効果が得られる治療および療法に関係するものであり、その効果には進行速度の低下、進行速度の停止、状態の改善および状態の治癒などがある。予防手段(すなわち予防)としての治療も含まれる。
【0164】
本明細書で使用される「補助手段」という用語は、公知の治療手段と組み合わせた活性化合物の使用に関係するものである。そのような手段には、各種癌の治療で用いられる薬剤の細胞傷害性投与および/または電離放射線などがある。
【0165】
活性化合物は、PARPを阻害するために細胞培養添加剤として用いて、例えばin vitroで公知の化学処置または電離放射線処置に対して細胞を放射線増感させることもできる。
【0166】
活性化合物はin vitroアッセイの一部として用いて、例えば候補宿主において対象とする化合物での治療が有効であるか否かを決定することもできる。
【0167】
投与
活性化合物または活性化合物を含む医薬組成物は、全身投与/末梢投与であるか所望の作用部位とは無関係に、簡便な投与経路によって被験者に投与することができ、それには経口(例:経口摂取により);局所(例えば経皮、経鼻、眼球、口腔および舌下など);肺(例:例えばエアロゾルを用いた、例えば口もしくは鼻を介した吸入または通気療法);直腸;膣;例えば皮下、皮内、筋肉、静脈、動脈、心臓内、硬膜内、脊髄内、嚢内、被膜下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、クモ膜下および胸骨内などの注射による非経口;例えば皮下または筋肉でのデポー剤埋込物によるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0168】
被験体は、真核生物、動物、脊椎動物、哺乳動物、齧歯類(例:モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ類(例:マウス)、犬類(例:イヌ)、ネコ類(例:ネコ)、ウマ類(例:ウマ)、霊長類、類人猿(例:サルまたは類人猿)、サル類(例:マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例:ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)またはヒトであることができる。
【0169】
製剤
活性化合物を単独で投与することは可能であるが、それを1以上の製薬上許容される担体、補助剤、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、安定剤、保存剤、潤滑剤その他の当業者には公知の材料ならびに適宜に他の治療薬もしくは予防薬とともに、上記で定義の少なくとも1種類の活性化合物を含む医薬組成物(例えば、製剤)として提供することが好ましい。
【0170】
そこで本発明はさらに、上記で定義の医薬組成物、ならびに本明細書に記載の1以上の製薬上許容される担体、賦形剤、希釈剤、緩衝剤、補助剤、安定剤その他の材料と上記で定義の少なくとも1以上の活性化合物を混合する段階を有する医薬組成物の製造方法を提供する。
【0171】
本明細書で使用される「製薬上許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応その他の問題または合併症を起こさず、妥当な利益/リスク比を与えて、被験者(例:ヒト)の組織と接触しての使用に好適である化合物、材料、組成物および/または製剤に関係するものである。各担体、賦形剤なども、製剤の他の成分と適合性であるという意味において「許容できる」ものでなければならない。
【0172】
好適な担体、賦形剤などは、例えばレミントンの著作に記載されている(Remington′s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1990)。
【0173】
製剤は簡便には単位製剤で提供することができ、製薬業界で公知の方法によって製造することができる。そのような方法には、1以上の補助成分を構成する担体と活性化合物を組み合わせる段階がある。概して製剤は、液体担体または微粉砕固体担体またはその両方を活性化合物と均一かつ十分に組み合わせ、次に必要に応じて生成物を成形することで製造される。
【0174】
製剤は、液体、液剤、懸濁液、乳濁液、エリキシル剤、シロップ、錠剤、ロゼンジ剤、粒剤、粉剤、カプセル、カシェ剤、丸薬、アンプル、坐剤、ペッサリー、軟膏、ゲル、ペースト、クリーム、噴霧剤、ミスト、泡剤、ローション、オイル、ボラス、舐剤またはエアロゾルの形とすることができる。
【0175】
経口投与(例えば、経口摂取)に好適な製剤は、カプセル、カシェ剤または錠剤などの、それぞれが所定量の活性化合物を含む個別の単位として;粉剤または粒剤として;水系もしくは非水系液体中の液剤または懸濁液として;あるいは水中油型乳濁液または油中水型乳濁液として;ボラスとして;舐剤として;あるいはペーストとして提供することができる。
【0176】
錠剤は、適宜に1以上の補助成分とともに、例えば圧縮または成形などの従来の手段によって製造することができる。圧縮錠は、1以上の結合剤(例:ポビドン、ゼラチン、アカシア、ソルビトール、トラガカント、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤または希釈剤(例:乳糖、微結晶セルロース、リン酸水素カルシウム);潤滑剤(例:ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例:デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);界面活性または分散剤または湿展剤(例:ラウリル硫酸ナトリウム);ならびに保存剤(例:p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)と混合されていても良い粉末または顆粒などの自由流動性の活性化合物を、好適な機械で圧縮することで製造することができる。成形錠は、不活性液体希釈剤で濡らした粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することで製造することができる。錠剤には適宜にコーティングまたは刻み目を施すことができ、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを各種割合で用いて活性化合物を緩やかにまたは制御し放出して、所望の放出プロファイルを得るように製剤することができる。錠剤には適宜に、腸溶コーティングを施して、胃以外の腸部分で放出されるようにすることができる。
【0177】
局所投与に好適な製剤(例:経皮、経鼻、眼球、口腔および舌下)は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉剤、液剤、ペースト、ゲル、噴霧剤、エアロゾルまたはオイルとして製剤することができる。別法として製剤は、活性化合物および適宜に1種類以上の賦形剤もしくは希釈剤を含浸させた帯具または粘着性膏薬などの貼付剤または包帯を含むことができる。
【0178】
口での局所投与に好適な製剤には、香味を付けた基剤、通常はショ糖およびアカシアもしくはトラガカント中に活性化合物を含むロゼンジ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアカシアなどの不活性基剤中に活性化合物を含むパステル剤;ならびに好適な液体担体中に活性化合物を含む含嗽薬などがある。
【0179】
眼球への局所投与に好適な製剤には、活性化合物を好適な担体、特には活性化合物用の水系溶媒に溶解または懸濁させた点眼剤も含まれる。
【0180】
担体が固体である鼻投与に好適な製剤には、鼻での吸気を行うことで、すなわち鼻の近くに保持された粉剤容器から鼻道を通って急速な吸入によって投与される、粒径が例えば約20〜約500ミクロンの範囲の粗粉剤などがある。担体が例えば鼻噴霧剤、鼻滴剤としての投与またはネブライザーによるエアロゾル投与用の液体である好適な製剤には、活性化合物の水系または油系溶液などがある。
【0181】
吸入による投与に好適な製剤には、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素その他の好適なガスなどの好適な推進剤を用いた加圧パックからのエアロゾル噴霧剤として提供されるものなどがある。
【0182】
皮膚を介した局所投与用製剤には、軟膏、クリームおよび乳濁液などがある。軟膏で製剤する場合、活性化合物は適宜にパラフィン系または水混和性軟膏基剤とともに用いることができる。別法として活性化合物は、水中油型クリーム基剤を用いてクリームに製剤することができる。所望に応じて、クリーム基剤の水相には、例えば少なくとも約30重量%の多価アルコール、すなわちプロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセリンおよびポリエチレングリコールならびにそれらの混合物などの2以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含有させることができる。局所製剤は望ましくは、皮膚その他の罹患領域からの活性化合物の吸収または浸透を促進する化合物を含むことができる。そのような皮膚浸透促進剤の例としては、ジメチルスルホキシドおよび関連類縁物などがある。
【0183】
局所乳濁液として製剤する場合、油相は場合により、乳化剤(別途にエマルジェント(emulgent)とも称される)のみを含むことができるか、あるいは脂肪またはオイルあるいは脂肪とオイルの両方と少なくとも1種類の乳化剤との混合物を含むことができる。好ましくは、親水性乳化剤を、安定剤として作用する親油性乳化剤とともに含有させる。オイルと脂肪の両方を含有させることも好ましい。同時に、安定剤と組み合わせたまたはそれを含まない乳化剤はいわゆる乳化ロウを形成し、オイルおよび/または脂肪を組み合わせたロウは、クリーム製剤の油系分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を形成する。
【0184】
好適なエマルジェントおよび乳化安定剤には、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸ナトリウムなどがある。医薬乳濁液製剤で使用される可能性の高いほとんどのオイルでの活性化合物の溶解度は非常に低い場合があることから、製剤に好適なオイルまたは脂肪の選択は所望の見た目上の特性達成に基づいたものとする。そこでクリームは好ましくは、好適な粘稠度を有することでチューブその他の容器からの漏出が回避される非グリース性で汚れていない洗浄可能な製品でなければならない。ジイソアジピン酸エステル、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシルまたはクロダモル(Crodamol)CAPと称される分岐エステルの混合物などの直鎖または分岐の一塩基または二塩基アルキルエステルを用いることができ、最後の3つが好ましいエステルである。これらは、必要な特性に応じて、単独でまたは組み合わせて用いることができる。別の形態として、白色軟パラフィンおよび/または液体パラフィンその他の鉱油などの高融点脂質を用いることができる。
【0185】
直腸投与に好適な製剤は、例えばカカオバターまたはサリチル酸誘導体(例えばエステル)などを含む好適な基剤での坐剤として提供することができる。
【0186】
膣投与に好適な製剤は、活性化合物以外に、当業界で適切であることが知られているような担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡または噴霧剤製剤として提供することができる。
【0187】
非経口投与(例えば、皮膚、皮下、筋肉、静脈および経皮などの注射)に好適な製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、保存剤、安定剤、静菌剤および製剤を所期の被投与者の血液と等張とする溶質を含むことができる水系および非水系の等張性で発熱物質を含まない無菌注射液;および懸濁剤および増粘剤を含むことができる水系および非水系無菌懸濁液、ならびに化合物を血液成分または1以上の臓器に指向させるよう設計されたリポソームその他の微粒子系などがある。そのような製剤での使用に好適な等張性媒体の例には、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液または乳酸加リンゲル注射液などがある。代表的には、溶液中の活性化合物の濃度は、約1ng/mL〜約10μg/mLであり、例えば約10ng/mL〜約1μg/mLである。この製剤は、例えばアンプルおよびバイアルなどの単位用量または多用量密封容器に入れて提供することができ、使用直前に例えば注射用水などの無菌液体担体を加えるのみで良い冷凍乾燥(凍結乾燥)条件で保存することができる。即時注射溶液および懸濁液を、無菌の粉剤、粒剤および錠剤から調製することができる。製剤は、活性化合物を血液成分または1以上の臓器に指向させるよう設計されたリポソームその他の微粒子系の形とすることができる。
【0188】
用量
活性化合物および活性化合物を含む組成物の適切な用量は患者ごとに変動し得ることは明らかであろう。至適用量の決定には通常、本発明の治療のリスクまたは有害な副作用に対する治療効果レベルのバランスを取る作業が関与する。選択される用量レベルは、これらに限定されるものではない、特定の化合物の活性、投与経路、投与時刻、化合物の排泄速度、治療期間、併用される他の薬剤、化合物および/または材料、ならびに患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康および病歴などの多様な要素によって決まる。化合物の量および投与経路は最終的には、医師の裁量に委ねられる。ただし一般に用量は、実質的に有害または有毒な副作用を起こすことなく、所望の効果を達成する作用部位での局所濃度を与えるようなものとする。
【0189】
in vivoでの投与は、治療期間を通じて1回投与、連続投与または間歇投与(例:適切な間隔で分割用量にて)で行うことができる。投与の最も有効な手段および用量を決定する方法は当業者には公知であり、治療法に用いられる製剤、治療法の目的、治療される標的細胞、ならびに治療を受ける被験者によって変動する。治療担当医が選択する用量レベルおよびパターンで、単回投与または複数回投与を行うことができる。
【0190】
概して活性化合物の好適な用量は、約100μg〜約250mg/被験者kg/日の範囲である。活性化合物が塩、エステル、プロドラッグなどである場合、投与される量は親化合物に基づいて計算されることから、使用される実際の重量はそれに比例して多くなる。
【実施例】
【0191】
合成データ
100より大きい数字で表1に示した構造の化合物を、上記の合成経路に従って合成した。その特性データは以下の通りである。100より小さい数字の表1における化合物は、入手可能であった(Maybridge plc, Cornwall, UK)。
【0192】
経路1
(−A−B−=ベンゼン環)
126;Ar=4−クロロフェニル
収率31%;融点:218〜220℃;δH4.30(2H、s)、7.30(4H、s)、7.75〜8.00(3H、s)、8.25〜8.45(1H、m)、12.40(1H、brs);m/z(M+H)+・271(100%)、273(35%)。
【0193】
129;Ar=4−ブロモフェニル
収率59%;融点:232〜235℃;δH4.40(2H、s)、7.30(2H、d、J=8.7Hz)、7.45(2H、d、J=8.7Hz)、7.60〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.40(1H、brs);m/z(M+H)+・314(100%)、316(95%)。
【0194】
131;Ar=1−ナフチル
収率58%;融点:228〜231℃;δH4.80(2H、s)、7.25〜8.50(11H、m)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・287(100%)。
【0195】
132;Ar=4−フルオロフェニル
収率54%;融点:194〜197℃;δH4.30(2H、s)、7.10(2H、d、J=8.5Hz)、7.25(2H、d、J=8.5Hz)、7.25〜7.50(1H、m)、7.75〜8.00(2H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.55(1H、brs);m/z(M+H)+・255(100%)。
【0196】
138;Ar=4−メトキシフェニル
収率66%;融点:194〜196℃;δH3.70(3H、s)、4.50(2H、s)、6.85(2H、d、J=8.5Hz)、7.30(2H、d、J=8.5Hz)、7.70〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・267(100%)。
【0197】
139;Ar=4−メチルフェニル 収率80%;融点:205〜207℃;δH2.15(3H、s)、4.25(2H、s)、7.00〜7.30(4H、m)、7.60〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.60(1H、brs);m/z(M+H)+・251(100%)。
【0198】
141;Ar=2−フルオロフェニル
収率85%;融点:235〜238℃;δH4.40(2H、s)、7.10〜7.45(4H、m)、7.70〜8.05(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.40(1H、brs);m/z(M+H)+・255(100%)。
【0199】
142;Ar=2−メトキシフェニル
収率74%;融点:158〜160℃;δH3.70(3H、s)、4.25(2H、s)、6.70〜6.95(3H、m)、7.10〜7.35(1H、m)、7.60〜7.95(3H、m)、8.45〜8.55(1H、m)、11.15(1H、brs);m/z(M+H)+・281(100%)。
【0200】
145;Ar=フェニル
収率85%;融点:201〜204℃;δH4.45(2H、s)、7.20〜7.45(5H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.40(1H、brs);m/z(M+H)+・237(100%)。
【0201】
151;Ar=4−ヨードフェニル
収率86%;融点:233〜236℃;δH4.20(2H、s)、7.15(2H、d、J=8.2Hz)、7.60(2H、d、J=8.2Hz)、7.75〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.15(1H、brs);m/z(M+H)+・362(100%)。
【0202】
159;Ar=4−アミノフェニル
収率28%;融点:233〜236℃;δH4.15(2H、s)、4.85(2H、s)、6.50(2H、d、J=7.1Hz)、7.00(2H、d、J=7.1Hz)、7.75〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・252(100%)。
【0203】
160;Ar=3−アミノフェニル
収率95%;融点:178〜180℃;δH4.15(2H、s)、5.00(2H、brs)、6.35〜6.55(3H、m)、6.80〜7.05(1H、m)、7.75〜7.90(3H、m)、8.25〜8.40(1H、m);m/z(M+H)+・252(100%)。
【0204】
163;Ar=2−メチルフェニル
収率72%;融点:201〜204℃;δH2.15(3H、s)、4.10(2H、s)、6.95〜7.25(4H、m)、7.80〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.25(1H、brs)。
【0205】
177;Ar=4−ピリジル
収率40%;融点:214〜216℃;δH4.25(2H、s)、7.45(2H、d、J=5.7Hz)、7.75〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、8.55(2H、d、J=5.7Hz)、12.00(1H、brs);m/z(M+H)+・238(100%)。
【0206】
178;Ar=3−ピリジル
収率62%;融点:196〜199℃;δH4.30(2H、s)、7.25〜7.45(1H、m)、7.60〜7.95(4H、m)、8.25〜8.45(2H、m)、8.55(1H、s)、12.15(1H、brs);m/z(M+H)+・238(100%)。
【0207】
180;Ar=3,4−メチレンジオキシフェニル
収率59%;融点:225〜228℃;δH4.25(2H、s)、6.00(2H、s)、6.85〜7.00(3H、m)、7.70〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.25(1H、brs);m/z(M+H)+・281(100%)。
【0208】
186;Ar=3−クロロフェニル
収率69%;融点:192〜194℃;δH4.30(2H、s)、7.30〜7.50(3H、s)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.60(1H、brs);m/z(M+H)+・271(100%)、273(35%)。
【0209】
187;Ar=3−ベンジルオキシ−4−メトキシフェニル
収率51%;融点:150〜152℃;δH3.60(3H、s)、4.20(2H、s)、5.05(2H、s)、7.30〜7.50(3H、s)、7.55(5H、s)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、brs);m/z(M−H)+・371(100%)。
【0210】
191;Ar=3−(トリフルオロメチル)フェニル
収率71%;融点:195〜198℃;δH4.30(2H、s)、7.50〜8.00(7H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、11.60(1H、brs);m/z(M+H)+・305(100%)。
【0211】
192;Ar=3−フルオロフェニル
収率70%;融点:187〜190℃;δH4.30(2H、s)、6.90〜7.45(4H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.30(1H、brs);m/z(M+H)+・255(65%)。
【0212】
193;Ar=3−フェノキシフェニル
収率52%;融点:146〜148℃;δH4.20(2H、s)、6.80〜7.50(9H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.00(1H、brs);m/z(M+H)+・329(45%)。
【0213】
194;Ar=3−ベンジルオキシフェニル
収率83%;融点:177〜180℃;δH4.20(2H、s)、5.00(2H、s)、6.80〜7.50(9H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.00(1H、brs)。
【0214】
198;Ar=3−アミノ−4−チオモルホリノフェニル
収率6%;融点:235〜238℃;δH2.75(4H、brs)、2.95(4H、brs)、4.10(2H、s)、4.65(2H、s)、6.50〜6.85(3H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・353(100%)。
【0215】
202;Ar=3,4−ジフルオロフェニル
収率70%;融点:186〜191℃;δH4.25(2H、brs)、7.00〜7.55(3H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M〜H)+・271(100%)。
【0216】
204;Ar=3−ニトロ−4−ピロリジノフェニル
収率1%;融点:268〜270℃;δH2.75(4H、brs)、3.10(4H、brs)、4.10(2H、s)、6.85(1H、d、J=8.15Hz)、7.45(1H、dd、J=<2Hzおよび8.15Hz)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・351(100%)。
【0217】
211;Ar=3−ブロモフェニル
収率80%;融点:199〜202℃;δH4.35(2H、s)、7.20〜7.60(4H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.40(1H、s);m/z(M+H)+・316(95%)および318(100%)。
【0218】
222;Ar=4−ベンジルオキシ−3−メトキシフェニル
収率29%;融点:173〜175℃;δH3.60(3H、s)、4.10(2H、s)、5.00(2H、s)、6.60〜6.95(3H、m)、7.40(5H、s)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・373(100%)。
【0219】
241;Ar=4−フルオロ−3−メトキシフェニル
収率55%;融点:211〜214℃;δH3.80(3H、s)、4.25(2H、s)、6.75〜7.25(3H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・285(100%)。
【0220】
248;Ar=2−フルオロフェニル
収率86%;融点:234〜236℃;δH4.30(2H、s)、4.65(2H、s)、7.00〜7.45(4H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・255(100%)。
【0221】
249;Ar=2−ピリジル
収率84%;融点:180〜184℃;δH4.45(2H、s)、7.10〜7.45(2H、m)、7.50〜8.00(4H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、8.45〜8.55(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・238(100%)。
【0222】
266;Ar=2−フェニルエチル
収率9%;融点:124〜126℃;m/z(M)+・250(純度70%)。
【0223】
276;Ar=3−カルボキシフェニル
収率59%;融点:277〜280℃;δH4.40(2H、s)、7.3〜8.0(7H、m)、8.1〜8.4(1H、m)および12.60(1H、s);m/z(M+H)+・281(純度88%).
経路2
279;R″=4−メチル
収率5%(7段階);融点:215〜217℃;δH2.20(3H、s)、3.80(3H、s)、4.40(2H、s)、7.10(4H、s)、7.40(1H、dd)、7.70〜7.90(2H、m)および12.60(1H、brs);m/z(M+H)+・281(純度100%)。
【0224】
経路3
(−A−B−=ベンゼン環)
中間体化合物:3−オキソベンゾ[c]フラン−1−イルホスホン酸ジメチル;収率90%;融点:95〜96.5℃。
【0225】
283;Ar=フェニル、RL1=プロピル
収率49%(2段階);融点:158〜159℃;δH0.90(3H、t)、1.0〜1.5(2H、m)、1.8〜2.5(2H、m)、4.40(1H、t)、7.1〜7.4(5H、m)、7.5〜7.9(3H、m)、8.4〜8.6(1H.m)および12.0(1H、brs);m/z(M+H)+・279(純度98%)。
【0226】
284(ジアステレオ異性体対の7:1混合物であることが認められた);ArCORL1=2−メチルインダノン
収率46%(2段階);融点:204〜206℃;δH0.70および1.10(3H、2×d)、2.5〜3.4(3H、m)、4.50および5.1(1H、2×d)、6.8〜7.3(4H、m)、7.95(3H、s)、8.3〜8.5(1H.m)および12.5(1H、brs);m/z(M+H)+・277(ジアステレオ異性体2対で純度100%)。
【0227】
285;Ar=フェニル、RL1=メチル
収率50%(2段階);融点:169〜171℃;δH1.60(3H、d)、4.80(1H、q)、7.1〜7.4(5H、m)、7.7〜7.9(3H、m)、8.25〜8.4(1H、m)および12.7(1H、brs);m/z(M+H)+・251(純度100%)。
【0228】
さらなる誘導体化
(a)
164;4−ヒドロキシ
収率99%;融点:231〜234℃;δH4.15(2H、s)、6.60(2H、d、J=8.0Hz)、7.10(2H、d、J=8.0Hz)、7.80〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・253(100%)。
【0229】
165;3−ヒドロキシ
収率68%;融点:198〜201℃;δH4.15(2H、s)、6.50〜6.80(3H、m,)、6.95〜7.10(1H、m)、7.80〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・253(100%)。
【0230】
(b)
166;R″=4−NHC(=O)CH3
収率57%;融点:267〜271℃;δH2.00(3H、s)、4.25(2H、s)、7.25(2H、d、J=7.7Hz)、7.55(2H、d、J=7.7Hz)、7.75〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、9.80(1H、s)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・294(100%)。
【0231】
167;R″=4−NHC(=O)Ph
収率87%;融点:293〜296℃;δH4.25(2H、s)、7.20〜8.00(12H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、10.15(1H、s)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・356(100%)。
【0232】
169;R″=3−NHC(=O)−2−チエニル
収率72%;融点:232〜235℃;δH4.25(2H、s)、7.00〜7.45(3H、m)、7.55〜7.65(2H、m)、7.75〜7.95(5H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、10.10(1H、s)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・362(100%)。
【0233】
170;R″=3−NHC(=O)−4−フルオロフェニル
収率68%;融点:257〜261℃;δH4.25(2H、s)、7.00〜7.50(4H、m)、7.55〜8.25(8H、m)、10.15(1H、s)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・374(100%)。
【0234】
171;R″=3−NHC(=O)Ph
収率78%;融点:261〜264℃;δH4.25(2H、s)、7.05〜7.95(12H、m)、10.05(1H、s)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・356(100%)。
【0235】
172;R″=3−NHC(=O)CH3
収率55%;融点:270〜272℃;δH2.00(3H、s)、4.25(2H、s)、7.00〜7.50(4H、m)、7.75(3H、s)、8.25〜8.45(1H、m)、9.80(1H、s)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・294(100%)。
【0236】
233;R″=3−NHC(=O)CH(Et)Ph
収率82%;融点:150〜154℃;δH0.90(3H、t)、1.50〜2.25(2H、m)、3.20〜3.55(1H、m)、4.25(2H、s)、7.0〜7.90(12H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、9.95(1H、brs)および12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・398(純度88%)。
【0237】
(c)(i)
179;収率45%;融点:161〜164℃;δH2.15(3H、s)、4.25(2H、s)、6.90〜7.35(4H、m)、7.75〜7.95(3H、s)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・295(100%)。
【0238】
(c)(ii)
212;収率55%;融点:184〜187℃;δH3.55(2H、s)、7.10〜7.50(6H、m)、7.75〜8.05(3H、m)、8.10〜8.45(3H、m)、12.55(1H、s)。
【0239】
(c)(iii)
213;収率12%;融点:193〜196℃;δH2.20(3H、s)、3.55(2H、s)、7.10(4H、dd、J=8.2Hz)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.55(1H、s)。
【0240】
(c)(iv)
289;RE=n−C9H19;m/z(M+H)+・407(純度>95%)。
【0241】
290;RE=1−フェニルスルホニルインドール−3−イル。
【0242】
291;RE=4−(N,N−ジプロピルスルファモイル)フェニル;m/z(M+H)+・520(純度>95%)。
【0243】
292;RE=2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロフェニル;m/z(M+H)+・524(純度>95%)。
【0244】
293;RE=4−(4−クロロフェニルスルホニル)−3−メチル−2−チエニル;m/z(M+H)+・551(純度>95%)。
【0245】
294;RE=5−(2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン−5−イル)−4−メチルチアゾール−5−イル;m/z(M+H)+・496(純度>95%)。
【0246】
295;RE=2−(2−チエニル)チアゾール−4−イル;m/z(M+H)+・446(純度>95%)。
【0247】
296;RE=3−メチル−5−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)イソオキサゾール−4−イル;m/z(M+H)+・443(純度>95%)。
【0248】
298;RE=5−(4−クロロフェニル)−2−(トリフルオロメチル)−3−フリル;m/z(M+H)+・525(純度>95%)。
【0249】
299;RE=2−(4−メチルフェニルチオ)−3−ピリジル。
【0250】
300;RE=キノキザリン−6−イル;m/z(M+H)+・409(純度>85%)。
【0251】
601;RE=2−クロロ−3,4−ジメトキシスチリル;m/z(M+H)+・477(純度>90%)。
【0252】
602;RE=5−フェニルオキサゾール−4−イル;m/z(M+H)+・424(純度>85%)。
【0253】
603;RE=1−ベンジルオキシカルボニルピペリド−4−イル;m/z(M+H)+・498(純度>95%)。
【0254】
604;RE=1−(4−メトキシフェニル)−5−メチルピラゾール−4−イル;m/z(M+H)+・467(純度>95%)。
【0255】
605;RE=4−n−ヘキシルフェニル;m/z(M+H)+・441(純度>95%)。
【0256】
607;RE=4−n−プロピルフェニル;m/z(M+H)+・399(純度>95%)。
【0257】
608;RE=6−フルオロ−1,3−ベンゾジオキサン−8−イル;m/z(M+H)+・433(純度>95%)。
【0258】
609;RE=2,4,5−トリフルオロ−3−メトキシフェニル;m/z(M+H)+・441(純度>95%)。
【0259】
610;RE=シクロヘキシル;m/z(M+H)+・363(純度>95%)。
【0260】
611;RE=4−ブロモ−1−エチル−3−メチルピラゾール−5−イル。
【0261】
612;RE=2−クロロ−4−ピリジル;m/z(M+H)+・392/394(純度>95%)。
【0262】
613;RE=シクロプロピル;m/z(M+H)+・321(純度>95%)。
【0263】
614;RE=5−メチル−2−(トリフルオロメチル)−3−フリル;m/z(M+H)+・429(純度>95%)。
【0264】
615;RE=シクロブチル;m/z(M+H)+・335(純度>95%)。
【0265】
616;RE=2−クロロ−6−メチル−4−ピリジル。
【0266】
617;RE=1−(4−クロロフェノキシ)−1−メチルエチル;m/z(M+H)+・446/451(純度>95%)。
【0267】
618;RE=2−チエニル;m/z(M+H)+・363(純度>90%)。
【0268】
619;RE=3,4−メチレンジオキシフェニル;m/z(M+H)+・401(純度>95%)。
【0269】
620;RE=n−ヘプチル;m/z(M+H)+・379(純度>95%)。
【0270】
621;RE=3−クロロプロピル;m/z(M+H)+・357/359(純度>95%)。
【0271】
622;RE=5−メチルイソオキサゾール−3−イル;m/z(M+H)+・362(純度>95%)。
【0272】
623;RE=1−t−ブチル−5−メチルピラゾール−3−イル;m/z(M+H)+・417(純度>90%)。
【0273】
624;RE=3−フェニルチアゾール−4−イル;m/z(M+H)+・440(純度>95%)。
【0274】
625;RE=3−t−ブチル−1−(2,4−ジクロロベンジル)ピラゾール−5−イル。
【0275】
626;RE=1−クロロエチル。
【0276】
627;RE=3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−7−イル。
【0277】
628;RE=1−エチルペンチル;m/z(M+H)+・379(純度>90%)。
【0278】
629;RE=1−ベンジルオキシカルボニル−2,3−ジヒドロインドール−2−イル;m/z(M+H)+・532(純度>90%)。
【0279】
630;RE=2−クロロ−1,1−ジメチルエチル;m/z(M+H)+・371/373(純度>95%)。
【0280】
631;RE=1−プロペニル;m/z(M+H)+・321(純度>95%)。
【0281】
(d)(i)
215;Ar=フェニル
収率31%;融点:254〜257℃;δH3.55(2H、s)、6.80〜7.50(13H、m)、7.85(1H、s)、9.55(1H、s);m/z(M+H)+・371(100%)。
【0282】
216;Ar=4−フルオロフェニル
収率79%;融点:240〜244℃;δH3.55(2H、s)、6.80〜7.50(12H、m)、8.50(1H、s)、9.55(1H、s);m/z(M+H)+・389(100%)。
【0283】
(d)(ii)
206;収率12%;融点:125〜126.5℃;δH2.65(4H、brs)、3.70(4H、brs)、4.20(2H、s)、4.30(4H、s)、7.00〜7.15(2H、m)、7.65〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(2H、m)、9.60(1H、s)、12.55(1H、s)。
【0284】
(d)(iii)
640;RA=シクロブチル
収率77%;m/z(M+H)+・334(純度96%)。
【0285】
641;RA=5−メチル−2−(トリフルオロメチル)−3−フリル
収率50%;m/z(M+H)+・428(純度97%)。
【0286】
642;RA=4−ブロモ−1−エチル−3−メチルピラゾール−5−イル
収率97%;m/z(M+H)+・466/468(純度100%)。
【0287】
643;RA=2−チエニル
収率100%;m/z(M+H)+・362(純度93%)。
【0288】
644;RA=5−メチルイソオキサゾール−3−イル
収率99%;m/z(M+H)+・361(純度100%)。
【0289】
645;RA=3,4−メチレンジオキシフェニル
収率100%;m/z(M+H)+・400(純度94%)。
【0290】
646;RA=1−t−ブチル−5−メチルピラゾール−3−イル
収率96%;m/z(M+H)+・416(純度97%)。
【0291】
647;RA=1−エチルペンチル
収率80%;m/z(M+H)+・378(純度100%)。
【0292】
648;RA=n−ヘプチル
収率76%;m/z(M+H)+・378(純度100%)。
【0293】
649;RA=1−クロロエチル
収率65%;m/z(M+H)+・342/344(純度100%)。
【0294】
650;RA=1−プロペニル
収率91%;m/z(M+H)+・320(純度97%)。
【0295】
651;RA=3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−7−イル
収率93%;m/z(M+H)+・428(純度97%)。
【0296】
652;RA=2−クロロ−6−メチル−4−ピリジル
収率77%;m/z(M+H)+・405/407(純度100%)。
【0297】
653;RA=2−クロロ−4−ピリジル
収率87%;m/z(M+H)+・391/393(純度100%)。
【0298】
654;RA=1−(4−クロロフェノキシ)−1−メチルエチル
収率89%;m/z(M+H)+・448/450(純度100%)。
【0299】
655;RA=4−(トリフルオロメトキシ)フェニル
収率100%;m/z(M+H)+・440(純度100%)。
【0300】
656;RA=シクロヘキシル
収率75%;m/z(M+H)+・362(純度97%)。
【0301】
657;RA=6−フルオロ−1,3−ベンゾジオキサン−8−イル
収率87%;m/z(M+H)+・432(純度97%)。
【0302】
658;RA=4−プロピルフェニル
収率79%;m/z(M+H)+・398(純度100%)。
【0303】
659;RA−2,4,5−トリフルオロ−3−メトキシフェニル
収率83%;m/z(M+H)+・440(純度100%)。
【0304】
667;RA=2−クロロ−3,4−ジメトキシスチリル
収率76%;m/z(M+H)+・476/478(純度100%)。
【0305】
668;RA=4−ヘキシルフェニル
収率63%、m/z(M+H)+・440(純度100%)。
【0306】
669;RA=2−(4−メチルフェノキシ)−3−ピリジル
収率41%;m/z(M+H)+・463(純度97%)。
【0307】
670;RA=2−(4−メチルフェニルチオ)−3−ピリジル
収率100%;m/z(M+H)+・479(純度88%)。
【0308】
671;RA=キノキザリン−6−イル
収率86%;m/z(M+H)+・408(純度100%)。
【0309】
672;RA=1−ベンジルオキシカルボニルピペリド−4−イル
収率84%;m/z(M+H)+・497(純度95%)。
【0310】
673;RA=1−(4−メトキシフェニル)−5−メチルピラゾール−4−イル
収率76%;m/z(M+H)+・466(純度97%)。
【0311】
674;RA=(5−(2−ピリジル)−2−チエニル
収率66%;m/z(M+H)+・439(純度100%)。
【0312】
675;RA=5−フェニルオキサゾール−4−イル
収率63%;m/z(M+H)+・423(純度100%)。
【0313】
676;RA=3−メチル−5−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)イソオキサゾール−4−イル
収率49%;m/z(M+H)+・442(純度100%)。
【0314】
677:RA=2(2−チエニル)イソチアゾール−4−イル
収率70%;m/z(M+H)+・445(純度100%)。
【0315】
678;RA=2−(2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン−5−イル)−4−メチルチアゾール−5−イル
収率96%;m/z(M+H)+・495(純度100%)。
【0316】
679;RA=5−(4−クロロフェニル)−2−(トリフルオロメチル)−3−フリル
収率95%;m/z(M+H)+・524/526(純度98%)。
【0317】
680;RA=3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル
収率69%;m/z(M+H)+・492(純度100%)。
【0318】
681;RA=4−(4−クロロフェニルスルホニル)−3−メチル−2−チエニル
収率45%;m/z(M+H)+・550/552(純度100%)。
【0319】
682;RA=1−ベンジル−3−t−ブチルピラゾール−5−イル
収率94%;m/z(M+H)+・492(純度98%)。
【0320】
683;RA=1−フェニルスルホニルインドール−3−イル
収率90%;m/z(M+H)+・535(純度100%)。
【0321】
684;RA=n−ノニル
収率75%;m/z(M+H)+・406(純度94%)。
【0322】
685;RA=2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロフェニル
収率98%;m/z(M+H)+・523(純度100%)。
【0323】
686;RA=プロピル
収率56%;m/z(M+H)+・322(純度92%)。
【0324】
687;RA=エチル
収率68%;m/z(M+H)+・308(純度97%)。
【0325】
688;RA=1−メチルエチル
収率100%;m/z(M+H)+・322(純度100%)。
【0326】
(d)(iv)
691;R=6−フルオロ−1,3−ベンゾジオキサン−8−イル
収率100%;融点:250〜254℃(142〜146で収縮);m/z(M+H)+・447(純度100%)。
【0327】
692;R=3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−7−イル 収率71%;融点:205〜208℃;m/z(M+H)+・443(純度100%)。
【0328】
693;R=1−ベンジルオキシカルボニルピペリド−4−イル
収率78%;融点:216〜219℃;m/z(M+H)+・512(純度100%)。
【0329】
694;R=プロピル
収率75%;融点:205〜208℃;δH0.80(3H、t)、1.2〜1.7(2H、m)、3.0(2H、q)、4.20(2H、s)、6.0(1H、brs)、6.8〜7.3(4H、m)、7.7〜7.95(3H、m)、8.3〜8.45(2H、m)および12.55(1H、s);m/z(M+H)+・337(純度100%)。
【0330】
698;R=2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン−5−イル
収率88%;融点:251〜254℃;δH3.1(2H、t)、4.25(2H、s)、4.5(2H、t)、6.6(1H、d)、6.8〜6.4(6H、m)、7.7〜7.9(3H、m)、8.2〜8.4(2H、m)、9.0(1H、s)および12.55(1H、s);m/z(M+H)+・413(純度94%)。
【0331】
699;R=3−メトキシフェニル
収率67%;融点:195〜200℃;δH3.7(3H、s)、4.25(2H、s)、6.4〜6.6(1H、m)、6.8〜7.3(7H、m)、9.7〜9.9(3H、m)、8.2〜8.4(1H、m)、8.6〜8.7(2H、m)および12.25(1H、s);m/z(M+H)+・401(純度100%)。
【0332】
700;R=2−(トリフルオロメトキシ)フェニル
収率84%;融点:229〜231℃;δH4.25(2H、s)、6.9〜7.3(7H、m)、9.7〜9.9(3H、m)、8.2〜8.4(3H、m)11.25(1H、s)および12.25(1H、s);m/z(M+H)+・455(純度100%)。
【0333】
701;R=5−メチル−3−フェニルイソオキサゾール−4−イル
収率39%;融点:256〜258℃;m/z(M+H)+・452(純度97%)。
【0334】
704;R=2−エトキシフェニル
収率77%;融点:174〜178℃;m/z(M+H)+・415(純度100%)。
【0335】
705;R=4−ブチルフェニル
収率78%、融点:201〜205℃;δH0.80(3H、t)、1.0〜1.8(4H、m)、2.5(2H、m)、4.25(2H、s)、6.9〜7.4(8H、m)、9.7〜9.9(3H、m)、8.2〜8.6(3H、m)および12.25(1H、s);m/z(M+H)+・427(純度100%)。
【0336】
706;R=ブチル
収率65%;融点:225〜227℃;m/z(M+H)+・351(純度96%)。
【0337】
(d)(v)(a)
697;R=メチル
収率78%;融点:192〜194℃;m/z(M+H)+・330(純度100%)。
【0338】
(d)(v)(b)
702;R=4−アセトアミドフェニル
収率67%;融点:263〜265℃;m/z(M+H)+・449(純度97%)。
【0339】
703;R=5−(2−ピリジル)−2−チエニル
収率80%;融点:258〜261℃;m/z(M+H)+・475(純度100%)。
【0340】
(e)
227;収率31%;融点:124〜125.5℃;δH4.25(2H、s)、7.20〜7.50(4H、m)、7.60〜8.45(8H、m)、10.20(1H、m)、12.55(1H、m);m/z(M−H)+・372(20%)。
【0341】
(f)
239;収率68%;融点:230〜232℃;δH3.65(2H、s)、4.10(3H、s)、6.50〜7.00(3H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、8.50〜9.00(1H、brs)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・283(100%)。
【0342】
(g)
247;収率89%;融点:228〜231℃;δH4.25(2H、s)、6.60〜7.05(3H、m)、7.80〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、9.80(1H、s)、12.55(1H、s);m/z(M+H)+・271(65%)。
【0343】
(h)
277;収率36%;融点:157〜162℃;δH3.80(3H、s)、4.40(2H、s)、7.3〜8.0(7H、m)、8.2〜8.4(1H、m)および12.60(1H、s)。
【0344】
(i)
278;収率6%;融点:131〜139℃;δH4.40(2H、s)、7.3〜7.9(12H、m)、8.2〜8.4(1H、m)、10.20(1H、s)および12.60(1H、s);m/z(M+H)+・356(純度79%)。
【0345】
(j)
253;RN1RN2NH=モルホリン
収率19%(2段階);融点:118〜120℃;δH2.3〜2.6(4H、m)、2.7〜2.9(4H、m)、3.4〜3.9(10H、m)4.35(2H、s)、7.0〜8.3(11H、m)9.70(1H、s)および12.30(1H、s);m/z(M+H)+・540(純度95%)。
【0346】
254;RN1RN2NH=ピロリジン
収率42%(2段階);融点:110〜113℃;δH1.6〜1.8(4H、m)、2.3〜2.6(4H、m)、2.7〜2.9(4H、m)、3.6〜3.9(6H、m)、4.35(2H、s)、7.2〜8.3(11H、m)9.70(1H、s)および12.60(1H、s)。
【0347】
(k)
265;収率46%;融点:分解>75℃;δH1.9〜2.2(2H、m)、2.7〜2.85(4H、m)、3.5〜3.9(8H、m)、4.20(2H、s)、7.0(1H、s)、7.7〜8.2(6H、m)、8.80(1H、s)および12.50(1H、s)。
【0348】
生物試験
化合物の阻害作用を評価するため、以下のアッセイを用いてIC50値を求めた。
【0349】
ヒーラ細胞核抽出物から単離した哺乳動物PARPを96ウェルフラッシュプレート(Flash Plate)(商標名)(NEN, UK)中で、Z−緩衝液(25mM Hepes(Sigma);12.5mM MgCl2(Sigma);50mM KCl(Sigma);1mM DTT(Sigma);10%グリセリン(Sigma)0.001%NP-40(Sigma);pH7.4)とともにインキュベートし、各種濃度の前記阻害薬を加えた。全ての化合物をDMSOで希釈し、10〜0.01μMの最終アッセイ濃度を得て、DMSOはウェル当たり1%の最終濃度とした。ウェル当たりの総アッセイ容量は40μLとした。
【0350】
30℃で10分間のインキュベート後、NAD(5μM)、3H−NADおよび30量体二本鎖DNAオリゴを含む反応混合物10μLを加えることで反応開始した。化合物ウェル(未知)と組み合わせて指定の陽性および陰性反応ウェルを処理して、酵素活性%を計算した。プレートを2分間振盪し、30℃で45分間インキュベートした。
【0351】
インキュベーション後、各ウェルに30%酢酸50μLを加えることで反応停止した。次に、プレートを室温で1時間振盪した。
【0352】
プレートをトップカウント(TopCount)NXT(商標名)(Packard, UK)に移して、シンチレーションカウンティングを行った。記録した値は、各ウェルの30秒間カウンティング後のカウント/分(cpm)である。
【0353】
次に、各化合物についての酵素活性%を、下記の式を用いて計算する。
【数1】
【0354】
一部の結果を、広範囲の各種濃度にわたり、通常は10μM〜0.01μMの範囲で測定したIC50値(酵素活性の50%が阻害される濃度)として下記の表1に示してある。そのようなIC50値を比較値として用いて、化合物効力の上昇を確認する。
【0355】
比較のため、100(1(2H)−フタラジノン)のIC50を上記試験を用いて7.2μMと測定した。
【表1】
【0356】
化合物233、278、279、294、295、601、604、624、640〜659、667〜678および680〜706の試験を行ったところ、1μM以下のIC50値を有していた。
【0357】
化合物253、254、265および619の試験を行ったところ、3μM以下のIC50値を有していた。
【0358】
化合物266、283、284および285の試験を行ったところ、5μM以下のIC50値を有していた。
【0359】
用量強化因子(DEF)は、ブレオマイシン単独と比較した、ブレオマイシン存在下で被験化合物によって誘発される細胞増殖阻害の強化比である。被験化合物は、25μMの固定濃度で用いた。ブレオマイシンは、0.5μg/mLの濃度で用いた。DEFは以下の式から計算した。
【数2】
式中、GrowthTCは被験化合物存在下での細胞増殖であり;Growthcontrolは対照細胞の細胞増殖であり;Growthbleoはブレオマイシン存在下での細胞増殖であり;Growth(bleo+TC)は、ブレオマイシンおよび被験化合物存在下での細胞増殖である。
【0360】
細胞増殖は、スルホローダミンB(SRB)アッセイ(Skehan, P., et al., 1990, J. Natl. Cancer Inst., 82, 1107-1112)を用いて評価した。2000個のヒーラ細胞を、容量100μLで平底96ウェル微量定量プレートの各ウェルに接種し、37℃で6時間インキュベートした。細胞を、培地のみと置き換えるか、あるいは被験化合物を最終濃度25μMで含む培地と置き換えた。細胞をさらに1時間増殖させてから、未処理細胞または被験化合物処理細胞のいずれかにブレオマイシンを加えた。ブレオマイシンと被験化合物の両方とも未処理の細胞を対照として用いた。被験化合物単独で処理した細胞を用いて、被験化合物による増殖阻害を評価した。
【0361】
細胞をさらに16時間放置してから、培地を入れ換えて、37℃でさらに72時間細胞を増殖させた。次に培地を除去し、細胞を氷冷10%(重量/容量)トリクロロ酢酸100μLで固定した。プレートを4℃で20分間インキュベートしてから、水で4回洗浄した。各ウェルの細胞を0.4%(重量/容量)SRBの1%酢酸溶液100μLで20分間染色してから、1%酢酸で4回洗浄した。次にプレートを室温で2時間乾燥させた。各ウェルに10mM Tris塩基100μLを加えることで、染色細胞からの色素を可溶化させた。プレートを緩やかに振盪し、室温で30分間放置してから、マイクロクアント(Microquant)微量定量プレート読取装置で564nMでの光学密度を測定した。
【0362】
一部の結果を表2に示してある。
【表2】
【0363】
化合物233、249、254、265、278、279、283、284、640、645、648〜654、655〜658、667、671、672、678、680、683、684および686〜688の試験を行ったところ、1より大きいDEFを有していた。
【図面の簡単な説明】
【0364】
【図1】本発明による化合物を示す図である。
【図2】本発明による化合物を示す図である。
【図3】本発明による化合物を示す図である。
【図4】本発明による化合物を示す図である。
【図5】本発明による化合物を示す図である。
【図6】本発明による化合物を示す図である。
【図7】本発明による化合物を示す図である。
【図8】本発明による化合物を示す図である。
【図9】本発明による化合物を示す図である。
【図10】本発明による化合物を示す図である。
【図11】本発明による化合物を示す図である。
【図12】本発明による化合物を示す図である。
【図13】本発明による化合物を示す図である。
【図14】本発明による化合物を示す図である。
【図15】本発明による化合物を示す図である。
【図16】本発明による化合物を示す図である。
【図17】本発明による化合物を示す図である。
【図18】本発明による化合物を示す図である。
【図19】本発明による化合物を示す図である。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、フタラジノン誘導体およびそれの医薬としての使用に関する。詳細には本発明は、ポリ(ADP-リボース)シンターゼおよびポリADP-リボシルトランスフェラーゼとも称され、一般にはPARPと称される酵素ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼの活性を阻害する上でのその化合物の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
DNA一本鎖または二本鎖の切断を認識し、それに急速に結合する能力により、哺乳動物酵素PARP(113-kDaの多領域タンパク質)が、DNA損傷の信号伝達において示唆されている(D′Amours et al, 1999, Biochem. J. 342: 249-268)。
【0003】
いくつかの所見から、遺伝子増幅、細胞分裂、分化、アポトーシス、DNA塩基除去修復ならびにテロメア長さおよび染色体安定性に対する効果などの多様なDNA関係機能にPARPが関与しているという結論が得られている(d′Adda di Fagagna et al, 1999, Nature Gen., 23(1): 76-80)。
【0004】
PARPがDNA修復および他のプロセスを調節する機序に関する研究によって、細胞核内でのポリ(ADP-リボース)鎖形成におけるそれの重要性が確認されている(Althaus, F. R. and Richter, C., 1987, ADP Ribosylation of Proteins: Enzymology and Biological Significance, Springer-Verlag, Berlin)。DNA-結合活性化PARPはNADを利用して、トポイソメラーゼ、ヒストン類およびPARP自体などの多様な核標的タンパク質上でポリ(ADP-リボース)を合成する(Rhun et al, 1998, Biochem. Biophys. Res. Commun., 245: 1-10)。
【0005】
ポリ(ADP-リボシル)化も、悪性トランスフォーメーションに関連していた。例えば、SV40-トランスフォーム線維芽細胞の単離核ではPARP活性は相対的に高く、一方で白血病細胞および結腸癌細胞のいずれも同等の正常な白血球および結腸粘膜より高い酵素活性を示す(Miwa et al, 1977, Arch. Biochem. Biophys. 181: 313-321; Burzio et al, 1975, Proc. Soc. Exp. Bioi. Med. 149: 933-938 ; and Hirai et al, 1983, Cancer Res. 43: 3441-3446)。
【0006】
多くの低分子量PARP阻害薬を用いて、DNA修復におけるポリ(ADP-リボシル)化の機能的役割が解明されている。アルキル化剤で処理した細胞では、PARPの阻害によって、DNA鎖切断および細胞死に顕著な増加が生じる(Durkacz et al, 1980, Nature 283: 593-596; Berger, N. A., 1985, Radiation Research, 101: 4-14)。
【0007】
その後、そのような阻害薬が、致死的となり得る損傷の修復を抑制することで、放射線応答の効果を促進することが明らかになっている(Ben-Hur et al, 1984, British Journal of Cancer, 49 (Suppl. VI): 34-42 ; Schlicker et al, 1999, Int. J. Radiat. Bioi., 75: 91-100)。PARP阻害薬が、低酸素性腫瘍細胞の放射線増感において有効であることが報告されている(米国特許第5032617号;米国特許第5215738号および米国特許第5041653号)。
【0008】
さらに、PARPノックアウト(PARP-/-)動物は、アルキル化剤およびγ線照射に応答してゲノム不安定性を示す(Wang et al, 1995, Genes Dev., 9: 509-520; Menissier de Murcia et al, 1997, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94: 7303-7307)。
【0009】
PARPに関する役割は、ある種の血管疾患、敗血症ショック、虚血性損傷および神経毒性においても示されている(Cantoni et al, 1989, Biochim. Biophys. Acta, 1014: 1-7; Szabo, et al, 1997, J. Clin. lnvest., 100: 723-735)。後にPARPによって認識されるDNAにおける鎖切断を生じる酸素ラジカルDNA損傷は、PARP阻害薬試験によって示されるそのような疾患状態に対する主要な寄与因子である(Cosi et al, 1994, J. Neurosci. Res., 39: 38-46; Said et al, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 93: 4688-4692)。より最近ではPARPは、出血性ショックの病因において何らかの役割を果たすことが示されている(Liaudet et al, 2000, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 97(3): 10203-10208)。
【0010】
哺乳動物細胞の効率的レトロウィルス感染が、PARP活性の阻害によって遮断されることも明らかになっている。組換えレトロウィルスベクター感染のそのような阻害は、各種の異なる細胞型で起こることが明らかになっている(Gaken et al, 1996, J. Virology, 70(6): 3992-4000)。そこでPARPの阻害薬が、抗ウィルス療法および癌治療での使用に向けて開発されている(WO 91/18591)。
【0011】
さらにPARP阻害は、ヒト線維芽細胞における加齢特性の開始を遅延させるものと推定されている(Rattan and Clark, 1994, Biochem. Biophys. Res. Comm., 201(2): 665-672)。それは、PARPがテロメア機能の制御において果たす役割に関係する可能性がある(d′Adda di Fagagna et al, 1999, Nature Gen., 23(1): 76-80)。
【0012】
米国特許第5874444号には、多くのPARP阻害薬が開示されており、その中に1(2H)−フタラジノン(100)がある。
【化4】
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
本発明者らは、1(2H)−フタラジノンのある種の誘導体および関連化合物がPARP活性の阻害を示すことを発見した。
【0014】
従って本発明の第1の態様は、PARP活性を阻害する医薬の製造における、下記式の化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学保護体およびプロドラッグの使用を提供する。
【化5】
式中、
AおよびBは一体となって、置換されていても良い縮合芳香環を表し;
Rcは−L−RLによって表され;Lは式−(CH2)n1−Qn2−(CH2)n3−のものであり;
n1、n2およびn3はそれぞれ、0、1、2および3から選択され;n1、n2およびn3の合計は1、2または3であり;Qは、O、S、NH、C(=O)または−CR1R2−から選択され;R1およびR2は独立に、水素、ハロゲンまたは置換されていても良いC1−7アルキルから選択されるか、あるいはそれらが結合している炭素原子と一体となって、飽和(C3−7シクロアルキル基)もしくは不飽和(C3−7シクロアルケニル基)であることができるC3−7環状アルキル基を形成していても良く、あるいはR1およびR2の一方がRLにおける原子に結合して、Q、−(CH2)n3−(存在する場合)およびRLの一部においてR1およびR2が結合している炭素原子を含む不飽和3−7シクロアルケニル基を形成していても良く;RLは置換されていても良いC5−20アリールであり;RNは、水素、置換されていても良いC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール、ヒドロキシ、エーテル、ニトロ、アミノ、アミド、チオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホンから選択される。
【0015】
本発明の第2の態様は、下記式の化合物ならびにその化合物の異性体、塩、溶媒和物、化学保護体およびプロドラッグである。
【化6】
式中、
AおよびBは一体となって、置換されていても良い縮合芳香環を表し;
Rcは−CH2−RLであり;
RLは置換されていても良いフェニルであり;
RNは水素である。
【0016】
本発明の第3の態様は、第2の態様の化合物および製薬上許容される担体もしくは希釈剤を含む医薬組成物に関する。
【0017】
本発明の第4の態様は、ヒトもしくは動物の身体の治療方法における第2の態様の化合物の使用に関する。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、血管疾患;敗血症ショック;虚血性損傷;神経毒性;出血性ショック;ウィルス感染;またはPARP活性阻害によって改善される疾患の治療用の医薬製造における本発明の第1の態様で定義の化合物の使用を提供する。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、癌療法において補助手段として使用される医薬または電離放射線または化学療法剤による治療に向けて腫瘍細胞を強化するための医薬の製造における、本発明の第1の態様で定義の化合物の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面の簡単な説明
図1〜19には本発明による化合物を示してある。
【0021】
発明の説明
定義
本明細書において「芳香環」という用語は、従来の意味で環状芳香族構造、すなわち非局在化π−電子軌道を有する環状構造を指すのに用いられる。
【0022】
主核に縮合した芳香環、すなわち−A−B−によって形成される環は、さらに別の縮合芳香環を有することができる(例えばナフチル基またはアントラセニル基が得られる)。芳香環は専ら炭素原子を有することができるか、あるいは炭素原子ならびに窒素、酸素および硫黄原子など(ただしこれらに限定されるものではない)の1以上のヘテロ原子を有することができる。芳香環は好ましくは、5個または6個の環原子を有する。
【0023】
芳香環は置換されていても良い。置換基自体がアリール基を有する場合、そのアリール基は、それが結合しているアリール基の一部とは見なさない。例えば、ビフェニル基は本明細書においては、フェニル基で置換されたフェニル基(1個の芳香環を有するアリール基)と考える。同様にベンジルフェニル基は、ベンジル基で置換されたフェニル基(1個の芳香環を有するアリール基)と考える。
【0024】
好ましい実施形態の1群において芳香族基は、環原子が炭素、窒素、酸素および硫黄から選択され、環が置換されていても良い5個もしくは6個の環原子を有する1個の芳香環を有する。その基の例としては、ベンゼン、ピラジン、ピロール、チアゾール、イソオキサゾールおよびオキサゾールなどがある。2−ピロンも芳香環と考えることができるが、あまり好ましいものではない。
【0025】
芳香環が6個の原子を有する場合、好ましくは環原子の少なくとも4個、または5個もしくは全てが炭素である。他の環原子は、窒素、酸素および硫黄から選択され、窒素および酸素が好ましい。好適な基には、ヘテロ原子を持たない環(ベンゼン);1個の窒素環原子を有する環(ピリジン);2個の窒素環原子を有する環(ピラジン、ピリミジンおよびピリダジン);1個の酸素環原子を有する環(ピロン);ならびに1個の酸素および1個の窒素環原子を有する環(オキサジン)などがある。
【0026】
芳香環が5個の環原子を有する場合、好ましくはその環原子の少なくとも3個が炭素である。残りの環原子は、窒素、酸素および硫黄から選択される。好適な環には、1個の窒素環原子を有する環(ピロール);2個の窒素環原子を有する環(イミダゾール、ピラゾール);1個の酸素環原子を有する環(フラン);1個の硫黄環原子を有する環(チオフェン);1個の窒素および1個の硫黄環原子を有する環(チアゾール);ならびに1個の窒素および1個の酸素環原子を有する環(イソオキサゾールもしくはオキサゾール)などがある。
【0027】
芳香環は、いずれか使用可能な環位置に1以上の置換基を有することができる。その置換基は、ハロ、ニトロ、ヒドロキシ、エーテル、チオール、チオエーテル、アミノ、C1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリールから選択される。芳香環はさらに、一体となって環を形成する1以上の置換基を有することもできる。詳細にはそれは、式−(CH2)m−または−O−(CH2)p−O−(mは2、3、4または5であり、pは1、2または3である)のものであることができる。
【0028】
C1−7アルキル:本明細書で使用される「C1−7アルキル」という用語は、脂肪族もしくは脂環式またはそれらの組み合わせであることができ、飽和、部分不飽和または完全不飽和であることができる1〜7個の炭素原子を有するC1−7炭化水素化合物から水素原子を除去することで得られる1価部分に関係するものである。
【0029】
(未置換)飽和直鎖C1−7アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルおよびn−ペンチル(アミル)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
(未置換)飽和分岐C1−7アルキル基の例には、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルおよびネオペンチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
飽和脂環式(炭素環式)C1−7アルキル基(「C3−7シクロアルキル」基とも称される)の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどの未置換基ならびにメチルシクロプロピル、ジメチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、ジメチルシクロブチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、シクロプロピルメチルおよびシクロヘキシルメチルなどの置換された基(例えば、そのような基を有する基)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
1以上の炭素−炭素二重結合を有する(未置換)不飽和C1−7アルキル基(「C2−7アルケニル」基とも称される)の例には、エテニル(ビニル、−CH=CH2)、2−プロペニル(アリル、−CH2−CH=CH2)、イソプロペニル(−C(CH3)=CH2)、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
1以上の炭素−炭素三重結合を有する(未置換)不飽和C1−7アルキル基(「C2−7アルキニル」基とも称される)の例には、エチニル(エチニル)および2−プロピニル(プロパルギル)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
1以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和脂環式(炭素環式)C1−7アルキル基(「C3−7シクロアルケニル」基とも称される)の例には、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルなどの未置換基、ならびにシクロプロペニルメチルおよびシクロヘキセニルメチルなどの置換された基(例えば、そのような基を有する基)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
C3−20複素環:本明細書で使用される「C3−20複素環」という用語は、1個の環または2個以上の環(例:スピロ、縮合、架橋)を有し、1〜10個が環ヘテロ原子である3〜20個の環原子を有し、その環のうちの少なくとも一つが複素環である非芳香族C3−20複素環化合物の環原子から水素原子を除去することで得られる1価部分に関係するものである。好ましくは各環は、3〜7個の環原子を有し、そのうちの1〜4個は環ヘテロ原子である。
【0036】
「C3−20」は、炭素原子かヘテロ原子かとは無関係に環原子を指す。
【0037】
1個の窒素環原子を有するC3−20複素環基の例には、アジリジン、アゼチジン、アゼチン、ピロリジン、ピロリン、ピペリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジンおよびジヒドロピロール(アゾリン)から誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
1個の酸素環原子を有するC3−20複素環基の例としては、オキシラン、オキセタン、オキソラン(テトラヒドロフラン)、オキソール(ジヒドロフラン)、オキサン(テトラヒドロピラン)、ジヒドロピランおよびピランから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。置換C3−20複素環基の例には、環状の形での糖、例えばフラノース類およびピラノース類などがあり、例を挙げるとリボース、リキソース、キシロース、ガラクトース、ショ糖、フルクトースおよびアラビノースなどがある。
【0039】
1個の硫黄環原子を有するC3−20複素環基の例には、チオラン(テトラヒドロチオフェン、チアン)およびテトラヒドロチオピランから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
2個の酸素環原子を有するC3−20複素環基の例には、ジオキサンから誘導されるもの、例えば1,3−ジオキサンおよび1,4−ジオキサンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
2個の窒素環原子を有するC3−20複素環基の例には、ジアゾリジン(ピラゾリジン)、ピラゾリン、イミダゾリジン、イミダゾリンおよびピペラジンから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
1個の窒素環原子および1個の酸素環原子を有するC3−20複素環基の例には、テトラヒドロオキサゾール、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、ジヒドロイソオキサゾール、モルホリン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジンおよびオキサジンから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
1個の酸素環原子および1個の硫黄環原子を有するC3−20複素環基の例には、オキサチオランおよびオキサチアンから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
1個の窒素環原子および1個の硫黄環原子を有するC3−20複素環基の例には、チアゾリン、チアゾリジンおよびチオモルホリンから誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
C3−20複素環基の他の例には、オキサジアジンなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0046】
C3−20複素環が置換されている場合、その置換基は炭素原子上または窒素(存在する場合)原子上である。
【0047】
C5−20アリール:本明細書で使用される「C5−20アリール」という用語は、1個の環または2個以上の環(例:縮合)を有し、5〜20個の環原子を有し、前記環のうちの少なくとも一つが芳香環であるC5−20芳香族化合物の芳香環原子から水素原子を除去することで得られる1価部分に関係するものである。好ましくは各環は5〜7個の環原子を有する。
【0048】
環原子は、「カルボアリール基」の場合のように全て炭素原子であることができ、その場合にはその基は簡便に、「C5−20カルボアリール」基と称することができる。
【0049】
環ヘテロ原子を持たないC5−20アリール基(すなわち、C5−20カルボアリール基)の例には、ベンゼン(すなわちフェニル)(C6)、ナフタレン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)およびピレン(C16)から誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
別の形態として環原子は、「ヘテロアリール基」の場合のように、酸素、窒素および硫黄など(これらに限定されるものではない)の1以上のヘテロ原子を有することができる。その場合、その基は簡便には、「C5−20ヘテロアリール」基と称することができ、その場合の「C5−20」は、炭素原子であるかヘテロ原子であるかとは無関係に環原子を指す。好ましくは各環は、5〜7個の環原子を有し、そのうちの0〜4個が環ヘテロ原子である。
【0051】
C5−20ヘテロアリール基の例には、フラン(オキソール)、チオフェン(チオール)、ピロール(アゾール)、イミダゾール(1,3−ジアゾール)、ピラゾール(1,2−ジアゾール)、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾールおよびオキサトリアゾールから誘導されるC5ヘテロアリール基;ならびにイソオキサジン、ピリジン(アジン)、ピリダジン(1,2−ジアジン)、ピリミジン(1,3−ジアジン;例えばシトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1,4−ジアジン)、トリアジン、テトラゾールおよびオキサジアゾール(フラザン)から誘導されるC6ヘテロアリール基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
ヘテロアリール基は、炭素環原子またはヘテロ環原子を介して結合していることができる。
【0053】
縮合環を有するC5−20ヘテロアリール基の例としては、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドールから誘導されるC9ヘテロアリール基;キノリン、イソキノリン、ベンゾジアジン、ピリドピリジンから誘導されるC10ヘテロアリール基;アクリジンおよびキサンテンから誘導されるC14ヘテロアリール基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
単独であるか別の置換基の一部であるかとは無関係に、上記のC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール基はそれ自体が、それ自体ならびに下記に挙げた別の置換基から選択される1以上の基で置換されていても良い。
【0055】
ハロ:−F、−Cl、−Brおよび−I。
【0056】
ヒドロキシ:−OH。
【0057】
エーテル:−OR、この式中Rはエーテル置換基であり、例えばC1−7アルキル基(C1−7アルコキシ基とも称される)、C3−20複素環基(C3−20複素環オキシ基とも称される)またはC5−20アリール基(C5−20アリールオキシ基とも称される)、好ましくはC1−7アルキル基である。
【0058】
ニトロ:−NO2。
【0059】
シアノ(ニトリル、カルボニトリル):−CN。
【0060】
アシル(ケト):−C(=O)R、式中においてRはアシル置換基であり、例えばC1−7アルキル基(C1−7アルキルアシルまたはC1−7アルカノイルとも称される)、C3−20複素環基(C3−20複素環アシルとも称される)またはC5−20アリール基(C5−20アリールアシルとも称される)、好ましくはC1−7アルキル基である。アシル基の例には、−C(=O)CH3(アセチル)、−C(=O)CH2CH3(プロピオニル)、−C(=O)C(CH3)3(ブチリル)および−C(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
カルボキシ(カルボン酸):−COOH。
【0062】
エステル(カルボキシレート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):−C(=O)OR、式中Rはエステル置換基であり、例えばC1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。エステル基の例には、−C(=O)OCH3、−C(=O)OCH2CH3、−C(=O)OC(CH3)3および−C(=O)OPhなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキサミド):−C(=O)NR1R2、式中R1およびR2は独立に、アミノ基について定義のアミノ置換基である。アミド基の例には、−C(=O)NH2、−C(=O)NHCH3、−C(=O)N(CH3)2、−C(=O)NHCH2CH3および−C(=O)N(CH2CH3)2ならびにR1およびR2がそれらが結合している窒素原子と一体となって、例えばピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニルおよびピペラジノカルボニルにおけるような複素環構造を形成しているアミド基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
アミノ:−NR1R2、式中R1およびR2は独立にアミノ置換基であり、例えば水素、C1−7アルキル基(C1−7アルキルアミノまたはジ−C1−7アルキルアミノとも称される)、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはHまたはC1−7アルキル基であり、あるいは「環状」アミノ基の場合、R1およびR2はそれらが結合している窒素原子と一体となって、4〜8個の環原子を有する複素環を形成している。アミノ基の例には、−NH2、−NHCH3、−NHCH(CH3)2、−N(CH3)2、−N(CH2CH3)2および−NHPhなどがあるが、これらに限定されるものではない。環状アミノ基の例には、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、ペルヒドロジアゼピノ、モルホリノおよびチオモルホリノなどがあるが、これらに限定されるものではない。環状アミノ基は、例えばカルボキシ、カルボキシレートおよびアミドなどの本明細書で定義のいずれかの置換基によって、その環上で置換されていることができる。特定の形のアミノ基には、R1およびR2のうちの一方がスルホン(−S(=O)2R)であり、Rがスルホン置換基であるものがあり、その基はスルホンアミド基と称することができる。スルホンアミド基の例には、−NHS(=O)2CH3、−NHS(=O)2Phおよび−NHS(=O)2C6H4Fなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
アシルアミド(アシルアミノ):−NR1C(=O)R2、式中R1はアミド置換基、例えば水素、C1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはHまたはC1−7アルキル基、最も好ましくはHであり、R2はアシル置換基、例えばC1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。アシルアミド基の例には、−NHC(=O)CH3、−NHC(=O)CH2CH3および−NHC(=O)Phなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
ある特定の形のアシルアミド基に、R2がアミノ基(−NR3R4)であり、R3およびR4が独立にアミノ置換基であるものがあり、そこでその基はウレイド基と称することができる。ウレイド基の例には、−NHC(=O)NHCH3、−NHC(=O)NHCH2CH3および−NHC(=O)NHPhなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
アシルオキシ(逆エステル):−OC(=O)R、式中Rはアシルオキシ置換基、例えばC1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。アシルオキシ基の例には、−OC(=O)CH3(アセトキシ)、−OC(=O)CH2CH3、−OC(=O)C(CH3)3、−OC(=O)Ph、−OC(=O)C6H4Fおよび−OC(=O)CH2Phなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
チオール:−SH。
【0069】
チオエーテル(スルフィド):−SR、式中Rはチオエーテル置換基、例えばC1−7アルキル基(C1−7アルキルチオ基とも称される)、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。C1−7アルキルチオ基の例には、−SCH3および−SCH2CH3などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
スルホキシド(スルフィニル):−S(=O)R、式中Rはスルホキシド置換基、例えばC1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。スルホキシド基の例には、−S(=O)CH3および−S(=O)CH2CH3などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
スルホン(スルホニル):−S(=O)2R、式中Rはスルホン置換基、例えばC1−7アルキル基、C3−20複素環基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である。スルホン基の例には、−S(=O)2CH3(メタンスルホニル、メシル)、−S(=O)2CF3、−S(=O)2CH2CH3および4−メチルフェニルスルホニル(トシル)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
上記のように、上記の置換基を形成する基、例えばC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリールは、それ自体が置換されていても良い。そこで上記の定義は、置換されている置換基を含むものである。
【0073】
環を形成する置換基
Rcの一部を形成する環上の置換基と縮合芳香環上の置換基(−A−B−によって表される)とが一体となって環内連結を形成して、化合物においてさらに別の環状構造を形成することが可能である。
【0074】
環内連結を形成する芳香環上の置換基は好ましくは、中心部分に隣接する原子上のものである(すなわちα位)。
【0075】
環内連結を形成するRc上の置換基は好ましくは、中央部分に結合した原子から原子1個離れた原子上のものである。
【0076】
2つの環の間の連結は単結合であることができるか、あるいは式−(CH2)n1′−Q′n2′−(CH2)n3′−のものであることができ、n1′、n2′およびn3′はそれぞれ0、1、2および3から選択され、n1′、n2′およびn3′の合計は3以下である。Q′はO、S、NHまたはC(=O)である。
【0077】
さらに別の好ましいもの
適用可能な場合には、下記の好ましいものを本発明の各態様に適用することができる。
【0078】
本発明において、−A−B−によって表される縮合芳香環は好ましくは炭素環原子のみからなることから、ベンゼン、ナフタレンであることができ、より好ましくはベンゼンである。上述のように、これらの環は置換されていても良いが、一部の実施形態では好ましくは未置換である。
【0079】
RNは好ましくは、水素およびアミドから選択される。1実施形態では、RNは好ましくはアミドであり、1個のアミド置換基は好ましくはパラ位でフッ素によって置換されていても良いフェニルである。別の実施形態ではRNは好ましくはHである。
【0080】
Lでは、各Q(n2が1より大きい場合)がO、S、NHまたはC(=O)から選択されることが好ましい。
【0081】
Lは好ましくは、式−(CH2)n1−Qn2−のものであり、式中n1は0、1、2および3から選択され、n2は0および1から選択され(n1およびn2の合計は1、2または3である)、より好ましくはn2は0である。n1は好ましくは1または2、より好ましくは1である。Lについての最も好ましい選択肢は、−CH2−である。
【0082】
LにおけるQが−CR1R2−である場合、n2は好ましくは1である。1実施形態ではR1は、置換されていても良いC1−7アルキルであり、R2は水素である。R1はより好ましくは、置換されていても良いC1−4アルキルであり、最も好ましくは未置換C1−4アルキルである。別の実施形態では、R1およびR2がそれらが結合している炭素原子と一体となって、飽和C3−7環状アルキル基、より好ましくはC5−7環状アルキル基を形成している。別の実施形態では、R1はRLにおける原子に結合して、不飽和C3−7シクロアルケニル基、より好ましくはC5−7シクロアルケニル基を形成しており、その基はQ、−(CH2)n3−(存在する場合)およびRLの一部にR1およびR2が結合している炭素原子を有し、R2は水素である。
【0083】
RLは好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン、ピリジンまたは1,3−ベンゾジオキソール、より好ましくはベンゼン環である。
【0084】
RLがベンゼン環である場合、それは好ましくは置換されている。その1以上の置換基は、C1−7アルキル、より好ましくはメチル、CF3;C5−20アリール;C3−20複素環;ハロ、より好ましくはフッ素;ヒドロキシ;エーテル、より好ましくはメトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシおよびシクロペントキシ;ニトロ;シアノ;カルボキシ、エステルおよびアミドなどのカルボニル基;アミノ(スルホンアミドなど)、より好ましくは−NH2、−NHPhおよびモルホリノなどのシクロアミノ基;ウレイド基などのアシルアミドであって、アシルもしくはアミノ置換基が好ましくはそれ自体がフッ素化されていても良いフェニルであるもの;アシルオキシ;チオール;チオエーテル;スルホキシド;スルホンから選択することができる。
【0085】
実施形態の1群では、フェニルもしくはフッ素化フェニル要素を有する置換基とともに、フッ素が置換基として特に好ましいものである。
【0086】
RLがフェニルである場合のベンゼン環の好ましい置換基には、以下のものなどがある。
【0087】
(i)アシルアミドであって、アミド置換基がC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール、より好ましくはC1−7アルキルおよびC5−20アリールから選択され、それらの基がさらに置換されていても良いもの。存在しても良い置換基は、上記で挙げたものから選択することができるが、特に興味深いものにはC1−7アルキルおよびC5−20アリール基、ハロ、エーテル、チオエーテルおよびスルホン基などがある。
【0088】
(ii)ウレイドであって、1個のアミン置換基が好ましくは水素であり、他方がC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール、より好ましくはC1−7アルキルおよびC5−20アリールから選択され、それらがさらに置換されていても良いもの。存在しても良い置換基は、上記で挙げたものから選択することができるが、特に興味深いものにはC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール基、ハロおよびエーテル基などがある。
【0089】
(iii)スルホンアミノであって、アミン置換基が好ましくは水素であり、スルホン置換基がC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール、より好ましくはC1−7アルキルおよびC5−20アリールから選択され、それらの基がさらに置換されていても良いもの。存在しても良い置換基は、上記で挙げたものから選択することができるが、特に興味深いものにはC5−20アリール基およびアシルアミド基などがある。
【0090】
(iv)アシルオキシであって、アシルオキシ置換基がC1−7アルキル、C3−20複素環およびC5−20アリール、より好ましくはC1−7アルキルおよびC5−20アリールから選択され、それらの基がさらに置換されていても良いもの。存在しても良い置換基は、上記で挙げたものから選択することができるが、特に興味深いものにはC1−7アルキルおよびC5−20アリール基、ハロ、エーテル、チオエーテル、スルホンおよびニトロ基などがある。
【0091】
AとBが一体となって置換縮合芳香環を表す場合、置換基はRcの一部を形成する環上の置換基と環内連結を形成していないことが好ましい。5位の置換基が特に好ましい。
【0092】
適宜に、上記の好ましいものを互いに組み合わせることができる。
【0093】
含まれる他の形態
上記のものには、公知のイオン型、塩型、溶媒和物型およびこれら置換基の保護型が含まれる。例えば、カルボン酸(−COOH)についての言及は、アニオン(カルボキシレート)型(−COO−)、それの塩もしくは溶媒和物、ならびに従来の保護型をも含むものである。同様に、アミノ基についての言及は、プロトン化型(−N+HR1R2)、アミノ基の塩もしくは溶媒和物(例:塩酸塩)ならびにアミノ基の従来の保護型を含むものである。同様に、ヒドロキシル基についての言及は、アニオン型(−O−)、それの塩または溶媒和物、ならびにヒドロキシル基の従来の保護型をも含むものである。
【0094】
異性体、塩、溶媒和物、保護型およびプロドラッグ
ある種の化合物は、1以上の特定の幾何型、光学型、エナンチオマー型、ジアステレオマー型、エピマー型、立体異性体型、互変異、立体配座型またはアノマー型で存在する場合があり、それにはシスおよびトランス型;E型およびZ型;c、tおよびr型;エンドおよびエキソ型;R、Sおよびメソ型;DおよびL型;dおよびl型;(+)および(−)型;ケト、エノールおよびエノレート型;シンおよびアンチ型;シンクリナルおよびアンチクリナル型;αおよびβ型;アキシャルおよびエカトリアル型;ボート、チェア、ねじれ、包接および半チェア型;ならびにこれらの組み合わせなど(以下総称して「異性体」(または「異性体型」))があるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
化合物が結晶型である場合、それは多くの多形型で存在することができる。
【0096】
留意すべき点として、互変異体について下記で説明するものを除き、構造(または構成)異性体(すなわち、空間的な原子の位置によってのみではなく、原子間の連結において異なる異性体)は、特に本明細書で使用される場合の「異性体」という用語から除外される。例えばメトキシ基−OCH3についての言及は、それの構造異性体であるヒドロキシメチル基−CH2OHについて言及しているものと解釈すべきではない。同様に、オルトクロロフェニルについての言及は、それの構造異性体であるメタクロロフェニルについての言及と解釈すべきではない。しかしながら、ある種の構造についての言及が、その種類の範囲に含まれる構造異性体をも含む場合がある(例えば、C1−7アルキルには、n−プロピルおよびイソプロピルが含まれ;ブチルにはn−、イソ、sec−およびtert−ブチルが含まれ;メトキシフェニルにはオルト−、メタ−およびパラ−メトキシフェニルが含まれる)。
【0097】
上記の除外は、ケト/エノール、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ、およびニトロ/アシニトロという互変異体ペアの場合のように、ケト、エノールおよびエノレート型という互変異型に関するものではない。
【0098】
本発明に特に関連するものとしては、以下に示したようなRNがHである場合に存在する互変異体ペアがある。
【化7】
【0099】
留意すべき点として、1以上の同位体置換を有する化合物は特に「異性体」という用語に含まれる。例えば、Hは1H、2H(D)および3H(T)などの同位体型であることができる。Cは12C、13Cおよび14Cなどの同位体型であることができる。Oは16Oおよび18Oなどの同位体型であることができる等である。
【0100】
別段の断りがない限り、特定の化合物についての言及は、それの(全体または部分的)ラセミ体その他の混合物を含むそのような全ての異性体を含む。そのような異性体の製造方法(例:不斉合成)および分離方法(例:分別結晶およびクロマトグラフィー手段)は、当業界で公知であるか、あるいは本明細書に記載の方法または公知の方法を公知の手法で適合させることで容易に得られるものである。
【0101】
別段の断りがない限り、特定の化合物についての言及は、例えば以下に記載のようなそれのイオン、塩、溶媒和物および保護体、ならびにそれの異なる多形体をも含む。
【0102】
例えば製薬上許容される塩などの活性化合物の相当する塩を製造、精製および/または取り扱うことが簡便または望ましい場合がある。製薬上許容される塩の例は、バージらの報告に記載されている(Berge et al., 1977, "Pharmaceutically Acceptable Salts," J. Pharm. Sci., Vol. 66, pp. 1-19)。
【0103】
例えば、化合物が陰イオン性である場合、または陰イオン性であることができる官能基(例:−COOHは−COO−であることができる)を有する場合、好適な陽イオンと塩を形成することができる。好適な無機陽イオンの例としては、Na+およびK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+などのアルカリ土類陽イオン、Al3+などの他の陽イオンなどがあるが、これらに限定されるものではない。好適な有機陽イオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわち、NH4+)および置換アンモニウムイオン(例:NH3R+、NH2R2+、NHR3+、NR4+)などがあるが、これらに限定されるものではない。一部の好適な置換アンモニウムイオンの例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミンおよびトロメタミン、ならびにリジンおよびアルギニンなどのアミノ酸から誘導されるものがある。一般的な4級アンモニウム塩の例としては、N(CH3)4+がある。
【0104】
化合物が陽イオン性である場合、あるいは陽イオン性となり得る官能基(例えば、−NH2は−NH3+であることができる)を有する場合、好適な陰イオンと塩を形成することができる。好適な無機陰イオンの例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸および亜リン酸という無機酸から誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。好適な有機陰イオンの例としては、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸(gycolic)、ステアリン酸、パルミチン酸、乳酸、リンゴ酸、パモ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ケイ皮酸、ピルビン酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、吉草酸およびグルコン酸という有機酸から誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。好適なポリマー陰イオンの例としては、タンニン酸、カルボキシメチルセルロースというポリマー酸から誘導されるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
活性化合物の相当する溶媒和物を製造、精製および/または取り扱うことが簡便または望ましい場合がある。本明細書においては「溶媒和物」という用語は、溶質(例:活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒の錯体を指す従来の意味で用いられる。溶媒が水である場合、溶媒和物は簡便には、例えば1水和物、2水和物、3水和物などの水和物と称することができる。
【0106】
化学的に保護された形で活性化合物を製造、精製および/または取り扱うことが簡便または望ましい場合がある。本明細書で使用される「化学的に保護された形」という用語は、1以上の反応性官能基が望ましくない化学反応から保護されている、すなわち被保護基または保護基(被マスク基またはマスク基あるいは被ブロック基またはブロック基とも称される)の形である化合物に関係するものである。反応性官能基を保護することで、他の未保護の反応性官能基が関与する反応を、被保護基に影響を与えることなく実施することができる。保護基は、分子の残りの部分に実質的な影響を与えることなく、通常は後段階で脱離させることができる。例えば、グリーンらの著作を参照する(Protective Groups in Organic Synthesis., T. Green and P. Wuts, Wiley, 1991)。
【0107】
例えばヒドロキシ基は、エーテル(−OR)またはエステル(−OC(=O)R)として、例えばt−ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)またはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルまたはt−ブチルジメチルシリルエーテル;またはアセチルエステル(−OC(=O)CH3、−OAc)として保護することができる。
【0108】
例えばアルデヒド基またはケトン基は、カルボニル基(>C=O)が例えば1級アルコールとの反応によってジエーテル(>C(OR)2)に変換されるアセタールまたはケタールとしてそれぞれ保護することができる。アルデヒド基またはケトン基は、酸存在下で大過剰の水を用いる加水分解によって容易に再生される。
【0109】
例えばアミン基は、例えばアミドまたはウレタンとして、例えばメチルアミド(−NHCO−CH3);ベンジルオキシアミド(−NHCO−OCH2C6H5、−NH−Cbz);t−ブトキシアミド(−NHCO−OC(CH3)3、−NH−Boc);2−ビフェニル−2−プロポキシアミド(−NHCO−OC(CH3)2C6H4C6H5、−NH−Bpoc)、9−フルオレニルメトキシアミド(−NH−Fmoc)、6−ニトロベラトリルオキシアミド(−NH−Nvoc)、2−トリメチルシリルエチルオキシアミド(−NH−Teoc)、2,2,2−トリクロロエチルオキシアミド(−NH−Troc)、アリルオキシアミド(−NH−Alloc)、2(−フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(−NH−Psec)として、または好適な場合にはN−オキサイド(>NO・)として保護することができる。
【0110】
例えばカルボン酸基は、エステルとして、例えばC1−7アルキルエステル(例:メチルエステル、t−ブチルエステル);C1−7ハロアルキルエステル(例:C1−7トリハロアルキルエステル);トリC1−7アルキルシリル−C1−7アルキルエステル;またはC5−20アリール−C1−7アルキルエステル(例:ベンジルエステル、ニトロベンジルエステル)として;またはアミドとして、例えばメチルアミドとして保護することができる。
【0111】
例えばチオール基は、チオエーテル(−SR)として、例えばベンジルチオエーテル;アセトアミドメチルエーテル(−S−CH2NHC(=O)CH3)として保護することができる。
【0112】
プロドラッグの形で活性化合物を製造、精製および/または取り扱うことが簡便または望ましい場合がある。本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、代謝された場合に(例えばin vivoで)、所望の活性化合物を生じる化合物に関係するものである。代表的には、プロドラッグは不活性であるか、あるいは活性化合物と比較して活性が低いが、有利な取り扱い、管理または代謝特性を提供することができる。
【0113】
例えば一部のプロドラッグは、活性化合物のエステル(例:生理的に許容される代謝的に不安定なエステル)である。代謝の際、エステル基(−C(=O)OR)が開裂して活性薬剤が得られる。そのようなエステルは、例えば適宜に親化合物に存在する他の反応性基を事前に保護した親化合物におけるいずれかのカルボン酸基(−C(=O)OH)のエステル化と、それに続く必要に応じた脱保護によって形成することができる。そのような代謝的に不安定なエステルの例としては、RがC1−7アルキル(例−Me、−Et);C1−7アミノアルキル(例:アミノエチル;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル;2−(4−モルホリノ)エチル);およびアシルオキシ−C1−7アルキル(例:アシルオキシメチル;アシルオキシエチル;例:ピバロイルオキシメチル;アセトキシメチル;1−アセトキシエチル;1−(1−メトキシ−1−メチル)エチルカルボニルオキシエチル;1−(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシカルボニルオキシメチル;1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシルオキシカルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;および1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)であるものなどがある。
【0114】
別の好適なプロドラッグ型には、リン酸塩およびグリコール酸塩などがある。
詳細にはヒドロキシ基(−OH)は、亜リン酸クロロジベンジルとの反応と、次に水素化を行ってホスホネート基−O−P(=O)(OH)2を形成することでホスホネートプロドラッグとすることができる。そのような基は、代謝時にホスホターゼ酵素によって除去されて、ヒドロキシ基を有する活性薬剤を生じることができる。
【0115】
さらに、一部のプロドラッグは、酵素的に活性化させて活性化合物を得ることができるか、あるいはさらなる化学反応によって活性化合物を与える化合物を得ることができる。例えばプロドラッグは、糖誘導体その他の配糖体抱合体であることができるか、あるいはアミノ酸エステル誘導体であることができる。
【0116】
略語
簡便のため、多くの化学部分を公知の略称を用いて表す。それには、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、n−ブチル(nBu)、tert−ブチル(tBu)、n−ヘキシル(nHex)、シクロヘキシル(cHex)、フェニル(Ph)、ビフェニル(biPh)、ベンジル(Bn)、ナフチル(naph)、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、ベンゾイル(Bz)およびアセチル(Ac)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0117】
簡便のため、多くの化合物を公知の略称を用いて表す。それには例えば、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(i−PrOH)、メチルエチルケトン(MEK)、エーテルもしくはジエチルエーテル(Et2O)、酢酸(AcOH)、塩化メチレン(メチレンクロライド、DCM)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)およびジメチルスルホキシド(DMSO)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0118】
合成
本発明の化合物は多くの方法によって合成することができ、以下にその例を示す。一部の合成経路は、ヤマグチらの報告に示されている(Yamaguchi et al., J. Med. Chem. 1993, 36, 4502-4068;参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0119】
一般に、これら化合物の合成における重要な段階は、ヒドラジンの付加/挿入によって、中央部分に隣接する窒素環原子を提供する段階である。このヒドラジンの付加は詳細には、以下に示す経路における環挿入段階によって行われる。
【0120】
形成された芳香環(−A−B−によって表される)は通常は誘導体化してから以下に示す経路を行うものであり、所望の構造および置換基パターンを有する原料は、市販されているか容易に合成される。
【0121】
経路2は、合成経路の最初に芳香環がすでに置換されている場合の戦略を例示したものである。
【0122】
示した経路によって、RNがHである化合物が得られる。この位置での可能な置換基は、好適な反応条件で適切な求電子剤を用いることで付加させることができる。
【0123】
Rc上の基のさらなる誘導体化は、各種の従来法を用いて行うことができ、そのうちの一部を「さらに別の誘導体化段階」で示してある。
【0124】
経路1
パート1:2−アリールインダン−1,3−ジオン類の合成
【化8】
フタリドまたは等価物(13.41g;0.1mol)および芳香族アルデヒド(0.1mol
)のメタノール(50mL)およびプロピオン酸エチル(50mL)混合液中の溶液を氷冷し、それにナトリウムメトキシドのメタノール溶液[メタノール(50mL)中ナトリウム(9.20g;0.4mol)]を、温度を10℃以下に維持しながら加えた。溶液を加熱して、3時間ゆるやかに還流させ、冷却して室温とし、水(500mL)に投入した。混合物をエーテルで洗浄し(100mLで5回)、水層を酢酸で酸性とし、固体を濾過した。それを次の段階で粗取得物のままで用いた。
【0125】
パート2:2−アリールインダン−1,3−オン類のヒドラジン水和物との反応
【化9】
2−アリールインダン−1,3−ジオン(20mmol)のヒドラジン・1水和物(40mL)懸濁液を4時間加熱還流し、冷却し、生成物を濾過した。固体をエタノールで洗浄した。
【0126】
経路2
【化10】
ピバロイルクロライド(120g、1mol)を室温で、2−メトキシアニリン(123g、1mol)およびトリエチルアミン(111g、1.1mol)の1,4−ジオキサン(1200mL)溶液に撹拌下で滴下し、混合物を室温で2時間撹拌し、それを水(3000mL)に投入した。生成物を酢酸エチルで抽出し(300mLで3回)、合わせた抽出液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して、N−(2−メトキシフェニル)ピバルアミド(198g;96%)を低融点固体として得た。それをそれ以上精製せずに用いた。
【0127】
n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液;200mL、0.32mol)を窒素下に−10℃で、N−(2−メトキシフェニル)ピバルアミド(27.6g、0.133mol)のテトラヒドロフラン(600mL)溶液に撹拌下で滴下し、混合物を昇温させて室温とし、さらに2時間撹拌し、それを大過剰の砕いた固体二酸化炭素に加えた。混合物を昇温させて室温とし、3M塩酸(200mL)を加え、テトラヒドロフランを減圧下に除去した。得られた固体を濾取し、アセトニトリルから結晶化して、3−メトキシ−2−ピバルアミド安息香酸(21g;63%)を融点117〜120℃の固体として得た。母液を濃縮することで、第2の取得物を得た(2.6g;8%)。
【0128】
3−メトキシ−2−ピバルアミド安息香酸(20g、0.08mol)および7M塩酸(280mL)の撹拌混合物を2時間加熱還流し、冷却して0℃とした。亜硝酸ナトリウム(5.8g、0.09mol)の水溶液(水46mL)を<5℃で滴下し、混合物を0〜5℃で2時間撹拌し、ヨウ化カリウム(17.8g、0.11mol)の水溶液(水39mL)を0〜5℃で滴下した。撹拌混合物を70〜80℃で2時間加熱し、氷で冷却した。生成物を酢酸エチルで抽出し(300mLで3回)、合わせた抽出液を20%チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し(300mLで3回)、それを脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して、2−ヨード−3−メトキシ安息香酸(13g、58%)を融点142〜146℃の固体として得た。
【0129】
2−ヨード−3−メトキシ安息香酸(20g、0.07mol;上記と同様にして製造)、メタノール(300mL)および濃硫酸(3.5mL)の撹拌混合物を8時間加熱還流し、冷却して室温とし、水(1500mL)に加えた。生成物を塩化メチレンで抽出し(500mLで3回)、合わせた抽出液を5%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し(500mLで3回)、それを脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して、2−ヨード−3−メトキシ安息香酸メチル(18.5g、90%)を融点58〜61℃の固体として得た。
【0130】
適切に置換した置換フェニルアセチレン(0.063mol)を、ヨウ化銅(I)(0.1g、6.3mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド(0.43g、6.3mmol)および2−ヨード−3−メトキシ安息香酸メチル(18.5g、0.063mol)のトリエチルアミン(375mL)溶液を撹拌したものに窒素下室温で加え、混合物を室温で72時間撹拌し、それを5M塩酸(1000mL)に加えた。生成物を酢酸エチルで抽出し(400mLで3回)、合わせた抽出液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して、3−メトキシ−2−(置換フェニルエチニル)安息香酸メチルを得た。それをそれ以上精製せずに用いた。
【0131】
粗3−メトキシ−2−(置換フェニルエチニル)安息香酸エステルおよび30%水酸化ナトリウム水溶液(302mL)の混合物を撹拌し、4時間加熱還流し、冷却して室温とし、濃硫酸を加えることで酸性とした。生成物をエーテルで抽出し(500mLで3回)、合わせた抽出液を10%炭酸ナトリウム水溶液(2000mL)で洗浄し、それを脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して、4−メトキシ−3−(置換ベンジリデン)フタリドを得た。それを精製せずに用いた。
【0132】
粗4−メトキシ−3−(置換ベンジリデン)フタリド(14g)およびヒドラジン水和物(83mL)の混合物を5時間加熱還流し、冷却して室温とした。得られた固体を濾取し、エタノールで十分に洗浄し、減圧下に乾燥して所望の化合物を得た。
【0133】
原料における芳香環の置換を適宜に変えることができる。
【0134】
経路3
【化11】
ジメチルホスファイト(11g、0.1mol)および次に2−ホルミル安息香酸(10.51g、0.07mol)または等価物を窒素下に0℃で、ナトリウムメトキシドの撹拌溶液[メタノール(80mL)中ナトリウム(2.3g)]に滴下し、混合物を室温で30分間撹拌し、それをメタンスルホン酸(10.6g、0.11mol)を加えることで反応停止した。メタノールを減圧下に除去し、残留物を塩化メチレン(200mL)と水(50mL)との間で分配し、塩化メチレン溶液を水で洗浄し(50mLで2回)、脱水した(MgSO4)。溶媒を減圧下に除去して、3−オキソベンゾ[c]フラン−1−イルホスホン酸ジメチルまたは等価物を得た。
【0135】
リチウムヘキサメチルジシラジド(1Mヘキサン溶液;33mL、0.033mol)を窒素下に−78℃で、3−オキソベンゾ[c]フラン−1−イルホスホン酸ジメチル(8g、0.033mol)または等価物のテトラヒドロフラン(300mL)溶液を撹拌したものに滴下し、混合物を−78℃で1時間撹拌した。適切なアリールアルキルケトン(0.03mol)を加え、混合物を−78℃で1時間撹拌し、昇温させて0℃とし、それを過剰の飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることで反応停止した。水相を分液し、塩化メチレン(100mL)とともに振盪し、合わせた有機溶液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去した。残留物をヘキサン(50mL)で磨砕し、得られた固体を濾取し、風乾して3−(α−アルキルアリーリデン)フタリドまたは等価物を得た。それをそれ以上精製せずに用いた。
【0136】
3−(α−アルキルアリーリデン)フタリド(0.019mol)または等価物およびヒドラジン水和物(20mL)の混合物を18時間加熱還流し、冷却して0℃とした。
得られた固体を濾取し、エタノールで十分に洗浄し、風乾して、所望の化合物を得た。
【0137】
さらなる誘導体化
(a)4−(メトキシベンジル)−1(2H)−フタラジノン類の脱メチル化
【化12】
メトキシベンジルフタラジノンまたは等価物(0.7g;2.65mmol)の塩化メチレン(5mL)懸濁液に室温で窒素下にて、三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液(1M;6mL;6.0mmol)を加えた。混合物を24時間加熱還流し、冷却し、水酸化ナトリウム(10%;25mL)に投入した。有機層を除去し、水層を酸性とし(HCl)、固体を濾過した。
【0138】
(b)4−(アミノベンジル)−1(2H)−フタラジノン類の誘導体化
【化13】
アミノベンジルフタラジノンまたは等価物(0.6g;2.4mmol)およびトリエチルアミン(0.24g;2.4mmol)の1,4−ジオキサン(50mL)溶液を撹拌しながら、それに求電子剤(2.4mmol)を滴下した。混合物を2時間加熱還流し、冷却し、水(100mL)に投入した。固体を濾過し、水およびエタノールで洗浄してから、減圧下に乾燥した。
【0139】
(c)ヒドロキシベンジルフタラジノン類のアシル化
このアシル化は、好適な条件下にヒドロキシベンジルフタラジノンに適切な酸塩化物を加えることで行う。その例を以下に示す。
【0140】
(i)
【化14】
ヒドロキシベンジルフタラジノンまたは等価物(例:164)(0.7g;2.79mmol)およびトリエチルアミン(0.28g;2.79mmol)の1,4−ジオキサン(40mL)溶液を撹拌しながら、それに塩化アセチル(0.2mL;2.79mmol)を滴下した。混合物を2時間加熱還流し、冷却し、水(100mL)に投入した。固体を濾過し、水およびエタノールで洗浄してから、減圧下に乾燥した。
【0141】
(ii)
【化15】
ヒドロキシベンジルフタラジノン(1.36g;5.41mmol)、トリエチルアミン(0.61g;6.00mmol)および4−フルオロベンゾイルクロライド(0.86g;5.41mmol)の脱水1,4−ジオキサン(50mL)懸濁液を撹拌し、水分を排除しながら(CaCl2)2時間加熱還流し、冷却して室温とした。反応混合物を水(250mL)に投入し、固体を濾過した。粗固体をシクロヘキサン(10mL)中で沸騰させ、冷却し、濾過した。
【0142】
(iii)
【化16】
ヒドロキシベンジルフタラジノン(0.70g;2.79mmol)または等価物、トリエチルアミン(0.4mL;2.79mmol)および塩化アセチル(0.2mL;2.79mmol)の脱水1,4−ジオキサン(40mL)懸濁液を撹拌し、水分を排除しながら(CaCl2)2時間加熱還流し、冷却して室温とした。反応混合物を水(250mL)に投入し、固体を濾過した。
【0143】
(iv)
【化17】
適切な酸塩化物(0.24mmol)を、4−(3−ヒドロキシベンジル)フタラジン−1(2H)−オン(50mg、0.2mmol)または等価物およびトリエチルアミン(33μ1)の1,4−ジオキサン(0.5mL)溶液を撹拌したものに加え、反応の進行をTLCでモニタリングしながら、混合物を室温で撹拌した。場合により、反応を進行させて完了させるために加熱還流が必要であった。反応が完結したら、混合物を氷水で希釈し、生成物を酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去した。残留物を精製して、必要なエステルを得た。精製は、溶離液としてのトリフルオロ酢酸水溶液とアセトニトリルとの間の勾配溶離を用い、ジョーンズ・クロマトグラフィー・ジェネシス(Jones Chromatography Genesis)4μC18カラムを使用するギルソン(Gilson)LCでの分取スケールHPLCによって行った。
【0144】
(d)3−(アミノベンジル)−1(2H)フタラジノン類の誘導体化
(i)
【化18】
アミノベンジルフタラジノン(160)(1.00g;40mmol)または等価物の脱水1,4−ジオキサン(25mL)溶液を撹拌したものに40℃で適切なイソシアネート(40mmol)を加えた。混合物をさらに2時間撹拌し、冷却して室温とし、固体を濾過した。
【0145】
(ii)
【化19】
アミノフタラジノン(197)(1.00g;2.97mmol)または等価物のアセトニトリル(25mL)溶液を撹拌したものに無水ジグリコール酸(0.35g;3.00mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、固体を濾過した。粗固体をNaOH(10%;20mL)に溶かし、セライト濾過した。水層を酸性とし、固体を濾過した。
【0146】
(iii)
【化20】
適切な酸塩化物(0.2mmol)を、アミノベンジルフタラジノン160(0.05g、0.2mmol)または等価物およびトリエチルアミン(33μL)の1,4−ジオキサン(0.5mL)溶液を撹拌したものに加え、混合物を室温で18時間撹拌し、それを水(10mL)で希釈した。生成物を濾取し、水(5mL)で洗浄し、真空乾燥して必要なアミドを得た。
【0147】
(iv)
【化21】
アミノベンジルフタラジノン160(0.5g、2mmol)または等価物および1,4−ジオキサン(15mL)の混合物を、全ての固体が溶解するまで(5〜15分)、室温で撹拌した。適切なイソシアネート(2mmol)を加え、混合物を室温で2時間撹拌し、それを室温で18時間放置した。得られた固体を濾取し、水で十分に洗浄し、真空乾燥して必要なウレイド生成物を得た。
【0148】
(v)(a)
【化22】
適切なスルホニルクロライド(1mmol)を、アミノベンジルフタラジノン160(0.25g、1mmol)または等価物のピリジン(10mL)溶液に加え、撹拌混合物を2時間加熱還流し、それを水(200mL)で希釈した。得られた固体を濾取し、水で十分に洗浄し、真空乾燥して必要なスルホンアミド生成物を得た。
【0149】
(v)(b)
【化23】
適切なスルホニルクロライド(1mmol)を、アミノベンジルフタラジノン160(0.25g、1mmol)または等価物およびトリエチルアミン(0.1g、1mmol)の1,4−ジオキサン(10mL)溶液に加え、撹拌混合物を2時間加熱還流し、それを水(200mL)で希釈した。得られた固体を濾取し、水で十分に洗浄し、真空乾燥して必要なスルホンアミド生成物を得た。
【0150】
(e)227の合成
【化24】
4−フルオロベンゾイルクロライド(159)(0.95g;5.97mmol)の脱水1,4−ジオキサン(50mL)溶液を撹拌したものにトリエチルアミン(0.60g;5.97mmol)およびアミノベンジルフタラジノン(1.50g;5.97mmol)または等価物を加えた。混合物を、水分を排除しながら(CaCl2)2時間加熱還流し、冷却して室温とした。次に、反応混合物を水(250mL)に投入し、固体を濾過した。
【0151】
(f)239の合成
【化25】
ベンジルオキシメトキシベンジルフタラジノン(187)(5.00g;13.0mmol)の塩化メチレン(11.5mL)懸濁液を撹拌しながら、それに窒素下で、三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液(1.0M溶液;4.4mL;4.40mmol)を加えた。反応混合物を24時間加熱還流し、冷却して室温とし、氷/水(250mL)に投入した。混合物を、固体水酸化ナトリウムを加えることで塩基性とし、有機層を除去した。水層を塩化メチレンで洗浄し(50mLで3回)、濃HClで酸性とした。固体を濾過し、水で洗浄し、風乾した。
【0152】
(g)247の合成
【化26】
原料のメトキシ化合物(241)(1.50g;5.27mmol)の三臭化ホウ素の塩化メチレン溶液(1.0M溶液;12mL;12.00mmol)中懸濁液を撹拌したものを窒素下に8時間加熱還流した。反応混合物を冷却して室温とし、氷/水(250mL)に投入した。混合物を固体水酸化ナトリウムを加えることで塩基性とし、有機層を除去した。水層を塩化メチレンで洗浄し(50mLで3回)、濃HClで酸性とした。固体を濾過し、水で洗浄し、風乾した。
【0153】
(h)277の合成
【化27】
カルボン酸(276)(8g、0.028mol)の塩化メチレン(240mL)溶液を室温で、ジシクロヘキシルカルボジイミド(5.8g、0.028mol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.2g、0.0014mol)、メタノール(0.92g、0.028mol)および塩化メチレン(40mL)の撹拌混合物に滴下し、混合物を室温で18時間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを塩化メチレン(280mL)で洗浄し、濾液および洗浄液を合わせ、溶媒を減圧下に除去した。残留物をエーテル(1000mL)で希釈し、得られた沈殿を濾去し、エーテル濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(400mL)、1.5M塩酸(400mL)、水(400mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(400mL)で洗浄した。溶液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して277を得た。
【0154】
(i)278の合成
【化28】
カルボン酸(276)(3g、0.01mol)の塩化メチレン(90mL)溶液を室温で、ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.2g、0.01mol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.08g、0.5mmol)、アニリン(0.9g、0.01mol)および塩化メチレン(15mL)の撹拌混合物に滴下し、混合物を室温で18時間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを塩化メチレン(105mL)で洗浄し、濾液および洗浄液を合わせ、溶媒を減圧下に除去した。残留物をエーテル(375mL)で希釈し、得られた沈殿を濾去し、エーテル濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(150mL)、1.5M塩酸(150mL)、水(150mL)および飽和塩化ナトリウム水溶液(150mL)で洗浄した。溶液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去して278を得た。
【0155】
(j)197の誘導体化
【化29】
3−クロロメチルベンゾイルクロライド(0.56g、3mmol)を、197(1g、3mmol)およびトリエチルアミン(0.4mL)の1,4−ジオキサン(50mL)溶液を撹拌したものに加え、混合物を室温で2時間撹拌し、それを水(100mL)で希釈した。生成物を酢酸エチルで抽出し(50mLで3回)、合わせた抽出液を脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去した。残留物を熱トルエン(50mL)で磨砕し、熱溶液を濾過し(セライト)、シクロヘキサン(50mL)を加え、混合物を放冷して室温とした。得られた固体を濾取し、真空乾燥して3−(クロロメチル)−N−[2−モルホリノ−5−(1−オキソフタラジン−4−イルメチル)フェニル]ベンズアミド(1.32g、90%)を融点117〜122℃の固体として得た。
【0156】
3−(クロロチル)−N−[2−モルホリノ−5−(1−オキソフタラジン−4−イルメチル)フェニル]ベンズアミド(0.66g、1.35mmol)、適切なアミン(27mmol)および1,4−ジオキサン(50mL)の混合物を2時間加熱還流し、冷却して室温とし、水(100mL)で希釈して、粘稠固体を沈殿させた。水層を傾斜法によって除去し、残留固体を酢酸エチルで抽出した(50mLで3回)。合わせた抽出液を水(50mL)で洗浄し、脱水し(MgSO4)、溶媒を減圧下に除去した。残留物を熱トルエン(50mL)で磨砕し、熱溶液を傾斜法によって不溶物から分離し、シクロヘキサン(50mL)を加え、混合物を放冷して室温とした。得られた固体を濾取し、シクロヘキサン(30mL)で洗浄し、真空乾燥して所望の化合物を得た。
【0157】
(k)265の合成
【化30】
4−クロロブチリルクロライド(1.26g、8.9mmol)を197(3g、8.9mmol)およびトリエチルアミン(0.9g、8.9mmol)の1,4−ジオキサン(50mL)溶液を撹拌したものに加え、混合物を室温で2時間撹拌し、それを水(100mL)で希釈して、粘稠半固体を沈殿させた。水相を傾斜法によって除去し、残留物を熱酢酸エチル(100mL)で磨砕した。熱溶液を不溶残留物から分離し、溶媒を減圧下に除去した。残留物をシクロヘキサン(50mL)で磨砕し、得られた固体を濾取し、真空乾燥して4−クロロ−N−[2−モルホリノ−5−(1−オキソフタラジン−4−イルメチル)フェニル]ブチルアミドを得た。
【0158】
用途
本発明は、活性化合物、具体的にはPARPの活性を阻害する活性を有する化合物を提供する。
【0159】
本明細書で使用される「活性」という用語は、PARP活性を阻害することができる化合物に関係するものであり、具体的には固有の活性を有する化合物(薬剤)とそのような化合物のプロドラッグの両方を含み、プロドラッグ自体は固有の活性をほとんど示さない場合がある。
【0160】
特定の化合物が提供するPARP阻害を評価するのに簡便に用いることができる一つのアッセイを、下記の例で説明する。
【0161】
本発明はさらに、細胞におけるPARPの活性を阻害する方法であって、その細胞を、好ましくは製薬上許容される組成物の形での有効量の活性化合物と接触させる段階を有する方法を提供する。そのような方法は、in vitroまたはin vivoで行うことができる。
【0162】
例えば、細胞のサンプルをin vitroで増殖させ、活性化合物をその細胞と接触させ、その細胞に対する化合物の効果を観察することができる。「効果」の例として、一定時間で行われたDNA修復の量を求めることができる。活性化合物が細胞に対して影響を与えることが認められる場合には、同じ細胞種の細胞を有する患者の治療方法におけるその化合物の効力に関する予後または診断マーカーとして、それを用いることができる。
【0163】
状態の治療という文脈において本明細書で使用される「治療」という用語は、ヒトに関するものか動物に関するものか(例:獣医用途)を問わず、例えば状態進行の阻害などの何らかの望ましい治療効果が得られる治療および療法に関係するものであり、その効果には進行速度の低下、進行速度の停止、状態の改善および状態の治癒などがある。予防手段(すなわち予防)としての治療も含まれる。
【0164】
本明細書で使用される「補助手段」という用語は、公知の治療手段と組み合わせた活性化合物の使用に関係するものである。そのような手段には、各種癌の治療で用いられる薬剤の細胞傷害性投与および/または電離放射線などがある。
【0165】
活性化合物は、PARPを阻害するために細胞培養添加剤として用いて、例えばin vitroで公知の化学処置または電離放射線処置に対して細胞を放射線増感させることもできる。
【0166】
活性化合物はin vitroアッセイの一部として用いて、例えば候補宿主において対象とする化合物での治療が有効であるか否かを決定することもできる。
【0167】
投与
活性化合物または活性化合物を含む医薬組成物は、全身投与/末梢投与であるか所望の作用部位とは無関係に、簡便な投与経路によって被験者に投与することができ、それには経口(例:経口摂取により);局所(例えば経皮、経鼻、眼球、口腔および舌下など);肺(例:例えばエアロゾルを用いた、例えば口もしくは鼻を介した吸入または通気療法);直腸;膣;例えば皮下、皮内、筋肉、静脈、動脈、心臓内、硬膜内、脊髄内、嚢内、被膜下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、クモ膜下および胸骨内などの注射による非経口;例えば皮下または筋肉でのデポー剤埋込物によるものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0168】
被験体は、真核生物、動物、脊椎動物、哺乳動物、齧歯類(例:モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ類(例:マウス)、犬類(例:イヌ)、ネコ類(例:ネコ)、ウマ類(例:ウマ)、霊長類、類人猿(例:サルまたは類人猿)、サル類(例:マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例:ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)またはヒトであることができる。
【0169】
製剤
活性化合物を単独で投与することは可能であるが、それを1以上の製薬上許容される担体、補助剤、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、安定剤、保存剤、潤滑剤その他の当業者には公知の材料ならびに適宜に他の治療薬もしくは予防薬とともに、上記で定義の少なくとも1種類の活性化合物を含む医薬組成物(例えば、製剤)として提供することが好ましい。
【0170】
そこで本発明はさらに、上記で定義の医薬組成物、ならびに本明細書に記載の1以上の製薬上許容される担体、賦形剤、希釈剤、緩衝剤、補助剤、安定剤その他の材料と上記で定義の少なくとも1以上の活性化合物を混合する段階を有する医薬組成物の製造方法を提供する。
【0171】
本明細書で使用される「製薬上許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応その他の問題または合併症を起こさず、妥当な利益/リスク比を与えて、被験者(例:ヒト)の組織と接触しての使用に好適である化合物、材料、組成物および/または製剤に関係するものである。各担体、賦形剤なども、製剤の他の成分と適合性であるという意味において「許容できる」ものでなければならない。
【0172】
好適な担体、賦形剤などは、例えばレミントンの著作に記載されている(Remington′s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1990)。
【0173】
製剤は簡便には単位製剤で提供することができ、製薬業界で公知の方法によって製造することができる。そのような方法には、1以上の補助成分を構成する担体と活性化合物を組み合わせる段階がある。概して製剤は、液体担体または微粉砕固体担体またはその両方を活性化合物と均一かつ十分に組み合わせ、次に必要に応じて生成物を成形することで製造される。
【0174】
製剤は、液体、液剤、懸濁液、乳濁液、エリキシル剤、シロップ、錠剤、ロゼンジ剤、粒剤、粉剤、カプセル、カシェ剤、丸薬、アンプル、坐剤、ペッサリー、軟膏、ゲル、ペースト、クリーム、噴霧剤、ミスト、泡剤、ローション、オイル、ボラス、舐剤またはエアロゾルの形とすることができる。
【0175】
経口投与(例えば、経口摂取)に好適な製剤は、カプセル、カシェ剤または錠剤などの、それぞれが所定量の活性化合物を含む個別の単位として;粉剤または粒剤として;水系もしくは非水系液体中の液剤または懸濁液として;あるいは水中油型乳濁液または油中水型乳濁液として;ボラスとして;舐剤として;あるいはペーストとして提供することができる。
【0176】
錠剤は、適宜に1以上の補助成分とともに、例えば圧縮または成形などの従来の手段によって製造することができる。圧縮錠は、1以上の結合剤(例:ポビドン、ゼラチン、アカシア、ソルビトール、トラガカント、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤または希釈剤(例:乳糖、微結晶セルロース、リン酸水素カルシウム);潤滑剤(例:ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例:デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);界面活性または分散剤または湿展剤(例:ラウリル硫酸ナトリウム);ならびに保存剤(例:p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)と混合されていても良い粉末または顆粒などの自由流動性の活性化合物を、好適な機械で圧縮することで製造することができる。成形錠は、不活性液体希釈剤で濡らした粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することで製造することができる。錠剤には適宜にコーティングまたは刻み目を施すことができ、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを各種割合で用いて活性化合物を緩やかにまたは制御し放出して、所望の放出プロファイルを得るように製剤することができる。錠剤には適宜に、腸溶コーティングを施して、胃以外の腸部分で放出されるようにすることができる。
【0177】
局所投与に好適な製剤(例:経皮、経鼻、眼球、口腔および舌下)は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉剤、液剤、ペースト、ゲル、噴霧剤、エアロゾルまたはオイルとして製剤することができる。別法として製剤は、活性化合物および適宜に1種類以上の賦形剤もしくは希釈剤を含浸させた帯具または粘着性膏薬などの貼付剤または包帯を含むことができる。
【0178】
口での局所投与に好適な製剤には、香味を付けた基剤、通常はショ糖およびアカシアもしくはトラガカント中に活性化合物を含むロゼンジ剤;ゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアカシアなどの不活性基剤中に活性化合物を含むパステル剤;ならびに好適な液体担体中に活性化合物を含む含嗽薬などがある。
【0179】
眼球への局所投与に好適な製剤には、活性化合物を好適な担体、特には活性化合物用の水系溶媒に溶解または懸濁させた点眼剤も含まれる。
【0180】
担体が固体である鼻投与に好適な製剤には、鼻での吸気を行うことで、すなわち鼻の近くに保持された粉剤容器から鼻道を通って急速な吸入によって投与される、粒径が例えば約20〜約500ミクロンの範囲の粗粉剤などがある。担体が例えば鼻噴霧剤、鼻滴剤としての投与またはネブライザーによるエアロゾル投与用の液体である好適な製剤には、活性化合物の水系または油系溶液などがある。
【0181】
吸入による投与に好適な製剤には、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素その他の好適なガスなどの好適な推進剤を用いた加圧パックからのエアロゾル噴霧剤として提供されるものなどがある。
【0182】
皮膚を介した局所投与用製剤には、軟膏、クリームおよび乳濁液などがある。軟膏で製剤する場合、活性化合物は適宜にパラフィン系または水混和性軟膏基剤とともに用いることができる。別法として活性化合物は、水中油型クリーム基剤を用いてクリームに製剤することができる。所望に応じて、クリーム基剤の水相には、例えば少なくとも約30重量%の多価アルコール、すなわちプロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセリンおよびポリエチレングリコールならびにそれらの混合物などの2以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含有させることができる。局所製剤は望ましくは、皮膚その他の罹患領域からの活性化合物の吸収または浸透を促進する化合物を含むことができる。そのような皮膚浸透促進剤の例としては、ジメチルスルホキシドおよび関連類縁物などがある。
【0183】
局所乳濁液として製剤する場合、油相は場合により、乳化剤(別途にエマルジェント(emulgent)とも称される)のみを含むことができるか、あるいは脂肪またはオイルあるいは脂肪とオイルの両方と少なくとも1種類の乳化剤との混合物を含むことができる。好ましくは、親水性乳化剤を、安定剤として作用する親油性乳化剤とともに含有させる。オイルと脂肪の両方を含有させることも好ましい。同時に、安定剤と組み合わせたまたはそれを含まない乳化剤はいわゆる乳化ロウを形成し、オイルおよび/または脂肪を組み合わせたロウは、クリーム製剤の油系分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を形成する。
【0184】
好適なエマルジェントおよび乳化安定剤には、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸ナトリウムなどがある。医薬乳濁液製剤で使用される可能性の高いほとんどのオイルでの活性化合物の溶解度は非常に低い場合があることから、製剤に好適なオイルまたは脂肪の選択は所望の見た目上の特性達成に基づいたものとする。そこでクリームは好ましくは、好適な粘稠度を有することでチューブその他の容器からの漏出が回避される非グリース性で汚れていない洗浄可能な製品でなければならない。ジイソアジピン酸エステル、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシルまたはクロダモル(Crodamol)CAPと称される分岐エステルの混合物などの直鎖または分岐の一塩基または二塩基アルキルエステルを用いることができ、最後の3つが好ましいエステルである。これらは、必要な特性に応じて、単独でまたは組み合わせて用いることができる。別の形態として、白色軟パラフィンおよび/または液体パラフィンその他の鉱油などの高融点脂質を用いることができる。
【0185】
直腸投与に好適な製剤は、例えばカカオバターまたはサリチル酸誘導体(例えばエステル)などを含む好適な基剤での坐剤として提供することができる。
【0186】
膣投与に好適な製剤は、活性化合物以外に、当業界で適切であることが知られているような担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡または噴霧剤製剤として提供することができる。
【0187】
非経口投与(例えば、皮膚、皮下、筋肉、静脈および経皮などの注射)に好適な製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、保存剤、安定剤、静菌剤および製剤を所期の被投与者の血液と等張とする溶質を含むことができる水系および非水系の等張性で発熱物質を含まない無菌注射液;および懸濁剤および増粘剤を含むことができる水系および非水系無菌懸濁液、ならびに化合物を血液成分または1以上の臓器に指向させるよう設計されたリポソームその他の微粒子系などがある。そのような製剤での使用に好適な等張性媒体の例には、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液または乳酸加リンゲル注射液などがある。代表的には、溶液中の活性化合物の濃度は、約1ng/mL〜約10μg/mLであり、例えば約10ng/mL〜約1μg/mLである。この製剤は、例えばアンプルおよびバイアルなどの単位用量または多用量密封容器に入れて提供することができ、使用直前に例えば注射用水などの無菌液体担体を加えるのみで良い冷凍乾燥(凍結乾燥)条件で保存することができる。即時注射溶液および懸濁液を、無菌の粉剤、粒剤および錠剤から調製することができる。製剤は、活性化合物を血液成分または1以上の臓器に指向させるよう設計されたリポソームその他の微粒子系の形とすることができる。
【0188】
用量
活性化合物および活性化合物を含む組成物の適切な用量は患者ごとに変動し得ることは明らかであろう。至適用量の決定には通常、本発明の治療のリスクまたは有害な副作用に対する治療効果レベルのバランスを取る作業が関与する。選択される用量レベルは、これらに限定されるものではない、特定の化合物の活性、投与経路、投与時刻、化合物の排泄速度、治療期間、併用される他の薬剤、化合物および/または材料、ならびに患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康および病歴などの多様な要素によって決まる。化合物の量および投与経路は最終的には、医師の裁量に委ねられる。ただし一般に用量は、実質的に有害または有毒な副作用を起こすことなく、所望の効果を達成する作用部位での局所濃度を与えるようなものとする。
【0189】
in vivoでの投与は、治療期間を通じて1回投与、連続投与または間歇投与(例:適切な間隔で分割用量にて)で行うことができる。投与の最も有効な手段および用量を決定する方法は当業者には公知であり、治療法に用いられる製剤、治療法の目的、治療される標的細胞、ならびに治療を受ける被験者によって変動する。治療担当医が選択する用量レベルおよびパターンで、単回投与または複数回投与を行うことができる。
【0190】
概して活性化合物の好適な用量は、約100μg〜約250mg/被験者kg/日の範囲である。活性化合物が塩、エステル、プロドラッグなどである場合、投与される量は親化合物に基づいて計算されることから、使用される実際の重量はそれに比例して多くなる。
【実施例】
【0191】
合成データ
100より大きい数字で表1に示した構造の化合物を、上記の合成経路に従って合成した。その特性データは以下の通りである。100より小さい数字の表1における化合物は、入手可能であった(Maybridge plc, Cornwall, UK)。
【0192】
経路1
(−A−B−=ベンゼン環)
126;Ar=4−クロロフェニル
収率31%;融点:218〜220℃;δH4.30(2H、s)、7.30(4H、s)、7.75〜8.00(3H、s)、8.25〜8.45(1H、m)、12.40(1H、brs);m/z(M+H)+・271(100%)、273(35%)。
【0193】
129;Ar=4−ブロモフェニル
収率59%;融点:232〜235℃;δH4.40(2H、s)、7.30(2H、d、J=8.7Hz)、7.45(2H、d、J=8.7Hz)、7.60〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.40(1H、brs);m/z(M+H)+・314(100%)、316(95%)。
【0194】
131;Ar=1−ナフチル
収率58%;融点:228〜231℃;δH4.80(2H、s)、7.25〜8.50(11H、m)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・287(100%)。
【0195】
132;Ar=4−フルオロフェニル
収率54%;融点:194〜197℃;δH4.30(2H、s)、7.10(2H、d、J=8.5Hz)、7.25(2H、d、J=8.5Hz)、7.25〜7.50(1H、m)、7.75〜8.00(2H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.55(1H、brs);m/z(M+H)+・255(100%)。
【0196】
138;Ar=4−メトキシフェニル
収率66%;融点:194〜196℃;δH3.70(3H、s)、4.50(2H、s)、6.85(2H、d、J=8.5Hz)、7.30(2H、d、J=8.5Hz)、7.70〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・267(100%)。
【0197】
139;Ar=4−メチルフェニル 収率80%;融点:205〜207℃;δH2.15(3H、s)、4.25(2H、s)、7.00〜7.30(4H、m)、7.60〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.60(1H、brs);m/z(M+H)+・251(100%)。
【0198】
141;Ar=2−フルオロフェニル
収率85%;融点:235〜238℃;δH4.40(2H、s)、7.10〜7.45(4H、m)、7.70〜8.05(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.40(1H、brs);m/z(M+H)+・255(100%)。
【0199】
142;Ar=2−メトキシフェニル
収率74%;融点:158〜160℃;δH3.70(3H、s)、4.25(2H、s)、6.70〜6.95(3H、m)、7.10〜7.35(1H、m)、7.60〜7.95(3H、m)、8.45〜8.55(1H、m)、11.15(1H、brs);m/z(M+H)+・281(100%)。
【0200】
145;Ar=フェニル
収率85%;融点:201〜204℃;δH4.45(2H、s)、7.20〜7.45(5H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.40(1H、brs);m/z(M+H)+・237(100%)。
【0201】
151;Ar=4−ヨードフェニル
収率86%;融点:233〜236℃;δH4.20(2H、s)、7.15(2H、d、J=8.2Hz)、7.60(2H、d、J=8.2Hz)、7.75〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.15(1H、brs);m/z(M+H)+・362(100%)。
【0202】
159;Ar=4−アミノフェニル
収率28%;融点:233〜236℃;δH4.15(2H、s)、4.85(2H、s)、6.50(2H、d、J=7.1Hz)、7.00(2H、d、J=7.1Hz)、7.75〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・252(100%)。
【0203】
160;Ar=3−アミノフェニル
収率95%;融点:178〜180℃;δH4.15(2H、s)、5.00(2H、brs)、6.35〜6.55(3H、m)、6.80〜7.05(1H、m)、7.75〜7.90(3H、m)、8.25〜8.40(1H、m);m/z(M+H)+・252(100%)。
【0204】
163;Ar=2−メチルフェニル
収率72%;融点:201〜204℃;δH2.15(3H、s)、4.10(2H、s)、6.95〜7.25(4H、m)、7.80〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.25(1H、brs)。
【0205】
177;Ar=4−ピリジル
収率40%;融点:214〜216℃;δH4.25(2H、s)、7.45(2H、d、J=5.7Hz)、7.75〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、8.55(2H、d、J=5.7Hz)、12.00(1H、brs);m/z(M+H)+・238(100%)。
【0206】
178;Ar=3−ピリジル
収率62%;融点:196〜199℃;δH4.30(2H、s)、7.25〜7.45(1H、m)、7.60〜7.95(4H、m)、8.25〜8.45(2H、m)、8.55(1H、s)、12.15(1H、brs);m/z(M+H)+・238(100%)。
【0207】
180;Ar=3,4−メチレンジオキシフェニル
収率59%;融点:225〜228℃;δH4.25(2H、s)、6.00(2H、s)、6.85〜7.00(3H、m)、7.70〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.25(1H、brs);m/z(M+H)+・281(100%)。
【0208】
186;Ar=3−クロロフェニル
収率69%;融点:192〜194℃;δH4.30(2H、s)、7.30〜7.50(3H、s)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.60(1H、brs);m/z(M+H)+・271(100%)、273(35%)。
【0209】
187;Ar=3−ベンジルオキシ−4−メトキシフェニル
収率51%;融点:150〜152℃;δH3.60(3H、s)、4.20(2H、s)、5.05(2H、s)、7.30〜7.50(3H、s)、7.55(5H、s)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、brs);m/z(M−H)+・371(100%)。
【0210】
191;Ar=3−(トリフルオロメチル)フェニル
収率71%;融点:195〜198℃;δH4.30(2H、s)、7.50〜8.00(7H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、11.60(1H、brs);m/z(M+H)+・305(100%)。
【0211】
192;Ar=3−フルオロフェニル
収率70%;融点:187〜190℃;δH4.30(2H、s)、6.90〜7.45(4H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.30(1H、brs);m/z(M+H)+・255(65%)。
【0212】
193;Ar=3−フェノキシフェニル
収率52%;融点:146〜148℃;δH4.20(2H、s)、6.80〜7.50(9H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.00(1H、brs);m/z(M+H)+・329(45%)。
【0213】
194;Ar=3−ベンジルオキシフェニル
収率83%;融点:177〜180℃;δH4.20(2H、s)、5.00(2H、s)、6.80〜7.50(9H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.00(1H、brs)。
【0214】
198;Ar=3−アミノ−4−チオモルホリノフェニル
収率6%;融点:235〜238℃;δH2.75(4H、brs)、2.95(4H、brs)、4.10(2H、s)、4.65(2H、s)、6.50〜6.85(3H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・353(100%)。
【0215】
202;Ar=3,4−ジフルオロフェニル
収率70%;融点:186〜191℃;δH4.25(2H、brs)、7.00〜7.55(3H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M〜H)+・271(100%)。
【0216】
204;Ar=3−ニトロ−4−ピロリジノフェニル
収率1%;融点:268〜270℃;δH2.75(4H、brs)、3.10(4H、brs)、4.10(2H、s)、6.85(1H、d、J=8.15Hz)、7.45(1H、dd、J=<2Hzおよび8.15Hz)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・351(100%)。
【0217】
211;Ar=3−ブロモフェニル
収率80%;融点:199〜202℃;δH4.35(2H、s)、7.20〜7.60(4H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.40(1H、s);m/z(M+H)+・316(95%)および318(100%)。
【0218】
222;Ar=4−ベンジルオキシ−3−メトキシフェニル
収率29%;融点:173〜175℃;δH3.60(3H、s)、4.10(2H、s)、5.00(2H、s)、6.60〜6.95(3H、m)、7.40(5H、s)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・373(100%)。
【0219】
241;Ar=4−フルオロ−3−メトキシフェニル
収率55%;融点:211〜214℃;δH3.80(3H、s)、4.25(2H、s)、6.75〜7.25(3H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・285(100%)。
【0220】
248;Ar=2−フルオロフェニル
収率86%;融点:234〜236℃;δH4.30(2H、s)、4.65(2H、s)、7.00〜7.45(4H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・255(100%)。
【0221】
249;Ar=2−ピリジル
収率84%;融点:180〜184℃;δH4.45(2H、s)、7.10〜7.45(2H、m)、7.50〜8.00(4H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、8.45〜8.55(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・238(100%)。
【0222】
266;Ar=2−フェニルエチル
収率9%;融点:124〜126℃;m/z(M)+・250(純度70%)。
【0223】
276;Ar=3−カルボキシフェニル
収率59%;融点:277〜280℃;δH4.40(2H、s)、7.3〜8.0(7H、m)、8.1〜8.4(1H、m)および12.60(1H、s);m/z(M+H)+・281(純度88%).
経路2
279;R″=4−メチル
収率5%(7段階);融点:215〜217℃;δH2.20(3H、s)、3.80(3H、s)、4.40(2H、s)、7.10(4H、s)、7.40(1H、dd)、7.70〜7.90(2H、m)および12.60(1H、brs);m/z(M+H)+・281(純度100%)。
【0224】
経路3
(−A−B−=ベンゼン環)
中間体化合物:3−オキソベンゾ[c]フラン−1−イルホスホン酸ジメチル;収率90%;融点:95〜96.5℃。
【0225】
283;Ar=フェニル、RL1=プロピル
収率49%(2段階);融点:158〜159℃;δH0.90(3H、t)、1.0〜1.5(2H、m)、1.8〜2.5(2H、m)、4.40(1H、t)、7.1〜7.4(5H、m)、7.5〜7.9(3H、m)、8.4〜8.6(1H.m)および12.0(1H、brs);m/z(M+H)+・279(純度98%)。
【0226】
284(ジアステレオ異性体対の7:1混合物であることが認められた);ArCORL1=2−メチルインダノン
収率46%(2段階);融点:204〜206℃;δH0.70および1.10(3H、2×d)、2.5〜3.4(3H、m)、4.50および5.1(1H、2×d)、6.8〜7.3(4H、m)、7.95(3H、s)、8.3〜8.5(1H.m)および12.5(1H、brs);m/z(M+H)+・277(ジアステレオ異性体2対で純度100%)。
【0227】
285;Ar=フェニル、RL1=メチル
収率50%(2段階);融点:169〜171℃;δH1.60(3H、d)、4.80(1H、q)、7.1〜7.4(5H、m)、7.7〜7.9(3H、m)、8.25〜8.4(1H、m)および12.7(1H、brs);m/z(M+H)+・251(純度100%)。
【0228】
さらなる誘導体化
(a)
164;4−ヒドロキシ
収率99%;融点:231〜234℃;δH4.15(2H、s)、6.60(2H、d、J=8.0Hz)、7.10(2H、d、J=8.0Hz)、7.80〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・253(100%)。
【0229】
165;3−ヒドロキシ
収率68%;融点:198〜201℃;δH4.15(2H、s)、6.50〜6.80(3H、m,)、6.95〜7.10(1H、m)、7.80〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・253(100%)。
【0230】
(b)
166;R″=4−NHC(=O)CH3
収率57%;融点:267〜271℃;δH2.00(3H、s)、4.25(2H、s)、7.25(2H、d、J=7.7Hz)、7.55(2H、d、J=7.7Hz)、7.75〜7.95(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、9.80(1H、s)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・294(100%)。
【0231】
167;R″=4−NHC(=O)Ph
収率87%;融点:293〜296℃;δH4.25(2H、s)、7.20〜8.00(12H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、10.15(1H、s)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・356(100%)。
【0232】
169;R″=3−NHC(=O)−2−チエニル
収率72%;融点:232〜235℃;δH4.25(2H、s)、7.00〜7.45(3H、m)、7.55〜7.65(2H、m)、7.75〜7.95(5H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、10.10(1H、s)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・362(100%)。
【0233】
170;R″=3−NHC(=O)−4−フルオロフェニル
収率68%;融点:257〜261℃;δH4.25(2H、s)、7.00〜7.50(4H、m)、7.55〜8.25(8H、m)、10.15(1H、s)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・374(100%)。
【0234】
171;R″=3−NHC(=O)Ph
収率78%;融点:261〜264℃;δH4.25(2H、s)、7.05〜7.95(12H、m)、10.05(1H、s)、12.50(1H、s);m/z(M+H)+・356(100%)。
【0235】
172;R″=3−NHC(=O)CH3
収率55%;融点:270〜272℃;δH2.00(3H、s)、4.25(2H、s)、7.00〜7.50(4H、m)、7.75(3H、s)、8.25〜8.45(1H、m)、9.80(1H、s)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・294(100%)。
【0236】
233;R″=3−NHC(=O)CH(Et)Ph
収率82%;融点:150〜154℃;δH0.90(3H、t)、1.50〜2.25(2H、m)、3.20〜3.55(1H、m)、4.25(2H、s)、7.0〜7.90(12H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、9.95(1H、brs)および12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・398(純度88%)。
【0237】
(c)(i)
179;収率45%;融点:161〜164℃;δH2.15(3H、s)、4.25(2H、s)、6.90〜7.35(4H、m)、7.75〜7.95(3H、s)、8.25〜8.45(1H、m)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・295(100%)。
【0238】
(c)(ii)
212;収率55%;融点:184〜187℃;δH3.55(2H、s)、7.10〜7.50(6H、m)、7.75〜8.05(3H、m)、8.10〜8.45(3H、m)、12.55(1H、s)。
【0239】
(c)(iii)
213;収率12%;融点:193〜196℃;δH2.20(3H、s)、3.55(2H、s)、7.10(4H、dd、J=8.2Hz)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、12.55(1H、s)。
【0240】
(c)(iv)
289;RE=n−C9H19;m/z(M+H)+・407(純度>95%)。
【0241】
290;RE=1−フェニルスルホニルインドール−3−イル。
【0242】
291;RE=4−(N,N−ジプロピルスルファモイル)フェニル;m/z(M+H)+・520(純度>95%)。
【0243】
292;RE=2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロフェニル;m/z(M+H)+・524(純度>95%)。
【0244】
293;RE=4−(4−クロロフェニルスルホニル)−3−メチル−2−チエニル;m/z(M+H)+・551(純度>95%)。
【0245】
294;RE=5−(2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン−5−イル)−4−メチルチアゾール−5−イル;m/z(M+H)+・496(純度>95%)。
【0246】
295;RE=2−(2−チエニル)チアゾール−4−イル;m/z(M+H)+・446(純度>95%)。
【0247】
296;RE=3−メチル−5−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)イソオキサゾール−4−イル;m/z(M+H)+・443(純度>95%)。
【0248】
298;RE=5−(4−クロロフェニル)−2−(トリフルオロメチル)−3−フリル;m/z(M+H)+・525(純度>95%)。
【0249】
299;RE=2−(4−メチルフェニルチオ)−3−ピリジル。
【0250】
300;RE=キノキザリン−6−イル;m/z(M+H)+・409(純度>85%)。
【0251】
601;RE=2−クロロ−3,4−ジメトキシスチリル;m/z(M+H)+・477(純度>90%)。
【0252】
602;RE=5−フェニルオキサゾール−4−イル;m/z(M+H)+・424(純度>85%)。
【0253】
603;RE=1−ベンジルオキシカルボニルピペリド−4−イル;m/z(M+H)+・498(純度>95%)。
【0254】
604;RE=1−(4−メトキシフェニル)−5−メチルピラゾール−4−イル;m/z(M+H)+・467(純度>95%)。
【0255】
605;RE=4−n−ヘキシルフェニル;m/z(M+H)+・441(純度>95%)。
【0256】
607;RE=4−n−プロピルフェニル;m/z(M+H)+・399(純度>95%)。
【0257】
608;RE=6−フルオロ−1,3−ベンゾジオキサン−8−イル;m/z(M+H)+・433(純度>95%)。
【0258】
609;RE=2,4,5−トリフルオロ−3−メトキシフェニル;m/z(M+H)+・441(純度>95%)。
【0259】
610;RE=シクロヘキシル;m/z(M+H)+・363(純度>95%)。
【0260】
611;RE=4−ブロモ−1−エチル−3−メチルピラゾール−5−イル。
【0261】
612;RE=2−クロロ−4−ピリジル;m/z(M+H)+・392/394(純度>95%)。
【0262】
613;RE=シクロプロピル;m/z(M+H)+・321(純度>95%)。
【0263】
614;RE=5−メチル−2−(トリフルオロメチル)−3−フリル;m/z(M+H)+・429(純度>95%)。
【0264】
615;RE=シクロブチル;m/z(M+H)+・335(純度>95%)。
【0265】
616;RE=2−クロロ−6−メチル−4−ピリジル。
【0266】
617;RE=1−(4−クロロフェノキシ)−1−メチルエチル;m/z(M+H)+・446/451(純度>95%)。
【0267】
618;RE=2−チエニル;m/z(M+H)+・363(純度>90%)。
【0268】
619;RE=3,4−メチレンジオキシフェニル;m/z(M+H)+・401(純度>95%)。
【0269】
620;RE=n−ヘプチル;m/z(M+H)+・379(純度>95%)。
【0270】
621;RE=3−クロロプロピル;m/z(M+H)+・357/359(純度>95%)。
【0271】
622;RE=5−メチルイソオキサゾール−3−イル;m/z(M+H)+・362(純度>95%)。
【0272】
623;RE=1−t−ブチル−5−メチルピラゾール−3−イル;m/z(M+H)+・417(純度>90%)。
【0273】
624;RE=3−フェニルチアゾール−4−イル;m/z(M+H)+・440(純度>95%)。
【0274】
625;RE=3−t−ブチル−1−(2,4−ジクロロベンジル)ピラゾール−5−イル。
【0275】
626;RE=1−クロロエチル。
【0276】
627;RE=3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−7−イル。
【0277】
628;RE=1−エチルペンチル;m/z(M+H)+・379(純度>90%)。
【0278】
629;RE=1−ベンジルオキシカルボニル−2,3−ジヒドロインドール−2−イル;m/z(M+H)+・532(純度>90%)。
【0279】
630;RE=2−クロロ−1,1−ジメチルエチル;m/z(M+H)+・371/373(純度>95%)。
【0280】
631;RE=1−プロペニル;m/z(M+H)+・321(純度>95%)。
【0281】
(d)(i)
215;Ar=フェニル
収率31%;融点:254〜257℃;δH3.55(2H、s)、6.80〜7.50(13H、m)、7.85(1H、s)、9.55(1H、s);m/z(M+H)+・371(100%)。
【0282】
216;Ar=4−フルオロフェニル
収率79%;融点:240〜244℃;δH3.55(2H、s)、6.80〜7.50(12H、m)、8.50(1H、s)、9.55(1H、s);m/z(M+H)+・389(100%)。
【0283】
(d)(ii)
206;収率12%;融点:125〜126.5℃;δH2.65(4H、brs)、3.70(4H、brs)、4.20(2H、s)、4.30(4H、s)、7.00〜7.15(2H、m)、7.65〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(2H、m)、9.60(1H、s)、12.55(1H、s)。
【0284】
(d)(iii)
640;RA=シクロブチル
収率77%;m/z(M+H)+・334(純度96%)。
【0285】
641;RA=5−メチル−2−(トリフルオロメチル)−3−フリル
収率50%;m/z(M+H)+・428(純度97%)。
【0286】
642;RA=4−ブロモ−1−エチル−3−メチルピラゾール−5−イル
収率97%;m/z(M+H)+・466/468(純度100%)。
【0287】
643;RA=2−チエニル
収率100%;m/z(M+H)+・362(純度93%)。
【0288】
644;RA=5−メチルイソオキサゾール−3−イル
収率99%;m/z(M+H)+・361(純度100%)。
【0289】
645;RA=3,4−メチレンジオキシフェニル
収率100%;m/z(M+H)+・400(純度94%)。
【0290】
646;RA=1−t−ブチル−5−メチルピラゾール−3−イル
収率96%;m/z(M+H)+・416(純度97%)。
【0291】
647;RA=1−エチルペンチル
収率80%;m/z(M+H)+・378(純度100%)。
【0292】
648;RA=n−ヘプチル
収率76%;m/z(M+H)+・378(純度100%)。
【0293】
649;RA=1−クロロエチル
収率65%;m/z(M+H)+・342/344(純度100%)。
【0294】
650;RA=1−プロペニル
収率91%;m/z(M+H)+・320(純度97%)。
【0295】
651;RA=3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−7−イル
収率93%;m/z(M+H)+・428(純度97%)。
【0296】
652;RA=2−クロロ−6−メチル−4−ピリジル
収率77%;m/z(M+H)+・405/407(純度100%)。
【0297】
653;RA=2−クロロ−4−ピリジル
収率87%;m/z(M+H)+・391/393(純度100%)。
【0298】
654;RA=1−(4−クロロフェノキシ)−1−メチルエチル
収率89%;m/z(M+H)+・448/450(純度100%)。
【0299】
655;RA=4−(トリフルオロメトキシ)フェニル
収率100%;m/z(M+H)+・440(純度100%)。
【0300】
656;RA=シクロヘキシル
収率75%;m/z(M+H)+・362(純度97%)。
【0301】
657;RA=6−フルオロ−1,3−ベンゾジオキサン−8−イル
収率87%;m/z(M+H)+・432(純度97%)。
【0302】
658;RA=4−プロピルフェニル
収率79%;m/z(M+H)+・398(純度100%)。
【0303】
659;RA−2,4,5−トリフルオロ−3−メトキシフェニル
収率83%;m/z(M+H)+・440(純度100%)。
【0304】
667;RA=2−クロロ−3,4−ジメトキシスチリル
収率76%;m/z(M+H)+・476/478(純度100%)。
【0305】
668;RA=4−ヘキシルフェニル
収率63%、m/z(M+H)+・440(純度100%)。
【0306】
669;RA=2−(4−メチルフェノキシ)−3−ピリジル
収率41%;m/z(M+H)+・463(純度97%)。
【0307】
670;RA=2−(4−メチルフェニルチオ)−3−ピリジル
収率100%;m/z(M+H)+・479(純度88%)。
【0308】
671;RA=キノキザリン−6−イル
収率86%;m/z(M+H)+・408(純度100%)。
【0309】
672;RA=1−ベンジルオキシカルボニルピペリド−4−イル
収率84%;m/z(M+H)+・497(純度95%)。
【0310】
673;RA=1−(4−メトキシフェニル)−5−メチルピラゾール−4−イル
収率76%;m/z(M+H)+・466(純度97%)。
【0311】
674;RA=(5−(2−ピリジル)−2−チエニル
収率66%;m/z(M+H)+・439(純度100%)。
【0312】
675;RA=5−フェニルオキサゾール−4−イル
収率63%;m/z(M+H)+・423(純度100%)。
【0313】
676;RA=3−メチル−5−(5−メチルイソオキサゾール−3−イル)イソオキサゾール−4−イル
収率49%;m/z(M+H)+・442(純度100%)。
【0314】
677:RA=2(2−チエニル)イソチアゾール−4−イル
収率70%;m/z(M+H)+・445(純度100%)。
【0315】
678;RA=2−(2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン−5−イル)−4−メチルチアゾール−5−イル
収率96%;m/z(M+H)+・495(純度100%)。
【0316】
679;RA=5−(4−クロロフェニル)−2−(トリフルオロメチル)−3−フリル
収率95%;m/z(M+H)+・524/526(純度98%)。
【0317】
680;RA=3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル
収率69%;m/z(M+H)+・492(純度100%)。
【0318】
681;RA=4−(4−クロロフェニルスルホニル)−3−メチル−2−チエニル
収率45%;m/z(M+H)+・550/552(純度100%)。
【0319】
682;RA=1−ベンジル−3−t−ブチルピラゾール−5−イル
収率94%;m/z(M+H)+・492(純度98%)。
【0320】
683;RA=1−フェニルスルホニルインドール−3−イル
収率90%;m/z(M+H)+・535(純度100%)。
【0321】
684;RA=n−ノニル
収率75%;m/z(M+H)+・406(純度94%)。
【0322】
685;RA=2−(4−メトキシフェノキシ)−5−ニトロフェニル
収率98%;m/z(M+H)+・523(純度100%)。
【0323】
686;RA=プロピル
収率56%;m/z(M+H)+・322(純度92%)。
【0324】
687;RA=エチル
収率68%;m/z(M+H)+・308(純度97%)。
【0325】
688;RA=1−メチルエチル
収率100%;m/z(M+H)+・322(純度100%)。
【0326】
(d)(iv)
691;R=6−フルオロ−1,3−ベンゾジオキサン−8−イル
収率100%;融点:250〜254℃(142〜146で収縮);m/z(M+H)+・447(純度100%)。
【0327】
692;R=3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−7−イル 収率71%;融点:205〜208℃;m/z(M+H)+・443(純度100%)。
【0328】
693;R=1−ベンジルオキシカルボニルピペリド−4−イル
収率78%;融点:216〜219℃;m/z(M+H)+・512(純度100%)。
【0329】
694;R=プロピル
収率75%;融点:205〜208℃;δH0.80(3H、t)、1.2〜1.7(2H、m)、3.0(2H、q)、4.20(2H、s)、6.0(1H、brs)、6.8〜7.3(4H、m)、7.7〜7.95(3H、m)、8.3〜8.45(2H、m)および12.55(1H、s);m/z(M+H)+・337(純度100%)。
【0330】
698;R=2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン−5−イル
収率88%;融点:251〜254℃;δH3.1(2H、t)、4.25(2H、s)、4.5(2H、t)、6.6(1H、d)、6.8〜6.4(6H、m)、7.7〜7.9(3H、m)、8.2〜8.4(2H、m)、9.0(1H、s)および12.55(1H、s);m/z(M+H)+・413(純度94%)。
【0331】
699;R=3−メトキシフェニル
収率67%;融点:195〜200℃;δH3.7(3H、s)、4.25(2H、s)、6.4〜6.6(1H、m)、6.8〜7.3(7H、m)、9.7〜9.9(3H、m)、8.2〜8.4(1H、m)、8.6〜8.7(2H、m)および12.25(1H、s);m/z(M+H)+・401(純度100%)。
【0332】
700;R=2−(トリフルオロメトキシ)フェニル
収率84%;融点:229〜231℃;δH4.25(2H、s)、6.9〜7.3(7H、m)、9.7〜9.9(3H、m)、8.2〜8.4(3H、m)11.25(1H、s)および12.25(1H、s);m/z(M+H)+・455(純度100%)。
【0333】
701;R=5−メチル−3−フェニルイソオキサゾール−4−イル
収率39%;融点:256〜258℃;m/z(M+H)+・452(純度97%)。
【0334】
704;R=2−エトキシフェニル
収率77%;融点:174〜178℃;m/z(M+H)+・415(純度100%)。
【0335】
705;R=4−ブチルフェニル
収率78%、融点:201〜205℃;δH0.80(3H、t)、1.0〜1.8(4H、m)、2.5(2H、m)、4.25(2H、s)、6.9〜7.4(8H、m)、9.7〜9.9(3H、m)、8.2〜8.6(3H、m)および12.25(1H、s);m/z(M+H)+・427(純度100%)。
【0336】
706;R=ブチル
収率65%;融点:225〜227℃;m/z(M+H)+・351(純度96%)。
【0337】
(d)(v)(a)
697;R=メチル
収率78%;融点:192〜194℃;m/z(M+H)+・330(純度100%)。
【0338】
(d)(v)(b)
702;R=4−アセトアミドフェニル
収率67%;融点:263〜265℃;m/z(M+H)+・449(純度97%)。
【0339】
703;R=5−(2−ピリジル)−2−チエニル
収率80%;融点:258〜261℃;m/z(M+H)+・475(純度100%)。
【0340】
(e)
227;収率31%;融点:124〜125.5℃;δH4.25(2H、s)、7.20〜7.50(4H、m)、7.60〜8.45(8H、m)、10.20(1H、m)、12.55(1H、m);m/z(M−H)+・372(20%)。
【0341】
(f)
239;収率68%;融点:230〜232℃;δH3.65(2H、s)、4.10(3H、s)、6.50〜7.00(3H、m)、7.75〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、8.50〜9.00(1H、brs)、12.50(1H、brs);m/z(M+H)+・283(100%)。
【0342】
(g)
247;収率89%;融点:228〜231℃;δH4.25(2H、s)、6.60〜7.05(3H、m)、7.80〜8.00(3H、m)、8.25〜8.45(1H、m)、9.80(1H、s)、12.55(1H、s);m/z(M+H)+・271(65%)。
【0343】
(h)
277;収率36%;融点:157〜162℃;δH3.80(3H、s)、4.40(2H、s)、7.3〜8.0(7H、m)、8.2〜8.4(1H、m)および12.60(1H、s)。
【0344】
(i)
278;収率6%;融点:131〜139℃;δH4.40(2H、s)、7.3〜7.9(12H、m)、8.2〜8.4(1H、m)、10.20(1H、s)および12.60(1H、s);m/z(M+H)+・356(純度79%)。
【0345】
(j)
253;RN1RN2NH=モルホリン
収率19%(2段階);融点:118〜120℃;δH2.3〜2.6(4H、m)、2.7〜2.9(4H、m)、3.4〜3.9(10H、m)4.35(2H、s)、7.0〜8.3(11H、m)9.70(1H、s)および12.30(1H、s);m/z(M+H)+・540(純度95%)。
【0346】
254;RN1RN2NH=ピロリジン
収率42%(2段階);融点:110〜113℃;δH1.6〜1.8(4H、m)、2.3〜2.6(4H、m)、2.7〜2.9(4H、m)、3.6〜3.9(6H、m)、4.35(2H、s)、7.2〜8.3(11H、m)9.70(1H、s)および12.60(1H、s)。
【0347】
(k)
265;収率46%;融点:分解>75℃;δH1.9〜2.2(2H、m)、2.7〜2.85(4H、m)、3.5〜3.9(8H、m)、4.20(2H、s)、7.0(1H、s)、7.7〜8.2(6H、m)、8.80(1H、s)および12.50(1H、s)。
【0348】
生物試験
化合物の阻害作用を評価するため、以下のアッセイを用いてIC50値を求めた。
【0349】
ヒーラ細胞核抽出物から単離した哺乳動物PARPを96ウェルフラッシュプレート(Flash Plate)(商標名)(NEN, UK)中で、Z−緩衝液(25mM Hepes(Sigma);12.5mM MgCl2(Sigma);50mM KCl(Sigma);1mM DTT(Sigma);10%グリセリン(Sigma)0.001%NP-40(Sigma);pH7.4)とともにインキュベートし、各種濃度の前記阻害薬を加えた。全ての化合物をDMSOで希釈し、10〜0.01μMの最終アッセイ濃度を得て、DMSOはウェル当たり1%の最終濃度とした。ウェル当たりの総アッセイ容量は40μLとした。
【0350】
30℃で10分間のインキュベート後、NAD(5μM)、3H−NADおよび30量体二本鎖DNAオリゴを含む反応混合物10μLを加えることで反応開始した。化合物ウェル(未知)と組み合わせて指定の陽性および陰性反応ウェルを処理して、酵素活性%を計算した。プレートを2分間振盪し、30℃で45分間インキュベートした。
【0351】
インキュベーション後、各ウェルに30%酢酸50μLを加えることで反応停止した。次に、プレートを室温で1時間振盪した。
【0352】
プレートをトップカウント(TopCount)NXT(商標名)(Packard, UK)に移して、シンチレーションカウンティングを行った。記録した値は、各ウェルの30秒間カウンティング後のカウント/分(cpm)である。
【0353】
次に、各化合物についての酵素活性%を、下記の式を用いて計算する。
【数1】
【0354】
一部の結果を、広範囲の各種濃度にわたり、通常は10μM〜0.01μMの範囲で測定したIC50値(酵素活性の50%が阻害される濃度)として下記の表1に示してある。そのようなIC50値を比較値として用いて、化合物効力の上昇を確認する。
【0355】
比較のため、100(1(2H)−フタラジノン)のIC50を上記試験を用いて7.2μMと測定した。
【表1】
【0356】
化合物233、278、279、294、295、601、604、624、640〜659、667〜678および680〜706の試験を行ったところ、1μM以下のIC50値を有していた。
【0357】
化合物253、254、265および619の試験を行ったところ、3μM以下のIC50値を有していた。
【0358】
化合物266、283、284および285の試験を行ったところ、5μM以下のIC50値を有していた。
【0359】
用量強化因子(DEF)は、ブレオマイシン単独と比較した、ブレオマイシン存在下で被験化合物によって誘発される細胞増殖阻害の強化比である。被験化合物は、25μMの固定濃度で用いた。ブレオマイシンは、0.5μg/mLの濃度で用いた。DEFは以下の式から計算した。
【数2】
式中、GrowthTCは被験化合物存在下での細胞増殖であり;Growthcontrolは対照細胞の細胞増殖であり;Growthbleoはブレオマイシン存在下での細胞増殖であり;Growth(bleo+TC)は、ブレオマイシンおよび被験化合物存在下での細胞増殖である。
【0360】
細胞増殖は、スルホローダミンB(SRB)アッセイ(Skehan, P., et al., 1990, J. Natl. Cancer Inst., 82, 1107-1112)を用いて評価した。2000個のヒーラ細胞を、容量100μLで平底96ウェル微量定量プレートの各ウェルに接種し、37℃で6時間インキュベートした。細胞を、培地のみと置き換えるか、あるいは被験化合物を最終濃度25μMで含む培地と置き換えた。細胞をさらに1時間増殖させてから、未処理細胞または被験化合物処理細胞のいずれかにブレオマイシンを加えた。ブレオマイシンと被験化合物の両方とも未処理の細胞を対照として用いた。被験化合物単独で処理した細胞を用いて、被験化合物による増殖阻害を評価した。
【0361】
細胞をさらに16時間放置してから、培地を入れ換えて、37℃でさらに72時間細胞を増殖させた。次に培地を除去し、細胞を氷冷10%(重量/容量)トリクロロ酢酸100μLで固定した。プレートを4℃で20分間インキュベートしてから、水で4回洗浄した。各ウェルの細胞を0.4%(重量/容量)SRBの1%酢酸溶液100μLで20分間染色してから、1%酢酸で4回洗浄した。次にプレートを室温で2時間乾燥させた。各ウェルに10mM Tris塩基100μLを加えることで、染色細胞からの色素を可溶化させた。プレートを緩やかに振盪し、室温で30分間放置してから、マイクロクアント(Microquant)微量定量プレート読取装置で564nMでの光学密度を測定した。
【0362】
一部の結果を表2に示してある。
【表2】
【0363】
化合物233、249、254、265、278、279、283、284、640、645、648〜654、655〜658、667、671、672、678、680、683、684および686〜688の試験を行ったところ、1より大きいDEFを有していた。
【図面の簡単な説明】
【0364】
【図1】本発明による化合物を示す図である。
【図2】本発明による化合物を示す図である。
【図3】本発明による化合物を示す図である。
【図4】本発明による化合物を示す図である。
【図5】本発明による化合物を示す図である。
【図6】本発明による化合物を示す図である。
【図7】本発明による化合物を示す図である。
【図8】本発明による化合物を示す図である。
【図9】本発明による化合物を示す図である。
【図10】本発明による化合物を示す図である。
【図11】本発明による化合物を示す図である。
【図12】本発明による化合物を示す図である。
【図13】本発明による化合物を示す図である。
【図14】本発明による化合物を示す図である。
【図15】本発明による化合物を示す図である。
【図16】本発明による化合物を示す図である。
【図17】本発明による化合物を示す図である。
【図18】本発明による化合物を示す図である。
【図19】本発明による化合物を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PARP活性を阻害する医薬の製造における、下記式の化合物または該化合物の異性体、塩もしくは溶媒和物の使用。
【化1】
[式中、
AおよびBは一体となって、未置換の縮合ベンゼン環を表し;
Rcは−CH2−RLによって表され;
RLはC1−7アルキル、C5−20アリール、C3−20複素環、ハロ、ヒドロキシ、エーテル、ニトロ、シアノ、アシル、カルボキシ、エステル、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルアミド、ウレイド、アシルオキシ、チオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホンからなる群から選択される1以上の置換基によって置換されていても良いC5−20アリール基であり;
RNは、水素である。]
【請求項2】
癌療法で電離放射線あるいは化学療法剤と併用される医薬の製造における、下記式の化合物または該化合物の異性体、塩もしくは溶媒和物の使用。
【化2】
[式中、
AおよびBは一体となって、未置換の縮合ベンゼン環を表し;
Rcは−CH2−RLによって表され;
RLはC1−7アルキル、C5−20アリール、C3−20複素環、ハロ、ヒドロキシ、エーテル、ニトロ、シアノ、アシル、カルボキシ、エステル、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルアミド、ウレイド、アシルオキシ、チオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホンからなる群から選択される1以上の置換基によって置換されていても良いC5−20アリール基であり;
RNは、水素である。]
【請求項3】
RLがベンゼン環である請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
RLが、C1−7アルキル;C5−20アリール;C3−20複素環;ハロ;ヒドロキシ;エーテル;ニトロ;シアノ;カルボニル基;アミノ;スルホンアミド;アシルアミド;ウレイド;アシルオキシ;チオール;チオエーテル;スルホキシド;およびスルホンからなる群から選択される1以上の置換基によって置換されている請求項3に記載の使用。
【請求項5】
RLが、アシルアミド、ウレイド、スルホンアミドおよびアシルオキシからなる群から選択される置換基によって置換されている請求項4に記載の使用。
【請求項6】
下記式の化合物または該化合物の異性体、塩もしくは溶媒和物、ならびに製薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【化3】
[式中、
AおよびBは一体となって、未置換の縮合ベンゼン環を表し;
Rcは−CH2−RLであり;
RLはC1−7アルキル、C5−20アリール、C3−20複素環、ハロ、ヒドロキシ、エーテル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、エステル、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルアミド、ウレイド、アシルオキシ、チオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホンからなる群から選択される1以上の置換基によって置換されていても良いフェニルであり;
RNは水素である。]
【請求項7】
RLが、C1−7アルキル;C5−20アリール;C3−20複素環;ハロ;ヒドロキシ;エーテル;ニトロ;シアノ;カルボニル基;アミノ;スルホンアミド;アシルアミド;ウレイド;アシルオキシ;チオール;チオエーテル;スルホキシド;およびスルホンからなる群から選択される1以上の置換基によって置換されている請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
RLが、アシルアミド、ウレイド、スルホンアミドおよびアシルオキシからなる群から選択される置換基によって置換されている請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
下記式の化合物または該化合物の異性体、塩もしくは溶媒和物。
【化4】
[式中、
AおよびBは一体となって、未置換の縮合ベンゼン環を表し;
Rcは−CH2−RLであり;
RLはC3−20複素環;アミド;ウレイド;スルホンアミド;およびアシルオキシからなる群から選択される置換基により置換され、更にC1−7アルキル、C5−20アリール、C3−20複素環、ハロ、ヒドロキシ、エーテル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、エステル、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルアミド、ウレイド、アシルオキシ、チオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホンからなる群から選択される置換基により置換されていても良いフェニルであり;
RNは水素である。]
【請求項1】
PARP活性を阻害する医薬の製造における、下記式の化合物または該化合物の異性体、塩もしくは溶媒和物の使用。
【化1】
[式中、
AおよびBは一体となって、未置換の縮合ベンゼン環を表し;
Rcは−CH2−RLによって表され;
RLはC1−7アルキル、C5−20アリール、C3−20複素環、ハロ、ヒドロキシ、エーテル、ニトロ、シアノ、アシル、カルボキシ、エステル、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルアミド、ウレイド、アシルオキシ、チオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホンからなる群から選択される1以上の置換基によって置換されていても良いC5−20アリール基であり;
RNは、水素である。]
【請求項2】
癌療法で電離放射線あるいは化学療法剤と併用される医薬の製造における、下記式の化合物または該化合物の異性体、塩もしくは溶媒和物の使用。
【化2】
[式中、
AおよびBは一体となって、未置換の縮合ベンゼン環を表し;
Rcは−CH2−RLによって表され;
RLはC1−7アルキル、C5−20アリール、C3−20複素環、ハロ、ヒドロキシ、エーテル、ニトロ、シアノ、アシル、カルボキシ、エステル、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルアミド、ウレイド、アシルオキシ、チオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホンからなる群から選択される1以上の置換基によって置換されていても良いC5−20アリール基であり;
RNは、水素である。]
【請求項3】
RLがベンゼン環である請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
RLが、C1−7アルキル;C5−20アリール;C3−20複素環;ハロ;ヒドロキシ;エーテル;ニトロ;シアノ;カルボニル基;アミノ;スルホンアミド;アシルアミド;ウレイド;アシルオキシ;チオール;チオエーテル;スルホキシド;およびスルホンからなる群から選択される1以上の置換基によって置換されている請求項3に記載の使用。
【請求項5】
RLが、アシルアミド、ウレイド、スルホンアミドおよびアシルオキシからなる群から選択される置換基によって置換されている請求項4に記載の使用。
【請求項6】
下記式の化合物または該化合物の異性体、塩もしくは溶媒和物、ならびに製薬上許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【化3】
[式中、
AおよびBは一体となって、未置換の縮合ベンゼン環を表し;
Rcは−CH2−RLであり;
RLはC1−7アルキル、C5−20アリール、C3−20複素環、ハロ、ヒドロキシ、エーテル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、エステル、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルアミド、ウレイド、アシルオキシ、チオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホンからなる群から選択される1以上の置換基によって置換されていても良いフェニルであり;
RNは水素である。]
【請求項7】
RLが、C1−7アルキル;C5−20アリール;C3−20複素環;ハロ;ヒドロキシ;エーテル;ニトロ;シアノ;カルボニル基;アミノ;スルホンアミド;アシルアミド;ウレイド;アシルオキシ;チオール;チオエーテル;スルホキシド;およびスルホンからなる群から選択される1以上の置換基によって置換されている請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
RLが、アシルアミド、ウレイド、スルホンアミドおよびアシルオキシからなる群から選択される置換基によって置換されている請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
下記式の化合物または該化合物の異性体、塩もしくは溶媒和物。
【化4】
[式中、
AおよびBは一体となって、未置換の縮合ベンゼン環を表し;
Rcは−CH2−RLであり;
RLはC3−20複素環;アミド;ウレイド;スルホンアミド;およびアシルオキシからなる群から選択される置換基により置換され、更にC1−7アルキル、C5−20アリール、C3−20複素環、ハロ、ヒドロキシ、エーテル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、エステル、アミド、アミノ、スルホンアミド、アシルアミド、ウレイド、アシルオキシ、チオール、チオエーテル、スルホキシドおよびスルホンからなる群から選択される置換基により置換されていても良いフェニルであり;
RNは水素である。]
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−149643(P2009−149643A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320616(P2008−320616)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【分割の表示】特願2002−539335(P2002−539335)の分割
【原出願日】平成13年10月25日(2001.10.25)
【出願人】(503160629)クドス ファーマシューティカルズ リミテッド (23)
【出願人】(501113032)メイブリッジ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【分割の表示】特願2002−539335(P2002−539335)の分割
【原出願日】平成13年10月25日(2001.10.25)
【出願人】(503160629)クドス ファーマシューティカルズ リミテッド (23)
【出願人】(501113032)メイブリッジ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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