説明

フラーレンクラスターを含有する化粧料組成物

本発明は、皮膚におけるフリーラジカル酸化プロセスを防止または阻止するための、化粧料的に許容され得る体体とともに効果量のフラーレンクラスターを含む化粧料組成物、およびフリーラジカルによる健康な皮膚または粘膜に対する損傷を低減するために前記組成物を使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、超微細に分散したフラーレン粒子およびその化粧料における使用に関する。
【0002】
発明の背景
フラーレンは、ダイヤモンドおよびグラファイトのような他の炭素形態と異なる炭素の第3の同素体である。それは、中空の閉じた籠として配置された炭素原子のみからなる。より具体的には、フラーレンは、炭素原子がそれらが互いに結合して六角形または五角形を形成するように配置されている、閉じた多面体から構成される。本発明に使用して好適なフラーレンは、工業的または実験室的規模の量で製造される。その例には、C60、C70、C76、C78、C80、C82、C84、およびより高分子量の分子が含まれる。
【0003】
フラーレンは、クロトー(Kroto)らによる論文、Nature、vol.318,p.163(1985)において初めて記述され、ここで、それらの存在は、グラファイトのレーザ蒸発の生成物の質量スペクトルに基づいて当然のこととされた。物質としてのフラーレンは、ホフマン(Hoffman)とクラッチマー(Kratschmer)が顕微鏡的量でC60およびC70のようなフラーレンを製造し、単離する方法を見いだした1990年に入手可能とされた。クラッチマーら、Nature、vol.347、354(1990)を参照のこと。
【0004】
フラーレンの幾何学的および電子的構造は、フラーレンに独特の物理的および化学的特性を与えている。例えば、フラーレンの電子親和性は高い。例えば、C60は、2.65eVの電子親和性を有する。それらは、炭素−炭素二重結合へのフリーラジカルの付加に対し、および孤立電子対による求核的攻撃に対して増大した反応性を有する。フラーレン二重結合へのフリーラジカルの付加は、例えば有機化合物のフリーラジカル酸化における、フリーラジカル連鎖成長反応に関与し得ないむしろ不活性なフラーレン中心ラジカルの形成を生じさせる。すなわち、フラーレンは、抗酸化剤である。1つのフラーレン分子は、二重結合を犠牲にすることにより、数十の「熱い」フリーラジカルを不活性化できると述べられてきている。さらに、フラーレン分子は、結合した有機基が適切な二量体の形態にあるフラーレン籠から還元的に離脱することが生じるために、触媒的にフリーラジカルを掃去し、再結合させ得るものである。この特性は、フリーラジカルを不活性な分子生成物に変換させる能力をフラーレンに与えている。
【0005】
フラーレンの独特の特性は、フラーレン固体の固有の物理的および化学的特徴を生み出させている。例えば、フラーレン分子結晶は、大部分の同様の大きさの有機物質のものよりもはるかに大きい、極度に高い分子間相互作用エネルギーを有する。これは、フラーレン籠の伸張した共役電子構造と、分子結晶における緻密なモードのフラーレン分子パッキングに寄与しえる。この減少は、純粋なC60およびC70フラーレン、より高次のフラーレン、それらの混合物、有機分子との結晶性フラーレン溶媒和物、グラファイト上に吸着したフラーレン等に見られる。
【0006】
フラーレン分子結晶の高い強度は、真溶液におけるもののような、別のフラーレン分子のものと比較して、大幅に異なる化学的および生化学的挙動をもたらし、フラーレン分子自体が化粧料、薬学的または獣医学的組成物に用いられることを妨げている。例えば、巨視的サイズのフラーレン結晶は、皮膚組織および他の生物学的構造中へのその組み込みを許容させない。普通のマイクロメートルサイズのフラーレン粒子における全分子の約0.4%を構成する表面分子のみが、溶液に曝され、かくして溶液の成分と反応することが可能とされる。さらに、表面フラーレン分子の特異的な反応性は、一般に、個々の溶解した分子のそれよりもはるかに低い。
【0007】
フラーレンを溶解し得る溶媒の数はほんの限られたものである。フラーレンを溶解するために伝統的に用いられている芳香族溶媒およびハロゲン化炭化水素は、強く毒性であり、そのため化粧料並びに薬学的および獣医学的組成物中でのそれらの使用は排除されている。
【0008】
化粧料および医薬の設計者は、上に略述したフラーレンを用いることの困難性を克服するために、種々のフラーレンの特性を利用しようと試みている。水中油型もしくは油中水型エマルジョン、懸濁物、粉末、色味付けクリーム、爪ワニスおよび他の化粧料組成物における結晶性フラーレンの使用が、メルール(Melull)への米国特許第5,612,021号「顔料尺食材としてフラーレンまたはフラーレンの混合物を含有する化粧メークアップ組成物」に記述された。フラーレンは、これらメークアップ組成物において、申し立てられているように、これら製品にある種の色、および良好な被覆力および快い塗布特性のような他の有用な化粧料特性を与えるために、もっぱら顔料またはフィラーとして使用されている。米国特許第5,612,021号に言及されているように、標準的な合成手法により得られた結晶性フラーレンは、溶解したフラーレン分子の重要な特性を持たない。それは、生きている組織、酵素の活性中心および他の分子的生物学的物質への接近を妨害したものであり、化粧料的に興味のある生化学的プロセスに参加するように細胞膜を通過し得ないのである。従って、米国特許第5,612,021号は、本質的に、高光学密度のフラーレン顔料のみを利用しており、化粧料における生物学的に活性奈成分としてフラーレンを使用することを開示するものではない。
【0009】
しかしながら、フラーレンの誘導体は、バイオ医学的な用途を有することが示された。米国特許第5,994,410号および第5,648,523号において、チャン(Chiang)らは、フリーラジカル掃去剤として有用なフラーレンの化学的誘導体およびフリーラジカル関連医学状態を治療するためのその使用を開示している。フラーレン分子への官能基の付加は、必要な溶解性をフラーレン誘導体に与えるが、これら誘導体の製造は、必然的に、減少した数の二重結合を生じさせ、同時に、フリーラジカルを掃去するフラーレン分子の能力を低下させる。さらに、官能基は、溶液中でフラーレン籠二重結合とフリーラジカルとの相互作用に対し立体障害を作り出し、かくしてフラーレンの特異的反応性をさらに低下させる。
【0010】
これまで、フラーレン籠に官能基を付加することなく薬学的または生物学的活性を示すフラーレンを作ることに成功した者はいなかった。しかしながら、本発明者らは、フラーレン部位の予備的な化学的誘導体化を行うことなく、非毒性生体適合性溶媒中にフラーレンを溶解させる手段を見いだした。本発明者らは、フラーレンの有用な化学的および生化学的反応性を最大化させるための手法を見いだした。より具体的には、本発明者らは、フラーレンを小さな分子クラスターに変換することによりフラーレンを可溶化させ、しかる後この可溶化したクラスターを化粧料組成物に用いる方法を見いだした。これは、フラーレン分子およびそれらの小さな凝集物の増大した化学的反応性と、同時に、皮膚ケアおよび他の化粧用途に興味のあるより高い正の生物学的活性を利用するものである。
【0011】
発明の概要
従って、本発明は、化粧料的に有効量のフラーレンクラスターを化粧料キャリヤーとともに含む化粧料組成物に関する。
【0012】
本発明の他の側面は、フリーラジカルによる哺乳動物、特にヒトの健康な皮膚または粘膜に対する損傷を防止しまたは減少させる方法であって、化粧料的に有効な量のフラーレンクラスターを健康な皮膚または粘膜に適用することを包含する方法に関する。
【0013】
本発明の他の側面は、哺乳動物、特にヒトの皮膚または粘膜中の毒素を不活性化する方法であって、該哺乳動物の皮膚に、本発明に従い、有効量のフラーレンクラスターを適用することを包含する方法に関する。
【0014】
本発明のさらに他の側面は、太陽光の存在下に、効果量のフラーレンクラスターを哺乳動物の皮膚に投与することによる、哺乳動物の皮膚および粘膜の抗微生物または抗ウイルス感染を治療する方法に関する。
【0015】
本発明のなおさらなる側面は、ヒトの皮膚に有効量のフラーレンクラスターを投与することによる、例えば日焼けを防止するために、ヒトの皮膚および粘膜を強い可視およびUV線から保護する方法に関する。
【0016】
図面の簡単な説明
図1は、マーチン・チャプリン教授により設計された水和フラーレン分子C60(H2O)80の空間モデルを表す。そのままのフラーレン分子(灰色の融合球は炭素原子である)は、80の水分により形成されたキャビティ内に閉じ込められ、各水分子は、1つの酸素原子についての黒い球と、水素原子についての2つの淡灰色球によって表されている。伽ベティは、水20面体(H2O)100から十面体水クラスター(H2O)20を引き抜くことにより形成される。各フラーレン六角形上に直接水分子からの水素原子が位置し、かくして酸素原子と対応するベンゼノイド環のpi−システムとの間に20個の水素結合を形成していることが見られる。この予想外の幾何学的一致性は、元の20面体に対し内側の20の水分子と外側の60の分子の乱されていない配置を、したがってC60(H2O)80の増大したエネルギー安定化をもたらす。
【0017】
図2は、フレライト粉末をナノサイズのフラーレンに粉砕するために用いる実験室規模の電気水力学的衝撃チャンバの概略図である。チャンバは、水で一杯に満たされ、回転のために楕円形状を有する。水を通る放電は、この楕円の焦点において2つのタングステン電極の間で行われ、フレライト試料は、重畳衝撃波により処理されるようにもう一つの焦点に置かれる。フレライトは、薄壁プラスチックセル内の液体中に懸濁され、かくして外側セル衝撃波を伝達する水媒体からブンリされる。あるいは、フレライト懸濁液は、焦点を通過する薄壁プラスチックチューブを含む閉じた輪郭中を連続的に循環される。フレライトを懸濁させるための液体は、水、アルコール、天然油などから選ばれる。
【0018】
発明の詳細な説明
ここで用いている用語「哺乳動物」とは、限定されないが、ヒト、イヌ、ウマ、ブタ、ウシ等を含む綱哺乳類のいずれものメンバーをいう。好ましい哺乳動物は、ヒトである。
【0019】
ここで、用語「クラスター]は、化学文献において定義されている一般的な意味を有する。フラーレンの分子クラスターは、ファンデルワールス力により互いに保持されたフラーレン分子の小さなアセンブリである。このアセンブリのサイズは、数フラーレン分子から十億まで渡り得る。クラスターの内部構造は、おそらく、フラーレンの分子結晶に見いだされるものに近い。クラスターのサイズとその環境との相互作用に依存して、クラスターの種々の形状が考えられる。クラスターは、溶媒分子により直接溶媒和され得、かくして、性質がゾルおよび懸濁物に近い、フラーレンの非理想溶液を生成する。クラスターは、ある種の有機分子(リガンド)とドナーアクセプター錯体を形成しえ、これは、関連の極性溶媒に可溶であり、かくしてフラーレンにこれらの溶媒中での溶解性をも付与し得る。直接溶媒和および錯化フラーレンクラスターの両者が本発明に利用される。
【0020】
ここで記述するフラーレンクラスターは、フラーレン(固体フラーレン)から調製される。フラーレンの例には、固体形態の純粋もしくは混合分子C60、C70、C84、C96等が含まれ、これは結晶化溶媒を含み得る。
【0021】
本発明のフラーレンクラスターを作るための出発物質として、フレライトまたはこれを含有する溶液もしくは懸濁液を用いる。この目的に好ましいフラーレンは、C60およびC70である。フラーレンは、当業者に既知の手法に従って調製される。例えば、フラーレンは、いずれもその内容を参照によりここに組み込まれたクラッチマーらのNature347,354(1990)、ハワードらへの米国特許第5,273,729号、ワイザーらへの米国特許第5,876,684号、スモーリーらへの米国特許第5,227,038号、スモーリーへの米国特許第5,300,203号、スモーリーへの米国特許第5,556,517号、レフチンへの米国特許第6,083,468号およびフィールズらへの米国特許第6,077,401号に記載された方法により調製することができる。
【0022】
ここで用いている用語「フラーレン」は、閉じた中空籠として配置された偶数の炭素原子を含有する分子をいう。フラーレンは、偶数の炭素原子を合計で20〜500個あるいはそれ以上含有し得る。フラーレンは、球状である必要はない。それらは、各端に半球状のキャップを有する長いチューブ状の構造の形態を取り得る。1つの構造が第2のより大きな構造内に収容された超フラーレン構造も存在する。一般的に球状の分子構造については、それらの超フラーレンは、たまねぎ状の層構造に似ている。フラーレンは、文献に、より十分に記載されている。フラーレンの例には、C60、C70、C76、C82、C84、C96、C240、C540、C720等が含まれる。フラーレンは、少なくとも60個の炭素原子を有することが好ましい。好ましいフラーレンは、C60およびC70である。
【0023】
本発明により企図されているフラーレンクラスターは、1種または2種以上のフラーレンを含有し得る。クラスターは、1種のフラーレンを含有することが好ましい。例えば、クラスターは、C60もしくはC70またはその混合物を含有することができるが、1種のみのフラーレン、C60またはC70を含有することが好ましい。
【0024】
ここで記述するように、本発明は、分子クラスターの形態でフラーレンを製造し、使用する。分子クラスターの生成は、2つの方法により例示される。
【0025】
1つの方法において、フラーレンを、機械的に、フラーレン分子の別々の小さな凝集物(クラスター)に砕解する。これは、水、アルコール、天然および合成油等の種々の液体中での圧力衝撃により行われるフレライトの機械的分別に基づく。
【0026】
他の方法は、フラーレンクラスターを水溶性ポリマーおよび/またはポルフィリンで錯化することによりフラーレン固体を液体に可溶化させることからなる。この場合、フラーレンのポリマーおよび/またはポルフィリンとの可溶性錯体は、ポリマーおよびポルフィリンがリガンドとして会合した小さな分子クラスターの形態でフラーレンを主に含むことが示されている。この方法を用いるフラーレンクラスターの生成に有用な水溶性ポリマーの例には、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ビニルピロリドン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のコポリマーが含まれる。
【0027】
水溶性ポリマーおよびポルフィリンは強い共有結合によりフラーレンに化学的に結合させるものではなく、それらはファンデルワールス力を会して綜合作用する。錯体におけるリガンドとフラーレンクラスター間のドナー−アクセプター結合は、フラーレン分子の電子構造を有意に乱すことがない、すなわちフラーレン籠のすべての炭素−炭素二重結合はそのままである。さらに、ドナー−アクセプター結合は、可逆的特性を有し、水相を通して分子クラスターの細胞膜への送給と、細胞膜を透過し得る単一の水和フラーレン分子の放出との双方を確実にする。炭素−炭素二重結合は、本質的にそのままであり、官能基により引き起こされる立体障害が存在しないので、そのように組織中に送給されたフラーレン分子は、高い化学的反応性を保持し、これが、特に抗酸化剤として作用する、水溶性フラーレンクラスターの高い生化学的活性を提供する。
【0028】
ポリマーおよび/またはポルフィリンとの水溶性フラーレン錯体を製造するための典型的な手法の概略を以下に述べる。フラーレンをベンゼン、トルエン等の非極性有機溶媒中に溶かす。そのフラーレン溶液は、1種のフラーレンまたは2種以上のフラーレンを含有し得る。クロロホルム、塩化メチレン、エーテル等の適切な有機溶媒中で別に水溶性ポリマーおよび/またはポルフィリンを調製する。アルゴンが充填された反応器中でフラーレン溶液とリガンド溶液を、反応が進行するために十分な時間混合する。例えば、これは、反応物の濃度と、ほぼ室温から溶媒混合物の還流温度までに渡り得る反応温度とに依存して、30分〜1日間かかり得る。合成のために選択した反応物と溶媒に、および得られる錯体の所望の組成に依存して、フラーレンとポリマーの重量比は、約1:10〜約1:10000、より好ましくは約1:25〜約250、最も好ましくは約1:50〜約1:150に渡り、一方フラーラン/ポルフィリンモル比は、約1〜約10に渡る。PVPの場合におけるように、着色生成物、例えば褐色の生成物が、生成し、水溶性フラーレン/リガンド錯体の生成を指示する。反応が終了した後、真空下、約室温またはやや高温、例えば約50度までで、溶媒を除去する。
【0029】
溶媒を除去した後、フラーレンクラスターを溶解し、溶液を生成させるために十分な量の化粧料ビヒクル、例えば水、アルコール、より好ましくは約7.4のpHを有するホスフェートバッファーをフラスコに添加する。フラーレン錯体のビヒクル中への溶解は、過熱、攪拌、超音波処理または当業者に知られた手段を用いることにより、促進させることができる。好ましい方法は、約15〜50W/cm2、より好ましくは20〜50W/cm2の強度での約30〜約600秒、より好ましくは約30〜300秒の約15〜40kHz、より好ましくは20〜40kHz超音波処理である。
【0030】
任意に、そして好ましくは、フラーレン水溶液をろ過して不純物を除去する。また、フラーレン溶液を蒸発により溶媒堆積を減少させることにより、所定のレベルまで濃縮することができる。
【0031】
フラーレンクラスターを生成するための他の方法は、フレライトをメカノケミカル処理に供することによりフレライト(固体フラーレンまたはフラーレンの固体混合物)を機械的に分散させることによるものである。この処理は、フラーレンをナノサイズのクラスターに分割するために液体媒体中で行われる。好ましくは、フレライトは、約5〜約50nm、より好ましくは約5〜約15nmのサイズまで減少される。フレライトをナノサイズのクラスターに変換させるために、当業者に既知のいずれもの方法を用いることができる。その例には、約0.01〜約100kWのパワー範囲内での、電気水力学的衝撃、超音波および音響処理が含まれる。好ましい方法は、一般により大きな効率を有するより小さなクラスターを生成させることから、電気水力学的(EH)衝撃である。
【0032】
EH効果の本質は、液体内部での高電圧放電のパルス中における大規模および勾配の局所的動的水力学的圧力の発生である。この種の動的圧力は、固体の破砕に効率的であり、かくして液体中に固体の微細分散物を生成させる。EH衝撃によりフラーレンを解離させるために有用であり得る装置の例は、例えば、いずれも参照によりここに組み込まれるバビントンらへの米国特許第6,254,764号、バビントンらへの米国特許第5,868,919号およびジュバンらへの米国特許第4,917,785号に記載されている。
【0033】
フレライトの粉砕についてのEH効果技術にはいくつかの利点がある。
【0034】
電気エネルギーが2つの電極間での火花放電の形態で急激に液体中に放出されるとき、超音波速度で伝播する強い機械衝撃波が生み出される。この衝撃波は、2つのゾーンからなる。衝撃波の急な前縁は、圧縮ゾーンを表し、これは希薄ゾーンにより後続され、そこでは圧力はそのピーク値から小さな負の値に低下した後、その衝撃前の値に戻る。希薄ゾーンは、圧縮ソーンよりも速く移動し、全体的な衝撃波は、移動につれ、振幅が徐々に減少する。両方のゾーンは、液体中で衝撃波を受けた固体粒子の歪みに効果を発揮する。この歪は、流離の機械的特性と衝撃波のパラメータに依存して、最終的に粒子の破壊をもたらす。衝撃波が固体中に入ると、それは拡張方向のすなわち縦方向の応力および剪断または横方向の応力を生じさせる。応力σは、式:σ=ρCVにより、固体の密度ρ、波速度Cおよび固体粒子要素の速度Vに直線的に関係する。この関係は、縦方向および剪断波の双方に適用される。放電により引き起こされるEH衝撃での衝撃波速度は、約18km/sにも達しえ、これは水中の音の速度(〜1.5km/s)を一桁超えるものである。これは、また、水の超音波処理中のキャビテーションマイクロバブルの内破により発生する衝撃波の速度(〜2km/s)よりもはるかに大きい。従って、EH衝撃中に生じる応力の大きさは、超音波処理によるそれを大幅に超えるものである。従って、EH衝撃は、低速の衝撃波を発生させ得る他の処理に比べ、水中に懸濁したフレライト粒子を破砕する上ではるかに効率的である。
【0035】
フレライトの引っ張り強さは、その圧縮強さよりもはるかに小さいので、フレライト粒子の崩壊は、衝撃波の希薄ゾーン中で主として生じる傾向にあり、いわゆる衝撃波の引っ張り相もしくは負の相で終わる。10MPaまでで数マイクロ秒の合計持続時間の負のピーク圧が、水中での衝撃波の引っ張り相で発生する。この引っ張り果汁は、フレライト粒子にわたって伝達され、拡張方向の波前線に平行な面に沿ってフレライト粒子を破壊させる。剪断応力によるフレライト粒子の歪は、波の拡張方向に直角な方向で粒子を分裂させる。このプロセスは、フレライトの剪断強さが低く、他方横方向波速度は横方向波速度に匹敵するので、粒子の破砕に有意に寄与する。
【0036】
これらの主たる破砕プロセスは、キャビテーションバブルの崩壊により生み出される二次衝撃波および液体マイクロジェットにより生じるフレライト粒子破砕により補足される。この二次衝撃波および液体マイクロジェットにより引き起こされるフレライト粒子の破砕は、一般に、フラーレンクラスターに見られるより小さな粒子サイズを形成し得ない。衝撃波の引っ張り相における負圧のピークの大きさが約1MPaを超えるとき、直系が約100マイクロメートルの一時的なキャビテーションバブルが水中に誘発される。キャビテーションバブルの崩壊または内破は、1マイクロ秒未満で生じ、キャビティ内のガスの圧力と温度を、それぞれ、約150MPaおよび5500Cに飛躍させる。このようにして生成したホットスポットは、水中に懸濁された固体粒子を粉砕するになお十分に強力である二次衝撃波を生成させ得るものである。固体表面近傍に生成したバブルの内破は、非対称的であるので、直径が約10マイクロメートルで長さが50マイクロメートルの液体のジェットは、崩壊するキャビティから追い出される。このジェットは、おおよそ毎秒100メートルで表面に向かって移動する。マイクロジェットは、フレライトの表面に衝突し、フレライト粒子の破砕を引き起こす。このプロセスは、ジェットのサイズに相応する、すなわちマイクロメートルの範囲内のフラグメントを生成させるが、ナノメートルのサイズの粒子を生成させることはほとんどできない傾向にある。このことは、さらに、同じ性質および機能のキャビテーションバブルはフレライト懸濁液の超音波処理において生成し、生成した粒子の特徴的なサイズは、両方法において液体中に同様のエネルギーを印加したとき、EH衝撃処理中に得られたそれよりもかなり大きいという事実によって裏付けられる。
【0037】
このように、EH技術は、より一般的な超音波および音波処理に対し、重要な利点を有し、これを、フラーレンのナノサイズのクラスターの製造に好ましいものとさせている。これは容易にスケールアップさせることができる。EHプロセスの重要な特性の容易な制御は、非常に広範なパラメータにおいて確保される。さらに、破砕プロセスに重要な多くのパラメータの程度は、EH衝撃波特性およびEH装置特性の以下のリストから示唆されるように、他の方法では利用できないこのEH儀実によって達成される。
【0038】
典型的な衝撃波フロント立ち上げ時間 − 10〜100ns
合計パルス持続時間 − 100nsないし10μs
ホットプラズマチャンネルにおける最大圧力 − 1〜3GPa
試料上の典型的な正のピーク圧力 − 100MPa
試料上の典型的な負のピーク圧力 − 1〜10MPa
ホットプラズマチャンネルにおける最大温度 − 15000〜40000K
最大初期衝撃波速度 − 10〜18km/s
パルスエネルギー − 0.5CU2=〜1〜100kJ
パルス当たりの比エネルギー − 〜5J/典型的なフラクショネーション反応器における液体のcm3
パルスにおける比出力 − 2NW/液体のcm3
電気エネルギーの機械エネルギーへの変換効率 − 〜50%
放電キャパシタ電圧 − 3〜100kV
パルス放電電流 − 10〜1000kA
電気容量 − 3〜1000μF
放電回路のインダクタンス − 5〜50nH
パルス繰返しの実際的な速度 − 0.2〜20パルス/s
EH装置中では生成物に不純物が導入されない。
【0039】
比較のために、超音波処理技術のいくつかの特性を以下に提示する:
典型的な圧縮波立ち上げ時間 − 50μs
試料上の最大の正のピーク圧力 − 5MPa(典型的には、1〜2MPa)
試料上の最大の負のピーク圧力 − 5MPa(典型的には、1〜2MPa)
圧縮−拡張サイクルの周波数 − 20〜40kHz
水中での超音波速度 − 1.5km/s
キャビテーションバブルの直径 − 60〜200μm
キャビテーションバブルの成長時間 − 100〜400μs
キャビテーションバブルの崩壊時間 − 100ns〜1μs
崩壊したキャビテーションバブル中のガス圧力 − 150MPa
崩壊したキャビテーションバブル中のガス温度 − 5000K
崩壊したバブル近傍の液体温度 − 2100K
電気エネルギーの機械エネルギーへの変換効率 − 〜50%
OHラジカルの収量G 〜1×10-10モル/J;生成したOHラジカルの数 〜1×106/サイクル
連続パワー出力 − 50W〜5kW
パワー出力の表面密度 − 1〜100W/cm2
連続処理のための比出力 − 1〜100W/液体のcm3
【0040】
EH処理および超音波処理の条件下での挙動を評価するために、固体フレライトC60のいくつかの物性を以下に掲げる:
密度 − 1.72g/cm3
体積弾性率 − 14GPa
音の縦方向速度 − 3.6km/s
音の横方向速度 − 2.1km/s
熱伝導率(300K) − 0.4W/mK
フォノンの平均自由行程 − 5.0nm
圧縮性(−dV/dP) − 6.9×10-12cm2/dyn
熱膨張の体積係数 − 6.2×10-5cm3/K。
【0041】
上記データから、EH技術は、固体フレライトを分割する上で、超音波処理よりも効率的であり、特によりエネルギー効率的であり、より生産的であることが明らかである。しかしながら、長い持続時間の超音波処理も、EH技術の生成物からは視覚的にほとんど区別し得ない安定なコロイド溶液の形態でフラーレンクラスターを提供し得る。従って、超音波処理は、フラーレンクラスターの製造のためのもう一つの方法である。これは、乾燥されたフラーレンクラスター生成物の液体中への再分散、フラーレンクラスターと化粧料ビヒクルの混合等のような補助的な操作に効率的に用いることができるからである。しかしながら、先に述べたように、フラーレンクラスターを生成させるより好ましい方法は、EH技術により最もよく成し遂げられる。
【0042】
フラーレンクラスターの構造についてのデータは、多くない。特定の仮定または機器観察に拘束されるものではないが、クラスターの確からしい構造と、得られる溶液の組成を以下に示すことができる。微結晶性フレライトは、機械的に緩いものであり、適切な引っ張りもしくは剪断応力が掛けられるとナノサイズのクラスターに崩壊するようになる。適切に調製されたフラーレンクラスターは、一般に数ヶ月を超える期間にわたり、水または他の所定の液体から沈殿することがない。この安定性の理由は、いまだ明確に確立されていないが、異なる溶媒において異なり得る。
【0043】
水溶性ポリマーおよび/またはポルフィリンは、フラーレンクラスターを安定化させる。拘束されることを望むものではないが、安定性は、以下のとおりに説明することができるものと信じられる。個々の分子と同様の小さなサイズを有するフラーレンクラスターは、ポリマーおよび/またはポルフィリンの電子供与性基との吸引的相互作用を有し、かくして、おそらくフラーレンには結合していないポリマーおよび/またはポルフィリンの極性基の存在により水および他の溶媒に可溶の錯体を形成する。そのような錯体の形成は、分光技術により確認されている。これらの錯体におけるクラスター形態のフラーレンの存在は、互いの密なファンデルワールス接触におけるフラーレン分子に特徴的な可視領域におけるそれらの電子スペクトルでの吸収バンドの出現により裏付けられる。この特徴的な吸収は、一般に、可視領域の短波町域により顕著である。さらに、これは、フラーレンクラスターの溶液に、フラーレンが溶液中に溶解しているならば存在するであろうもの者とは異なる色を与える。例えば、フラーレン60クラスター錯体の溶液は、別々の分子を含有するフラーレンC60の真溶液の紫色の代わりに、黄色ないし褐色の着色を有する。
【0044】
類似のスペクトル特性および色変化は、構造中に二重C=C結合を含む不飽和脂肪酸並びに天然および合成油中のフラーレン、例えばC60の溶液に固有のものである。このことは、これら溶媒中におけるクラスター形態でのフラーレンC60の存在を示している。
【0045】
拘束されるものではないが、リガンド中の分極性二重C=C結合と連結されたC60のようなフラーレンの強い分極性は、可溶性錯体を生じさせるリガンドとフラーレンクラスター間の増大した吸引の原因であると考えられる。この錯体は、クラスターの凝集を、かくして固体フラーレン例えばC60の溶液からの沈殿を、防止する。天然油中のフラーレンの溶解性は、ミリリットル当たり数十ミリグラムに達し、かくしてフラーレンの最良の溶媒である普通の芳香族要害における溶解度を超える。フラーラン分子の天然油および芳香族溶媒の分子との相互作用は、主として上に述べた分極力により実現される。この相互作用の合計強さ、従って溶解度値は、溶媒中に存在し、フラーレン分子との接触に利用できる二重C=C結合の数におおよそ比例するものと仮定することは妥当である。この数は天然油よりも芳香族溶媒においてはるかに高いので、芳香族溶媒中の溶解度もはるかに高いものである。逆も起こるので、このことは、天然油中のフラーレン溶液が実際には真溶液というよりもむしろフラーレンクラスターの安定なゾルであるとの表れであると考えることができる。
【0046】
純水中のフラーレンクラスターの安定性は異なる。拘束されることを望むものではないが、負に荷電したフラーレンクラスターが水中で優位を占めるものと信じられる。負電荷の出現についての最も有望な理由は、フラーレン籠に共有結合したヒドロキシル基の解離であると思われる。これらヒドロキシル基の酸性度は、フラーレン分子の極端に高い電子親和性(例えば、最も小さいフラーレンC60について2.65eV)のために、水分子におけるよりもはるかに高い傾向にある。このことは、下って約3までのpH範囲におけるプロトンの容易な放出と、負荷電粒子の同時形成を確実にする。結合したヒドロキシル基は、フラーレンの二重結合に対するヒドロキシルラジカルの攻撃に由来する。
【0047】
水溶液中のヒドロキシルラジカルの主要な源は、超音波処理または衝撃波通過中に生成するキャビテーションバブルの崩壊である。ヒドロキシルラジカルと二重C=C結合を有する化合物等の有機分子との反応の速度定数は、拡散により制御された値に近く、それ故、例えば超音波処理は、痕跡量のフェノール類および他の有機汚染質を除去するための水精製システムに用いられる。反応は、フラーレンクラスターの場合にも非常に効率的であり、かくして、いくつかのヒドロキシル基を有するクラスターの表面にフラーレン分子を提供する。
【0048】
これらのいくつかのイオノゲンヒドロキシル基は、フラーレンクラスターの表面に電気二重相を形成するために、かくしてコロイド粒子を合体に対して安定化させるために必要である。存在するヒドロキシル基の量は、クラスターのサイズおよび媒体のpHに依存して変化し得、少な過ぎて検出できないこともありえる。それにもかかわらず、そのような少量のヒドロキシル基の存在を明らかにし得る機器技術が存在する。具体的には、超音波によりまたはEH衝撃処理により水中で安定化されたフラーレン例えばC60のスペクトルにおける450nm付近に幅広い光吸収が生じる。それは、一般に、官能基、特にヒドロキシル基の結合により生じる、フラーラン分子の電子構造の乱れに帰せられる。450nmにおけるこの吸収は、共通的に、種々の非共有的結合リガンドとのフラーレンクラスター錯体の場合に関して上に述べたフラーレン間ファンデルワールス相互作用から生じるそれから予期され得るものよりもはるかに強い。450nmでのこの増大した吸収は、かくして、ヒドロキシル化されたフラーレン分子(フレロール)を表面に有するフラーレンクラスターが生成することの追加の証拠を提供する。
【0049】
この構造モデルにおいて、拘束されることを望むものではないが、クラスター中の内部フラーレン分子は、大きく不変であり、フラーレン間ファンデルワールス力により互いに保持されるものと推測される。しかしながら、いくつかの低次のフレロールをクラスターの内部空間に組み込むこともできる。フレロールは、また、結晶性のファン出るワールス構造を形成し得るからである。拘束されることを望むものではないが、その用に構築されたフラーレンクラスターは、細胞間媒質を通して細胞膜に輸送され得ると信じられる。
【0050】
フラーレンクラスターが水和した単一フラーレン部分と動的平衡において存在することを確認する実験的観察が存在する。こうして生成した水和フラーレン分子は、フレロールであるか、そのままのフラーレン籠であるかのいずれかであり得る。後者の存在は、文献に仮定されてきており、C60のようなそのままのフラーレン籠の水分子による溶媒和の分子モデルが設計されている(図1)。液体状態の水は、事実上の結晶構造を有する。分子モデルにおいて、C60フラーレンは、80個の水分子から構成される中空の20面体内に位置する。内部の20個の水分子は、理想的には、フラーレンC60中の20個の6員環のそれぞれと、ベンゼン分子との水素結合に最適な位置である上記環上に直接位置することにより、OHp 水素結合を形成するように位置する。これらの20個の水分子は、20面体の外側シェルからの60個の完全水素結合水分子を会して結合される。また、水和低次フレロールの安定性は、キャビティとフラーレン分子とのこのかなり独特の構造的一致性から利益を受けるものと信じられる。
【0051】
拘束されることを望むものではないが、水和された単一籠低次フレロールおよび水和された元のフラーレン分子は、細胞膜を貫通し、細胞代謝に関与する一方、より大きなフラーレンクラスターは細胞外におけるフラーレンの生化学的活性のみの原因であると思われるものと信じられる。これらの可溶性形態のフラーレンの平衡共存は、フラーレンの種々の既知の有用な機能の化粧料用途における理由付けに用いることができ、新しい化粧料システムを設計するための基礎を構成する。
【0052】
ここで生成するフラーレンのクラスターは、水溶液、またはアルコールおよび油のような有機溶媒中に置くことができる。後に化粧品において使用することを目的とするフラーレン含有物質のEH分散物および超音波分散物にとって最も適切な溶媒は、水または、1〜6個の炭素原子を含有するアルコールのようなアルコール、並びに天然または合成油である。ここで定義される天然油は、1またはそれ以上の二重結合並びにC=OおよびC−OH基を有する種々の天然化合物の複雑な混合物である。好ましくは、それらは、ポリ不飽和脂肪酸−約16〜約k38個の炭素原子のものである。ポリ不飽和脂肪酸中の官能基間に位置する炭化水素フラグメントの柔軟性は、ポリ不飽和脂肪酸の官能基のいくつかとフラーレンクラスターとの同時のドナー−アクセプタータイプの相互作用を可能とし、この相互作用は、フラーレンの油中での高い溶解性の原因である。油中でのフレライトのEHおよび超音波処理中でのフリーラジカルの過剰な生成を防止するために、印代われるパワーの密度は、水およびアルコール液体媒体についての最適値のほぼ半分まで減少させるべきである。例えば、10〜18W/cm2のパワー密度レベルでの超音波分散処理は、種々の油中へのフレライトの溶解に最適であり、油の品質の低下、またはポリ不飽和脂肪酸分子のフラーレンへの化学結合のいずれも生じさせない。こうして油中に得られるフラーレンクラスター溶液は、さらに精製することなく化粧料組成物の調製に用いることができる。
【0053】
本発明の組成物におけるフラーレンクラスターは、水溶性ポリマーおよび/またはポルフィリンと会合させることができる。フラーレンクラスターと会合し得る水溶性ポリマーの例には、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビニルピロリジン、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのコポリマー等が含まれる。その代わりに、またはポリマーおよび/または水溶性ポリマーと組み合わせて、本発明のフラーレンクラスターはテルペンと会合させることができる。
【0054】
テルペンは、最も単純な式C1016の化学化合物である。しかしながら、テルペンは式(C58n(ここで、n>2)の不飽和不飽和非環式および環式炭化水素であることが問題である。テルペンは、エーテル油の成分である。テルペンは、天然の炭化水素であり、植物に含まれている。テルペンは、イソプレン単位から構成されている。イソプレン(2−メチルブタジエン−1,3)すなわちCH2=C(CH3)−CH=CH2は、カロテノイド(例えば、β−カロテン)およびクロロフィルの一部であるフィトールと同様、そのような天然物質の成分である。エーテル油例えば樟脳油は、テルペンばかりでなく、テルペン誘導体(アルコール、アルデヒド、ケトン、エステルおよびエーテル)をも含有する。
【0055】
テルペンは、かなりの量のフラーレンを溶解させることができる。例えば、テルペンまたは上記誘導体中のC60の溶解度は、約3〜約20mg/mlの範囲にわたる。テルペン中へのフラーレンの溶解は、本明細書において「水、油および不飽和酸中へのフラーレンの溶解」について記載されるものと同じ物理的活性化手段を実行することにより促進される。これらの手段には、とりわけ、フラーレンと液状テルペンの混合物に適用される超音波処理および電気水力学的衝撃技術、並びに、高温、攪拌、浸軟、ケトンアトリッションミル等の普通の補助的処理が含まれる。
【0056】
テルペンのアルキル(C1〜C6)エーテルまたは酸を除き、アルコール、アルデヒドおよび低級アルキル(C1〜C6)エステルのようなテルペン誘導体もフラーレンクラスターと会合させることができる。テルペン並びに誘導体中のテルペン部位は、少なくとも10個の炭素原子を含有し、ここでmは少なくとも1、好ましくは100以下、より好ましくは10以下、最も好ましくは1である。その例には、
ゲラニオール、C1017OH(バラの匂いを有するアルコール)、
シトロネロール、C1019OH(バラの柔らかい匂いを有するアルコール)、
シトレル、C915CHO(レモンの香りを有するアルデヒド)、
酢酸リナリル、CH3COOC1017(ラベンダーの匂いを有するエステル
メンソール、C1019OH(ミントの匂いを有する)、
テルピネオール、C1017OH(ライラックの匂いを有する)
が含まれる。
【0057】
これらのテルペン溶媒は、香料および化粧料においてフレグランスとして広く用いられている。さらに、それらのいくつか、例えばメンソールは、強い殺菌性を有する。これは、適切なフラーレンクリームにおける他の保存料を減少させ、および/または排除する。保存料はしばしばアレルギー性薬剤である。
【0058】
テルペンおよびその誘導体におけるフラーレンの高い溶解性は、フラーレン化粧料中でのこれらの溶媒の効率的な使用を可能とさせる(例えば、クリーム中に十分に高い濃度のフラーレンを達成することを可能とする)。フラーレンは、これらの溶液中において、クラスターの形態で存在する。すなわち、フラーレンは、クラスターとしてこれらテルペン溶媒に、そして最終的にクリームまたは軟膏またはルージュ、その他フラーレン化粧料が利用されるものに可溶化される。その中でフラーレンは、テルペン中に、本質的に(ナノ)コロイド溶液に近い形態で懸濁されたクラスターである。
【0059】
可溶化されたテルペン(フラーレンクラスター)は、当該分野でよく知られている一般的な操作により、クリームまたは他の化粧料に容易に組み込んで、優れた品質の化粧料を得ることができる。
【0060】
油および不飽和酸と関連してフラーレンクラスターに関するここでの論評は、テルペンに等しく当てはまる。
【0061】
本組成物におけるフラーレンクラスターは、化粧料的に有用な物質と組み合わせて化粧料組成物を形成する。化粧料的に有用な物質には、限定されないが、抗酸化剤、バインダー、充填剤、キレート化剤、着色料、エモリエント、エマルジョン安定剤、フィルム形成剤、フィラー、フレグランス成分、ゲル化剤、毛髪コンディショナー、毛髪固定剤、湿潤剤、可塑剤、保存剤、皮膚コンディショナー、溶媒、日焼け止め、界面活性剤、紫外光吸収剤、粘度制御剤およびワックスが含まれる。種々の他の化粧料的に有用な物質は、参照によりここに含めるCTFS化粧料成分ハンドブック、J.M.ニキタキス編、第1版、51〜101頁(1988)に見いだすことができる。
【0062】
本発明の化粧料組成物には、ワックスを含有する組成物が含まれる。
【0063】
本発明に従って調製されるフラーレンクラスターは、化粧料的に許容され得るキャリヤーと併せられる。このビヒクルは、水溶液、例えば水;または極性有機溶媒、アルコール、例えばエタノール、あるいは他の極性溶媒;天然または合成油;水中油型エマルジョン;または油中水型エマルジョン;またはワックス等であり得る。このキャリヤーは、明らかに、非毒性であるべきである。本発明の組成物の好ましいキャリヤーは、水性溶媒である。
【0064】
機能に依存して、本発明の化粧料組成物は、溶液(ローションタイプの組成物)、増粘溶液、ゲル、軟膏、エマルジョン(クリーム、ミルク)、ベシクル分散液、パウダー、濃密パウダー、ペーストまたは固体剤のような種々の形態で提供することができる。より具体的には、本発明の化粧料組成物は、限定されないが、頬紅、クリーム(美顔用クリーム、ハンドクリーム、肌に潤いを与えるクリーム、日焼け止めクリーム等)、クリームパウダー、アイライナー、アイシャドー、ペンシル型眉墨、ファンデーション、ローション、マスカラ、マイクロエマルジョン、軟膏、ポマードおよびルージュ等の種々の形態に分散させることができる。それらは、また、フォームまたはスプレーの形態での適用を可能とする噴射剤を含有する圧力パック中にパッケージすることができる。
【0065】
ここで記述するフラーレンクラスターは、種々のタイプの化粧料組成物に添加することができる。例えば、それらは、ヒト表皮、毛髪、粘膜を保護する薬理学的組成物;皮膚および表面的な身体発育のためのメークアップ組成物;歯磨剤のような頬歯用の組成物またはコレグリアのような眼科用組成物等に添加することができる。
【0066】
本発明のフラーレンクラスターは、本明細書に記載するように、化粧料的に有効量で、または薬理組成物に使用されるときは、治療的に有効量で存在する。好ましくは、それらは、本発明の組成物中に、総組成物の約0.01〜約50重量%、より好ましくは約0.02〜約10重量%、最も好ましくは約0.05〜約2重量%で存在する。
【0067】
本発明による化粧料組成物を、毛髪の保護に用いる場合、それらは、シャンプー、ローションまたはゲル;またはリンスされる、またはシャンプーの前または後に適用される、染色または漂白の前または後に適用される、または毛髪のパーマネント掛けもしくは毛髪ストレート化処理の前、間もしくは後に適用される組成物の形態で提供され得る。それは、また、毛髪スタイリングもしくは処理ローションもしくはゲル、ブロー乾燥または毛髪セットのためのローションもしくはゲル、毛髪ラッカー、パーマネント掛けもしくは毛髪ストレート化用の組成物、または毛髪の染色もしくは漂白のための組成物の形態でも提供され得る。
【0068】
本発明の組成物を睫毛、眉または皮膚用のメークアップ製品として用いる場合、それは、ファンデーション、リップスティック、アイシャドー、頬紅、アイライナー、マスカラ、または表皮を処理するためのクリームの形態で提供される。
【0069】
本発明の組成物を薬学的組成物、例えば消毒組成物、筋および皺の出現を減少させるための組成物、湿潤剤等として用いる場合、それは、好ましくは、ミルクやクリームのようなエマルジョン、ゲル、ローション、軟膏、またはベシクル分散液の形態で提供することができ、薬学的に活性奈成分を含有することができる。
【0070】
化粧料組成物は、天然または合成のワックスを含有することができる。天然ワックスは、ラノリン、蜜蝋、鯨蝋、またはラノリンアルコール、水素化またはアセチル化ラノリン、ラノリンの脂肪酸もしくはアセチル化ラノリンアルコールのようなラノリン誘導体のような、動物起源のもの、またはカルナバ、カンデリラ、カポック、米、水素化ホホバ、アルファもしくは和蝋もしくはコルク栓に、サトウキビワックス、ココアバターなどの植物期限のものであり得る。あるいは、パラフィン、モンタン、リグナイト、ペトロラタム、ペトロラタムワックスまたは微結晶ワックス、セレシンまたはオゾケライトのようなミネラルワックスが化粧料組成物に存在し得る。用いることのできる合成ワックスの例には、ポリエチレンワックス、フィッシャー−トロプシュ合成により得られたワックス、およびミリスチン酸ミリスチルのような、飽和C10〜C40カルボン酸と飽和C10〜C40アルコールとの反応により生成する線状エステルが含まれる。使用し得る他のワックスには、カルシウムラノレートもしくは捨てアレーと、または水素化ココナツ油などが含まれる。
【0071】
化粧料組成物は、植物もしくは動物起源の未修飾または修飾油、例えばスウィートアーモンド油、アボカド油、ヒマシ油、オリーブ油、ホホバ油、ヒマワリ油、小麦麦芽油、ゴマ油、ラッカセイ油、ブドウ種子油、大豆油、サフラワー油、ココナツ油、トウモロコシ油、ヘーゼルナッツ油、ケライトバター、パーム油、杏仁油、カロフィラム油またはペルヒドロスクワリンを含有することができる。さらに、油相は、ミネラル油、例えば、流動パラフィン、流動ペトロラタム等であり得る。油は、合成油、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ペニシリン油(オクタン酸ステアリル)のような脂肪酸エステル、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リノール酸、ラノレン酸のような不飽和脂肪酸、または揮発性もしくは不揮発性イソパラフィン、例えばC8〜C16イソパラフィンなどであり得る。
【0072】
さらに、油は、オレイルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のようなC12〜C18脂肪アルコールであり得る。
【0073】
エマルジョンとして存在する場合、本発明の乳化組成物は、油相と水相を含む。油相は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、約1〜約75重量%にわたる量で、より好ましくは約5〜約60重量%、最も好ましくは約40〜60重量%の量で存在する。
【0074】
水相は、水性ゲルおよび化粧料エマルジョンに普通に用いられている助剤を含むことができる。水相は、約0.5〜約20重量%で存在し得、また低級C2〜C6モノアルコールおよび/またはグリセロール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール等のようなポリオールを含み得る。
【0075】
乳化化粧料組成物を調製する助けとして乳化剤を用いることができる。いずれもの化粧料的に許容され得る乳化剤を、所望の乳化効果を提供する量で用いることができる。乳化剤は、一般に、既知の石鹸および界面活性剤から選ばれる。好ましくは、乳化剤は、ステアリン酸、ソルビタンセスキノレエート、ポリエチレングリコール(PEG−30)、ジポリヒドロキシステアレート、レシチン、ステアリン酸マグネシウム、並びにそれらの誘導体および混合物から選ばれる。乳化剤は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、約0.5〜約30重量%にわたる量で、より好ましくは約1〜約12重量%、さらに好ましくは約4〜約8重量%で用いられる。
【0076】
増粘剤も存在し得る。化粧料に通常用いられているいずれもの増粘剤を用いることができる。その例には、変性ケイ酸マグネシウム(レオックスからのベントンゲルVS38)、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドにより変性されたヘクトキサイト(レオックスからのベントン38CE)のような変性クレー、架橋ポリアクリル酸、並びに変性されても変性されていなくてもよいグアーガムおよびセルロースが含まれる。
【0077】
本発明の組成物は、また、フィルム形成性化合物を含有し得る。フィルム形成性化合物は、例えば水性分散体中のアクリル、ポリエステルおよび/またはポリウレタンポリマーのような水性分散体中のポリマー、例えば、水性分散体中の部分中和酢酸ビニル/ビニルp−tert−ブチル/ベンゾエート/クロトン酸コポリマーから選ぶことができる。
【0078】
本発明の組成物は、また、着色剤を含有することができる。これらの着色剤は、一般に水性および有機媒体に不溶性の無機もしくは有機顔料、または水性もしくは有機媒体に可溶性の染料のいずれかであり得る。
【0079】
潤滑剤は、もう一つの任意成分である。潤滑剤は、一般に、組成物のソフトでなめらかな感触を手に生み出す上で助けとなる。その例には、C12〜C15アルコールの安息香酸エステル、シクロメチコーン、ジメチコーンおよびそれらの誘導体のような揮発性シリコーンが含まれる。本発明に有用なシラン含有化合物の例には、シクロメチコーン四量体および五量体(ダウコーニング244または245流体として入手し得る)、またはステアリルジメチコーン(ダウコーニング2503コスメティックワックスとして入手し得る)、またはシクロメチコーンポリオール、ジメチコーンポリオール、セチルジメチコーンコポリオール、フェニルメチコーン、フェニルトリメチコーン等のようなその誘導体が含まれる。当業者は、シリコーン含有化合物は、乳化剤としても機能することを認識するであろう。
【0080】
シリコーン含有化合物は、好ましくは、組成物の総重量の約1〜約50重量%にわたる量で、より好ましくは約5〜約30重量%、最も好ましくは約10〜約25重量%で存在する。
【0081】
化粧料組成物には、湿潤剤を添加することもできる。「湿潤剤」は、皮膚に湿潤効果を提供する剤であり、例えば湿気付与剤である。湿潤剤は、湿潤効果的量で存在する。湿潤剤の例には、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ナトリウムPCA、グルカンE−10、グルカンE−20等が含まれる。好ましくは、湿潤剤は、総組成物の重量の約0.1〜10重量%、より好ましくは約0.1〜約5重量%、最も好ましくは約1〜約5重量%に渡る量で存在する。
【0082】
加えて、任意に、エモリエントが存在し得る。組成物は、1種またはそれ以上のエモリエントを含有することが好ましい。エモリエントは、滑らかでソフトな感触を皮膚表面に与えるために使用される。これは、測定し得るような皮膚の加湿レベルおよび/または皮膚の液体バリヤーへの影響なしに行われる。エモリエントの例には、アボカド油、オリーブ油、ヒマワリ油のような植物トリグリセリド、オレイン酸ソルビタン、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸グリコールのような有機酸エステル、グリセリン、ペトロラタム、ワセリン等が含まれる。エモリエントは、組成物の約1〜約50%に渡る量で、より好ましくは、組成物の約5〜約40%、最も好ましくは約10〜約25%で存在し得る。
【0083】
さらに、本発明の化粧料組成物には、抗酸化剤も存在し得る。抗酸化剤は、天然でも合成でもよい。その例には、トコフェロール、ビタミンE誘導体例えばビタミンEリノレエート、ビタミンE、ビタミンE POEスクシネート、ビタミンEアセテート、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビルおよびアスコルビル−PMGが含まれる。抗酸化剤は、有害な酸化剤、例えば一重項酸素を中和するに効果的な量で用いられる。好ましくは、抗酸化剤は、約0.1〜約5重量%、より好ましくは約0.5〜1重量%の範囲内で存在する。
【0084】
化粧料組成物は、また、例えば当該分野で知られている、組成物中のエモリエントの油状感触例えばクリームを低減する成分、例えばPPG−2−ミリスチルエーテルプロピネート、パルミチン酸イソプロピル等を含有することもできる。存在する場合、それらは、組成物の約1〜約30%、よりこの間シックは約5〜約25%、最も好ましくは約10〜約20重量%の量で存在する。
【0085】
pH調節剤は、組成物の酸性度を所望の範囲、好ましくは約6〜8に調節するために普通に使用されている。一例は、アミノメチルプロパノールである。このpH調節剤は、組成物のpHを所望のpH範囲へと変化させるために効果的な量で添加される。好ましくは、それは、総組成物の0.4重量%未満の量で存在する。
【0086】
任意に、日焼け止め剤も存在し得る。表現「日焼け止め剤」は、紫外線を吸収し、遮蔽し、または紫外線が皮膚を透過することを防止する上で有用な日焼け止め剤である。好ましくは、日焼け止め剤は、二酸化チタンまたは酸化亜鉛であり、より好ましくは日焼け止め剤は、ポリマー材料または他の化粧料的に許容され得るコーティングで被覆される。日焼け止め剤の例は、ステアリン酸アルミニウムで被覆された微粉化二酸化チタン、またはC9〜C15ポリフルオロアルキルホスフェート、ポリマー被覆酸化亜鉛、アミノ安息香酸(PABA)およびそのエステル、ベンゾフェノン−3、サリチル酸オクチル、アントラニル酸メンチル、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸等である。
【0087】
具体的には、日焼け止め剤は、最小陽射しよけについて2〜12の、中間陽射しよけについて12〜30の、高度陽射しよけについて30を越える日焼け防止指数(SPF)を提供する。
【0088】
組成物の残りは、助剤、フィラー、有機溶媒(例えば、アルコールおよび油)、バッファー、香料、自己日焼け剤(例えば、ジヒドロキシアセトン)等並びに他の化粧料的に許容され得るキャリヤーおよびフィラーから選ばれる慣用の添加剤から構成される。本化粧料組成物に用いることのできる他の通常の添加剤には、分散剤および防腐剤が含まれる。通常の添加剤の量は、典型的に、組成物の総重量の約0〜約20重量%にわたり、好ましくは約1〜約15重量%、より好ましくは約4〜約10重量%である。
【0089】
組成物の残りのパーセンテージすなわち残部は、水である。水は、皮膚に対する組成物の均一な分布を確保するビヒクルである。使用する水は、脱イオン水または蒸留水であることが好ましく、水の量は、典型的には、約10から約80重量%まで、最も好ましくは約20から約40重量%までのいずれかにある。
【0090】
好ましい態様において、本発明の化粧料組成物は、クリームまたはローションまたは軟膏であるが、最も好ましくはクリームである。キャリヤーは、好ましくは水である。好ましいクリーム組成物は、フラーレンクラスター成分に加えて、高いユーザ特性を確保するために必要な当業者に既知の化粧料成分を含有する水中油型エマルジョンとして配合される。1つの好ましい態様において、これらの成分には、好ましくは組成物の約0.5〜約1重量%の量のペトロラタム、特に白色ワセリン、好ましくは組成物の約0.5〜約1重量%の量のラノリンアルコール、好ましくは組成物の約3〜約6重量%の量のPPG−2−ミリスチルエーテルプロピオネート、好ましくは組成物の約5〜約10重量%の量の鉱油、好ましくは組成物の約0.2〜約0.8重量%の量のトリエタノールアミン、好ましくは組成物の約2〜約4重量%の量の、好ましくは蒸留された、グリセロール、好ましくは組成物の約15〜約20重量%の量のステアリン酸、好ましくは組成物の約10〜約15重量%の量のパルミチン酸イソプロピルが含まれ、残りの量は水である。化粧料または薬学的組成物に通常存在するフレグランス、香料、ビタミンおよび上に述べたもののような当業者に知られている他の成分並びに抗酸化剤および着色料も、特定の所望されるクリーム配合に依存して、存在し得る。
【0091】
上記のように調製され、フラーレンクラスターを含有する本発明の化粧料組成物は、いくつかの有用性を有する。第1に、それらは、本発明のいくつかの好ましい態様で述べた、皮膚に対し顕著な若返り効果を生じさせる。
【0092】
フラーレン中の二重結合が還元−酸化(レドックス)反応に容易に利用できる限り、本発明の化粧料組成物は、フラーレンクラスターのキャパシティに依存して、連鎖ラジカル酸化プロセスを阻止する強い負の触媒作用を誘起する傾きのある強い抗酸化特性を有する。皮膚細胞における代謝反応中に生成するフリーラジカルは、皮膚老化の主要因であると信じられる。本発明の化粧料組成物は、効果的な量で皮膚に適用されたとき、細胞に対するフリーラジカルによるダメージを防止し、かくして、皮膚を若返らせ、そして、特に皺の出現を減少させる。
【0093】
本発明の組成物は、毎日、より好ましくは毎日2回皮膚に適用することができる。目立った、安定な若返り効果を達成するために、組成物の有効性は通常最初の数回の適用から始まって目に見える結果を与えるが、組成物は複数の週または月にわたって定期的に適用すべきである。しかしながら、適用の率および所要期間は、有効成分の濃度に依存して変化し得る。当業者は、所要の若返り効果を提供するために好適な適用処方計画を設計することができる。
【0094】
ヒト体内のミトコンドリアは、正常な細胞代謝のプロセスにおいて年間キログラムオーダーのフリーラジカルを生成する。フリーラジカルにより開始される酸化によるダメージに対し細胞が防御する能力は、経時的に減少し、これが通常の老化現象として一般的に認識される細胞および器官の機能不全の原因である。フリーラジカルの追加の源が現れるとき、促進された老化が生じる。二酸化硫黄、オゾンおよび窒素酸化物のようないくつかの大気汚染室は、フリーラジカルにより開始される活性を有し、かくしてフリーラジカルの追加の外因性の源となる。外部の媒体と永続的に接触する生きている細胞(特に、皮膚、頭皮、ある種の粘膜)は、特に、ガス状汚染室の毒性効果に供される。これらの効果は、輝きが失われた肌の色および皺の早期生成に現れる皮膚の促進された老化、および活気の低下と毛髪の光沢のない外観をもたらす。本発明の組成物は、皮膚の促進された老化を減少させ、毛髪を再活性化させる上で効果的である。
【0095】
紫外線への暴露により、もう一つのフリーラジカルの外因性の源が皮膚、毛髪および粘膜にもたらせられる。老化現象を引き起こし得ること以外に、UV線は、現在、皮膚の腫瘍を誘起する主要因であると考えられている。UV放射線により生成するラジカル種は、皮膚脂質の酸化における犯人であると特にみなされており、また脂質過酸化物は光発癌を引き起こす要因の一つであると考えられている。特に、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODCと略記)の誘発は皮膚腫瘍の早期マーカーであり、有機過酸化物は表皮におけるODCの生成を誘発し得るものであることが知られている。R.L.バインダーら、Carcinogensia、Vol.10、No.12、2351−2357(1989)参照。いくつかのフラーレンクラスターは、皮膚中のODCのレベルを減少させ得る。フラーレンクラスターは、活性フラーレン分子を皮膚細胞中に送給するその能力のために同じ性質を有する。かくして、本発明の化粧料組成物は、さらに、皮膚癌の危険性を防止または制限することを可能とする。このことは、本発明の組成物の皮膚表層ボディへの局所適用についての実験で観察された、皮膚表層ボディ発育における正の変化により確認されている。
【0096】
本発明のフラーレン含有化粧料は、皮膚の外側表面層上の細菌毒素を破壊し、これはこれまで研究されたほとんどの組成物の適用の際の、毒素に関係する特徴的な臭いの着実な排除から判定できる。さらに、本発明のフラーレン含有化粧料は、殺細菌剤であり、皮膚を細菌の攻撃から保護する。ここでのフラーレンクラスターおよびフラーレンは、人工的な分子であり、細菌はこれに対し自然の防御を持たない。細菌は、広範な分子を破壊し、消化する酵素を備えた自由な生きている生物である。しかしながら、拘束されることを望むものではないが、細菌はフラーレン分子を消化し得ない一方、後者は、酵素巨大分子における構造的運動を制限することにより酵素活性を阻止し得、かくして最終的に細菌の死亡を生じさせるものと思われる。
【0097】
本発明のフラーレンクラスターは、抗炎症および防腐活性を示す。それらは、ここに定義するように、創傷に対し修復活性を有し、皮膚下での水の蓄積および組織の水膨潤を減少させる。それらは、抗発生効果を有し、組織が修復されるとき、顆粒化組織を抑制し、皮膚過剰の上皮層の成長を抑制する。
【0098】
より具体的には、フラーレンクラスターを含有するフラーレン組成物は、皮膚、粘膜、筋肉、血管、リンパ管、神経組織、腺、腱、目および軟骨を含む、コラーゲンもしくは上皮含有組織のような軟組織(すなわち、石化していない組織)における創傷の治癒の増幅または向上のための有益な剤である。それは、軟組織の創傷の治癒または予防に特に有用な効果を発揮する。
【0099】
従って、本発明は、i)創傷の治癒のため、ii)創傷の治癒の向上のため、および/またはiii)軟組織の再生およびまたは修復のための、薬学的および/または化粧料組成物におけるフラーレンクラスターの使用に関する。
【0100】
他の側面において、本発明は、創傷の治癒を向上させる、または軟組織の再生および/または修復を促進する方法に関し、その方法は、必要とする哺乳動物に、治療的または予防的効果量のフラーレンクラスターを投与することを包含するものである。
【0101】
さらに、フラーレンクラスターは、軟組織および硬(すなわち石化)組織状態の双方の治療に使用し得る抗細菌および/または抗炎症特性を有する。
【0102】
ここで用いている創傷および/または潰瘍は、皮膚から、または粘膜表面上に、突き出たものとして、または器官における梗塞(「発作」)の結果として、通常見いだされる。創傷は、軟組織欠陥または損傷の、または下側の状態の結果であり得る。このコンテキストにおいて、用語「皮膚」は、ヒト等の動物の身体の最も外側の表面に関するものであり、健常なもしくはほとんど健常な皮膚並びに損傷した皮膚表面を含む。用語「粘膜」は、ヒトのような動物の損傷していないまたは損傷した粘膜に関するものであり、口腔粘膜、頬粘膜、耳粘膜、鼻粘膜、肺粘膜、眼粘膜、胃腸粘膜、膣粘膜、または直腸粘膜であり得る。
【0103】
本コンテキストにおいて、用語「創傷」は、組織構造の正常な完全性の断裂を伴う身体的損傷を意味する。この用語は、また、用語「傷」、「外傷」、「壊死」、および「潰瘍」を包含することも意図されている。通常、用語「傷」は、皮膚または粘膜のほとんどすべての外傷のためのよく知られた用語であり、用語「潰瘍」は、壊死組織の剥脱により生じる、器官または組織の表面の局所的欠陥もしくは窩である。外傷は、一般に、いずれもの組織欠陥に関する。壊死は、感染、損傷、炎症または梗塞から生じる致死組織に関する。
【0104】
本コンテキストで用いられている用語「創傷」は、治癒が開始する前の段階または外科的切開のような特定の創傷がなされる前の段階(予防治療)等の治癒過程におけるいずれもの特定の段階での、いずれもの創傷を意味する。
【0105】
本発明により防止および/または治療され得る創傷の例は、例えば、非感染創、挫創、切創、裂創、非穿通創(すなわち、皮膚の断裂はないが下側の組織に障害がある創傷)、開放傷、穿通創、穿孔創、つききず、膿創、皮下創等である。本発明により防止および/または治療される傷の例には、褥瘡、アフタ性口内炎、クロム瘡、単純ヘルペス、圧力瘡等が含まれる。本発明により防止および/または治療され得る潰瘍の例には、例えば、消化性潰瘍、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、通風性潰瘍、糖尿病性潰瘍、高血圧虚血性潰瘍、うっ滞性潰瘍、静脈性潰瘍、舌下潰瘍、粘膜下潰瘍、症候性潰瘍、栄養性潰瘍、熱帯性潰瘍、例えば淋病(尿道炎、子宮頸管内炎(endocervicitis)および直腸炎を含む)により引き起こされる性病性潰瘍が含まれる。本発明により成功裏に治療され得る創傷または傷に関係する状態は、やけど、炭疽、破傷風、ガス壊疽、スカラチナ(scalatina)、丹毒、サイコーシス・バルバエ(sycosis barbae)、毛包炎、伝染性膿痂疹または水疱性膿痂疹等である。用語「創傷」と「潰瘍」および「創傷」と「外傷」と「傷」の使用には、しばしば、ある種の重複があり、これら用語は、しばしば、無作為に用いられる。従って、上に述べたように、本コンテキストにおいて、用語「創傷」は、用語「潰瘍」、「外傷」、「傷」および「梗塞」を包含し、これら用語は、別段の指摘がない限り、無差別に使用される。
【0106】
本発明により治療される創傷のタイプには、また、i)例えば外科的、外傷性、感染性、虚血性、熱性、化学的および水疱性の創傷のような一般的な創傷、およびii)例えば新生物、やけど(例えば、化学的、熱的)、外傷(細菌性、ウイルス性、自己免疫学的)、かみ傷および外科的切傷のような皮膚上の創傷が含まれる。創傷の他の分類の仕方は、i)外科的切開、わずかな擦過およびわずかな噛みによる小さな組織損失として、またはii)有意の組織損失としてのものである。後者のグループには、虚血性潰瘍、褥瘡、瘻孔、裂傷、重度のかみ傷、熱傷および採皮部創傷(軟組織および硬組織における)および梗塞が含まれる。
【0107】
本発明の他の側面において、防止および/または治療される創傷は、非感染創、梗塞、挫創、切創、裂創、非穿通創、開放傷、穿通創、穿孔創、つききず、膿創および皮下創から選ばれる。
【0108】
本発明に関するフラーレンクラスターにより治療または防止される重要な他の創傷は、虚血性潰瘍、褥瘡、瘻孔、重度のかみ傷、熱傷および採皮部創傷のような創傷である。
【0109】
虚血性潰瘍および褥瘡は、通常は非常にゆっくりと治癒されるだけである創傷であり、特にそのような場合、改善され、より迅速な治癒は、いうまでもなく、患者にとって非常に重要である。さらに、そのような傷を負った患者の治療にかかる費用は、治癒か改善され、より迅速に生じるなら、大幅に減少する。
【0110】
採皮部創傷は、例えば、例えば移植に関して身体の一部から硬組織を除去し、身体の他の部分に移すことに関連して生じる傷である。そのような手術により生じる創傷は、非常に痛みのあるものであり、従って改善された治癒は最も価値の高いものである。本発明のフラーレンクラスターまたはこれを含有する組成物はそのような創傷の治療に有用である。
【0111】
用語「皮膚」は、皮膚の表皮層、および、皮膚の表面が多かれ少なかれ傷ついている場合には、皮膚の真皮層をも包含する非常に広い意味で用いられている。角質層とは別に、皮膚の表皮層は、外側(上皮)層であり、皮膚のより深い結合組織は真皮と呼ばれる。
【0112】
皮膚は身体の内最も露出された部分であるので、例えば裂け、カット、擦過、やけどおよび凍傷や、種々の疾病から生じる傷のような種々の傷に特に敏感である。さらに、多くの皮膚は、しばしば、事故により破壊される。しかしながら、皮膚の重要なバリヤーと生理学的機能により、皮膚の完全性は、個体の安寧に重要であり、どのような裂けや断裂でも、その存続を守るために身体により遭遇する脅威を表す。
【0113】
皮膚上の傷とは別に、傷は、また、全ての種類の組織(すなわち、軟組織および硬組織)中に存在し得る。粘膜および/または皮膚等の軟組織上の傷は、本発明に特に関係がある。本発明のフラーレンクラスターまたはこれを含有する組成物は、ここに記載する種々の創傷、傷および潰瘍の治療に有用である。
【0114】
皮膚上または粘膜上の創傷の治癒は、皮膚または粘膜の修復または再生のいずれかをもたらす一連の段階を経る。近年、修復と再生は、生じえる2つのタイプの治癒として区別されている。再生は、失われた組織の構造と機能が完全に更新される生物学的プロセスとして定義され得る。他方、修復は、崩壊された組織の連続性が、失われた組織の構造と機能を複製しない新しい組織により回復される生物学的プロセスである。
【0115】
創傷の大部分は、修復を通して治癒し、生成した新たな組織は元の組織(瘢痕組織)とは構造的にも化学的にも異なるものであることを意味する。組織の修復の早期の段階では、ほとんど常に含まれる1つのプロセスは、組織の傷の領域における一時的な結合組織の形成である。このプロセスは、繊維芽細胞による新しい細胞外コラーゲンマトリックスの形成により開始される。そこでは、この新しい細胞外コラーゲンマトリックスは、最終の治癒プロセス中での結合組織の支持体である。最終治癒は、ほとんどの組織において、結合組織を含有する瘢痕形成である。例えば皮膚や骨のように再生特性を有する組織において、最終治癒は、元の組織の再生を含む。この再生された組織は、また、しばしば幾分かの瘢痕特性、例えば治癒された骨折の厚化を有する。
【0116】
通常の状況下で、身体は、皮膚バリヤーまたは粘膜の完全性を回復するために傷ついたシムまたは粘膜を治癒する機構を提供する。わずかな断裂もしくは創傷であっても修復プロセスは、数時間および数日から数週間にわたる期間がかかる。しかしながら、潰瘍形成においては、治癒は、非常に遅くあり得、創傷は、長期間、すなわち数ヶ月あるいは数年にも及ぶ。
【0117】
創傷の治癒の段階は、通常、炎症(通常、1〜3日)、移行(通常、1〜6日)、増殖(通常、3〜24日)および成熟(通常、1〜12月)を含む。治癒プロセスは、種々の細胞タイプの移行、増殖および分化およびマトリックス成分の合成を含む複雑で、よく組織化された生理学的プロセスである。治癒プロセスは、以下の3つの相に分けることができる。
【0118】
i)止血と炎症
血小板が循環器系の外に存在し、トロンビンとコラーゲンに曝されるとき、それらは活性化され、凝集する。かくして、血小板は、凝集して止血を確保し、細菌の浸入を防ぐための一時的な血栓を形成することにより修復プロセスを開始させる。活性化された血小板は、凝固系を始動させ、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)およびトランスフォーミング増殖因子(TGF)のような成長因子を放出する。
【0119】
創傷領域を侵襲する最初の細胞は、好中球であり、マクロファージにより活性化される単球が続く。
【0120】
好中球の主要な役割は、創傷を浄化しあるいは創傷を汚染性細菌から守り、かつ致死細胞および血小板を除去することにより創傷の治癒を改善することであると思われる。好中球の浸透は、創傷中に細菌汚染が存在しないなら、最初の約48時間以内に終わる。過剰の好中球は、血液生まれの単球の循環するプールから補充される組織マクロファージにより食菌される。マクロファージは、それらがまた、病原性微生物の食菌と、組織断片の浄化の原因となるという点で、効率的な創傷治癒に必須のものであると信じられる。さらに、マクロファージは、治癒プロセスの後の事象に関与する多数の因子を放出する。マクロファージは、コラーゲンの生産を開始させる繊維芽細胞を引き付ける。
【0121】
ii)肉芽形成組織形成と再上皮化
創傷を受けてから48時間以内に、繊維芽細胞は増殖し、創傷の端縁で結合組織から創傷スペース中に移行し始める。繊維芽細胞は、コラーゲンとグリコサミノグリカンを産生し、なかんずく、創傷における低酸素テンションは、内皮細胞の増殖を刺激する。内皮細胞は、新しい毛管ネットワークの形成を引き起こす。
【0122】
コラゲナーゼおよびプラスミノーゲンアクチベーターがケラチノサイトから分泌される。創傷が影響を受けておらず酸素および栄養素により十分に栄養を受けているなら、ケラチノサイトは、創傷上に移行する。ケラチノサイトは、生存組織上に移行するだけであると信じられ、従って、ケラチノサイトは、致死組織と創傷の痂皮の下の領域中に移行する。
【0123】
創傷領域は、さらに、収縮により減少する。
【0124】
iii)真皮の再モデリング
再上皮化が終了すると直ぐに、組織の再モデリングが始まる。数年間続くこの相は、創を受けた組織に強さを回復させる。
【0125】
上述の治癒プロセスのすべては、かなりの時間を要する。治癒の速度は、感染のない総称、固体の一般的な健康、異種体の存在等により影響される。感染、浸軟、脱水、一般的に劣った健康および栄養失調のようないくつかの病理学的状態は、例えば虚血性潰瘍のような慢性潰瘍の形成をもたらす。
【0126】
少なくとも表面的な治癒が起こるまで、創傷は、継続するあるいは新たな感染の危険にあり続ける。従って、創傷がより迅速に治癒され得るほど、その危険がより早期に取り除かれる。
【0127】
かくして、創傷の治癒速度に影響を与える、または創傷の治癒に好ましい影響を与え得るどのような手法も価値が大きい。
【0128】
さらに、ほとんどすべての組織修復プロセスは早期の結合組織の形成を含むので、ここことの刺激と、その後のプロセスは、組織の治癒を改善するために企図される。
【0129】
本コンテキストにおいて、用語「臨床的治癒」は、組織の障害が目視観察され得ず、軽い赤みまたは個別の膨らんだ組織のような炎症の個別の兆候のみが存在する状況を意味するために使用されている。加えて、器官が弛緩し、あるいは手付かずであるとき、痛みの苦情はない。
【0130】
上に述べたように、本発明は、ここに定義したフラーレンクラスターを、創傷治癒剤、すなわち真皮または粘膜創傷の治癒を促進し、刺激しまたは促す剤として使用することに関する。拘束されることを望むものではないが、フラーレンクラスターは、上に指摘した段階のすべてで創傷の治癒を促進するものと信じられる。従って、本発明のフラーレンクラスターまたはこれを含有する組成物は、組織のさいせい剤および/または修復剤として有用である。さらに、創傷治癒効果により、本発明のフラーレンクラスターは、痛み開放効果を有する。
【0131】
本発明のさらなる側面において、本発明のフラーレンクラスターは、抗微生物効果を有する治療もしくは予防剤として使用される。それらは、感染減少特性を示す。
【0132】
本コンテキストにおいて、用語感染減少効果は、組織または固体がフラーレンクラスターで治療されるとき固体の組織における感染に対するフラーレンクラスターによる治療または防止効果に関する。
【0133】
用語「感染」は、身体組織中の微生物の侵襲および増殖または組織上での蓄積に関し、これは、臨床的には明らかでなく、または競争的代謝、酵素、毒素、細胞間複製または抗原−抗体応答による局所的な細胞障害をもたらし得る。
【0134】
本発明により、防止または治療される幹線は、微生物により引き起こされ得る。本発明による当該微生物には、細菌、ウイルス、イースト菌、カビ、原虫およびリケッチアが含まれる。
【0135】
本コンテキストにおいて、用語「抗細菌効果」は、細菌の増殖が抑制されるか、細菌が破壊させることを意味する。この用語は、一定の細菌に限定されるものではなく、一般にすべての細菌を包含する。しかしながら、本発明は、i)ヒト等の哺乳動物に疾病を引き起こす病原性細菌および/またはii)哺乳動物に普通に存在するが、ある種の条件で望まない状態を身体中に引き起こし得る細菌に集中される。
【0136】
従って、本発明は、皮膚、粘膜表面または爪もしくは歯の表面のような身体表面における細菌増殖の防止または処理のためにフラーレンクラスターを使用することに関する。
【0137】
フラーレンクラスターは、抗微生物剤の存在を伴いあるいは伴わずに、細菌により引き起こされる感染の治療に使用することができる。フラーレンクラスターにより処理されるグラム陰性菌には、ナイセリア(例えば、N.メニンギチス、N.ゴノルロエアエ)のようなコクシ、およびバクテロイド(例えば、B.フラギリス)、ボルデテラ(例えば、B.ペルツシス、B.パラペツシス)、フラセラ(例えば、B.メリテンチス、B.アボルツス・バング、B.スイス)、カムフィロバクター(例えば、C.ジェジュニ、C.コリ、C.フツス)、シトロバクター、エンテロバクター、エシェリキア(例えば、E.コリ)、ヘモフィルス(例えば、H.インフルエンザ、H.パラインフルエンザ)、クレブシエラ(例えば、K.ニューモニア)、レジオネラ(例えば、L.ニューモフィラ)、パスツレラ(例えば、P.イエルシニア、P.ムルトシダ)、プロテウス(例えば、P.ミラビリス、P.ブルガリス)、シュードモナス(例えば、P.アエルギノサ、P.シュードマレイ)、サルモネラ(例えば、S.エンテリチジス、S.インファンチチスS.ダブリンS.チフィ、S.パラチフィ、S.ショットムレリ、S.コレラエスイス、S.チフィムリウム、または2500の他のセロタイプのいずれか)、セラチア(例えば、S.マルセンス、S.リキファシエンス)、シゲラ(例えば、S.ソンネイ、S.フレクスネリ、S.ダイセンテリアエ、S.ボイジイ)、ビブリオ(例えば、V.コレラエ、V.エルトール)およびエルシニア(例えば、Y.エンテロコリチカ、Y.シュードツベルクロシス、Y.ペスチス)のようなアシネトバクターまたは桿菌が含まれる。フラーレンクラスターにより処理されるグラム陽性菌には、ストレプトコッカス(例えば、S.ニューモニア、S.ビリダンス、S.フェカリス、S.ピオゲネス)、スタフィロコッカス(例えば、S.アウレウス、S.エピダーミジス、S.サプロフィチカス、S.アルブス)のようなコクシ、およびアクリノマイセス(例えば、A.イスラエリ)、バチルス(例えば、B.セレウス、B.サブチリス、B.アントラシス)、クロストリジウム(例えば、C.ボツリヌム、C.テタニ、C.ペルフリンゲンス、C.ジフィシル)、コリネバクテリウム(例えば、C.ジフテリア)、システリアおよびプロフィデンシアのような桿菌が含まれる。感染を引き起こす他の細菌には、プロピオノバクテリウム・アクネおよびピチオスポロン・オバール等が含まれる。これらの細菌による感染により引き起こされあるいは該感染から生じる疾病または病気も、本発明のフラーレンクラスターまたはこれを含有する組成物によって治療される。
【0138】
フラーレンクラスターまたはこれを含有する組成物は、また、例えばボレリア、レプトスピラ、トレポネーマまたはシュードモナスのようなスピロヘータにより引き起こされる感染のために使用される。
【0139】
フラーレンクラスターは、抗微生物剤とともに用いることができる。フラーレンクラスターと組み合わせて用いられる抗微生物剤には、ベータ−ラクタムおよびバンコマイシン、好ましくはアムジノシリン、アンピシリン、アモキシリン、アズロシリン、バカンピリシン、ベンザチン、ピニシリンG、カルベニシリン、クロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリンおよびチカルシリンのようなペニシリン;第一世代医薬セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチン、セファピリンおよびセファラジン、第二世代医薬セファクロール、セファマンドール、セファニシド、セファラニド、セフォキシチンおよびセフロキシン、および第三世代のセファロスポリン、セフォペラゾン、セフォタシキム、セフォテタン、セアフタジジム、セフトリアキソンおよびモキサラクタムのようなセファロスポリン;イミペネンのようなカルバペネム;並びにアストレオナムのようなモノバクタム等の細胞壁合成の阻害により抗微生物作用を有する抗微生物剤が含まれる。
【0140】
本発明のフラーレンクラスターとともに使用することのできる他の抗微生物医薬には、クロラムフェニコールのようなタンパク合成の阻害による作用を有する抗微生物剤;他のテトラサイクリン、好ましくはデメクロサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリンおよびオキシテトラサイクリン;アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシンおよびトブラマイシンのようなアミノグルコシド;コリスチン、コリスチマテート、ポリミキシンB、およびエリスロマイシンおよびリンコマイシンのようなポリミキシン;核酸合成の阻害による作用を有する抗微生物剤、特にスルファサイチン、スルファジアジン、スルフィソキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファメチゾール、およびスルファピリジンのようなスルファミド;トリメトプリム、キノロン、ノボビオシン、ピリメタミン、およびラファムピンが含まれる。
【0141】
本発明は、また、フラーレンクラスターを抗炎症効果を有する治療または予防剤としてフラーレンを使用することに関する。
【0142】
炎症の発現を抑制するために、いわゆる非ステロイド抗炎症薬すなわちNSAIDおよび免疫抑制剤のような薬を包含する大きなグループであるアデノコルチコステロイドおよび免疫抑制剤のような薬等のいくつかの薬が採用されている。アデノコルチコステロイドおよび特にグルココルチコイドは、薬理学的投与量で使用されるとき、強力な抗炎症効果を有する。それらは、特異的に、欠陥の透過性を、それにより顆粒球の移行を減少させることにより炎症プロセスの早期の血管相を阻害する。グルココルチコイドは、また、それらが間葉細胞の増殖と、プロテオグリカンおよびコラーゲンなどの細胞外巨大分子の生産を阻害するという点において、後期炎症および修復プロセスに干渉する。グルココルチコイドは、例えばマクロファージの機能、液性抗体の産生、細胞免疫、および可能的にはリソソーム酵素の放出を阻害することが実験的に示されている。これらの薬は、本発明のフラーレンクラスターとともに使用することができる。
【0143】
組織の損傷の重傷度は、生体の抗原/抗体反応および影響を受けた領域の炎症生成物の保持の程度に依存し得る。局所的炎症のメディエイターの蓄積は、このプロセスを促進する。ほとんどの場合において、このプロセスは遅く、組織の免疫浸潤と、炎症細胞を含む肉芽形成組織の形成とを伴う。
【0144】
本コンテキストにおいて、用語「抗炎症効果」は、炎症の減殺または抑制を意味する。
【0145】
本発明により治療される炎症の状態は、もちろん、身体のあらゆる部分の中/上のあらゆる炎症状態、または軟組織または硬組織中に存在するあらゆる炎症状態であり得る。
【0146】
創傷の治療において、および炎症、感染等の治療および/または予防において、フラーレンクラスターの有効量は、医者により容易に決定することができる。その量は、治療される哺乳動物の健康と年齢、治療される状態、治療される状態の重症度等に依存して変わる。医者は、過度の実験なしにその量を決定することができる。好ましい量は、化粧料組成物についてここで記述したものと同じである。さらに、薬学的組成物は、化粧料組成物についてここに記載したものと同じ成分を含有し得る。
【0147】
本発明の化粧料組成物および薬学的組成物は、光に曝すことができる。事実、本組成物は、光に曝されるとより効果的である。このことは、特に、有効量のフラーレンクラスター特に創傷の治癒に用いられるフラーレンクラスターを含む本発明の薬学的組成物について当てはまる。本発明の組成物の薬学的活性は、普通の太陽光または人工光中で増大する。好ましくは、光は、約20〜約100Luxの光強さにわたる。それでもなお、十分な光が、太陽光からのように通常の毎日の生活で得られ、また、電球または蛍光灯から室内に見出せるもののようなより強くない光も得られ、本組成物中のフラーレンクラスターの、創傷治癒のような治療活性を達成させる。
【0148】
フラーレンクラスターの製造および化粧料製品のブランドラインにおけるそれらの使用についての非限定的な以下の例は、本発明をさらに例示する。
【0149】
例1
60の結晶性溶媒和物を真空中で昇華させることにより、溶媒のない、純度99.9wt%のフレライトC60を得、ついでこれを、アルゴンドライボックス中で、瑪瑙乳鉢において、約10ミクロンの平均クリスタリットサイズまで粉砕する。この粉末400mgを薄壁ポリエチレン試験管内に置き、その後これを脱イオン(DI)水で一杯に(3ml)満たし、開放端で熱封止する。こうして調製した試料を電気水力学的装置(図2)の上蓋中のオリフィスを通して、冷却器により循環されているDI水で満たされたチャンバ中に入れる。試料を、フレライト粉末が楕円の上部商店に位置するように、特別のホルダーで固定する。2Hzパルス周波数を有する一連の放電を、楕円の下部焦点で、高電圧電源により6000Vまでのパルス間で荷電される5μFキャパシタで、合計2時間行う。装置は、パルス当たり約75Jのエネルギーを生み出し、パルスフロント立ち上げ時間は、約30nsであり、合計パルス持続時間は約500nsである。EH処理が完了したら、試験管を脱封止し、適切に希釈した生成物の溶液の一滴を乾燥し、アルゴンプラズマ中で金被覆し、高解像度SEM検査用の試料を作製する。SEM研究は、直径が7nmまで減少し、約15nmの平均直径を有する小さなフラーレンクラスターの存在を明らかにする。フラーレンクラスター生成物のアリコートを、多量のDI水中に超音波により分散させて、フラーレン濃度約0.1mg/mlを有する溶液を作る。この溶液を0.22μm多孔質PTFEフィルタを通してろ過して、透明な黄色−褐色のフラーレンクラスター溶液を得、これは暗所中、5Cで少なくとも5ヶ月間安定である。フラーレンクラスター生成物の残りを空気中、室温で乾燥し、化粧料組成物の調製に使用する前に冷蔵庫に保存する。これは、軟超音波処理により水、アルコールまたは油中に再分散させて、溶媒の種類と使用する異なる液体中で0.1〜40mg/mlに渡り得るフラーレン濃度とに依存して、黄色ないし褐色の透明なフラーレンクラスター溶液を得ることができる。こうして得られたフラーレンクラスターは、本発明により種々の化粧料組成物に用いることができる。
【0150】
例2
処理の合計持続時間が4時間であったことを除き例1と同じEH処理を、3mlの透明オリーブ油中の99.9wt%純粋フレライトC60400mgの懸濁液に適用した。電極のスパークエロージョン故に成長する電極間の間隔を調整するために数回の処理の中断が必要であった。高解像度SEM検査は、生成したままの生成物をエタノールで1:10000希釈し、ついでこのエタノール溶液の一滴を研磨したアルミニウム支持体上で乾燥することにより調製した試料中に、約20nmの平均直径を有するフラーレンクラスターが存在することを明らかにした。生成したままの生成物を冷蔵庫中で貯蔵し、多量のオリーブ油または化粧料関連の他の天然油中に、軟超音波処理により容易に溶解させた。
【0151】
例3
二口ガラスフラスコ中で磁気攪拌器により維持され、懸濁された、微粉砕99.9%純粋フレライトC60100mgの試薬等級エタノール200ml中のスラリーを、図2の楕円形チャンバの上部焦点を通る薄いPTFEチューブを収容する閉じた輪郭内で、20ml/分の割合で蠕動ポンプによりさらに循環させた。EH処理の条件は、処理の持続時間が4時間であった以外は、例1と同じである。0.22μmPTFEフィルタを通して生成物をろ過した後、約0.25mg/mlのフラーレン濃度を有するやや乳白色の赤みがかった溶液を得た。SEM研究は、サイズ範囲7〜30nmの豊富なフラーレンクラスターと、試料質量の約3分の1をなす直径5〜150nmのより大きなクラスターを照明した。生成物のアリコートを冷蔵庫に貯蔵したが、少なくとも5ヶ月間沈殿の兆候はなかった。追加して試料を長い超音波処理に供したが、より大きなクラスターは除去されなかった。生成物を濃縮し、乾燥したが、化粧料でのさらなる使用のためにエタノール、水および天然油に再溶解する能力は失われなかった。
【0152】
例4
60とC70を5:1のモル比で含有する混合フレライト(100mg)を乾燥し蒸留したトルエン(100ml)に溶解し、乾燥し蒸留したクロロホルム(200ml)中のPVP(MW10000〜15000)10gの溶液に加えた。この合わせた溶液の攪拌を、混合物が褐色になるまで少なくとも6時間行った後、溶媒を真空乾燥により除去した。固体生成物を水(150ml)と混合し、パワー密度40W/cm3で20kHzの超音波処理に3分間供して、褐色の溶液を得、これは混合フレライトの橙色溶液と明らかに色が異なっていた。この溶液を、緻密なガラスフィルターを通してろ過した後、溶媒を、50Cで回転蒸発器により除去し、生成物を真空中、50Cで乾燥した。
【0153】
得られた淡褐色の乾燥粉末は、水溶性形態のフラーレンクラスターであり、これを、後に、化粧クリーム組成物の調製に用いた。網膜用のアルファ−ヒドロキシ酸および抗酸化剤のような輸送促進成分をクリームの約5wt%の濃度で含有するこれらのフラーレンクリームの試料は、完全に均質なコンシステンシーを有し、薄く塗ることが簡単で、異なる皮膚タイプにより容易に吸収される。
【0154】
例5
以下の組成物を調製した:
動物油脂:40〜80%
例1で調製した活性フラーレンクラスター成分:0.05〜0.25%
エチルアルコール:20〜60%
グリセリン:0〜30%
ポリエチレングリコール(PEG)および/またはポリプロピレングリコール(PPG)および/またはポリビニルピロリドン(PVP):0.0001〜3%
薬草のエキス(固体抽出物質の重量による)および/または蜂プロポリスおよび/または他の養蜂生成物および/またはムミー(mumie)および/またはカバのヤニ:0.0001〜25%
界面活性剤:0.0001〜0.5%
染料:0.0001〜0.5%
フレグランス:0.0001〜0.5%
水:100%とする残り
成分を互いに混合し、軟膏として配合した。
【0155】
10人の女性からなる志願者のパネルが、0.25%の活性フラーラン化合物を有する上記製品と、該化合物がないがその他は同一の対照製品を、一回使用試験で評価した。製品を左手および右手の皮膚にランダムに塗り、通常の条件下で5時間着用した後、個人の感覚と皮膚の外観について評価した。製品の性能についての全体的な意見を、皮膚の新鮮さ、輝き、色、滑らかさ、個人の快感、および着用の軽快さの観点で判定した。加えて、手のカラー写真を取り、画像を皮膚状態の専門家採点者により評価した。フラーレン製品は、パネリストの答えと専門家の目視評価に基づいて、対照製品より優れていると判断された。
【0156】
例6
以下の組成物を調製した:
グリセリンおよび/またはポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールおよび/またはポリビニルピロリドンおよび/またはそれらのコポリマー、およびまたグラフト化された生物学的に活性な官能基を含有するポリマーのリストされたクラスのコポリマー:2〜3%
植物油および/または動物油および/または哺乳動物油脂、鳥、魚、両生類、爬虫類、節足動物:0.0001〜5.0%
鉱油および/または合成油(シリコーン、フルオロシリコーン、シロキサン等):0.0001〜5.0%
例4で調製した活性フラーレンクラスター成分:0.05〜0.25%
エチルアルコール:2.5%
薬草のエキス(固体抽出物質の重量による)および/または蜂プロポリスおよび/または他の養蜂生成物および/またはムミー(mumie)および/またはカバのヤニ:0.0001〜25%
界面活性剤:0.0001〜0.5%
染料:0.0001〜0.5%
フレグランス:0.0001〜0.5%
デンプン、ゼラチンまたは他の増粘剤:0.5%
水:100%とする残り
成分を互いに混合し、クリームとして配合した。
【0157】
例7
例4で述べたとおりに調製した活性フラーレンクラスター成分0.05%を含有し、ワセリンベースと混合した組成物を、該クリームを傷を受けた動物の皮膚に局所適用したときのその修復活性を定量的に研究するために用いた。それぞれ10匹の180〜200gホワイトラットからなる3つの動物群の皮膚を、2.0×2.0cmの通常の非感染創の形成を生じさせるように特定の処理に供した。第1の群を、創上で、活性フラーレン成分を含有する組成物で処理し、対照群を純ワセリンで処理した。第3の群を、比較のため、効果的な殺菌剤、10%メチルウラシル軟膏で処理した。創修復実験を200Luxの照度で行った。治癒効率を、創領域の縮小速度、完全回復の期間、およびヒストモルホロジー研究による創の状態の評価により判断した。活性フラーレン成分を有する組成物は、7日および14日目に、それぞれ初期値の45%および23%の平均創領域の減少をもたらし、創の上皮による完全被覆、すなわち創の完全回復は14日目であった。ベースラインを得る対照群においては、適切な変化は、7日目、14日目および21日目で、それぞれ、初期サイズの85%、73%および65%であり、フラーレン成分がない場合に創の塞ぎがはるかに遅いことを示している。完全回復は28日目になされた。10%メチルウラシル軟膏は、7日目、14日目および21日目で、それぞれ、初期創領域の50%、30%および12%を示し、完全回復は21日目であった。このように、0.05フラーレンクラスター組成物の修復活性は、10%メチルウラシル軟膏に全く匹敵し、特に、フラーレンクラスターは、上皮化の速度の促進に明らかに優れている。
【0158】
わずか5Luxの照度(暗所)で行った類似の研究は、実験群と対照群の間の差異がはるかに小さいことを示した。この結果は、フラーレン成分の光力学的活性と修復効果を達成する上でのその重要な役割とを照明している。拘束されることを望むものではないが、この場合における光力学的活性の役割は、おそらく、生物学的膜へ少ない一次損傷を生じさせることにより細胞間修復プロセスを刺激する一重項酸素の生成により引き起こされたものと信じられる。
【0159】
例8
以下の組成物を調製した:
植物油および/または動物油および/または哺乳動物、鳥、魚、両生類、爬虫類、節足動物の油脂:40〜80%
例2で調製した活性フラーレンクラスター成分:0.05〜0.25%
ステアリンおよび/またはラノリンおよび/または鯨蝋:0.0001〜30.0%
薬草(薬用植物)のエキス。その例は、トショウの針葉および液果、イタリアカラカサマツ、オオバコ、ノコギリソウ、イソツツジ、オチギリソウ、パセリ、セロリ、タチキジムシロの根、カバおよびクロフサスグリの葉、蕾、クルミおよびヒマラヤスギナッツの殻、ヒヨスの実、ベニテングタケの子実体を含む(量は固体抽出物質の重量による)および/または蜂プロポリスおよび/または他の養蜂生成物および/またはムミー(mumie)および/またはカバのヤニ:0.0001〜20%
界面活性剤:0.0001〜0.5%
染料:0.0001〜0.5%
フレグランス:0.0001〜0.5%
ZnO、TiO2、MgSO4、BaSO4、白亜、タルク、鉱物顔料のような、医薬用に認められた粒径を有する分散ミネラル物質:0.0〜10%
水:残り
成分を互いに混合し、軟膏として配合した。
【0160】
例9
例8で記述したもの(0.25%w/wの活性フラーラン化合物を含有)のような組成物を該化合物がないがその他は同一の対照製品に対して一回使用試験で評価するために、6人の女性および6人の男性からなる志願者のパネルを用いた。ランダム分布と同じ統計学的特性を有する決定論的擬似ランダムコードに従い、組成物および対照を各志願者の左側および右側の頬に、直接または逆の順序で塗った。組成物および対照を、穏やかな日中の日照時間3時間の冷たい、風の吹く気候条件(5℃)の戸外で着用した。完全な皮膚感覚を各頬に戻すために室温で1時間後、組成物と対照を、志願者の主観的感覚と皮膚の外観の自己評価により評価した。製品の性能についての全体的な意見を、皮膚の新鮮さ、輝き、色、滑らかさ、および好ましい、好ましくないについての述べられたコメントの観点で判定した。加えて、左側および右側の頬のカラー写真を取り、画像を皮膚状態の専門家採点者により評価した。組成物は、志願者により、よりしばしば、保護的であると評価された。パネリストの答えと専門家の目視評価に基づいて、フラーレン製品は、厳しい気候条件に対し皮膚を保護するという点で、対照製品よりも優れていると判断された。
【0161】
例10
以下の組成物を調製した:
例3で調製した活性フラーレンクラスター成分:0.05〜0.25%
エチルアルコール:40〜45%
薬草のエキス(固体抽出物質の重量による)および/または蜂プロポリスおよび/または他の養蜂生成物および/またはムミー(mumie):0.0001〜15%
天然植物起源のフレグランス:0.0001〜0.5%
二重蒸留水:残り
成分を互いに混合し、香料とした。
【0162】
例11
以下のものから湿潤クリームとして以下の組成物を調製した:
化粧用ステアリン 1.5%
ワックスエマルジョン 2.0%
ステアレートPEG400 0.5%
香油 4.0%
蒸留グリセロール 7.0%
ビタミンF 3.0%
トリエタノールアミン 0.4%
エトキシル化ラウリル硫酸ナトリウム(EMAL270D) 0.5%
蒸留エタノール 2.0%
イラクサの油エキス 0.5%
カモミールの油エキス 0.5%
ミントの油エキス 0.5%
スイートブライヤーの油エキス 0.5%
シー・ブラックソーン(Sea Blacksoarn)油中フラーレンクラスターの0.05%溶液 5.0%
パラオキシ安息香酸エチルエステル 0.3%
パラオキシ安息香酸プロピルエステル 0.2%
フレグランス 0.3%
蒸留水 100%まで
上記種々の成分を互いに混合し、湿潤クリームとして配合した。
【0163】
上記組成物は、湿潤クリームについての化粧料工業標準に合致する。これは、粘稠で、クリーム様の淡いベージュないしベージュ色の均質な塊であり、粒状物質または不純物を含有せず、心地よいハーブのフレグランスと良好な使用者特性を有する。志願者に対して行った、フラーレンクラスターを除いて上記成分のすべてを含有する対照に対するこのクリームの予備的比較試験は、皮膚のよく表れた若返りをもたらす抗老化効果および抗皺効果の増強等の、活性フラーレン成分の含入からの追加の利益特性を示唆する。
【0164】
例12
以下の成分から柔軟化クリームとして以下の組成物を調製した:
ステアリン酸グリセリル−PEG−759ステアレート(CELOT64) 3.5%
鉱油 5.0%
セチルステアリルアルコール 2.0%
ジメチコーン 5.0%
蒸留グリセリン 5.0%
小麦麦芽油 3.0%
シー・ブラックソーン油中フラーレンクラスターの0.05%溶液 5.0%
トリエタノールアミン 0.15%
カルボポール980(ETD2001) 0.2%
保存剤ユークシル(Euksyl)K100(ベンジルアルコール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン 0.1%
フレグランス 0.3%
蒸留水 100%まで
上記種々の成分を互いに混合し、柔軟化クリームとして配合した。
【0165】
上記組成物は、柔軟化クリームについての化粧料工業標準に合致する。これは、粘稠で、クリーム様の淡いベージュ色の均質な塊であり、粒状物質または不純物を含有せず、心地よいハーブのフレグランスと良好な使用者特性を有する。志願者に対して行った、フラーレンクラスターを除いて上記成分のすべてを含有するクリームに対するこのクリームの予備的比較試験は、皮膚の若返り等の、活性フラーレン成分の含入に帰せられる追加の利益特性を示唆する。
【0166】
例13
以下の成分からクリームとして以下の組成物を調製した:
TEFOSE2561(PEG−6ステアレートcetet−20、グリセリルステアレート ステアレート20) 5.0%
鉱油 3.0%
セチルステアリルアルコール 3.0%
ジメチコーン 3.0%
蒸留グリセリン 4.0%
リノリン酸中フラーレンクラスターの0.05%溶液 1.7%
油中ビタミンF 2.0%
ワインエキス(オプチベゲトールワインP−150ヒドロ) 4.0%
水性アルコール中の薬用ニンジンエキス 5.0%
トリエタノールアミン 0.2%
カルボポール980(ETD2001) 0.152%
保存剤ユークシル(Euksyl)K100(ベンジルアルコール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン 0.1%
フレグランス 0.3%
蒸留水 100%まで
上記種々の成分を互いに混合し、抗老化クリームとして配合した。
【0167】
上記組成物は、抗老化クリームについての化粧料工業標準に合致する。これは、粘稠で、クリーム様の白色ないし淡いベージュ色の均質な塊であり、粒状物質または不純物を含有しない。志願者に対して行った、フラーレンクラスターを除いて上記成分のすべてを含有するクリームに対するこのクリームの予備的比較試験は、活性フラーレン成分の含入による顕著な抗老化効果を示唆する。
【0168】
例14
以下の成分からゲルとして以下の組成物を調製した:
カルボポール980 0.152%
蒸留グリセリン 4.0%
ジメチコーン 1.0%
リノリン酸中フラーレンクラスターの0.05%溶液 1.7%
グルコース(マンニット) 0.5%
ワインエキス(オプチベゲトールワインP−150ヒドロ) 5.0%
チオ尿素(カルバミド) 1.0%
トリエタノールアミン 0.4%
緑色染料混合物(E102、E133) p.s.
保存剤ユークシル(Euksyl)K100(ベンジルアルコール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン 0.1%
フレグランス 0.3%
蒸留水 100%まで
上記種々の成分を互いに混合し、抗老化ゲルとして配合した。
【0169】
この組成物は、抗老化ゲルについての化粧料工業標準に合致する。これは、ゲル状で、淡緑色の均質な塊であり、粒状物質または不純物を含有せず、心地よいフレグランスを有する。志願者に対して行った、フラーレンクラスターを除いて上記成分のすべてを含有するクリームに対するこのクリームの予備的比較試験は、活性フラーレン成分の含入による明確な抗老化効果を示唆する。
【0170】
例15
以下の成分から抗炎症クリームとして以下の組成物を調製した:
ステアリン酸グリセリル−PEG−759ステアレート(CELOT64、非イオノゲン洗剤) 3.5%
鉱油 5.0%
セチルステアリルアルコール 2.0%
ジメチコーン 5.0%
蒸留グリセリン 5.0%
カラスムギエキス 2.0%
マリゴールドの油エキス 1.0%
タイムの油エキス 1.0%
カモミールの油エキス 1.0%
甘草の油エキス 1.0%
フラーレンクラスター0.05%含有PVP/フラーレン錯体 5.0%
トリエタノールアミン 0.15%
カルボポール980(ETD2001) 0.2%
保存剤ユークシル(Euksyl)K100(ベンジルアルコール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン 0.1%
蒸留水 100%まで
上記成分を互いに混合し、抗炎症クリームとして配合した。
【0171】
この組成物は、抗炎症クリームについての化粧料工業標準に合致する。これは、粘稠で、クリーム様の淡いベージュ色の均質な塊であり、粒状物質または不純物を含有せず、心地よいハーブのフレグランスを有する。志願者に対して行った、フラーレンクラスターを除いて上記成分のすべてを含有するクリームに対するこのクリームの予備的比較試験は、活性フラーレン成分の含入による増強された抗炎症効果を示唆する。PVP/フラーレン成分を含まないが、フラーレンクラスター生成物である例1におけるように製造した超分散フレライト0.3%を有する同様のクリーム組成物は、同様に強い抗炎症効果を生じる。
【0172】
例16
バニシングクリームとして以下の組成物を調製した:
クラスター形態のフラーレンC60 0.05%
白色ワセリンUSP(供給:ウルチマ・ホワイト・ペトロラタム、PENRECO) 0.8%
ラノリンアルコール、NF(スーパーハルトラン、CRODA) 1.0%
PPG−2−ミリスチルエーテルプロピオネート(CrodamolPMP、CRODA) 4.2%
鉱油(軽質)、NF(Drakeol7、軽質、PENRECO) 8.3%
トリエタノールアミン、USP、98%(SIGMA CHEMICAL CO.) 0.6%
パラゴンIII(McINTYRE) 0.6%
蒸留グリセロール、USP(RITA) 3.3%
ステアリン酸、USP(Ritastearic、RITA) 16.7%
パルミチン酸イソプロピル(Estol1517、UNIQUEMA) 12.5%
フレグランス:フレグランスオーシャンとアフリカンレインとの50:50混合物 0.2%
蒸留水、USP 100%まで。
【0173】
製造手順(100gバッチ)
250mLビーカー中で、白色ワセリン、ラノリンアルコールおよびステアリン酸を4gの鉱油(軽質)とともに混合し、混合物を作った後、混合物をホットプレート/攪拌器を用いて60Cに加熱することにより溶融させた。混合物が溶融したらすぐに、ビーカーの内容物を、テフロン(登録商標)被覆スピンバーを用いて攪拌した。
【0174】
これとは別に、別の75mLビーカー中で、PPG−2−ミリスチルエーテルプロピオネートとパルミチン酸イソプロピルを互いに混合し、第2の混合物を作り、この混合物を60Cに加熱した。第2の混合物の温度が60℃に達したとき、PPG−2−ミリスチルエーテルプロピオネートとパルミチン酸イソプロピルを第1の混合物に段階的に添加した。50mgのC60粉末を4.3gの鉱油で温浸させた後、超音波処理(20kHz,20W、30分)に供し、60Cに予熱した。この混合物の温度が60℃に達したとき、これを、PPG−2−ミリスチルエーテルプロピオネート、パルミチン酸イソプロピル、白色ワセリン、ラノリンアルコール、ステアリン酸および鉱油を含有する混合物に添加した。得られた混合物を、連続的に攪拌しながら、60Cで20分間維持した。混合物を過加熱しないことが重要であることに気付いた。明るい透明な紫色から、よりくすんだ渇色がかった着色溶液への溶液の色変化として表れる油の若干のこげが生じ得るからである。
【0175】
別の容器で、トリエタノールアミン(塩基)、グリセリン(エモリエント、パラゴンIII(保存剤)およびすべての水を混合し、その混合物を60Cに予熱した。
【0176】
油相成分を水相成分に加え、混合物が凝固し、均質になるまで、激しく攪拌した後、攪拌を1000rpmまで上げ、さらに20時間維持した。ついで、加熱を中止し、混合物を冷却させた。混合物が40℃以下になったとき、フレグランスをこれに加え、その混合物を300rpmで2分間混合した。
【0177】
得られた混合物を、ラベルを貼った不透明容器に入れ、石鹸の形成と結晶化による真珠光沢が生じるように、24時間放置した。
【0178】
上記手順で得られたC60真珠光沢クリームは、高度の皮膚柔軟化性と抗酸化能力を示した。この配合物中に存在するエモリエント(白色ワセリン、鉱油、グリセリン、パルミチン酸イソプロピル)は、皮膚上に密閉性バリヤーを形成し、水分の損失を防止する助けとなるように設計されており、それにより、皮膚の皺形成、脱色および弾力性の損失をもたらし得る環境的および年齢関連損傷を減少させることにより皮膚の外観が改善される。加えて、使用したバニシングクリーム配合物(PPG−2−ミリスチルエーテルプロピオネートおよびパルミチン酸イソプロピルを含む)は、密閉性油ベースの配合物にしばしば見受けられるグリース様の感触がなく、配合物の皮膚中への迅速な混合を可能とする。
【0179】
この組成物は、湿潤クリームについての化粧料工業標準に合致する。これは、粘稠で、クリーム様の淡い紫色の均質な塊であり、粒状物質または不純物を含有せず、心地よいフレグランスを有する。志願者に対して行ったこのクリームの予備的比較試験は、抗老化および抗皺形成効果等の、活性フラーレン成分の含入に帰せられる追加の利益特性を示唆する。
【0180】
例17
フラーレン含有組成物の抗酸化活性の定量的評価
フラーレンクラスターを含有する化粧料組成物の抗酸化活性の定量的評価を、電気化学的に発生された臭素系酸化剤を用いて試験した。
【0181】
手順:
1.臭素系酸化剤の電気的発生と電量滴定を、5mAで、1cm2の白金作用電極を用いたポテンシオスタットで行った。
【0182】
2.臭素酸化剤は、0.1MのH2SO4/酒石酸バッファー溶液に溶かした0.2MのKBrから発生させ、これは電流により100%収率の酸化剤を確実にする。最終点を、2つの分極白金電極を用いE=20mVで電流測定により決定した。
【0183】
3.水または水/アルコール媒体中の分析用試料は、以下の表に掲げた活性成分を含有する化粧料とこの媒体とを重量で1:5の比率で取った混合物の温浸により得た。
【0184】
4.抗酸化活性(AOA)は、分析された出発の化粧料物質100gの滴定で消費されたクーロンの量として表す。
【0185】
結果:
Br2、Br3-のような臭素化合物および活性ブロモラジカルは、電気化学的に発生し、白金電極の表面に吸着した後、これらのラジカルは、レドックス反応、すなわち求電子的置換の反応と例えば化粧料組成物のフラーレンクラスター中のフラーレン分子中の二重結合への付加の反応において酸化剤として作用する。フラーレンクラスターを含有する組成物のAOAを、フラーレンを含まないがその他はフラーレン含有試料と同じである組成物から構成される対照と比較した。測定されたAOA値を以下の表に示す。比較のために、化粧料に用いた成分、薬用植物のエキスのAOAを以下の表に併記する。
【表1】

【0186】
表中のデータにより示されるように、C60(フラーレンクラスター)の比AOAは、薬用植物の水および水/エタノールエキスおよび天然油のそれをはるかに凌ぐ。このことは、明らかに、フラーレンが溶液中でフリーラジカルを触媒的に掃去および再結合する能力を照明している。これらのプロセスにおいて、他の既知の抗酸化剤に起こることとは反対に、フラーレン分子は犠牲にされない。1つのフラーレン分子は、おおよその見積により、少なくとも数千のフリーラジカルを失活させるために数回用いることができる。
【0187】
反対の指摘がない限り、すべてのパーセンテージは重量パーセンテージである。さらに、単数は複数をもいい、またその逆でもある。
【0188】
上記好ましい態様および例は、本発明の範囲および精神を例示するために与えたものである。これらの態様および例は、当業者にとって、他の態様および例を明らかにするであろう。それらの他の態様および例は、本発明の企図内にある。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】マーチン・チャプリン教授により設計された水和フラーレン分子C60(H2O)80の空間モデルを表す・
【図2】フレライト粉末をナノサイズのフラーレンに粉砕するために用いる実験室規模の電気水力学的衝撃チャンバの概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料的に有効量のフラーレンクラスターを化粧料的に許容され得るキャリヤーとともに含む化粧料組成物。
【請求項2】
前記フラーレンクラスターが、皮膚におけるフリーラジカルおよび分子酸化プロセスを防止または阻止するに効果的な量で存在する請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記フラーレンクラスターが、水溶性ポリマーまたはポルフィリン、またはそれらの組み合わせと会合している請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記水溶性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビニルピロリジン、エチレングリコールまたはプロピレングリコールの共重合体である請求項3に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記フラーレンクラスターが、組成物の0.01〜約50重量%の範囲の量で存在する請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記フラーレンクラスターが、組成物の0.02〜約10重量%の範囲の量で存在する請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記フラーレンクラスターが、組成物の0.25〜約2重量%の範囲の量で存在する請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
鉱油、動物油、または植物油または合成油をさらに含む請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
以下の、フィルム形成性化合物、乳化剤、増粘剤、潤滑剤、着色剤、湿潤剤、抗酸化剤、エモリエント、pH調節剤、保存剤、日焼け止め剤、バッファー、香料、発汗を防止する添加剤、または食血性無視を忌避する添加剤または殺細菌剤のうちの少なくとも1つをさらに含む請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
1種のフラーレンを含む請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
前記フラーレンが、C60である請求項10に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
前記フラーレンが、C70である請求項10に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
前記フラーレンが、C60とC70の混合物である請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項14】
前記フラーレンクラスターが、液体媒体中でフレライトを破砕することにより生成される請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項15】
粉砕を、衝撃波、電気水力学的衝撃、超音波処理、または音波処理により行う請求項14に記載の化粧料組成物。
【請求項16】
粉砕を、電気水力学的衝撃により行う請求項14に記載の化粧料組成物。
【請求項17】
前記液体媒体が、水、アルコール、合成油、天然油または鉱油である請求項14に記載の化粧料組成物。
【請求項18】
前記キャリヤーが、水、エタノールまたはそれらの混合物である請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項19】
前記キャリヤーが、水、エタノールまたはそれらの混合物である請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項20】
エモリエント、抗酸化剤および乳化剤をさらに含有する請求項19に記載の化粧料組成物。
【請求項21】
前記キャリヤーが、水である請求項20に記載の化粧料組成物。
【請求項22】
クリームの形態にある請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項23】
クリームの形態にある請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項24】
さらにグリセロールが存在する請求項21に記載の化粧料組成物。
【請求項25】
ペトロラタム、鉱油、グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、PPG−2−ミリスチルエーテルプロピオネートおよびラノリンアルコールをさらに含有する請求項24に記載の化粧料組成物。
【請求項26】
総化粧料組成物の、約0.5〜約1.5重量%の量の白色ワセリン、約0.5〜約1重量%の量のラノリンアルコール、約3〜約6重量%の量のPPE−2−ミリスチルエーテルプロピオネート、約5〜約10重量%の量の鉱油、約0.2〜約0.8重量%の量のトリエタノールアミン、約2〜約4重量%の量のグリセロール、約15〜約20重量%の量のステアリン酸、約10〜約15重量%の量のパルミチン酸イソプロピルをさらに含み、残りが水である請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項27】
フレグランスおよび抗酸化剤をさらに含有する請求項26に記載の化粧料組成物。
【請求項28】
哺乳動物の健康な皮膚または粘膜に対するフリーラジカルにより損傷を減少させる方法であって、前記哺乳動物の健康な皮膚または粘膜に、皮膚をフリーラジカルから保護するために効果的な量で請求項1に記載の化粧料組成物を適用することを包含する方法。
【請求項29】
哺乳動物の皮膚に存在する皮膚毒素を不活性化する方法であって、前記哺乳動物の皮膚に、前記皮膚毒素を不活性化するために効果的な量で請求項に記載の化粧料組成物を適用することを包含する方法。
【請求項30】
哺乳動物における創傷を治療するための方法であって、前記創傷上に、創傷治癒に効果的な量の請求項1記載の化粧料組成物を投与することを包含する方法。
【請求項31】
前記創傷が、非感染創、挫創、切創、裂創、非穿通創、開放傷、穿通創、穿孔創、つききず、膿創、梗塞および皮下創からなる群の中から選ばれる請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記創傷が、虚血、潰瘍、褥瘡、瘻孔および熱傷からなる群の中から選ばれる請求項30に記載の方法。
【請求項33】
哺乳動物の皮膚における感染を治療または予防するための方法であって、哺乳動物の皮膚の表面に、薬学的に効果的な量の請求項1に記載の化粧料組成物を投与することを包含する方法。
【請求項34】
前記感染が、微生物により引き起こされる請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記感染が、細菌により引き起こされる請求項34に記載の方法。
【請求項36】
哺乳動物における炎症状態を治療するための方法であって、前記哺乳動物の皮膚に、薬学的に効果的な量の請求項1に記載の組成物を局所的に投与することを包含する方法。
【請求項37】
前記フラーレンクラスターが、テルペンまたはその誘導体と会合され、前記誘導体が、テルペンのアルコール、アルデヒド、ケトン、低級アルキルエーテルまたは低級アルキルエステルである請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項38】
前記テルペンが、10m(ここで、mは1〜10)個の炭素原子を含有する請求項37に記載の化粧料組成物。
【請求項39】
前記テルペンまたはその誘導体が、ゲラニオール、シトロネロール、シトレル、酢酸リナリル、メンソール、またはテルピネオールである請求項38に記載の化粧料組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−528204(P2006−528204A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523828(P2006−523828)
【出願日】平成16年6月1日(2004.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/017141
【国際公開番号】WO2006/001784
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(505443001)
【出願人】(505443012)
【出願人】(505443023)
【出願人】(505443034)
【出願人】(505443056)
【Fターム(参考)】