フラックス塗布装置およびフラックス塗布方法
【課題】枠材の破損や板材の傷付きを招くことなく、フラックスを塗布すべき塗布領域に必要量のフラックスを確実に塗布する。
【解決手段】ステンシル20が押し当てられた塗布対象基板Pに対するスキージ11,12a,12bの移動に際して塗布面Paに押し当てられたステンシル20に対してスキージ11,12a,12bが移動する矢印Aの方向に位置する口縁部33aにおける幅方向の両端部が矢印Aの方向における手前側に最も突出すると共に幅方向の中央部に向かうほど矢印Aの方向に凹むように開口部31が形成されているステンシル20を使用して塗布対象基板Pの塗布領域55にフラックスを塗布する。
【解決手段】ステンシル20が押し当てられた塗布対象基板Pに対するスキージ11,12a,12bの移動に際して塗布面Paに押し当てられたステンシル20に対してスキージ11,12a,12bが移動する矢印Aの方向に位置する口縁部33aにおける幅方向の両端部が矢印Aの方向における手前側に最も突出すると共に幅方向の中央部に向かうほど矢印Aの方向に凹むように開口部31が形成されているステンシル20を使用して塗布対象基板Pの塗布領域55にフラックスを塗布する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンシル等の枠材およびスキージ等の板材を用いて塗布対象基板にフラックスを塗布するフラックス塗布装置およびフラックス塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のフラックス塗布装置およびフラックス塗布方法として、フラックスおよび低融点ハンダを混合したはんだペーストを塗布対象のプリント回路基板(以下、「塗布対象基板」ともいう)に塗布する塗布装置および塗布方法が特開平8−116165号公報に開示されている。この塗布装置による塗布方法では、まず、はんだペーストを塗布すべき各領域に応じて複数の小孔が形成されたステンシルを塗布対象基板に押し当てた状態において、ステンシル上に供給したはんだペーストをドクター・ブレード(以下、単に「ブレード」ともいう)によって塗り拡げることにより、上記の各小孔内にはんだペーストを刷り込む。次いで、塗布対象基板からステンシルを剥離する。この際には、ステンシルの各小孔内に刷り込まれたはんだペーストが塗布対象基板上に残留する。これにより、塗布対象基板における所望の領域にはんだペーストが塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−116165号公報(第4−5頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の塗布装置およびその塗布方法には、以下の問題点が存在する。すなわち、従来の塗布装置および塗布方法では、はんだペーストを塗布すべき各領域に応じて複数の小孔が形成されたステンシルを塗布対象基板に押し当てた状態において、各小孔内にはんだペーストを刷り込むことによって塗布対象基板上の所望の領域だけにはんだペーストを塗布している。この場合、塗布対象基板のなかには、例えば図15に示す塗布対象基板Pのように、塗布面Paに複数の凹部53が形成されると共に、各凹部53の底面にパッド54が形成されたものが存在する。この塗布対象基板Pは、フラックスの塗布が完了した後に各パッド54上にはんだボール(図示せず)を供給した状態においてリフロー処理することで各パッド54上にはんだバンプを形成することができるように構成されている。したがって、フラックスの塗布に際しては、各パッド54上(各凹部53内)に規定量のフラックスを塗布する必要がある。
【0005】
このような塗布対象基板Pに対して従来の塗布装置(塗布方法)によってフラックスを塗布する場合には、各パッド54(各凹部53)の位置に対応して複数の小孔を形成したステンシルを使用することとなる。しかしながら、ファインピッチ化が進む今日の塗布対象基板Pでは、上記の各パッド54(各凹部53:フラックスを塗布すべき領域)が小さくなる傾向がある。したがって、ファインピッチ化された塗布対象基板Pに対して従来の塗布装置(塗布方法)によってフラックスを塗布する際には、小さな各パッド54(各凹部53)に応じて極く小さな孔を形成したステンシルを使用する必要がある。このため、ステンシルの各小孔内にブレードによってフラックスを確実に刷り込むのが困難であると共に、各小孔内にフラックスを刷り込むことができたとしても、刷り込んだフラックスが凹部53内のパッド54に付着せずに、塗布対象基板Pからステンシルを剥離したときにステンシルと共に塗布対象基板Pから剥離されてしまうこともある。このため、従来の塗布装置(塗布方法)には、ファインピッチ化が進んだ塗布対象基板Pに対して十分な量のフラックスを確実に塗布するのが困難となっているという問題点がある。
【0006】
一方、発明者は、フラックスを塗布すべき複数のパッド54(凹部53)を含む広い領域を塗布領域として規定してフラックスを塗布する塗布装置および塗布方法を開発した。具体的には、まず、図16に示すように、上記の塗布領域に対応して平面視方形状の広い開口部31xを形成すると共に、塗布すべきフラックスの量に応じて厚みT(図17参照)を規定したステンシル20xを製作する。この際には、フラックスの塗布処理時にステンシル20xに対してスキージ12xが移動する移動方向(矢印Aの方向)に位置する口縁部33ax、および上記の移動方向に対する逆方向(矢印Bの方向)に位置する口縁部33bxの双方が、上記の移動方向およびその逆方向に対して平面視において直交するように開口部31xを形成する。次いで、製作したステンシル20xを塗布対象基板Pの塗布面Paに押し当てると共に、一例として、スキージ12xの先端部をステンシル20xにおける表面(同図における上面)の口縁部33bx側に押し付ける。続いて、ステンシル20xの表面にフラックスFを供給した後に、図17に示すように、口縁部33axに向かって矢印Aの方向にスキージ12xを移動させる。
【0007】
この際には、スキージ12xの移動に伴い、ステンシル20xの表面(この例では、口縁部33bx上)に供給したフラックスFが塗布対象基板Pの塗布面Paに擦り付けられるようにしてその塗布領域55x(塗布対象基板Pの塗布面Paにおいてステンシル20xの開口部31xから露出している領域)に押し拡げられる。したがって、このステンシル20xを用いた塗布処理によれば、各パッド54(凹部53)毎に複数の小孔を形成したステンシルを用いる従来の塗布装置および塗布方法とは異なり、極く小さなパッド54(凹部53)に対してもフラックスFを確実に塗布することが可能となる。また、凹部53内のフラックスFと、ステンシル20xの厚みT分のフラックスFとを各パッド54の上に残留させることが可能となるため、各凹部53が小さい塗布対象基板Pにおいても、十分な量のフラックスFを塗布することが可能となる。
【0008】
しかしながら、発明者は、複数のパッド54(凹部53)に応じて広い開口部31xを形成したステンシル20xでは、図18に示すように、塗布対象基板Pの塗布面Paに押し当てた状態において、上記の口縁部33ax,33bx等において、その幅方向の中央部が塗布対象基板Pの塗布面Paから離間するようにしてステンシル20xに変形が生じる(以下、このような状態を「浮きが生じる」ともいう)ことがあるのを見出した。なお、同図では、ステンシル20xに生じた浮きを誇張して大きく変形させた状態を図示している。この場合、前述したように、ステンシル20xでは、口縁部33ax,33bxの双方がスキージ12xの移動方向およびその逆方向に対して平面視において直交するように開口部31xが形成されている。したがって、例えば口縁部33axに浮きが生じた状態において上記の手順に従ってフラックスFを塗布したときには、スキージ12xが矢印Aの方向に移動させられて、図19に示すように、口縁部33axに達したときに、浮きが生じている口縁部33axに対してスキージ12xの先端部が引っ掛かることとなる。
【0009】
この状態においてスキージ12xが矢印Aの方向にさらに移動させられたときには、ステンシル20xに曲がりや破れ等の破損が生じたり、スキージ12xの先端部に傷付きが生じたりするおそれがある。この場合、ステンシル20xに破損が生じた状態では、塗布領域55x以外の領域にもフラックスFが塗布されるおそれがあり、スキージ12xに傷付きが生じた状態では、規定量以上のフラックスが塗布対象基板Pに塗布されるおそれがある。なお、矢印Aの方向にスキージ12xを移動させてフラックスFを塗布するだけでなく、矢印Aの逆方向(図16に示す矢印Bの方向)にもスキージ12xを移動させてフラックスFを塗布する構成(方法)を採用した場合には、この矢印Bの方向に位置する口縁部33bxにおいて浮きが生じた状態において実行される塗布処理時にステンシル20xの破損やスキージ12xの傷付きを招くおそれがある。このように、発明者が開発した塗布装置および塗布方法では、ステンシル20x(枠材)の破損やスキージ12x(板材)の傷付きを招きを招くおそれがあり、これに起因して、規定した領域内だけに規定量のフラックスを塗布するのが困難となるおそれがあり、この点を改善するのが好ましい。
【0010】
本発明は、かかる改善点に鑑みてなされたものであり、枠材の破損や板材の傷付きを招くことなく、フラックスを塗布すべき塗布領域に必要量のフラックスを確実に塗布し得るフラックス塗布装置およびフラックス塗布方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく請求項1記載のフラックス塗布装置は、供給されたフラックスを塗布対象基板の塗布面に塗り拡げる板材と、前記塗布面に押し当てられた状態において当該塗布面における前記フラックスの塗布領域が露出するように開口部が設けられると共に当該塗布領域に塗布すべき当該フラックスの塗布厚に応じて厚みが規定された枠材と、当該枠材が押し当てられた前記塗布対象基板および前記板材の少なくとも一方を他方に対して移動させる移動機構とを備え、前記塗布面に押し当てた前記枠材の表面に前記板材の平面視直線状の先端部を押し当てた状態で前記移動機構によって前記少なくとも一方を前記他方に対して移動させて前記塗布領域に前記フラックスを塗布するフラックス塗布装置であって、前記枠材が、前記少なくとも一方の移動に際して前記塗布面に押し当てられた当該枠材に対して前記板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部が当該移動方向における手前側に最も突出すると共に当該幅方向の中央部に向かうほど当該移動方向に凹むように前記開口部が形成されている。
【0012】
また、請求項2記載のフラックス塗布装置は、請求項1記載のフラックス塗布装置において、前記枠材が、前記第1の口縁部における前記幅方向の中央部を通過すると共に前記移動方向に沿った仮想線を基準として、前記第1の口縁部が平面視において線対称形となるように前記開口部が形成されている。
【0013】
さらに、請求項3記載のフラックス塗布装置は、請求項1または2記載のフラックス塗布装置において、前記枠材が、前記移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部が当該逆方向における手前側に最も突出すると共に当該幅方向の中央部に向かうほど当該逆方向に凹むように前記開口部が形成されている。
【0014】
また、請求項4記載のフラックス塗布装置は、供給されたフラックスを塗布対象基板の塗布面に塗り拡げる板材と、前記塗布面に押し当てられた状態において当該塗布面における前記フラックスの塗布領域が露出するように開口部が設けられると共に当該塗布領域に塗布すべき当該フラックスの塗布厚に応じて厚みが規定された枠材と、当該枠材が押し当てられた前記塗布対象基板および前記板材の少なくとも一方を他方に対して移動させる移動機構とを備え、前記塗布面に押し当てた前記枠材の表面に前記板材の平面視直線状の先端部を押し当てた状態で前記移動機構によって前記少なくとも一方を前記他方に対して移動させて前記塗布領域に前記フラックスを塗布するフラックス塗布装置であって、前記枠材が、前記少なくとも一方の移動に際して前記塗布面に押し当てられた当該枠材に対して前記板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が当該移動方向における手前側に最も突出すると共に当該両端部のうちの他方に向かうほど当該移動方向に凹むように前記開口部が形成されている。
【0015】
さらに、請求項5記載のフラックス塗布装置は、請求項4記載のフラックス塗布装置において、前記枠材が、前記移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が当該逆方向における手前側に最も突出すると共に当該両端部のうちの他方に向かうほど当該逆方向に凹むように前記開口部が形成されている。
【0016】
また、請求項6記載のフラックス塗布装置は、請求項1から5のいずれかに記載のフラックス塗布装置において、前記枠材が、前記開口部の各角部が平面視曲線状となるように形成されている。
【0017】
また、請求項7記載のフラックス塗布方法は、請求項1から6のいずれかに記載のフラックス塗布装置を使用して前記塗布対象基板の前記塗布領域に前記フラックスを塗布する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、塗布面に押し当てられた枠材に対して板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部が移動方向における手前側に最も突出すると共に幅方向の中央部に向かうほど移動方向に凹むように開口部を形成した枠材を使用することにより、例えば第1の口縁部における幅方向の中央部に塗布対象基板(塗布面)に対する浮きが生じていたとしても、枠材に対して板材を相対的に移動方向に移動させたときに、第1の口縁部における幅方向の両端部と中央部との間の各部に対して板材の先端部が両端部の側から順次接するようにして移動させられるため、上記の浮きが生じている部位を中央部に向かって移動させるようにして枠材の第1の口縁部を塗布面に密着させることができる。これにより、このフラックス塗布装置およびフラックス塗布方法によれば、フラックスの塗布に際して板材の先端部が第1の口縁部に引っ掛かる事態を回避することができるため、枠材の破損や板材の傷付きを招くことなく、フラックスを塗布すべき塗布領域に必要量のフラックスを確実に塗布することができる。
【0019】
また、請求項2記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、第1の口縁部における幅方向の中央部を通過すると共に移動方向に沿った仮想線を基準として、第1の口縁部が平面視において線対称形となるように開口部を形成した枠材を使用することにより、各板材の先端部が第1の口縁部における幅方向の各部に順次接するように各板材を移動させたときに、第1の口縁部における幅方向の一方の端部から他方の端部に向かう方向に枠材を移動させようとする力と、第1の口縁部における上記の他方の端部から上記の一方の端部に向かう方向に枠材を移動させようとする力とが相殺されるため、塗布対象基板に対する枠材の幅方向へのずれが生じる事態を回避することができる。
【0020】
さらに、請求項3記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部が逆方向における手前側に最も突出すると共に幅方向の中央部に向かうほど逆方向に凹むように開口部を形成した枠材を使用することにより、上記の移動方向に代えてその逆方向に板材を移動させてフラックスを塗布するときに第2の口縁部に対して各板材の先端部が引っ掛かる事態を回避することができるため、逆方向に移動させてフラックスを塗布する際にも、枠材の破損や板材の傷付きを招くことなく、フラックスを塗布すべき塗布領域に必要量のフラックスを確実に塗布することができる。
【0021】
また、請求項4記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、塗布面に押し当てられた枠材に対して板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が移動方向における手前側に最も突出すると共に両端部のうちの他方に向かうほど移動方向に凹むように開口部を形成した枠材を使用することにより、例えば第1の口縁部における幅方向の中央部に塗布対象基板(塗布面)に対する浮きが生じていたとしても、枠材に対して板材を相対的に移動方向に移動させたときに、第1の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方と他方との間の各部に対して板材の先端部が一方の端部側から順次接するようにして移動させられるため、上記の浮きが生じている部位を他方の端部に向かって移動させるようにして枠材の第1の口縁部を塗布面に密着させることができる。これにより、フラックスの塗布に際して板材の先端部が第1の口縁部に引っ掛かる事態を回避することができるため、枠材の破損や板材の傷付きを招くことなく、フラックスを塗布すべき塗布領域に必要量のフラックスを確実に塗布することができる。
【0022】
さらに、請求項5記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が逆方向における手前側に最も突出すると共に両端部のうちの他方に向かうほど逆方向に凹むように開口部を形成した枠材を使用することにより、上記の移動方向に代えてその逆方向に板材を移動させてフラックスを塗布するときに第2の口縁部に対して各板材の先端部が引っ掛かる事態を回避することができるため、上記の逆方向に移動させてフラックスを塗布する際にも、枠材の破損や板材の傷付きを招くことなく、フラックスを塗布すべき塗布領域に必要量のフラックスを確実に塗布することができる。
【0023】
また、請求項6記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、開口部の各角部が平面視曲線状となるように形成した枠材を使用することにより、開口部における移動方向に沿って形成されている両口縁部に接している状態の板材を各角部において引っ掛かりを生じさせることなく、第1の口縁部(または、第2の口縁部)に接する状態にスムーズに移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】フラックス塗布装置1の構成を示す構成図である。
【図2】スキージ11,12a,12bの先端部をステンシル20に接触させた状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図3】ステンシル20、塗布ユニット2および塗布対象基板Pの平面図である。
【図4】図3におけるX−X線断面図である。
【図5】図2に示す状態においてノズル14a,14bからフラックスFを供給した状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図6】図5に示す状態から矢印Aの方向に塗布ユニット2を移動させている状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図7】スキージ11における先端部近傍を移動方向手前側から見た図である。
【図8】スキージ12a,12bにおける先端部近傍を移動方向手前側から見た図である。
【図9】図6に示す状態から矢印Aの方向に塗布ユニット2をさらに移動させた状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図10】図9に示す状態から矢印Aの方向に塗布ユニット2をさらに移動させた状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図11】図10に示す状態から矢印Aの方向に塗布ユニット2をさらに移動させて、スキージ12aの先端部が口縁部33aに達した状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図12】図11に示す状態のフラックス塗布装置1の平面図である。
【図13】図11に示す状態から矢印Aの方向に塗布ユニット2をさらに移動させた状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図14】他の実施の形態に係るステンシル20A、塗布ユニット2および塗布対象基板Pの平面図である。
【図15】塗布対象基板Pの断面図である。
【図16】発明者が開発した塗布装置におけるステンシル20x、スキージ12および塗布対象基板Pの平面図である。
【図17】発明者が開発した塗布装置によるステンシル20xを用いたフラックスFの塗布について説明するためのステンシル20x、スキージ12および塗布対象基板Pの断面図である。
【図18】ステンシル20xにおける口縁部33axに浮きが生じた状態を示す断面図である。
【図19】浮きが生じた口縁部33axにスキージ12の先端部が引っ掛かった状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、フラックス塗布装置およびフラックス塗布方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1に示すフラックス塗布装置1は、ステンシルおよび複数のスキージを使用した塗布方法に従って塗布対象基板Pにフラックスを可能に構成された装置であって、塗布ユニット2、フラックス供給部3、X−Y−Z移動機構4、基板搬送機構5、制御部6およびステンシル20を備えている。
【0027】
塗布ユニット2は、スキージ11,12a,12b、スプリング13およびノズル14a,14bを備えて構成されている。スキージ11は、板材の一例であって、一例として、樹脂材料(ポリウレタン等)で平板状に形成されている。このスキージ11は、その先端部が平面視直線状となり、かつ、ステンシル20や塗布対象基板Pに対して線的に接触するように先端部が尖らされている。スキージ12a,12b(以下、区別しないときには「スキージ12」ともいう)は、板材の他の一例であって、一例として、上記のスキージ11を形成している樹脂材料よりも堅い樹脂材料(例えば、スキージ11を形成しているポリウレタンよりも堅いポリウレタン)で平板状に形成されている。このスキージ12は、その先端部が、平面視直線状となり、かつ、ステンシル20に対して線的に接触するように尖らされている。これにより、このフラックス塗布装置1では、スキージ11よりもスキージ12a,12bの方が硬く(スキージ12a,12bよりもスキージ11の方が柔らかく)形成されている。
【0028】
なお、このフラックス塗布装置1では、硬さが相違する同種の樹脂材料(この例では、ポリウレタン)で形成することでスキージ11およびスキージ12a,12bの硬さを相違させているが、種類が異なる各種材料で形成することでスキージ11およびスキージ12a,12bの硬さを相違させる構成を採用することもできる。また、このフラックス塗布装置1では、両スキージ12a,12bの間にスキージ11を挟むようにして各スキージ11,12a,12bを並べた状態でX−Y−Z移動機構4に取り付けられている。この場合、この塗布ユニット2では、スキージ11が、移動機構4に対して上下動することのないように直接的に取り付けられているのに対し、両スキージ12が、移動機構4に対して上下動可能にスプリング13を介して取り付けられている。また、図1に示すように、この塗布ユニット2では、各スキージ11,12a,12bがステンシル20等に対して非接触の状態において、スキージ11の先端部よりもスキージ12a,12bの先端部の方が下方(塗布対象基板P側)に向けて突出するように移動機構4に取り付けられている。
【0029】
ノズル14aは、スキージ11,12aの間に配設されると共にフラックス供給部3に連結され、フラックス供給部3から供給されたフラックスFをスキージ11,12aの間に吐出(供給)する。また、ノズル14bは、スキージ11,12bの間に配設されると共にフラックス供給部3に連結され、フラックス供給部3から供給されたフラックスFをスキージ11,12bの間に吐出(供給)する。フラックス供給部3は、制御部6の制御に従って規定量のフラックスFを塗布ユニット2に向けて圧送することで、ノズル14a,14bを介して塗布対象基板Pの塗布面Pa(図2参照:塗布面Paに押し当てられたステンシル20の表面)にフラックスFを供給する。X−Y−Z移動機構4は、移動機構の一例であって、基板搬送機構5によって塗布処理位置に搬送された塗布対象基板Pに対して上記の塗布ユニット2を移動させる(「枠材が押し当てられた塗布対象基板および板材の少なくとも一方」が「板材」としてのスキージ11,12a,12bを有する塗布ユニット2である構成の例)。
【0030】
基板搬送機構5は、制御部6の制御に従ってフラックスFを塗布すべき塗布対象基板Pを塗布処理位置に搬送すると共に、フラックスFの塗布が完了した塗布対象基板Pを塗布処理位置から搬出する。制御部6は、フラックス塗布装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部6は、基板搬送機構5を制御して塗布対象基板Pを塗布処理位置に搬送させる。この場合、このフラックス塗布装置1では、一例として、ステンシル20が塗布処理位置に固定され、基板搬送機構5がステンシル20の裏面に塗布面Paを押し当てるようにして塗布対象基板Pを塗布処理位置に位置決めする構成が採用されている。また、制御部6は、X−Y−Z移動機構4を制御して、塗布ユニット2を塗布対象基板P上(ステンシル20上)に移動させると共に、フラックス供給部3を制御してフラックスFを供給させる。さらに、制御部6は、X−Y−Z移動機構4を制御して塗布ユニット2を移動させることによってフラックスFを塗布対象基板Pの塗布面Paに塗布する(塗り拡げる)塗布処理を実行する。
【0031】
この場合、図15に示すように、塗布対象基板Pは、基板本体51の一面(同図に示す上面:フラックスFの塗布面Pa)に複数のバンプ形成部52が形成されている。また、この塗布対象基板Pでは、基板本体51の一面に複数の凹部53が形成されると共に、この凹部53の底部にパッド54が設けられて上記のバンプ形成部52が構成されている。言い換えれば、この塗布対象基板Pでは、バンプを形成するためのパッド54が基板本体51の一面よりも低くなるように、バンプ形成部52が凹状に形成されている。この場合、このフラックス塗布装置1では、各バンプ形成部52を含む広い領域を塗布領域55として規定すると共に、ステンシル20によってフラックスFを塗布する領域を制限することによって塗布領域55だけにフラックスFを塗布する構成が採用されている。
【0032】
一方、ステンシル20は、枠材の一例であって、例えばステンレススチール等の金属材料で薄板状に形成されると共に、図3に示すように、塗布対象基板Pの塗布面PaにおけるフラックスFを塗布すべき塗布領域55(すなわち、上記の各バンプ形成部52が形成されている領域)に対応して開口部31が形成されている。また、ステンシル20は、その厚みT(図2参照)が塗布領域55に塗布すべきフラックスFの塗布厚(塗布すべきフラックスFの量)に応じて規定されている。なお、フラックスFの塗布処理時に使用するステンシルは、上記のステンシル20に限定されず、樹脂ステンシル(樹脂製のステンシル)を使用することもできる。
【0033】
この場合、図3に示すように、このステンシル20では、一例として、移動機構4による塗布ユニット2の移動方向(矢印Aの方向)に沿った口縁部32a,32bが移動方向と平行になるように開口部31が形成されている。また、このステンシル20では、移動機構4による塗布ユニット2の移動方向(矢印Aの方向)に位置する口縁部33a(「第1の口縁部」の一例)が各スキージ11,12a,12bの先端部(塗布ユニット2の移動方向に直交する方向)に対して平面視において非平行となるように開口部31が形成されている。具体的には、このステンシル20では、口縁部33aにおける幅方向(図3における上下方向:上記の移動方向と直交する方向)の両端部が上記の移動方向における手前側に最も突出する(移動方向の上流側に位置する)と共に、口縁部33aにおける幅方向の両端部から口縁部33aにおける幅方向の中央部に向かうほど矢印Aの方向の下流側に凹むように(この例では、口縁部33aにおける幅方向の中央部が最も凹むように)開口部31が形成されている。また、このステンシル20では、口縁部33aが平面視において口縁部33aにおける幅方向の中央部(この例では中心)を通過する一点鎖線L(「仮想線」の一例)を基準として線対称形となるように開口部31が形成されている。
【0034】
さらに、このステンシル20では、上記の移動方向(矢印Aの方向)に対する逆方向(矢印Bの方向)に位置する口縁部33b(「第2の口縁部」の一例)が、口縁部33aと同様にして、各スキージ11,12a,12bの先端部(上記の逆方向に直交する方向)に対して平面視において非平行となるように開口部31が形成されている。具体的には、このステンシル20では、口縁部33bにおける幅方向(図3における上下方向:上記の逆方向と直交する方向)の両端部が上記の逆方向における手前側に最も突出する(逆方向の上流側に位置する)と共に、口縁部33bにおける幅方向の両端部から口縁部33bにおける幅方向の中央部に向かうほど矢印Bの方向の下流側に凹むように開口部31が形成されている。また、このステンシル20では、口縁部33bが平面視において口縁部33bにおける幅方向の中央部(この例では中心)を通過する一点鎖線L(「仮想線」の一例)を基準として線対称形となるように開口部31が形成されている。
【0035】
また、このステンシル20では、上記の口縁部33a,33bが塗布ユニット2の移動方向に直交する方向を基準として線対称形となるように開口部31が形成されている。これにより、このステンシル20では、開口部31が平面視略六角形状となっている。なお、上記の口縁部33bは、フラックス塗布装置1によるフラックスFの塗布に際して移動機構4が塗布ユニット2を矢印Bの方向に移動させてフラックスFを塗り拡げる際には、「移動機構による少なくとも一方の移動に際して塗布面に押し当てられた枠材に対して板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部」に相当する。また、このステンシル20では、開口部31の各角部34が平面視曲線状となるように丸みを帯びて形成されている。
【0036】
この場合、図3,4に示すように、このフラックス塗布装置1では、上記のステンシル20を枠部材21a,21bの間に挟み込むようにしてステンシル20に大きな歪みが生じないようにしている。具体的には、まず、枠部材21a,21bの間にステンシル20を挟み込むと共に、枠部材21a,21bの外縁部に形成された切欠き部において枠部材21a,21bからはみ出しているステンシル20を挟持用部材22a,22bによって挟持する。次いで、ステンシル20を挟持している各挟持用部材22a,22bに図示しないボルトをそれぞれねじ込むことにより、ボルトの先端部を枠部材21a,21bの外周面に押し付けて、各挟持用部材22a,22bを枠部材21a,21bの外側に向けてそれぞれ移動させる。この際には、挟持用部材22a,22bによって外縁部を挟持された状態のステンシル20が引き延ばされるようにして歪みが矯正される。この状態において、枠部材21a,21bをボルトによって密着させる。これにより、歪みが矯正された状態においてステンシル20が枠部材21a,21bによって保持される。
【0037】
次に、フラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法について、添付図面を参照して説明する。
【0038】
このフラックス塗布装置1では、塗布処理の開始が指示されたときに、制御部6が、まず、基板搬送機構5を制御して塗布対象基板Pを塗布処理位置に搬送させる。この際に、基板搬送機構5は、ステンシル20の裏面に塗布対象基板Pの塗布面Paを押し当てるようにして塗布対象基板Pを上昇させる。次いで、制御部6は、X−Y−Z移動機構4を制御して塗布ユニット2をステンシル20における開口部31の外側(一例として、口縁部33b側の外縁部上)に移動さる。続いて、制御部6は、移動機構4を制御して、図2に示すように、ステンシル20の表面(塗布対象基板Pの塗布面Pa)に向けて塗布ユニット2を下降させて各スキージ11,12a,12bの先端部をステンシル20の表面に押し付けさせる。
【0039】
この際には、塗布ユニット2の下降に伴い、まず、両スキージ12がステンシル20の表面に接触し、その状態において塗布ユニット2がさらに下降させられることによって、両スプリング13が押し縮められるように弾性変形して両スキージ12の先端部がステンシル20の表面に向けて付勢される。また、塗布ユニット2がさらに下降させられたときには、両スプリング13がさらに弾性変形すると共に、スキージ11の先端部が所定の接触圧でステンシル20の表面に押し付けられ、これにより、スキージ11が僅かに弾性変形させられた状態となる。なお、図4、および後に参照する図5では、スキージ11の変形状態の図示を省略している。続いて、制御部6は、フラックス供給部3を制御してノズル14a,14bに向けてフラックスFを圧送させる。この際には、図5に示すように、ノズル14aによってスキージ11,12aの間にフラックスFが供給されると共に、ノズル14bによってスキージ11,12bの間にフラックスFが供給される。
【0040】
次いで、制御部6は、X−Y−Z移動機構4を制御して塗布対象基板Pの塗布面Pa(ステンシル20の表面)に沿って口縁部33b側から口縁部33aに向かって塗布ユニット2を矢印Aの方向に移動させる。この際には、図6に示すように、ノズル14aから供給されたフラックスFが、塗布ユニット2の移動に伴ってスキージ11によって矢印Aの方向に移動させられ、開口部31の口縁部33bにおいてステンシル20上から塗布対象基板Pにおける塗布面Paに移動させられる。この際に、スキージ11がスキージ12a,12bよりも柔らかく形成されているため、このスキージ11がX−Y−Z移動機構4による移動に伴って開口部31の上方に位置した状態においては、図7に示すように、X−Y−Z移動機構4による押し付け力によって弾性変形して先端部が塗布面Pa(塗布領域55)に接触させられる。これにより、図9に示すように、スキージ11の移動に伴って塗布面Pa上に移動させられたフラックスFがスキージ11によって凹部53内に押し込まれると共に、押し込まれたフラックスFによって凹部53内の空気が押し出される。また、凹部53から溢れ出たフラックスFは、X−Y−Z移動機構4によってスキージ11が矢印Aの方向にさらに移動させられることにより、図10に示すように、他の凹部53内に押し込まれるようにして塗布面Paに塗り拡げられる。
【0041】
一方、ノズル14bから供給されたフラックスFは、塗布ユニット2の移動に伴ってスキージ12bによって矢印Aの方向に移動させられ、開口部31の口縁部33bにおいてステンシル20上から塗布対象基板Pにおける塗布面Paに移動させられる。この際に、スキージ12bがスキージ11よりも硬く形成されているため、このスキージ12bがX−Y−Z移動機構4による移動に伴って開口部31の上方に位置した状態においては、図8に示すように、X−Y−Z移動機構4による押し付け力によってスキージ12bが大きく弾性変形することなく、その先端部がステンシル20の表面とほぼ同じ高さに維持されて塗布面Paから離間している。これにより、図9に示すように、スキージ12bの移動に伴って塗布面Pa上に移動させられたフラックスFがステンシル20の厚みT分だけ塗布面Paに残留させられるようにして均一に平される。また、スキージ12bが凹部53上まで移動させられた際には、図10に示すように、このスキージ12bの移動に伴って塗布対象基板P上を移動させられているフラックスFが、スキージ11によって凹部53内に押し込まれたフラックスFの上に覆い被さるようにして塗布面Paに塗り拡げられる。
【0042】
この場合、このフラックス塗布装置1において使用しているステンシル20では、発明者が開発した塗布装置におけるステンシル20xと同様にして、複数のパッド54(凹部53)に応じて広い開口部31が形成されている。したがって、このステンシル20においても、ステンシル20xと同様にして、塗布対象基板Pの塗布面Paに押し当てたときに、口縁部33a,33b等において、その幅方向の中央部が塗布対象基板Pの塗布面Paから離間するようにして変形が生じる(浮きが生じる)ことがある。しかしながら、このステンシル20を使用した塗布処理では、口縁部33a等に浮きが生じていたとしても、各スキージ11,12a,12bが口縁部33a等に引っ掛かる事態を招くことなく、フラックスFを塗布することが可能となっている。
【0043】
具体的には、前述したように、このステンシル20では、開口部31の各角部34が平面視曲線状となるように丸みを帯びて形成されている。したがって、口縁部33bの側から矢印Aの方向に塗布ユニット2が移動させられるのに伴い、開口部31における口縁部32a,32bに接している状態の各スキージ11,12a,12bが、開口部31の角部において引っ掛かりを生じることなく、口縁部33aに接する位置に向けてスムーズに移動させられる。
【0044】
この場合、前述したように塗布ユニット2(各スキージ11,12a,12b)が口縁部33b側から口縁部33aまで移動させられる際には、移動方向に沿って形成されている口縁部32a,32bが各スキージ11,12a,12bによって塗布対象基板Pの塗布面Paに押し付けられる。このため、口縁部33aにおいて口縁部32a,32bに接している幅方向の両端部(口縁部32a,32bと口縁部33aとが接する両角部34の近傍)は、図11に示すように、各スキージ11,12a,12bによって塗布面Paに押し付けられた口縁部32a,32bと共に塗布面Paに押し付けられて密着した状態となっている。したがって、例えば口縁部33aに浮きが生じていたとしても、塗布ユニット2(スキージ12a)が口縁部33aにおける幅方向の両端部に接した時点においては、少なくとも口縁部33aにおける幅方向の両端部が塗布対象基板Pの塗布面Paに密着した状態となる。この結果、スキージ12a等が口縁部33aにおける幅方向の両端部に引っ掛かる事態が回避される。
【0045】
また、このステンシル20では、移動機構4による塗布ユニット2の移動方向(矢印Aの方向)に位置する口縁部33aにおける両端部が塗布ユニット2の移動方向における手前側に最も突出すると共に、口縁部33aにおける両端部から中央部に向かうほど塗布ユニット2の移動方向の下流側に凹むように開口部31が形成されて、各スキージ11,12a,12bの先端部に対して口縁部33aが非平行となっている。したがって、図12に示すように、移動機構4によって塗布ユニット2が移動させられてスキージ12aが口縁部33aの近傍に達したときには、まず、口縁部33aにおける幅方向の両端部にスキージ12aの先端部が接した後に、塗布ユニット2が矢印Aの方向にさらに移動させられることにより、スキージ12aの先端部が、口縁部33aにおける幅方向の両端部から幅方向の中央部に向けて順次接することとなる。
【0046】
したがって、スキージ12aの先端部が口縁部33aにおける幅方向の両端部から幅方向の中央部に向けて順次接するようにして移動させられることにより、口縁部33aに浮きが生じていたとしても、スキージ12aの移動に伴って、浮きが生じている部位が図12に矢印Ca,Cbで示すように口縁部33aにおける幅方向の中央部に向かって移動して、最終的には、口縁部33aにおける幅方向の中央部も塗布対象基板Pの塗布面Paに押し付けられて密着した状態となる。この結果、スキージ12aが口縁部33aに引っ掛かる事態が回避される。なお、スキージ12aと共に移動させられているスキージ11やスキージ12bについても、スキージ12aと同様にして口縁部33aに引っ掛かる事態が回避される。
【0047】
続いて、塗布ユニット2を矢印Aの方向にさらに移動させることにより、図13に示すように、スキージ11の移動に伴って塗布面Pa上を移動させられたフラックスFのうちの各凹部53内に押し込まれなかった余分なフラックスFと、スキージ12bの移動に伴って塗布面Pa上を移動させられたフラックスFのうちの余分なフラックスFとが塗布面Pa上からステンシル20の上に移動させられる。これにより、塗布対象基板Pの塗布面Paにおける塗布領域55に対するフラックスFの塗布処理が完了する。この後、制御部6は、基板搬送機構5を制御して塗布処理が完了した塗布対象基板Pを塗布処理位置から搬出させ、次にフラックスFを塗布すべき塗布対象基板Pを塗布処理位置に搬送させる。
【0048】
この場合、上記の塗布対象基板Pに続いて搬送された塗布対象基板Pに対するフラックスFの塗布処理に際しては、図3,13に示す矢印Bの方向に塗布ユニット2を移動させる。この際には、上記のスキージ12bに代わり、スキージ12aがフラックスFを均一に平すためのスキージとして機能する。具体的には、制御部6は、まず、フラックス供給部3を制御してノズル14a,14bにフラックスFを圧送させる。この際には、直前にフラックスFを塗布した際にスキージ12bによってステンシル20上に移動させられたフラックスFに加えて、新たな塗布対象基板Pの塗布面Pa(凹部53)に塗り拡げるべきフラックスFがノズル14bからスキージ11,12bの間に供給されると共に、直前にフラックスFを塗布した際にスキージ11によってステンシル20上に移動させられたフラックスFに加えて、新たな塗布対象基板Pの塗布面Paに塗り拡げるべきフラックスFがノズル14aからスキージ11,12aの間に供給される。
【0049】
次いで、制御部6は、X−Y−Z移動機構4を制御して塗布ユニット2を塗布対象基板Pの塗布面Pa(ステンシル20の表面)に沿って矢印Bの方向に移動させる。この際には、図7に示すように、スキージ11が凹部53内に押し込むようにしてフラックスFを塗布面Paに塗り拡げると共に、図8に示すように、スキージ12aが塗布対象基板Pの塗布面Pa上および凹部53内のフラックスF上に厚みT分のフラックスFを塗り拡げつつ均一に平す。この際に、このステンシル20では、前述したように、開口部31の各角部34が平面視曲線状となるように丸みを帯びて形成されている。したがって、口縁部33aの側から矢印Bの方向に塗布ユニット2が移動させられるのに伴い、開口部31における口縁部32a,32bに接している状態の各スキージ11,12a,12bが、開口部31の角部において引っ掛かりを生じることなく、口縁部33bに接する位置に向けてスムーズに移動させられる。
【0050】
この場合、塗布ユニット2(各スキージ11,12a,12b)が口縁部33a側から口縁部33bまで移動させられる際には、移動方向に沿って形成されている口縁部32a,32bが各スキージ11,12a,12bによって塗布対象基板Pの塗布面Paに押し付けられる。このため、口縁部33bにおいて口縁部32a,32bに接している幅方向の両端部(口縁部32a,32bと口縁部33bとが接する両角部34の近傍)は、各スキージ11,12a,12bによって塗布面Paに押し付けられた口縁部32a,32bと共に塗布面Paに押し付けられて密着した状態となっている。したがって、例えば口縁部33bに浮きが生じていたとしても、塗布ユニット2(スキージ12b)が口縁部33bにおける幅方向の両端部に接した時点においては、少なくとも口縁部33bにおける幅方向の両端部が塗布対象基板Pの塗布面Paに密着した状態となる。この結果、スキージ12b等が口縁部33bにおける幅方向の両端部に引っ掛かる事態が回避される。
【0051】
また、このステンシル20では、移動機構4による塗布ユニット2の移動方向(矢印Bの方向:前述した矢印Aの方向に対する逆方向)に位置する口縁部33bにおける両端部が塗布ユニット2の移動方向における手前側に最も突出すると共に、口縁部33bにおける両端部から中央部に向かうほど塗布ユニット2の移動方向の下流側に凹むように開口部31が形成されて、各スキージ11,12a,12bの先端部に対して口縁部33bが非平行となっている。したがって、移動機構4によって塗布ユニット2が移動させられてスキージ12bが口縁部33bの近傍に達したときには、まず、口縁部33bにおける幅方向の両端部にスキージ12bの先端部が接した後に、塗布ユニット2が矢印Bの方向にさらに移動させられることにより、スキージ12bの先端部が、口縁部33bにおける幅方向の両端部から幅方向の中央部に向けて順次接することとなる。
【0052】
したがって、スキージ12bの先端部が口縁部33bにおける幅方向の両端部から幅方向の中央部に向けて順次接するようにして移動させられることにより、口縁部33bに浮きが生じていたとしても、スキージ12bの移動に伴って、浮きが生じている部位が口縁部33bにおける幅方向の中央部に向かって移動して、最終的には、口縁部33bにおける幅方向の中央部も塗布対象基板Pの塗布面Paに押し付けられて密着した状態となる。この結果、スキージ12bが口縁部33bに引っ掛かる事態が回避される。なお、スキージ12bと共に移動させられているスキージ11やスキージ12aについても、スキージ12bと同様にして口縁部33bに引っ掛かる事態が回避される。これにより、前述した塗布対象基板Pに対する塗布処理時と同様にして、塗布ユニット2を塗布面Paに沿って一回移動させるだけで、この塗布対象基板Pにおける塗布領域55に対するフラックスFの塗布処理が完了する。
【0053】
このように、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法によれば、塗布面Paに押し当てられたステンシル20に対してスキージ11,12a,12bが相対的に移動する移動方向(図3に示す矢印Aの方向)に位置する口縁部33aにおける幅方向の両端部が移動方向における手前側に最も突出すると共に幅方向の中央部に向かうほど移動方向に凹むように開口部31を形成したステンシル20を使用することにより、例えば口縁部33aにおける幅方向の中央部に塗布対象基板P(塗布面Pa)に対する浮きが生じていたとしても、ステンシル20に対してスキージ11,12a,12bを移動方向に移動させたときに、口縁部33aにおける幅方向の両端部と中央部との間の各部に対してスキージ11,12a,12bの先端部が両端部の側から順次接するようにして移動させられるため、上記の浮きが生じている部位を中央部に向かって移動させるようにしてステンシル20の口縁部33aを塗布面Paに密着させることができる。これにより、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法によれば、フラックスFの塗布に際してスキージ11,12a,12bの先端部が口縁部33aに引っ掛かる事態を回避することができるため、ステンシル20の破損やスキージ11,12a,12bの傷付きを招くことなく、フラックスFを塗布すべき塗布領域55に必要量のフラックスFを確実に塗布することができる。
【0054】
また、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法によれば、口縁部33aにおける幅方向の中央部を通過すると共に移動方向に沿った仮想線(図3に示す一点鎖線L)を基準として、口縁部33aが平面視において線対称形となるように開口部31を形成したステンシル20を使用することにより、各スキージ11,12a,12bの先端部が口縁部33aにおける幅方向の各部に順次接するように各スキージ11,12a,12bを移動させたときに、口縁部33aにおける幅方向の一方の端部から他方の端部に向かう方向にステンシル20を移動させようとする力と、口縁部33aにおける上記の他方の端部から上記の一方の端部に向かう方向にステンシル20を移動させようとする力とが相殺されるため、塗布対象基板Pに対するステンシル20の幅方向へのずれが生じる事態を回避することができる。
【0055】
さらに、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法によれば、移動方向に対する逆方向(図3に示す矢印Bの方向)に位置する口縁部33bにおける幅方向の両端部が逆方向における手前側に最も突出すると共に幅方向の中央部に向かうほど逆方向に凹むように開口部31を形成したステンシル20を使用することにより、上記の移動方向(矢印Aの方向)に代えてその逆方向(矢印Bの方向)にスキージ11,12a,12bを移動させてフラックスFを塗布するときに口縁部33bに対して各スキージ11,12a,12bの先端部が引っ掛かる事態を回避することができるため、上記の逆方向に移動させてフラックスFを塗布する際にも、ステンシル20の破損やスキージ11,12a,12bの傷付きを招くことなく、フラックスFを塗布すべき塗布領域55に必要量のフラックスFを確実に塗布することができる。
【0056】
また、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法によれば、開口部31の各角部34が平面視曲線状となるように形成したステンシル20を使用することにより、開口部31における口縁部32a,32bに接している状態のスキージ11,12a,12bを各角部34において引っ掛かりを生じさせることなく、口縁部33a(または、口縁部33b)に接する状態にスムーズに移動させることができる。
【0057】
また、このフラックス塗布装置1によれば、板材として、開口部31の上方に位置した状態においてステンシル20に押し付けられているときにその先端部が塗布面Paに接触するように弾性変形するスキージ11と、スキージ11よりも硬く形成されると共に開口部31の上方に位置した状態においてステンシル20に押し付けられているときに先端部が塗布面Paから離間する2つのスキージ12a,12bとを備えて、両スキージ12a,12bの間にスキージ11が挟まれるようにして配設されると共に、スキージ11および両スキージ12a,12bの各先端部をステンシル20の表面に押し付けた状態において、移動機構4が、口縁部33aに向かう矢印Aの方向、および口縁部33bに向かう矢印Bの方向に各スキージ11,12a,12bを移動させてフラックスFを塗布する構成を採用している。
【0058】
したがって、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法では、各スキージ11,12a,12bを矢印Aの方向に移動させるとき、および各スキージ11,12a,12bを矢印Bの方向に移動させるときの双方において塗布対象基板PにフラックスFを塗布することができるため、いずれか一方向にスキージを移動させるときにだけフラックスを塗布する構成と比較して、複数枚の塗布対象基板PにフラックスFを塗布するのに要する時間を短縮することができるだけでなく、上記のステンシル20を使用していることにより、スキージ11,12bによってフラックスFを塗布しているとき(塗布ユニット2を矢印Aの方向に移動させているとき)に本来的には不要なスキージ12aの先端部をステンシル20から離間させなくても、ステンシル20の破損やスキージ12aの傷付きを回避することができると共に、スキージ11,12aによってフラックスFを塗布しているとき(塗布ユニット2を矢印Bの方向に移動させているとき)に本来的には不要なスキージ12bの先端部をステンシル20から離間させなくても、ステンシル20の破損やスキージ12bの傷付きを回避することができる。したがって、このフラックス塗布装置1によれば、スキージ12a,12bをスキージ11とは別個に上動させる機構が不要となる分だけ、その製造コストを十分に低減することができる。
【0059】
なお、フラックス塗布装置の構成、およびフラックス塗布方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、平面視略六角形状の開口部31が形成されたステンシル20を使用する例について説明したが、枠材に形成する開口部の平面形状はこれに限定されない。具体的には、図14に示すステンシル20Aは、枠材の他の一例であって、例えばステンレススチール等の金属材料で薄板状に形成されると共に、塗布対象基板Pの塗布面PaにおけるフラックスFを塗布すべき塗布領域55A(すなわち、上記の各バンプ形成部52が形成されている領域)に対応して開口部31Aが形成されている。また、ステンシル20Aは、前述したステンシル20と同様にして、その厚みが塗布領域55Aに塗布すべきフラックスFの塗布厚(塗布すべきフラックスFの量)に応じて規定されている。
【0060】
この場合、このステンシル20Aでは、一例として、移動機構4による塗布ユニット2の移動方向(矢印Aの方向)に沿った口縁部35a,35bが移動方向と平行になるように開口部31Aが形成されている。具体的には、このステンシル20Aは、口縁部36aにおける幅方向(図14における上下方向:上記の移動方向と直交する方向)の両端部のうちの一方(この例では、同図における上側の端部)が上記の移動方向における手前側に最も突出する(移動方向の上流側に位置する)と共に、口縁部36aにおける幅方向のうちの一方(この例では、同図における上側の端部)から幅方向の両端部のうちの他方(この例では、同図における下側の端部)に向かうほど矢印Aの方向の下流側に凹むように開口部31Aが形成されている。
【0061】
また、このステンシル20Aでは、上記の移動方向(矢印Aの方向)に対する逆方向(矢印Bの方向)に位置する口縁部36b(「第2の口縁部」の一例)が、口縁部36aと同様にして、各スキージ11,12a,12bの先端部(上記の逆方向に直交する方向)に対して平面視において非平行となるように開口部31Aが形成されている。具体的には、このステンシル20Aでは、口縁部36bにおける幅方向(図14における上下方向:上記の移動方向と直交する方向)の両端部のうちの一方(この例では、同図における下側の端部)が矢印Bの方向おける手前側に最も突出する(移動方向の上流側に位置する)と共に、口縁部36bにおける幅方向のうちの一方(この例では、同図における下側の端部)から幅方向の両端部のうちの他方(この例では、同図における上側の端部)に向かうほど矢印Bの方向の下流側に凹むように開口部31Aが形成されている。
【0062】
これにより、このステンシル20Aでは、開口部31Aが平面視略平行四辺形状となっている。なお、上記の口縁部36bは、フラックス塗布装置1によるフラックスFの塗布に際して移動機構4が塗布ユニット2を矢印Bの方向に移動させてフラックスFを塗り拡げる際には、「移動機構による少なくとも一方の移動に際して塗布面に押し当てられた枠材に対して板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部」に相当する。なお、口縁部36aにおける幅方向の両端部のうちの下方の端部を矢印Aの方向の手前側に最も突出させたり、口縁部36bにおける幅方向の両端部のうちの上方の端部を矢印Bの方向の手前側に最も突出させたりすることもできる。また、このステンシル20Aでは、開口部31Aの各角部37が平面視曲線状となるように丸みを帯びて形成されている。このようなステンシル20Aを使用した場合においても、ステンシル20を使用したときと同様の効果を奏することができる。
【0063】
具体的には、塗布面Paに押し当てられたステンシル20Aに対してスキージ11,12a,12bが相対的に移動する移動方向(図14に示す矢印Aの方向)に位置する口縁部36aにおける幅方向の両端部のうちの一方が移動方向における手前側に最も突出すると共に両端部のうちの他方に向かうほど移動方向に凹むように開口部31Aを形成したステンシル20Aを使用することにより、例えば口縁部36aにおける幅方向の中央部に塗布対象基板P(塗布面Pa)に対する浮きが生じていたとしても、ステンシル20Aに対してスキージ11,12a,12bを移動方向に移動させたときに、口縁部36aにおける幅方向の両端部のうちの一方と他方との間の各部に対してスキージ11,12a,12bの先端部が一方の端部側から順次接するようにして移動させられるため、上記の浮きが生じている部位を他方の端部に向かって移動させるようにしてステンシル20Aの口縁部36aを塗布面Paに密着させることができる。これにより、フラックスFの塗布に際してスキージ11,12a,12bの先端部が口縁部36aに引っ掛かる事態を回避することができるため、ステンシル20Aの破損やスキージ11,12a,12bの傷付きを招くことなく、フラックスFを塗布すべき塗布領域55に必要量のフラックスFを確実に塗布することができる。
【0064】
また、移動方向に対する逆方向(図14に示す矢印Bの方向)に位置する口縁部36bにおける幅方向の両端部のうちの一方が逆方向における手前側に最も突出すると共に両端部のうちの他方に向かうほど逆方向に凹むように開口部31Aを形成したステンシル20Aを使用することにより、上記の移動方向(矢印Aの方向)に代えてその逆方向(矢印Bの方向)にスキージ11,12a,12bを移動させてフラックスFを塗布するときに口縁部36bに対して各スキージ11,12a,12bの先端部が引っ掛かる事態を回避することができるため、上記の逆方向に移動させてフラックスFを塗布する際にも、ステンシル20Aの破損やスキージ11,12a,12bの傷付きを招くことなく、フラックスFを塗布すべき塗布領域55に必要量のフラックスFを確実に塗布することができる。
【0065】
さらに、開口部31Aの各角部37が平面視曲線状となるように形成したステンシル20Aを使用することにより、開口部31Aにおける口縁部35a,35bに接している状態のスキージ11,12a,12bを各角部37において引っ掛かりを生じさせることなく、口縁部36a(または、口縁部36b)に接する状態にスムーズに移動させることができる。
【0066】
また、スキージ11,12a,12bの3枚のスキージを有する塗布ユニット2を備えたフラックス塗布装置1を例に挙げて説明したが、2枚以下のスキージを備えてフラックス塗布装置を構成することもできる。具体的には、一例として、スキージを矢印Aの方向に移動させるときにだけフラックスFを塗布する(矢印Bの方向に移動させるときにはフラックスFの塗布を行わない)場合には、上記の塗布ユニット2におけるスキージ12aを不要としてスキージ11,12bだけを備えて構成し、スキージを矢印Bの方向に移動させるときにだけフラックスFを塗布する(矢印Aの方向に移動させるときにはフラックスFの塗布を行わない)場合には、上記の塗布ユニット2におけるスキージ12bを不要としてスキージ11,12aだけを備えて構成することができる。
【0067】
さらに、例えば、スキージ12a,12bのいずれか一方(以下、いずれか一方を「スキージ12」ともいう)と、スキージ11とを移動機構4に取り付けると共に、この移動機構4を、塗布面Paに対して垂直な回動軸を中心として回転可能に軸支して、フラックスFの塗布処理に際して移動方向の手前側にスキージ12が位置するように移動機構4を回動させる構成を採用することができる。また、発明者が開発した塗布装置のように、1枚のスキージ12xだけを使用してフラックスFを塗布する構成を採用することもできる。これらの構成のいずれを採用した場合においても、上記のステンシル20,20A等を使用することで、上記のフラックス塗布装置1と同様の効果を奏することができる。
【0068】
この場合、板材を上記の矢印Aに移動させるときにだけフラックスFを塗布する構成を採用する場合には、ステンシル20,20Aにおける開口部31,31Aの口縁部33b,36bをステンシル20xにおける口縁部33bxと同様に板材と平行となるように形成してもよい。また、板材を上記の矢印Bに移動させるときにだけフラックスFを塗布する構成を採用する場合には、ステンシル20,20Aにおける開口部31,31Aの口縁部33a,36aをステンシル20xにおける口縁部33axと同様に板材と平行となるように形成してもよい。
【0069】
さらに、上記のフラックス塗布装置1では、各スキージ11,12a,12bの3枚をX−Y−Z移動機構4に固定して各スキージ11,12a,12bを同時に同じ方向に移動させる構成を採用しているが、スキージ11を移動させる移動機構、スキージ12aを移動させる移動機構、およびスキージ12bを移動させる移動機構をそれぞれ別個に設けて各スキージを別個独立して移動させる構成を採用することもできる。また、上記のフラックス塗布装置1では、塗布処理位置に固定したステンシル20に対して基板搬送機構5によって塗布対象基板Pを搬送すると共に、X−Y−Z移動機構4によって塗布ユニット2をステンシル20および塗布対象基板Pに向けて移動させる構成を採用しているが、所定位置に固定した塗布ユニット2に向けてステンシル20および塗布対象基板Pを移動させる構成や、ステンシル20を押し当てた塗布対象基板Pおよび塗布ユニット2の双方を移動させる構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 フラックス塗布装置
2 塗布ユニット
4 X−Y−Z移動機構
5 基板搬送機構
11,12a,12b スキージ
20,20A ステンシル
31,31A 開口部
32a,32b,33a,33b,35a,35b,36a,36b 口縁部
34,37 角部
55,55A 塗布領域
F フラックス
L 一点鎖線
P 塗布対象基板
Pa 塗布面
T 厚み
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンシル等の枠材およびスキージ等の板材を用いて塗布対象基板にフラックスを塗布するフラックス塗布装置およびフラックス塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のフラックス塗布装置およびフラックス塗布方法として、フラックスおよび低融点ハンダを混合したはんだペーストを塗布対象のプリント回路基板(以下、「塗布対象基板」ともいう)に塗布する塗布装置および塗布方法が特開平8−116165号公報に開示されている。この塗布装置による塗布方法では、まず、はんだペーストを塗布すべき各領域に応じて複数の小孔が形成されたステンシルを塗布対象基板に押し当てた状態において、ステンシル上に供給したはんだペーストをドクター・ブレード(以下、単に「ブレード」ともいう)によって塗り拡げることにより、上記の各小孔内にはんだペーストを刷り込む。次いで、塗布対象基板からステンシルを剥離する。この際には、ステンシルの各小孔内に刷り込まれたはんだペーストが塗布対象基板上に残留する。これにより、塗布対象基板における所望の領域にはんだペーストが塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−116165号公報(第4−5頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の塗布装置およびその塗布方法には、以下の問題点が存在する。すなわち、従来の塗布装置および塗布方法では、はんだペーストを塗布すべき各領域に応じて複数の小孔が形成されたステンシルを塗布対象基板に押し当てた状態において、各小孔内にはんだペーストを刷り込むことによって塗布対象基板上の所望の領域だけにはんだペーストを塗布している。この場合、塗布対象基板のなかには、例えば図15に示す塗布対象基板Pのように、塗布面Paに複数の凹部53が形成されると共に、各凹部53の底面にパッド54が形成されたものが存在する。この塗布対象基板Pは、フラックスの塗布が完了した後に各パッド54上にはんだボール(図示せず)を供給した状態においてリフロー処理することで各パッド54上にはんだバンプを形成することができるように構成されている。したがって、フラックスの塗布に際しては、各パッド54上(各凹部53内)に規定量のフラックスを塗布する必要がある。
【0005】
このような塗布対象基板Pに対して従来の塗布装置(塗布方法)によってフラックスを塗布する場合には、各パッド54(各凹部53)の位置に対応して複数の小孔を形成したステンシルを使用することとなる。しかしながら、ファインピッチ化が進む今日の塗布対象基板Pでは、上記の各パッド54(各凹部53:フラックスを塗布すべき領域)が小さくなる傾向がある。したがって、ファインピッチ化された塗布対象基板Pに対して従来の塗布装置(塗布方法)によってフラックスを塗布する際には、小さな各パッド54(各凹部53)に応じて極く小さな孔を形成したステンシルを使用する必要がある。このため、ステンシルの各小孔内にブレードによってフラックスを確実に刷り込むのが困難であると共に、各小孔内にフラックスを刷り込むことができたとしても、刷り込んだフラックスが凹部53内のパッド54に付着せずに、塗布対象基板Pからステンシルを剥離したときにステンシルと共に塗布対象基板Pから剥離されてしまうこともある。このため、従来の塗布装置(塗布方法)には、ファインピッチ化が進んだ塗布対象基板Pに対して十分な量のフラックスを確実に塗布するのが困難となっているという問題点がある。
【0006】
一方、発明者は、フラックスを塗布すべき複数のパッド54(凹部53)を含む広い領域を塗布領域として規定してフラックスを塗布する塗布装置および塗布方法を開発した。具体的には、まず、図16に示すように、上記の塗布領域に対応して平面視方形状の広い開口部31xを形成すると共に、塗布すべきフラックスの量に応じて厚みT(図17参照)を規定したステンシル20xを製作する。この際には、フラックスの塗布処理時にステンシル20xに対してスキージ12xが移動する移動方向(矢印Aの方向)に位置する口縁部33ax、および上記の移動方向に対する逆方向(矢印Bの方向)に位置する口縁部33bxの双方が、上記の移動方向およびその逆方向に対して平面視において直交するように開口部31xを形成する。次いで、製作したステンシル20xを塗布対象基板Pの塗布面Paに押し当てると共に、一例として、スキージ12xの先端部をステンシル20xにおける表面(同図における上面)の口縁部33bx側に押し付ける。続いて、ステンシル20xの表面にフラックスFを供給した後に、図17に示すように、口縁部33axに向かって矢印Aの方向にスキージ12xを移動させる。
【0007】
この際には、スキージ12xの移動に伴い、ステンシル20xの表面(この例では、口縁部33bx上)に供給したフラックスFが塗布対象基板Pの塗布面Paに擦り付けられるようにしてその塗布領域55x(塗布対象基板Pの塗布面Paにおいてステンシル20xの開口部31xから露出している領域)に押し拡げられる。したがって、このステンシル20xを用いた塗布処理によれば、各パッド54(凹部53)毎に複数の小孔を形成したステンシルを用いる従来の塗布装置および塗布方法とは異なり、極く小さなパッド54(凹部53)に対してもフラックスFを確実に塗布することが可能となる。また、凹部53内のフラックスFと、ステンシル20xの厚みT分のフラックスFとを各パッド54の上に残留させることが可能となるため、各凹部53が小さい塗布対象基板Pにおいても、十分な量のフラックスFを塗布することが可能となる。
【0008】
しかしながら、発明者は、複数のパッド54(凹部53)に応じて広い開口部31xを形成したステンシル20xでは、図18に示すように、塗布対象基板Pの塗布面Paに押し当てた状態において、上記の口縁部33ax,33bx等において、その幅方向の中央部が塗布対象基板Pの塗布面Paから離間するようにしてステンシル20xに変形が生じる(以下、このような状態を「浮きが生じる」ともいう)ことがあるのを見出した。なお、同図では、ステンシル20xに生じた浮きを誇張して大きく変形させた状態を図示している。この場合、前述したように、ステンシル20xでは、口縁部33ax,33bxの双方がスキージ12xの移動方向およびその逆方向に対して平面視において直交するように開口部31xが形成されている。したがって、例えば口縁部33axに浮きが生じた状態において上記の手順に従ってフラックスFを塗布したときには、スキージ12xが矢印Aの方向に移動させられて、図19に示すように、口縁部33axに達したときに、浮きが生じている口縁部33axに対してスキージ12xの先端部が引っ掛かることとなる。
【0009】
この状態においてスキージ12xが矢印Aの方向にさらに移動させられたときには、ステンシル20xに曲がりや破れ等の破損が生じたり、スキージ12xの先端部に傷付きが生じたりするおそれがある。この場合、ステンシル20xに破損が生じた状態では、塗布領域55x以外の領域にもフラックスFが塗布されるおそれがあり、スキージ12xに傷付きが生じた状態では、規定量以上のフラックスが塗布対象基板Pに塗布されるおそれがある。なお、矢印Aの方向にスキージ12xを移動させてフラックスFを塗布するだけでなく、矢印Aの逆方向(図16に示す矢印Bの方向)にもスキージ12xを移動させてフラックスFを塗布する構成(方法)を採用した場合には、この矢印Bの方向に位置する口縁部33bxにおいて浮きが生じた状態において実行される塗布処理時にステンシル20xの破損やスキージ12xの傷付きを招くおそれがある。このように、発明者が開発した塗布装置および塗布方法では、ステンシル20x(枠材)の破損やスキージ12x(板材)の傷付きを招きを招くおそれがあり、これに起因して、規定した領域内だけに規定量のフラックスを塗布するのが困難となるおそれがあり、この点を改善するのが好ましい。
【0010】
本発明は、かかる改善点に鑑みてなされたものであり、枠材の破損や板材の傷付きを招くことなく、フラックスを塗布すべき塗布領域に必要量のフラックスを確実に塗布し得るフラックス塗布装置およびフラックス塗布方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく請求項1記載のフラックス塗布装置は、供給されたフラックスを塗布対象基板の塗布面に塗り拡げる板材と、前記塗布面に押し当てられた状態において当該塗布面における前記フラックスの塗布領域が露出するように開口部が設けられると共に当該塗布領域に塗布すべき当該フラックスの塗布厚に応じて厚みが規定された枠材と、当該枠材が押し当てられた前記塗布対象基板および前記板材の少なくとも一方を他方に対して移動させる移動機構とを備え、前記塗布面に押し当てた前記枠材の表面に前記板材の平面視直線状の先端部を押し当てた状態で前記移動機構によって前記少なくとも一方を前記他方に対して移動させて前記塗布領域に前記フラックスを塗布するフラックス塗布装置であって、前記枠材が、前記少なくとも一方の移動に際して前記塗布面に押し当てられた当該枠材に対して前記板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部が当該移動方向における手前側に最も突出すると共に当該幅方向の中央部に向かうほど当該移動方向に凹むように前記開口部が形成されている。
【0012】
また、請求項2記載のフラックス塗布装置は、請求項1記載のフラックス塗布装置において、前記枠材が、前記第1の口縁部における前記幅方向の中央部を通過すると共に前記移動方向に沿った仮想線を基準として、前記第1の口縁部が平面視において線対称形となるように前記開口部が形成されている。
【0013】
さらに、請求項3記載のフラックス塗布装置は、請求項1または2記載のフラックス塗布装置において、前記枠材が、前記移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部が当該逆方向における手前側に最も突出すると共に当該幅方向の中央部に向かうほど当該逆方向に凹むように前記開口部が形成されている。
【0014】
また、請求項4記載のフラックス塗布装置は、供給されたフラックスを塗布対象基板の塗布面に塗り拡げる板材と、前記塗布面に押し当てられた状態において当該塗布面における前記フラックスの塗布領域が露出するように開口部が設けられると共に当該塗布領域に塗布すべき当該フラックスの塗布厚に応じて厚みが規定された枠材と、当該枠材が押し当てられた前記塗布対象基板および前記板材の少なくとも一方を他方に対して移動させる移動機構とを備え、前記塗布面に押し当てた前記枠材の表面に前記板材の平面視直線状の先端部を押し当てた状態で前記移動機構によって前記少なくとも一方を前記他方に対して移動させて前記塗布領域に前記フラックスを塗布するフラックス塗布装置であって、前記枠材が、前記少なくとも一方の移動に際して前記塗布面に押し当てられた当該枠材に対して前記板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が当該移動方向における手前側に最も突出すると共に当該両端部のうちの他方に向かうほど当該移動方向に凹むように前記開口部が形成されている。
【0015】
さらに、請求項5記載のフラックス塗布装置は、請求項4記載のフラックス塗布装置において、前記枠材が、前記移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が当該逆方向における手前側に最も突出すると共に当該両端部のうちの他方に向かうほど当該逆方向に凹むように前記開口部が形成されている。
【0016】
また、請求項6記載のフラックス塗布装置は、請求項1から5のいずれかに記載のフラックス塗布装置において、前記枠材が、前記開口部の各角部が平面視曲線状となるように形成されている。
【0017】
また、請求項7記載のフラックス塗布方法は、請求項1から6のいずれかに記載のフラックス塗布装置を使用して前記塗布対象基板の前記塗布領域に前記フラックスを塗布する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、塗布面に押し当てられた枠材に対して板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部が移動方向における手前側に最も突出すると共に幅方向の中央部に向かうほど移動方向に凹むように開口部を形成した枠材を使用することにより、例えば第1の口縁部における幅方向の中央部に塗布対象基板(塗布面)に対する浮きが生じていたとしても、枠材に対して板材を相対的に移動方向に移動させたときに、第1の口縁部における幅方向の両端部と中央部との間の各部に対して板材の先端部が両端部の側から順次接するようにして移動させられるため、上記の浮きが生じている部位を中央部に向かって移動させるようにして枠材の第1の口縁部を塗布面に密着させることができる。これにより、このフラックス塗布装置およびフラックス塗布方法によれば、フラックスの塗布に際して板材の先端部が第1の口縁部に引っ掛かる事態を回避することができるため、枠材の破損や板材の傷付きを招くことなく、フラックスを塗布すべき塗布領域に必要量のフラックスを確実に塗布することができる。
【0019】
また、請求項2記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、第1の口縁部における幅方向の中央部を通過すると共に移動方向に沿った仮想線を基準として、第1の口縁部が平面視において線対称形となるように開口部を形成した枠材を使用することにより、各板材の先端部が第1の口縁部における幅方向の各部に順次接するように各板材を移動させたときに、第1の口縁部における幅方向の一方の端部から他方の端部に向かう方向に枠材を移動させようとする力と、第1の口縁部における上記の他方の端部から上記の一方の端部に向かう方向に枠材を移動させようとする力とが相殺されるため、塗布対象基板に対する枠材の幅方向へのずれが生じる事態を回避することができる。
【0020】
さらに、請求項3記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部が逆方向における手前側に最も突出すると共に幅方向の中央部に向かうほど逆方向に凹むように開口部を形成した枠材を使用することにより、上記の移動方向に代えてその逆方向に板材を移動させてフラックスを塗布するときに第2の口縁部に対して各板材の先端部が引っ掛かる事態を回避することができるため、逆方向に移動させてフラックスを塗布する際にも、枠材の破損や板材の傷付きを招くことなく、フラックスを塗布すべき塗布領域に必要量のフラックスを確実に塗布することができる。
【0021】
また、請求項4記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、塗布面に押し当てられた枠材に対して板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が移動方向における手前側に最も突出すると共に両端部のうちの他方に向かうほど移動方向に凹むように開口部を形成した枠材を使用することにより、例えば第1の口縁部における幅方向の中央部に塗布対象基板(塗布面)に対する浮きが生じていたとしても、枠材に対して板材を相対的に移動方向に移動させたときに、第1の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方と他方との間の各部に対して板材の先端部が一方の端部側から順次接するようにして移動させられるため、上記の浮きが生じている部位を他方の端部に向かって移動させるようにして枠材の第1の口縁部を塗布面に密着させることができる。これにより、フラックスの塗布に際して板材の先端部が第1の口縁部に引っ掛かる事態を回避することができるため、枠材の破損や板材の傷付きを招くことなく、フラックスを塗布すべき塗布領域に必要量のフラックスを確実に塗布することができる。
【0022】
さらに、請求項5記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が逆方向における手前側に最も突出すると共に両端部のうちの他方に向かうほど逆方向に凹むように開口部を形成した枠材を使用することにより、上記の移動方向に代えてその逆方向に板材を移動させてフラックスを塗布するときに第2の口縁部に対して各板材の先端部が引っ掛かる事態を回避することができるため、上記の逆方向に移動させてフラックスを塗布する際にも、枠材の破損や板材の傷付きを招くことなく、フラックスを塗布すべき塗布領域に必要量のフラックスを確実に塗布することができる。
【0023】
また、請求項6記載のフラックス塗布装置および請求項7記載のフラックス塗布方法によれば、開口部の各角部が平面視曲線状となるように形成した枠材を使用することにより、開口部における移動方向に沿って形成されている両口縁部に接している状態の板材を各角部において引っ掛かりを生じさせることなく、第1の口縁部(または、第2の口縁部)に接する状態にスムーズに移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】フラックス塗布装置1の構成を示す構成図である。
【図2】スキージ11,12a,12bの先端部をステンシル20に接触させた状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図3】ステンシル20、塗布ユニット2および塗布対象基板Pの平面図である。
【図4】図3におけるX−X線断面図である。
【図5】図2に示す状態においてノズル14a,14bからフラックスFを供給した状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図6】図5に示す状態から矢印Aの方向に塗布ユニット2を移動させている状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図7】スキージ11における先端部近傍を移動方向手前側から見た図である。
【図8】スキージ12a,12bにおける先端部近傍を移動方向手前側から見た図である。
【図9】図6に示す状態から矢印Aの方向に塗布ユニット2をさらに移動させた状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図10】図9に示す状態から矢印Aの方向に塗布ユニット2をさらに移動させた状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図11】図10に示す状態から矢印Aの方向に塗布ユニット2をさらに移動させて、スキージ12aの先端部が口縁部33aに達した状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図12】図11に示す状態のフラックス塗布装置1の平面図である。
【図13】図11に示す状態から矢印Aの方向に塗布ユニット2をさらに移動させた状態の塗布対象基板P、ステンシル20および塗布ユニット2の断面図である。
【図14】他の実施の形態に係るステンシル20A、塗布ユニット2および塗布対象基板Pの平面図である。
【図15】塗布対象基板Pの断面図である。
【図16】発明者が開発した塗布装置におけるステンシル20x、スキージ12および塗布対象基板Pの平面図である。
【図17】発明者が開発した塗布装置によるステンシル20xを用いたフラックスFの塗布について説明するためのステンシル20x、スキージ12および塗布対象基板Pの断面図である。
【図18】ステンシル20xにおける口縁部33axに浮きが生じた状態を示す断面図である。
【図19】浮きが生じた口縁部33axにスキージ12の先端部が引っ掛かった状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、フラックス塗布装置およびフラックス塗布方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1に示すフラックス塗布装置1は、ステンシルおよび複数のスキージを使用した塗布方法に従って塗布対象基板Pにフラックスを可能に構成された装置であって、塗布ユニット2、フラックス供給部3、X−Y−Z移動機構4、基板搬送機構5、制御部6およびステンシル20を備えている。
【0027】
塗布ユニット2は、スキージ11,12a,12b、スプリング13およびノズル14a,14bを備えて構成されている。スキージ11は、板材の一例であって、一例として、樹脂材料(ポリウレタン等)で平板状に形成されている。このスキージ11は、その先端部が平面視直線状となり、かつ、ステンシル20や塗布対象基板Pに対して線的に接触するように先端部が尖らされている。スキージ12a,12b(以下、区別しないときには「スキージ12」ともいう)は、板材の他の一例であって、一例として、上記のスキージ11を形成している樹脂材料よりも堅い樹脂材料(例えば、スキージ11を形成しているポリウレタンよりも堅いポリウレタン)で平板状に形成されている。このスキージ12は、その先端部が、平面視直線状となり、かつ、ステンシル20に対して線的に接触するように尖らされている。これにより、このフラックス塗布装置1では、スキージ11よりもスキージ12a,12bの方が硬く(スキージ12a,12bよりもスキージ11の方が柔らかく)形成されている。
【0028】
なお、このフラックス塗布装置1では、硬さが相違する同種の樹脂材料(この例では、ポリウレタン)で形成することでスキージ11およびスキージ12a,12bの硬さを相違させているが、種類が異なる各種材料で形成することでスキージ11およびスキージ12a,12bの硬さを相違させる構成を採用することもできる。また、このフラックス塗布装置1では、両スキージ12a,12bの間にスキージ11を挟むようにして各スキージ11,12a,12bを並べた状態でX−Y−Z移動機構4に取り付けられている。この場合、この塗布ユニット2では、スキージ11が、移動機構4に対して上下動することのないように直接的に取り付けられているのに対し、両スキージ12が、移動機構4に対して上下動可能にスプリング13を介して取り付けられている。また、図1に示すように、この塗布ユニット2では、各スキージ11,12a,12bがステンシル20等に対して非接触の状態において、スキージ11の先端部よりもスキージ12a,12bの先端部の方が下方(塗布対象基板P側)に向けて突出するように移動機構4に取り付けられている。
【0029】
ノズル14aは、スキージ11,12aの間に配設されると共にフラックス供給部3に連結され、フラックス供給部3から供給されたフラックスFをスキージ11,12aの間に吐出(供給)する。また、ノズル14bは、スキージ11,12bの間に配設されると共にフラックス供給部3に連結され、フラックス供給部3から供給されたフラックスFをスキージ11,12bの間に吐出(供給)する。フラックス供給部3は、制御部6の制御に従って規定量のフラックスFを塗布ユニット2に向けて圧送することで、ノズル14a,14bを介して塗布対象基板Pの塗布面Pa(図2参照:塗布面Paに押し当てられたステンシル20の表面)にフラックスFを供給する。X−Y−Z移動機構4は、移動機構の一例であって、基板搬送機構5によって塗布処理位置に搬送された塗布対象基板Pに対して上記の塗布ユニット2を移動させる(「枠材が押し当てられた塗布対象基板および板材の少なくとも一方」が「板材」としてのスキージ11,12a,12bを有する塗布ユニット2である構成の例)。
【0030】
基板搬送機構5は、制御部6の制御に従ってフラックスFを塗布すべき塗布対象基板Pを塗布処理位置に搬送すると共に、フラックスFの塗布が完了した塗布対象基板Pを塗布処理位置から搬出する。制御部6は、フラックス塗布装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部6は、基板搬送機構5を制御して塗布対象基板Pを塗布処理位置に搬送させる。この場合、このフラックス塗布装置1では、一例として、ステンシル20が塗布処理位置に固定され、基板搬送機構5がステンシル20の裏面に塗布面Paを押し当てるようにして塗布対象基板Pを塗布処理位置に位置決めする構成が採用されている。また、制御部6は、X−Y−Z移動機構4を制御して、塗布ユニット2を塗布対象基板P上(ステンシル20上)に移動させると共に、フラックス供給部3を制御してフラックスFを供給させる。さらに、制御部6は、X−Y−Z移動機構4を制御して塗布ユニット2を移動させることによってフラックスFを塗布対象基板Pの塗布面Paに塗布する(塗り拡げる)塗布処理を実行する。
【0031】
この場合、図15に示すように、塗布対象基板Pは、基板本体51の一面(同図に示す上面:フラックスFの塗布面Pa)に複数のバンプ形成部52が形成されている。また、この塗布対象基板Pでは、基板本体51の一面に複数の凹部53が形成されると共に、この凹部53の底部にパッド54が設けられて上記のバンプ形成部52が構成されている。言い換えれば、この塗布対象基板Pでは、バンプを形成するためのパッド54が基板本体51の一面よりも低くなるように、バンプ形成部52が凹状に形成されている。この場合、このフラックス塗布装置1では、各バンプ形成部52を含む広い領域を塗布領域55として規定すると共に、ステンシル20によってフラックスFを塗布する領域を制限することによって塗布領域55だけにフラックスFを塗布する構成が採用されている。
【0032】
一方、ステンシル20は、枠材の一例であって、例えばステンレススチール等の金属材料で薄板状に形成されると共に、図3に示すように、塗布対象基板Pの塗布面PaにおけるフラックスFを塗布すべき塗布領域55(すなわち、上記の各バンプ形成部52が形成されている領域)に対応して開口部31が形成されている。また、ステンシル20は、その厚みT(図2参照)が塗布領域55に塗布すべきフラックスFの塗布厚(塗布すべきフラックスFの量)に応じて規定されている。なお、フラックスFの塗布処理時に使用するステンシルは、上記のステンシル20に限定されず、樹脂ステンシル(樹脂製のステンシル)を使用することもできる。
【0033】
この場合、図3に示すように、このステンシル20では、一例として、移動機構4による塗布ユニット2の移動方向(矢印Aの方向)に沿った口縁部32a,32bが移動方向と平行になるように開口部31が形成されている。また、このステンシル20では、移動機構4による塗布ユニット2の移動方向(矢印Aの方向)に位置する口縁部33a(「第1の口縁部」の一例)が各スキージ11,12a,12bの先端部(塗布ユニット2の移動方向に直交する方向)に対して平面視において非平行となるように開口部31が形成されている。具体的には、このステンシル20では、口縁部33aにおける幅方向(図3における上下方向:上記の移動方向と直交する方向)の両端部が上記の移動方向における手前側に最も突出する(移動方向の上流側に位置する)と共に、口縁部33aにおける幅方向の両端部から口縁部33aにおける幅方向の中央部に向かうほど矢印Aの方向の下流側に凹むように(この例では、口縁部33aにおける幅方向の中央部が最も凹むように)開口部31が形成されている。また、このステンシル20では、口縁部33aが平面視において口縁部33aにおける幅方向の中央部(この例では中心)を通過する一点鎖線L(「仮想線」の一例)を基準として線対称形となるように開口部31が形成されている。
【0034】
さらに、このステンシル20では、上記の移動方向(矢印Aの方向)に対する逆方向(矢印Bの方向)に位置する口縁部33b(「第2の口縁部」の一例)が、口縁部33aと同様にして、各スキージ11,12a,12bの先端部(上記の逆方向に直交する方向)に対して平面視において非平行となるように開口部31が形成されている。具体的には、このステンシル20では、口縁部33bにおける幅方向(図3における上下方向:上記の逆方向と直交する方向)の両端部が上記の逆方向における手前側に最も突出する(逆方向の上流側に位置する)と共に、口縁部33bにおける幅方向の両端部から口縁部33bにおける幅方向の中央部に向かうほど矢印Bの方向の下流側に凹むように開口部31が形成されている。また、このステンシル20では、口縁部33bが平面視において口縁部33bにおける幅方向の中央部(この例では中心)を通過する一点鎖線L(「仮想線」の一例)を基準として線対称形となるように開口部31が形成されている。
【0035】
また、このステンシル20では、上記の口縁部33a,33bが塗布ユニット2の移動方向に直交する方向を基準として線対称形となるように開口部31が形成されている。これにより、このステンシル20では、開口部31が平面視略六角形状となっている。なお、上記の口縁部33bは、フラックス塗布装置1によるフラックスFの塗布に際して移動機構4が塗布ユニット2を矢印Bの方向に移動させてフラックスFを塗り拡げる際には、「移動機構による少なくとも一方の移動に際して塗布面に押し当てられた枠材に対して板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部」に相当する。また、このステンシル20では、開口部31の各角部34が平面視曲線状となるように丸みを帯びて形成されている。
【0036】
この場合、図3,4に示すように、このフラックス塗布装置1では、上記のステンシル20を枠部材21a,21bの間に挟み込むようにしてステンシル20に大きな歪みが生じないようにしている。具体的には、まず、枠部材21a,21bの間にステンシル20を挟み込むと共に、枠部材21a,21bの外縁部に形成された切欠き部において枠部材21a,21bからはみ出しているステンシル20を挟持用部材22a,22bによって挟持する。次いで、ステンシル20を挟持している各挟持用部材22a,22bに図示しないボルトをそれぞれねじ込むことにより、ボルトの先端部を枠部材21a,21bの外周面に押し付けて、各挟持用部材22a,22bを枠部材21a,21bの外側に向けてそれぞれ移動させる。この際には、挟持用部材22a,22bによって外縁部を挟持された状態のステンシル20が引き延ばされるようにして歪みが矯正される。この状態において、枠部材21a,21bをボルトによって密着させる。これにより、歪みが矯正された状態においてステンシル20が枠部材21a,21bによって保持される。
【0037】
次に、フラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法について、添付図面を参照して説明する。
【0038】
このフラックス塗布装置1では、塗布処理の開始が指示されたときに、制御部6が、まず、基板搬送機構5を制御して塗布対象基板Pを塗布処理位置に搬送させる。この際に、基板搬送機構5は、ステンシル20の裏面に塗布対象基板Pの塗布面Paを押し当てるようにして塗布対象基板Pを上昇させる。次いで、制御部6は、X−Y−Z移動機構4を制御して塗布ユニット2をステンシル20における開口部31の外側(一例として、口縁部33b側の外縁部上)に移動さる。続いて、制御部6は、移動機構4を制御して、図2に示すように、ステンシル20の表面(塗布対象基板Pの塗布面Pa)に向けて塗布ユニット2を下降させて各スキージ11,12a,12bの先端部をステンシル20の表面に押し付けさせる。
【0039】
この際には、塗布ユニット2の下降に伴い、まず、両スキージ12がステンシル20の表面に接触し、その状態において塗布ユニット2がさらに下降させられることによって、両スプリング13が押し縮められるように弾性変形して両スキージ12の先端部がステンシル20の表面に向けて付勢される。また、塗布ユニット2がさらに下降させられたときには、両スプリング13がさらに弾性変形すると共に、スキージ11の先端部が所定の接触圧でステンシル20の表面に押し付けられ、これにより、スキージ11が僅かに弾性変形させられた状態となる。なお、図4、および後に参照する図5では、スキージ11の変形状態の図示を省略している。続いて、制御部6は、フラックス供給部3を制御してノズル14a,14bに向けてフラックスFを圧送させる。この際には、図5に示すように、ノズル14aによってスキージ11,12aの間にフラックスFが供給されると共に、ノズル14bによってスキージ11,12bの間にフラックスFが供給される。
【0040】
次いで、制御部6は、X−Y−Z移動機構4を制御して塗布対象基板Pの塗布面Pa(ステンシル20の表面)に沿って口縁部33b側から口縁部33aに向かって塗布ユニット2を矢印Aの方向に移動させる。この際には、図6に示すように、ノズル14aから供給されたフラックスFが、塗布ユニット2の移動に伴ってスキージ11によって矢印Aの方向に移動させられ、開口部31の口縁部33bにおいてステンシル20上から塗布対象基板Pにおける塗布面Paに移動させられる。この際に、スキージ11がスキージ12a,12bよりも柔らかく形成されているため、このスキージ11がX−Y−Z移動機構4による移動に伴って開口部31の上方に位置した状態においては、図7に示すように、X−Y−Z移動機構4による押し付け力によって弾性変形して先端部が塗布面Pa(塗布領域55)に接触させられる。これにより、図9に示すように、スキージ11の移動に伴って塗布面Pa上に移動させられたフラックスFがスキージ11によって凹部53内に押し込まれると共に、押し込まれたフラックスFによって凹部53内の空気が押し出される。また、凹部53から溢れ出たフラックスFは、X−Y−Z移動機構4によってスキージ11が矢印Aの方向にさらに移動させられることにより、図10に示すように、他の凹部53内に押し込まれるようにして塗布面Paに塗り拡げられる。
【0041】
一方、ノズル14bから供給されたフラックスFは、塗布ユニット2の移動に伴ってスキージ12bによって矢印Aの方向に移動させられ、開口部31の口縁部33bにおいてステンシル20上から塗布対象基板Pにおける塗布面Paに移動させられる。この際に、スキージ12bがスキージ11よりも硬く形成されているため、このスキージ12bがX−Y−Z移動機構4による移動に伴って開口部31の上方に位置した状態においては、図8に示すように、X−Y−Z移動機構4による押し付け力によってスキージ12bが大きく弾性変形することなく、その先端部がステンシル20の表面とほぼ同じ高さに維持されて塗布面Paから離間している。これにより、図9に示すように、スキージ12bの移動に伴って塗布面Pa上に移動させられたフラックスFがステンシル20の厚みT分だけ塗布面Paに残留させられるようにして均一に平される。また、スキージ12bが凹部53上まで移動させられた際には、図10に示すように、このスキージ12bの移動に伴って塗布対象基板P上を移動させられているフラックスFが、スキージ11によって凹部53内に押し込まれたフラックスFの上に覆い被さるようにして塗布面Paに塗り拡げられる。
【0042】
この場合、このフラックス塗布装置1において使用しているステンシル20では、発明者が開発した塗布装置におけるステンシル20xと同様にして、複数のパッド54(凹部53)に応じて広い開口部31が形成されている。したがって、このステンシル20においても、ステンシル20xと同様にして、塗布対象基板Pの塗布面Paに押し当てたときに、口縁部33a,33b等において、その幅方向の中央部が塗布対象基板Pの塗布面Paから離間するようにして変形が生じる(浮きが生じる)ことがある。しかしながら、このステンシル20を使用した塗布処理では、口縁部33a等に浮きが生じていたとしても、各スキージ11,12a,12bが口縁部33a等に引っ掛かる事態を招くことなく、フラックスFを塗布することが可能となっている。
【0043】
具体的には、前述したように、このステンシル20では、開口部31の各角部34が平面視曲線状となるように丸みを帯びて形成されている。したがって、口縁部33bの側から矢印Aの方向に塗布ユニット2が移動させられるのに伴い、開口部31における口縁部32a,32bに接している状態の各スキージ11,12a,12bが、開口部31の角部において引っ掛かりを生じることなく、口縁部33aに接する位置に向けてスムーズに移動させられる。
【0044】
この場合、前述したように塗布ユニット2(各スキージ11,12a,12b)が口縁部33b側から口縁部33aまで移動させられる際には、移動方向に沿って形成されている口縁部32a,32bが各スキージ11,12a,12bによって塗布対象基板Pの塗布面Paに押し付けられる。このため、口縁部33aにおいて口縁部32a,32bに接している幅方向の両端部(口縁部32a,32bと口縁部33aとが接する両角部34の近傍)は、図11に示すように、各スキージ11,12a,12bによって塗布面Paに押し付けられた口縁部32a,32bと共に塗布面Paに押し付けられて密着した状態となっている。したがって、例えば口縁部33aに浮きが生じていたとしても、塗布ユニット2(スキージ12a)が口縁部33aにおける幅方向の両端部に接した時点においては、少なくとも口縁部33aにおける幅方向の両端部が塗布対象基板Pの塗布面Paに密着した状態となる。この結果、スキージ12a等が口縁部33aにおける幅方向の両端部に引っ掛かる事態が回避される。
【0045】
また、このステンシル20では、移動機構4による塗布ユニット2の移動方向(矢印Aの方向)に位置する口縁部33aにおける両端部が塗布ユニット2の移動方向における手前側に最も突出すると共に、口縁部33aにおける両端部から中央部に向かうほど塗布ユニット2の移動方向の下流側に凹むように開口部31が形成されて、各スキージ11,12a,12bの先端部に対して口縁部33aが非平行となっている。したがって、図12に示すように、移動機構4によって塗布ユニット2が移動させられてスキージ12aが口縁部33aの近傍に達したときには、まず、口縁部33aにおける幅方向の両端部にスキージ12aの先端部が接した後に、塗布ユニット2が矢印Aの方向にさらに移動させられることにより、スキージ12aの先端部が、口縁部33aにおける幅方向の両端部から幅方向の中央部に向けて順次接することとなる。
【0046】
したがって、スキージ12aの先端部が口縁部33aにおける幅方向の両端部から幅方向の中央部に向けて順次接するようにして移動させられることにより、口縁部33aに浮きが生じていたとしても、スキージ12aの移動に伴って、浮きが生じている部位が図12に矢印Ca,Cbで示すように口縁部33aにおける幅方向の中央部に向かって移動して、最終的には、口縁部33aにおける幅方向の中央部も塗布対象基板Pの塗布面Paに押し付けられて密着した状態となる。この結果、スキージ12aが口縁部33aに引っ掛かる事態が回避される。なお、スキージ12aと共に移動させられているスキージ11やスキージ12bについても、スキージ12aと同様にして口縁部33aに引っ掛かる事態が回避される。
【0047】
続いて、塗布ユニット2を矢印Aの方向にさらに移動させることにより、図13に示すように、スキージ11の移動に伴って塗布面Pa上を移動させられたフラックスFのうちの各凹部53内に押し込まれなかった余分なフラックスFと、スキージ12bの移動に伴って塗布面Pa上を移動させられたフラックスFのうちの余分なフラックスFとが塗布面Pa上からステンシル20の上に移動させられる。これにより、塗布対象基板Pの塗布面Paにおける塗布領域55に対するフラックスFの塗布処理が完了する。この後、制御部6は、基板搬送機構5を制御して塗布処理が完了した塗布対象基板Pを塗布処理位置から搬出させ、次にフラックスFを塗布すべき塗布対象基板Pを塗布処理位置に搬送させる。
【0048】
この場合、上記の塗布対象基板Pに続いて搬送された塗布対象基板Pに対するフラックスFの塗布処理に際しては、図3,13に示す矢印Bの方向に塗布ユニット2を移動させる。この際には、上記のスキージ12bに代わり、スキージ12aがフラックスFを均一に平すためのスキージとして機能する。具体的には、制御部6は、まず、フラックス供給部3を制御してノズル14a,14bにフラックスFを圧送させる。この際には、直前にフラックスFを塗布した際にスキージ12bによってステンシル20上に移動させられたフラックスFに加えて、新たな塗布対象基板Pの塗布面Pa(凹部53)に塗り拡げるべきフラックスFがノズル14bからスキージ11,12bの間に供給されると共に、直前にフラックスFを塗布した際にスキージ11によってステンシル20上に移動させられたフラックスFに加えて、新たな塗布対象基板Pの塗布面Paに塗り拡げるべきフラックスFがノズル14aからスキージ11,12aの間に供給される。
【0049】
次いで、制御部6は、X−Y−Z移動機構4を制御して塗布ユニット2を塗布対象基板Pの塗布面Pa(ステンシル20の表面)に沿って矢印Bの方向に移動させる。この際には、図7に示すように、スキージ11が凹部53内に押し込むようにしてフラックスFを塗布面Paに塗り拡げると共に、図8に示すように、スキージ12aが塗布対象基板Pの塗布面Pa上および凹部53内のフラックスF上に厚みT分のフラックスFを塗り拡げつつ均一に平す。この際に、このステンシル20では、前述したように、開口部31の各角部34が平面視曲線状となるように丸みを帯びて形成されている。したがって、口縁部33aの側から矢印Bの方向に塗布ユニット2が移動させられるのに伴い、開口部31における口縁部32a,32bに接している状態の各スキージ11,12a,12bが、開口部31の角部において引っ掛かりを生じることなく、口縁部33bに接する位置に向けてスムーズに移動させられる。
【0050】
この場合、塗布ユニット2(各スキージ11,12a,12b)が口縁部33a側から口縁部33bまで移動させられる際には、移動方向に沿って形成されている口縁部32a,32bが各スキージ11,12a,12bによって塗布対象基板Pの塗布面Paに押し付けられる。このため、口縁部33bにおいて口縁部32a,32bに接している幅方向の両端部(口縁部32a,32bと口縁部33bとが接する両角部34の近傍)は、各スキージ11,12a,12bによって塗布面Paに押し付けられた口縁部32a,32bと共に塗布面Paに押し付けられて密着した状態となっている。したがって、例えば口縁部33bに浮きが生じていたとしても、塗布ユニット2(スキージ12b)が口縁部33bにおける幅方向の両端部に接した時点においては、少なくとも口縁部33bにおける幅方向の両端部が塗布対象基板Pの塗布面Paに密着した状態となる。この結果、スキージ12b等が口縁部33bにおける幅方向の両端部に引っ掛かる事態が回避される。
【0051】
また、このステンシル20では、移動機構4による塗布ユニット2の移動方向(矢印Bの方向:前述した矢印Aの方向に対する逆方向)に位置する口縁部33bにおける両端部が塗布ユニット2の移動方向における手前側に最も突出すると共に、口縁部33bにおける両端部から中央部に向かうほど塗布ユニット2の移動方向の下流側に凹むように開口部31が形成されて、各スキージ11,12a,12bの先端部に対して口縁部33bが非平行となっている。したがって、移動機構4によって塗布ユニット2が移動させられてスキージ12bが口縁部33bの近傍に達したときには、まず、口縁部33bにおける幅方向の両端部にスキージ12bの先端部が接した後に、塗布ユニット2が矢印Bの方向にさらに移動させられることにより、スキージ12bの先端部が、口縁部33bにおける幅方向の両端部から幅方向の中央部に向けて順次接することとなる。
【0052】
したがって、スキージ12bの先端部が口縁部33bにおける幅方向の両端部から幅方向の中央部に向けて順次接するようにして移動させられることにより、口縁部33bに浮きが生じていたとしても、スキージ12bの移動に伴って、浮きが生じている部位が口縁部33bにおける幅方向の中央部に向かって移動して、最終的には、口縁部33bにおける幅方向の中央部も塗布対象基板Pの塗布面Paに押し付けられて密着した状態となる。この結果、スキージ12bが口縁部33bに引っ掛かる事態が回避される。なお、スキージ12bと共に移動させられているスキージ11やスキージ12aについても、スキージ12bと同様にして口縁部33bに引っ掛かる事態が回避される。これにより、前述した塗布対象基板Pに対する塗布処理時と同様にして、塗布ユニット2を塗布面Paに沿って一回移動させるだけで、この塗布対象基板Pにおける塗布領域55に対するフラックスFの塗布処理が完了する。
【0053】
このように、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法によれば、塗布面Paに押し当てられたステンシル20に対してスキージ11,12a,12bが相対的に移動する移動方向(図3に示す矢印Aの方向)に位置する口縁部33aにおける幅方向の両端部が移動方向における手前側に最も突出すると共に幅方向の中央部に向かうほど移動方向に凹むように開口部31を形成したステンシル20を使用することにより、例えば口縁部33aにおける幅方向の中央部に塗布対象基板P(塗布面Pa)に対する浮きが生じていたとしても、ステンシル20に対してスキージ11,12a,12bを移動方向に移動させたときに、口縁部33aにおける幅方向の両端部と中央部との間の各部に対してスキージ11,12a,12bの先端部が両端部の側から順次接するようにして移動させられるため、上記の浮きが生じている部位を中央部に向かって移動させるようにしてステンシル20の口縁部33aを塗布面Paに密着させることができる。これにより、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法によれば、フラックスFの塗布に際してスキージ11,12a,12bの先端部が口縁部33aに引っ掛かる事態を回避することができるため、ステンシル20の破損やスキージ11,12a,12bの傷付きを招くことなく、フラックスFを塗布すべき塗布領域55に必要量のフラックスFを確実に塗布することができる。
【0054】
また、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法によれば、口縁部33aにおける幅方向の中央部を通過すると共に移動方向に沿った仮想線(図3に示す一点鎖線L)を基準として、口縁部33aが平面視において線対称形となるように開口部31を形成したステンシル20を使用することにより、各スキージ11,12a,12bの先端部が口縁部33aにおける幅方向の各部に順次接するように各スキージ11,12a,12bを移動させたときに、口縁部33aにおける幅方向の一方の端部から他方の端部に向かう方向にステンシル20を移動させようとする力と、口縁部33aにおける上記の他方の端部から上記の一方の端部に向かう方向にステンシル20を移動させようとする力とが相殺されるため、塗布対象基板Pに対するステンシル20の幅方向へのずれが生じる事態を回避することができる。
【0055】
さらに、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法によれば、移動方向に対する逆方向(図3に示す矢印Bの方向)に位置する口縁部33bにおける幅方向の両端部が逆方向における手前側に最も突出すると共に幅方向の中央部に向かうほど逆方向に凹むように開口部31を形成したステンシル20を使用することにより、上記の移動方向(矢印Aの方向)に代えてその逆方向(矢印Bの方向)にスキージ11,12a,12bを移動させてフラックスFを塗布するときに口縁部33bに対して各スキージ11,12a,12bの先端部が引っ掛かる事態を回避することができるため、上記の逆方向に移動させてフラックスFを塗布する際にも、ステンシル20の破損やスキージ11,12a,12bの傷付きを招くことなく、フラックスFを塗布すべき塗布領域55に必要量のフラックスFを確実に塗布することができる。
【0056】
また、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法によれば、開口部31の各角部34が平面視曲線状となるように形成したステンシル20を使用することにより、開口部31における口縁部32a,32bに接している状態のスキージ11,12a,12bを各角部34において引っ掛かりを生じさせることなく、口縁部33a(または、口縁部33b)に接する状態にスムーズに移動させることができる。
【0057】
また、このフラックス塗布装置1によれば、板材として、開口部31の上方に位置した状態においてステンシル20に押し付けられているときにその先端部が塗布面Paに接触するように弾性変形するスキージ11と、スキージ11よりも硬く形成されると共に開口部31の上方に位置した状態においてステンシル20に押し付けられているときに先端部が塗布面Paから離間する2つのスキージ12a,12bとを備えて、両スキージ12a,12bの間にスキージ11が挟まれるようにして配設されると共に、スキージ11および両スキージ12a,12bの各先端部をステンシル20の表面に押し付けた状態において、移動機構4が、口縁部33aに向かう矢印Aの方向、および口縁部33bに向かう矢印Bの方向に各スキージ11,12a,12bを移動させてフラックスFを塗布する構成を採用している。
【0058】
したがって、このフラックス塗布装置1、およびフラックス塗布装置1によるフラックス塗布方法では、各スキージ11,12a,12bを矢印Aの方向に移動させるとき、および各スキージ11,12a,12bを矢印Bの方向に移動させるときの双方において塗布対象基板PにフラックスFを塗布することができるため、いずれか一方向にスキージを移動させるときにだけフラックスを塗布する構成と比較して、複数枚の塗布対象基板PにフラックスFを塗布するのに要する時間を短縮することができるだけでなく、上記のステンシル20を使用していることにより、スキージ11,12bによってフラックスFを塗布しているとき(塗布ユニット2を矢印Aの方向に移動させているとき)に本来的には不要なスキージ12aの先端部をステンシル20から離間させなくても、ステンシル20の破損やスキージ12aの傷付きを回避することができると共に、スキージ11,12aによってフラックスFを塗布しているとき(塗布ユニット2を矢印Bの方向に移動させているとき)に本来的には不要なスキージ12bの先端部をステンシル20から離間させなくても、ステンシル20の破損やスキージ12bの傷付きを回避することができる。したがって、このフラックス塗布装置1によれば、スキージ12a,12bをスキージ11とは別個に上動させる機構が不要となる分だけ、その製造コストを十分に低減することができる。
【0059】
なお、フラックス塗布装置の構成、およびフラックス塗布方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、平面視略六角形状の開口部31が形成されたステンシル20を使用する例について説明したが、枠材に形成する開口部の平面形状はこれに限定されない。具体的には、図14に示すステンシル20Aは、枠材の他の一例であって、例えばステンレススチール等の金属材料で薄板状に形成されると共に、塗布対象基板Pの塗布面PaにおけるフラックスFを塗布すべき塗布領域55A(すなわち、上記の各バンプ形成部52が形成されている領域)に対応して開口部31Aが形成されている。また、ステンシル20Aは、前述したステンシル20と同様にして、その厚みが塗布領域55Aに塗布すべきフラックスFの塗布厚(塗布すべきフラックスFの量)に応じて規定されている。
【0060】
この場合、このステンシル20Aでは、一例として、移動機構4による塗布ユニット2の移動方向(矢印Aの方向)に沿った口縁部35a,35bが移動方向と平行になるように開口部31Aが形成されている。具体的には、このステンシル20Aは、口縁部36aにおける幅方向(図14における上下方向:上記の移動方向と直交する方向)の両端部のうちの一方(この例では、同図における上側の端部)が上記の移動方向における手前側に最も突出する(移動方向の上流側に位置する)と共に、口縁部36aにおける幅方向のうちの一方(この例では、同図における上側の端部)から幅方向の両端部のうちの他方(この例では、同図における下側の端部)に向かうほど矢印Aの方向の下流側に凹むように開口部31Aが形成されている。
【0061】
また、このステンシル20Aでは、上記の移動方向(矢印Aの方向)に対する逆方向(矢印Bの方向)に位置する口縁部36b(「第2の口縁部」の一例)が、口縁部36aと同様にして、各スキージ11,12a,12bの先端部(上記の逆方向に直交する方向)に対して平面視において非平行となるように開口部31Aが形成されている。具体的には、このステンシル20Aでは、口縁部36bにおける幅方向(図14における上下方向:上記の移動方向と直交する方向)の両端部のうちの一方(この例では、同図における下側の端部)が矢印Bの方向おける手前側に最も突出する(移動方向の上流側に位置する)と共に、口縁部36bにおける幅方向のうちの一方(この例では、同図における下側の端部)から幅方向の両端部のうちの他方(この例では、同図における上側の端部)に向かうほど矢印Bの方向の下流側に凹むように開口部31Aが形成されている。
【0062】
これにより、このステンシル20Aでは、開口部31Aが平面視略平行四辺形状となっている。なお、上記の口縁部36bは、フラックス塗布装置1によるフラックスFの塗布に際して移動機構4が塗布ユニット2を矢印Bの方向に移動させてフラックスFを塗り拡げる際には、「移動機構による少なくとも一方の移動に際して塗布面に押し当てられた枠材に対して板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部」に相当する。なお、口縁部36aにおける幅方向の両端部のうちの下方の端部を矢印Aの方向の手前側に最も突出させたり、口縁部36bにおける幅方向の両端部のうちの上方の端部を矢印Bの方向の手前側に最も突出させたりすることもできる。また、このステンシル20Aでは、開口部31Aの各角部37が平面視曲線状となるように丸みを帯びて形成されている。このようなステンシル20Aを使用した場合においても、ステンシル20を使用したときと同様の効果を奏することができる。
【0063】
具体的には、塗布面Paに押し当てられたステンシル20Aに対してスキージ11,12a,12bが相対的に移動する移動方向(図14に示す矢印Aの方向)に位置する口縁部36aにおける幅方向の両端部のうちの一方が移動方向における手前側に最も突出すると共に両端部のうちの他方に向かうほど移動方向に凹むように開口部31Aを形成したステンシル20Aを使用することにより、例えば口縁部36aにおける幅方向の中央部に塗布対象基板P(塗布面Pa)に対する浮きが生じていたとしても、ステンシル20Aに対してスキージ11,12a,12bを移動方向に移動させたときに、口縁部36aにおける幅方向の両端部のうちの一方と他方との間の各部に対してスキージ11,12a,12bの先端部が一方の端部側から順次接するようにして移動させられるため、上記の浮きが生じている部位を他方の端部に向かって移動させるようにしてステンシル20Aの口縁部36aを塗布面Paに密着させることができる。これにより、フラックスFの塗布に際してスキージ11,12a,12bの先端部が口縁部36aに引っ掛かる事態を回避することができるため、ステンシル20Aの破損やスキージ11,12a,12bの傷付きを招くことなく、フラックスFを塗布すべき塗布領域55に必要量のフラックスFを確実に塗布することができる。
【0064】
また、移動方向に対する逆方向(図14に示す矢印Bの方向)に位置する口縁部36bにおける幅方向の両端部のうちの一方が逆方向における手前側に最も突出すると共に両端部のうちの他方に向かうほど逆方向に凹むように開口部31Aを形成したステンシル20Aを使用することにより、上記の移動方向(矢印Aの方向)に代えてその逆方向(矢印Bの方向)にスキージ11,12a,12bを移動させてフラックスFを塗布するときに口縁部36bに対して各スキージ11,12a,12bの先端部が引っ掛かる事態を回避することができるため、上記の逆方向に移動させてフラックスFを塗布する際にも、ステンシル20Aの破損やスキージ11,12a,12bの傷付きを招くことなく、フラックスFを塗布すべき塗布領域55に必要量のフラックスFを確実に塗布することができる。
【0065】
さらに、開口部31Aの各角部37が平面視曲線状となるように形成したステンシル20Aを使用することにより、開口部31Aにおける口縁部35a,35bに接している状態のスキージ11,12a,12bを各角部37において引っ掛かりを生じさせることなく、口縁部36a(または、口縁部36b)に接する状態にスムーズに移動させることができる。
【0066】
また、スキージ11,12a,12bの3枚のスキージを有する塗布ユニット2を備えたフラックス塗布装置1を例に挙げて説明したが、2枚以下のスキージを備えてフラックス塗布装置を構成することもできる。具体的には、一例として、スキージを矢印Aの方向に移動させるときにだけフラックスFを塗布する(矢印Bの方向に移動させるときにはフラックスFの塗布を行わない)場合には、上記の塗布ユニット2におけるスキージ12aを不要としてスキージ11,12bだけを備えて構成し、スキージを矢印Bの方向に移動させるときにだけフラックスFを塗布する(矢印Aの方向に移動させるときにはフラックスFの塗布を行わない)場合には、上記の塗布ユニット2におけるスキージ12bを不要としてスキージ11,12aだけを備えて構成することができる。
【0067】
さらに、例えば、スキージ12a,12bのいずれか一方(以下、いずれか一方を「スキージ12」ともいう)と、スキージ11とを移動機構4に取り付けると共に、この移動機構4を、塗布面Paに対して垂直な回動軸を中心として回転可能に軸支して、フラックスFの塗布処理に際して移動方向の手前側にスキージ12が位置するように移動機構4を回動させる構成を採用することができる。また、発明者が開発した塗布装置のように、1枚のスキージ12xだけを使用してフラックスFを塗布する構成を採用することもできる。これらの構成のいずれを採用した場合においても、上記のステンシル20,20A等を使用することで、上記のフラックス塗布装置1と同様の効果を奏することができる。
【0068】
この場合、板材を上記の矢印Aに移動させるときにだけフラックスFを塗布する構成を採用する場合には、ステンシル20,20Aにおける開口部31,31Aの口縁部33b,36bをステンシル20xにおける口縁部33bxと同様に板材と平行となるように形成してもよい。また、板材を上記の矢印Bに移動させるときにだけフラックスFを塗布する構成を採用する場合には、ステンシル20,20Aにおける開口部31,31Aの口縁部33a,36aをステンシル20xにおける口縁部33axと同様に板材と平行となるように形成してもよい。
【0069】
さらに、上記のフラックス塗布装置1では、各スキージ11,12a,12bの3枚をX−Y−Z移動機構4に固定して各スキージ11,12a,12bを同時に同じ方向に移動させる構成を採用しているが、スキージ11を移動させる移動機構、スキージ12aを移動させる移動機構、およびスキージ12bを移動させる移動機構をそれぞれ別個に設けて各スキージを別個独立して移動させる構成を採用することもできる。また、上記のフラックス塗布装置1では、塗布処理位置に固定したステンシル20に対して基板搬送機構5によって塗布対象基板Pを搬送すると共に、X−Y−Z移動機構4によって塗布ユニット2をステンシル20および塗布対象基板Pに向けて移動させる構成を採用しているが、所定位置に固定した塗布ユニット2に向けてステンシル20および塗布対象基板Pを移動させる構成や、ステンシル20を押し当てた塗布対象基板Pおよび塗布ユニット2の双方を移動させる構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 フラックス塗布装置
2 塗布ユニット
4 X−Y−Z移動機構
5 基板搬送機構
11,12a,12b スキージ
20,20A ステンシル
31,31A 開口部
32a,32b,33a,33b,35a,35b,36a,36b 口縁部
34,37 角部
55,55A 塗布領域
F フラックス
L 一点鎖線
P 塗布対象基板
Pa 塗布面
T 厚み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給されたフラックスを塗布対象基板の塗布面に塗り拡げる板材と、前記塗布面に押し当てられた状態において当該塗布面における前記フラックスの塗布領域が露出するように開口部が設けられると共に当該塗布領域に塗布すべき当該フラックスの塗布厚に応じて厚みが規定された枠材と、当該枠材が押し当てられた前記塗布対象基板および前記板材の少なくとも一方を他方に対して移動させる移動機構とを備え、前記塗布面に押し当てた前記枠材の表面に前記板材の平面視直線状の先端部を押し当てた状態で前記移動機構によって前記少なくとも一方を前記他方に対して移動させて前記塗布領域に前記フラックスを塗布するフラックス塗布装置であって、
前記枠材は、前記少なくとも一方の移動に際して前記塗布面に押し当てられた当該枠材に対して前記板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部が当該移動方向における手前側に最も突出すると共に当該幅方向の中央部に向かうほど当該移動方向に凹むように前記開口部が形成されているフラックス塗布装置。
【請求項2】
前記枠材は、前記第1の口縁部における前記幅方向の中央部を通過すると共に前記移動方向に沿った仮想線を基準として、前記第1の口縁部が平面視において線対称形となるように前記開口部が形成されている請求項1記載のフラックス塗布装置。
【請求項3】
前記枠材は、前記移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部が当該逆方向における手前側に最も突出すると共に当該幅方向の中央部に向かうほど当該逆方向に凹むように前記開口部が形成されている請求項1または2記載のフラックス塗布装置。
【請求項4】
供給されたフラックスを塗布対象基板の塗布面に塗り拡げる板材と、前記塗布面に押し当てられた状態において当該塗布面における前記フラックスの塗布領域が露出するように開口部が設けられると共に当該塗布領域に塗布すべき当該フラックスの塗布厚に応じて厚みが規定された枠材と、当該枠材が押し当てられた前記塗布対象基板および前記板材の少なくとも一方を他方に対して移動させる移動機構とを備え、前記塗布面に押し当てた前記枠材の表面に前記板材の平面視直線状の先端部を押し当てた状態で前記移動機構によって前記少なくとも一方を前記他方に対して移動させて前記塗布領域に前記フラックスを塗布するフラックス塗布装置であって、
前記枠材は、前記少なくとも一方の移動に際して前記塗布面に押し当てられた当該枠材に対して前記板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が当該移動方向における手前側に最も突出すると共に当該両端部のうちの他方に向かうほど当該移動方向に凹むように前記開口部が形成されているフラックス塗布装置。
【請求項5】
前記枠材は、前記移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が当該逆方向における手前側に最も突出すると共に当該両端部のうちの他方に向かうほど当該逆方向に凹むように前記開口部が形成されている請求項4記載のフラックス塗布装置。
【請求項6】
前記枠材は、前記開口部の各角部が平面視曲線状となるように形成されている請求項1から5のいずれかに記載のフラックス塗布装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のフラックス塗布装置を使用して前記塗布対象基板の前記塗布領域に前記フラックスを塗布するフラックス塗布方法。
【請求項1】
供給されたフラックスを塗布対象基板の塗布面に塗り拡げる板材と、前記塗布面に押し当てられた状態において当該塗布面における前記フラックスの塗布領域が露出するように開口部が設けられると共に当該塗布領域に塗布すべき当該フラックスの塗布厚に応じて厚みが規定された枠材と、当該枠材が押し当てられた前記塗布対象基板および前記板材の少なくとも一方を他方に対して移動させる移動機構とを備え、前記塗布面に押し当てた前記枠材の表面に前記板材の平面視直線状の先端部を押し当てた状態で前記移動機構によって前記少なくとも一方を前記他方に対して移動させて前記塗布領域に前記フラックスを塗布するフラックス塗布装置であって、
前記枠材は、前記少なくとも一方の移動に際して前記塗布面に押し当てられた当該枠材に対して前記板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部が当該移動方向における手前側に最も突出すると共に当該幅方向の中央部に向かうほど当該移動方向に凹むように前記開口部が形成されているフラックス塗布装置。
【請求項2】
前記枠材は、前記第1の口縁部における前記幅方向の中央部を通過すると共に前記移動方向に沿った仮想線を基準として、前記第1の口縁部が平面視において線対称形となるように前記開口部が形成されている請求項1記載のフラックス塗布装置。
【請求項3】
前記枠材は、前記移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部が当該逆方向における手前側に最も突出すると共に当該幅方向の中央部に向かうほど当該逆方向に凹むように前記開口部が形成されている請求項1または2記載のフラックス塗布装置。
【請求項4】
供給されたフラックスを塗布対象基板の塗布面に塗り拡げる板材と、前記塗布面に押し当てられた状態において当該塗布面における前記フラックスの塗布領域が露出するように開口部が設けられると共に当該塗布領域に塗布すべき当該フラックスの塗布厚に応じて厚みが規定された枠材と、当該枠材が押し当てられた前記塗布対象基板および前記板材の少なくとも一方を他方に対して移動させる移動機構とを備え、前記塗布面に押し当てた前記枠材の表面に前記板材の平面視直線状の先端部を押し当てた状態で前記移動機構によって前記少なくとも一方を前記他方に対して移動させて前記塗布領域に前記フラックスを塗布するフラックス塗布装置であって、
前記枠材は、前記少なくとも一方の移動に際して前記塗布面に押し当てられた当該枠材に対して前記板材が相対的に移動する移動方向に位置する第1の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が当該移動方向における手前側に最も突出すると共に当該両端部のうちの他方に向かうほど当該移動方向に凹むように前記開口部が形成されているフラックス塗布装置。
【請求項5】
前記枠材は、前記移動方向に対する逆方向に位置する第2の口縁部における幅方向の両端部のうちの一方が当該逆方向における手前側に最も突出すると共に当該両端部のうちの他方に向かうほど当該逆方向に凹むように前記開口部が形成されている請求項4記載のフラックス塗布装置。
【請求項6】
前記枠材は、前記開口部の各角部が平面視曲線状となるように形成されている請求項1から5のいずれかに記載のフラックス塗布装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のフラックス塗布装置を使用して前記塗布対象基板の前記塗布領域に前記フラックスを塗布するフラックス塗布方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−25294(P2011−25294A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174860(P2009−174860)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
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