フルオロアリルフルオロサルフェートへの付加反応
式(I−A)または(I−B)の化合物を、式(II)のペルフルオロアリルフルオロサルフェート(FAFS)と、式(II−A)または(II−B)[ここで、式(I−A)および(II−A)中RFは、任意選択により場合より酸素カテナリー原子を含んでいてもよく且つ任意選択により場合によりヘテロ原子を含む官能基(例えば、−SO2F基)を含んでいてもよい、一価フルオロカーボンC1〜C20基であり;式(I−B)および(II−B)中R’Fは、二価フルオロカーボンC1〜C6基、好ましくは式(III)(式中、X1およびX2は、互いに同じかまたは異なり、独立して、フッ素原子またはC1〜C3フルオロカーボン基である)の基である]の少なくとも1種のハイポフルオライトとの反応によって調製する方法に関する。有用な中間体が得られるように式(I−A)および(I−B)のFAFS−ハイポフルオライト付加物は高い選択性で生成可能であり、この中間体は、未改変フルオロサルフェート基の化学的性質を利用してさらに反応させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある種のアシルフルオリド誘導体を生成するためのフルオロアリルフルオロサルフェートへのハイポフルオライトの付加反応、この付加反応を含む合成方法、およびそれから得られる生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、フルオロアリルフルオロサルフェート(FAFS)は、容易に入手できるフッ素化中間体であり、とりわけ、(特許文献1)(E.I.DUPONT DE NEMOURS)1980年11月25日、および(非特許文献1)に開示されたように、ホウ素系触媒の存在下で三酸化硫黄によるヘキサフルオロプロピレンの処理によって高収率で調製され得る。
【0003】
この化合物は、求核試薬に対するその反応性、および適当な求核置換によってペルフルオロアリル基を生じるその能力が利用されている多数の合成経路で成功裏に用いられている(例えば、(非特許文献2)を参照のこと)。
【0004】
とりわけ、金属フッ化物の存在下でのFAFSとポリフルオロカルボニル化合物との反応を含む合成方法を挙げることができ;言及されたこれらの後者は、対応するポリフルオロアルコキシド化合物にその場で(in situ)変換され、これは、フルオロサルフェート基において求核置換を受け、以下のスキーム:
【化1】
で略図化されるように、対応するペルフルオロアリル−置換エーテル化合物を生成する。このような化学的性質の例は、以下の公報で見いだされ得る:(特許文献2)(DU PONT)1981年9月29日;(特許文献3)(DU PONT)1981年6月23日;(特許文献4)(DU PONT)1981年6月16日。
【0005】
一方、特にフルオロカルボニル誘導体を生成するための、特にフッ素含有化合物、例えば、ハイポフルオライトのその二重結合に対する付加を含む、FAFSの付加反応を調査するために努力は全く払われてこなかった。
【0006】
実際、ハイポフルオライトは、求電子機構(非特許文献3)を介して、またはラジカル経路(非特許文献4)によって異なるオレフィンに対する付加反応を受けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4235804号明細書
【特許文献2】米国特許第4292449号明細書
【特許文献3】米国特許第4275225号明細書
【特許文献4】米国特許第4273728号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】KRESPAN,G.ら、「Perfluoroallylfluorosulfate,a reactive new perfluoroallylating agent」、J.Am.Chem.Soc.、1981年、第103巻、5598〜5599頁
【非特許文献2】BANKS,Ronald Eら、「Perfluoroallyl fluorosulphonate」、Journal of Fluorine Chemistry、1982年、第20巻、1133〜1134頁
【非特許文献3】ROZEN,S.、Chem.rev.、1996年、第96巻、1717頁およびss.
【非特許文献4】NAVARRINI,W.ら、「Organic perfluoro−hypofluorites:useful reagents in the preparation of fluorinated vinylethers」、Recent Res.Devel.Organic Chem.、2004年、第8巻、281〜322頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願人は、いまや驚くべきことに、フルオロサルフェート部分に対する求核反応を開始させることなく、FAFSの二重結合にハイポフルオライトを付加させることができることを見いだした。したがって、FAFSは、対応するアシルフルオリド誘導体を生じるために、フルオロサルフェート部分およびその利用しやすい化学的性質を維持しながら、以下のスキームで強調されるC3−飽和酸化基:
【化2】
の、標的分子における導入のための好適なシントン(synthone)として用いられる。実際に、これらの中間体におけるフルオロサルフェート基の反応性は、フルオロアシル化合物の製造のために成功裏に用いることができ、これは、とりわけ、対応するビニルエーテルを生じるために好適な脱ハロゲン化水素反応を受け得るフルオロエーテルのような、さまざまな化合物を生成するための実に興味ある前駆体である。
【0010】
したがって、本発明の目的は、式(III−A)および(III−B):
【化3】
の化合物を調製する方法であって、
(1)式(I−A)および(I−B):
【化4】
の化合物を、
式:
【化5】
のペルフルオロアリルフルオロサルフェート(FAFS)と、
式(II−A)または(II−B):
【化6】
の少なくとも1種のハイポフルオライトとの反応によって生成させるステップと、
(2)上に詳述されたとおりの式(I−A)および(I−B)の化合物を、それぞれ式(III−A)および(III−B)の対応するアシルフルオリドに変換させるステップと
を含み、
式中:
− 式(I−A)、(II−A)および(III−A)におけるRFは、任意選択により場合によっては酸素カテナリー原子を含んでいてもよく且つ任意選択により場合によってはヘテロ原子を含む官能基(例えば、−SO2F基)を含んでいてもよい、一価フルオロカーボンC1〜C20基であり;
− 式(I−B)、(II−B)および(III−B)におけるR’Fは、二価のフルオロカーボンC1〜C6の基、好ましくは式:
【化7】
(式中、X1およびX2は、互いに同じかまたは異なり、独立して、フッ素原子またはC1〜C3フルオロカーボン基である)
の基である、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願人は、驚くべきことに、有用な中間体が得られるように式(I−A)および(I−B)のFAFS−ハイポフルオライト付加物は高い選択性で生成可能であり、この中間体を、未改変フルオロサルフェート基の化学的性質を利用してさらに反応させ、−COF基を含む標的カルボニル化合物を生成させ得ることを見いだした。
【0012】
式(II−A)および(II−B)のハイポフルオライトおよびこれらの化合物のための合成経路は当技術分野で公知である(とりわけ、NAVARRINI,W.ら、「Organic perfluoro−hypofluorites:useful reagents in the preparation of fluorinated vinylethers」、Recent Res.Devel.Organic Chem.、2004年、第8巻、281〜322頁を参照されたい)。式(II−A)のハイポフルオライトの非限定的な例は、とりわけ、CF3OF、CF3CF2OF、CF3CF2CF2OF、(CF3)2CFCF2OF、CF3OCF2OF、CF3OCF2CF2OF、CF3CF2OCF2OF、CF3CF2OCF2CF2OF、CF3CF2CF2OCF2OF、CF3OCF2CF2OCF2OF、FSO2CF2CF2OF、FC(O)CF2OCF2CF2OFである。式(II−B)のハイポフルオライトの非限定的な例は、とりわけ、CF2(OF)2、CF(CF3)(OF)2、C(CF3)2(OF)2である。
【0013】
FAFSとハイポフルオライト(II−A)および(II−B)との反応は一般に、−150℃から0℃、好ましくは−120℃から−20℃で行われる。当業者は、とりわけ、関与するハイポフルオライトの熱安定性を考慮して適切な温度を選択する。
【0014】
反応圧力は、重要なパラメータでないとしても、一般に大気圧である。
【0015】
反応は一般に、反応条件で不活性な有機溶媒の非存在下または存在下で、液相で行われる。溶媒は添加されない一方、FAFSそれ自体が有利には液体反応媒体となる。好適な溶媒の非限定的な例は、とりわけ、クロロフルオロカーボン、例えば、CF2Cl2、CFCl3、CF2ClCFClCFClCF2Cl、ペルフルオロカーボン、例えば、CF3CF2CF3、ペルフルオロエテン、例えば、CF3OCF2CF3、クロロフルオロエーテル、例えば、CF3OCFClCClF2、またはペルフルオロポリエーテル、例えば、式CF3O(CF2CF2O)m(CF2O)nCF3(式中、mおよびnは整数であり、それらの比は、0.1から5の間である)のもの、およびそれらの混合物である。
【0016】
ハイポフルオライト(II−A)および(II−B)は一般に、気相または液相中で不活性流体で希釈された反応媒体に供給される。
【0017】
通常、これらの希釈流体は、とりわけ、N2、He、CF4、CF3CF3またはCF3O−CF2CF3のような、不活性気体である。
【0018】
通常、ハイポフルオライト(II−A)または(II−B)の流れは、FAFSを含む反応容器に供給され;必要量のハイポフルオライトを供給するために、添加は一般に、所定時間の間に連続的に行われる。
【0019】
次いで、標的化合物(I−A)および(I−B)は、溶媒(もしあれば)から、残留FAFSから分離され、一般に、標準圧でまたは真空下で分留技術を用いて回収される。
【0020】
本出願人は、上に定義されたとおりのFAFSとハイポフルオライト(II−A)および(II−B)との反応は、ハイポフルオライトのO−F結合の均一開裂を含むラジカル機構を受けると考えるが、これは本発明の範囲を限定しない。
【0021】
式(I−A)および(I−B)の付加物は、特にそのフルオロサルフェート部分の特有の反応性を用いて、フッ素化学における中間体として広く用いられ得る。
【0022】
フルオロサルフェート部分は、とりわけ、周知の求核置換反応全てを受け得る。別に、上記のFAFS付加物(I−A)および(I−B)は、対応するアシルフルオリドを調製するために用いられ得る。
【0023】
本発明の方法は、上に詳述されたとおりの式(I−A)および(I−B)の化合物を、それぞれ式(III−A)および(III−B):
【化8】
の対応するアシルフルオリドに変換させるステップをさらに含む。
【0024】
−CF2OSO2F部分を−C(O)F部分に変換させる標準的な方法は、(I−A)および(I−B)を対応する低級同族体アシルフルオリドに変換させるために用いることができる。
【0025】
これらの方法にはとりわけ、上に定義されたとおりのFAFS付加物(I−A)および(I−B)の加水分解、好ましくはアルカリ加水分解、その後の標的アシルフルオリド部分へのカルボン酸部分のフッ素化が含まれ得る。
【0026】
好適な反応スキームは、以下:
【化9】
のとおり略図化され得る。
加水分解(すなわち、スキームにおけるステップ1)は好ましくは、無機塩基水溶液による、例えば、KOH水溶液によるアルカリ加水分解、続けて、カルボン酸を得るための酸性水溶液(例えば、HCl水溶液)による処理によって達成され得る。
カルボン酸部分のフッ素化(すなわち、スキーム2におけるステップ2)は、
− SO2Cl(または他の好適な塩素化剤)による塩素化、その後の、標的アシルフルオリド(III−A)および(III−B)を得るための、対応するアシルクロリドとKF(または他の好適なフッ素化物源)との反応によって;または
− 標的アシルフルオリド(III−A)および(III−B)を直接生成させるための、とりわけフルオロアルキルアミン試薬[Yarovenko試薬(Et2N.CF2CFClH)またはIshikawa試薬(Et2N.CF2CFHCF3)など]のような好適なフッ素化剤によるカルボン酸の処理によって
行うことができる。
【0027】
(I−A)および(I−B)をアシルフルオリド(III−A)および(III−B)に変換させる好ましい方法には、金属フッ化物触媒の存在下での−CF2−OSO2F部分の熱分解が含まれる。
【0028】
この方法は、一般に95%を超える高収率で、一ステップの操作で上に詳述したとおりのアシルフルオリド(III−A)および(III−B)を得ることを可能にするので特に好ましい。
【0029】
好ましい金属フッ化物触媒は、CsF、KF、RbF、LiF、NaF、CaF2、BaF2、MgF2、SrF2、AgFである。最も好ましい金属フッ化物はCsFおよびKFである。
【0030】
反応は一般的に、20から200℃の温度で行われる。
【0031】
アシルフルオリド(III−A)および(III−B)の化学的性質は、エーテル、特にビニルエーテルの製造に特に有用であることが見いだされた。
【0032】
本発明の第1の変形によれば、本方法は、好適な触媒の存在下で上記のとおりのアシルフルオリド(III−A)および(III−B)をヘキサプロピレンエポキシド(HFPO)と反応させて、その結果、化合物(IV−A)および(IV−B):
【化10】
(式中、RFおよびR’Fは、上に定義されたとおりの意味を有する)
を得るステップをさらに含む。
【0033】
(IV−A)および(IV−B)を生成させるためのアシルフルオリド(III−A)および(III−B)とHFPOとの反応は、米国特許第3114778号明細書(DU PONT)1963年2月17日に記載されたとおりに行われ得る。
【0034】
この反応は、触媒として活性炭を用いてバルクで、またはフッ化物触媒を用いて極性溶媒中の反応によって行われることができ、この後者の実施形態が好ましい。反応に好適なフッ化物触媒は、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、四級アンモニウムフッ化物および銀フッ化物である。好ましいフッ化物触媒は、CsF、KF、RbF、LiF、NaF、CaF2、BaF2、MgF2、SrF2、AgFである。最も好ましい金属フッ化物はCsFおよびKFである。
【0035】
触媒濃度は重要ではなく、触媒の量は、反応が行われる環境によって決定される。反応温度は、−80℃から200℃まで大きく変えることができるが、好ましい範囲は−30℃から100℃である。
【0036】
本発明の第1の変形のアシルフルオリド(IV−A)および(IV−B)は、さらに熱分解させて、式(V−A)および(V−B):
【化11】
(式中、RFおよびR’Fは、上に定義されたとおりの意味を有する)
の対応するフルオロビニルエーテルを生じ得る。
【0037】
熱分解は、アシルフルオリド(IV−A)および(IV−B)に対して直接行われ得るか、またはこれらの後者は、最初に、一価金属塩、例えば、対応するカルボン酸のアルカリ金属塩に変換させ、次いで熱分解させ得る。
【0038】
加水分解およびアルカリ金属塩の形成は一般に、アシルフルオリド(IV−A)および(IV−B)を水と、次いで、KOHまたはNaOHなどのアルカリ金属塩基と接触させることによって行われる。アルカリ金属塩の熱分解は一般に、150℃から250℃、好ましくは170℃から220℃の温度で行われる。
【0039】
アシルフルオリド(V−A)および(V−B)の熱分解は一般に、気相中で前記アシルフルオリドを触媒、好ましくは、硫酸ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと150℃から350℃、好ましくは150℃から250℃の温度で接触させることによって行われる。
【0040】
本発明の第2の変形によれば、本方法は、液相中−150℃から0℃の温度でアシルフルオリド(III−A)および(III−B)を元素フッ素および少なくとも1種の式:
【化12】
(式中、A1、A2、A3、A4は、互いに同じかまたは異なり、H、F、Cl、Brの中から選択される)
のオレフィン化合物[オレフィン(Ol)]と反応させ、その結果、式(VI−A)および(VI−B):
【化13】
(式中、A1、A2、A3、A4、RFおよびR’Fは、上に定義されたとおりの意味を有する)
のハロエーテル化合物を得るステップをさらに含む。この反応ステップで用いられるオレフィン(Ol)は、少なくとも1個のフッ素原子、および少なくとも1個の、臭素および塩素の中から選択されるハロゲン原子を含むことが一般に好ましい。より好ましいオレフィン(Ol)は、上記式(式中、A1およびA2の1個はフッ素原子であり、残りは、H、Cl、Brの中から選択され、ならびにA3およびA4の1個はフッ素原子であり、残りは、H、Cl、Brの中から選択される)を満たすものである。したがって、これらの好ましいオレフィン(Ol)は、式:
【化14】
(ここで、A、A’は、互いに同じかまたは異なり、H、Cl、Brの中から独立して選択され、好ましくはAおよびA’は同時にHではない)
を満たす。
【0041】
本発明の目的に特に好適であるオレフィン(Ol)は、とりわけ、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン(CFC1112)、1,2−ジブロモ−1,2−ジフルオロエチレン、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンである。最も好ましいオレフィン(Ol)はCFC1112である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態の第2の変形による式(VI−A)および(VI−B)のハロエーテル化合物は、対応するビニルエーテル(VII−A)および(VII−B):
【化15】
(式中、A5およびA6は、互いに同じかまたは異なり、H、F、Cl、Brの中から選択され、RFおよびR’Fは、上に定義されたとおりの意味を有する)
を得るために脱ハロゲン化/脱ハロゲン化水素によってさらに反応させ得る。
【0043】
オレフィン(Ol)が、上に定義されたとおりの式
【化16】
を満たす場合、上に詳述されたとおりの式(V−A)および(V−B)のフッ素化ビニルエーテルを得ることができる。
【0044】
A1、A2、A3、A4が、互いに同じかまたは異なり、F、Cl、Brの中から選択される場合、ビニルエーテルは、脱ハロゲン化反応を介して得ることができる。脱ハロゲン化は、極性有機溶媒中遷移金属の存在下で式(VI−A)および(VI−B)のハロエーテル化合物の反応によって達成され得る。好適な遷移金属の中で、Zn、Cu、Mnまたは混合物Zn/Cu、Zn/Sn、Zn/Hgを挙げることができる。好適な極性溶媒は、プロトン性または非プロトン性であることができる。プロトン性極性溶媒の中で、アルコールを挙げることができ;非プロトン性極性溶媒の中で、エーテル(例えば、グリム、ジオキサン)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキサン(DMSO)を挙げることができる。
【0045】
A1、A2、A3、A4の少なくとも1個が水素である場合、ビニルエーテルは、脱ハロゲン化水素反応を介して得ることができる。
【0046】
脱ハロゲン化水素は、塩基の存在下で式(VI−A)および(VI−B)のハロエーテル化合物の反応によって達成され得る。無機塩基(例えば、NaOHまたはKOH)または有機塩基(例えば、第一級、第二級または第三級のアルキルもしくはアリールアミン)を用いることができる。一般に、脱ハロゲン化水素は、場合によって通常水性または水性/アルコール性である溶媒の存在下で、液相で行われる。水性無機塩基を用いる場合、一般に、四級ホスホニウムもしくは四級アンモニウムの塩(例えば、テトラブチルアンモニウムまたはホスホニウムの塩、特に塩化物;トリオクチルベンジルアンモニウムまたはホスホニウムの塩、特に塩化物)、または相間移動剤としてスルホニウム塩を用いることが好ましい。
【0047】
脱ハロゲン化および脱ハロゲン化水素の両方は通常、0℃から150℃、好ましくは25℃から100℃の温度で行われる。
【0048】
本発明の第3の変形によれば、本方法は、フッ化物触媒の存在下でアシルフルオリド(III−A)および(III−B)を元素フッ素と反応させ、対応するハイポフルオライト(VIII−A)および(VIII−B):
【化17】
(式中、RFおよびR’Fは、上に定義されたとおりの意味を有する)
を得るステップをさらに含む。
【0049】
この反応に好適なフッ化物触媒は、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、四級アンモニウムフッ化物および銀フッ化物である。好ましいフッ化物触媒は、CsF、KF、RbF、LiF、NaF、CaF2、BaF2、MgF2、SrF2、AgFである。より好ましい金属フッ化物はCsFおよびKFであり、最も好ましいものはCsFである。
【0050】
ハイポフルオライト(VIII−A)および(VIII−B)は、フッ素化学における有用な中間体として広く用いられ得る。
【0051】
特に、この変形による方法は、ハイポフルオライト(VIII−A)および(VIII−B)を上に定義されたとおりのオレフィン(Ol)と反応させて、上に定義されたとおりの式(VI−A)および(VI−B)の対応するハロエーテル化合物を生成させるステップをさらに含み得る。
【0052】
第2の変形について言及されたように、ハロエーテル化合物(VI−A)および(VI−B)は、上に詳述されたとおりの脱ハロゲン化/脱ハロゲン化水素によって対応するビニルエーテルに変換され得る。
【0053】
これらの合成スキームは全て、上記のとおりのハイポフルオライト(II−A)および(II−B)に対するFAFSの驚くべき反応性に基づき、これは、さらなる反応性の余地がある−COF部分を有する式:
【化18】
のフッ素化酸素含有基を含むフッ素系シントンを、高い収率および選択性で生成することを可能にする。
【0054】
上記本方法から生成され得る化合物の中で、選択されるものは新規である。
【0055】
したがって、本発明はまた、以下の式(IX−A)および(IX−B):
【化19】
(式中、R*Fは、−CF2−CF2−SO2F、−C2F5−、−(CF2)2−CF3、−CF2−COOCH3であり、R’*Fは−CX*1X*2−基であり、ここで、X*1およびX*2は、互いに同じかまたは異なり、それぞれ、−Fまたは−CF3である)
の化合物に関する。
【0056】
R*F=−CF2−COOCH3の化合物(IX−A)は、RF=−CF2−CF2−SO2Fのハロエーテル化合物(VI−A)から、NO2による酸化、その後のそのように得られたアシルフルオリドのメタノールによるエステル化、最後に脱ハロゲン化/脱ハロゲン化水素によって容易に得ることができる。
【0057】
式(IX−A)および(IX−B)の化合物は、場合によって他の(ペル)(ハロ)フルオロモノマーと組み合わせて、対応するポリマーを製造するためのモノマー/コモノマーとして用いることができる。
【0058】
特に、式(IX−A)(式中、R*Fは、−CF2−CF2−SO2F、または−CF2−COOCH3である)は、例えば、膜の製造(例えば、電気化学電池または燃料電池)に好適な(ペル)フッ素化イオノマーの製造のために有利に用いることができる。
【0059】
式(IX−A)(式中、R*Fは−C2F5、−(CF2)2−CF3である)の化合物は、例えば、フッ化ビニリデン(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)またはそれらの混合物と組み合わせて、(ペル)フルオロエラストマーの製造のために有利に用いることができる。
【0060】
式(IX−B)の化合物は、熱可塑性(ペル)フルオロポリマーの製造のために、例えば、TFEベースポリマーの改変のために用いることができる。
【0061】
本発明は、その目的が単に例証的でありかつ本発明の範囲を限定することは意図されない以下の実施例を参照して、より詳細にこれから説明される。
【実施例】
【0062】
原料
ペルフルオロアリルフルオロサルフェート(FAFS)は、前に記載された技術(KRESPAN,G.ら,「Perfluoroallylfluorosulfate,a reactive new perfluoroallylating agent」、J.Am.Chem.Soc.1981年、第103巻、5598〜5599頁)によって合成し、沸点64℃を有する流体として80%(変換SO3に対して)の選択性で得た。
【0063】
ハイポフルオライト
CF3OFは、MUKHAMETSHIN,F.M.,「Advances in the Chemistry of Organofluorine Hypohalites and Related Compounds」,Russian Chemical Reviews、1980年、第49巻、第7号、668〜682頁に記載されたとおりに調製した。
CF2(OF)2は、J.Am.Chem.Soc.,1967年、第89巻、1809〜1810頁に記載されたとおりに得た。
FSO2−CF2CF2OFは、米国特許第4962282号明細書(AUSIMONT)1990年10月9日に記載されたとおりに調製した。
【0064】
実施例1
− FAFSへのCF3OFの付加およびCF3OCF2CF2CF2OSO2Fフルオロサルフェート付加物の合成
電磁撹拌機を備え、50mlの容量を有し、40gのCFCl3および16gの実施例1由来のFASFを含み、低温浴で−50℃に維持したガラス製反応器に、2.4Nl/時間のN2で希釈した、1.2Nl/時間のCF3OFの流れを、注入口接続部を通して2時間供給した。反応の終了時に、56gの粗反応混合物を得て;FASF変換率は、GC/MS分析により32%であることがわかった。式CF3OCF2CF2CF2OSO2Fのフルオロサルフェート付加物を、モルで(変換FAFSに対して)85.5%の選択性で得た。10.2gの未反応FASFを、分留により回収した。
【0065】
実施例2
− CF3OCF2CF2COFアシルフルオリドの合成
電磁撹拌機を備え、−70℃で維持した冷却トラップに、循環水冷却ジャケットによって接続された、50mlの容量を有するガラス製反応器に、実施例1によって調製した10gのフルオロサルフェート付加物および0.1gのCsFを入れた。そのように得られた混合物を、外部浴を通して加熱し、激しく撹拌しながら2時間還流させた。反応の終了時に、その変換が完全であったフルオロサルフェート付加物のモルに対して計算して、モルで98%の選択性を有して、6.8gのCF3OCF2CF2COFアシルフルオリドを冷却トラップに回収した。
【0066】
実施例3
− CF3O(CF2)3OCFClCF2Clの合成
電磁撹拌機を備え、50mlの容量を有し、57gのCFCl=CFCl(CFC1112)および25.5gの実施例3由来のCF3O(CF2)2COFアシルフルオリドを含み、−100℃に冷却したガラス製反応器に、5.0Nl/時間のN2で希釈した、1.0Nl/時間のフッ素の流れを6.5時間供給した(フッ素供給時間中に、わずかな発熱反応が見られた)。反応器の出口で収集された気体状生成物を−80℃に維持し、フッ素化溶媒を含むトラップを通過させた。反応の終了時に、粗反応混合物を反応器から、およびトラップから単離し、これをGC/MS分析で特徴付けた:CFC1112およびアシルフルオリドの変換率は、それぞれ、100%および60%であることがわかった。CF3O(CF2)3OCFClCF2Clを、変換アシルフルオリドのモルで計算して、モルで75%の選択性で得た。
【0067】
実施例4
− CF3O(CF2)3OCFClCF2Clの脱ハロゲン化
機械的撹拌機、温度計、滴下ロート、水冷管を有する蒸留カラム、および−78℃に維持し、真空ラインに接続された収集フラスコを備え、250mlの内部容積を有する三口丸底フラスコ中に、粉末亜鉛(15g)、炭酸カリウム(0.5g)、ヨウ素(100mg)およびジメチルホルムアミド(150ml)を導入した。その内部温度を80℃に上昇させ、57gの実施例4由来のCF3O(CF2)3OCFClCF2Clを滴下した。滴下の終了時に、この反応混合物を約30分間反応させ;次いで、内部圧力を760mmHgから300mmHgに徐々に低下させた。20分後に、内部圧力を760mmHgに戻し、回収した収集フラスコは、43gのCF3O(CF2)3OCF=CF2(沸点64℃)を含むことがわかった。
【0068】
実施例5
FASFへのFSO2−CF2CF2OFの付加、およびFSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−CF2−OSO2Fフルオロサルフェート付加物(2A)の合成
機械的撹拌機を備え、50mlの容量を有し、18.3gのCF2=CFCF2OSO2F(FAFS)を含み、−50℃に冷却された金属製反応器に、17.6Nl/時間のヘリウムで希釈した、0.8Nl/時間のSO2FCF2CF2OFハイポフルオライトの流れを1時間供給した。反応の終了時に、24.1gの粗反応生成物を得て、それから分留によって、12gの99重量%留分のフルオロサルフェート付加物を、その変換が完全であったSO2FCF2CF2OFハイポフルオライトのモルで計算して、モルで72%の収率で回収した。式SO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−CF2−O−SO2F(2A)の付加物は、GC/MSおよび19F−NMR分析により特徴付けた。
【0069】
実施例6
− FSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−COFアシルフルオリドの合成
温度0℃に維持した冷却トラップに接続された反応器に15gの実施例5由来の(2A)を入れた以外は、実施例2で詳述したとおりの同様の手順に従った。反応の終了時に、循環水冷却ジャケットをVigreuxカラムで置き換え、11.4gのFSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−COFアシルフルオリドを、その変換が完全であったフルオロサルフェート付加物のモルで計算して、モルで98%の選択性で蒸留して取り除いた。
【0070】
実施例7
− FSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−O−CFCl−CF2Clスルホン酸フルオロハロゲンエーテルの合成
機械的撹拌機を備え、50mlの容量を有し、59gのCFC1112および37gの実施例6由来のFSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−COFアシルフルオリドを含み、−80℃で維持したガラス製反応器に、8.0Nl/時間のN2で希釈した、1.6Nl/時間の流れを、注入口接続部を通して7時間供給した。反応の終了時に、110gの粗反応生成物を反応器から回収し、GC/MS分析によって特徴付けた:CFC1112変換率は100%であり、アシルフルオロリドのそれは58%であった。24gのFSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−CF2−OCFCl−CF2Clスルホン酸フルオロハロゲンエーテルを、分留によって粗反応混合物から回収し、得られたスルホン酸フルオロハロゲンエーテルは、変換アシルフルオリドのモルで計算して、モルで75%の選択性を有した。14.9gの未反応アシルフルオリドも回収した。
【0071】
実施例8
− FSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−CF2−CF2−OCFCl−CF2Clスルホン酸フルオロハロゲンエーテルの脱ハロゲン化
8gの粉末亜鉛および70mlのジメチルホルムアミド、ならびに真空ラインに接続され、0℃に維持した収集トラップを用いた以外は、実施例4に詳述したとおりの同様の手順に従った。内部温度を90℃に上昇させ、実施例8によって調製した36gのフルオロハロゲンエーテルを滴下した。滴下の終了時に、そのように得られた混合物を約30分間反応させ;内部圧力を760mmHgから200mmHgに徐々に低下させた。40分後に、内部圧力を760mmHgに戻し、回収した収集フラスコは、27gの式:FSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−CF2−OCF=CF2を有するスルホン酸ビニルエーテル化合物(収率87%)を含むことがわかった。
【0072】
実施例9
− 式:
【化20】
を有するフルオロサルフェートジオキソランの合成
機械式撹拌機を備え、50mlの容量を有し、20.5gのFASFを含み、低温浴で−50℃に維持したガラス製反応器に、2.0Nl/時間のN2で希釈した、1.0Nl/時間のCF2(OF)2の流れを、注入口接続部を通して2時間供給した。反応の終了時に、30gの粗反応混合物を回収し;FASF変換率は、GC/MS分析により94%に等しいことがわかった。10.8gの純粋ジオキソランを、供給ビス−ハイポフルオライトCF2(OF)2のモルで計算して、モルで78%の選択性を有して、分留により粗反応混合物から回収した。
【0073】
実施例10
− 式:
【化21】
を有するアシルフルオリドの合成
−78℃の温度で維持した冷却トラップに接続された反応器に、実施例9によって調製した9.4gのジオキソランを入れた以外は、実施例2に詳述したとおりの同様な手順に従った。そのように得られた混合物を、外部浴を通して加熱し、激しく撹拌しながら、4時間還流させた。反応の終了時に、6.2gの上述のアシルフルオリドを、その変換率が完全であったフルオロサルフェートジオキソランのモルで計算して、モルで98%の選択性を有して、冷却トラップに回収した。
【0074】
実施例11
− 式:
【化22】
を有するフルオロハロゲンエーテル化合物の合成
21gの実施例10由来のアシルフルオリド、および8.0Nl/時間のN2で7時間希釈した、1.6Nl/時間のフッ素の注入口の流れ7時間を用いた以外は、実施例3に詳述したとおりの同様の手順に従った。17.6gの上述のフルオロハロゲンエーテル化合物を、変換アシルフルフルオリドのモルで計算して、モルで77%の選択性を有して、分留により粗反応混合物から回収した。8.1gの未反応アシルフルオリドも回収した。
【0075】
実施例12
− 実施例11のフルオロハロゲンエーテルの脱ハロゲン化、および式:
【化23】
を有するペルフルオロビニルエーテルの合成
8gの粉末亜鉛および70mlのジメチルホルムアミドを用いた以外は、実施例4に詳述したとおりの同様の手順に従った。内部温度を80℃に上昇させ、27gの実施例11のフルオロハロゲンエーテル化合物を滴下した。21gの上述のペルフルオロビニルエーテルを、変換フルオロハロゲンエーテルのモルで計算して、モルで95%の選択性を有して回収した。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある種のアシルフルオリド誘導体を生成するためのフルオロアリルフルオロサルフェートへのハイポフルオライトの付加反応、この付加反応を含む合成方法、およびそれから得られる生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、フルオロアリルフルオロサルフェート(FAFS)は、容易に入手できるフッ素化中間体であり、とりわけ、(特許文献1)(E.I.DUPONT DE NEMOURS)1980年11月25日、および(非特許文献1)に開示されたように、ホウ素系触媒の存在下で三酸化硫黄によるヘキサフルオロプロピレンの処理によって高収率で調製され得る。
【0003】
この化合物は、求核試薬に対するその反応性、および適当な求核置換によってペルフルオロアリル基を生じるその能力が利用されている多数の合成経路で成功裏に用いられている(例えば、(非特許文献2)を参照のこと)。
【0004】
とりわけ、金属フッ化物の存在下でのFAFSとポリフルオロカルボニル化合物との反応を含む合成方法を挙げることができ;言及されたこれらの後者は、対応するポリフルオロアルコキシド化合物にその場で(in situ)変換され、これは、フルオロサルフェート基において求核置換を受け、以下のスキーム:
【化1】
で略図化されるように、対応するペルフルオロアリル−置換エーテル化合物を生成する。このような化学的性質の例は、以下の公報で見いだされ得る:(特許文献2)(DU PONT)1981年9月29日;(特許文献3)(DU PONT)1981年6月23日;(特許文献4)(DU PONT)1981年6月16日。
【0005】
一方、特にフルオロカルボニル誘導体を生成するための、特にフッ素含有化合物、例えば、ハイポフルオライトのその二重結合に対する付加を含む、FAFSの付加反応を調査するために努力は全く払われてこなかった。
【0006】
実際、ハイポフルオライトは、求電子機構(非特許文献3)を介して、またはラジカル経路(非特許文献4)によって異なるオレフィンに対する付加反応を受けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4235804号明細書
【特許文献2】米国特許第4292449号明細書
【特許文献3】米国特許第4275225号明細書
【特許文献4】米国特許第4273728号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】KRESPAN,G.ら、「Perfluoroallylfluorosulfate,a reactive new perfluoroallylating agent」、J.Am.Chem.Soc.、1981年、第103巻、5598〜5599頁
【非特許文献2】BANKS,Ronald Eら、「Perfluoroallyl fluorosulphonate」、Journal of Fluorine Chemistry、1982年、第20巻、1133〜1134頁
【非特許文献3】ROZEN,S.、Chem.rev.、1996年、第96巻、1717頁およびss.
【非特許文献4】NAVARRINI,W.ら、「Organic perfluoro−hypofluorites:useful reagents in the preparation of fluorinated vinylethers」、Recent Res.Devel.Organic Chem.、2004年、第8巻、281〜322頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願人は、いまや驚くべきことに、フルオロサルフェート部分に対する求核反応を開始させることなく、FAFSの二重結合にハイポフルオライトを付加させることができることを見いだした。したがって、FAFSは、対応するアシルフルオリド誘導体を生じるために、フルオロサルフェート部分およびその利用しやすい化学的性質を維持しながら、以下のスキームで強調されるC3−飽和酸化基:
【化2】
の、標的分子における導入のための好適なシントン(synthone)として用いられる。実際に、これらの中間体におけるフルオロサルフェート基の反応性は、フルオロアシル化合物の製造のために成功裏に用いることができ、これは、とりわけ、対応するビニルエーテルを生じるために好適な脱ハロゲン化水素反応を受け得るフルオロエーテルのような、さまざまな化合物を生成するための実に興味ある前駆体である。
【0010】
したがって、本発明の目的は、式(III−A)および(III−B):
【化3】
の化合物を調製する方法であって、
(1)式(I−A)および(I−B):
【化4】
の化合物を、
式:
【化5】
のペルフルオロアリルフルオロサルフェート(FAFS)と、
式(II−A)または(II−B):
【化6】
の少なくとも1種のハイポフルオライトとの反応によって生成させるステップと、
(2)上に詳述されたとおりの式(I−A)および(I−B)の化合物を、それぞれ式(III−A)および(III−B)の対応するアシルフルオリドに変換させるステップと
を含み、
式中:
− 式(I−A)、(II−A)および(III−A)におけるRFは、任意選択により場合によっては酸素カテナリー原子を含んでいてもよく且つ任意選択により場合によってはヘテロ原子を含む官能基(例えば、−SO2F基)を含んでいてもよい、一価フルオロカーボンC1〜C20基であり;
− 式(I−B)、(II−B)および(III−B)におけるR’Fは、二価のフルオロカーボンC1〜C6の基、好ましくは式:
【化7】
(式中、X1およびX2は、互いに同じかまたは異なり、独立して、フッ素原子またはC1〜C3フルオロカーボン基である)
の基である、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願人は、驚くべきことに、有用な中間体が得られるように式(I−A)および(I−B)のFAFS−ハイポフルオライト付加物は高い選択性で生成可能であり、この中間体を、未改変フルオロサルフェート基の化学的性質を利用してさらに反応させ、−COF基を含む標的カルボニル化合物を生成させ得ることを見いだした。
【0012】
式(II−A)および(II−B)のハイポフルオライトおよびこれらの化合物のための合成経路は当技術分野で公知である(とりわけ、NAVARRINI,W.ら、「Organic perfluoro−hypofluorites:useful reagents in the preparation of fluorinated vinylethers」、Recent Res.Devel.Organic Chem.、2004年、第8巻、281〜322頁を参照されたい)。式(II−A)のハイポフルオライトの非限定的な例は、とりわけ、CF3OF、CF3CF2OF、CF3CF2CF2OF、(CF3)2CFCF2OF、CF3OCF2OF、CF3OCF2CF2OF、CF3CF2OCF2OF、CF3CF2OCF2CF2OF、CF3CF2CF2OCF2OF、CF3OCF2CF2OCF2OF、FSO2CF2CF2OF、FC(O)CF2OCF2CF2OFである。式(II−B)のハイポフルオライトの非限定的な例は、とりわけ、CF2(OF)2、CF(CF3)(OF)2、C(CF3)2(OF)2である。
【0013】
FAFSとハイポフルオライト(II−A)および(II−B)との反応は一般に、−150℃から0℃、好ましくは−120℃から−20℃で行われる。当業者は、とりわけ、関与するハイポフルオライトの熱安定性を考慮して適切な温度を選択する。
【0014】
反応圧力は、重要なパラメータでないとしても、一般に大気圧である。
【0015】
反応は一般に、反応条件で不活性な有機溶媒の非存在下または存在下で、液相で行われる。溶媒は添加されない一方、FAFSそれ自体が有利には液体反応媒体となる。好適な溶媒の非限定的な例は、とりわけ、クロロフルオロカーボン、例えば、CF2Cl2、CFCl3、CF2ClCFClCFClCF2Cl、ペルフルオロカーボン、例えば、CF3CF2CF3、ペルフルオロエテン、例えば、CF3OCF2CF3、クロロフルオロエーテル、例えば、CF3OCFClCClF2、またはペルフルオロポリエーテル、例えば、式CF3O(CF2CF2O)m(CF2O)nCF3(式中、mおよびnは整数であり、それらの比は、0.1から5の間である)のもの、およびそれらの混合物である。
【0016】
ハイポフルオライト(II−A)および(II−B)は一般に、気相または液相中で不活性流体で希釈された反応媒体に供給される。
【0017】
通常、これらの希釈流体は、とりわけ、N2、He、CF4、CF3CF3またはCF3O−CF2CF3のような、不活性気体である。
【0018】
通常、ハイポフルオライト(II−A)または(II−B)の流れは、FAFSを含む反応容器に供給され;必要量のハイポフルオライトを供給するために、添加は一般に、所定時間の間に連続的に行われる。
【0019】
次いで、標的化合物(I−A)および(I−B)は、溶媒(もしあれば)から、残留FAFSから分離され、一般に、標準圧でまたは真空下で分留技術を用いて回収される。
【0020】
本出願人は、上に定義されたとおりのFAFSとハイポフルオライト(II−A)および(II−B)との反応は、ハイポフルオライトのO−F結合の均一開裂を含むラジカル機構を受けると考えるが、これは本発明の範囲を限定しない。
【0021】
式(I−A)および(I−B)の付加物は、特にそのフルオロサルフェート部分の特有の反応性を用いて、フッ素化学における中間体として広く用いられ得る。
【0022】
フルオロサルフェート部分は、とりわけ、周知の求核置換反応全てを受け得る。別に、上記のFAFS付加物(I−A)および(I−B)は、対応するアシルフルオリドを調製するために用いられ得る。
【0023】
本発明の方法は、上に詳述されたとおりの式(I−A)および(I−B)の化合物を、それぞれ式(III−A)および(III−B):
【化8】
の対応するアシルフルオリドに変換させるステップをさらに含む。
【0024】
−CF2OSO2F部分を−C(O)F部分に変換させる標準的な方法は、(I−A)および(I−B)を対応する低級同族体アシルフルオリドに変換させるために用いることができる。
【0025】
これらの方法にはとりわけ、上に定義されたとおりのFAFS付加物(I−A)および(I−B)の加水分解、好ましくはアルカリ加水分解、その後の標的アシルフルオリド部分へのカルボン酸部分のフッ素化が含まれ得る。
【0026】
好適な反応スキームは、以下:
【化9】
のとおり略図化され得る。
加水分解(すなわち、スキームにおけるステップ1)は好ましくは、無機塩基水溶液による、例えば、KOH水溶液によるアルカリ加水分解、続けて、カルボン酸を得るための酸性水溶液(例えば、HCl水溶液)による処理によって達成され得る。
カルボン酸部分のフッ素化(すなわち、スキーム2におけるステップ2)は、
− SO2Cl(または他の好適な塩素化剤)による塩素化、その後の、標的アシルフルオリド(III−A)および(III−B)を得るための、対応するアシルクロリドとKF(または他の好適なフッ素化物源)との反応によって;または
− 標的アシルフルオリド(III−A)および(III−B)を直接生成させるための、とりわけフルオロアルキルアミン試薬[Yarovenko試薬(Et2N.CF2CFClH)またはIshikawa試薬(Et2N.CF2CFHCF3)など]のような好適なフッ素化剤によるカルボン酸の処理によって
行うことができる。
【0027】
(I−A)および(I−B)をアシルフルオリド(III−A)および(III−B)に変換させる好ましい方法には、金属フッ化物触媒の存在下での−CF2−OSO2F部分の熱分解が含まれる。
【0028】
この方法は、一般に95%を超える高収率で、一ステップの操作で上に詳述したとおりのアシルフルオリド(III−A)および(III−B)を得ることを可能にするので特に好ましい。
【0029】
好ましい金属フッ化物触媒は、CsF、KF、RbF、LiF、NaF、CaF2、BaF2、MgF2、SrF2、AgFである。最も好ましい金属フッ化物はCsFおよびKFである。
【0030】
反応は一般的に、20から200℃の温度で行われる。
【0031】
アシルフルオリド(III−A)および(III−B)の化学的性質は、エーテル、特にビニルエーテルの製造に特に有用であることが見いだされた。
【0032】
本発明の第1の変形によれば、本方法は、好適な触媒の存在下で上記のとおりのアシルフルオリド(III−A)および(III−B)をヘキサプロピレンエポキシド(HFPO)と反応させて、その結果、化合物(IV−A)および(IV−B):
【化10】
(式中、RFおよびR’Fは、上に定義されたとおりの意味を有する)
を得るステップをさらに含む。
【0033】
(IV−A)および(IV−B)を生成させるためのアシルフルオリド(III−A)および(III−B)とHFPOとの反応は、米国特許第3114778号明細書(DU PONT)1963年2月17日に記載されたとおりに行われ得る。
【0034】
この反応は、触媒として活性炭を用いてバルクで、またはフッ化物触媒を用いて極性溶媒中の反応によって行われることができ、この後者の実施形態が好ましい。反応に好適なフッ化物触媒は、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、四級アンモニウムフッ化物および銀フッ化物である。好ましいフッ化物触媒は、CsF、KF、RbF、LiF、NaF、CaF2、BaF2、MgF2、SrF2、AgFである。最も好ましい金属フッ化物はCsFおよびKFである。
【0035】
触媒濃度は重要ではなく、触媒の量は、反応が行われる環境によって決定される。反応温度は、−80℃から200℃まで大きく変えることができるが、好ましい範囲は−30℃から100℃である。
【0036】
本発明の第1の変形のアシルフルオリド(IV−A)および(IV−B)は、さらに熱分解させて、式(V−A)および(V−B):
【化11】
(式中、RFおよびR’Fは、上に定義されたとおりの意味を有する)
の対応するフルオロビニルエーテルを生じ得る。
【0037】
熱分解は、アシルフルオリド(IV−A)および(IV−B)に対して直接行われ得るか、またはこれらの後者は、最初に、一価金属塩、例えば、対応するカルボン酸のアルカリ金属塩に変換させ、次いで熱分解させ得る。
【0038】
加水分解およびアルカリ金属塩の形成は一般に、アシルフルオリド(IV−A)および(IV−B)を水と、次いで、KOHまたはNaOHなどのアルカリ金属塩基と接触させることによって行われる。アルカリ金属塩の熱分解は一般に、150℃から250℃、好ましくは170℃から220℃の温度で行われる。
【0039】
アシルフルオリド(V−A)および(V−B)の熱分解は一般に、気相中で前記アシルフルオリドを触媒、好ましくは、硫酸ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと150℃から350℃、好ましくは150℃から250℃の温度で接触させることによって行われる。
【0040】
本発明の第2の変形によれば、本方法は、液相中−150℃から0℃の温度でアシルフルオリド(III−A)および(III−B)を元素フッ素および少なくとも1種の式:
【化12】
(式中、A1、A2、A3、A4は、互いに同じかまたは異なり、H、F、Cl、Brの中から選択される)
のオレフィン化合物[オレフィン(Ol)]と反応させ、その結果、式(VI−A)および(VI−B):
【化13】
(式中、A1、A2、A3、A4、RFおよびR’Fは、上に定義されたとおりの意味を有する)
のハロエーテル化合物を得るステップをさらに含む。この反応ステップで用いられるオレフィン(Ol)は、少なくとも1個のフッ素原子、および少なくとも1個の、臭素および塩素の中から選択されるハロゲン原子を含むことが一般に好ましい。より好ましいオレフィン(Ol)は、上記式(式中、A1およびA2の1個はフッ素原子であり、残りは、H、Cl、Brの中から選択され、ならびにA3およびA4の1個はフッ素原子であり、残りは、H、Cl、Brの中から選択される)を満たすものである。したがって、これらの好ましいオレフィン(Ol)は、式:
【化14】
(ここで、A、A’は、互いに同じかまたは異なり、H、Cl、Brの中から独立して選択され、好ましくはAおよびA’は同時にHではない)
を満たす。
【0041】
本発明の目的に特に好適であるオレフィン(Ol)は、とりわけ、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン(CFC1112)、1,2−ジブロモ−1,2−ジフルオロエチレン、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンである。最も好ましいオレフィン(Ol)はCFC1112である。
【0042】
本発明の好ましい実施形態の第2の変形による式(VI−A)および(VI−B)のハロエーテル化合物は、対応するビニルエーテル(VII−A)および(VII−B):
【化15】
(式中、A5およびA6は、互いに同じかまたは異なり、H、F、Cl、Brの中から選択され、RFおよびR’Fは、上に定義されたとおりの意味を有する)
を得るために脱ハロゲン化/脱ハロゲン化水素によってさらに反応させ得る。
【0043】
オレフィン(Ol)が、上に定義されたとおりの式
【化16】
を満たす場合、上に詳述されたとおりの式(V−A)および(V−B)のフッ素化ビニルエーテルを得ることができる。
【0044】
A1、A2、A3、A4が、互いに同じかまたは異なり、F、Cl、Brの中から選択される場合、ビニルエーテルは、脱ハロゲン化反応を介して得ることができる。脱ハロゲン化は、極性有機溶媒中遷移金属の存在下で式(VI−A)および(VI−B)のハロエーテル化合物の反応によって達成され得る。好適な遷移金属の中で、Zn、Cu、Mnまたは混合物Zn/Cu、Zn/Sn、Zn/Hgを挙げることができる。好適な極性溶媒は、プロトン性または非プロトン性であることができる。プロトン性極性溶媒の中で、アルコールを挙げることができ;非プロトン性極性溶媒の中で、エーテル(例えば、グリム、ジオキサン)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキサン(DMSO)を挙げることができる。
【0045】
A1、A2、A3、A4の少なくとも1個が水素である場合、ビニルエーテルは、脱ハロゲン化水素反応を介して得ることができる。
【0046】
脱ハロゲン化水素は、塩基の存在下で式(VI−A)および(VI−B)のハロエーテル化合物の反応によって達成され得る。無機塩基(例えば、NaOHまたはKOH)または有機塩基(例えば、第一級、第二級または第三級のアルキルもしくはアリールアミン)を用いることができる。一般に、脱ハロゲン化水素は、場合によって通常水性または水性/アルコール性である溶媒の存在下で、液相で行われる。水性無機塩基を用いる場合、一般に、四級ホスホニウムもしくは四級アンモニウムの塩(例えば、テトラブチルアンモニウムまたはホスホニウムの塩、特に塩化物;トリオクチルベンジルアンモニウムまたはホスホニウムの塩、特に塩化物)、または相間移動剤としてスルホニウム塩を用いることが好ましい。
【0047】
脱ハロゲン化および脱ハロゲン化水素の両方は通常、0℃から150℃、好ましくは25℃から100℃の温度で行われる。
【0048】
本発明の第3の変形によれば、本方法は、フッ化物触媒の存在下でアシルフルオリド(III−A)および(III−B)を元素フッ素と反応させ、対応するハイポフルオライト(VIII−A)および(VIII−B):
【化17】
(式中、RFおよびR’Fは、上に定義されたとおりの意味を有する)
を得るステップをさらに含む。
【0049】
この反応に好適なフッ化物触媒は、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、四級アンモニウムフッ化物および銀フッ化物である。好ましいフッ化物触媒は、CsF、KF、RbF、LiF、NaF、CaF2、BaF2、MgF2、SrF2、AgFである。より好ましい金属フッ化物はCsFおよびKFであり、最も好ましいものはCsFである。
【0050】
ハイポフルオライト(VIII−A)および(VIII−B)は、フッ素化学における有用な中間体として広く用いられ得る。
【0051】
特に、この変形による方法は、ハイポフルオライト(VIII−A)および(VIII−B)を上に定義されたとおりのオレフィン(Ol)と反応させて、上に定義されたとおりの式(VI−A)および(VI−B)の対応するハロエーテル化合物を生成させるステップをさらに含み得る。
【0052】
第2の変形について言及されたように、ハロエーテル化合物(VI−A)および(VI−B)は、上に詳述されたとおりの脱ハロゲン化/脱ハロゲン化水素によって対応するビニルエーテルに変換され得る。
【0053】
これらの合成スキームは全て、上記のとおりのハイポフルオライト(II−A)および(II−B)に対するFAFSの驚くべき反応性に基づき、これは、さらなる反応性の余地がある−COF部分を有する式:
【化18】
のフッ素化酸素含有基を含むフッ素系シントンを、高い収率および選択性で生成することを可能にする。
【0054】
上記本方法から生成され得る化合物の中で、選択されるものは新規である。
【0055】
したがって、本発明はまた、以下の式(IX−A)および(IX−B):
【化19】
(式中、R*Fは、−CF2−CF2−SO2F、−C2F5−、−(CF2)2−CF3、−CF2−COOCH3であり、R’*Fは−CX*1X*2−基であり、ここで、X*1およびX*2は、互いに同じかまたは異なり、それぞれ、−Fまたは−CF3である)
の化合物に関する。
【0056】
R*F=−CF2−COOCH3の化合物(IX−A)は、RF=−CF2−CF2−SO2Fのハロエーテル化合物(VI−A)から、NO2による酸化、その後のそのように得られたアシルフルオリドのメタノールによるエステル化、最後に脱ハロゲン化/脱ハロゲン化水素によって容易に得ることができる。
【0057】
式(IX−A)および(IX−B)の化合物は、場合によって他の(ペル)(ハロ)フルオロモノマーと組み合わせて、対応するポリマーを製造するためのモノマー/コモノマーとして用いることができる。
【0058】
特に、式(IX−A)(式中、R*Fは、−CF2−CF2−SO2F、または−CF2−COOCH3である)は、例えば、膜の製造(例えば、電気化学電池または燃料電池)に好適な(ペル)フッ素化イオノマーの製造のために有利に用いることができる。
【0059】
式(IX−A)(式中、R*Fは−C2F5、−(CF2)2−CF3である)の化合物は、例えば、フッ化ビニリデン(VDF)、テトラフルオロエチレン(TFE)またはそれらの混合物と組み合わせて、(ペル)フルオロエラストマーの製造のために有利に用いることができる。
【0060】
式(IX−B)の化合物は、熱可塑性(ペル)フルオロポリマーの製造のために、例えば、TFEベースポリマーの改変のために用いることができる。
【0061】
本発明は、その目的が単に例証的でありかつ本発明の範囲を限定することは意図されない以下の実施例を参照して、より詳細にこれから説明される。
【実施例】
【0062】
原料
ペルフルオロアリルフルオロサルフェート(FAFS)は、前に記載された技術(KRESPAN,G.ら,「Perfluoroallylfluorosulfate,a reactive new perfluoroallylating agent」、J.Am.Chem.Soc.1981年、第103巻、5598〜5599頁)によって合成し、沸点64℃を有する流体として80%(変換SO3に対して)の選択性で得た。
【0063】
ハイポフルオライト
CF3OFは、MUKHAMETSHIN,F.M.,「Advances in the Chemistry of Organofluorine Hypohalites and Related Compounds」,Russian Chemical Reviews、1980年、第49巻、第7号、668〜682頁に記載されたとおりに調製した。
CF2(OF)2は、J.Am.Chem.Soc.,1967年、第89巻、1809〜1810頁に記載されたとおりに得た。
FSO2−CF2CF2OFは、米国特許第4962282号明細書(AUSIMONT)1990年10月9日に記載されたとおりに調製した。
【0064】
実施例1
− FAFSへのCF3OFの付加およびCF3OCF2CF2CF2OSO2Fフルオロサルフェート付加物の合成
電磁撹拌機を備え、50mlの容量を有し、40gのCFCl3および16gの実施例1由来のFASFを含み、低温浴で−50℃に維持したガラス製反応器に、2.4Nl/時間のN2で希釈した、1.2Nl/時間のCF3OFの流れを、注入口接続部を通して2時間供給した。反応の終了時に、56gの粗反応混合物を得て;FASF変換率は、GC/MS分析により32%であることがわかった。式CF3OCF2CF2CF2OSO2Fのフルオロサルフェート付加物を、モルで(変換FAFSに対して)85.5%の選択性で得た。10.2gの未反応FASFを、分留により回収した。
【0065】
実施例2
− CF3OCF2CF2COFアシルフルオリドの合成
電磁撹拌機を備え、−70℃で維持した冷却トラップに、循環水冷却ジャケットによって接続された、50mlの容量を有するガラス製反応器に、実施例1によって調製した10gのフルオロサルフェート付加物および0.1gのCsFを入れた。そのように得られた混合物を、外部浴を通して加熱し、激しく撹拌しながら2時間還流させた。反応の終了時に、その変換が完全であったフルオロサルフェート付加物のモルに対して計算して、モルで98%の選択性を有して、6.8gのCF3OCF2CF2COFアシルフルオリドを冷却トラップに回収した。
【0066】
実施例3
− CF3O(CF2)3OCFClCF2Clの合成
電磁撹拌機を備え、50mlの容量を有し、57gのCFCl=CFCl(CFC1112)および25.5gの実施例3由来のCF3O(CF2)2COFアシルフルオリドを含み、−100℃に冷却したガラス製反応器に、5.0Nl/時間のN2で希釈した、1.0Nl/時間のフッ素の流れを6.5時間供給した(フッ素供給時間中に、わずかな発熱反応が見られた)。反応器の出口で収集された気体状生成物を−80℃に維持し、フッ素化溶媒を含むトラップを通過させた。反応の終了時に、粗反応混合物を反応器から、およびトラップから単離し、これをGC/MS分析で特徴付けた:CFC1112およびアシルフルオリドの変換率は、それぞれ、100%および60%であることがわかった。CF3O(CF2)3OCFClCF2Clを、変換アシルフルオリドのモルで計算して、モルで75%の選択性で得た。
【0067】
実施例4
− CF3O(CF2)3OCFClCF2Clの脱ハロゲン化
機械的撹拌機、温度計、滴下ロート、水冷管を有する蒸留カラム、および−78℃に維持し、真空ラインに接続された収集フラスコを備え、250mlの内部容積を有する三口丸底フラスコ中に、粉末亜鉛(15g)、炭酸カリウム(0.5g)、ヨウ素(100mg)およびジメチルホルムアミド(150ml)を導入した。その内部温度を80℃に上昇させ、57gの実施例4由来のCF3O(CF2)3OCFClCF2Clを滴下した。滴下の終了時に、この反応混合物を約30分間反応させ;次いで、内部圧力を760mmHgから300mmHgに徐々に低下させた。20分後に、内部圧力を760mmHgに戻し、回収した収集フラスコは、43gのCF3O(CF2)3OCF=CF2(沸点64℃)を含むことがわかった。
【0068】
実施例5
FASFへのFSO2−CF2CF2OFの付加、およびFSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−CF2−OSO2Fフルオロサルフェート付加物(2A)の合成
機械的撹拌機を備え、50mlの容量を有し、18.3gのCF2=CFCF2OSO2F(FAFS)を含み、−50℃に冷却された金属製反応器に、17.6Nl/時間のヘリウムで希釈した、0.8Nl/時間のSO2FCF2CF2OFハイポフルオライトの流れを1時間供給した。反応の終了時に、24.1gの粗反応生成物を得て、それから分留によって、12gの99重量%留分のフルオロサルフェート付加物を、その変換が完全であったSO2FCF2CF2OFハイポフルオライトのモルで計算して、モルで72%の収率で回収した。式SO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−CF2−O−SO2F(2A)の付加物は、GC/MSおよび19F−NMR分析により特徴付けた。
【0069】
実施例6
− FSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−COFアシルフルオリドの合成
温度0℃に維持した冷却トラップに接続された反応器に15gの実施例5由来の(2A)を入れた以外は、実施例2で詳述したとおりの同様の手順に従った。反応の終了時に、循環水冷却ジャケットをVigreuxカラムで置き換え、11.4gのFSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−COFアシルフルオリドを、その変換が完全であったフルオロサルフェート付加物のモルで計算して、モルで98%の選択性で蒸留して取り除いた。
【0070】
実施例7
− FSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−O−CFCl−CF2Clスルホン酸フルオロハロゲンエーテルの合成
機械的撹拌機を備え、50mlの容量を有し、59gのCFC1112および37gの実施例6由来のFSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−COFアシルフルオリドを含み、−80℃で維持したガラス製反応器に、8.0Nl/時間のN2で希釈した、1.6Nl/時間の流れを、注入口接続部を通して7時間供給した。反応の終了時に、110gの粗反応生成物を反応器から回収し、GC/MS分析によって特徴付けた:CFC1112変換率は100%であり、アシルフルオロリドのそれは58%であった。24gのFSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−CF2−OCFCl−CF2Clスルホン酸フルオロハロゲンエーテルを、分留によって粗反応混合物から回収し、得られたスルホン酸フルオロハロゲンエーテルは、変換アシルフルオリドのモルで計算して、モルで75%の選択性を有した。14.9gの未反応アシルフルオリドも回収した。
【0071】
実施例8
− FSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−CF2−CF2−OCFCl−CF2Clスルホン酸フルオロハロゲンエーテルの脱ハロゲン化
8gの粉末亜鉛および70mlのジメチルホルムアミド、ならびに真空ラインに接続され、0℃に維持した収集トラップを用いた以外は、実施例4に詳述したとおりの同様の手順に従った。内部温度を90℃に上昇させ、実施例8によって調製した36gのフルオロハロゲンエーテルを滴下した。滴下の終了時に、そのように得られた混合物を約30分間反応させ;内部圧力を760mmHgから200mmHgに徐々に低下させた。40分後に、内部圧力を760mmHgに戻し、回収した収集フラスコは、27gの式:FSO2−CF2−CF2−O−CF2−CF2−CF2−OCF=CF2を有するスルホン酸ビニルエーテル化合物(収率87%)を含むことがわかった。
【0072】
実施例9
− 式:
【化20】
を有するフルオロサルフェートジオキソランの合成
機械式撹拌機を備え、50mlの容量を有し、20.5gのFASFを含み、低温浴で−50℃に維持したガラス製反応器に、2.0Nl/時間のN2で希釈した、1.0Nl/時間のCF2(OF)2の流れを、注入口接続部を通して2時間供給した。反応の終了時に、30gの粗反応混合物を回収し;FASF変換率は、GC/MS分析により94%に等しいことがわかった。10.8gの純粋ジオキソランを、供給ビス−ハイポフルオライトCF2(OF)2のモルで計算して、モルで78%の選択性を有して、分留により粗反応混合物から回収した。
【0073】
実施例10
− 式:
【化21】
を有するアシルフルオリドの合成
−78℃の温度で維持した冷却トラップに接続された反応器に、実施例9によって調製した9.4gのジオキソランを入れた以外は、実施例2に詳述したとおりの同様な手順に従った。そのように得られた混合物を、外部浴を通して加熱し、激しく撹拌しながら、4時間還流させた。反応の終了時に、6.2gの上述のアシルフルオリドを、その変換率が完全であったフルオロサルフェートジオキソランのモルで計算して、モルで98%の選択性を有して、冷却トラップに回収した。
【0074】
実施例11
− 式:
【化22】
を有するフルオロハロゲンエーテル化合物の合成
21gの実施例10由来のアシルフルオリド、および8.0Nl/時間のN2で7時間希釈した、1.6Nl/時間のフッ素の注入口の流れ7時間を用いた以外は、実施例3に詳述したとおりの同様の手順に従った。17.6gの上述のフルオロハロゲンエーテル化合物を、変換アシルフルフルオリドのモルで計算して、モルで77%の選択性を有して、分留により粗反応混合物から回収した。8.1gの未反応アシルフルオリドも回収した。
【0075】
実施例12
− 実施例11のフルオロハロゲンエーテルの脱ハロゲン化、および式:
【化23】
を有するペルフルオロビニルエーテルの合成
8gの粉末亜鉛および70mlのジメチルホルムアミドを用いた以外は、実施例4に詳述したとおりの同様の手順に従った。内部温度を80℃に上昇させ、27gの実施例11のフルオロハロゲンエーテル化合物を滴下した。21gの上述のペルフルオロビニルエーテルを、変換フルオロハロゲンエーテルのモルで計算して、モルで95%の選択性を有して回収した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III−A)および(III−B):
【化1】
の化合物を調製する方法であって、
(1)式(I−A)および(I−B):
【化2】
の化合物を、
式:
【化3】
のペルフルオロアリルフルオロサルフェート(FAFS)と、
式(II−A)または(II−B):
【化4】
の少なくとも1種のハイポフルオライトとの反応によって生成させるステップと、
(2)上に詳述されたとおりの式(I−A)および(I−B)の化合物を、それぞれ式(III−A)および(III−B)の対応するアシルフルオリドに変換させるステップと、を含み、
式中:
− 式(I−A)、(II−A)および(III−A)におけるRFは、任意選択により場合によっては酸素カテナリー原子を含んでいてもよく且つ任意選択により場合によってはヘテロ原子を含む官能基(例えば、−SO2F基)を含んでいてもよい、一価フルオロカーボンC1〜C20基であり;
− 式(I−B)、(II−B)および(III−B)におけるR’Fは、二価フルオロカーボンC1〜C6の基、好ましくは式:
【化5】
(式中、X1およびX2は、互いに同じかまたは異なり、独立して、フッ素原子またはC1〜C3フルオロカーボン基である)
の基である、方法。
【請求項2】
前記ステップ(2)における変換が、金属フッ化物触媒の存在下での−CF2−OSO2F部分の熱分解を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属フッ化物が、CsF、KF、RbF、LiF、NaF、CaF2、BaF2、MgF2、SrF2、AgFの中から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、好適な触媒の存在下でアシルフルオリド(III−A)および(III−B)をヘキサプロピレンエポキシド(HFPO)と反応させて、その結果、化合物(IV−A)および(IV−B):
【化6】
(式中、RFおよびR’Fは、請求項1で特定された意味を有する)
を得るステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アシルフルオリド(IV−A)および(IV−B)を熱分解させて、式(V−A)および(V−B):
【化7】
(式中、RFおよびR’Fは、請求項1で特定された意味を有する)
の対応するフルオロビニルエーテルを得るステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アシルフルオリド(V−A)および(V−B)の熱分解が、気相中で、前記アシルフルオリドを、触媒、好ましくは、硫酸ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと、150℃から350℃の温度で接触させることによって行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、液相中、−150℃から0℃の温度で、前記アシルフルオリド(III−A)および(III−B)を、元素フッ素および少なくとも1種の式:
【化8】
(式中、A1、A2、A3、A4は、互いに同じかまたは異なり、H、F、Cl、Brの中から選択される)
のオレフィン化合物[オレフィン(Ol)]と反応させ、その結果、式(VI−A)および(VI−B):
【化9】
(式中、A1、A2、A3、A4は、上記のとおりであり、RFおよびR’Fは、請求項1に定義された意味を有する)
のハロエーテル化合物を得るステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記オレフィン(Ol)が、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン(CFC1112)、1,2−ジブロモ−1,2−ジフルオロエチレン、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの中から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記式(VI−A)および(VI−B)のハロエーテル化合物を、脱ハロゲン化/脱ハロゲン化水素によってさらに反応させ、対応するビニルエーテル(VII−A)および(VII−B):
【化10】
(式中、A5およびA6は、互いに同じかまたは異なり、H、F、Cl、Brの中から選択され、RFおよびR’Fは、請求項1で特定された意味を有する)
を得る、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、フッ化物触媒の存在下でアシルフルオリド(III−A)および(III−B)を元素フッ素と反応させ、対応するハイポフルオライト(VIII−A)および(VIII−B):
【化11】
(式中、RFおよびR’Fは、請求項1に特定された意味を有する)
を得るステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、ハイポフルオライト(VIII−A)および(VIII−B)を式:
【化12】
(式中、A1、A2、A3、A4は、互いに同じかまたは異なり、H、F、Cl、Brの中から選択される)
の1種のオレフィン化合物[オレフィン(Ol)]と反応させ、式(VI−A)および(VI−B):
【化13】
(式中、A1、A2、A3、A4は、上記のとおりであり、RFおよびR’Fは、請求項1で定義された意味を有する)
の対応するハロエーテル化合物を生成させるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(IX−A)および(IX−B):
【化14】
(式中、R*Fは、−CF2−CF2−SO2F、−C2F5、−(CF2)2−CF3、−CF2−COOCH3であり、R’*Fは、−CX*1X*2−基であり、ここで、X*1およびX*2は、互いに同じかまたは異なり、それぞれ、−Fまたは−CF3である)
の化合物。
【請求項13】
請求項12に記載の化合物由来の繰返し単位を含むポリマー。
【請求項1】
式(III−A)および(III−B):
【化1】
の化合物を調製する方法であって、
(1)式(I−A)および(I−B):
【化2】
の化合物を、
式:
【化3】
のペルフルオロアリルフルオロサルフェート(FAFS)と、
式(II−A)または(II−B):
【化4】
の少なくとも1種のハイポフルオライトとの反応によって生成させるステップと、
(2)上に詳述されたとおりの式(I−A)および(I−B)の化合物を、それぞれ式(III−A)および(III−B)の対応するアシルフルオリドに変換させるステップと、を含み、
式中:
− 式(I−A)、(II−A)および(III−A)におけるRFは、任意選択により場合によっては酸素カテナリー原子を含んでいてもよく且つ任意選択により場合によってはヘテロ原子を含む官能基(例えば、−SO2F基)を含んでいてもよい、一価フルオロカーボンC1〜C20基であり;
− 式(I−B)、(II−B)および(III−B)におけるR’Fは、二価フルオロカーボンC1〜C6の基、好ましくは式:
【化5】
(式中、X1およびX2は、互いに同じかまたは異なり、独立して、フッ素原子またはC1〜C3フルオロカーボン基である)
の基である、方法。
【請求項2】
前記ステップ(2)における変換が、金属フッ化物触媒の存在下での−CF2−OSO2F部分の熱分解を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属フッ化物が、CsF、KF、RbF、LiF、NaF、CaF2、BaF2、MgF2、SrF2、AgFの中から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、好適な触媒の存在下でアシルフルオリド(III−A)および(III−B)をヘキサプロピレンエポキシド(HFPO)と反応させて、その結果、化合物(IV−A)および(IV−B):
【化6】
(式中、RFおよびR’Fは、請求項1で特定された意味を有する)
を得るステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アシルフルオリド(IV−A)および(IV−B)を熱分解させて、式(V−A)および(V−B):
【化7】
(式中、RFおよびR’Fは、請求項1で特定された意味を有する)
の対応するフルオロビニルエーテルを得るステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アシルフルオリド(V−A)および(V−B)の熱分解が、気相中で、前記アシルフルオリドを、触媒、好ましくは、硫酸ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと、150℃から350℃の温度で接触させることによって行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、液相中、−150℃から0℃の温度で、前記アシルフルオリド(III−A)および(III−B)を、元素フッ素および少なくとも1種の式:
【化8】
(式中、A1、A2、A3、A4は、互いに同じかまたは異なり、H、F、Cl、Brの中から選択される)
のオレフィン化合物[オレフィン(Ol)]と反応させ、その結果、式(VI−A)および(VI−B):
【化9】
(式中、A1、A2、A3、A4は、上記のとおりであり、RFおよびR’Fは、請求項1に定義された意味を有する)
のハロエーテル化合物を得るステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記オレフィン(Ol)が、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン(CFC1112)、1,2−ジブロモ−1,2−ジフルオロエチレン、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレンの中から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記式(VI−A)および(VI−B)のハロエーテル化合物を、脱ハロゲン化/脱ハロゲン化水素によってさらに反応させ、対応するビニルエーテル(VII−A)および(VII−B):
【化10】
(式中、A5およびA6は、互いに同じかまたは異なり、H、F、Cl、Brの中から選択され、RFおよびR’Fは、請求項1で特定された意味を有する)
を得る、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、フッ化物触媒の存在下でアシルフルオリド(III−A)および(III−B)を元素フッ素と反応させ、対応するハイポフルオライト(VIII−A)および(VIII−B):
【化11】
(式中、RFおよびR’Fは、請求項1に特定された意味を有する)
を得るステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、ハイポフルオライト(VIII−A)および(VIII−B)を式:
【化12】
(式中、A1、A2、A3、A4は、互いに同じかまたは異なり、H、F、Cl、Brの中から選択される)
の1種のオレフィン化合物[オレフィン(Ol)]と反応させ、式(VI−A)および(VI−B):
【化13】
(式中、A1、A2、A3、A4は、上記のとおりであり、RFおよびR’Fは、請求項1で定義された意味を有する)
の対応するハロエーテル化合物を生成させるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(IX−A)および(IX−B):
【化14】
(式中、R*Fは、−CF2−CF2−SO2F、−C2F5、−(CF2)2−CF3、−CF2−COOCH3であり、R’*Fは、−CX*1X*2−基であり、ここで、X*1およびX*2は、互いに同じかまたは異なり、それぞれ、−Fまたは−CF3である)
の化合物。
【請求項13】
請求項12に記載の化合物由来の繰返し単位を含むポリマー。
【公表番号】特表2011−508737(P2011−508737A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540101(P2010−540101)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067714
【国際公開番号】WO2009/083451
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(508305960)ソルヴェイ・ソレクシス・エッセ・ピ・ア (53)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067714
【国際公開番号】WO2009/083451
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(508305960)ソルヴェイ・ソレクシス・エッセ・ピ・ア (53)
【Fターム(参考)】
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